JP2021190171A - 高屈曲ヒータ線及び発熱体 - Google Patents

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Abstract

【課題】自動車等に用いられ、細径化を実現できるとともに高い屈曲耐久性と高い配線性を有するヒータ線、及びそれを装着した発熱体を提供する。【解決手段】繊維芯1と、繊維芯1の外周に設けられた複数本の発熱線2を螺旋状に巻き付けてなる発熱部と、発熱部の外周に設けられた絶縁外被3とを有し、発熱線2の横巻密度が、70%以上98%以下の範囲内であるように構成する。発熱線2は、繊維芯1の外径の0.2〜50倍のピッチで単層横巻きされていることが好ましく、発熱線2の本数が1〜10本の範囲内であることが好ましい。【選択図】図2

Description

本発明は、高屈曲ヒータ線及び発熱体に関し、さらに詳しくは、自動車等に用いられ、高い屈曲耐久性と高い配線性を有するヒータ線、及びそれを装着した発熱体に関する。
ヒータ線は、電気カーペット、電気毛布等の暖房製品や、座席用ヒータ、ステアリングヒータ等の車両用暖房部材の発熱源として利用され、それぞれの用途に応じた形態が提案されている。自動車の座席用のヒータ線として、例えば特許文献1には、引張強度や折り曲げに強い発熱線が提案され、具体的には、a)複数本の発熱体素線を撚り合わせて発熱体を構成し、その発熱体の上に絶縁外皮を設けたもの、b)リボン状の発熱体素線をポリエステル等の芯体に螺旋状に巻き付け、その上に絶縁外皮を設けたもの、c)複数本の発熱体素線を撚り合わせた発熱体をポリエステル等の芯体に螺旋状に巻き付け、その上に絶縁外皮を設けたもの、d)絶縁被覆した1本又は複数本の発熱体素線で構成した発熱体をポリエステル等の芯体に螺旋状に巻き付け、その上に絶縁外皮を設けたもの、が記載されている。
ヒータ線を自動車の座席に装着した場合、ヒータ線が着座時に異物感を与えたり、座席の表皮面への浮き出しが指摘されたりして、ヒータ線により可撓性や柔軟性を持たせる必要があった。この要求に対し、異物感を与えないためパット材を厚くして、このパット材を介して発熱体を装着することが提案されていた。しかし、パット材が断熱材となって、座席の表皮面を素早く暖める速熱性を阻害することがあり、逆に速熱性を向上しようとすれば発熱体の消費電力を大きくする必要があり、車両のバッテリー容量等による制約が生じた。
こうした問題に対し、例えば特許文献2には、着座感に優れ、かつ耐久性、信頼性の高い発熱線を用いた発熱体が提案されている。この発熱体は、可撓性を有する支持体に配設される発熱線を、複数本の金属繊維強化を利用した銀入り銅合金線の素線に個別に絶縁被覆を施して撚り線状に構成し、かつ発熱線の外側には被覆を施さないように構成している。これにより、外径が小さいために着座時の違和感が無く、かつ金属繊維強化で個別に絶縁を施した素線を用いたために、耐久性、信頼性をより向上することができるとされている。
特開昭61−47087号公報 特開2007−134341号公報
近年、自動車の座席用等に使用されるヒータ線は、即暖(速やかに暖まる)に対応するために狭ピッチでの配線が要請され、それゆえ細径化が要求されている。外径の小さいヒータ線は、熱伝導がよくなり、速熱性を向上できるとともに、着座時の違和感を低減できる。
こうしたヒータ線では、要求される抵抗値に設計する必要があり、発熱線を芯体に螺旋状に巻き付ける際に、芯体の太さや、発熱線の材質、太さ、本数及び横巻密度等で抵抗値の調整が行われる。しかし、発熱線の横巻密度が適切でなく、発熱線間に隙間が生じると、絶縁外被を押出した際に絶縁外被が隙間に落ち込んで凹部が発生して外観が悪くなる。その結果、その凹部を起点とした曲がりが意図しない部位で発生して加工性を低下させたり、屈曲耐久性を低下させたりするおそれがある。特に自動車の座席用ヒータ線の場合は、不織布に狭ピッチで配線されることから、外観に凹部があると、配線設備に引っかかって加工性が低下したり、断線等が生じたりするおそれがある。また、密に巻きすぎて発熱線に浮き上がりが生じて外観が凸になる場合も、その凸部を起点とした曲がりが意図しない部位で発生して加工性を低下させたり、屈曲耐久性を低下させたりするおそれがある。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、自動車等に用いられ、細径化を実現できるとともに高い屈曲耐久性と高い配線性を有するヒータ線、及びそれを装着した発熱体を提供することにある。
本発明に係るヒータ線は、繊維芯と、該繊維芯の外周に複数本の発熱線を螺旋状に巻き付けてなる発熱部と、該発熱部の外周に設けられた絶縁外被とを有し、前記発熱線の横巻密度が、70%以上98%以下の範囲内である、ことを特徴とする。
この発明によれば、発熱線の横巻密度が上記範囲内であるので、発熱線間の隙間が小さくなっており、絶縁外被を押出した際に、絶縁外被がその隙間に落ち込んで凹部が発生したり浮き上がった凸部が発生したりするのが抑制される。その結果、外観が悪化せず、その凹凸を起点とした曲がりが発生せず、加工性と屈曲耐久性に優れたものとすることができる。特に自動車の座席用ヒータ線の場合は、不織布に狭ピッチで配線しても配線設備に引っかかって断線等が生じるおそれもない。
本発明に係るヒータ線において、前記発熱線は、前記繊維芯の外径D1の0.2〜50倍のピッチで単層横巻きされている。
本発明に係るヒータ線において、前記発熱線の本数が1〜10本の範囲内である。
本発明に係るヒータ線において、前記発熱線が、金属素線、又は、該金属素線上に絶縁被膜が設けられた焼付け線である。
本発明に係る発熱体は、上記本発明に係るヒータ線が装着されていることを特徴とする。
本発明によれば、自動車等に用いられ、細径化を実現できるとともに高い屈曲耐久性と高い配線性を有するヒータ線、及びそれを装着した発熱体を提供することができる。
本発明に係るヒータ線の一例を示す模式的な説明図である。 発熱線の横巻密度を説明した説明図である。 (A)は好ましい横巻密度の範囲内の絶縁外被の外観であり、(B)は横巻密度が規定範囲未満の場合の絶縁外被の外観であり、(C)は横巻密度が規定範囲を超える場合の絶縁外被の外観である。 発熱線の説明図である。 屈曲試験の態様を示す説明図である。
以下、本発明に係るヒータ線及び発熱体について図面を参照しつつ説明する。なお、本発明は図示の実施形態に限定されるものではない。
[ヒータ線]
本発明に係るヒータ線10は、図1及び図2に示すように、繊維芯1と、繊維芯1の外周に設けられた複数本の発熱線2を螺旋状に巻き付けてなる発熱部と、その発熱部の外周に設けられた絶縁外被3とを有している。そして、発熱線2の横巻密度が、70%以上98%以下の範囲内である、ことに特徴がある。なお、「有し」とは、本発明の効果を阻害しない範囲でそれ以外の構成が含まれていてもよいことを意味し、例えば、金属素線2aの表面にめっき(図示しない)や絶縁被膜2bが設けられていたり、絶縁外被3の外周に融着層等が設けられたりしてもよいことを意味している。
このヒータ線10は、発熱線2の横巻密度が上記範囲内であるので、発熱線間の隙間Gが小さくなっており、絶縁外被3を押出した際に、図3(A)に示すように絶縁外被3がその隙間Gに落ち込んで凹部5aが発生したり浮き上がった凸部5bが発生したりするのが抑制される。その結果、外観が悪化せず、その凹凸5を起点とした曲がりが発生せず、加工性と屈曲耐久性に優れたものとすることができる。特に自動車の座席用ヒータ線の場合は、不織布に狭ピッチで配線しても配線設備に引っかかって断線等が生じるおそれもない。なお、「横巻密度」とは、図3に示すように、所定の長さLにおいて、発熱線2の線径(mm)をD2とし、隣の発熱線2との隙間G1、・・、Gn(mm)の平均をG(mm)とした場合、[D2/(D2+G)]×100(%)、で表されるものである。
以下、ヒータ線の各構成要素を詳しく説明する。
(繊維芯)
繊維芯1は、ヒータ線10を断面視した際の中央に芯材として位置する必須の構成であり、巻芯として機能する高張力体であることが好ましい。断面視した際の中央とは、断面視した際において、繊維芯1の中心位置とヒータ線10の断面の中心位置とが一致又はほぼ一致した位置のことである。繊維芯1の例としては、複数の繊維を束ねた繊維糸が好ましく用いられる。繊維糸を構成する繊維としては、強度があり、耐熱性であればなおよい。例えば、繊維として、テトロン(登録商標)等のポリエステル繊維や、ケブラ(登録商標)等の全芳香族ポリアミド繊維や、ベクトラン(登録商標)等のポリアリレート繊維、ガラス繊維等を挙げることができる。また、繊維芯1は、異なる材質の繊維や、外径の異なる繊維糸を任意に複合させたものであってもよい。
繊維芯1は、繊維糸を集合線、撚り線又は編み込み線にして同心円状(真円形)又は略同心円状の断面になっている。このとき、繊維芯1を同心円状又は略同心円状の断面にするためには、繊維糸を撚り線とすることがより好ましい。繊維芯1の外径D1は特に限定されないが、例えば0.1〜1.0mmの範囲を挙げることができる。繊維糸からなる繊維芯1は柔軟で変形し易いことから、繊維芯1の外径D1は、繊維芯1が真円形である場合はその外径とし、繊維芯1が扁平形である場合はその断面積から真円形の断面積に換算した外径として評価する。
繊維芯1は、通常、繊維糸を重量換算で示す繊度(dtex)で表示され、1dtexは、長さ10000mで1gである。繊維芯1のdtexの範囲は、110〜2000dtexであることが好ましい。こうした繊維芯1は、単一の繊維糸からなるものを用いてもよいし、2種以上の繊維糸からなるものを用いてもよい。2種以上の繊維糸からなるもので繊維芯1を構成した場合は、合計のdtexを上記範囲内とすればよい。110dtex未満では、耐久性不足となりやすい。一方、2000dtexを超えると、外径が大きくなり、作業性や加工性に影響が出やすい。
(発熱部)
発熱部は、繊維芯1の外周に複数本の発熱線2を螺旋状に横巻きしてなる必須の構成部分である。発熱線2は、電流によって発熱する抵抗線であり、発熱仕様により所定の抵抗値となる抵抗線及びその本数を任意に選択して用いることができる。螺旋状に巻き付けるとは、例えば後述の実施例のように、6本の発熱線2を同時に螺旋状に巻くことにより、6本毎に単層に巻かれた形態のことである。なお、ヒータ線10の最終外径が太くならないように通常は単層であるが、2層であってもよい。
発熱線2は、直径D2が0.04mm以上、0.2mm以下の抵抗線を複数本用いて構成されている。細い発熱線2を螺旋状に巻きつけることで、細径化でき、ヒータ線全体の細径化と軽量化と柔軟化を実現できる。複数本とは、図1に示すような螺旋状に巻きつけることができる本数の範囲であり、後述の実施例では6本や7本としているが、例えば1〜10本を好ましく挙げることができる。なお、螺旋状に巻きつけるときのピッチは、繊維芯1の径や発熱線2の本数及び直径によって異なるので一概に言えないが、例えば繊維芯1の外径D1の0.2〜50倍のピッチで単層横巻きされていることが好ましい。
発熱線2は、横巻密度が70%以上、98%以下の範囲内である。この範囲の横巻密度とすることにより、発熱線間の隙間Gが小さくなっており、絶縁外被3を押出した際に、図3に示すように絶縁外被3がその隙間Gに落ち込んで凹部5a(図3(B)参照)が発生したり浮き上がった凸部5b(図3(C)参照)が発生したりするのが抑制される。その結果、外観が悪化せず、その凹凸5(5a,5b)を起点とした曲がりが発生せず、加工性と屈曲耐久性に優れたものとすることができる。特に自動車の座席用ヒータ線の場合は、不織布に狭ピッチで配線しても配線設備に引っかかって断線等が生じるおそれもない。横巻密度が70%未満になると、絶縁外被3を押出した際に、絶縁外被3が発熱線2の隙間Gに落ち込んでしまい、絶縁外被3の表面に凹部5aが発生してしまう。一方、横巻密度が98%を超えると、発熱線2の浮きが発生してしまい、絶縁外被3の表面に凸部5bができてしまうことがある。なお、より好ましい横巻密度の範囲は、85%以上、95%以下の範囲内である。
「横巻密度」とは、図3に示すように、所定の長さLにおいて、発熱線2の線径(mm)をD2とし、隣の発熱線2との隙間G1、・・、Gn(mm)の平均をGとした場合、[D2/(D2+G)]×100(%)、で表される。発熱線同士が密着して単層巻きされている場合は隙間Gが0なので100%となり、例えばD2の1/4に相当する隙間Gが生じている場合は80%となる。「所定の長さL」とは、隙間Gを平均値として式に代入して横巻密度を算出するための長さであり、例えば、発熱線2の線径D2の10倍を所定の長さとして、その長さにおける隙間G1、・・、Gnの平均Gで計算する。その長さLは、特に限定されず、発熱線2の線径D2の10倍でなくてもよく、5個の隙間G1、・・、G5の平均をとる場合には線径D2の5倍であればよいし、20個の隙間G1、・・、G20の平均をとる場合には線径D2の20倍であればよい。
発熱線2は、図4(A)に示すように金属素線2aだけからなるもの、又は、図4(B)に示すように金属素線2a上に絶縁被膜2bが設けられた焼付け線からなるものを挙げることができる。金属素線2aとしては、例えば、銅線や銅合金線等を挙げることができる。銅合金線としては、CuAg合金、CuSn合金、CuNi合金等を挙げることができる。金属素線2aの表面にはめっき層が施されていてもよい。めっき層としては、はんだめっき層、錫めっき層、金めっき層、銀めっき層、ニッケルめっき層等が好ましい。絶縁被膜2bとしては、耐熱性を有するポリウレタン(PU)、ポリエステルイミド(PEI)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)等を挙げることができる。絶縁被膜2bの厚さは、一般的な日本工業規格(JIS C 3202:2014)で1種、2種、3種の程度であり、その中から任意の厚さに選択することができる。
(絶縁外被)
絶縁外被3は、発熱線2を覆うように設けられている。例えば、発熱線2を設けた後に、その外周を覆うように樹脂押出等で形成することができる。絶縁外被3の構成材料としては、絶縁性があり、耐熱性のある樹脂材料であればよいが、本発明では、絶縁外被3は、ナイロン、ポリエステルエラストマー、ETFE、FEP、PFAのフッ素系樹脂を好ましく挙げることができる。また、塩化ビニル樹脂、ポリエチレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルであってもよい。
絶縁外被3の厚さは、0.05〜1.0mm程度であればよいが、細径化の観点からは薄い方がよく、一方、屈曲耐久性のためには可能な範囲で厚い方がよく、これらを勘案すれば0.10〜0.30mmの押出被覆であることが好ましい。
絶縁外被3は樹脂押出で形成されることが望ましい。押出形成した後の絶縁外被3は、一定の厚さになりやすく、その表面も凹凸が小さくすることができる。こうした押出形成した絶縁外被3を最外層として設けることにより、狭ピッチでの配線のために細径化した場合であっても局部的な屈曲が起きにくい。その結果、着座時に違和感がない程度の細径化を実現して発熱体とする場合の狭ピッチ配線を行うことができるとともに、屈曲耐久性を高めることができる。
[発熱体]
本発明に係る発熱体は、本発明に係るヒータ線10を装着している。こうした発熱体は、屈曲耐久性を実現できるヒータ線10を用いて形成されるので、発熱体を構成するシート基材等の対象物へのヒータ線10の縫い付けを配線性よく行うことが容易になる。
発熱体としては、各種の用途に用いるものを挙げることができ、例えば、電気カーペット、電気毛布等の暖房製品や、シートヒータ、ステアリングヒータ等の車両用暖房部材を挙げることができ、好ましくは自動車用のシートに装着することができる。自動車用暖房部材としての発熱体では、ヒータ線はシート基材等の対象物に縫い込んで配設されている。
シート基材へのヒータ線10の縫い付けは、ヒータ線10の外観表面が均一で凹凸5がない方が応力集中が起きにくく屈曲耐久性がよくなるので、配線性よく縫い込むことができる。ヒータ線10を配線して縫い込む際に、ヒータ線10に応力が加わるが、本発明に係るヒータ線10は、そうした応力に対する耐性が高いので、着座時に違和感がない程度の細径化を実現した上で、発熱体とする場合の狭ピッチ配線も可能となる。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明する。なお、これにより本発明が限定されるものではない。
[実施例1]
繊維芯1として、ポリアリレート繊維を束ねて外径約0.27mmにしたものを用いた。この繊維芯1上に、外径0.120mmの銅合金線(錫を0.3質量%含有する銅合金からなる金属素線2a。以下の実施例2,3,4及び比較例1も同じ。)7本を発熱線2とし、7本同時に単層になるようにピッチ2.4mmで螺旋状に横巻きした。次に、ナイロン12を厚さ0.2mmとなるように溶融押出して絶縁外被3を形成した。こうして総外径0.90mmのヒータ線10を作製した。このときの横巻密度は85.5%であった。
[実施例2]
繊維芯1として、ポリアリレート繊維を束ねて外径約0.17mmにしたものを用いた。この繊維芯1上に、外径0.09mmの銅合金線6本を発熱線2とし、6本同時に単層になるようにピッチ2.0mmで螺旋状に横巻きした。次に、上記同様のナイロン12を厚さ0.27mmとなるように溶融押出して絶縁外被3を形成した。こうして総外径0.90mmのヒータ線10を作製した。このときの横巻密度は80.3%であった。
[実施例3]
繊維芯1として、ポリアリレート繊維を束ねて外径約0.27mmにしたものを用いた。この繊維芯1上に、外径0.080mmの銅合金線7本を発熱線2とし、7本同時に単層になるようにピッチ1.67mmで螺旋状に横巻きした。次に、上記同様のナイロン12を厚さ0.23mmとなるように溶融押出して絶縁外被3を形成した。こうして総外径0.90mmのヒータ線10を作製した。このときの横巻密度は72.8%であった。
[実施例4]
繊維芯1として、ポリアリレート繊維を束ねて外径約0.17mmにしたものを用いた。この繊維芯1上に、外径0.080mmの銅合金線6本を発熱線2とし、6本同時に単層になるようにピッチ0.91mmで螺旋状に横巻きした。次に、上記同様のナイロン12を厚さ0.28mmとなるように溶融押出して絶縁外被3を形成した。こうして総外径0.90mmのヒータ線10を作製した。このときの横巻密度は93.6%であった。
[比較例1]
繊維芯1として、ポリアリレート繊維を束ねて外径約0.27mmにしたものを用いた。この繊維芯1上に、外径0.074mmの銅合金線7本を発熱線2とし、5本同時に単層になるようにピッチ3.51mmで螺旋状に横巻きした。次に、上記同様のナイロン12を厚さ0.24mmとなるように溶融押出して絶縁外被3を形成した。こうして総外径0.90mmのヒータ線10を作製した。このときの横巻密度は60.0%であった。
[特性評価]
各ヒータ線10を凹凸検出器へ通し、表面状態を評価した。凹凸検出器は、50μm以上の凹凸を検出できるように設定した。評価は、長さ10m中の凹部の個数で行い、凹部が3個未満である場合を「〇」とし、凹部が3個以上の場合を「▲」とした。なお、実施例1〜4では、横巻密度が72.8%〜93.6%の好ましい範囲であった。
屈曲耐久性試験は、図5に示すように、半径5mmのマンドレル42,42の間に各実施例と比較例で作製した長さ1000mmのヒータ線10を挟み、ヒータ線10の下方端部に荷重41を取り付け、マンドレル42と垂直方向に毎分30回の速度で両側90度ずつの屈曲を1回として屈曲回数を測定した。屈曲回数の評価は、ヒータ線10の抵抗値が10%上昇するまでの回数とした。試験に供したヒータ線10は、いずれも屈曲回数5,000回を超えたので、評価を「○」とし、超えた時点で測定は終了した。一方、比較例1は、屈曲回数が5,000回まで到達しなかったので、評価を「△」とした。
Figure 2021190171
1 繊維芯
2 発熱線
2a 金属素線
2b 絶縁被膜
3 絶縁外被
5 凹凸
5a 凹部(隙間)
5b 凸部(浮き上がり)
10 ヒータ線
41 荷重
42 マンドレル
43 ガイド
D1 繊維芯の外径
D2 発熱線の線径
L 所定の長さ
G 隙間

Claims (5)

  1. 繊維芯と、該繊維芯の外周に複数本の発熱線を螺旋状に巻き付けてなる発熱部と、該発熱部の外周に設けられた絶縁外被とを有し、前記発熱線の横巻密度が、70%以上98%以下の範囲内である、ことを特徴とするヒータ線。
  2. 前記発熱線は、前記繊維芯の外径D1の0.2〜50倍のピッチで単層横巻きされている、請求項1に記載のヒータ線。
  3. 前記発熱線の本数が1〜10本の範囲内である、請求項1又は2に記載のヒータ線。
  4. 前記発熱線が、金属素線、又は、該金属素線上に絶縁被膜が設けられた焼付け線である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のヒータ線。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のヒータ線が装着されている、ことを特徴とする発熱体。



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