JP2021183686A - 調光素子用重合性組成物、液晶調光素子、調光窓、スマートウィンドウ、液晶複合体およびその用途 - Google Patents

調光素子用重合性組成物、液晶調光素子、調光窓、スマートウィンドウ、液晶複合体およびその用途 Download PDF

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Abstract

【課題】透明電極付プラスチックフィルム基板との密着性が良好で耐光性および耐候性も良好となる調光素子用重合性組成物および該組成物を用いた、特性がバランスよく調光に適した液晶複合体およびその用途を提供する。【解決手段】液晶組成物とともに含まれる重合体の前駆体が、窒素原子を有する非環状構造の単官能重合性化合物、環状構造を有する単官能重合性化合物、および多官能のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーのそれぞれを少なくとも1つ含有する。【選択図】なし

Description

本発明は、主として調光素子用重合性組成物、液晶調光素子に関する。更に詳しくは、重合体前駆体と正の誘電率異方性を有する液晶組成物とを組み合せた調光素子用重合性組成物および該組成物から得られた液晶複合体を用いた液晶調光素子およびその用途に関する。
液晶調光素子には、光散乱を利用するなどの方法がある。このような素子は窓ガラスや部屋の仕切りのような建築材料、車載部品などに使われる。これらの素子には、ガラス基板のような硬質基板に加えて、プラスチックフィルムのような軟質基板が使われる。
これらの基板に挟持された液晶組成物では、印加する電圧を調節することによって、液晶分子の配列が変わる。この方法によって、液晶組成物を透過する光を制御することができるので、液晶調光素子は、ディスプレイ、光シャッター、調光窓(特許文献1)、スマートウィンドウ(特許文献2)などに幅広く使用されている。
液晶調光素子の一例は、光散乱モードの高分子分散型の素子である。液晶組成物は、重合体中に分散している(液晶複合体)。この素子は次の特徴を有している。素子の作製が容易である。広い面積に渡って膜厚制御が容易であるので、大きな画面の素子を作製することが可能である。偏光板を必要としないので、明るい表示が可能である。光散乱を利用するので視野角が広い。この素子は、このような優れた性質を持っているので、調光ガラス、投射型ディスプレイ、大面積ディスプレイなどの用途が期待されている。
別の例は、ポリマーネットワーク型の液晶調光素子である。この型の素子では、重合体の三次元ネットワーク中に液晶組成物が存在する。この組成物は連続している点で、高分子分散型とは異なる。この型の素子も、高分子分散型の素子と同様な特徴を有している。ポリマーネットワーク型と高分子分散型とが混在した液晶調光素子も存在する。
液晶調光素子には適切な特性を有する液晶組成物が用いられる。この組成物の特性を向上させることによって、良好な特性を有する素子を得ることができる。2つの特性における関連を下記の表1にまとめる。組成物の特性を素子に基づいてさらに説明する。ネマチック相の温度範囲は、素子の使用できる温度範囲に関連する。ネマチック相の好ましい上限温度は約70℃以上であり、そしてネマチック相の好ましい下限温度は約−20℃以下である。組成物の粘度は素子の応答時間に関連する。光の透過率を制御するためには短い応答時間が好ましい。1ミリ秒でも他の素子より短い応答時間が望ましい。したがって、組成物における小さな粘度が好ましい。低い温度における小さな粘度はさらに好ましい。組成物の弾性定数は素子の応答時間に関連する。素子において短い応答時間を達成するためには、組成物における大きな弾性定数が好ましい。
Figure 2021183686
液晶組成物の光学異方性は、液晶調光素子のヘイズ率に関連する。ヘイズ率は全透過光に対する拡散光の割合である。光を遮断するときは大きなヘイズ率が好ましい。大きなヘイズ率には大きな光学異方性が好ましい。組成物における大きな誘電率異方性は、素子における低いしきい値電圧や小さな消費電力に寄与する。したがって、大きな誘電率異方性が好ましい。組成物における大きな比抵抗は、素子における大きな電圧保持率に寄与する。したがって、初期段階において大きな比抵抗を有する組成物が好ましい。長時間使用したあと、大きな比抵抗を有する組成物が好ましい。光や熱に対する組成物の安定性や耐候性は、素子の寿命に関連する。この安定性や耐候性が良好であるとき、寿命が長い。残像や滴下痕のような表示不良も、素子の寿命に関連する。耐候性が高く、表示不良が発生しにくい素子が望まれている。(特許文献3)
液晶調光素子には、ノーマルモードとリバースモードがある。ノーマルモードでは電圧無印加時に素子は不透明であり、電圧印加時に透明になる。このモードは、部屋の仕切りに適している。リバースモードでは電圧無印加時に素子は透明であり、電圧印加時に不透明になる。このモードは、素子が故障したときには透明になるので、自動車の窓に適している。液晶調光素子を有する調光窓やスマートウィンドウでは、前面基板と背面基板が共にリジッドな基板(ガラス板、プラスチック板)でなく、フレキシブルなプラスチックフィルムを用い、ロール・トゥ・ロール(roll to roll)方式での製造も検討されている。(特許文献4)
このようなプラスチック板やプラスチックフィルムには、透明電極(あるいは、さらに配向膜)が成膜されており、液晶層内に形成される重合体との密着性が必要である。(特許文献5〜8)
特許文献5〜8では、このような密着性と屋外での使用を想定した耐候性および耐光性を改善するための材料の組み合わせ等に関して、開示や示唆がなかった。
特開平06−273725号公報 国際公開第2011−096386号 国際公開第2019−026621号 特開2019−105680号公報 特開2011−026526号公報 特開2011−074304号公報 特開2011−105902号公報 特開2011−105908号公報
本発明の課題は、透明電極付プラスチックフィルム基板との密着性が良好で耐光性および耐候性も良好となる調光素子用重合性組成物を提供することである。
別の課題は、バランスよく調光に適した特性を有する液晶複合体を提供することである。
本発明者らは、さらなる液晶調光素子の特性向上の可能性を考慮し、ターフェニル構造を有する液晶性化合物やシアノ基を有する液晶性化合物を液晶組成物の一部に用いるというアプローチを考えた。液晶組成物が大きな光学異方性を有する液晶複合体は、大きなヘイズ率が得られると期待したからである。
そして、この可能性について検討したところ、特定の液晶性化合物と、特定の重合性化合物を組み合わせた場合に、密着性と屋外使用に対する安定性(耐候性および耐光性)を両立させることができ、特性がバランスよく調光に適した液晶複合体が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、液晶組成物および重合体の前駆体を含有し、
液晶組成物が式(1)で表される化合物から選択された少なくとも1つの化合物(成分Aとする)を含み、
重合体の前駆体が、窒素原子を有し非環状構造である単官能の重合性化合物の少なくとも1つ、環状構造を有する単官能の重合性化合物の少なくとも1つ、多官能のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの少なくとも1つを含有する調光素子用重合性組成物に関する。
また、本発明は、前駆体を重合することで得られる液晶複合体、およびこの液晶複合体を有する液晶調光素子などに関する。
Figure 2021183686
式(1)において、R1は、炭素数1から12のアルキル、炭素数1から12のアルコキシ、または炭素数2から12のアルケニルであり;環Aは、1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、2−フルオロ−1,4−フェニレン、3−フルオロ−1,4−フェニレン、2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2,6−ジフルオロ−1,4−フェニレン、ピリミジン−2,5−ジイル、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、またはテトラヒドロピラン−2,5−ジイルであり;Z1は、単結合、エチレン、ビニレン、エチニレン、メチレンオキシ、カルボニルオキシ、またはジフルオロメチレンオキシであり;X1およびX2は、それぞれ独立して、水素またはフッ素であり;Y1は、フッ素、塩素、シアノ、少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられた炭素数1から12のアルキル、少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられた炭素数1から12のアルコキシ、または少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられた炭素数2から12のアルケニルオキシであり;aは、1、2、3、または4である。
本発明によれば、液晶組成物と特定の重合性化合物を組み合せることで、透明電極が形成されたプラスチックフィルム基板を用いた際、液晶層内に形成される重合体と、透明電極付プラスチックフィルム基板との密着性が良好で耐光性および耐候性も良好となる調光素子用重合性組成物が得られる。
また、本発明によれば、ネマチック相の高い上限温度、ネマチック相の低い下限温度、小さな粘度、大きな光学異方性、正に大きな誘電率異方性、大きな比抵抗、光に対する高い安定性、熱に対する高い安定性、大きな弾性定数などの特性がバランスよく優れ、調光に適した特性を有する液晶複合体を得ることができる。
このような液晶複合体を用いると、短い応答時間、大きな電圧保持率、低いしきい値電圧、大きなヘイズ率、高い耐候性、長い寿命といった特性を有する液晶調光素子を提供することができる。
調光層を光が透過する状態の液晶調光素子を示す概略図である(電極層は不図示)。上下の基板間に電圧が印加されている場合、液晶性化合物が配向し、透明物質である重合体と液晶組成物の屈折率の差が小さくなり、入射した光の散乱は少なくなる。 上下の基板間への電圧が無印加の場合、液晶性化合物が無配向で存在し、調光層に光が入射した際、透明物質である重合体と液晶組成物の屈折率の違いにより、界面で入射光の強い散乱が生じる状態の液晶調光素子を示す概略図である(電極層は不図示)。
この明細書では、「液晶性化合物」、「重合性化合物」、「液晶組成物」、「重合性組成物」、「液晶複合体」、「液晶調光素子」などの用語を用いる。「液晶性化合物」は、ネマチック相、スメクチック相などの液晶相を有する化合物および液晶相を有しないが、ネマチック相の温度範囲、粘度、誘電率異方性のような特性を調節する目的で組成物に添加される化合物の総称である。この化合物は、例えば1,4−シクロヘキシレンや1,4−フェニレンのような六員環を有し、その分子(液晶分子)は棒状(rod-like)である。「重合性化合物」は、液晶組成物中に重合体を生成させる目的で添加する化合物である。アルケニルを有する液晶性化合物は、その意味では重合性化合物に分類されない。
「液晶組成物」は、複数の液晶性化合物を混合することによって調製される。この液晶組成物に、光学活性化合物、酸化防止剤、紫外線吸収剤、消光剤、色素、消泡剤、極性化合物のような添加物が必要に応じて添加される。液晶性化合物の割合は、添加物を添加した場合であっても、添加物を含まない液晶組成物に基づいた質量百分率(質量%)で表される。添加物の割合は、添加物を含まない液晶組成物に基づいた質量百分率で表される。すなわち、液晶性化合物や添加物の割合は、液晶性化合物の全量に基づいて算出される。なお、「質量%」の「質量」は、省略することがある。
「重合性組成物」は、液晶組成物に重合性化合物を混合することによって調製される。すなわち、重合性組成物は、少なくとも1つの重合性化合物と液晶組成物との混合物である。重合性化合物には、重合開始剤、重合禁止剤のような添加物が必要に応じて添加される。重合開始剤および重合禁止剤の割合は、液晶組成物と重合体の前駆体(重合性化合物)の全量(総量)に基づいた質量百分率で表される。重合性組成物に含まれる重合性化合物や液晶組成物の割合は、添加物を添加した場合であっても、添加物を含まない重合性組成物に基づいた質量百分率で表される。
「液晶複合体」は、重合性組成物の重合処理によって生成する、重合体前駆体の重合体と液晶組成物との複合体である。
「液晶調光素子」は、液晶複合体を有する素子であり、調光に用いられる液晶パネルおよび液晶モジュールの総称である。
「ネマチック相の上限温度」を「上限温度」と略すことがある。「ネマチック相の下限温度」を「下限温度」と略すことがある。「誘電率異方性を上げる」の表現は、誘電率異方性が正である組成物のときは、その値が正に増加することを意味し、誘電率異方性が負である組成物のときは、その値が負に増加することを意味する。「電圧保持率が大きい」は、素子が初期段階において室温だけでなく上限温度に近い温度でも大きな電圧保持率を有し、そして長時間使用したあと室温だけでなく上限温度に近い温度でも素子は大きな電圧保持率を有することを意味する。組成物や素子の特性が経時変化試験によって検討されることがある。
Figure 2021183686
上記の化合物(1z)を例にして説明する。式(1z)において、六角形で囲んだαおよびβの記号はそれぞれ環αおよび環βに対応し、六員環、縮合環のような環を表す。添え字'x'が2のとき、2つの環αが存在する。2つの環αが表す2つの基は、同一であってもよく、または異なってもよい。このルールは、添え字'x'が2より大きいとき、任意の2つの環αに適用される。このルールは、結合基Zのような、他の記号にも適用される。環βの一辺を横切る斜線は、環β上の任意の水素が置換基(−Sp−P)で置き換えられてもよいことを表す。添え字'y'は置き換えられた置換基の数を示す。添え字'y'が0のとき、そのような置き換えはない。添え字'y'が2以上のとき、環β上には複数の置換基(−Sp−P)が存在する。この場合にも、「同一であってもよく、または異なってもよい」のルールが適用される。なお、このルールは、Raの記号を複数の化合物に用いた場合にも適用される。
式(1z)において、例えば、「RaおよびRbは、アルキル、アルコキシ、またはアルケニルである」の表現は、RaおよびRbが独立して、アルキル、アルコキシ、およびアルケニルの群から選択されることを意味する。すなわち、Raによって表される基とRbによって表される基が同一であってもよく、または異なってもよい。
式(1z)で表される化合物から選択された少なくとも1つの化合物を「化合物(1z)」と略すことがある。「化合物(1z)」は、式(1z)で表される1つの化合物、2つの化合物の混合物、または3つ以上の化合物の混合物を意味する。他の式で表される化合物についても同様である。「式(1z)および式(2z)で表される化合物から選択された少なくとも1つの化合物」の表現は、化合物(1z)および化合物(2z)の群から選択された少なくとも1つの化合物を意味する。
「主成分」は、混合物や組成物の中で最も大きな割合を占める成分を意味する。例えば、40%の化合物(1z)、35%の化合物(2z)、および25%の化合物(3z)の混合物において、主成分は、化合物(1z)である。成分が化合物(1z)のみであるときも、化合物(1z)は主成分と呼ばれる。化合物(1z)が単一の化合物であるときも、この化合物は主成分と呼ばれる。
「少なくとも1つの'A'」の表現は、'A'の数は任意であることを意味する。「少なくとも1つの'A'は、'B'で置き換えられてもよい」の表現は、'A'の数が1つのとき、'A'の位置は任意であり、'A'の数が2つ以上のときも、それらの位置は制限なく選択できる。「少なくとも1つの−CH2−は−O−で置き換えられてもよい」の表現が使われることがある。この場合、−CH2−CH2−CH2−は、隣接しない−CH2−が−O−で置き換えられることによって−O−CH2−O−に変換されてもよい。しかしながら、隣接した−CH2−が−O−で置き換えられることはない。この置き換えでは−O−O−CH2−(ペルオキシド)が生成するからである。
液晶組成物に含有する液晶性化合物のアルキルは、直鎖または分岐鎖であり、環状アルキルを含まない。直鎖アルキルは、分岐鎖アルキルよりも好ましい。これらのことは、アルコキシ、アルケニルのような末端基についても同様である。1,4−シクロヘキシレンに関する立体配置は、上限温度を上げるためにシスよりもトランスが好ましい。
2−フルオロ−1,4−フェニレンは左右非対称であるから、左向き(L)および右向き(R)が存在する。
Figure 2021183686
テトラヒドロピラン−2,5−ジイルのような二価基においても同様である。カルボニルオキシのような結合基(−COO−または−OCO−)も同様である。本発明では、いずれも採用することができる。
なお、組成について、「合計質量に基づいて」は、組成物や混合物における全ての成分の合計質量中の各成分の質量割合を示し、いわゆる「内割」の比率となる。一方、「合計質量に対して」は、組成物や混合物の合計質量に対する、その成分の質量比となり、いわゆる「外割」の比率となる。
本発明は、下記の項などである。
項1.
液晶組成物、重合体の前駆体、および光重合開始剤を含有する調光素子用重合性組成物であり、
上記液晶組成物が、成分Aとして式(1)で表される液晶性化合物を含有し、
上記重合体の前駆体が、
式(M−1)で表される化合物から選択される少なくとも1つの単官能重合性化合物、
環状構造を有する式(M−2)で表される化合物から選択される少なくとも1つの単官能重合性化合物、および
多官能重合性化合物として2以上の(メタ)アクリロイルを有するウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーから選択される少なくとも1つを、
それぞれ含有する、調光素子用重合性組成物。
Figure 2021183686
(式(1)において、R1は、炭素数1から12のアルキル、炭素数1から12のアルコキシ、または炭素数2から12のアルケニルであり;環Aは、1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、2−フルオロ−1,4−フェニレン、3−フルオロ−1,4−フェニレン、2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2,6−ジフルオロ−1,4−フェニレン、ピリミジン−2,5−ジイル、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、またはテトラヒドロピラン−2,5−ジイルであり;Z1は、単結合、エチレン、ビニレン、エチニレン、メチレンオキシ、カルボニルオキシ、またはジフルオロメチレンオキシであり;X1およびX2はそれぞれ独立して、水素またはフッ素であり;Y1は、フッ素、塩素、シアノ、少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられた炭素数1から12のアルキル、少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられた炭素数1から12のアルコキシ、または少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられた炭素数2から12のアルケニルオキシであり;aは、1、2、3、または4であり;
Figure 2021183686
式(M−1)において、
100は、水素、フッ素、炭素数1から5のアルキル、または少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられた炭素数1から5のアルキルであり;
100およびR101は、それぞれ独立して水素、または炭素数1から12の、アルキルもしくはヒドロキシアルキルであり、
これらのアルキルもしくはヒドロキシアルキルにおいて、少なくとも1つの−CH2−は、−O−、−N(R102)−、−CO−、−COO−、または−OCO−で置き換えられてもよく、R102は、水素、炭素数1から12のアルキルであり;
Figure 2021183686
式(M−2)において、
101は、水素、フッ素、炭素数1から5のアルキル、または少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられた炭素数1から5のアルキルであり;
100は単結合または炭素数1から10のアルキレンであり、このアルキレンにおいて、少なくとも1つの水素は、フッ素または塩素で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−CH2−は、−O−、−CO−、−COO−、または−OCO−で置き換えられてもよく;
103は、炭素環式の飽和脂肪族化合物、複素環式の飽和脂肪族化合物、炭素環式の不飽和脂肪族化合物、複素環式の不飽和脂肪族化合物、または、炭素環式もしくは複素環式の芳香族化合物から1つの水素を除くことによって生成した、炭素数1から12のアルキルで置き換えられてもよい炭素数5から35の一価基であり、この一価基における、少なくとも1つの−CH2−は、−O−、−CO−、−COO−、または−OCO−で置き換えられてもよい。
項2.
上記式(1)で表される化合物が、式(1−1)から式(1−48)で表される化合物からなる群より選択された少なくとも1つの化合物である項1に記載の調光素子用重合性組成物。
Figure 2021183686
Figure 2021183686
Figure 2021183686
Figure 2021183686
Figure 2021183686
Figure 2021183686
(式(1−1)から式(1−48)において、R1は、炭素数1から12のアルキル、炭素数1から12のアルコキシ、または炭素数2から12のアルケニルであり、X1およびX2はそれぞれ独立して、水素またはフッ素であり;Y1は、フッ素、塩素、シアノ、少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられた炭素数1から12のアルキル、少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられた炭素数1から12のアルコキシ、または少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられた炭素数2から12のアルケニルオキシである。)
項3.
上記液晶組成物の質量に基づいて、成分Aの割合が5質量%から90質量%の範囲である、項1または2に記載の調光素子用重合性組成物。
項4.
上記液晶組成物が、さらに成分Bとして式(2)で表される液晶性化合物を含有する、項1から3のいずれか1項に記載の調光素子用重合性組成物。
Figure 2021183686
(式(2)において、R3は環Cの炭素原子に結合する基であり、R2およびR3はそれぞれ独立に、炭素数1から12のアルキル、炭素数1から12のアルコキシ、炭素数2から12のアルケニル、または少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられた炭素数2から12のアルケニルであり;
環Bおよび環Cはそれぞれ独立に、1,4−シクロヘキシレン、1,3−フェニレン、1,4−フェニレン、2−フルオロ−1,4−フェニレン、2,5−ジフルオロ−1,4−フェニレン、またはピリミジン−2,5−ジイルであり;
2は、単結合、エチレン、ビニレン、エチニレン、メチレンオキシ、またはカルボニルオキシであり;
bは、1、2、または3である。)
項5.
液晶組成物が成分Bとして式(2−1)から式(2−23)で表される液晶性化合物からなる群より選択された少なくとも1つの化合物を含有する、項4に記載の調光素子用重合性組成物。
Figure 2021183686
Figure 2021183686
(式(2−1)から式(2−23)において、R2およびR3は、炭素数1から12のアルキル、炭素数1から12のアルコキシ、炭素数2から12のアルケニル、または少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられた炭素数2から12のアルケニルである。)
項6.
液晶組成物の質量に基づいて、成分Bの割合が5質量%から90質量%の範囲である、項4または5に記載の調光素子用重合性組成物。
項7.
液晶組成物が、成分Cとして式(3)で表される液晶性化合物を含有する、項1から6のいずれか1項に記載の調光素子用重合性組成物。
Figure 2021183686
(式(3)において、R4およびR5はそれぞれ独立に、水素、炭素数1から12のアルキル、炭素数1から12のアルコキシ、炭素数2から12のアルケニル、または炭素数2から12のアルケニルオキシであり;環Dおよび環Fはそれぞれ独立に、1,4−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、テトラヒドロピラン−2,5−ジイル、1,4−フェニレン、少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられた1,4−フェニレン、ナフタレン−2,6−ジイル、少なくとも1つの水素がフッ素もしくは塩素で置き換えられたナフタレン−2,6−ジイル、クロマン−2,6−ジイル、または少なくとも1つの水素がフッ素もしくは塩素で置き換えられたクロマン−2,6−ジイルであり;環Eは、2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2−クロロ−3−フルオロ−1,4−フェニレン、2,3−ジフルオロ−5−メチル−1,4−フェニレン、3,4,5−トリフルオロナフタレン−2,6−ジイル、7,8−ジフルオロクロマン−2,6−ジイル、3,4,5,6−テトラフルオロフルオレン−2,7−ジイル、4,6−ジフルオロジベンゾフラン−3,7−ジイル、4,6−ジフルオロジベンゾチオフェン−3,7−ジイル、または1,1,6,7−テトラフルオロインダン−2,5−ジイルであり;Z3およびZ4は、独立して、単結合、エチレン、ビニレン、メチレンオキシ、またはカルボニルオキシであり;cは、0、1、2、または3であり、dは0または1であり、cとdとの和は3以下である。)
項8.
成分Cが、式(3−1)から式(3−35)で表される化合物からなる群より選択された少なくとも1つの化合物である、項7に記載の調光素子用重合性組成物。
Figure 2021183686
Figure 2021183686
Figure 2021183686
Figure 2021183686
(式(3−1)から式(3−35)において、R4およびR5はそれぞれ独立に、水素、炭素数1から12のアルキル、炭素数1から12のアルコキシ、炭素数2から12のアルケニル、または炭素数2から12のアルケニルオキシである。)
項9.
液晶組成物の質量に基づいて、成分Cの割合が3質量%から25質量%の範囲である、項7または8に記載の調光素子用重合性組成物。
項10.
上記式(M−1)で表される化合物が、
100は、水素、またはメチルであり;
100およびR101は、それぞれ独立して水素、炭素数1から10の直鎖または炭素数3から10の分岐鎖のアルキル、または炭素数1から10の直鎖または炭素数3から10の分岐鎖のヒドロキシアルキルであり、
これらのアルキルまたはヒドロキシアルキルにおいて、少なくとも1つの−CH2−は、−O−、または−N(R102)−、で置き換えられてもよく、R102は、水素、または炭素数1から10の直鎖アルキルであり; 上記式(M−1)で表される化合物が、
上記式(M−2)で表される化合物が、式(M−2−1)から式(M−2−10)で表される化合物からなる群より選択された少なくとも1つの化合物であり、
上記ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーが、ポリエステル系ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーおよびポリエーテル系ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーからなる群より選択された少なくとも1つであり、かつその重量平均分子量が、2,000から30,000の範囲である、項1に記載の調光素子用重合性組成物。
Figure 2021183686
(上記式中、M101は、水素、またはメチルであり;n100は、0、1または2であり、m100は2〜6の整数である)
項11.
上記重合体の前駆体として、式(M−3)および式(M−4)で表される化合物からなる群より選択されたリン酸部位を有する少なくとも1つの重合性化合物をさらに含む、項1から10のいずれか1項に記載の調光素子用重合性組成物。
Figure 2021183686
(式(M−3)から式(M−4)において、M102は、水素またはメチルであり;n101、n102およびn103は、独立して1から4である。)
項12.
上記重合体の前駆体として、式(M−5−E)および式(M−5−P)で表される化合物からなる群より選択された少なくとも1つの重合性化合物と、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートより選択された少なくとも1つの重合性化合物とを、さらに含む、項1から11のいずれか1項に記載の調光素子用重合性組成物。
Figure 2021183686
(式(M−5−E)および式(M−5−P)において、M501は水素、またはメチルであり、R502は炭素数1から6のアルキル、であり、nは1から30であり;
式(M−5−E)のエチレングルコール構造中および式(M−5−P)のプロピレングルコール構造中の水素は炭素数1から3のアルキルで置き換えられてもよく;
ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートにおけるアルキルは、炭素数2から10の直鎖または炭素数3から10の分岐鎖を有するアルキレンである。)
項13.
上記重合体の前駆体として、式(7)、式(8)、および式(9)で表される化合物からなる群より選択された少なくとも1つの重合性化合物をさらに含む、項1から12のいずれか1項に記載の調光素子用重合性組成物。
Figure 2021183686
式(7)、式(8)、および式(9)において、環G、環I、環J、環K、環L、および環Mはそれぞれ独立に、1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、1,4−シクロヘキセニレン、ピリジン−2,5−ジイル、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、またはフルオレン−2,7−ジイルであり、ここで、これら基に含まれる少なくとも1つの水素はフッ素、塩素、シアノ、ヒドロキシ、ホルミル、トリフルオロアセチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、炭素数1から5のアルキル、炭素数1から5のアルコキシ、炭素数2から5のアルコキシカルボニル、または炭素数1から5のアルカノイルで置き換えられてもよく;Z8、Z10、Z12、Z13、およびZ17はそれぞれ独立に、単結合、−O−、−COO−、−OCO−、または−OCOO−であり;Z9、Z11、Z14、およびZ16はそれぞれ独立に、単結合、−OCH2−、−CH2O−、−COO−、−OCO−、−COS−、−SCO−、−OCOO−、−CONH−、−NHCO−、−CF2O−、−OCF2−、−CH2CH2−、−CF2CF2−、−CH=CHCOO−、−OCOCH=CH−、−CH2CH2COO−、−OCOCH2CH2−、−CH=CH−、−N=CH−、−CH=N−、−N=C(CH3)−、−C(CH3)=N−、−N=N−、または−C≡C−であり;Z15は、単結合、−O−または−COO−であり;Y2は、水素、フッ素、塩素、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、炭素数1から20の直鎖アルキル、炭素数2から20の直鎖アルケニル、炭素数1から20のアルコキシ、または炭素数2から20の直鎖アルコキシカルボニルであり;fおよびhはそれぞれ独立に、1から4の整数であり;kおよびmはそれぞれ独立に、0から3の整数であり、kおよびmの和は、1から4であり;e、g、i、j、l、およびnはそれぞれ独立に、0から20の整数であり;M7からM12はそれぞれ独立に、水素またはメチルである。
項14.
液晶組成物と重合体の前駆体の合計質量に基づいて、液晶組成物の割合が30質量%から95質量%の範囲であり、重合体の前駆体の割合が、5質量%から70質量%の範囲である、項1から13のいずれか1項に記載の調光素子用重合性組成物。
項15.
液晶組成物と重合体の前駆体の合計質量に基づいて、
化合物(M−1)の割合が3質量%から25質量%の範囲であり、
化合物(M−2)の割合が3質量%から30質量%の範囲であり、
多官能のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの割合が5質量%から25質量%の範囲であり、ただし、重合体の前駆体の合計割合が、70質量%を超えない、
光重合開始剤の割合が、液晶組成物と重合体の前駆体の合計質量に基づいて0.1質量%から5質量%の範囲である、項1から14のいずれか1項に記載の調光素子用重合性組成物。
項16.
液晶組成物と重合体の前駆体の合計質量に基づいて、
化合物(M−3)および化合物(M−4)の割合が、0.001質量%から0.5質量%の範囲である、項11から15のいずれか1項に記載の調光素子用重合性組成物。
項17.
液晶組成物と重合体の前駆体の合計質量に基づいて、
化合物(M−5−E)および/または化合物(M−5−P)と、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとの合計割合が、2質量%から30質量%の範囲である、項12から16のいずれか1項に記載の調光素子用重合性組成物。
項18.
項1から17のいずれか1項に記載の調光素子用重合性組成物を重合して得られる液晶複合体である調光層が一対の透明基板により挟持され、透明基板が透明電極を有する、液晶調光素子。
項19.
透明基板がガラス板、プラスチック板またはプラスチックフィルムからなる、項18に記載の液晶調光素子。
項20.
照度(180W/m2)、照射時間(100時間)、槽内温度(35℃)の条件下で行った耐候性試験の前後におけるヘイズ変化率が20%以下である、項18または19に記載の液晶調光素子。
項21.
項18から20のいずれか1項に記載の液晶調光素子を使用する調光窓。
項22.
項18から20のいずれか1項に記載の液晶調光素子を使用するスマートウィンドウ。
項23.
項1から17のいずれか1項に記載の調光素子用重合性組成物を重合して得られる液晶複合体。
項24.
項23に記載の液晶複合体の、液晶調光素子への使用。
項25.
項23に記載の液晶複合体の、透明基板がプラスチック板またはプラスチックフィルムからなる液晶調光素子への使用。
項26.
項23に記載の液晶複合体の、調光窓への使用。
項27.
項23に記載の液晶複合体の、スマートウィンドウへの使用。
項28.
項1から17のいずれか1項に記載の調光素子用重合性組成物を重合して得られる液晶複合体の、透明基板がプラスチック板またはプラスチックフィルムからなる液晶調光素子への使用。
本発明は、次の項も含む。
(a)液晶組成物が、成分Aとして、項1に記載の化合物(1)において、Y1がフッ素である少なくとも1つの化合物を含有する、上記の調光素子用重合性組成物または液晶複合体。
(b)液晶組成物が、成分Aとして、項1に記載の化合物(1)において、Y1がシアノである少なくとも1つの化合物を含有する、上記の調光素子用重合性組成物または液晶複合体。
本発明は、次の項も含む。
(c)液晶組成物が、成分Aとして、項2に記載の化合物(1−1)、化合物(1−2)、化合物(1−3)、化合物(1−9)、化合物(1−13)、化合物(1−16)、化合物(1−21)、化合物(1−22)、化合物(1−23)、化合物(1−24)、化合物(1−27)、化合物(1−28)、化合物(1−33)、化合物(1−36)、化合物(1−41)、化合物(1−42)および化合物(1−48)、から選択された少なくとも1つの化合物を含有する、上記の調光素子用重合性組成物または液晶複合体。
本発明は、次の項も含む。
(d)液晶組成物が、成分Bとして、項5に記載の化合物(2−1)、化合物(2−2)、化合物(2−3)、化合物(2−4)、化合物(2−6)、化合物(2−9)、化合物(2−10)、化合物(2−12)、化合物(2−13)、化合物(2−14)、化合物(2−16)、化合物(2−17)、化合物(2−19)、および化合物(2−21)から選択された少なくとも1つの化合物を含有する、上記の調光素子用重合性組成物または液晶複合体。
本発明は、次の項も含む。
(e)液晶組成物が、成分Cとして、項8に記載の化合物(3−1)、化合物(3−5)、化合物(3−6)、化合物(3−7)、化合物(3−8)、化合物(3−12)、化合物(3−14)、化合物(3−19)、および化合物(3−34)から選択された少なくとも1つの化合物を含有する、上記の調光素子用重合性組成物または液晶複合体。
本発明は、次の項も含む。
(f)液晶複合体に基づいて、重合体の割合が5質量%から10質量%の範囲であり、液晶組成物の割合が95質量%から90質量%の範囲である、上記の液晶複合体。
本発明は、次の項も含む。
(g)液晶複合体に基づいて、重合体の割合が5質量%から70質量%の範囲であり、液晶組成物の割合が95質量%から30質量%の範囲である、上記の液晶複合体。
(h)液晶複合体に基づいて、重合体の割合が20質量%から60質量%の範囲であり、液晶組成物の割合が80質量%から40質量%の範囲である、上記の液晶複合体。
(i)液晶複合体に基づいて、重合体の割合が30質量%から45質量%の範囲であり、液晶組成物の割合が70質量%から55質量%の範囲である、上記の液晶複合体。
なお、液晶複合体中の重合体と液晶組成物との割合は、重合性組成物中の重合体の前駆体と液晶組成物との割合に相当する。
本発明は、次の項も含む。
(j)液晶複合体の前駆体が調光素子用重合性組成物であり、この重合性組成物が、液晶組成物および重合性化合物および光重合開始剤を含有する、上記の液晶複合体。
本発明は、重合体とネマチック相を有する液晶組成物とを含有する液晶複合体、およびこの複合体を有する液晶調光素子に関する。液晶複合体は、ネマチック液晶組成物と重合体とから構成される。
本発明を次の順で説明する。
第一に、重合性組成物を説明する。
第二に、液晶組成物を説明する。
第三に、液晶性化合物の主要な特性、およびこの化合物が液晶組成物や素子に及ぼす主要な効果を説明する。
第四に、液晶性化合物の組合せや好ましい割合を説明する。
第五に、液晶性化合物の好ましい形態を説明する。
第六に、好ましい液晶性化合物を説明する。
第七に、重合体の前駆体の好ましい形態およびその一例を説明する。
第八に、成分化合物の合成法を説明する。
第九に、重合性組成物に添加される光重合開始剤について説明する。
第十に、重合性組成物に添加してもよい、その他の添加物を説明する。
最後に、液晶複合体および液晶調光素子を説明する。
第一に、重合性組成物を説明する。本発明の重合性組成物は、調光素子用重合性組成物である。以下、単に重合性組成物と称する場合もある。
重合性組成物は液晶複合体の前駆体であり、液晶複合体は、重合体前駆体の重合によって生成する。
重合性組成物は、重合体前駆体と液晶組成物と光重合開始剤との混合物である。重合性組成物を素子に入れ、重合させると、重合によって生成した重合体が相分離し、液晶複合体を与える。液晶複合体中の重合体の量は、重合性組成物中の重合性前駆体の量に相当する。なお、光重合開始剤の質量は、重合体の質量に影響を与えない。
液晶複合体を有する素子は、重合体の割合によって、高分子支持配向型、ポリマーネットワーク型、高分子分散型に分類される。
重合体の割合が小さいとき、高分子支持配向型(polymer sustained alignment)の素子が生成する。これは、PSA素子と略される。国際公開2012−050178号公報の実施例1には、「モノマーは、液晶材料に対して、0.5wt%となるように添加した」(段落0105)と記載されている。この記載から分かるように、PSA素子においては、少量の重合性化合物が液晶材料(液晶組成物)に添加される。PSA素子では、重合体が液晶分子のプレチルト角を調整する。プレチルト角を最適化することによって液晶分子が安定化され、素子の応答時間が短縮される。
重合体の割合が大きいとき、高分子分散型の素子が生成する。このタイプの素子では、重合体中で液晶組成物が液滴のように分散している。各液滴はマイクロカプセル化されており、連続していない。液晶分子は、カプセルの内壁に沿って配列するのでランダム状態である。重合体の屈折率と液晶分子の屈折率が異なるので、入射光は散乱する。素子は不透明である。素子に電圧を印加したとき、液晶分子の屈折率が変化する。この屈折率が重合体の屈折率と同じになれば、入射光は素子を通過し、素子は透明になる。
一方、重合体の割合が中程度のとき、ポリマーネットワーク型の素子が生成する。このタイプの素子では、重合体は三次元の網目構造を有し、液晶組成物はこの網目に囲まれてはいるが、連続している。液晶分子はランダム状態であり、素子は不透明である。素子に電圧を印加したとき、液晶分子を電界方向に配列するので、素子は透明になる。液晶複合体に基づいた液晶組成物の割合は、効率的に光散乱させるために、大きい方が好ましい。液滴や網目が大きいとき、駆動電圧は低い。したがって、重合体の割合は、低い駆動電圧の観点から小さい方が好ましい。液滴や網目が小さいとき、応答時間は短い。したがって、重合体の割合は、短い応答時間の観点から大きい方が好ましい。
重合体前駆体の好ましい割合は、入射光を散乱させ、調光層(液晶複合体)と基板とのあいだの密着性を上げるために、重合性組成物の質量に基づいて5質量%から70質量%の範囲である。さらに好ましい割合は、重合性組成物に基づいて20質量%から60質量%の範囲である。特に好ましい割合は、重合性組成物に基づいて30質量%から50質量%の範囲である。
重合体前駆体の割合が5質量%から70質量%の範囲であるとき、ポリマーネットワーク型の素子や高分子分散型の素子が生成する。重合体の割合によっては、ポリマーネットワーク型と高分子分散型とが混在するようである。これらの素子では、PSA素子と異なり、偏光板が不要である。ポリマーネットワーク型の素子では、配向膜は必要に応じて使用される。
重合性組成物中の質量に基づいて、液晶組成物の割合が30質量%から95質量%の範囲であり、重合体前駆体の割合は、5質量%から70質量%の範囲であることが好ましい。
第二に、液晶組成物を説明する。この組成物は、複数の液晶性化合物を含有する。この組成物は、添加物を含有してもよい。添加物は、光学活性化合物、酸化防止剤、紫外線吸収剤、消光剤、色素、消泡剤、重合開始剤、重合禁止剤、極性化合物などである。この組成物は、液晶性化合物の観点から組成物Aと組成物Bに分類される。組成物Aは、式(1)で表される化合物、ならびに必要に応じて含まれる式(2)で表される化合物、および式(3)で表される化合物(それぞれ化合物(1)、化合物(2)、化合物(3)という)から選択された液晶性化合物の他に、その他の液晶性化合物、添加物などをさらに含有してもよい。「その他の液晶性化合物」は、化合物(1)、化合物(2)、および化合物(3)とは異なる液晶性化合物である。このような化合物は、特性をさらに調整する目的で組成物に混合される。
組成物Bは、実質的に化合物(1)、ならびに必要に応じて含まれる化合物(2)、および化合物(3)から選択された液晶性化合物のみからなる。「実質的に」は、組成物Bが添加物を含有してもよいが、その他の液晶性化合物を含有しないことを意味する。組成物Bは組成物Aに比較して成分の数が少ない。コストを下げるという観点から、組成物Bは組成物Aよりも好ましい。その他の液晶性化合物を混合することによって特性をさらに調整できるという観点から、組成物Aは組成物Bよりも好ましい。
第三に、液晶性化合物の主要な特性、およびこの化合物が液晶組成物や素子に及ぼす主要な効果を説明する。液晶性化合物の主要な特性を表2にまとめる。表2の記号において、Lは大きいまたは高い、Mは中程度の、Sは小さいまたは低い、を意味する。記号L、M、Sは、成分化合物のあいだの定性的な比較に基づいた分類であり、0(ゼロ)は、極めて小さいことを意味する。
Figure 2021183686
各液晶性化合物が液晶組成物の特性に及ぼす主要な効果は次のとおりである。
化合物(1)は成分Aとして用いられ、誘電率異方性を上げる。
化合物(2)は成分Bとして用いられ、上限温度を上げる、または下限温度を下げる。
化合物(3)は成分Cとして用いられ、液晶分子の短軸方向における誘電率を上げる。
第四に、液晶性化合物の組合せや好ましい割合を説明する。好ましい組合せは、成分A+成分B、成分A+成分C、または成分A+成分B+成分Cである。さらに好ましい組合せは、成分A+成分B、または成分A+成分B+成分Cである。成分Aの中から選択された特定の1つまたは2つの化合物と成分B(または、成分C)とを組み合せてもよい。成分Bや成分Cについても同様である。
成分Aの好ましい割合は、液晶組成物の質量に基づいて、誘電率異方性を上げるために5質量%以上であり、下限温度を下げるために90質量%以下である。さらに好ましい割合は10質量%から85質量%の範囲である。特に好ましい割合は20質量%から80質量%の範囲である。
成分Bの好ましい割合は、液晶組成物の質量に基づいて、上限温度を上げる、または下限温度を下げるために5質量%以上であり、誘電率異方性を上げるために90質量%以下である。さらに好ましい割合は10質量%から85質量%の範囲である。特に好ましい割合は20質量%から80質量%の範囲である。
成分Cの好ましい割合は、液晶組成物の質量に基づいて、液晶分子の短軸方向における誘電率を上げるために3質量%以上であり、下限温度を下げるために25質量%以下である。さらに好ましい割合は5質量%から20質量%の範囲である。特に好ましい割合は5質量%から15質量%の範囲である。
第五に、液晶性化合物の好ましい形態を説明する。式(1)において、R1は、炭素数1から12のアルキル、炭素数1から12のアルコキシ、または炭素数2から12のアルケニルである。好ましいR1は、光や熱に対する安定性を上げるために、炭素数1から12のアルキルである。化合物(1)の好ましい例である化合物(化合物(1−1)〜(1−48)など)においても、R1の定義、好適態様などは同様である。
式(2)において、R2およびR3は、炭素数1から12のアルキル、炭素数1から12のアルコキシ、炭素数2から12のアルケニル、または少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられた炭素数2から12のアルケニルである。好ましいR2またはR3は、上限温度を上げる、または下限温度を下げるために炭素数2から12のアルケニルであり、光や熱に対する安定性を上げるために炭素数1から12のアルキルである。化合物(2)の好ましい例である化合物(化合物(2−1)〜(2−23)など)においても、R2およびR3の定義、好適態様などは同様である。
式(3)において、R4およびR5は、水素、炭素数1から12のアルキル、炭素数1から12のアルコキシ、炭素数2から12のアルケニル、または炭素数2から12のアルケニルオキシである。好ましいR4またはR5は、光や熱に対する安定性を上げるために炭素数1から12のアルキルであり、液晶分子の短軸方向における誘電率を上げるために炭素数1から12のアルコキシである。化合物(3)の好ましい例である化合物(化合物(3−1)〜(3−35)など)においても、R4およびR5の定義、好適態様などは同様である。
好ましいアルキルは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、またはオクチルである。さらに好ましいアルキルは、粘度を下げるためにメチル、エチル、プロピル、ブチル、またはペンチルである。
好ましいアルコキシは、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、またはヘプチルオキシである。粘度を下げるために、さらに好ましいアルコキシは、メトキシまたはエトキシである。
好ましいアルケニルは、ビニル、1−プロペニル、2−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、4−ペンテニル、1−ヘキセニル、2−ヘキセニル、3−ヘキセニル、4−ヘキセニル、または5−ヘキセニルである。さらに好ましいアルケニルは、粘度を下げるためにビニル、1−プロペニル、3−ブテニル、または3−ペンテニルである。これらのアルケニルにおける−CH=CH−の好ましい立体配置は、二重結合の位置に依存する。粘度を下げるためなどから1−プロペニル、1−ブテニル、1−ペンテニル、1−ヘキセニル、3−ペンテニル、3−ヘキセニルのようなアルケニルにおいてはトランスが好ましい。2−ブテニル、2−ペンテニル、2−ヘキセニルのようなアルケニルにおいてはシスが好ましい。
好ましいアルケニルオキシは、ビニルオキシ、アリルオキシ、3−ブテニルオキシ、3−ペンテニルオキシ、または4−ペンテニルオキシである。粘度を下げるために、さらに好ましいアルケニルオキシは、アリルオキシまたは3−ブテニルオキシである。
少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられたアルキルの好ましい例は、フルオロメチル、2−フルオロエチル、3−フルオロプロピル、4−フルオロブチル、5−フルオロペンチル、6−フルオロヘキシル、7−フルオロヘプチル、または8−フルオロオクチルである。さらに好ましい例は、誘電率異方性を上げるために2−フルオロエチル、3−フルオロプロピル、4−フルオロブチル、または5−フルオロペンチルである。
少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられたアルケニルの好ましい例は、2,2−ジフルオロビニル、3,3−ジフルオロ−2−プロペニル、4,4−ジフルオロ−3−ブテニル、5,5−ジフルオロ−4−ペンテニル、または6,6−ジフルオロ−5−ヘキセニルである。さらに好ましい例は、粘度を下げるために2,2−ジフルオロビニルまたは4,4−ジフルオロ−3−ブテニルである。
環Aは、1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、2−フルオロ−1,4−フェニレン、3−フルオロ−1,4−フェニレン、2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2,6−ジフルオロ−1,4−フェニレン、ピリミジン−2,5−ジイル、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、またはテトラヒドロピラン−2,5−ジイルである。好ましい環Aは、光学異方性を上げるために1,4−フェニレン、2−フルオロ−1,4−フェニレンまたは3−フルオロ−1,4−フェニレンである。1,4−シクロヘキシレンに関する立体配置は、上限温度を上げるためにシスよりもトランスが好ましい。テトラヒドロピラン−2,5−ジイルは、
Figure 2021183686
または
Figure 2021183686
であり、好ましくは
Figure 2021183686
である。
環Bおよび環Cは、1,4−シクロヘキシレン、1,3−フェニレン、1,4−フェニレン、2−フルオロ−1,4−フェニレン、2,5−ジフルオロ−1,4−フェニレン、またはピリミジン−2,5−ジイルである。好ましい環Bまたは環Cは、上限温度を上げるために、または下限温度を下げるために1,4-シクロヘキシレンであり、下限温度を下げるために1,4−フェニレンである。
環Dおよび環Fは、1,4−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、テトラヒドロピラン−2,5−ジイル、1,4−フェニレン、少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられた1,4−フェニレン、ナフタレン−2,6−ジイル、少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられたナフタレン−2,6−ジイル、クロマン−2,6−ジイル、または少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられたクロマン−2,6−ジイルである。好ましい環Dまたは環Fは、下限温度を下げるために、または上限温度を上げるために、1,4-シクロヘキシレンであり、下限温度を下げるために1,4−フェニレンである。
環Eは、2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2−クロロ−3−フルオロ−1,4−フェニレン、2,3−ジフルオロ−5−メチル−1,4−フェニレン、3,4,5−トリフルオロナフタレン−2,6−ジイル、7,8−ジフルオロクロマン−2,6−ジイル、3,4,5,6−テトラフルオロフルオレン−2,7−ジイル(FLF4)、4,6−ジフルオロジベンゾフラン−3,7−ジイル(DBFF2)、4,6−ジフルオロジベンゾチオフェン−3,7−ジイル(DBTF2)、または1,1,6,7−テトラフルオロインダン−2,5−ジイル(InF4)である。
Figure 2021183686
好ましい環Eは、粘度を下げるために2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレンであり、液晶分子の短軸方向における誘電率を上げるために4,6−ジフルオロジベンゾチオフェン−3,7−ジイルである。
1は、単結合、エチレン、ビニレン、エチニレン、メチレンオキシ、カルボニルオキシ、またはジフルオロメチレンオキシである。好ましいZ1は、上限温度を上げるために単結合であり、誘電率異方性を上げるためにジフルオロメチレンオキシである。特に好ましいZ1は、単結合である。Z2は、単結合、エチレン、ビニレン、エチニレン、メチレンオキシ、またはカルボニルオキシである。好ましいZ2は、光や熱に対する安定性を上げるために単結合である。Z3およびZ4は、独立して、単結合、エチレン、ビニレン、メチレンオキシ、またはカルボニルオキシである。好ましいZ3またはZ4は、下限温度を下げるために単結合であり、液晶分子の短軸方向における誘電率を上げるためにメチレンオキシである。特に好ましいZ3またはZ4は、単結合である。
メチレンオキシのような二価基は、左右非対称である。メチレンオキシにおいて、−CH2O−は−OCH2−よりも好ましい。カルボニルオキシにおいて、−COO−は−OCO−よりも好ましい。ジフルオロメチレンオキシにおいて、−CF2O−は−OCF2−よりも好ましい。
aは、1、2、3、または4である。好ましいaは、下限温度を下げるために2であり、誘電率異方性を上げるために3である。bは、1、2、または3である。好ましいbは、下限温度を下げるために1であり、上限温度を上げるために2または3である。cは、0、1、2、または3であり、dは、0または1であり、cおよびdの和は3以下である。好ましいcは、下限温度を下げるために1であり、上限温度を上げるために2または3である。好ましいdは、液晶分子の短軸方向における誘電率を上げるために0であり、下限温度を下げるために1である。
1およびX2は、水素またはフッ素である。好ましいX1またはX2は、上限温度を上げるために水素であり、誘電率異方性を上げるためにフッ素である。
1は、フッ素、塩素、シアノ、少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられた炭素数1から12のアルキル、少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられた炭素数1から12のアルコキシ、または少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられた炭素数2から12のアルケニルオキシである。好ましいY1は、粘度を下げるためにフッ素であり、誘電率異方性や屈折率異方性を上げるためにシアノである。
少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられたアルキルの好ましい例は、トリフルオロメチルである。少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられたアルコキシの好ましい例は、トリフルオロメトキシである。少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられたアルケニルオキシの好ましい例は、トリフルオロビニルオキシである。
第六に、好ましい液晶性化合物を示す。成分Aとして使用される好ましい化合物(1)は、項2に記載の式(1−1)から(1−48)で表される化合物(それぞれ化合物(1−1)〜(1−48)とする)である。
成分Aとして使用される化合物(1)は、少なくとも1つが、化合物(1−1)、化合物(1−2)、化合物(1−6)、化合物(1−7)、化合物(1−9)、化合物(1−13)、化合物(1−16)、化合物(1−17)、化合物(1−23)、化合物(1−24)、化合物(1−28)、化合物(1−29)、化合物(1−30)、化合物(1−33)、化合物(1−34)、化合物(1−41)、化合物(1−42)または化合物(1−48)であることが好ましい。
また、成分Aの少なくとも2つが、
化合物(1−1)および化合物(1−6)、
化合物(1−1)および化合物(1−9)、
化合物(1−2)および化合物(1−9)、
化合物(1−2)および化合物(1−16)、
化合物(1−9)および化合物(1−16)、
化合物(1−9)および化合物(1−24)、
化合物(1−9)および化合物(1−41)、
化合物(1−13)および化合物(1−16)、
化合物(1−16)および化合物(1−24)、
化合物(1−16)および化合物(1−41)、
化合物(1−16)および化合物(1−42)、または
化合物(1−16)および化合物(1−48)の組合せ
であることが好ましい。
さらに、複数の化合物(1−6)、複数の化合物(1−9)、複数の化合物(1−16)、複数の化合物(1−29)、複数の化合物(1−41)を組み合わせてもよい。
成分Aとして、化合物(1)において、Y1がフッ素である少なくとも1つの化合物を含有することにより、液晶組成物の誘電率異方性や屈折率異方性が上がる傾向がある。 成分Aとして、化合物(1)において、Y1がシアノである少なくとも1つの化合物を含有することにより、重合性化合物と液晶性化合物の相溶性が向上する傾向がある。
成分Bとして好ましい化合物(2)は、項5に記載の式(2−1)から(2−23)であらわされる化合物(それぞれ、化合物(2−1)から(2−23)とする)である。これらの化合物において、成分Bの少なくとも1つが、化合物(2−1)、化合物(2−2)、化合物(2−3)、化合物(2−6)、化合物(2−9)、化合物(2−10)、化合物(2−11)、化合物(2−12)、化合物(2−13)、化合物(2−16)、化合物(2−20)、または化合物(2−21)であることが好ましい。
成分Bの少なくとも2つが、
化合物(2−2)および化合物(2−9)、
化合物(2−2)および化合物(2−10)、
化合物(2−2)および化合物(2−12)、
化合物(2−9)および化合物(2−10)、
化合物(2−9)および化合物(2−12)、
化合物(2−9)および化合物(2−13)、
化合物(2−10)および化合物(2−12)、または
化合物(2−12)および化合物(2−13)
の組合せであることが好ましい。
さらに、複数の化合物(2−9)、複数の化合物(2−12)を組み合わせてもよい。
ターフェニル構造を有する化合物を利用することで、液晶相の上限温度は上がる傾向がある。また、フッ素置換のターフェニル構造の液晶性化合物は他の液晶性化合物との相溶性が向上する傾向がある。
成分Cとして使用される好ましい化合物(3)は、項8に記載の式(3−1)から(3−35)であらわされる化合物(それぞれ化合物(3−1)から(3−35)とする)である。
これらの化合物において、成分Cの少なくとも1つが、化合物(3−1)、化合物(3−3)、化合物(3−6)、化合物(3−8)、化合物(3−10)、化合物(3−14)、または化合物(3−34)であることが好ましい。成分Cの少なくとも2つが、化合物(3−1)および化合物(3−8)、化合物(3−1)および化合物(3−14)、化合物(3−3)および化合物(3−8)、化合物(3−3)および化合物(3−14)、化合物(3−3)および化合物(3−34)、化合物(3−6)および化合物(3−8)、化合物(3−6)および化合物(3−10)、または化合物(3−6)および化合物(3−14)の組合せであることが好ましい。
第七に、重合体前駆体の好ましい形態およびその一例を説明する。重合体前駆体からは重合によって重合体が誘導される。重合体の前駆体は重合性化合物である。
電極付プラスチックフィルムと液晶複合体の密着性を確保するための重合体の前駆体は、環状構造を有さない単官能重合性化合物(M−1)、環状構造を有する単官能重合性化合物(M−2)および多官能のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーをいずれも使用する組み合わせが好ましい。
それぞれの重合性化合物およびウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、単独であってもよく、または複数の化合物の混合物であってもよい。
好ましい単官能重合性化合物は、式(M−1)で表される化合物(化合物(M−1))である。
Figure 2021183686
式(M−1)において、
100は、水素、フッ素、炭素数1から5のアルキル、または少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられた炭素数1から5のアルキルであり、好ましくは、水素またはメチルである。
100およびR101は、それぞれ独立して水素、炭素数1から12の直鎖または分岐鎖のアルキル、炭素数1から12の直鎖または分岐鎖のヒドロキシアルキルであり、これらのアルキルまたはヒドロキシアルキルにおいて、少なくとも1つの−CH2−は、−O−、−N(R102)−、−CO−、−COO−、または−OCO−で置き換えられてもよく、R102は、水素、炭素数1から12の直鎖または分岐鎖のアルキルであり、
好ましくは、
それぞれ独立して水素、炭素数1から10の直鎖アルキル、または炭素数3から10の分岐鎖のアルキル、炭素数1から10の直鎖のヒドロキシアルキル、または炭素数3から10の分岐鎖のヒドロキシアルキルであり、
これらのアルキルまたはヒドロキシアルキルにおいて、少なくとも1つの−CH2−は、−O−、または−N(R102)−、で置き換えられてもよく、R102は、水素、炭素数1から10の直鎖のアルキルである。
好ましい化合物(M−1)は、下記のような例が挙げられる。
N,N−ジメチルアクリルアミド、
N,N−ジエチルアクリルアミド、
イソプロピルアクリルアミド、
N−(ブトキシメチル)アクリルアミド、
N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド、
N−[3−(ジメチルアミノ)エチル]アクリルアミド、
N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]アクリルアミド、である。
環状構造を有する単官能重合性化合物は式(M−2)で表される化合物(化合物(M−2)である。
Figure 2021183686
式(M−2)において、
101は、水素、フッ素、炭素数1から5のアルキル、または少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられた炭素数1から5のアルキルであり、Z100は単結合または炭素数1から10のアルキレンであり、このアルキレンにおいて、少なくとも1つの水素は、フッ素または塩素で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−CH2−は、−O−、−CO−、−COO−、または−OCO−で置き換えられてもよく、
103は、炭素環式の飽和脂肪族化合物、複素環式の飽和脂肪族化合物、炭素環式の不飽和脂肪族化合物、複素環式の不飽和脂肪族化合物、または、炭素環式もしくは複素環式の芳香族化合物から1つの水素を除くことによって生成した炭素数5から35の一価基であり、このR103に含まれる少なくとも1つの水素は、炭素数1から12のアルキルで置き換えられてもよく、少なくとも1つの−CH2−は、−O−、−CO−、−COO−、または−OCO−で置き換えられてもよい。
好ましくは、式(M−2−1)から式(M−2−10)で表される化合物から選択された少なくとも1つの化合物である。
Figure 2021183686
101は、水素またはメチルであり、n100は、0、1または2であり、m100は2〜6の整数である。
多官能重合性化合物として用いる2以上の(メタ)アクリロイル基を有するウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、ポリエステル系ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエーテル系ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーが好ましく、ポリエーテル系ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーがより好ましい。
重量平均分子量は、2,000から30,000の範囲であることが好ましく、5,000から15,000の範囲がより好ましく、7,000から12,000の範囲がさらに好ましい。
重量平均分子量が小さすぎる場合、硬化収縮の影響が大きくなり、密着性が低下する傾向があるためである。逆に重量平均分子量が大きすぎる(単量体単位の鎖長が長くなりすぎる)場合、ネットワーク構造の密度が低くなり、オリゴマーの分子鎖間に液晶分子が入り込みやすくなると考えられ、そのため、重合体界面と液晶性化合物との相互作用が低下し、液晶複合体に含まれる液晶組成物の駆動電圧が低くなる傾向にある。
密着性をさらに強固にする場合には、重合体前駆体として、リン酸部位を有する重合性化合物(M−3)または化合物(M−4)を追加で用いてもよい。
Figure 2021183686
式(M−3)から式(M−4)において、
102は、水素またはメチルであり、
101、n102およびn103は、独立して1から4である。
好ましいn101、n102およびn103は、独立して2である。
ここでは、重合体の前駆体の役割について説明する。
窒素原子を有し、非環状構造である単官能重合性化合物(M−1)は、得られる重合体のガラス転移温度を制御することができる。重合性化合物(M−1)は直鎖アルキル、分岐鎖アルキルなど線状構造の基を有し、得られる重合体のガラス転移温度が低くなる傾向にある。重合体のガラス転移温度が低いと液晶複合体に含まれる液晶組成物の駆動温度範囲を下げることが可能となる。また、基板界面や電極界面への強い相互作用や、後述のウレタン(メタ)アクリレートとも強く相互作用すると考えられることから、密着性を向上させる寄与は大きいものと想定される。
環状構造の基を有する単官能重合性化合物(M−2)も得られる重合体のガラス転移温度を制御することができる。重合性化合物(M−2)は得られる重合体のガラス転移温度を高くする傾向にある。重合性化合物(M−2)から得られる重合体は、重合性化合物(M−1)を用いた重合体に比べ、弾性率が上がる傾向があると考えられる。密着性は、剥がし試験で評価され、剥がし試験における剥離は、調光層内で起こる凝集剥離と界面で起こる界面剥離がある。弾性率が上がると、調光層内で起こる凝集剥離を抑制できるようになると考えられ、支持基板との密着性が高くなる傾向にある。
重合体中に線状構造の基を有する単量体単位が含まれるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーでは、単量体単位の鎖長が長くなると、重合体界面と液晶性化合物との相互作用が低下し、液晶複合体に含まれる液晶組成物の駆動電圧が低くなる傾向にあるため、本発明では、前記のように所定の分子量を採用している。線状構造の基を有する単量体構造にエーテル構造が含まれると、得られる液晶複合体に含まれる液晶組成物の駆動電圧が低くなる傾向にある。
本願の液晶複合体を液晶調光素子の調光層として用いる場合、特に、窒素原子を有する非環状構造の単官能重合性化合物(M−1)、環状構造の基を有する単官能重合性化合物(M−2)およびウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを組み合わせることで、その調光層と電極(例えばITO(酸化インジウムスズ)付プラスチックフィルム)界面における密着性が高くなる傾向にある。
また、液晶複合体の支持基板界面(例えば、ITO電極付プラスチックフィルムとの界面)における剥離強度を高めるためには、ITO電極表面に存在する水酸基と水素結合を誘発し、相互作用が強くなると考えられる、極性基を有する非液晶性のリン酸部位を有する重合性化合物を併用してもよい。
液晶組成物と重合体の前駆体の合計質量に基づいて、
化合物(M−1)の割合が3質量%から25質量%、好ましくは5質量%から25質量%の範囲、さらに好ましくは10質量%から25質量%の範囲であり、
化合物(M−2)の割合が3質量%から30質量%、好ましくは10質量%から25質量%の範囲であり、
多官能のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの割合が5質量%から25質量%の範囲にあることが好ましい。
ただし、重合体の前駆体の合計割合が、70質量%を超えない。
調光層と電極(例えばITO(酸化インジウムスズ)付プラスチックフィルム)界面における密着性を高めるには、次の質量比を採用することが望ましい。
重合性化合物(M−1)と、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの質量比((M−1)/ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー)は、3/1から1/3が好ましく、より好ましくは、2/1から1/2である。
また、重合性化合物(M−1)と重合性化合物(M−2)の質量比((M−1)/(M−2))は、3/1から1/3が好ましく、より好ましくは、2/1から1/2である。 重合性化合物(M−3)または化合物(M−4)の好ましい添加量(双方使用する場合、その合計量)は、液晶組成物と重合体の前駆体の合計質量に基づいて、0.001質量%から0.5質量%であり、より好ましくは、0.01質量%から0.3質量%である。
本発明では、化合物(M−1)、化合物(M−2)、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーとは異なる、(式(M−5)、(式(M−5−E)および/または(式(M−5−P)で表される直鎖アルキルまたは分岐鎖アルキルなどの線状構造やエーテル構造を有する、単官能重合性化合物を含んでもよい。また、直鎖アルキルまたは分岐鎖アルキルなどの線状構造を有する多官能重合性化合物((式(M−6))を含んでもよい。
単官能重合性化合物を単独に、または複数種用いてもよい。
多官能重合性化合物を単独に、または複数種用いてもよい。
単官能重合性化合物と多官能重合性化合物を併用してもよく、それぞれ単独に、または複数種用いてもよい。
側鎖に、直鎖アルキルまたは分岐鎖アルキルなどの線状構造やエーテル構造を有する単官能重合性化合物の主な役割は、液晶組成物に対して、化合物(M−1)、化合物(M−2)、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの溶解性を上げることである。そして、重合性組成物の均一性を保つことで重合後の液晶複合体(例えば液晶調光素子の調光層)に均一な散乱特性を持たせることができる。上記の重合性化合物は、得られる重合体のガラス転移温度を制御することができる。側鎖に直鎖アルキルまたは分岐鎖アルキルなどの線状構造やエーテル構造を含む重合体のガラス転移温度は、低くなる傾向にある。重合体のガラス転移温度が低いと液晶複合体に含まれる液晶組成物の駆動温度範囲を下げることが可能となる。この原因は明確でないものの、重合体の側鎖の鎖長が長くなったり、エーテル構造を有していたりすると、重合体表面と液晶性化合物との相互作用が低下することによると考えられる。また、重合体の側鎖の鎖長が長くなったり、側鎖にエーテル構造が含まれると、得られる液晶複合体に含まれる液晶組成物の駆動電圧が低くなる傾向にある。この原因も同様に明確ではないものの、重合体表面と液晶性化合物との相互作用が低下することによると考えられる。
Figure 2021183686
式(M−5)において、
501は水素、またはメチルであり、
501は水素、または炭素数1から20のアルキル、であり、このアルキルにおいて、少なくとも1つの水素は、炭素数1から12のアルキル、フッ素、または塩素で置き換えられていてもよく、また少なくとも1つの−CH2−は、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−、または−C≡C−で置き換えられてもよい。
式(M−5−E)および式(M−5−P)において、
501は水素、またはメチルであり、
502は炭素数1から6のアルキル、であり、
nは1から30である。
式(M−5−E)のエチレングルコール構造中および式(M−5−P)のプロピレングルコール構造中の水素は炭素数1から3のアルキルで置き換えられてもよい。
式(M−6)において、M601は独立して、水素、またはメチルであり、
601は炭素数1から40のアルキレンであり、このアルキレンにおいて、少なくとも1つの水素は、炭素数1から20のアルキル、炭素数1から20のアルキル(メタ)アクリレート、炭素数1から20のアルコキシ(メタ)アクリレート、炭素数1から20のアルキルエステル(メタ)アクリレート、フッ素または塩素で置き換えられてもよく、このアルキレンにおける、少なくとも1つの−CH2−は、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−で置き換えられてもよい。
式(M−5)で表される好ましい化合物の例は、下記式(M−5−1)〜(M−5−5)で表される化合物である。
Figure 2021183686
式(M−5−E)で表される好ましい化合物の例は、
501が水素、またはメチルが好ましく、より好ましくは水素であり、
502は炭素数1から6のアルキルが好ましく、より好ましくは、メチル、エチルまたはプロピルであり、
nは1から30が好ましく、より好ましくは、2から25である。
好ましい具体例として、以下の化合物が挙げられる。
Figure 2021183686
式(M−6)で表される好ましい化合物の例は、下記式(M−6−1)〜(M−6−18)で表される化合物である。
Figure 2021183686
Figure 2021183686
Figure 2021183686
ここで、aおよびbのそれぞれは、これらの文字の右側に記載の基の個数を示す。以下の式(M−6−17)、(M−6−18)でも同じことを意味する。
Figure 2021183686
直鎖アルキルまたは分岐鎖アルキルなどの線状構造を有する多官能重合性化合物の主な役割は、得られる重合体の架橋密度を上げることである。架橋密度が上がると、耐湿性、耐熱性、耐光性、耐候性などの信頼性の向上につながる。
直鎖アルキルまたは分岐鎖アルキルなどの線状構造を有する多官能重合性化合物を含む重合体のガラス転移温度は、高くなる傾向にある。架橋密度が高まり、重合体のガラス転移温度が高くなると、液晶性化合物との相互作用も高まり、調光層の駆動電圧の上昇につながる場合がある。信頼性を維持しながら低電圧駆動させるためには、架橋密度が高くなりすぎないようにすることが望ましい。この観点からは、比較的分子量の大きな多官能重合性化合物や、重合後のガラス転移温度が低くなりやすいとされる、エーテル結合を多く含有する多官能重合性化合物が好ましい。
直鎖アルキルまたは分岐鎖アルキルなどの線状構造を有する単官能重合性化合物、直鎖アルキルまたは分岐鎖アルキルなどの線状構造を有する多官能重合性化合物の好ましい添加量は、重合体の前駆体の総量に対し、1質量%から50質量%であり、より好ましくは、3質量%から30質量%であり、さらに好ましくは、3質量%から20質量%である。
本発明では、散乱特性の制御や耐熱性向上の目的で、さらに液晶構造(メソゲン構造)を有する重合性化合物を含んでもよい。液晶構造を有する重合性化合物は、上記重合体の前駆体とともに、共重合して重合体を構成する。
好ましい液晶構造を有する重合性化合物は、式(7)、式(8)、または式(9)で表される化合物(それぞれ化合物(7)、(8)および(9)とする)である。
液晶構造を有する重合性化合物は、化合物(7)、化合物(8)、または化合物(9)から選択された化合物の混合物であってもよい。
この混合物は、化合物(7)、化合物(8)、または化合物(9)とは異なる重合性化合物を含有してもよい。
化合物(7)、化合物(8)、および化合物(9)において、環G、環I、環J、環K、環L、および環Mは、1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、1,4−シクロヘキセニレン、ピリジン−2,5−ジイル、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、またはフルオレン−2,7−ジイルであり、ここで、少なくとも1つの水素はフッ素、塩素、シアノ、ヒドロキシ、ホルミル、トリフルオロアセチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、炭素数1から5のアルキル、炭素数1から5のアルコキシ、炭素数2から5のアルコキシカルボニル、または炭素数1から5のアルカノイルで置き換えられてもよい。化合物(7)、化合物(8)、および化合物(9)において、好ましい環は、1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、2−フルオロ−1,4−フェニレン、2−メチル−1,4−フェニレン、2−メトキシ−1,4−フェニレン、または2−トリフルオロメチル−1,4−フェニレンである。さらに好ましい環は、1,4−シクロヘキシレンまたは1,4−フェニレンである。
8、Z10、Z12、Z13、およびZ17は、単結合、−O−、−COO−、−OCO−、または−OCOO−である。Z9、Z11、Z14、およびZ16は、単結合、−OCH2−、−CH2O−、−COO−、−OCO−、−COS−、−SCO−、−OCOO−、−CONH−、−NHCO−、−CF2O−、−OCF2−、−CH2CH2−、−CF2CF2−、−CH=CHCOO−、−OCOCH=CH−、−CH2CH2COO−、−OCOCH2CH2−、−CH=CH−、−N=CH−、−CH=N−、−N=C(CH3)−、−C(CH3)=N−、−N=N−、または−C≡C−である。Z15は単結合、−O−、または−COO−である。好ましいZ8、Z10、Z12、Z13、またはZ17は単結合または−O−である。好ましいZ9、Z11、Z14、またはZ16は、単結合、−OCH2−、−CH2O−、−COO−、−OCO−、−CH2CH2−、−CH2CH2COO−、または−OCOCH2CH2−である。
2は、水素、フッ素、塩素、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、炭素数1から20の直鎖アルキル、炭素数2から20の直鎖アルケニル、炭素数1から20の直鎖アルコキシ、または炭素数2から20の直鎖アルコキシカルボニルである。好ましいY2は、シアノ、直鎖アルキル、または直鎖アルコキシである。
fおよびhは1から4の整数であり;kおよびmは、0から3の整数であり、kおよびmの和は1から4であり;e、g、i、j、l、およびnは、0から20の整数である。
7からM12は、水素またはメチルである。
化合物(7)の一例は、次のとおりである。
Figure 2021183686
Figure 2021183686
式(7−1)から式(7−24)において、M7は水素またはメチルであり、eは1から20の整数である。
化合物(8)の一例は、次のとおりである。
Figure 2021183686
Figure 2021183686
Figure 2021183686
式(8−1)から式(8−31)において、M8およびM9は、水素またはメチルであり、gおよびiは、1から20の整数である。
化合物(9)の一例は、次のとおりである。
Figure 2021183686
Figure 2021183686
式(9−1)から式(9−10)において、M10、M11、およびM12は、水素またはメチルであり、j、l、およびnは、1から20の整数である。
化合物(7)、化合物(8)、および化合物(9)は、少なくとも1つのアクリロイルオキシ(−OCO−CH=CH2)またはメタクリロイルオキシ(−OCO−(CH3)C=CH2)を有する。液晶性化合物は、メソゲン(液晶性を誘発する剛直な部位)を有するが、これらの化合物もメソゲンを有する。そのため、これらの化合物は、液晶性化合物と共に配向膜の作用によって同一方向に配向する。この配向は、重合後も維持される。
このような調光素子用重合性組成物を重合して得られる液晶複合体は、高い透明性を有する。その他の特性を向上させるために、化合物(7)、化合物(8)、および化合物(9)とは異なる重合性化合物を併用してもよい。
化合物(7)〜(9)の好ましい添加量は、重合体の前駆体の総量に対し、3質量%から50質量%であり、より好ましくは、5質量%から30質量%である。
第八に、成分化合物の合成法を説明する。これらの化合物は既知の方法によって合成できる。合成法を例示する。化合物(1−9)および化合物(1−16)は、特開平2−233626号公報に記載された方法で合成する。化合物(2−1)は、特開昭59−176221号公報に記載された方法で合成する。化合物(3−1)は、特表平2−503441号公報に記載された方法で合成する。酸化防止剤は市販されている。後述する化合物(11−1)は、アルドリッチ(Sigma-Aldrich Corporation)から入手できる。化合物(11−2)などは、米国特許3660505号明細書に記載された方法によって合成する。重合性化合物は市販されているか、または既知の方法で合成可能である。
合成法を記載しなかった化合物は、オーガニック・シンセシス(Organic Syntheses, John Wiley & Sons, Inc.)、オーガニック・リアクションズ(Organic Reactions, John Wiley & Sons, Inc.)、コンプリヘンシブ・オーガニック・シンセシス(Comprehensive Organic Synthesis, Pergamon Press)、新実験化学講座(丸善)などの成書に記載された方法によって合成できる。組成物は、このようにして得た化合物から公知の方法によって調製される。例えば、成分化合物を混合し、そして加熱によって互いに溶解させる。
第九に、重合性組成物に添加される光重合開始剤について説明する。本発明の重合性組成物には、光重合開始剤が必須成分として含まれている。光重合のための適切な条件や、開始剤の適切なタイプおよび量は、当業者には既知であり、文献に記載されている。例えば光重合開始剤であるOmnirad651(登録商標;IGM Resins)、Omnirad184(登録商標;IGM Resins)、またはOmnirad1173(登録商標;IGM Resins)がラジカル重合に対して適切である。
好ましい添加量は、光重合開始剤の割合が、液晶組成物と重合体の前駆体の合計質量に基づいて、0.1から5質量%であり、より好ましくは、0.3から3質量%である。なお、液晶組成物、重合体前駆体とともに液晶性の重合性化合物を含む場合は、前記総量は、液晶組成物、重合体前駆体および液晶性重合性化合物の総量となる。
第十に、重合性組成物に添加してもよい添加物を説明する。
このような添加物は、酸化防止剤、紫外線吸収剤、消光剤、色素、消泡剤、光重合開始剤以外の重合開始剤、重合禁止剤、極性化合物などである。添加物は、予め液晶組成物または重合性化合物に添加してもよい。
好ましい添加量は、液晶組成物と重合体の前駆体の総量に基づいて0.1から5質量%であり、より好ましくは、0.3から3質量%である。なお、液晶構造を有する重合性化合物を含む場合は、液晶組成物、重合体の前駆体と液晶構造を有する重合性化合物の総量に対する比率となる。
また、液晶分子のらせん構造を誘起してねじれ角を与える目的で、重合性組成物に、光学活性化合物を重合性組成物に添加してもよい。このような化合物の例は、下記式で表される化合物(10−1−1)から化合物(10−7−1)である。光学活性化合物の好ましい割合は、液晶組成物に対して、5質量%以下である。さらに好ましい割合は0.01質量%から2質量%の範囲である。
Figure 2021183686
Figure 2021183686
大気中での加熱による比抵抗の低下を防止するために、または素子を長時間使用したあと、室温だけではなく上限温度に近い温度でも大きな電圧保持率を維持するために、下記式で表される化合物(11−1)から化合物(11−3)のような酸化防止剤を重合性組成物に添加してもよい。
Figure 2021183686
揮発性が小さい化合物は、素子を長時間使用したあと、室温だけではなく上限温度に近い温度でも大きな電圧保持率を維持するのに有効である。酸化防止剤の好ましい割合は、その効果を得るために、液晶組成物の総量に対し、50質量ppm以上であり、上限温度を下げないように、または下限温度を上げないように600質量ppm以下である。さらに好ましい割合は、100質量ppmから300質量ppmの範囲である。
紫外線吸収剤の好ましい例は、ベンゾフェノン誘導体、ベンゾエート誘導体、トリアゾール誘導体などである。立体障害のあるアミンのような光安定剤も好ましい。光安定剤の好ましい例は、下記式で表される化合物(12−1)から化合物(12−16)などである。これらの吸収剤や安定剤における好ましい割合は、その効果を得るために、液晶組成物の総量に対し、50質量ppm以上であり、上限温度を下げないように、または下限温度を上げないために10000質量ppm以下である。さらに好ましい割合は100質量ppmから10000質量ppmの範囲である。
Figure 2021183686
Figure 2021183686
消光剤は、液晶性化合物が吸収した光エネルギーを受容し、熱エネルギーに変換することにより、液晶性化合物の分解を防止する化合物である。消光剤の好ましい例は、化合物(13−1)から化合物(13−7)などである。これらの消光剤における好ましい割合は、その効果を得るために50質量ppm以上であり、下限温度を上げないために、液晶組成物の総量に対し、20000質量ppm以下である。さらに好ましい割合は100質量ppmから10000質量ppmの範囲である。
Figure 2021183686
GH(guest host)モードの素子に適合させるために、色素として、二色性色素(dichroic dye)が組成物に添加される。液晶調光素子は、部屋の仕切りに使われることがある。このような場合、特定の光を吸収させる目的で重合性組成物に色素を添加する。複数の色素を添加してもよい。液晶調光素子は太陽光の遮断に使われることがある。このような場合、黒色の(または、黒っぽい色の)二色性色素が液晶組成物に添加される。黒色は、シアン(cyan)、マゼンタ(magenta)、イエロー(yellow)の二色性色素を混合することによって調製される。特開2006−193742号公報、実施例42には、黒色の二色性色素が記載されている。この色素は、3つのアゾ化合物とアントラキノン類を混合することによって調製される。
二色性色素の例は、ベンゾチアジアゾール類(benzothiadiazoles)、ジケトピロロピロール類(diketopyrrolopyrroles)、アゾ化合物(azo compounds)、アゾメチン化合物(azomethine compounds)、メチン化合物(methine compounds)、アントラキノン類(anthraquinones)、メロシアン類(merocyanines)、ナフトキノン類(naphthoquinones)、テトラジン類(tetrazines)、ピロメテン類(pyrromethenes)、およびペリレン類(perylenes)やテリレン類(terrylenes)のようなリレン類(rylenes)である。
このような二色性色素は、次に記載した特徴の少なくとも幾つかを有する。
a)色素の分子が直線状である。
b)分子の中央部には、ベンゾチアジアゾール環やジケトピロロピロール環のような二色性色素に特有の骨格が存在する。
c)特有の骨格と共に分子を構成するベンゼン環やチオフェン環は、同一平面上に位置する。
d)側鎖は、アルキルやアルコキシである。
e)中央部に共役二重結合を有する。
好ましい二色性色素は、ベンゾチアジアゾール類、ジケトピロロピロール類、アゾ化合物、アントラキノン類、およびペリレン類である。特に好ましい二色性色素は、ベンゾチアジアゾール類、ジケトピロロピロール類、アゾ化合物、およびペリレン類である。この四種類の色素の骨格を下に示す。例えば、ベンゾチアジアゾール類は、ベンゾチアジアゾール環を有する二色性色素を意味する。
Figure 2021183686
RおよびR'は、置換基を有してもよい炭素数1〜30の炭化水素基などを示し、さらに構造内にアゾ基を有していてもよい。
市販されている二色性色素の例は、長瀬産業製のG−207、G−241、G−305、G−470、G−471、G−472、LSB−278、LSB−335、NKX−1366、NKX−3538、NKX−3540、NKX−3622、NKX−3739、NKX−3742、NKX−3773、NKX−4010、およびNKX−4033、三井化学ファイン製のS−428、SI−426、SI−486、M−412、およびM−483である。
二色性色素の好ましい割合は、液晶組成物の総量に基づいて、0.01質量%から25質量%の範囲である。さらに好ましい割合は、0.02質量%から20質量%の範囲である。特に好ましい割合は、0.03質量%から15質量%の範囲である。
泡立ちを防ぐために、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイルなどの消泡剤が重合性組成物に添加されていてもよい。消泡剤の好ましい割合は、その効果を得るために、重合性組成物の総量に対して、1質量ppm以上であり、表示不良を防ぐために1000質量ppm以下である。さらに好ましい割合は、1質量ppmから500質量ppmの範囲である。
重合性化合物の重合には、紫外線照射が好ましい。紫外線照射ランプの例は、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、単一波長を照射可能なUV−LEDランプなどである。光重合開始剤を用いるとき、紫外線の波長は、光重合開始剤の吸収波長域であることが好ましい。液晶組成物の吸収波長域は避ける。好ましい波長は330nm以上である。さらに好ましい波長は、350nm以上であり、例えば365nmである。反応は室温付近で行ってもよく、または加熱して行ってもよい。
通常、重合性化合物を保管するとき、重合を防止するために重合禁止剤を添加することもある。このため、本発明で使用される重合体の前駆体は、通常は重合禁止剤を除去しないまま液晶組成物に混合される。重合禁止剤の例は、ヒドロキノン、メチルヒドロキノンのようなヒドロキノン誘導体、4−t−ブチルカテコール、4-メトキシフェノール、フェノチアジンなどである。
極性化合物は、化合物(M−1)、化合物(M−2)、化合物(M−3)または化合物(M−4)とは異なる、極性をもつ有機化合物である。重合性基を有していてもよい。ここでは、イオン結合を有する化合物は含まれない。酸素、硫黄、および窒素のような原子は、より電気的に陰性であり、部分的な負電荷をもつ傾向にある。炭素および水素は中性であるか、または部分的な正電荷をもつ傾向がある。極性は、化合物中の別種の原子間で部分電荷が均等に分布しないことから生じる。例えば、極性化合物は、−OH、−COOH、−SH、−NH2、>NH、>N−のような部分構造の少なくとも1つや、イソシアヌレート基、スルホ基を有する。
好ましい化合物としては、下記化合物(14)や、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが例示される。
ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの具体例としては、
2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、
2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、
3−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、
2−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシブチルメタクリレート、
4−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、
2−ヒドロキシペンチルアクリレート、2−ヒドロキシペンチルメタクリレート、が挙げられる。
Figure 2021183686
化合物(14)の好ましい割合は、液晶組成物と重合体の前駆体の合計質量に基づいて、1質量%から10質量%の範囲であり、より好ましくは、1質量%から7質量%の範囲である。
ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの好ましい割合は、液晶組成物と重合体の前駆体の合計質量に基づいて、1質量%から20質量%の範囲であり、より好ましくは、3質量%から15質量%の範囲である。ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートと、化合物(M−5−E)および/または化合物(M−5−P)を組み合わせて併用することで、ポリマーのガラス転移温度が低下すると考えられるので、より低温環境でも駆動可能になることが期待される。
組み合わせる好ましいヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートは、
2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシブチルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、または4−ヒドロキシブチルメタクリレートであり、より好ましくは、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、または4−ヒドロキシブチルアクリレートである。
ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートと、化合物(M−5−E)および/または化合物(M−5−P)とを併用する場合、液晶組成物と重合体の前駆体の合計質量に基づいて、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートは、5質量%から10質量%の範囲であり、化合物(M−5−E)および/または化合物(M−5−P)は、1質量%から10質量%の範囲である。
極性基は、ガラス基板、金属酸化物膜などの表面と非共有結合的な相互作用を有する。この化合物は、極性基の作用によって基板表面に吸着し、液晶分子の配向を制御する。極性化合物は、液晶性化合物だけでなく、重合性化合物をも制御することがある。極性化合物には、このような効果が期待される。
液晶複合体は、上記重合性組成物を重合することで調製される。
液晶複合体を液晶調光素子の液晶調光層として用いる場合、重合性組成物を用いて、例えば以下のようにして、液晶調光素子を調製できる。まず、一対の基板の間に重合性組成物を挟持する。この際、重合性組成物を上限温度より高い温度で真空注入法、液晶滴下法等、滴下または塗布で行うことが好ましい。この滴下又は塗布から重合性組成物が重合するまでの間、重合性組成物は均一な等方相状態であることが好ましい。滴下又は塗布を行う場合に、2枚の基板で高分子分散型液晶組成物を挟みこむ方法としては、2枚の基板をラミネーター等で挟み込む方法で行うことができる。2枚の基板により狭持させ、次に、光によって重合性化合物を重合させる。その際、上述のとおり重合には紫外線照射によって行うことが好ましい。重合によって重合性組成物から重合体が相分離する。これによって基板の間に調光機能を有する液晶組成物からなる層と重合体とからなる層を有する調光層が形成される。この調光層は、高分子分散型、ポリマーネットワーク型、両者の混在型に分類される。ネットワーク構造における網目は小さい方が好ましい。好ましい網目は、0.2μmから2μmであり、さらに好ましくは0.2μmから1μmであり、特に好ましくは0.3μmから0.7μmである。
最後に、液晶複合体の用途、および液晶調光素子を説明する。上述のようにして得られる液晶複合体の好ましい用途の例は、液晶調光素子である。液晶調光素子は、液晶複合体からなる調光層と一対の基板とを有し、その調光層は一対の基板により挟持されている。基板は電極を有しており、その電極は、通常、調光層側(内側)を向くように配置されている。液晶調光素子に含まれる基板としては透明基板が好ましく、液晶調光素子には調光層が挟持されるように一対の透明基板が含まれていることが好ましい。また、基板が有する電極としては透明電極であることが好ましい。
液晶調光素子に含まれる透明基板の一例は、ガラス板、石英板、アクリル板に代表されるプラスチック板(典型的には透明性プラスチック板)のような変形しにくい材質でできた板である。好ましい透明基板の一例は、ガラス板およびプラスチック板(典型的には透明性プラスチック板)である。
好ましい透明基板の他の例は、PETフィルム、アクリルフィルム、ポリカーボネートフィルムのような、プラスチックフィルム、典型的には、可撓性の透明性プラスチックフィルムである。用途に応じて基板の一方はシリコン樹脂などの不透明な材料でもよい。
この基板は、その上に電極、典型的には透明電極を有する。透明電極の上に配向膜などを有してもよい。透明電極の例は、酸化インジウムスズ(tin-doped indium oxide、ITO)や導電性ポリマーである。
基板上に設けられ得る配向層は、ポリイミドやポリビニルアルコールのような薄膜が適している。例えば、ポリイミド配向膜は、ポリイミド樹脂組成物を透明基板上に塗布し、180℃以上の温度で熱硬化させ、必要に応じて綿布やレーヨン布でラビング処理することによって得ることができる。
一対の基板は、典型的には、透明電極層が内側(調光層側)となるように対向させる。基板間の厚さを均一にするためにスペーサーを入れてもよい。スペーサーの例は、ガラス粒子、プラスチック粒子、アルミナ粒子、フォトスペーサーなどである。このスペーサーは本発明の重合性組成物中に含ませて、これを上述した液晶調光素子の原料として用いてもよい。調光層の好ましい厚さは2μmから50μmであり、さらに好ましくは5μmから20μmである。スペーサーは事前に基板上に散布しても良いが、重合性組成物中にあらかじめ混入しておき、重合性組成物の塗布と同時に基板上に塗布しても良い。一対の基板を張り合わせるには、汎用のシール剤を用いることができる。シール剤の例は、エポキシ系熱硬化性組成物である。
重合性組成物をフィルム基板上に塗布する方式は、非連続であるバッチ方式や、連続であるロール トゥ ロール(roll to roll)方式のいずれの方式を用いてもよい。
たとえばフィルム基板とフィルム基板の間に重合性組成物が塗工された後、UV照射により重合させて、調光フィルムを形成する。コーティング方法には、マイクログラビア方式やスロットダイ方式などが挙げられる。適切な塗工方式を選択することで調光フィルムの製造が可能となる。
その他にも、フレキソ印刷、グラビア印刷、UVオフセット印刷、スクリーン印刷などの印刷により基板を作製することも可能である。その際、マスキングやその他の手法で、ボーダー、ストライプ、ファブリック、グラデーション、ドットなどのテクスチャーのある調光フィルムの作製も可能である。
重合性組成物の粘度(25℃)は、塗工方法により最適な粘度は異なるが、10〜1000mPa・sである。フィルム基板を用いる際、好ましくは50〜500mPa・sであり、さらに好ましくは100〜300mPa・sである。粘度が低すぎると液だれの原因になり、高すぎると膜厚の制御が難しくなる。
このような素子は、必要に応じて、素子の裏面に光吸収層、拡散反射板などを配置することができる。鏡面反射、拡散反射、再帰性反射、ホログラム反射等の機能を付加することもできる。
本発明の液晶調光素子は、透明および散乱状態をスイッチングする素子として使用できる。例えば、電圧無印加時に透明、電圧印加時に不透明(光散乱状態)という状態でスイッチングすることにより、液晶調光素子を、スイッチング素子として使用することができる。
本発明によれば、外光に対する耐久性が高く、駆動電圧の低い液晶調光素子が得られる。液晶調光素子について、以下図面を参照しながら説明する。図1および図2はノーマルモードで駆動する液晶調光素子の一例である。ノーマルモードでは、図2に示されているように基板間への電圧が無印加の場合は、液晶性化合物が無配向で存在する。調光層に光が入射した際、透明物質である重合体と液晶組成物の屈折率の違いにより界面で入射光の強い散乱が生じる。そのため光の透過が妨げられる。図1に示されているように基板間に電圧が印加されている場合は、液晶性化合物が配向する。その際、透明物質である重合体と液晶組成物の屈折率の差が小さくなり、入射した光の散乱は少なく、調光層を光が透過する。
リバースモードでは、電極界面に配向膜を装備し電圧無印加時には液晶性化合物が配向した状態を示す。(ノーマルモードの電圧印加時の状態)その際、透明物質である重合体と液晶組成物との屈折率の差が小さくなり、調光層に入射した光の散乱は少なく、調光層を光が通過する。リバースモードは、基板間に電圧を印加すると、液晶の配向が乱れ、重合体との屈折率の差が生じ、入射光を散乱させ、光の透過を妨げる。
このような素子は、調光フィルムや調光ガラスとしての機能を有する。素子がフィルム状である場合は、既存の窓へ張り付けるか、または、一対のガラス板で挟み、合わせガラスにすることができる。このような素子は、外壁に設置された窓や会議室と廊下との仕切りに使われる。すなわち、電子ブラインド、調光窓、スマートウィンドウなどの用途がある。さらに、光スイッチとしての機能を液晶シャッターなどに利用できる。
素子を長時間使用することによって経時変化が起きることがある。ヘイズ率が初期段階と比較して変化することがある。ヘイズ率における変化は、小さい方が好ましい。ヘイズ変化率が小さいとき、透明・不透明の良好な状態が維持される。照度(180W/m2)、照射時間(100時間)、槽内温度(35℃)の条件下で行った耐候性試験の前後におけるヘイズ変化率は20%以下であることが好ましい。前記耐候性試験の前後におけるヘイズ変化率は、さらに好ましくは10%以下であり、特に好ましくは5%以下である。
ヘイズ変化率は、液晶調光素子の長い寿命における重要な因子である。この素子の耐候性を試験したとき、その前後におけるヘイズ変化率は小さい方が好ましい。小さなヘイズ変化率を達成するには、液晶性化合物の種類を選択し、特定の重合性化合物と組合せ、各成分化合物の割合を検討することが重要である。よりよい結果を得るには、添加物の種類や量、重合条件などの検討が役立つ。
実施例によって本発明をさらに詳しく説明する。本発明は、これらの実施例に制限されない。実施例では、組成物(M1)、組成物(M2)などを記載する。実施例では、組成物(M1)と組成物(M2)との混合物は、記載されていない。しかしながら、この混合物も開示されているとみなす。実施例から選択された少なくとも2つの組成物の混合物も開示されているとみなす。合成した化合物は、NMR分析などの方法によって同定した。化合物、組成物および素子の特性は、下記の方法によって測定した。
測定方法:特性の測定は下記の方法で行った。これらの多くは、社団法人電子情報技術産業協会(Japan Electronics and Information Technology Industries Association;JEITAという)で審議制定されるJEITA規格(JEITA・ED−2521B)に記載された方法、またはこれを修飾した方法であった。測定に用いたTN(twisted nematic)素子には、薄膜トランジスター(TFT)を取り付けなかった。
(1)ネマチック相の上限温度(NI;℃):偏光顕微鏡を備えた融点測定装置のホットプレートに試料を置き、1℃/分の速度で加熱した。試料の一部がネマチック相から等方性液体に変化したときの温度を測定した。ネマチック相の上限温度を「上限温度」と略すことがある。
(2)ネマチック相の下限温度(TC;℃):ネマチック相を有する試料をガラス瓶に入れ、0℃、−10℃、−20℃、−30℃、および−40℃のフリーザー中に10日間保管したあと、液晶相を観察した。例えば、試料が−20℃ではネマチック相のままであり、−30℃では結晶またはスメクチック相に変化したとき、TCを<−20℃と記載した。ネマチック相の下限温度を「下限温度」と略すことがある。
(3−1)組成物の粘度(バルク粘度;η;20℃で測定;mPa・s):測定には東京計器株式会社製のE型回転粘度計を用いた。
(3−2)重合性組成物の粘度(バルク粘度;η;25℃で測定;mPa・s):測定には東機産業株式会社製のE型回転粘度計(VISCOMETER TV−25形)を用いた。
(4)粘度(回転粘度;γ1;25℃で測定;mPa・s):測定は、M. Imai et al., Molecular Crystals and Liquid Crystals, Vol. 259, 37 (1995) に記載された方法に従った。ツイスト角が0°であり、そして2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が5μmであるTN素子に試料を入れた。この素子に16Vから19.5Vの範囲で0.5V毎に段階的に印加した。0.2秒の無印加のあと、ただ1つの矩形波(矩形パルス;0.2秒)と無印加(2秒)の条件で印加を繰り返した。この印加によって発生した過渡電流(transient current)のピーク電流(peak current)とピーク時間(peak time)を測定した。これらの測定値と、M. Imaiらの論文中の40頁記載の計算式(10)とから回転粘度の値を得た。この計算で必要な誘電率異方性の値は、この回転粘度を測定した素子を用い、下に記載した方法で求めた。
(5)光学異方性(屈折率異方性;Δn;25℃で測定):測定は、波長589nmの光を用い、接眼鏡に偏光板を取り付けたアッベ屈折計によって行なった。主プリズムの表面を一方向にラビングしたあと、試料を主プリズムに滴下した。屈折率n‖は偏光の方向がラビングの方向と平行であるときに測定した。屈折率n⊥は偏光の方向がラビングの方向と垂直であるときに測定した。光学異方性の値は、Δn=n‖−n⊥、の式から計算した。
(6)誘電率異方性(Δε;25℃で測定):2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が9μmであり、そしてツイスト角が80度であるTN素子に試料を入れた。この素子にサイン波(10V、1kHz)を印加し、2秒後に液晶分子の長軸方向における誘電率(ε‖)を測定した。この素子にサイン波(0.5V、1kHz)を印加し、2秒後に液晶分子の短軸方向における誘電率(ε⊥)を測定した。誘電率異方性の値は、Δε=ε‖−ε⊥、の式から計算した。
液晶調光素子の物性の測定方法:物性の測定は下記の方法で行った。
(1)セルのヘイズ(%)の測定
NIPPON DENSHOKU INDUSTRIES Co.,LTD製 HAZE METER NDH5000に、光源光がセル面に対して垂直となるようにセル(液晶調光素子)を設置し、室温でヘイズ(%)を計測した。
(2)ヘイズの変化率(%)
各実施例および比較例で得られたセルを、後述する条件でキセノンウエザーメーターにいれてUVAを照射し、このセルについて、室温でヘイズ(%)を計測した。
UVA照射前のセルのヘイズ(%)およびUVA照射後のヘイズ(%)から、ヘイズの変化率を以下に示すように算出した。
へイズの変化率=(((UVA照射前のへイズ(%))−(UVA照射後のへイズ(%)))/(UVA照射前のへイズ(%)))*100
(3)色差変化率(%)
(3−1)セルの色差の確認
日本分光(株)製のJASCO V−650型分光光度計を用い、380〜780nmの波長を照射し各波長において、セルの透過率を測定した。その後、JIS Z8729−2004に記載されている計算式にそった色彩計算プログラムソフト(JASCO V−600 for windows)を用いたスペクトル解析によりL*a*b*表色系によるb*の計算を行なった。なお、後述するセルの色差変化率%の算出に用いる色差の値は、室温でセルに60Vの電場を印加した時の値である。
(3−2)セルの色差変化率(%)の算出方法
各実施例および比較例で得られたセルを、後述する条件でキセノンウエザーメーターにいれてUVAを照射し、このセルについて、セルの色差を測定した(室温、60V 電場印加)。
色差の変化率は以下に示すように算出した。
色差の変化率=(((UVA照射前の色差)−(UVA照射後の色差))/(UVA照射前の色差))*100
(3−3)素子の耐候性試験:試験の前後においてヘイズ(%)を測定し、ヘイズ変化率を算出した。この試験は、日本工業規格(JIS)K5600−7−7、促進耐候性及び促進耐光性(キセノンランプ法)に従って行った。測定には、(スガ試験機(株)製のスーパーキセノンウェザーメーターSX75型を使用した。測定条件は、照度(UVA;180W/m2)、照射時間(100時間)、ブラックパネル温度(63±2℃)、槽内温度(35℃)、槽内相対湿度(40%RH)であった。UVAは、紫外線A(ultraviolet A)を意味する。
(4)駆動の確認
特に記載のない場合には、室温(25℃)で電圧が無印加の状態から電圧を印加し100V以下でヘイズ(%)が10%以下になった場合を駆動できたと評価した。
(5)密着性の評価
密着性評価の試験には、株式会社東洋精機製作所製STOROGRAPH VESO5Dを用いた。幅25.0mm、長さ200mmのプラスチック平板に、ニチバン株式会社製ナイスタックNWBB−N30を全幅に貼付した。そこに、幅25mm、長さ350mmの大きさで作成した調光フィルムを貼り付けて試験片とした。この試験片を、試験機に取り付け、試験片の片側を、引張速度100mm/分、25℃雰囲気下で、180°方向に引き剥がしたときの平均剥離力を求めた。平均剥離力は各試験片について、最初の25mmを除いた少なくとも100mmの長さの剥離長さにわたって、力―つかみ移動曲線から算出する。試験は接着長さが少なくとも125mm剥離するまで続け、試験片の数は、3個以上とし、その平均値を求めて評価した。ここでは、剥離力が0.3N/cm(インチ単位では、0.1N/inch)以上であると、密着性は良好と評価した。
組成物の実施例を以下に示す。液晶性化合物は、下記の表3の定義に基づいて記号によって表した。表3において、1,4−シクロヘキシレンに関する立体配置はトランスである。記号化された化合物の後にあるかっこ内の番号は化合物が属する化学式を表す。(−)の記号はその他の液晶性化合物を意味する。最後に、組成物の特性値をまとめた。
Figure 2021183686
次の組成物を実施例で使用した。
[組成物(M1)]
5−BB−C (1−2) 34質量%
3−HHB(F)−C (1−9) 14質量%
2−HBB(F)−F (1−16) 5質量%
3−HBB(F)−F (1−16) 5質量%
5−HBB(F)−F (1−16) 5質量%
3−BB(F)B−C (1−24) 7質量%
3−HB−O2 (2−2) 15質量%
3−HHB−1 (2−9) 5質量%
3−HHB−O1 (2−9) 5質量%
3−HBB−2 (2−10) 5質量%
NI=96.1℃;η=28.3mPa・s;Δn=0.176;Δε=9.8
[組成物(M2)]
5−BB−C (1−2) 34質量%
3−HHB(F)−C (1−9) 14質量%
2−HBB(F)−F (1−16) 5質量%
3−HBB(F)−F (1−16) 6質量%
5−HBB(F)−F (1−16) 5質量%
3−BB(F)B−C (1−24) 20質量%
3−HB−O2 (2−2) 8質量%
3−HBB−2 (2−10) 4質量%
3−BB(2F,5F)B−3 (2−13) 4質量%
NI=104.5℃;η=41.5mPa・s;Δn=0.216;Δε=12.5
[組成物(M3)]
5−BB−C (1−2) 34質量%
2−HHB−C (1−9) 5質量%
3−HHB−C (1−9) 5質量%
3−HHB(F)−C (1−9) 14質量%
5−HBB(F)−F (1−16) 4質量%
2−HBB−F (1−16) 5質量%
3−HBB−F (1−16) 5質量%
5−HBB−F (1−16) 6質量%
3−BB(2F)B−C (1−48) 7質量%
3−HB−O2 (2−2) 15質量%
NI=95.4℃;η=35.5mPa・s;Δn=0.178;Δε=10.5
[組成物(M4)]
3−HBB−F (1−16) 6質量%
3−BB(F,F)XB(F,F)−F (1−28) 10質量%
3−BB(F)B(F,F)XB(F,F)−F (1−41) 3質量%
4−BB(F)B(F,F)XB(F,F)−F (1−41) 4質量%
3−BB(F,F)XB(F)B(F,F)−F (1−42) 12質量%
3−HB−O2 (2−2) 9質量%
1−BB−3 (2−3) 9質量%
3−HHB−1 (2−9) 6質量%
3−HHB−O1 (2−9) 4質量%
2−BB(F)B−3 (2−12) 10質量%
2−BB(F)B−5 (2−12) 11質量%
3−BB(F)B−5 (2−12) 11質量%
3−BB(2F,5F)B−3 (2−13) 5質量%
NI=90.4℃;Δn=0.193;Δε=7.9
[組成物(M5)]
5−BB−C (1−2) 31質量%
2−HHB(F)−C (1−9) 5質量%
3−HHB(F)−C (1−9) 10質量%
2−HHB−C (1−9) 5質量%
3−HHB−C (1−9) 12質量%
2−BB(F)B−3 (2−12) 10質量%
2−BB(F)B−5 (2−12) 10質量%
3−BB(F)B−5 (2−12) 10質量%
3−BB(2F,5F)B−3 (2−13) 7質量%
NI=120.9℃;Δn=0.213;Δε=10.2
[組成物(M6)]
2−HB(F)−C (1−1) 9質量%
3−HB(F)−C (1−1) 10質量%
3−HHB−F (1−9) 4質量%
2−HHB(F)−F (1−9) 6質量%
3−HHB(F)−F (1−9) 6質量%
5−HHB(F)−F (1−9) 6質量%
2−HHB(F)−C (1−9) 6質量%
3−HHB(F)−C (1−9) 6質量%
3−HEB−O4 (2−4) 6質量%
4−HEB−O2 (2−4) 4質量%
5−HEB−O1 (2−4) 4質量%
3−HEB−O2 (2−4) 3質量%
5−HEB−O2 (2−4) 3質量%
2−HHB−1 (2−9) 5質量%
3−HHB−1 (2−9) 8質量%
3−HHB−3 (2−9) 10質量%
3−HHB−O1 (2−9) 4質量%
NI=102.2℃;Δn=0.098;Δε=7.1
[組成物(M7)]
5−BB−C (1−2) 16質量%
3−HHXB(F,F)−F (1−13) 1質量%
3−HBB(F,F)−F (1−16) 10質量%
5−HBB(F,F)−F (1−16) 5質量%
2−HBB(F)−F (1−16) 5質量%
3−HBB(F)−F (1−16) 5質量%
5−HBB(F)−F (1−16) 10質量%
2−HBB−F (1−16) 5質量%
3−HBB−F (1−16) 5質量%
5−HBB−F (1−16) 5質量%
2−HHBB(F,F)−F (1−29) 3質量%
3−HHBB(F,F)−F (1−29) 4質量%
5−HHBB(F,F)−F (1−29) 4質量%
3−HB−O2 (2−2) 10質量%
3−HHB−1 (2−9) 6質量%
2−BB(F)B−3 (2−12) 6質量%
NI=98.2℃;Δn=0.156;Δε=7.4
[組成物(M8)]
5−BB−C (1−2) 34質量%
2−HHB−C (1−9) 5質量%
3−HHB−C (1−9) 5質量%
3−HHB(F)−C (1−9) 14質量%
3−HHXB(F,F)−F (1−13) 1質量%
2−HBB−F (1−16) 5質量%
3−HBB−F (1−16) 5質量%
5−HBB−F (1−16) 5質量%
3−HBB(F)−F (1−16) 4質量%
3−HB−O2 (2−2) 15質量%
3−BB(2F,5F)B−3 (2−13) 7質量%
NI=89.3℃;Δn=0.171;Δε=9.5
[組成物(M9)]
5−BB−C (1−2) 41質量%
2−HHB−C (1−9) 4質量%
3−HHB−C (1−9) 4質量%
3−HHB(F)−C (1−9) 14質量%
3−HHXB(F,F)−F (1−13) 1質量%
3−BB(F)B(F,F)XB(F,F)−F (1−41) 2質量%
4−BB(F)B(F,F)XB(F,F)−F (1−41) 5質量%
5−BB(F)B(F,F)XB(F,F)−F (1−41) 5質量%
3−BB(F,F)XB(F)B(F,F)−F (1−42) 13質量%
3−HBB−2 (2−10) 4質量%
3−BB(2F,5F)B−3 (2−13) 7質量%
NI=89.0℃;Δn=0.199;Δε=18.3
[組成物(M10)]
5−BB−C (1−2) 23質量%
2−HHB(F)−C (1−9) 18質量%
3−HHB(F)−C (1−9) 18質量%
3−BB(F)B(F,F)XB(F,F)−F (1−41) 6質量%
4−BB(F)B(F,F)XB(F,F)−F (1−41) 8質量%
5−BB(F)B(F,F)XB(F,F)−F (1−41) 5質量%
2−BB(F)B−3 (2−12) 8質量%
2−BB(F)B−5 (2−12) 7質量%
3−BB(F)B−5 (2−12) 7質量%
NI=119.3℃;Δn=0.201;Δε=8.4
[組成物(M11)]
5−BB−C (1−2) 18質量%
2−HHB−C (1−9) 8質量%
2−HHB(F)−C (1−9) 18質量%
3−HHB(F)−C (1−9) 18質量%
3−BB(F)B(F,F)XB(F,F)−F (1−41) 6質量%
4−BB(F)B(F,F)XB(F,F)−F (1−41) 5質量%
2−BB(F)B−3 (2−12) 12質量%
2−BB(F)B−5 (2−12) 9質量%
3−BB(F)B−5 (2−12) 6質量%
NI=134.1℃;Δn=0.199;Δε=15.2
重合性化合物は、次の化合物の中から適宜選んで使用した。
単官能モノマー(M−1)は以下の化合物が挙げられる。
N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−(ブトキシメチル)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド、N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]アクリルアミド。
環状構造を有する単官能モノマー(M−2)は、以下の化合物が挙げられる。
Figure 2021183686
このなかで、本実施例では、(M−2−2−1)、(M−2−7−1)および(M2−10−1)を使用した。
多官能のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーとして、
ポリエーテル系で、重量平均分子量が約11,000であるウレタンアクリレートオリゴマーUN6202(根上工業株式会社製)、ポリエーテル系で、重量平均分子量が27,000であるウレタンアクリレートオリゴマーUN6207(根上工業株式会社製)を用いた。
リン酸部位を有する重合性化合物(M−3)としては、式(M−3)において、M102がメチルであり、n101が2である、ライトエステルP−1M(共栄社化学株式会社製)を用いた。
極性化合物であるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、または4−ヒドロキシブチルアクリレートを用いた。
直鎖アルキルまたは分岐鎖アルキルなどの線状構造を有する、単官能重合性化合物(式(M−5−E)としては、化合物(M−5−E−1)、化合物(M−5−E−2)、化合物(M−5−E−3)、化合物(M−5−E−4)を用いることができる。
本実施例では、化合物(M−5−E−1)としてビスコート#190,CBA,EEEA(大阪有機化学工業製)を、化合物(M−5−E−4)として、NKエステルAM−130G(新中村化学工業製)を用いた。
[実施例1]
(1)液晶調光素子の作製
組成物(M4)は正の誘電率異方性を有した。
60質量%の組成物(M4)と、
10質量%のN,N−ジエチルアクリルアミドと、
20質量%のウレタンアクリレートオリゴマーUN6202と、
10質量%の重合性化合物(M−2−7−1)とを混合し、
重合性組成物を調製した。Omnirad651(光重合開始剤;登録商標;IGM Resins)を、液晶組成物と重合性化合物の混合物の合計質量に基づいて0.4質量%の割合で添加し、調光素子用重合性組成物とした。この調光素子用重合性組成物は、室温(25℃)では、等方相状態であった。この調光素子用重合性組成物に15μmのスペーサーを入れ、ITO付PETフィルム(フィルム厚み125μm)に塗布し、ラミネーターにより、もう一枚のフィルムと張り合わせた。
次に、UV−LED露光器(株式会社AKS社製、LED露光器AMU−35−DU/LED)を用いて、波長365nm、照度15mW/cm2の紫外線を室温(25℃)で3J/cm2照射し、液晶複合体を有する素子を作製した。得られた素子は不透明であった。この素子に60Vの電圧を印加し、光を照射した時には透明になった。この結果から、この素子はノーマルモードであることが分かった。
(2)密着性の評価
上記の素子を、測定(5)に記載の条件下で剥離力を測定したところ、剥離力は、0.6N/cmであった。
(3)耐候性試験後のヘイズ変化率の評価
得られた素子を、入射光に対して素子が垂直になるようにヘイズメーター内へ設置した。この素子に0Vから60Vの範囲の電圧を印加し、ヘイズ率を測定した。次に、測定(3−3)に記載の条件下で行った耐候性試験後のヘイズ率を測定し、ヘイズ変化率を算出したところ、約5%であった。
[実施例2]
60質量%の組成物(M4)と、
10質量%のN,N−ジエチルアクリルアミドと、
20質量%のウレタンアクリレートオリゴマーUN6202と、
10質量%の重合性化合物(M−2−2−1)とを混合し、
重合性組成物を調製し、実施例1と同様に光重合開始剤を添加し、調光素子用重合性組成物とした。この調光素子用重合性組成物は、室温(25℃)では、等方相状態であった。この調光素子用重合性組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様な方法で液晶複合体を有する素子を作製した。得られた素子は不透明であった。この素子に60Vの電圧を印加し、光を照射した時には透明になった。この結果から、この素子はノーマルモードであることが分かった。
実施例1と同様な方法で素子の剥離力を測定したところ、剥離力は、1.3N/cmであった。
実施例1と同様な方法で耐候性試験後のヘイズ変化率を算出したところ、約4%であった。
[実施例3]
60質量%の組成物(M4)と、
15質量%のN,N−ジエチルアクリルアミドと、
15質量%のウレタンアクリレートオリゴマーUN6202と、
10質量%の重合性化合物(M−2−2−1)とを混合し、
重合性組成物を調製し、実施例1と同様に光重合開始剤を添加し、調光素子用重合性組成物とした。この調光素子用重合性組成物は、室温(25℃)では、等方相状態であった。この調光素子用重合性組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様な方法で液晶複合体を有する素子を作製した。得られた素子は不透明であった。この素子に60Vの電圧を印加し、光を照射した時には透明になった。この結果から、この素子はノーマルモードであることが分かった。
実施例1と同様な方法で素子の剥離力を測定したところ、剥離力は、1.8N/cmであった。
実施例1と同様な方法で耐候性試験後のヘイズ変化率を算出したところ、約5%であった。
[実施例4]
55質量%の組成物(M4)と、
22.5質量%のN,N−ジエチルアクリルアミドと、
11.25質量%のウレタンアクリレートオリゴマーUN6202と、
11.25質量%の重合性化合物(M−2−2−1)とを混合し、
重合性組成物を調製し、実施例1と同様に光重合開始剤を添加し、調光素子用重合性組成物とした。この調光素子用重合性組成物は、室温(25℃)では、等方相状態であった。この調光素子用重合性組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様な方法で液晶複合体を有する素子を作製した。得られた素子は不透明であった。この素子に60Vの電圧を印加し、光を照射した時には透明になった。この結果から、この素子はノーマルモードであることが分かった。
実施例1と同様な方法で素子の剥離力を測定したところ、剥離力は、2.3N/cmであった。
実施例1と同様な方法で耐候性試験後のヘイズ変化率を算出したところ、約5%であった。
[実施例5]
組成物(M5)は正の誘電率異方性を有した。
60質量%の組成物(M5)と、
20質量%のN,N−ジエチルアクリルアミドと、
10質量%のウレタンアクリレートオリゴマーUN6202と、
10質量%の重合性化合物(M−2−7−1)とを混合し、
重合性組成物を調製し、実施例1と同様に光重合開始剤を添加し、調光素子用重合性組成物とした。この調光素子用重合性組成物は、室温(25℃)では、等方相状態であった。この調光素子用重合性組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様な方法で液晶複合体を有する素子を作製した。得られた素子は不透明であった。この素子に60Vの電圧を印加し、光を照射した時には透明になった。この結果から、この素子はノーマルモードであることが分かった。
実施例1と同様な方法で素子の剥離力を測定したところ、剥離力は、1.3N/cmであった。
実施例1と同様な方法で耐候性試験後のヘイズ変化率を算出したところ、約5%であった。
[実施例6]
60質量%の組成物(M5)と、
10質量%のN,N−ジエチルアクリルアミドと、
10質量%のウレタンアクリレートオリゴマーUN6202と、
20質量%の重合性化合物(M−2−7−1)とを混合し、
重合性組成物を調製し、実施例1と同様に光重合開始剤を添加し、調光素子用重合性組成物とした。この調光素子用重合性組成物は、室温(25℃)では、等方相状態であった。この調光素子用重合性組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様な方法で液晶複合体を有する素子を作製した。得られた素子は不透明であった。この素子に60Vの電圧を印加し、光を照射した時には透明になった。この結果から、この素子はノーマルモードであることが分かった。
実施例1と同様な方法で素子の剥離力を測定したところ、剥離力は、2.3N/cmであった。
実施例1と同様な方法で耐候性試験後のヘイズ変化率を算出したところ、約4%であった。
[実施例7]
60質量%の組成物(M5)と、
15質量%のN,N−ジエチルアクリルアミドと、
15質量%のウレタンアクリレートオリゴマーUN6202と、
10質量%の重合性化合物(M−2−7−1)とを混合し、
重合性組成物を調製し、実施例1と同様に光重合開始剤を添加し、調光素子用重合性組成物とした。この調光素子用重合性組成物は、室温(25℃)では、等方相状態であった。この調光素子用重合性組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様な方法で液晶複合体を有する素子を作製した。得られた素子は不透明であった。この素子に60Vの電圧を印加し、光を照射した時には透明になった。この結果から、この素子はノーマルモードであることが分かった。
実施例1と同様な方法で素子の剥離力を測定したところ、剥離力は、1.8N/cmであった。
実施例1と同様な方法で耐候性試験後のヘイズ変化率を算出したところ、約5%であった。
[実施例8]
60質量%の組成物(M5)と、
10質量%のN,N−ジエチルアクリルアミドと、
10質量%のウレタンアクリレートオリゴマーUN6202と、
20質量%の重合性化合物(M−2−2−1)とを混合し、
重合性組成物を調製し、実施例1と同様に光重合開始剤を添加し、調光素子用重合性組成物とした。この調光素子用重合性組成物は、室温(25℃)では、等方相状態であった。この調光素子用重合性組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様な方法で液晶複合体を有する素子を作製した。得られた素子は不透明であった。この素子に60Vの電圧を印加し、光を照射した時には透明になった。この結果から、この素子はノーマルモードであることが分かった。
実施例1と同様な方法で素子の剥離力を測定したところ、剥離力は、1.5N/cmであった。
実施例1と同様な方法で耐候性試験後のヘイズ変化率を算出したところ、約5%であった。
[実施例9]
60質量%の組成物(M5)と、
20質量%のN,N−ジエチルアクリルアミドと、
10質量%のウレタンアクリレートオリゴマーUN6202と、
10質量%の重合性化合物(M−2−2−1)とを混合し、
重合性組成物を調製し、実施例1と同様に光重合開始剤を添加し、調光素子用重合性組成物とした。この調光素子用重合性組成物は、室温(25℃)では、等方相状態であった。この調光素子用重合性組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様な方法で液晶複合体を有する素子を作製した。得られた素子は不透明であった。この素子に60Vの電圧を印加し、光を照射した時には透明になった。この結果から、この素子はノーマルモードであることが分かった。
実施例1と同様な方法で素子の剥離力を測定したところ、剥離力は、2.5N/cmであった。
実施例1と同様な方法で耐候性試験後のヘイズ変化率を算出したところ、約4%であった。
[実施例10]
60質量%の組成物(M4)と、
10質量%のN,N−ジエチルアクリルアミドと、
19.8質量%のウレタンアクリレートオリゴマーUN6202と、
10質量%の重合性化合物(M−2−7−1)と、
0.2質量%のライトエステルP−1Mを混合し、
重合性組成物を調製し、実施例1と同様に光重合開始剤を添加し、調光素子用重合性組成物とした。この調光素子用重合性組成物は、室温(25℃)では、等方相状態であった。この調光素子用重合性組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様な方法で液晶複合体を有する素子を作製した。得られた素子は不透明であった。この素子に60Vの電圧を印加し、光を照射した時には透明になった。この結果から、この素子はノーマルモードであることが分かった。
実施例1と同様な方法で素子の剥離力を測定したところ、剥離力は、11.4N/cmであった。
実施例1と同様な方法で耐候性試験後のヘイズ変化率を算出したところ、約5%であった。
[実施例11]
60質量%の組成物(M4)と、
10質量%のN,N−ジエチルアクリルアミドと、
19.8質量%のウレタンアクリレートオリゴマーUN6202と、
10質量%の重合性化合物(M−2−2−1)と、
0.2質量%のライトエステルP−1Mを混合し、
重合性組成物を調製し、実施例1と同様に光重合開始剤を添加し、調光素子用重合性組成物とした。この調光素子用重合性組成物は、室温(25℃)では、等方相状態であった。この調光素子用重合性組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様な方法で液晶複合体を有する素子を作製した。得られた素子は不透明であった。この素子に60Vの電圧を印加し、光を照射した時には透明になった。この結果から、この素子はノーマルモードであることが分かった。
実施例1と同様な方法で素子の剥離力を測定したところ、剥離力は、10.2N/cmであった。
実施例1と同様な方法で耐候性試験後のヘイズ変化率を算出したところ、約4%であった。
[実施例12]
60質量%の組成物(M1)と、
15質量%のN,N−ジエチルアクリルアミドと、
15質量%のウレタンアクリレートオリゴマーUN6202と、
10質量%の重合性化合物(M−2−7−1)とを混合し、
重合性組成物を調製し、実施例1と同様に光重合開始剤を添加し、調光素子用重合性組成物とした。この調光素子用重合性組成物は、室温(25℃)では、等方相状態であった。この調光素子用重合性組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様な方法で液晶複合体を有する素子を作製した。得られた素子は不透明であった。この素子に60Vの電圧を印加し、光を照射した時には透明になった。この結果から、この素子はノーマルモードであることが分かった。
実施例1と同様な方法で素子の剥離力を測定したところ、剥離力は、1.9N/cmであった。
実施例1と同様な方法で耐候性試験後のヘイズ変化率を算出したところ、約2%であっ
た。
[実施例13]
60質量%の組成物(M2)と、
15質量%のN,N−ジエチルアクリルアミドと、
15質量%のウレタンアクリレートオリゴマーUN6202と、
10質量%の重合性化合物(M−2−7−1)とを混合し、
重合性組成物を調製し、実施例1と同様に光重合開始剤を添加し、調光素子用重合性組成物とした。この調光素子用重合性組成物は、室温(25℃)では、等方相状態であった。この調光素子用重合性組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様な方法で液晶複合体を有する素子を作製した。得られた素子は不透明であった。この素子に60Vの電圧を印加し、光を照射した時には透明になった。この結果から、この素子はノーマルモードであることが分かった。
実施例1と同様な方法で素子の剥離力を測定したところ、剥離力は、1.7N/cmであった。
実施例1と同様な方法で耐候性試験後のヘイズ変化率を算出したところ、約3%であった。
[実施例14]
60質量%の組成物(M3)と、
15質量%のN,N−ジエチルアクリルアミドと、
15質量%のウレタンアクリレートオリゴマーUN6202と、
10質量%の重合性化合物(M−2−7−1)とを混合し、
重合性組成物を調製し、実施例1と同様に光重合開始剤を添加し、調光素子用重合性組成物とした。この調光素子用重合性組成物は、室温(25℃)では、等方相状態であった。この調光素子用重合性組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様な方法で液晶複合体を有する素子を作製した。得られた素子は不透明であった。この素子に60Vの電圧を印加し、光を照射した時には透明になった。この結果から、この素子はノーマルモードであることが分かった。
実施例1と同様な方法で素子の剥離力を測定したところ、剥離力は、1.8N/cmであった。
実施例1と同様な方法で耐候性試験後のヘイズ変化率を算出したところ、約2%であった。
[実施例15]
組成物(M10)は正の誘電率異方性を有した。
60質量%の組成物(M10)と、
5質量%のN,N−ジエチルアクリルアミドと、
10質量%のウレタンアクリレートオリゴマーUN6202と、
15質量%の重合性化合物(M−2−2−1)と、
5質量%の4−ヒドロキシブチルアクリレートと、
5質量%の化合物(M−5−E−4)と、を混合し、
重合性組成物を調製し、実施例1と同様に光重合開始剤を添加し、調光素子用重合性組成物とした。この調光素子用重合性組成物は、室温(25℃)では、等方相状態であった。この調光素子用重合性組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様な方法で液晶複合体を有する素子を作製した。得られた素子は不透明であった。この素子に60Vの電圧を印加し、光を照射した時には透明になった。また、駆動時の温度を110℃あるいは−40℃とし、この素子に60Vの電圧を印加し、光を照射した時にも透明になることを確認した。この結果から、この素子はノーマルモードであることが分かった。
実施例1と同様な方法で素子の剥離力を測定したところ、剥離力は、1.5N/cmであった。
実施例1と同様な方法で耐候性試験後のヘイズ変化率を算出したところ、約5%であった。
[実施例16]
60質量%の組成物(M10)と、
5質量%のN,N−ジエチルアクリルアミドと、
10質量%のウレタンアクリレートオリゴマーUN6202と、
15質量%の重合性化合物(M−2−2−1)と、
5質量%の2−ヒドロキシエチルアクリレートと、
5質量%の化合物(M−5−E−1)と、を混合し、
重合性組成物を調製し、実施例1と同様に光重合開始剤を添加し、調光素子用重合性組成物とした。この調光素子用重合性組成物は、室温(25℃)では、等方相状態であった。この調光素子用重合性組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様な方法で液晶複合体を有する素子を作製した。得られた素子は不透明であった。この素子に60Vの電圧を印加し、光を照射した時には透明になった。また、駆動時の温度を110℃あるいは−30℃とし、この素子に60Vの電圧を印加し、光を照射した時にも透明になることを確認した。この結果から、この素子はノーマルモードであることが分かった。
実施例1と同様な方法で素子の剥離力を測定したところ、剥離力は、1.9N/cmであった。
実施例1と同様な方法で耐候性試験後のヘイズ変化率を算出したところ、約4%であった。
[実施例17]
60質量%の組成物(M10)と、
5質量%のN,N−ジエチルアクリルアミドと、
10質量%のウレタンアクリレートオリゴマーUN6202と、
7質量%の重合性化合物(M−2−2−1)と、
9質量%の2−ヒドロキシエチルアクリレートと、
9質量%の化合物(M−5−E−1)と、を混合し、
重合性組成物を調製し、実施例1と同様に光重合開始剤を添加し、調光素子用重合性組成物とした。この調光素子用重合性組成物は、室温(25℃)では、等方相状態であった。この調光素子用重合性組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様な方法で液晶複合体を有する素子を作製した。得られた素子は不透明であった。この素子に60Vの電圧を印加し、光を照射した時には透明になった。また、駆動時の温度を110℃あるいは−40℃とし、この素子に60Vの電圧を印加し、光を照射した時にも透明になることを確認した。この結果から、この素子はノーマルモードであることが分かった。
実施例1と同様な方法で素子の剥離力を測定したところ、剥離力は、1.2N/cmであった。
実施例1と同様な方法で耐候性試験後のヘイズ変化率を算出したところ、約4%であった。
[実施例18]
60質量%の組成物(M11)と、
5質量%のN,N−ジエチルアクリルアミドと、
10質量%のウレタンアクリレートオリゴマーUN6207と、
10質量%の重合性化合物(M−2−2−1)と、
5質量%の重合性化合物(M−2−10−1)と、
2質量%の4−ヒドロキシブチルアクリレートと、
8質量%の化合物(M−5−E−1)と、を混合し、
重合性組成物を調製し、実施例1と同様に光重合開始剤を添加した。この重合性組成物は、室温(25℃)では、等方相状態であった。この重合性組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様な方法で液晶複合体を有する素子を作製した。得られた素子は不透明であった。この素子に60Vの電圧を印加し、光を照射した時には透明になった。また、駆動時の温度を110℃あるいは−30℃とし、この素子に60Vの電圧を印加し、光を照射した時にも透明になることを確認した。この結果から、この素子はノーマルモードであることが分かった。
実施例1と同様な方法で素子の剥離力を測定したところ、剥離力は、1.0N/cmであった。
実施例1と同様な方法で耐候性試験後のヘイズ変化率を算出したところ、約3%であった。
[比較例1]
60質量%の組成物(M4)と、
20質量%のウレタンアクリレートオリゴマーUN6202と、
20質量%の重合性化合物(M−2−7−1)とを混合し、
重合性組成物を調製し、実施例1と同様に光重合開始剤を添加し、調光素子用重合性組成物とした。この調光素子用重合性組成物は、室温(25℃)では、等方相状態であった。この調光素子用重合性組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様な方法で液晶複合体を有する素子を作製した。得られた素子は不透明であった。この素子に60Vの電圧を印加し、光を照射した時には透明になった。この結果から、この素子はノーマルモードであることが分かった。
一方、実施例1と同様な方法で素子の剥離力を測定したところ、剥離力は、0.1N/cm以下であった。
[比較例2]
60質量%の組成物(M4)と、
20質量%のN,N−ジエチルアクリルアミドと、
20質量%の重合性化合物(M−2−7−1)とを混合し、
重合性組成物を調製し、実施例1と同様に光重合開始剤を添加し、調光素子用重合性組成物とした。この調光素子用重合性組成物は、室温(25℃)では、等方相状態であった。この調光素子用重合性組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様な方法で液晶複合体を有する素子を作製した。得られた素子は不透明であった。この素子に60Vの電圧を印加し、光を照射した時には透明になった。この結果から、この素子はノーマルモードであることが分かった。
一方、実施例1と同様な方法で素子の剥離力を測定したところ、剥離力は、0.1N/cm以下であった。
以上の結果から、実施例1から実施例18の素子はノーマルモードを有し、密着性が良好であり、耐候性試験後のヘイズ変化率も10%以下と経時変化が小さいことが分かった。したがって、我々は、特定のネマチック組成物と特定の重合体とを組み合せた液晶複合体を液晶調光素子に好適に使用することができると結論する。
本発明の調光素子用重合性組成物を重合して得られる液晶複合体を含有する液晶調光素子は、調光窓、スマートウィンドウなどに用いることができる。
1 電極層を有する基板
2 液晶性化合物
3 透明物質

Claims (28)

  1. 液晶組成物、重合体の前駆体、および光重合開始剤を含有する調光素子用重合性組成物であり、
    上記液晶組成物が、成分Aとして式(1)で表される液晶性化合物を含有し、
    上記重合体の前駆体が、
    式(M−1)で表される化合物から選択される少なくとも1つの単官能重合性化合物、
    環状構造を有する式(M−2)で表される化合物から選択される少なくとも1つの単官能重合性化合物、および
    多官能重合性化合物として2以上の(メタ)アクリロイルを有するウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーから選択される少なくとも1つを、
    それぞれ含有する、調光素子用重合性組成物。
    Figure 2021183686
    (式(1)において、R1は、炭素数1から12のアルキル、炭素数1から12のアルコキシ、または炭素数2から12のアルケニルであり;環Aは、1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、2−フルオロ−1,4−フェニレン、3−フルオロ−1,4−フェニレン、2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2,6−ジフルオロ−1,4−フェニレン、ピリミジン−2,5−ジイル、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、またはテトラヒドロピラン−2,5−ジイルであり;Z1は、単結合、エチレン、ビニレン、エチニレン、メチレンオキシ、カルボニルオキシ、またはジフルオロメチレンオキシであり;X1およびX2はそれぞれ独立して、水素またはフッ素であり;Y1は、フッ素、塩素、シアノ、少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられた炭素数1から12のアルキル、少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられた炭素数1から12のアルコキシ、または少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられた炭素数2から12のアルケニルオキシであり;aは、1、2、3、または4であり;
    Figure 2021183686
    式(M−1)において、
    100は、水素、フッ素、炭素数1から5のアルキル、または少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられた炭素数1から5のアルキルであり;
    100およびR101は、それぞれ独立して水素、または炭素数1から12の、アルキルもしくはヒドロキシアルキルであり、
    これらのアルキルもしくはヒドロキシアルキルにおいて、少なくとも1つの−CH2−は、−O−、−N(R102)−、−CO−、−COO−、または−OCO−で置き換えられてもよく、R102は、水素、炭素数1から12のアルキルであり;
    Figure 2021183686
    式(M−2)において、
    101は、水素、フッ素、炭素数1から5のアルキル、または少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられた炭素数1から5のアルキルであり;
    100は単結合または炭素数1から10のアルキレンであり、このアルキレンにおいて、少なくとも1つの水素は、フッ素または塩素で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−CH2−は、−O−、−CO−、−COO−、または−OCO−で置き換えられてもよく;
    103は、炭素環式の飽和脂肪族化合物、複素環式の飽和脂肪族化合物、炭素環式の不飽和脂肪族化合物、複素環式の不飽和脂肪族化合物、または、炭素環式もしくは複素環式の芳香族化合物から1つの水素を除くことによって生成した、炭素数1から12のアルキルで置き換えられてもよい炭素数5から35の一価基であり、この一価基における、少なくとも1つの−CH2−は、−O−、−CO−、−COO−、または−OCO−で置き換えられてもよい。
  2. 上記式(1)で表される液晶性化合物が、式(1−1)から式(1−48)で表される化合物からなる群より選択された少なくとも1つの化合物である請求項1に記載の調光素子用重合性組成物。
    Figure 2021183686
    Figure 2021183686
    Figure 2021183686
    Figure 2021183686
    Figure 2021183686
    Figure 2021183686
    (式(1−1)から式(1−48)において、R1は、炭素数1から12のアルキル、炭素数1から12のアルコキシ、または炭素数2から12のアルケニルであり、X1およびX2はそれぞれ独立して、水素またはフッ素であり;Y1は、フッ素、塩素、シアノ、少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられた炭素数1から12のアルキル、少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられた炭素数1から12のアルコキシ、または少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられた炭素数2から12のアルケニルオキシである。)
  3. 上記液晶組成物の質量に基づいて、成分Aの割合が5質量%から90質量%の範囲である、請求項1または2に記載の調光素子用重合性組成物。
  4. 上記液晶組成物が、さらに成分Bとして式(2)で表される液晶性化合物を含有する、請求項1から3のいずれか1項に記載の調光素子用重合性組成物。
    Figure 2021183686
    (式(2)において、R3は環Cの炭素原子に結合する基であり、R2およびR3はそれぞれ独立に、炭素数1から12のアルキル、炭素数1から12のアルコキシ、炭素数2から12のアルケニル、または少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられた炭素数2から12のアルケニルであり;
    環Bおよび環Cはそれぞれ独立に、1,4−シクロヘキシレン、1,3−フェニレン、1,4−フェニレン、2−フルオロ−1,4−フェニレン、2,5−ジフルオロ−1,4−フェニレン、またはピリミジン−2,5−ジイルであり;
    2は、単結合、エチレン、ビニレン、エチニレン、メチレンオキシ、またはカルボニルオキシであり;
    bは、1、2、または3である。)
  5. 液晶組成物が成分Bとして式(2−1)から式(2−23)で表される化合物からなる群より選択された少なくとも1つの化合物を含有する、請求項4に記載の調光素子用重合性組成物。
    Figure 2021183686
    Figure 2021183686
    (式(2−1)から式(2−23)において、R2およびR3は、炭素数1から12のアルキル、炭素数1から12のアルコキシ、炭素数2から12のアルケニル、または少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられた炭素数2から12のアルケニルである。)
  6. 液晶組成物の質量に基づいて、成分Bの割合が5質量%から90質量%の範囲である、請求項4または5に記載の調光素子用重合性組成物。
  7. 液晶組成物が、成分Cとして式(3)で表される液晶性化合物を含有する、請求項1から6のいずれか1項に記載の調光素子用重合性組成物。
    Figure 2021183686
    (式(3)において、R4およびR5はそれぞれ独立に、水素、炭素数1から12のアルキル、炭素数1から12のアルコキシ、炭素数2から12のアルケニル、または炭素数2から12のアルケニルオキシであり;環Dおよび環Fはそれぞれ独立に、1,4−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、テトラヒドロピラン−2,5−ジイル、1,4−フェニレン、少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられた1,4−フェニレン、ナフタレン−2,6−ジイル、少なくとも1つの水素がフッ素もしくは塩素で置き換えられたナフタレン−2,6−ジイル、クロマン−2,6−ジイル、または少なくとも1つの水素がフッ素もしくは塩素で置き換えられたクロマン−2,6−ジイルであり;環Eは、2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2−クロロ−3−フルオロ−1,4−フェニレン、2,3−ジフルオロ−5−メチル−1,4−フェニレン、3,4,5−トリフルオロナフタレン−2,6−ジイル、7,8−ジフルオロクロマン−2,6−ジイル、3,4,5,6−テトラフルオロフルオレン−2,7−ジイル、4,6−ジフルオロジベンゾフラン−3,7−ジイル、4,6−ジフルオロジベンゾチオフェン−3,7−ジイル、または1,1,6,7−テトラフルオロインダン−2,5−ジイルであり;Z3およびZ4は、独立して、単結合、エチレン、ビニレン、メチレンオキシ、またはカルボニルオキシであり;cは、0、1、2、または3であり、dは0または1であり、cとdとの和は3以下である。)
  8. 成分Cが、式(3−1)から式(3−35)で表される液晶性化合物からなる群より選択された少なくとも1つの化合物である、請求項7に記載の調光素子用重合性組成物。
    Figure 2021183686
    Figure 2021183686
    Figure 2021183686
    Figure 2021183686
    (式(3−1)から式(3−35)において、R4およびR5はそれぞれ独立に、水素、炭素数1から12のアルキル、炭素数1から12のアルコキシ、炭素数2から12のアルケニル、または炭素数2から12のアルケニルオキシである。)
  9. 液晶組成物の質量に基づいて、成分Cの割合が3質量%から25質量%の範囲である、請求項7または8に記載の調光素子用重合性組成物。
  10. 上記式(M−1)で表される化合物が、
    100は、水素、またはメチルであり;
    100およびR101は、それぞれ独立して水素、炭素数1から10の直鎖または炭素数3から10の分岐鎖のアルキル、または炭素数1から10の直鎖または炭素数3から10の分岐鎖のヒドロキシアルキルであり
    これらのアルキルまたはヒドロキシアルキルにおいて、少なくとも1つの−CH2−は、−O−、または−N(R102)−、で置き換えられてもよく、R102は、水素、または炭素数1から10の直鎖アルキルであり;
    上記式(M−2)で表される化合物が、式(M−2−1)から式(M−2−10)で表される化合物からなる群より選択された少なくとも1つの化合物であり、
    上記ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーが、ポリエステル系ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーおよびポリエーテル系ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーからなる群より選択された少なくとも1つであり、かつその重量平均分子量が、2,000から30,000の範囲である、請求項1に記載の調光素子用重合性組成物。
    Figure 2021183686
    (上記式中、M101は、水素、またはメチルであり;n100は、0、1または2であり、m100は2〜6の整数である)
  11. 上記重合体の前駆体として、式(M−3)および式(M−4)で表される化合物からなる群より選択されたリン酸部位を有する少なくとも1つの重合性化合物をさらに含む、請求項1から10のいずれか1項に記載の調光素子用重合性組成物。
    Figure 2021183686
    (式(M−3)から式(M−4)において、M102は、水素またはメチルであり;n101、n102およびn103は、独立して1から4である。)
  12. 上記重合体の前駆体として、式(M−5−E)および式(M−5−P)で表される化合物からなる群より選択された少なくとも1つの重合性化合物と、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートより選択された少なくとも1つの重合性化合物とを、さらに含む、請求項1から11のいずれか1項に記載の調光素子用重合性組成物。
    Figure 2021183686
    (式(M−5−E)および式(M−5−P)において、M501は水素、またはメチルであり、R502は炭素数1から6のアルキル、であり、nは1から30であり;
    式(M−5−E)のエチレングルコール構造中および式(M−5−P)のプロピレングルコール構造中の水素は炭素数1から3のアルキルで置き換えられてもよく;
    ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートにおけるアルキルは、炭素数2から10の直鎖または炭素数3から10の分岐鎖を有するアルキレンである。)
  13. 上記重合体の前駆体として、式(7)、式(8)、および式(9)で表される化合物からなる群より選択された少なくとも1つの重合性化合物をさらに含む、請求項1から12のいずれか1項に記載の調光素子用重合性組成物。
    Figure 2021183686
    式(7)、式(8)、および式(9)において、環G、環I、環J、環K、環L、および環Mはそれぞれ独立に、1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、1,4−シクロヘキセニレン、ピリジン−2,5−ジイル、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、またはフルオレン−2,7−ジイルであり、ここで、これら基に含まれる少なくとも1つの水素はフッ素、塩素、シアノ、ヒドロキシ、ホルミル、トリフルオロアセチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、炭素数1から5のアルキル、炭素数1から5のアルコキシ、炭素数2から5のアルコキシカルボニル、または炭素数1から5のアルカノイルで置き換えられてもよく;Z8、Z10、Z12、Z13、およびZ17はそれぞれ独立に、単結合、−O−、−COO−、−OCO−、または−OCOO−であり;Z9、Z11、Z14、およびZ16はそれぞれ独立に、単結合、−OCH2−、−CH2O−、−COO−、−OCO−、−COS−、−SCO−、−OCOO−、−CONH−、−NHCO−、−CF2O−、−OCF2−、−CH2CH2−、−CF2CF2−、−CH=CHCOO−、−OCOCH=CH−、−CH2CH2COO−、−OCOCH2CH2−、−CH=CH−、−N=CH−、−CH=N−、−N=C(CH3)−、−C(CH3)=N−、−N=N−、または−C≡C−であり;Z15は、単結合、−O−または−COO−であり;Y2は、水素、フッ素、塩素、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、炭素数1から20の直鎖アルキル、炭素数2から20の直鎖アルケニル、炭素数1から20の直鎖アルコキシ、または炭素数2から20の直鎖アルコキシカルボニルであり;fおよびhはそれぞれ独立に、1から4の整数であり;kおよびmはそれぞれ独立に、0から3の整数であり、kおよびmの和は、1から4であり;e、g、i、j、l、およびnはそれぞれ独立に、0から20の整数であり;M7からM12はそれぞれ独立に、水素またはメチルである。
  14. 液晶組成物と重合体の前駆体の合計質量に基づいて、液晶組成物の割合が30質量%から95質量%の範囲であり、重合体の前駆体の割合が、5質量%から70質量%の範囲である、請求項1から13のいずれか1項に記載の調光素子用重合性組成物。
  15. 液晶組成物と重合体の前駆体の合計質量に基づいて、
    化合物(M−1)の割合が3質量%から25質量%の範囲であり、
    化合物(M−2)の割合が3質量%から30質量%の範囲であり、
    多官能のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの割合が5質量%から25質量%の範囲であり、ただし、重合体の前駆体の合計割合が、70質量%を超えない、
    光重合開始剤の割合が、液晶組成物と重合体の前駆体の合計質量に基づいて0.1質量%から5質量%の範囲である、請求項1から14のいずれか1項に記載の調光素子用重合性組成物。
  16. 液晶組成物と重合体の前駆体の合計質量に基づいて、
    化合物(M−3)および化合物(M−4)の割合が、0.001質量%から0.5質量%の範囲である、請求項11から15のいずれか1項に記載の調光素子用重合性組成物。
  17. 液晶組成物と重合体の前駆体の合計質量に基づいて、
    化合物(M−5−E)および/または化合物(M−5−P)と、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとの合計割合が、2質量%から30質量%の範囲である、請求項12から16のいずれか1項に記載の調光素子用重合性組成物。
  18. 請求項1から17のいずれか1項に記載の調光素子用重合性組成物を重合して得られる液晶複合体である調光層が一対の透明基板により挟持され、透明基板が透明電極を有する、液晶調光素子。
  19. 透明基板がガラス板、プラスチック板またはプラスチックフィルムからなる、請求項18に記載の液晶調光素子。
  20. 照度(180W/m2)、照射時間(100時間)、槽内温度(35℃)の条件下で行った耐候性試験の前後におけるヘイズ変化率が20%以下である、請求項18または19に記載の液晶調光素子。
  21. 請求項18から20のいずれか1項に記載の液晶調光素子を使用する調光窓。
  22. 請求項18から20のいずれか1項に記載の液晶調光素子を使用するスマートウィンドウ。
  23. 請求項1から17のいずれか1項に記載の調光素子用重合性組成物を重合して得られる液晶複合体。
  24. 請求項23に記載の液晶複合体の、液晶調光素子への使用。
  25. 請求項23に記載の液晶複合体の、透明基板がプラスチック板またはプラスチックフィルムからなる液晶調光素子への使用。
  26. 請求項23に記載の液晶複合体の、調光窓への使用。
  27. 請求項23に記載の液晶複合体の、スマートウィンドウへの使用。
  28. 請求項1から17のいずれか1項に記載の調光素子用重合性組成物を重合して得られる液晶複合体の、透明基板がプラスチック板またはプラスチックフィルムからなる液晶調光素子への使用。
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