JP2021183677A - グラフト変性方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】オレフィン系重合体へのアクリル系モノマーのグラフト変性を良好に行うことができる、グラフト変性方法を提供すること。【解決手段】オレフィン系重合体と、(メタ)アクリル酸または(メタ)アクリル酸エステルとを、酸化処理されたアルキル化ホウ素化合物と、水またはアルコールである電子供与体と、を含む溶液中で反応させる、オレフィン系重合体のグラフト変性方法。【選択図】図1

Description

本発明は、グラフト変性方法に関する。
オレフィン系重合体は、高い耐薬品性および機械特性などの特長を有する。基本的には非極性であるオレフィン系重合体の、極性物質との親和性を高めるため、グラフト変性によりオレフィン系重合体に極性基を付与する方法が知られている。上記極性基の付与は、たとえば有機カルボン酸のグラフト変性により行われる。このようにして極性基を付与されたオレフィン系重合体には、ポリマーの相溶化剤(改質剤)などとしての利用が期待されている。
オレフィン系重合体へのグラフト重合を、アルキル化ホウ素化合物を開始剤として行う方法が知られている。
たとえば、特許文献1には、酸化されたトリブチルホウ素(パーオキシルジアルキルボラン)がホモリチック開裂してアルキルラジカルを生成し、上記アルキルラジカルがオレフィン系重合体から水素を引き抜くと記載されている。そして、上記水素の引き抜きによりオレフィン系重合体に生成したラジカルと酸化したトリブチルホウ素の残基とが無水マレイン酸と反応して、オレフィン系重合体にマレイン酸無水物をグラフト重合させると記載されている。
また、特許文献2には、いずれもトリヘキシルホウ素の存在下で、4−ビニルピリジンがポリプロピレンにグラフト重合したこと、アクリロニトリルがポリエチレンにグラフト重合したこと、およびアクリロニトリルがポリブテン−1にグラフト重合したことが、記載されている。
米国特許出願公開第2002/0198327号明細書 米国特許第3141862号明細書
特許文献1および特許文献2に記載のように、アルキル化ホウ素化合物の存在下でオレフィン系重合体のグラフト重合を行うことは公知である。そのため、炭素−炭素二重結合を有する有機カルボン酸またはその誘導体(たとえば、(メタ)アクリル酸および(メタ)アクリル酸エステル:以下、単に「アクリル系モノマー」ともいう。なお、本明細書において、(メタ)アクリルとは、「アクリル」および「メタクリル」の双方を意味する。)のオレフィン系重合体へのグラフト重合も、アルキル化ホウ素化合物の存在下を行い得ることが期待される。
このとき、より多くのアクリル系モノマーをオレフィン系重合体にグラフト重合させる方法として、反応系に添加するアクリル系モノマーの量を増やしたり、反応温度をより高くしたりする方法が考えられる。しかし、これらの方法には、たとえばアクリル系モノマーの量を増やすとグラフト変性体の製造コストが高くなったり、反応温度を高くすると装置への負担が大きくなったりするなどの課題がある。そのため、オレフィン系重合体へのアクリル系モノマーのグラフト変性をより簡易かつ良好に行い得る方法の開発が求められている。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、オレフィン系重合体へのアクリル系モノマーのグラフト変性を良好に行うことができる、グラフト変性方法を提供することをその目的とする。
上記課題を解決するための本発明の一態様に関するオレフィン系重合体のグラフト変性方法は、前記オレフィン系重合体と、(メタ)アクリル酸または(メタ)アクリル酸エステルとを、酸化処理されたアルキル化ホウ素化合物と、水またはアルコールである電子供与体と、を含む溶液中で反応させる。
本発明によれば、オレフィン系重合体へのアクリル系モノマーのグラフト変性を良好に行うことができる、グラフト変性方法が提供される。
図1は、本実施形態におけるグラフト変性方法の一例を示すフローチャートである。 図2は、実施例に記載した試験1〜3のグラフト化率およびホモポリマー選択率をプロットしたグラフである。
本発明者らは、鋭意検討および研究の結果、オレフィン系重合体へのアクリル系モノマーのグラフト重合を、酸化処理されたアルキル化ホウ素化合物と、水またはアルコールである電子供与体と、含む溶液中で反応させることで、オレフィン系重合体へのアクリル系モノマーのグラフト変性を良好に行うことができることを見出し、さらに検討および実験を重ねて、本発明を完成させた。
(オレフィン系重合体)
上記オレフィン系重合体は、グラフト変性しようとするオレフィン系重合体であればよく、その種類は限定されない。
上記オレフィン系重合体は、たとえば、炭素数2以上20以下のα−オレフィンに由来する構造単位を主な構造単位として含むポリオレフィンであればよい。主な構造単位とは、上記オレフィン系重合体が有するすべての構造単位のモル数に対して、上記炭素数2以上20以下のα−オレフィンに由来する構造単位を51モル%以上含むことを意味する。
上記炭素数2以上20以下のα−オレフィンは、直鎖状のα−オレフィンであってもよいし、分岐状のα−オレフィンであってもよい。
上記炭素数2以上20以下の直鎖状のα−オレフィンの例には、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、および1−エイコセンなどが含まれる。上記直鎖状のα−オレフィンの炭素数は、2以上10以下であることが好ましい。
炭素数3以上20以下の分岐状のα−オレフィンの例には、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、3,3−ジメチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、トリメチル−1−ブテン、トリメチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセン、メチルエチルペンテン−1、ジエチルブテン−1、およびプロピルペンテン−1などが含まれる。上記分岐状のα−オレフィンの炭素数は、5以上20以下であることが好ましく、5以上10以下であることがより好ましい。
上記オレフィン系重合体は、これらのα−オレフィンの単独重合体であってもよいし、これらのうち2種以上のα−オレフィンの共重合体であってもよい。
上記オレフィン系重合体は、エチレン、プロピレン、ブテン、ヘキセンまたはオクテンに由来する構造単位を主な構造単位とすることが好ましく、エチレン、プロピレンまたはブテンに由来する構造単位を主な構造単位とすることがより好ましく、エチレンまたはプロピレンに由来する構造単位を主な構造単位とすることがさらに好ましい。
上記オレフィン系重合体は、上記α−オレフィンに由来する構造単位を、上記オレフィン系重合体が有するすべての構造単位のモル数に対して51モル%以上有すればよいが、60モル%以上有することがより好ましく、70モル%以上有することがさらに好ましい。なお、上記α−オレフィンに由来する構造単位の量の上限は特に規定されず、100モル%とすることができる。
上記オレフィン系重合体は、これらのα−オレフィンの他の化合物に由来する構造単位を有してもよい。上記他の化合物の例には、炭素数21以上のα−オレフィン、スチレンなどを含む芳香族ビニル化合物、ジエン、およびポリエンなどが含まれる。上記オレフィン系重合体は、上記他の化合物に由来する構造単位を、上記オレフィン系重合体が有するすべての構造単位のモル数に対して49モル%以下の量で有するが、1モル%以上40モル%以下であることが好ましい。
上記オレフィン系重合体は、エチレンに由来する構造単位を主な構造単位とする重合体(以下、単に「エチレン系重合体」ともいう。)またはプロピレンに由来する構造単位を主な構造単位とする重合体(以下、単に「プロピレン系重合体」ともいう。)であることが好ましい。
上記エチレン系重合体の例には、エチレンと炭素数3以上8以下のα−オレフィンとの共重合体が含まれる。上記エチレンと共重合する炭素数3以上8以下のα−オレフィンの例には、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、2−メチルブテン−1、3−メチルブテン−1、ヘキセン−1、3−メチルペンテン−1、4−メチルペンテン−1、3,3−ジメチルブテン−1、ヘプテン−1、メチルヘキセン−1、ジメチルペンテン−1、トリメチルブテン−1、エチルペンテン−1、オクテン−1、メチルペンテン−1、ジメチルヘキセン−1、トリメチルペンテン−1、エチルヘキセン−1、メチルエチルペンテン−1、ジエチルブテン−1、およびプロピルペンテン−1などが含まれる。これらのうち、プロピレン、ブテン−1、ヘキセン−1、およびオクテン−1が好ましく、プロピレン、ブテン−1、およびオクテン−1がより好ましく、プロピレンおよびブテン−1がさらに好ましく、プロピレンが特に好ましい。
上記エチレン系重合体は、上記エチレン系重合体が有するすべての構造単位のモル数に対して、エチレンに由来する構造単位を51モル%以上90モル%以下有することが好ましく、51モル%以上85モル%以下有することがより好ましく、55モル%以上80モル%以下有することがさらに好ましい。また、上記エチレン系重合体は、上記エチレン系重合体が有するすべての構造単位のモル数に対して、上記炭素数3以上8以下のα−オレフィンを、10モル%以上49モル%以下有することが好ましく、15モル%以上49モル%以下有することがより好ましく、20モル%以上45モル%以下有することがさらに好ましい。
上記プロピレン系重合体の例には、プロピレン・1−ブテンランダム共重合体、プロピレン・4−メチル‐1−ペンテンランダム共重合体、プロピレン・エチレンランダム共重合体、プロピレン・オクテンランダム共重合体、およびプロピレン単独重合体などが含まれる。
上記オレフィン系重合体を構成する構造単位の含有率は、たとえば、13C−NMR法で測定することができる。
上記オレフィン系重合体は、135℃のデカリン溶媒中で測定した極限粘度[η]が、0.05dL/g以上15dL/g以下であることが好ましく、0.1dL/g以上10dL/g以下であることがより好ましく、0.5dL/g以上3dL/g以下であることがさらに好ましい。
上記オレフィン系重合体は、190℃、2.16kgf荷重で測定したメルトフローレート(MFR)が、0.01g/10分以上200g/10分以下であることが好ましく、0.1g/10分以上180g/10分以下であることがより好ましく、1g/10分150g/10分であることがさらに好ましい。
上記オレフィン系重合体は、重量平均分子量(Mw)が1,000以上500,000以下であることが好ましく、5,000以上300,000以下であることがより好ましく、10,000以上200,000以下であることがさらに好ましい。
上記重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)法により、下記の装置及び条件で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量とすることができる。
測定装置:GPC(ALC/GPC 150−C plus型、示差屈折計検出器一体型、Waters製)
カラム:GMH6−HT(東ソー(株)製)2本、およびGMH6−HTL(東ソー(株)製)2本を直列に接続
溶離液:o−ジクロロベンゼン
カラム温度:140℃
流量:1.0ml/分
上記オレフィン系重合体は、従来公知の方法で調製することができる。上記オレフィン系重合体は、市販のポリオレフィンを用いてもよい。
(アクリル系モノマー)
上記アクリル系モノマー((メタ)アクリル酸または(メタ)アクリル酸エステル)は、上記オレフィン系重合体をグラフト変性するための化合物である。アクリル系モノマーは、重合時に、その一部はグラフト変性により上記オレフィン系重合体に付与され、また他の一部はグラフト変性アクリル系モノマーと重合して、アクリル系重合体を含む側鎖を上記オレフィン系重合体に形成する。
上記(メタ)アクリル酸エステルは、(メタ)アクリル酸と炭素数1以上36以下のアルコールとのエステル化合物とすることができる。上記アルコールは、炭素数4以上28以下のアルコールを含むことが好ましく、炭素数6以上24以下のアルコールを含むことがより好ましい。
上記(メタ)アクリル酸エステルの例には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(およびメタ)アクリル酸トリデシルなどが含まれる。
なお、重合時には、炭素数が異なる複数のアクリル系モノマーを併用して、複数のアクリル系モノマーに由来する構造単位を有する側鎖を上記オレフィン系重合体に付与してもよい。上記複数のアクリル系モノマーは、2種類以上のアクリル系モノマーであればよいが、3種類以上のアクリル系モノマーであってもよい。
上記アクリル系モノマーの重合系への付与量は、上記オレフィン系重合体の全質量を100質量部としたとき、200質量部以上1000質量部以下とすることができ、200質量部以上450質量部以下とすることが好ましい。
(アルキル化ホウ素化合物)
上記アルキル化ホウ素化合物は、グラフト重合の開始剤として作用する化合物であればよい。
上記アルキル化ホウ素化合物の例には、トリアルキル化ホウ素、ジアルキルアルコキシホウ素、ジアルキルハロゲン化ホウ素、9−ボラビシクロ[3.3.1]ノナン(9−BBN)、および2−ボラインダンなどが含まれる。これらのアルキル化ホウ素化合物が有するアルキル基またはアルコキシ基は、炭素数が1以上12以下であることが好ましい。たとえば、上記アルキル基の例には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、およびn−ドデシル基などが含まれる。また、上記ジアルキルハロゲン化ホウ素が有するハロゲンの例には、フッ素、塩素、臭素、およびヨウ素を含まれ、これらのうち、塩素が好ましい。
上記アルキル化ホウ素化合物は、これらのうち、トリアルキル化ホウ素またはジアルキルアルコキシホウ素であることが好ましく、トリエチルホウ素(TEB)、トリブチルホウ素(TBB)またはジエチルメトキシボランであることがより好ましく、トリエチルホウ素(TEB)であることがさらに好ましい。
上記アルキル化ホウ素化合物は、グラフト重合反応前に酸化処理される。上記酸化処理の方法は特に限定されず、酸素を含む空気のバブリングなどとすることができる。
上記アルキル化ホウ素化合物は、酸化処理によりアルコキシラジカルを生成する。このアルコキシラジカルは、上記オレフィン系重合体の主鎖に含まれる炭素から水素を引き抜く。そして、上記水素を引き抜かれた炭素がグラフト重合の開始点となって、アクリル系モノマーが上記オレフィン系重合体に付与されていく。
上記アルキル化ホウ素化合物の重合系への付与量は、上記オレフィン系重合体の全質量を100質量部としたとき、0.1%質量部以上2.0質量部以下とすることができ、0.3質量部以上1.5質量部以下とすることがより好ましく、0.5質量部以上1.5質量部以下とすることがさらに好ましい。
(電子供与体)
上記電子供与体は、グラフト重合時の上記アクリル系モノマーの反応効率を高める。また、同時に、アクリル系モノマーによるホモポリマー((メタ)アクリル重合体)の形成よりもグラフト重合を優先させて反応させ、グラフト重合により生成したグラフト変性体中に含まれる上記アクリル系モノマーに由来する構造単位の量を増やすことができる。さらには、上記2つの効果の組み合わせとして、上記電子供与体は、グラフト重合により生じた上記アクリル系モノマーに由来する側鎖の長さをより長くすることができる。
この理由は定かではないが、本発明者らは以下のように考えている。つまり、アルキル化ホウ素化合物(BRとする。)が酸化処理されると、酸化中間体((ROO)BR)を経て、アルコキシラジカル(RO・)およびブトキシラジカル(・OBR)を生成する。上記アルコキシラジカルはオレフィン系重合体の主鎖から水素を引き抜き、これによりグラフト重合を開始する。ただし、このとき、水素を引き抜かれた炭素が隣接する炭素と二重結合を形成(オレフィン化)してしまうことがある。上記オレフィン化が生じると、グラフト重合は開始されない。
これに対し、上記ブトキシラジカルは、水素引き抜きによりオレフィン系重合体の主鎖に生成したラジカルを捕捉して安定化させ、オレフィン化を抑制してグラフト重合を促進する。このとき、上記電子供与体は上記ブトキシラジカルのホウ素原子に作用(配位)してホウ素原子の周囲の電子密度を高め、ブトキシラジカル(酸素原子)によるラジカル捕捉能を高めることができると考えられる。
これにより、水素を引き抜かれたオレフィン系重合体へのアクリル系モノマーの付加(ラジカル重合)、およびその後のアクリル系モノマーの重合による側鎖の成長が促進されると考えられる。
また、上記電子供与体は、上記酸化中間体((ROO)BR)の開裂によるアルコキシラジカル(RO・)およびボロキシラジカル(・OBR)の生成を促進する。これにより、上記アルコキシラジカルによるアクリル系モノマーの重合も促進され、アクリル系モノマーの反応効率がより高まると考えられる。
上記電子供与体は、水またはアルコールである。
上記アルコールの例には、ベンジルアルコール、1−ブタノール、2−ブタノール、t−ブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、ノルマルプロピルアルコール、イソプロピルアルコール、エタノール、およびメタノールなどが含まれる。
これらの電子供与体のうち、水、エタノールおよびメタノールが好ましく、水がより好ましい
上記電子供与体の添加量は特に限定されないが、アクリル系モノマーの全質量に対して、質量基準で、1ppm以上10,000ppm以下の量であることが好ましく、10ppm以上1,000ppm未満の量であることがより好ましく、50ppm以上1,000ppm未満の量であることがさらに好ましく、100ppm以上8,000ppm以下の量であることが特に好ましい。上記電子供与体の量をより多くすることにより、アクリル系モノマーによるホモポリマーの生成量を減らして、グラフト重合量を増やすことができる。上記電子供与体の量を所定範囲に抑えることにより、オレフィン系重合体に対して貧溶媒である電子供与体の量が過剰となることになるオレフィン系重合体の溶解不良を抑制して、グラフト重合量を増やすことができる。
(グラフト重合)
上記グラフト重合は、上記オレフィン系重合体、アクリル系モノマー、酸化された上記アルキル化ホウ素化合物、および電子供与体の共存下で行われる。
上記グラフト重合は、前記オレフィン系重合体と、(メタ)アクリル酸または(メタ)アクリル酸エステルとを、酸化処理されたアルキル化ホウ素化合物および電子供与体を溶媒中に含む溶液中で溶液重合により行われる。
上記溶媒の例には、ベンゼン、トルエン、およびキシレンなどを含む芳香族炭化水素系溶媒、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、およびデカンなどを含む脂肪族炭化水素系溶媒、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、およびデカヒドロナフタレンなどを含む脂環族炭化水素系溶媒、クロルベンゼン、ジクロルベンゼン、トリクロルベンゼン、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、およびテトラクロルエチレンなどを含む塩素化炭化水素系溶媒、1−メチル−2−ピロリドン、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、アセチルクエン酸トリブチル、2,4−ペンタジエン、ジメチルスルフォキシド、n−アルキルアジペート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジイソブチレート、3−メトキシ−3−メチル−1−ブチルアセテート、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトフェノン、ベンゾフェノン、シクロヘキサノンなどを含むケトン系溶媒、エチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、アニソール、フェニルエーテル、ジオキサン、およびテトラヒドロフランなどを含むエーテル系溶媒、酢酸エチル、および酢酸ブチルなどを含むエステル系溶媒などが含まれる。これらの溶媒は、1種単独で用いてもよく、あるいは、2種以上を組み合わせたものであっても良い。これらのうち、脂肪族炭化水素系溶媒が安全性の面から好ましく、ヘキサン(n−ヘキサン)およびヘプタン(n−ヘプタン)がより好ましい。
また、上記溶媒は、公知の添加剤を含んでいてもよい。上記添加剤の例には、ヒンダードフェノール化合物などを含む酸化防止剤、プロセス安定剤、耐熱安定剤、耐熱老化剤、耐候安定剤、帯電防止剤、スリップ防止剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑剤、顔料、染料、核剤、可塑剤、塩酸吸収剤、難燃剤、ブルーミング防止剤、ニトロキシラジカル類(ピペリジン類など)などを含むラジカル捕捉剤、軟化剤、粘着付与剤、加工助剤、密着性付与剤、炭素繊維、ガラス繊維、ウイスカなどを含む充填剤、などが含まれる。なお、本発明の趣旨を逸脱しない限り他の高分子化合物を少量ブレンドすることも可能である。
上記グラフト重合は、混合および加熱が可能な公知の装置によって行うことができる。上記装置は、縦型の反応器であってもよいし、横型の反応器であってもよい。上記装置の例には、流動床、移動床、ループリアクター、攪拌翼付横置反応器、攪拌翼付縦置反応器、および回転ドラム、などの型式の重合装置が含まれる。あるいは、プラネタリーミキサーなどの多軸・自転公転併用方式の混合機、ニーダー、パドルドライヤー、ヘンシェルミキサー、スタティックミキサー、Vブレンダー、タンブラー、およびナウターミキサーによって上記グラフト重合を行ってもよい。
重合系への上記オレフィン系重合体、アクリル系モノマー、酸化された上記アルキル化ホウ素化合物、および電子供与体の添加は、任意の方法で行うことができる。ただし、電子供与体は、アルキル化ホウ素化合物が酸化処理された後に、アルキル化ホウ素化合物と共存されることが好ましい。
酸化処理される前のアルキル化ホウ素化合物(BRとする。)に電子供与体が作用して生成するアルキルラジカル(R・)は、アクリル系モノマーの重合反応をより促進しやすいが、酸化処理した後のアルキル化ホウ素化合物((ROO)BR)に電子供与体が作用して生成するアルコキシラジカル(RO・)は、上述した作用によりグラフト重合をより促進しやすい。また、上記アルコキシラジカルは上記アルキルラジカルよりもアクリル系モノマーの重合を強く促進すると考えられる。そのため、アルキル化ホウ素化合物が酸化処理された後に、電子供与体をアルキル化ホウ素化合物と共存させることで、グラフト変性体中に含まれる上記アクリル系モノマーに由来する構造単位の量をより増やし、かつ、アクリル系モノマーの反応効率をより高めることができる。
図1は、本実施形態におけるグラフト変性方法の一例を示すフローチャートである。
まず、オレフィン系重合体、アクリル系モノマーおよび電子供与体の混合物を作製する(工程S110)。これらの混合は、任意の方法で行ってよく、たとえば、オレフィン系重合体とアクリル系モノマーとの混合物に電子供与体を添加してもよいし、アクリル系モノマーと電子供与体との混合物を、オレフィン系重合体と混合してもよい。
次に、アルキル化ホウ素化合物を酸化処理する(工程S120)。酸化処理は、アルキル化ホウ素化合物を酸素と接触させるなどの公知の方法で行えばよく、たとえば溶媒中にアルキル化ホウ素化合物を添加し、混合した後に、酸素を含む空気(大気)をバブリングするなどの方法で行うことができる。
なお、オレフィン系重合体、アクリル系モノマーおよび電子供与体の混合(工程S110)と、アルキル化ホウ素化合物の酸化処理(工程S120)とは、任意の順番で行うことができる。
その後、上記混合物に、上記酸化処理されたアルキル化ホウ素化合物を添加する。さらに、必要に応じて加熱および攪拌することで、オレフィン系重合体をアクリル系モノマーでグラフト変性することができる(工程S130)。
このときの反応時間は特に限定されず、たとえば30分以上12時間以下で任意に設定することができる。
グラフト重合反応の工程終了後には、未反応のアクリル系モノマーを溶解するできる溶媒で、得られたグラフト変性体を洗浄することが好ましい(工程S140)。
上記洗浄に用いる溶媒は、たとえばケトンまたはアルコールとすることができ、アセトンおよびメタノールが好ましい。このときの、洗浄温度は、生成したグラフト変性体への顕著な影響がない条件であればよく、たとえば0℃以上110℃とすることができ、室温以上100℃以下であることが好ましい。なお、上記洗浄温度を洗浄溶媒の大気圧における沸点よりも高く設定する場合には、洗浄溶媒の揮散を防止するために、密閉状態で上記洗浄を行うことが好ましい。
以下、実施例を参照して本発明を更に具体的に説明するが、本発明の範囲は実施例の記載に限定されない。
[試験1]
1.グラフト重合
25.0gのオレフィン系重合体(EPR)(Mw:45,000)および予め調製した62.5gのアクリル系モノマーを内容量500mlのセパラブルフラスコに投入し、攪拌しながら60℃に昇温して30分保持し、オレフィン系重合体とアクリル系モノマーとを相溶させた。その後、上記溶解物が入っているセパラブルフラスコ内に、電子供与体としての0.0175gの水(アクリル系モノマーに対して280ppm)をシリンジで滴下して、オレフィン系重合体、アクリル系モノマーおよび電子供与体の混合物を得た。
11.1gの溶媒(nーヘプタン)、および1.4g(1.49ミリモル)の20%アルキル化ホウ素化合物(トリブチルホウ素)のへプタン溶液を、減圧して密封した内容量300mlの滴下ロートに装入し、さらに、165mlの空気を上記滴下ロートに装入して、1分間振盪した。その後、上記滴下ロートの内部を窒素で解圧し、上記混合物の中に90秒かけて滴下して、オレフィン系重合体と、アクリル系モノマー、酸化処理されたアルキル化ホウ素化合物、および電子供与体を含む溶液を得た。その後、上記溶液を60℃で2時間攪拌して、グラフト重合反応を生じさせた。
十分な時間の反応をさせた後、2Lの空気を系内通期して重合反応を停止させ、アセトンにより晶析させた後、60℃で15分間攪拌した。さらに、アセトンによる晶析と上澄液の分離およびろ過を繰り返し、596gの上澄液(洗浄液)を得た。また、残留分を60℃で真空乾燥させて、71.2gのグラフト変性体を得た。式(1)により算出された、このときのグラフト化率は、185%だった。また、得られたグラフト重合物の、下記の装置及び条件で測定したポリスチレン換算の重量分子量は147,000だった。
測定装置:GPC(ALC/GPC 150−C plus型、示差屈折計検出器一体型、Waters製)
カラム:GMH6−HT(東ソー(株)製)2本、およびGMH6−HTL(東ソー(株)製)2本を直列に接続
溶離液:o−ジクロロベンゼン
カラム温度:140℃
流量:1.0ml/分
また、上澄液のうち185gをエバポレーターで減圧濃縮して、さらに得られた透明ゲル状物を60℃で8時間真空乾燥させて、0.20gのアクリルホモポリマーを得た。式(2)により算出された、このときのホモポリマー選択率は、1.0%だった。
なお、投入したアクリル系モノマーは、メタクリル酸メチル(MMA)、メタクリル酸ドデシル(DMA)、およびメタクリル酸ステアリル(SMA)の、MMA/DMA/SMA=48/31/21(モル比)の混合物であった。
Figure 2021183677
Figure 2021183677
[試験2]
オレフィン系重合体、アクリル系モノマーおよび電子供与体の混合物を得る際に滴下した電子供与体としての水の量を、アクリル系モノマーに対して79ppmとした以外は、試験1と同様に、オレフィン系重合体のグラフト変性を行った。その結果、49.7gのグラフト変性体を得た。式(1)により算出された、このときのグラフト化率は、99%だった。また、645g得られた上澄液のうち205gからは、0.54gのアクリルホモポリマーを得た。式(2)により算出された、このときのホモポリマー選択率は、2.7%だった。
[試験3]
オレフィン系重合体、アクリル系モノマーおよび電子供与体の混合物を得る際に、水を滴下しなかった以外は、試験1と同様に、オレフィン系重合体のグラフト変性を行った。その結果、33.6gのグラフト変性体を得た。式(1)により算出された、このときのグラフト化率は、34%だった。また、591g得られた上澄液のうち166gからは、1.73gのアクリルホモポリマーを得た。式(2)により算出された、このときのホモポリマー選択率は、9.9%だった。
図2は、試験1〜3のグラフト化率およびホモポリマー選択率をプロットしたグラフである。図中黒丸はグラフト化率を、白丸はホモポリマー選択率を、それぞれ表す。図2から明らかなように、電子供与体の量を多くするほど、グラフト化率は上昇し、ホモポリマー選択率は低下していた。
本発明によれば、オレフィン系重合体のグラフト変性体に含まれるアクリル系モノマーに由来する構造単位(側鎖)の量をより増やすことができる。そのため、本発明によれば、オレフィン系重合体とアクリル系重合体の両方の性質を併せ持ち、かつアクリル系重合体(側鎖)の分子量を大きくしたポリマーを作製することが可能である。

Claims (7)

  1. オレフィン系重合体のグラフト変性方法であって、
    前記オレフィン系重合体と、(メタ)アクリル酸または(メタ)アクリル酸エステルとを、酸化処理されたアルキル化ホウ素化合物と、水またはアルコールである電子供与体と、を含む溶液中で反応させる、
    グラフト変性方法。
  2. 前記オレフィン系重合体は、重量平均分子量(Mw)が1,000以上500,000以下である、請求項1に記載のグラフト変性方法。
  3. 前記(メタ)アクリル酸または(メタ)アクリル酸エステルは、(メタ)アクリル酸メチルまたは(メタ)アクリル酸エチルを含む、請求項1または2に記載のグラフト変性方法。
  4. 前記溶液は、前記(メタ)アクリル酸または(メタ)アクリル酸エステルの全質量に対して、質量基準で1ppm以上10,000ppm以下の量の前記電子供与体を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載のグラフト変性方法。
  5. 前記溶液は、前記(メタ)アクリル酸または(メタ)アクリル酸エステルの全質量に対して、質量基準で50ppm以上1,000ppm未満の量の前記電子供与体を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載のグラフト変性方法。
  6. 前記電子供与体は、水である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のグラフト変性方法。
  7. 前記反応の前に、前記オレフィン系重合体、前記(メタ)アクリル酸または(メタ)アクリル酸エステル、および前記電子供与体を含む混合物に、前記酸化処理されたアルキル化ホウ素化合物を添加する工程を有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載のグラフト変性方法。
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