JP2021186849A - 押出型材の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】設備の小型簡素化およびコストの削減を図りつつ、真直度が高い押出型材を製造できる押出型材の製造方法を提供する。【解決手段】本発明は、線対称でない断面形状を有する金属製の押出型材Wが押出機1から押し出されつつ、その押出型材Wのヘッド部Whを把持したプラー2によって押出方向Dに沿って牽引されるようにした押出型材の製造方法を対象とする。プラー2によって押出型材Wに付与される張力が、熱収縮による押出型材Wの曲がり変形を許容する範囲内である0.33MPa以下に設定されている。【選択図】図1
Description
この発明は、例えばアルミニウム等の金属製の押出型材を製造する際に用いられる押出型材の製造方法に関する。
従来、押出機から押し出されたアルミニウム型材等の押出型材は、そのヘッド部がプラーによって把持されて、ランアウトテーブルまで牽引されて、プラーによる把持が解除される。その後、ランアウトテーブル上の押出型材は、クーリングテーブルに移載されて冷却された後、ストレッチングされて整直調整されるようになっている。
このような押出型材の製造方法においては、押出中の押出型材に対しプラーによって所定の張力を付与して、押出型材に曲がり変形(反り変形、捩れ変形等も含む)が生じないよう真直度を維持するようにしているが、押出型材のテール部が押出機から排出された後、ストレッチャーによってクランプされるまでの間は、押出型材に対し張力が付与されていないため、その間に、熱収縮による曲がり変形が生じる場合がある。特に異形の断面を有する押出型材では、断面方向の位置によって冷却速度や冷却時間が一定でなく、長さ方向の縮み量が断面方向の位置によってバラツキが生じるため、過大な曲がり変形等が生じることがある。そうすると、ストレッチャーによる整直調整が困難になり、場合によっては曲がり変形が十分に矯正されず、真直度が不十分な製品不良が発生することもあった。
このような状況下にあって、下記特許文献1、2に示すような押出型材の製造方法が提案されている。
特許文献1に示す押出型材の製造方法は、ランアウトテーブルとクーリングテーブルとの境界域にサブストレッチャーを設けて、押出型材をサブストレッチャーによってストレッチングした状態で、熱収縮を行って、押出型材の曲がり変形量を極力抑制するものである。
特許文献2に示す押出型材の製造方法は、プラーと協働して押出型材のヘッド部を保持するヘッドクランプと、押出型材のテール部を保持するテールクランプと、両クランプをストレッチャーに向けて走行させるための走行手段とを備え、プラーから離脱した直後の押出型材に対し、ヘッドクランプおよびテールクランプによって張力を付与しつつ、その押出型材をストレッチャーに引き渡すことができるようになっている。
特許文献1に示す押出型材の製造方法においては、クーリングテーブルからストレッチャーに押出型材が引っ張られずにフリーな状態で移送されるとともに、そのフリーな状態での移送時間も長く、上記従来の製造方法と同様に、曲がり変形を確実に防止できない場合があり、高い真直度を得ることが困難であるという課題があった。
一方、特許文献2に示す押出型材の製造方法においては、押出機からストレッチャーまでの間、押出型材に対し張力を継続して付与することができるため、曲がり変形を防止する効果に優れている。しかしながら、この製造方法においては、ヘッドクランプ、テールクランプ、さらにこれらのクランプを走行させるための走行手段等の多くの機構が別途必要となるため、製造設備の複雑化および大型化を来すとともに、コストの増大を招くという課題があった。
この発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、製造設備の小型簡素化およびコストの削減を図りつつ、真直度が高くて高品質の押出型材を製造することができる押出型材の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するためにまず、押出型材において曲がり変形が発生する際の挙動に関して詳細に検討した。それによると従来の押出型材の製造方法においては図4(a)に示すように、押出プレス機1から押し出された押出型材Wは、そのヘッド部Whがプラー2によって把持されて牽引されつつ、押出方向Dに沿って搬送されていく。ここで押出型材Wは押出直後から熱収縮を開始するが、プラー2によって強い張力が作用しているため、仮に押出型材Wが、左右非対称形状等の線対称でない形状の断面を有し、かつ一側部(同図の下側部)W1と他側部(同図の上側部)W2とで熱収縮の挙動にバラツキがあるような場合であっても、押出型材Wにおいては曲がり変形がほとんど生じることがなく、高い真直度が保持されている。続いて同図(b)に示すように、押出型材Wのテール部Wtが、押出機1から排出されて、イニシャルテーブル31を介してランアウトテーブル32までプラー2により牽引されてプラー2による把持が解除された際には、張力が作用していないため、押出型材Wに曲がり変形が発生する。例えば押出型材Wの一側部(下側部)W1が、他側部(上側部)W2に対し熱収縮が先に進行するような異形断面形状の押出型材Wの場合には、一側部W1が先に熱収縮するため、押出型材Wは、その中央部が他方側(同図の上側)に凸となるように端部が一方側(同図の下側)に反るように曲がり変形が発生する。その後同図(c)に示すように押出型材Wがランアウトテーブル32からクーリングテーブル4およびストレッチングテーブル5に移載されると、押出型材Wの一側部W1の熱収縮が停止して、他側部W2が熱収縮することにより、押出型材Wは、その中央部が一方側(同図の下側)に凸となるように端部が他方側(同図の上側)に反るように曲がり変形して、その変形状態に保持されたままとなる。
このように従来の押出型材Wは、一方側に曲がった後、他方側に大きく曲がるような現象が生じることが明らかになり、本発明者はさらに研究を行って、この現象のメカニズムを押出型材モデルを用いたシミュレーションによって解明することにした。図5に示すようにこのシミュレーションに用いられる押出型材WのモデルMとしては、押出型材Wの一側部W1に相当する一側板M1と、他側部W2に相当する他側板M2との両端部同士が連結ブロックM3によって連結固定されたものを想定した。このモデルMは、アルミニウム製のものを想定し、各部位にはアルミニウムの物性値を採用している。さらに両側板M1、M2に同時に熱量を付与した際に、一側板M1が先に熱収縮し、後から他側板M2が熱収縮するという条件を設定した。
このモデルMを上記図4(a)〜(c)に示す従来の押出型材の製造方法に準ずるようにシミュレーションを行った。それによると図4(a)に示すように、押出型材W(モデルM)にプラー2による強い張力が作用しながら、一側部W1が熱収縮しようとする状態(押出中の状態)では、図6(a−1)に示すようにモデルMは張力によって曲がりが阻止されるため、一側板M1の熱収縮に追従して、熱収縮が開始されていない他側板M2が縮み変形していく。このときモデルMにおける一側板M1には伸び方向に内部応力Fが発生し、他側板M2には縮み方向に内部応力Fが発生している。この他側板M2の応力Fによる縮み変形は熱収縮とは異なり、塑性変形であり、他側板M2の長さ自体が短くなる一方、一側板M1は伸び方向の応力Fに抗しつつ熱収縮していき、伸び方向の応力Fが作用する分、実際の熱収縮による縮み量より少なくなり、一側板M1の長さ自体が長くなる傾向にある。なおこのようにモデルMは内部に応力Fが発生しているものの、図6(a−2)に示すように張力の作用によって曲がりが抑制されている。
続いて図4(b)に示すように、押出型材W(モデルM)のテール部Wtが押出プレス機1から排出されてランアウトテーブル32上でプラー2による把持が解除された状態(初期冷却中の状態)では、押出型材Wに対する張力が解除されるため、図6(b−1)に示すように熱収縮が開始していない他側板M2の長さはほぼ一定のままで一側板M1のみが熱収縮することにより、曲がり変形が発生する。このとき記述した通り一側板M1は塑性変形により長くなっているとともに、他側板M2は塑性変形により短くなっているため、図6(b−2)に示すようにモデルMは一方側(下側)に曲がり変形(反り変形)するが、全体としての曲がり変形量は小さく抑制されている。
次に図4(c)に示すように、押出型材W(モデルM)がランアウトテーブル32からクーリングテーブル4およびストレッチングテーブル5に移載されて、一側部W1(一側板M1)の熱収縮が停止して、他側部W2(他側板M2)が熱収縮した状態(冷却後の状態)では、図6(c−1)に示すように塑性変形により長くなっている一側板M1に対し、塑性変形により短くなっている他側板M2が熱収縮することにより、塑性変形している分、縮み量が多くなり、図6(c−2)に示すようにモデルMは逆方向(上側)に大きく曲がり変形(反り変形)してしまう。こうして図4(c)に示すように押出型材Wが他方側(上側)に過大に曲がり変形した状態となる。
従来の製造方法ではこのようなメカニズムによって、ストレッチング前の押出型材Wに過大な曲がり変形が発生していた。そしてさらに、本発明者はこの曲がり変形を防止するために引き続き綿密な実験研究を繰り返し行って鋭意努力した結果、押し出される押出型材Wに対し、塑性変形の発生を抑制することによって、ストレッチング前における押出型材Wの過大な曲がり変形を有効に防止できるという知見を得て、本発明をなすに至った。
すなわち上記目的を達成するため、本発明は、以下の手段を備えるものである。
[1]線対称でない断面形状を有する金属製の押出型材が押出機から押し出されつつ、その押出型材のヘッド部を把持したプラーによって押出方向に沿って牽引されるようにした押出型材の製造方法であって、
前記プラーによって押出型材に付与される張力が、熱収縮による押出型材の曲がり変形を許容する範囲内である0.33MPa以下に設定されていることを特徴とする押出型材の製造方法。
前記プラーによって押出型材に付与される張力が、熱収縮による押出型材の曲がり変形を許容する範囲内である0.33MPa以下に設定されていることを特徴とする押出型材の製造方法。
[2]前記プラーによって牽引される押出型材の曲がり変形量が、5mm/m以上に調整されている前項1に記載の押出型材の製造方法。
[3]押出型材は、アルミニウム製である前項1または2に記載の押出型材の製造方法。
[4]前記第プラーによって牽引される押出型材は、断面方向の異なる位置において200℃以下の部位と、300℃以上の部位とが同時に混在するように調整されている前項1〜3のいずれか1項に記載の押出型材の製造方法。
[5]押出型材は、中空形状ないし半中空形状に形成されている前項1〜4のいずれか1項に記載の押出型材の製造方法。
[6]押出型材は中仕切り壁が形成されている前項5に記載の押出型材の製造方法。
[7]押出型材は、その断面における外接円の半径が250mm以上に設定されている前項1〜6のいずれか1項に記載の押出型材の製造方法。
[8]押出型材は、質量が20kg/m以下に設定されている前項1〜7のいずれか1項に記載の押出型材の製造方法。
発明[1]の押出型材の製造方法によれば、プラーによる押出型材に対する張力を低く設定しているため、押出中の押出型材においてプラーの張力に起因する塑性変形を抑制しつつ熱収縮させることができ、最終的に押出型材の熱収縮量が断面方向全域において偏りなく均等になり、押出型材の多大な曲がり変形を確実に防止でき、例えばストレッチングによって所望の真直度を確実に得ることができる。
発明[2][3]の押出型材の製造方法によれば、上記の効果をより確実に得ることができる。
発明[4]〜[8]の押出型材の製造方法によれば、曲がり変形が生じ易い押出型材であっても、上記と同様に多大な曲がり変形を確実に防止することができる。
図1はこの発明の実施形態である押出型材Wの製造方法を実施可能な製造設備を説明するための概略平面図である。同図に示すようにこの製造設備は、押出プレス機(押出機)1と、押出型材Wを牽引するプラー2と、押出型材Wを支持しつつ搬送する搬送テーブル3と、搬送テーブル3に併設されたクーリングテーブル4と、クーリングテーブル4に併設されたストレッチングテーブル5とを備えている。
押出プレス機1は、アルミニウムビレット等の金属製押出素材を押出ダイスによって加工して押出型材Wを成形して押し出すものである。
プラー2は、押出プレス機1から押し出される押出型材Wのヘッド部Whを把持して、押出型材Wを押出方向Dに沿って牽引するものである。
搬送テーブル3は、押出プレス機1の排出口に対応して設けられたイニシャルテーブル31と、そのイニシャルテーブル31の押出方向Dの下流側に設けられたランアウトテーブル32とを備え、プラー2によって牽引される押出型材Wをイニシャルテーブル31およびランアウトテーブル32によって支持しつつ搬送するものである。
クーリングテーブル4は、そのテーブル4上に配置された押出型材Wに対し強制冷却を行うものである。
ストレッチングテーブル5は、そのテーブル5上に配置された押出型材Wに対しストレッチャー(図示省略)によってストレッチング処理を行うものである。
本実施形態の製造方法によって製造される押出型材Wは、線対称でない断面形状(「非線対称断面形状」と称す)、例えば左右非対称や上下非対称の断面形状等を有するものを対象としている。
非線対称断面形状の押出型材Wは、断面方向の位置によって冷却速度や冷却時間が一定でないため、縮み量が断面方向の位置によって不均一となり易く、曲がり変形が生じ易いが、本実施形態においては、この曲がりが生じ易い非線対称断面形状の押出型材Wにおいて、曲がり変形を有効に防止することができる。
非線対称断面形状の押出型材Wとして例えば、図3Aに示すようにコ字型の断面で特に外壁の肉厚が異なる押出型材W、図3Bに示すように円形断面の外周壁の一部に突起(脚部)が形成された押出型材W、図3Cおよび図3Dに示すように矩形断面の外周壁の内側に、長さ方向に連続する中仕切り壁W3が内部の偏った位置に形成された押出型材W等を例示することができる。中でも特に中空状ないし半中空状の外周壁に中仕切り壁W3が設けられた押出型材Wは、断面方向の位置によって冷却速度や冷却時間が大きく異なっており、それによって、断面方向の位置により熱収縮速度の違いや、熱収縮挙動の時間的なずれが大きくなる傾向が高くなるため、中仕切り壁W3が設けられた押出型材Wは、曲がり変形が生じ易くなっているが、本実施形態の製造方法において、曲がり変形が生じ易い中仕切り壁W3付きの押出型材Wに対し、効果的に曲がり変形を抑制することができる。
また本実施形態において、押出中の押出型材Wは、断面方向において異なる温度の部位が混在している。例えば本実施形態では、断面方向の位置によって200℃以下の部位と300℃以上の部位とが同時に混在しており、このような押出型材Wに対しても効果的に曲がり変形を抑制することができる。
本実施形態の製造方法においてはプラー2による牽引操作に特徴を有するものである。すなわち本実施形態において、押出プレス機1から押し出される押出型材Wをプラー2によって牽引する際に、その張力を通常よりも低く設定している。具体的には、プラー2による張力を0.33MPa以下に設定するのが良く、より好ましくは0.27MPa以下に設定するのが良い。プラー2による張力は通常、0.36MPa〜0.46MPaであるが、本実施形態においてプラー2による張力を従来よりも低く設定しているため、押出中の押出型材Wはプラー2による張力が低くなり、張力による整直作用が小さくなり、熱収縮による曲がり変形が許容される状態となる。
また本実施形態において、押出中の押出型材Wにおける、長さ1mあたりの断面方向の曲がり変形量(押出方向Dに対し直行する方向の変形量)は、5mm/m以上に調整するのが良く、より好ましくは8mm/m以上に調整するのが良い。
本実施形態において、プラー2による張力が上記の特定値を超える場合や、押出中の押出型材Wの曲がり変形量が上記の特定値に満たない場合には、押出中における押出型材Wに対し所望の曲げ変形を付与できず、有害な塑性変形が発生するおそれがあり、最終的に押出型材Wの曲げ変形を抑制することが困難になるおそれがある。
また本実施形態においては、押出型材Wの断面における外接円の半径を250mm以上に設定するのが好ましい。さらに押出型材Wの1mあたりの質量を20kg/m以上に設定するのが好ましい。すなわち、断面の外接円が小さ過ぎる場合、または質量が軽過ぎる場合には、押出型材Wに対するプラー2による張力が相対的に強くなり過ぎる場合があり、押出型材Wの曲がり変形を確実に抑制することが困難になるおそれがある。
本実施形態においては、記述した通り、押出プレス機1から押し出される押出型材Wは、そのヘッド部Whを把持したプラー2によって牽引されて、搬送テーブル3上を押出方向Dに沿って搬送されていくが、この搬送中におけるプラー2による押出型材Wへの張力が弱く設定されている。このため仮に上記従来と同様に、一側部(図1の下側部)W1が、他側部(同図の上側部)W2に対し、熱収縮が先に進行する押出型材Wや、熱収縮速度が速い押出型材Wの場合には図1(a)に示すように、プラー2により牽引される押出中の押出型材Wは、一側部W1が他側部W2に対し熱収縮して、中央部が他方側(同図の上側)に凸となるように端部が一方側(同図の下側)に反るように曲がり変形が発生する。続いて同図(b)に示すように、押出型材Wのテール部Wtが、押出プレス機1から排出されて押出型材Wがランアウトテーブル32まで牽引されてプラー2による把持が解除されると、一側部W1の熱収縮がさらに進行して、一方側への曲がり変形量がさらに大きくなる。その後同図(c)に示すように押出型材Wがランアウトテーブル32からクーリングテーブル4およびストレッチングテーブル5に移載されると、一側部W1の熱収縮が停止して他側部W2が熱収縮する。これにより一方側に反り変形(曲がり変形)していた押出型材Wが、その反りが消失されるように他方側に曲がり変形して、全体として曲がり変形がほぼ解消され、曲がり変形がほとんどない状態で保持される。そして曲がり変形がない状態の押出型材Wがストレッチャーによってストレッチングされて整直調整される。
このように本実施形態においては、ストレッチング前における押出型材Wの過大な曲がり変形が防止されるが、そのメカニズムを上記と同様の押出型材モデルMのシミュレーションを用いて以下に説明する。モデルMとしては、上記図5に示す押出型材モデルMと同様、先に熱収縮が開始される一側部W1としての一側板M1と、後から熱収縮が開始される他側部W2としての他側板M2との両端部同士が連結ブロックM3によって連結固定されたものである。
このモデルMを上記図1(a)〜(c)に示す本実施形態の製造方法に準ずるようにシミュレーションを行ったところ、図1(a)に示すように押出型材Wに対するプラー2による張力が弱い状態では図2(a−1)(a−2)に示すように、モデルMの一側板M1が熱収縮することによって、モデルMが一方側(下側)に曲がり変形する。このように熱収縮する一側板M1は縮み変形する一方、熱収縮しない他側板M2は縮み変形しないため、一側板M1および他側板M2において伸縮方向への内部応力はほとんど発生せず、両側板M1、M2が伸縮方向に塑性変形することもない。
次に図1(b)に示すように、押出型材Wがランアウトテーブル32まで牽引されてプラー2による把持が解除されると図2(b−1)(b−2)に示すように、一側板M1はさらに熱収縮して、モデルMが一方側に大きく曲がり変形する。この変形も一側板M1の熱収縮によるものであり、両側板M1、M2が塑性変形することはない。
その後図1(c)に示すように、押出型材Wがランアウトテーブル32からクーリングテーブル4およびストレッチングテーブル5に移載されると図2(c−1)(c−2)に示すように、一側板M1の熱収縮が停止して、他側板M2が熱収縮して、押出型材Wはその曲がりが消失されるように変形する。ここで本実施形態に準ずるシミュレーションにおいては、両側板M1、M2はいずれも塑性変形しておらず、熱収縮のみによる収縮であるため、押出開始直後から冷却後までの期間全域における各側板M1、M2のトータルの収縮量は互いに等しくなり、最終的に両側板M1、M2の長さがほぼ同じになり、押出型材Wにおいて矯正困難な過大な曲がり変形が生じるのが防止されるものである。
以上のように本実施形態の押出型材の製造方法によれば、冷却後の押出型材Wの曲がり変形を解消することができ、以後のストレッチングによって、真直度を十分に向上させることができ、真直度不足による不良が発生せず、高品質の押出型材製品を確実に製造することができる。
さらに本実施形態の製造方法は、プラー2による張力を緩めるだけで簡単に実施することができ、例えば既存の製造施設を用いて確実に実施することができる。このように新たな機器等を採用する必要がなく、製造設備の簡素化および小型化を図ることができるとともに、コストも削減することができる。
この発明の押出型材の製造方法は、線対称でない断面形状の押出型材例えば、左右非対称、上下非対称の断面形状の押出型材を製造する際に好適に用いることができる。
1:押出プレス機(押出機)
2:プラー
D:押出方向
W:押出型材
Wh:ヘッド部
W3:中仕切り壁
2:プラー
D:押出方向
W:押出型材
Wh:ヘッド部
W3:中仕切り壁
Claims (8)
- 線対称でない断面形状を有する金属製の押出型材が押出機から押し出されつつ、その押出型材のヘッド部を把持したプラーによって押出方向に沿って牽引されるようにした押出型材の製造方法であって、
前記プラーによって押出型材に付与される張力が、熱収縮による押出型材の曲がり変形を許容する範囲内である0.33MPa以下に設定されていることを特徴とする押出型材の製造方法。 - 前記プラーによって牽引される押出型材の曲がり変形量が、5mm/m以上に調整されている請求項1に記載の押出型材の製造方法。
- 押出型材は、アルミニウム製である請求項1または2に記載の押出型材の製造方法。
- 前記プラーによって牽引される押出型材は、断面方向の異なる位置において200℃以下の部位と、300℃以上の部位とが同時に混在するように調整されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の押出型材の製造方法。
- 押出型材は、中空形状ないし半中空形状に形成されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の押出型材の製造方法。
- 押出型材は中仕切り壁が形成されている請求項5に記載の押出型材の製造方法。
- 押出型材は、その断面における外接円の半径が250mm以上に設定されている請求項1〜6のいずれか1項に記載の押出型材の製造方法。
- 押出型材は、質量が20kg/m以下に設定されている請求項1〜7のいずれか1項に記載の押出型材の製造方法。
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