以下、図面を参照して本開示を実施するための一実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本開示を説明するための一例であり、特許請求の範囲に記載した発明の技術的範囲が、以下の記載に限定されるものではない。
従来から、利用者の褥瘡防止のために、体位変換用のサブのエアセル(体位変換用のサブのエアセルを、以下「サブセル」という。)が設けられたマットレスがある。
そして、例えば、サブセルはマットレスの下に、マットレスの長手方向と平行に配置されている。このサブセルが膨張することで、サブセルの上に位置するマットレスが隆起する。そうすると、マットレスとサブセルが利用者の身体の荷重を受けることで、利用者を支持することができる。しかし、実際にサブセルの膨張によりマットレスが隆起した部分と、マットレスに寝た利用者身体に接する部分とは限られた場所となる。
しかし、体位変換用のマットレスにおいて配置されるサブセルは、基本的に利用者がマットレスの中心に寝ることを想定して作られている。したがって、マットレスの端部近傍近くに利用者が寝た場合は、圧分散効果が十分に発揮されないといった問題があった。
また、一般的なサブセルを利用した体位変換では、サブセルは単に順番に膨縮を繰り返すという制御が行われる。したがって、利用者の姿勢によっては、膨縮による体位変換の効果が適切に発揮できないという課題が生じていた。
また、姿勢によっては、サブセルの膨張によるマットレスと、利用者との接触面積が少なくなり、利用者の身体を支える部分が少なくなってしまう。これにより、利用者の身体が不安定となり、利用者の筋緊張が生じてしまい、利用者が安楽に休むことができないといった課題が生じてしまう。とくに、利用者の筋緊張は、利用者の拘縮を進行させてしまうといった新たなリスクも生じてしまう。
このような課題を解決するためマットレス等について、以下詳細な実施形態に基づいて説明する。なお、以下の実施形態は、本開示の一例であり、当該内容に発明が限定されるものではない。
[1.全体の構成]
図1は、本実施形態におけるベッドシステム1を模式的に説明する図である。ベッドシステム1は、図1(a)に示すように、ベッド装置であるベッド本体20にマットレス10が載置されている。
なお、マットレス10は、本実施形態ではエアセルで構成されたエアマットレスである。マットレス10は、エアマットレス以外にも、例えば、ウレタンマットレスであってもよいし、ウレタンとエアセルとを組み合わせたハイブリッド型のマットレスであってもよい。また、マットレス10は、ポリエステル繊維構造体、ゲル、スプリングなどの寝具に使われる弾性体であってもよい。
ベッドシステム1は、利用者Pが利用する。例えば、ベッド本体20(マットレス10)に横たわったときに、図1(a)の左側が頭側、右側が足側となる。また、利用者Pは、標準的なサイズを想定すれば、利用者Pの背中が背ボトムの位置となり、利用者の腰が湾曲ボトムや、腰ボトムの位置となる。具体的には、標準的な利用者の場合、大転子の位置が、マットレス10(ベッド本体20)の足側端部から概ね980mmの位置になる。
ここで、利用者は、ベッドシステムを利用するもののうち、例えばベッド装置(マットレス)を実際に利用する者をいう。例えば、利用者は、病院や施設に入院する患者、要介護者や、家庭においてベッド装置(マットレス)に横たわる者をいう。
また、本実施形態において、スタッフと言った場合は、利用者をサポートする者をいう。例えば、スタッフは、病院における医師、看護師や、施設における介護スタッフ、家庭における利用者の家族等を含むものである。
また、本実施形態において、操作者といった場合は、ベッドシステムを操作する者をいう。操作者は主にスタッフであるが、利用者が操作する場合は操作者に利用者が含まれる。
一般的なベッド本体20のサイズとしては、標準的な利用者(身長140〜170cm程度)を想定し、短手である幅方向が910mm、長手である長さ方向が1910mmである。ベッド本体のサイズは、実施形態を説明するための一例であり、例えばより小さいミニサイズ(ベッド本体の長さ方向が1800mm)や、より大きいロングサイズ(例えば、ベッド本体の長さが2050mm)といったサイズであってもよい。また、ベッド本体20のサイズが変われば、利用者の位置も相対的に変化する。
ベッド本体20や、マットレス10の大きさに応じて、利用者の部位の場所(位置)が変化する。ベッド本体20(マットレス10)の大きさが変化した場合の利用者の位置は、当業者であれば本開示の内容に基づいて容易に理解することが可能である。
また、本実施形態における利用者の体位は、利用者の位置と、利用者の姿勢を含むものである。利用者の位置は、マットレス10における位置(寝位置)である。利用者の姿勢は、利用者がマットレス10において寝ているときの姿勢(寝姿勢)をいう。また、体位は、例えば端座位や長座位といった寝ていないときの姿勢を含んでもよい。
[2.ベッド本体の構成]
ベッド本体20の構成について、図1及び図2を参照して説明する。
ベッド本体20は、上からボトム22と、上部フレーム24と、下部フレーム26とを備えており、上部フレーム24と、下部フレーム26との間に昇降機構28を有している。
ボトム22は、図1(b)に示すように、利用者がベッド本体20に横臥したときの頭側から足側にかけて、背ボトム22a(back section)と、腰ボトム(seat section)として湾曲ボトム22bと、膝ボトム22c(upper leg section)と、足ボトム22d(lower leg section)とを有している。ここで、ボトム22の各ボトムは、それぞれ単体又は連動して回動可能である。
なお、湾曲ボトム22bは、腰ボトムの1つであり、背ボトム22aの上昇と共に、ボトムが湾曲することで利用者を支持することができる。また、湾曲ボトム22bは、背ボトム22aの上昇/下降とともに、湾曲しながら伸縮する仕組みであってもよい。なお、湾曲ボトムは、出願人がキューマラインボトム(キューマボトム)として、製品化しているものである。
また、一例として、背ボトム22aの長さ(ベッド本体20の長手方向に水平の長さ)は、約640mm、湾曲ボトム22bの長さは約340mm、膝ボトム22cの長さは375mm、足ボトム22dの長さは約555mである。
各ボトムは、例えば駆動装置(アクチュエータ)が接続されている。ボトム22は、駆動装置が動作することで、回動可能となっている。なお、ボトム22は、各ボトムに駆動装置を接続しなくても、例えばリンク機構を利用することで、1つの駆動装置で複数のボトムを動作させることが可能である。また、ボトム22は、隣接するボトムを連結することで、連動して動作する。
また、ベッド本体20は、各ボトムを回動することで、背上げ動作、膝上げ動作、足下げ動作といった動きを実現する。また、ベッド本体20は、背上げ動作と、膝上げ動作(足下げ動作)とを連動してもよい。
図1(b)に示すように、ベッド本体20は、背ボトム22aが湾曲ボトム22b側を中心側として回動して上昇することで、背上げ動作を実現する。このとき、背ボトム22aが上がった角度α(水平から背ボトム22aが持ち上がった角度α)を背上げ角度αという。
また、背ボトム22aが上昇すると、湾曲ボトム22bは背ボトム22aと連動して湾曲する。湾曲ボトム22bは、湾曲することにより、利用者の腰に添う形状となり、利用者を支持することができる。背ボトム22aと、湾曲ボトム22bとは、例えばお互いの連結部により連結している。
また、ベッド本体20は、膝ボトム22cを湾曲ボトム22b側の端部を中心に回動することで、膝上げ動作を実現する。このとき、膝ボトム22cが上がった角度β(水平から膝ボトム22c上がった角度β)を膝上げ角度βという。
なお、足ボトム22dは、膝ボトム22cの動きと連動してもよい。この場合、膝上げ角度の代わりに足上げ角度(足下げ角度)を利用してもよい。
なお、図1(c)に示すように、ベッド本体20は、湾曲ボトム22bの代わりに腰ボトム22eにより構成されてもよい。この場合、一例として、背ボトム22aの長さは約785mm、腰ボトム22eの長さは約195mmとなる。腰ボトム22eは、一般的に回動せず、利用者の腰部(臀部)を支持している。
ボトム22は、上部フレーム24により支持されている。上部フレーム24は、ボトム22を支持する形状であればよい。また、下部フレーム26は、ボトム22を支持する上部フレーム24を支持する形状であればよい。
昇降機構28は、上部フレーム24の高さを調整するものであり、ベッド本体20の高さを調整する。ここで、ベッド本体20の高さは一般的には設置されている面(地上面)から上部フレーム24までの高さ(床高)をいう。なお、ベッド本体20の高さとしては、地上面からボトム22までの高さであってもよい。
昇降機構28は、例えば、リンク機構や、アクチュエータとった駆動装置(駆動機構)により実現する。
図2は、ベッド本体20の動作を説明する図である。ベッド本体20は、各ボトムを駆動するための駆動部を有している。
背ボトム駆動部32は、背ボトム22aを上昇させることができる。例えば、背ボトム駆動部32は、アクチュエータであり、アクチュエータのロッド先端にリンク機構を介して背ボトム22aを接続する。
膝ボトム駆動部34は、膝ボトム22cを上昇させることができる。例えば、膝ボトム駆動部34は、アクチュエータであり、アクチュエータのロッド先端にリンク機構を介して膝ボトム22cを接続する。
また、各駆動部は、駆動制御部2000と接続している。駆動制御部2000は、背ボトム駆動部32、膝ボトム駆動部34を制御するボトム制御部2100と、高さ駆動部36を制御する高さ制御部2200として機能する。
ボトム制御部2100は、背ボトム駆動部32を制御することにより、背上げ機能を実現し、背ボトム22aを上昇させる。具体的には、ボトム制御部2100は、背ボトム駆動部32の一例であるアクチュエータのロッドを進出させる。背ボトム駆動部32は、アクチュエータのロッドが進出したことにより、リンク機構を介して駆動力を背ボトム22aに加える。背ボトム22aは、駆動力が加わったことにより、背ボトム22aの頭側を支点として回動し、足側が上昇する。
このとき、背ボトム22aに連結されている湾曲ボトム22bも併せて上昇する。例えば、湾曲ボトム22bの一端側が背ボトム22aと連結し、他端側が上部フレーム24に連結している。また、湾曲ボトム22bは湾曲可能であり、背ボトム22aの上昇と共に湾曲しつつ背ボトム22a側の端部が上昇してもよい。また、湾曲ボトム22bは伸縮可能に構成されてもよい。
ボトム制御部2100は、膝ボトム駆動部34を制御することにより、膝上げ機能を実現し、膝ボトム22cを上昇させる。具体的には、ボトム制御部2100は、膝ボトム駆動部34の一例であるアクチュエータのロッドを進出させる。膝ボトム駆動部34は、アクチュエータのロッドが進出したことにより、リンク機構を介して駆動力を膝ボトム22cに加える。膝ボトム22cは、駆動力が加わったことにより、膝ボトム22cの湾曲ボトム22b側を支点として回動し、足ボトム22d側が上昇する。
このとき、足ボトム22dが、膝ボトム22cと連動して回動してもよい。例えば、足ボトム22dが、膝ボトム22cとリンク機構を介して接続している場合、膝ボトム22cの足ボトム22d側が上昇することで、足ボトム22dの膝ボトム22c側の一端が上昇する。足ボトム22dは、一端が上昇することで、ベッド本体20の足側にある他端が下降する。このとき、足ボトム22dの他端は、上部フレーム24より下に下降するが、上部フレーム24に連結してもよい。
また、高さ制御部2200は、高さ駆動部36を制御することにより、ベッド本体20の上昇、下降の機能を実現し、上部フレーム24を高くしたり低くしたりすることができる。
例えば、高さ駆動部36は、上部フレーム24と、下部フレーム26との間に設けられている。そして、高さ駆動部36の一例としてアクチュエータの一端を下部フレーム26に設ける。そして、高さ駆動部36は、アクチュエータのロッドが進出することで、リンク機構を介して上部フレーム24が押し上げられて上昇する。これにより、ベッド本体20の床高が上昇する。
なお、駆動制御部2000により、各駆動部に対して上述した動作と逆の動作をする制御を行えば、逆の動作となる。すなわち、駆動部は、アクチュエータのロッドを退入させることで、背下げ動作、膝下げ動作、床高の下降といった動作を行う。
[3.マットレスの構成]
[3.1 マットレス全体の構成]
マットレス10の構成について説明する。図3は、マットレス10の構成を模式的に示した分解図である。
マットレス10は、全体がカバー(トップカバー100及びボトムカバー102)で覆われている。トップカバー100及びボトムカバー102は着脱可能に構成されている。なお、トップカバー100と、ボトムカバー102とが一体に形成されていてもよい。
また、マットレス10のカバーの中は、上層からトップウレタン110と、メインセル120と、サブセル130と、ボトムクッション140とを含んでいる。
トップウレタン110は、エアセルの上に載置されるものであり、例えば、ウレタンシートにより構成されている。また、トップウレタン110と、側地であるトップカバー100の間にグライドシート115を設けている。グライドシート115は、摩擦抵抗が低くなる素材であり、トップカバー100と、トップウレタン110とを滑り易くするために設けられる。なお、グライドシート115は必要に応じて設ければよい。
メインセル120は、複数のエアセルが集まったエアセル群により構成されている。メインセル120は、送風チューブ(不図示)を介してポンプ180と接続している。メインセル120は、本体セルと表すこともある。
ポンプ180は、エアセルそれぞれに接続されている。例えば、ポンプ180は、メインセル120を構成するセルを1又は複数の系統(グループ)にわけ、送風チューブを接続する。そして、ポンプ180からメインセル120に給気することで、メインセル120を膨張させる。また、ポンプ180とメインセル120の間にも設けられている弁を解放したり、強制的に排気したりすることで、メインセル120から排気し、メインセル120を収縮させることができる。
また、ポンプ180は、併せてサブのエアセル(サブセル)130と接続する。上述したのと同様に、ポンプ180は、サブセル130に給気したり、排気(弁を解放又は強制的に排気)したりすることができる。
また、ポンプは、マットレス10におけるポンプ収納区画に収納されてもよい。例えば、図3では、マットレス10の隅部近傍にポンプを収容するための区画104が設けられている。なお、区画104は、ポンプカバーが設けられている。このように、ポンプ部が、マットレス10の中の一区画に設けられていることから、マットレス10として一体感がある状態にすることができる。
なお、ポンプ180は、マットレス10とは別に構成してもよい。この場合、マットレス10にポンプ180を収納する区間を有さなくてもよい。
また、ポンプ180は、制御装置と併せてポンプユニット182と構成されてもよい。ポンプユニット182は、ポンプ180、ポンプ180を制御する制御装置、動作に必要な情報やプログラムを記憶する記憶装置を含んでいる。例えば、ポンプユニット182に含まれる制御装置は、操作装置から入力された信号に応じて、ポンプ180の動作を制御することができる。
ここで、制御装置は、単なるCPUのような制御部だけでなく、他の制御する装置を含めてもよい。例えば、制御装置は、ポンプ180がダイヤフラムポンプや電磁ポンプである場合、当該ポンプを制御する電磁バルブや、それらを制御する駆動回路、ドライバ回路等が含まれてもよい。
また、操作装置の一例として、操作パネル185が接続されていてもよい。すなわち、操作パネル185は、制御装置に操作信号を出力する。
なお、ポンプ180を制御する制御装置は、何れかにあればよい。本実施形態では、ポンプユニット182として、ポンプと一体に構成されているが、例えば操作パネル185が制御装置の機能を有していてもよい。
サブセル130は、利用者の体位を変換したり、利用者の身体を支持したりするために利用されるエアセルである。サブセル130は、サポートセル、体位変換用セル、SFセルと表すこともある。サブセル130は、本実施形態では、メインセル120の下に配置されるが、メインセル120の上に配置されてもよいし、ボトムクッション140の下に配置されてもよい。
ボトムクッション140は、メインセル120の下に配置される支持部材である。例えば、ウレタン、硬綿等の部材によって構成される。このボトムクッション140には、利用者の寝位置等を検知するセンサ部150が設けられている。
センサ部150は、静電容量センサを利用したセンサである。センサ部150は、陽極152と、GND基板の入ったケースが貼り付けられたGNDシート156とを有している。GNDシート156は、グランド(GND)電極として機能してもよい。
また、陽極152をボトムクッション140の上に配置するために、センサカバー154を設けている。例えば、センサカバー154は、陽極152を収納可能な形状、例えば、ポケットを有している。そして、陽極152をセンサカバー154のポケットに収納することで、陽極152の位置決めが行われる。
なお、センサカバー154は、陽極152をボトムクッション140(又はボトムクッションのカバ−)に固定するための防水カバーである。なお、陽極152の位置を決められればよいため、例えば他の方法で陽極152を固定してもよい。例えば、ボトムクッション140に陽極152を固定する部材や、凹みを形成してもよい。また、ボトムクッション140と陽極152とが動かないように一体に形成してもよい。
また、陽極152は、基板の入った部材であり、本開示では長円形のケースに格納されている。そして、陽極152は、裏側(設置したときに下側であるボトムクッション140に接する側)に導電シートを貼り付けて構成されている。
陽極152は、他の形状であってもよい。例えば、陽極152は、円形や、楕円形、矩形(長方形、正方形)、多角形といった何れかの形状であればよい。また、陽極152は、裏側に導電シートを設けている。なお、導電シートは、陽極152の裏側全体を覆うように構成してもよいし、陽極152の一部を覆うように構成してもよい。
また、陽極152と、GNDシート156とは、ボトムクッション140を挟んでいる。ここで、GNDシート156は、全体又は一部が導電シートにより機能する。すなわち、GNDシート156は全体が導電シートとして機能する素材(例えば、導電性インクが印刷されたシート(導電性シート)や導電性繊維からなるシート)で構成されてもよい。また、GNDシート156は、何らかで構成されたシートの一部に導電シートが貼り付けられたり、埋め込まれたりしてもよい。
ここで、利用者がマットレス10の上に載ると、ボトムクッション140が変形することで、陽極152と、GNDシート156との距離が変化し、静電容量が変化する。この静電容量が変化したことを、後述する判定部1010が取得することで、利用者の体位や、位置を取得することができる。
なお、センサ部150に容易にアクセスできるように、ボトムカバー102は、センサ部150用の開口部(例えば、ファスナーを設けた開口部)を有していてもよい。
また、陽極152は、例えば利用者の臀部近傍になるように配置してもよい。すなわち、腰ボトム22eの上や、湾曲ボトム22bの足側近傍の位置に配置してもよい。また、本実施形態では、陽極152は左右2つに設けているが、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。
[3.2 センサ部の構成]
センサ部150の構成について、以下詳細に説明する。図3で説明したように、センサ部150は、ボトムクッション140を、センサの陽極152と、GNDシート156とで挟み込む構造となっている。
利用者がマットレス10に寝たときに、利用者の荷重によってボトムクッション140の形状が変形する。ボトムクッション140の形状が変化することで、陽極152と、GNDシート156との間の距離が変化する。陽極152と、GNDシート156との間の距離が変化することにより、陽極152と、GNDシート156との間の静電容量値が変化する。ここで、ボトムクッション140は、ウレタン、硬綿、エアセル等の何れの形状であってもよい。ボトムクッション140は、柔軟性があり、例えば、比誘電率8.1以下の弾性体(例えば、ポリエステル樹脂)であればよい。
また、図3では、上から陽極152、GNDシート156の順に配置されている。陽極152と、GND156とは、逆に配置されてもよいが、陽極152がベッドボトムの影響を受けないように(陽極152から出た電荷がベッドに印加されないように)するために、図3の配置が好ましい。
図4は、陽極152を説明するための図である。図4(a)は、陽極152がセンサカバー154に設置されており、表面(メインセル120側)から表した図である。また、図4(b)は、センサ部150の構造を説明するために模式的に説明した図である。
図4(a)に示すように、本実施形態では、陽極152は、陽極152Mと、陽極152Sの2つを設けている。ここで、陽極152Mはメインとなる陽極であり、図4(b)で示すようにコントローラ152cを設けている。また、陽極152Sはサブとなる陽極である。陽極152は、本実施形態では左右2つ設けているが、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。この場合、メインとなる陽極152Mを1つとし、サブとなる陽極152Sが複数設けられてもよい。
そして、陽極152M及び陽極152Sは、同軸ケーブルC1でそれぞれ接続されている。すなわち、同軸ケーブルC1は、陽極152が複数ある場合に、それぞれ陽極152の間を接続するケーブルである。
また、陽極152Mは、ケーブルC2を介してGNDシート156と接続している。また、陽極152Mは、ケーブルC3を介して制御部1000に接続している。ここでケーブルC2、C3は、通常のリード線であってもよいし、同軸ケーブルであってもよい。
この陽極152は、ケーブルC3で制御装置(例えば、図7の制御部1000)に接続されている。ここで、陽極152は、陽極152Mを複数設ける等することで、それぞれが制御部1000に接続してもよい。また、陽極152は、陽極152Mと、1又は複数の陽極152Sとを同軸ケーブルC1で接続し、陽極152Mが制御装置(制御部1000)に接続してもよい。
また、制御装置は、コントロールボックスのような専用の制御装置であってもよいし、操作リモコンのような操作装置であってもよい。また、制御装置は、アプリケーションをインストールしたマットレス10に接続可能な端末装置であってもよい。
図4(b)に示すように、陽極152Mは、導電シート152aと、センサ基板152bとを少なくとも有している。例えば、陽極152Mは、センサ基板152bが入ったケースに、導電シート152aが貼り付けられている。導電シート152aは、例えばカーボンインクで印刷された導電性のシートである。また、センサ基板152bには、コントローラ152cが配置されてもよい。また、陽極152Sは、少なくとも導電シートを有している。
そして、図3、図4(b)に示すように、陽極152とボトムクッション140を挟み込むようにGNDシート156が配置される。GNDシート156は、GND基板の入ったケースに導電シートを貼り付けている。このGNDシート156における導電シートも、例えば、カーボンインクで印刷された導電性のシートである。
センサ基板152bは、測定部として機能するコントローラ152cにより陽極152と、GNDシート156との距離の変化による静電容量値を測定する。そして、コントローラ152cは、A/D変換を行い制御部(制御装置)に出力する。ここで、各ケースは、基板、基板とケーブルの接続部の保護をする。
例えば、コントローラ152cは、同軸ケーブルC1を介してサブの陽極152Sからアナログ信号を取得する。このとき、センサ基板152bは、同軸ケーブルC1を利用することで、ノイズとなる高周波がカットされた信号が取得できることが好ましい。
コントローラ152cは、陽極152Mと、陽極152Sとの2つの陽極のアナログ信号(アナログ値)を合わせてA/D変換(アナログ/デジタル変換)する。そして、コントローラ152cは、デジタル変換された信号(デジタル信号)を制御部1000に送信する。
なお、センサ基板152bに含まれるコントローラ152cが最終的な信号(デジタル信号)を出力しているが、制御装置(例えば、制御部1000)で信号を受信して同様の処理を実現してもよい。
また、導電シート152aは、天面に同軸ケーブルのシールド及びGNDシートと同電位になる層を設けてもよい。これにより、マット上に臥床した人体による静電容量への影響を防ぐことができる。
(他の構成1)
なお、図3、図4の構成では、センサ部150は陽極152と、GNDシート156とを有しているが、陽極152(センサ)のみであってもよい。
例えば、図5(a)、図5(b)は、メインセル120の上に利用者Pが臥床している状態を示す図である。なお、メインセル120は、ボトムクッション140に載置されているが、ベッド装置のボトムに載置されてもよい。
ここで、GNDシート156を設けない場合、例えば図5(a)のように陽極152のセンサを人側(図5(a)では上向き)に向けて配置する。このようにすることで、センサ部150は、GNDシート156の代わりに利用者Pに電荷を蓄積させることができる。そして、センサ部150は、電荷が蓄積されることで、静電容量の変化を検出してもよい。
また、図5(b)のように、陽極152のセンサをボトムクッション140側(図5(b)では下向き)に向けて配置する。このようにすることで、センサ部150は、ベッドボトムに電荷を蓄積させることができる。そして、センサ部150は、電荷が蓄積されることで、静電容量の変化を検出してもよい。
(他の構成2)
また、異なる部材を組み合わせることで、センサ部150の検知範囲を変えることをしてもよい。
マットレスの上の利用者から荷重がかかると、ボトムクッション140は変形をする。例えば、利用者Pの臀部近傍は大きく変化しやすい。そこで、図5(c)に示すように、ボトムクッション140のうち、変形する領域に別のクッション材(例えば、140a、140b)を設けることで、クッションの変形する範囲が変わる。クッションの変形する範囲が変わることで、センサ部150の検知する範囲を大きくすることができる。
なお、同様の効果は、2つの異なる素材を利用して実現することができる。例えば、本実施形態ではボトムクッション140と利用者との間にメインセル120があるため、利用者の沈み込みによる変形をメインセル120で拡大させてボトムクッション140に伝えることができる。例えば、図5(c)で示した複数のボトムクッション140の代わりに、エアセルと、ボトムクッション140とで実現してもよい。この場合、140aに相当するのがエアセルであるメインセル120となり、140bに相当するのがボトムクッション140となる。
これにより、図5(c)では、利用者Pの臀部の直下の140aの層(メインセル120)においては沈み込んだ臀部近傍しか変形しないが、その下の層である140b(ボトムクッション140)にはより広い面積で沈み込みが伝えられる。
(他の構成3)
また、センサ部150が、利用者を検知したくない部分があれば、ボトムクッションを厚み方向で切断することで、クッションの変形を断絶することができる。例えば、センサ部150を背中と臀部、足部など、体の部位ごとにそれぞれに配置する。そして、それぞれの部位の位置を独立して検知したい場合において、ボトムクッションを各部位ごとに切断することで、センサ部150は、他の部位の沈み込みの影響を受けずにその部位だけの静電容量の変化を測定することができる。
(単独の構成)
なお、本実施形態では、マットレス10にセンサ部150が含まれる構成としているが、センサ部150をセンサ装置として単独で構成してもよい。すなわち、陽極152か、陽極152及びGNDシート156を備えたセンサ装置として、既存のマットレスに装着することができる。また、制御装置と、センサ部150とを備えたセンサシステムとして構成してもよい。
例えば、センサ装置は、既存のマットレス、シート、クッション、マット等の何れかを構成する弾性体を挟み込むように陽極152と、GNDシート156とを設置すればよい。これにより、弾性体を有し、弾性体上に物体を支持する支持体に、センサ装置を適用することができる。
[4.セルの構成]
[4.1 メインセルとサブセルの構成]
つづいて、各セル(メインセル120、サブセル130)の構成について図6を参照して説明する。
メインセル120は、1又は複数の系統に分かれてポンプ180に送風チューブを介して接続する。例えば、図4では、メインセル120は、系統A〜系統Cに分かれてポンプ180と接続する。具体的には、セル120Aは、送風チューブ184を介してポンプ180から空気が給気及び/又は排気される。そして、セル120Aは、系統Aに接続されており、他の系統Aのセルと同じように圧力が変化する。
ポンプ180は、例えば切替弁によって給排気する系統を切り替えることができる。ポンプ180は、系統毎に順次切り替えて空気を給気、排気してもよいし、各系統を連通して空気を全体に給気、排気してもよい。また、ポンプ180から、系統毎に送風チューブを接続してもよいし、全てのエアセルに別の送風チューブを接続してもよい。
また、図4では、系統をA〜Cと3系統に分けているが、他の系統に分けてもよい。複数の系統に分けることが好ましい。また、一部の領域を別の系統としてもよい。例えば、ポンプ180は、利用者Pの頭側だけ、足側だけ別系統として空気を給排気してもよい。また、メインセル120は、全て同一系統で構成されてもよい。
サブセル130は、利用者Pの上半身(肩)を中心にサポートする上側サブセル130Sと、利用者Pの下半身(腰や大腿部)を中心にサポートする下側サブセル130Wを含んでいる。
また、サブセル130は、利用者Pの左右に配置される。上側サブセル130Sは、利用者が仰臥位のときの左側に位置する上側左サブセル130SLと、上側右サブセル130SRとを含んでいる。また、下側サブセル130Wは、利用者が仰臥位のときの左側に位置する下側左サブセル130WLと、下側右サブセル130WRとを含んでいる。
そして、サブセル130は、メインセル120とは、別系統でポンプ180に接続されている。例えば、上側左サブセル130SLに給排気する系統SSL、下側左サブセル130WLに給排気する系統SWL、上側右サブセル130SRに給排気する系統SSR、下側右サブセル130WRに給排気する系統SWRを有している。ポンプ180は、サブセル130にそれぞれ送風チューブを接続してもよいし、切替弁により給気、排気するサブセル130を切り替えてもよい。
なお、サブセル130の系統は、他の系統として構成してもよい。例えば、サブセル130は、上側左サブセル130SLと、下側右サブセル130WRといった対角にあるサブセルを同系統としてもよい。また、サブセル130は、上側左サブセル130SLと、下側左サブセル130WLといった左右の同じ側にあるサブセルを同系統としてもよい。
また、ポンプ180は、各系統に給排気する系統毎に別の送風チューブを接続し、それぞれ別に給排気してもよいし、切替弁を利用して切り替えて給排気してもよい。また、ポンプ180は、送風チューブと切替弁とを組み合わせて接続してもよい。
また、ポンプ180は、1つのポンプで構成されてもよいし、複数のポンプで構成されてもよい。
[4.2 サブセルの構造]
サブセルの構造について説明する。図7は、サブセル130の形状を平面視したものである。
図7に示すように、サブセル130は、側部に曲線の形状(例えば、曲線形状としてR形状)を有している。例えば、領域R130aは、サブセル130の外側(図7の左側の第1の側面)に形成される曲線形状(R形状)である。このR形状は、好ましくは曲線半径R=450〜R500mmであり、例えば、図7では、R486mmである。
また、サブセル130は、マットレス10において配置された場合、この領域R132のR形状が、利用者の腰椎脇から肩甲骨外側縁に向かって沿うように形成されている。このR形状は、利用者の概ね肩甲骨外側縁近傍に位置することで、利用者を支持することが可能となる。なお、肩甲骨外側とは、利用者の身体の左右外側に位置する側をいう。
また、サブセル130の内側(図7の右側の第2の側面)は凹形状としてR形状を有している。例えば、領域R134は、サブセル130の中央よりやや上側に形成されている。この凹状のR形状の長さ(図5のL134)は304mmであり、上側から153mm(図5のL132)、下側から293mm(図7のL136)となる位置に一例として形成されている。また、凹形状の最も凹む位置におけるサブセル130の幅(図7のL138)は、182mmである。
サブセル130は、マットレス10に配置するとき、この領域R134のR形状が、利用者の臀部を支持するように配置される。すなわち、サブセル130は、内側のR形状(凹形状のR形状)が利用者の臀部近傍に位置するように配置されることで、利用者の臀部を支持することができる。
また、サブセル130の内側の下側の領域R136は、略直線上となっている。サブセル130は、マットレス10に配置するとき、この領域R136の内側の略直線上の形状が、利用者の大腿部を支持するように配置される。すなわち、サブセル130は、領域R134が利用者の臀部を支持するとともに、領域R136が利用者の大腿部を支持する。
上述した大きさは、サブセル130の大きさを説明するための一例の値であり、当該数値に限定されるものではない。これらの開示したサブセル130の大きさは、サブセル130が利用者を支持する効果を発揮できる大きさであれば、均等の範囲に含まれる。
例えば、図5のL134の長さは、利用者の臀部を支持できる長さであればよい。L134は、好ましくは240mm〜320mmの範囲に含まれる。また、L5のL136の長さは、利用者の大腿部を支持できる長さであればよい。L136は、好ましくは150〜360mmの範囲に含まれる。
このサブセル130は、上下左右の向きを変えて配置することで、利用者を適切に指示することが可能となる。
図8(a)は、サブセル130を利用者の上半身側に配置したことを示す図である。例えば、サブセル130は、利用者Pの左側(図8(a)の右側)に上側左サブセル130SLとして、利用者Pの右側(図8(a)の左側)に上側右サブセル130SRとして配置される。
図8(a)では、サブセル130は、利用者Pの腰椎の両脇から肩甲骨外側縁に向かって沿うようにV字に配置されることになる。このとき、例えばサブセル130(上側右サブセル130SR)は、中心から所定の角度R1を形成する方向に延出されるように配置されている。例えば、図8(a)の場合、角度R1は、およそ22度である。この角度R1は、利用者の肩甲骨の外側を沿うように配置されるのに適切な角度であり、好ましくは15度〜36度程度であればよい。すなわち、角度R1を形成して突出する部分(凸形状となる部分)が肩甲骨外側縁近傍に位置することになる。
また、上側左サブセル130SLと、上側右サブセル130SRとは、サブセル130を左右反対に配置したものであり、同じ形状となっている。
また、サブセル130は、膨張したときに、利用者の腰椎の両脇が最もセルの高さが高く膨らむ位置に配置されている。
図8(b)は、サブセル130を利用者の下半身側に配置したことを示す図である。例えば、サブセル130は、利用者Pの左側(図8(b)の右側)に下側左サブセル130WLとして、利用者Pの右側(図8(b)の左側)に下側右サブセル130WRとして配置される。図8(b)に示すように、サブセル130は、利用者の下半身側に配置された場合、利用者の臀部と、大腿部とに沿うように湾曲した形状となっている。
また、サブセル130のサブセル130の内側の凹部は、利用者の臀部の囲む位置にあることで利用者の臀部を両側から支える。また、サブセル130の内側の直線上の形状は、利用者の大腿部に沿うことで、利用者の大腿部を両側から支える。
ここで、下側左サブセル130WLと、下側右サブセル130WRとは、サブセル130を左右に反対に配置したものであり、同じ形状となっている。また、図8(a)とときとは、上下を反転して配置したものである。
また、サブセル130は、膨張したときに、利用者の臀部の両脇が最もセルの高さが高く膨らむように配置されている。
図8(c)は、全てのサブセルを配置した場合の模式図である。利用者Pに対して、サブセル130は、上側左サブセル130SL、上側右サブセル130SR、下側左サブセル130WL、下側右サブセル130WRとして配置される。
このように、マットレス10は、サブセル130が4箇所配置されており、各サブセル130を順次膨張、収縮させることで、利用者の体位変換等を行うことが可能となる。
なお、上側サブセルと、下側サブセルとを異なる形状としてもよい。すなわち、サブセルの形状は、利用者Pの上半身側に配置するときは外側のR形状(凸形状)を有していればよい。例えば、図8(a)において、サブセル130の形状が利用者の肩から外に突出しているが、これは下半身側に配置したときに同一形状とするためのものである。したがって、サブセル130の形状は、肩から外に突出しておらず、肩までの形状としてもよい。
[4.3 サブセルの位置]
図9は、サブセル130と、ボトム22と、メインセルとの位置を説明するための図である。図9は、マットレス10を上面視した図である。上半身側に配置された上側サブセル130S(上側左サブセル130SL、上側右サブセル130SR)は、主に背ボトム22aから湾曲ボトム22bに亘って配置される。また、下半身側に配置された下側サブセル130W(下側左サブセル130WL、下側右サブセル130WR)は、湾曲ボトム22b、膝ボトム22c、足ボトム22dに亘って配置される。
ここで、上半身側に配置されるサブセル130(上側左サブセル130SL、上側右サブセル130SR)は、サブセル130が有する外側のR形状(図9では、マットレス10の中心よりに位置する側)が、利用者の腰椎の両脇から肩甲骨外側縁に向かって沿うようにV字型に配置される。すなわち、マットレス10(ベッド本体20)を平面視したときに、マットレス10の中心部から、マットレスの外側(頭側の隅部)に向けて斜めになるように配置され、V字状となる。
ここで、利用者の腰椎の両脇から肩甲骨にかけての範囲は、ベッド本体20の幅方向が910mmの場合、好ましくは背ボトム22aの長手方向25%、短手方向中心から12%〜45%の範囲となる。
具体的には、図9において、利用者の大転子の位置M01は足側端部から980mmと想定した場合、利用者の肩甲骨の位置M02は、大転子から465mmとなる。したがって、サブセル130のR形状(凸形状)は、以下の範囲(矩形領域M06)に含まれることが好ましい。
・一辺を肩甲骨位置M02から背ボトム22aの湾曲ボトム22b側の端部まで長さ(約160mm)
・他辺をマットレス10の中心から12%(中心から約59mm(M03からM04の長さ))の位置から45%の位置の長さ(約148mm(M04からM05の長さ))
また、湾曲ボトム22bではなく、腰ボトム22eを備えたベッド本体20に設置する場合、腰椎の両脇から肩甲骨にかけての範囲を、好ましくは背ボトム22aの長手方向40%、短手方向の中心から12%〜45%とする。
この場合、背ボトムの肩甲骨位置M02から背ボトム22aの腰ボトム22e側の端部まで長さは、約320mmとなる。
また、下側サブセル130Wは、利用者の臀部近傍に配置されることが好ましい。下側サブセル130Wは、利用者の腰、臀部、大腿部に亘って利用者に接することとなる。下側サブセル130Wの凹部(位置M07)が、概ね湾曲ボトム22b(又は腰ボトム)から膝ボトム22cにかけての位置になるように配置される。このように、凹部(位置M07)は、利用者の臀部近傍に位置するように配置されることが好ましい。
[5.機能構成]
図10は、ベッドシステム1(マットレス10)の機能構成を示す図である。図10(a)で示す機能は、マットレス10を制御する機能を説明するものであり、マットレス10を制御する制御装置により実現される。なお、図10(a)で示す機能は、ベッド本体20と、マットレス10とが連携されている場合は、ベッド本体20の制御装置で実現してもよい。
制御部1000は、マットレス10の全体を制御するための機能部である。制御部1000は、記憶部1300に記憶されている各種プログラムを読み出して実行することにより各種機能を実現しており、例えば1又は複数の演算装置(例えば、CPU(Central Processing Unit))により構成される。
また、制御部1000は、エアセルであるメインセル120や、サブセル130を制御することもできる。ここで、制御部1000がエアセルを制御するとは、エアセルの圧力を制御することをいう。また、エアセルの圧力が変化することにより、エアセルは膨張/収縮する。すなわち、制御部1000は、エアセルの大きさ(膨らみ)を制御することができる。
例えば、制御部1000が、ポンプ180を制御することで、各エアセルに空気を給気したり、排気したりする。これにより、制御部1000が、各エアセルの圧力を上昇させたり、低下させたりする制御のことをいう。また、制御部1000は、エアセルの圧力を低下させるときは、弁を解放することで排気してもよいし、ポンプ180を制御することで強制的に排気してもよい。
また、制御部1000は、記憶部1300からプログラムを読み出して実行することにより、判定部1010、体位変換部1020として機能してもよい。
判定部1010は、測定部1602により測定された情報や、検知部1600により検知した情報に基づき、利用者の状態を判定する。
判定部1010は、利用者の状態として、例えば利用者が在床しているか否か、利用者の位置(寝位置)、利用者の姿勢(寝姿勢)を含む利用者の体位を判定することができる。
例えば、判定部1010は、利用者が仰臥位、腹臥位、側臥位(右側臥位、左側臥位)であるかを判定してもよい。また、判定部1010は、利用者の寝位置がマットレスのどの位置にいるかを判定してもよい。また、判定部1010は、利用者の姿勢として座位(端座位、長座位)を判定してもよい。
体位変換部1020は、サブセル130を制御することにより、利用者の体位を変換する。例えば、図6のようにサブセル130が配置されている場合、下側右サブセル130WR→上側右サブセル130SR→上側左サブセル130SL→下側左サブセル130WLと、順次サブセルの膨張・収縮の制御を行う。このように、各サブセル130の膨縮を繰り返すことにより、小枕法による体位変換を行うことができる。
記憶部1300は、マットレス10の動作に必要な各種プログラムや、各種データが記憶されている機能部である。記憶部1300は、例えば、半導体メモリや、HDD(Hard Disk Drive)等により構成されている。
記憶部1300は、制御テーブル1310を記憶してもよい。制御テーブル1310は、例えばサブセル130の膨縮するタイミングである制御パターンを記憶する。体位変換部1020は、制御テーブル1310に記憶してある制御パターンに基づいて、サブセル130の膨縮動作のタイミングを制御する。
操作部1400は、操作者からの操作入力を受け付ける。例えば、1又は複数の操作ボタンを備えている操作用リモコンや、操作画面が表示可能な接続された端末装置(例えば、スマートフォンやタブレットといった情報処理装置、他の医療システムで利用される端末装置等)等である。
操作部1400は、マットレス10を操作することができるが、併せてベッド本体20を操作できてもよい。また、操作部1400は、ベッド本体20の操作部に、マットレス10の操作が可能な操作ボタンとして追加されてもよい。
表示部1500は、操作者にマットレスの状態や、操作の状態を表示する。表示部1500は、LEDランプや、7セグメントを利用したLED、液晶ディスプレイ、有機ELパネル等といった何れかの表示装置である。また、表示部1500は、端末装置が接続される場合は当該端末装置の表示装置を利用する。また、表示部1500は、操作部1400に設けられてもよいし、タッチ操作可能なタッチパネルとして、操作部1400と一体に構成されてもよい。
報知部1550は、利用者や操作者に報知を行う。報知部1550は、例えばスピーカ等によりアラーム音や、警告音を出力したり、表示部1500に警告表示を行ったり、振動装置により振動を行ったり、発光装置によりフラッシュを行ったりすることで、種々の報知を行う。
検知部1600は、種々の状態を検知するセンサである。例えば、検知部1600は、圧力センサによりエアセルの圧力を検知したり、角度センサによりマットレス10の状態からベッド本体20の状態を検知したりすることができる。各センサは、マットレス10に内蔵されてもよいし、外部に設けてもよい。また、ベッド本体20に設けられたセンサが検知した値を取得してもよい。本実施形態では、例えばセンサ部150である。
また、検知部1600が、センサ部150として機能する場合、測定部1602を更に有していてもよい。測定部1602は、例えば、静電容量の変化を測定する。そして、測定部1602は、変化した静電容量の変化値を制御部1000に出力する。なお、測定部1602は、制御部1000により実現してもよい。
なお、図10(a)の構成は、その他に必要な機能を備えてもよい。例えば、他の端末装置と通信を行うための通信部を備えてもよい。また、必要に応じた構成だけを備えてもよい。例えば、マットレス10は、少なくとも制御部1000、記憶部1300を有していればよく、操作部1400、表示部1500、報知部1550、検知部1600は必要に応じて備えればよい。
また、図10(a)は、システム1(マットレス10)の全体を説明する図である。例えば、具体的な構成の一例を図10(b)に示す。図10(b)のマットレス10は、ポンプユニット182に制御装置と、ポンプ(図3のポンプ180)とを含んでいる。そして、制御装置は、ポンプ180を制御することで、エアセルに空気を吐出したり、エアセルから空気を吸気したりし、エアセルの圧力を制御する。
また、ポンプユニット182は、制御装置として制御部1000及び記憶部1300を有している。また、ポンプユニット182は、操作パネル185と、検知部1600と接続する。
操作パネル185は、操作パネル185自体を制御する制御部1002と、操作部1400と、表示部1500と、報知部1550とを有している。操作パネル185は、制御部1000に操作信号を出力する。また、操作パネル185は、制御部1000から受信した信号に基づき、表示を行ったり、報知を行ったりする。
また、検知部1600は、例えばセンサ部150であり、必要に応じて追加することが可能である。
ポンプユニット182、操作パネル185、検知部1600は、必要な情報が送受信される。例えば、操作装置に制御部1000や、記憶部1300を備えている場合は、操作パネル185が、直接ポンプ180を制御してもよい。
また、操作装置の代わりに、スマートフォン等の端末装置で実現してもよい。端末装置が、操作パネル185として実現するようなアプリケーションをインストールし、実行することで実現可能となる。同様に、他の構成もマットレスと、他の制御装置とどちらで実現してもよい。
また、ポンプユニット182は、ベッド本体20と接続してもよい。ベッド本体20と接続することにより、例えばボトムの制御を行ったり、ボトム角度を検出したりすることが可能となる。
なお、ポンプユニット182は、制御装置(制御部1000及び記憶部1300)が、ポンプ180の制御基板に一体として構成されてもよいし、ポンプ180と接続した別構成であってもよい。
[6.寝位置の判定]
[6.1 陽極が複数ある場合]
判定部1010がマットレス10における利用者の位置(寝位置)を判定する方法について説明する。
図11(a)(b)は、利用者がマットレス上に位置する場合の静電容量の変化量(変化値)を示した図である。すなわち、離床状態(マットレス上に利用者がいない状態)から、在床状態(マットレス上に人がいる状態)となった場合に、測定部1602が測定した静電容量の変化値を示しているグラフである。
図11(a)は、利用者がマットレス10の中央に寝た場合の静電容量の変化を示すグラフである。縦軸は離床状態からの静電容量の変化値(pF)を示している。また、左側のグラフは、利用者の臀部右側に配置された陽極152が測定した静電容量の変化値を示している。右側のグラフは、利用者の臀部左側に配置された陽極152が測定した静電容量の変化値を示している。
この場合、離床状態からの静電容量の変化値は、臀部右側は0.70pFであり、臀部左側は0.80pFである。すなわち、左右のセンサ(陽極152)ともほぼ同じ静電容量の変化値が測定されている。
それに対して、図11(b)は、利用者がマットレス10の端部に寝た場合の静電容量の変化を示すグラフである。この場合、離床状態からの静電容量の変化値は、臀部右側が0.20pFであり、臀部左側が1.00pFである。
このように、利用者がマットレス10の端部に寝た場合、どちらかの一方のセンサ(陽極152)の静電容量の変化量(図11(b)では臀部左)は、他方のセンサ(陽極152)の変化量(図11(b)では臀部右)の2倍以上変化する。
判定部1010は、この変化量を取得することで、利用者がマットレスのどちら側にずれて寝ているのか、位置しているのかを判定することができる。
なお、センサ部150は、陽極152を2つ設けた場合を説明したが、3つ以上の場合も同様である。陽極は、を3つ以上設けることにより、例えば短手方向のみならず、長手方向の位置のずれについても寝位置を判定できる。陽極を増やすことで体の部位ごとに寝位置をより細かく判定でき、またマットレス上の寝位置を検出可能な範囲を広げることができる。
[6.2 陽極が1つの場合]
なお、判定部1010がマットレス10における利用者の位置(寝位置)を判定する場合、陽極152が1つであってもよい。この場合、判定部1010は、他のパラメータと併せて利用者の寝位置を判定する。
例えば、判定部1010は、測定部1602により測定された静電容量の変化値1つと、セルの内圧情報や、体重設定値と組み合わせて寝位置を判定する。
(1)内圧変化との組み合わせ1
制御部1000は、エアセル(メインセル120)の排気時間から利用者の体重を推定する。図11(c)は、排気時間と内圧の変化を利用者の体重毎に測定した図である。図11(c)に示すように、内圧2kPaから、0.5kPaまでの排気時間は、利用者の体重が30kgの場合は32秒、59kgでは40秒、78kgでは49秒かかる。これより、このように利用者の体重と、排気時間とは相関関係を有する。したがって、制御部1000は、排気時間から利用者の体重を推定する。
ここで、離床状態から臥床状態へ変わった場合、寝位置センサの静電容量の変化値は、体重によって異なる。ここで、利用者がマットレス10の中央(真ん中)にいる場合の静電容量の変化値と、マットレス10の端部にいる場合の静電容量の変化値とを体重毎に記憶したテーブルを予め記憶部1100に記憶する。
そして、判定部1010は、当該テーブルを参照することにより、利用者の体重と、静電容量の変化値とに基づいて、利用者の寝位置を判定する。
図12(a)は、体重19kg、42kg、64kgの利用者について、寝位置ごとの静電容量値の離床状態からの変化量を示した図である。図12(a)に示すように、中心から離れているほど、中心に配置したセンサの静電容量値の変化量は小さくなる。
例えば、判定部1010は、静電容量値が0.22と測定されても、利用者の寝位置は特定できない。しかし、利用者の体重といった異なるパラメータと組み合わせることで、判定部1010は、利用者の寝位置を判定することができる。
なお、利用者の体重が特定されれば、相関関数により算出された静電容量値と、実際に測定された静電容量の変化値とを比較することで、利用者の寝位置を判定してもよい。
(2)内圧との組み合わせ2
なお、制御部1000が利用者の体重を推定する方法は、エアセルの内圧の上昇に基づいてもよい。エアセル(メインセル120)の上に利用者が臥床すると、エアセルの内圧が上昇する。図12(b)は、利用者の体重と内圧の変化とを測定した図である。図12(b)は、内圧が2.5kPaのエアセルに、20kg、40kg、60kgの利用者が臥床した場合の内圧の増加量を示す図である。
このように、制御部1000は、内圧の増加量から利用者の体重を推定する。そして、判定部1010は、利用者の体重と、静電容量の変化値とに基づいて、利用者の寝位置を判定する。
(3)体重を設定
なお、制御部1000がパラメータとして使用する利用者の体重は、操作部1400により設定されてもよい。この場合、判定部1010は、設定された利用者の体重と、静電容量の変化値とに基づいて、利用者の寝位置を判定してもよい。
[7.処理の流れ]
本実施形態の処理の流れについて、説明する。
[7.1 第1処理]
図13は、制御部1000が実行する第1処理を示すフローチャートである。まず、制御部1000は、利用者に応じて制御パターンを決定する(ステップS102)。
制御パターンは、判定部1010の処理として定義されていてもよいし、記憶部1300に1又は複数記憶されていてもよい。制御パターンは、例えば、エアセル(サブセル130)の動作順、動作箇所、動作時間、動作回数、動作圧力、動作速度といったものを組み合わせて記憶している。また、サブセル130だけでなく、メインセル120との組み合わせの動作を記憶してもよい。
そして、制御部1000(体位変換部1020)は、制御パターンに応じてサブセル130を制御する(ステップS104)。すなわち、体位変換部1020により、体位変換動作が実行される。
体位変換動作が実行中に、判定部1010は、利用者の寝位置を判定する(ステップS106)。ここで、利用者の寝位置は、「6.寝位置の判定」で説明した方法で判定すればよい。
つづいて、判定部1010は、利用者の位置(寝位置)が特定位置にあるかを判定する(ステップS108)。ここで、特定位置とは、マットレス10の端部近傍のことをいい、マットレス10から所定の範囲のことをいう。例えば、マットレス右端部から100mm、左端部から100mmといった領域を、特定位置という。
また、利用者の身体の中心がマットレスの中心から所定の距離以上離れた場所を特定位置としてもよい。例えば、マットレスの中心から好ましくは230〜260mm、更に好ましくは250mm以上左右にずれた位置を特定領域としてもよい。すなわち、判定部1010は、利用者の身体の中心が、マットレスの中心から250mmずれた場合、利用者は特定位置にあると判定する。
図14は、利用者Pとマットレス10を模式的に示した図である。ここで、マットレス10は、マットレスの長手方向端部から所定の領域R100を特定位置としている。判定部1010は、この領域R100に、利用者の寝位置があるかを判定する。
制御部1000は、利用者の位置が特定位置にある場合には、利用者の位置に応じて制御パターンを変更する(ステップS110)。
例えば、利用者がマットレス10の右側の特定領域の中に位置している場合、制御部1000は、右側にあるサブセル(サブセル130SR、サブセル130WR)(以下、制御の対象となるサブセルを「特定のサブセル」という。)の動作を無効化する。これにより、制御部1000は、制御パターンに右側にあるサブセル130SR、サブセル130WRの膨縮動作を停止したり、排気して内圧を大気圧と同じにしたりする制御を行う。
また、制御部1000は、残りのサブセル130(通常のサブセル)については、膨縮動作を継続する。この場合、制御部1000は、ポンプ180を制御することにより、左側にあるサブセル130SL、サブセル130WLについては吸気/排気を行い、膨縮動作を行う。
制御部1000は、動作終了の操作や割込みがあるまでは、上記処理を繰り返し実行する(ステップS112;No→ステップS104)。制御部1000は、例えば利用者やスタッフ等から動作の中止が操作された場合、制御パターンによって動作が終了することが決められていた場合、離床の検知等により動作の中止の割込みがあった場合、図13の処理を終了する(ステップS112;Yes)。
なお、制御部1000は、ステップS110において制御パターンを変更するとは、特定のサブセルの動作を無効化する、特定のサブセルの膨縮を停止することを例に説明した。それ以外にも、制御部1000は、サブセルの制御を切り替えてもよい。
例えば、制御部1000は、膨縮するサブセルの動作回数を変更してもよい。例えば、制御部1000は、左側のサブセルを2回膨縮した後、右側のサブセルを1回膨縮する制御に切り替えてもよい。
また、制御部1000は、膨縮するサブセルの動作時間、動作速度を変更してもよい。すなわち、制御部1000は、ポンプ180を制御し、給気/排気する量を異なる量としてもよい。例えば、ポンプ180は、サブセルを膨張させるために、通常のサブセルは第1の出力で給気するが、特定のサブセルは第1の出力(例えば、Duty36%、閉鎖圧力15kPa)より小さい第2の出力(例えば、Duty27%、閉鎖圧力11kPa)で給気してもよい。これにより、特定のサブセルは、他のサブセルと比較して、ゆっくりと膨張する(動作時間が長くなる)。
また、制御部1000は、サブセルに給気する量を切り替えてもよい。例えば、制御部1000は、サブセルに対して、通常のサブセルは第1の時間ポンプ180を作動させる。そして、制御部1000は、特定のサブセルは第1の時間(例えば、49秒)と異なる時間(例えば、第1の時間より少ない時間)(例えば29秒)だけポンプ180を作動させる。これにより、特定のサブセルは、他のサブセルと比較して給気された量が少なくなり、膨張の大きさが小さくなる。また、制御部1000は、時間でなくポンプ180を作動させる圧力を制御してもよい。例えば、制御部1000は、第1の圧力(例えば、4kPa)と、第1の圧力より小さい圧力である第2の圧力(例えば、3kPa)をポンプ180に指定してもよい。
[7.2 第2処理]
図15の第2処理は、更に利用者の姿勢に応じて制御パターンを変更する処理である。なお、図13の第1処理と異なる点を中心に説明する。
第2処理では、判定部1010は、利用者の姿勢が特定姿勢であることを判定する(ステップS202)。ここで、特定姿勢とは、制御テーブルに記憶されている姿勢でもよいし、予め制御パターンを変更する姿勢として記憶されているものであってもよい。
そして、制御部1000は、利用者の姿勢が特定姿勢である場合には、利用者の姿勢に応じて制御パターンを変更する(ステップS202;Yes→ステップS204)。
ここで、制御パターンは種々の組み合わせを含めることができる。例えば、図16(a)は、制御パターンを示すテーブルの一例である。例えば、利用者が仰臥位の場合、制御部1000は、サブセル130WR(第1サブセル)→サブセル130SR(第2サブセル)→サブセル130SL(第3サブセル)→サブセル130WR(第4サブセル)の順に膨縮を繰り返す制御を行う。
なお、制御部1000は、各サブセル130を1つずつ膨縮してもよいし、1連の動作として膨縮してもよい。例えば、制御部1000は、第1サブセルを膨張、収縮させた後に、第2サブセルを膨縮、収縮と1つずつ膨縮してもよい。また、制御部1000は、第1サブセルを膨張、第2サブセルを膨張・・・とし、全てのサブセルを膨張した後に、第1サブセルを収縮、第2サブセルを収縮・・・としてもよい。
また、制御部1000は、これらの膨縮動作を制御テーブルに基づいて制御してもよい。例えば、制御パターンは、膨縮の順序だけを記憶してもよいし、膨張と収縮の順序とを分けて記憶してもよい。
図16(b)に示すように、利用者の姿勢が右斜め横向きの場合、制御部1000は、第1サブセル(サブセル130WR)→第3サブセル(サブセル130SL)の順に膨縮を繰り返す。ここで、右斜め横向きとは、例えば垂直から30度右斜めに利用者Pが向いている状態をいう。
また、図16(c)に示すように、利用者Pが右斜め横向きの場合、制御部1000は、第1サブセル(サブセル130WR)→第2サブセル(サブセル130SR)の順に膨縮を繰り返す。
なお、制御部1000は、このときサブセルの圧力を変化してもよい。例えば、利用者の姿勢が右斜め横向きの場合、制御部1000は、第3サブセル(サブセル130SL)の内圧を、第1サブセル(サブセル130WR)より高くしてもよい。
また、利用者の姿勢が右横向きの場合、制御部1000は、第3サブセル(サブセル130SL)の内圧と、第1サブセル(サブセル130WR)の内圧を同じにしてもよい。
また、記憶部1300が記憶するサブセルの制御パターンは、動作順、動作箇所以外にも、種々記憶することができる。例えば、制御パターンは、動作時間、動作回数、動作圧力、動作速度といったものを記憶してもよい。
制御部1000は、図13で説明した様に、サブセルの制御を切り替えるとは、単にサブセル130を無効化(膨縮を停止する)だけでなく、サブセルの動作回数や、動作時間、動作速度等を切り替えることが可能である。
なお、ステップS106の判定処理では、判定部1010は、利用者の寝位置だけでなく、利用者の姿勢についても判定する。判定部1010は、例えば、測定部1602が測定した信号に基づいて姿勢を判定する。判定部1010が判定する姿勢は、仰臥位、側臥位(右側臥位、左側臥位)といった姿勢や、端座位、半座位、長座位といった姿勢を判定することができる。ここで、判定部1010が姿勢を判定する方法として、以下いくつか説明する。
(1)静電容量の変化値
センサ部150により測定された静電容量の変化から利用者の姿勢を判定する。例えば、判定部1010は、左右の陽極152の静電容量の変化が均等であれば仰臥位、片方の陽極152の静電容量の変化が大きければ横臥位であることを判定する。
また、記憶部1300は、静電容量の変化値と、姿勢とを対応付けたテーブルを記憶してもよい。判定部1010は、センサ部150により測定された静電容量の変化値に基づいて、テーブルから姿勢を判定する。
静電容量の変化の例について、図16(d)を使って説明する。図16(d)は、体重50kgの利用者と、体重71kgの利用者の寝位置と姿勢に対する静電容量値の例を示している。
図16(d)では、利用者がマットレスの中央にいる場合の仰臥位と側臥位との静電容量、利用者の身体の中心がマットレスの中央から左に150mmずれた位置にいるときの仰臥位と側臥位との静電容量である。
ここで、利用者が中央で仰臥位の場合、左右の静電容量値はほぼ同じとなる。また、中央で仰臥位から側臥位となった場合、左右の片側の静電容量値が仰臥位からほぼ変わらず、反対側が半分近くになる。また、利用者の身体の中心がマットレスの中央から150mm左にあり仰臥位の場合、中央で仰臥位のときの左右の静電容量値の和と、左側だけの静電容量値がほぼ同じにとなる。また、利用者の身体の中心がマットレスの中央から150mm左にあり仰臥位から側臥位となった場合、左右の静電容量値はそれほど変わらないが、左右の和が僅かに少なくなる。
このように、静電容量値を、利用者の体重や、両者の位置と対応付けて記憶する。これにより、判定部1010は、記憶されたテーブルを利用して利用者の姿勢を判定する。
また、判定部1010は、利用者の側臥位の特徴を変化の仕方から捉え、その変化量の大きさから完全な側臥位か、または30度側臥位かを判定することができる。
また、判定部1010は、利用者の移動や姿勢の変化をし終わった後の結果からのみ判定するのではなく、移動や姿勢を変えている最中にも、同じような静電容量値の特徴を持ちながら変化するため、途中の段階で予知的に動作を判定することができる。
(2)機械学習
センサ部150により測定された静電容量の変化から利用者の姿勢を判定する。例えば、記憶部1300は、静電容量を入力値として、姿勢を出力する学習済みの辞書(学習辞書)を記憶している。判定部1010は、センサ部150により取得された静電容量の変化値から、学習辞書を参照し、姿勢を判定する。
(3)姿勢判定装置
判定部1010は、例えば別に接続された姿勢判定装置から姿勢を判定してもよい。姿勢判定装置は、例えば赤外線や、カメラの画像を解析することにより利用者の姿勢を取得する。また、判定部1010は、ベッド装置に備え付けられた荷重センサが取得した荷重値の変化から、利用者の姿勢を判定してもよい。
[8.効果]
このように、本実施形態によれば、利用者の体位変換動作を行う場合に、利用者の寝位置が端部近傍に移動した場合に、体位変換を行うサブセルを自動的に無効化することが可能となる。また、利用者の体位変換動作を行う場合に、利用者の姿勢に応じて適切な制御パターンを選択することができる。
本実施形態によれば、体位変換動作による利用者の転落を防止することができる。また、本実施形態によれば、体位変換動作による利用者のずれを防ぐことが可能となる。
また、本実施形態によれば、無効化されたサブセル以外のサブセルは動作を継続するために、体位変換の効果が失われることがない。また、本実施形態によれば、利用者の姿勢に応じて制御パターンが変化することから、利用者の状態に応じて適切な体位変換を行うことができる。
[9.変形例]
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も特許請求の範囲に含まれる。
また、実施形態において各装置で動作するプログラムは、上述した実施形態の機能を実現するように、CPU等を制御するプログラム(コンピュータを機能させるプログラム)である。そして、これら装置で取り扱われる情報は、その処理時に一時的に一時記憶装置(例えば、RAM)に蓄積され、その後、各種ROMやHDDの記憶装置に格納され、必要に応じてCPUによって読み出し、修正・書き込みが行なわれる。
ここで、プログラムを格納する記録媒体としては、半導体媒体(例えば、ROMや、不揮発性のメモリカード等)、光記録媒体・光磁気記録媒体(例えば、DVD(Digital Versatile Disc)、MO(Magneto Optical Disc)、MD(Mini Disc)、CD(Compact Disc)、BD等)、磁気記録媒体(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスク等)等の非一時的な記録媒体であれば何れであってもよい。また、ロードしたプログラムを実行することにより、上述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムの指示に基づき、オペレーティングシステムあるいは他のアプリケーションプログラム等と共同して処理することにより、本発明の機能が実現される場合もある。
また、市場に流通させる場合には、可搬型の記録媒体にプログラムを格納して流通させたり、インターネット等のネットワークを介して接続されたサーバコンピュータに転送したりすることができる。この場合、サーバコンピュータの記憶装置も本発明に含まれるのは勿論である。
また、上述した実施形態における各装置の一部又は全部を典型的には集積回路であるLSI(Large Scale Integration)として実現してもよい。各装置の各機能ブロックは個別にチップ化してもよいし、一部又は全部を集積してチップ化してもよい。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路又は汎用プロセッサで実現しても良い。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いることも可能であることは勿論である。
[9.1 サブセルの構成]
上述した実施形態は、サブセルは全て同じ形状として説明したが、形状が異なっていてもよい。例えば、上半身側に配置サブセルは、利用者の腰椎の両脇から肩甲骨外側縁に向かって沿うような形状であればよい。
例えば、図17に示すように、サブセル130は、V字型に配置されてるような形状でなくてもよい。図10のサブセル230は、利用者の腰椎の両脇から肩甲骨外側縁を、サブセル230が有しているR形状の領域R230aにより支持される。このように、サブセルは、利用者の腰椎の両脇から肩甲骨外側縁に向かって沿う場所の近傍にR形状を有しているものであればよい。
また、サブセル130は上述した実施形態では左右に分離していたが、一体に形成されていてもよい。例えば、図18で示すように、サブセル235は、1つのサブセルとして形成されている。サブセル235は、2つのサブセルをエアセルフィルム等で一体につなげて形成してもよいし、一つのエアセルの中に壁を設けることによりR形状の膨らみができるように形成してもよい。
[9.2 マットレスの構成]
上述した実施形態は、マットレスはエアセルとして説明したが、それ以外の構成であってもよい。例えば、図19に示すように、上カバー100a、下カバー102aの間にあるマットレスはウレタンマットレス122であってもよい。このとき、サブセル130は、図19に示すようにウレタンマットレス122の下に配置する。なお、サブセル130は、ウレタンマットレス122の上に配置してもよい。
[9.3 サブセルの配置]
上述した実施形態では、サブセル130は、エアマットレスを構成するメインセル120の下や、メインセル120の上といったマットレス内の設けることとして説明した。しかし、サブセル130は、マットレスと別構成であってもよい。
例えば、図20は、サブセル130が、マットレス10の下に配置されるアンダーレイ型となっている。この場合、マットレス10は、既存のマットレスであればよく、手軽に上述した実施形態のサブセル130を配置することができる。これにより、専用のマットレスを用意しなくても、既存のマットレスに手軽にサブセルによる体位変換機能を提供することができる。なお、サブセル130は、既存のマットレスの上に敷くオーバーレイ型であってもよい。
すなわち、サブセル130は、1枚のシートで構成されてもよい。例えば、図13のサブセルシート190は、複数の空間を有している。この空間に、ポンプ180から空気が供給されることにより、空間が膨張し、サブセルとして機能する。すなわち、ポンプ180から、シートに設けられた空間に空気が給排気されることで、空間が膨縮するため、サブセルと同様の機能を有する。
このように、シート状にサブセルを一体に形成したサブセルシート190の場合、サブセルシート190をマットレス10の下に設置するだけで同様の効果が期待できる。また、サブセルシート190は、マットレス10の上に設置してもよい。
[9.4 ボトム構成]
また、上述した実施形態では、ベッド本体のボトムの構成として、背ボトム、湾曲ボトム、膝ボトム、足ボトムを備えるものを中心に説明したが、当該構成に限定されるものではない。例えば、一般的に湾曲ボトムは、背ボトムの機能を有していてもよいし、腰ボトムの機能を有していてもよい。また、ボトムの構成のうち、足ボトムは、膝ボトムと一体の構成であってもよい。また、背ボトムが、複数に分割されることで、湾曲ボトムと同じ効果(例えば、分割された背ボトムのうち、足側にある背ボトムが利用者の腰を支持する効果)を奏する構成であってもよい。湾曲ボトムは、腰ボトムと表すこともできる。