JP2021187875A - 摩擦低減用コーティング組成物 - Google Patents

摩擦低減用コーティング組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP2021187875A
JP2021187875A JP2020091073A JP2020091073A JP2021187875A JP 2021187875 A JP2021187875 A JP 2021187875A JP 2020091073 A JP2020091073 A JP 2020091073A JP 2020091073 A JP2020091073 A JP 2020091073A JP 2021187875 A JP2021187875 A JP 2021187875A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polymer
star
coating composition
friction
arm
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2020091073A
Other languages
English (en)
Inventor
剛 安藤
Takeshi Ando
敦郎 村瀬
Nobuo Murase
邦雄 清水
Kunio Shimizu
裕一 坂西
Yuichi Sakanishi
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Daicel Corp
Nara Institute of Science and Technology NUC
Original Assignee
Daicel Corp
Nara Institute of Science and Technology NUC
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Daicel Corp, Nara Institute of Science and Technology NUC filed Critical Daicel Corp
Priority to JP2020091073A priority Critical patent/JP2021187875A/ja
Publication of JP2021187875A publication Critical patent/JP2021187875A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Paints Or Removers (AREA)

Abstract

【課題】特に水存在下での摩擦低減効果に優れた、新規な摩擦低減用コーティング組成物を提供する。【解決手段】下記式(1)(式中、R1は、ポリ(アルキレングリコール)若しくはポリ(アルキレングリコール)アルキルエーテルの化学構造式の1つのヒドロキシル基から水素原子を除いた基、又はヒドロキシアルキルオキシ基を示す)で表されるメタクリル酸エステル由来の単位を構成単位とする親水性ポリマーアームAと、特定の疎水性ポリマーアームBを同一分子内に有する星型ポリマーを含む摩擦低減用コーティング組成物。【選択図】なし

Description

本開示は、摩擦低減用コーティング組成物に関する。
従来、軸受油、油圧作動油、エンジン油、切削油などの潤滑油には、摩擦を低減する方法として、基油に、有機モリブデン化合物、リン系化合物、アミン、アミド、エステル、アルコールなどの摩擦調整剤を加える方法がある。しかしながら、これらの方法は摩擦低減効果が小さいなどの欠点がある。
特開2008−94969号公報には、オレフィンオリゴマーの水素添加処理物中に存在する未水添不飽和炭化水素化合物を有効成分とする摩擦低減用添加剤が開示されている。しかし、この摩擦低減用添加剤は、油中での摩擦低減効果はあっても、水中での摩擦低減効果はほとんど得られない。
一方、WO2005/116155には、水中での摩擦低減方法として、粒径0.05〜100μmであるキチン、キトサンなどの有機高分子粒子、或いは、粒径0.05〜100μmである、デンプン等の親水性樹脂及びアクリル樹脂からなる複合樹脂粒子を含む塗料組成物を用いる方法が提案されている。
特開2018−115119号公報には、眼部の摩擦低減用組成物として、パントテン酸類を含有する眼科組成物が開示されている。また、特開2018−203723号公報には、K値が70以上であるポリビニルピロリドンと、緩衝剤とを含有する摩擦低減用のコンタクトレンズ用点眼剤が開示されている。
特開2008−94969号公報 WO2005/116155 特開2018−115119号公報 特開2018−203723号公報
しかしながら、従来の摩擦低減用組成物では、必ずしも十分な摩擦低減効果が得られない。
したがって、本開示の目的は、特に水存在下での摩擦低減効果に優れる、新規な摩擦低減用コーティング組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、特定構造のメタクリル酸エステル由来の単位を構成単位とする親水性ポリマーアームと、特定構造のメタクリル酸エステル由来の単位を構成単位とする疎水性ポリマーアームを同一分子内に有する新規な星型ポリマーが、特に水存在下での摩擦低減効果に優れることを見出し、本開示を完成させた。
すなわち、本開示は、下記式(1)
Figure 2021187875
(式中、R1は、ポリ(アルキレングリコール)若しくはポリ(アルキレングリコール)アルキルエーテルの化学構造式の1つのヒドロキシル基から水素原子を除いた基、又はヒドロキシアルキルオキシ基を示す)
で表されるメタクリル酸エステル由来の単位を構成単位とする親水性ポリマーアームAと、下記式(2)
Figure 2021187875
(式中、R2は、炭素数1〜18のアルキル基を示す)
で表されるメタクリル酸エステル由来の単位を構成単位とする疎水性ポリマーアームBを同一分子内に有する星型ポリマーを含む摩擦低減用コーティング組成物を提供する。
前記ポリマーアームAのポリマーに対するポリマーアームBのポリマーのモル比(後者/前者)は0.05〜1であってもよい。
本開示によれば、摩擦低減用コーティング組成物が特定構造の親水性ポリマーアームと特定構造の疎水性ポリマーアームとを有する星型ポリマーを含むので、特に水存在下において優れた摩擦低減効果を得ることができる。
実施例及び比較例の評価試験の結果を示すグラフである。
[摩擦低減用コーティング組成物]
本開示において、摩擦低減用コーティング組成物は、前記式(1)(式中、R1は、ポリ(アルキレングリコール)若しくはポリ(アルキレングリコール)アルキルエーテルの化学構造式の1つのヒドロキシル基から水素原子を除いた基、又はヒドロキシアルキルオキシ基を示す)で表されるメタクリル酸エステル由来の単位を構成単位とする親水性ポリマーアームAと、前記式(2)(式中、R2は、炭素数1〜18のアルキル基を示す)で表されるメタクリル酸エステル由来の単位を構成単位とする疎水性ポリマーアームBを同一分子内に有する星型ポリマーを含む。
前記R1における「ポリ(アルキレングリコール)若しくはポリ(アルキレングリコール)アルキルエーテルの化学構造式の1つのヒドロキシル基から水素原子を除いた基」としては、例えば、下記式(3)で表される基が挙げられる。
Figure 2021187875
(式中、R3は、炭素数2〜6のアルキレン基、R4は、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を示す。nは2以上の整数を示す。n個のR3は同一であっても異なっていてもよい)
前記R3おける炭素数2〜6のアルキレン基としては、例えば、エチレン、プロピレン、トリメチレン、テトラメチレン、ヘプタメチレン、ヘキサメチレン基などが挙げられる。これらの中でも、エチレン、プロピレン、トリメチレン基が好ましい。
4における炭素数1〜6のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル基などが挙げられる。これらの中でも、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル基などの炭素数1〜4のアルキル基が好ましい。
前記nは、例えば、2〜10000、好ましくは3〜5000、より好ましくは4〜1000、さらに好ましくは5〜100である。
1におけるヒドロキシアルキルオキシ基としては、例えば、ヒドロキシエチルオキシ、ヒドロキシプロピルオキシ、2−ヒドロキシプロピルオキシ、ヒドロキシブチルオキシ、ヒドロキシペンチルオキシ、ヒドロキシヘキシルオキシ、ヒドロキシオクチルオキシ、ヒドロキシデシルオキシ基などの炭素数が2〜10のヒドロキシアルキルオキシ基などが挙げられる。これらの中でも、ヒドロキシエチルオキシ、ヒドロキシプロピルオキシ、ヒドロキシブチルオキシ基などの炭素数が2〜4のヒドロキシアルキルオキシ基が好ましい。
前記式(1)で表されるメタクリル酸エステル由来の単位における「メタクリル酸エステル」の代表的な例として、例えば、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート、ポリ(エチレングリコール)エチルエーテルメタクリレート、ポリ(エチレングリコール)プロピルエーテルメタクリレート、ポリ(エチレングリコール)ブチルエーテルメタクリレート、ポリ(プロピレングリコール)メチルエーテルメタクリレート、ポリ(プロピレングリコール)エチルエーテルメタクリレート、ポリ(プロピレングリコール)プロピルエーテルメタクリレート、ポリ(プロピレングリコール)ブチルエーテルメタクリレート、ポリ(エチレングリコール)メタクリレート、ポリ(プロピレングリコール)メタクリレート;ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレートなどが挙げられる。
前記R2における炭素数1〜18のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、イソオクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル基などが挙げられる。
星型ポリマーは、中央のコアから複数の直鎖状のアームポリマーが、放射状に結合した分岐高分子である。本開示に係る星型ポリマーにおいて、前記親水性ポリマーアームAのポリマーに対する前記疎水性ポリマーアームBのポリマーの割合(モル比;後者/前者)は、用途によって適宜設定できるが、例えば0.05〜1モル、好ましくは0.07〜1モル、より好ましくは0.1〜1モルである。この割合は、星型ポリマー合成時において、式(1)で表されるメタクリル酸エステル由来の単位を構成単位とする親水性ポリマーと、前記式(2)で表されるメタクリル酸エステル由来の単位を構成単位とする疎水性ポリマーとの使用割合を調整することによりコントロールできる。なお、星型ポリマーにおける前記親水性ポリマーアームAのポリマーに対する前記疎水性ポリマーアームBのポリマーの割合は、1H-NMRスペクトルにより求めることができる。
前記星型ポリマーは、リビングラジカル重合又はリビングアニオン重合により合成できる。これらの中でも、リビングラジカル重合を用いる方法が好ましい。リビングラジカル重合を用いて星型ポリマーを合成する方法には、多官能性開始剤法、多官能性停止剤法、ジビニル化合物に基づくコアファースト法、ジビニル化合物に基づくアームファースト法の4種類がある。
多官能性開始剤法は、多官能性開始剤を用いて合成する手法であり、重合開始点の数に等しい本数のアームを持った星型ポリマーが合成可能であるが、この多官能性開始剤の合成が難しい。また、多官能性停止剤法では、多官能性開始剤法と同様に本数の決まったアームを持つ星型ポリマーが得られるが、停止剤の合成が難しい。また停止点の増加に伴い、ポリマーの立体障害によりすべての停止点に付加させることが難しい。
一方、ジビニル化合物に基づくコアファースト法、アームファースト法は、星型ポリマーのアームの本数の分布にばらつきがあるが、ジビニル化合物と枝ポリマーの濃度比を調整することにより、多数のアームを持つ星型ポリマーを容易に合成することができる。中でも、より多くのアームを持った星型ポリマーを合成できることから、アームファースト法を用いることが好ましい。
アームファースト法では、まず、枝ポリマーである前記式(1)で表されるメタクリル酸エステル由来の単位を構成単位とするポリマー(「ポリマーa」と称する場合がある)、及び前記式(2)で表されるメタクリル酸エステル由来の単位を構成単位とするポリマー(「ポリマーb」と称する場合がある)をそれぞれ合成し、次いで、これらの枝ポリマーを、架橋剤を用いてリビング重合することにより、前記星型ポリマーを合成できる。
枝ポリマーであるポリマーa及びポリマーbは、それぞれ、対応するモノマー(メタクリル酸エステル)を、重合開始剤及び触媒の存在下、必要に応じて助触媒を用い、通常、溶剤中でリビング重合(リビングラジカル重合)することにより合成できる。前記重合開始剤としては、リビング重合(リビングラジカル重合)の際に通常用いられる重合開始剤、例えば、エチル 2−クロロ−2−フェニルアセテート、メチル 2−クロロ−2−フェニルアセテートなどを使用できる。前記触媒としては、リビング重合(リビングラジカル重合)の際に通常用いられる触媒、例えば、クロロ(インデニル)ビス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム(II)などの金属錯体などを使用できる。前記助触媒としては、リビング重合(リビングラジカル重合)の際に通常用いられる助触媒、例えば、トリブチルアミン、トリエチルアミン等の第3級アミンなどを使用できる。前記溶剤としては、反応に不活性な溶剤であればよく、例えば、トルエン等の芳香族炭化水素などを使用できる。
前記枝ポリマーの合成において、前記重合開始剤の使用量は、適切な鎖長を持つように適宜設定でき、例えば、モノマーの使用量1モルに対して、0.001〜0.1モル、好ましくは0.002〜0.05モル、より好ましくは0.005〜0.02モルである。前記触媒の使用量は、モノマーの使用量1モルに対して、0.0001〜0.01モル、好ましくは0.0002〜0.005モル、より好ましくは0.0005〜0.002モルである。また、前記助触媒の使用量は、モノマーの使用量1モルに対して、例えば0.0001〜0.1モル、好ましくは0.0005〜0.05モルである。
前記枝ポリマーの合成において、反応温度は、適宜設定できるが、例えば、40〜150℃、好ましくは50〜110℃である。リビング重合は、アルゴン、窒素などの不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。重合反応終了後、例えば、氷冷等により温度を下げて反応を停止した後、反応液を大量の貧溶媒(例えば、ヘキサン等の脂肪族炭化水素など)に投入し、生成物を沈殿精製することにより、目的の枝ポリマーを得ることができる。
前記星型ポリマーは、上記で得られた枝ポリマー(ポリマーa及びポリマーb)を、架橋剤、触媒、必要に応じて、助触媒、重合開始剤の存在下、通常、溶剤中でリビング重合(リビングラジカル重合)することにより合成できる。
前記星型ポリマーの合成において、架橋剤としては、リビング重合(リビングラジカル重合)の際に通常用いられる架橋剤、例えば、エチレングリコールジメタクリレート等の多官能メタクリレートなどのジビニル化合物を用いることができる。前記触媒としては、リビング重合(リビングラジカル重合)の際に通常用いられる触媒、例えば、クロロ(インデニル)ビス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム(II)などの金属錯体などを使用できる。前記助触媒としては、リビング重合(リビングラジカル重合)の際に通常用いられる助触媒、例えば、トリブチルアミン、トリエチルアミン等の第3級アミンなどを使用できる。前記溶剤としては、反応に不活性な溶剤であればよく、例えば、トルエン等の芳香族炭化水素などを使用できる。また、リビングラジカル重合法として、遷移金属錯体(一般には、銅錯体)を触媒、有機ハロゲン化合物を重合開始剤とする原子移動ラジカル(ATRP)重合法や、RAFT剤とアゾ開始剤を用いる可逆的付加−開裂連鎖移動(RAFT)重合法なども採用できる。
前記星型ポリマーの合成において、ポリマーaに対するポリマーbの使用割合(モル比;後者/前者)は、合成する星型ポリマーの用途等によって適宜設定できるが、例えば、0.05〜1、好ましくは0.07〜1、より好ましくは0.1〜1である。前記架橋剤の使用量は、例えば、前記ポリマーaとポリマーbの総量1モルに対して、合成する星型ポリマーの用途等によって適宜設定できるが、例えば、1〜100モル、好ましくは3〜50モル、より好ましくは5〜30モルである。前記触媒の使用量は、前記ポリマーaとポリマーbの総量1モルに対して、例えば0.01〜1モル、好ましくは0.05〜0.7モル、より好ましくは0.1〜0.4モルである。前記助触媒の使用量は、前記ポリマーaとポリマーbの総量1モルに対して、例えば0.1〜10モル、好ましくは0.5〜7モル、より好ましくは1〜4モルである。
前記星型ポリマーの合成において、リビング重合の際の反応温度は、適宜設定できるが、例えば、40〜150℃、好ましくは50〜110℃である。リビング重合は、アルゴン、窒素などの不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。重合反応終了後、例えば、氷冷等により温度を下げて反応を停止した後、反応液を大量の貧溶媒(例えば、ヘキサン等の脂肪族炭化水素など)に投入し、生成物を沈殿精製することにより、目的の星型ポリマーを得ることができる。また、得られた星型ポリマーに対し、適宜な溶媒を用いてさらに沈殿精製を繰り返すことにより、より純度の高い星型ポリマーを得ることができる。
なお、本開示における前記星型ポリマーは、Macromolecules 2001, 34, 215-221、Biomater. Sci., 2014, 2, 1172-1185等の公知文献記載の方法に従って合成することもできる。
星型ポリマーの粒径(平均粒子径)は、動的光散乱法により測定することができる。また、GPC測定による分子量測定曲線を用いて、アームのピークとスターのピーク面積比からスターの変換率を測定することができる。星型ポリマーの重量平均分子量Mw、数平均分子量Mn、分子量分布Mw/Mnは、例えば、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を用いて、直鎖状ポリマー換算として測定することができる。
こうして得られる星型ポリマーは、中央のコア(前記架橋剤に由来する部位)から、親水性ポリマーアームA(前記ポリマーaに由来する部位)と疎水性ポリマーアームB(前記ポリマーbに由来する部位)とが、多数、放射状に伸びた構造を有している。前記親水性ポリマーアームAは水に対して親和性を示し、疎水性ポリマーアームBは疎水性物質に対して親和性を示す。そのため、例えば、上記星型ポリマーを含むコーティング組成物を基板(疎水性基板)上に塗工してコート膜を形成し、そのコート膜上に水が存在すると、表面の摩擦は非常に小さくなる。
本開示に係る摩擦低減用コーティング組成物は、前記星型ポリマーのほか、溶媒を含有してもよい。溶媒としては、星型ポリマーが有する親水性ポリマーアームA及び疎水性ポリマーアームBの種類によって適宜選択でき、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素;メタノール、エタノール等のアルコール;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル;アセトン、エチルメチルケトン等のケトン;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル;水;これらの混合溶媒などが挙げられる。
前記摩擦低減用コーティング組成物中の前記星型ポリマーの濃度は、星型ポリマーの溶解度、塗工性等に応じて適宜設定でき、例えば、0.001〜50重量%、好ましくは0.01〜40重量%、より好ましくは0.02〜30重量%である。
本開示において、摩擦低減用コーティング組成物は、用途に応じて、適宜な添加剤を含んでいてもよい。例えば、前記摩擦低減用コーティング組成物を、装用中のコンタクトレンズ(例えば、ソフトコンタクトレンズ等)における摩擦を低減させるためのコンタクトレンズ用点眼剤などとして用いる場合には、前記添加剤として、例えば、アミノ酸、塩、多価アルコール、糖類、油類、増粘剤、界面活性剤(非イオン界面活性剤等、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤等)、清涼化剤、薬理活性成分、生理活性成分、安定化剤、キレート剤、防腐剤、殺菌剤、抗菌剤、pH調整剤、緩衝剤、収斂剤などが挙げられる。
前記摩擦低減用コーティング組成物によれば、特に水の存在下における摩擦係数を大きく低減することができる。例えば、前記摩擦低減用コーティング組成物を、上記コンタクトレンズ用点眼剤として用いる場合には、コンタクトレンズの表面、裏面及びエッジ部における摩擦が低減されるため、コンタクトレンズと角膜、コンタクトレンズと結膜の間に発生する摩擦を低減させることができ、コンタクトレンズ装用中における異物感を低減させ、瞬きのしやすさを改善することができる。また、コンタクトレンズ自体の傷の発生も防止できることから、矯正視力の低下の防止、コンタクトレンズの汚れや細菌の付着の防止、角膜や結膜の損傷の防止などの効果も得られる。
また、前記摩擦低減用コーティング組成物を基材に塗工して、コート膜を形成してもよい。このようなコート膜を形成することで、特に水存在下における基材表面の摩擦を大きく低減することができる。前記コート膜の厚みは、例えば、0.001〜5μm、好ましくは0.005〜3μm、より好ましくは0.01〜1μmである。
なお、本明細書に開示された各々の態様は、本明細書に開示された他のいかなる特徴とも組み合わせることができる。また、各実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は、一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲内で、適宜、構成の付加、省略、及びその他の変更が可能である。本開示は、実施形態によって限定されることはなく、クレームの範囲によってのみ限定される。
以下に、実施例に基づいて本開示をさらに具体的に説明する。なお、星型ポリマーの数平均分子量Mn、分子量分布Mw/Mnは、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を用いて、直鎖状ポリマー換算として測定した。また、数平均分子量MnはNMRによっても測定した。
[製造例1](PTMSOEMAリニアポリマーの合成)
アルゴン雰囲気下、ナス型フラスコに、トリメチルシリロキシエチルメタクリレート(TMSOEMA)(360mmol、78.5mL)、メチル 2−クロロ−2−フェニルアセテート(MCPA)(3.6mmol、0.548mL)、クロロ(インデニル)ビス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム(II)(ジクロロメタン付加物)(0.24mmol、207mg)、トリブチルアミン(2.4mmol、0.572mL)をトルエン160mLに溶解し、10分間アルゴンでバブリングした。80℃で48h反応させた後、氷冷して反応を停止した。反応液をエバポレーション後、メタノールに溶解させ、水を加えることでリニアポリマー(PTMSOEMA)を沈殿精製した。
SEC(サイズ排除クロマトグラフィー)(THF):Mn=22,300、Mw/Mn=1.40、Mn(NMR)=22,400
[製造例2](MMAリニアポリマーの合成)
アルゴン雰囲気下、ナス型フラスコに、メチルメタクリレート(MMA)(300mmol、31.8mL)、エチル 2−クロロ−2−フェニルアセテート(ECPA)(3.0mmol、0.514mL)、クロロ(インデニル)ビス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム(II)(ジクロロメタン付加物)(0.20mmol、172mg)、トリブチルアミン(2.0mmol、0.476mL)をトルエン167mLに溶解し、10分間アルゴンでバブリングした。80℃で72h反応させた後、氷冷して反応を停止した。反応液を大量のヘキサンに滴下し、沈殿精製することでリニアポリマー(PMMA)を得た。
SEC(THF):Mn=10,700、Mw/Mn=1.36、Mn(NMR)=8,800
[製造例3](PHEMA/MMAヘテロ星型ポリマーの合成)
アルゴン雰囲気下、シュレンク管に、クロロ(インデニル)ビス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム(II)(ジクロロメタン付加物)とトリブチルアミンのトルエン溶液をあらかじめ調製しておき、最終濃度が以下に示す濃度になるように反応容器であるナス型フラスコに加えた。
アルゴン雰囲気下、ナス型フラスコに、製造例1で得られたポリマー(PTMSOEMA)(0.169g/mL トルエン溶液、1.88mmol、249mL)、製造例2で得られたポリマー(PMMA)(0.625mmol、5.5g)、エチレングリコールジメタクリレート(25mmol、4.72mL)、トリメトキシベンゼン(1.5mmol、250mg)、クロロ(インデニル)ビス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム(II)(ジクロロメタン付加物)(0.25mmol、215mg)、トリブチルアミン(2.5mmol、0.25mL)をトルエン197mLに溶解し、10分間アルゴンでバブリングした。80℃で72h反応させた後、氷冷して反応を停止した。反応液をトルエンで2倍量に希釈し、シリカゲルカラム及びアルミナカラムにより金属触媒、助触媒を除去した。得られた溶液をエバポレーションし、再度約10重量%のトルエン溶液を調製し、ヘキサンを滴下し、沈殿精製することで、PTMSOEMA/PMMA星型ポリマーを得た。このポリマーを減圧乾燥後、エタノールに溶解させ、12M塩酸を5,6滴加え、一晩撹拌した。反応溶液に大量のヘキサンを加えて沈殿精製することにより、PHEMA/PMMAヘテロ星型ポリマーを得た。星型ポリマー中のPHEMA鎖とPMMA鎖の比を1H NMRにより求めたところ、前者:後者(モル比)=73:27であった。
SEC(DMF):Mn=164,000、Mw/Mn=2.63
実施例1
実施例3で得られたPHEMA/PMMAヘテロ星型ポリマーをメタノールに溶解して、星型ポリマー1重量%のメタノール溶液を調製した。このメタノール溶液を、バーコータ♯20で、PETフィルム(商品名「コスモシャインA4300 75μ」、東洋紡株式会社製)上に塗布し、乾燥させて測定試料(S1)とした(乾燥後のコート膜の膜厚:0.5μm)。
上記測定試料の上に、水、又は流動パラフィンを塗布し(塗布量:約0.05g/100mm2)、摩擦係数測定装置(商品名「Nano Tribometer」、Anton Parr社製)を用い、下記の条件で測定試料表面の摩擦係数を測定した。結果を図1に示す。図1の右から2つめが、測定試料(S1)上に流動パラフィンを塗布した場合のデータ、右から1つめが、測定試料(S1)上に水を塗布した場合のデータである。
<条件>
測定環境:室温(25℃)
荷重:10mN
測定速度:5mm/s
回転半径:2mm
カンチレバー:サファイヤ
比較例1
PETフィルム(商品名「コスモシャインA4300 75μ」、東洋紡株式会社製)を測定試料(PET)とし、この上に、水、又は流動パラフィンを塗布し(塗布量:約0.05g/100mm2)、摩擦係数測定装置(商品名「Nano Tribometer」、Anton Parr社製)を用い、実施例1と同様の条件でPETフィルム表面の摩擦係数を測定した。結果を図1に示す。図1の右から4つめが、PETフィルム上に流動パラフィンを塗布した場合のデータ、右から3つめが、PETフィルム上に水を塗布した場合のデータである。
図1より、測定試料(S1又はPET)上に水を適用(塗布)した場合は、PETへの星型ポリマーの塗布によって、表面の摩擦係数が大きく低減することが分かる。一方、測定試料(S1又はPET)上に流動パラフィンを適用(塗布)した場合は、PETへの星型ポリマーの塗布の有無で、表面の摩擦係数に変化はほとんど見られなかった。

Claims (2)

  1. 下記式(1)
    Figure 2021187875
    (式中、R1は、ポリ(アルキレングリコール)若しくはポリ(アルキレングリコール)アルキルエーテルの化学構造式の1つのヒドロキシル基から水素原子を除いた基、又はヒドロキシアルキルオキシ基を示す)
    で表されるメタクリル酸エステル由来の単位を構成単位とする親水性ポリマーアームAと、下記式(2)
    Figure 2021187875
    (式中、R2は、炭素数1〜18のアルキル基を示す)
    で表されるメタクリル酸エステル由来の単位を構成単位とする疎水性ポリマーアームBを同一分子内に有する星型ポリマーを含む摩擦低減用コーティング組成物。
  2. 前記ポリマーアームAのポリマーに対するポリマーアームBのポリマーのモル比(後者/前者)が0.05〜1である星型ポリマーを含む請求項1記載の摩擦低減用コーティング組成物。
JP2020091073A 2020-05-26 2020-05-26 摩擦低減用コーティング組成物 Pending JP2021187875A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020091073A JP2021187875A (ja) 2020-05-26 2020-05-26 摩擦低減用コーティング組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020091073A JP2021187875A (ja) 2020-05-26 2020-05-26 摩擦低減用コーティング組成物

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2021187875A true JP2021187875A (ja) 2021-12-13

Family

ID=78848141

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020091073A Pending JP2021187875A (ja) 2020-05-26 2020-05-26 摩擦低減用コーティング組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2021187875A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR102435592B1 (ko) * 2022-01-21 2022-08-24 주식회사 에스엘티지 의약품 캡슐 외관 검사장치

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR102435592B1 (ko) * 2022-01-21 2022-08-24 주식회사 에스엘티지 의약품 캡슐 외관 검사장치
WO2023140417A1 (ko) * 2022-01-21 2023-07-27 (주)에스엘티지 의약품 캡슐 외관 검사장치

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US10266620B2 (en) Coating agents and coated articles
AU683256B2 (en) Functionalized photoinitiators, macromers thereof, and the use thereof
Qiu et al. Novel nonionic oligosaccharide surfactant polymers derived from poly (vinylamine) with pendant dextran and hexanoyl groups
JP4459447B2 (ja) 疎水変性された櫛形コポリマー
RU2388775C2 (ru) Синтетический загуститель для краски, совместимый с красителем
JP2011518347A (ja) 両親媒性マルチブロックコポリマーを含むレンズ
WO2007068102A2 (en) Oil dispersible polymer nanoparticles
JP2004510851A (ja) 両性イオン重合体
CN110062802A (zh) 缔合受控的热缔合添加剂组合物,和含有其的润滑组合物
FR3016885A1 (fr) Copolymeres thermoassociatifs et echangeables, compositions les comprenant
CN112105658A (zh) 热缔合的可交换共聚物及包含它们的组合物
CN106496568B (zh) 一种清洁抗污型两亲性共聚物网络及其制备方法
US20040242789A1 (en) ABA-type block copolymers having a random block of hydrophobic and hydrophilic monomers and methods of making same
JP2021187875A (ja) 摩擦低減用コーティング組成物
Arslan et al. The synthesis and solution behaviors of novel amphiphilic block copolymers based on d-galactopyranose and 2-(dimethylamino) ethyl methacrylate
JP2011522087A (ja) マトリックス材料中におけるナノ粒子の分散のための高効率な分散剤
US20160046885A1 (en) Branched polymers as viscosity and/or friction modifiers for lubricants
JP4671569B2 (ja) ポリマー溶液
US10717863B2 (en) Mucoadhesive and/or sol-gel co-hydrogel systems including fluoroalkylated (Rf) polyethylene glycol (PEG) and Rf-PEG-poly(acrylic acid) (PAA) copolymers, and methods of making the same and of drug delivery using the same
EP4268920A1 (en) Antifoaming agent, lubricating oil composition containing antifoaming agent, and machine using lubricating oil composition
JP2658152B2 (ja) ポリシロキサン基含有重合体
EP4066902A1 (en) Zwitterion compound and production method and use for same
CA2724379A1 (fr) Copolymere amphiphile a blocs, procede pour sa preparation
JPH11166152A (ja) 水中防汚被覆剤
CA2141382A1 (fr) Nouveaux photoamorceurs organometalliques polymeriques, leurs procedes de preparation, les compositions polyorganosiloxanes qui les comprennent reticulables sous irradiation uv oufaisceau d'electrons

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20230425

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20240119

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20240206

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20240326

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20240517