JP2021181283A - レール破断の検知装置及びレール破断の検知方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】レール破断を車両側から検知させることが可能なレール破断の検知装置を提供する。【解決手段】軌道を構成する一対のレールに生じるレール破断を車両側から検知させるレール破断の検知装置である。そして、車両の第1のレール側に取り付けられる第1集音部(3)と、車両の第2のレール側に取り付けられる第2集音部(3)と、第1集音部及び第2集音部によって測定された音データを記録するデータレコーダ4と、第1集音部による第1音データ及び第2集音部による第2音データに基づいてレール破断の有無を判定する破断判定部とを備えている。この破断判定部では、第1音データ又は第2音データから発生源の音の大きさを求めるとともに、発生源の音から推定された第2集音部又は第1集音部の位置の推定音を第2音データ又は第1音データと比較することでレール破断を判定する。【選択図】図1

Description

本発明は、レール破断を車両側から検知させるレール破断の検知装置及びレール破断の検知方法に関するものである。
鉄道におけるレール破断は、繰り返しの車両走行によってレールが損傷することで発生し、車両の走行安全性を著しく低下させる。そのため、特許文献1に開示されているように、鉄道事業者は軌道回路と呼ばれる車両の位置検知を目的としたレールに流している信号電流によって、レール破断を検知している。
軌道回路を利用した検知方法は、レールが破断した際に、破断したレールが開口して電流が短絡することで検知する方法である。軌道回路は、レールに信号電流を流すことで実現しているシステムであるため、その信号電流をき電する装置や、電車線から車両へ電力を供給し、その下のレールを使って変電所に返す電流等の軌道回路の信号電流と異なる電流を回路で分ける役割があるインピーダンスボンド等の地上設備のメンテナンスに、多大なコストを要している。
一方、車両の位置検知を無線で行う技術の開発が進んでおり、軌道回路を維持する必要性が低下している。そして、特許文献2,3に開示されているように、軌道回路を利用しないレール破断の検知方法が開発されつつある。
例えば特許文献2には、地上側にレールを伝搬する超音波を受信する超音波トランスデューサを設け、レール破断が発生した際に生じる衝撃振動を超音波トランスデューサが受信した場合に警報信号を出力する鉄道レール破断検出装置が開示されている。また、特許文献3にも、地上側に設けるレール破断検知装置が開示されている。
国際公開第2017/175439号公報 特開2014−80133号公報 特開2012−91671号公報
しかしながら、延長が長大となるレールに対して、地上側にレール破断の検知装置を設けるとなれば、特許文献2,3に開示されているような様々な工夫がなされたとしても、大幅なコスト削減は難しいという現実がある。
そこで、本発明は、レール破断を車両側から検知させることが可能なレール破断の検知装置及びレール破断の検知方法を提供することを目的としている。
前記目的を達成するために、本発明のレール破断の検知装置は、軌道を構成する一対のレールに生じるレール破断を車両側から検知させるレール破断の検知装置であって、車両の第1のレール側に取り付けられる第1集音部と、前記車両の第2のレール側に取り付けられる第2集音部と、前記第1集音部及び前記第2集音部によって測定された音データを記録する記憶部と、前記第1集音部による第1音データ及び前記第2集音部による第2音データに基づいてレール破断の有無を判定する破断判定部とを備え、前記破断判定部では、前記第1音データ又は前記第2音データから発生源の音の大きさを求めるとともに、前記発生源の音から推定された前記第2集音部又は前記第1集音部の位置の推定音を前記第2音データ又は前記第1音データと比較することでレール破断を判定することを特徴とする。
ここで、前記発生源は、前記第1集音部又は前記第2集音部に最も近い車輪とレールとの接触点とすることができる。また、前記破断判定部は、前記第1音データ及び前記第2音データのいずれかの音圧レベルが閾値を超えたときに作動し、前記第1音データ及び前記第2音データのそれぞれの最大音圧レベルを比較して大きい方を基準音圧レベルとし、前記基準音圧レベルと前記発生源との距離とに基づいて前記発生源の発生音圧レベルを算出するとともに、前記発生音圧レベルから前記推定音を算出することができる。
そして、レール破断の検知方法の発明は、レール破断を車両側から検知させるレール破断の検知方法であって、2つの集音部を備えた車両をレールに沿って走行させることで第1のレール側の第1音データと第2のレール側の第2音データとを取得するステップと、前記第1音データ又は前記第2音データから発生源の音の大きさを求めるステップと、前記発生源の音から推定された推定音を前記第2音データ又は前記第1音データと比較することでレール破断の有無を判定するステップとを備えたことを特徴とする。
このように構成された本発明のレール破断の検知装置は、車両に取り付けられた第1集音部及び第2集音部によって測定された音データを利用し、破断判定部では、第1音データ又は第2音データのいずれかから求められた発生源の音から推定された推定音を、第2音データ又は第1音データと比較することでレール破断の有無を判定する。
このような構成であれば、地上側に何の設備を設けなくても、レール破断を車両側から検知させることができる。また、集音部は、車両の車体などメンテナンスしやすい箇所に取り付けることができる。
また、レール破断の検知方法の発明は、2つの集音部を備えた車両をレールに沿って走行させて音データを取得し、測定された2つの位置の音データを使用することでレール破断の有無を判定する。すなわち、地上側に何の設備を設けなくても、レール破断を車両側から検知させることができる。
本実施の形態のレール破断の検知装置の構成を模式的に示した説明図である。 音の発生源と集音部との位置関係を説明するための図で、(a)はレール上を走行する車両と集音部の取り付け位置を示した側面図、(b)は2つの集音部と音の発生源との位置関係を説明する平面図である。 集音部で測定される音圧データに関する説明をするための図で、(a)は集音部によって測定された音圧データと閾値とを例示した図、(b)は車両の走行速度と音圧レベルとの関係を示した説明図である。 音の発生源からの距離rと音圧レベルLpとの関係を示す距離減衰式とレール破断があるときの測定結果とを比較して示した説明図である。 音の発生源からの距離rと音圧レベルLpとの関係を示す距離減衰式とレールの継目を通過したときの測定結果とを比較して示した説明図である。 本実施の形態のレール破断の検知方法の処理の流れを説明するフローチャートである。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、本実施の形態のレール破断の検知装置の構成を模式的に示した説明図である。図2は、音の発生源と集音部との位置関係を説明するための図である。
軌道を構成するレール2は、レール2に沿って走行する車両1の車輪12との接触が繰り返されることで、レール破断が起きることがある。レール破断箇所21として開口が生じると、状態によっては沈み込みが発生する場合もある。ここで、レール2(2A,2B)は、図2(b)に示すように一対が平行に敷設される。そこで以下では、総称するときはレール2の符号を使用し、第1のレール2Aと第2のレール2Bというような場合は、それぞれの符号を使用する。
一方、車両1は、保守用車両であっても、列車などを構成する一般的な鉄道車両であってもよい。以下では、直方体状の箱型の車体に前後方向に間隔を置いて台車11が配置される車両1を例に説明する。
台車11は、図2(b)に示すように平面視長方形状の台車枠を備え、一対のレール2A,2Bのそれぞれを走行する車輪12が車軸によって連結されている。また、1台の台車11には、前後方向に2組の車輪12及び車軸の組み合わせ(輪軸)が設けられる。さらに、車軸の端部には、軸箱及び軸箱支持装置が設けられる。
このように構成された車両1の車体の車輪12に隣接する下部には、図1に示すように集音部3が取り付けられる。この集音部3は、マイクと騒音計とによって構成され、車輪12とレール2との接触点などから発生する音(音圧レベル)を測定する。
ここで、集音部3(3A,3B)は、図2(b)に示すように、一対のレール2A,2Bのそれぞれに近接した位置に取り付けられる。そこで以下では、総称するときは集音部3の符号を使用し、第1のレール2A側に取り付けられる第1集音部3Aと、第2のレール2B側に取り付けられる第2集音部3Bというような場合は、それぞれの符号を使用する。
例えば、第1集音部3Aは第1のレール2Aの真上に配置し、第2集音部3Bは第2のレール2Bの真上に配置することで、車両1の中心軸に対して線対称となるように車輪12,12に近接した位置にそれぞれ取り付けられる。
集音部3(3A,3B)は、有線又は無線によって車両1に搭載されたデータレコーダ4に接続される。データレコーダ4は、集音部3によって測定された音データを記録する記憶部となる。
そして、データレコーダ4に記録された音データは、パーソナルコンピュータなどの演算装置5によって解析される。この演算装置5は、車両1に搭載されていてもよいし、車両1とは別の管理棟などに設置されていてもよい。また、演算装置5が車両1以外にある場合は、データレコーダ4からリアルタイム又は定期的にデータが転送される構成であってもよいし、データレコーダ4又はそれに挿し込まれたフラッシュメモリ等の記憶媒体を接続したときにデータが転送される構成であってもよい。
演算装置5は、判定処理部として、第1集音部3Aで測定された第1音データ、又は第2集音部3Bで測定された第2音データから発生源の音の大きさを求めるとともに、発生源の音から推定された推定音を使用してレール破断の有無を判定する破断判定部を備えている。
詳細には破断判定部では、まず測定された第1音データ又は第2音データのいずれかを使用して、音の発生源と仮定できる車輪12とレール2との接触点で発生した音(音圧レベル)の大きさを算出する。
図3(a)に例示するように、車両1をレール2に沿って走行させると、集音部3によって音データである音圧データPが連続して測定されて、波形として示される。この音圧レベル波形を見るとわかるように、レール破断箇所21や継目などの大きな音が発生しない滑らかな連続したレール2上を走行しているときにも、音圧レベルは測定されている。
そこで、測定されたすべての音圧レベルに対して破断判定部による判定をさせるのではなく、一定の大きさ以上の音圧レベルに対してレール破断の判定をさせるために、閾値P1を設ける。
音圧レベルの閾値P1の設定は、一例として、速度依存性を考慮して、文献(末木健之,北川敏樹,川口二俊,レール継目部から発生する衝撃音の騒音・振動特性評価,鉄道総研報告,Vol.30,No.7,pp.5 - 10,2016)から、音圧レベルが速度の2.5乗に従うことと、開口量0mmのレール開口箇所を時速10km/h又は時速30km/hで走行した際に得られたマイクの音圧レベルがそれぞれ103dB,115dBであったことをもとに決定する。
図3(b)は、上述した知見に基づいて作成した車両1の走行速度と音圧レベルとの関係を示すグラフである。実際の運用上においては、レール破断箇所21でこれより小さい音圧レベルが測定される可能性が低いことから、この関係曲線を使用してレール判断の判定を行う閾値P1を設定することができる。
レール破断や継目のようにレール2が不連続となる箇所を車輪12が通過すると、衝撃音が発生する。すなわち、衝撃音が発生したときの音の発生源は、車輪12とレール2との接触点となる。
衝撃音が発生した場合に集音部3のマイクで得られる音圧レベルは、単一音源から放射される音響エネルギー密度と音源からの距離とによって決定される。このことから、騒音源からの距離に応じた音響エネルギーの減衰の計算値と、各集音部(3A,3B)の音圧レベルとを比較することで、レール破断箇所21の有無を検知することができるようになる。
ここでは、音圧の基準値p0 = 2×10-5(N/m2)に対して、音の強さ(すなわちエネルギー)の基準としてI0 = 10-12(W/m2)をとることとする。この条件のもとでは、音の強さのレベルILと音圧レベルLpとは一致する。いま、自由空間を仮定して単一音源から音が放射されているとすると、単位時間に音源から半径がr(m)の球面上の単位面積を通過して球面内方から外方に流れるエネルギーI(W/m2)は、次の式で表される。
I = P/(4πr2) (1)
ここで、Pは、音源が放射する単位時間あたりのエネルギー(単位:W)である。
したがって、音源から距離r(m)の場所における音の強さのレベルIL(r) (dB)は、次の式で表される。
IL(r) = 10log10I/I0 ≒ 10log10P - 20log10r - 11 + 120 (2)
そして、音圧の基準値に対する音圧レベルであるパワーレベルLw = 10log10P/P0を定義すると、式は以下の通りに書き換えられる(日本音響学会「騒音・振動(上)」,コロナ社,pp. 130 - 148)。
IL(r) = Lp(r) = Lw - 20log10r - 11 (3)
この式(3)を、距離減衰式と呼ぶこととする。なお、実際の車両1の床下には音の伝搬に対する障害物が存在するため、床下を伝搬する音は純粋な距離だけによる減衰よりも大きく減衰すると推測される。要するに、実際に測定される音圧レベルは、距離減衰式による推定値以下になる。
そして、図2(a)に示すように、レール2Aと車輪12との接触点21Aで発生した音は、最も近くに取り付けられたレール2A側の第1集音部3Aまで距離r1だけ離れており、その間に介在される障害物によって減衰された状態で伝搬される。
一方、図2(b)に示すように、接触点21Aで発生した音は、距離r2だけ離れたレール2B側の第2集音部3Bにも伝搬される。そこで、距離r1だけ離れた第1集音部3Aで測定された音圧レベルLp(r1)を使用して、距離減衰式(上記式(3))から接触点21Aにおいて発生したパワーレベルLwを算出する。このパワーレベルLwを、発生音圧レベルとする。
発生音圧レベル(パワーレベルLw)が算出されると、図4,5に示したような、音の発生源からの距離rと音圧レベルLpとの関係を表す距離減衰式の曲線が描けるようになる。そして、この距離減衰式を利用すれば、距離r2だけ離れた第2集音部3Bの位置の音圧レベルも、推定音として算出できるようになる。
以上は、第1集音部3Aで測定された音圧データを基準音圧レベルとして距離減衰式を作成する場合について説明したが、これとは反対に第2集音部3Bで測定された音圧データを基準音圧レベルとして距離減衰式を作成することもできる。例えばレール2Bと車輪12との接触点21Bが音の発生源となる場合は、第2集音部3Bで測定された音圧データが基準音圧レベルとして使用される。
次に、本実施の形態のレール破断の検知方法について、図6に示したフローチャートを参照しながら説明する。
まず上述したように、第1集音部3Aと第2集音部3Bとを車両1の車体の下部に取り付ける。第1集音部3Aと第2集音部3Bは、一対のレール2A,2Bのそれぞれの真上となる車輪12,12に近接した位置に、車両1の中心軸に対して線対称となるように取り付けられる。
第1集音部3A及び第2集音部3Bは、車両1に搭載されたデータレコーダ4に接続される。データレコーダ4は、車両に搭載された演算装置5に接続され、演算装置5に接続されたモニタ(図示省略)によって、検査員は測定された音圧レベル波形やレール破断の判定結果を確認することができる。
ステップS1では、一定の速度(ここでは時速30km/h)で車両1をレール2に沿って走行させることで、第1集音部3A及び第2集音部3Bによって音圧レベルを測定させ、データレコーダ4に第1音データ及び第2音データとして収録させる。
この第1音データ及び第2音データは、距離程などの位置情報に換算できる情報とともにデータレコーダ4に記録される。例えば一定速度で車両1を走行させる場合は、音データに測定時刻を紐付けておくことで、位置情報に変換することができる。また、GPS(Global Positioning System)や無線検知による位置情報を、測定された音データに紐付けることもできる。
データレコーダ4に記録された音データは、判定処理部を備えた演算装置5に転送される。判定処理部では、まず、第1音データ及び第2音データの音圧レベルが閾値P1を超えているか否かを判定する(ステップS2)。ここで、閾値P1を超えた音圧レベルがない場合は、車両1は次の区間に移動する。
一方、図3(a)に例示したように、閾値P1を超える音圧データPが存在した場合は、判定処理部の破断判定部が作動して、ステップS3に移行する。ここで、第1集音部3Aと第2集音部3Bは、音圧レベルを測定する各チャンネルCHであり、本実施の形態のレール破断の検知装置には、2つのチャンネルCHが存在する。
そこで、2つのチャンネルCHでそれぞれ収録された音圧レベル波形について、閾値P1を超えた音圧レベルの中から、衝撃音に該当する可能性が一番高くなる最大音圧レベルLpを算出する。
続いて、ステップS3で抽出された2つの最大音圧レベルLpを比較して、音圧レベルが大きい方をチャンネルCH1とし、もう一方をチャンネルCH2とする(ステップS4)。ここでは、第1集音部3Aで収録された第1音データがチャンネルCH1になり、第2集音部3Bで収録された第2音データがチャンネルCH2になったとする。
そこで、チャンネルCH1となった第1音データの最大音圧レベルLp1を基準音圧レベルとして、レール2Aと車輪12との接触点21Aと第1集音部3Aとの距離r1を使用して、距離減衰式(式(3))によって、接触点21Aを発生源とする発生音圧レベル(Lw)を算出する(ステップS5)。
続いてステップS6では、算出された発生音圧レベル(Lw)と、接触点21Aと第2集音部3Bとの距離r2(図2(b))とを使用して、距離減衰式(式(3))によって、第2集音部3Bの位置における推定音となる音圧レベルLp(r2)を計算する。
そして、ステップS7では、第1音データの最大音圧レベルLp1と同じ時機に第2集音部3Bで実際に測定された音圧レベルLp2と、推定音(音圧レベルLp(r2))とを比較する。すなわち推定音は、第1音データの最大音圧レベルLp1に基づいて算出されているので、その最大音圧レベルLp1を測定させた発生音と同じ発生音に起因する第2集音部3Bで測定された音圧レベルLp2を抽出して比較する必要がある。例えば、最大音圧レベルLp1が測定された時刻近辺の最大の音圧レベルLp2を、第2音データから抽出することができる。また、距離r1,r2の差を音の伝搬時間で換算して、その分だけずらした時刻の音圧レベルLp2を第2音データから抽出することもできる。
そして、図4に示すように、第2集音部3BとなるチャンネルCH2で実際に測定された音圧レベルLp2が、距離減衰式で示される推定音(音圧レベルLp(r2))の大きさ以下の場合は、レール2Aにレール破断箇所21があるとして、ステップS8でその時刻を「レール破断部」として記録する。
一般にレール破断は、左右のレール2A,2Bのどちらか一方で発生するものであり、継目部を走行したときのように、一対のレール2A,2Bの両方で衝撃音が発生することがない。要するに、片レールのみが衝撃音の発生源になっている場合、2つの集音部(3A,3B)で得られる音圧レベルは、単一音源から放射される音響エネルギー密度と音源からの距離とに応じた音響エネルギーの減衰の計算値によって推定することができる。
そこで、距離減衰式の計算値よりも、もう一方のマイクで得られた音圧レベルが小さければ、片レールのみに騒音源がある「レール破断部」と判定し、大きければ両レールに騒音源がある「継目部」と判定することとする。すなわち、第2集音部3Bで測定された音圧レベルLp2が、計算で求められた音圧レベルLp(r2)よりも小さければ、第1のレール2A側のみが騒音源になっていて、第2のレール2B側では音が発生していないと判断できるため、レール破断が生じている可能性が高いと判定する。
これに対して、図5に示すように、チャンネルCH2で実際に測定された音圧レベルLp2が、距離減衰式で示される推定音(音圧レベルLp(r2))よりも大きければ、第1集音部3A側だけでなく、第2集音部3B側にも騒音源があると判断できるので、その地点は両方のレール2A,2Bに開口がある継目部であると判定する(ステップS9)。
そして、「レール破断部が存在する」、又は「継目部であり問題がない」という判定が行われた後には、次の区間に車両1を移動させる、又はデータレコーダ4に収録された音データを次の区間分に移行させる。
次に、本実施の形態のレール破断の検知装置及びレール破断の検知方法の作用について説明する。
このように構成された本実施の形態のレール破断の検知装置は、車両1に取り付けられた第1集音部3A及び第2集音部3Bによって測定された音データを利用し、破断判定部では、第1音データ又は第2音データのいずれかから発生源(接触点21A,21B)の音の大きさを求め、その発生源の音から推定された推定音を第2音データ又は第1音データと比較することでレール破断の有無を判定する。
このような構成であれば、地上側に何の設備を設けなくても、レール破断を車両1側から検知させることができる。また、集音部3が、台車11や軸箱支持装置ではなく、車体に装荷可能な構成となっていれば、メンテナンスを容易に行うことができるようになる。
また、音の発生源を、第1集音部3A又は第2集音部3Bに最も近い車輪12とレール2A,2Bとの接触点21A,21Bと仮定することで、推定音の算出に必要な距離r1,r2を配置関係から予め設定しておくことができる。
さらに、閾値P1を超えたときにだけ破断判定部が作動するようにすることで、効率的にレール破断の検査を進めることができる。また、第1音データ及び第2音データのそれぞれの最大音圧レベルを比較して大きい方を基準音圧レベルとしていくのであれば、一対のレール2A,2Bの両方のレール破断の検査を一度に行うことができる。
そして、音データが位置情報に関するデータとともにデータレコーダ4に記録されていれば、車両走行後にデータレコーダ4に記録された音データを検証してレール破断が検知された場合でも、距離程などで軌道の位置を特定することができ、補修などの対応を迅速にとることができる。
また、レール破断の検知方法の発明は、2つの集音部(3A,3B)を備えた車両1をレール2に沿って走行させて音データを取得し、測定された2つの位置の音データを使用することでレール破断の有無を判定する。すなわち、地上側に何の設備を設けなくても、レール破断を車両側から検知させることができる。
以上、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
例えば前記実施の形態では、車両1の車体の下部に2つの集音部(3A,3B)を取り付ける場合について説明したが、これに限定されるものではなく、軸箱支持装置や台車枠などに取り付けることもできる。
1 :車両
12 :車輪
2 :レール
2A :第1のレール
2B :第2のレール
21 :レール破断箇所
21A,21B:接触点
3 :集音部
3A :第1集音部
3B :第2集音部
4 :データレコーダ(記憶部)
P :音圧データ(音データ)
P1 :閾値

Claims (6)

  1. 軌道を構成する一対のレールに生じるレール破断を車両側から検知させるレール破断の検知装置であって、
    車両の第1のレール側に取り付けられる第1集音部と、
    前記車両の第2のレール側に取り付けられる第2集音部と、
    前記第1集音部及び前記第2集音部によって測定された音データを記録する記憶部と、
    前記第1集音部による第1音データ及び前記第2集音部による第2音データに基づいてレール破断の有無を判定する破断判定部とを備え、
    前記破断判定部では、前記第1音データ又は前記第2音データから発生源の音の大きさを求めるとともに、前記発生源の音から推定された前記第2集音部又は前記第1集音部の位置の推定音を前記第2音データ又は前記第1音データと比較することでレール破断を判定することを特徴とするレール破断の検知装置。
  2. 前記発生源は、前記第1集音部又は前記第2集音部に最も近い車輪とレールとの接触点となることを特徴とする請求項1に記載のレール破断の検知装置。
  3. 前記破断判定部は、前記第1音データ及び前記第2音データのいずれかの音圧レベルが閾値を超えたときに作動し、前記第1音データ及び前記第2音データのそれぞれの最大音圧レベルを比較して大きい方を基準音圧レベルとし、前記基準音圧レベルと前記発生源との距離とに基づいて前記発生源の発生音圧レベルを算出するとともに、前記発生音圧レベルから前記推定音を算出することを特徴とする請求項1又は2に記載のレール破断の検知装置。
  4. 前記破断判定部は、前記推定音と比較する前記第2音データ又は前記第1音データの音圧レベルが、前記推定音の音圧レベル以下の場合にレール破断があると判定することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のレール破断の検知装置。
  5. 前記第1集音部及び前記第2集音部は、前記車両の中心軸に対して線対称となるように車輪に近接した位置にそれぞれ取り付けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のレール破断の検知装置。
  6. レール破断を車両側から検知させるレール破断の検知方法であって、
    2つの集音部を備えた車両をレールに沿って走行させることで第1のレール側の第1音データと第2のレール側の第2音データとを取得するステップと、
    前記第1音データ又は前記第2音データから発生源の音の大きさを求めるステップと、
    前記発生源の音から推定された推定音を前記第2音データ又は前記第1音データと比較することでレール破断の有無を判定するステップとを備えたことを特徴とするレール破断の検知方法。
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