ここで、本発明の概念の実施形態の例が示されている添付の図面を参照して、本発明の概念を以下でより十分に説明する。ただし、発明の概念は、多くの様々な形態で具体化され得、本明細書に記載される実施形態に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態が提供されて、本開示が徹底したものかつ完全なものになり、当業者に様々な本発明の概念の範囲を完全に伝えるようになる。これらの実施形態が相互排他的ではないことにも留意されたい。1つの実施形態からの構成要素が、別の実施形態に存在するか、または別の実施形態で使用されると暗に想定され得る。
本明細書に開示される様々な実施形態は、外科手術中のコンピュータ支援ナビゲーションの改善を対象とする。拡張リアリティ(XR)ヘッドセットは、外科手術システムに動作可能に接続され、外科医、助手、および/または他の従事者が患者の画像を視認して、その中から選択し、コンピュータで生成された外科手術ナビゲーション情報を視認して、その中から選択し、および/または手術室内の外科器具を制御することができるインタラクティブな環境を設けるように構成されている。以下に説明するように、XRヘッドセットは、コンピュータで生成されたXR画像によって実世界場面を増強するように構成することができる。XRヘッドセットは、コンピュータで生成されたXR画像を、実世界場面からの光が通過して、使用者が組み合わせて視認することができるようにするシースルー表示画面に表示することにより、拡張リアリティ(AR)表示環境を設けるように構成されることができる。あるいは、XRヘッドセットは、使用者がコンピュータで生成されたAR画像を表示画面上で視認している間、実世界場面からの光を使用者が直接視認するのを防止または実質的に防止することによって、仮想現実(VR)表示環境を設けるように構成することができる。XRヘッドセットは、ARおよびVR表示環境の双方を設けるように構成することができる。ある実施形態において、VR表示環境が高不透明度帯域と位置が揃ったXR画像に設けられ、AR表示環境が、低不透明度帯域と位置が揃ったXR画像に設けられるように、ARおよびVR両方の表示環境が、シースルー表示画面と実世界場面との間に配置された事実上不透明度が異なる横方向帯域によって設けられる。別の実施形態において、ARおよびVR両方の表示環境が、使用者が見るXR画像と組み合わせるためシースルー表示画面を実世界場面からの光がどれくらい透過するかを可変的に抑制する不透明フィルタのコンピュータ調整式制御によって設けられる。したがって、XRヘッドセットはまた、ARヘッドセットまたはVRヘッドセットと呼ぶこともできる。
図1は、本開示のいくつかの実施形態による外科手術システム2の実施形態を示している。整形外科手術または他の外科的処置の実施前に、例えば、図10のCアーム画像化デバイス104または図11のOアーム画像化デバイス106を使用して、またはコンピュータ断層撮影(CT)画像もしくはMRIなどの別の医療画像化デバイスから、患者の計画された外科手術エリアの三次元(「3D」)画像スキャンを行うことができる。このスキャンは、術前(例えば、最も一般的には処置の数週間前)または術中に行うことができる。しかし、外科手術システム2の様々な実施形態にしたがって、任意の既知の3Dまたは2Dの画像スキャンを使用することができる。画像スキャンは、カメラ追跡システム構成要素6、外科手術ロボット4(例えば、図1のロボット2)、画像化デバイス(例えば、Cアーム104、Oアーム106など)、および患者の画像スキャンを保存するための画像データベース950を含むことができる外科手術システム900(図9)のコンピュータプラットフォーム910などの、外科手術システム2と通信するコンピュータプラットフォームに送信される。コンピュータプラットフォーム910(図9)のディスプレイデバイス上で画像スキャン(単数または複数)を概観する外科医は、患者の解剖学的構造に対する外科的処置中に使用される外科手術用ツールの目標のポーズを定義する外科手術計画を生成する。ツールとも呼ばれる例示的な外科手術用ツールには、ドリル、ねじ回し、鋸、開創器、およびインプラント、例えばねじ、スペーサ、椎体間融合デバイス、プレート、ロッドなどが含まれ得るが、これらに限定されるわけではない。実施形態によっては、目標の平面を定義する外科手術計画は、ディスプレイデバイスに表示された3D画像スキャンにて計画される。
本明細書で使用される際、「ポーズ」という用語は、ある対象(例えば、ダイナミック参照アレイ、エンドエフェクタ、外科手術用ツール、解剖学的構造など)の別の対象に対するおよび/または定義された座標系に対する位置および/または回転角を指す。したがって、ポーズは、ある対象の別の対象におよび/または定義された座標系に対する多次元的な位置のみに基づいて、対象の別の対象におよび/または定義された座標系に対する多次元的な回転角のみに基づいて、あるいは多次元的な位置と多次元的な回転角との組み合わせに基づいて、定義され得る。したがって、「ポーズ」という用語は、位置、回転角度、またはそれらの組み合わせを指すために使用される。
図1の外科手術システム2は、例えば、ツールを保持すること、ツールを位置合わせすること、ツールを使用すること、ツールを誘導すること、および/または使用するためにツールを位置決めすることによって、医療処置の最中に外科医を支援することができる。実施形態によっては、外科手術システム2は、外科手術ロボット4およびカメラ追跡システム構成要素6を含む。外科手術ロボット4とカメラ追跡システム構成要素6とを機械的に結合できることにより、外科手術システム2を単一のユニットとして操作および移動することが可能になり、外科手術システム2は、エリアの小さいフットプリントを有することが可能になり、狭い通路および曲がり角を通る動きをより容易にすることが可能になり、ならびにより狭いエリア内のストレージを可能にすることができる。
外科的処置は、外科手術システム2を医療ストレージから医療処置室まで移動させることで開始することができる。外科手術システム2は、出入口、ホール、およびエレベータを通り、医療処置室に達するように動かされ得る。医療処置室内で、外科手術システム2は、2つの別個の異なるシステム、外科手術ロボット4とカメラ追跡システム構成要素6とに物理的に分けることができる。外科手術ロボット4は、医療従事者を正しく補助するためのいずれかの適した場所にいる患者に隣接して位置付けられ得る。カメラ追跡システム構成要素6は、患者の基部に、患者の肩に、または外科手術ロボット4および患者の追跡部分のその時のポーズと、ポーズの動きとを追跡するのに適したいずれの他の場所にも位置付けられ得る。外科手術ロボット4およびカメラ追跡システム構成要素6は、オンボード電源によって電力供給し、および/または外部の壁のコンセントに差し込むことができる。
外科手術ロボット4は、医療処置の最中にツールを保持および/または使用することによって外科医を支援するよう使用することができる。ツールを適切に利用し、保持することは、外科手術ロボット4が、複数のモータ、コンピュータ、および/またはアクチュエータが適切に機能することに依拠する場合がある。図1に示されるロボット本体8は、複数のモータ、コンピュータ、および/またはアクチュエータが外科手術ロボット4内で固定され得る構造体としての役割を果たし得る。ロボット本体8はまた、ロボット伸縮式支持体16のための支持をもたらし得る。ロボット本体8のサイズは、取り付けられた構成要素を支持する頑丈なプラットフォームをもたらすことができ、取り付けられた構成要素を働かせることができる、複数のモータ、コンピュータ、および/またはアクチュエータを収容し、隠し、また保護することができる。
ロボット基部10は、外科手術ロボット4の下部の支持として作用することができる。実施形態によっては、ロボット基部10は、ロボット本体8を支持することができ、ロボット本体8を複数の動力付き車輪12に取り付けることができる。車輪へのこの取り付けにより、ロボット本体8が空間を効率よく動くことが可能になる。ロボット基部10は、ロボット本体8の長さおよび幅に及び得る。ロボット基部10は、約2インチ〜約10インチの高さであり得る。ロボット基部10は、動力付き車輪12を被覆、保護、および支持することができる。
いくつかの実施形態では、図1に示されるように、少なくとも1つの動力付き車輪12をロボット基部10に取り付けることができる。動力付き車輪12は、ロボット基部10のいずれの場所に取り付けてもよい。それぞれの個々の動力付き車輪12は、いずれの方向にも垂直軸を中心として回転することができる。モータは、動力付き車輪12の上に、中に、またはそれに隣接して配設され得る。このモータによって、外科手術システム2は、いずれの場所にも移動し、外科手術システム2を安定化させる、および/または水平にすることができる。動力付き車輪12の中またはそれに隣接して位置するロッドは、モータによって表面に押し込められ得る。ロッドは、描かれていないが、外科手術システム2を持ち上げるのに適したいずれの金属からも作られ得る。ロッドは、外科手術システム2を持ち上げることができる動力付き車輪10を、患者との関係で外科手術システム2の向きを水平にする、またはそうでなければ固定するのに必要ないずれの高さにも持ち上げることができる。小さな接触範囲を通して各車輪のロッドにより支持される外科手術システム2の重さにより、外科手術システム2が医療処置の最中に動くことが防止される。この堅固な位置決めは、対象および/または人間が偶発的に外科手術システム2を移動させることを防ぐことができる。
外科手術システム2の移動を、ロボットレール14を使用して容易にすることができる。ロボットレール14は、人間が、ロボット本体8を掴むことなく、外科手術システム2を動かせるようにする。図1に示されるように、ロボットレール14は、ロボット本体8の長さに及ぶことができ、ロボット本体8よりも短い長さに及ぶことができ、および/またはロボット本体8の長さより長くわたることもできる。ロボットレール14は、ロボット本体8に対して保護をさらに設け、対象および/または従事者がロボット本体8に接触すること、ぶつかること、または衝突することを防ぐことができる。
ロボット本体8は、以後「スカラ」と称する水平多関節ロボットのための支持を設けることができる。スカラ24は、ロボットアームの同時再現性およびコンパクトさゆえに、外科手術システム2内で使用するのに有益であり得る。スカラがコンパクトであることにより、医療処置内に追加の空間を設けることができ、それにより、医療専門家は、過度な乱雑さとエリアの制限なしに、医療処置を実施することが可能になる。スカラ24は、ロボット伸縮式支持体16、ロボット支持アーム18、および/またはロボットアーム20で構成され得る。ロボット伸縮式支持体16は、ロボット本体8に沿って配設され得る。図1に示されるように、ロボット伸縮式支持体16は、スカラ24およびディスプレイ34に支持を設けることができる。実施形態によっては、ロボット伸縮式支持体16は、垂直方向に伸縮することができる。ロボット伸縮式支持体16の本体は、それに加えられる応力および重量を支持するように構成された任意の幅および/または高さとすることができる。
いくつかの実施形態では、医療従事者は、医療従事者によって提出されたコマンドを介してスカラ24を移動させることができる。コマンドは、以下にさらに詳細に説明するように、ディスプレイ34、タブレット、および/またはXRヘッドセット(例えば、図9のヘッドセット920)で受信された入力から発信させることができる。XRヘッドセットは、医療従事者がディスプレイ34またはタブレットなどの任意の他のディスプレイを参照する必要性を排除することができ、これは、ディスプレイ34および/またはタブレットなしでスカラ24を構成することを可能にする。コマンドは、スイッチの押し下げおよび/または複数のスイッチの押し下げによって生成することができ、および/または以下にさらに詳細に説明するように、XRヘッドセットによって感知されるハンドジェスチャコマンドおよび/またはボイスコマンドに基づいて生成することができる。
図5に示されるように、起動アセンブリ60は、スイッチおよび/または複数のスイッチを含むことができる。起動アセンブリ60は、操作者がスカラ24を手で巧みに操るのを可能にする動きコマンドを、スカラ24に送信するように動作可能であり得る。1つのスイッチまたは複数のスイッチを押したとき、医療従事者は、適用される手の動きを通してスカラ24を動かせるようになる。代替としてまたは追加として、操作者は、以下に、より詳細に説明するように、XRヘッドセットによって感知されるハンドジェスチャコマンドおよび/または音声コマンドを通して、スカラ24の動きを制御することができる。さらに、スカラ24が動くコマンドを受信していないとき、スカラ24は、従事者および/または他の対象による偶発的な動きを防ぐように、所定の位置にロックされ得る。所定の位置にロックすることにより、スカラ24は、エンドエフェクタ26が医療処置の最中に外科手術用ツールを誘導することができる堅固なプラットフォームを設ける。
ロボット支持アーム18は、様々な機構によって、ロボット伸縮式支持体16に接続することができる。実施形態によっては、図1および2で最もよく分かるように、ロボット支持アーム18は、ロボット伸縮式支持体16に対していずれの方向にも回転する。ロボット支持アーム18は、ロボット伸縮式支持体16を中心として360度回転することができる。ロボットアーム20は、ロボット支持アーム18の適切ないずれの場所にも、またロボット支持アーム18に対していずれの方向にも回転することを可能にする様々な機構によって、接続することができる。一実施形態において、ロボットアーム20は、ロボット支持アーム18に対して360度回転することができる。この自由な回転により、操作者は、外科手術計画にしたがってロボットアーム20を位置決めすることができるようになる。
図4および図5に示されるエンドエフェクタ26は、任意の好適な場所でロボットアーム20に取り付けることができる。エンドエフェクタ26は、外科手術ロボット4によって位置付けられたロボットアーム20のエンドエフェクタカプラ22に取り付けるように構成され得る。例示的なエンドエフェクタ26は、外科的処置が実施される解剖学的構造に対して挿入された外科手術用ツールが移動するのを誘導する管状ガイドを含む。
実施形態によっては、動的参照アレイ52がエンドエフェクタ26に取り付けられている。本明細書で「DRA」や「参照アレイ」とも呼ばれる動的参照アレイは、剛体、マーカー、または、手術室内で従事者が装着する1つ以上のXRヘッドセット、エンドエフェクタ、外科手術ロボット、ナビゲート式外科処置における外科手術用ツール、患者の解剖学的構造(例えば、骨)に取り付けまたは形成することができる他の印であり得る。カメラ追跡システム構成要素6または他の3D位置特定システムと組み合わせたコンピュータプラットフォーム910は、DRAのポーズ(例えば、位置および回転方向)をリアルタイムで追跡するように構成されている。DRAは、図示されたボールの配置など、基準を含み得る。DRAの3D座標のこの追跡により、外科手術システム2は、図5の患者50の目標の解剖学的構造に関連する任意の多次元的な空間におけるDRAのポーズを判定することができるようになる。
図1に示されるように、光表示器28は、スカラ24の頂部に位置決めされ得る。光表示器28は、外科手術システム2がその時働いている「状態」を示す任意のタイプの光として照らすことができる。実施形態によっては、光は、LED電球によって生み出され得て、それは光表示器28の周りに環を形成し得る。光表示器28は、光表示器28の全体にわたり光を輝かせることができる完全透過性の材料から成り得る。光表示器28は、下部ディスプレイ支持体30に取り付けられ得る。下部ディスプレイ支持体30は、図2に示されるように、操作者が、適切ないずれの場所にもディスプレイ34をうまく移動させるのを可能にし得る。下部ディスプレイ支持体30は、任意の適切な機構によって光表示器28に取り付けることができる。実施形態によっては、下部ディスプレイ支持体30は、光表示器28を中心として回転し得るか、または光表示器28に堅固に取り付けられ得る。上部ディスプレイ支持体32は、任意の好適な機構によって下部ディスプレイ支持体30に取り付けることができる。
いくつかの実施形態では、タブレットをディスプレイ34と併せて、および/またはディスプレイ34なしで使用することができる。タブレットは、ディスプレイ34の代わりに、上部ディスプレイ支持体32に配設され得、医療手術の間に、上部ディスプレイ支持体32から取り外し可能であってよい。さらに、タブレットは、ディスプレイ34と通信することができる。タブレットは、任意の適切な無線接続および/または有線接続によって、外科手術ロボット4に接続することが可能であり得る。実施形態によっては、タブレットは、医療手術の間に、外科手術システム2をプログラムし、および/または制御することが可能であり得る。タブレットで外科手術システム2を制御する際、すべての入力コマンドおよび出力コマンドがディスプレイ34に再現され得る。タブレットの使用により、操作者は、患者50の周りを移動し、および/または外科手術ロボット4まで移動する必要なしに、外科手術ロボット4を操作することができる。
以下に説明するように、いくつかの実施形態では、外科医および/または他の従事者は、ディスプレイ34および/またはタブレットと組み合わせて使用されることができるXRヘッドセットを着用することができるか、またはXRヘッドは、ディスプレイ34および/またはタブレットを使用する必要性を排除することができる。
図3Aおよび図5に示されるように、カメラ追跡システム構成要素6は、有線または無線の通信ネットワークを介して外科手術ロボット4と協働する。図1、3、および5を参照すると、カメラ追跡システム構成要素6は、外科手術ロボット4と同様の構成要素をいくつか含み得る。例えば、カメラ本体36は、ロボット本体8に見られる機能性をもたらすことができる。ロボット本体8は、カメラ46が据え付けられる補助的追跡バーを設けることができる。ロボット本体8内の構造はまた、カメラ追跡システム構成要素6を働かせるのに使用される、電子機器、通信デバイス、および電力源を支えることができる。カメラ本体36は、ロボット本体8と同じ材料で作られていてもよい。カメラ追跡システム構成要素6は、無線および/または有線のネットワークによってXRヘッドセット、タブレット、および/またはディスプレイ34と直接通信して、XRヘッドセット、タブレット、および/またはディスプレイ34がカメラ追跡システム構成要素6の機能を制御することを可能にすることができる。
カメラ本体36は、カメラ基部38によって支えられる。カメラ基部38は、ロボット基部10として機能し得る。図1の実施形態では、カメラ基部38は、ロボット基部10よりも幅が広くなり得る。カメラ基部38の幅は、カメラ追跡システム構成要素6が外科手術ロボット4と接続するのを可能にし得る。図1に示されるように、カメラ基部38の幅は、外側のロボット基部10を固定するように十分に広くすることができる。カメラ追跡システム構成要素6と外科手術ロボット4とが接続されているとき、カメラ基部38の追加の幅は、外科手術システム2の追加の操作性と外科手術システム2の支持を可能にすることができる。
ロボット基部10と同様に、複数の動力付き車輪12をカメラ基部38に取り付けることができる。動力付き車輪12は、ロボット基部10および動力付き車輪12の働きと同様に、カメラ追跡システム構成要素6が、患者50に対する固定の向きを安定的にし、水平にするかまたはそれを設定するのを可能にし得る。この安定化により、カメラ追跡システム構成要素6が医療処置の最中に動くのを防ぐことができ、補助的追跡バーのカメラ46が、XRヘッドセットおよび/または外科手術ロボット4に接続されたDRAの軌跡を見失わないように、および/または図3Aおよび5に示されるような指示範囲56内の解剖学的構造体54および/またはツール58に接続された1つ以上のDRA52の軌跡を見失わないように維持することができる。追跡のこの安定性および維持は、カメラ追跡システム構成要素6と効果的に作動する外科手術ロボット4の能力を高める。さらに、幅広のカメラ基部38は、カメラ追跡システム構成要素6にさらなる支持を設けることができる。具体的には、図3Aおよび図5に示されるように、幅広のカメラ基部38により、カメラ46が患者に配設されたときに、カメラ追跡システム構成要素6が転倒するのを防止することができる。
カメラ伸縮式支持体40は、補助的追跡バーのカメラ46を支持することができる。実施形態によっては、伸縮式支持体40は、垂直方向にカメラ46を上げるまたは下げることができる。カメラハンドル48が、カメラ伸縮式支持体40の適切ないずれかの場所に取り付けられ、操作者が、医療手術の前に、カメラ追跡システム構成要素6を計画された位置に動かすことを可能にするように構成され得る。実施形態によっては、カメラハンドル48は、カメラ伸縮式支持体40を上昇および下降させるのに使用される。カメラハンドル48は、ボタン、スイッチ、レバー、および/またはそれらの任意の組み合わせの押し下げによって、カメラ伸縮式支持体40の上昇および下降を実施することができる。
下部カメラ支持アーム42は、任意の好適な場所でカメラ伸縮式支持体40に取り付けることができ、実施形態では、図1に示されるように、下部カメラ支持アーム42は、伸縮式支持体40の周りで360度回転することができる。この自由な回転により、操作者は、適切ないずれの場所にでもカメラ46を位置付けることができるようになる。下部カメラ支持アーム42は、任意の好適な機構によって伸縮式支持体40に接続することができる。下部カメラ支持アーム42を使用して、カメラ46に支えを設けることができる。カメラ46は、任意の適切な機構によって下部カメラ支持アーム42に取り付けられ得る。カメラ46は、カメラ46と下部カメラ支持アーム42との間の取り付け個所で、いずれかの方向に枢動することができる。実施形態では、湾曲レール44は、下部カメラ支持アーム42上に配設させることができる。
湾曲レール44は、下部カメラ支持アーム42の任意の好適な場所に配設させることができる。図3Aに示されるように、湾曲レール44は、任意の好適な機構によって下部カメラ支持アーム42に取り付けることができる。湾曲レール44は、いずれの適切な 形状であってもよく、適切な形状は、三日月形、円形、卵形、楕円形、および/またはそれらの任意の組み合わせであり得る。カメラ46は、湾曲レール44に沿って移動可能に配設され得る。カメラ46は、例えば、ローラ、ブラケット、ブレース、モータ、および/またはそれらの任意の組み合わせによって湾曲レール44に取り付けることができる。モータおよびローラは、図示されていないが、湾曲レール44に沿ってカメラ46を動かすのに使用され得る。図3Aに示されるように、医療処置の最中、対象により、カメラ46が、追跡される1つ以上のDRAを見るのを妨げられる場合、モータが、これに反応して、湾曲レール44に沿ってカメラ46を動かすことができる。このモータ駆動式の動きにより、カメラ46は、カメラ追跡システム構成要素6を動かすことなく、対象によってもはや邪魔されることのない新しい位置に移動することができる。カメラ46が1つ以上の追跡対象DRAを見ることを妨げられている間、カメラ追跡システム構成要素6は、停止信号を、外科手術ロボット4、XRヘッドセット、ディスプレイ34、および/またはタブレットに送信することができる。停止信号は、カメラ46が追跡対象DRA52を再取得するまで、スカラ24が動かないようにすることができ、および/または操作者にXRヘッドセットを装着するよう、および/またはディスプレイ34および/またはタブレットを見るよう注意喚起することができる。このスカラ24は、カメラ追跡システムがDRAの追跡を再開することができるまで、ベースおよび/またはエンドエフェクタカプラ22のさらなる移動を停止することによって、停止信号の受信に応答するように構成することができる。
図3Bおよび図3Cは、図1の外科手術システムとともに使用され得るか、または外科手術ロボットと独立して使用され得る別のカメラ追跡システム構成要素6’の正面図および等角図を示している。例えば、カメラ追跡システム構成要素6’が、ロボットガイダンスの使用なしにナビゲート式外科手術をするのに使用され得る。図3Bおよび3Cのカメラ追跡システム構成要素6’と図3Aのカメラ追跡システム構成要素6との違いのうちの1つは、図3Bおよび3Cのカメラ追跡システム構成要素6’が、コンピュータプラットフォーム910を運ぶハウジングを含むことである。コンピュータプラットフォーム910は、DRAを追跡するカメラ追跡動作を行い、ディスプレイデバイス、例えばXRヘッドセットおよび/または他のディスプレイデバイスに外科手術ナビゲーション情報を提供する、ナビゲーション式外科手術を行い、また本明細書に開示されている他の計算演算を行うように構成され得る。したがって、コンピュータプラットフォーム910は、図14の1つ以上のナビゲーションコンピュータなどのナビゲーションコンピュータを含むことができる。
図6は、医療手術に使用される図5の外科手術システムの構成要素のブロック図の見え方を示している。図6を参照すると、補助的追跡バーの追跡カメラ46は、ナビゲーション視野600を有し、これにおいて患者に取り付けられた参照アレイ602のポーズ(例えば、位置および向き)、外科手術器具に取り付けられた参照アレイ604、およびロボットアーム20が、追跡される。追跡カメラ46は、以下に記載される動作を実行するように構成されたコンピュータプラットフォーム910を含む、図3Bおよび図3Cのカメラ追跡システム構成要素6’の一部とすることができる。参照アレイは、既知のパターンで光を反射することによって追跡を可能にし、それは復号されて、外科手術ロボット4の追跡サブシステムによって、それぞれのポーズを判定する。患者参照アレイ602と補助的追跡バーにある追跡カメラ46との間の視線が(例えば、医療従事者、器具などによって)遮断された場合、外科手術器具のさらなるナビゲーションを実行することができない可能性があり、応答通知は、ロボットアーム20および外科手術ロボット4のさらなる移動を一時的に停止し、ディスプレイ34に警告を表示し、および/または医療従事者に可聴警告を発することができる。ディスプレイ34は、外科医610および助手612が利用可能であるが、視認するには、患者から顔をそらし、眼の焦点を異なる距離および位置に変える必要がある。ナビゲーションソフトウェアは、外科医からの音声指示に基づいて、技術者614によって制御させることができる。
図7は、外科手術システム2のナビゲーション機能を使用するときに、外科手術ロボット4によって図5および図6のディスプレイ34に表示され得る様々な表示画面を示している。表示画面は、開発された外科手術計画に基づいて、および/または追跡される参照アレイのポーズに基づいて、解剖学的構造に対して表示画面に位置決めされた器具のモデルのグラフィック表現がオーバーレイされた患者の放射線写真、外科的処置の異なる段階および仮想的に投影されたインプラントの寸法パラメータ(例えば、長さ、幅、および/または直径)を制御するための様々な使用者選択可能なメニューを含むことができるが、これに限定されるものではない。
ナビゲート式外科手術のために、外科的処置の術前計画、例えば、インプラントの配置、およびコンピュータプラットフォーム910への計画の電子転送を可能にして、計画された外科的処置の最中に1人または複数の使用者にナビゲーション情報を提供する、以下に記載される様々な処理構成要素(例えば、コンピュータプラットフォーム910)および関連付けられたソフトウェアが提供される。
ロボットのナビゲーションのために、外科的処置の術前計画、例えば、インプラントの配置、および外科手術ロボット4への計画の電子転送を可能にする、以下に記載される様々な処理構成要素(例えば、コンピュータプラットフォーム910)および関連付けられたソフトウェアが、提供される。外科手術ロボット4は、計画を使用して、ロボットアーム20および接続されたエンドエフェクタ26を誘導して、計画された外科的処置のステップのための患者の解剖学的構造に対する外科手術用ツールの目標のポーズを生じる。
以下の様々な実施形態は、外科医610、助手612、および/または他の医療従事者が着用できる1つ以上のXRヘッドセットを使用して、外科手術ロボット、カメラ追跡システム構成要素6/6’、および/または手術室の他の医療機器から情報を受信し、および/またはこれらに制御コマンドを与えるための改善されたユーザインターフェースを提供することを対象とする。
図8は、本開示のいくつかの実施形態による、外科手術ロボット4のいくつかの電気的構成要素のブロック図を示している。図8を参照すると、ロードセル(図示せず)は、エンドエフェクタカプラ22に加えられた力を追跡するように構成され得る。実施形態によっては、ロードセルは、複数のモータ850、851、852、853、および/または854と通信することができる。ロードセルが力を感知すると、加えられた力の程度に関する情報が、1つのスイッチアレイおよび/または複数のスイッチアレイからコントローラ846に配信され得る。コントローラ846は、ロードセルから力の情報を取り出し、それをスイッチアルゴリズムで処理することができる。スイッチアルゴリズムは、モータドライバ842を制御するのにコントローラ846によって使用される。モータドライバ842は、モータ850、851、852、853、および854のうちの1つ以上の動作を制御する。モータドライバ842は、特定のモータに、例えば、モータを通してロードセルによって測定された同じ程度の力を生じるよう指示することができる。実施形態によっては、生み出される力は、コントローラ846によって指示される通りに、複数のモータ、例えば850〜854に由来する場合がある。さらに、モータドライバ842は、コントローラ846から入力を受信することができる。コントローラ846は、ロードセルによって感知された力の方向に関する情報をロードセルから受信することができる。コントローラ846は、この情報を、モーションコントローラアルゴリズムを使用して処理することができる。このアルゴリズムは、特定のモータドライバ842に情報を提供するのに使用され得る。力の方向を複製するために、コントローラ846は、特定のモータドライバ842を起動および/または停止することができる。コントローラ846は、1つ以上のモータ、例えば850〜854のうちの1つ以上を制御して、ロードセルによって感知された力の方向にエンドエフェクタ26の運動を誘起することができる。この力によって制御される運動により、操作者は、スカラ24およびエンドエフェクタ26を楽に、および/またはほとんど抵抗なく移動させることができるようにる。エンドエフェクタ26の移動は、医療従事者が使用するために、エンドエフェクタ26を任意の好適なポーズ(すなわち、定義された三次元(3D)直交基準軸に対する場所および角度の向き)に位置決めするように実行することができる。
図5に最もよく図解されている起動アセンブリ60は、エンドエフェクタカプラ22を包むブレスレットの形態をなすことができる。起動アセンブリ60は、スカラ24のいずれの部分にでも位置し得、エンドエフェクタカプラ22の任意の部分が医療従事者によって着用され得(また無線で通信する)、および/またはそれらの任意の組み合わせであり得る。起動アセンブリ60は、一次ボタンおよび二次ボタンを備えることができる。
一次ボタンを押し下げることにより、操作者は、スカラ24およびエンドエフェクタカプラ22を移動させることが可能になり得る。一実施形態によれば、所定の位置に設定されると、スカラ24およびエンドエフェクタカプラ22は、操作者がスカラ24およびエンドエフェクタカプラ22を動かすように外科手術ロボット4をプログラムするまで動かないようにしてもよく、または一次ボタンを使用して動かされる。例によっては、スカラ24およびエンドエフェクタカプラ22が操作者コマンドに応答するようになる前に、少なくとも2つの隣接していない一次起動スイッチを押し下げることが必要となり得る。少なくとも2つの一次起動スイッチを押し下げることにより、医療処置の最中のスカラ24およびエンドエフェクタカプラ22の偶発的な移動を防止することができる。
一次ボタンによって起動されると、ロードセルは、操作者、すなわち、医療従事者によってエンドエフェクタカプラ22に及ぼされる力の大きさおよび/または方向を測定することができる。この情報は、スカラ24およびエンドエフェクタカプラ22を移動させるために使用することができる、スカラ24内の1つ以上のモータ、例えば850〜854のうちの1つ以上に転送することができる。ロードセルによって測定された力の大きさおよび方向に関する情報は、1つ以上のモータ、例えば850〜854のうちの1つ以上に、ロードセルによって感知されるのと同じ方向にスカラ24およびエンドエフェクタカプラ22を移動させるようにすることができる。この力制御型の動きにより、操作者がスカラ24およびエンドエフェクタカプラ22を移動させるのと同時にモータがスカラ24およびエンドエフェクタカプラ22を移動させるため、操作者は、楽に、また多大な労力なしに、スカラ24およびエンドエフェクタカプラ22を移動することが可能になり得る。
いくつかの例では、二次ボタンは、「選択」デバイスとして操作者が使用することができる。医療手術中、外科手術ロボット4は、XRヘッドセット920、ディスプレイ34および/または光表示器28によって、医療従事者に特定の状態を通知することができる。XRヘッドセット920は、それぞれ、シースルー表示画面上に画像を表示して、シースルー表示画面を通して見ることができる実世界の対象に重ね合わせられる拡張リアリティ画像を形成するように構成されている。医療従事者は、機能、モード、および/または外科手術システム2の状態の評価を選択するよう、外科手術ロボット4によって促され得る。二次ボタンを1回押すと、特定の機能、モード、および/またはXRヘッドセット920、ディスプレイ34および/または光表示器28を通して医療従事者に伝えられる肯定応答情報を起動することができる。これに加えて、二次ボタンを素早く連続して複数回押し下げると、追加の機能、モードを起動し、および/またはXRヘッドセット920、ディスプレイ34、および/もしくは光表示器28を介して医療従事者に伝達される情報を選択することができる。
図8をさらに参照すると、外科手術ロボット4の電気的構成要素は、プラットフォームサブシステム802、コンピュータサブシステム820、運動制御サブシステム840、および追跡サブシステム830を含む。プラットフォームサブシステム802は、バッテリ806、配電モジュール804、コネクタパネル808、および充電ステーション810を含む。コンピュータサブシステム820は、コンピュータ822、ディスプレイ824、およびスピーカ826を含む。運動制御サブシステム840は、ドライバ回路842、モータ850、851、852、853、854、安定化装置855、856、857、858、エンドエフェクタコネクタ844、およびコントローラ846を含む。追跡サブシステム830は、位置センサ832およびカメラコンバータ834を含む。外科手術ロボット4はまた、取り外し可能なフットペダル880、および取り外し可能なタブレットコンピュータ890を含むことができる。
入力された電力は、配電モジュール804に供給されることが可能な電源を介して、外科手術ロボット4に供給される。配電モジュール804は、入力された電力を受け取り、外科手術ロボット4の他のモジュール、構成要素、およびサブシステムに供給される様々な電源電圧を起こすように構成されている。配電モジュール804は、様々な電圧供給をコネクタパネル808に供給するように構成され得る、例えば、モータ850〜854およびエンドエフェクタカプラ844に給電するために、コンピュータ822、ディスプレイ824、スピーカ826、ドライバ842などの他の構成要素に設けられても、またカメラコンバータ834および外科手術ロボット4用の他の構成要素に設けられてもよい。配電モジュール804はまた、配電モジュール804が入力された電力からの電力を受け取らない場合に、一時的な電力源としての役割を果たすバッテリ806に接続され得る。他の場合には、配電モジュール804は、バッテリ806を充電するのに機能する場合がある。
コネクタパネル808は、異なるデバイスおよび構成要素を外科手術ロボット4ならびに/または関連付けられた構成要素およびモジュールに接続するのに機能することがある。コネクタパネル808は、様々な構成要素からの線または接続を受け取る1つ以上のポートを含み得る。例えば、コネクタパネル808は、外科手術ロボット4を他の機器、フットペダル880を接続するポート、位置センサ832を含み得る追跡サブシステム830に接続するポート、カメラコンバータ834、およびDRA追跡カメラ870に接地させることができる接地端子ポートを備え得る。コネクタパネル808は、コンピュータ822などの他の構成要素へのUSB通信、イーサネット通信、HDMI通信を可能にする他のポートも含み得る。いくつかの実施形態に従えば、コネクタパネル808は、1つ以上のXRヘッドセット920を追跡サブシステム830および/またはコンピュータサブシステム820に動作可能に接続するための有線および/または無線のインターフェースを含むことができる。
制御パネル816は、外科手術ロボット4の動作を制御し、および/または操作者が観察するための外科手術ロボット4からの情報を生じる、様々なボタンまたは表示器を設けることができる。例えば、制御パネル816は、外科手術ロボット4の電源をオン・オフにするボタン、垂直支柱16を上げ下げするボタン、キャスタ12に係合して外科手術ロボット4が物理的に動かないようにロックするよう設計され得る安定化装置855〜858を上げ下げするボタンを含み得る。他のボタンは、緊急時に、外科手術ロボット4を止めることができ、すべてのモータ電源を取り外し、機械式ブレーキを掛けて、すべての動きが起こらないようにし得る。制御パネル816はまた、配線電力表示器またはバッテリ806の充電状態などの特定のシステムの状況を操作者に通知する表示器を有することができる。いくつかの実施形態によれば、1つ以上のXRヘッドセット920は、例えばコネクタパネル808を介して通信して、外科手術ロボット4の動作を制御し、および/またはXRヘッドセット920を着用している人による観察のために外科手術ロボット4によって生成された情報を、受信および表示することができる。
コンピュータサブシステム820のコンピュータ822は、外科手術ロボット4の割り当てられた機能を動作させるためのオペレーティングシステムおよびソフトウェアを含む。コンピュータ822は、操作者に情報を表示するために、他の構成要素(例えば、追跡サブシステム830、プラットフォームサブシステム802、および/または運動制御サブシステム840)からの情報を受信し、処理することができる。また、コンピュータサブシステム820は、操作者にスピーカ826を通して出力をすることができる。スピーカは、外科手術ロボットの一部、XRヘッドセット920の一部、または外科手術システム2の別の構成要素の内部であり得る。ディスプレイ824は、図1および図2に示されるディスプレイ34に対応することができる。
追跡サブシステム830は、位置センサ832、およびカメラコンバータ834を含むことができる。追跡サブシステム830は、図3のカメラ追跡システム構成要素6に対応し得る。DRA追跡カメラ870は、DRA52のポーズを確定するように、位置センサ832とともに働く。この追跡は、LEDまたは反射マーカ(マーカーとも呼ばれる)などのDRA52の能動式または受動式の要素の場所をそれぞれ追跡する赤外線または可視光技術の使用を含む、本開示に矛盾しない様式で行うことができる。
追跡サブシステム830およびコンピュータサブシステム820の機能動作は、図3Aおよび3Bのカメラ追跡システム構成要素6’によって運ばれ得る、コンピュータプラットフォーム910に含まれ得る。追跡サブシステム830は、追跡対象のDRAのポーズ、例えば場所および角度の向きを判定するように構成され得る。コンピュータプラットフォーム910はまた、判定されたポーズを使用して、予定の外科的処置の最中に位置が登録された患者の画像および/または追跡対象の解剖学的構造に対して追跡対象のツールのそれらの動きを誘導する、ナビゲーション情報を使用者に提供するように構成されている、ナビゲーションコントローラも含み得る。コンピュータプラットフォーム910は、図3Bおよび3Cのディスプレイ上に、および/または1つ以上のXRヘッドセット920に情報を表示することができる。コンピュータプラットフォーム910は、外科手術ロボットとともに使用される場合、コンピュータサブシステム820および図8の他のサブシステムと通信して、エンドエフェクタ26の移動を制御するように構成することができる。例えば、以下に説明するように、コンピュータプラットフォーム910は、1つ以上の追跡対象のDRAの判定されたポーズに基づいて制御される、表示されるサイズ、形状、色、および/またはポーズを伴う、患者の解剖学的構造、外科手術用ツール、使用者の手などの、グラフィック表現を生成することができ、また、その表示されるグラフィック表現は、経時的に判定されたポーズの変化を追跡するよう動的に修正できる。
運動制御サブシステム840は、垂直支柱16、上部アーム18、下部アーム20を物理的に移動させるか、またはエンドエフェクタカプラ22を回転させるように構成されることができる。物理的な移動は、1つ以上のモータ850〜854の使用を通して行われ得る。例えば、モータ850は、垂直支柱16を垂直に上げるまたは下げるように構成され得る。モータ851は、図2に示されるように、垂直支柱16との係合個所の周りに上部アーム18を横方向に動かすように構成され得る。モータ852は、図2に示されるように、上部アーム18との係合個所の周りに下部アーム20を横方向に動かすように構成され得る。モータ853および854は、三次元軸の周りに沿った並進の動きおよび回転をもたらすように、エンドエフェクタカプラ22を動かすように構成され得る。図9に示されるコンピュータプラットフォーム910は、コントローラ846に、エンドエフェクタカプラ22の移動を誘導する制御入力をして、接続された受動式のエンドエフェクタを、計画された外科的処置の最中に手術される予定の解剖学的構造に対する計画されたポーズ(すなわち、定義された3D直交基準軸に対する場所および角度の向き)で位置決めすることができる。運動制御サブシステム840は、統合された位置センサ(例えば、エンコーダ)を使用して、エンドエフェクタカプラ22および/またはエンドエフェクタ26の位置を測定するように構成されることができる。
図9は、カメラ追跡システム構成要素6(図3A)または6’(図3B、図3C)、および/または本開示のいくつかの実施形態による外科手術ロボット4に動作可能に接続させることができるコンピュータプラットフォーム910に接続された画像化デバイス(例えば、Cアーム104、Oアーム106など)を含む外科手術システムの構成要素のブロック図を示している。これに代えて、コンピュータプラットフォーム910によって実行されるものとして本明細書に開示される少なくともいくつかの動作は、追加的または代替的に、外科手術システムの構成要素によって実行されることができる。
図9を参照すると、コンピュータプラットフォーム910は、ディスプレイ912、少なくとも1つのプロセッサ回路914(簡潔にするためにプロセッサとも呼ばれる)、コンピュータ可読プログラムコード918を内包する少なくとも1つのメモリ回路916(簡潔にするためにメモリとも呼ばれる)、および少なくとも1つのネットワークインターフェース902(簡潔にするためにネットワークインターフェースとも呼ばれる)を含む。ディスプレイ912は、本開示のいくつかの実施形態による、XRヘッドセット920の一部であり得る。ネットワークインターフェース902は、図10のCアーム画像化デバイス104、図11のOアーム画像化デバイス106、別の医療画像化デバイス、患者の医療画像を内包する画像データベース950、外科手術ロボット4の構成要素、および/または他の電子機器に接続するように構成させることができる。
外科手術ロボット4とともに使用される場合、ディスプレイ912は、図2のディスプレイ34、および/または図8のタブレット890、および/または外科手術ロボット4に動作可能に接続されたXRヘッドセット920に対応することができ、ネットワークインターフェース902は、図8のプラットフォームネットワークインターフェース812に対応することができ、プロセッサ914は、図8のコンピュータ822に対応することができる。XRヘッドセット920のネットワークインターフェース902は、有線ネットワーク、例えば、シンワイヤイーサネットを介して、および/または1つ以上の無線通信プロトコル、例えば、WLAN、3GPP 4Gおよび/または5G(New Radio)セルラー通信規格などにしたがって無線RF送受信リンクを介して通信するように構成されることができる。
プロセッサ914は、汎用および/または専用プロセッサ、例えば、マイクロプロセッサおよび/またはデジタル信号プロセッサなどの1つ以上のデータ処理回路を含むことができる。プロセッサ914は、メモリ916内のコンピュータ可読プログラムコード918を実行して、外科手術計画、ナビゲート式外科手術、および/またはロボット外科手術のために実行されるものとして本明細書に記載される動作の一部またはすべてを含むことができる動作を実行するように構成されている。
コンピュータプラットフォーム910は、外科手術計画の機能性を提供するように構成することができる。プロセッサ914は、画像化デバイス104および106のうちの一方から、および/またはネットワークインターフェース920を通して画像データベース950から受信した解剖学的構造、例えば椎骨の画像をディスプレイデバイス912に、および/またはXRヘッドセット920に表示するように動作することができる。操作者のタッチが計画された処置用のディスプレイ912の場所を選択することによって、またはマウスベースのカーソルを使用して予定の処置の場所を定めることなどによって、プロセッサ914は、1つ以上の画像に示されているどこの解剖学的構造が、外科的処置、例えばスクリューの配置を行う予定なのかについて、操作者の定義を受信する。画像がXRヘッドセット920に表示される場合、XRヘッドセットは、着用者によって形成されたジェスチャベースのコマンドで感知するように、および/または着用者によって発せられたボイスベースのコマンドを感知するように構成されることができ、これを使用してメニュー項目間の選択を制御し、および/または以下にさらに詳述するように、XRヘッドセット920に対象がどのように表示されるかを制御することができる。
コンピュータプラットフォーム910は、股関節の中心、角度の中心、自然にある目印(例えば、transepicondylar line、Whitesides line、posterior condylar line)などを判定する様々な角度の測定のような、膝の外科手術に特に有用であり得る解剖学的構造の測定を可能にするように構成され得る。いくつかの測定が自動とすることができる一方で、いくつかの他の測定は、人間の入力または支援を伴うことができる。コンピュータプラットフォーム910は、操作者が、サイズおよび位置合わせの選択を含む、患者のための正しいインプラントの選択を入力することを可能にするように構成され得る。コンピュータプラットフォーム910は、CT画像または他の医療画像に対して自動または半自動(人間の入力を伴う)のセグメント化(画像処理)を行うように構成され得る。患者の外科手術計画は、外科手術ロボット4による検索のために、データベース950に対応することができるクラウドベースのサーバに記憶させることができる。
例えば、整形外科手術中に、外科医は、コンピュータ画面(例えば、タッチスクリーン)または例えばXRヘッドセット920を介した拡張リアリティ(XR)インタラクション(例えば、ハンドジェスチャベースのコマンドおよび/またはボイスベースのコマンド)を使用して、どのカットを作成するか(例えば、後部大腿骨、近位脛骨など)を選択することができる。コンピュータプラットフォーム910は、外科的処置を実行するために外科医に視覚的ガイダンスを提供するナビゲーション情報を生成することができる。外科手術ロボット4とともに使用される場合、コンピュータプラットフォーム910は、外科手術ロボット4がエンドエフェクタ26を目標のポーズに自動的に移動させて、外科手術用ツールが目標の場所に位置合わせされて解剖学的構造に対する外科的処置を実行するようにし得るガイダンスを提供することができる。
いくつかの実施形態では、外科手術システム900は、2つのDRAを使用して、患者の脛骨に接続されたもの、および患者の大腿骨に接続されたものなど、患者の解剖学的構造の位置を追跡することができる。システム900は、位置合わせおよび確認のための標準的なナビゲート器具(例えば、脊椎外科手術のためにGlobus ExcelsiusGPSシステムで使用されるものと同様のポインタ)を使用することができる。
ナビゲート式外科手術で特に難しい作業は、3Dの解剖学的構造の2Dの表現であるコンピュータ画面上で外科医が作業を実行するのに苦労する脊椎、膝、および他の解剖学的構造におけるインプラントの位置を計画する方法である。システム900は、XRヘッドセット920を使用して、解剖学的構造および候補のインプラントデバイスのコンピュータで生成された三次元(3D)表現を表示することによって、この問題に対処することが可能である。コンピュータで生成された表現は、コンピュータプラットフォーム910のガイダンスの下で、表示画面上で互いに対してスケーリングおよびポーズ決めされ、XRヘッドセット920を介して視認される間、外科医により操作させることができる。外科医は、例えば、XRヘッドセット920によって感知されるハンドジェスチャベースのコマンドおよび/または音声ベースのコマンドを使用して、解剖学的構造、インプラント、外科手術用ツールなどの、表示された、コンピュータで生成された表現を操作することができる。
例えば、外科医は、仮想インプラント上の表示された仮想ハンドルを視認することができ、仮想ハンドルを操作し(例えば、つかんで移動させ)て、仮想インプラントを所望のポーズに移動させ、解剖学的構造のグラフィック表現に対する計画されたインプラントの配置を調整することができる。その後、外科手術中に、コンピュータプラットフォーム910は、インプラントを挿入するための外科手術計画に、より正確に従い、および/または解剖学的構造に対して別の外科的処置を行う外科医の能力を促進するナビゲーション情報を、XRヘッドセット920を通して表示することができる。外科的処置が骨の切除を伴う場合、骨の切除の進行、例えば切込みの深さが、XRヘッドセット920を介してリアルタイムで表示され得る。XRヘッドセット920を介して表示されることができる他の特徴として、関節運動の範囲に沿った間隙または靭帯のバランス、関節運動の範囲に沿ったインプラントの接触線、色または他のグラフィックレンダリングによる靭帯の緊張および/または弛緩などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
いくつかの実施形態では、コンピュータプラットフォーム910は、標準の外科手術用ツールおよび/またはインプラント、例えば、後方安定化インプラントおよび十字型保持インプラント、セメント固定およびセメントなしのインプラント、例えば膝関節全置換もしくは部分置換術、および/または股関節置換術、および/または外傷に関連した外科手術のための是正システムの使用を計画することを可能にすることができる。
自動画像化システムをコンピュータプラットフォーム910と連携して使用して、解剖学的構造の術前、術中、術後、および/またはリアルタイムの画像データを取得することができる。例示的な自動画像化システムが、図10および図11に例示されている。いくつかの実施形態では、自動画像化システムは、Cアーム104(図10)画像化デバイスまたはOアーム(登録商標)106(図11)である。(Oアーム(登録商標)は、米国コロラド州ルイスビルに事業所を置くMedtronic Navigation,Inc.が著作権を所有している)。X線システムで必要とされることがある、患者の頻繁な手動による再位置決めを必要とすることなく、いくつかの異なる位置から患者のX線を画像化することが望ましい場合がある。Cアーム104のX線診断機器は、頻繁な手作業による再位置決めの問題を解決することができ、外科手術および他の介入処置の医療分野で周知であり得る。図10に示されるように、Cアームは、「C」の形状の対向する遠位端112で終端する細長いCの形状をした部材を含む。Cの形状をした部材は、X線供給源114および画像受信器116に取り付けられている。アームのCアーム104内のスペースは、X線支持構造からの干渉が実質的にない状態で医師が患者に付き添う空間を設ける。
Cアームは、2つの自由度における(すなわち、球面運動における2つの直交軸を中心とする)アームの回転の動きを可能にするように据え付けられている。Cアームは、X線支持構造にスライド可能に据え付けられ、これにより、Cアームの曲率中心を中心とした周回回転運動が可能になり、X線供給源114および画像受信器116を垂直方向におよび/または水平方向に選択的に向けるのを可能にすることができる。Cアームはまた、横方向(すなわち、患者の幅および長さの両方に対するX線供給源114および画像受信器116の選択的に調節可能な位置付けを可能にする周回方向に対して直角の方向)に回転可能であり得る。Cアーム装置の球面回転の態様により、医師は、画像化されている特定の解剖学的状況に関して判定された最適な角度で、患者のX線を画像化することができる。
図11に示されているOアーム(登録商標)106は、例示されていない画像取り込み部分を取り囲むことができるガントリハウジング124を含む。画像取り込み部分は、X線供給源および/またはX線放出部分と、X線受光および/または画像受信部分とを含み、これらは、互いに約180度離れて配設され、画像取り込み部分の軌道に対してロータ(図示せず)に据え付けられ得る。画像取り込み部分は、画像取得中に360度回転するように動作可能であり得る。画像取り込み部分は、中心点および/または軸を中心として回転することができ、患者の画像データが複数の方向から、または複数の平面で取得されることを可能にする。
ガントリハウジング124を備えたOアーム(登録商標)106は、画像化される対象の周りに位置決めするための中央開口部と、ガントリハウジング124の内部の周りで回転可能な放射線源とを有し、それは、複数の異なる投影角度から放射線を投影するように適合させることができる。検出器システムは、投射角ごとに放射線を検出して、対象の画像を複数の投射平面から擬似同時的に取得するように適合されている。ガントリは、カンチレバー様式で、車輪を備えた車輪付き移動式カートなどの支持構造体のOアーム(登録商標)支持構造体に取り付けられ得る。位置付けユニットは、好ましくはコンピュータ化されたモーションコントロールシステムの制御下で、ガントリを予定の位置および向きに並進および/または傾斜させる。ガントリは、ガントリ上で互いに対向して配設された供給源と検出器とを含み得る。供給源および検出器は、供給源および検出器を互いに協調する状態でガントリの内部を中心として回転させることができるモータ付きロータに固定され得る。供給源は、ガントリの内側に位置する目標の対象の多平面での画像化のために、部分的および/または完全な360度の回転にわたって、複数の位置および向きでパルス化され得る。ガントリは、ロータが回転するのに従ってロータを誘導するためのレールおよび軸受けシステムをさらに備え得、このシステムは、供給源および検出器を担持することができる。Oアーム(登録商標)106およびCアーム104の双方および/またはいずれかを自動画像化システムとして使用して、患者をスキャンし、情報を外科手術システム2に送ることができる。
画像化システムによって取り込まれた画像は、XRヘッドセット920および/またはコンピュータプラットフォーム910の別のディスプレイデバイス、外科手術ロボット4、および/または外科手術システム900の別の構成要素に表示されることができる。XRヘッドセット920は、例えばコンピュータプラットフォーム910を介して、画像化デバイス104および/または106のうちの1つ以上に、および/または画像データベース950に接続されて、それらからの画像を表示し得る。使用者は、XRヘッドセット920を通して、制御入力、例えば、ジェスチャベースのコマンドおよび/または音声ベースのコマンドを与えて、画像化デバイス104および/もしくは106のうちの1つ以上ならびに/または画像データベース950の動作を制御し得る。
図12は、図13に示されるXRヘッドセット920に対応し、また本開示のいくつかの実施形態に従って作動し得る一対のXRヘッドセット920(ヘッドマウントディスプレイHMD1およびHMD2)を含む外科手術システムの構成要素のブロック図の見え方を示す。
図12の例示的なシナリオを参照すると、助手612と外科医610は両方とも、それぞれXRヘッドセット920を装着している。助手612がXRヘッドセット920を装着することは任意である。XRヘッドセット920は、以下でさらに説明するように、双方向の環境を設けるように構成されており、それを通して装着者は外科的処置に関係する情報を見て、それと相互作用することができる。この双方向XRベースの環境は、図6に示される技術者614が手術室にいる必要性をなくすることができ、図6に示されるディスプレイ34の使用の必要性をなくすことができる。それぞれのXRヘッドセット920は、外科手術用ツール、患者の解剖学的構造、エンドエフェクタ26、および/または他の機器に取り付けられたDRAまたは他の参照アレイの追加の追跡源を提供するように構成されている1つ以上のカメラを含み得る。図12の例では、XRヘッドセット920は、DRAおよび他の対象を追跡するための視野(FOV)1202を有し、XRヘッドセット920は、DRAおよび他の対象を追跡するためのFOV1202と部分的に重なるFOV1212を有し、追跡カメラ46は、DRAおよび他の対象を追跡するために、FOV1202および1212と部分的に重複する別のFOV600を有する。
1つ以上のカメラが、追跡対象の対象、例えば外科手術用ツールに取り付けられたDRAを見るのを妨げられているが、DRAが1つ以上の他のカメラの視野に入っている場合、追跡サブシステム830および/またはナビゲーションコントローラ828は、ナビゲーションを見失わずに、途切れなく対象を追跡し続けることができる。さらに、1つのカメラの視点からDRAが部分的に隠れているが、DRA全体が複数のカメラ供給源を介して見られる場合、カメラの追跡入力をまとめて、DRAのナビゲーションを続けることができる。XRヘッドセットおよび/または追跡カメラ46のうちの1つは、XRヘッドセットの別の1つでDRAを表示および追跡して、コンピュータプラットフォーム910(図9および図14)、追跡サブシステム830、および/または別のコンピューティング構成要素を有効にし、1つ以上の定義された座標系、例えば、XRヘッドセット920、追跡カメラ46、および/または、患者、台、および/または部屋に対して定義された別の座標系に対するDRAのポーズを判定することができる。
XRヘッドセット920は、ビデオ、写真、および/または他の受信した情報を見るように、および/または神経モニタリング、顕微鏡、ビデオカメラ、および麻酔システムを含むがこれらに限定されるわけではない手術室の様々な機器を制御するコマンドを与えるように動作可能に接続され得る。様々な機器からのデータ、例えば、患者のバイタルまたは顕微鏡送りの表示は、ヘッドセット内で処理、表示され得る。
例示的なXRヘッドセット構成要素、ならびにナビゲート式外科手術、外科手術ロボット、およびその他の機器への統合
図13は、本開示のいくつかの実施形態に従って構成されているXRヘッドセット920を示す。XRヘッドセットは、XRヘッドセットを装着者の頭に固定するように構成されたヘッドバンド1306、ヘッドバンド1306によって支えられた電子構成要素筐体1304、および電子構成要素筐体1304から横方向にわたって下向きに延在する表示画面1302を含む。表示画面1302は、シースルーLCDディスプレイデバイスか、またはディスプレイデバイスによって装着者の目に向けて投射された画像を反射する半反射レンズであり得る。DRA基準のセット1310、例えばドットが、ヘッドセットの片側または両側に配置された、既知の離間で、彩色または取り付けられている。ヘッドセットのDRAは、補助的追跡バーの追跡カメラがヘッドセット920のポーズを追跡することを可能にし、および/または別のXRヘッドセットがヘッドセット920のポーズを追跡することを可能にする。
表示画面1302は、ディスプレイデバイスのディスプレイパネルから使用者の眼に向けて光を反射する、コンバイナとも呼ばれるシースルー表示画面として動作する。ディスプレイパネルは、電子構成要素筐体と使用者の頭との間に位置し得、使用者の目に向けた反射のために、表示画面1302に向けて仮想コンテンツを投射するように角度付けされ得る。表示画面1302が、半透明かつ半反射であることにより、使用者は、実世界場面の使用者のビューに重ね合わされた反射の仮想コンテンツを見ることができる。表示画面1302は、下部横方向帯域よりも高い不透明度を有する図示の上部横方向帯域など、様々な不透明度の領域を有し得る。表示画面1302の不透明度は、実世界場面からの光がどれくらい使用者の目を透過するかを調節するように電子的に制御され得る。表示画面1302の高不透明度の構成は、実世界場面の薄暗いビューに重ねられた高コントラストの仮想画像をもたらす。表示画面1302の低不透明度の構成は、実世界場面のより鮮明なビューに重ねられた、よりぼんやりした仮想画像をもたらし得る。不透明度は、表示画面1302の表面に不透明な材料を塗布することによって制御され得る。
いくつかの実施形態によれば、外科手術システムは、XRヘッドセット920およびXRヘッドセットコントローラ、例えば、図14のコントローラ1430を含む。XRヘッドセット920は、外科的処置の最中に使用者が装着するように構成されており、XR画像を表示するように、また使用者が見るための実世界場面の少なくとも一部がそれを透過するのを可能にするように構成されているシースルー表示画面1302を有する。XRヘッドセット920は、使用者がシースルー表示画面1302を見るときに、使用者の目のうちの少なくとも1つと実世界場面との間に位置付けられた不透明フィルタも含む。不透明フィルタは、実世界場面からの光に対する不透明性をもたらすように構成されている。XRヘッドセットコントローラは、ナビゲーションコントローラ、例えば、図14のコントローラ828A、828B、および/または828Cと通信して、解剖学的構造に対する外科的処置中に使用者にガイダンスを与えるナビゲーションコントローラからナビゲーション情報を受信するように構成されており、シースルー表示画面1302に表示するためのナビゲーション情報に基づいてXR画像を生成するようにさらに構成されている。
表示画面1302の不透明度は、表示画面1302の上部から下向きに離れ、より連続的に変化する不透明性を備えるグラジエントとして構成させることができる。グラジエントの最も暗い点は、表示画面1302の上部にあり得、不透明が透明になるかまたはなくなるまで、表示画面1302では、さらに下へ向かうと徐々に不透明性が低くなる。さらなる例示的実施形態では、グラジエントは、表示画面1302のほぼ目の中央の高さで、約90%の不透明度から完全に透明に変化し得る。ヘッドセットが正しく較正され、位置付けられている場合、目の中央の高さは、使用者が真っ直ぐ外を見る場合の点に対応し、グラジエントの端は、目の「水平」線に位置し得る。グラジエントの暗い部分は、仮想コンテンツの鮮明でクリアなビジュアルを可能にし、頭上の手術室のライトの妨害的な輝度を遮断するのに役立つ。
このように不透明フィルタを使用することにより、XRヘッドセット920は、表示画面1302の上部に沿って実世界場面からの光を実質的または完全に遮断することによって仮想現実(VR)の機能をもたらし、また表示画面1302の中央または下部に沿ってARの機能をもたらすことが可能になる。これにより、使用者は、必要に応じてARを半透明にできるようになり、処置中における患者の解剖学的構造のクリアな光学系が可能になる。表示画面1302を、より一定の不透明性バンドに代えてグラジエントとして構成することにより、着用者は、実世界場面の輝度と、上向きのビューと下向きのビューとの間のより急速なシフト中などに、なければ眼を緊張させ得る被写界深度との急峻な変化を経ることなく、よりVRタイプのビューからよりARタイプのビューへのより自然な移行を経ることができるようになる。
ディスプレイパネルおよび表示画面1302は、広視野のシースルーXRディスプレイシステムを与えるように構成させることができる。例示的な一構成では、それらは、使用者が仮想コンテンツを視認するための55°の垂直の範囲の80°の対角視野(FOV)を生じる。他の対角FOV角度および垂直カバレッジ角度は、異なるサイズのディスプレイパネル、異なる曲率レンズ、および/またはディスプレイパネルと湾曲表示画面1302との間の異なる距離および角度の向きを介してもたらすことができる。
図14は、コンピュータプラットフォーム910に、Cアーム画像化デバイス104、Oアーム画像化デバイス106などの画像化デバイスのうちの1つ以上、および/または画像データベース950に、および/または本開示の様々な実施形態による外科手術ロボット800に、動作可能に接続されることができるXRヘッドセット920の電気的構成要素を例示している。
XRヘッドセット920は、ナビゲートされる外科的処置を実行するための改善されたヒューマンインターフェースを提供する。XRヘッドセット920は、例えば、コンピュータプラットフォーム910を介して、ハンドジェスチャベースのコマンドおよび/または音声ベースのコマンドの識別、ディスプレイデバイス1450のXRグラフィカルの対象の表示のうちのいずれか1つ以上を含むが、これらに限定されるわけではない、機能性をもたらすように構成され得る。ディスプレイデバイス1450は、表示されたXRグラフィカルの対象を表示画面1302に投射するビデオプロジェクタ、フラットパネルディスプレイなどであり得る。使用者は、XRグラフィカルの対象を、表示画面1302(図13)を介して見られる特定の実世界の対象に固定されたオーバーレイとして見ることができる。XRヘッドセット920は、追加的または代替的に、1つ以上のXRヘッドセット920に据付けられたカメラおよび他のカメラからのビデオフィードを表示画面1450に表示するように構成することができる。
XRヘッドセット920の電気的構成要素は、複数のカメラ1440、マイクロフォン1442、ジェスチャセンサ1444、ポーズセンサ(例えば、慣性測定ユニット(IMU))1446、ディスプレイデバイス1450を含むディスプレイモジュール1448、および無線/有線通信インターフェース1452を含むことができる。以下に説明するように、XRヘッドセットのカメラ1440は、可視光取り込みカメラ、近赤外線取り込みカメラ、または双方の組み合わせとすることができる。
カメラ1440は、カメラ1440の視野内で実行される使用者のハンドジェスチャの識別のために取り込むことによって、ジェスチャセンサ1444として動作するように構成させることができる。これに代えて、ジェスチャセンサ1444は、近接センサ、および/またはジェスチャセンサ1444に近接して実行されるハンドジェスチャを感知し、および/または物理的接触、例えばセンサまたは筐体1304をタッピングすることを感知するタッチセンサとすることができる。ポーズセンサ1446、例えばIMUは、1つ以上の定義された座標軸に沿ったXRヘッドセット920の回転および/または加速度を感知することができる多軸加速度計、傾斜センサ、および/または別のセンサを含むことができる。これらの電気的構成要素のいくつかまたはすべては、構成要素筐体1304に内包されることができるか、または腰もしくは肩などの他の個所で着用されるように構成された別の筐体に内包されることができる。
上で説明したように、外科手術システム2は、カメラ追跡システム構成要素6/6’と、コンピュータプラットフォーム910の一部とすることができる追跡サブシステム830とを含む。外科手術システムは、画像化デバイス(例えば、Cアーム104、Oアーム106、および/または画像データベース950)および/または外科手術ロボット4を含むことができる。追跡サブシステム830は、解剖学的構造、エンドエフェクタ、外科手術用ツールなどに取り付けられたDRAのポーズを判定するように構成される。ナビゲーションコントローラ828は、例えば、解剖学的構造で外科手術用ツールを使用しておよび追跡サブシステム830によって判定された解剖学的構造のポーズに基づいて外科的処置がどこで実行されるかを定義する、図9のコンピュータプラットフォーム910によって実行される外科的計画機能に由来する外科的計画に基づいて、解剖学的構造に対する外科手術用ツールの目標のポーズを判定するように構成される。ナビゲーションコントローラ828は、外科手術用ツールの目標のポーズ、解剖学的構造のポーズ、および外科手術用ツールおよび/またはエンドエフェクタのポーズに基づいて操舵情報を生成するようにさらに構成され得、この場合、操舵情報は、外科手術の計画を行うのに、どこで外科手術用ツールおよび/または外科手術ロボットのエンドエフェクタを動かすべきかを示す。XRヘッドセット920の様々なカメラ1440は、DRA、使用者の手などのポーズを追跡するために、カメラ追跡システム構成要素6/6’に接続され得る。
XRヘッドセット920の電気構成要素は、有線/無線インターフェース1452を介してコンピュータプラットフォーム910の電気構成要素に動作可能に接続され得る。XRヘッドセット920の電気的構成要素は、例えば、様々な画像化デバイス、例えば、Cアーム画像化デバイス104、I/Oアーム画像化デバイス106、画像データベース950、および/または有線/無線インターフェース1452を介して他の医療機器に対して、コンピュータプラットフォーム910を介して動作可能に接続されることができるか、または直接接続され得る。
外科手術システム2は、さらに、XRヘッドセット920、コンピュータプラットフォーム910、および/または有線ケーブルおよび/または無線通信リンクで接続された別のシステム構成要素に常在することができる少なくとも1つのXRヘッドセットコントローラ1430(簡潔にするために「XRヘッドセットコントローラ」とも呼ばれる)を含む。様々な機能性が、XRヘッドセットコントローラ1430によって実行されるソフトウェアによって提供されている。XRヘッドセットコントローラ1430は、解剖学的構造に対する外科的処置中に使用者にガイダンスを与えるナビゲーションコントローラ828からナビゲーション情報を受信するように構成されており、シースルー表示画面1302での投影のためのディスプレイデバイス1450で表示するためにナビゲーション情報に基づいてXR画像を生成するように構成されている。
表示画面(「シースルー表示画面」とも呼ばれる)1302に対するディスプレイデバイス1450の構成は、XRヘッドセット920を装着している使用者が、表示画面1302を介して見るときに、XR画像が実世界にあるように見えるように、XR画像を表示するように構成されている。表示画面1302は、使用者の眼の前のヘッドバンド1306によって位置決めされることができる。
XRヘッドセットコントローラ1430は、表示画面1302を視認する間、使用者の頭または使用者の体の他の個所に着用されるように構成されたハウジングの中にあることができ、または表示画面1302に通信可能に接続されている間に表示画面1302を視認している使用者から遠隔に位置することができる。XRヘッドセットコントローラ1430は、カメラ1440、マイクロフォン142、および/またはポーズセンサ1446からの信号伝達を動作可能に処理するように構成されることができ、表示画面1302で視認する使用者のためにディスプレイデバイス1450にXR画像を表示するように接続されている。したがって、XRヘッドセット920内の回路ブロックとして例示されるXRヘッドセットコントローラ1430は、XRヘッドセット920の他の例示される構成要素に動作可能に接続されているが、必ずしも共通のハウジング(例えば、図13の電子構成要素筐体1304)内に存在しないか、または使用者によって運搬可能ではないことを理解されたい。例えば、XRヘッドセットコントローラ1430はプラットフォーム910内に存在することができ、これはひいては図3Bおよび図3Cに示されるコンピュータ追跡システム構成要素6’のハウジング内に存在することができる。
XRヘッドセット構成要素の光学的配置の例
図15は、本開示のいくつかの実施形態による、XRヘッドセット920の光学的構成要素の配置を示すブロック図を示している。図15を参照すると、ディスプレイデバイス1450は、そこからの光がXR画像1500として表示画面1302に向けて投影されるXRヘッドセットコントローラ1430によって生成されたXR画像を表示するように構成されている。表示画面1302は、XR画像1500の光と実世界場面1502からの光とを組み合わせて、使用者の眼1510に向けられる合成拡張ビュー1504となるように構成されている。このように構成された表示画面1302は、シースルー表示画面として動作する。XRヘッドセット920は、任意の複数の追跡カメラ1440を含むことができる。カメラ1440は、可視光取り込みカメラ、近赤外線取り込みカメラ、または双方の組み合わせとすることができる。
XRヘッドセットを介した例示的な使用者ビュー
XRヘッドセットの動作は、2D画像および3Dモデルの両方を表示画面1302に表示することができる。2D画像が、表示画面1302のより不透明な帯域(上部帯域)に表示され得るのが好ましく、3Dモデルが、環境領域として別様に知られている、表示画面1302のより透明な帯域(下部帯域)に表示され得るのがより好ましい。表示画面1302が終わる下部帯域の下方で、装着者は、手術室の遮るもののないビューを得る。XRコンテンツが表示画面1302に表示される場所が、流動的である可能性があることに留意されたい。コンテンツに対するヘッドセットの位置によっては、3Dコンテンツが表示される場所が不透明帯域に移動し、2Dコンテンツが表示される場所が透明帯域に置かれ得て、実世界に対し安定できることが可能である。さらに、表示画面1302全体を電子制御下で暗くして、ヘッドセットを手術計画立案では仮想現実に変換し、または医療処置の最中に完全に透明に変換することができる。上で説明したように、XRヘッドセット920および関連付けられた動作は、ナビゲートされる処置をサポートするだけでなく、ロボットにより支援される処置と組み合わせて実行されることができる。
図16は、本開示のいくつかの実施形態による、医療処置の最中に外科手術用ツール1602を操作している使用者にナビゲーション支援を提供するためのXRヘッドセット920の表示画面1302を介した例示的なビューを示している。図16を参照すると、外科手術用ツール1602が追跡される解剖学的構造の近傍にもたらされ、外科手術用ツール1602に接続された動的参照アレイ1630および1632がカメラ1440(図15)および/または46(図6)の視野内部になるようにするとき、ツールのグラフィック表現1600は、解剖学的構造のグラフィック表現1610に関連して2Dおよび/または3D画像で表示され得る。使用者は、視認されたグラフィック表現を使用して、ツールのグラフィック表現2000から解剖学的構造のグラフィック表現1610を通って延在するものとして示すことができる外科手術用ツール1602の軌道1620を調整することができる。XRヘッドセット920は、テキスト情報および他の対象1640も表示することができる。表示された表示画面を横切って延びる破線1650は、異なる不透明度レベルの上側帯域と下側帯域との間の例示的な分割を表す。
表示画面1302に表示させることができる他のタイプのXR画像(仮想コンテンツ)は、これらに限定されるものではないが、以下のいずれか1つ以上を含むことができる:
1)患者の解剖学的構造の2Dの軸方向ビュー、矢状ビュー、および/または冠状ビュー、
2)予定の追跡対象ツール対その時追跡対象のツールと外科手術インプラント場所との重ね合わせ、
3)術前画像のギャラリー、
4)顕微鏡および他の同様のシステム、またはリモートビデオ会議からのビデオ送り、
5)オプションおよびコンフィグの設定およびボタン
6)外科手術計画立案情報による患者の解剖学的構造の浮遊3Dモデル、
7)浮遊する患者の解剖学的構造に対する外科手術器具のリアルタイム追跡、
8)命令およびガイダンスによる患者の解剖学的構造の拡張させた重ね合わせ、および
9)外科手術機器の拡張させたオーバーレイ。
追跡システム構成要素のためのカメラの例示的な構成
図17は、本開示のいくつかの実施形態にしたがって構成された2対のステレオ追跡カメラを有する補助的追跡バー46の例示的な構成を示している。補助的追跡バー46は、図3A、図3B、および図3Cのカメラ追跡システム構成要素の一部である。一実施形態によると、ステレオ追跡カメラは、離間させた可視光取り込みカメラのステレオの対と、離間させた近赤外線取り込みカメラの別のステレオの対とを含む。あるいは、可視光取り込みカメラの1つのステレオの対のみ、または近赤外線取り込みカメラの1つのステレオの対のみが、補助的追跡バー46において使用され得る。任意の複数の近赤外線および/または可視光カメラを使用することができる。
ポーズ測定連鎖
上で説明したように、ナビゲート式外科手術は、離間させた基準、例えばカメラ追跡システムに対して知られている様式で配置された円盤または球を含む取り付けられたDRAのポーズを判定することなどによる、コンピュータビジョン追跡および手術器具のポーズ(例えば、6自由度座標系における位置および向き)の判定を含み得る。コンピュータビジョンは、近赤外線および/または可視光を取り込むように構成された、離間させた追跡カメラ、例えばステレオカメラを使用する。このシナリオでは、最適化をめぐってともに競合する3つのパラメータ、(1)精度、(2)堅牢性、および(3)外科処置中の使用者の人間工学がある。
コンピュータ動作は、1つ以上のXRヘッドセットに据付けられた追加の追跡カメラを組み込むことによって、上記の3つのパラメータの1つ以上の最適化を改善することができる方法で測定されたポーズを組み合わせる(連鎖する)ことができる。図17に示されるように、本開示のいくつかの実施形態にしたがって、可視光追跡カメラのステレオの対および近赤外線追跡カメラの別のステレオの対を、カメラ追跡システム構成要素の補助的追跡バーに取り付けることができる。完全に観察された、または部分的に観察された(例えば、DRAのすべてに満たない基準が1対のステレオカメラによって表示される場合)DRAのポーズを分析し、観察されたポーズまたは部分的なポーズを、ナビゲート式外科手術中の精度、堅牢性、および/または人間工学を向上させることができる方法で組み合わせる動作アルゴリズムが開示される。
上に説明したように、XRヘッドセットは、コンピュータで生成されたXR画像によって実世界場面を増強するように構成することができる。XRヘッドセットは、コンピュータで生成されたXR画像を、実世界場面からの光が通過して、使用者が組み合わせて視認することができるようにするシースルー表示画面に表示することにより、XR表示環境を設けるように構成されることができる。代替として、XRヘッドセットは、表示されたXR画像を表示経路に沿って、実世界場面からの光を使用者が直接視認するのを防止または実質的に防止することによって、VR表示環境を設けるように構成することができる。XRヘッドセットは、ARおよびVR表示環境の双方を設けるように構成することができる。ある実施形態において、VR表示環境が高不透明度帯域と位置が揃ったXR画像に設けられ、AR表示環境が、低不透明度帯域と位置が揃ったXR画像に設けられるように、ARおよびVR両方の表示環境が、シースルー表示画面と実世界場面との間に配置された事実上不透明度が異なる横方向帯域によって設けられる。別の実施形態において、ARおよびVR両方の表示環境が、使用者が見るXR画像と組み合わせるためシースルー表示画面を実世界場面からの光がどれくらい透過するかを可変的に抑制する不透明フィルタのコンピュータ調整式制御によって設けられる。したがって、XRヘッドセットはまた、ARヘッドセットまたはVRヘッドセットと呼ぶこともできる。
上でも説明したように、XRヘッドセットは、外科手術器具、患者の解剖学的構造、他のXRヘッドセット、および/またはロボットエンドエフェクタに接続されたDRAの基準を追跡するように構成された近赤外線追跡カメラおよび/または可視光追跡カメラを含むことができる。XRヘッドセットで近赤外線追跡および/または可視光追跡を使用すると、単一の補助的追跡バーのカメラがもたらすことができるものを超える追加の追跡量のカバレッジが、もたらされる。既存の補助的追跡バーに近赤外線追跡カメラを追加すると、ヘッドセットの位置を可視光よりも堅牢に追跡することができるが、精度は低くなる。可視光追跡座標系および近赤外線追跡座標系を機械的に較正することにより、ステレオマッチングを使用して3DのDRA基準の三角測量動作を行うように座標系を十分に位置合わせし、可視光追跡座標系と赤外線追跡座標系との間のDRA基準のポーズを共同で特定することができるようになる。可視光追跡座標系および近赤外線追跡座標系の両方を使用すると、(a)1つのみの座標系を使用すると特定されないツールを特定すること、(b)ポーズ追跡精度を向上させること、(c)外科手術器具、患者の解剖学的構造、および/またはロボットエンドエフェクタの追跡を見失うことなく、より広い範囲の動きを可能にすること、および(d)ナビゲート下の外科手術器具と同じ座標系でXRヘッドセットを自然に追跡すること、のうちのいずれか1つ以上が可能になり得る。
図18は、XRヘッドセット920の追跡カメラ(ヘッドマウントディスプレイHMD1およびHMD2)およびコンピュータプラットフォーム910を収容するカメラ追跡システム構成要素6’のカメラ追跡バーの追跡カメラを含む外科手術システムの構成要素のブロック図の見え方を示している。コンピュータプラットフォーム910は、図14において先に示したように、追跡サブシステム830、ナビゲーションコントローラ828、およびXRヘッドセットコントローラ1430を含むことができる。
図18の外科手術システムを参照すると、外科医および助手は、双方とも、それぞれが図13に示すように構成されることができる追跡カメラを含む場合、XRヘッドセットHMD1 920およびHMD2 920をそれぞれ着用している。助手がXRヘッドセットHMD2 920を装着することは任意である。
XRヘッドセットHMD1 920およびHMD2 920と補助的追跡バーの追跡カメラ46との組み合わせは、コンピュータプラットフォーム910と連動して、患者参照アレイ(R)、ロボットエンドエフェクタ(E)、および外科手術用ツール(T)または器具の例示的な対象をより堅牢に追跡することができる。XRヘッドセットHMD1 920およびHMD2 920と、補助的追跡バーにある追跡カメラ46によってもたらされる、異なる視点からの重なり合うビューを、図12に示す。
図18においてラベル付けされている各項目は、一意の座標系を表している。座標系ラベルの説明は、以下のとおりである:
A=第2のヘッドセットHMD2 920の可視光座標系、
N3=第2のヘッドセットHMD2 920の近赤外(NIR)座標系、
S=主ヘッドセットHMD1 920の可視光座標系、
N2=主ヘッドセットHMD1 920のNIR座標系、
N=補助ナビゲーションバー46のNIR座標系、
V=補助ナビゲーションバー46の可視光座標系、
R=患者参照基準アレイ602のNIR座標系、
T=追跡されたツール604のNIR座標系、
E=ロボットアーム20上の追跡されたロボットエンドエフェクタのNIR座標系、および
W=安定した重力ベクトルの慣性的にナビゲートされる世界座標系。
これらのラベル付けされた対象の一部(および拡張させると座標系)の空間的関係は、製造プロセス中、機器が手術室に設置されているとき、および/または外科的処置が実行される前に、測定および較正させることができる。開示されたシステムでは、以下の座標系が較正される:
式中、「T」という項は、示された2つの座標系間の6自由度(6DOF)の均一な変換として定義される。したがって、例えば、
という項は、主ヘッドセットHMD1 920の可視光座標系と主ヘッドセットHMD1 920のNIR座標系との間の6自由度の均一な変換である。
一実施形態では、XRヘッドセットHMD1 920およびHMD2 920は、図13に示される参照アレイ基準1310など、それらにペイントされるかまたは他の方法で取り付けられた受動式可視光基準(座標系SおよびA)を有する。追跡カメラは、これらの受動式基準(座標系N2およびN3)に合わせて空間的に較正される。
上で説明したように、XRヘッドセットHMD1 920およびHMD2 920上のカメラ、ならびに補助的追跡バー上の追跡カメラ46は、部分的に重なり合う視野を有する。XRヘッドセットHMD1 920のカメラの1つ以上が、例えば追跡されるツール(T)などの追跡される対象に取り付けられたDRAの表示を妨げられているが、DRAが他のXRヘッドセットHMD2 920のカメラおよび/または補助的追跡バー上の追跡カメラ46を表示している場合、コンピュータプラットフォーム910は、ナビゲーションを失うことなく、DRAをシームレスに追跡し続けることができる。これに加えて、XRヘッドセットHMD1 920のカメラの視点からDRAが部分的に閉塞しているが、DRA全体が他のXRヘッドセットHMD2 920のカメラおよび/または補助的追跡バー上の追跡カメラ46を介して見える場合、カメラの追跡入力をマージして、DRAのナビゲーションを続行することができる。
より具体的には、様々な座標系は、XRヘッドセットHMD1 920およびHMD2 920ならびに補助的追跡バー上の追跡カメラ46によって設けられる様々なカメラシステムを独立して観察することにより、一体に連鎖させることができる。例えば、XRヘッドセットHMD1 920およびHMD2 920のそれぞれは、ロボットエンドエフェクタ(E)の仮想拡張を必要とする場合がある。1つのXRヘッドセットHMD1 920(N2)および補助的追跡バー(N)上の追跡カメラ46は、(E)を見ることができるが、おそらく他のXRヘッドセットHMD2 920(N3)は見ることができない。(N3)に対する(E)の位置は、依然としていくつかの異なる動作方法の1つを介して計算することができる。患者参照(R)からポーズを連鎖させるのを実行する一実施形態による動作である。患者参照(R)が(N3)と(N)または(N2)のいずれかによって見られる場合、(N3)に対する(E)のポーズは、以下の2つの式のいずれかによって、直接解くことができる。
このポーズの連鎖化の鍵となるのは、各連鎖の最後にあるフレーム間の関係が推測されることである(下方に丸で囲まれて移動される)。連鎖は、任意の長さとすることができ、複数のステレオカメラシステム(例えば、N、N2、N3)を有することによって有効にされる。
カメラ追跡システムは、外科的処置の最中に、第1の追跡カメラ(例えば、N3)および第2の追跡カメラ(例えば、N2)から追跡される対象に関連する追跡情報を受信するように構成され得る。カメラ追跡システムは、第1の対象(例えば、R)のポーズを示す第1の追跡カメラ(例えば、N3)からの第1の対象追跡情報に基づいて、第1の対象(例えば、R)座標系と、第1の追跡カメラ(例えば、N3)座標系との間の第1のポーズ変換
を判定することができる。カメラ追跡システムは、第1の対象(例えば、R)のポーズを示す第2の追跡カメラ(例えば、N2)からの第1の対象追跡情報に基づいて、第1の対象(例えば、R)座標系と、第1の追跡カメラ(例えば、N2)座標系との間の第2のポーズ変換
を判定することができる。カメラ追跡システムは、第2の対象(例えば、E)のポーズを示す第2の追跡カメラ(例えば、N2)からの第2の対象追跡情報に基づいて、第2の対象(例えば、E)座標系と、第1の追跡カメラ(例えば、N2)座標系との間の第3のポーズ変換
を判定することができる。カメラ追跡システムは、
第1、第2、および第3のポーズ変換の組み合わせに基づいて、第2の対象(例えば、E)座標系と、第1の追跡カメラ(例えば、N3)座標系との間の第4のポーズ変換
を判定することができる。
いくつかのさらなる実施形態では、カメラシステムは、第4のポーズ変換を介した追跡情報の処理に基づいて、第2の対象(例えば、E)および第1の追跡カメラシステム(例えば、N3)座標系のポーズをさらに判定することができる。
様々なカメラシステムの視野が重複しているため、カメラ追跡システムは、第1のカメラが第2の対象(例えば、E)を見るのを妨げられたときに、第1の追跡カメラ(例えば、N3)に対する第2の対象(例えば、E)のポーズを判定することができる。例えば、いくつかの実施形態では、カメラ追跡システムは、第2の対象(例えば、E)のポーズを示す第1の追跡カメラ(例えば、N3)からのいずれかの追跡情報を使用せずに、第2の対象(例えば、E)座標系と、第1の追跡カメラ(例えば、N3)座標系との間の第4のポーズ変換
を判定するようにさらに構成される。
カメラ追跡システムは、複数のカメラシステムからの同期された画像をマージすることによって、より高い追跡精度を達成することができる。例えば、カメラ追跡システムは、複数の視点(第1および第2の追跡カメラ)からの第2の対象(例えば、E)の同期させた画像をマージすることによって、第1の追跡カメラ(例えば、N3)に対する第2の対象(例えば、E)のポーズを判定することができ、それぞれのカメラの精度の仕様に基づいて判定されることができる重み付けを使用することができる。より具体的には、カメラ追跡システムは、第2の対象(例えば、E)のポーズを示す第1の追跡カメラ(例えば、N3)からの第2の対象追跡情報に基づいて、さらに、第1、第2、および第3のポーズ変換の組み合わせの結果に基づいて、第2の対象(例えば、E)座標系と、第1の追跡カメラ(例えば、N3)座標系との間の第4のポーズ変換
を判定するようにさらに構成されることができる。
外科手術システムは、XRヘッドセットのシースルー表示画面上に、第4のポーズ変換に基づいて判定されるポーズを有するXR画像を表示するように構成されることができる。カメラ追跡システムは、第1および第2の追跡カメラからの第1の対象追跡情報ならびに第2の追跡カメラからの第2の対象追跡情報の第4のポーズ変換を介した処理に基づいてシースルー表示画面上にてポーズされる第2の対象(例えば、E)のグラフィック表現としてXR画像を生成するようにさらに構成することができる。
上で説明したように、カメラ追跡システムは、追跡情報を受信するために第1の追跡カメラ(例えば、N3)および第2の追跡カメラ(例えば、N2)に通信可能に接続され、第1、第2、第3、および第4のポーズ変換の判定を実行するように構成されたナビゲーションコントローラ828を含むことができる。
カメラ追跡システムによって識別された参照アレイへの外科手術用ツールの特性の登録
外科的処置中、カメラ追跡システムは、一連の追跡カメラの視野内に保持または支持されている外科手術用ツールのポーズを同時に追跡することができ、外科手術用ツールがその視野の外側から内側へ、例えば、再び取得された後から移動したときに、外科手術用ツールの追跡を再開することができる。多くの外科手術用ツールは、適切に追跡するためにソフトウェア構成を必要とする。カメラ追跡システムは、外科手術用ツールに取り付けられた、または外科手術用ツールに取り付けられた参照アレイのポーズを追跡するため、追跡された参照アレイのどれにどの外科手術用ツールの特性が登録されているかをカメラ追跡システムに通知するべきである。それにより、ナビゲーションコントローラ828(図14)は、外科手術用ツールの特定の特性を知ることで動作することができる。例えば、識別された参照アレイから外科手術用ツールの先端までの距離の外科手術用ツールの特性の登録は、ナビゲーションコントローラ828が、外科的処置の間に外科医のツール先端の動きをナビゲートすることを可能にする。同様に、識別された参照アレイに対する外科手術用ツールの曲率方向の登録により、ナビゲーションコントローラ828は、XRヘッドセット920を通して外科手術用ツールの正確なグラフィック表現を表示し、外科的処置の間に追跡された解剖学的構造に対して正確に配置することができる。
登録プロセスは、ペアリングプロセスとも呼ばれ、使用者は、参照アレイを識別するために、追跡カメラのセットの視野にて参照アレイを有する外科手術用ツールを保持し、次に、使用者は、いくつかの実施形態による、その外科手術用ツールの特性を定義する。登録プロセスは、外科的処置に追跡される参照アレイと外科手術用ツールの特性の組み合わせごとに繰り返され、参照アレイが1つのタイプの外科手術用ツールから取り外されて別のタイプの外科手術用ツールに取り付けられたときにさらに繰り返すことができる。XRヘッドセットを装着している外科医または他の医療従事者が、一組の外科手術用ツールの登録プロセスを時間的に効率よく実行し、外科医が外科手術用ツールの特性を参照アレイと登録する際のエラーを回避するのを補助し、外科的処置の前および最中の外科医の集中の中断を減らすことができるようにすることが重要であり得る。
本開示のいくつかのさらなる実施形態は、登録プロセス中にXRヘッドセットを使用して、識別された参照アレイを外科手術用ツールの特性に登録し、使用者が登録の正確さを検証できるように、XRヘッドセットを介してそれらの特性の表現を表示することを対象とする。登録プロセス中にXRヘッドセットを使用すると、外科医や他の医療関係者(使用者)が外科的処置の前および/または外科的処置中にカメラ追跡システムに外科手術用ツールを登録するための、より直感的で時間効率が高く信頼性の高いプロセスをもたらせる。
登録プロセスは、参照アレイが一組の追跡カメラの視野にもたらされ、識別された参照アレイが、外科手術用ツールの特性で対にされるものとして登録されていないとカメラ追跡システムが判定したのに応答して、自動的に開始され得る。
実施形態では、XRヘッドセットは、例えば、図13に示されるように、XRヘッドセット920の電子構成要素筐体1304に含まれ得る一組の追跡カメラを含む。カメラ追跡システム(例えば、図18のシステム6)は、追跡カメラからのビデオストリーム内の参照アレイを識別することなどによって、追跡カメラのセットによって追跡される参照アレイ(例えば、図21〜22の物理的参照アレイ1800)を識別する。参照アレイは、それぞれの参照アレイを形成する基準のセット間の異なる方向に基づいて一意に識別できる。カメラ追跡システムは、識別された参照アレイが、外科手術用ツールデータベースで定義された複数の外科手術用ツールのうちの1つの特性と対になって登録されているかどうかを判定する。登録されていないと判断された参照アレイおよび使用者の入力の受信に基づいて、カメラ追跡システムは、使用者の入力に基づいて複数の外科手術用ツールの中から選択される外科手術用ツールの特性と対になっているものとして参照アレイを登録する。次に、カメラ追跡システムは、使用者に表示するために、XRヘッドセット920のディスプレイデバイスに特性の表現を生じる。
したがって、使用者は、XRヘッドセット920に取り付けられた追跡カメラのセットの視野内に外科手術用ツールを上げることによって、登録を開始することができる。未登録の参照アレイが追跡カメラの視野に入ると、カメラ追跡システムは、XRヘッドセット920を介して視覚的プロンプトを表示させることができ、それは使用者に、参照アレイの関連する外科手術用ツール特性への登録を実行するように促す。カメラ追跡システムは、追跡カメラからビデオを受信し、間隔および相対性に基づいて参照アレイを識別し、識別された参照アレイが、外科手術用ツールデータベースで定義された外科手術用ツールのいずれかの定義された特性とペアになっているとしてまだ登録されていないことを判定する。カメラ追跡システムは、外科手術用ツールの特性を識別する使用者の入力を受け取り、外科手術用ツールの特性と対になっているものとして参照アレイを登録する。
外科手術用ツールの特徴の例には、ドリル、ねじ回し、鋸、開創器、およびスクリュー、スペーサ、椎体間固定装置、プレート、ロッドなどのインプラントの構造的および/または操作上の特徴が含まれ得るが、これらに限定されない。
追跡システム構成要素に関する「3台のカメラ」での追跡の例示的な構成
対象の5つ以上の三次元(3D)のポイントを識別できる場合、カメラに対する対象の6自由度(6DOF)の位置と方向について解決するために必要なのは、1台のカメラだけである。2台のカメラが一緒に適切に較正されている場合、6DOFポーズは、ステレオ三角測量を介して3つの3Dポイントのみを使用するために解決できる。本開示の様々な実施形態によれば、第3のカメラが導入され、ステレオカメラの対を通って延びる線の間に配置されるが、それらから離間させる。この第3のカメラは、2Dまたは3Dで追跡された対象、エッジ、またはポイントの第3の軸外の視点を生じることにより、精度を向上させる。
2台以上のカメラを使用する場合、外科手術器具やロボットエンドエフェクタなどの対象のポーズは、追跡対象の特徴を特徴の場所のデータベースに関連付けて三角測量することで解決される。したがって、精度に応じる:
a.特徴が2D画像にどれだけ正確に位置特定されているか。
b.追跡された対象の特徴が3D空間にどのように広がっているか。
c.追跡カメラの広がりと数がどのようになっているか。
d.カメラがどれだけうまく較正されているか。
3台目のカメラを追加すると、ノイズの単純な平均化による(a.)のエラーが減少し、一方で(c.)によるエラーに直接影響する。第3のカメラは、他の2台のカメラの較正の精度の検証としても機能し得る。例えば、ステレオペアが方位やヨーで較正されていない場合、追跡された対象は三角測量で表示されるが、奥行きがずれている。この較正エラーは、3台目のカメラを追加することで直接観察できる。最後に、第3のカメラを他の2つのカメラの少し上に配置し、任意選択でそれに角度を付けることにより、すべてのカメラが可視光カメラである場合は、第3のカメラは、NIRカメラを使用するときに以前は観察できなかった対象の3Dジオメトリに関する新しい視点を取得する。
図20aは、2台の追跡カメラ(2010と2012)を使用した単一ポイントのステレオカメラの三角測量を示している。図20bは、本開示のいくつかの実施形態による、3つの追跡カメラ(2020、2022、および2024)を使用する単一ポイントの三角測量を示す。
図19は、本開示のいくつかの実施形態に従って構成された3つのステレオ追跡カメラを有するカメラバー1900(例えば、図6および18のカメラ追跡システム構成要素6/6’の補助的追跡バーまたはXRヘッドセット920の一部)の例示的な構成を示す。カメラバー1900は、カメラ追跡システムの一部であり得、カメラ追跡システムは、カメラ追跡システム構成要素6/6’内にあり得、少なくとも部分的にナビゲーションコントローラ828内にあり得、またはXRヘッドセット920内にあり得る。この実施形態では、3つの追跡カメラは、可視光カメラであり得、および/または追跡カメラは、近赤外線(NIR)光の感知のために構成され得る。
第1および第2の追跡カメラ(1910および1920)は、カメラバー1900上の離間した場所に取り付けることができる。第1および第2の追跡カメラの中心は、距離D1だけ離間されている。第3の追跡カメラ1930は、第1および第2の追跡カメラ(1910および1920)の位置の間にあり、第1および第2の追跡カメラ(1910および1920)の中心を通って延びる線1940から距離D2離間したカメラバー1900上の位置に取り付けられ得る。
第3の追跡カメラ1930が線1940から離間されている距離D2は、第1および第2の追跡カメラ(1910および1920)の中心間の距離D1の4分の1から2分の1の間であり得る。さらに、第3の追跡カメラ1930は、第3の追跡カメラ1930が第2の追跡カメラ1920からのものであるのと同じ距離で、第1の追跡カメラ1910から離れていてもよい。3つの追跡カメラはすべて下向きであり得、角度を付けることができて、追跡カメラのビューが、外科手術環境および追跡カメラの場所で追跡されている対象間の最も遠いおよび近い予測距離など、対象を追跡カメラが追跡するように構成された距離範囲内にある単一のポイントに向かって収束するようにする。
この実施形態では、図21〜図25で使用できる可視光カメラおよび高コントラスト追跡対象の使用は、NIRの解決策、(a)幾何学的に符号化された識別を有するディスクベースの対象および(b)QRまたはバーコードのスタイルの識別付きのエッジが支配的な対象の代替を生じる。
図21〜図22は、2つの平行な平面に配置された基準ディスクを含み、それぞれが少なくとも1つの受動式の基準ディスクの位置を含む、物理的参照アレイ1800に取り付けられた外科手術用ツール1950を示している。受動式の基準ディスクのアレイは、複数のカメラによって異なる角度で同時に追跡できる。受動式の基準ディスクの配置により、急な軌道でも追跡カメラからそれらを見ることができる。
図21は、5つの基準ディスク1820および1830a〜dを備えた例示的な物理的参照アレイ1800に取り付けられた外科手術用ツール1950の様々な視野の角度を示している。図21では、基準ディスク1820は、基準ディスク1830a〜dを含む平面に平行であり、平面から離間させている第1の平面にある。この例では、基準ディスク1820、1830a、1830dは外部ディスクと呼ばれ得、それらの位置は、多数の物理的参照アレイにわたって同じままであり得る。基準ディスク1830b、1830cは内部ディスクであり、物理的参照アレイのそれぞれのアームに沿ったそれらの位置は、異なる物理的参照アレイ間で異なる場合があり、その差を検出して、物理的参照アレイを一意に識別することができる。各物理的参照アレイは、外科手術用ツール1950(例えば、外科手術用ツール)に取り付けるための結合要素1810を含む。追跡システムは、基準ディスク1820、1830a〜dの一意のパターンを検出し、特定の物理的参照アレイを認識し、したがって、外科手術用ツール1950の位置を判定することができる。対象の識別子は基準ディスク間の3D幾何学的距離で符号化されるため、アレイの残りの部分に対する2つの内部ディスク1830bおよび1830cの相対的な位置を変更すると、異なるパターンが作成され、そのため一意の対象の識別子が変更される。
図21の背面角度図から、基準ディスクは、物理的参照アレイ1800の背面図から検出可能である可能性があることが分かる。これにより、物理的参照アレイ1800がカメラに面していないか、または直接角度を付けられていない間に、外科手術用ツール1950を検出、識別、および追跡することが可能になる。したがって、医師は、物理的参照アレイ1800が追跡カメラの方を向くことができるように、器具を調整するまたは器具を使用する必要なしに、より自由に器具(例えば、外科手術用ツール1950)を使用することができる。
いくつかの実施形態では、ディスクは、異なるディスクとして検出され、追跡ソフトウェア内で一意のパターンとして符号化されるために、隣接するディスクの中心から中心まで少なくとも4mmでなければならない。これらの一意のパターンにより、一度に複数の器具を追跡できる。
図21〜図22を比較すると、5つのディスクを使用することが冗長性をもたらし得る。例えば、図22では、基準ディスク1830bは1820によって妨害されているが、基準ディスク1830cと基準ディスク1830dとの間の距離を使用して、物理的参照アレイを識別することができる。ポーズ回復に必要なディスクは3つだけであるが、対象を一意に識別するには4つのディスクが必要である。これにより、いずれかの機能を失うことなく、任意の1つのディスクを覆ったり妨害したりすることができる。
これらの基準ディスクは、アレイに挿入、塗装、またはレーザーエッチングすることができる。アレイは高感度の電子機器や再帰反射ビーズを必要としない場合があるため、アレイは簡単にオートクレーブ処理できる。
追加または代替の実施形態では、異なる数の基準ディスクを使用することができる。いくつかの例では、物理的参照アレイは4つの基準ディスクのみを使用し、使用可能な一意のパターンの数を2倍にする場合がある。2つの内部基準ディスク(例えば、基準ディスク1830b〜c)の代わりに単一の内部基準ディスクを使用することができ、単一の内部基準ディスクの位置は、物理的参照アレイのいずれかのアームに沿った任意の位置に調整することができる。
いくつかの実施形態では、ディスクのそれぞれは、形状およびサイズが一貫しており、外側の3つのディスクの位置は、パターン間で一定のままである。追加または代替の実施形態では、ディスクマーカーのサイズ、形状、および位置は、物理的参照アレイが、それぞれが少なくとも1つの基準ディスクを含む少なくとも2つの平行な平面を含む限り、調整され得る。
いくつかの実施形態では、ディスクは、再帰反射するか、または可視光の追跡のために着色されるかのいずれかである。ディスクは、例えば、背面またはアレイ面からのスナップイン/プッシュアウト方法、またはスレッドの特徴を使用して交換可能である場合がある。ディスクは、可視光の追跡用に設計されている場合があり、洗濯機で洗える場合もある。可視光の追跡では、コントラストが重要になる可能性があるため、使用や洗浄によってコントラストが失われたら、ディスクを交換できる。
いくつかの実施形態では、平行な平面は、外科手術場の設定に応じて複数の角度(例えば、トップダウンおよびサイド)からの追跡を可能にし、これは、閉塞およびナビゲーションの喪失のリスクを低減することができる。追加または代替の実施形態では、追跡アレイで使用される基準ディスクは、可視光用に設計することができ、複数の場合に使用するために洗濯機で洗うことができる。追加または代替の実施形態では、物理的参照アレイは、外科医の視点から手術部位が見えることを可能にしながら、最適化された精度を可能にすることができる。
いくつかの実施形態では、物理的参照アレイは、任意の形状基準を使用することができる。例えば、物理的参照アレイは、それぞれが少なくとも1つの球形基準を含む2つ以上の平行な平面を含むことができる。追加または代替の実施形態では、物理的参照アレイで使用されるいくつかの基準を事前に判定して、より多大な冗長性またはより多大な一意のパターンを一意の識別子として機能させることができる。
図22は、外科手術用ツール1950に取り付けられた物理的参照アレイ1800の側面図を示している。このビューでは、基準ディスクはエッジ上にあるため表示できない。基準ディスク1820を含む第1の平面1850は、基準ディスク1830a〜dを含む第2の平面1860に平行であり、第1および第2の平面は、平面に直交する方向に離間されている。
図26は、いくつかの実施形態による、カメラバー1900および追跡カメラ(1910/1920/1930)を含む、カメラ追跡システムによって実行されるプロセスの例を示している。カメラバー1900を含むカメラ追跡システムは、図26のプロセスを実行するように動作する少なくとも1つのプロセッサをさらに含み得る。少なくとも1つのプロセッサは、ブロック2600において、第1、第2、および第3の追跡カメラ(例えば、1910/1920/1930)から三次元空間で離間された、第1、第2、および第3の追跡カメラの位置までビデオストリームに画像化された対象の三角測量での位置に基づいて、三次元空間における一組の物理対象のポーズを判定することができる。物理的対象のセットは、離間させた基準(例えば、基準ディスク1820および1830a〜d)の物理的参照アレイ(例えば、物理的参照アレイ1800)であり得る。ポーズを判定するための例示的な操作は上に説明されている。
ブロック2602において、カメラ追跡システムの少なくとも1つのプロセッサは、データベースに定義された登録された参照アレイのセットに対応する登録された識別子のセットの中から、物理的参照アレイに対応する識別子を選択するようにさらに動作し得る。ブロック2602の選択は、ビデオストリームにて画像化された物理的参照アレイの基準間の距離のパターンの類似性を、データベースに定義された登録の参照アレイの1つの基準間の距離のパターンに相関させること、および登録された参照アレイの1つに対応する識別子を選択することに基づくことができる。
ここで、および以下で参照されるデータベースは、カメラ追跡システムに格納され得るか、またはカメラ追跡システムは、1つまたは複数のネットワーク(例えば、分散クラウドリソースに格納されたデータベース)を介してデータベース(例えば、データベース950)と通信し得て、カメラ追跡システムが、プロセスのこれらのステップを実行するために必要な登録された参照アレイの情報を受信することができるようにし得る。
ブロック2604で、少なくとも1つのプロセッサは、(ブロック2602で)選択された前記識別子に基づいて前記物理的参照アレイ(例えば、1800)の前記基準間の登録された空間関係を前記データベースから取得し、前記第1、第2、および第3の追跡カメラから前記三次元空間で離間された、前記第1、第2、および第3の追跡カメラの前記位置まで前記ビデオストリームに画像化された前記物理的参照アレイの前記基準(例えば、1820および1830a〜d)の前記登録された空間関係と位置の三角測量に基づいて、前記物理的参照アレイの前記ポーズを判定するように動作することができる。
図27は、いくつかの実施形態による、カメラバー1900および追跡カメラ(1910/1920/1930)を含む、カメラ追跡システムによって実行されるプロセスの追加または代替の例を示す。
カメラバー1900を含むカメラ追跡システムは、図27のプロセスを実行するように動作する少なくとも1つのプロセッサをさらに含み得る。少なくとも1つのプロセッサは、ブロック2700において、第1、第2、および第3の追跡カメラ(例えば、1910/1920/1930)から三次元空間で離間された、第1、第2、および第3の追跡カメラの位置までビデオストリームに画像化された対象の三角測量での位置に基づいて、三次元空間における一組の物理対象のポーズを判定することができる。物理的対象のセットは、離間させた基準(例えば、基準ディスク1820および1830a〜d)の物理的参照アレイ(例えば、物理的参照アレイ1800)であり得る。
ブロック2700は、上記のブロック2600と同じまたは同様の方法で実行され得る。
ブロック2702において、少なくとも1つのプロセッサは、第1および第2の追跡カメラから三次元空間で離間された第1および第2の追跡カメラの位置までビデオストリームに画像化された基準の三角測量での位置に基づいて、三次元空間における離間した基準の物理的参照アレイの第1のポーズを判定するようにさらに動作可能であり得る。
ブロック2704において、少なくとも1つのプロセッサは、第1および第3の追跡カメラから三次元空間で離間された第1および第3の追跡カメラの位置までビデオストリームに画像化された基準の三角測量での位置に基づいて、三次元空間における離間した基準の物理的参照アレイの第2のポーズを判定するようにさらに動作可能であり得る。
ブロック2706において、少なくとも1つのプロセッサは、第1および第2のポーズの比較に基づいて、少なくとも第1および第2の追跡カメラの較正の精度を判定することに対してさらに動作可能であり得る。
製造、出荷、または実装中に、追跡カメラが誤って移動または調整される場合がある。較正の精度は、追跡カメラの精密さまたは精度のレベルを示している場合がある。つまり、追跡カメラの方位、ヨーの位置決め、および/または3D空間での追跡カメラ間の間隔はどの程度正確であるかということである。
ブロック2708において、少なくとも1つのプロセッサは、定義されたルールを満たさない較正の精度に応じて、第1および第2の追跡カメラの方位および/またはヨーの位置決めを較正するプロセスを開始するようにさらに動作可能であり得る。定義された規則は、定義されたしきい値よりも較正の精度が低い場合に対応することができ、これは、1つ以上のカメラで過度の動きが発生したことを示し得る。
一実施形態では、カメラ追跡システムは、第1および第2の追跡カメラの較正の精度を修正/改善する調整を行うか、または必要な調整を示すことができる。
図28は、いくつかの実施形態による、カメラバー1900および追跡カメラ(1910/1920/1930)を含む、カメラ追跡システムによって実行されるプロセスの追加または代替の例を示す。
カメラバー1900を含むカメラ追跡システムは、図28のプロセスを実行するように動作する少なくとも1つのプロセッサをさらに含み得る。少なくとも1つのプロセッサは、ブロック2800において、第1、第2、および第3の追跡カメラ(例えば、1910/1920/1930)から三次元空間で離間された、第1、第2、および第3の追跡カメラの位置までビデオストリームに画像化された対象の三角測量での位置に基づいて、三次元空間における一組の物理対象のポーズを判定することができる。物理的対象のセットは、離間させた基準(例えば、基準ディスク1820および1830a〜d)の物理的参照アレイ(例えば、物理的参照アレイ1800)であってよい。
ブロック2800は、上記のブロック2600と同じまたは同様の方法で実行され得る。
ブロック2802において、少なくとも1つのプロセッサは、第1、第2、および第3の追跡カメラからのビデオストリームからのビデオストリームのフレーム内の潜在的なディスク(例えば、基準ディスク1820および1830a〜d)を検出するようにさらに動作し得る。
例えば、図21〜図22の例では、ブロック2802のプロセスは、ビデオストリームのフレームを取得し、フレームのコントラストを増加させ、コンピュータ追跡システムに基準ディスク1820および1830a〜dなどの基準を検索させることによって達成することができる。フレームのコントラストを増加させることにより、コンピュータ追跡システムは、物理的参照アレイ1800上の黒い基準ディスク1820および1830a〜dをより容易に検出することができるようになり得る。任意選択で、コンピュータ追跡システムは、コンピュータ追跡システムが基準ディスク1820および1830a〜dに対応する白いディスクを探すように、フレーム内のコントラストを追加的または代替的に反転させることができる。
ブロック2804において、少なくとも1つのプロセッサは、ビデオストリームのフレーム内のディスクの重心の位置を推定するためにさらに動作することができる。
ブロック2806において、少なくとも1つのプロセッサは、ディスクの重心の位置が、データベースに登録された参照アレイのディスクのパターンに対応するパターンを形成するかどうかを検証するためにさらに動作することができる。
一実施形態では、コンピュータ追跡システムは、ディスクの重心の位置によって形成されるパターンを、データベースに登録された参照アレイのパターンと比較する。登録された参照アレイのパターンがディスクの重心の位置によって形成されるパターンと一致する場合、推定の重心の位置とそれらの推定の位置が形成するパターンが検証される。
任意選択で、少なくとも1つのプロセッサがブロック2806で検証できない場合、プロセスはブロック2800に戻ることができる。しかし、少なくとも1つのプロセッサがブロック2806で検証することができる場合、プロセスはブロック2808に続くことができる。
ブロック2808において、少なくとも1つのプロセッサは、ディスクのエッジに沿ったグラジエントを判定して、ディスクの重心に向かって延びるグラジエント光線を生成するようにさらに動作することができる。上記のように、ブロック2808での判定は、ブロック2806内のディスクの検証の成功に応答し得る。
一実施形態では、グラジエント光線は、ディスクのエッジの周りの離間させた位置で接線に直交するように生成される光線である。ディスクに対して多数のグラジエント光線が生成されると、グラジエント光線はあるポイントに収束するように判定され得、この点はディスクの重心であると判定され得る。
ブロック2810において、少なくとも1つのプロセッサは、第1、第2、および第3の追跡カメラのレンズの定義された固有パラメータに基づいて歪みを低減するためにグラジエント光線を調整し、歪みの補償されたグラジエント光線を出力するようにさらに動作し得る。
追跡カメラのレンズの定義された固有パラメータは、レンズの焦点距離、追跡カメラの光学中心(主点)、各レンズによって生成されるレンズの歪み、xピクセル軸とyピクセル軸の間との角度を定義するスキュー係数、および/またはピクセル座標を含み得る。
ブロック2812において、少なくとも1つのプロセッサは、ディスクの歪みの補償された重心の位置を判定するために、歪みの補償されたグラジエント光線に対して二重円錐楕円フィッティングを実行するようにさらに動作可能であり得る。各ディスクの補償された重心の位置は、ディスクの歪みの補償されたグラジエント光線が収束する場所に対応し得る。
ブロック2814において、少なくとも1つのプロセッサは、三次元空間内の離間した基準の物理的参照アレイのポーズを判定するためにさらに動作することができる。ブロック2814のこの判定は、第1、第2、および第3の追跡カメラから、三次元空間で離間させた第1、第2、および第3の追跡カメラの位置までのビデオストリームのディスクの歪みの補償された重心の位置の三角測量的な位置に基づくことができる。
図23は、多面参照アレイ2310を含む外科手術用ツール追跡アレイの例を示している。外科手術用ツール追跡アレイは、外科手術用ツール2300の一部を外科手術用ツール追跡アレイに結合するツールホルダーを含み得る。多面参照アレイ2310は、複数の平面2310a〜eを有することができる。平面は、ツールホルダーに結合されたときに外科手術用ツール2300から離れる方向を向くように構成され得る前面正方形平面(例えば、2310a)を含み得る。平面はまた、それぞれが前部正方形平面の異なる側縁から延在し、ツールホルダーに結合されたときに外科手術用ツールに向かって角度を付けられる複数の側面正方形平面を含み得る。例えば、図23において、多面参照アレイ2310は、それぞれが前部正方形平面2310aの4つの側縁の異なるものから延在し、ツールホルダーと結合されたときに外科手術用ツールに向かって角度を付けられる4つの側面正方形平面2310b〜eを含む。
平面2310a〜eは、それぞれ、同じまたは異なる光学的にコード化されたパターンを含み得る。光学的にコード化されたパターンは、平面の識別子を光学的に符号化するバーコードのパターンを含み得る。バーコードのパターンには、それぞれが情報のビットを表す最大6x6の黒と白の領域のアレイをサポートすることにより、多数の潜在的なIDを符号化する機能がある。結果として得られる2^36ビットの情報は、6.8719E10の潜在的な識別コードを生じる。また、これにより、2ビットのエラー訂正が可能になり、多面参照アレイごとに5つの面で除算しても、数千の一意の識別コードが依然可能になる。複数の面を含めることで、物理的参照アレイ(1800など)よりも大きな軸外の視点からの対象の認識と識別がまた可能になり、アレイは小さくなり、妨害的ではなくなる。
この例では5つの平面が示されているが、任意の数の平面を使用することができ、任意の配置で構成することができる。さらに、平面は、正方形以外の他の形状であり得、形状内に光学的にコード化されたパターンを有する。例えば、平面は、長方形、三角形、楕円形、円などであり得る。
図24は、歪みのない画像情報と、外科手術用ツールの3Dモデル2420から生成された合成画像情報との間の2D画像の登録の例を示している。対象が確実に識別されると、対象全体(つまり、ツール、ロボットエンドエフェクタ、またはその他のアイテムのタイプ)の3Dモデルをロードできる。3Dモデル2420は、基準ポーズの回復によって判定された位置で、すべての追跡カメラの2D画像平面2400に投影され得る。次に、エッジ、コーナー、およびその他の目立つモデル特徴が、歪みのないライブカメラ画像データと比較され、2つの対象(合成および実世界)間のすべての登録エラーが最小化されるまで、モデルのポーズが繰り返される。ツールまたは対象に欠陥がないと仮定すると、この最適化されたモデルポーズは、改善された、より機能的に関連性のあるポーズを表す。ツールまたは対象が曲がっている、正しく組み立てられていない、またはその他の欠陥がある場合、このプロセスは収束せず、安全警告がトリガーされる。このプロセスにより、3Dモデル2420が2D画像に適切に投影されていることを確認できる。これは、3Dモデルを2D画像上のより正確な位置に調整する反復法であり、ツールまたは対象の変形を検出する機能を生じる。
図25は、基準ディスク2502a〜jを備えたエンドエフェクタ2500の例を示している。エンドエフェクタで基準ディスク2502a〜jを使用すると、信頼性の高い堅牢な識別、および図25に示す任意の視点(側面図、正面図、および上面図)の軸から最大80度外れた追跡が可能になる。さらに、リング2504a〜cは、エンドエフェクタの任意選択の精度向上または方向検証のために、エンドエフェクタのシャフトに挿入、塗装、またはレーザーエッチングすることができる。リング2504a〜cは、エンドエフェクタ2500の識別情報を提供する、または追加的または代替的に、リング2504a〜cが配置されているシャフトの識別情報を提供するバーコードまたは他の機械可読光学コードを作成するために使用され得る。さらに、カメラ追跡システムは、エンドエフェクタのポーズを判定するために使用され得るリング2504a〜cの接線方向または垂直方向の光線を生成し得る。例えば、リング2504a〜cに垂直な光線を生成することによって、コンピュータ追跡システムは、エンドエフェクタのシャフトが指しているポーズなどのエンドエフェクタのポーズに関する情報を判定することができる場合がある。
一実施形態では、エンドエフェクタ2500は、黒色陽極酸化プロセスを経て、その上に白色基準ディスクを有する金属で製造される。
別の実施形態では、エンドエフェクタ2500は、その上に黒い基準ディスクを備えたホワイトメタルである。ただし、カメラ追跡システムはコントラストを反転させているため、カメラ追跡システムは、白い基準ディスクが付いた黒いエンドエフェクタを検出する。
図29は、いくつかの実施形態による、カメラバー1900および追跡カメラ(1910/1920/1930)を含む、カメラ追跡システムによって実行されるプロセスの例を示している。カメラバー1900を含むカメラ追跡システムは、図29のプロセスを実行するように動作する少なくとも1つのプロセッサをさらに含み得る。
ブロック2900において、カメラ追跡システムの少なくとも1つのプロセッサは、外科手術用ツール(例えば、2300)に取り付け可能であり、第1、第2、および第3の追跡カメラ(例えば、1910/1920/1930)からビデオストリームで画像化される多面参照アレイ(例えば、2310)の複数の異なる平面(例えば、2310a〜e)のうちの異なる1つにそれぞれある、光学的にコード化されたパターンを復号するように動作可能であり得る。さらに、少なくとも1つのプロセッサは、ビデオストリームに画像化された多面参照アレイの複数の面のうちの対応する1つまたは複数に対する1つまたは複数の識別子を判定することができる。ブロック2900の判定は、ビデオストリームで画像化された多面参照アレイの複数の面のうちの1つまたは複数の光学的にコード化されたパターンを復号することに基づくことができる。
光学的にコード化されたパターンが二次元のバーコードのパターンである例では、少なくとも1つのプロセッサは、二次元のバーコードのパターンを復号するためにさらに動作することができる。
ブロック2902において、少なくとも1つのプロセッサは、データベースから、ブロック2900で判定された1つまたは複数の識別子に基づいてビデオストリームに画像化された多面参照アレイの複数の面の1つまたは複数の光学的にコード化されたパターンのコーナーおよび/またはエッジ間の登録された空間関係を取得するようにさらに動作可能であり得る。さらに、少なくとも1つのプロセッサは、三次元空間で離間させた、第1、第2、および第3の追跡カメラの位置に対してビデオストリームで画像化された多面参照アレイの複数の面のうちの1つまたは複数の光学的にコード化されたパターンのコーナーおよび/またはエッジの位置の登録された空間的関係および三角測量に基づいて、多面参照アレイのポーズを判定することができる。
ブロック2904において、少なくとも1つのプロセッサは、多面参照アレイに取り付けられたものとして登録された外科手術用ツールの登録された合成三次元モデルをデータベースから取得するようにさらに動作可能であり得る。
ブロック2906で、少なくとも1つのプロセッサは、ブロック2902で判定された多面参照アレイの判定されたポーズに基づく第1、第2、および第3の追跡カメラからのビデオストリーム内のフレームの二次元平面に画像化された物理的外科手術用ツールに対する、登録された合成三次元モデルの関係型投影を、判定するように、さらに動作可能であり得る。
ブロック2908において、少なくとも1つのプロセッサは、登録された合成三次元モデルの特徴の位置と、ブロック2906の判定された関係型投影に基づく第1、第2、および第3の追跡カメラからのビデオストリーム内のフレームの二次元平面に画像化された物理的外科手術用ツールの特徴の位置との間のオフセットを識別するためにさらに動作可能であり得る。
ブロック2910において、少なくとも1つのプロセッサは、識別されたオフセットおよび多面参照アレイのポーズに基づいて、物理的な外科手術用ツールのポーズを判定するためにさらに動作することができる。
ブロック2912において、少なくとも1つのプロセッサは、ツール変形則を満たす識別されたオフセットに基づいて、物理的な外科手術用ツールが過度の変形を有するときを識別するためにさらに動作可能であり得る。過度の変形が確認された場合、少なくとも1つのプロセッサが安全警告をトリガーし得る。
様々な実施形態が、XRヘッドセット上で追跡カメラのセットを使用する状況で説明されてきたが、これらおよび他の実施形態は、補助的追跡バーおよび/または別のXRヘッドセットの追跡カメラのセットなどの任意の形態の追跡カメラと共に使用することができる。したがって、いくつかの実施形態では、追跡カメラのセットは、カメラ追跡システムが追跡カメラのセットから追跡情報を受信している間、XRヘッドセットから分離されて離間されている。ポーズ連鎖のために本明細書に開示される様々な動作を使用して、参照アレイおよび/または使用者の手のポーズを追跡することができる。
さらなる規定および実施形態:
本発明の概念の様々な実施形態の上述した説明において、本明細書において使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的とし、本発明の概念を限定することを意図しないことを理解されたい。別段に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての用語(技術用語および科学用語を含む)は、本発明の概念が属する当技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。一般的に使用される辞書に定義されるような用語は、本明細書および関連する技術分野の文脈におけるそれらの意味に矛盾しない意味を有するものとして解釈されるべきであり、本明細書で明確にそのように定義された理想化された、または過度に形式的な意味では解釈されないことが、さらに理解されよう。
ある要素が別の要素に対して「接続された(connected)」、「結合された(coupled)」、「応答する(responsive)」、またはそれらの変形版であるように参照される場合、その要素は、他の要素に直接接続、結合、もしくは応答することができ、または介在する要素が存在してもよい。対照的に、ある要素が別の要素に対して「直接接続された(directly connected)」、「直接結合された(directly coupled)」、「直接応答する(directly responsive)」、またはそれらの変形版であるように参照される場合、介在する要素は存在しない。同様の符号は、全体を通して同様の要素を指す。さらにまた、本明細書において使用される場合、「結合された(coupled)」、「接続された(connected)」、「応答する(responsive)」、またはそれらの変形版は、無線で結合、接続、または応答することを含むことができる。本明細書において使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈がそうでないことを明確に示さない限り、複数形も含むことを意図している。周知の機能または構造は、簡潔さおよび/または明確さのために詳細に説明されない場合がある。「および/または」という用語は、関連する列挙された項目のうちの1つ以上のいずれかおよびすべての組み合わせを含む。
本明細書では、第1、第2、第3などの用語を使用して様々な要素/動作を説明することがあるが、これらの要素/動作は、これらの用語によって限定されるべきではないことが理解される。これらの用語は、ある要素/動作を他の要素/動作から区別するためにのみ使用される。したがって、いくつかの実施形態における第1の要素/動作は、本発明の概念の教示から逸脱することなく、他の実施形態における第2の要素/動作と呼ぶことができる。同じ参照番号または同じ参照符号は、明細書全体を通して同じまたは類似の要素を示す。
本明細書で使用される場合、「備える(comprise)」、「備える(comprising)」、「備える(comprises)」、「含む(include)」、「含む(including)」、「含む(includes)」、「有する(have)」、「有する(has)」、「有する(having)」という用語、またはそれらの変形はオープンエンドであり、1つまたは複数の述べられた特徴、整数、要素、ステップ、構成要素または機能を含むが、1つまたは複数の他の特徴、整数、要素、ステップ、構成要素、機能またはそれらの群が存在していること、または追加することを排除するものではない。さらにまた、本明細書において使用される場合、ラテン語の「例えば(exempli gratia)」から派生した一般的な略語「例えば(e.g.)」は、前述の項目の全般的な例(複数可)を紹介または指定するために使用されてることがあり、かかる項目を限定することを意図するものではない。ラテン語の「すなわち(id est)」から派生した一般的な略語「すなわち(i.e.)」は、より全般的な列挙から特定の項目を指定するために使用されてもよい。
例示的な実施形態は、コンピュータ実装方法、装置(システムおよび/もしくはデバイス)、ならびに/またはコンピュータプログラム製品を示すブロック図および/またはフローチャート図を参照して本明細書において説明される。ブロック図および/またはフローチャートの図解のブロック、ならびにブロック図および/またはフローチャートの図解におけるブロックの組み合わせは、1つ以上のコンピュータ回路によって実行されるコンピュータプログラム命令によって実装されることができることが理解される。これらのコンピュータプログラム命令を汎用コンピュータ回路、専用コンピュータ回路、および/または他のプログラム可能なデータ処理回路のプロセッサ回路に与えて機械を提示することができ、それにより、コンピュータのプロセッサおよび/または他のプログラム可能なデータ処理装置を介して実行される命令は、トランジスタ、メモリの場所に記憶された値、およびかかる回路網内の他のハードウェア構成要素を変換および制御して、ブロック図および/またはフローチャートブロック(複数可)において指定された機能/作用を実装し、それによって、ブロック図および/またはフローチャートブロック(複数可)において指定された機能/作用を実装するための手段(機能)および/または構造を作り出す。
これらのコンピュータプログラム命令はまた、コンピュータ可読媒体に記憶された命令がブロック図および/またはフローチャートブロック(複数可)において指定された機能/作用を実装する命令を含む製造物品を製造するように、コンピュータまたは他のプログラム可能なデータ処理装置が特定の方法で機能するように指示することができる有形のコンピュータ可読媒体に記憶されてもよい。したがって、本発明の概念の実施形態は、集合的に「回路網」、「モジュール」、またはそれらの変形版と称されることがある、デジタル信号プロセッサなどのプロセッサで動作するハードウェアおよび/またはソフトウェア(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコードなどを含む)で具現化させることができる。
また、いくつかの代替実装形態では、ブロックに記載されている機能/作用が、フローチャートに記載されている順序とは異なる順序で発生する場合があることにも留意されたい。例えば、連続して示されている2つのブロックは、関与する機能/作用に応じて、実際には実質的に同時に実行されてもよいか、または時にブロックが逆の順序で実行されてもよい。さらに、フローチャートおよび/またはブロック図の所与のブロックの機能は、複数のブロックに分離されてもよく、および/またはフローチャートおよび/またはブロック図の2つ以上のブロックの機能は、少なくとも部分的に統合されてもよい。最後に、本発明の概念の範囲から逸脱することがなければ、図示されているブロックの間に他のブロックが追加/挿入されてもよく、および/またはブロックまたは動作が省略されてもよい。さらに、図のいくつかは、通信の主要な方向を示すために通信経路に矢印を含んでいるが、通信は、描かれた矢印と反対の方向で発生する場合があることを理解されたい。
本発明の概念の原理から実質的に逸脱することなく、実施形態に対して多くの変更および修正を行うことができる。すべてのこのような変更および修正は、本発明の概念の範囲内で本明細書に含まれることが意図されている。したがって、上で開示された主題は、限定的ではなく例示的であると見なされるべきであり、付け加えられた実施形態の例は、本発明の概念の趣旨および範囲内にあるすべてのこのような修正、強化、および他の実施形態に及ぶことが意図されている。したがって、法律で許容される最大限の範囲で、本発明の概念の範囲は、以下の実施形態の例およびそれらの均等物を含む本開示の最も広い許容可能な解釈によって判定されるべきであり、前述の詳細な説明によって制限または限定されるべきではない。