JP2021185724A - サーボモータ減速機故障予知構造、減速機付きサーボモータ、および減速機付きサーボモータ制御システム - Google Patents
サーボモータ減速機故障予知構造、減速機付きサーボモータ、および減速機付きサーボモータ制御システム Download PDFInfo
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Abstract
【課題】減速機付きサーボモータにおける減速機の寿命判断技術について、直接的な方式によって故障予知の精度を高めることができ、リアルタイムで故障判断・交換要否判断を可能とする技術を提供すること。【解決手段】サーボモータ減速機故障予知構造50は、モータ回転角度検出用の角度センサ10とモータ回転出力を減速する減速機20とを備えたサーボモータ30における減速機の故障を予知する構造であり、減速機20の出力側に減速機20における検知対象を検知する減速機センサ部40、減速機センサ部40により得られる情報を処理する情報処理部47とからなり、減速機センサ部40は減速機20の出力側における回転角度を検出する減速機用角度センサ41を備えており、情報処理部47はモータ用角度センサ10および速機用角度センサ41による各検知角度が比較されその差が一定の大きさである場合には減速機20が故障する可能性があるとする。【選択図】図1
Description
本発明はサーボモータ減速機故障予知構造、減速機付きサーボモータ、および減速機付きサーボモータ制御システムに係り、特に、減速機付きサーボモータにおける故障・破損を予知できるサーボモータ減速機故障予知構造等に関するものである。
減速機付きサーボモータにおいては、サーボモータの保守管理とはまた別に、減速機の寿命管理も重要である。従来、減速機付きサーボモータにおける減速機寿命の管理については、負荷トルク、総回転数、温度等の諸要素から所定の計算式によって寿命を推定することでこれを行ったり、あるいは、定期点検時において減速機の交換要否の判断を行うことが通常である。
サーボモータシステムにおける異常診断技術については従来、特許出願等もなされている。たとえば後掲特許文献1には、ロボット装置の関節駆動系の組付異常および衝突後の組付異常を制御装置によって診断する方法として、モータを回転させつつ減速機入力軸の回転角度を検出する第1の角度センサ、および減速機出力軸の回転角度を検出する第2の角度センサそれぞれが検知した回転角度を同期的に記録する記録工程と、検知された回転角度のいずれかを減速機の減速比を用いて換算して入力軸回転角度に対する出力軸回転角度の振幅を算出する振幅値算出工程と、算出された振幅に基づき入力軸―出力軸の回転中心の偏芯量を算出する偏芯量算出工程とを備える構成が開示されている。
また特許文献2には、ロボットの異常をその初期段階で高精度に検出できる方法として、ロボットアームの関節部について固有振動数をあらかじめ測定し、駆動モータや減速機で発生する振動により最もロボットアームが共振する動作速度での定速動作をロボット本体の異常検出の動作条件とし、駆動モータまたは減速機に設置の温度センサにより温度補正したモータトルク値から算出されるトルク変動値があらかじめ設定した閾値を超えた場合に、ロボット本体での異常発生と判断する構成が開示されている。すなわち、ロボットの異常発生が明確に反映される駆動モータのトルク値の変動分を判断基準とする方法である。
上述の通り、従来の減速機付きサーボモータにおける減速機の寿命判断・交換要否判断は、諸要素から算出される推定寿命により、または定期点検時において行われている。しかし前者は、負荷トルク、総回転数、温度等の諸要素を用いた推定による間接的な寿命判断手法であり、実際に故障が発生するか否かを予知するという観点では、精密さに欠ける。また後者は、定期点検のインターバル中における交換時期到来に対処できず、したがってそれを回避するため、未だ使用可能な減速機であっても早めの交換判断がなされてしまう可能性が高い。
したがって、より直接的で故障予知の精度が高く、またリアルタイムで故障判断・交換要否の可能な方式が求められている。また、故障としてはバックラッシ(回転方向への隙間、ガタつき)量の増大によるもののみならず、異常発熱、異常振動、過負荷によるものもある。したがって、それぞれの異常を検知し、それに基づく故障予知の行える技術も求められている。
そこで本発明が解決しようとする課題は、かかる従来技術の問題点を踏まえ、減速機付きサーボモータにおける減速機の寿命判断技術について、従来の方式と比較して直接的な方式によって故障予知の精度を高めることができ、また、リアルタイムで故障判断・交換要否判断を可能とする技術を提供することである。特に、バックラッシ量変化の検知に基づいて、従来の方式と比較して直接的な方式によって故障予知の精度を高めることができ、また、リアルタイムで故障判断・交換要否判断を可能とする技術を提供することである。
また、本発明が解決しようとする課題は、バックラッシ量の変化を初めとして、その他の異常も検知する技術、たとえば異常発熱、異常振動、または過負荷といった異常の少なくとも一つを併せて検知することができ、それによって、従来の方式と比較して直接的な方式によって種々の故障予知の精度を高めることができ、また、リアルタイムで故障判断・交換要否判断を可能とする技術を提供することである。
本願発明者は上記課題について検討した結果、センシング技術を活用することで解決可能であることに想到した。つまり、サーボモータの角度センサとは別に減速機出力側にも角度センサを設け、両センサの検知情報の差異に基づいてバックラッシ量を求め、それによって故障もしくは破損の可能性、あるいは実際に破損があった場合の破損故障検知を判断する技術である。
さらには、バックラッシ量の検知にもちいる角度センサだけではなく、トルクセンサ、加速度センサ、あるいは温度センサの少なくともいずれかをも備えた複合的なセンサ部とすることで、異常発熱、振動、過負荷からの保護にも対応可能とすることができる。発明者は、これらに基づいて本発明を完成するに至った。すなわち、上記課題を解決するための手段として本願で特許請求される発明、もしくは少なくとも開示される発明は、以下の通りである。
〔1〕 モータ回転角度検出用の角度センサ(以下「モータ用角度センサ」)と、モータ回転出力を減速する減速機とを備えたサーボモータにおける減速機の故障を予知するための構造であって、該減速機の出力側に該減速機における検知対象を検知するための減速機センサ部と、該減速機センサ部により得られる情報を処理する情報処理部とからなり、該減速機センサ部は該減速機の出力側における回転角度を検出する減速機用角度センサを備えており、該情報処理部は該モータ用角度センサおよび減速機用角度センサによる各検知角度が比較され、その差が一定の大きさである場合には該減速機が故障する可能性があるとする情報(以下「減速機故障予知情報」)を生成することを特徴とする、サーボモータ減速機故障予知構造。
〔2〕 前記減速機センサ部はトルクセンサを備えており、前記情報処理部は該トルクセンサによる検知トルクが一定の大きさである場合には前記減速機が破損する可能性があるとする情報(以下「減速機破損予知情報」)を生成することを特徴とする、〔1〕に記載のサーボモータ減速機故障予知構造。
〔3〕 前記減速機センサ部は加速度センサを備えており、前記情報処理部は該加速度センサによる検知周波数がベアリング故障時に生じる特定の周波数である場合には前記減速機または前記サーボモータのベアリング故障の可能性があるとする情報(以下「ベアリング故障予知情報」)を生成することを特徴とする、〔1〕、〔2〕のいずれかに記載のサーボモータ減速機故障予知構造。
〔2〕 前記減速機センサ部はトルクセンサを備えており、前記情報処理部は該トルクセンサによる検知トルクが一定の大きさである場合には前記減速機が破損する可能性があるとする情報(以下「減速機破損予知情報」)を生成することを特徴とする、〔1〕に記載のサーボモータ減速機故障予知構造。
〔3〕 前記減速機センサ部は加速度センサを備えており、前記情報処理部は該加速度センサによる検知周波数がベアリング故障時に生じる特定の周波数である場合には前記減速機または前記サーボモータのベアリング故障の可能性があるとする情報(以下「ベアリング故障予知情報」)を生成することを特徴とする、〔1〕、〔2〕のいずれかに記載のサーボモータ減速機故障予知構造。
〔4〕 前記減速機センサ部は温度センサを備えており、前記情報処理部は該温度センサによる検知温度により前記減速機のグリス枯渇可能性または前記サーボモータの異常発熱可能性の少なくともいずれかがあるとする情報(以下「発熱故障予知情報」)を生成することを特徴とする、〔1〕、〔2〕、〔3〕のいずれかに記載のサーボモータ減速機故障予知構造。
〔5〕 前記情報処理部にはそこで生成される情報が出力される出力部が接続されていることを特徴とする、〔1〕、〔2〕、〔3〕、〔4〕のいずれかに記載のサーボモータ減速機故障予知構造。
〔6〕 前記情報処理部には、そこで生成される情報に基づき前記サーボモータの駆動を制御する制御部が接続されていることを特徴とする、〔1〕、〔2〕、〔3〕、〔4〕、〔5〕に記載のサーボモータ減速機故障予知構造。
〔7〕 前記減速機センサ部と前記情報処理部とはインターネットにより繋がっていることを特徴とする、〔1〕、〔2〕、〔3〕、〔4〕、〔5〕、〔6〕のいずれかに記載のサーボモータ減速機故障予知構造。
〔5〕 前記情報処理部にはそこで生成される情報が出力される出力部が接続されていることを特徴とする、〔1〕、〔2〕、〔3〕、〔4〕のいずれかに記載のサーボモータ減速機故障予知構造。
〔6〕 前記情報処理部には、そこで生成される情報に基づき前記サーボモータの駆動を制御する制御部が接続されていることを特徴とする、〔1〕、〔2〕、〔3〕、〔4〕、〔5〕に記載のサーボモータ減速機故障予知構造。
〔7〕 前記減速機センサ部と前記情報処理部とはインターネットにより繋がっていることを特徴とする、〔1〕、〔2〕、〔3〕、〔4〕、〔5〕、〔6〕のいずれかに記載のサーボモータ減速機故障予知構造。
〔8〕 減速機の故障や破損の予知のみならず既に発生している破損・故障発生の検知も行えることを特徴とする、〔1〕、〔2〕、〔3〕、〔4〕、〔5〕、〔6〕、〔7〕に記載のサーボモータ減速機故障予知構造。
〔9〕 〔1〕、〔2〕、〔3〕、〔4〕、〔5〕、〔6〕、〔7〕、〔8〕のいずれかに記載のサーボモータ減速機故障予知構造を備えていることを特徴とする、減速機付きサーボモータ。
〔10〕 モータ用角度センサならびにモータ回転出力を減速する減速機を備えたサーボモータ、および〔6〕、〔7〕、〔8〕のいずれかに記載のサーボモータ減速機故障予知構造とからなることを特徴とする、減速機付きサーボモータ制御システム。
〔9〕 〔1〕、〔2〕、〔3〕、〔4〕、〔5〕、〔6〕、〔7〕、〔8〕のいずれかに記載のサーボモータ減速機故障予知構造を備えていることを特徴とする、減速機付きサーボモータ。
〔10〕 モータ用角度センサならびにモータ回転出力を減速する減速機を備えたサーボモータ、および〔6〕、〔7〕、〔8〕のいずれかに記載のサーボモータ減速機故障予知構造とからなることを特徴とする、減速機付きサーボモータ制御システム。
本発明のサーボモータ減速機故障予知構造、減速機付きサーボモータ、および減速機付きサーボモータ制御システムは上述のように構成されるため、これらによれば、従来の方式と比較して直接的な方式によって故障予知の精度を高めることができ、また、リアルタイムで故障判断・交換要否判断を行うことができる。特に、バックラッシ量変化の検知に基づいて、従来の方式と比較して直接的な方式によって故障予知の精度を高めることができ、また、リアルタイムで故障判断・交換要否判断を行うことができる。
また、センサ部が複数のセンサから構成される本発明サーボモータ減速機故障予知構造、減速機付きサーボモータ、および減速機付きサーボモータ制御システムによれば、バックラッシ量変化検知に基づく故障予知に加え、その他の異常、たとえば異常発熱、異常振動、または過負荷といった異常を併せて検知することができ、それにより従来の方式と比較して直接的な方式によって種々の故障予知の精度を高めることができ、また、リアルタイムで故障判断・交換要否判断を行うことができ、減速機の保護態勢をより高度にすることができる。
本発明のサーボモータ減速機故障予知構造、減速機付きサーボモータ、および減速機付きサーボモータ制御システムによれば、リアルタイムでの故障予知により故障を早期に発見することができ、また定期メンテナンスの回数や程度を低減することもできる。さらに、これら本発明サーボモータ減速機故障予知構造、減速機付きサーボモータ、および減速機付きサーボモータ制御システムは、減速機の故障や破損の予知のみならず、既に発生している破損・故障発生の検知も行うことができる。
以下、図面により本発明を詳細に説明する。
図1は、本発明サーボモータ減速機故障予知構造の基本構成を概念的に示す説明図である。図示するように本サーボモータ減速機故障予知構造50は、モータ回転角度検出用の角度センサ(モータ用角度センサ)10と、モータ回転出力を減速する減速機20とを備えたサーボモータ30における減速機の故障を予知するための構造であって、減速機20の出力側に減速機20における検知対象を検知するための減速機センサ部40と、減速機センサ部40により得られる情報を処理する情報処理部47とからなり、減速機センサ部40は減速機20の出力側における回転角度を検出する減速機用角度センサ41を備えており、情報処理部47はモータ用角度センサ10および速機用角度センサ41による各検知角度が比較され、その差が一定の大きさである場合には減速機20が故障する可能性があるとする情報(減速機故障予知情報)を生成することを、主たる構成とする。
図1は、本発明サーボモータ減速機故障予知構造の基本構成を概念的に示す説明図である。図示するように本サーボモータ減速機故障予知構造50は、モータ回転角度検出用の角度センサ(モータ用角度センサ)10と、モータ回転出力を減速する減速機20とを備えたサーボモータ30における減速機の故障を予知するための構造であって、減速機20の出力側に減速機20における検知対象を検知するための減速機センサ部40と、減速機センサ部40により得られる情報を処理する情報処理部47とからなり、減速機センサ部40は減速機20の出力側における回転角度を検出する減速機用角度センサ41を備えており、情報処理部47はモータ用角度センサ10および速機用角度センサ41による各検知角度が比較され、その差が一定の大きさである場合には減速機20が故障する可能性があるとする情報(減速機故障予知情報)を生成することを、主たる構成とする。
かかる構成により本発明サーボモータ減速機故障予知構造50では、モータ用角度センサ10によるサーボモータ30の回転角度検出とは別に、減速機センサ部40によって減速機20における検知対象が検知されるが、減速機20の出力側における回転角度がその検知対象とされており、すなわち減速機センサ部40に備えられた減速機用角度センサ41により減速機20の出力側における回転角度が検出される。そして情報処理部47では、減速機センサ部40により得られる情報が所定の方法で処理されるが、具体的には、モータ用角度センサ10による検知角度と減速機用角度センサ41による検知角度が比較され、その差が一定の大きさである場合には「減速機20が故障する可能性がある」とする情報、すなわち減速機故障予知情報が生成される。
すなわち、減速機20の出力軸に減速機用角度センサ41を取り付けることで、サーボモータ30の角度情報と減速機出力軸の角度情報との間に一定の差異が生じた場合は、その差異の度合いに応じて、減速機20のバックラッシ(ガタつき)が大きくなっていると判断できる。したがってそのタイミングで、減速機20の交換が必要な時期が到来していることがわかる。かかる故障予知が可能となることにより、定期メンテナンスが不要となる上、ダウンタイムの削減とすることができる。
本サーボモータ減速機故障予知構造50が対象とするサーボモータ30に備えられているモータ用角度センサ10としては、適宜のセンサを用いることができ、たとえばレゾルバを好適に用いることができる。また、本サーボモータ減速機故障予知構造50を構成する減速機センサ部40の減速機用角度センサ41としても適宜のセンサを用いることができ、これもレゾルバを好適に用いることができる。すなわち本サーボモータ減速機故障予知構造50が備えられているサーボモータ30には、レゾルバ等の角度センサが、サーボモータ30の回転角度検出用のもの、および減速機20の出力側における回転角度検出用のもの、合わせて2基設けられる。
減速機センサ部40には、減速機20における検知対象たる減速機出力側回転角度検知用の減速機用角度センサ41を必須に備えるが、減速機20におけるそれ以外の検知対象用のセンサを一または複数さらに備えた複合的な構成、いわば複合センサとすることもできる。具体的な例については図2〜4を用いて後述する。
情報処理部47としては、マイクロコンピュータやその他の電子計算機機能を適宜用いることができる。情報処理部47には最低限、モータ用角度センサ10による角度情報と減速機センサ部40による角度情報、すなわち両検知角度を比較してその差をとる機能部位、および、得られた角度差に係る数値を少なくとも一つ設けられている基準値と比較して当該基準値との比較結果を生成する機能部位が設けられる。この基準値は、減速機20のバックラッシ増大による交換要否を判断する数値であり、算出された角度差が基準値以上、または基準値を超える場合には「交換が必要」な程度であると判断される。つまり、減速機20が故障する可能性があるとする情報(減速機故障予知情報)である。
基準は一つのみでなく複数設定することとしてもよい。すなわち、減速機20のバックラッシ増大による交換要否程度を判断する数値を二つ以上設けてもよい。それにより、たとえば「正常に運転中、交換の必要なし」―「交換必要時期が近い、もう交換してもよい」―「緊急に交換必要、もしくは既に破損発生」といった、交換要否緊急度の段階的な判断結果を示す故障予知を行うことができる。
情報処理部47は、減速機故障予知情報の生成にかかる情報処理機能部位とは別の機能部位を設けることとしてもよい。図2〜4により後述する各センサを備えた構成の減速機センサ部である場合は、それらにより検知される情報の情報処理機能に係る部位を情報処理部に備えさせる。また、たとえば減速機故障予知情報などの情報処理結果を、後述する出力部(図5)において出力するための仕様に加工する機能の部位を備えさせる等してもよい。
なお、本サーボモータ減速機故障予知構造50は減速機の故障を予知するための構造ではあるが、減速機20の故障や破損の予知のみならず、既に発生している破損や故障発生の検知も、行うことは可能である。たとえば、減速機付きサーボモータが正常に運転終了した後、すなわち運転停止中に何らかの外的要因によって破損や故障が生じてしまい、その後、それらの故障等に気づかぬまま運転開始した場合などである。既に発生している破損や故障発生の検知も可能な構成も、本発明の範囲内であることについては、図2以降で説明する各種の複合的な減速機センサ部全般においても同様である。
図2は、トルクセンサを備えた本発明サーボモータ減速機故障予知構造の基本構成を概念的に示す説明図である。図示するように本サーボモータ減速機故障予知構造250は、図1で示した構成に加えて、減速機センサ部240がトルクセンサ242を備えており、情報処理部247はトルクセンサ242による検知トルクが一定の大きさである場合には減速機220が破損する可能性があるとする情報(減速機破損予知情報)を生成することを、特徴的な構成とする。
かかる構成により本サーボモータ減速機故障予知構造250は、図1を用いて説明した角度情報検知に係る作用に加えて、トルクセンサ242により減速機220にかかるトルク(力)もが検知され、検知トルクは情報処理部247において情報処理されて、これが一定の大きさである場合には、減速機220が破損する可能性があるとする減速機破損予知情報が生成される。
すなわち本サーボモータ減速機故障予知構造250においては、モータ用角度センサ210による検知角度と減速機用角度センサ241による検知角度が比較され、その差が一定の大きさである場合には「減速機220が故障する可能性がある」とする減速機故障予知情報が生成されるとともに、トルクセンサ242による検知トルクに基づいて減速機220が破損する可能性があるとする減速機破損予知情報も生成される。このように、減速機220に発生し得る複数パターンの故障について、本サーボモータ減速機故障予知構造250は予知情報を生成し、知らせることができる。
減速機の定格値よりも大きな力が加わった場合、従来はサーボモータ側で反力を加える制御がなされており、これによって減速機の破損等が発生することがあった。しかし本発明サーボモータ減速機故障予知構造250では、減速機センサ部240にトルクセンサ242が設けられることにより、検知トルクに基づく減速機破損予知情報が事前に得られるため、サーボモータ側の反力制御を停止して減速機220を空転させることができ、減速機220を破損から保護することができる。
図3は、加速度センサを備えた本発明サーボモータ減速機故障予知構造の基本構成を概念的に示す説明図である。図中の(a)に示すように本サーボモータ減速機故障予知構造350は、図1で示した構成に加えて、減速機センサ部340が加速度センサ343を備えており、情報処理部347は加速度センサ343による検知周波数がベアリング故障時に生じる特徴的な特定の周波数である場合には減速機320または前記サーボモータ(図示せず)のベアリング故障の可能性があるとする情報(ベアリング故障予知情報)を生成することを、特徴的な構成とする。
かかる構成により本サーボモータ減速機故障予知構造350は、図1を用いて説明した角度情報検知に係る作用に加えて、加速度センサ343により減速機320における加速度もが検知され、検知加速度は情報処理部347において情報処理されて、検知周波数がベアリング故障時に生じる特定の周波数である場合には減速機320またはサーボモータのベアリング故障の可能性があるとするベアリング故障予知情報が生成される。
すなわち本サーボモータ減速機故障予知構造350においては、モータ用角度センサによる検知角度と減速機用角度センサ341による検知角度が比較され、その差が一定の大きさである場合には「減速機320が故障する可能性がある」とする減速機故障予知情報が生成されるとともに、加速度センサ343による検知加速度に基づいて減速機320またはサーボモータのベアリング故障の可能性があるとするベアリング故障予知情報も生成される。このように、減速機320に発生し得る複数パターンの故障について、本サーボモータ減速機故障予知構造350は予知情報を生成し、知らせることができ、これにより定期メンテナンス不要かつダウンタイム削減となる。
なお、図3中の(b)に示すように本サーボモータ減速機故障予知構造350bは、(a)で示した構成に加え、減速機センサ部340bがトルクンサ342をも備えた構成である。したがって本構成のサーボモータ減速機故障予知構造350bでは、(a)における作用に加えて、図2により示した構成と同様にトルクセンサ342による作用をも得ることができる。よって、減速機320に発生し得る複数パターンの故障について、本サーボモータ減速機故障予知構造350bはさらに多い3種類の予知情報を生成し、知らせることができる。
図4は、温度センサを備えた本発明サーボモータ減速機故障予知構造の基本構成を概念的に示す説明図である。図中の(a)に示すように本サーボモータ減速機故障予知構造450は、図1で示した構成に加えて、減速機センサ部440が温度センサ444を備えており、情報処理部447は温度センサ444による検知温度により減速機(図示せず。(b)〜(d)においても同様)のグリス枯渇可能性、またはサーボモータ(図示せず。(b)〜(d)においても同様)の異常発熱可能性の少なくともいずれかがあるとする情報(発熱故障予知情報)を生成することを、特徴的な構成とする。
かかる構成により本サーボモータ減速機故障予知構造450は、図1を用いて説明した角度情報検知に係る作用に加えて、温度センサ444により減速機における温度もが検知され、情報処理部447においては、温度センサ444による検知温度によって減速機のグリス枯渇可能性、またはサーボモータの異常発熱可能性の少なくともいずれかがあるとする発熱故障予知情報が生成される。
すなわち本サーボモータ減速機故障予知構造450においては、モータ用角度センサによる検知角度と減速機用角度センサ441による検知角度が比較され、その差が一定の大きさである場合には「減速機が故障する可能性がある」とする減速機故障予知情報が生成されるとともに、温度センサ444による検知温度に基づいて減速機のグリス枯渇可能性、またはサーボモータの異常発熱可能性の少なくともいずれかがあるとする発熱故障予知情報も生成される。このように、減速機に発生し得る複数パターンの故障について、本サーボモータ減速機故障予知構造450は予知情報を生成し、知らせることができる。
なお、図4中の(b)、(c)、および、(d)に示すように本サーボモータ減速機故障予知構造450b、450c、および、450dは、(a)で示した構成に加えてそれぞれ、トルクンサ442をも備えた構成、加速度センサ443をも備えた構成、および、トルクンサ442ならびに加速度センサ443をも備えた構成である。サーボモータ減速機故障予知構造450b、450cでは3種類の予知情報を、またサーボモータ減速機故障予知構造450dでは4種類もの予知情報を生成し、知らせることができる。
以上説明したように本発明サーボモータ減速機故障予知構造は、その減速機センサ部において減速機用角度センサを備えることを必須とするが、さらに、トルクセンサ、加速度センサ、または温度センサのいずれか一つまたは複数を備える構成とすることもできる。減速機の故障予知性能をより高度なものとする観点からは、これら全てのセンサを複合的に備えた減速機センサ部とすることが望ましい。しかしながら複合度を高めるほどコストは高くなる。コストを考慮した場合、たとえばロボット用途においては、必須の減速機用角度センサに加えてトルクセンサを備えた減速機センサ部とする構成を最適な構成として採択することができる。
図5は、出力部を備えた本発明サーボモータ減速機故障予知構造の基本構成を概念的に示す説明図である。図示するように本サーボモータ減速機故障予知構造550は、上述したいずれかの構成に加えて、情報処理部547に、そこで生成される情報が出力される出力部548が接続されていることを特徴的な構成とする。かかる構成により、情報処理部547において生成した故障予知情報を出力部548に出力、表示させることができる。なお出力・表示の形態は、点灯や映像などの視覚的な方式でも、警報音や言語的な音声などの聴覚的な方式でも、あるいはその併用方式でもよく、適宜の方式を採ることができる。
図6は、制御部をそなえた本発明サーボモータ減速機故障予知構造の基本構成を概念的に示す説明図である。図中の(a)に示すように本サーボモータ減速機故障予知構造650は、上述したいずれかの構成に加えて、情報処理部647に、そこで生成される情報に基づいてサーボモータの駆動を制御する制御部649が接続されていることを特徴的な構成とする。かかる構成により本サーボモータ減速機故障予知構造650では、情報処理部647で生成された故障予知情報に基づき、制御部649によるサーボモータ等の駆動の制御がなされる。
つまり、サーボモータの角度情報と、減速機センサ部640を構成する減速機用角度センサにより検知される減速機出力軸の角度情報との間に一定の差異が生じた場合は、その差異の度合いに応じて減速機620のバックラッシ(ガタつき)が大きくなっていると判断できるのだが、そのタイミングで、減速機620の交換が必要な時期が到来していることを示す減速機故障予知情報が情報処理部647において生成される。制御部649はたとえば、この予知情報に基づきサーボモータの運転を停止するという制御を行う構成とすることができる。
減速機センサ部640が上述の他の各センサを備える場合においても同様に、情報処理部647にて生成される予知情報に基づき、サーボモータや減速機620の駆動を制御する機能を制御部649に持たせる構成とすることができる。たとえば減速機センサ部640がトルクセンサを備えている構成であって、トルクセンサによる検知トルクが所定の大きさである場合には、情報処理部647で生成される減速機破損予知情報に基づいて、制御部649がサーボモータ側の反力制御を停止して減速機620を空転させるという制御を行う構成とすることができる。
同様に角速度センサの場合には、ベアリング故障予知情報に基づいてサーボモータの運転を停止する制御、また温度センサの場合にも発熱故障予知情報に基づいてサーボモータの運転を停止する制御等を、制御部649に行わせる構成とすることができる。なお図中の(b)には、情報処理部647bに、制御部649bの他に出力部648bをも備えた構成のサーボモータ減速機故障予知構造650bの構成を示している。
図7は、インターネットを用いた本発明サーボモータ減速機故障予知構造の基本構成を概念的に示す説明図である。図中の(a)に示すように本サーボモータ減速機故障予知構造750は、上述したいずれかの構成に加えて、減速機センサ部740と前記情報処理部747とはインターネットINにより繋がっていることを特徴的な構成とする。かかる構成により、減速機付きサーボモータ530における故障予知の情報を、インターネットINを介して遠隔地点から得ることができる。すなわちIoTによる管理が可能となる。
なお、図中(b)には、情報処理部747bに出力部748b、制御部749bが接続されている構成を示す。かかる構成により、出力部748bによる故障予知情報の確認や、制御部749bによる故障予知情報に基づくサーボモータ730の制御実行を、インターネットINを介して遠隔地点にて行うことができる。すなわちIoTによる管理を高めることが可能となる。
図8は、本発明減速機付きサーボモータの構成例を示す断面図である。図示するように、本減速機付きサーボモータ830にはモータ用角度センサ810と減速機820が備えられ、そして以上説明したサーボモータ減速機故障予知構造(850)に係る減速機センサ部840が減速機820の出力側に設けられている構成である。なお、図5〜7により説明したいずれかの構成のサーボモータ減速機故障予知構造と減速機付きサーボモータとからなる減速機付きサーボモータ制御システムもまた、本発明の範囲内である。
本発明のサーボモータ減速機故障予知構造、減速機付きサーボモータ、および減速機付きサーボモータ制御システムによれば、従来の方式と比較して直接的な方式によって故障予知の精度を高めることができ、また、リアルタイムで故障判断・交換要否判断を行うことができる。したがって、サーボモータ製造・利用分野、よび関連する全分野において、産業上利用性が高い発明である。
10、210、510、710、810…モータ用角度センサ
20、220、320、520、620、720、820…減速機
30、230、530、730、830…サーボモータ
40、240、340、340b、440、440b、440c、440d、540、640、740、740b、840…減速機センサ部
41、241、341、441…減速機用角度センサ
47、247、347、347b、447、447b、447c、447d、547、647、647b、747、747b…情報処理部
50、250、350、350b、450、450b、450c、450d、550、650、650b、750、750b、850…本サーボモータ減速機故障予知構造
242、342、442…トルクセンサ
343、443…加速度センサ
444…温度センサ
548、648b、748b…出力部
649、649b、749b…制御部
800…減速機出力軸
IN…インターネット
20、220、320、520、620、720、820…減速機
30、230、530、730、830…サーボモータ
40、240、340、340b、440、440b、440c、440d、540、640、740、740b、840…減速機センサ部
41、241、341、441…減速機用角度センサ
47、247、347、347b、447、447b、447c、447d、547、647、647b、747、747b…情報処理部
50、250、350、350b、450、450b、450c、450d、550、650、650b、750、750b、850…本サーボモータ減速機故障予知構造
242、342、442…トルクセンサ
343、443…加速度センサ
444…温度センサ
548、648b、748b…出力部
649、649b、749b…制御部
800…減速機出力軸
IN…インターネット
Claims (10)
- モータ回転角度検出用の角度センサ(以下「モータ用角度センサ」)と、モータ回転出力を減速する減速機とを備えたサーボモータにおける減速機の故障を予知するための構造であって、
該減速機の出力側に該減速機における検知対象を検知するための減速機センサ部と、
該減速機センサ部により得られる情報を処理する情報処理部とからなり、
該減速機センサ部は該減速機の出力側における回転角度を検出する減速機用角度センサを備えており、
該情報処理部は該モータ用角度センサおよび減速機用角度センサによる各検知角度が比較され、その差が一定の大きさである場合には該減速機が故障する可能性があるとする情報(以下「減速機故障予知情報」)を生成することを特徴とする、サーボモータ減速機故障予知構造。 - 前記減速機センサ部はトルクセンサを備えており、前記情報処理部は該トルクセンサによる検知トルクが一定の大きさである場合には前記減速機が破損する可能性があるとする情報(以下「減速機破損予知情報」)を生成することを特徴とする、請求項1に記載のサーボモータ減速機故障予知構造。
- 前記減速機センサ部は加速度センサを備えており、前記情報処理部は該加速度センサによる検知周波数がベアリング故障時に生じる特定の周波数である場合には前記減速機または前記サーボモータのベアリング故障の可能性があるとする情報(以下「ベアリング故障予知情報」)を生成することを特徴とする、請求項1、2のいずれかに記載のサーボモータ減速機故障予知構造。
- 前記減速機センサ部は温度センサを備えており、前記情報処理部は該温度センサによる検知温度により前記減速機のグリス枯渇可能性または前記サーボモータの異常発熱可能性の少なくともいずれかがあるとする情報(以下「発熱故障予知情報」)を生成することを特徴とする、請求項1、2、3のいずれかに記載のサーボモータ減速機故障予知構造。
- 前記情報処理部にはそこで生成される情報が出力される出力部が接続されていることを特徴とする、請求項1、2、3、4のいずれかに記載のサーボモータ減速機故障予知構造。
- 前記情報処理部には、そこで生成される情報に基づき前記サーボモータの駆動を制御する制御部が接続されていることを特徴とする、請求項1、2、3、4、5に記載のサーボモータ減速機故障予知構造。
- 前記減速機センサ部と前記情報処理部とはインターネットにより繋がっていることを特徴とする、請求項1、2、3、4、5、6のいずれかに記載のサーボモータ減速機故障予知構造。
- 減速機の故障や破損の予知のみならず既に発生している破損・故障発生の検知も行えることを特徴とする、請求項1、2、3、4、5、6、7に記載のサーボモータ減速機故障予知構造。
- 請求項1、2、3、4、5、6、7、8のいずれかに記載のサーボモータ減速機故障予知構造を備えていることを特徴とする、減速機付きサーボモータ。
- モータ用角度センサならびにモータ回転出力を減速する減速機を備えたサーボモータ、および請求項6、7、8のいずれかに記載のサーボモータ減速機故障予知構造とからなることを特徴とする、減速機付きサーボモータ制御システム。
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JP2020090237A JP2021185724A (ja) | 2020-05-25 | 2020-05-25 | サーボモータ減速機故障予知構造、減速機付きサーボモータ、および減速機付きサーボモータ制御システム |
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