JP2021175779A - ホスト基含有重合性単量体及びその製造方法、高分子材料並びに高分子材料形成用前駆体 - Google Patents

ホスト基含有重合性単量体及びその製造方法、高分子材料並びに高分子材料形成用前駆体 Download PDF

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明 原田
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Kensaku Takahashi
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Abstract

【課題】機械的物性に優れる高分子材料を製造することができるホスト基含有重合性単量体及びその製造方法、高分子材料並びに高分子材料形成用前駆体を提供する。【解決手段】本発明に係るホスト基含有重合性単量体は、分子中にホスト基及び重合性官能基を有するホスト基含有重合性単量体であって、前記ホスト基は、シクロデキストリン又はシクロデキストリン誘導体に存在する少なくとも1個以上の水酸基が窒素原子に置換された構造を有し、前記窒素原子にはさらに前記重合性官能基が結合している。【選択図】なし

Description

本発明は、ホスト基含有重合性単量体及びその製造方法、高分子材料並びに高分子材料形成用前駆体に関する。
高分子材料は、例えば、フィルム、接着剤、コーティング剤、成形原料、塗料等に広く応用されており、電子部品、自動車部品、包装材等の分野において欠かすことのできない機能性材料である。特に近年では、各種分野において、より高性能かつ高精度の製品提供が求められていることから、高分子材料に対しても更なる高性能及び高機能化が求められており、様々な新しい高分子材料の研究開発が盛んに行われている。
例えば、特許文献1あるいは特許文献2には、高い力学的強度を有し、かつ、自己修復性及び形状記憶性が付与された高分子材料を提供すべく、包接錯体によるホスト−ゲスト相互作用を利用した高分子構造の精密制御に関する技術が提案されている。
国際公開第2016/163550号 国際公開第2018/159791号
最近では、高分子材料自体に様々な機能性を付与することが求められているところ、例えば、機械的特性をさらに向上させる高分子材料の開発が強く求められており、かつ、簡便で安全性の高い方法で製造することも求められている。従来知られているホスト−ゲスト相互作用を有する高分子材料は、一定の機械的強度は有するものの、近年のさらなる高い機械物性の要求から、さらなる改善が急務となっていた。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、機械的物性に優れる高分子材料を製造することができるホスト基含有重合性単量体及びその製造方法、高分子材料並びに高分子材料形成用前駆体を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の構造を有する重合性単量体を使用することにより上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、例えば、以下の項に記載の主題を包含する。
項1
分子中にホスト基及び重合性官能基を有するホスト基含有重合性単量体であって、
前記ホスト基は、シクロデキストリン又はシクロデキストリン誘導体に存在する少なくとも1個以上の水酸基が窒素原子に置換された構造を有し、
前記窒素原子にはさらに前記重合性官能基が結合している、ホスト基含有重合性単量体。
項2
前記シクロデキストリン誘導体は、シクロデキストリンが有する少なくとも1個以上の水酸基の水素原子が、炭化水素基、アシル基及び−CONHR(Rはアルキル基)からなる群より選ばれる少なくとも1種の基で置換された構造を有する、項1に記載のホスト基含有重合性単量体。
項3
前記重合性官能基が、ラジカル重合性の炭素−炭素二重結合を含む、項1又は2に記載のホスト基含有重合性単量体。
項4
前記窒素原子にはさらにアルキル基が結合している、項1〜3のいずれか1項に記載のホスト基含有重合性単量体。
項5
項1〜4のいずれか1項に記載のホスト基含有重合性単量体を含む重合性単量体Mの重合体を含有する、高分子材料。
項6
前記重合体中の前記ホスト基は、ゲスト基と包接錯体を形成している、項5に記載の高分子材料。
項7
前記重合体中の前記ホスト基の環内を、高分子鎖が貫通した構造を有する、項5に記載の高分子材料。
項8
項5〜7のいずれか1項に記載の高分子材料を形成するために用いられ、
前記ホスト基含有重合性単量体単位を含む単量体混合物の重合体である、高分子材料形成用前駆体。
項9
ホスト基含有重合性単量体の製造方法であって、
前記ホスト基含有重合性単量体は、項1〜4のいずれか1項に記載のホスト基含有重合性単量体であり、
トシル基を有するシクロデキストリン化合物と、第1級アミンとを反応することで、第2級アミンを得る工程A1と、前記第2級アミンと、重合性官能基を有する化合物とを反応して前記ホスト基含有重合性単量体を得る工程A2とを備える、製造方法。
項10
ホスト基含有重合性単量体の製造方法であって、
前記ホスト基含有重合性単量体は、請求項1〜4のいずれか1項に記載のホスト基含有重合性単量体であり、
トシル基を有するシクロデキストリン化合物と、重合性官能基を有する第2級アミンとを反応して前記ホスト基含有重合性単量体を得る工程B1とを備える、製造方法。
本発明のホスト基含有重合性単量体によれば、機械的物性に優れる高分子材料を製造することができる。また、本発明のホスト基含有重合性単量体は簡便な方法で製造することができる。
可動性架橋構造を有する高分子材料の一例を示す模式図である。 可動性架橋構造を有する高分子材料の他例を示す模式図である。 実施例1−1及び1−2におけるホスト基含有重合性単量体の製造を示す反応スキームである。 実施例2−1における可逆性架橋型高分子材料の製造を示す反応スキームである。 実施例2−2における可動性架橋型高分子材料の製造を示す反応スキームである。 (a)は、実施例1の製造過程で得られたモノ−6−(N−メチルアミノ)−β−シクロデキストリンのMALDI−TOFMSスペクトル、(b)はH−NMRスペクトルである。 (a)は、実施例1の製造過程で得られたモノ−6−(N−アクリロイル−N−メチルアミノ)−β−シクロデキストリンのMALDI−TOFMSスペクトル、(b)はH−NMRスペクトルである。 実施例及び比較例で得られた高分子材料の機械特性の評価結果を示す。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、本明細書中において、「含有」及び「含む」なる表現については、「含有」、「含む」、「実質的にからなる」及び「のみからなる」という概念を含む。
1.ホスト基含有重合性単量体
本発明のホスト基含有重合性単量体は、分子中にホスト基及び重合性官能基を有するホスト基含有重合性単量体であって、前記ホスト基は、シクロデキストリン又はシクロデキストリン誘導体に存在する少なくとも1個以上の水酸基が窒素原子に置換された構造を有し、前記窒素原子にはさらに前記重合性官能基が結合している。斯かるホスト基含有重合性単量体によれば、機械的物性に優れる高分子材料を製造することができる。また、本発明のホスト基含有重合性単量体は、簡便な方法で製造することができる。
ホスト基含有重合性単量体において、ホスト基は、シクロデキストリン又はシクロデキストリン誘導体に存在する少なくとも1個以上の水酸基が窒素原子に置換された構造を有する。ここで、念のための注記に過ぎないが、本明細書でのシクロデキストリンなる表記は、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン及びγ−シクロデキストリンからなる群より選ばれる少なくとも1種を意味する。従って、シクロデキストリン誘導体は、α−シクロデキストリン誘導体、β−シクロデキストリン誘導体及びγ−シクロデキストリン誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種である。
前記シクロデキストリン誘導体は特に限定されず、例えば、シクロデキストリンが有する少なくとも1個の水酸基の水素原子が炭化水素基、アシル基及び−CONHR(Rはメチル基又はエチル基)からなる群より選ばれる少なくとも1種の基で置換された構造を有することができる。この構造を有する場合、ホスト基含有重合性単量体は、例えば、親水性の重合性単量体及び疎水性の重合性単量体のいずれに対しても高い親和性を示すことができるので、種々の単量体との共重合が可能となる。なお、本明細書において、「炭化水素基、アシル基及び−CONHR(Rはメチル基又はエチル基)からなる群より選ばれる少なくとも1種の基」を便宜上、「炭化水素基等」と表記することがある。
ここで、シクロデキストリン1分子が有する水酸基の全個数をNとした場合、α−シクロデキストリンはN=18、β−シクロデキストリンはN=21、γ−シクロデキストリンはN=24である。
ホスト基がシクロデキストリン誘導体から1個の「水酸基」が除された1価の基である場合は、シクロデキストリン誘導体は、1分子あたり最大N−1個の水酸基の水素原子が炭化水素基等で置換され得る。他方、ホスト基がシクロデキストリン誘導体から1個の「水素原子」が除された1価の基である場合は、シクロデキストリン誘導体は、1分子あたり最大N個の水酸基の水素原子が炭化水素基等で置換され得る。
前記ホスト基がシクロデキストリン誘導体から1個の「水酸基」が除された1価の基である場合、前記シクロデキストリン誘導体1分子中に存在する全水酸基数のうちの70%以上の水酸基の水素原子が前記炭化水素基等で置換された構造を有することが好ましい。前記ホスト基は、前記シクロデキストリン誘導体1分子中に存在する全水酸基数のうちの80%以上の水酸基の水素原子が前記炭化水素基等で置換されていることがより好ましく、全水酸基数のうちの90%以上の水酸基の水素原子が前記炭化水素基等で置換されていることが特に好ましい。
前記ホスト基がシクロデキストリン誘導体から1個の「水酸基」が除された1価の基である場合、ホスト基は、α−シクロデキストリン1分子中に存在する全水酸基のうちの13個以上の水酸基の水素原子が前記炭化水素基等で置換された構造を有することが好ましく、15個以上がより好ましく、17個以上であることが特に好ましい。
前記ホスト基がシクロデキストリン誘導体から1個の「水酸基」が除された1価の基である場合、ホスト基は、β−シクロデキストリン1分子中に存在する全水酸基のうちの15個以上の水酸基の水素原子が前記炭化水素基等で置換された構造を有することが好ましく、17個以上がより好ましく、19個以上であることが特に好ましい。
前記ホスト基がシクロデキストリン誘導体から1個の「水酸基」が除された1価の基である場合、ホスト基は、γ−シクロデキストリン1分子中に存在する全水酸基のうちの17個以上の水酸基の水素原子が前記炭化水素基等で置換された構造を有することが好ましく、19個以上がより好ましく、22個以上であることが特に好ましい。
シクロデキストリン誘導体において、炭化水素基の種類は特に限定されない。前記炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、及びアルキニル基を挙げることができる。炭化水素基の炭素数の数は特に限定されない。ホスト基含有重合性単量体が親水性及び疎水性の重合性単量体の両方に対してより高い親和性示し、かつ、ホスト−ゲスト相互作用が形成されやすいという観点から、炭化水素基の炭素数は1〜4個であることが好ましい。炭素数が1〜4個である炭化水素基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基を挙げることができる。炭化水素基がプロピル基及びブチル基である場合は、直鎖状及び分岐鎖状のいずれであってもよい。
炭化水素基は、本発明の効果が阻害されない限りは、置換基を有していてもよい。なお、本明細書でいう「置換基」とは、例えば、置換基としては、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数2〜20のアルキニル基、ハロゲン原子、カルボキシル基、カルボニル基、スルホニル基、スルホン基、シアノ基等を挙げることができる。
シクロデキストリン誘導体において、アシル基は、アセチル基、プロピオニル、ホルミル基等を例示することができる。アシル基は、さらに置換基を有することもできる。ホスト基含有重合性単量体が親水性及び疎水性の重合性単量体の両方に対してより高い親和性示し、かつ、ホスト−ゲスト相互作用を形成しやすく、また、靭性及び強度に優れる高分子材料を得やすいという観点から、アシル基は、アセチル基であることが好ましい。
シクロデキストリン誘導体において、−CONHR(Rはメチル基又はエチル基)は、メチルカルバメート基又はエチルカルバメート基である。ホスト基含有重合性単量体が親水性及び疎水性の重合性単量体の両方に対してより高い親和性示し、かつ、ホスト−ゲスト相互作用が形成されやすいという観点から、―CONHRは、エチルカルバメート基であることが好ましい。
ホスト基含有重合性単量体において、ホスト基は、シクロデキストリン又はシクロデキストリン誘導体に存在する少なくとも1個以上の水酸基が窒素原子に置換されている。斯かる窒素原子には、ホスト基以外の基として、前記重合性官能基も結合している。該重合性官能基は、窒素原子に1個又は2個結合することができ、好ましくは1個である。なお、該重合性官能基が窒素原子に2個結合している場合、互いの基は同種でも異種でもよい。前記重合性官能基と窒素原子とは、通常は化学結合、特には共有結合によって結合が生じている。また、重合性官能基は、窒素原子に直接結合することができ、あるいは、他の基を介して間接的に結合することもできる。
重合性官能基の種類は特に限定されない。具体例としては、アルケニル基、ビニル基等のラジカル重合性の炭素−炭素二重結合を含む基の他、−OH、−SH、−NH、−COOH、−SOH、−POH、−COCl、イソシアネート基、エポキシ基(グリシジル基)等の重合性官能基を挙げることができる。
中でも、重合性官能基は、アルケニル基、ビニル基等のラジカル重合性の炭素−炭素二重結合を含むことが好ましい。この場合、ホスト基含有重合性単量体の製造が容易であり、また、高分子材料も製造しやすく、さらに、得られる高分子材料の機械的物性も向上しやすい。
重合性官能基がラジカル重合性の炭素−炭素二重結合を含む場合、さらなる具体例としては、アクリロイル基(CH=CH(CO)−)、メタクリロイル基(CH=CCH(CO)−)、スチリル基、ビニル基、アリル基等が挙げられ、中でも、アクリロイル基(CH=CH(CO)−)又はメタクリロイル基(CH=CCH(CO)−)であることが好ましい。これらの炭素−炭素二重結合を含む基は、ラジカル重合性が阻害されない程度であればさらに置換基を有していてもよい。
例えば、重合性官能基としてアクリロイル基又はメタクリロイル基が、前記窒素原子に直接結合している場合、ホスト基含有重合性単量体は、アクリルアミド又はメタクリルアミドの窒素原子にシクロデキストリン又はその誘導体が結合した分子となる。
前記窒素原子に結合している重合性官能基が1個の場合、窒素原子にはさらに他の基又は原子(原子としては、例えば、水素原子、ハロゲン原子)が結合し得る。
特に、前記窒素原子に結合している重合性官能基が1個の場合は、斯かる窒素原子にはさらにアルキル基が結合していることが好ましい。このアルキル基の種類は特に限定されず、例えば、炭素数1〜10のアルキル基が挙げられる。炭素数1〜10のアルキル基において、好ましい炭素数は1〜8、より好ましい炭素数は1〜6、さらに好ましい炭素数は1〜4、特に好ましい炭素数は1〜3である。アルキル基は直鎖状であってもよいし、分岐を有していてもよい。具体的なアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基等を挙げることができる。
ホスト基含有重合性単量体の具体例としては、下記の一般式(h2)で表される化合物を挙げることができる。
Figure 2021175779
前記式(h2)中、Raは水素原子またはメチル基を表し、Rは前記ホスト基を表し、Rはヒドロキシル基、チオール基、1個以上の置換基を有していてもよいアルコキシ基、1個以上の置換基を有していてもよいチオアルコキシ基、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、アルデヒド基及びカルボキシル基からなる群より選択される1価の基から1個の水素原子を除去することにより形成される2価の基を表す。
式(h2)で表されるホスト基含有重合性単量体では、ホスト基Rの前記窒素原子が、2価の基Rと結合している。
における置換基は特に限定されず、例えば、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数2〜20のアルキニル基、ハロゲン原子、カルボキシル基、カルボニル基、スルホニル基、スルホン基、シアノ基等が挙げられる。
式(h2)において、Rがアルデヒド基から1個の水素原子を除去することにより形成される2価の基であれば、アルデヒド基の炭素原子がC=C二重結合の炭素原子と結合し得る。
(h2)において、Rがカルボキシル基から1個の水素原子を除去することにより形成される2価の基である場合、カルボキシル基の炭素原子がC=C二重結合の炭素原子と結合し得る。
本発明のホスト基含有重合性単量体の製造方法は特に限定されず、種々の製造方法でホスト基含有重合性単量体を得ることができる。中でも、本発明のホスト基含有重合性単量体は、後記する製造方法A又は製造方法Bであることが好ましい。
2.ホスト基含有重合性単量体の製造方法
(製造方法A)
本発明のホスト基含有重合性単量体の製造方法Aは、下記の工程A1及び工程A2、
工程A1;トシル基を有するシクロデキストリン化合物と、第1級アミンとを反応することで、第2級アミンを得る工程、
工程A2;前記第2級アミンと、重合性官能基を有する化合物とを反応して前記ホスト基含有重合性単量体を得る工程、
を備える。斯かる工程A1及び工程A2を備える製造方法Aにより、前述の本発明のホスト基含有重合性単量体を得ることができる。
工程A1は、トシル基を有するシクロデキストリン化合物と、第1級アミンとを反応することで、第2級アミンを得るための工程である。
工程A1において、トシル基を有するシクロデキストリン化合物は、シクロデキストリン又はシクロデキストリン誘導体に存在する少なくとも1個以上の水酸基の水素原子がトシル基に置換された構造を有する。トシル基とは、パラトルエンスルホン酸から水酸基が除された基を意味する。トシル基を有するシクロデキストリン化合物において、トシル基は少なくとも1個であり、通常は、1個である。
トシル基を有するシクロデキストリン化合物において、シクロデキストリン誘導体は、ホスト基含有重合性単量体におけるシクロデキストリン誘導体と同義である。従って、トシル基を有するシクロデキストリン化合物において、シクロデキストリン誘導体とは、シクロデキストリンが有する少なくとも1個の水酸基の水素原子が炭化水素基等で置換された構造を有することができる。
トシル基を有するシクロデキストリン化合物がシクロデキストリンに存在する水酸基の水素原子がトシル基に置換された構造を有する場合、工程A2で第2級アミンを得てから、炭化水素基等への置換をすることができる。
工程A1で使用するトシル基を有するシクロデキストリン化合物を製造する方法は特に限定されず、公知の方法でトシル基を有するシクロデキストリン化合物を得ることができる。
工程A1において、第1級アミンの種類は特に限定されず、公知の第1級アミンを広く適用することができる。第1級アミンとしては、炭化水素基を有するアミン化合物を挙げることができる。具体的に、第1級アミンとしては、炭素数1〜10のアルキルアミンが挙げられる。炭素数1〜10のアルキルアミンにおいて、好ましい炭素数は1〜8、より好ましい炭素数は1〜6、さらに好ましい炭素数は1〜4、特に好ましい炭素数は1〜3である。アルキル基は直鎖状であってもよいし、分岐を有していてもよい。具体的な第1級アミンとしては、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミンを挙げることができる。
なお、第1級アミンのアミノ基の数は通常1個であるが、アミノ基の数は2個以上であってもよい。
工程A1で使用する第1級アミンは、溶媒に溶解した状態で使用することもできる。この場合の溶媒は、工程A1での反応が阻害されない限りは特に限定されず、各種の有機溶媒及び水等を挙げることができる。例えば、第1級アミンは水溶液の状態で使用することができる。第1級アミンの溶液濃度も特に限定されず、溶解性等を考慮して適宜の範囲とすることができる。
工程A1において、トシル基を有するシクロデキストリン化合物と、第1級アミンとを反応する方法及び条件は特に限定されない。例えば、トシル基を有するシクロデキストリン化合物と第1級アミンとを含む混合液を攪拌することで反応を行うことができる。反応時の混合液の温度も特に限定されず、例えば、15〜90℃の範囲とすることができる。
トシル基を有するシクロデキストリン化合物と第1級アミンとを含む混合液には、必要に応じて溶媒が含まれていてもよい。この溶媒は、例えば、第1級アミンが溶液である場合は、この溶液中の溶媒と同じとすることができ、あるいは、異なる溶媒とすることもできる。溶媒としては、各種の有機溶媒、水、及び、これらの混合溶媒が挙げられ、水であることが好ましい。
トシル基を有するシクロデキストリン化合物と第1級アミンとを含む混合液において、両者の使用割合は特に限定されず、例えば、トシル基を有するシクロデキストリン化合物1モルあたり、第1級アミンを1〜300モル使用することができる。過剰量の第1級アミンは容易に除去することができる。
トシル基を有するシクロデキストリン化合物と、第1級アミンとを混合する方法も特に限定されず、例えば、両者を一括で混合する方法、一方を他方に滴下する方法等が挙げられる。
工程A1の反応の進行の有無は各種方法で判断することができ、例えば、TLCなどで確認できる。
工程A1の反応により得られる生成物は、適宜の方法で分離することができる。例えば、生成物に対して貧溶媒等を加えることで、生成物を再沈殿させる方法などが挙げられる。得られた生成物は、適宜の方法で洗浄等の処理を行うこともできる。
工程A1の反応によって、−O−Ts(Tsはトシル基を意味する)が脱離して、R−NH−基に置換される。ここで、Rは、第1級アミンの窒素原子に結合している基(例えば、アルキル基)を意味する。つまり、工程A1の反応によって、第2級アミンが得られる。この第2級アミンは、言い換えれば、シクロデキストリン又はシクロデキストリン誘導体に存在する少なくとも1個以上(例えば、1個)の水酸基が例えば前記R−NH−基に置換された構造を有する。
工程A1の反応によって得られる第2級アミンの構造は、例えば、MALDI−TOFMS又はH−NMRスペクトルから確認できる。
工程A2は、工程A1で得られた第2級アミンと、重合性官能基を有する化合物とを反応して前記ホスト基含有重合性単量体を得るための工程である。
工程A2において、重合性官能基を有する化合物としては種々の化合物を使用することができる。重合性官能基を有する化合物における重合性官能基とは、前述のホスト基含有重合性単量体中の重合性官能基と同じである。従って、重合性官能基を有する化合物における重合性官能基としては、アルケニル基、ビニル基等のラジカル重合性の炭素−炭素二重結合を含む基の他、−OH、−SH、−NH、−COOH、−SOH、−POH、−COCl、イソシアネート基、エポキシ基(グリシジル基)等が挙げられ、中でも、アルケニル基、ビニル基等のラジカル重合性の炭素−炭素二重結合を含むことが好ましい。
重合性官能基を有する化合物の具体例としては、アクリロイル基(CH=CH(CO)−)を有する化合物、メタクリロイル基(CH=CCH(CO)−)を有する化合物、スチリル基を有する化合物、ビニル基を有する化合物、アリル基を有する化合物等が挙げられ、中でも、アクリロイル基(CH=CH(CO)−)を有する化合物又はメタクリロイル基(CH=CCH(CO)−)を有する化合物であることが好ましい。より詳しい重合性官能基を有する化合物の具体例としては、ハロゲン化アクリロイル、ハロゲン化(メタ)クリロイルが挙げられ、特には、塩化アクリロイル、塩化(メタ)クリロイルである。
工程A2において、第2級アミンと、重合性官能基を有する化合物とを反応する方法及び条件は特に限定されない。例えば、第2級アミンと、重合性官能基を有する化合物とを含む混合液を攪拌することで反応を行うことができる。反応時の混合液の温度も特に限定されず、例えば、−20〜40℃の範囲とすることができる。反応時間も適宜の範囲で調節でき、例えば、10分〜10時間である。
第2級アミンと、重合性官能基を有する化合物とを含む混合液には、必要に応じて溶媒が含まれていてもよい。この溶媒は、各種の有機溶媒、水、及び、これらの混合溶媒が挙げられ、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒等が挙げられる。アミド系溶媒と水との混合溶媒であってもよい。
第2級アミンと、重合性官能基を有する化合物とを含む混合液には、必要に応じて触媒が含まれていてもよく、例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン等が挙げられる。
第2級アミンと、重合性官能基を有する化合物とを含む混合液において、両者の使用割合は特に限定されず、例えば、第2級アミン1モルあたり、重合性官能基を有する化合物を1〜10モル使用することができる。混合液が前記触媒を含む場合、その使用量も特に制限されず、例えば、アミノ化合物と酸クロライドとを反応させる公知の反応と同様の範囲とすることができる。
第2級アミンと、重合性官能基を有する化合物とを混合する方法も特に限定されず、例えば、両者を一括で混合する方法、一方を他方に滴下する方法(例えば、重合性官能基を有する化合物を第2級アミンに滴下する方法)等が挙げられる。
工程A2の反応では、例えば、反応が進行してから適時に反応停止剤を加えることもできる。反応停止剤の種類は特に限定されず、例えば、アミノ化合物と酸クロライドとの反応で使用されている反応停止剤を広く使用することができ、例えば、エタノール等のアルコール化合物が挙げられる。
工程A2の反応により得られる生成物は、適宜の方法で分離することができる。例えば、生成物に対して貧溶媒等を加えることで、生成物を再沈殿させる方法などが挙げられる。得られた生成物は、適宜の方法で洗浄等の処理を行うこともできる。
工程A2の反応によって、前述の本発明のホスト基含有重合性単量体が得られる。工程A2の反応では、工程A1で得られた第2級アミンの水素原子が重合性官能基に置換され、これによって、第3級アミンとしてのホスト基含有重合性単量体が生成する。工程A2の反応によって得られる第3級アミンの構造は、例えば、MALDI−TOFMS又はH−NMRスペクトルから確認できる。
ここで、製造方法Aにおいて、目的とするホスト基含有重合性単量体のホスト基が前記シクロデキストリン誘導体に由来するものである場合であって、工程A1で使用したトシル基を有するシクロデキストリン化合物がシクロデキストリンに存在する水酸基の水素原子がトシル基に置換された構造を有する場合、斯かる構造中に存在する水酸基の水素原子を、適宜の方法で炭化水素基等に置換することができる。代表的には、前記特許文献2に記載されている、シクロデキストリンに存在する水酸基の水素原子を炭化水素基等に置換する方法を挙げることができる。
例えば、シクロデキストリンに存在する水酸基の水素原子を炭化水素基に置換する方法としては、公知のアルキル化反応を広く採用できる。シクロデキストリンに存在する水酸基の水素原子を、アセチル基等のアシル基に置換する方法は、例えば、公知のアシル化反応を広く採用することができる。シクロデキストリンに存在する水酸基の水素原子を、アセチル基に置換する方法の他例として、無水酢酸又は酢酸イソプロピルの存在下、ピリジン等の酸をトラップすることが可能な溶媒を使用してアセチル化する方法が挙げられる。シクロデキストリンに存在する水酸基の水素原子を、−CONHR(Rはメチル基又はエチル基)に置換する方法は、公知のアルキルカルバメート化反応を広く採用することができる。
(製造方法B)
本発明のホスト基含有重合性単量体を製造方法する方法は、下記の工程B1、
工程B1;トシル基を有するシクロデキストリン化合物と、重合性官能基を有する第2級アミンとを反応して前記ホスト基含有重合性単量体を得る工程、
を備える。斯かる工程B1を備える製造方法Bによっても、前述の本発明のホスト基含有重合性単量体を得ることができる。
工程B1で使用するトシル基を有するシクロデキストリン化合物は、前述の工程A1で使用するトシル基を有するシクロデキストリン化合物と同様である。
工程B1で使用する重合性官能基を有する第2級アミンにおいて、重合性官能基を有する化合物における重合性官能基とは、前述のホスト基含有重合性単量体におけるものと同じである。
重合性官能基を有する第2級アミンとしては、種々の化合物を使用することができる。例えば、各種のNアルキル置換(メタ)アクリルアミド等を使用することができる。
工程B1において、トシル基を有するシクロデキストリン化合物と、重合性官能基を有する第2級アミンとを反応する方法及び条件は特に限定されない。例えば、トシル基を有するシクロデキストリン化合物と、重合性官能基を有する第2級アミンとを含む混合液を攪拌することで反応を行うことができる。反応時の混合液の温度も特に限定されず、例えば、15〜90℃の範囲とすることができる。反応時間も適宜の範囲で調節でき、例えば、10分〜10時間である。
トシル基を有するシクロデキストリン化合物と、重合性官能基を有する第2級アミンとを含む混合液には、必要に応じて溶媒が含まれていてもよい。この溶媒は、各種の有機溶媒、水、及び、これらの混合溶媒が挙げられ、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒等が挙げられる。アミド系溶媒と水との混合溶媒であってもよい。
工程B1の反応により得られる生成物は、適宜の方法で分離することができる。例えば、生成物に対して貧溶媒等を加えることで、生成物を再沈殿させる方法などが挙げられる。得られた生成物は、適宜の方法で洗浄等の処理を行うこともできる。
工程B1の反応によって、前述の本発明のホスト基含有重合性単量体が得られる。生成物の構造等は、例えば、MALDI−TOFMS又はH−NMRスペクトルから確認できる。
ここで、製造方法Bにおいて、目的とするホスト基含有重合性単量体のホスト基が前記シクロデキストリン誘導体に由来するものである場合であって、工程B1で使用したトシル基を有するシクロデキストリン化合物がシクロデキストリンに存在する水酸基の水素原子がトシル基に置換された構造を有する場合、斯かる構造中に存在する水酸基の水素原子を、適宜の方法で炭化水素基等に置換することができる。この置換方法は、製造方法Aと同様である。
(製造方法A及びB)
従来のホスト基含有重合性単量体を製造する方法(例えば、前記特許文献2に記載のホスト基含有重合性単量体を製造する方法)では、目的物を得るための製造工程が複雑であった、例えば、安全性の低い試薬を原料として使用する必要があり、また、精製工程においてカラム処理等の工程を減る必要もあったので、必ずしも簡便な工程ではなかった。これに対し、本発明の製造方法A及び製造方法Bでは、危険性の高い原料は不使用とすることができ、また、カラム処理等をせずとも高純度で目的物を得ることができる点で有利である。
3.高分子材料
本発明の高分子材料は、前述のホスト基含有重合性単量体を含む重合性単量体Mの重合体を含有する。従って、斯かる重合体は、ホスト基含有重合性単量体単位を構成単位として含む高分子化合物である。
重合性単量体Mは、ホスト基含有重合性単量体以外の単量体を含むことができ、例えば、ゲスト基含有重合性単量体を挙げることができる。また、重合性単量体Mは、ホスト基含有重合性単量体及びゲスト基含有重合性単量体以外の重合性単量体を含むことができる。ホスト基含有重合性単量体及びゲスト基含有重合性単量体以外の重合性単量体を「第3の重合性単量体」と表記する。
(ゲスト基含有重合性単量体)
ゲスト基含有重合性単量体は、重合性単量体であって、ゲスト基が斯かる単量体に結合(例えば、共有結合)してなる化合物である。ゲスト基は、前記ホスト基含有重合性単量体中のホスト基とホスト−ゲスト相互作用をすることができる基を意味する。つまり、ゲスト基は、前記ホスト基含有重合性単量体中のホスト基と包接錯体を形成することができる基である。
ゲスト基としては、炭素数3〜30の直鎖又は分岐状の炭化水素基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基及び有機金属錯体等が挙げられ、これらは一以上の置換基を有していてもよい。より具体的なゲスト基としては、炭素数4〜18の鎖状又は環状のアルキル基が挙げられる。炭素数4〜18の鎖状のアルキル基は直鎖及び分岐のいずれでもよい。環状のアルキル基は、かご型の構造であってもよい。置換基としては、例えば、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素等)、水酸基、カルボキシル基、エステル基、アミド基、保護されていてもよい水酸基等を挙げることができる。
ゲスト基は、その他、例えば、アルコール誘導体;アリール化合物;カルボン酸誘導体;アミノ誘導体;環状アルキル基又はフェニル基を有するアゾベンゼン誘導体;桂皮酸誘導体;芳香族化合物及びそのアルコール誘導体;アミン誘導体;フェロセン誘導体;アゾベンゼン;ナフタレン誘導体;アントラセン誘導体;ピレン誘導体:ペリレン誘導体;フラーレン等の炭素原子で構成されるクラスター類;ダンシル化合物の群から選ばれる少なくとも1種が例示されるゲスト分子から一個の原子(例えば、水素原子)が除されて形成される1価の基を挙げることもできる。
ゲスト基のさらなる具体例としては、t−ブチル基、n−オクチル基、n−ドデシル基、イソボルニル基、アダマンチル基及びこれらに前記置換基が結合した基を挙げることができる。
ゲスト基含有重合性単量体の具体例としては、前記ゲスト基が結合(例えば、共有結合)したビニル系の重合性単量体を挙げることができる。例えば、ゲスト基含有重合性単量体は、下記の一般式(g1)で表される重合性単量体を挙げることができる。
Figure 2021175779
式(g1)中、Raは水素原子またはメチル基を示し、Rは前記ゲスト基を示し、Rは前記式(h2)のRと同義である。
式(g1)で表される重合性単量体の中でも、(メタ)アクリル酸エステル又はその誘導体(すなわち、Rが−COO−)、(メタ)アクリルアミド又はその誘導体(すなわち、Rが−CONH−又は−CONR−であり、Rは前記置換基と同義である)であることが好ましい。
ゲスト基含有重合性単量体の具体例としては、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸n−ドデシル、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアダマンチル、1−(メタ)アクリルアミドアダマンタン、2−エチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート、N−ドデシル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸t−ブチル、1−アクリルアミドアダマンタン、N−(1−アダマンチル)(メタ)アクリルアミド、N−ベンジル(メタ)アクリルアミド、N−1−ナフチルメチル(メタ)アクリルアミド、エトキシ化o−フェニルフェノールアクリレート、フェノキシポリエチレングリコールアクリレート、イソステアリルアクリレート、ノニルフェノールEO付加物アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ゲスト基含有重合性単量体は、公知の方法で製造することができる。また、ゲスト基含有重合性単量体は、市販品を使用することもできる。
(第3の重合性単量体)
前記第3の重合性単量体は、前記ホスト基含有重合性単量体及びゲスト基含有重合性単量体と共重合可能な各種の化合物を挙げることができる。例えば、第3の重合性単量体としては、公知である各種のビニル系重合性単量体を挙げることができる。ビニル系重合性単量体の具体例としては、下記一般式(a1)で表される化合物を挙げることができる。
Figure 2021175779
ここで、式(a1)中、Raは水素原子またはメチル基、Rはハロゲン原子、ヒドロキシル基、チオール基、1個の置換基を有していてもよいアミノ基又はその塩、1個の置換基を有していてもよいカルボキシル基又はその塩、1個以上の置換基を有していてもよいアミド基又はその塩、1個以上の置換基を有していてもよいフェニル基を示す。
式(a1)中、Rが1個の置換基を有するカルボキシル基である場合、カルボキシル基の水素原子が炭化水素基、ヒドロキシアルキル基(例えば、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基)、メトキシポリエチレングリコール(エチレングリコールのユニット数は1〜20、好ましくは1〜10、特に好ましくは、2〜5)、エトキシポリエチレングリコール(エチレングリコールのユニット数は1〜20、好ましくは1〜10、特に好ましくは、2〜5)等で置換されたカルボキシル基(すなわち、エステル)が挙げられる。
式(a1)中、Rが1個以上の置換基を有するアミド基、すなわち、第2級アミド又は第3級アミドである場合、第1級アミドの1個の水素原子又は2個の水素原子が互いに独立に炭化水素基又はヒドロキシアルキル基(例えば、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基)で置換されたアミド基が挙げられる。
式(a1)中、Rが、1個の置換基を有するカルボキシル基;1個以上の置換基を有するアミド基;アミノ基;アミド基;カルボキシル基;であることが好ましい。
中でも、式(a1)中、Rが、水素原子が炭素数1〜10のアルキル基で置換されたカルボキシル基、1個以上の水素原子が炭素数1〜10のアルキル基で置換されたアミド基であることが好ましい。より好ましくは、置換基である前記アルキル基の炭素数2〜8、特に好ましくは2〜6であり、この場合、得られる高分子材料の靭性及び強度も向上しやすい。このアルキル基は直鎖及び分岐のいずれであってもよい。
式(a1)で表される単量体の具体例としては、(メタ)アクリル酸、アリルアミン、無水マレイン酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸tブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシ−ジエチレングリコールアクリレート、メトキシ−トリエチレングルコールアクリレート、メトキシ−ポリエチレングリコールアクリレート、スチレン等が挙げられる。これらは1種単独で使用でき、又は2種以上を併用できる。
前記第3の重合性単量体の具体例としては、前記一般式(a1)で表される化合物以外に、例えば、ジエン化合物を挙げることができる。ジエン化合物の具体例としては、イソプレン、1,3−ブタジエンを挙げることができる。
第3の重合性単量体としては、その他、縮合系単量体を挙げることもできる。特に、ホスト基含有重合性単量体における重合性官能基が縮合反応系の官能基である場合に有用である。縮合系単量体は、縮合反応(例えば、重縮合又は縮合重合)可能な単量体である限りは特に限定されず、例えば、前記特許文献2に記載の各種縮合系単量体を広く適用することができる。
第3の重合性単量体は、当該第3の重合性単量体が重合して形成される単量体単位の全部又は一部が前記ホスト基に包接されない構造を有していることが好ましい。ただし、後記するように、第3の重合性単量体は、ホスト基の環内を貫通することは許容され得る。
(重合体)
高分子材料に含まれる重合体は、ホスト基含有重合性単量体を含む重合性単量体Mが重合してなる高分子化合物である。
重合体の一実施態様としては、ホスト基含有重合性単量体、ゲスト基含有重合性単量体及び第3の重合性単量のすべてを含む重合性単量体Mの重合体が挙げられる。以下、この重合体を「重合体1」と表記する。
重合体の他の実施態様としては、ホスト基含有重合性単量体及び第3の重合性単量を含み、ゲスト基含有重合性単量体を含まない重合性単量体Mの重合体が挙げられる。以下、この重合体を「重合体2」と表記する。
(重合体1)
重合体1は、側鎖にホスト基及びゲスト基を有する高分子化合物であることから、例えば、重合体1分子間に、いわゆるホスト−ゲスト相互作用を形成することができる。例えば、重合体1分子における1以上のホスト基と、他の重合体1分子における1以上のゲスト基とが包接錯体を形成することができる。従って、高分子材料が重合体1を含む場合、斯かる高分子材料は、重合体1中の前記ホスト基がゲスト基と包接錯体を形成している。これにより、高分子材料の機械的物性が向上しやすく、また、自己修復性能も発現され得る。このような高分子材料は、可逆的なホストーゲスト相互作用によって形成されることから、いわゆる「可逆性架橋構造」を有する高分子材料ということもできる。
重合体1において、ホスト基含有重合性単量体に由来する構成単位(以下、「ホスト基含有重合性単量体単位」という)、ゲスト基含有重合性単量体に由来する構成単位(以下、「ゲスト基含有重合性単量体単位」という)、及び第3の重合性単量に由来する構成単位(以下、「第3の重合性単量単位」という)の含有割合は特に限定されない。
例えば、ホスト基含有重合性単量体単位、ゲスト基含有重合性単量体単位及び第3の重合性単量単位の総モル数に対し、ホスト基含有重合性単量体単位及びゲスト基含有重合性単量体単位はいずれも0.01モル%以上であることが好ましく、0.1モル%以上であることがより好ましく、0.2モル%以上であることがさらに好ましく、0.5モル%以上であることが特に好ましく、また、20モル%以下であることが好ましく、10モル%以下であることがより好ましく、8モル%以下であることがさらに好ましく、5モル%以下であることが特に好ましい。
従って、重合体1を形成するための重合性単量体Mは、ホスト基含有重合性単量体、ゲスト基含有重合性単量体及び第3の重合性単量の総モル数に対して、ホスト基含有重合性単量体及びゲスト基含有重合性単量体はいずれも0.01モル%以上であることが好ましく、0.1モル%以上であることがより好ましく、0.2モル%以上であることがさらに好ましく、0.5モル%以上であることが特に好ましく、また、20モル%以下であることが好ましく、10モル%以下であることがより好ましく、8モル%以下であることがさらに好ましく、5モル%以下であることが特に好ましい。
重合体1は、ホスト基含有重合性単量体単位、ゲスト基含有重合性単量体単位及び第3の重合性単量単位以外の単量体単位を含むこともでき、その場合、ホスト基含有重合性単量体単位、ゲスト基含有重合性単量体単位及び第3の重合性単量単位の総モル数に対して、好ましくは20モル%以下、より好ましくは10モル%以下、さらに好ましくは5モル%以下、特に好ましくは1モル%以下である。
重合体1は、ランダムポリマー、ブロックポリマー、交互共重合体等のいずれの形態であってもよく、中でもホスト−ゲスト相互作用が起こりやすいという観点から、重合体1はランダムポリマーであることが好ましい。
(重合体2)
重合体2は側鎖にホスト基を有するものの、ゲスト基は有さない。従って、重合体2は、側鎖にゲスト基を有する重合体(「重合体G」と表記する)といわゆるホスト−ゲスト相互作用を形成することができる。例えば、重合体1における1以上のホスト基と、他の重合体Gにおける1以上のゲスト基とが包接錯体を形成することができる。従って、高分子材料が重合体2を含む場合、斯かる高分子材料は、重合体2中の前記ホスト基が、他の重合体(ここでは「重合体G」という)のゲスト基と包接錯体を形成している。これにより、高分子材料の機械的物性が向上しやすく、また、自己修復性能も発現され得る。このような高分子材料は、可逆的なホストーゲスト相互作用によって形成されることから、前述同様、「可逆性架橋構造」を有する高分子材料ということもできる。
高分子材料が重合体2を含む場合の他の実施態様として、重合体2の側鎖に存在する環状分子の環内を、他の高分子化合物(ここでは「第2高分子化合物」という)が串刺し状に貫通してなる構造を挙げることができる。
図1は、重合体2の側鎖に存在する環状分子の環内を、他の高分子化合物が串刺し状に貫通してなる構造の一部を模式的に示した図である。この図において、高分子材料は、重合体2(図中、符番「11」)と、第2高分子化合物12とを含み、第2高分子化合物12は、重合体2の側鎖が有するホスト基10の環内を貫通する。
図1からもわかるように、斯かる態様の高分子材料は、第2高分子化合物がホスト基の環内を串刺し状に貫通することで、重合体2と、第2高分子化合物とが見かけ上は架橋構造を形成する。この架橋構造においては、第2高分子化合物はホスト基環内をスライドすることが可能であることから、高分子材料は「可動性架橋構造」を有する高分子材料ということができる。
第2高分子化合物としては、ホスト基環内を貫通できるサイズの重合体である限りは特に限定されず、例えば、種々の直鎖状高分子化合物を適用することができる。具体的には、前述の式(a1)で表される単量体の単独重合体、共重合体を挙げることができ、好ましくは、(メタ)アクリル酸、アリルアミン、無水マレイン酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル及び(メタ)アクリル酸tブチルからなる群より選ばれる1種以上の重合体、さらに好ましくは、(メタ)アクリル酸、アリルアミン、無水マレイン酸、(メタ)アクリル酸メチル及び(メタ)アクリル酸エチルからなる群より選ばれる1種以上の重合体、特に好ましくは、(メタ)アクリル酸エチルの重合体である、
また、上記の可動性架橋は、例えば、後記するように、重合反応により重合体2を得る過程で形成される場合もある。なぜなら、重合体2を得るための重合性単量体Mは、第3の重合性単量を含むので、これらのモノマーが重合する過程で、ホスト基の環内を生長中の高分子鎖が貫通することがあるためである。
なお、重合体2の重合過程では、ホスト基を貫通した生長中の高分子鎖の末端にさらにホスト基含有重合性単量体が反応する場合があり、この場合は斯かるホスト基含有重合性単量体がいわゆるストッパーとなって、環内を貫通した高分子鎖の脱落が防止される(図2参照)。斯かる形態ではストッパーの存在により、可動距離は制限されるものの、可動架橋を有する高分子材料と位置づけられる。なお、生長中の高分子鎖の末端とは、最終的に生成する高分子鎖の末端を意図したものではなく、その時点で形成されている高分子鎖の末端を意味するものである。
以上のように、本発明の高分子材料は、重合体2中の前記ホスト基の環内を、高分子鎖が貫通した構造、いわゆる可動性架橋構造を有することもできる。高分子材料が可動性架橋構造を有することにより、優れた機械的物性を有することもできる。特に、高分子材料において、第2高分子化合物が重合体2中のホスト基環内をスライド可能に存在していることで、高分子材料の柔軟性及び強靭性が特に向上する。また、高分子材料が可動性架橋構造を有することにより、優れた加工性も有することができる。例えば、高分子材料が可動性架橋構造を有する場合、高分子材料に熱あるいはせん断等を与えることで、容易に高分子材料が液状に変化するので、所望の形状等に成形することも容易になる。可動性架橋構造を有する高分子材料に熱あるいはせん断等を与えると、分子運動性が高まるので、第2高分子化合物の片側又は両側がホスト基の環内から脱落するので、これにより、高分子材料が軟化又は液状に変化すると推察される。
言い換えれば、固体状の高分子材料を加熱(ただし、重合体2の軟化温度以下、かつ、第2高分子化合物の軟化温度以下の温度)して液状に変化するかどうかで第2高分子化合物がホスト基環内を串刺し状に貫通して存在しているかどうかを判断することができる。
可動性架橋構造を有する高分子材料では、第2高分子化合物は、一分子あたり、少なくとも1個以上のホスト基を貫通していることが好ましく、第2高分子化合物は、一分子あたり、複数のホスト基を順に串刺し状に貫通して存在していることが好ましい。
また、第2高分子化合物は、その片側又は両側がホスト基の環内から脱落するように形成されている場合、高分子材料の加工性等が向上する。従って、第2高分子化合物の両末端はいわゆるポリロタキサン等に見られるような封鎖基を有していないことが好ましい。つまり、第2高分子化合物の両末端は、ホスト基の環内から脱落可能に形成されていることが好ましい。
重合体2において、ホスト基含有重合性単量体単位及び第3の重合性単量単位の含有割合は特に限定されない。例えば、ホスト基含有重合性単量体単位及び第3の重合性単量単位の総モル数に対し、ホスト基含有重合性単量体単位は0.01モル%以上であることが好ましく、0.1モル%以上であることがより好ましく、0.2モル%以上であることがさらに好ましく、0.5モル%以上であることが特に好ましく、また、20モル%以下であることが好ましく、10モル%以下であることがより好ましく、8モル%以下であることがさらに好ましく、5モル%以下であることが特に好ましい。
従って、重合体2を形成するための重合性単量体Mは、ホスト基含有重合性単量体及び第3の重合性単量の総モル数に対して、ホスト基含有重合性単量体は0.01モル%以上であることが好ましく、0.1モル%以上であることがより好ましく、0.2モル%以上であることがさらに好ましく、0.5モル%以上であることが特に好ましく、また、20モル%以下であることが好ましく、10モル%以下であることがより好ましく、8モル%以下であることがさらに好ましく、5モル%以下であることが特に好ましい。
重合体2は、ホスト基含有重合性単量体単位及び第3の重合性単量単位以外の単量体単位を含むこともでき、その場合、ホスト基含有重合性単量体単位、ゲスト基含有重合性単量体単位及び第3の重合性単量単位の総モル数に対して、好ましくは20モル%以下、より好ましくは10モル%以下、さらに好ましくは5モル%以下、特に好ましくは1モル%以下である。
重合体2及び重合体Gは、ランダムポリマー、ブロックポリマー、交互共重合体等のいずれの形態であってもよく、中でもランダムポリマーであることが好ましい。
(高分子材料)
本発明の高分子材料は、前述のように、ホスト基含有重合性単量体を含む重合性単量体Mの重合体を含有する。重合体は、例えば、前述の重合体1又は重合体2である。
高分子材料が重合体1を含む場合、重合体中の前記ホスト基は、ゲスト基と包接錯体を形成しており、可逆架橋構造を有する。高分子材料が重合体2と重合体Gとを含む場合、重合体中の前記ホスト基は、ゲスト基と包接錯体を形成しており、可逆性架橋構造を有する。
高分子材料が、可逆性架橋構造を有する場合、例えば、重合体1分子どうし、又は、重合体2と重合体Gの分子どうしの間でホスト−ゲスト相互作用が起こることで、可逆性架橋構造を有する高分子材料が形成される。
高分子材料が、可逆性架橋構造を有する場合、高分子材料中のホスト基及びゲスト基の含有比率は特に限定されない。高分子材料の機械的物性が向上しやすいという観点から、ホスト基と、ゲスト基との比率がモル比で1:0.01〜1:100であることが好ましく、1:0.02〜1:50であることがより好ましく、1:0.05〜1:20であることがさらに好ましく、1:0.1〜1:10であることが特に好ましい。
高分子材料が、可逆性架橋構造を有する場合、高分子材料の機械的物性が特に優れるという観点から、ホスト基がα−シクロデキストリン又はその誘導体由来の基である場合、ゲスト基はn−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基及びn−ドデシル基の群から選ばれる少なくとも1種が好ましく、ホスト基を構成するホスト分子がβ−シクロデキストリン又はその誘導体由来の基である場合、ゲスト基はアダマンチル基及びイソボルニル基の群から選ばれる少なくとも1種が好ましく、ホスト基がγ−シクロデキストリン又はその誘導体由来の基である場合、ゲスト基はn−オクチル基及びn−ドデシル基、シクロドデシル基等が好ましい。
一方、高分子材料が重合体2を含み、重合体G等のゲスト基を有する高分子化合物を含まない場合、重合体2中の前記ホスト基の環内を、高分子鎖(前記第2高分子化合物)が貫通した構造を有し、いわゆる、可動性架橋構造を有する。
重合体2中の前記ホスト基の環内を、高分子鎖(前記第2高分子化合物)を貫通させる方法は特に限定されず、例えば、重合体2と、高分子鎖(前記第2高分子化合物)とを機械的に混合する方法、重合体2と、高分子鎖(前記第2高分子化合物)とを溶媒に溶解させて混合する方法等、各種の方法を採用することができる。また、後記するように、重合体2を重合反応によって製造する過程においてホスト基環内を、重合で生長する高分子鎖が貫通することもあるので、重合体2を得るための重合反応によって直接、可動性架橋構造が形成された高分子材料を得ることもできる。
高分子材料は、他の一実施形態において、ヒドロゲルであってもよい。この場合、高分子材料は、重合体1又は重合体2と、水系溶媒とを含む、水系溶媒は特に限定されず、例えば、公知のヒドロゲルと同様であり、具体的には、水、低級アルコールである。ヒドロゲルにおいて、水系溶媒の含有量は、例えば、10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、30質量%以上がさらに好ましく、90質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましく、70質量%以下がさらに好ましい。
高分子材料は、本発明の効果が阻害されない限りは、他の添加剤又は他の高分子化合物を含むこともできる。高分子材料が添加剤を含む場合、添加剤の含有量は、高分子材料の全質量に対して5質量%以下、好ましくは1質量%以下、より好ましくは、0.1質量%以下、特に好ましくは0.05質量%以下とすることができる。
高分子材料の形状は特に限定されない。例えば、高分子材料は、膜状、フィルム状、シート状、粒子状、板状、ブロック状、ペレット状、粉末状等の各種の形態を取り得る。
本発明の高分子材料は、少なくとも、前記ホスト基含有重合性単量体を含む重合性単量体の重合体(例えば、重合体1又は重合体2)を含むことで、機械的物性に優れる材料となる。加えて、高分子材料が前記可逆型架橋構造を有する場合、いわゆる自己修復性を有することができる。つまり、高分子材料の成形体を切断等した場合であっても、その切断面どうしを再接触させることで、接触面において再度、ホスト−ゲスト相互作用が生じ、高分子材料の成形体が修復され得る。
高分子材料は、各種の用途に使用することができ、例えば、電池用途、自動車用途、電子部品用途、建築部材用途、食品容器用途、輸送容器用途等の各種の部材に好適に使用することができる。電池用途としては、例えば、リチウムイオン電池等の各種電池のバインダーに、高分子材料を適用することができる。
(高分子材料の製造方法)
高分子材料の製造方法は特に限定されず、例えば、前記重合性単量体Mを重合する工程を備える製造方法で、高分子材料を製造することができる。
前記重合性単量体Mを重合する方法も特に限定されず、例えば、公知の重合法を広く採用することができる。例えば、重合性単量体Mがラジカル重合性のモノマーである場合は、公知のラジカル重合法を広く採用することができる。重合条件も特に限定されず、例えば、公知の重合条件を広く採用することができる。重合性単量体Mの種類を選定することで、重合体1又は重合体2を製造することができる。
例えば、可逆性架橋構造を有する高分子材料は、重合体1を形成するための重合性単量体Mを重合反応することによって、製造することができる。具体的には、重合性単量体Mの重合反応により重合体1を生成させると、重合反応が進行中に(又は重合反応の終了後に)、重合体1分子間のホスト−ゲスト相互作用が生じることがある。この結果、重合体1分子どうしが可逆架橋された高分子材料が製造される。あるいは、重合性単量体Mがホスト基含有重合性単量体及びゲスト基含有重合性単量体を含む場合、重合前に包接化合物を形成してから、重合を行うこともできる。これによって得られる重合体1は、分子間のホスト−ゲスト相互作用が生じる。包接化合物を形成する方法は特に限定されず、公知の方法を広く採用することができる。
また、可逆性架橋構造を有する高分子材料の製造方法の他例としては、重合体2と重合体Gとをあらかじめ合成し、これらを機械的に混合する方法;重合体2と、重合体Gとをあらかじめ合成し、これらを溶媒に溶解させて混合する方法;等の各種の方法が挙げられる。溶媒に溶解させて混合した場合は、適宜の方法で、溶媒を乾燥させることができる。
一方、可動性架橋構造を有する高分子材料は、重合体2を形成するための重合性単量体Mを重合反応することによって、製造することができる。具体的には、重合性単量体Mの重合反応により重合体2を生成させると、重合反応が進行中に(又は重合反応の終了後に)、重合性単量体M中の第3の重合性単量体が重合して生長したホモポリマー(もしくは生長中のホモポリマー)が、ホスト基環内を貫通することもある。この結果、重合体2を形成すると同時に、可動性架橋構造を有する高分子材料が得られる。斯かる重合反応では、溶媒を使用せずに重合反応をした場合、もしくは、少量の溶媒を使用して重合反応をした場合に、ホスト基環内をホモポリマーが貫通しやすい。この重合反応における溶媒の使用量は、重合性単量体M100質量部あたり、好ましくは100質量部以下が、より好ましくは50質量部以下、さらに好ましくは30質量部以下、特に好ましくは10質量部以下である。
その他、可動性架橋構造を有する高分子材料の製造方法としては、重合体2と高分子鎖(前記第2高分子化合物)とをあらかじめ合成し、これらを機械的に混合する方法;重合体2と、高分子鎖(前記第2高分子化合物)とをあらかじめ合成し、これらを溶媒に溶解させて混合する方法;等の各種方法が挙げられる。溶媒に溶解させて混合した場合は、適宜の方法で、溶媒を乾燥させることができる。
(高分子材料形成用前駆体)
前記ホスト基含有重合性単量体単位を含む単量体混合物の重合体は、本発明の高分子材料を形成するために用いることが好適である。つまり、前記ホスト基含有重合性単量体単位を含む単量体混合物の重合体は、高分子材料形成用前駆体として好適に使用することができる。
前記ホスト基含有重合性単量体を含む単量体混合物は、ホスト基含有重合性単量体の他、前記第3の重合性単量体を含むことができる。単量体混合物中、ホスト基含有重合性単量体及び第3の重合性単量体の総モル数に対して、ホスト基含有重合性単量体は0.01モル%以上であることが好ましく、0.1モル%以上であることがより好ましく、0.2モル%以上であることがさらに好ましく、0.5モル%以上であることが特に好ましく、また、20モル%以下であることが好ましく、10モル%以下であることがより好ましく、8モル%以下であることがさらに好ましく、5モル%以下であることが特に好ましい。
前記単量体混合物の重合体としては、例えば、前記重合体2、つまり、ホスト基含有重合性単量体及び第3の重合性単量を含み、ゲスト基含有重合性単量体を含まない重合性単量体Mの重合体が挙げられる(ただし、ホスト基環内には何らの高分子鎖も貫通していない)。
高分子材料形成用前駆体では、ホスト基にはゲスト基が包接されておらず、また、ホスト基環内に何らの高分子鎖も貫通していない。斯かる高分子材料形成用前駆体は、前記ホスト基含有重合性単量体を含む単量体混合物を溶媒に溶解させて溶液重合することで、形成することができる。なお、無溶剤で重合する場合は、前駆体ではなく、例えば、ホスト基環内を高分子鎖が貫通した高分子材料が形成されることがある。
溶媒としては、ホスト基含有重合性単量体を含む単量体混合物が溶解する限り、特に限定されず、例えば、溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒;ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素;シクロヘキサン等の脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエンおよびキシレン等の芳香族炭化水素;クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等の塩素系炭化水素;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールおよびt−ブタノール等のアルコール等が挙げられる。中でもアセトン等のケトン系溶媒であることが好ましい。
溶媒の使用量は特に限定されず、例えば、前記ホスト基含有重合性単量体単位を含む単量体混合物100質量部あたり、50質量部以上であることが好ましく、80質量部以上であることがより好ましく、100質量部以上であることがさらに好ましく、150質量部以上であることが特に好ましい。
溶液重合の後は、適宜の方法で、得られた重合体(前駆体)を分離することができる。
高分子材料形成用前駆体は、例えば、前述の第2高分子化合物と混合することで、可動性架橋を有する高分子材料を形成することができる。また、高分子材料形成用前駆体は、例えば、前述の重合体Gと混合することで、可逆性架橋を有する高分子材料を形成することができる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例の態様に限定されるものではない。
(実施例1−1;ホスト基含有重合性単量体の製造)
図3(a)及び(b)に示す反応スキームに従って、ホスト基含有重合性単量体を製造した。まず、モノ−6−O−(p−トルエンスルホニル)−β−シクロデキストリン(図3(a)における化合物(I))504.8mg(0.375mmol)と、40質量%濃度のメチルアミン水溶液4mLとを混合し、70℃で2.5時間加熱することで反応液を得た(工程A1)。この反応の進行は、TLCにて確認した。得られた反応液を室温(20℃)に戻してから過剰のアセトンに投じて目的物を再沈殿し、80℃で終夜真空乾燥することで白色固体430.4mgを得た。後記する図6に示すMALDI−TOFMS(m/z=1170.7、Na付加体)ならびにH−NMRスペクトルから、白色固体は目的物であるモノ−6−(N−メチルアミノ)−β−シクロデキストリン(図3(a)における化合物(II))であることを確認した。
次に、工程A1で得られたモノ−6−(N−メチルアミノ)−β−シクロデキストリン269.5mg(0.25mmol)を2mLのDMFに溶解し、そこへトリエチルアミン(Et3N)0.10mLと水0.2mLとを加えてから、塩化アクリロイル25μL(1.1eq.)を含むDMF溶液5mLを滴下して溶液を調製した。この溶液を室温(20℃)で3時間攪拌することで反応を行い、十分量のエタノールを加えることで反応を停止させた(工程A2)。この溶液を過剰のエタノール中に投じて再沈殿し、60℃で16時間真空乾燥することで、白色固体254.3mgを得た。後記する図7に示すMALDI−TOFMS(m/z=1224.7、Na付加体)ならびにH−NMRスペクトルから、白色固体は目的物であるモノ−6−(N−アクリロイル−N−メチルアミノ)−β−シクロデキストリン(図3(a)における化合物(III))であることを確認した。
(実施例1−2;ホスト基含有重合性単量体(アセチル化)の製造)
図3(b)に示す反応スキームに示すように、実施例1−1の工程A2で得られたモノ−6−(N−アクリロイル−N−メチルアミノ)−β−シクロデキストリンのアセチル化反応を行った。具体的に、工程A2で得られたモノ−6−(N−アクリロイル−N−メチルアミノ)−β−シクロデキストリン960.8mg(0.8mmol)と、無水酢酸81697.5mg(5eq.)とをピリジン15mL中で混合して混合液を調製した。この混合液を70℃で4時間加熱することでアセチル化反応を行い、TLCでアセチル化反応の完了を確認した。その後、アセチル化反応で得られた反応液を室温(20℃)に戻し、次いで、氷冷しながらエタノール3mLを投入して反応液をクエンチした。この反応液にMilli−Q水150mL中に投じて目的物を再沈殿した。得られた沈殿物を遠心分離により取り出し、白色粉末を得た。この白色粉末をアセトンに溶解し、再度、水での再沈殿を行い、白色固体(わずかに褐色味を帯びる場合もあった)877mgを得た。MALDI−TOFMS(m/z=2065.3、Na付加体)及びH−NMRスペクトルから、白色固体は目的物である(パーアセチル化−モノ−6−(N−アクリロイル−N−メチルアミノ)−β−シクロデキストリン)つまり、化合物(III)におけるシクロデキストリンの水酸基の水素原子がすべてアセチル基(Ac)に置換された構造を有する化合物)であることを確認した。以下、この化合物を、「化合物(IV)」と表記した。(図3(b)における化合物(IV))。
(実施例2−1;可逆性架橋型高分子材料の製造)
図4に示すスキームに従って、可逆性架橋型高分子材料の製造を行った。ホスト基含有重合性単量体として、実施例1−2で得られた化合物(IV)を522.7mgと、ゲスト基含有重合性単量体として、アダマンタンエチルアクリレート58.4mgと、第3の重合性単量体としてエチルアクリレート2494.9mg(以下、EA)に加え、1時間の超音波照射を行うことで、重合性単量体Mを得た。この重合性単量体Mに、無溶剤下、光重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン10.1mg(重合性単量体Mの等量に対して0.2mol%)を溶解させ、UV照射を1時間続けることで重合性単量体Mの光重合を行い、重合体を得た。得られた重合体を、80℃で4時間以上減圧乾燥することで、目的の可逆性架橋構造を有する高分子材料を得た。
なお、図4の式中、x=1、y=1、Rはエチル基を示す。−r−は各構成単位がランダムに結合していることを示す。
(実施例2−2;可動性架橋型高分子材料の製造)
図5に示すスキームに従って、可動性架橋型高分子材料の製造を行った。ホスト基含有重合性単量体として、実施例1−2で得られた化合物(IV)322.0mgを、第3の重合性単量体であるEA1529.3mgに加えて溶解し、重合性単量体Mを得た。この重合性単量体Mに、光重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン6.18mg(重合性単量体Mの等量に対して0.2mol%)を溶解させ、UV照射を1時間続けることで重合性単量体Mの光重合を行い、重合体を得た。得られた重合体を、80℃で4時間以上減圧乾燥することで、目的の可動性架橋構造を有する高分子材料を得た。
なお、図5の式中、x=1、Rはエチル基を示す。−r−は各構成単位がランダムに結合していることを示す。
(実施例3−1;ヒドロゲルの製造)
ホスト基含有重合性単量体として、実施例1−1で得られた化合物(III)120.4mgと、アダマンタンアクリルアミド20.6mgとを水2500mgに加え、90℃で1時間攪拌し水溶液を得た。水溶液中の少量の溶け残りをシリンジろ過した後、アクリルアミド345.9mgを加えて溶解し、重合性単量体Mを得た。重合性単量体Mに、過硫酸アンモニウム11.4mg、TEMED(N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン)7.5μLを加えて、2mmシリコンゴムをスペーサーとしたガラス容器に入れて硬化させ、ヒドロゲルを得た。
(実施例4−1;前駆体の製造)
ホスト基含有重合性単量体として、実施例1−2で得られた化合物(IV)311.3mgを、EA1519.2mgに加えて溶解し、重合性単量体Mを得た。この重合性単量体Mをアセトン1526.4mgに加えて溶液を調製した。この溶液に光重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン6.2mg(重合性単量体Mの等量に対して0.2mol%)を溶解させ、UV照射を1時間続けることで重合性単量体Mの光重合を行い、重合体を含む反応液を得た。得られた反応液を水中に投じて沈殿させてから、80℃で4時間以上減圧乾燥することで、目的の前駆体を得た。
(比較例1;従来型重合性単量体を用いた高分子材料)
200mLガラス製丸底フラスコにβシクロデキストリン3.9mmol、N−ヒドロキシメチルアクリルアミド6.9mmol及びp−トルエンスルホン酸一水和物0.6mmolを秤量し、これらを25mLのN,N−ジメチルホルムアミドに加えて溶液を調製した。溶液をオイルバスで90℃に加熱し、1時間にわたって加熱撹拌することで反応液を得た。次いで、該反応液を放冷し、激しく撹拌しているアセトン45mLに注ぎこんだ。生じた沈殿をろ別した後、10mLのアセトンで三回洗浄し常温で一時間減圧乾燥することで反応物を得た。反応物を蒸留水100mLに溶解し、多孔質ポリスチレン樹脂(三菱化学ダイヤイオンHP−20)を充填したカラム(見かけ密度600g/L)に通じ、30分間吸着させた。その後、溶液成分を除去し、カラムに新たに10%メタノール(もしくはアセトニトリル)水溶液50mLを3回通じ、ポリスチレン樹脂を洗浄することで未反応βシクロデキストリンを除去した。続いてカラムに25%メタノール水溶液500mLを二回通ずることで、目的物であるアクリルアミドメチルβシクロデキストリン(βCDAAmMeと表記)を溶出させた。溶媒を減圧除去することで、βCDAAmMeを白色粉末として得た。
このβCDAAmMe20gをピリジン300mLに溶解し、無水酢酸170.133gを加え、55℃で12時間以上撹拌した。その後、メタノール50mLを加えクエンチし、内容量が200mLになるまでエバポレーターで濃縮した。得られた濃縮液を、水2000mLに滴下し、沈殿を回収した。沈殿をアセトン200mLに溶解し、水2000mLに滴下し、生成した沈殿物を回収し、これを減圧乾燥することにより目的物であるN−H―TAcγAAmMeを単離した。マススペクトル及び、NMRスペクトルの結果から、下記式(X)で表される化合物(以下、PAcβCDAAmMe)が生成していることを確認した。
Figure 2021175779
次いで、PAcβCDAAmMe526.9mgと、アダマンタンエチルアクリレート59.9mgとをEA2557.7mgに加え、1時間の超音波照射を行うことで、重合性単量体混合物を得た。この重合性単量体混合物に光重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン10.2mg(重合性単量体混合物に対して0.2mol%)を溶解させ、UV照射を1時間続けることで重合性単量体Mの光重合を行い、重合体を得た。得られた重合体を、80℃で4時間以上減圧乾燥することで、従来型の高分子材料を得た。
(比較例2;化学架橋)
1,4−ブタンジオール(BDA)25.4mgをEA1275.9mgに加えて重合性単量体混合物を調製した。この重合性単量体混合物に光重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン5.1mg(重合性単量体混合物に対して0.2mol%)を溶解させ、UV照射を1時間続けることで重合性単量体Mの光重合を行い、重合体を得た。得られた重合体を、80℃で4時間以上減圧乾燥することで、化学架橋型高分子材料を得た。
(機械特性の評価方法)
実施例及び比較例で得られた高分子材料の機械特性は、引張試験によって評価した。具体的に、厚み1mmである高分子材料を用いて「ストローク−試験力曲線」試験(島津製作所社製「AUTOGRAPH」(型番:AGX−plus)を行い、得られた破断応力曲線(応力−歪曲線)から高分子材料の破断点を観測した。また、この破断点を終点として、終点までの最大応力を高分子材料の破断応力とした。この引張り試験は、高分子材料の下端を固定し上端を引張り速度0.1〜1mm/minで稼動させるアップ方式で実施した。さらに、得られた応力−歪曲線における面積から、高分子材料の破壊エネルギーを算出した。
(評価結果)
図6は、実施例1の製造過程で得られたモノ−6−(N−メチルアミノ)−β−シクロデキストリン(図3(a)における(II))のMALDI−TOFMSスペクトル(図6(a))及びH−NMRスペクトル(図6(b))である。
図7は、実施例1で得られたモノ−6−(N−アクリロイル−N−メチルアミノ)−β−シクロデキストリン(図3(a)における(III))のMALDI−TOFMSスペクトル(図7(a))及びH−NMRスペクトル(図7(b))である。
図8は、実施例及び比較例で得られた高分子材料の機械特性の評価結果を示す。この結果からわかるように、各実施例で得られた高分子材料は、化学架橋構造を有する高分子材料に比べて、破断応力(図8(b))、歪み(図8(c))が大きく、破壊エネルギー(図8(a))も高いものであった。また、各実施例で得られた高分子材料は、従来型のホスト−ゲスト可逆結合を有する高分子材料に比べても破断応力が大きく、破壊エネルギーが高いものであり、機械特性が向上していることもわかった。
また、実施例3−1で得られた高分子材料(ヒドロゲル)試験片の中央部を切断して2つに分けた後、両者を常温(25℃)で24時間接触させたところ、切断片同士が接着したことから、高分子材料(ヒドロゲル)は、自己修復性を有していることがわかった。
以上より、実施例1−1で得られたホスト基含有重合性単量体によれば、機械的物性に優れる高分子材料を製造することができることがわかり、また、自己修復性を備えていることも実証された。

Claims (10)

  1. 分子中にホスト基及び重合性官能基を有するホスト基含有重合性単量体であって、
    前記ホスト基は、シクロデキストリン又はシクロデキストリン誘導体に存在する少なくとも1個以上の水酸基が窒素原子に置換された構造を有し、
    前記窒素原子にはさらに前記重合性官能基が結合している、ホスト基含有重合性単量体。
  2. 前記シクロデキストリン誘導体は、シクロデキストリンが有する少なくとも1個以上の水酸基の水素原子が、炭化水素基、アシル基及び−CONHR(Rはアルキル基)からなる群より選ばれる少なくとも1種の基で置換された構造を有する、請求項1に記載のホスト基含有重合性単量体。
  3. 前記重合性官能基が、ラジカル重合性の炭素−炭素二重結合を含む、請求項1又は2に記載のホスト基含有重合性単量体。
  4. 前記窒素原子にはさらにアルキル基が結合している、請求項1〜3のいずれか1項に記載のホスト基含有重合性単量体。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のホスト基含有重合性単量体を含む重合性単量体Mの重合体を含有する、高分子材料。
  6. 前記重合体中の前記ホスト基は、ゲスト基と包接錯体を形成している、請求項5に記載の高分子材料。
  7. 前記重合体中の前記ホスト基の環内を、高分子鎖が貫通した構造を有する、請求項5に記載の高分子材料。
  8. 請求項5〜7のいずれか1項に記載の高分子材料を形成するために用いられ、
    前記ホスト基含有重合性単量体単位を含む単量体混合物の重合体である、高分子材料形成用前駆体。
  9. ホスト基含有重合性単量体の製造方法であって、
    前記ホスト基含有重合性単量体は、請求項1〜4のいずれか1項に記載のホスト基含有重合性単量体であり、
    トシル基を有するシクロデキストリン化合物と、第1級アミンとを反応することで、第2級アミンを得る工程A1と、前記第2級アミンと、重合性官能基を有する化合物とを反応して前記ホスト基含有重合性単量体を得る工程A2とを備える、製造方法。
  10. ホスト基含有重合性単量体の製造方法であって、
    前記ホスト基含有重合性単量体は、請求項1〜4のいずれか1項に記載のホスト基含有重合性単量体であり、
    トシル基を有するシクロデキストリン化合物と、重合性官能基を有する第2級アミンとを反応して前記ホスト基含有重合性単量体を得る工程B1とを備える、製造方法。
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