JP2021193982A - 標識化解析対象タンパク質の安定発現細胞株、その製造方法及びそれを製造するためのキット - Google Patents

標識化解析対象タンパク質の安定発現細胞株、その製造方法及びそれを製造するためのキット Download PDF

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Abstract

【課題】細胞に対して、内在プロモーターによって解析対象タンパク質の発現制御が適切になされる位置に、解析対象タンパク質の発現遺伝子を含む複数の核酸配列を導入することにより、生理的レベルでタグや蛍光タンパク質等で標識された解析対象タンパク質を発現する安定発現株を高効率で得られるようにする。【解決手段】本発明に係る標識化解析対象タンパク質の安定発現細胞株は、ゲノムにおける内在の解析対象タンパク質の遺伝子座において、前記解析対象タンパク質の5’非翻訳領域に、前記解析対象タンパク質が標識化された外来の標識化解析対象タンパク質をコードする核酸配列及び外来の薬剤耐性遺伝子配列を有し、前記内在の解析対象タンパク質の発現プロモーターにより、前記外来の標識化解析対象タンパク質の発現が制御される。【選択図】図1

Description

本発明は、標識化解析対象タンパク質の発現細胞株、その製造方法及びそれを製造するためのキットに関し、特に外来の標識化解析対象タンパク質を内在プロモーターの制御下において生理的レベルで発現する細胞、並びにそのような細胞を高効率で製造するための方法及びキットに関する。
従来から、細胞内におけるタンパク質の局在解析には、解析対象のタンパク質に特異的に結合する抗体が利用されている。このような解析を正確に行うためには、品質が高く、特異性が極めて高い抗体を用いる必要があるが、通常そのような抗体を入手することは困難であることが多い。また、生きた細胞内におけるタンパク質の挙動解析には抗体を用いることはできない。
これらの問題を解決するために、小分子タグや蛍光タンパク質に融合された解析対象タンパク質を発現する発現ベクターを細胞に導入し、外来プロモーターにより一過性に当該タンパク質を強制発現させる方法や、プロモーターを含む発現ユニットと薬剤耐性遺伝子とを対象細胞のゲノムに挿入して安定発現細胞株を得る方法等が用いられている。これらの方法により、解析対象タンパク質に融合された小分子タグや蛍光タンパク質を指標として、生きた細胞内においても解析対象タンパク質の挙動を解析することができる。
しかしながら、これらの方法を用いた場合、解析対象タンパク質は、外来プロモーターで発現されているため、そのような発現は生理的発現レベルから逸脱するものであり、また、安定発現細胞株においては、遺伝子サイレンシングによる発現レベルの低下や消失の問題もある。このような問題について、近年、CRISPR(Clustered Regularly Interspaced Short Palindromic Repeats)/Cas(CRISPR-associated)9系に代表される部位特異的なヌクレアーゼを利用したゲノム編集によって解析対象タンパク質をコードするゲノム上の遺伝子に直接にタグや蛍光タンパク質をコードする配列を挿入することが可能となったため、上記の問題をほぼ解決できるようになった。
ゲノム編集による配列挿入の代表的な方法として、相同組換え修復を利用したHDR(homology-dependent recombination)法が知られている。しかしながら、HDR法では、目的の対象タンパク質の遺伝子の直下にタグ又は蛍光タンパク質をコードする配列を挿入するために、タグ又は蛍光タンパク質をコードする配列の両側に5’組換えアーム配列と3’組換えアーム配列を備えたターゲッティングベクターを構築する必要があり、このようなベクターの構築は煩雑である。さらに、このようなターゲッティングベクターを構築して細胞に導入したとしても、そもそも相同組換え修復が起こる確率が低いため、タグや蛍光タンパク質がノックインされた細胞の取得率が低い。
また、上記HDR法以外のゲノム編集方法として、2−hit−2−oligo法(特許文献1)、PITCH法(MMEJ:microhomology-mediated end-joining法)(特許文献2)、HITI(homology-independent targeted integration)法(特許文献3)及びHITI類似法(非特許文献1)等が知られている。
特許文献1の2−hit−2−oligo法の場合、アーム配列は不要である点でHDR法よりも好ましいが、人工ヌクレアーゼシステムG、ドナーDNA及び二種類の一本鎖オリゴヌクレオチドといった4つの導入物をゲノムに挿入する必要があり、導入物が多く所望のノックイン細胞が得られる効率が高いとは言えない。特許文献2のPITCH法の場合では、ゲノムにおける所望の切断部位への所望配列の挿入後に当該部位がマイクロホモロジー媒介性末端結合によって結合されることを利用するため、相同組換え効率が低い発生段階の細胞などに対しても、所望の核酸を正確に高頻度で挿入することができる。
特許文献3のHITI法の場合、ドナーベクター上で挿入配列の前後又は直前にターゲット部位と同じガイドRNA認識サイト及びPAM配列を導入し、切断されたドナー配列がゲノムの切断箇所に挿入されるように構成されており、相同組換え修飾が起こらない非分裂細胞においてもゲノム編集を可能とする。非特許文献1のHITI類似法では、原理はHITI法と同じであり、挿入部位のターゲット配列と同一のターゲット配列を挿入したドナーベクターを共に細胞に導入し、ターゲットサイトに発現ユニットと薬剤耐性遺伝子とを挿入し、当該薬剤による選択によってノックイン細胞を得ることができる。
国際公開第2016/080399号 特許第5900942号公報 特表2019−524098号公報
Yohei Katoh 他,Molecular Biology of the Cell, Vol.28, No.7, p898-906, 2017.
しかしながら、上記いずれの方法を用いた場合であっても、所望の解析対象タンパク質をコードするゲノム上の遺伝子に直接にタグや蛍光タンパク質をコードする配列を挿入するには、フレームシフトの問題があり、タグや蛍光タンパク質が融合された所望の内在タンパク質を正常に発現する安定細胞株を高い取得率で得られるとは言えない。また、ターゲットサイトに発現ユニットと薬剤耐性遺伝子とを挿入し、当該薬剤による選択によって安定細胞株を得る方法も考えられるが、上述の通り、この方法では外来の発現プロモーターも共に挿入されるため、発現レベルが過剰発現となり、すなわち非生理条件での発現となり、また、遺伝子サイレンシングの問題も生じ得る。従って、未だ、生理的レベルでタグや蛍光タンパク質等で標識された解析対象タンパク質を発現する安定発現株を高効率で得る方法が求められている。
本発明は、前記問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、細胞に対して、内在プロモーターによって解析対象タンパク質の発現制御が適切になされる位置に、タグや蛍光タンパク質等で標識された解析対象タンパク質の発現遺伝子を含む核酸配列を導入することにより、生理的レベルで標識化解析対象タンパク質を発現する安定発現株を高効率で得られるようにすることにある。
前記の目的を達成するために、本発明者らは、鋭意研究の結果、ゲノム編集を利用して標識化された外来の解析対象タンパク質をコードする核酸配列及び外来の薬剤耐性遺伝子配列を、細胞のゲノム上における内在の解析対象タンパク質の遺伝子座における5’非翻訳領域に挿入することで、標識化解析対象タンパク質を安定発現する細胞株を高効率で取得できることを見出して本発明を完成した。
具体的に、本発明に係る標識化解析対象タンパク質の安定発現細胞株は、ゲノムにおける内在の解析対象タンパク質の遺伝子座において、前記内在の解析対象タンパク質の5’非翻訳領域に、前記解析対象タンパク質が標識化された外来の標識化解析対象タンパク質をコードする核酸配列及び外来の薬剤耐性遺伝子配列が挿入されており、前記内在の解析対象タンパク質の発現プロモーターにより、前記外来の標識化解析対象タンパク質の発現が制御されることを特徴とする。
本発明に係る標識化解析対象タンパク質の安定発現細胞株では、ゲノムにおいて内在の解析対象タンパク質の5’非翻訳領域に外来の標識化解析対象タンパク質をコードする核酸配列が挿入され、内在の解析対象タンパク質の発現プロモーターにより、外来の標識化解析対象タンパク質の発現が制御されるため、当該標識化解析対象タンパク質を生理的発現レベルで発現することができる。このため、本発明に係る細胞株では、標識化解析対象タンパク質の発現が遺伝子サイレンシング等により低下又は消失することが無く、当該タンパク質を生理的発現レベルで安定的に発現することができる。従って、本発明に係る細胞株によると、所望の解析対象タンパク質の生きた細胞内での挙動をより正確に解析することが可能となる。また、本発明に係る細胞株は、さらに外来の薬剤耐性遺伝子配列を有するため、当該細胞株を取得する際に、薬剤による選択が可能であり、その結果、当該細胞株の取得率を向上できる。
本発明に係る標識化解析対象タンパク質の安定発現細胞株において、前記外来の標識化解析対象タンパク質は、タグ又は蛍光タンパク質に融合された解析対象タンパク質とすることができる。
次に、上記本発明に係る標識化解析対象タンパク質の安定発現細胞株を製造する方法は、以下の通りである。当該方法は、細胞に、標識化解析対象タンパク質をコードする核酸配列と、該核酸配列の上流に配置された標的配列と、前記標的配列を部位特異的に切断するヌクレアーゼをコードする配列とを導入する導入ステップと、前記細胞のゲノムに前記標識化解析対象タンパク質をコードする核酸配列が挿入された細胞を選択的に取得する選択ステップとを含み、前記導入ステップでは、薬剤耐性遺伝子配列をさらに導入し、前記選択ステップでは、前記導入ステップ後の細胞を薬剤存在下で培養して前記薬剤耐性遺伝子が導入された細胞のみを選択することを含み、前記標的配列は、前記細胞のゲノムにおける内在の解析対象タンパク質の遺伝子座における5’非翻訳領域に存在する配列と同一であり、前記細胞株において、前記標識化解析対象タンパク質は、前記内在の解析対象タンパク質の発現プロモーターにより発現が制御されることを特徴とする。
本発明に係る標識化解析対象タンパク質の安定発現細胞株の製造方法では、細胞に、標識化解析対象タンパク質をコードする核酸配列と、該核酸配列の上流に配置された標的配列と、前記標的配列を部位特異的に切断するヌクレアーゼをコードする配列とを導入するため、細胞内においてヌクレアーゼにより標的配列が切断され、切断部位における非相同末端結合によって、当該切断部位に標識化解析対象タンパク質をコードする核酸配列を挿入することができる。当該切断部位は、細胞のゲノムにおける内在の解析対象タンパク質の遺伝子座における5’非翻訳領域であるため、内在の解析対象タンパク質の発現プロモーターによって、外来の標識化解析対象タンパク質を発現できる。このため、上記方法で得られた細胞株は、当該標識化解析対象タンパク質を生理的発現レベルで安定的に発現することができる。また、本発明に係る製造方法では、導入ステップにおいて薬剤耐性遺伝子配列をさらに導入し、選択ステップにおいて導入ステップ後の細胞を薬剤存在下で培養して薬剤耐性遺伝子が導入された細胞のみを選択することを含むため、薬剤によって適切に標識化解析対象タンパク質をコードする核酸配列が導入された細胞株を選択することが可能であり、その結果、当該細胞株の取得率を向上できる。従って、本発明係る方法によると、上記のような簡便な方法で、所望の解析対象タンパク質の生きた細胞内での挙動をより正確に解析することを可能とする細胞株を高効率で得ることができる。
本発明に係る標識化解析対象タンパク質の安定発現細胞株の製造方法において、前記標的配列を部位特異的に切断するヌクレアーゼをコードする配列は、前記標的配列に結合するDNA結合ドメイン及び部位特異的に切断するヌクレアーゼを発現する核酸配列を含むことができる。
本発明に係る標識化解析対象タンパク質の安定発現細胞株の製造方法において、前記導入ステップは、前記標識化された解析対象タンパク質をコードする核酸配列、及び前記核酸配列の上流に配置された標的配列を含むドナーベクターと、前記DNA結合ドメイン及び前記ヌクレアーゼを発現する発現ユニットを含む発現ベクターとを前記細胞に導入することを含むことができ、前記薬剤耐性遺伝子は、前記ドナーベクターに含まれていることが好ましい。
本発明に係る標識化解析対象タンパク質の安定発現細胞株の製造方法において、前記標識化された解析対象タンパク質は、タグ又は蛍光タンパク質に融合された解析対象タンパク質とすることができる。
本発明に係る標識化解析対象タンパク質の安定発現細胞株の製造方法において、前記ヌクレアーゼは、CRISPRヌクレアーゼ、TALEN(転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ)、DNA誘導型ヌクレアーゼ、メガヌクレアーゼ及びジンクフィンガーヌクレアーゼから選択されることが好ましい。なお、前記DNA結合ドメインは、選択されたヌクレアーゼに従って適宜選択され得る。例えば、CRISPRヌクレアーゼの場合にガイドRNAが用いられ、TALENの場合にTALE(転写活性化因子様エフェクター)又は改良型TALEが用いられ、ジンクフィンガーヌクレアーゼの場合にジンクフィンガーが用いられ得る。その他、DNA結合ドメインとして、標的配列に相補的な一本鎖DNA相補的ヌクレオチド等も用いられ得る。
本発明に係る標識化解析対象タンパク質の安定発現細胞株の製造方法において、前記CRISPRヌクレアーゼは、Cas9、Cpf1、Cas12b(C2c1)、Cas13a(C2c2)、Cas13b(C2c6)及びC2c3から選択されることが好ましい。
次に、本発明に係る標識化解析対象タンパク質の安定発現細胞株を製造するためのキットは以下の通りである。当該キットは、標識化解析対象タンパク質をコードする核酸配列と、該核酸配列の上流に配置された標的配列と、薬剤耐性遺伝子配列と、前記標的配列を部位特異的に切断するヌクレアーゼをコードする配列と、核酸配列を細胞に導入するための試薬とを含み、前記標的配列は、前記細胞のゲノムにおける内在の解析対象タンパク質の遺伝子座における5’非翻訳領域に存在する配列と同一であり、前記細胞株において、前記標識化解析対象タンパク質は、前記内在の解析対象タンパク質の発現プロモーターにより発現が制御されることを特徴とする。
本発明に係る標識化解析対象タンパク質の安定発現細胞株を製造するためのキットによると、上記各配列と、核酸配列を細胞に導入するための試薬とを含むので、当該試薬によってそれらの配列を細胞内に導入することで、細胞内において標的配列がヌクレアーゼにより切断され、切断部位における非相同末端結合により、当該切断部位に標識化解析対象タンパク質をコードする核酸配列を挿入できる。当該切断部位は、細胞のゲノムにおける前記解析対象タンパク質の遺伝子座における5’非翻訳領域であるため、内在の解析対象タンパク質の発現プロモーターによって、前記外来の標識化解析対象タンパク質を発現できる。このため、上記キットで得られた細胞株は、当該標識化解析対象タンパク質を生理的発現レベルで安定的に発現することができる。また、本発明に係るキットでは、薬剤耐性遺伝子配列を含み、当該薬剤耐性遺伝子配列も導入することで、細胞を薬剤存在下で培養して薬剤耐性遺伝子が導入された細胞のみを選択できるため、薬剤によって適切に標識化解析対象タンパク質をコードする核酸配列が導入された細胞株を選択することが可能であり、その結果、当該細胞株の取得率を向上できる。従って、本発明に係るキットによると、簡便に、所望の解析対象タンパク質の生きた細胞内での挙動をより正確に解析することを可能とする細胞株を高効率で得ることができる。
本発明に係る標識化解析対象タンパク質の安定発現細胞株、その製造方法及びそれを製造するためのキットによると、標識化解析対象タンパク質を生理的発現レベルで安定的に発現することができて所望の解析対象タンパク質の生きた細胞内での挙動をより正確に解析することを可能とする細胞株を、簡便な方法で高い効率で得ることができる。
本発明の一実施形態に係る標識化解析対象タンパク質の安定発現細胞株を製造する方法において、細胞のゲノムに標識化された解析対象タンパク質をコードする核酸配列を挿入する方法を説明する概要図である。 実施例1におけるEGFP−Stam1のノックイン細胞株の取得率を評価した結果を示す図である。 実施例1におけるEGFP−α−Tubulinのノックイン細胞株の取得率を評価した結果を示す図である。 実施例1におけるArl13b−Venusのノックイン細胞株の取得率を評価した結果を示す図である。 比較例1におけるArl13b−GFPのノックイン細胞株の取得率を評価した結果を示す図である。 比較例2におけるHA標識Stam1のノックイン細胞株の取得率を評価した結果を示す図である。 実施例1におけるEGFP−Stam1のノックイン細胞株のEGFP−Stam1長期発現安定性を評価した実施例2の結果を示す図である。
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用方法或いはその用途を制限することを意図するものではない。
本発明の一実施形態は、標識化解析対象タンパク質の安定発現細胞株である。具体的に、本実施形態に係る標識化解析対象タンパク質の安定発現細胞株は、ゲノムにおける内在の解析対象タンパク質の遺伝子座において、前記内在の解析対象タンパク質の5’非翻訳領域に、前記解析対象タンパク質が標識化された外来の標識化解析対象タンパク質をコードする核酸配列及び外来の薬剤耐性遺伝子配列が挿入されており、前記内在の解析対象タンパク質の発現プロモーターにより、前記外来の標識化解析対象タンパク質の発現が制御されることを特徴とするものである。
また、本発明の他の実施形態は、上記のような細胞株を得るための方法である。具体的に、本実施形態に係る標識化解析対象タンパク質の安定発現細胞株を製造する方法は、細胞に、標識化解析対象タンパク質をコードする核酸配列と、該核酸配列の上流に配置された標的配列と、前記標的配列を部位特異的に切断するヌクレアーゼをコードする配列とを導入する導入ステップと、前記細胞のゲノムに前記標識化解析対象タンパク質をコードする核酸配列が挿入された細胞を選択的に取得する選択ステップとを含み、前記導入ステップでは、薬剤耐性遺伝子配列をさらに導入し、前記選択ステップでは、前記導入ステップ後の細胞を薬剤存在下で培養して前記薬剤耐性遺伝子が導入された細胞のみを選択することを含み、前記標的配列は、前記細胞のゲノムにおける内在の解析対象タンパク質の遺伝子座における5’非翻訳領域に存在する配列と同一であり、前記細胞株において、前記標識化解析対象タンパク質は、前記内在の解析対象タンパク質の発現プロモーターにより発現が制御されることを特徴とするものである。
さらに、本発明の他の実施形態は、上記のような細胞株を得るためのキットである。具体的に、本実施形態に係る標識化解析対象タンパク質の安定発現細胞株を製造するためのキットは、標識化解析対象タンパク質をコードする核酸配列と、薬剤耐性遺伝子配列と、該核酸配列の上流に配置された標的配列と、前記標的配列を部位特異的に切断するヌクレアーゼをコードする配列と、核酸配列を細胞に導入するための試薬とを含み、前記標的配列は、前記細胞のゲノムにおける前記解析対象タンパク質の遺伝子座における5’非翻訳領域に存在する配列と同一であり、前記細胞株において、前記標識化解析対象タンパク質は、前記内在の解析対象タンパク質の発現プロモーターにより発現が制御されることを特徴とするものである。
本実施形態に係る細胞株を得るために、ゲノム編集の技術を利用し、特にHITI法の技術を利用する。そのために、例えば周知のCRISPR/Cas系を利用することができる。CRISPR/Casは、ヌクレアーゼ(RGN;RNA-guided nuclease)とDNA結合ドメインとして機能するガイドRNA(gRNA)を使用する。ヌクレアーゼとしてはタイプI、II、IIIが挙げられ、中でもタイプIIのヌクレアーゼが好ましく、Cas9が特に好ましいが、Cas9以外のヌクレアーゼを使用してもよい。このような、Cas9とガイドRNAにより、標的配列に対して部位特異的にDNA二本鎖切断が生じる。なお、本実施形態において、Cas9以外のCRISPRヌクレアーゼを用いてもよく、例えばCpf1、Cas12b(C2c1)、Cas13a(C2c2)、Cas13b(C2c6)及びC2c3等のヌクレアーゼを用いても構わない。さらに、所望の部位の切断を可能であれば、CRISPR/Cas以外の系を用いてもよく、CRISPRヌクレアーゼ以外のヌクレアーゼを利用することもでき、例えばTALEN、DNA誘導型ヌクレアーゼ、メガヌクレアーゼ及びジンクフィンガーヌクレアーゼ等を利用しても構わない。例えばTALENを用いる場合、DNA結合ドメインとしてTALEが用いることができるが、高活性型TALENとして知られるPlatinum TALENでは、アミノ酸配列が改変された改良型TALEが用いられ得る。また、ジンクフィンガーヌクレアーゼの場合にジンクフィンガーが用いられ得る。DNA結合ドメインとしては、その他、標的配列に相補的な一本鎖DNA相補的ヌクレオチド等も用いられ得るが、上記標的配列に対して部位特異的にDNA二本鎖切断をする目的を達成できる限り、DNA結合ドメインの種類は特に限定されない。
上記Cas9及びガイドRNAは、例えばこれらのコード配列及びこれらの発現のためのプロモーター等を含む発現ユニットが導入されたベクターを構築して、当該ベクターを細胞内に導入することにより細胞内で発現できる。これらのベクターの構築方法は、当業者に周知であり、本技術分野における通常の方法を用いて構築することができる。当該ベクターの細胞内への導入方法は、後に説明するドナーベクターの導入方法と同じ方法を利用することができ、それらは同時に導入されることが好ましい。
一方、上記ゲノムにおける切断部位に挿入したい配列を含むドナーベクターを準備し、本実施形態において当該ドナーベクターには、ガイドRNAに結合される標的配列が設けられる。これにより、細胞内に導入されたドナーベクターは、ゲノムと同様に上記ガイドRNAにより標的配列が認識されてCas9により切断される。その後、ゲノムの切断部位と当該ドナーベクターの切断部位とが非相同末端結合されることにより、結果としてゲノムの切断部位にドナーベクターに含まれた所望の配列が挿入されることとなる。
本実施形態において、挿入すべき配列は標識化された解析対象タンパク質をコードする核酸配列である。解析対象タンパク質は、細胞内での挙動を解析したい所定のタンパク質であり、その種類は特に限定されない。当該解析対象タンパク質は、細胞内での挙動を容易に解析できるように標識化されている。標識化の手段は特に限定されないが、タグや蛍光タンパク質に融合されていることが好ましい。なお、タグや蛍光タンパク質は、解析対象タンパク質のN末側に融合されていてもよいし、C末側に融合されていてもよい。タグは、特に限定されず、本技術分野において通常用いられているものを利用でき、例えばHisタグ、FLAG(登録商標)タグ、HAタグ、GSTタグ、MBPタグ及びSTREPタグ等を用いることができる。蛍光タンパク質についても特に限定されず、本技術分野において通常用いられているものを利用でき、例えば、GFP、CFP、BFP、dsRed、mCherry、Venus等を用いることができる。
本実施形態において、ドナーベクターは、標識化された解析対象タンパク質の上流に上記標的配列が配置されている。標的配列は、細胞のゲノムにおける前記解析対象タンパク質の遺伝子座における5’非翻訳領域に存在する配列と同一の配列となる。すなわち、図1に示すように、ゲノムにおける標的配列と、ドナーベクターにおける標的配列とがCas9により部位特異的に切断され(図1の三角で示す位置)、切断されたドナーベクターの両端が、ゲノムの切断部位の端部と非相同末端結合することにより、ドナーベクターに標識化された解析対象タンパク質がコードされた配列が挿入されることとなる。
本実施形態において、上記のように細胞のゲノムに標識化された解析対象タンパク質がコードされた配列が挿入されるが、この標識化された解析対象タンパク質の発現を制御するためのプロモーターは挿入されないことが重要である。すなわち、ドナーベクターには当該標識化された解析対象タンパク質の発現を制御するための外来プロモーターは含まれていない。本実施形態において、標識化された解析対象タンパク質は、細胞のゲノムにおける内在の解析対象タンパク質の遺伝子座における5’非翻訳領域に挿入されることが重要であり、これにより、内在の解析対象タンパク質の発現制御に関わる内在のプロモーターがゲノムに挿入された標識化された解析対象タンパク質の発現制御をすることとなる。このため、上記方法で得られた細胞は、生理的発現レベルから逸脱せず、また、遺伝子サイレンシングの影響を受けずに、解析対象タンパク質を生理的発現レベルで安定的に発現することができる。その結果、当該細胞を用いることで、所望の解析対象タンパク質の生きた細胞内での挙動をより正確に解析することを可能となる。
本実施形態では、図1に示すように、標識化された解析対象タンパク質がコードされた配列において、翻訳を開始するために5’末端にはコザック配列が、また、発現されるmRNAの安定性等のために3’末端にはポリアデニル酸鎖(ポリA、pA)がそれぞれ付加されていることが好ましい。
本実施形態において、上述の通り、細胞には、標識化された解析対象タンパク質がコードされた配列のみならず薬剤耐性遺伝子が導入される。このため、導入処理後の細胞を薬剤存在下で培養することで、標識化された解析対象タンパク質がコードされた配列と共に薬剤耐性遺伝子が導入された細胞のみを容易に選択することができる。薬剤耐性遺伝子は、図1に示すように、標識化された解析対象タンパク質がコードされた配列と共に、ドナーベクターに含まれていることが好ましい。薬剤耐性遺伝子は、本技術分野において通常用いられているものを利用でき、例えばカナマイシン耐性遺伝子、ネオマイシン耐性遺伝子、アンピシリン耐性遺伝子等の種々の薬剤耐性遺伝子を用いることができる。また、ドナーベクターには、上記薬剤耐性遺伝子の発現誘導のための外来プロモーターが含まれていてもよく、さらに、発現されるmRNAの安定性等のために3’側にはpA付加シグナル配列が含まれていてもよい。
本実施形態において、用いられる細胞は、任意の細胞であり、培養細胞であってもよく、体細胞や、ES細胞又はiPS細胞などの多能性幹細胞であってもよい。細胞の由来としては、ヒトであってもよく、ウシ、ミニブタ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウサギ、イヌ、ネコ、モルモット、ハムスター、マウス、ラット、サルなどの非ヒト哺乳動物であってもよい。その他に、鳥類、ゼブラフィッシュなどの魚類、カエルなどの両生類、爬虫類、ショウジョウバエなどの昆虫類、甲殻類などでもよく、植物、菌類などでも構わない。
本実施形態において用いられるベクターは、環状のベクターであってもよく、直鎖状のベクターであってもよく、例えばプラスミドベクター、コスミドベクター、ウイルスベクター、人工染色体ベクターなどを用いることができる。
また、本実施形態において、細胞へのドナーベクター等の核酸導入方法は、特に限定されず、本技術分野において通常用いられる方法を用いることができ、例えばカチオン性脂質試薬又はカチオン性非脂質試薬等を用いた化学的方法、エレクトロポレーション等の物理的方法、ウィルスを用いた生物学的方法等を用いることができる。
以下に、本発明に係る標識化解析対象タンパク質の安定発現細胞株、その製造方法及びそれを製造するためのキットについて詳細に説明するための実施例を示す。
[実施例1]
(Cas9/ガイドRNA発現ベクターの作製)
まず、BROAD Instituteが提供しているガイドRNA(gRNA)設計ウェブサイト(https://portals.broadinstitute.org/gpp/public/analysis-tools/sgrna-design)に解析対象タンパク質(本実施例においてはStam1、α−tubulin及びArl13b)をコードする遺伝子座における5’非翻訳領域(5’UTR)を含む核酸配列を5’UTR配列全てと翻訳開始点であるスタートコドンATGの下流20塩基程度までを入力し、gRNAの標的配列の候補を得た。
得られた候補リストの中から、ATGよりも上流の5’UTRでCas9が切断するもの且つ切断効率スコアの高いものを選択した。選択した配列が標的配列となる。以下に、Stam1、α−tubulin及びArl13bの標的配列を示す。
Stam1:GTCACCCCTAGAGTGCCGCGGGG(配列番号1)
α−tubulin:CCTCGCCTCCGCCATCCACCCGG(配列番号2)
Arl13b:ACGTCAGCACGTCGACGCGGGGG(配列番号3)
標的配列として選択した配列について,プラスミドベクターに組み込むためにオーバーハング配列(センス鎖:CCG/アンチセンス鎖:AAC)を5’末端に負荷し、5’末端をリン酸化した相補的なオリゴDNAをアニーリングにより二本鎖DNAにしてプラスミドベクター(ATUM社,カタログ番号PD1301−AD,CMV−Cas9−2A−GFP Cas9−ElecD)に挿入してCas9及びgRNAを発現するプラスミドベクター(以下Cas9/gRNA発現ベクター)を構築した。以下に、Stam1、α−tubulin及びArl13bの標的配列に対応する上記オリゴDNAのセンス鎖及びアンチセンス鎖の配列を示す。
Stam1:
センス鎖:[Phos]CCGGTCACCCCTAGAGTGCCGCG(配列番号4)
アンチセンス鎖:[Phos]AACCGCGGCACTCTAGGGGTGAC(配列番号5)
α−tubulin:
センス鎖:[Phos]CCGCCTCGCCTCCGCCATCCACC(配列番号6)
アンチセンス鎖[Phos]AACGGTGGATGGCGGAGGCGAGG(配列番号7)
Arl13b:
センス鎖:[Phos]CCGACGTCAGCACGTCGACGCGG(配列番号8)
アンチセンス鎖:[Phos]AACCCGCGTCGACGTGCTGACGT(配列番号9)
(ドナーベクターの作製)
標識化Stam1、標識化α−tubulin又は標識化Arl13bを発現するプラスミドベクター(pCMV−EGFP−Stam1−Neo、pCVM−EGFP−α−tubulin−Neo、pCMV−Arl13b−venus−Neo)を準備した。pCVM−EGFP−α−tubulin−Neoは、Clontech社から入手した(型番632349)。
pCMV−EGFP−Stam1−Neoは、次の通りに作成した。まず、以下のプライマーセット(配列番号10及び11)を設計し、高精度DNAポリメラーゼ(東洋紡社、KOD Plus Neo)を用いたPCRによりStam1コーディング領域の核酸配列を増幅した。続いて、制限酵素EcoRI及びSalIを用いて、上記DNA断片とpEGFP−C2(Clontech社、型番6084−2)を消化し、Ligation High(東洋紡社、LGK−101)を用いてベクターにStam1配列を挿入し、pCMV−EGFP−Stam1−Neoを得た。
フォワード側:GAATTCatgCCTCTCTTTGCCACCAA(配列番号10)
リバース側:GTCGACctaTAGCAGAGCCTTCTGAGA(配列番号11)
pCMV−Arl13b−venus−Neoは、次の通りに作成した。まず、下記プライマーセット(配列番号12及び13)を設計し、高精度DNAポリメラーゼを用いたPCRによりArl13bコーディング領域の核酸配列を増幅した。続いて、制限酵素XhoI及びBamHIを用いて、上記DNA断片とpmCherry−N1(Clontech社、型番632523)を消化し、Ligation Highを用いてベクターにArl13b配列を挿入し、pmCherry−Arl13bを得た。
フォワード側:CTCGAGgccaccATGTTCAGTCTGATGGCCAACT(配列番号12)
リバース側:GGATCCcgTGAGATCGTGTCCTGAGCATC(配列番号13)
次に、下記プライマーセット(配列番号14及び15)を設計し、高精度DNAポリメラーゼを用いたPCRによりvenusをコードする核酸配列を増幅した。その後、制限酵素AgeI及びNotIを用いて、上記DNA断片とpmCherry−Arl13bを消化し、pmCherry−Arl13bのmcherry配列をvenus配列と置換し、pCMV−Arl13b−venus−Neoを得た。
フォワード側:ACCGGTcgccaccATGgtgagcaagggcgagg(配列番号14)
リバース側:GCGGCCGCtttacttgtacagctcgtccat(配列番号15)
上記pCMV−EGFP−Stam1−Neo、pCVM−EGFP−α−tubulin−Neo及びpCMV−Arl13b−venus−Neoの各プラスミドベクターのCMVプロモーターを、上記の通りに構築した各解析対象タンパク質遺伝子に対するgRNA標的配列に置換した。具体的に、AseIおよびNheIの2つの制限酵素でCMVプロモーター配列を除去し、それぞれの解析対象タンパク質のgRNA標的配列にAseIおよびNheIで消化した断片になるように5’側および3’側に核酸配列を付加したオリゴDNAをアニーリングにより二本鎖DNAにして、CMVプロモーターを除去したプラスミドベクターに挿入してドナーベクターを構築した。以下に、各解析対象タンパク質遺伝子の標的配列に、AseIおよびNheIで消化した断片になるように5’側および3’側に核酸配列を付加したオリゴDNA配列を示す。
Stam1:
センス鎖:[phos]taatGTCACCCCTAGAGTGCCGCGGGGg(配列番号16)
アンチセンス鎖:[phos]ctagcCCCCGCGGCACTCTAGGGGTGACat(配列番号17)
α−tubulin:
センス鎖:[Phos]taatCCTCGCCTCCGCCATCCACCCGGg(配列番号18)
アンチセンス鎖:[Phos]ctagcCCGGGTGGATGGCGGAGGCGAGGat(配列番号19)
Arl13b:
センス鎖:[Phos]taatACGTCAGCACGTCGACGCGGGGGg(配列番号20)
アンチセンス鎖:[Phos]ctagcCCCCCGCGTCGACGTGCTGACGTat(配列番号21)
(細胞へのベクターの導入)
まず、60mmプラスチック培養皿に播種したmIMCD−3細胞(ATCC CRL−2123)又はNIH/3T3細胞(ATCC CRL−1658)に対して、2μgの上記Cas9/gRNA発現ベクター、2μgの上記ドナーベクター(mIMCD−3細胞にはEGFP−Stam1又はEGFP−α−tubulinを含むドナーベクター、NIH/3T3細胞にはArl13b−venusを含むドナーベクター)及び12μgのpolyethyleneimine MAX(以下PEI−MAX;Polysciences,Inc.製)を300μLのPBS中で混合し、室温で20分間反応させた後、3mLの培養液(mIMCD−3細胞では10%牛胎児血清含有DMEM/F12培地、NIH/3T3細胞では10%牛胎児血清含有DMEM培地)が入っている培養皿に滴下し、培地とよく混合した。その半日後に培地を交換し、発現ベクターとPEI−MAXを除去して更に1日培養した。
(導入細胞の選択)
上記培養後、1mg/mLの濃度でG418を添加した培地に交換し、更に5日〜10日培養した。途中で1〜2回、1mg/mLのG418を含む新鮮な培地に交換した。
(本実施例によるノックイン細胞株の取得率の評価)
Cas9/gRNA発現ベクター、上記ドナーベクター及びPEI−MAXを加えられた後にG418で選択されたmIMCD−3又はNIH/3T3に対して、0.25%(mIMCD−3)又は0.05%(NIH/3T3)のトリプシン溶液を用いて培養皿から細胞を剥がし取り、1ウェル当たり0.2〜0.5細胞の密度で0.2〜0.5mg/mLのG418を含む80μLの培地とともに96ウェル培養プレートに播いた。
96ウェルで培養してから10日〜2週間経過したのち、コロニーを形成しているウェルから上記と同様にトリプシンを用いて細胞を剥がし取り、0.2mg/mLのG418を含む1mLの培地で満たした12ウェルプレートのウェルにそれぞれ播いた。
プレート中の細胞がウェルの100%を占めるまで増えた後、40〜60μLのSDS−PAGE用のサンプルバッファーで細胞を溶解し、SDS−PAGEでタンパク質を泳動したのち、PVDF膜にタンパク質を転写して、各解析対象タンパク質に対する抗体(Stam1:抗Stam1抗体;Cell Signaling Technology社 13053、Arl13b:抗Arl13b抗体;ProteinTech社 17711−1−AP)又は抗GFP抗体(MBL社 598)を用いてノックインが成功した細胞をスクリーニングした。
mIMCD−3細胞に対して、標識化解析対象タンパク質としてEGFP−Stam1の導入を行った場合におけるスクリーニング結果を図2に示す。図2に示すように、22細胞株中10細胞株(図2において↓が付いたレーン)にEGFP−Stam1のノックインが認められた。すなわちノックイン株取得率は45%であった。
mIMCD−3細胞に対して、標識化解析対象タンパク質としてEGFP−α−Tubulinの導入を行った場合におけるスクリーニング結果を図3に示す。図3に示すように、20細胞株中11細胞株(図3において↓が付いたレーン)にEGFP−α−Tubulinのノックインが認められた。すなわちノックイン株取得率は55%であった。
NIH/3T3細胞に対して、標識化解析対象タンパク質としてArl13b−venusの導入を行った場合におけるスクリーニング結果を図4に示す。図4に示すように、23細胞株中19細胞株(図4において↓が付いたレーン)にArl13b−venusのノックインが認められた。すなわちノックイン株取得率は83%であった。
[比較例1]
上記の通り、本発明の方法を利用することにより、高い効率で標識化解析対象タンパク質発現細胞株が得られたが、上記の通り示された取得率が極めて高いものであることを証明するために、従来の方法としてのHITI法を利用し、薬剤による選択を利用しない場合のノックイン株取得率を以下の通りに評価した。
(Cas9/ガイドRNA発現ベクターの作製)
まず、上記BROAD Instituteが提供しているgRNA設計ウェブサイトに解析対象タンパク質としてArl13bのNCBI geneID(68146)を入力し、gRNAの標的配列の候補リストを得た。得られた候補リストの中から、Cas9切断部位が翻訳領域にあるもの且つ切断効率スコアの高いものの中からできるだけ終止コドンに近いものを標的配列として選択した。標的配列として選択した配列は、以下の通りである。
GCTGTGCGACAGAGACCTAACGG(配列番号22)
上記選択した配列について、プラスミドベクターに組み込むためにオーバーハング配列(センス鎖:CCG/アンチセンス鎖:AAC)を5’末端に付加し、5’末端をリン酸化した相補的なオリゴDNAをアニーリングにより二本鎖DNAにしてプラスミドベクター(ATUM社,カタログ番号PD1301−AD,CMV−Cas9−2A−GFP Cas9−ElecD)に挿入してCas9およびgRNAを発現するプラスミドベクター(以下Cas9/gRNA発現ベクター)を構築した。上記選択した配列にオーバーハング配列を付加した相補的なオリゴDNAの配列は以下の通りである。
センス鎖:[Phos] CCGGCTGTGCGACAGAGACCTAA(配列番号23)
アンチセンス鎖:[Phos] AACTTAGGTCTCTGTCGCACAGC(配列番号24)
(ドナーベクターの作製)
次に、Arl13bのカルボキシ末端にHAタグ及びGFPを連結した標識を融合させるためのドナーベクターを構築した。まず、GFP配列の5’末端側にHAタグ配列(TACCCATACGATGTTCCAGATTACGCT:配列番号25)を3’末端側に上記の通り選択したgRNA標的配列の相補配列(CCGTTAGGTCTCTGTCGCACAGC:配列番号26)を持つHA−GFP−gRNA(Rv)配列DNA断片を作成した。具体的に、フォワード側プライマーとしてHAタグ配列とGFPのアミノ末端領域をコードする核酸配列を連結したもの(TACCCATACGATGTTCCAGATTACGCTatggtgagcaagggcgaggag:配列番号27)、リバース側プライマーとして上記選択したgRNA標的配列(GCTGTGCGACAGAGACCTAACGG:配列番号22)にGFPのカルボキシ末端領域をコードする核酸配列の相補配列を連結したもの(GCTGTGCGACAGAGACCTAACGGttacttgtacagctcgtccatgccgagagtgatCCCGGCGGCGGTCACGAACT:配列番号28)を設計し、高精度DNAポリメラーゼ(東洋紡社 KOD Plus Neo)を用いたPCRによりDNA断片を増幅した。
得られたHA−GFP−gRNA(Rv)配列DNA断片を鋳型に、上記選択したgRNA標的配列に基づいてCas9が切断する部位からArl13bのカルボキシ末端までの配列から終止コドンを除去した配列(ctaacggtgatgctcaggacacgatctca:配列番号29)の3’側にHAタグ配列(TACCCATACGATGTTCCAGATTACGCT:配列番号25)を連結し、5’側に上記で選択したgRNA標的配列の相補配列(CCGTTAGGTCTCTGTCGCACAGC:配列番号26)を連結させた配列(CCGTTAGGTCTCTGTCGCACAGCctaacggtgatgctcaggacacgatctcaTACCCATACGATGTTCCAGATTACGCT:配列番号30)をフォワード側プライマーとし、前述のリバース側プライマー(配列番号28)とともにKOD Plus Neoを用いてPCR反応により目的のDNA断片を増幅した。得られたDNA断片をpCR−Blunt II−TOPOベクターに挿入し、ドナーベクターを構築した。
(細胞へのベクターの導入)
60mmプラスチック培養皿に播種したmIMCD−3細胞(ATCC CRL−2123)、2μgのCas9/gRNA発現ベクター、2μgのドナーベクター、及び12μgのPEI−MAXを300μLのPBS中で混合し、室温で20分間反応させた後、3mLの培養液(10%牛胎児血清含有DMEM/F12培地)の入っている培養皿に滴下し,培地とよく混合した。その半日後に培地を交換し発現ベクターとPEI−MAXを除去して更に1日培養した。
(導入細胞の選択)
0.25%トリプシン溶液で細胞を剥がし取り、蛍光細胞分離装置(BD FACS Area)を用いて緑色蛍光を示す遺伝子導入された細胞を分取し、35mmプラスチック培養皿で1週間培養した。
(比較例1によるノックイン細胞株の取得率の評価)
上記培養後、培養皿から0.25%トリプシン溶液を用いて細胞を剥がし取り、1ウェル当たり0.2細胞の密度で80μLの培地とともに96ウェル培養プレートに播いた。96ウェルで培養してから2週間経過したのち、コロニーを形成しているウェルから上記と同様にトリプシンを用いて細胞を剥がし取り、1mLの培地で満たした12ウェルプレートのウェルにそれぞれ播いた。
スクリーニング用プレート中の細胞がウェルの100%を占めるまで増えた後、40〜60μLのSDS−PAGE用のサンプルバッファーで細胞を溶解し、SDS−PAGEでタンパク質を泳動したのち、PVDF膜にタンパク質を転写して、抗体(Arl13b: anti−Arl13b抗体;ProteinTech社 17711−1−AP)を用いてノックインが成功した細胞をスクリーニングした。その結果を図5に示す。
図5に示すように、比較例1の方法を用いて、標識化解析対象タンパク質としてArl13b−GFPの導入を行った場合、95細胞株中1細胞株(図5において星印が付いたレーン)にArl13b−GFPのノックインが認められた。すなわちノックイン株取得率は1.05%であった。
以上の通り、実施例1と比較例1との結果を対比すると、本発明に係る方法を用いた実施例1の方が極めて高い効率で標識化解析対象タンパク質のノックイン細胞株が得られた。すなわち、本発明に係る方法によると、標識化解析対象タンパク質のノックイン細胞株を高効率で得られることが明らかとなった。
[比較例2]
さらに、本発明に係る方法による標識化解析対象タンパク質発現細胞株の取得率が極めて高いものであることを証明するために、HITI法を利用して本発明とは異なる遺伝子座に標識化解析対象タンパク質の発現ユニットを挿入した場合のノックイン株取得率を以下の通りに評価した。
(Cas9/ガイドRNA発現ベクターの作製)
まず、上記BROAD Instituteが提供しているgRNA設計ウェブサイトに、恒常的に発現が見られてノックイン先として従来から用いられているRosa26のイントロン配列3999塩基を入力し、gRNAの標的配列の候補リストを得た。得られた候補リストの中から、切断効率スコアの高いものを標的配列として選択した。標的配列として選択した配列は、以下の通りである。
CGATGGAAAATACTCCCAGGCGG(配列番号31)
上記選択した配列について、プラスミドベクターに組み込むためにオーバーハング配列(センス鎖:CCG/アンチセンス鎖:AAC)を5’末端に付加し、5’末端をリン酸化した相補的なオリゴDNAをアニーリングにより二本鎖DNAにしてプラスミドベクター(ATUM社,カタログ番号PD1301−AD,CMV−Cas9−2A−GFP Cas9−ElecD)に挿入してCas9およびgRNAを発現するプラスミドベクター(以下Cas9/gRNA発現ベクター)を構築した。上記選択した配列にオーバーハング配列を付加した相補的なオリゴDNAの配列は以下の通りである。
センス鎖:[Phos] CCGCGATGGAAAATACTCCCAGG(配列番号32)
アンチセンス鎖:[Phos] AACCCTCGGAGTATTTTCCATCG(配列番号33)
(ドナーベクターの作製)
次に、Stam1のアミノ末端にHAタグを連結したHA標識Stam1をターゲットサイトにノックインするためのドナーベクターを構築した。まず、実施例1で作成したpCMV−EGFP−Stam1−NeoのCMVプロモーター配列の上流に上記の通り選択したgRNA標的配列を挿入した。具体的に、制限酵素AseIでpCMV−EGFP−Stam1−Neoを消化し、gRNA標的配列にAseIで消化した断片になるように5’側および3’側に核酸配列を付加したオリゴDNAをアニーリングにより二本鎖DNAにして、AseIで消化した上記のプラスミドベクターに挿入してドナーベクターを構築した。以下に、gRNA標識配列にAseIで消化した断片になるように5’側および3’側に核酸配列を付加したオリゴDNA配列を示す。
センス鎖:[phos]taatCGATGGAAAATACTCCGAGGCGGaccgtattaccgccatgcattagttAT(配列番号34)
アンチセンス鎖:[phos]TAATaactaatgcatggcggtaatacggtCCGCCTCGGAGTATTTTCCATCGat(配列番号35)
上記で作成したベクターのEGFP配列をHA配列に置換しドナーベクターを構築した。具体的に、NheIおよびEcoRIの2つの制限酵素でEGFP配列を除去し、HA配列にNheIおよびEcoRIで消化した断片になるように5’側および3’側に核酸配列を付加したオリゴDNAをアニーリングにより二本鎖DNAにして、EGFP配列を除去したプラスミドベクターに挿入してドナーベクターを構築した。HA配列にNheIおよびEcoRIで消化した断片になるように5’側および3’側に核酸配列を付加したオリゴDNA配列を示す。
センス鎖:[phos]CTAGCgctaccggtcGCCACCatgTACCCATACGATGTTCCAGATTACGCTg(配列番号36)
アンチセンス鎖:[phos]aattcAGCGTAATCTGGAACATCGTATGGGTAcatGGTGGCgaccggtagcG(配列番号37)
(細胞へのベクターの導入)
60mmプラスチック培養皿に播種したmIMCD−3細胞(ATCC CRL−2123)、2μgのCas9/gRNA発現ベクター、2μgのドナーベクター、及び12μgのPEI−MAXを300μLのPBS中で混合し、室温で20分間反応させた後、3mLの培養液(10%牛胎児血清含有DMEM/F12培地)の入っている培養皿に滴下し,培地とよく混合した。その半日後に培地を交換し発現ベクターとPEI−MAXを除去して更に1日培養した。
(導入細胞の選択)
上記培養後、1mg/mLの濃度でG418を添加した培地に交換し、更に5日〜10日培養した。途中で1〜2回、1mg/mLのG418を含む新鮮な培地に交換した。
(比較例2によるノックイン細胞株の取得率の評価)
Cas9/gRNA発現ベクター、上記ドナーベクター及びPEI−MAXを加えられた後にG418で選択されたmIMCD−3に対して、0.25%のトリプシン溶液を用いて培養皿から細胞を剥がし取り、1ウェル当たり0.2〜0.5細胞の密度で0.2〜0.5mg/mLのG418を含む80μLの培地とともに96ウェル培養プレートに播いた。
96ウェルで培養してから10日〜2週間経過したのち、コロニーを形成しているウェルから上記と同様にトリプシンを用いて細胞を剥がし取り、0.2mg/mLのG418を含む1mLの培地で満たした12ウェルプレートのウェルにそれぞれ播いた。
スクリーニング用プレート中の細胞がウェルの100%を占めるまで増えた後、40〜60μLのSDS−PAGE用のサンプルバッファーで細胞を溶解し、SDS−PAGEでタンパク質を泳動したのち、PVDF膜にタンパク質を転写して、抗HA抗体(BioLegend社 901502)を用いてノックインが成功した細胞をスクリーニングした。その結果を図6に示す。
図6に示すように、比較例2の方法を用いて、標識化解析対象タンパク質としてHA標識Stam1の導入を行った場合、77細胞株中5細胞株(図6において矢印が付いたレーン)にHA標識Stam1のノックインが認められた。すなわちノックイン株取得率は6.49%であった。比較例2では、恒常的な発現が見られ、遺伝子サイレンシングが起こり難いと考えられるRosa26のイントロンにノックインしたが、完全には遺伝子サイレンシングが抑えられず、ノックイン細胞株が十分に増殖するまでの過程で解析対象タンパク質の発現が低下したため、高い取得率が得られなかったと考えられる。また、この他に、外来プロモーター(CMV)による強制発現は細胞にとって大きなストレスとなるため、解析対象タンパク質を過剰発現する状態のままとなった細胞では、その増殖速度が低下する又は増殖せず死滅することにより、高い所得率が得られなかったと考えられる。
以上の通り、実施例1と比較例2との結果を対比すると、本発明に係る方法を用いた実施例1の方が極めて高い効率で標識化解析対象タンパク質のノックイン細胞株が得られた。すなわち、本発明に係る方法によると、標識化解析対象タンパク質の発現に内在のプロモーターが用いられ、遺伝子サイレンシング等の影響を受け難いため、標識化解析対象タンパク質を安定的に発現するノックイン細胞株を高効率で得られることが明らかとなった。
[実施例2]
次に、本実施例1で得られた細胞株における標識化解析対象タンパク質の発現についての長期安定性を評価した。その方法及び結果を以下に示す。なお、用いた細胞株は、実施例1において標識化解析対象タンパク質としてEGFP−Stam1のノックインが確認されたmIMCD−3細胞株である。
凍結保存した上記ノックインが確認されたmIMCD−3細胞株を凍結保存状態から起こし、3日から4日間隔で継代を行いながら58日間培養し、59日目の継代で底がカバーガラスになっている35mm培養皿(以下ガラスボトムディッシュ;松浪 D11130H)に細胞を播種して3日間培養した。当該細胞が培養開始から58日間経過した59日目に、新たに上記ノックイン細胞を凍結保存状態から起こし、1日後の継代でガラスボトムディッシュに播種して2日間培養した。培養開始から61日間および3日間経過した上記ノックイン細胞を培養している培地をフェノールレッド色素と血清の含まない培地(DMEM/F12)に交換した。培地交換後5時間経過したのち、100倍油浸レンズを装着した倒立型蛍光顕微鏡(ライカDMI3000B)およびCMOSカメラを用いて細胞の蛍光画像を取得した。その結果を図7に示す。
図7に示すように、培養継代期間が3日間の細胞と、61日間の細胞との両方でGFPによる蛍光が見られた。また、その蛍光の平均輝度を測定したところ、培養継代期間が3日間の細胞では平均輝度が50.6であり、61日間の細胞では平均輝度が54.7であった。これらの結果から、上記ノックイン細胞を長期培養してもGFPの蛍光が低減せず、すなわち、ノックインされた標識化された解析対象タンパク質が安定的に発現されているといえる。
以上から、本発明によると、標識化解析対象タンパク質を生理的発現レベルで安定的に発現することができて、所望の解析対象タンパク質の生きた細胞内での挙動をより正確に解析することを可能とする細胞株を、簡便な方法で高い効率で得ることができる。

Claims (10)

  1. ゲノムにおける内在の解析対象タンパク質の遺伝子座において、前記内在の解析対象タンパク質の5’非翻訳領域に、前記解析対象タンパク質が標識化された外来の標識化解析対象タンパク質をコードする核酸配列及び外来の薬剤耐性遺伝子配列が挿入されており、
    前記内在の解析対象タンパク質の発現プロモーターにより、前記外来の標識化解析対象タンパク質の発現が制御されることを特徴とする標識化解析対象タンパク質の安定発現細胞株。
  2. 前記外来の標識化解析対象タンパク質は、タグ又は蛍光タンパク質に融合された解析対象タンパク質であることを特徴とする請求項1又は2に記載の標識化解析対象タンパク質の安定発現細胞株。
  3. 標識化解析対象タンパク質の安定発現細胞株を製造する方法であって、
    細胞に、前記標識化解析対象タンパク質をコードする核酸配列と、該核酸配列の上流に配置された標的配列と、前記標的配列を部位特異的に切断するヌクレアーゼをコードする配列とを導入する導入ステップと、
    前記細胞のゲノムに前記標識化解析対象タンパク質をコードする核酸配列が挿入された細胞を選択的に取得する選択ステップとを含み、
    前記導入ステップでは、薬剤耐性遺伝子配列をさらに導入し、
    前記選択ステップでは、前記導入ステップ後の細胞を薬剤存在下で培養して前記薬剤耐性遺伝子が導入された細胞のみを選択することを含み、
    前記標的配列は、前記細胞のゲノムにおける内在の解析対象タンパク質の遺伝子座における5’非翻訳領域に存在する配列と同一であり、
    前記細胞株において、前記標識化解析対象タンパク質は、前記内在の解析対象タンパク質の発現プロモーターにより発現が制御されることを特徴とする標識化解析対象タンパク質の安定発現細胞株の製造方法。
  4. 前記標的配列を部位特異的に切断するヌクレアーゼをコードする配列は、前記標的配列に結合するDNA結合ドメイン及び部位特異的に切断するヌクレアーゼを発現する核酸配列を含むことを特徴とする請求項3に記載の標識化解析対象タンパク質の安定発現細胞株の製造方法。
  5. 前記導入ステップは、前記標識化解析対象タンパク質をコードする核酸配列及び前記核酸配列の上流に配置された標的配列を含むドナーベクターと、前記DNA結合ドメイン及び前記ヌクレアーゼを発現する発現ユニットを含む発現ベクターとを前記細胞に導入することを含む請求項4に記載の標識化解析対象タンパク質の安定発現細胞株の製造方法。
  6. 前記薬剤耐性遺伝子配列は、前記ドナーベクターに含まれていることを特徴とする請求項5に記載の標識化解析対象タンパク質の安定発現細胞株の製造方法。
  7. 前記標識化解析対象タンパク質は、タグ又は蛍光タンパク質に融合された解析対象タンパク質であることを特徴とする請求項3〜6のいずれか1項に記載の標識化解析対象タンパク質の安定発現細胞株の製造方法。
  8. 前記ヌクレアーゼは、CRISPRヌクレアーゼ、TALEN、DNA誘導型ヌクレアーゼ、メガヌクレアーゼ及びジンクフィンガーヌクレアーゼから選択されることを特徴とする請求項3〜7のいずれか1項に記載の標識化解析対象タンパク質の安定発現細胞株の製造方法。
  9. 前記CRISPRヌクレアーゼは、Cas9、Cpf1、Cas12b(C2c1)、Cas13a(C2c2)、Cas13b(C2c6)及びC2c3から選択されることを特徴とする請求項8に記載の標識化解析対象タンパク質の安定発現細胞株の製造方法。
  10. 標識化解析対象タンパク質の安定発現細胞株を製造するためのキットであって、
    前記標識化解析対象タンパク質をコードする核酸配列と、該核酸配列の上流に配置された標的配列と、薬剤耐性遺伝子配列と、前記標的配列を部位特異的に切断するヌクレアーゼをコードする配列と、核酸配列を細胞に導入するための試薬とを含み、
    前記標的配列は、前記細胞のゲノムにおける内在の解析対象タンパク質の遺伝子座における5’非翻訳領域に存在する配列と同一であり、
    前記細胞株において、前記標識化解析対象タンパク質は、前記内在の解析対象タンパク質の発現プロモーターにより発現が制御されることを特徴とすることを特徴とする標識化解析対象タンパク質の安定発現細胞株を製造するためのキット。
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