JP2021187090A - 印刷方法及び印刷機 - Google Patents

印刷方法及び印刷機 Download PDF

Info

Publication number
JP2021187090A
JP2021187090A JP2020095838A JP2020095838A JP2021187090A JP 2021187090 A JP2021187090 A JP 2021187090A JP 2020095838 A JP2020095838 A JP 2020095838A JP 2020095838 A JP2020095838 A JP 2020095838A JP 2021187090 A JP2021187090 A JP 2021187090A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ink
electron beam
printing
printing method
meth
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2020095838A
Other languages
English (en)
Inventor
泰明 辻
Yasuaki Tsuji
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Konica Minolta Inc
Original Assignee
Konica Minolta Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Konica Minolta Inc filed Critical Konica Minolta Inc
Priority to JP2020095838A priority Critical patent/JP2021187090A/ja
Publication of JP2021187090A publication Critical patent/JP2021187090A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Supply, Installation And Extraction Of Printed Sheets Or Plates (AREA)
  • Ink Jet (AREA)
  • Printing Methods (AREA)
  • Ink Jet Recording Methods And Recording Media Thereof (AREA)
  • Inks, Pencil-Leads, Or Crayons (AREA)

Abstract

【課題】本発明の課題は、電子線によるインク硬化印刷において、被印刷媒体の電子線による変色を抑制することができ、インク硬化も良好な印刷方法及び印刷機を提供することである。【解決手段】本発明の印刷方法は、被印刷媒体上のインク画像のインクを電子線により硬化する印刷方法であって、前記被印刷媒体の波長440nmにおける分光反射率Aと、波長580nmにおける分光反射率Bの比率(A/B)が、1.05以下であり、前記電子線の加速電圧が、70kV以下であり、かつ、前記インクの吸収線量が、130kGy以下であることを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、印刷方法及び印刷機に関し、特に、電子線によるインク硬化印刷において、被印刷媒体の電子線による変色を抑制することができ、インク硬化も良好な印刷方法等に関する。
現在、実用化されているインクの活性線硬化方法は、主にUV硬化と電子線硬化である。
このうち電子線によるインク硬化については、例えば特許文献1に開示されているように、被印刷媒体の電子線による変色から、透明樹脂フィルム又は濃色基材などの変色が問題になりにくい被印刷媒体にしか適用できていない。特に、白色の紙や白色が目立つように加工された樹脂基材などで変色が目立つことから、電子線照射が困難であり、問題であった。
一方、UV硬化では光反応開始剤の安全性懸念から適用範囲が制限されている。
特開2004−42465号公報
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、電子線によるインク硬化印刷において、被印刷媒体の電子線による変色を抑制することができ、インク硬化も良好な印刷方法及び印刷機を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討する過程において、使用する被印刷媒体の波長440nmと波長580nmにおける分光反射率の比率と、電子線の加速電圧及び吸収線量を特定範囲に規定することで、被印刷媒体の電子線による変色を抑制することができ、インク硬化も良好な印刷方法等を提供することができることを見いだし本発明に至った。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.被印刷媒体上のインク画像のインクを電子線により硬化する印刷方法であって、
前記被印刷媒体の波長440nmにおける分光反射率Aと、波長580nmにおける分光反射率Bの比率(A/B)が、1.05以下であり、
前記電子線の加速電圧が、70kV以下であり、かつ、
前記インクの吸収線量が、130kGy以下であることを特徴とする印刷方法。
2.前記電子線の加速電圧が、50〜70kVの範囲内であり、かつ、前記インクの吸収線量が、30〜100kGyの範囲内であることを特徴とする第1項に記載の印刷方法。
3.前記電子線の加速電圧が、50〜63kVの範囲内であり、かつ、前記インクの吸収線量が、30〜80kGyの範囲内であることを特徴とする第1項に記載の印刷方法。
4.前記電子線の照射領域の酸素濃度が、3.0体積%以下であることを特徴とする第1項から第3項までのいずれか一項に記載の印刷方法。
5.前記電子線の照射領域の酸素濃度が、0.8体積%以下であることを特徴とする第1項から第3項までのいずれか一項に記載の印刷方法。
6.前記被印刷媒体上に、有版印刷方法によりインク画像を転写することを特徴とする第1項から第5項までのいずれか一項に記載の印刷方法。
カKだ
7.前記被印刷媒体上に、インクジェット法によりインク画像を形成することを特徴とする第1項から第5項までのいずれか一項に記載の印刷方法。
8.前記被印刷媒体が、紙からなることを特徴とする第1項から第7項までのいずれか一項に記載の印刷方法。
9.前記被印刷媒体が、樹脂からなることを特徴とする第1項から第7項までのいずれか一項に記載の印刷方法。
10.前記電子線により重合反応する成分を必須成分として添加されている前記インクを用いることを特徴とする第1項から第9項までのいずれか一項に記載の印刷方法。
11.ゲル成分が添加されている前記インクを用いることを特徴とする第1項から第10項までのいずれか一項に記載の印刷方法。
12.被印刷媒体上のインク画像のインクを電子線により硬化する印刷方法による印刷機であって、
第1項から第11項までのいずれか一項に記載の印刷方法を用いることを特徴とする印刷機。
本発明の上記手段により、電子線によるインク硬化印刷において、被印刷媒体の電子線による変色を抑制することができ、インク硬化も良好な印刷方法及び印刷機を提供することができる。
本発明の効果の発現機構又は作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
電子線照射により被印刷媒体が変色する原因は種々推定され、一つに特定できるものではないが、分解しやすい化学構造を持つ蛍光増白剤の影響は大きいと推察される。
鋭意検討の結果、近年開発されてきた低加速電圧の電子線では、蛍光増白剤の少ない紙であれば、変色の許容範囲とインク硬化とが両立可能なことが判明した。しかし、紙の蛍光増白剤は種々あり、個別の定量は困難であるが、さらなる検討の結果、蛍光分光濃度計の分光反射スペクトルに現れる蛍光強度と電子線による変色に一定の相関がみられることを見いだした。
特に、本発明では、使用する被印刷媒体の波長440nmと波長580nmにおける分光反射率の比率と、電子線の加速電圧及び吸収線量をそれぞれ前記範囲に規定することで、電子線による被印刷媒体の変色を抑制することができ、またインク硬化も良好になると推察されるに至った。
本発明の印刷機の一例で、ライン記録方式のインクジェット記録装置の要部の構成を示す側面図 本発明の印刷機の一例で、ライン記録方式のインクジェット記録装置の要部の構成を示す上面図 本発明の印刷機の一例で、シリアル記録方式のインクジェット記録装置の要部の構成を示す上面図
本発明の印刷方法は、被印刷媒体上のインク画像のインクを電子線により硬化する印刷方法であって、前記被印刷媒体の波長440nmにおける分光反射率Aと、波長580nmにおける分光反射率Bの比率(A/B)が、1.05以下であり、前記電子線の加速電圧が、70kV以下であり、かつ、前記インクの吸収線量が、130kGy以下であることを特徴とする。
この特徴は、下記各実施形態に共通又は対応する技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、前記電子線の加速電圧が、50〜70kVの範囲内であり、かつ、前記インクの吸収線量が、30〜100kGyの範囲内であることが、インク硬化の点で好ましく、前記電子線の加速電圧が、50〜63kVの範囲内であり、かつ、前記インクの吸収線量が、30〜80kGyの範囲内であることが特に好ましい。
また、前記電子線の照射領域の酸素濃度は、インク硬化の観点から、3.0体積%以下であることが好ましく、0.8体積%以下であることがより好ましい。
前記被印刷媒体上に、有版印刷方法によりインク画像を転写することが工業的量産性に優れる点で好ましい。また、前記被印刷媒体上に、インクジェット法によりインク画像を形成することが、高画質・高解像度の点で好ましい。
前記被印刷媒体は、紙又は樹脂からなることが好ましい。
電子線により重合反応する成分を必須成分として添加されている前記インクを用いることが好ましく、特に、ゲル成分が添加されている前記インクを用いることが、ゲル成分が添加されていないインクに比べて、硬化反応前のインク画像流れを防止する点で好ましい。
本発明の印刷機は、前記した印刷方法を好適に用いることができる。
以下、本発明とその構成要素及び本発明を実施するための形態・態様について説明をする。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
[本発明の印刷方法]
本発明の印刷方法は、被印刷媒体上のインク画像のインクを電子線により硬化する印刷方法であって、前記被印刷媒体の波長440nmにおける分光反射率Aと、波長580nmにおける分光反射率Bの比率(A/B)が、1.05以下であり、前記電子線の加速電圧が、70kV以下であり、かつ、前記インクの吸収線量が、130kGy以下であることを特徴とする。
<分光反射率の測定方法>
校正された分光反射率測定器であればいずれでもよく、印刷機付属物として自動で演算判定してもよく、印刷オペレーターが別途測定し判定してもよいが、本発明で規定している分光反射率は、蛍光分光濃度計 FD−7(コニカミノルタ社製)を用い視野角2度、CIE標準光源をシミュレートしたD65色温度6504Kの条件で測定した値を用いた。
前記比率(A/B)は、1.05以下である。当該比率(A/B)を1.05以下とするためには、例えば、被印刷媒体の種類を適宜選択すること等が挙げられる。
<電子線の加速電圧とインクの吸収線量>
前記インクに対し、照射する電子線の加速電圧は、70kV以下であり、かつ、インクの吸収線量が、130kGy以下である。これにより、被印刷媒体の変色を抑制でき、かつ、インクの内部にまで十分なエネルギーを到達させてインクを硬化させることができる。より好ましくは、電子線の加速電圧が、50〜70kVの範囲内であり、かつ、インクの吸収線量が、30〜100kGyの範囲内であり、特に、電子線の加速電圧が、50〜63kVの範囲内であり、かつ、インクの吸収線量が、30〜80kGyの範囲内であることが好ましい。
<電子線吸収線量の校正方法>
本発明で規定しているインクの電子線の吸収線量は、電子線照射装置の電子線照射強度を測定できる装置であればいずれでもよいが、三酢酸セルロースフィルム線量計FTR−125(富士フイルム社製)にて測定した電子線照射装置の電子線照射強度を、インクの電子線の吸収線量として扱った。
<電子線の照射領域の酸素濃度>
本発明では、前記電子線の照射領域の酸素濃度が、3.0体積%以下であることが好ましく、1.0体積%以下であることがより好ましく、0.8体積%以下であることが特に好ましい。このような酸素濃度の範囲とすることで、インク硬化の点で好ましく、また、電子線が酸素を分解してオゾンの発生防止の点でも好ましい。
<被印刷媒体>
本発明で用いられる被印刷媒体としては、例えば、紙又は樹脂が挙げられる。
紙の被印刷媒体とは、セルロース基材に各種填料を塗布されてなるシート状のものをいう。具体的な組成、銘柄、斤量、用途などは無限に存在する。本発明では製紙業者等が製造販売する、印刷可能な白色紙全般を対象とするが、前記した被印刷媒体の分光反射率Aと分光反射率Bの比率(A/B)を満たすものであれば、紙種は制限されない。
樹脂の被印刷媒体とは、合成樹脂を基材とする白色の紙様のシート、フィルムをいう。代表的なのは株式会社ユポ・コーポレーションが製造販売するユポ紙であるが、これもセルロース基材の紙と同様、品種、銘柄は多岐にわたる。また、ユポ紙以外にも本発明における樹脂製の被印刷媒体は無限に存在し、前記した被印刷媒体の分光反射率Aと分光反射率Bの比率(A/B)を満たすものであれば、制限されない。
日本製紙株式会社の印刷可能な紙の銘柄の一例を以下に例示するが、同様の品種は王子ホールディングス、北越コーポレーション、三菱製紙、その他の製紙業者などにも存在する。また、さらに世界中の各国に同様以上の紙のバリエーションが存在する。
塗工紙;b7ナチュラル、アルティマグロスWX、アルティマグロス70、MIグロスWX、MIグロス60、アルティマシルク、オーロラL、オーロラLWX、ユーライト、シルバーダイヤS、アルティマックス、ユーライトL、オーロラLWXマット、b7クリーム、b7バルキー、オーロラグリーン70(PEFC)、ユーライトグリーン70(PEFC)、アルティマックスZORO、アルティマグロス80(煌)、オーロラコート、b7トラネクスト、b7ライト
微塗工紙;ペガサスバルキーショール、ペガサスバルキー8、ペガサスWXラフ、ペガサスWXマット、ペガサスダル、ペガサスWXダル、オーロラS、ペガサスWX、リサイクルSマットG80、オーロラSシェイド、オーロラSダル、コスモエアライト、キャストコート紙、エスプリC、エスプリCバルキーW、エスプリFP、エスプリFM、エスプリAP、エスプリV、エスプリVW、エスプリK
上質紙;npi上質グリーン70(PEFC)、npi上質、npi上質バルキー、しらおい
書籍用紙;オペラクリーム、オペラクリームHO、オペラクリームウルトラ、オペラクリームマックス、オペラホワイトウルトラ、オペラホワイトマックス、アルトクリーム、アルトクリームマックス、オペラクリアマックス、ニューシフォンクリーム、淡クリーム琥珀N、ラフクリーム琥珀N、ホワイトコハクライト、ホワイトシフォンコミック、オーク書籍シリーズ、オーク・テキスト、オーク書籍クリーム、オークエアグレース
超薄口印刷用紙;〈オークGCブライト〉グロスタイプ・オフセット4色、〈オークMCブライト〉マットタイプ・オフセット4色、〈約款用紙〉オフセット1〜2色
超軽量多色印刷用紙;オークGCブライト、オークMCブライト
軽量印刷用紙;オーク・ユニ、オーク手帳
高級書籍用紙;オーク バルキーオペーク、オーク モア バルキー、インディアペーパー、インディアペーパー
中下級紙;フロンティタフW、フロンティタフ80、フロンティタフ70、釧路プラチナバルキー、ジャストランド、ハイランド、フロンティタフ75、npiグリーンFL70
新聞用紙;新聞用紙、高白新聞
容器類;65CC紙カップ、角丸紙カップ、耐熱紙トレー、NP-PAK、NP-PAK+R段ボール原紙
クラフト紙;両更クラフトK、KKクラフト、Gオリンパス/GオリンパスF、ラッパG1、晒クラフト紙(S)、キャピタルラップ、銀竹、筋入クラフト紙、筋入、筋入クラフトR、純白ロール紙、白銀、錦、(N)シルビア、NコートラップL、A銀嶺N、薄口白色グラシン、厚口白色グラシン、特厚白色グラシン
PPC用紙;ピンクリボンPPC、リボンスタンダード、OAマルチ(2穴品)、リボンフレンドリー、PPC用紙 N70、FCP-UPII、青箱カラー
(被印刷媒体の変色)
電子線照射により分解されやすい紙成分として蛍光増白剤が挙げられる。これは染料であることが多く、紫外光を受けて440nm付近の可視光で発光する。白さが不足する原紙に蛍光増白剤を添加することで、より白さを目立たせる目的で多くの紙種に使用されている。電子線照射による変色がもっぱら蛍光増白剤の分解に起因するとは言えないが、変色の程度は、インクの吸収線量(kGy)と加速電圧(kV)に影響され、前記した吸収線量及び加速電圧の範囲内とすることで、変色を抑制することができる。また、被印刷媒体の変色は、照射領域の酸素濃度が3体積%以下の場合、酸素濃度の影響は受けない点で好ましい。
以下の表に電子線照射条件の影響をまとめた。
Figure 2021187090
<インク>
(インク硬化)
インク硬化は、電子線の吸収線量(kGy)と酸素濃度(体積%)に依存し、加速電圧50〜150kVの範囲内では硬化性に加速電圧依存は無い。しかし一般に、被印刷媒体の変色と、インク硬化に好ましい電子線照射条件は一致しない。
(インクの成分)
本発明に用いられるインクは、電子線により重合反応する成分を必須成分として添加されているインクであることが好ましく、以下の成分を自由に組み合わせたインクを用いることができる。
ここで、電子線により重合反応する成分とは、分子内に不飽和二重結合をもつ炭化水素分子をいい、例えば下記に示す反応成分が挙げられる。また、本発明に用いられるインクにはゲル成分(以下、「ゲル化剤」ともいう。)が添加されていることが硬化反応前の画像流れを防止する観点で好ましい。
着色成分:顔料、染料、顔料分散剤、安定化剤
反応成分:1官能モノマー、2官能モノマー、3官能モノマー、4官能モノマー、各種オリゴマー、重合開始剤、重合禁止剤
添加物:酸化防止剤、紫外線吸収剤、蛍光増白剤、ゲル化剤、溶解樹脂、固形樹脂、水、オイル、ワニス、析出性樹脂、結晶増核剤
本発明で用いられるインクの成分として、以下に示すものを例示するが、本発明に用いられるインクはこれに限られるものではない。
1−1.重合性化合物
重合性化合物は、電子線の照射によって重合又は架橋反応を生じて重合又は架橋し、インクを硬化させる作用を有する化合物であればよい。重合性化合物の例には、ラジカル重合性化合物が含まれる。
重合性化合物は、モノマー、重合性オリゴマー、プレポリマー又はこれらの混合物のいずれであってもよい。また、重合性化合物は、1種のみからなるものでも、2種類以上を含むものでもよい。
重合性化合物の含有量は、例えば、インクの全質量に対して1〜100質量%の範囲内とすることができる。
ラジカル重合性化合物は、不飽和カルボン酸エステル化合物であることが好ましく、(メタ)アクリレートであることがより好ましい。ラジカル重合性化合物は、インク中に、1種のみが含まれていてもよく、2種類以上が含まれていてもよい。
なお、本発明において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート又はメタアクリレートを意味し、「(メタ)アクリロイル基」は、アクリロイル基又はメタアクリロイル基を意味し、「(メタ)アクリル」は、アクリル又はメタクリルを意味する。
(メタ)アクリレートの例には、イソアミル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソミルスチル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル−ジグリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチル−フタル酸、及びt−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレートなどを含む単官能の(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのPO付加物ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、及びトリシクロデカンジメタノールジアクリレートなどを含む2官能のアクリレート、ならびに、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、グリセリンプロポキシトリ(メタ)アクリレート、及びペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレートなどを含む三官能以上のアクリレートなどが含まれる。
(メタ)アクリレートは、変性物であってもよい。変性物である(メタ)アクリレートの例には、トリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラアクリレートなどを含むエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、トリプロピレンエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラアクリレートなどを含むエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどを含むカプロラクトン変性(メタ)アクリレート、ならびにカプロラクタム変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどを含むカプロラクタム変性(メタ)アクリレートなどが含まれる。
(メタ)アクリレートは、重合性オリゴマーであってもよい。重合性オリゴマーである(メタ)アクリレートの例には、エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー、脂肪族ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、芳香族ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマー、及び直鎖(メタ)アクリルオリゴマーなどが含まれる。
重合性化合物には、単官能化合物、二官能化合物又は三官能以上の多官能化合物のうち少なくともいずれかが含まれていることが好ましい。
インクによって形成される画像の柔軟性と耐擦性とのバランスを保つためには、重合性化合物の全質量に対する三官能以上の多官能化合物の量は、5質量%超40質量%以下であることが好ましく、20質量%以上40質量%以下であることがより好ましい。三官能以上の多官能化合物の量は5質量%を超えることによって、画像形成物の耐擦性が向上し、40質量%以下であることによって、インクの吐出安定性が保たれる。
1−2.ゲル化剤
本発明に用いられるインクは、ゲル化剤をさらに含有することが好ましい。ゲル化剤は、常温ではインクをゲル化させるが、加熱するとインクをゾル化させる有機物である。ゾル化したインクの吐出性及び被印刷媒体に着弾したインクのゲル化によるピニング性を制御しやすくする観点から、ゲル化剤の融点は、30℃以上150℃未満であることが好ましい。
好適なゲル化剤の例には、ケトンワックス、エステルワックス、石油系ワックス、植物系ワックス、動物系ワックス、鉱物系ワックス、硬化ヒマシ油、変性ワックス、高級脂肪酸、脂肪族アルコール、ヒドロキシステアリン酸、N−置換脂肪酸アミド及び特殊脂肪酸アミドを含む脂肪酸アミド、高級アミン、ショ糖脂肪酸のエステル、合成ワックス、ジベンジリデンソルビトール、ダイマー酸ならびにダイマージオールが含まれる。
上記ケトンワックスの例には、ジリグノセリルケトン、ジベヘニルケトン、ジステアリルケトン、ジエイコシルケトン、ジパルミチルケトン、ジラウリルケトン、ジミリスチルケトン、ミリスチルパルミチルケトン及びパルミチルステアリルケトンが含まれる。
上記エステルワックスの例には、ベヘニン酸ベヘニル、イコサン酸イコシル、ステアリン酸ステアリル、ステアリン酸パルミチル、パルミチン酸セチル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸セチル、セロチン酸ミリシル、ステアリン酸ステアリル、パルミチン酸オレイル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、エチレングリコール脂肪酸エステル及びポリオキシエチレン脂肪酸エステルが含まれる。
上記エステルワックスの市販品の例には、日本エマルジョン社製、EMALEXシリーズ(「EMALEX」は同社の登録商標)、及び理研ビタミン社製、リケマールシリーズ及びポエムシリーズ(「リケマール」及び「ポエム」はいずれも同社の登録商標)が含まれる。
上記石油系ワックスの例には、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス及びペトロラクタムを含む石油系ワックスが含まれる。
上記植物系ワックスの例には、キャンデリラワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、木ロウ、ホホバ油、ホホバ固体ロウ及びホホバエステルが含まれる。
上記動物系ワックスの例には、ミツロウ、ラノリン及び鯨ロウが含まれる。
上記鉱物系ワックスの例には、モンタンワックス及び水素化ワックスが含まれる。
上記変性ワックスの例には、モンタンワックス誘導体、パラフィンワックス誘導体、マイクロクリスタリンワックス誘導体、12−ヒドロキシステアリン酸誘導体及びポリエチレンワックス誘導体が含まれる。
上記高級脂肪酸の例には、ベヘン酸、アラキジン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸,ラウリン酸、オレイン酸、及びエルカ酸が含まれる。
上記脂肪族アルコールの例には、ステアリルアルコール及びベヘニルアルコールが含まれる。
上記ヒドロキシステアリン酸の例には、12−ヒドロキシステアリン酸が含まれる。
上記脂肪酸アミドの例には、ラウリン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド及び12−ヒドロキシステアリン酸アミドが含まれる。
上記脂肪酸アミドの市販品の例には、日本化成社製、ニッカアマイドシリーズ(「ニッカアマイド」は同社の登録商標)、伊藤製油社製、ITOWAXシリーズ、及び花王株式会社製、FATTYAMIDシリーズが含まれる。
上記N−置換脂肪酸アミドの例には、N−ステアリルステアリン酸アミド及びN−オレイルパルミチン酸アミドが含まれる。
上記特殊脂肪酸アミドの例には、N,N′−エチレンビスステアリルアミド、N,N′−エチレンビス−12−ヒドロキシステアリルアミド及びN,N′−キシリレンビスステアリルアミドが含まれる。
上記高級アミンの例には、ドデシルアミン、テトラデシルアミン及びオクタデシルアミンが含まれる。
上記ショ糖脂肪酸のエステルの例には、ショ糖ステアリン酸及びショ糖パルミチン酸
が含まれる。
上記ショ糖脂肪酸のエステルの市販品の例には、三菱化学フーズ社製、リョートーシュガーエステルシリーズ(「リョートー」は同社の登録商標)が含まれる。
上記合成ワックスの例には、ポリエチレンワックス及びα−オレフィン無水マレイン酸共重合体ワックスが含まれる。
上記合成ワックスの市販品の例には、Baker−Petrolite社製、UNILINシリーズ(「UNILIN」は同社の登録商標)が含まれる。
上記ジベンジリデンソルビトールの例には、1,3:2,4−ビス−O−ベンジリデン−D−グルシトールが含まれる。
上記ジベンジリデンソルビトールの市販品の例には、新日本理化株式会社製、ゲルオールD(「ゲルオール」は同社の登録商標)が含まれる。
上記ダイマージオールの市販品の例には、CRODA社製、PRIPORシリーズ(「PRIPOR」は同社の登録商標)が含まれる。
これらのゲル化剤のうち、12個以上の炭素原子を含む直鎖アルキル基を有する脂肪族エステル又は脂肪族ケトンであることが好ましい。
上記12個以上25個以下の炭素原子を含む直鎖アルキル基を有する脂肪族エステルの例には、ベヘニン酸ベヘニル(炭素数:21−22)、イコサン酸イコシル(炭素数:19−20)、ステアリン酸ベヘニル(炭素数:17−21)、ステアリン酸ステアリル(炭素数:17−18)、ステアリン酸パルミチル(炭素数:17−16)、ステアリン酸ラウリル(炭素数:17−12)、パルミチン酸セチル(炭素数:15−16)、パルミチン酸ステアリル(炭素数:15−18)、ミリスチン酸ミリスチル(炭素数:13−14)、ミリスチン酸セチル(炭素数:13−16)、ミリスチン酸オクチルドデシル(炭素数:13−20)、オレイン酸ステアリル(炭素数:17−18)、エルカ酸ステアリル(炭素数:21−18)、リノール酸ステアリル(炭素数:17−18)、オレイン酸ベヘニル(炭素数:18−22)及びリノール酸アラキジル(炭素数:17−20)が含まれる。なお、上記括弧内の炭素数は、エステル基で分断される2つの炭化水素基それぞれの炭素数を表す。
上記12個以上25個以下の炭素原子を含む直鎖アルキル基を有する脂肪族エステルの市販品の例には、日油株式会社製、ユニスターM−2222SL及びスパームアセチ(「ユニスター」は同社の登録商標)、花王株式会社製、エキセパールSS及びエキセパールMY−M(「エキセパール」は同社の登録商標)、日本エマルジョン株式会社製、EMALEX CC−18及びEMALEX CC−10(「EMALEX」は同社の登録商標)ならびに高級アルコール工業株式会社製、アムレプスPC(「アムレプス」は同社の登録商標)が含まれる。これらの市販品は、二種類以上の混合物であることが多いため、必要に応じて分離・精製して電子線硬化型インクに含有させてもよい。
上記12個以上25個以下の炭素原子を含む直鎖アルキル基を有する脂肪族ケトンの例には、ジリグノセリルケトン(炭素数:23−23)、ジベヘニルケトン(炭素数:21−21)、ジステアリルケトン(炭素数:17−17)、ジエイコシルケトン(炭素数:19−19)、ジパルミチルケトン(炭素数:15−15)、ジミリスチルケトン(炭素数:13−13)、ラウリルミリスチルケトン(炭素数:11−14)、ラウリルパルミチルケトン(11−16)、ミリスチルパルミチルケトン(13−16)、ミリスチルステアリルケトン(13−18)、ミリスチルベヘニルケトン(13−22)、パルミチルステアリルケトン(15−18)、バルミチルベヘニルケトン(15−22)及びステアリルベヘニルケトン(17−22)が含まれる。なお、上記括弧内の炭素数は、カルボニル基で分断される2つの炭化水素基それぞれの炭素数を表す。
上記12個以上25個以下の炭素原子を含む直鎖アルキル基を有する脂肪族ケトンの市販品の例には、Alfa Aeser社製、18−Pentatriacontanon及びHentriacontan−16−on、ならびに花王株式会社製、カオーワックスT1が含まれる。これらの市販品は、二種類以上の混合物であることが多いため、必要に応じて分離・精製して電子線硬化型インクに含有させてもよい。
1−3.その他の成分
本発明に用いられるインクは、上述した成分以外にも、画像の柔軟性や耐擦性を顕著に低下させない限りにおいて、重合開始剤、色材、分散剤、光増感剤、重合禁止剤及び界面活性剤などを含むその他の成分をさらに含んでいてもよい。これらの成分は、電子線硬化型インク中に、1種のみが含まれていてもよく、2種類以上が含まれていてもよい。
なお、電子線はエネルギー量が高いため、紫外線を照射する場合とは異なり、インクが光重合開始剤を実質的に含有しなくとも、重合及び架橋を開始させることができる。インクが光重合開始剤を実質的に含有しないことで、未反応又は反応後の光重合開始剤の残渣のマイグレーションを抑制することできる。よってマイグレーションを抑制する観点か
ら、インクは光重合開始剤を実質的に含有しないことが好ましい。なお、「実質的に含有しない」とは、インクの全質量に対する含有量が0.1質量%未満である。
色材には、染料及び顔料が含まれる。
耐候性の良好な画像を得る観点からは、色材は顔料であることが好ましい。顔料は、形成すべき画像の色彩などに応じて、例えば、黄(イエロー)顔料、赤又はマゼンタ顔料、青又はシアン顔料及び黒顔料から選択することができる。
黄顔料の例には、C.I.Pigment Yellow(以下、単に「PY」ともいう。) 1、PY3、PY12、PY13、PY14、PY17、PY34、PY35、PY37、PY55、PY74、PY81、PY83、PY93、PY94,PY95、PY97、PY108、PY109、PY110、PY137、PY138、PY139、PY153、PY154、PY155、PY157、PY166、PY167、PY168、PY180、PY185、及びPY193などが含まれる。
赤又はマゼンタ顔料の例には、C.I.Pigment Red(以下、単に「PR」ともいう。) 3、PR5、PR19、PR22、PR31、PR38、PR43、PR48:1、PR48:2、PR48:3、PR48:4、PR48:5、PR49:1、PR53:1、PR57:1、PR57:2、PR58:4、PR63:1、PR81、PR81:1、PR81:2、PR81:3、PR81:4、PR88、PR104、PR108、PR112、PR122、PR123、PR144、PR146、PR149、PR166、PR168、PR169、PR170、PR177、PR178、PR179、PR184、PR185、PR208、PR216、PR226、及びPR257、C.I.Pigment Violet(以下、単に「PV」ともいう。) 3、PV19、PV23、PV29、PV30、PV37、PV50、及びPV88、及び、C.I.Pigment Orange(以下、単に「PO」ともいう。) 13、PO16、PO20、及びPO36などが含まれる。
青又はシアン顔料の例には、C.I.Pigment Blue(以下、単に「PB」ともいう。) 1、PB15、PB15:1、PB15:2、PB15:3、PB15:4、PB15:6、PB16、PB17−1、PB22、PB27、PB28、PB29、PB36、及びPB60などが含まれる。
緑顔料の例には、C.I.Pigment Green(以下、単に「PG」ともいう。) 7、PG26、PG36、及びPG50などが含まれる。
黒顔料の例には、C.I.Pigment Black(以下、単に「PBk」ともいう。) 7、PBk26、及びPBk28などが含まれる。
色材の含有量は特に限定されず、例えば、インクの全質量に対して1〜10質量%の範囲内とすることができる。
なお、本実施形態で用いる電子線はエネルギー量が紫外線よりも高いため、色材の含有量が紫外線硬化型インクよりも多い場合でも、液滴の内部まで十分に硬化させることができる。例えば、インクが黒顔料を含有し、黒顔料の含有量がインクの全質量に対して3〜10質量%の範囲内であるような場合、紫外線の照射ではインクの液滴を十分に硬化させることはできない。しかし、電子線を照射すれば、このような量の黒顔料を含有するインクの液滴も十分に硬化させることができる。
分散剤の例には、水酸基含有カルボン酸エステル、長鎖ポリアミノアマイドと高分子量酸エステルの塩、高分子量ポリカルボン酸の塩、長鎖ポリアミノアマイドと極性酸エステルの塩、高分子量不飽和酸エステル、高分子共重合物、変性ポリウレタン、変性ポリアクリレート、ポリエーテルエステル型アニオン系活性剤、ナフタレンスルホン酸ホルマリン
縮合物塩、芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物塩、ポリオキシエチレンアルキル燐酸エステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、及びステアリルアミンアセテートが含まれる。
分散剤の含有量は、例えば、顔料の全質量に対して20〜70質量%の範囲内とすることができる。
重合禁止剤の例には、(アルキル)フェノール、ハイドロキノン、カテコール、レゾルシン、p−メトキシフェノール、t−ブチルカテコール、t−ブチルハイドロキノン、ピロガロール、1,1−ピクリルヒドラジル、フェノチアジン、p−ベンゾキノン、ニトロソベンゼン、2,5−ジ−t−ブチル−p−ベンゾキノン、ジチオベンゾイルジスルフィド、ピクリン酸、クペロン、アルミニウムN−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン、トリ−p−ニトロフェニルメチル、N−(3−オキシアニリノ−1,3−ジメチルブチリデン)アニリンオキシド、ジブチルクレゾール、シクロヘキサノンオキシムクレゾール、グアヤコール、o−イソプロピルフェノール、ブチラルドキシム、メチルエチルケトキシム及びシクロヘキサノンオキシムが含まれる。
界面活性剤の例には、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類及び脂肪酸塩類等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類及びポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩類及び第四級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤、ならびにシリコーン系やフッ素系の界面活性剤が含まれる。
シリコーン系の界面活性剤の市販品の例には、KF−351A、KF−352A、KF−642及びX−22−4272、信越化学工業製、BYK307、BYK345、BYK347及びBYK348、ビッグケミー製(「BYK」は同社の登録商標)、ならびにTSF4452、東芝シリコーン社製が含まれる。
界面活性剤の含有量は、インクの全質量に対して、0.001質量%以上1.0質量%未満であることが好ましい。
<有版印刷方法>
本発明の印刷方法は、前記被印刷媒体上に、有版印刷方法によりインク画像を転写した後、当該インク画像のインクに前記電子線を照射することが、工業的量産性に優れる点で好ましい。
有版印刷方法は、版を介して被印刷媒体上に製膜する方法であり、具体的にはフレキソ印刷法、オフセット印刷法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法等が挙げられる。
フレキソ印刷法では、インク塗布液がアニロックスロールに供給され、アニロックスロール上の塗布液の一部が版胴の版面上へ移行され、版胴の版面から基体へ転写される。アニロックスロールの表面の全面には微細な凹部(セル)が形成されており、該凹部内に保持された塗布液が所定のタイミングで版胴へ移行される。
オフセット印刷法では、インク塗布液が版胴の版面上に供給され、版胴の版面からブランケットに転写された後、ブランケットから基体へ転写される。
グラビア印刷法では、塗布液が版胴の版面上に供給され、版胴の版面から基体へ転写される。
スクリーン印刷法では、塗布液がメッシュ状のスクリーンからなる版面上に供給され、圧力を付与することによって、スクリーンを通過した塗布液が基体上に塗布される。
<インクジェット法>
本発明の印刷法は、前記被印刷媒体上に、インクジェット法によりインク画像を形成した後、当該インク画像のインクに前記電子線を照射することが高画質・高解像度の点で好ましい。
前記インクジェット法は、インクジェットヘッドのノズルからインクの液滴を吐出し、被印刷媒体に着弾させる。また、インクは、被印刷媒体への付量が1〜10g/mの範囲内となる量が吐出されることが好ましい。
インクジェットヘッドは、オンデマンド方式及びコンティニュアス方式のいずれのインクジェットヘッドでもよい。オンデマンド方式のインクジェットヘッドの例には、シングルキャビティー型、ダブルキャビティー型、ベンダー型、ピストン型、シェアーモード型およびシェアードウォール型を含む電気−機械変換方式、ならびにサーマルインクジェット型およびバブルジェット(バブルジェットはキヤノン社の登録商標)型を含む電気−熱変換方式等が含まれる。
また、インクジェットヘッドは、スキャン式及びライン式のいずれのインクジェットヘッドでもよい。
インクがゲル化剤を含むゲルインクの場合、ゲル化温度より高い温度に加熱されて吐出することが好ましい。このとき、インクタンク、インクジェットヘッド、及びインクタンクとインクジェットヘッドとを繋ぐインク流路などを加熱して、電子線硬化型インクをインクタンクからインクジェットヘッドまで流動させ、インクジェットヘッドのノズルから吐出させることができる。
インクがゲルインクの場合、被印刷媒体は、インクがゲル化温度以下に冷却され得る温度である限りにおいて、加温されていてもよい。
[印刷機]
本発明の印刷機は、被印刷媒体上のインク画像のインクを電子線により硬化する印刷方法による印刷機であって、前記した本発明の印刷方法を用いることを特徴とする。これにより、電子線によるインク硬化印刷において、被印刷媒体の電子線による変色を抑制することができ、インク硬化も良好となる。
本発明の印刷機は、被印刷媒体上のインク画像のインクを電子線により硬化し、前記した本発明の印刷方法を用いていれば特に限定されるものではない。例えば、被印刷媒体上にインクジェット法を用いてインクを着弾させて、電子線を照射する場合には、従来の活性光線硬化型インクジェット方式のインクジェット記録装置を印刷機として用いることができる。
また、被印刷媒体上に有版印刷方法を用いてインク画像を転写させて、電子線を照射する場合には、用いる有版印刷方法に対応した装置を印刷機として用いればよい。
前記インクジェット記録装置には、ライン記録方式(シングルパス記録方式)のものと、シリアル記録方式のものとがある。求められる画像の解像度や記録速度に応じて選択されればよいが、高速記録の観点では、ライン記録方式(シングルパス記録方式)が好ましい。
図1及び図2は、ライン記録方式のインクジェット記録装置の要部の構成の一例を示す図である。このうち、図1は側面図であり、図2は上面図である。
図1及び図2に示されるように、インクジェット記録装置10は、複数のインク吐出用記録ヘッド14を収容するヘッドキャリッジ16と、被印刷媒体12の全幅を覆い、かつヘッドキャリッジ16の(被印刷媒体の搬送方向)下流側に配置された活性光線照射部18と、被印刷媒体12の下面に配置された温度制御部19と、を有する。
ヘッドキャリッジ16は、被印刷媒体12の全幅を覆うように固定配置されており、各色ごとに設けられた複数のインク吐出用記録ヘッド14を収容する。吐出用記録ヘッド14にはインクが供給されるようになっている。例えば、インクジェット記録装置10に着脱自在に装着された不図示のインクカートリッジ等から、直接又は不図示のインク供給手段によりインクが供給されるようになっていてもよい。
吐出用記録ヘッド14は、各色ごとに、被印刷媒体12の搬送方向に複数配置される。被印刷媒体12の搬送方向に配置される吐出用記録ヘッド14の数は、吐出用記録ヘッド14のノズル密度と、印刷画像の解像度によって設定される。dpiとは、2.54cm当たりのインク滴(ドット)の数を表す。
活性光線照射部18は、被印刷媒体12の全幅を覆い、かつ被印刷媒体12の搬送方向についてヘッドキャリッジ16の下流側に配置されている。活性光線照射部18は、インク吐出用記録ヘッド14により吐出されて、被印刷媒体に着弾した液滴に活性光線を照射し、液滴を硬化させる。
活性光線照射部18(電子線照射手段)の例には、スキャニング方式、カーテンビーム方式、ブロードビーム方式等の電子線照射手段が含まれるが、処理能力の観点から、カーテンビーム方式の電子線照射手段が好ましい。電子線照射手段の例には、浜松ホトニクス(株)製の低エネルギー電子線照射源「L12978」が挙げられる。
温度制御部19は、被印刷媒体12の下面に配置されており、被印刷媒体12を所定の温度に維持する。温度制御部19は、例えば各種ヒーター等でありうる。
図3は、シリアル記録方式のインクジェット記録装置20の要部の構成の一例を示す上面図である。
図3に示されるように、インクジェット記録装置20は、被印刷媒体の全幅を覆うように固定配置されたヘッドキャリッジ16の代わりに、被印刷媒体の全幅よりも狭い幅であり、かつ複数のインク吐出用記録ヘッド24を収容するヘッドキャリッジ26と、ヘッドキャリッジ26を被印刷媒体12の幅方向に可動させるためのガイド部27と、を有する以外は図1及び図2と同様に構成されうる。
シリアル記録方式のインクジェット記録装置20では、ヘッドキャリッジ26がガイド部27に沿って被印刷媒体12の幅方向に移動しながら、ヘッドキャリッジ26に収容された吐出用記録ヘッド24からインクを吐出する。ヘッドキャリッジ26が被印刷媒体12の幅方向に移動しきった後(パス毎に)、被印刷媒体12を搬送方向に送る。これらの操作以外は、前述のライン記録方式のインクジェット記録装置10とほぼ同様にして画像を記録する。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、下記実施例において、特記しない限り、操作は室温(25℃)で行われた。また、特記しない限り、「%」及び「部」は、それぞれ、「質量%」及び「質量部」を意味する。
<被印刷媒体>
市販の代表的な印刷用紙として下記表IIに示すものを用いた。
<インク>
実施例で使用するインクとして、以下の組成にしたがって以下の各成分を混合して、80℃に加熱して撹拌した。得られた溶液を加熱しながら、ADVANTEC社製テフロン(登録商標)3μmメンブランフィルターで濾過して、インクを調製した。
(インクの組成)
二官能化合物1 :EO変性ネオペンチルグリオールジアクリレート
32質量部
二官能化合物2 :ポリエチレングリコール#600ジアクリレート
44質量部
三官能以上化合物1:3PO変性トリメチロールプロパントリアクリレート
5質量部
三官能以上化合物2:3EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート
5質量部
ゲル化剤 :ジステアリルケトン(花王社製、カオーワックスT1)
2質量部
調製したインクは被印刷媒体に5μmの膜厚になるよう、バーコーターにて塗布した。その後、インクを塗布した被印刷媒体を電子線照射装置内にセットし、チャンバー内を、それぞれ下記表IIに示す、電子線の照射領域の酸素濃度に置換した後、電子線照射部下を走行通過させることにより、被印刷媒体上のインク画像のインクへの電子線照射を行った。
なお、電子線照射の加速電圧及びインクの吸収線量は下記表IIに示すとおりにそれぞれ設定した。
電子線の照射は、加速電圧により照射する装置を使い分け、加速電圧80kV以上はEBeam Technologies社製のEBLab200にて電子線を照射し、加速電圧50〜70kVは浜松ホトニクス株式会社製の電子線照射装置L12978を組み込んだ装置にて電子線を照射した。
また、インクの電子線の吸収線量は、富士フイルム株式会社製の三酢酸セルロースフィルム線量計FTR−125にて各装置の電子線照射強度を測定し、校正した。
また、前記電子線の照射領域の酸素濃度とは、チャンバー内にガスを供給する供給口とチャンバー内から排気する排気口とで、それぞれ酸素濃度を測定し、当該供給口及び排気口における酸素濃度が同じ値となっときの、そのチャンバー内の酸素濃度をいう。前記照射領域の酸素濃度は、供給するガス中の酸素濃度を適宜調整することで制御した。
<分光反射率の測定>
コニカミノルタ株式会社製の蛍光分光濃度計(FD−7)を用い、視野角2度、CIE標準光源をシミュレートしたD65色温度6504Kの条件で測定し、各被印刷媒体の波長440nmにおける分光反射率Aと、波長580nmにおける分光反射率Bの比率(A/B)を算出した。その結果を下記表IIに示した。
[評価]
<被印刷媒体の変色>
電子線照射後の被印刷媒体について、目視により変色レベルの判定を行った。なお、下記基準の「優」、「良」、「可」を実用上問題ないとした。
(基準)
優:電子線照射部と非照射部を隣り合わせに並べた比較において、熟練作業者(熟練印刷工)でも照射部と非照射部の差を目視判別できない
良:電子線照射部と非照射部を隣り合わせに並べた比較において、熟練作業者にはわずかに変色を判別できるが、一般には変色を判別できない
可:電子線照射部と非照射部を隣り合わせに並べた比較において、一般にもわずかな変色を判別できるが、照射部と非照射部を離間比較した場合、一般には変色を判別できない
不可:照射部と非照射部を離間で比較した場合、一般にも変色を判別できる
<インク硬化>
電子線照射後の被印刷媒体のインクの硬化について、下記基準にしたがい評価した。なお、下記基準の「優」、「良」、「可」を実用上問題ないとした。
(基準)
優:完全に硬化し、分析装置、液体クロマトグラフィーにても未反応成分を検出できない
良:見かけは完全硬化であるが、分析装置では未反応成分をわずかに検出できる
可:見かけは完全硬化であるが、分析装置では未反応成分を多量に検出される
不可:インク表面が濡れたままであり、手で強く擦ればインクが手に付着するレベル
Figure 2021187090
前記結果に示されるように、本発明の印刷方法は、比較例の印刷方法に比べて、被印刷媒体の変色を抑制でき、また、インク硬化についても良好であることが認められる。
10、20 インクジェット記録装置
12 被印刷媒体
14、24 インク吐出用記録ヘッド
16、26 ヘッドキャリッジ
18、28 活性光線照射部
19 温度制御部
27 ガイド部

Claims (12)

  1. 被印刷媒体上のインク画像のインクを電子線により硬化する印刷方法であって、
    前記被印刷媒体の波長440nmにおける分光反射率Aと、波長580nmにおける分光反射率Bの比率(A/B)が、1.05以下であり、
    前記電子線の加速電圧が、70kV以下であり、かつ、
    前記インクの吸収線量が、130kGy以下であることを特徴とする印刷方法。
  2. 前記電子線の加速電圧が、50〜70kVの範囲内であり、かつ、前記インクの吸収線量が、30〜100kGyの範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の印刷方法。
  3. 前記電子線の加速電圧が、50〜63kVの範囲内であり、かつ、前記インクの吸収線量が、30〜80kGyの範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の印刷方法。
  4. 前記電子線の照射領域の酸素濃度が、3.0体積%以下であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の印刷方法。
  5. 前記電子線の照射領域の酸素濃度が、0.8体積%以下であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の印刷方法。
  6. 前記被印刷媒体上に、有版印刷方法によりインク画像を転写することを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の印刷方法。
  7. 前記被印刷媒体上に、インクジェット法によりインク画像を形成することを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の印刷方法。
  8. 前記被印刷媒体が、紙からなることを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載の印刷方法。
  9. 前記被印刷媒体が、樹脂からなることを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載の印刷方法。
  10. 前記電子線により重合反応する成分を必須成分として添加されている前記インクを用いることを特徴とする請求項1から請求項9までのいずれか一項に記載の印刷方法。
  11. ゲル成分が添加されている前記インクを用いることを特徴とする請求項1から請求項10までのいずれか一項に記載の印刷方法。
  12. 被印刷媒体上のインク画像のインクを電子線により硬化する印刷方法による印刷機であって、
    請求項1から請求項11までのいずれか一項に記載の印刷方法を用いることを特徴とする印刷機。
JP2020095838A 2020-06-02 2020-06-02 印刷方法及び印刷機 Pending JP2021187090A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020095838A JP2021187090A (ja) 2020-06-02 2020-06-02 印刷方法及び印刷機

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020095838A JP2021187090A (ja) 2020-06-02 2020-06-02 印刷方法及び印刷機

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2021187090A true JP2021187090A (ja) 2021-12-13

Family

ID=78850735

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020095838A Pending JP2021187090A (ja) 2020-06-02 2020-06-02 印刷方法及び印刷機

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2021187090A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US9744779B2 (en) Active-light-ray-curable inkjet white ink and image forming method
WO2016098678A1 (ja) 活性光線硬化型インクジェットインク、インクジェット画像形成方法およびインクジェットインクを用いて画像が形成された記録媒体
EP3569667B1 (en) Inkjet ink composition and image formation method
JP6414200B2 (ja) 活性光線硬化型インクジェットマゼンタインクおよびインクジェット記録方法
EP3257907B1 (en) Inkjet ink and image-forming method
EP3705540A1 (en) Active ray-curable ink for ink jet and image forming method
EP3434741A1 (en) Inkjet ink and image forming method
EP3130475A1 (en) Inkjet recording method and inkjet recording apparatus
JP2015052082A (ja) 活性光線硬化型インクジェットインク
EP3524439B1 (en) Image forming method and image forming system
JP6992747B2 (ja) インクセットおよびインクジェット記録方法
JP2021187090A (ja) 印刷方法及び印刷機
EP3326828B1 (en) Inkjet recording method using colored ink
US10589557B2 (en) Image forming method and image forming apparatus
JP7052329B2 (ja) 電子線硬化型インクジェットインクおよび画像形成方法
WO2017010462A1 (ja) 活性光線硬化型インクジェットインク、硬化膜の製造方法およびインクジェット画像形成方法
JP2018184575A (ja) 活性光線硬化型インクジェットインクおよびその製造方法
JP2022103950A (ja) インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置
JP2022075171A (ja) 活性線硬化型インク、画像形成方法および印刷物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20230317

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20231228

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20240116