JP2021184441A - モールド、インプリント装置、および物品製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】接触工程においてパターン面側への変形を許容しつつパターン面とは反対側への変形を抑制するのに有利なインプリント用のモールドを提供する。【解決手段】インプリント用のモールドは、第1面と該第1面とは反対側の第2面とを有する基材と、前記基材に固定され、前記基材の部分の変形を規制する規制部材とを有し、前記基材の前記第1面には、インプリントされるべきパターンを有するパターン部が形成されており、前記基材の前記第2面は、凹部と、前記凹部を取り囲む周辺領域とを含み、前記凹部は、前記周辺領域に平行な平面への正射影において前記パターン部を内包する大きさを有し、前記凹部は、前記凹部の底面が平坦な第1状態と前記底面が前記パターン部側に撓んだ第2状態とのいずれにもなるように変形可能であり、前記規制部材は、前記凹部内に配置されて、前記第1状態にある前記底面が前記パターン部側とは反対側に撓むのを規制する。【選択図】 図1

Description

本発明は、インプリント用モールド、インプリント装置、および物品製造方法に関する。
インプリント装置は、型(モールド)を用いて微細な凹凸パターンを基板上のインプリント材に形成する。インプリント処理は、型と基板上のインプリント材とを接触させる接触工程と、型とインプリント材とが接触した状態でインプリント材を硬化させる硬化工程と、硬化したインプリント材と型とを分離する離型工程とを含みうる。
接触工程において、型を基板上のインプリント材と接触させる際、インプリント材のパターン形成部分に気泡が混入する場合がある。気泡が混入した状態でインプリント材を硬化させると、形成されるパターンに欠陥が生じうる。特許文献1には、このパターンの欠陥を回避するために、一旦、型を基板に向かって凸に撓ませ、その状態で基板上のインプリント材に接触させた後、型を徐々に平坦に戻す方法が記載されている。この方法によれば、型とインプリント材との間に存在する気体を外部に押し出すことができるので、インプリント材内に混入する気泡を減少させることができる。
特許文献2には、離型工程において、薄い型の裏面側に配置した補強部材に型の裏面を吸着させ、これにより型が基板側への変形量を制限する機構が記載されている。
米国特許出願公開第2007/0114686号明細書 特開2012−99789号公報
インプリント用の型における凹凸パターンを含む領域は、基板上のインプリント材との接触時に凸形に撓ませるため、薄く剛性が低い。型の凹凸パターン領域の外側が基板に接触してしまうことを避けるため、型は、凹凸パターン領域を出っ張らせたメサ構造を有するが、メサの四隅部分は低い剛性の中でも若干剛性が高まる。接触工程では、型を基板に向かって押し込む力を働かせているため、凸形に撓ませていた凹凸パターンの領域を平坦にしたとき、押し込む力によって僅かに凹に変形してしまう。メサの四隅部分の剛性が若干高いため、四隅部分の変形は少なく、凹凸パターン領域の中央に向かうに従い大きく凹んで、船の帆のような形状になってしまう。型の弱い剛性を補うには、剛で且つ平坦な支持部を凹凸パターン領域の裏側に配置することが考えられる。
しかし、特許文献2に記載された構造では、補強部材に型の裏面を吸着させるための吸着構造(パット構造等)が必要であり、そのような吸着構造はインプリント材に転写されるパターンの歪の原因となりうる。また、そのような吸着構造は接触工程時にインプリント材の充填の様子を型の上から観察する際の妨げにもなりうる。このように、特許文献2では離型工程のみに着目した構造を開示しており、それが接触工程に及ぼす影響に言及されていない。
本発明は、接触工程においてパターン面側への変形を許容しつつパターン面とは反対側への変形を抑制するのに有利なインプリント用のモールドを提供する。
本発明の一側面によれば、インプリント用のモールドであって、第1面と該第1面とは反対側の第2面とを有する基材と、前記基材に固定され、前記基材の部分の変形を規制する規制部材と、を有し、前記基材の前記第1面には、インプリントされるべきパターンを有するパターン部が形成されており、前記基材の前記第2面は、凹部と、前記凹部を取り囲む周辺領域とを含み、前記凹部は、前記周辺領域に平行な平面への正射影において前記パターン部を内包する大きさを有し、前記凹部は、前記凹部の底面が平坦な第1状態と前記底面が前記パターン部側に撓んだ第2状態とのいずれにもなるように変形可能であり、前記規制部材は、前記凹部内に配置されて、前記第1状態にある前記底面が前記パターン部側とは反対側に撓むのを規制する、ことを特徴とするモールドが提供される。
本発明によれば、接触工程においてパターン面側への変形を許容しつつパターン面とは反対側への変形を抑制するのに有利なインプリント用のモールドを提供することができる。
インプリント装置の構成を示す図。 従来の型を用いたインプリント工程における課題を説明する図。 第1実施形態における型の構造を示す図。 第2実施形態における型の構造を示す図。 第3実施形態における型の構造を示す図。 第4実施形態における型の構造を示す図。 従来の型によるインプリント後のインプリント材の厚みを説明する図。 物品製造方法を説明する図。
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
<第1実施形態>
図1は、実施形態におけるインプリント装置101の構成を示す図である。本明細書および図面においては、水平面をXY平面とするXYZ座標系において方向が示される。基板111はその表面が水平面(XY平面)と平行になるように基板ステージ120の上に置かれる。よって以下では、基板111の表面に沿う平面内で互いに直交する方向をX軸およびY軸とし、X軸およびY軸に垂直な方向をZ軸とする。また、以下では、XYZ座標系におけるX軸、Y軸、Z軸にそれぞれ平行な方向をX方向、Y方向、Z方向といい、X軸周りの回転方向、Y軸周りの回転方向、Z軸周りの回転方向をそれぞれθx方向、θy方向、θz方向という。
インプリント装置101は、基板上に供給されたインプリント材を型と接触させ、インプリント材に硬化用のエネルギーを与えることにより、型の凹凸パターンが転写された硬化物のパターンを形成する装置である。インプリント装置101は、光照射部102と、型保持部103と、基板保持部104と、供給部105と、制御部106と、計測部122と、筺体123を備えうる。さらに、インプリント装置101は、型211(モールド)を変形させるための型変形機構130が配置されている。型変形機構130は、型211の側面に力を加えることによって型211の形状を変えることができる。インプリント装置101は、更に、型211を型保持部103へ搬送する型搬送機構(不図示)と、基板111を基板保持部104へ搬送する基板搬送機構(不図示)を備えうる。
光照射部102は、インプリント材を硬化させるための紫外線108を照射する。光照射部102は、紫外線108を照射する光源109と、光源109から照射された紫外線108をインプリントに適切な光に補正するための光学素子110を含みうる。なお、第1実施形態では光硬化法を採用するために光照射部102を設置しているが、例えば熱硬化法を採用する場合には、光照射部102に代えて、インプリント材を硬化させるための熱源部を設置することになる。
型保持部103は、真空吸引力や静電力により型211を引き付けて保持するチャック115と、チャック115を保持し、チャック115に保持された型211をチャックごと移動させる型駆動機構116を有する。型211は、外周の形状が矩形であり、基板111に対する面に、回路パターン等のインプリント材に転写される凹凸パターンが形成されたパターン部203を含む。チャック115および型駆動機構116は、光照射部102の光源109から照射された紫外線108が基板111に照射されるように、それぞれの中心部には開口領域117(開口部)が形成されている。型駆動機構116により型201をZ方向に駆動することで、型211と基板111上のインプリント材とを接触させる接触工程、および、硬化したインプリント材から型211を分離する離型工程が行われうる。型駆動機構116に採用可能なアクチュエータとしては、例えばリニアモータまたはエアシリンダがある。また、型駆動機構116は、型211の高精度な位置決めに対応するために、粗動駆動系や微動駆動系などの複数の駆動系から構成されていてもよい。さらに、型駆動機構116は、Z方向への駆動だけでなく、X方向やY方向への駆動機構を含んでいてもよい。さらに、型駆動機構116は、θz方向の位置補正機能や、型211の傾きを補正するためのチルト機能(θx方向及びθy方向の位置補正機能)を有していてもよい。
基板保持部104は、基板111を真空吸着により引き付けて保持する基板チャック119と、基板チャック119を機械的に保持し、基板チャック119によって保持された基板111をXY平面内で移動させる基板ステージ120を有する。型211と基板111上のインプリント材114との接触に際し、基板保持部104によって型211と基板111とのアライメントが行われる。基板チャック119の表面上には、型211をアライメントする際に利用されるステージ基準マーク121が配置されている。ステージ基準マーク121は基板ステージ120に設けられていてもよい。基板ステージ120(基板駆動機構)に採用可能なアクチュエータとしては、例えばリニアモータがある。また、基板ステージ120は、X方向およびY方向に対して、粗動駆動系や微動駆動系などの複数の駆動系から構成されていてもよい。さらに、基板111のZ方向の位置補正のための駆動系や、基板111のθz方向の位置補正機能、基板111の傾きを補正するためのチルト機能などを有していてもよい。
なお、接触工程および離型工程におけるインプリント装置101の動作は、型駆動機構116が型211をZ方向に移動させるのではなく、基板駆動機構が基板111をZ方向に移動させることで実現してもよい。あるいは、型211と基板111のその双方を相対的に移動させることによって実現してもよい。
供給部105は、未硬化のインプリント材114を基板111上に供給する。供給部105には、複数の吐出口(ノズル)が形成されており、吐出口からインプリント材の液滴が基板111上に吐出される。第1実施形態の供給部105は、ピエゾ素子の圧電効果を利用してインプリント材114を吐出口から押し出す方式を採用するものとする。制御部106は、ピエゾ素子を駆動させる駆動信号を作成して、ピエゾ素子を吐出に適した形状に変形するように駆動させる。制御部106は、供給部105の各吐出口からのインプリント材の吐出を独立に制御することができる。供給部105の複数の吐出口から基板111上に供給されるインプリント材114の量や液滴の分布は、基板111上に形成されるインプリント材のパターンの厚さや、形成されるパターンの密度などにより適宜決定される。
インプリント材114には、硬化用のエネルギーが与えられることにより硬化する硬化性組成物(未硬化状態の樹脂と呼ぶこともある)が用いられる。硬化用のエネルギーとしては、電磁波、熱等が用いられる。電磁波としては、例えば、その波長が10nm以上1mm以下の範囲から選択される、赤外線、可視光線、紫外線などの光である。
硬化性組成物は、光の照射により、あるいは、加熱により硬化する組成物である。このうち、光により硬化する光硬化性組成物は、重合性化合物と光重合開始剤とを少なくとも含有し、必要に応じて非重合性化合物または溶剤を含有してもよい。非重合性化合物は、増感剤、水素供与体、内添型離型剤、界面活性剤、酸化防止剤、ポリマー成分などの群から選択される少なくとも一種である。インプリント材の粘度(25℃における粘度)は、例えば、1mPa・s以上、100mPa・s以下である。
基板111は、ガラス、セラミックス、金属、半導体、樹脂等が用いられ、必要に応じて、その表面に基板とは別の材料からなる部材が形成されていてもよい。基板としては、具体的に、シリコンウエハ、化合物半導体ウエハ、石英ガラスなどである。
計測部122は、アライメント検出器127と、インプリント材観察部128とを含みうる。アライメント検出器127は、基板111上に形成されたアライメントマークと、型211に形成されたアライメントマークを検出することができる。また、インプリント材観察部128は、例えばCCDカメラなどの撮像装置を含み、基板111に供給されたインプリント材114と型211との接触状態を撮像することができる。インプリント材観察部128は、接触工程や離型工程の状態を観察することができる。
制御部106は、インプリント装置101の各構成要素の動作を統括的に制御する。制御部106は、例えば、CPUおよびメモリを含むコンピュータで構成され、インプリント装置101の各構成要素に回線を介して接続され、プログラムにしたがって各構成要素の制御を実行しうる。制御部106は、計測部122の計測結果に基づき、型保持部103、基板保持部104、供給部105の各動作を制御する。また、制御部106は、アライメント検出器127の検出結果に基づき、型211と基板111との相対的な位置を計測することができる。例えば、型211のアライメントマークと基板111のアライメントマークのX方向およびY方向の位置ずれを計測する。また、制御部106は、インプリント材観察部128の撮像結果に基づき、接触工程や離型工程の良否を判定することができる。
なお、制御部106は、インプリント装置101と一体で構成してもよいし、インプリント装置101とは別体で構成してもよい。また、制御部106は、1台のコンピュータではなく複数台のコンピュータで構成されていてもよい。
筺体123は、基板保持部104を載置するベース定盤124と、型保持部103を固定するブリッジ定盤125と、ブリッジ定盤125を支持するための支柱126とを含みうる。
(インプリント方法について)
次に、インプリント装置101を用いて基板111上にインプリント材のパターンを形成するインプリント方法について説明する。
制御部106は、インプリント装置101に搬入された基板111を基板搬送機構により基板ステージ120の基板チャック119に載置して、保持させる。基板111を保持した基板保持部104は供給部105によるインプリント材供給位置へ移動する。そして、供給部105は、基板111上の所定のパターン形成領域(ショット領域)にインプリント材114を供給する(供給工程)。
次に、制御部106は、基板111上のインプリント材が供給されたパターン形成領域が、型211のパターン部203の直下に位置するように基板保持部104を移動させる。制御部106は、型駆動機構116を駆動させ、基板111上のインプリント材114と型211のパターン部203とを接触させる(接触工程)。このとき、インプリント装置101は、アライメント検出器127によって検出された型211と基板111のアライメントマークの検出結果に基づいて、型211と基板111の位置合わせを行う。さらに、型変形機構130は、アライメントマークの検出結果に基づいて、型211を変形させることができる。
この接触工程により、インプリント材114は、型211のパターン部203に形成された凹凸部に充填される。インプリント材114がパターンに充填された状態で、制御部106は、光照射部102に型211の上面から紫外線108を照射する。型211を透過した紫外線108によって、インプリント材114は硬化する(硬化工程)。そして、インプリント材114が硬化した後、制御部106は、型駆動機構116を駆動させ、型211を、硬化したインプリント材114から引き離す(離型工程)。
これにより、基板111上のパターン形成領域には、型211のパターン部203に形成された凹凸部が反転した3次元形状のインプリント材114のパターンが形成される。このように、供給工程から離型工程まで一連のインプリント動作を、基板保持部104の駆動によりパターン形成領域を変更しつつ複数回実施することで、1枚の基板111上に複数のインプリント材114のパターンを形成することができる。
(型について)
次に、従来タイプの型201について図2を用いて説明する。図2(a)の型201には基板111側に凸のメサ部が形成されており、このメサ部にパターン部203が形成されている。外周部204は、メサ部を取り囲む領域である。パターン部203を有する面とは反対側の面には、凹部であるキャビティ205(コアアウト)が形成されている。図1に示すように、型保持部103内の開口領域117に、この開口領域117の一部とキャビティ205とで囲まれる空間112を閉空間とする光透過部材113が配置される。こうして形成された空間112(キャビティ205)内の圧力は、不図示の圧力調整機構によって調整されうる。空間112内が加圧されると、パターン部203は下凸(基板に向かって凸)に変形しうる。
図2(b)から図2(e)を参照してインプリント処理を説明する。図2(b)は、供給部105により基板111上にインプリント材114が供給され、空間112内が加圧されてパターン部203が下凸に変形した状態を示している。次に、接触工程が開始され、型駆動機構116によりZ方向下側へ型201を移動させ、パターン部203と基板111上のインプリント材114とが接触する。このとき、図2(c)に示すように、インプリント材114に対してパターン部203の中心部から接触が始まる。これにより、パターン部203の凹部とインプリント材114との間に気体が閉じ込められるのを抑えることができる。このため、パターン部203の微細な凹部にインプリント材114を隅々まで充填させることができる。
図2(d)は、型201をさらに基板111に対し押し込み、かつ、空間112の圧力を弱めた状態を示している。キャビティ205の底面は薄いため、インプリント材114からの反力により変形しうる。メサ部の四隅では変形は少ないが、キャビティ205の中央部ではZ方向上方へ盛り上がるように変形してしまう。その変形量は、押圧力により異なるが、数nmから数十nmもの変形となりうる。そのため、インプリント材114に紫外線118を照射し露光後、型201を硬化したインプリント材114から型201を分離しても、インプリント材114はその変形を維持し、図2(e)に示すような、中央部でZ方向情報へ盛り上がった形となりうる。
図7を参照して、図2(e)に示したショット領域上のインプリント材114の厚みを説明する。図7(a)には、インプリント後に残ったインプリント材114を有するショット領域の各位置に参照符号が付されている。ショット領域の角の頂点をE1,E2,E3,E4とし、各辺の中央部をC1,C2,C3,C4とする。また、2つの対角線の交点に相当するショット領域の中央部をC5とする。図7(b)に、ショット領域の各位置ごとのインプリント材の厚みの例を示す。E1〜E4の間ではインプリント材の厚みにばらつきがありうる。図7(b)の例では、E1〜E4のうちE4におけるインプリント材が若干厚い。C1とC3は、C2とC4に比べ辺が長いため撓みも大きく、そのためインプリント材の厚みが増す。また、C5は最も撓み量が大きいことから、インプリント材が最も厚い。インプリント材の厚みの違いは、次の工程のエッチングの出来に影響を与えてしまうため、各位置でのインプリント材の厚みは同じになることが好ましい。
次に、図3(a)〜(f)を参照して、第1実施形態における型211の構造について説明する。図3(a)に示すように、型211は、基材210と、この基材210に固定される規制部材212とを有する。基材210は、パターン部203が形成されている第1面210aと、この第1面210aとは反対側の第2面210bとを有する。第2面210bは、図2(a)に示されたのと同様の凹部であるキャビティ205(コアアウト)と、キャビティ205を取り囲む周辺領域205Rとを含む。キャビティ205の底面は、円形の平面形状を有し、深さは、外周部204の大きさや材質等に応じて適宜設定されうる。キャビティ205は、周辺領域205Rに平行な平面への正射影(以下、平面視という。)においてパターン部203を内包する大きさを有する。
図1に示したように、型保持部103内の開口領域117に、この開口領域117の一部とキャビティ205とで囲まれる空間112を閉空間とする光透過部材113が配置される。こうして形成された空間112(キャビティ205)内の圧力は、不図示の圧力調整機構によって調整されうる。第2面210bにキャビティ205が形成されていることによって、パターン部203周辺は変形可能な薄肉部とされる。キャビティ205は、その底面が平坦な第1状態と、底面がパターン部側に撓んだ第2状態とのいずれにもなるように変形可能である。空間112内の圧力が大気圧である場合には第1状態となり、圧力調整機構によって空間112内が加圧されると第2状態となる。
規制部材212は、キャビティ205内(凹部内)に配置され、接着または溶着にて固定される。規制部材212は、接触工程においてパターン部203が凹部側に変形するのを規制するために設けられる。言い換えると、規制部材212は、第1状態にあるキャビティ205の底面がパターン部側とは反対側に撓むのを規制する。
図3(b)は、基部210と規制部材212を横に並べ、Z方向下側から上側に向かって見た図である。規制部材212はキャビティ205に嵌合している。例えば、規制部材212は、キャビティ205の底面に合致する円形をなし、規制部材212の上下の空間を連通する、圧力制御用の1つまたは複数の溝213を有する。溝213は、例えばパターン部203の対角線の延長線上またはその付近に配置されうる。また、規制部材212は、Z方向下側、すなわちキャビティ205底面側において溝213同士を連通する溝214を有しうる。もっとも、そのような溝214はなくてもよい。規制部材212が型211に組み込まれ、規制部材212の側面または上部とキャビティ205の側面とが接合(固定)される。規制部材212の下面と第1状態にあるキャビティ205底面とが接触した状態でパターン部203の上方向への歪みが最も小さくなるように規制部材212は固定される。その状態を示したのが、図3(c)である。図3(c)の例では、規制部材212の上部とキャビティ205の側面とが、接着剤215によって固定されている。
次に、図3(d)〜(f)を参照して、インプリント処理を説明する。図3(d)は、開口領域117の一部とキャビティ205とで囲まれる空間112が加圧された状態を示している。空間112が加圧されることにより、孔(規制部材212の溝213とキャビティ205の側壁とによって囲まれた空間)を介して、気体216がキャビティ205の底部と規制部材212の下部の間に供給される。気体216が供給されることによってキャビティ205は第2状態になるように変形され、これによりパターン部203は下凸に変形する。その後、図3(d)に示すように、型駆動機構116によりZ方向下側へ型211を移動させ、パターン部203と基板111上のインプリント材114とが接触する。このとき、図3(c)に示すように、インプリント材114に対してパターン部203の中心部から接触が始まる。
図3(e)は、型211をさらに基板111に対し押し込み、かつ、空間112の圧力を弱めた状態を示している。気体216は孔を通して退き、キャビティ205の底部と規制部材212の下部とが接触する。剛である規制部材212によって、パターン部203のキャビティ側(凹部側)への変形が規制される。これによりキャビティ205の凹みを抑えた状態で、パターンをインプリント材114に転写することができ、図2(e)に示したような転写時の変形をなくすことができる。
なお、基部210および規制部材212には透明な石英が利用できる。規制部材212の厚みによって剛性の調整が可能である。また、規制部材212の高さは、基部210に形成されているキャビティ205を全て埋めるような高さでもよいし、規制部材212とキャビティ205底部との間に隙間を作り、隙間の厚みを調整してもよい。
<第2実施形態>
図4(a)〜(c)を参照して、第2実施形態における型221の構造について説明する。図4(a)および(b)に示すように、規制部材222は、図3(a)および(b)に示した規制部材212とは形状が異なる。この規制部材222とキャビティ205との接着面は、規制部材222の外周部225の下面になっている(図4(a)、(c))。これに限らず、図3の方法との組み合わせも可能である。規制部材222は、図4(b)に示すように、規制部材222の上下の空間を連通するようにZ方向に貫く、圧力制御用の1つまたは複数の貫通孔223を有しうる。貫通孔223の機能は上記した溝213と同じでありうる。また、規制部材222は、Z方向下側、すなわち型221のキャビティ205の底面側において貫通孔223同士を連通する溝224を有しうる。接着面を規制部材222の下面としたため、接着剤215の厚み分だけ規制部材212の外周部225は薄くされている(図4(a))。
<第3実施形態>
図5(a)〜(c)を参照して、第3実施形態における型231を示す。図5(a)に示すように、パターン部203は薄い基材であるプレート233の下面(第1面)に形成されている。このプレート233には、図2〜4で示したようなキャビティ205は形成されていない。プレート233の下面(第1面)とは反対側の上面側(第2面側)には、プレート233の部分の変形(パターン部203の上面側への変形)を規制する規制部材232が配置されている。規制部材232は、規制部材232の上下の空間を連通するようにZ方向に貫く1つまたは複数の貫通孔223を有しうる。図5(b)には、パターン部203の対角線の延長線上の付近に4つの貫通孔223が配置されているが、貫通孔の数、形状、配置位置は、平面視でパターン部203と重ならないかぎり任意である。規制部材232は、Z方向下側において貫通孔223同士を連通する溝を有していてもよい。プレート233と規制部材232との接合は、プレート233の上面(第2面)が平坦な第1状態とプレート233がパターン部側に撓んだ第2状態との間でプレート233が変形できるように行われる。実施形態においては、プレート233の上面(第2面)におけるパターン部203を取り囲む周辺部237が、接着剤215により、規制部材232の下面にある接着面235と接着される。規制部材232の接着面235は、接着剤215の厚みを考慮して、中央部下面236より若干高くなる位置に形成される。
図5(b)は、規制部材232とプレート233を横に並べ、Z方向下側から上側に向かって見た図である。プレート233の中央のメサ部にはパターン部203が形成されている。プレート233は例えば石英ガラスにて製作される。規制部材232は、上記したように1つまたは複数の貫通孔223および接着面235を有する。
接着剤215によって図5(c)の状態に組み上げられた型231は、図3(d)と同様に、貫通孔223を通して気体216を供給することによりプレート233のパターン部203を下凸形状に変形させることができる。このように、規制部材232は、パターン部203が下面側に凸状に変形する(第2状態になる)のは許容する一方、第1状態にあるプレート233がパターン部側とは反対側に撓むのを規制する。
本実施形態において、貫通孔223は、中央のパターン部203を避けた位置に形成される。貫通孔223をパターン部203を避けた位置に形成する理由は2つある。
第1の理由は、貫通孔223がパターン部203と重なる位置にある場合、貫通孔233の部分では、パターン部203の上面側への変形を規制するという規制部材としての役割が果たされないからである。貫通孔233の部分では、パターン部203の上面側への変形を防止できない。
第2の理由は、貫通孔223には、パターン部203と規制部材232の中央部下面236と間に挟まれた気体116が抜ける速度を制御する役割があるためである。以下、具体的に説明する。不図示だが、図2(d)〜(e)の過程で型201をインプリント材114から剥がすとき、パターン部203は引っ張られて凸形状になる。インプリント材114とパターン部203とが剥がれた瞬間、パターン部203はZ方向上方へ急上昇し、振動した後に、平坦な状態で静止する。図3には規制部材212、図4には規制部材222、図5にも同様に規制部材232があり、インプリント材114とパターン部203とが剥がれた瞬間、パターン部203はZ方向上方へ急上昇して規制部材と衝突する可能性がある。そのような衝突を防ぐ働きを、空間に挟まれた気体116が担う。気体116を逃がす流路である貫通孔223がパターン部203の周囲に配置されているのはそのためである。気体116の移動速度を貫通孔の径によって調整することにより、離型時の衝突を回避することができる。
なお、上記の理由により貫通孔223の位置が中央のパターン部203を避けて配置されうることは他の実施形態においても同様である。すなわち、図3(a)、(b)に示した溝213は、中央のパターン部203を避けた位置に形成されうる。同じく、図4(a)、(b)に示した貫通孔223は、中央のパターン部203を避けた位置に形成されうる。
<第4実施形態>
第4実施形態は第3実施形態の変形例である。図6(a)〜(c)を参照して、第4実施形態に係る型241の構造について説明する。図6(a)に示すように、規制部材242の基材側とは反対側の面(上面)に、凹部261が形成されている。上述したとおり、インプリント装置101は、型を変形するための型変形機構130を備えうる。型変形機構130は、型の側面に力を加えることによって型の形状を変えることができる。型241を構成する基材233と規制部材242は、例えば石英ガラスで作られる。ここで、規制部材242は凹部261を有しているため、図5(a)の型231に比べXY平面に平行な方向の剛性を弱く調整できる。これは型変形機構130に必要とする力を小さくしても変位させることができることを意味する。そしてこのことは、型変形機構130をより小さくかつ低コストで実現できることを意味する。
その他の構成は第3実施形態と概ね同様である。規制部材242は、規制部材242の上下の空間を連通するようにZ方向に貫く1つまたは複数の貫通孔223を有しうる。図6(b)には、パターン部203の対角線の延長線上の付近に4つの貫通孔223が配置されているが、貫通孔の数、形状、配置位置は、平面視でパターン部203と重ならないかぎり任意である。規制部材232は、Z方向下側において貫通孔223同士を連通する溝を有していてもよい。プレート233と規制部材242との接合は、プレート233の上面(第2面)が平坦な第1状態とプレート233がパターン部側に撓んだ第2状態との間でプレート233が変形できるように行われる。実施形態においては、プレート233の上面(第2面)におけるパターン部203を取り囲む周辺部237が、接着剤215により、規制部材242の下面にある接着面235と接着される。規制部材242の接着面235は、接着剤215の厚みを考慮して、中央部下面236より若干高くなる位置に形成される。
図6(b)は、規制部材242とプレート233を横に並べ、Z方向下側から上側に向かって見た図である。プレート233の中央のメサ部にはパターン部203が形成されている。プレート233は例えば石英ガラスにて製作される。規制部材242は、上記したように1つまたは複数の貫通孔223および接着面235を有する。
接着剤215によって図6(c)の状態に組み上げられた型241は、図3(d)と同様に、貫通孔223を通して気体216を供給することによりプレート233のパターン部203を下凸形状に変形させることができる。このように、規制部材242は、パターン部203が下面側に凸状に変形する(第2状態になる)のは許容する一方、第1状態にあるプレート233がパターン部側とは反対側に撓むのを規制する。
<第5実施形態>
図1のインプリント装置101に、図3から図6で示されたような複数の実施形態のうちのいずれかの型が搭載されて、インプリント処理が実行される。これにより、インプリント装置101のハードウェアに変更を加えることなく、インプリント材114の厚みを均一化することができる。
<物品製造方法の実施形態>
インプリント装置を用いて形成した硬化物のパターンは、各種物品の少なくとも一部に恒久的に、或いは各種物品を製造する際に一時的に、用いられる。物品とは、電気回路素子、光学素子、MEMS、記録素子、センサ、或いは、型等である。電気回路素子としては、DRAM、SRAM、フラッシュメモリ、MRAMのような、揮発性或いは不揮発性の半導体メモリや、LSI、CCD、イメージセンサ、FPGAのような半導体素子等が挙げられる。型としては、インプリント用のモールド等が挙げられる。
硬化物のパターンは、上記物品の少なくとも一部の構成部材として、そのまま用いられるか、或いは、レジストマスクとして一時的に用いられる。基板の加工工程においてエッチング又はイオン注入等が行われた後、レジストマスクは除去される。
次に、物品製造方法について説明する。図8の工程SAでは、絶縁体等の被加工材2zが表面に形成されたシリコン基板等の基板1zを用意し、続いて、インクジェット法等により、被加工材2zの表面にインプリント材3zを付与する。ここでは、複数の液滴状になったインプリント材3zが基板上に付与された様子を示している。
図8の工程SBでは、インプリント用の型4zを、その凹凸パターンが形成された側を基板上のインプリント材3zに向け、対向させる。図8の工程SCでは、インプリント材3zが付与された基板1zと型4zとを接触させ、圧力を加える。インプリント材3zは型4zと被加工材2zとの隙間に充填される。この状態で硬化用のエネルギーとして光を型4zを介して照射すると、インプリント材3zは硬化する。
図8の工程SDでは、インプリント材3zを硬化させた後、型4zと基板1zを引き離すと、基板1z上にインプリント材3zの硬化物のパターンが形成される。この硬化物のパターンは、型の凹部が硬化物の凸部に、型の凸部が硬化物の凹部に対応した形状になっており、即ち、インプリント材3zに型4zの凹凸パターンが転写されたことになる。
図8の工程SEでは、硬化物のパターンを耐エッチングマスクとしてエッチングを行うと、被加工材2zの表面のうち、硬化物が無いか或いは薄く残存した部分が除去され、溝5zとなる。図8の工程SFでは、硬化物のパターンを除去すると、被加工材2zの表面に溝5zが形成された物品を得ることができる。ここでは硬化物のパターンを除去したが、加工後も除去せずに、例えば、半導体素子等に含まれる層間絶縁用の膜、つまり、物品の構成部材として利用してもよい。
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
101:インプリント装置、103:型保持部、104:基板保持部、105:供給部、106:制御部、111:基板、210:基材、211:型(モールド)、212:規制部材

Claims (11)

  1. インプリント用のモールドであって、
    第1面と該第1面とは反対側の第2面とを有する基材と、
    前記基材に固定され、前記基材の部分の変形を規制する規制部材と、
    を有し、
    前記基材の前記第1面には、インプリントされるべきパターンを有するパターン部が形成されており、
    前記基材の前記第2面は、凹部と、前記凹部を取り囲む周辺領域とを含み、前記凹部は、前記周辺領域に平行な平面への正射影において前記パターン部を内包する大きさを有し、前記凹部は、前記凹部の底面が平坦な第1状態と前記底面が前記パターン部側に撓んだ第2状態とのいずれにもなるように変形可能であり、
    前記規制部材は、前記凹部内に配置されて、前記第1状態にある前記底面が前記パターン部側とは反対側に撓むのを規制する、
    ことを特徴とするモールド。
  2. 前記規制部材は前記凹部に嵌合していることを特徴とする請求項1に記載のモールド。
  3. 前記規制部材には、前記規制部材の上下の空間を連通する圧力制御用の溝または貫通孔が形成されていることを特徴とする請求項2に記載のモールド。
  4. 前記凹部は、前記溝または前記貫通孔を介して気体が供給されることにより前記第2状態になるように変形されることを特徴とする請求項3に記載のモールド。
  5. 前記溝または前記貫通孔は、前記パターン部を避けた位置に形成されていることを特徴とする請求項3または4に記載のモールド。
  6. インプリント用のモールドであって、
    第1面と該第1面とは反対側の第2面とを有する基材と、
    前記基材に固定され、前記基材の部分の変形を規制する規制部材と、
    を有し、
    前記基材の前記第1面には、インプリントされるべきパターンを有するパターン部が形成されており、
    前記基材の前記第2面が平坦な第1状態と前記基材が前記パターン部側に撓んだ第2状態との間で前記基材が変形できるように、前記基材の前記第2面における前記パターン部を取り囲む周辺部が前記規制部材と固定され、
    前記規制部材は、前記第1状態にある前記基材が前記パターン部側とは反対側に撓むのを規制する、
    ことを特徴とするモールド。
  7. 前記規制部材には、前記規制部材の上下の空間を連通する圧力制御用の貫通孔が形成されていることを特徴とする請求項6に記載のモールド。
  8. 前記貫通孔は、前記パターン部を避けた位置に形成されていることを特徴とする請求項7に記載のモールド。
  9. 前記規制部材の前記基材側とは反対側の面に凹部が形成されていることを特徴とする請求項6乃至8のいずれか1項に記載のモールド。
  10. 請求項1乃至9のいずれか1項に記載のモールドを用いて基板の上のインプリント材にパターンを形成することを特徴とするインプリント装置。
  11. 請求項10に記載のインプリント装置を用いて基板の上にパターンを形成する工程と、
    前記パターンが形成された基板を加工する工程と、
    を含み、前記加工された基板から物品を製造することを特徴とする物品製造方法。
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