JP2021190614A - 光電変換装置及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】光電変換部に影響を与えることなく電荷排出用トランジスタの特性を向上しうる光電変換装置を提供する。【解決手段】光電変換により生じた電荷を蓄積する第1導電型の第1半導体領域を有する光電変換部と、第1半導体領域の電荷を排出部に排出するための電荷排出用トランジスタと、を有する。排出部は、第1の深さに設けられた第1導電型の第2半導体領域と、第2半導体領域に接続され、第1の深さよりも深い第2の深さに渡って設けられた第1導電型の第3半導体領域と、を有する。第2半導体領域は、第1半導体領域よりも浅く、第1半導体領域よりも不純物濃度が高い。第3半導体領域は、第1半導体領域と同等の深さ及び同等の不純物濃度を有する。【選択図】図4

Description

本発明は、光電変換装置及びその製造方法に関する。
CMOSイメージセンサ等の撮像装置に代表される光電変換装置の画素は、光電変換部で生じた過剰電荷を排出するためのオーバーフロードレインを備えており、光電変換部に蓄積される飽和信号量を制限している。一般的なCMOSセンサにおいては、浮遊拡散部が主なオーバーフロードレインとして用いられる。また、グローバル電子シャッタ機能を備えたCMOSセンサにおいては、光電変換部をリセットするためのトランジスタのドレインがオーバーフロードレインとして用いられる。特許文献1には、グローバル電子シャッタ動作に好適なオーバーフロードレイン構造が開示されている。
特開2019−029480号公報
特許文献1に記載の技術は、光電変換部とオーバーフロードレインとの間に電荷排出経路となる半導体領域を設け、光電変換部から溢れ出た電荷のオーバーフロードレインへの排出を促進するものである。しかしながら、電荷排出経路となる半導体領域及び光電変換部の電荷蓄積領域と電荷排出経路となる半導体領域とは同一導電型の半導体領域であり、これらが重なる部分は不純物濃度が高く、信号電荷が溜まりやすかった。そのため、光電変換部に蓄積した信号電荷を光電変換部とは別の電荷保持部に転送する際に、信号電荷を転送しきれないという不具合が生じることがあった。
本発明の目的は、光電変換部の特性に影響を与えることなくオーバーフロートランジスタの特性を向上しうる光電変換装置及びその製造方法を提供することにある。
本発明の一観点によれば、半導体基板に設けられ、光電変換により生じた電荷を蓄積する第1導電型の第1半導体領域を有する光電変換部と、前記半導体基板の上に設けられ、前記第1半導体領域の電荷を排出部に排出するための電荷排出用トランジスタと、を有し、前記排出部は、前記半導体基板の第1の深さに設けられた前記第1導電型の第2半導体領域と、前記第2半導体領域に接続され、前記第1の深さよりも深い第2の深さに渡って設けられた前記第1導電型の第3半導体領域と、を有し、前記第2半導体領域は、前記第1半導体領域よりも浅く、且つ、前記第1半導体領域よりも不純物濃度が高く、前記第3半導体領域は、前記第1半導体領域と同等の深さ及び同等の不純物濃度を有する光電変換装置が提供される。
また、本発明の他の一観点によれば、半導体基板に設けられ、光電変換により生じた電荷を蓄積する第1導電型の第1半導体領域を有する光電変換部と、前記半導体基板の上に設けられ、前記第1半導体領域の電荷を排出部に排出するための電荷排出用トランジスタと、を有し、前記排出部は、前記半導体基板の第1の深さに設けられた前記第1導電型の第2半導体領域と、前記第2半導体領域に接続され、前記第1の深さよりも深い第2の深さに渡って設けられた前記第1導電型の第3半導体領域と、を有し、前記第2半導体領域は、前記第1半導体領域よりも浅く、且つ、前記第1半導体領域よりも不純物濃度が高く、前記第3半導体領域は、前記第1半導体領域と同等の深さ及び同等の不純物濃度を有する、光電変換装置の製造方法であって、前記電荷排出用トランジスタのゲート電極をマスクとして前記第1導電型の不純物をイオン注入することにより、前記ゲート電極に対して自己整合的に前記第1半導体領域を形成する工程と、前記ゲート電極をマスクとして前記第1導電型の不純物をイオン注入することにより、前記第3半導体領域を前記ゲート電極に対して自己整合的に形成する工程とを有する光電変換装置の製造方法が提供される。
また、本発明の更に他の一観点によれば、半導体基板に設けられ、光電変換により生じた電荷を蓄積する第1導電型の第1半導体領域を有する光電変換部と、前記半導体基板の上に設けられ、前記第1半導体領域の電荷を排出部に排出するための電荷排出用トランジスタと、を有し、前記排出部は、前記半導体基板の第1の深さに設けられた前記第1導電型の第2半導体領域と、前記第2半導体領域に接続され、前記第1の深さよりも深い第2の深さに渡って設けられた前記第1導電型の第3半導体領域と、を有し、前記第2半導体領域は、前記第1半導体領域よりも浅く、且つ、前記第1半導体領域よりも不純物濃度が高く、前記第3半導体領域は、前記第1半導体領域と同等の深さ及び同等の不純物濃度を有する、光電変換装置の製造方法であって、前記第1半導体領域を形成する領域に設けられた開口部と前記第3半導体領域を形成する領域に設けられた開口部とを有するマスクを用いて前記第1導電型の不純物をイオン注入することにより、前記第1半導体領域と前記第3半導体領域とを同時に形成する工程と、前記第1半導体領域及び前記第3半導体領域を形成した後に、前記電荷排出用トランジスタのゲート電極を形成する工程とを有する光電変換装置の製造方法が提供される。
本発明によれば、光電変換部の特性に影響を与えることなくオーバーフロートランジスタの特性を向上することができる。
本発明の第1実施形態による光電変換装置の概略構成を示すブロック図である。 本発明の第1実施形態による光電変換装置の画素の構成例を示す等価回路図である。 本発明の第1実施形態による光電変換装置の画素の平面レイアウト図である。 本発明の第1実施形態による光電変換装置の画素の部分断面図である。 本発明の第1実施形態による光電変換装置の製造方法を示す工程断面図(その1)である。 本発明の第1実施形態による光電変換装置の製造方法を示す工程断面図(その2)である。 本発明の第1実施形態による光電変換装置の製造方法を示す工程断面図(その3)である。 本発明の第1実施形態による光電変換装置の製造方法を示す工程断面図(その4)である。 本発明の第2実施形態による光電変換装置の画素の平面レイアウト図である。 本発明の第2実施形態による光電変換装置の画素の部分断面図である。 本発明の第2実施形態による光電変換装置のオーバーフロートランジスタのゲート長方向に沿った不純物濃度分布を示すグラフである。 本発明の第3実施形態による光電変換装置の画素の平面レイアウト図である。 本発明の第3実施形態による光電変換装置の画素の部分断面図である。 本発明の第4実施形態による光電変換装置の画素の平面レイアウト図である。 本発明の第4実施形態による光電変換装置の画素の部分断面図である。 本発明の第5実施形態による撮像システムの概略構成を示すブロック図である。 本発明の第6実施形態による撮像システム及び移動体の構成例を示す図である。
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態による光電変換装置について、図1乃至図4を用いて説明する。図1は、本実施形態による光電変換装置の概略構成を示すブロック図である。図2は、本実施形態による光電変換装置における画素の構成例を示す等価回路図である。図3は、本実施形態による光電変換装置における画素の平面レイアウト図である。図4は、本実施形態による光電変換装置における画素の断面図である。
本実施形態による光電変換装置100は、例えば図1に示すように、画素部10と、垂直走査回路20と、読み出し回路30と、水平走査回路40と、出力回路50と、制御回路60と、により構成され得る。
画素部10には、複数の行及び複数の列に渡って行列状に配された複数の画素12が設けられている。各々の画素12は、フォトダイオード等の光電変換素子からなる光電変換部を含み、入射光の光量に応じた画素信号を出力する。画素部10に配される画素アレイの行数及び列数は、特に限定されるものではない。また、画素部10には、入射光の光量に応じた画素信号を出力する有効画素のほか、光電変換部が遮光されたオプティカルブラック画素や、信号を出力しないダミー画素などが配置されていてもよい。
画素部10の画素アレイの各行には、第1の方向(図1において横方向)に延在して、制御線14が配されている。制御線14の各々は、第1の方向に並ぶ画素12にそれぞれ接続され、これら画素12に共通の信号線をなしている。制御線14の延在する第1の方向は、行方向或いは水平方向と呼ぶことがある。制御線14は、垂直走査回路20に接続されている。
画素部10の画素アレイの各列には、第1の方向と交差する第2の方向(図1において縦方向)に延在して、出力線16が配されている。出力線16の各々は、第2の方向に並ぶ画素12にそれぞれ接続され、これら画素12に共通の信号線をなしている。出力線16の延在する第2の方向は、列方向或いは垂直方向と呼ぶことがある。出力線16は、読み出し回路30に接続されている。
垂直走査回路20は、画素12から信号を読み出す際に画素12内の読み出し回路を駆動するための制御信号を、画素アレイの各行に設けられた制御線14を介して画素12に供給する制御回路部である。垂直走査回路20は、シフトレジスタやアドレスデコーダを用いて構成され得る。垂直走査回路20は、制御線14を介して供給する制御信号によって画素部10の画素12を行単位で駆動する。行単位で画素12から読み出された信号は、画素アレイの各列に設けられた出力線16を介して読み出し回路30に入力される。
読み出し回路30は、画素12から読み出された画素信号に対して所定の処理、例えば、増幅処理、アナログ・デジタル変換処理、相関二重サンプリング処理等の信号処理を実施する回路部である。読み出し回路30は、アナログ画素信号を保持するサンプルホールド容量や、デジタル画素信号を保持する列メモリなどを含み得る。
水平走査回路40は、読み出し回路30で処理された画素信号を列毎に順次、出力回路50に転送するための制御信号を読み出し回路30に供給する回路部である。水平走査回路40は、シフトレジスタやアドレスデコーダを用いて構成され得る。
出力回路50は、バッファアンプや差動増幅器などから構成され、水平走査回路40によって選択された列の画素信号に対して所定の信号処理を実行し、処理後の画素データを出力する回路部である。出力回路50が行う信号処理としては、増幅処理や、デジタル相関二重サンプリング(CDS)処理などが挙げられる。
制御回路60は、垂直走査回路20、読み出し回路30、水平走査回路40に、これらの動作やタイミングを制御する制御信号を供給するための回路部である。垂直走査回路20、読み出し回路30、水平走査回路40に供給する制御信号の一部又は総ては、光電変換装置100の外部から供給されてもよい。
各々の画素12は、例えば図2に示すように、光電変換部PDと、転送トランジスタM1,M2と、リセットトランジスタM3と、増幅トランジスタM4と、選択トランジスタM5と、オーバーフロートランジスタM6と、により構成され得る。オーバーフロートランジスタM6は、光電変換部PDの電荷を排出するための電荷排出用トランジスタである。
光電変換部PDは、例えばフォトダイオードであり、アノードが接地ノードに接続され、カソードが転送トランジスタM1のソース及びオーバーフロートランジスタM6のソースに接続されている。転送トランジスタM1のドレインは、転送トランジスタM2のソースに接続されている。転送トランジスタM1のドレインと転送トランジスタM2とが接続されるノードMEMは、容量成分を含み、電荷保持部としての機能を備える。図2には、ノードMEMに結合される容量成分を、容量C1として表している。転送トランジスタM2のドレインは、リセットトランジスタM3のソース及び増幅トランジスタM4のゲートに接続されている。転送トランジスタM2のドレイン、リセットトランジスタM3のソース及び増幅トランジスタM4のゲートが接続されるノードFDは、いわゆる浮遊拡散(フローティングディフュージョン)部である。浮遊拡散部は、容量成分(浮遊拡散容量)を含み、電荷保持部としての機能を備える。図2には、ノードFDに結合される容量成分を、容量C2として表している。
リセットトランジスタM3のドレイン及び増幅トランジスタM4のドレインは、電圧Vddが供給される電源ノードに接続されている。増幅トランジスタM4のソースは、選択トランジスタM5のドレインに接続されている。選択トランジスタM5のソースは、出力線16に接続されている。出力線16は、電流源18に接続されている。オーバーフロートランジスタM6のドレイン(オーバーフロードレイン)は、電圧Vddが供給される電源ノードに接続されている。なお、リセットトランジスタM3のドレイン、増幅トランジスタM4のドレイン及びオーバーフロートランジスタM6のドレインに供給される電圧は、ここでは共通の電圧Vddとしているが、必ずしも同じである必要はない。
なお、画素12は、必ずしも選択トランジスタM5を有する必要はなく、選択トランジスタM5を含まない画素構成であってもよい。この場合、増幅トランジスタM4のソースが出力線16に接続される。
図2の画素構成の場合、各行の制御線14は、転送トランジスタM2のゲート、リセットトランジスタM3のゲート、選択トランジスタM5のゲートに接続された3本の信号線を含む。転送トランジスタM1のゲート、オーバーフロートランジスタM6のゲートに接続された信号線は、制御回路60に接続される。画素12の転送トランジスタM1、オーバーフロートランジスタM6は、複数行複数列の画素12で一括して制御される(グローバルシャッタ動作)。
転送トランジスタM1のゲートには、制御回路60から制御信号ΦTX1が供給される。転送トランジスタM2のゲートには、垂直走査回路20から制御信号ΦTX2が供給される。リセットトランジスタM3のゲートには、垂直走査回路20から制御信号ΦRESが供給される。選択トランジスタM5のゲートには、垂直走査回路20から制御信号ΦSELが供給される。オーバーフロートランジスタM6のゲートには、制御回路60から制御信号ΦOFGが供給される。各トランジスタがN型MOSトランジスタで構成される場合、Highレベルの制御信号が供給されると対応するトランジスタがオンとなる。また、Lowレベルの制御信号が供給されると対応するトランジスタがオフとなる。
なお、本実施形態では、光入射によって光電変換部PDで生成される電子正孔対のうち、電子を信号キャリアとして用いる場合を想定して説明を行う。信号キャリアとして電子を用いる場合、画素12を構成する各トランジスタは、N型MOSトランジスタによって構成され得る。ただし、信号キャリアは電子に限られるものではなく、正孔を信号キャリアとして用いてもよい。信号キャリアとして正孔を用いる場合、各トランジスタや半導体層の導電型は、本実施形態で説明するものとは逆導電型となる。また、MOSトランジスタのソース及びドレインの呼称はトランジスタの導電型や着目する機能によって異なることがある。本実施形態において使用するソース及びドレインの名称の一部又は全部は、逆の名称で呼ばれることもある。
光電変換部PDは、入射光をその光量に応じた量の電荷に変換(光電変換)するとともに、生じた電荷を蓄積する。転送トランジスタM1は、オンになることにより光電変換部PDが保持する電荷をノードMEM(電荷保持部)に転送する。光電変換部PDから転送された電荷は、ノードMEMに結合される容量C1によって保持される。転送トランジスタM2は、オンになることによりノードMEMが保持する電荷をノードFD(浮遊拡散部)に転送する。ノードMEMから転送された電荷は、ノードFDに結合される容量C2によって保持される。その結果、ノードFDは、容量C2による電荷電圧変換によって、ノードMEMから転送された電荷の量に応じた電位となる。
増幅トランジスタM4は、ドレインに電圧Vddが供給され、ソースに選択トランジスタM5を介して電流源18からバイアス電流が供給される構成となっており、ゲートを入力ノードとする増幅部(ソースフォロワ回路)を構成する。これにより増幅トランジスタM4は、ノードFDの電圧に基づく信号を、選択トランジスタM5を介して出力線16に出力する。この意味で、増幅トランジスタM4は、ノードFDが保持する電荷に基づく画素信号を出力する出力部でもある。リセットトランジスタM3は、オンになることによりノードFDを電圧Vddに応じた電圧にリセットする。オーバーフロートランジスタM6は、オンになることにより、光電変換部PDに蓄積された電荷を電源ノードに排出し、光電変換部PDをリセットする。
画素12の転送トランジスタM2、リセットトランジスタM3及び選択トランジスタM5は、前述のように、垂直走査回路20から供給される制御信号ΦTX2,ΦRES,ΦSELにより、行単位で制御される。制御信号ΦSELにより選択された行に属する画素12の画素信号は、それぞれの画素12の対応する出力線16に、同時に出力される。
光電変換装置100は、1つの半導体基板に形成されてもよいし、複数の半導体基板に構成要素を作り分けこれら半導体基板を積層することにより形成されてもよい。図3は、画素部10が配される半導体基板110における画素12の平面レイアウトの一例を示す概略図である。図4は、図3のA−A′線断面図である。図3及び図4には、画素12を構成する要素のうち、半導体基板110に設けられる各半導体領域と、各トランジスタのゲート電極を構成するゲート層のみを示している。
半導体基板110の主表面には、例えば図3に示すように、活性領域112,114が確定されている。活性領域112,114は、STI(Shallow Trench Isolation)等の絶縁構造体やpn接合分離により構成される素子分離部により、互いに分離されている。素子分離のための絶縁構造体やpn接合分離は、適宜組み合わせることができる。活性領域112には、光電変換部PDと、転送トランジスタM1,M2と、電荷保持部(ノードMEM)と、浮遊拡散部(ノードFD)と、オーバーフロートランジスタM6と、オーバーフロードレインOFDと、が配置され得る。また、活性領域114には、リセットトランジスタM3と、増幅トランジスタM4と、選択トランジスタM5と、が配置され得る。
半導体基板の上には、活性領域112を跨ぐように、転送トランジスタM1のゲートを構成する転送電極140、転送トランジスタM2のゲートを構成する転送電極144及びオーバーフロートランジスタM6のゲートを構成する転送電極146が配置されている。転送電極140は、平面視において、光電変換部PDと電荷保持部(ノードMEM)との間に配される。転送電極144は、平面視において、電荷保持部(ノードMEM)と浮遊拡散部(ノードFD)との間に配される。転送電極146は、平面視において、光電変換部PDとオーバーフロードレインOFDとの間に配される。また、半導体基板110の上には、活性領域114を跨ぐように、リセットトランジスタM3のゲート電極150、増幅トランジスタM4のゲート電極152及び選択トランジスタM5のゲート電極154が配置されている。
画素12が設けられる半導体基板110は、例えばN型の半導体基板によって構成され得る。半導体基板110の主表面側には、例えば図4に示すように、P型ウェルを構成する低不純物濃度のP型半導体領域116が設けられている。P型半導体領域116内には、光電変換部PDと、電荷保持部(ノードMEM)と、オーバーフロードレインOFDと、が設けられている。
光電変換部PDは、半導体基板110の表面部に設けられた高不純物濃度のP型半導体領域118と、P型半導体領域118の下部に設けられたN型半導体領域120と、を含む。N型半導体領域120はP型半導体領域116,118との間にpn接合を形成しており、これにより埋め込みダイオード構造の光電変換部PDが構成されている。N型半導体領域120は、半導体基板110内における光電変換によって生じた電荷を蓄積するための電荷蓄積層としての役割を備えるほか、転送トランジスタM1のソース及びオーバーフロートランジスタM6のソースとしての役割も備える。P型半導体領域118は、半導体基板110の表面部で生じる暗電流による影響を抑制するための表面保護層である。N型半導体領域120の底部の深さ(N型半導体領域120とP型半導体領域116との間のpn接合の深さ)は、半導体基板110の主表面からD1である。
電荷保持部(ノードMEM)は、半導体基板110の表面部に設けられた高不純物濃度のP型半導体領域122と、P型半導体領域122の下部に設けられたN型半導体領域124と、を含む。N型半導体領域124はP型半導体領域116,122との間にpn接合を形成しており、これにより埋め込みダイオード構造の電荷保持部が構成されている。N型半導体領域124は、光電変換部PDから転送される電荷を保持するための電荷保持層としての役割を備えるほか、転送トランジスタM1のドレイン及び転送トランジスタM2のソースとしての役割も備える。P型半導体領域122は、半導体基板110の表面部で生じる暗電流による影響を抑制するための表面保護層である。なお、電荷保持部(ノードMEM)は、光が入射しないように通常は遮光層(不図示)で覆われている。
オーバーフロードレインOFDは、オーバーフロートランジスタM6のドレイン(排出部)であり、高不純物濃度のN型半導体領域126と、N型半導体領域126に接続され、N型半導体領域126よりも不純物濃度の低いN型半導体領域128と、を含む。N型半導体領域126の底部の深さは、半導体基板110の主表面からD2である。N型半導体領域126の深さD2は、N型半導体領域120の深さD1よりも浅い。N型半導体領域128の底部の深さ(N型半導体領域128とP型半導体領域116との間のpn接合の深さ)は、半導体基板110の主表面からD3である。
転送トランジスタM1のゲート電極を構成する転送電極140は、N型半導体領域120とN型半導体領域124との間の半導体基板110の主表面上に、ゲート絶縁膜142を介して設けられている。オーバーフロートランジスタM6のゲート電極を構成する転送電極146は、N型半導体領域120とオーバーフロードレインOFDとの間の半導体基板110の主表面上に、ゲート絶縁膜148を介して設けられている。
N型半導体領域128の深さD3は、N型半導体領域126の深さD2よりも深く、また、N型半導体領域120の深さD1と同程度である。N型半導体領域126の深さD2及びN型半導体領域128の深さD3は、N型半導体領域120の少なくとも一部が、深さD2から深さD3までの間に位置するように、適宜選択することができる。
また、平面視におけるN型半導体領域120とN型半導体領域128との間の距離L1は、平面視におけるN型半導体領域120とN型半導体領域126との間の距離L2よりも短いか、或いは、距離L2と同程度である。なお、本明細書において平面視とは、画素12の各構成要素を半導体基板110の表面に平行な面に投影した状態を表すものであり、図3の平面レイアウト図に対応している。
このように、本実施形態のオーバーフロートランジスタM6は、オーバーフロードレインOFDが、N型半導体領域126と、N型半導体領域128と、により構成されている。オーバーフロートランジスタM6は、N型半導体領域128を備えていなくても、通常の設計により所望の特性、すなわち、オフ時にはN型半導体領域120に信号電荷を蓄積し、オン時にはN型半導体領域120に蓄積された信号電荷を排出することはできる。しかしながら、このような構造では、オフ時においてN型半導体領域120から溢れ出た電荷を排出する能力が十分とはいえない。これは、N型半導体領域126がN型半導体領域120よりも浅いため、N型半導体領域120からN型半導体領域126への電荷の移動が、オフ時にチャネル領域に形成される高密度ホール層によるポテンシャルバリアの影響によって抑制されるからである。
この点、本実施形態のオーバーフロートランジスタM6は、オーバーフロードレインOFDが、N型半導体領域120と同程度の深さを有するN型半導体領域128を更に備えている。これにより、N型半導体領域120から溢れ出たオーバーフロー電荷は、チャネル領域の高密度ホール層による影響の少ない半導体基板110のより深い部分を介してN型半導体領域128に達することができるようになる。ここで、N型半導体領域120とN型半導体領域128との間の領域(P型半導体領域116)はP型不純物濃度が低いため、チャネル領域よりも深い領域ではオーバーフロー電荷に対するポテンシャルバリアは小さい。したがって、N型半導体領域128を設けることにより、半導体基板110のより深い領域にオーバーフロー電荷の排出路を形成することができ、N型半導体領域120からオーバーフロードレインOFDへと容易にオーバーフロー電荷を排出することができる。
また、本実施形態においては、オーバーフロードレインOFDに低濃度のN型半導体領域128を追加するだけであり、電荷蓄積層を構成するN型半導体領域120の不純物プロファイルに影響を与えることはない。したがって、特許文献1の場合のように電荷蓄積層を構成するN型半導体領域120に局所的に高濃度部が形成されることはなく、光電変換部PDから電荷保持部(ノードMEM)への信号電荷の転送に不具合が生じることはない。
なお、オーバーフロードレインOFDにN型半導体領域128を設けることによるオーバーフロートランジスタM6の特性への影響はほとんどない。これは、N型半導体領域128の不純物濃度がN型半導体領域126の不純物領域と比較して十分に低く、オーバーフロートランジスタM6の特性はN型半導体領域126によって概ね規定されるからである。すなわち、N型半導体領域128は不純物濃度が低いため、平面視において転送電極146にその一部が重なっている場合でも、オーバーフロートランジスタM6のオフ時にはその重なり部に高密度ホールが誘起され得る。また、オーバーフロートランジスタM6のオン時にはその重なり部を含めてチャネルが形成され得る。
次に、本実施形態による光電変換装置の製造方法について、図5乃至図8を用いて説明する。図5乃至図8は、本実施形態による光電変換装置の製造方法を示す概略断面図である。ここでは、本実施形態の特徴的な部分である光電変換部PD及びオーバーフロードレインOFDの製造方法を中心に説明する。光電変換装置のその他の構成部分は、一般的な光電変換装置の製造方法と同様の手法を用いて製造することができる。
本実施形態の製造方法は、N型半導体領域120とN型半導体領域128とを、フォトリソグラフィ工程の位置合わせずれによる影響を排除しつつ、一定の間隔で形成することを1つの特徴とする。N型半導体領域120とN型半導体領域128とを一定の間隔で形成する方法にはいくつか考えられるが、ここではそれらのうちの3つの例を説明する。
第1の製造方法は、N型半導体領域120,128を転送電極140,146に対して自己整合的に形成するものである。また、第1の製造方法では、N型半導体領域120とN型半導体領域128とを別々に形成する。図5及び図6は、本実施形態の第1の製造方法を示す工程断面図である。図5が光電変換部PDのN型半導体領域120の製造方法を示す工程断面図であり、図6がオーバーフロードレインOFDのN型半導体領域128の製造方法を示す工程断面図である。
まず、半導体基板110に、通常の光電変換装置の製造方法と同様にして、P型半導体領域116、不図示の素子分離部、転送電極140,146、P型半導体領域118,122、N型半導体領域124,126等を形成する。
次いで、フォトリソグラフィにより、光電変換部PDの形成領域に開口部160aを有するフォトレジスト膜160を形成する。この際、開口部160aは転送電極140及び転送電極146の上に端部が位置するように配置する。
次いで、フォトレジスト膜160及び転送電極140,146をマスクとしてN型不純物、例えば砒素イオンや燐イオンをイオン注入し、P型半導体領域118の下部にN型半導体領域120を形成する(図5)。これにより、N型半導体領域120を転送電極140,146に対して自己整合的に形成することができ、フォトリソグラフィ工程における位置合わせずれの影響を抑制することができる。なお、ここでは転送電極140,146が十分な厚みを有しており、注入するN型不純物イオンが転送電極140,146を貫通しない場合を想定している。
N型半導体領域120を形成する際には、半導体基板110の法線方向に対して傾斜した方向からイオン注入(傾斜イオン注入)を行い、N型半導体領域120が平面視において転送電極140,146と十分に重なるようにすることが望ましい。これは、N型半導体領域120に蓄積された電荷をN型半導体領域124に転送するための転送路及びN型半導体領域120に蓄積された電荷をオーバーフロードレインOFDに排出するための転送路を形成するうえで好適なためである。
次いで、アッシングによりフォトレジスト膜160を除去した後、フォトリソグラフィにより、オーバーフロードレインOFDの形成領域に開口部162aを有するフォトレジスト膜162を形成する。この際、開口部162aは転送電極146の上に端部が位置するように配置する。
次いで、フォトレジスト膜162及び転送電極146をマスクとしてN型不純物、例えば砒素イオンや燐イオンをイオン注入し、N型半導体領域126の下部にN型半導体領域128を形成する(図6)。これにより、N型半導体領域128を転送電極146に対して自己整合的に形成することができ、フォトリソグラフィ工程における位置合わせずれの影響を抑制することができる。
N型半導体領域128を形成する際には、半導体基板110の法線方向に対して傾斜した方向からイオン注入を行い、N型半導体領域128が平面視において転送電極146と十分に重なるようにすることが望ましい。これは、N型半導体領域120に蓄積された電荷をオーバーフロードレインOFDに排出するための転送路を形成するうえで好適なためである。ただし、N型半導体領域128を形成する際のイオン注入には、必ずしも傾斜イオン注入を用いる必要はなく、半導体基板110の略法線方向からイオン注入を行うようにしてもよい。
N型半導体領域126は、N型半導体領域128と同様、転送電極146に対して自己整合的に形成されるが、フォトレジスト膜162とは別のフォトレジスト膜を用いて、N型半導体領域128とは別の工程で形成される。例えば、N型半導体領域126は、ノードFDを構成するN型半導体領域、リセットトランジスタM3、増幅トランジスタM4、選択トランジスタM5のソース/ドレインを構成するN型半導体領域と同時に形成され得る。この場合、N型半導体領域126は、これらN型半導体領域と同等の深さ及び同等の不純物濃度を有することになる。
なお、ここではN型半導体領域120を形成した後にN型半導体領域128を形成する例を示したが、N型半導体領域128を形成した後にN型半導体領域120を形成してもよい。また、P型半導体領域118,122及びN型半導体領域124,126を形成するタイミングについても特に限定されるものではなく、例えば、N型半導体領域120及びN型半導体領域128を形成した後であってもよい。また、N型半導体領域124は、N型半導体領域120又はN型半導体領域128と同時に形成してもよい。
このようにしてN型半導体領域120,128を転送電極146に対して自己整合的に形成することにより、フォトリソグラフィ工程における位置合わせずれによらず、N型半導体領域120とN型半導体領域128との間隔を一定に保つことができる。N型半導体領域120とN型半導体領域128との間隔は、転送電極146のゲート長(図3におけるY方向の幅)によって規定され、転送電極146を形成する際のフォトリソグラフィ工程における位置合わせずれの影響を受けることはない。
また、P型半導体領域116は、画素12の形成領域の全体に一様に形成されているため、N型半導体領域120とN型半導体領域128との間隔が一定であれば、これらの間のP型キャリア濃度も一定となる。したがって、N型半導体領域120とN型半導体領域128との間のポテンシャルバリアも、フォトリソグラフィ工程における位置合わせずれの影響を受けることはない。
第2の製造方法は、第1の製造方法と同様、N型半導体領域120,128を転送電極140,146に対して自己整合的に形成するものである。ただし、第2の製造方法では、第1の製造方法とは異なり、N型半導体領域120とN型半導体領域128とを同時に形成する。図7は、本実施形態の第2の製造方法を示す工程断面図である。
第2の製造方法は、N型半導体領域120,128を転送電極140,146に対して自己整合的に形成する点で第1の製造方法と同様であるが、N型半導体領域120,128を同一のマスクを用いて形成する点で第1の製造方法とは異なっている。N型半導体領域128に求められる特徴は、N型半導体領域120と同程度の深さを持ち、N型半導体領域126よりも不純物濃度が十分に低いことである。したがって、N型半導体領域128は、N型半導体領域120と同時に形成されるN型半導体領域によって構成することも可能である。
まず、半導体基板110に、通常の光電変換装置の製造方法と同様にして、P型半導体領域116、不図示の素子分離部、転送電極140,146、P型半導体領域118,122、N型半導体領域124,126等を形成する。
次いで、フォトリソグラフィにより、光電変換部PD及びオーバーフロードレインOFDの形成領域に開口部164aを有するフォトレジスト膜164を形成する。この際、開口部164aは転送電極140の上に端部が位置するように配置する。
次いで、フォトレジスト膜164及び転送電極140,146をマスクとしてN型不純物、例えば砒素イオンや燐イオンをイオン注入し、N型半導体領域120及びN型半導体領域128を形成する(図7)。これにより、N型半導体領域120,128を転送電極140,146に対して自己整合的に形成することができ、フォトリソグラフィ工程における位置合わせずれの影響を抑制することができる。
N型半導体領域120,128を形成する際には、半導体基板110の法線方向に対して傾斜した方向からイオン注入を行い、N型半導体領域120,128が平面視において転送電極140,146と十分に重なるようにすることが望ましい。
第2の製造方法では、第1の製造方法と比較してフォトリソグラフィ工程を1工程削減することができ、ひいては製造コストを低減することができる。
上述の第1及び第2の製造方法は、転送電極140,146に対して自己整合的にN型半導体領域120,128を形成するものであるが、このような方法は実現しにくい場合が想定される。第1の例として、転送電極140,146の厚みが十分ではなく、N型半導体領域120,128を形成する際のマスクとして転送電極140,146を利用できない場合が挙げられる。この課題は、例えば、素子の微細化により転送電極140,146が薄膜化することに伴って生じ得る。また、第2の例として、平面視において転送電極140,146と重なる部分におけるN型半導体領域120,128の不純物濃度を十分に高くできず、信号電荷の転送経路を形成することが困難な場合が挙げられる。以下に、第2の例についてより詳細に説明する。
平面視においてノードMEM及びオーバーフロードレインOFDが光電変換部PDに対して同じ側に位置する場合、N型半導体領域120は、特定の一方向からの斜めイオン注入によって形成することができる。しかしながら、例えば図3に示すように、平面視においてノードMEM及びオーバーフロードレインOFDが光電変換部PDに対して異なる側に位置する場合には、N型半導体領域120は、少なくとも2方向からの斜めイオン注入によって形成する必要がある。この場合、平面視において転送電極140,146と重なる部分におけるN型半導体領域120の不純物濃度は、トータルのイオン注入量の半分程度に低下してしまう。
平面視において転送電極140,146と重なる部分におけるN型半導体領域120の不純物濃度を高くするためには、トータルのイオン注入量を増加すればよい。しかしながら、光電変換部PDの飽和信号電荷量が一定レベルを超えると、転送電極146によるオーバーフロードレインOFDへの信号電荷の排出や、転送電極140によるノードMEMへの信号電荷の転送が困難になる。そのため、N型半導体領域120の全体の不純物濃度は、一定レベル以下にする必要がある。
したがって、光電変換部PDに対してノードMEM及びオーバーフロードレインOFDが平面視において異なる側に位置する場合、平面視において転送電極140,146と重なる部分におけるN型半導体領域120の不純物濃度を十分に高くできない。そのため、平面視において転送電極140,146と重なる部分におけるN型半導体領域120の不純物濃度によっては、信号電荷の転送経路を形成することが困難になる。
第3の製造方法は、光電変換部PDに対してノードMEM及びオーバーフロードレインOFDが平面視において異なる側に位置する場合にも適用可能な製造方法の一例である。図8は、本実施形態の第3の製造方法を示す工程断面図である。
第3の製造方法においては、転送電極140,146の形成前に、N型半導体領域120及びN型半導体領域128を形成する。
まず、半導体基板110に、通常の光電変換装置の製造方法と同様にして、P型半導体領域116、不図示の素子分離部、P型半導体領域118,122、N型半導体領域124,126等を形成する。
次いで、フォトリソグラフィにより、N型半導体領域120の形成領域を露出する開口部166aと、N型半導体領域128の形成領域を露出する開口部166bと、を有するフォトレジスト膜166を形成する。
次いで、フォトレジスト膜166をマスクとしてN型不純物、例えば砒素イオンや燐イオンをイオン注入し、N型半導体領域120及びN型半導体領域128を形成する(図8)。
このように、第3の製造方法では転送電極140,146を形成する前にN型半導体領域120,128を形成するが、N型半導体領域120,128は同一のマスクを用いて同時に形成される。したがって、N型半導体領域120とN型半導体領域128との間隔は、仮にフォトリソグラフィ工程で位置合わせずれが生じてもほぼ一定であり、N型半導体領域120とN型半導体領域128との間のポテンシャルバリアが変動することはない。
第3の製造方法においては、N型半導体領域120,128を転送電極140,146に対して自己整合的に形成することはできない。しかしながら、第3の製造方法では、転送電極140,146とN型半導体領域120,128との重なり部分の幅を自由に設定することができ、信号電荷の転送経路を容易に確保することができる。また、N型半導体領域120,128を形成する際のイオン注入には、必ずしも斜めイオン注入を用いる必要はなく、半導体基板110の略法線方向からのイオン注入を用いることができる。
N型半導体領域120,128と転送電極140,146との間の位置合わせずれが生じた場合、転送電極146によるオーバーフロードレインOFDへの信号電荷の排出や転送電極140によるノードMEMへの信号電荷の転送の特性に影響することはある。しかしながら、これら転送特性はオーバーフロードレインOFDの特性ほどには位置合わせずれに対して敏感ではなく、オーバーフロードレインOFDの特性を安定化できることによるメリットの方が大きい。
また、第3の製造方法には、第2の製造方法と同様、第1の製造方法と比較してフォトリソグラフィ工程を1工程削減することができ、ひいては製造コストを低減することができるというメリットもある。
なお、ここではP型半導体領域118,122、N型半導体領域124,126を形成した後にN型半導体領域120,128を形成する例を示した。しかしながら、P型半導体領域118,122、N型半導体領域124,126を形成するタイミングは特に限定されるものではない。例えば、P型半導体領域118,122、N型半導体領域124,126のうちのいずれか1つ以上を、N型半導体領域120,128の形成後に形成してもよい。また、P型半導体領域118,122、N型半導体領域124,126のうちのいずれか1つ以上は、転送電極140,146の形成後に形成してもよい。また、N型半導体領域124は、N型半導体領域120,128と同時に形成してもよい。
このように、本実施形態によれば、光電変換部の特性に影響を与えることなくオーバーフロートランジスタの特性を向上することができる。
なお、本実施形態では、転送トランジスタM1、オーバーフロートランジスタM6を複数行複数列の画素12で同時に制御するグローバルシャッタ動作を説明した。本実施形態はこの例に限定されるものではなく、画素12の転送トランジスタM1、オーバーフロートランジスタM6を行単位で制御する、ローリングシャッタ動作を行うようにしてもよい。この場合には、転送トランジスタM1のゲート、オーバーフロートランジスタM6のゲートに接続される信号線は、制御回路60ではなく、垂直走査回路20に接続されるようにするとよい。
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態による光電変換装置について、図9及び図10を用いて説明する。第1実施形態による光電変換装置と同様の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略し或いは簡潔にする。図9は、本実施形態による光電変換装置における画素の平面レイアウト図である。図10は、本実施形態による光電変換装置における画素の断面図である。
第1実施形態ではP型ウェル(P型半導体領域116)内に画素12を設ける場合の構成例を示したが、本実施形態ではN型半導体基板の一部であるN型半導体領域に画素12を設ける場合の構成例を示す。
図9は、画素部10が配される半導体基板110における画素12の平面レイアウトの一例を示す概略図である。本実施形態による光電変換装置は、図9に示すように、平面レイアウト上は、光電変換部PDとオーバーフロードレインOFDとの間にP型半導体領域130を更に有するほかは、第1実施形態による光電変換装置と同様である。
図10は、図9のA−A′線断面図である。半導体基板110の深部には、図10に示すように、P型半導体領域132が設けられている。P型半導体領域132よりも浅い領域には、P型半導体領域134,136が設けられている。これらP型半導体領域132,134,136は、半導体基板110内にポテンシャルバリアを形成する。P型半導体領域132は、光電変換部PDの光電変換領域を規定する。すなわち、P型半導体領域132よりも浅い領域において入射光による光電変換によって生じた電荷(電子)が、信号電荷としてN型半導体領域120に蓄積される。P型半導体領域134は、電荷保持部(ノードMEM)の感度領域の深さを規定するものであり、比較的浅い領域での画素間の分離にも用いられる。P型半導体領域136は、P型半導体領域134とP型半導体領域132との間の深さに設けられ、P型半導体領域134よりも深い領域での画素間の分離に用いられる。
半導体基板110の主表面側には、第1実施形態による光電変換装置と同様、P型半導体領域118,122、N型半導体領域120,124,126,128が設けられている。また、N型半導体領域120とN型半導体領域128との間には、P型半導体領域130が設けられている。P型半導体領域130は、N型半導体領域120,128とほぼ同じ深さに設けられている。
P型半導体領域130は、N型半導体領域120とN型半導体領域128との間にポテンシャルバリアを形成するが、N型半導体領域120から溢れ出た信号電荷に対してはオーバーフロー経路を形成し、オーバーフロードレインOFDへと排出する必要がある。そのため、P型半導体領域130のP型不純物濃度は低く、典型的にはN型半導体領域120,128のN型不純物濃度よりも低い。
N型半導体領域120とN型半導体領域128との間のポテンシャルバリアは、P型半導体領域130の不純物濃度、N型半導体領域120,128との間隔等を適宜設定することにより調整が可能である。したがって、このような構成により、第1実施形態と同じく、ノードMEMへの信号電荷の転送に不具合を生じることなく、オーバーフロートランジスタM6の特性を向上することができる。
また、本実施形態による光電変換装置は、半導体基板110の中に画素12が形成されていることにより、光電変換部PDは半導体基板110内で生じた電荷をすみやかにN型半導体領域120に収集することができるため、感度を向上できるメリットもある。また、P型半導体領域134を適度に浅くすることにより、偽信号の原因となる電荷保持部(ノードMEM)の感度を小さく抑えることも可能である。
次に、本実施形態による光電変換装置の製造方法について、図9乃至図11を用いて説明する。図11は、本実施形態の光電変換装置におけるオーバーフロートランジスタM6のゲート長方向に沿った不純物濃度分布を示すグラフである。
本実施形態による光電変換装置の製造方法は、P型半導体領域130を形成する工程を更に有するほかは、第1実施形態による光電変換装置の製造方法と基本的に同様である。
P型半導体領域130は、転送電極140,146を形成する前に、フォトリソグラフィ及びイオン注入を用いて所定の領域に選択的にP型不純物、例えば硼素イオンを半導体基板110にイオン注入することにより、形成することができる。これは一般的な半導体装置の製造プロセスであり、ここでは詳細な説明は省略する。
ただし、P型半導体領域130は、図9に示すように、オーバーフロートランジスタM6のチャネル幅方向(図9においてX方向)の長さが、オーバーフロートランジスタM6のチャネル幅Wよりも十分に長くなるようにレイアウトする。このように構成することで、フォトリソグラフィ工程における位置合わせずれによってP型半導体領域130を形成するためのマスクの相対位置がX方向にずれたとしても、チャネル領域の不純物プロファイルが変化することはない。これにより、N型半導体領域120とN型半導体領域128との間のポテンシャルバリアを一定に保ち、オーバーフロートランジスタM6の特性を安定化することができる。
なお、図9に示すP型半導体領域130のパターンは、P型半導体領域130をイオン注入する際に用いられるマスクの開口部のパターンに相当する。すなわち、図9に示すP型半導体領域130のパターンはレチクル上における設計レイアウトであり、必ずしも半導体基板110内に形成されるP型半導体領域130の平面レイアウトと同じではない。
また、P型半導体領域130は、図10に示すように、N型半導体領域120及びN型半導体領域128に対して等間隔となるようにレイアウトする。N型半導体領域120,128は、第1実施形態において説明した第1乃至第3の製造方法を用いて形成することができるが、N型半導体領域120とN型半導体領域128とは、深さ方向及び横方向の不純物プロファイルが同等となるように形成する。
例えば、N型半導体領域120,128の形成方法として上述の第1の製造方法を適用する場合、同種のN型不純物イオンを、ほぼ等しい加速エネルギー、ほぼ等しいドーズ量でイオン注入する。斜めイオン注入を用いる場合には、N型半導体領域120側とN型半導体領域128側とにおいて転送電極146に対するオーバーラップ部の幅及び不純物濃度が同等になるように、転送電極146に対する入射イオンの傾斜角度を逆向きに設定する。
上述の第2又は第3の製造方法を適用する場合、N型半導体領域120,128は同時に形成するため、N型半導体領域120,128のイオン注入条件は基本的には同じである。斜めイオン注入を用いる場合には、N型半導体領域120側とN型半導体領域128側とにおいて転送電極146に対するオーバーラップ部の幅及び不純物濃度が同等になるように、転送電極146に対する入射イオンの傾斜方向及び傾斜角度を設定する。
N型半導体領域120及びN型半導体領域128をこのように構成する理由について、図11を用いて説明する。図11は、図10のB−B′線に沿った不純物濃度分布を示すグラフである。
図11中、位置B及び位置B′は、図10の位置B及び位置B′に対応している。位置Cは、N型半導体領域128を構成するN型不純物の濃度とP型半導体領域130を構成するP型不純物の濃度とが等しくなる位置を示している。この位置Cが、N型半導体領域128とP型半導体領域130との間の境界である。位置Dは、P型半導体領域130を構成するP型不純物の濃度とN型半導体領域120を構成するN型不純物の濃度とが等しくなる位置を示している。この位置Dが、P型半導体領域130とN型半導体領域120との間の境界である。
P型半導体領域130における実効的なP型不純物濃度は、P型半導体領域130の各点におけるP型不純物の濃度からN型不純物の濃度を差し引いた濃度である。P型半導体領域130における実効的なP型不純物量は、位置Cから位置Dまでの実効的なP型不純物濃度を積分した量となる。
ここで、フォトリソグラフィ工程における位置合わせずれによりP型半導体領域130がN型半導体領域128の側に相対的にシフトし、図11に一点鎖線で示すように、位置Cが位置C’に、位置Dが位置D’に、それぞれ移動した場合を考える。この場合、P型半導体領域130のN型半導体領域128に対する重なりは増加し、N型半導体領域128の側において実効的なP型不純物量は減少する。その一方、P型半導体領域130のN型半導体領域120に対する重なりは減少し、N型半導体領域120の側において実効的なP型不純物量は増加する。
また、フォトリソグラフィ工程における位置合わせずれによりP型半導体領域130がN型半導体領域120の側に相対的にシフトし、図11に二点鎖線で示すように、位置Cが位置C”に、位置Dが位置D”に、それぞれ移動した場合を考える。この場合、P型半導体領域130のN型半導体領域128に対する重なりは減少し、N型半導体領域128の側において実効的なP型不純物量は増加する。その一方、P型半導体領域130のN型半導体領域120に対する重なりは増加し、N型半導体領域120の側において実効的なP型不純物量は減少する。
前述のように、N型半導体領域120とN型半導体領域128とは、深さ方向及び横方向の不純物プロファイルが同等となるように形成している。別の言い方をすると、N型半導体領域120及びN型半導体領域128の不純物プロファイルは、P型半導体領域130に対して対称である。したがって、N型半導体領域120側における実効的なP型不純物量の増加又は減少と、N型半導体領域128側における実効的なP型不純物量の減少又は増加とは、互いに相殺し合う。より正確に述べると、P型半導体領域130の相対的な位置ずれ量を微小量ΔXとすると、P型半導体領域130の実効的なP型不純物量の変化は、微小量ΔXについての2次の微小量となる。これにより、P型半導体領域130の全体における実効的なP型不純物量は、ほぼ一定に保つことができる。
このように構成することで、フォトリソグラフィ工程における位置合わせずれによってP型半導体領域130の配置場所が相対的にY方向にずれた場合にも、N型半導体領域120とN型半導体領域128との間の実効的なP型不純物量はほぼ一定値となる。
したがって、本実施形態においては、フォトリソグラフィ工程における位置合わせずれによってP型半導体領域130の配置場所が相対的にずれた場合にも、N型半導体領域120とN型半導体領域128との間の実効的なP型不純物量をほぼ一定に維持できる。これにより、N型半導体領域120とN型半導体領域128との間のポテンシャルバリアを一定に保ち、オーバーフロートランジスタM6の特性を安定化することができる。
このように、本実施形態によれば、光電変換部の特性に影響を与えることなくオーバーフロートランジスタの特性を向上することができる。
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態による光電変換装置及びその製造方法について、図12及び図13を用いて説明する。第1及び第2実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略し或いは簡潔にする。図12は、本実施形態による光電変換装置における画素の平面レイアウト図である。図13は、本実施形態による光電変換装置における画素の断面図である。
第2実施形態では、P型半導体領域130を、N型半導体領域120とN型半導体領域128との間に、N型半導体領域120,128から離間して配置したが、P型半導体領域130の配置はこれに限定されるものではない。P型半導体領域130は、少なくとも一部がN型半導体領域120とN型半導体領域128との間に配置されていればよく、例えば図12及び図13に示すように配置することもできる。
すなわち、本実施形態による光電変換装置においては、図12及び図13に示すように、P型半導体領域130を、平面視においてN型半導体領域120とN型半導体領域128とに重なるように配置している。P型半導体領域130が設けられる深さは、第2実施形態の場合と同様である。
P型半導体領域130は、図12に示すように、オーバーフロートランジスタM6のチャネル幅方向(図12においてX方向)の長さが、オーバーフロートランジスタM6のチャネル幅Wよりも短くなるようにレイアウトする。このように構成することで、P型半導体領域130の配置場所が相対的にX方向にずれたとしても、チャネル領域の範囲内においてP型半導体領域130の位置が変わるだけであり、P型半導体領域130の実効的なP型不純物量は変化しない。したがって、フォトリソグラフィ工程における位置合わせずれによってP型半導体領域130の配置場所が相対的にX方向にずれた場合に、オーバーフロートランジスタM6の特性が大きく変化することはない。
また、P型半導体領域130は、第2実施形態と同様、N型半導体領域120及びN型半導体領域128に対して等間隔となるようにレイアウトする。或いは、図12に示すように、P型半導体領域130は、転送電極146のゲート長方向の両端部においてN型半導体領域120,128と重なるように配置する。この場合には、N型半導体領域120に対するオーバーラップ部の幅とN型半導体領域128に対するオーバーラップ部の幅とが等しくなるようにP型半導体領域130をレイアウトする。また、N型半導体領域120,128については、第2実施形態と同様、N型半導体領域120及びN型半導体領域128の不純物プロファイルがP型半導体領域130に対して対称となるように構成する。このように構成することで、P型半導体領域130の配置場所が相対的にY方向にずれたとしても、N型半導体領域120とN型半導体領域128との間の実効的なP型不純物量はほぼ一定値となる。したがって、フォトリソグラフィ工程における位置合わせずれによってP型半導体領域130の配置場所が相対的にY方向にずれた場合にも、オーバーフロートランジスタM6の特性が大きく変化することはない。
なお、本実施形態では、P型半導体領域130のチャネル幅方向の長さがチャネル幅Wよりも短くなるように構成したが、第2実施形態のようにP型半導体領域130のチャネル幅方向の長さがチャネル幅Wよりも十分に長くなるように構成してもよい。
このように、本実施形態によれば、光電変換部の特性に影響を与えることなくオーバーフロートランジスタの特性を向上することができる。
[第4実施形態]
本発明の第4実施形態による光電変換装置及びその製造方法について、図14及び図15を用いて説明する。第1乃至第3実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略し或いは簡潔にする。図14は、本実施形態による光電変換装置における画素の平面レイアウト図である。図15は、本実施形態による光電変換装置における画素の断面図である。
本実施形態による光電変換装置においては、P型半導体領域130を、転送電極146に対して自己整合的に形成する。すなわち、本実施形態では、第1乃至第3実施形態とは異なり、転送電極146を形成した後にP型半導体領域130を形成する。
図14に示すP型半導体領域130のパターンは、P型半導体領域130をイオン注入する際に用いられるマスクの開口部のパターンに相当する。すなわち、図14に示すP型半導体領域130のパターンは、レチクル上における設計レイアウトである。P型半導体領域130の形成用のこの開口部は、図14に示すように、オーバーフロードレインOFDの全域を包含するとともに、転送電極146の上に端部が位置するように配置される。
このような開口部を介してP型不純物イオンをイオン注入することにより、転送電極146に対して自己整合的にP型半導体領域130を形成することができる。これにより、フォトリソグラフィ工程における位置合わせずれに起因してN型半導体領域120とN型半導体領域128との間の実効的なP型不純物量が変化するのを抑制することができ、オーバーフロートランジスタM6の特性を安定化することができる。
また、オーバーフロードレインOFDの全域を包含するように開口部を設けることで、フォトリソグラフィ工程における位置合わせずれの発生有無にかかわらず、オーバーフロードレインOFDの全域にP型半導体領域130用のP型不純物が導入される。したがって、フォトリソグラフィ工程における位置合わせずれに起因するオーバーフロードレインOFDの不純物プロファイルのばらつきを抑制することができる。
P型半導体領域130の少なくとも一部は、N型半導体領域120とN型半導体領域128との間のチャネル領域に配置する必要があるため、オーバーフロードレインOFD側に傾斜した方向からの斜めイオン注入により形成することが望ましい。
また、P型半導体領域130は、オーバーフロートランジスタM6の特性を安定化する観点から、N型半導体領域120とN型半導体領域128との間の間隙に対して一定の位置関係を有していることが望ましい。このような観点から、N型半導体領域120及びN型半導体領域128は、P型半導体領域130と同様、転送電極146に対して自己整合的に形成することが望ましい。
このように、本実施形態によれば、光電変換部の特性に影響を与えることなくオーバーフロートランジスタの特性を向上することができる。
[第5実施形態]
本発明の第5実施形態による撮像システムについて、図16を用いて説明する。図16は、本実施形態による撮像システムの概略構成を示すブロック図である。
上記第1乃至第4実施形態で述べた光電変換装置100は、種々の撮像システムに適用可能である。適用可能な撮像システムの例としては、デジタルスチルカメラ、デジタルカムコーダ、監視カメラ、複写機、ファックス、携帯電話、車載カメラ、観測衛星などが挙げられる。また、レンズなどの光学系と撮像装置とを備えるカメラモジュールも、撮像システムに含まれる。図16には、これらのうちの一例として、デジタルスチルカメラのブロック図を例示している。
図16に例示した撮像システム200は、撮像装置201、被写体の光学像を撮像装置201に結像させるレンズ202、レンズ202を通過する光量を可変にするための絞り204、レンズ202の保護のためのバリア206を有する。レンズ202及び絞り204は、撮像装置201に光を集光する光学系である。撮像装置201は、第1乃至第4実施形態のいずれかで説明した光電変換装置100であって、レンズ202により結像された光学像を画像データに変換する。
撮像システム200は、また、撮像装置201より出力される出力信号の処理を行う信号処理部208を有する。信号処理部208は、撮像装置201が出力するデジタル信号から画像データの生成を行う。また、信号処理部208は必要に応じて各種の補正、圧縮を行って画像データを出力する動作を行う。撮像装置201は、信号処理部208で処理されるデジタル信号を生成するAD変換部を備えうる。AD変換部は、撮像装置201の光電変換部が形成された半導体層(半導体基板)に形成されていてもよいし、撮像装置201の光電変換部が形成された半導体層とは別の半導体基板に形成されていてもよい。また、信号処理部208が撮像装置201と同一の半導体基板に形成されていてもよい。
撮像システム200は、更に、画像データを一時的に記憶するためのメモリ部210、外部コンピュータ等と通信するための外部インターフェース部(外部I/F部)212を有する。更に撮像システム200は、撮像データの記録又は読み出しを行うための半導体メモリ等の記録媒体214、記録媒体214に記録又は読み出しを行うための記録媒体制御インターフェース部(記録媒体制御I/F部)216を有する。なお、記録媒体214は、撮像システム200に内蔵されていてもよく、着脱可能であってもよい。
更に撮像システム200は、各種演算とデジタルスチルカメラ全体を制御する全体制御・演算部218、撮像装置201と信号処理部208に各種タイミング信号を出力するタイミング発生部220を有する。ここで、タイミング信号などは外部から入力されてもよく、撮像システム200は少なくとも撮像装置201と、撮像装置201から出力された出力信号を処理する信号処理部208とを有すればよい。
撮像装置201は、撮像信号を信号処理部208に出力する。信号処理部208は、撮像装置201から出力される撮像信号に対して所定の信号処理を実施し、画像データを出力する。信号処理部208は、撮像信号を用いて、画像を生成する。
このように、本実施形態によれば、第1乃至第4実施形態による光電変換装置100を適用した撮像システムを実現することができる。
[第6実施形態]
本発明の第6実施形態による撮像システム及び移動体について、図17を用いて説明する。図17は、本実施形態による撮像システム及び移動体の構成を示す図である。
図17(a)は、車載カメラに関する撮像システムの一例を示したものである。撮像システム300は、撮像装置310を有する。撮像装置310は、上記第1乃至第4実施形態のいずれかに記載の光電変換装置100である。撮像システム300は、撮像装置310により取得された複数の画像データに対し、画像処理を行う画像処理部312と、撮像システム300により取得された複数の画像データから視差(視差画像の位相差)の算出を行う視差取得部314を有する。また、撮像システム300は、算出された視差に基づいて対象物までの距離を算出する距離取得部316と、算出された距離に基づいて衝突可能性があるか否かを判定する衝突判定部318と、を有する。ここで、視差取得部314や距離取得部316は、対象物までの距離情報を取得する距離情報取得手段の一例である。すなわち、距離情報とは、視差、デフォーカス量、対象物までの距離等に関する情報である。衝突判定部318はこれらの距離情報のいずれかを用いて、衝突可能性を判定してもよい。距離情報取得手段は、専用に設計されたハードウェアによって実現されてもよいし、ソフトウェアモジュールによって実現されてもよい。また、FPGA(Field Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated circuit)等によって実現されてもよいし、これらの組合せによって実現されてもよい。
撮像システム300は車両情報取得装置320と接続されており、車速、ヨーレート、舵角などの車両情報を取得することができる。また、撮像システム300は、衝突判定部318での判定結果に基づいて、車両に対して制動力を発生させる制御信号を出力する制御装置である制御ECU330が接続されている。また、撮像システム300は、衝突判定部318での判定結果に基づいて、ドライバーへ警報を発する警報装置340とも接続されている。例えば、衝突判定部318の判定結果として衝突可能性が高い場合、制御ECU330はブレーキをかける、アクセルを戻す、エンジン出力を抑制するなどして衝突を回避、被害を軽減する車両制御を行う。警報装置340は音等の警報を鳴らす、カーナビゲーションシステムなどの画面に警報情報を表示する、シートベルトやステアリングに振動を与えるなどしてユーザに警告を行う。
本実施形態では、車両の周囲、例えば前方又は後方を撮像システム300で撮像する。図17(b)に、車両前方(撮像範囲350)を撮像する場合の撮像システムを示した。車両情報取得装置320が、撮像システム300ないしは撮像装置310に指示を送る。このような構成により、測距の精度をより向上させることができる。
上記では、他の車両と衝突しないように制御する例を説明したが、他の車両に追従して自動運転する制御や、車線からはみ出さないように自動運転する制御などにも適用可能である。更に、撮像システムは、自車両等の車両に限らず、例えば、船舶、航空機あるいは産業用ロボットなどの移動体(移動装置)に適用することができる。加えて、移動体に限らず、高度道路交通システム(ITS)等、広く物体認識を利用する機器に適用することができる。
[変形実施形態]
本発明は、上記実施形態に限らず種々の変形が可能である。
例えば、いずれかの実施形態の一部の構成を他の実施形態に追加した例や、他の実施形態の一部の構成と置換した例も、本発明の実施形態である。
また、図2に示す画素回路は一例であり、画素12の回路構成はこれに限定されるものではない。例えば、画素12は必ずしも電荷保持部(ノードMEM)を有している必要はなく、また、1つの画素12が複数の光電変換部PDを含んでもよい。画素12は少なくとも、1つの光電変換部PDと、光電変換部PDの電荷を排出するオーバーフロートランジスタM6と、を備えていればよい。
また、上記第2実施形態では、N型半導体領域128,130から離間してP型半導体領域130を配置したが、N型半導体領域128,130の少なくとも一部と重なるようにP型半導体領域130を配置してもよい。
また、上記第3実施形態では、N型半導体領域128,130の一部と重なるようにP型半導体領域130を配置したが、N型半導体領域128,130から離間してP型半導体領域130を配置してもよい。
また、上記第5及び第6実施形態に示した撮像システムは、本発明の光電変換装置を適用しうる撮像システム例を示したものであり、本発明の光電変換装置を適用可能な撮像システムは図16及び図17に示した構成に限定されるものではない。
なお、上記実施形態は、いずれも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
M1…転送トランジスタ
M4…増幅トランジスタ
M6…オーバーフロートランジスタ
OFD…オーバーフロードレイン
PD…光電変換部
110…半導体基板
116,118,122,130…P型半導体領域
120,124,126,128…N型半導体領域
140,144,146…転送電極

Claims (24)

  1. 半導体基板に設けられ、光電変換により生じた電荷を蓄積する第1導電型の第1半導体領域を有する光電変換部と、
    前記半導体基板の上に設けられ、前記第1半導体領域の電荷を排出部に排出するための電荷排出用トランジスタと、を有し、
    前記排出部は、前記半導体基板の第1の深さに設けられた前記第1導電型の第2半導体領域と、前記第2半導体領域に接続され、前記第1の深さよりも深い第2の深さに渡って設けられた前記第1導電型の第3半導体領域と、を有し、
    前記第2半導体領域は、前記第1半導体領域よりも浅く、且つ、前記第1半導体領域よりも不純物濃度が高く、
    前記第3半導体領域は、前記第1半導体領域と同等の深さ及び同等の不純物濃度を有する
    ことを特徴とする光電変換装置。
  2. 前記電荷排出用トランジスタは、前記第1半導体領域と前記第3半導体領域との間の少なくとも一部の領域に設けられた第2導電型の第4半導体領域を更に有する
    ことを特徴とする請求項1記載の光電変換装置。
  3. 前記第4半導体領域と前記第1半導体領域との間の不純物濃度分布と、前記第4半導体領域と前記第3半導体領域との間の不純物濃度分布とが対称である
    ことを特徴とする請求項2記載の光電変換装置。
  4. 前記第4半導体領域の不純物濃度は、前記第1半導体領域の不純物濃度及び前記第3半導体領域の不純物濃度よりも低い
    ことを特徴とする請求項2又は3記載の光電変換装置。
  5. 前記第4半導体領域は、前記電荷排出用トランジスタのチャネル領域のチャネル幅方向の全域に渡って設けられている
    ことを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載の光電変換装置。
  6. 前記第4半導体領域は、前記電荷排出用トランジスタのチャネル領域のチャネル幅方向の一部に設けられている
    ことを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載の光電変換装置。
  7. 前記第4半導体領域は、前記第1半導体領域及び前記第3半導体領域に対して等間隔に配置されている
    ことを特徴とする請求項2乃至6のいずれか1項に記載の光電変換装置。
  8. 前記第4半導体領域は、前記第1半導体領域及び前記第3半導体領域と同等の深さを有する
    ことを特徴とする請求項2乃至7のいずれか1項に記載の光電変換装置。
  9. 前記第4半導体領域は、前記第2導電型のウェルである
    ことを特徴とする請求項2乃至5のいずれか1項に記載の光電変換装置。
  10. 前記光電変換部及び前記電荷排出用トランジスタは、前記第1導電型の第5半導体領域に設けられている
    ことを特徴とする請求項2乃至8のいずれか1項に記載の光電変換装置。
  11. 前記第1半導体領域及び前記第3半導体領域の各々の一部は、平面視において前記電荷排出用トランジスタのゲート電極と重なっており、
    前記第1半導体領域と前記ゲート電極とが重なる第1オーバーラップ部の幅と、前記第3半導体領域と前記ゲート電極とが重なる第2オーバーラップ部の幅とが等しい
    ことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の光電変換装置。
  12. 前記第1オーバーラップ部における前記第1半導体領域の不純物濃度と、前記第2オーバーラップ部における前記第3半導体領域の不純物濃度とが等しい
    ことを特徴とする請求項11記載の光電変換装置。
  13. 前記半導体基板に設けられ、前記第1半導体領域から転送される電荷の量に応じた信号を出力する増幅トランジスタを更に有し、
    前記第2半導体領域は、前記増幅トランジスタのソース及びドレインと同等の深さ及び同等の不純物濃度を有する
    ことを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載の光電変換装置。
  14. 半導体基板に設けられ、光電変換により生じた電荷を蓄積する第1導電型の第1半導体領域を有する光電変換部と、前記半導体基板の上に設けられ、前記第1半導体領域の電荷を排出部に排出するための電荷排出用トランジスタと、を有し、前記排出部は、前記半導体基板の第1の深さに設けられた前記第1導電型の第2半導体領域と、前記第2半導体領域に接続され、前記第1の深さよりも深い第2の深さに渡って設けられた前記第1導電型の第3半導体領域と、を有し、前記第2半導体領域は、前記第1半導体領域よりも浅く、且つ、前記第1半導体領域よりも不純物濃度が高く、前記第3半導体領域は、前記第1半導体領域と同等の深さ及び同等の不純物濃度を有する、光電変換装置の製造方法であって、
    前記電荷排出用トランジスタのゲート電極をマスクとして前記第1導電型の不純物をイオン注入することにより、前記ゲート電極に対して自己整合的に前記第1半導体領域を形成する工程と、
    前記ゲート電極をマスクとして前記第1導電型の不純物をイオン注入することにより、前記第3半導体領域を前記ゲート電極に対して自己整合的に形成する工程と
    を有することを特徴とする光電変換装置の製造方法。
  15. 前記第1半導体領域と前記第3半導体領域は、同時に形成する
    ことを特徴とする請求項14記載の光電変換装置の製造方法。
  16. 半導体基板に設けられ、光電変換により生じた電荷を蓄積する第1導電型の第1半導体領域を有する光電変換部と、前記半導体基板の上に設けられ、前記第1半導体領域の電荷を排出部に排出するための電荷排出用トランジスタと、を有し、前記排出部は、前記半導体基板の第1の深さに設けられた前記第1導電型の第2半導体領域と、前記第2半導体領域に接続され、前記第1の深さよりも深い第2の深さに渡って設けられた前記第1導電型の第3半導体領域と、を有し、前記第2半導体領域は、前記第1半導体領域よりも浅く、且つ、前記第1半導体領域よりも不純物濃度が高く、前記第3半導体領域は、前記第1半導体領域と同等の深さ及び同等の不純物濃度を有する、光電変換装置の製造方法であって、
    前記第1半導体領域を形成する領域に設けられた開口部と前記第3半導体領域を形成する領域に設けられた開口部とを有するマスクを用いて前記第1導電型の不純物をイオン注入することにより、前記第1半導体領域と前記第3半導体領域とを同時に形成する工程と、
    前記第1半導体領域及び前記第3半導体領域を形成した後に、前記電荷排出用トランジスタのゲート電極を形成する工程と
    を有することを特徴とする光電変換装置の製造方法。
  17. 前記第1半導体領域及び前記第3半導体領域は、平面視において前記第1半導体領域と前記ゲート電極とが重なる第1オーバーラップ部の幅及び不純物濃度と、平面視において前記第3半導体領域と前記ゲート電極とが重なる第2オーバーラップ部の幅及び不純物濃度とが同等になるように形成する
    ことを特徴とする請求項14乃至16のいずれか1項に記載の光電変換装置の製造方法。
  18. 前記第1半導体領域を形成する領域と前記第3半導体領域を形成する領域との間の少なくとも一部の領域に第2導電型の不純物をイオン注入することにより、前記第1半導体領域と前記第3半導体領域との間に前記第2導電型の第4半導体領域を更に有する
    ことを特徴とする請求項14乃至16のいずれか1項に記載の光電変換装置の製造方法。
  19. 前記第4半導体領域は、前記電荷排出用トランジスタのチャネル幅よりも広い開口部を有するマスクを用いて前記第2導電型の不純物をイオン注入することにより形成する
    ことを特徴とする請求項18記載の光電変換装置の製造方法。
  20. 前記第4半導体領域は、前記電荷排出用トランジスタのチャネル幅よりも狭い開口部を有するマスクを用いて前記第2導電型の不純物をイオン注入することにより形成する
    ことを特徴とする請求項18記載の光電変換装置の製造方法。
  21. 前記第4半導体領域は、平面視において前記第1半導体領域及び前記第3半導体領域の各々一部と重なるように形成する
    ことを特徴とする請求項18乃至20のいずれか1項に記載の光電変換装置の製造方法。
  22. 前記ゲート電極をマスクとして前記第2導電型の不純物をイオン注入することにより、前記第4半導体領域を前記ゲート電極に対して自己整合的に形成する
    ことを特徴とする請求項18乃至20のいずれか1項に記載の光電変換装置の製造方法。
  23. 請求項1乃至13のいずれか1項に記載の光電変換装置と、
    前記光電変換装置から出力される信号を処理する信号処理部と
    を有することを特徴とする撮像システム。
  24. 移動体であって、
    請求項1乃至13のいずれか1項に記載の光電変換装置と、
    前記光電変換装置からの信号に基づく視差画像から、対象物までの距離情報を取得する距離情報取得手段と、
    前記距離情報に基づいて前記移動体を制御する制御手段と
    を有することを特徴とする移動体。
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