JP2021188962A - センサドリフト診断装置、センサドリフト診断方法およびセンサドリフト診断プログラム - Google Patents

センサドリフト診断装置、センサドリフト診断方法およびセンサドリフト診断プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】空間の温度又は湿度を測定するセンサのドリフトをより正確に診断することができるセンサドリフト診断装置、センサドリフト診断方法およびセンサドリフト診断プログラムを提供することである。【解決手段】実施形態のセンサドリフト診断装置は、絶対温度算出部、基準データ生成部、ドリフトスコア算出部、ドリフト診断部を持つ。絶対温度算出部は、対象空間の温度および相対湿度の測定値に基づいて前記対象空間の絶対湿度の実測値を算出する。基準データ生成部は、前記空間の温度および相対湿度を測定するセンサのドリフトを診断するために用いられるデータであって、前記センサの測定値に対して比較対象を与えるための基準データを生成する。ドリフトスコア算出部は、前記基準データに基づいて前記ドリフトに関する指標値を算出する。ドリフト診断部は、前記指標値に基づいて前記センサのドリフトを診断する。【選択図】図1

Description

本発明の実施形態は、センサドリフト診断装置、センサドリフト診断方法およびセンサドリフト診断プログラムに関する。
半導体製造工場内のクリーンルームなどの空間では正確な温度管理や湿度管理が重要となる。このため、空間上に多数の温度センサや湿度センサを配置して温度を計測する必要がある。これらのセンサは時間変化とともに正確な値からズレた値を示すことがあり、これは一般にセンサの「ドリフト」と呼ばれている。管理者は管理対象の個々のセンサについて、基準となるセンサ(以下「基準センサ」という。)との計測値のズレをチェックし、そのズレを校正するメンテナンス作業を定期的に実施する必要があるため、メンテナンス作業に多大な労力を要していた。このような課題に対し、従来は、センサの計測値を推定する推定モデルを構築し、その推定値を基準センサの計測値と比較することによりメンテナンスの負荷を低減する場合があった。
しかしながら、クリーンルーム等の温湿度管理を必要とする空間は、多数の空調機や発熱機器が存在する広い空間であることが多く、温湿度の設定も定期的に見直され、さらには機器の入れ替えが発生する場合もある。そのため、このような環境変更が発生する空間について推定モデルを構築したとしても、ドリフトの診断をしたい時点においてそのモデルが適用できる保証はない。例えば、ある時点で二つの温度センサの差が2℃になるという推定モデルを作ったとしても、空間内の発熱機器の運転量が増えれば温度差は3℃に上昇する可能性がある。また、空調機の温度設定変更により空調機から吹出す空気の流量が変われば温度差は1℃に減少する可能性もある。
すなわち、推定モデルを利用してドリフト量を算出する方式では、推定モデルを利用する時点でそのセンサに影響を与える環境要因が推定モデルの前提から変化していないことが必要となる。これは、多数の空調機や発熱機器が存在し、温度設定が定期的に見直されるような空間では難しく、推定モデルを利用してドリフト量を算出する方式の適用を困難とする一因となっている。
特開2014−153957号公報 特開2018−124069号公報 特表2014−528065号公報 特許第4436227号公報
本発明が解決しようとする課題は、空間の温度又は湿度を測定するセンサのドリフトをより正確に診断することができるセンサドリフト診断装置、センサドリフト診断方法およびセンサドリフト診断プログラムを提供することである。
実施形態のセンサドリフト診断装置は、絶対温度算出部、基準データ生成部、ドリフトスコア算出部、ドリフト診断部を持つ。絶対温度算出部は、対象空間の温度および相対湿度の測定値に基づいて前記対象空間の絶対湿度の実測値を算出する。基準データ生成部は、前記空間の温度および相対湿度を測定するセンサのドリフトを診断するために用いられるデータであって、前記センサの測定値に対して比較対象を与えるための基準データを生成する。ドリフトスコア算出部は、前記基準データに基づいて前記ドリフトに関する指標値を算出する。ドリフト診断部は、前記指標値に基づいて前記センサのドリフトを診断する。
第1の実施形態におけるセンサドリフト診断装置の機能構成の具体例を示すブロック図。 第1の実施形態においてセンサドリフト診断装置の診断対象となるセンサが設置された空間の具体例を示す図。 第1の実施形態のセンサドリフト診断装置1が各温湿度センサのドリフトを診断する処理の具体例を示すフローチャート。 第1の実施形態において学習期間における空間の温度変化の具体例を示す図。 第1の実施形態において学習期間における空間の湿度変化の具体例を示す図。 第1の実施形態において学習期間における空間の絶対湿度の変化の具体例を示す図。 第1の実施形態において診断期間における空間の温度変化の具体例を示す図。 第1の実施形態において診断期間における空間の湿度変化の具体例を示す図。 第1の実施形態において診断期間における空間の絶対湿度の変化の具体例を示す図。 第1の実施形態において診断期間における空間の絶対湿度(推定値)の変化の具体例を示す図。 第2の実施形態におけるセンサドリフト診断装置の構成構成の具体例を示すブロック図。 第2の実施形態において学習期間について生成された確率分布の具体例を示すヒストグラム。 第2の実施形態において診断期間について生成された確率分布の具体例を示すヒストグラム。 第3の実施形態におけるセンサドリフト診断装置の機能構成の具体例を示すブロック図。 第3の実施形態においてジェンセン・シャノンの距離とドリフト量の関係の具体例を示す図。 第4の実施形態におけるセンサドリフト診断装置の機能構成の具体例を示すブロック図。 第4の実施形態において多重ドリフトが発生した状況での学習期間における温度変化の具体例を示す図。 第4の実施形態において多重ドリフトが発生した状況での学習期間における湿度変化の具体例を示す図。 第4の実施形態において多重ドリフトが発生した状況での学習期間における絶対湿度の変化の具体例を示す図。 第4の実施形態において多重ドリフトが発生した状況での診断期間における絶対湿度の変化の具体例を示す図。 第4の実施形態において多重ドリフトが検知できない場合における絶対湿度(推定値)の変化の具体例を示す図。 第4の実施形態において各温湿度センサの時刻差分データについて作成した散布図の具体例を示す図。 第4の実施形態においてドリフト発生時における温度と絶対湿度の相関性を説明する空気線図。 第5の実施形態のセンサドリフト診断装置の機能構成の具体例を示すブロック図。 第5の実施形態のセンサドリフト診断装置においてドリフトスコア算出部が多重ドリフト発生時における温度センサおよび湿度センサのドリフト量を算出する処理の具体例を示すフローチャート。
以下、実施形態のセンサドリフト診断装置、センサドリフト診断方法およびセンサドリフト診断プログラムを、図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態におけるセンサドリフト診断装置1の機能構成の具体例を示すブロック図である。センサドリフト診断装置1は、バスで接続されたCPU(Central Processing Unit)やメモリや補助記憶装置などを備え、プログラムを実行する。センサドリフト診断装置1は、プログラムの実行によって絶対湿度算出部11、推定モデル構築部12、ドリフトスコア算出部13、ドリフト診断部14を備える装置として機能する。なお、センサドリフト診断装置1の各機能の全て又は一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やPLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて実現されてもよい。プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置である。プログラムは、電気通信回線を介して送信されてもよい。
図2は、センサドリフト診断装置1の診断対象となるセンサが設置された空間の具体例を示す図である。例えば、センサドリフト診断装置1は、図2に示すような空間Aに設置された4つの温湿度センサ2a、2b、2c及び2dのドリフトを診断する。診断対象のセンサは3つ以下であってもよいし、5つ以上であってもよい。空間Aは外調機3および空調機4a、4b、4cおよび4dによって、その温湿度が管理されるものとする。例えば、空間Aは外調機3の露点温度制御により湿度管理がされているものとする。また、空間Aの天井に設置された複数の空調機4は、それぞれ独立して制御することができるものとする。この他、空間Aには発熱を伴う図示しない機器が稼働しており、室内の温度分布が時々刻々と変化しうるものとする。
各温湿度センサ2は、その上部に温度計と湿度計が備えられており、同一地点の温湿度を計測できるものとする。また、各温湿度センサ2は、図示しないデータ収集装置に接続されており、温湿度の測定データを連続的にデータ収集装置に出力するものとする。例えば、各温湿度センサ2は、1分刻みで測定データを出力し、データ収集装置は各温湿度センサ2から出力される測定データを順次記録していくものとする。以降、単に「湿度」又は「温湿度」と記載したときの湿度は「相対湿度」を意味し、絶対湿度については明示的に「絶対湿度」と記載する。
絶対湿度算出部11は、各温湿度センサ2によって測定された空間Aの温湿度に基づいて空間Aの絶対湿度を算出する機能を有する。絶対湿度算出部11は、算出した絶対湿度を示す情報を後段の推定モデル構築部12に出力する。
推定モデル構築部12は、算出された空間Aの絶対湿度に基づいて、各温湿度センサ2のドリフトスコアを算出するドリフトスコア算出モデルを構築する機能を有する。ここでいうドリフトスコアは、各温湿度センサ2において発生しているドリフトの程度を表す値であり、各温湿度センサ2について校正をすべきか否かを判定するための指標値として用いられる。なお、いうまでもなく、ドリフトスコアは、各温湿度センサ2の実際のドリフト量(すなわち温度のドリフト量又は湿度のドリフト量)であってもよい。ドリフトスコア算出モデルの詳細および構築方法については後述する。推定モデル構築部12は、構築したドリフトスコア算出モデルをドリフトスコア算出部13に出力する。
ドリフトスコア算出部13は、構築されたドリフトスコア算出モデルに、診断対象時点における各温湿度センサ2の測定値を適用することにより各温湿度センサ2のドリフトスコアを算出する。ドリフトスコア算出部13は、算出したドリフトスコアを示す情報をドリフト診断部14に出力する。
ドリフト診断部14は、算出されたドリフトスコアに基づき、各温湿度センサ2に対する校正の要否を診断する。ドリフト診断部14は、診断結果に関する情報(以下「診断結果情報」という。)を出力する。診断結果情報は、校正の要否を示す情報のほか、ドリフトスコアやドリフト量などを示す補足情報を含んでもよい。
図3は、第1の実施形態のセンサドリフト診断装置1が各温湿度センサ2のドリフトを診断する処理の具体例を示すフローチャートである。まず、絶対湿度算出部11が、ドリフトスコア算出モデルを構築するための測定データを各温湿度センサ2から入力し(ステップS101)、入力した測定データに基づいて空間Aの各温湿度センサ2の設置位置における絶対湿度を算出する(ステップS102)。絶対湿度算出部11は、算出した絶対湿度を示す情報を推定モデル構築部12に出力する。
以下、ステップS101で入力する温湿度の測定データを「学習用測定データ」といい、学習用測定データを取得する期間を「学習期間」という。例えば学習期間は、校正直後の一カ月などセンサドリフトが生じていないと想定される期間である。図4は学習期間における空間Aの温度変化の具体例を示す図であり、図5は学習期間における空間Aの湿度変化の具体例を示す図である。図4および図5を見ても分かるように、学習期間における空間Aでは、温湿度センサ2cの設置位置において温度および湿度が大きく変化している。
一方、図6は、学習期間における空間Aの絶対湿度の変化の具体例を示す図である。図6を見ても分かるように、相対湿度では大きな変化を見せた温湿度センサ2cの設置位置においても、絶対湿度では大きく変化していないことが分かる。このように、相対湿度や温度が大きく変化する場合であっても、空気中の水分量(すなわち絶対湿度)は大きく変化していない。
例えば、絶対湿度算出部11は、学習用測定データを以下の式(1)〜(4)に適用することによって、絶対湿度を算出することができる。
Figure 2021188962
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ここでは、算出すべき温湿度センサ2a〜2dの各設置点における絶対湿度をそれぞれAHa[t]、AHb[t]、AHc[t]、AHd[t]で表している。また、温湿度センサ2a〜2dが時刻tにおいて測定する温度をそれぞれTa[t]、Tb[t]、Tc[t]、Td[t]で表し、温湿度センサ2a〜2dが時刻tにおいて測定する湿度をそれぞれRHa[t]、RHb[t]、RHc[t]、RHd[t]で表している。mixrは、温度と相対湿度に基づいて絶対湿度を算出する既知の関数である。空間Aの気圧を示す情報が取得できる場合、絶対湿度算出部11は、温度および相対湿度に加えて気圧を変数とする関数を用いて絶対湿度を算出してもよい。
なお、以下では、各温湿度センサ2に共通の処理を説明する際には、a〜dの添え字を省略する場合がある。例えば、RHa[t]、RHb[t]、RHc[t]、RHd[t]を用いた同様の処理を説明する場合、その算出式では、それらをまとめてRH[t]と記載する場合がある。
また、センサドリフト診断装置1には所定の学習期間を示す値が予め設定されていてもよいし、センサドリフト診断装置1は、ドリフトスコア算出モデルの構築処理を実行する際に、学習期間の入力を受け付けるように構成されてもよい。絶対湿度算出部11は、算出した絶対湿度を示す情報を推定モデル構築部12に出力する。
続いて、推定モデル構築部12が、学習用測定データと、絶対湿度算出部11によって算出された空間Aの絶対湿度に基づいて、各温湿度センサ2の設置位置における絶対湿度を、他の温湿度センサ2の設置位置における絶対湿度に基づいて推定するための絶対湿度推定モデルを構築する(ステップS103)。以下、この絶対湿度推定モデルを構築することを、「絶対湿度を学習する」と表現する場合がある。
例えば、推定モデル構築部12は、ある温湿度センサ2の設置位置における絶対湿度を出力変数とし、その出力変数の値を他の温湿度センサ2の設置位置における絶対湿度を入力変数として算出する回帰モデルを絶対湿度推定モデルとして構築する。例えば、温湿度センサ2aの設置位置における絶対湿度を推定するモデルは、以下の式(5)に示す線形回帰モデルとして定義することができる。
Figure 2021188962
ここでα、β、γは各入力変数に対する重み係数を表し、δは定数を表す。また、T_learnは学習期間を表す。推定モデル構築部12は、温湿度センサ2aのほかの温湿度センサ2b、2c、2dについても、同様の方法で絶対湿度推定モデルを構築する。なお、推定モデル構築部12は、各温湿度センサ2の設置位置における絶対湿度に加えて、空間Aに関する他の測定値や推定値又は予測値などを入力変数に含む絶対湿度推定モデルを構築してもよい。推定モデル構築部12は、このように生成した絶対湿度推定モデルをドリフトスコア算出部13に出力する。以上が、絶対湿度の学習工程である。
なお、ここでは、絶対湿度推定モデルを線形回帰モデルとして構築する場合について説明しているが、絶対湿度推定モデルは、ある温湿度センサ2の設置位置における絶対湿度を、他の温湿度センサ2の設置位置における絶対湿度に基づいて推定するものであれば特定のモデルに限定されない。そのため、絶対湿度推定モデルには、ニューラルネットワークなどの線形回帰モデル以外のモデルが用いられてもよい。
一旦絶対湿度推定モデルが構築されると、絶対湿度算出部11は、絶対湿度推定モデルに基づくドリフトの診断を行うために、診断したいタイミングにおける温湿度の測定データを各温湿度センサ2から入力し(ステップS201)、入力した測定データに基づいて空間Aの各温湿度センサ2の設置位置における絶対湿度を算出する(ステップS202)。絶対湿度算出部11は、算出した絶対湿度を示す情報をドリフトスコア算出部13に出力する。
以下、ステップS201で入力する温湿度の測定データを「診断用測定データ」といい、診断用測定データを取得する期間を「診断期間」という。図7は診断期間における空間Aの温度変化の具体例を示す図であり、図8は診断期間における空間Aの湿度変化の具体例を示す図である。図7および図8を見ても分かるように、診断期間における空間Aでは、温湿度センサ2dの設置位置において温度および湿度が大きく変化している。
一方、図9は、診断期間における空間Aの絶対湿度の変化の具体例を示す図である。図9を見ても分かるように、学習期間の例と同様に、絶対湿度の変化は、相対湿度の変化よりも小さくなっている(すなわち水分量自体は大きく変化していない)ことが分かる。
一方で、ドリフトスコア算出部13は、診断期間において図9のように変化した各絶対湿度を、絶対湿度推定モデルを用いて推定する(ステップS203)。上述したとおり、絶対湿度推定モデルは、ある1つの測定地点における絶対湿度を、他の測定地点における絶対湿度に基づいて推定するモデルである。具体的には、ドリフトスコア算出部13は、図9のように変化した各絶対湿度を測定地点(各温湿度センサ2の設置位置)ごとに構築された絶対湿度推定モデルに適用することにより、各測定地点における絶対湿度の推定値を算出する。図10は、このように推定された、診断期間における空間Aの絶対湿度の変化の具体例を示す図である。ドリフトスコア算出部13は、各測定地点について算出した絶対湿度の推定値をドリフト診断部14に出力する。
続いて、ドリフト診断部14が、温湿度の測定データに基づいて算出された実際の絶対湿度と、絶対湿度推定モデルを用いて算出された絶対湿度の推定値とに基づいて、各温湿度センサ2のドリフトスコアを算出する(ステップS204)。ここでは、一例として絶対湿度のドリフト量をドリフトスコアとする場合について説明する。この場合、ドリフト診断部14は、以下の式(6)〜(9)に示す算出式によってドリフトスコアを算出することができる。
Figure 2021188962
Figure 2021188962
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ここで、AHDa、AHDb、AHDc、AHDdは、それぞれ温湿度センサ2a、2b、2c、2dについてのドリフトスコアを表す。また、AHa[t]、AHb[t]、AHc[t]、AHd[t]は、それぞれ温湿度センサ2a、2b、2c、2dの設置位置の時刻tにおける絶対湿度の推定値を表す。AHa[t]、AHb[t]、AHc[t]、AHd[t]は、それぞれの絶対湿度推定モデルに基づいて算出される。また、式(6)〜(9)において、t∈T_testであり、Nはデータ長(測定地点ごとに取得されるデータの数)である。T_testは診断期間を表す。すなわち、式(6)〜(9)により、診断期間における絶対湿度の推定値と実績値の差の平均値がドリフトスコアとして出力される。
続いて、ドリフト診断部14は、算出したドリフトスコア(ここでは絶対湿度のドリフト量)に基づいて、各温湿度センサ2について温度の最大ドリフト量と湿度の最大とリフト量を算出する(ステップS205)。ここで、温度の最大ドリフト量は、湿度がドリフトしていないという前提で、絶対湿度が推定値と一致すると仮定した場合における温度のドリフト量である。具体的には、温湿度センサ2aについて温度の最大ドリフト量TDaを算出する場合、以下の式(10)を満たすTDaの値を求めればよい。
Figure 2021188962
ドリフト診断部14は、温湿度センサ2aと同様に、温湿度センサ2b、2c、2dについても同様の方法で温度の最大ドリフト量TDb、TDc、TDdを算出する。
一方、湿度の最大ドリフト量は、温度がドリフトしていないという前提で、絶対湿度が推定値と一致すると仮定した場合における湿度のドリフト量である。具体的には、温湿度センサ2aについて湿度の最大ドリフト量RHDaを算出する場合、以下の式(11)を満たすRHDaを求めればよい。
Figure 2021188962
ドリフト診断部14は、温湿度センサ2aと同様に、温湿度センサ2b、2c、2dについても同様の方法で湿度の最大ドリフト量RHDb、RHDc、RHDdを算出する。
ドリフト診断部14は、このように算出した温湿度の最大ドリフト量を予め定められた閾値と比較することにより、各温湿度センサ2についてメンテナンスによる校正の要否を判定する(ステップS206)。ドリフト診断部14は、この判定結果に基づいて診断結果情報を生成し、出力する。なお、ドリフトの有無は、温度又は湿度のいずれか一方の最大ドリフト量に基づいて診断されてもよいし、両方の最大ドリフト量に基づいて診断されてもよい。
このように構成された第1の実施形態のセンサドリフト診断装置1は、過去の温湿度の測定データに基づいて各測定地点における絶対湿度の推定モデルを構築し、構築した推定モデルを用いて算出された絶対湿度の推定値と、実測値を比較することにより各温湿度センサ2のドリフトを診断する構成を備える。すなわち、第1の実施形態のセンサドリフト診断装置1は、空気中の水分量が管理されている空間において、その空間の温度又は湿度を測定するセンサのドリフトを、管理されている空間の絶対湿度を利用して診断するものである。そして、このような構成を備えることにより、第1の実施形態のセンサドリフト診断装置1は、図7および図8のように温湿度が大きく変化する場合であっても、各温湿度センサ2のドリフトをより正確に診断することが可能となる。
なお、ここではドリフト診断部14が最大ドリフト量を求めたが、これに代えて、ドリフトスコア算出部13が最大ドリフト量を求め、これをドリフトスコアとしてドリフト診断部14に提供してもよい。
(第2の実施形態)
図11は、第2の実施形態におけるセンサドリフト診断装置1aの構成構成の具体例を示すブロック図である。センサドリフト診断装置1aは、推定モデル構築部12に代えて確率分布生成部15を備える点、ドリフトスコア算出部13に代えてドリフトスコア算出部13aを備える点で第1の実施形態のセンサドリフト診断装置1と異なり、その他の構成は第1の実施形態のセンサドリフト診断装置1と同様である。そのため、ここでは第1の実施形態と同様の構成については図1と同じ符号を付すことにより、その説明を省略する。
第1の実施形態の推定モデル構築部12は、温湿度の測定データに基づいて絶対湿度推定モデルを構築した。これに対して、第2の実施形態の確率分布生成部15は、絶対湿度の各実測値について代表値からのズレが発生する確率分布を生成する。ここでは、代表値が中央値である場合について説明するが、代表値はこれ以外の統計値であってもよい。具体的には、まず確率分布生成部15は、学習期間と診断期間における絶対湿度の中央値を時刻ごとに算出する。この場合、学習期間と診断期間における絶対湿度の中央値は、以下の式(12)および(13)によって算出される。
Figure 2021188962
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ここで、medianは時刻tごとに4つの系列の要素の中央値を算出する関数とする。続いて、確率分布生成部15は、学習期間と診断期間の各期間について、絶対湿度の各値から中央値を引いた補正データを生成する。以下の式(14)〜(17)は学習期間についての補正データの算出式を表し、式(18)〜(21)は診断期間についての補正データの算出式を表す。
Figure 2021188962
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次に、確率分布生成部15は、学習期間の補正データAHa’、AHb’、AHc’、AHd’と診断期間の補正データAHa”、AHb”、AHc”、AHd”の確率分布をそれぞれ生成する。例えば、この確率分布をヒストグラムで表す場合、絶対湿度の変動範囲を所定数に分割し、各変動範囲に含まれるデータ数を全データ数で割ることにより、各ビンの発生確率を求めることができる。図12および図13は、学習期間および診断期間について生成された確率分布の具体例を示すヒストグラムである。確率分布生成部15は、このように生成した確率分布を示すデータ(以下「確率分布データ」という。)をドリフトスコア算出部13aに出力する。
ドリフトスコア算出部13aは、確率分布生成部15によって生成された確率分布データに基づいてドリフトスコアを算出する。具体的には、ドリフトスコア算出部13aは、各温湿度センサ2ごとに、学習期間と診断期間の確率分布を比較してドリフトスコアを算出する。例えば、ドリフトスコア算出部13aは、それぞれの確率分布の最頻値の差をドリフトスコアとして算出してもよい。すなわち、この場合のドリフトスコアは、確率の観点で発生している可能性が高いと考えられるドリフト量ということができ、その計算式は以下の式(22)〜(25)のように表すことができる。
Figure 2021188962
Figure 2021188962
Figure 2021188962
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ドリフトスコア算出部13aは、このように算出したドリフトスコアをドリフト診断部14に出力する。例えば、図12および図13の例では、温湿度センサ2cおよび2dのドリフトスコアが大きな値となるので、温湿度センサ2cおよび2dについて校正が必要であると診断されることになる。
なお、この場合、最頻値の代わりに、代表値となりうる平均値や中央値等の統計値を利用することも可能である。また、確率分布の作成は、ヒストグラムだけでなく正規分布の当て嵌めや、ガウシアン混合モデルを利用することも可能である。また、この場合、ドリフトスコア算出部13aは、上記算出した代表値(例えば最頻値)の差を所定の関係式により温度のドリフト量又は湿度のドリフト量に換算した値をドリフトスコアとしてもよい。
このように構成された第2の実施形態のセンサドリフト診断装置1aは、代表値(例えば中央値)からのズレが発生する確率の分布の変化から各温湿度センサ2のドリフトを診断することができる。第2の実施形態のセンサドリフト診断装置1aでは、絶対湿度推定モデルを構築する必要がないため、第1の実施形態のセンサドリフト診断装置1よりも処理負荷を低減し、又は診断の精度を高めることができる可能性がある。
(第3の実施形態)
図14は、第3の実施形態におけるセンサドリフト診断装置1bの機能構成の具体例を示すブロック図である。センサドリフト診断装置1bは、ドリフトスコア算出部13aに代えてドリフトスコア算出部13bを備える点で第2の実施形態のセンサドリフト診断装置1aと異なり、その他の構成は第2の実施形態のセンサドリフト診断装置1aと同様である。そのため、ここでは第2の実施形態と同様の構成については図11と同じ符号を付すことにより、その説明を省略する。
第2の実施形態のドリフトスコア算出部13は、学習期間と診断期間における確率分布の変化に基づいてドリフトスコアを算出した。これに対して第3の実施形態のドリフトスコア算出部13bは、確率分布間の距離を用いて学習期間と診断期間との間での測定データの傾向の違いを定量化し、その値をドリフトスコアとして算出する。
確率分布の距離を求める方法としては、カルバックライブラーの距離やジェンセン・シャノンの距離が知られている。例えば、確率分布が離散的である場合のカルバックライブラーの距離は以下の式(26)によって表される。
Figure 2021188962
ここで、P(i)、Q(i)は、確率分布P,Qに従って選ばれた値がiである確率である。また、この場合、ジェンセン・シャノンの距離は以下の式(27)によって表される。
Figure 2021188962
上式から、ジェンセン・シャノンの距離は、ドリフト量が大きくなると大きい値をとることが想定されるが、直接的にドリフト量を示さない。そのため、温湿度センサ2について校正の必要性を判断する場合は、あらかじめ閾値を設定しておき、それと比較する必要がある。この閾値は、例えば過去の分析結果を用いて決定することができる。例えば、ドリフトが発生していない期間T_prelearnとドリフト量が既知である期間T_pretestにおいて、上記の方法でジェンセン・シャノンの距離を算出する。図15は、ジェンセン・シャノンの距離とドリフト量の関係の具体例を示す図である。
図15の例によれば、ジェンセン・シャノンの距離が閾値0.22以上である温湿度センサ2cおよび2dでドリフトが発生しており、ジェンセン・シャノンの距離が0.12以下の温湿度センサ2aおよび2bではドリフトが発生していない。このような場合、例えば、その中間の0.22と0.12の中間である0.17を閾値としてドリフトの診断を行うことができる。
(第4の実施形態)
図16は、第4の実施形態におけるセンサドリフト診断装置1cの機能構成の具体例を示すブロック図である。センサドリフト診断装置1cは、推定モデル構築部12に代えて推定モデル構築部12cを備える点で第1の実施形態のセンサドリフト診断装置1と異なり、その他の構成は第1の実施形態のセンサドリフト診断装置1と同様である。そのため、ここでは第1の実施形態と同様の構成については図1と同じ符号を付すことにより、その説明を省略する。
第1の実施形態の推定モデル構築部12は、絶対湿度推定モデルを用いて温湿度センサ2のドリフトを診断した。しかしながら、この場合、温度センサと湿度センサが同時にドリフトを起こすとドリフトが発見できない可能性がある。図17〜図20は、このような状況で取得される温湿度データおよび絶対湿度の具体例を示す図である。図17〜図20では、第1の実施形態で説明した温湿度センサ2a〜2dに加え、同様の温湿度センサ2eが追加された状況を想定している。
また、図21は、温湿度センサ2eについて第1の実施形態と同様の絶対湿度推定モデルを構築し、診断期間について推定した絶対湿度の変化を示す図である。この例では、実測値と推定値との差がない(すなわちドリフトしていない)ように見える。しかしながら、この状況は、温度センサと湿度センサが同時にドリフトしているために、絶対湿度の差が偶然正しい値を示している状況である。このように、第1の実施形態の診断方法では、温度センサと湿度センサの両方がドリフトしていることを正しく診断できない場合がある。
そこで第4の実施形態の推定モデル構築部12cは、このような状況におけるドリフトの有無を以下の方法で判定する。まず、推定モデル構築部12cは、AH[t]とT[t]のそれぞれについて時刻差分データdAHa[t]とdTa[t]を生成する。例えば、温湿度センサ2aの測定データAHa[t]、Ta[t]に関する時刻差分データは、以下の式(28)および(29)の計算式によって生成することができる。推定モデル構築部12cは、他の温湿度センサ2b〜2eについても同様の計算式(30)〜(37)によって時刻差分データを生成する。
Figure 2021188962
Figure 2021188962
Figure 2021188962
Figure 2021188962
Figure 2021188962
Figure 2021188962
Figure 2021188962
Figure 2021188962
Figure 2021188962
Figure 2021188962
次に、推定モデル構築部12cは、各温湿度センサ2について計算した時刻差分データの散布図を作成する。図22は、各温湿度センサ2の時刻差分データについて作成した散布図の具体例を示す図である。各散布図中の右上に記載した数値は、図示された各分布について、dAHとdTとの間の相関係数の値であり、散布図に示された分布の傾きを表している。ここで、空気中の水分量が管理されている空間Aでは、温度変化に対する絶対湿度の変化は見られない(又は小さい)はずである。しかしながら、ドリフトが発生する温湿度センサ2(図22の例では温湿度センサ2d及びde)では相関が生じている。図23は、この理由を説明するための空気線図である。図23は、温度、絶対湿度、湿度の関係を表した空気線図である。
図23の例は、温度23℃かつ湿度50%である状態P11において、温度が±1℃変動しても、絶対湿度が一定のまま温度だけが変化することを表している(P12−P11−P13曲線を参照)。この場合、温度センサが+2℃ドリフトすると、相対湿度が一定であれば、P12−P11−P13の状態変化(以下「状態変化1」という。)は、P22−P21−P23(以下「状態変化2」という。)に変化する。そのため、この場合には、絶対湿度は温度に対して負の相関をとる。
同様に、湿度センサが−5.4%ドリフトすると、温度が一定であれば、P12−P11−P13の状態変化は、P32−P31−P33(以下「状態変化3」という。)に変化する。そのため、この場合にも、絶対湿度は温度に対して負の相関をとる。また、温度センサが+2℃、湿度センサが−5.4%ドリフトすると、P12−P11−P13の状態変化は、P42−P41−P43(以下「状態変化4」という。)に変化する。そのため、この場合にも、絶対湿度は温度に対して負の相関をとる。
このように、温度センサと湿度センサが同時にドリフトしている場合、例えば図23の例では温湿度が状態変化4のように変化する場合、診断期間における絶対湿度の推定値と実績値との間には差がなくても、実際には温度センサと湿度センサの両方にドリフトが発生している場合がある(以下「多重ドリフト」という。)。しかしながら、このような場合であっても、上述のとおり、ドリフトの有無は絶対湿度と温度との間の相関として現れることが分かった。
そして、第4の実施形態のセンサドリフト診断装置1cでは、推定モデル構築部12cがこのような相関の有無を調べる機能を有することにより、多重ドリフトの発生を検知することが可能となる。また、このような多重ドリフトの検出機能は、第1の実施形態のセンサドリフト診断装置1のみならず、第2の実施形態のセンサドリフト診断装置1a又は第3の実施形態のセンサドリフト診断装置1bに備えられてもよい。
なお、絶対湿度と温度との間の相関の有無を判定するための指標値としては、dAHとdTの回帰モデルの係数や相関係数を算出すればよい。また、ドリフトの有無を判定する際の閾値は、例えば、ドリフトが発生していない温湿度センサ2について回帰係数を調べ、その代表値(例えば平均値など)と標準偏差に基づいて決定されるとよい。
また、ここでは推定モデル構築部12cが絶対温度と温度の相関性を分析したが、これに代えて、ドリフトスコア算出部13が上記相関性の分析を行い、その分析結果をドリフトスコアとしてドリフト診断部14に提供してもよい。
第4の実施形態のセンサドリフト診断装置1cは、推定モデル構築部12に代えて推定モデル構築部12cを備える点で第1の実施形態のセンサドリフト診断装置1と異なると説明した。ここで推定モデル構築部12cは、第4の実施形態のセンサドリフト診断方法によりドリフトを診断する機能に加え、第1の実施形態のセンサドリフト診断方法によりドリフトを診断する機能を有するように構成されてもよい。このような構成を備えることにより、推定モデル構築部12cは、まずはじめに第1の実施形態のセンサドリフト診断方法でドリフトの有無を診断し、そこでドリフト無しと診断された場合に、第4の実施形態のセンサドリフト診断方法で多重ドリフトの有無を診断することができる。
(第5の実施形態)
図24は、第5の実施形態のセンサドリフト診断装置1dの機能構成の具体例を示すブロック図である。センサドリフト診断装置1dは、ドリフトスコア算出部13に代えてドリフトスコア算出部13dを備える点で第4の実施形態のセンサドリフト診断装置1cと異なり、その他の構成は第4の実施形態のセンサドリフト診断装置1cと同様である。そのため、ここでは第4の実施形態と同様の構成については図16と同じ符号を付すことにより、その説明を省略する。
ドリフトスコア算出部13dは、推定モデル構築部12cによって算出されたAHとdTを用いて温度計と湿度計のそれぞれのドリフト量を算出する。具体的には、ドリフトが発生していない状況では、上述のとおり、dAHとdTの相関はゼロとなるため、温度のドリフト量TDと湿度のドリフト量RHDを変化させて、相関がゼロとなるようなTDとRHDを求める。
図25は、第5の実施形態のセンサドリフト診断装置1dにおいて、ドリフトスコア算出部13dが多重ドリフト発生時における温度センサおよび湿度センサのドリフト量を算出する処理の具体例を示すフローチャートである。まず、ドリフトスコア算出部13dは、TD=0とする(ステップS301)。次に、ドリフトスコア算出部13dは、T[t]=T[t]+TDを算出し、AH[t]−mixr(T[t],RH[t]+RHD)が最小となるRHDを算出する(ステップS302)。
次に、ドリフトスコア算出部13dは、T’[t]=T[t]+TDとRH’[t]=RH[t]+RHDとからdT’とdRH’を算出して相関係数を求め(ステップS303)、相関の正負を判定する(ステップS304)。
ステップS304において相関が負であると判定された場合(ステップS304:負)、ドリフトスコア算出部13dはTDに微小量ΔTDを加える(ステップS305)。例えばΔTD=0.1℃とする。一方、ステップS304において相関が正であると判定された場合(ステップS304:正)、ドリフトスコア算出部13dはTDから微小量ΔTDを引く(ステップS306)。
続いて、ドリフトスコア算出部13dは、終了条件を満たしたか否かを判定する(ステップS307)。例えば、終了条件は、相関がゼロの近傍となったこと、またはステップS302〜S307のループ回数が最大回数を越えたこと、とすることができる。ステップS307において終了条件を満たしていないと判定された場合(ステップS307−NO)、ドリフトスコア算出部13dはステップS302に処理を戻す。一方、ステップS307において終了条件を満たしたと判定された場合(ステップS307−YES)、ドリフトスコア算出部13dは、そのときのTDとRHDを温度および湿度のドリフト量として出力し(ステップS308)、処理を終了する。
このように構成された第5の実施形態のセンサドリフト診断装置1dは、温湿度センサ2の多重ドリフトを検知するとともに、温度センサおよび湿度センサのそれぞれのドリフト量を算出することができる。第1の実施形態では、温湿度センサ2のそれぞれの最大ドリフト量を求めたが、この場合、実際はドリフト量が最大ドリフト量に満たない場合であっても校正が必要と誤診断されてしまう可能性があった。これに対して、第5の実施形態のセンサドリフト診断装置1dによれば、温度センサおよび湿度センサのそれぞれについてドリフト量を算出することができるため、上記ご診断の可能性を小さくすることが可能となる。
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、実施形態のセンサドリフト診断装置は、対象空間の温度および相対湿度の測定値に基づいて前記対象空間の絶対湿度の実測値を算出する絶対温度算出部と、前記空間の温度および相対湿度を測定するセンサのドリフトを診断するために用いられるデータであって、前記センサの測定値に対して比較対象を与えるための基準データを生成する基準データ生成部と、前記基準データに基づいて前記ドリフトに関する指標値を算出するドリフトスコア算出部と、前記指標値に基づいて前記センサのドリフトを診断するドリフト診断部と、を持つことにより、空間の温度又は湿度を測定するセンサのドリフトをより正確に診断することができる。ここで、上記実施形態における推定モデル構築部、確率分布生成部は基準データ生成部の一例である。また、上記実施形態における絶対湿度推定モデル、確率分布データは基準データの一例である。また、上記実施形態における学習期間は基準時の一例である。また、上記実施形態における診断期間は診断時の一例である。
なお、実施形態のセンサドリフト診断装置は必ずしも1つの装置として構成される必要はない。実施形態のセンサドリフト診断装置は、ネットワークを介して通信可能な複数の装置によって構成されてもよい。この場合、実施形態のセンサドリフト診断装置が備える各機能部は、複数の装置に分散して構成されてもよい。例えば、絶対温度算出部、推定モデル構築部、確率分布生成部、ドリフトスコア算出部、ドリフト診断部のそれぞれが異なる装置に実装されてもよい。また例えば、実施形態のセンサドリフト診断装置は、絶対湿度を学習する(すなわち絶対湿度推定モデルを構築する)学習装置と、絶対湿度の推定値及び実測値に基づいて温湿度センサのドリフトを診断する診断装置と、に分散して構成されてもよい。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
1,1a,1b,1c,1d…センサドリフト診断装置、2,2a,2b,2c,2d,2e…他の温湿度センサ、3…外調機、4,4a,4b,4c,4d…空調機、11…絶対湿度算出部、12,12c…推定モデル構築部、13,13a,13b,13d…ドリフトスコア算出部、14…ドリフト診断部、15…確率分布生成部。

Claims (10)

  1. 対象空間の温度および相対湿度の測定値に基づいて前記対象空間の絶対湿度の実測値を算出する絶対湿度算出部と、
    前記空間の温度および相対湿度を測定するセンサのドリフトを診断するために用いられるデータであって、前記センサの測定値に対して比較対象を与えるための基準データを生成する基準データ生成部と、
    前記基準データに基づいて前記ドリフトに関する指標値を算出するドリフトスコア算出部と、
    前記指標値に基づいて前記センサのドリフトを診断するドリフト診断部と、
    を備えるセンサドリフト診断装置。
  2. 前記基準データ生成部は、複数のセンサの設置位置における絶対湿度の関係性を示す絶対湿度推定モデルを構築し、
    前記ドリフト診断部は、前記絶対湿度推定モデルによって推定された絶対湿度と、温度及び相対湿度の測定値に基づいて推定された絶対湿度とを比較することにより前記センサのドリフトを診断する、
    請求項1に記載のセンサドリフト診断装置。
  3. 前記ドリフト診断部は、前記絶対湿度の実測値及び推定値に基づき、前記センサについて、温度又は湿度の最大ドリフト量を算出し、
    前記ドリフト診断部は、前記温度又は湿度の最大ドリフト量に基づいて前記センサのドリフトを診断する、
    請求項2に記載のセンサドリフト診断装置。
  4. 前記基準データ生成部は、基準時の絶対湿度に関する第1の確率分布と、診断時の絶対湿度に関する第2の確率分布と、を生成し、
    前記ドリフトスコア算出部は、前記第1の確率分布と、前記第2の確率分布とを比較することにより、前記指標値として前記センサの温度又は湿度のドリフト量を算出する、
    請求項1に記載のセンサドリフト診断装置。
  5. 前記ドリフトスコア算出部は、前記第1の確率分布と、前記第2の確率分布との統計上の距離を前記指標値として算出する、
    請求項4に記載のセンサドリフト診断装置。
  6. 前記基準データ生成部は、温度および絶対湿度の時刻差分の分布に基づいて温度と絶対温度との間の相関性を分析し、その分析結果に基づいて前記センサの多重ドリフトを診断する、
    請求項1から3のいずれか一項に記載のセンサドリフト診断装置。
  7. 前記ドリフトスコア算出部は、前記相関性の分析結果に基づいて、前記温度および絶対湿度のそれぞれのドリフト量を算出する、
    請求項6に記載のセンサドリフト診断装置。
  8. 前記対象空間は空気中の水分量が所定量に管理される空間である、
    請求項1から7のいずれか一項に記載のセンサドリフト診断装置。
  9. 対象空間の温度および相対湿度の測定値に基づいて前記対象空間の絶対湿度の実測値を算出する絶対湿度算出ステップと、
    前記空間の温度および相対湿度を測定するセンサのドリフトを診断するために用いられるデータであって、前記センサの測定値に対して比較対象を与えるための基準データを生成する基準データ生成ステップと、
    前記基準データに基づいて前記ドリフトに関する指標値を算出するドリフトスコア算出ステップと、
    前記指標値に基づいて前記センサのドリフトを診断するドリフト診断ステップと、
    を有するセンサドリフト診断方法。
  10. 対象空間の温度および相対湿度の測定値に基づいて前記対象空間の絶対湿度の実測値を算出する絶対湿度算出ステップと、
    前記空間の温度および相対湿度を測定するセンサのドリフトを診断するために用いられるデータであって、前記センサの測定値に対して比較対象を与えるための基準データを生成する基準データ生成ステップと、
    前記基準データに基づいて前記ドリフトに関する指標値を算出するドリフトスコア算出ステップと、
    前記指標値に基づいて前記センサのドリフトを診断するドリフト診断ステップと、
    をコンピュータに実行させるためのセンサドリフト診断プログラム。
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