JP2021193164A - 樹脂材料およびそれからなる医療用成形品 - Google Patents

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Tsuyoshi Takeda
秀幸 常守
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克浩 山中
Katsuhiro Yamanaka
賢 田中
Ken Tanaka
慎吾 小林
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Abstract

【課題】抗血栓性および耐熱性に優れ、溶出物を低減したポリカーボネート樹脂材料を提供する。【解決手段】下記式(1)で表される末端基構造を重合鎖末端に含有する樹脂材料であって、主鎖の全繰り返し構成単位100重量%に対して下記式(1)で表される末端基構造を0.1〜17重量%の割合で含むことを特徴とする樹脂材料。【化1】(式(1)において、R1およびR2はそれぞれ独立に水素原子または炭素数1〜4の脂肪族炭化水素を表し、R3は炭素原子数1〜30のアルキル基を表し、mは1〜4であり、nは2〜150である。)【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂材料およびそれからなる医療用成形品に関する。さらに詳しくは特定の構造を末端基に含有し、特に、残存フェノール量を低減した樹脂材料およびそれからなる医療用成形品に関する。
医療用機器の材料には、現在合成高分子材料が多く使用されている。高分子材料を生体内へ適用した場合には、高分子材料が異物と認識されて、血栓が生成する等の生体防御反応が引き起こされることが知られている。そのため、人工血管、人工心肺、カテーテル、血液フィルター等の直接血液と接触する用途においては、高い血液適合性が求められる。
このような背景から、近年、高分子材料の血液適合性を高める検討が進められている。例えば2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンポリマー(PMPC)やポリ(2−メトキシエチルアクリレート)(PMEA)を高分子表面にコーティングすることで高い血液適合性が付与できることが報告されている(特許文献1、2)。また一方で、ポリマー自体への血液適合性を付与した例も報告されている(特許文献3)。
他方、ポリカーボネート(PC)は高い衝撃性や耐熱性、透明性等の優れた特性を有することから自動車用途や電気電子用途等、様々な用途で使用されている。しかしながら、通常のPCは血液適合性が低いため、血液と接触する用途では積極的に利用されてこなかった。そのため、例えば、血液適合性を改良するため、特定の置換基を導入した血液適合性PCが報告されているが、特殊なモノマーおよび重合反応が必要であり、工業的に利用することが難しい(特許文献4)。また、ポリエチレングリコールを原料としたPCも各種報告されているが、血液適合性の改良を指向したものでなく、また残存不純物が多い製法である(特許文献5、6)。医療用の材料は直接生体と接触して使用されることから、他の用途にも増して高い安全性が求められる。特に、医療用途としての使用条件、すなわち血液などの体液との接触で、材料の分解物や未反応モノマー、副生成物、オリゴマーが溶出してくることは、医療用材料として重大な欠点であり、医療用材料としての利用は難しい。また、医療用材料として用いる場合、オートクレーブ処理等の滅菌処理工程が必要な場合があり、優れた耐熱性を有することが求められている。
特開平7−268038号公報 特開2014−161675号公報 特開2018−149070号公報 国際公開第14/133102号 特開2011−241277号公報 特表2002−522584号公報
本発明の目的は、抗血栓性および耐熱性に優れ、特に、溶出物を低減した樹脂材料を提供することにある。
本発明者らは、特定の構造を末端基に含有した樹脂材料が、抗血栓性および耐熱性に優れ、さらに残存フェノール量を低減したことにより水中への溶出物が低減されることを見出し、本発明を完成した。本発明によれば、上記課題は下記発明により解決される。
1.下記式(1)で表される末端基構造を重合鎖末端に含有する樹脂材料であって、主鎖の全繰り返し構成単位100重量%に対して下記式(1)で表される末端基構造を0.1〜17重量%の割合で含むことを特徴とする樹脂材料。
Figure 2021193164
(式(1)において、RおよびRはそれぞれ独立に水素原子または炭素数1〜4の脂肪族炭化水素を表し、Rは炭素原子数1〜30のアルキル基を表し、mは1〜4であり、nは2〜150である。)
2.生体組織と接触するデバイス用である、前項1に記載の樹脂材料。
3.フェノール含有量が1000ppm以下である、前項1または2に記載の樹脂材料。
4.主鎖に脂肪族ジオール化合物、脂環式ジオール化合物、ヘテロ環ジオール化合物およびポリオキシエチレングリコールからなる群より選択されるジオール化合物から誘導される繰り返し構成単位を含む、前項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂材料。
5.主鎖の全繰り返し構成単位100重量%に対して、前記ジオール化合物から誘導される繰り返し構成単位を50重量%以上100重量%以下の割合で含む、前項4に記載の樹脂材料。
6.前記繰り返し構成単位として下記式(2)で表される繰り返し構成単位を含む、前項4または5に記載の樹脂材料。
Figure 2021193164
7.全ジオール化合物から誘導される繰り返し構成単位100重量%に対して、前記式(2)で表される繰り返し構成単位を10重量%以上100重量%以下の割合で含む、前項6に記載の樹脂材料。
8.ガラス転移温度が80℃以上160℃以下である前項1〜7のいずれか1項に記載の樹脂材料。
9.水接触角が60°以下である前項1〜8のいずれか1項に記載の樹脂材料。
10.飽和吸水率が1.0重量%以上である前項1〜9のいずれか1項に記載の樹脂材料。
11.20℃の塩化メチレン溶液で測定された比粘度が0.15〜1.5である前項1〜10のいずれか1項に記載の樹脂材料。
12.前記式(1)で表される末端基構造が下記式(3)で表される末端基構造である前項1〜11のいずれか1項に記載の樹脂材料。
Figure 2021193164
(式(3)において、Rは水素原子またはメチル基を表し、Rは炭素原子数1〜30のアルキル基を表し、nは2〜150である。)
13.前項1〜12のいずれか1項に記載の樹脂材料を用いて作成された医療用成形品。
14.前項1〜12のいずれか1項に記載の樹脂材料を用いて表面処理してなる医療用成形品。
本発明の樹脂材料は、特定の構造を末端基に含有し、抗血栓性および耐熱性に優れ、更に残存フェノール量を低減しているため、水中への溶出物が少なく、生体組織と接触するデバイス、例えば人工器官等の体内埋め込み型デバイスおよびカテーテル等をはじめとする様々な医療用途に幅広く用いることができ、その奏する産業上の効果は格別である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
<樹脂材料>
本発明の樹脂材料は、下記式(1)で表される末端基構造を重合鎖末端に含有する樹脂材料であって、主鎖の全繰り返し構成単位100重量%に対して下記式(1)で表される末端基構造を0.1重量%以上17重量%以下の割合で含むことを特徴とする。
Figure 2021193164
(式(1)において、RおよびRはそれぞれ独立に水素原子または炭素数1〜4の脂肪族炭化水素を表し、Rは炭素原子数1〜30のアルキル基を表し、mは1〜4であり、nは2〜150である。)
高い衝撃性等の優れた特性を有するポリカーボネートは様々な用途で用いられているが、血液適合性が低いため、生体組織と接触するデバイス用には使用することができなかった。しかしながら、末端基にエチレングリコールに由来する繰り返し単位を含ませることにより、親水性、柔軟性が高められ、さらに生体適合性が向上し、抗血栓性が得られることがわかった。
本発明の樹脂材料は、上記式(1)で表される末端基構造を重合鎖末端に所定の割合で含むことにより、適度な柔軟性と共に生体適合性および耐熱性を発揮し、生体組織と接触するデバイス用のコーティングとしてのみならず、このデバイスを構成する成形品として用いることができる。
以下、本発明の樹脂材料における各成分、それらの配合割合、調整方法等について、順次具体的に説明する。
本発明の樹脂材料は、下記式(1)で表される末端基構造を重合鎖末端に含有する。
Figure 2021193164
式(1)中のRおよびRはそれぞれ独立に水素原子または炭素数1〜4の脂肪族炭化水素を表す。なかでも水素原子または炭素数1〜2の脂肪族炭化水素が好ましい。特に水素原子またはメチル基が好ましい。
は炭素原子数1〜30のアルキル基を表す。なかでも炭素原子数1〜20のアルキル基が好ましく、炭素原子数1〜10のアルキル基がより好ましく、炭素原子数1〜6のアルキル基がさらに好ましく、炭素原子数1〜4のアルキル基が特に好ましい。メチル基が最も好ましい。
mは1〜4であり、2〜4が好ましく、特に2が好ましい。
nは2〜150であり、好ましくは2〜100であり、より好ましくは2〜50であり、特に好ましくは2〜35である。
式(1)中の繰り返し構成単位は通常、ポリオキシアルキレングリコールモノエーテルのアルコール部分を反応させることにより誘導される。用いるポリオキシアルキレングリコールモノエーテルの数平均分子量としては好ましくは100〜20000、より好ましくは150〜5000、特に好ましくは200〜2000である。この範囲であると、柔軟性、耐熱性、抗血栓性のバランスに優れ、この範囲から外れた場合、透明性が得られない場合や水溶性となり医療用成形品として使用ができない場合がある。
ポリオキシアルキレングリコールモノエーテルとしてより具体的には、例えば、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリトリメチレングリコールモノメチルエーテル、ポリテトラメチレングリコールモノメチルエーテル、ポリプロピレングリコールモノメチルエーテルなどがあげられる。
特に、下記式(3)で表される末端基構造を与えるポリオキシアルキレングリコールモノエーテル、すなわちポリエチレングリコールモノエーテルまたはポリプロピレングリコールモノエーテルが好適に用いられる。
Figure 2021193164
式(3)中のRは水素原子またはメチル基を表す。Rは炭素原子数1〜30のアルキル基を表す。なかでも炭素原子数1〜20のアルキル基が好ましく、炭素原子数1〜10のアルキル基がより好ましく、炭素原子数1〜6のアルキル基がさらに好ましく、炭素原子数1〜4のアルキル基が特に好ましい。メチル基が最も好ましい。nは2〜150であり、好ましくは2〜100であり、より好ましくは2〜50であり、特に好ましくは2〜35である。
本発明の樹脂材料中の、上記式(1)または上記式(3)で表される末端基の含有割合は、主鎖の全繰り返し構成単位100重量%に対して、0.1重量%以上であり、好ましくは0.5重量%以上であり、より好ましくは1重量%以上、さらに好ましくは2重量%以上、特に好ましくは3重量%以上である。含有割合の上限は17重量%以下であり、好ましくは15重量%以下であり、より好ましくは13重量%以下であり、さらに好ましくは12重量%以下、特に好ましくは11重量%以下である。このような末端の含有量とすることで、抗血栓性、耐熱性、水溶性、成形性のバランスに優れ、好ましい。また、更に重合後のフェノール含有量を低減することができ医療用途で使用する際に好ましい。重量比は、日本電子社製JNM−AL400のプロトンNMRにて測定し算出することができる。2種類以上アルコール成分を混合する場合は、ポリオキシアルキレングリコールモノエーテルとそれ以外のヒドロキシ化合物とを組み合わせて使用してもよい。
本発明の樹脂材料は、主鎖に脂肪族ジオール化合物、脂環式ジオール化合物、ヘテロ環ジオール化合物およびポリオキシエチレングリコールからなる群より選択されるジオール化合物から誘導される繰り返し構成単位を含むことが好ましい。かかるジオール化合物から誘導される繰り返し構成単位を主鎖の繰り返し構成単位として使用することにより、抗血栓性、耐熱性、水溶性、成形性のバランスに優れ、好ましい。
主鎖の全繰り返し構成単位100重量%に対して、前記ジオール化合物から誘導される繰り返し構成単位を50重量%以上100重量%以下の割合で含むことが好ましく、70重量%以上100重量%以下がより好ましく、80重量%以上100重量%以下がさらに好ましく、90重量%以上100重量%以下が特に好ましく、95重量%以上100重量%以下が最も好ましい。
かかるジオール化合物(ジオールモノマー)としては、国際公開第2004/111106号パンフレット、国際公開第2011/021720号パンフレットに記載のジオール化合物が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、または二種以上組み合わせて用いてもよい。以下にジオール成分の代表的具体例を示すが、それらによって限定されるものではない。
前記脂肪族ジオール化合物としては、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1.9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサングリコール、1,2−オクチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,3−ジイソブチル−1,3−プロパンジオール、2,2-ジイソアミル-1,3-プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオールなどが挙げられる。
前記脂環式ジオール化合物としては、シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、アダマンタンジオール、ペンタシクロペンタデカンジメタノール、3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、2,2,4,4-テトラメチルシクロブタンジオール、1,1'−スピロビインダン−6,6'−ジオール、デカリン−2,6−ジメタノール、ノルボルナンジメタノール、シクロペンタン−1,3−ジメタノール、などが挙げられる。
前記ヘテロ環含有ジオール化合物としては、3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、2,2’,1,1’−,1,1’−スピロビインダン−6,6‘−ジオール、イソソルビド、イソマンニド、イソイディッドなどが挙げられる。
前記ポリオキシエチレングリコールとしては、ポリエチレングリコール、ポリトリメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどがあげられる。
これらのジオール化合物のうち、イソソルビド、イソマンニド、イソイディッドを用いることが好ましい。これらの化合物は、糖質由来のエーテルジオールであり、自然界のバイオマスからも得られる物質で、再生可能資源と呼ばれるものの1つである。これらの化合物に由来する繰り返し単位は、下記式(2)で表される。
Figure 2021193164
前記式(2)は、立体異性体の関係にある下記式で表される繰り返し単位(2−1)、(2−2)および(2−3)が例示される。
Figure 2021193164
Figure 2021193164
Figure 2021193164
繰り返し単位(2−1)、(2−2)および(2−3)は、それぞれイソソルビド、イソマンニド、イソイディッドと呼ばれる。イソソルビドは、でんぷんから得られるDーグルコースに水添した後、脱水を受けさせることにより得られる。その他のエーテルジオールについても、出発物質を除いて同様の反応により得られる。
イソソルビド、イソマンニド、イソイディッドのなかでも特に、イソソルビド(1,4;3,6ージアンヒドローDーソルビトール)から誘導される繰り返し構成単位は、製造の容易さ、耐熱性に優れることから好ましい。
本発明の樹脂材料において、主鎖中の上記式(2)で表される繰り返し構成単位の含有割合は、全ジオール化合物から誘導される繰り返し構成単位100重量%に対して、好ましくは10重量%以上、20重量%以上、30重量%以上、40重量%以上、50重量%以上、60重量%以上、70重量%以上、80重量%以上、90重量%以上であり、100重量%以下である。このような重量比とすることで、抗血栓性、耐熱性のバランスに優れ、好ましい。重量比は、日本電子社製JNM−AL400のプロトンNMRにて測定し算出することができる。
また、その他の主鎖を構成する繰り返し構成単位としては、芳香族ジヒドロキシ化合物から誘導される繰り返し構成単位が好ましい。
前記芳香族ジヒドロキシ化合物としては、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼン(ビスフェノールM)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルフィド、ビスフェノールA、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン(ビスフェノールC)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン(ビスフェノールAF)、ビフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)デカン、ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ナフタレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)−1,8−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチルフェニル)−1,8−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−フェニルフェニル)−1,8−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−1−ナフチル)−1,8−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(6−(2−ヒドロキシエトキシ)−2−ナフチル)−1,8−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,8−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−1,8−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)−1,8−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−1−ナフチル)−1,8−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(6−ヒドロキシ−2−ナフチル)−1,8−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)−2,7−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチルフェニル)−2,7−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−フェニルフェニル)−2,7−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−1−ナフチル)−2,7−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(6−(2−ヒドロキシエトキシ)−2−ナフチル)−2,7−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2,7−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−2,7−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)−2,7−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−1−ナフチル)−2,7−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(6−ヒドロキシ−2−ナフチル)−2,7−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)−3,6−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチルフェニル)−3,6−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−フェニルフェニル)−3,6−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−1−ナフチル)−3,6−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(6−(2−ヒドロキシエトキシ)−2−ナフチル)−3,6−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,6−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−3,6−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)−3,6−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−1−ナフチル)−3,6−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(6−ヒドロキシ−2−ナフチル)−3,6−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)−4,5−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチルフェニル)−4,5−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−フェニルフェニル)−4,5−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−1−ナフチル)−4,5−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(6−(2−ヒドロキシエトキシ)−2−ナフチル)−4,5−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4,5−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−4,5−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)−4,5−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−1−ナフチル)−4,5−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(6−ヒドロキシ−2−ナフチル)−4,5−ジフェニルフルオレン、2,2’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)−3,3’−ジフェニル−1,1’−ビナフチル、2,2’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)−6,6’−ジフェニル−1,1’−ビナフチル、2,2’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)−7,7’−ジフェニル−1,1’−ビナフチル、2,2’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)−3,3’−ジメチル−1,1’−ビナフチル、2,2’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)−6,6’−ジメチル−1,1’−ビナフチル、2,2’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)−7,7’−ジメチル−1,1’−ビナフチル、1,1’−ビ−2−ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等が挙げられる。
(樹脂材料の製造方法)
本発明の樹脂材料は、通常のポリカーボネート樹脂を製造するそれ自体公知の反応手段、例えばジオール成分に炭酸ジエステルなどのカーボネート前駆物質を反応させる方法により製造される。次にこれらの製造方法について基本的な手段を簡単に説明する。
カーボネート前駆物質として炭酸ジエステルを用いるエステル交換反応は、不活性ガス雰囲気下、所定割合のジオール成分を炭酸ジエステルと加熱しながら撹拌して、生成するアルコールまたはフェノール類を留出させる方法により行われる。その際、末端停止剤として予めアルコール成分を加えることにより末端部分にアルコール成分に由来した構造を導入できる。反応温度は生成するアルコールまたはフェノール類の沸点などにより異なるが、通常120〜300℃の範囲である。反応はその初期から減圧にして生成するアルコールまたはフェノール類を留出させながら反応を完結させる。
前記エステル交換反応に使用される炭酸ジエステルとしては、置換されてもよい炭素数6〜12のアリール基、アラルキル基等のエステルが挙げられる。具体的には、ジフェニルカーボネート、ジトリールカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネートおよびm−クレジルカーボネート等が例示される。なかでもジフェニルカーボネートが特に好ましい。ジフェニルカーボネートの使用量は、ジヒドロキシ化合物の合計1モルに対して、好ましくは0.97〜1.10モル、より好ましくは1.00〜1.06モルである。
また溶融重合法においては重合速度を速めるために、重合触媒を用いることができ、かかる重合触媒としては、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、含窒素化合物、金属化合物等が挙げられる。
このような化合物としては、アルカリ金属やアルカリ土類金属の、有機酸塩、無機塩、酸化物、水酸化物、水素化物、アルコキシド、4級アンモニウムヒドロキシド等が好ましく用いられ、これらの化合物は単独もしくは組み合わせて用いることができる。
アルカリ金属化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、水酸化リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸セシウム、酢酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸セシウム、ステアリン酸リチウム、水素化ホウ素ナトリウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸セシウム、安息香酸リチウム、リン酸水素2ナトリウム、リン酸水素2カリウム、リン酸水素2リチウム、フェニルリン酸2ナトリウム、ビスフェノールAの2ナトリウム塩、2カリウム塩、2セシウム塩、2リチウム塩、フェノールのナトリウム塩、カリウム塩、セシウム塩、リチウム塩等が例示される。
アルカリ土類金属化合物としては、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウム、二酢酸マグネシウム、二酢酸カルシウム、二酢酸ストロンチウム、二酢酸バリウム、ステアリン酸バリウム等が例示される。
含窒素化合物としては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド等のアルキル、アリール基等を有する4級アンモニウムヒドロキシド類が挙げられる。また、トリエチルアミン、ジメチルベンジルアミン、トリフェニルアミン等の3級アミン類、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、ベンゾイミダゾール等のイミダゾール類が挙げられる。また、アンモニア、テトラメチルアンモニウムボロハイドライド、テトラブチルアンモニウムボロハイドライド、テトラブチルアンモニウムテトラフェニルボレート、テトラフェニルアンモニウムテトラフェニルボレート等の塩基あるいは塩基性塩等が例示される。
金属化合物としては亜鉛アルミニウム化合物、ゲルマニウム化合物、有機スズ化合物、アンチモン化合物、マンガン化合物、チタン化合物、ジルコニウム化合物等が例示される。これらの化合物は1種または2種以上併用してもよい。
これらの重合触媒の使用量は、ジオール成分1モルに対し好ましくは1×10−9〜1×10−2当量、好ましくは1×10−8〜1×10−5当量、より好ましくは1×10−7〜1×10−3当量の範囲で選ばれる。
また、反応後期に触媒失活剤を添加することもできる。使用する触媒失活剤としては、公知の触媒失活剤が有効に使用されるが、この中でもスルホン酸のアンモニウム塩、ホスホニウム塩が好ましい。更にドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩等のドデシルベンゼンスルホン酸の塩類、パラトルエンスルホン酸テトラブチルアンモニウム塩等のパラトルエンスルホン酸の塩類が好ましい。
またスルホン酸のエステルとして、ベンゼンスルホン酸メチル、ベンゼンスルホン酸エチル、ベンゼンスルホン酸ブチル、ベンゼンスルホン酸オクチル、ベンゼンスルホン酸フェニル、パラトルエンスルホン酸メチル、パラトルエンスルホン酸エチル、パラトルエンスルホン酸ブチル、パラトルエンスルホン酸オクチル、パラトルエンスルホン酸フェニル等が好ましく用いられる。なかでも、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩が最も好ましく使用される。
これらの触媒失活剤の使用量はアルカリ金属化合物および/またはアルカリ土類金属化合物より選ばれた少なくとも1種の重合触媒を用いた場合、その触媒1モル当たり好ましくは0.5〜50モルの割合で、より好ましくは0.5〜10モルの割合で、更に好ましくは0.8〜5モルの割合で使用することができる。
(樹脂材料の精製方法)
本発明の樹脂材料は、精製し、フェノール含有量を低減させることが好ましい。この樹脂材料の精製方法は、特に限定されるものではないが、貧溶媒沈殿やアルカリ条件下での水洗、イオン交換樹脂での処理、凍結精製法等の手法が挙げられる。精製後に含まれるフェノール量は好ましくは1000ppm以下である。より好ましくは500ppm以下であり、さらに好ましくは300ppm以下であり、特に好ましくは200ppm以下であり、もっとも好ましくは100ppm以下である。フェノール量が1000ppmを超えると、水中へのフェノール溶出性が問題となり、医療用途に不適となることがある。また、精製後に含まれる1族および2族の金属量の合計は20ppm以下が好ましい。より好ましくは15ppm以下であり、さらに好ましくは10ppm以下である。1族および2族の金属量の合計が20ppmを超えると、水中への金属成分の溶出性が問題となり、医療用途に不適となることがある。
(比粘度:ηSP
本発明の樹脂材料の比粘度(ηSP)は、好ましくは0.15〜1.5であり、より好ましくは0.2〜1.3であり、さらに好ましくは0.25〜1.2であり、特に好ましくは0.3〜1.0であり、もっとも好ましくは0.3〜0.6である。比粘度が上記範囲では成形品の強度および成形加工性が良好となる。
本発明でいう比粘度は、20℃で塩化メチレン100mlに樹脂材料0.7gを溶解した溶液からオストワルド粘度計を用いて求めた。
比粘度(ηSP)=(t−t)/t
[tは塩化メチレンの落下秒数、tは試料溶液の落下秒数]
なお、具体的な比粘度の測定としては、例えば次の要領で行うことができる。まず、樹脂材料をその20〜30倍重量の塩化メチレンに溶解し、可溶分をセライト濾過により採取した後、溶液を除去して十分に乾燥し、塩化メチレン可溶分の固体を得る。かかる固体0.7gを塩化メチレン100mlに溶解した溶液から20℃における比粘度を、オストワルド粘度計を用いて求める。
(ガラス転移温度:Tg)
本発明の樹脂材料のガラス転移温度(Tg)は、上限が好ましくは160℃以下であり、より好ましくは150℃以下であり、さらに好ましくは1400℃以下である。また、下限が好ましくは80℃以上、より好ましくは90℃以上であり、さらに好ましくは100℃以上である。Tgが上記範囲内であると、成形性が良好であり好ましく、更に滅菌時の処理に耐性を持ち、例えば体内埋め込み型の材料としてより好適なものとなる。
ガラス転移温度(Tg)はティー・エイ・インスツルメント・ジャパン(株)製2910型DSCを使用し、昇温速度20℃/minにて測定する。
(5%重量減少温度:Td)
本発明の樹脂材料の5%重量減少温度の下限は、好ましくは280℃、より好ましくは300℃である。また5%重量減少温度の上限は、好ましくは400℃、より好ましくは390℃、さらに好ましくは380℃である。従って、本発明の樹脂材料の5%重量減少温度(Td)は好ましくは280〜400℃である。5%重量減少温度が上記範囲内であると、本発明の樹脂材料を用いて成形する際の樹脂材料の分解がほとんど無く好ましい。5%重量減少温度はTA Instruments社製 TGA (型式 TGA2950)により測定する。
(吸水率)
本発明の樹脂材料の飽和吸水率は、好ましくは1.0重量%以上、より好ましくは2.0重量%以上である。吸水率が1.0重量%以上であると表面が十分に親水化し、抗血栓性の発現に好ましい。また、本発明の樹脂材料は非水溶性であることが好ましい。樹脂材料が水溶性であると生体環境内で高分子鎖が拡散するため、医療用成形品として不適である。なお、非水溶性とは、吸水率測定において重量の減少が無いことを意味する。
(水接触角)
本発明の樹脂材料の水接触角は、好ましくは60°以下、より好ましくは58°以下、さらに好ましくは56°以下である。水接触角が60°以下であると表面が十分に親水化し、抗血栓性の発現に好ましい。
(組成物)
本発明の樹脂材料は、抗血栓性を損なわない範囲で本発明の樹脂材料以外のポリマーや熱安定剤、可塑剤、光安定剤、重合金属不活性化剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、界面活性剤、抗菌剤、紫外線吸収剤、離型剤等を配合することができる。
<医療用成形品>
本発明の樹脂材料を成形することにより本発明の樹脂成形品が得られる。ここで、「医療用成形品」とは、人工器官等の体内埋め込み型デバイスおよびカテーテル等の生体内において生体組織と接触するデバイスや、人工透析器や人工心肺、輸血用血液の保存容器、血液処理装置のように、生体から取り出した生体物質を体外で取り扱うデバイスの他、細胞培養用の基材や体液中から所定の細胞を選択的に接着して分離するデバイスのように生体組織を所定の目的で取り扱うデバイスを含むものとする。本発明の樹脂材料は生体成分や生体組織との親和性が高く、血液と接触しても血栓を生じにくい抗血栓性に優れるため、上記の医療用成形品に好適に用いることができる。
(形状)
本発明において、医療用成形品を構成する部材の材質や形状は特に制限されることなく、例えば、多孔質体、繊維、不織布、粒子、フィルム、シート、チューブ、中空糸や粉末等いずれでも良い。
(成形方法)
本発明の樹脂材料を用いてなる成形体は、例えば射出成形法、圧縮成形法、押出成形法、溶液キャスティング法、エレクトロスピニング法など任意の方法により成形される。本発明の樹脂材料は、成形性および耐熱性に優れているので種々の成形体として利用することができる。
また、本発明の樹脂材料は、押出成形により各種異形押出成形品、シート、およびフィルムなどにすることもできる。またシート、フィルムの成形にはインフレーション法や、カレンダー法、キャスティング法なども使用可能である。さらに特定の延伸操作により熱収縮チューブとして成形することも可能である。また本発明の樹脂材料を回転成形やブロー成形などにより成形品とすることも可能である。
(表面処理)
本発明の樹脂材料は、医療用機器等を構成する基材表面の少なくとも一部にコーティングしてもよい。本発明に係る樹脂材料を医療用機器等の表面に保持させる方法としては、塗布法、スプレー法、ディップ法等があるが、特に制限なくいずれも適用できる。その膜厚は、好ましくは、0.1μm〜1mmである。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに説明する。但し、本発明はこれら実施例に何ら制限されるものではない。また、実施例中の部は重量部であり、%は重量%である。なお、評価は下記の方法によった。
(樹脂材料の評価)
(1)ポリマー組成比(NMR)
日本電子社製JNM−AL400のプロトンNMRにて測定し、ポリマー組成比(モル比)を算出した。
(2)比粘度(ηsp
ペレットを塩化メチレンに溶解、濃度を約0.7g/dLとして、温度20℃にて、オストワルド粘度計(装置名:RIGO AUTO VISCOSIMETER TYPE VMR−0525・PC)を使用して測定した。なお、比粘度ηspは下記式から求めた。
ηsp=t/t−1
t:試料溶液のフロータイム
:溶媒のみのフロータイム
(3)ガラス転移温度(Tg)
TA Instruments社製 DSC (型式 DSC2910)を用いて、ペレット約10mgを20℃/minの昇温速度で加熱して測定した。
(4)5%重量減少温度
TA Instruments社製 TGA (型式 TGA2950)を用いて、ペレット約10mgを20℃/minの昇温速度で加熱して測定した。
(5)フェノール含有量
樹脂ペレット1.5gを塩化メチレン15mlに溶解させた後、アセトニトリル135mlを加え攪拌し、エバポレーターで濃縮した後、0.2μmフィルターでろ過し、この測定溶液10μlを野村化学製Develosil ODS−7のカラムにて溶離液アセトニトリル/0.2%酢酸水とアセトニトリルとの混合液を用いて、カラム温度30℃、検出器277nmでグラジエントプログラムにてHPLC分析した。
(フィルムの評価)
(1) 飽和吸水率
樹脂ペレットを塩化メチレンに溶解後、塩化メチレンを蒸発させて得られた約100μmの厚みのキャストフィルムを用い、100℃12時間乾燥後、25℃72時間水中に浸漬した後の重量増加を測定し、次式によって吸水率を求めた。
吸水率(%)=吸水後の樹脂重量×100/吸水前の樹脂重量
(2)水接触角
上述(1)の方法で得られたフィルムを協和界面科学製DM−501Hiを用いて測定した。
[実施例1]
<樹脂材料の製造>
イソソルビド(以下ISSと略す)511.5部、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(末端停止剤、分子量1000、以下PEG1000−MEと略す)70.0部、ジフェニルカーボネート(以下DPCと略す)757.3部、および触媒としてステアリン酸バリウム3.7×10−3部を窒素雰囲気下180℃に加熱し溶融させた。溶融したことを確認した後、EI反応工程を開始した。減圧開始後、40分かけて最終減圧度が8.0kPaになるように調整しながら減圧し、8.0kPa到達後はその減圧度を保持した。減圧開始と同時に、30℃/hrの速度で、最終樹脂温度が220℃になるまで昇温した。220℃到達後は、減圧度1.0kPa、樹脂温度220℃の状態で、フェノールが理論量の80%留去するまで10分間保持した。80%留去したことを確認した後、PA反応工程(前期工程)を開始した。最終樹脂温度が230℃になるように、0.5℃/minの速度で昇温させた。また、昇温と併行して、最終減圧度が1kPaとなるように60分かけて減圧させた。引き続いて、PA反応工程(後期工程)を開始した。後期工程では、最終樹脂温度が240℃になるように、1℃/minの速度で昇温させた。また、昇温と併行して、最終減圧度が134Paとなるまで20分かけて減圧させた。所定の攪拌電力値に到達したところで反応を終了し、反応槽の底より窒素加圧下吐出し、水槽で冷却しながら、ペレタイザーでカットしてペレットを得た。重合後のペレット中のフェノール量は約200ppmであった。得られた樹脂材料(ペレット)の評価結果を表1に記載した。
[実施例2]
<樹脂材料の精製>
実施例1で得られたペレットを5.0wt%の濃度となるようジクロロメタンに溶解させ、同重量の純水を加え、分液ロートにて水洗操作を実施した。静置後、下層のジクロロメタン層を回収した。この一連の操作を計2回実施した。その後、回収したジクロロメタン溶液を10倍量(体積換算)のエタノールに滴下し、貧溶媒沈殿を行った。減圧濾過で沈殿物を回収し、純水でリンス洗浄した後、60℃、24時間、真空下で乾燥を行った。得られた樹脂材料(ペレット)の評価結果を表1に記載した。
[実施例3]
<樹脂材料の製造>
ISS511.5部、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(末端停止剤、分子量750、以下PEG750−MEと略す)26.3部、DPC757.3部、および触媒としてステアリン酸バリウム3.7×10−3部を用いた他は、実施例1と全く同様の操作を行った。重合後のペレット中のフェノール量は約300ppmであった。
<樹脂材料の精製>
得られたペレットについて、実施例2と全く同様の操作を行った。得られた樹脂材料(ペレット)の評価結果を表1に記載した。
[実施例4]
<樹脂材料の製造>
ISS511.5部、PEG750−ME52.5部、DPC757.3部、および触媒としてステアリン酸バリウム3.7×10−3部を用いた他は、実施例1と全く同様の操作を行った。重合後のペレット中のフェノール量は約300ppmであった。
<樹脂材料の精製>
得られたペレットについて、実施例2と全く同様の操作を行った。得られた樹脂材料(ペレット)の評価結果を表1に記載した。
[実施例5]
<樹脂材料の製造>
ISS506.4部、ポリエチレングリコール(分子量1000、以下PEG1000と略す)35.0部、PEG750−ME26.3部、DPC757.3部、および触媒としてステアリン酸バリウム3.7×10−3部を用いた他は、実施例1と全く同様の操作を行った。重合後のペレット中のフェノール量は約300ppmであった。
<樹脂材料の精製>
得られたペレットについて、実施例2と全く同様の操作を行った。得られた樹脂材料(ペレット)の評価結果を表1に記載した。
[比較例1]
<樹脂材料の製造>
ISS511.5部、DPC757.3部、および触媒としてステアリン酸バリウム3.7×10−3部を用いた他は、実施例1と全く同様の操作を行った。重合後のペレット中のフェノール量は約1100ppmであった。
<樹脂材料の精製>
得られたペレットについて、乾燥温度を100℃とした他は実施例2と全く同様の操作を行った。得られた樹脂材料(ペレット)の評価結果を表1に記載した。
[比較例2]
<樹脂材料の製造>
ISS511.5部、PEG750−ME131.3部、DPC757.3部、および触媒としてステアリン酸バリウム3.7×10−3部を用いた他は、実施例1と全く同様の操作を行った。重合後のペレット中のフェノール量は約200ppmであった。
<樹脂材料の精製>
得られたペレットについて、実施例2と全く同様の操作を行った。得られた樹脂材料(ペレット)の評価結果を表1に記載した。作製したフィルムが脆く、フィルムでの評価不可であった。
[比較例3]
<樹脂材料の製造>
ビスフェノールA799.0部、DPC757.3部、および触媒として水酸化ナトリウム2.0×10−4部を用い窒素雰囲気下200℃に加熱し溶融させた。溶融したことを確認した後、EI反応工程を開始した。減圧開始後、20分かけて最終減圧度が8.0kPaになるように調整しながら減圧し、8.0kPa到達後はその減圧度を保持した。減圧開始と同時に、30℃/hrの速度で、最終樹脂温度が240℃になるまで昇温した。240℃到達後は、減圧度1.0kPa、樹脂温度240℃の状態で、フェノールが理論量の80%留去するまで10分間保持した。80%留去したことを確認した後、PA反応工程(前期工程)を開始した。最終樹脂温度が280℃になるように、1.0℃/minの速度で昇温させた。また、昇温と併行して、最終減圧度が1kPaとなるように60分かけて減圧させた。引き続いて、PA反応工程(後期工程)を開始した。後期工程では、最終樹脂温度が300℃になるように、1℃/minの速度で昇温させた。また、昇温と併行して、最終減圧度が134Paとなるまで20分かけて減圧させた。所定の攪拌電力値に到達したところで反応を終了し、反応槽の底より窒素加圧下吐出し、水槽で冷却しながら、ペレタイザーでカットしてペレットを得た。重合後のペレット中のフェノール量は約200ppmであった。
<樹脂材料の精製>
得られたペレットについて、乾燥温度を100℃とした他は実施例2と全く同様の操作を行った。得られた樹脂材料(ペレット)の評価結果を表1に記載した。
[参照例1]
<樹脂材料の製造>
BPA799.0部、PEG750−ME52.5部、DPC757.3部、および触媒としてステアリン酸バリウム3.7×10−3部を用いた他は、比較例2と全く同様の操作を行った。重合後のペレット中のフェノール量は約200ppmであった。
<樹脂材料の精製>
得られたペレットについて、比較例3と全く同様の操作を行った。得られた樹脂材料(ペレット)の評価結果を表1に記載した。
[参照例2]
<樹脂材料の製造>
ISS491.0部、PEG1000 140.0部、DPC757.3部、および触媒としてステアリン酸バリウム3.7×10−3部を用いた他は、実施例1と全く同様の操作を行った。重合後のペレット中のフェノール量は約1100ppmであった。
<樹脂材料の精製>
得られたペレットについて、実施例2と全く同様の操作を行った。得られた樹脂材料(ペレット)の評価結果を表1に記載した。
Figure 2021193164
次に、実施例2〜5で得られた樹脂材料、比較例1〜2で得られた樹脂材料、参照例1で得られた樹脂材料、および参考として用いる生体適合性ポリマー PMEA(ポリ(2−メトキシエチルアクリレート、日油株式会社製;参考例1)およびPMPC(ホスホコリン系ポリマー、商品名:リビジュアCM5206、日油株式会社製;参考例2)を用いて、以下の方法により血小板粘着試験を行った。血小板粘着試験は、PET基材のみ(ブランク;参考例3)の場合についても行った。結果を表2に示す。
<血小板粘着試験>
抗血栓性については、血小板粘着試験で評価した。試験を行う材料をそれぞれ、0.2%ジクロロメタン溶液として、PETフィルム上にスピンコートによって塗布、乾燥したものを試料とした。試料上にクエン酸ナトリウムで抗凝固したヒト新鮮多血小板血漿0.2mLをピペットで滴下し、37℃で60分間静置した。続いてリン酸緩衝溶液でリンスし、グルタルアルデヒドで固定した後、基板を走査型電子顕微鏡で観察し、1×104μmの面積に接着した血小板数をカウントした。ブランクのPET基板に接着した血小板数との比(S)で相対比較した。PETと比較して、血小板接着数が低いほど生体適合性に優れることを示す。
S=(試験樹脂に付着した血小板数)/(PETブランクに付着した血小板数)
A:0 ≦ S ≦ 0.2
B:0.2 < S ≦ 0.4
C:0.4 < S ≦ 0.6
D:0.6 < S ≦ 0.8
E:0.8 < S
Figure 2021193164
さらに、実施例1〜5で得られた樹脂および参照例2の樹脂を用いて、以下の方法により溶出量試験を行った。結果を表3に示す。
<フェノール溶出量試験>
各コポリマー材料ペレットを塩化メチレンに溶解後、塩化メチレンを蒸発させて得られた約100μmの厚みのキャストフィルムを作成した。得られたフィルム2gに純水100mlを加え、40℃で72時間浸漬処理した。抽出液を2.5ml採取し、分光光度計(日立製作所製、U−3310)を用いて波長270nmの吸光度を測定した。標品を用いて同様に測定して求めた検量線を利用して抽出液中のフェノール定量値を求めた。
Figure 2021193164
表2に示すように、樹脂材料中に特定の末端構造を含むことで、優れた抗血栓性および耐熱性が得られることがわかる。また、表3に示すように樹脂材料中に特定の末端構造を含み、含有フェノール量を低減することで水中への溶出物を低減できることがわかる。特に実施例1では末端基を導入することで精製工程が無い場合でもフェノールの溶出量が低減できる。本発明の樹脂材料は、例えば、人工器官等の体内埋め込み型デバイスおよびカテーテル等の生体内において生体組織と接触するデバイスや、人工透析器や人工心肺、輸血用血液の保存容器、血液処理装置のように、生体から取り出した生体物質を体外で取り扱うデバイスの他、細胞培養用の基材や体液中から所定の細胞を選択的に接着して分離するデバイスのように生体組織を所定の目的で取り扱うデバイス等の用途に特に適する。
本発明の樹脂材料は、抗血栓性、耐熱性および低溶出性に優れるため、人工器官等の体内埋め込み型デバイスおよびカテーテル等の生体内において生体組織と接触するデバイスなど医療用成形品に幅広く用いることができる。

Claims (14)

  1. 下記式(1)で表される末端基構造を重合鎖末端に含有する樹脂材料であって、主鎖の全繰り返し構成単位100重量%に対して下記式(1)で表される末端基構造を0.1〜17重量%の割合で含むことを特徴とする樹脂材料。
    Figure 2021193164
    (式(1)において、RおよびRはそれぞれ独立に水素原子または炭素数1〜4の脂肪族炭化水素を表し、Rは炭素原子数1〜30のアルキル基を表し、mは1〜4であり、nは2〜150である。)
  2. 生体組織と接触するデバイス用である、請求項1に記載の樹脂材料。
  3. フェノール含有量が1000ppm以下である、請求項1または2に記載の樹脂材料。
  4. 主鎖に脂肪族ジオール化合物、脂環式ジオール化合物、ヘテロ環ジオール化合物およびポリオキシエチレングリコールからなる群より選択されるジオール化合物から誘導される繰り返し構成単位を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂材料。
  5. 主鎖の全繰り返し構成単位100重量%に対して、前記ジオール化合物から誘導される繰り返し構成単位を50重量%以上100重量%以下の割合で含む、請求項4に記載の樹脂材料。
  6. 前記繰り返し構成単位として下記式(2)で表される繰り返し構成単位を含む、請求項4または5に記載の樹脂材料。
    Figure 2021193164
  7. 全ジオール化合物から誘導される繰り返し構成単位100重量%に対して、前記式(2)で表される繰り返し構成単位を10重量%以上100重量%以下の割合で含む、請求項6に記載の樹脂材料。
  8. ガラス転移温度が80℃以上160℃以下である請求項1〜7のいずれか1項に記載の樹脂材料。
  9. 水接触角が60°以下である請求項1〜8のいずれか1項に記載の樹脂材料。
  10. 飽和吸水率が1.0重量%以上である請求項1〜9のいずれか1項に記載の樹脂材料。
  11. 20℃の塩化メチレン溶液で測定された比粘度が0.15〜1.5である請求項1〜10のいずれか1項に記載の樹脂材料。
  12. 前記式(1)で表される末端基構造が下記式(3)で表される末端基構造である請求項1〜11のいずれか1項に記載の樹脂材料。
    Figure 2021193164
    (式(3)において、Rは水素原子またはメチル基を表し、Rは炭素原子数1〜30のアルキル基を表し、nは2〜150である。)
  13. 請求項1〜12のいずれか1項に記載の樹脂材料を用いて作成された医療用成形品。
  14. 請求項1〜12のいずれか1項に記載の樹脂材料を用いて表面処理してなる医療用成形品。
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