JP2021174882A - 自動車用防水ケース、光硬化型シリコーン組成物及びシリコーンゲル - Google Patents

自動車用防水ケース、光硬化型シリコーン組成物及びシリコーンゲル Download PDF

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Abstract

【課題】組立作業に要するコストを低減することができ、再組み立てが可能であり、耐熱性及び防水性能に優れた自動車用防水ケース、この防水ケースに適用可能な光硬化型シリコーン組成物またはシリコーンゲルを提供する。【解決手段】自動車用防水ケース1は、被収容物を収容するための収容空間21と、収容空間21内に連なる開口22とを備えたケース本体部2と、ケース本体部2に取り付けられ、開口22を閉鎖する蓋部3と、を有している。ケース本体部2と蓋部3との間には、SO基、SO2基及びSO3基のうち少なくとも1種のSOx基を備え粘着性を有するシリコーンゲルからなるシール材4が介在している。また、ケース本体部2及び蓋部3のうち少なくとも一方には受け入れ部31が設けられており、ケース本体部2及び蓋部3における受け入れ部31に対応する位置には、受け入れ部31に係止された係合凸部23が設けられている。【選択図】図1

Description

本発明は、自動車用防水ケース、光硬化型シリコーン組成物及びシリコーンゲルに関する。
自動車のエンジンルーム内には、例えば、エンジン用ECU(つまり、電子制御装置)や流路切替バルブ、電子スロットル、電池パック、パワーコントロールユニット、白線等認識用カメラ、LiDAR(つまり、光検出と測距)センサ等の電装品が配置されている。これらの電装品は、電子部品やセンサ、ギヤ等の被収容物と、被収容物を収容するケースと、を有している。ケースは、被収容物を収容するための収容空間と、収容空間に連なる開口とを備えたケース本体部と、ケース本体部の開口を閉鎖する蓋部と、ケース本体部と蓋部との間に介在し、両者の間を液密に封止するシール材と、を有している。
シール材としては、従来から、Oリングやパッキンなどのゴム製ガスケットが使用されている。例えば、特許文献1には、2つのケーシング部分のうち少なくとも一方のシール面上に加熱可能であるブチルゴムからなるシール材を塗布する技術が記載されている。
近年では、液状の硬化性組成物を所望の部位に塗布し、その場で硬化させてガスケットを形成する、いわゆる液状ガスケットをシール材として使用することもある。
また、接着剤を用いてケース本体部と蓋部とを接着することにより、ケース本体と蓋部との間を液密に封止することもある。
特表2001−525985号公報
シール材として特許文献1のようなゴム製ガスケットや液状ガスケットを用いる場合、ケース本体部と蓋部との間を液密に封止するためには、ボルトなどの締結部材を介して蓋部をケース本体部に締結し、両者の間に介在したガスケットを十分に圧縮する必要がある。そのため、締結部材自体の部品コストや締結作業に要する作業コストが発生し、電装品のコスト低減の妨げとなっている。
また、シール材としてOリングやパッキンを使用する場合には、これらの部品を手作業で配置する必要がある。それ故、この場合には、電装品の更なるコスト増大を招くおそれがある。
一方、接着剤を用いてケース本体と蓋部とを接着する場合には、蓋部とケース本体部との締結作業や、両者の締結に用いられる締結部材が不要となる。しかし、この場合には、蓋部をケース本体部に接着した後、何らかの理由によってケース本体部から蓋部を取り外す必要が生じた場合に、硬化後の接着剤を破壊しなければならない。かかる問題を回避するため、蓋部をケース本体部に一旦取り付けた後にケース本体から蓋部を取り外し、再度組み立てることができるシール材が望まれている。
また、エンジンルーム内には高熱を発するエンジンが配置されているため、エンジンルーム内の温度は、外気温からエンジン稼働中の高温まで幅広く変化する。そのため、この種のシール材には、防水性能に加えて高い耐熱性が求められている。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、組立作業に要するコストを低減することができ、再組み立てが可能であり、耐熱性及び防水性能に優れた自動車用防水ケース、この自動車用防水ケースに用いることができる光硬化型シリコーン組成物またはシリコーンゲルを提供しようとするものである。
本発明の一態様は、被収容物を収容するための収容空間(21)と、前記収容空間内に連なる開口(22)とを備えたケース本体部(2)と、
前記ケース本体部に取り付けられ、前記開口を閉鎖する蓋部(3、302)と、
SO基、SO基及びSO基のうち少なくとも1種のSOx基を備え粘着性を有するシリコーンゲルからなり前記ケース本体部と前記蓋部との間に介在するシール材(4)と、
前記ケース本体部及び前記蓋部のうち少なくとも一方に設けられた受け入れ部(31)と、
前記ケース本体部及び前記蓋部における前記受け入れ部に対応する位置に設けられ、前記受け入れ部に係止された係合凸部(23)と、を有する、自動車用防水ケース(1、102)にある。
本発明の他の態様は、以下の(A)〜(D)成分を含み、SO基、SO基及びSO基のうち少なくとも1種のSOx基を有するシリコーンゲルを形成可能に構成された光硬化型シリコーン組成物にある。
(A)成分:ビニルシロキサン基を有するポリオルガノシロキサン
(B)成分:チオール系架橋剤
(C)成分:ラジカル系光開始剤
(D)成分:10時間半減期温度が150℃以下の有機過酸化物
本発明のさらに他の態様は、前記の態様の光硬化型シリコーン組成物を硬化させてなり、SO基、SO基及びSO基のうち少なくとも1種のSOx基を有するシリコーンゲルにある。
前記自動車用防水ケース(以下、「防水ケース」と省略する。)は、収容空間を備えたケース本体部と、ケース本体部に取り付けられた蓋部と、を有している。また、ケース本体部及び蓋部のうち少なくとも一方には受け入れ部が設けられている。そして、ケース本体部及び蓋部における受け入れ部に対応する位置には係合凸部が設けられており、係合凸部が受け入れ部に係止されている。即ち、ケース本体部と蓋部とは、いわゆるスナップフィットによって係止されている。
前記防水ケースは、係合凸部を受け入れ部に押し込むという単純な作業によって蓋部をケース本体部に取り付けることができる。また、前記防水ケースは、ボルトなどの締結部材を用いることなく蓋部をケース本体部に取り付けることができる。それ故、前記防水ケースによれば、締結部材の部品コストを削減するとともに、蓋部とケース本体部との取り付け作業に要する作業コストを低減することができる。
また、ケース本体部と蓋部との間には、前記SOx基を備え粘着性を有するシリコーンゲルからなるシール材が介在している。SOx基を有するシリコーンゲルは、蓋部がケース本体部に取り付けられた際に両者に粘着し、シール材と蓋部との隙間及びシール材とケース本体部との隙間を閉鎖することができる。これにより、蓋部とケース本体部との間を液密に封止することができる。更に、シリコーンゲルは高い耐熱性を有するため、エンジンルーム内においても防水性能を長期間にわたって維持することができる。
そして、前記防水ケースは、ケース本体部と蓋部とをスナップフィットによって係止するとともに、シール材として前記特定のシリコーンゲルを使用することにより、ケース本体部に一旦蓋部を取り付けた後、ケース本体部から蓋部を容易に取り外すことができる。更に、ケース本体部から蓋部を取り外した後に、再度蓋部をケース本体部に取り付けることにより、両者の間をシール材によって液密に封止することができる。
また、前記光硬化型シリコーン組成物は、前記(A)成分〜(D)成分を含み、SO基、SO基及びSO基のうち少なくとも1種のSOx基を有するシリコーンゲルを形成可能に構成されている。それ故、前記光硬化型シリコーン組成物によれば、前記SOx基を備えたシリコーンゲルを形成することができる。そして、SOx基を備えたシリコーンゲルは、ケース本体部や蓋部との粘着性に優れているため、防水ケースのシール材として用いた場合に、防水性能を長期間にわたって維持することができる。
以上のごとく、上記態様によれば、組立作業に要するコストを低減することができ、再組み立てが可能であり、耐熱性及び防水性能に優れた防水ケース、この防水ケースに用いることのできる光硬化型シリコーン組成物またはシリコーンゲルを提供することができる。
なお、特許請求の範囲及び課題を解決する手段に記載した括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであり、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
図1は、実施形態1における防水ケースの要部を示す断面図である。 図2は、図1におけるシール材の一部拡大図である。 図3は、実施形態2における、突起部がシール材に圧入されている防水ケースの要部を示す一部拡大断面図である。 図4は、実験例2における試験片II〜KKの引張せん断接着強さを示す説明図である。 図5は、実験例3における試験片LL及び試験片MMのX線吸収スペクトルを示す説明図である。 図6は、実験例4における試験片NN及び試験片OOのX線吸収スペクトルを示す説明図である。
(実施形態1)
前記防水ケースに係る実施形態について、図1〜図2を参照して説明する。図1に示すように、本形態の防水ケース1は、被収容物を収容するための収容空間21と、収容空間21内に連なる開口22とを備えたケース本体部2と、ケース本体部2に取り付けられ、開口22を閉鎖する蓋部3と、を有している。ケース本体部2と蓋部3との間には、SO基、SO基及びSO基のうち少なくとも1種のSOx基を備え粘着性を有するシリコーンゲルからなるシール材4が介在している。また、ケース本体部2及び蓋部3のうち少なくとも一方には受け入れ部31が設けられており、ケース本体部2及び蓋部3における受け入れ部31に対応する位置には、受け入れ部31に係止された係合凸部23が設けられている。
防水ケース1の形状及び構造は、特に限定されることはない。例えば、防水ケース1は、ケース本体部2と蓋部3とによって囲まれた1か所の収容空間21を有していてもよいし、2か所以上の収容空間21を有していてもよい。また、収容空間21に連なる開口22の数は、1か所であってもよいし、2か所以上であってもよい。
図には示さないが、本形態の防水ケース1は、直方体状を呈している。図1に示すように、ケース本体部2は、底壁部24と、底壁部24の外周縁部から立設された側壁部25と、底壁部24と側壁部25とによって囲まれた収容空間21を有している。また、防水ケース1は、側壁部25の先端251に囲まれた開口22を有している。
本形態のケース本体部2は、図2に示すように、側壁部25の先端251に、底面261と、底面261に連なる側面262とを備えたシール材保持溝26を有している。シール材保持溝26は、側壁部25の先端251の全周に亘って設けられている。シール材保持溝26の底面261上にはシール材4が配置されている。
また、図1に示すように、側壁部25の外表面には、外方に突出した複数の係合凸部23が設けられている。これらの係合凸部23は、後述する受け入れ部31の受け入れ孔311内に挿入されている。これにより、係合凸部23が受け入れ部31に係止されている。
本形態のケース本体部2は、収容空間21内に被収容物を収容することができるように構成されている。収容空間21内に収容される被収容物としては、例えば、電子回路やセンサ、モータなどの電子機器や、ギヤなどの駆動部品などがある。
ケース本体部2の開口22は、蓋部3によって覆われている。本形態の蓋部3は平板状を呈しており、図2に示すように、その外周縁部に、シール材4と接触するシール面32を有している。また、蓋部3の端縁には、ケース本体部2側に延出した複数の受け入れ部31が設けられている。図には示さないが、本形態の受け入れ部31は環状を呈している。そして、受け入れ部31には、図2に示すように、係合凸部23を受け入れるための受け入れ孔311が設けられている。受け入れ孔311内には、係合凸部23が挿入されている。
ケース本体部2及び蓋部3は、例えば、鉄やアルミニウムなどの金属から構成されていてもよいし、エンジニアリングプラスチックやスーパーエンジニアリングプラスチックなどの樹脂から構成されていてもよい。防水ケース1の軽量化の観点からは、ケース本体部2及び蓋部3のうち少なくとも一方が樹脂から構成されていることが好ましく、両方が樹脂から構成されていることがより好ましい。本形態のケース本体部2及び蓋部3は、いずれもポリアミド系樹脂から構成されている。
本形態においては、シール材4として粘着性を有するシリコーンゲルを使用することによってケース本体部2と蓋部3との間を液密に封止している。シリコーンゲルは、Oリングなどのゴム製ガスケットに比べて格段に軟らかいため、ゴム製ガスケットを用いて封止する従来の防水ケース1に比べてシール材4に加える圧力を低減することができる。そのため、金属に比べて剛性の低い樹脂をケース本体部2及び蓋部3に採用した場合にも、シール材4を十分に圧縮し、防水性能を確保することができる。
図1及び図2に示すように、ケース本体部2と蓋部3との間には、SOx基を備え粘着性を有するシリコーンゲルからなるシール材4が介在している。図2に示すように、シール材4は、シール材保持溝26の底面261上に配置されている。シール材4は、図2中に破線で示すように、蓋部3が取り付けられていない状態(符号40)においては山状の断面形状を有しており、幅方向の中央部が側壁部25の先端251よりも突出している。そして、ケース本体部2に蓋部3が取り付けられた状態においては、図2中に実線で示すように、蓋部3のシール面32によって圧縮されている。
ここで、シリコーンゲルとは、ポリシロキサンの重合体を含むゲルをいう。シリコーンゲルは、硬化性オルガノポリシロキサン化合物を含む組成物を硬化させてなるシリコーンゲルであることが好ましい。なお、以下において、硬化前後を区別するため、硬化前の状態、つまり、25℃で液状の状態をシリコーン組成物と表記する。
シリコーン組成物の25℃における粘度は200〜600Pa・sであることが好ましい。この場合には、シリコーン組成物の吐出性をより向上させるとともに、塗布後におけるシリコーン組成物の流動を抑制し、吐出直後のシリコーン組成物の形状をより長時間にわたって維持しやすくすることができる。また、シリコーン組成物の25℃における構造粘性比は2.5〜5.5であることが好ましい。この場合には、塗布後におけるシリコーン組成物の流動を抑制し、吐出直後のシリコーン組成物の形状をより長時間にわたって維持しやすくするとともに、塗布後のシリコーン組成物に角部が形成されにくくすることができる。
シリコーン組成物は、官能基を有するオルガノポリシロキサン化合物を熱、湿気、光などにより反応させて高分子化することでシリコーンゲルとなる。シリコーンゲルは粘着性、つまり、シリコーンゲルを押圧しただけで粘着する性質を有している。
シリコーン組成物としては、例えば、熱硬化型シリコーン組成物、湿気硬化型シリコーン組成物、光硬化型シリコーン組成物を採用することができる。シリコーン組成物は、光硬化型シリコーン組成物であることが特に好ましい。
熱硬化型シリコーン組成物としては、ビニルシロキサン基を有するポリオルガノシロキサンと過酸化物とを含む組成物、ビニルシロキサン基を有するポリオルガノシロキサン、ハイドロジェンシロキサン化合物及びハイドロシレーション金属触媒を含む組成物、エポキシ基を有するポリオルガノシロキサンと熱カチオン系触媒とを含む組成物などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
湿気硬化型シリコーン組成物としては、加水分解性シリル基を有するポリオルガノシロキサン、シラン系カップリング剤及び縮合触媒を含む組成物、イソシアネート基を有すポリオルガノシロキサン、ポリオール化合物及び縮合触媒を含む組成物などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
光硬化型シリコーン組成物としては、(メタ)アクリル基を有するポリオルガノシロキサンとラジカル系光開始剤とを含む組成物、ビニルシロキサン基を有するポリオルガノシロキサン、ポリチオール化合物及びラジカル系光開始剤を含む組成物、エポキシ基を有するポリオルガノシロキサンと光カチオン系触媒とを含む組成物などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、前記の熱硬化型のシリコーン組成物、湿気硬化型のシリコーン組成物、光硬化型のシリコーン組成物は一成分から構成されていても、二成分以上の複数成分から構成されていても良い。シール材4を現場で形成するという観点からは、紫外線照射器やLED照射器などの装置により低温かつ短時間で硬化が可能な光硬化型シリコーン組成物を使用することが好ましい。
前記シリコーンゲルにはSO基、SO基及びSO基からなる群より選択される1種または2種以上のSOx基が含まれている。これらのSOx基は、通常、シリコーンゲル中のポリシロキサン鎖に結合している。前記特定のシリコーンゲルを用いることにより、ケース本体部2と蓋部3との間からの水分等の進入を効果的に抑制し、防水性能を向上させることができる。前記特定のシリコーンゲルがこのような作用効果を奏する理由としては、例えば、以下の理由が考えられる。SOx基は高い極性を有しているため、例えばケース本体部2や蓋部3に水酸基、アミド基及びカルボキシル基等の極性基が存在している場合、これらの極性基と水素結合することができる。このようなSOx基と極性基との水素結合により、シリコーンゲルとケース本体部2との粘着性及びシリコーンゲルと蓋部3との粘着性を向上させることができると推定される。
シリコーンゲル中のSOx基は、種々の方法によって形成することができる。例えば、SOx基は、硬化性オルガノポリシロキサン化合物と、SH基を有するチオール系架橋剤とを含む組成物を硬化させたのち、得られたシリコーンゲル中のSH基やチオエーテル基を酸化させることによって形成されていてもよい。SH基やチオエーテル基を酸化させる方法は特に限定されることはなく、例えば、シリコーンゲルと酸化性雰囲気とが接触することによってSH基やチオエーテル基が酸化されてもよい。また、硬化前の組成物中に予めSH基やチオエーテル基を酸化することができるように構成された酸化剤を添加し、組成物の硬化中あるいは硬化後に、酸化剤とSH基やチオエーテル基とを反応させることによって形成されていてもよい。さらに、硬化中の組成物やシリコーンゲルを加熱することにより、SH基やチオエーテル基の酸化を促進させることもできる。
シリコーンゲルの硬さは、JIS K6253−3:2012に規定されたタイプEデュロメータによって得られるデュロメータ硬さによって表すことができる。タイプEデュロメータを1kgの荷重で押し付けた際のシール材4の硬さは5〜30であることが好ましい。この場合には、蓋部3をケース本体部2に取り付け、シール材4を圧縮した際に、シール材4の反発力を適度に大きくすることができる。その結果、防水ケース1の防水性能をより高めることができる。
シール材4の引張せん断接着強さは0.10MPa以上であることが好ましく、0.20MPa以上であることがより好ましく、0.25MPa以上であることがさらに好ましい。この場合には、蓋部3をケース本体部2に取り付け、シール材4を圧縮した際に、蓋部3に対するシール材4の粘着力及びケース本体部2に対するシール材4の粘着力をより大きくし、防水ケース1の防水性能をより高めることができる。
防水ケース1の防水性能をより高める観点からは、シール材4として、以下の(A)成分〜(C)成分を含む光硬化型シリコーン組成物を硬化してなるシリコーンゲルを使用することが好ましく、(A)成分〜(D)成分を含む光硬化型シリコーン組成物を硬化してなるシリコーンゲルを使用することがより好ましい。
(A)成分:ビニルシロキサン基を有するポリオルガノシロキサン
(B)成分:チオール系架橋剤
(C)成分:ラジカル系光開始剤
(D)成分:SH基及びチオエーテル基を酸化させることができる酸化剤
前記(A)成分〜(D)成分を含む光硬化型シリコーン組成物は、可視光線や紫外線などのエネルギー線の照射によって、ポリオルガノシロキサンの重合反応が起きるように構成されている。また、予め、光硬化型シリコーン組成物中に前記酸化剤((D)成分)を配合することにより、硬化後のシリコーンゲル中に存在するSH基やチオエーテル基と前記酸化剤とを反応させ、シリコーンゲル中のSH基やチオエーテル基を容易に酸化することができる。それ故、前記光硬化型シリコーン組成物によれば、前記SOx基を有するシリコーンゲルを形成することができる。
前記ビニルシロキサン基を有するポリオルガノシロキサン((A)成分)の分子構造は、直線状であることが好ましいが、分岐構造があってもよい。かかるポリオルガノシロキサンとしては、例えば、分子鎖末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン、分子鎖末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、分子鎖末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、分子鎖片末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖されてもう一方の分子鎖片末端がトリメチルシロキシ基で封鎖されたジメチルシロキサン、分子鎖片末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖されてもう一方の分子鎖片末端がトリメチルシロキシ基で封鎖されたジメチルシロキサン、メチルビニルシロキサン・ジフェニルシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらは単独で用いられてもよく、または2種以上併用されてもよい。また、前記ビニルシロキサン基を有するポリオルガノシロキサンの官能基当量(つまり、ビニル基の当量)は100g/eq以上50000g/eq以下であることが好ましい。
チオール系架橋剤((B)成分)としては、例えば、一分子中に複数のSH基を有するポリチオール化合物を使用することができる。ポリチオール化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)、トリメチロールエタントリス(3−メルカプトブチレート)、トリメチロールエタントリス(3−メルカプトブチレート)、エチレングリコールビス(3−メルカプトグリコレート)、ブタンジオールビス(3−メルカプトグリコレート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトグリコレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトグリコレート)、トリス−[(3−メルカプトプロピオニルオキシ)−エチル]−イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、テトラエチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトール ヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン、メルカプト基を有するポリオルガノシロキサン、メルカプト基を有するポリサルファイドポリマなどが挙げられるがこれらに限定されるものではない。これらは単独で用いられてもよく、2種以上併用されてもよい。チオール系架橋剤を含むシリコーン組成物の硬化物をシール材4として使用することにより、蓋部3に対するシール材4の粘着力及びケース本体部2に対するシール材4の粘着力をより大きくし、防水ケース1の防水性能をより高めることができる。チオール系架橋剤は1分子内にチオール基(メルカプト基)を2以上有するポリチオール化合物であることが好ましい。
前記光硬化型シリコーン組成物は、前記(B)成分として、チオール基を有する化合物からなる群のうち1種の化合物を含んでいてもよいし、2種以上の化合物を含んでいてもよい。また、前記(B)成分の官能基当量(つまり、チオール基の当量)は100g/eq以上50000g/eq以下であることが好ましい。
光硬化型シリコーン組成物中の前記(B)成分の含有量は、前記(A)成分100質量部に対して0.1質量部以上10質量部以下であることが好ましい。前記(B)成分の含有量を0.1質量部以上とすることにより、光硬化性をより向上させることができる。また、前記(B)成分の含有量を10質量部以下とすることにより、貯蔵安定性をより向上させることができる。蓋部3に対するシール材4の粘着力及びケース本体部2に対するシール材4の粘着力をより大きくする観点からは、前記(B)成分の含有量は、前記(A)成分100質量部に対して0.50質量部以上5.0質量部以下とすることがより好ましい。
ラジカル系光開始剤((C)成分)は、ビニルシロキサン基とチオール基との反応を光照射により促進させることができる化合物であれば、特に限定されることはない。ラジカル系光開始剤としては、例えば、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、キサントン、フルオレノン、ベンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシドなどが挙げられるがこれらに限定されるものではない。ラジカル系光開始剤は単独で用いられてもよく、2種以上併用されていてもよい。また、ラジカル系光開始剤は、紫外線領域及び/または可視光線領域に吸収ピーク波長を有する化合物であることが好ましい。
光硬化型シリコーン組成物中の前記(C)成分の含有量は、前記(A)成分100質量部に対して0.1質量部以上5.0質量部以下であることが好ましい。前記(C)成分の含有量を0.1質量部以上とすることにより光硬化性を発現させることができる。また、前記(C)成分の含有量を5.0質量部以下とすることにより、貯蔵安定性をより向上させることができる。
光硬化型シリコーン組成物中に含まれる酸化剤((D)成分)としては、SH基及びチオエーテル基を酸化させることができる化合物を使用することができる。より具体的には、過酸化物、好ましくは有機過酸化物を酸化剤として使用することができる。酸化剤としての有機過酸化物の10時間半減期温度は150℃以下であることが好ましく、60℃以上110℃であることがより好ましい。なお、半減期とは、一定温度における有機過酸化物の分解速度を表す指標であり、もとの有機過酸化物が分解して、その活性酸素量が1/2になるまでに要する時間である。また、前述した10時間半減期温度とは、有機過酸化物を一定の温度で分解させた場合に、半減期が10時間となる温度をいう。
(D)成分としての有機過酸化物は、パーオキシエステルであることが好ましく、下記一般式(1)または下記一般式(2)で示される分子構造を有していることがより好ましい。
−O−O−CO−R ・・・ 一般式(1)
−O−O−CO−O−R ・・・ 一般式(2)
なお、上記一般式(1)及び上記一般式(2)におけるR〜Rは、それぞれ独立に、芳香族基、脂肪族炭化水素基及び不飽和炭化水素基からなる群より選択される炭化水素基である。
市販されている有機過酸化物のうち(D)成分として使用し得る有機過酸化物には、例えば以下の商品がある。日油株式会社製 パーヘキシルPV、パーブチルPV、パーヘキサ25O、パーオクタO、パーヘキシルO、パーブチルO、パーブチルL、パーブチル355、パーヘキシルI、パーブチルI、パーブチルE、パーヘキサ25Z、パーヘキシルZ、パーブチルZT、パーブチルZ、パークミルND、パーオクタND、パーヘキシルND、パーブチルND、パーブチルA、パーキュアOなど。これらの有機過酸化物は、単独で用いられてもよく、2種以上併用されてもよい。また、前記(D)成分は、前述した商品に限定されるものではない。なお、「パーヘキシル」「パーブチル」「パーヘキサ」「パーオクタ」「パークミル」は、いずれも日油株式会社の登録商標である。
光硬化型シリコーン組成物中の前記(D)成分の含有量は、前記(A)成分100質量部に対して0.1質量部以上5.0質量部以下であることが好ましい。前記(D)成分の含有量を0.1質量部以上とすることにより、光硬化型シリコーン組成物を硬化してなるシリコーンゲル中に前記SOx基をより確実に形成することができる。これにより、シール材4とケース本体部2との粘着性及びシール材4と蓋部3との粘着性をより向上させることができる。また、前記(D)成分の含有量を5.0質量部以下とすることにより、貯蔵安定性をより向上させることができる。
シリコーン組成物中には、更に、(E)成分としての充填剤が含まれていてもよい。充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム粉、シリカ粉、フュームドシリカ粉、タルク粉、水酸化アルミニウム粉、ガラスビーズ等の無機充填剤や、ポリスチレン粉、ポリウレタン粉、アクリル粉、シリコーンゴム粉、シリコーンレジン粉などの有機充填剤等を使用することができるが、これらに限定されるものではない。組成物の流動性を制御する観点から、BET法により測定して得られる充填剤の比表面積は105m/g以上135m/g以下であることが好ましい。同様の観点から、充填剤の粒径は1nm以上100μm以下であることが好ましい。なお、充填剤の粒径がnmオーダーである場合、充填剤の粒径は、電子顕微鏡像に基づいて算出される値とする。また、充填剤の粒径がμmオーダーである場合、充填剤の粒径は、レーザー粒度計を用いて得られる粒度分布に基づく50%平均粒径(いわゆるd50)の値とする。また、充填剤はシリカから構成されていることが好ましい。
シリコーン組成物中には、その特性を損なわない範囲において、顔料、着色剤、可塑剤、難燃剤、酸化防止剤、重合禁止剤、消泡剤、カップリング剤、レベリング剤、レオロジーコントロール剤などを更に添加することができる。これらの他の成分の添加により、樹脂強度・接着強さ・作業性・保存性等に優れた組成物およびその硬化物が得られる。
光硬化型シリコーン組成物は、紫外線や可視光などのエネルギー線の照射によって硬化することができるように構成されていることが好ましい。この場合には、防水ケース1の製造過程における消費エネルギーをより削減するとともに、製造時のランニングコストをより削減することができる。エネルギー線の照射に用いられる照射装置としては、例えば、被処理物に局所的にエネルギー線を照射可能に構成されたエネルギー線源を有し、エネルギー線源を移動することができるように構成されたスポット型照射装置や、エネルギー線を照射可能に構成されたエネルギー線源と、エネルギー線源に対して被処理物を移動可能に構成されたベルトコンベアとを備えたベルトコンベア型照射装置などを使用することができる。また、エネルギー線源としては、例えば、LED(つまり、発光ダイオード)ランプや高圧水銀灯等を使用することができる。製造過程における消費エネルギーをより削減する観点からは、エネルギー線源として、比較的消費電力の少ないLEDランプを使用することが好ましい。
本形態のシール材4は、シール材保持溝26の底面261上に配置されており、この底面261と、蓋部3のシール面32とによって圧縮されている。また、シール材保持溝26の側面262とシール材4との間には隙間が形成されている。シール材4をこのように配置することにより、蓋部3をケース本体部2に取り付けた際にシール材4が変形するための隙間を確保することができる。これにより、シール材4を圧縮した際にシール材4の反発力が過度に増大することを回避することができる。その結果、受け入れ部31及び係合凸部23に加わる負荷の過度な増大を回避し、係合凸部23が受け入れ部31に係止された状態をより長期間にわたって維持することができる。
また、本形態のシール材4は、ケース本体部2と蓋部3との間において圧縮された状態の高さHfが、圧縮されていない状態の高さHiの40〜80%となるように圧縮されている。シール材4の圧縮量を前記特定の範囲とすることにより、蓋部3をケース本体部2に取り付け、シール材4を圧縮した際に、シール材4の反発力を適度に大きくすることができる。その結果、防水ケース1の防水性能をより高めることができる。
本形態の防水ケース1は、例えば、前記ケース本体部及び前記蓋部における所望の部位にシリコーン組成物を塗布する塗布工程と、前記シリコーン組成物を硬化させて前記シール材を形成する硬化工程と、前記ケース本体部に前記蓋部を取り付けることにより両者の間に前記シール材を介在させるとともに前記係合凸部を前記受け入れ部に係止する取り付け工程と、を備えた製造方法により作製されていてもよい。
塗布工程においては、例えば、シリコーン組成物を吐出可能に構成された塗布ノズルを備えた塗布装置を用い、シール材を配置しようとする部位に沿って塗布ノズルを移動させつつ塗布ノズルからシリコーン組成物を吐出する方法を採用することができる。
また、硬化工程においては、シリコーン組成物の硬化システムに応じた適切な効果方法を採用すればよい。例えば、シリコーン組成物が熱硬化型シリコーン組成物である場合、ケース本体部及び/または蓋部へのシリコーン組成物の塗布が完了した後、シリコーン組成物を加熱することにより、シリコーン組成物を硬化させてシール材とすることができる。
シリコーン組成物が光硬化型シリコーン組成物である場合、塗布工程と硬化工程とを別々の工程として行ってもよいし、連続して行ってもよい。前者の場合、例えば、前記塗布工程において前記光硬化型シリコーン組成物の塗布が完了した後に、前記光硬化型シリコーン組成物全体にエネルギー線を照射して前記シール材4を形成する方法を採用することができる。
また、後者の場合、前記塗布工程において所望の部位に光硬化型シリコーン組成物を塗布しつつ、所望の部位に塗布された光硬化型シリコーン組成物に局所的にエネルギー線を照射する方法を採用することができる。この場合には、塗布工程と硬化工程とを並行して実施することができるため、工程数を削減し、生産性をより向上させることができる。さらに、この場合には、エネルギー線源を小型化することができるため、設備コスト等をより低減するとともに、防水ケース1の製造に要するエネルギーをより削減することができる。
かかる方法は、より具体的には、例えば、光硬化型シリコーン組成物を塗布可能に構成された塗布ノズルと、エネルギー線を照射可能に構成されたエネルギー線源と、を有する塗布装置を用い、塗布ノズル及びエネルギー線源をエネルギー線源が吐出ノズルに追随するように移動させるなどの方法により実施することができる。
次に、本形態の防水ケース1の作用効果を説明する。本形態の防水ケース1におけるケース本体部2と蓋部3とは、係合凸部23を受け入れ部31に係止する、いわゆるスナップフィットによって係止されている。そのため、係合凸部23を受け入れ部31に押し込むという単純な作業によって蓋部3をケース本体部2に取り付けることができる。これにより、防水ケース1の組立作業に要するコストを低減することができる。
また、ケース本体部2と蓋部3との間は、SOx基を備え粘着性を有するシリコーンゲルからなるシール材4によって封止されている。これにより、蓋部3とケース本体部2との間を液密に封止するとともに、長期間にわたって防水性能を維持することができる。
そして、防水ケース1は、ケース本体部2と蓋部3とをスナップフィットによって係止するとともに、シール材4として前記特定のSOx基を備えたシリコーンゲルを使用することにより、ケース本体部2に一旦蓋部3を取り付けた後、ケース本体部2から蓋部3を容易に取り外すことができる。更に、ケース本体部2から蓋部3を取り外した後に、再度蓋部3をケース本体部2に取り付けることにより、両者の間をシール材4によって液密に封止することができる。
以上のごとく、本形態の防水ケース1によれば、組立作業に要するコストを低減することができ、再組み立てが可能であり、耐熱性及び防水性能に優れた防水ケース1を提供することができる。また、本形態の防水ケース1は、例えば、自動車のエンジンルーム内に配置して用いることができる。
(実施形態2)
本形態の防水ケース102は、図3に示すように、蓋部302の外周縁部から突出し、シール材4に圧入された突起部33を有している。なお、実施形態2以降において用いた符号のうち、既出の形態において用いた符号と同一のものは、特に示さない限り、既出の形態におけるものと同様の構成要素等を表す。
本形態の防水ケース102は、ケース本体部2と、蓋部302と、ケース本体部2と蓋部302との間に介在するシール材4と、を有している。ケース本体部2及び蓋部302におけるシール材保持溝26に対面する位置には、シール材保持溝26の底面261へ向かって突出した突起部33が設けられており、突起部33はシール材4に圧入されていることが好ましい。突起部33は、シール材保持溝26に対面する位置に配置されていればよい。例えば、本形態のシール材保持溝26は、ケース本体部2における側壁部25の先端251に配置されている。それ故、本形態の突起部33は、蓋部302におけるシール材保持溝26に対面する位置、つまり、シール面32に設けられている。
本形態のようにシール材4に突起部33が圧入されている場合には、突起部33によって圧縮された部分の高さがケース本体部2と蓋部302との間において圧縮された状態のシール材4の高さHfとなる。即ち、本形態においては、シール材保持溝26の底面261から突起部33までの距離が圧縮された状態のシール材4の高さHfとなる。その他は実施形態1と同様である。
本形態のように突起部33を設けることにより、突起部33を有しない場合に比べてシール材4の圧縮量をより大きくし、シール材4の反発力を適度に大きくすることができる。更に、突起部33をシール材4に圧入することにより、突起部33とシール材4との接触面積をより大きくし、突起部33とシール材4との間への隙間の形成をより効果的に抑制することができる。これらの結果、防水ケース102の防水性能をより高めることができる。その他、本形態の防水ケース102は実施形態1と同様の作用効果を奏することができる。
(実験例1)
本例は、種々のシリコーン組成物を硬化させてなるシリコーンゲルの粘着性を評価した例である。本例においては、まず、表1に示す組成を有する光硬化型シリコーン組成物(組成物A〜H)を準備した。
なお、表1に示した化合物は、具体的には、以下のとおりである。
(A)成分
・化合物A:ビニルシロキサン基を末端に有するポリジメチルシロキサン(25℃における粘度:30000mm/s、官能基当量:26000g/eq)
(B)成分
・化合物B:ポリチオール化合物(25℃における粘度:200mm/s、官能基当量:1900g/eq)
(C)成分
・化合物C:ラジカル系光開始剤(吸収ピーク波長:244nm及び330nm)
(D)成分
・化合物D1:有機過酸化物(日本油脂株式会社製「パーブチルI」、10時間半減期温度:98.7℃)
・化合物D2:有機過酸化物(日本油脂株式会社製「パーキュアO」、10時間半減期温度:72.1℃)
・化合物D3:有機過酸化物(日本油脂株式会社製「パーブチルI」、10時間半減期温度:104.3℃)
(D’)成分
・化合物D’1:有機過酸化物(日本油脂株式会社製「パークミルH−80」、10時間半減期温度:157.9℃)
・化合物D’2:オレイン酸(試薬)
・化合物D’3:ヘプタン酸(試薬)
なお、(D’)成分は、(D)成分に対する比較成分である。
(E)成分
・充填剤E:疎水性フュームドシリカ粉(比表面積:120m/g、粒径:20nm)
組成物A〜Hの作製方法は、具体的には、以下のとおりである。まず、表1に示す(A)成分〜(D)成分及びその他の成分を表1に示す質量比となるように秤量し、攪拌釜に投入する。次いで、攪拌釜内の(A)成分〜(D)成分及びその他の成分を30分間混合しながら真空脱泡を行う。混合及び真空脱泡が完了した後、(E)成分を表1に示す質量比となるように秤量する。秤量した(E)成分を攪拌釜に投入した後、攪拌釜内の(A)成分〜(E)成分及びその他の成分を60分間混合しながら真空脱泡を行う。以上により、組成物A〜Hを得ることができる。
Figure 2021174882
得られた組成物A〜Hを用い、以下の方法により粘度、構造粘性比及び粘着力の測定を行った。
[粘度および構造粘性比の測定]
粘度および構造粘性比の測定には、循環恒温槽を用いて温度を25℃に調整したコーンプレート型回転粘度計(E型粘度計)を用いた。組成物A〜Hを0.5cc採取して、サンプルカップの中心部に吐出した。サンプルカップを粘度計の本体に取り付け、3°×R12のコーンプレートとサンプルカップとの間に組成物A〜Hを挟み込んだ。この状態でコーンプレートを1.0rpmの回転速度で5分間回転させた。回転開始から5分経過した時点の粘度を組成物A〜Hの粘度とし、表2の「粘度」欄に記載した。
また、コーンプレートの回転速度を0.5rpmまたは2.5rpmに変更した以外は上記の方法と同様にして、組成物A〜Hの粘度を測定した。これにより得られた回転速度0.5rpmにおける組成物の粘度を回転速度2.5rpmにおける組成物の粘度で除した値を組成物A〜Hの構造粘性比とし、表2の「構造粘性比」欄に記載した。
[粘着力の測定]
組成物A〜Hを硬化させてなるシリコーンゲルの粘着力を評価するため、JIS K6850:1999に準じて引張せん断接着強さの測定を行った。引張せん断接着強さの測定に用いた試験片AA〜HH(表2参照)の作製方法は次の通りである。まず、PA66(つまり、ナイロン66)からなり、長さ80mm、幅25mm、厚み4mmの寸法を有する被着材を2枚準備した。2枚の被着材のうち一方の被着材上に厚さ1.5mmのスペーサーを2枚重ねて貼り付け、スペーサーによって取り囲まれた10mm×15mmの塗布領域を形成した。この塗布領域に組成物A〜Hのいずれかを注入した後、スキージを行いて組成物をならし、組成物A〜Hの塗布厚みを3mmとした。その後、LEDランプを搭載した紫外線照射器を用い、組成物に紫外線を照射して組成物を硬化させることにより、被着材上にシリコーンゲルを形成した。なお、LEDランプから照射される紫外線の中心波長は365nmであった。また、組成物に照射した紫外線の積算光量は1500mJ/cmとした。
シリコーンゲルが形成された被着材からスペーサーを1枚剥がした後、他方の被着材をシリコーンゲルに貼り合わせた。次に、2枚の被着材をクリップで固定してシリコーンゲルを圧縮し、シリコーンゲルの厚みを初期の厚みの50%とした。このようにして得られた試験片AA〜HH(表2参照)を、熱風乾燥炉内で100℃の温度に300時間保持した後、熱風乾燥炉から試験片AA〜HHを取り出した。試験片の室温まで下がった後、クリップを取り外した。
加熱後の試験片AA〜HHを用い、JIS K6850:1999に準じて引張試験を行った。なお、引張試験機のクロスヘッドスピードは5mm/分とした。表2の「引張せん断接着強さ」欄には、引張試験における最大強度を示した。また、引張試験後のシリコーンゲルを目視観察し、破断面の状態を評価した。表2の「破壊状態」欄には、接着面の全面が凝集破壊である場合には記号「A」、接着面に界面破壊が含まれている場合には記号「B」を記載した。
Figure 2021174882
表2に示したように、組成物A〜Dを硬化してなるシリコーンゲルは、組成物E〜Hを硬化してなるシリコーンゲルに比べて引張せん断接着強さが高かった。また、組成物A〜Dを硬化してなるシリコーンゲルは接着面の全面が凝集破壊されたのに対し、組成物E〜Hを硬化してなるシリコーンゲルは、接着面の一部が界面破壊された。これらの結果から、LEDランプを光源とする比較的エネルギーの低い紫外線を用いて光硬化型シリコーン組成物を硬化させる場合、(D)成分を含有する光硬化型シリコーン組成物は、(D)成分を含有しない光硬化型シリコーン組成物よりもシリコーンゲルの粘着性を向上できることが理解できる。
また、表には示さないが、100℃での保持時間を24時間にした場合、組成物Aを硬化させてなるシリコーンゲルの引張せん断接着強さは0.28MPaとなった。この結果から、加熱時間を長くすることにより引張せん断接着強さを上昇させることができることが理解できる。
さらに、組成物A及び組成物Dを25℃の環境下で1ヶ月保存したところ、組成物Aの粘度は473Pa・sとなり、組成物Dの粘度は549Pa・sとなった。これらの粘度の値と表1に示す初期の粘度の値との比較から、組成物A及び組成物Dは、保管中の粘度の変化が小さく、十分な貯蔵安定性を有していると判断できる。
(実験例2)
本例では、被着材がPBT(つまり、ポリブチレンテレフタレート)である場合のシリコーンゲルの粘着性を評価した。本例における試験片の作製方法は以下のとおりである。
<試験片II>
試験片IIの作製方法は、被着材の材質をPBTに変更した以外は、実験例1における試験片AAの作製方法と同様である。
<試験片JJ>
試験片JJの作製方法は、光硬化型シリコーン組成物として組成物Aに替えて組成物Eを使用し、高圧水銀灯を搭載した紫外線照射器を用いて組成物Eを硬化させた以外は試験片IIの作製方法と同様である。なお、試験片JJの作製方法における、高圧水銀灯から照射した紫外線の積算光量は4500mJ/cmとした。
<試験片KK>
試験片KKの作製方法は、被着材の材質をPBTに変更した以外は、実験例1における試験片EEの作製方法と同様である。
以上により得られた試験片II〜KKを用いて実験例1と同様の条件で引張試験を行い、各試験片の引張せん断接着強さを測定した。
試験片II〜試験片KKの引張せん断接着強さを図4に示す。なお、図4の縦軸は引張せん断接着強さ(MPa)である。試験片II及び試験片JJにおいては、引張試験により、接着面の全面がシリコーンゲルの内部で凝集破壊された。一方、試験片KKにおいては、引張試験により、接着面の一部がシリコーンゲルと被着材との間で界面破壊された。
図4に示したように、試験片II及び試験片JJにおけるシリコーンゲルの引張せん断接着強さは、試験片KKにおけるシリコーンゲルの引張せん断接着強さよりも高い値を示した。また、酸化剤によってシリコーンゲル中のSH基やチオエーテル基の酸化を促進させた試験片IIは、試験片KKに比べて高い引張せん断接着強さを示した。
(実験例3)
本例は、放射光を用いたX線吸収微細構造分析により、シリコーンゲル中のS原子の化学状態を詳細に調べた例である。本例では、まず、実験例1における試験片AAを模擬した試験片LL、及び、加熱前の試験片AAを模擬した試験片MMを作製した。試験片LL及び試験片MMの具体的な作製方法は以下のとおりである。
<試験片LL>
PBTからなる基板上に、組成物Aを塗布した。組成物Aの塗布厚みは10μmとした。次に、基板上に塗布された組成物Aに、試験片AAと同様の条件でLEDランプを光源とする紫外線を照射することにより、組成物Aを硬化させてシリコーンゲルとした。硬化後のシリコーンゲルを、基板とともに100℃の温度に300時間保持して加熱した。その後シリコーンゲルを基板から分離した。以上により得られたシリコーンゲル、つまり、組成物Aの硬化物を加熱してなるシリコーンゲルを試験片LLとした。
<試験片MM>
試験片MMの作製方法は、組成物Aを硬化させてシリコーンゲルとした後、シリコーンゲルの加熱を行わない以外は試験片LLの作製方法と同様である。
以上により得られた試験片LL及び試験片MMにおける、シリコーンゲル中のS原子の化学状態を硬X線XAFS(X線吸収端微細構造法)により分析した。具体的には、試験片LL及び試験片MMに放射光を分光して得られたX線を照射し、S原子のX線吸収端の近傍における吸収スペクトルを取得した。そして、得られた吸収スペクトルに基づき、シリコーンゲル中のS原子のX線吸収微細構造を分析した。図5に、試験片LL及び試験片MMにおけるX線吸収スペクトルを示す。図5の縦軸は規格化された吸収強度であり、横軸は入射光のエネルギー(eV)である。
また、図5には、SH基に由来するS原子、SO基に由来するS原子、SO基に由来するS原子及びSO基に由来するS原子の吸収ピークの位置を示した。これらのピーク位置は、前述した各官能基を有する基準試料のX線吸収端の近傍における吸収スペクトルに基づいて決定されている。
なお、X線吸収スペクトルの取得は、あいちシンクロトロン光センター あいちSR、ビームラインBL6N1において行った。検出方法は蛍光収量法とし、S原子のK端を測定した。また、入射X線のビーム径は2.00mm×1.00mmとした。
図5に示したように、試験片LL及び試験片MMのX線吸収スペクトルには、2475eV付近に頂点を有する吸収ピークと、2481eV付近に頂点を有する吸収ピークとが現れた。また、2481eV付近に頂点を有する吸収ピークは、2479eV付近にショルダーを有していた。これらの結果によれば、試験片AA〜DD及び試験片LL〜MMのように、前記(A)成分〜(D)成分を含む光硬化型シリコーン組成物を硬化させてなるシリコーンゲルは、SH基、SO基及びSO基を有していることが理解できる。
(実験例4)
本例は、放射光を用いたX線吸収微細構造分析により、実験例2の試験片JJ及び試験片KKにおけるシリコーンゲル中のS原子の化学状態を詳細に調べた例である。本例では、まず、実験例2における試験片JJを模擬した試験片NN及び試験片KKを模擬した試験片OOを作製した。試験片NN及び試験片OOの具体的な作製方法は以下のとおりである。
<試験片NN>
PBTからなる基板上に、組成物Eを塗布した。組成物Eの塗布厚みは10μmとした。次に、基板に塗布された組成物Eに、試験片JJと同様の条件で高圧水銀灯を光源とする紫外線を照射することにより、組成物Eを硬化させてシリコーンゲルとした。このシリコーンゲルを大気中で基板とともに100℃の温度に300時間保持した。以上により、試験片JJを模擬した試験片NNを得た。
<試験片OO>
試験片OOの作製方法は、紫外線の光源として、高圧水銀灯に替えてLEDランプを用いた以外は、試験片NNの作製方法と同様である。
以上により得られた試験片NN及び試験片OOにおけるシリコーンゲル中のS原子の化学状態を硬X線XAFS(X線吸収端微細構造法)により分析した。本例におけるX線吸収スペクトルの取得方法及び条件は、基板上のシリコーンゲルにX線を照射する以外は、実験例3と同様である。
図6に、試験片NN及び試験片OOにおけるS原子のX線吸収スペクトルを示す。図6の縦軸は規格化された吸収強度であり、横軸は入射光のエネルギー(eV)である。また、図6には、SH基に由来するS原子、SO基に由来するS原子、SO基に由来するS原子及びSO基に由来するS原子の吸収ピークの位置を示した。これらのピーク位置は、前述した各官能基を有する基準試料のX線吸収端の近傍における吸収スペクトルに基づいて決定されている。
図6に示したように、試験片NNのX線吸収スペクトルには、2475eV付近に頂点を有する吸収ピークと、2481eV付近に頂点を有する大きな吸収ピークとが現れた。また、2481eV付近に頂点を有する大きなピークは、2479eV付近にショルダーを有していた。図6に示したX線吸収スペクトルによれば、試験片NNのシリコーンゲル、つまり、組成物Eを高圧水銀灯により硬化させた後加熱してなるシリコーンゲルは、SH基、SO基及びSO基を有していることが理解できる。
また、試験片NNにおけるSH基に由来するS原子の吸収ピークは、基準試料の吸収ピークに比べて約200meV高エネルギー側にシフトしていた。さらに、SO基に由来するS原子の吸収ピークは、基準試料の吸収ピークに比べて約200meV低エネルギー側にシフトしていた。これらの吸収ピークのシフトは、試験片NNにおけるシリコーンゲル中のSH基、SO基が被着材極性基と水素結合していることによって起こったものと推定できる。それ故、試験片JJは、シリコーンゲル中のSO基が被着材の極性基等と水素結合することにより、高いせん断接着強度を示していると考えられる。
一方、試験片OOのX線吸収スペクトルには、SH基やSOx基の存在を示すピークが現れなかった。
以上の結果から、前記(D)成分が含まれていない光硬化型シリコーン組成物であっても、高圧水銀灯から照射された紫外線などの高いエネルギーを有するエネルギー線を用いてシリコーン組成物を硬化させた後、得られたシリコーンゲルを加熱することにより、シリコーンゲル中にSOx基を形成できたことが理解できる。
(参考例)
本例は、前記防水ケースを模擬した試験体を用いて防水性能の評価を行った例である。本例においては、まず、実施形態2と同様の形態を有する防水ケース102を準備した。なお、ケース本体部2及び蓋部3の材質はPA66である。ケース本体部2に設けたシール材保持溝26の幅は4.0mmとし、深さは2.2mmとした。また、蓋部302には、高さ1.5mmの突起部33を形成した。
このシール材保持溝26内に、前述した組成物Eを硬化してなるシリコーンゲルからなるシール材4を配置した。
シリコーン組成物の塗布幅は3.0mmとし、塗布高さは1.7±0.2mmとした。その後、シリコーン組成物に積算光量4500mJ/cmの光を照射してシリコーン組成物を硬化させ、シール材4を形成した。シール材4の塗布幅及び塗布高さHiは、シリコーン組成物の塗布幅及び塗布高さと同一である。
その後、シール材4に突起部33を圧入しつつ係合凸部23を受け入れ部31に係止することにより、ケース本体部2に蓋部302を取り付けた。以上により試験体R1を作製した。試験体R1における、突起部33が圧入された状態におけるシール材4の高さHfは0.4±0.2mmとなった。
本例では、試験体R1との比較のため、従来の防水ケース102と同様の構成を有する試験体R2を作製した。図には示さないが、試験体R2は、ケース本体部2と蓋部302との間に介在するシール材4としてのOリングを有しており、ケース本体部2と蓋部302とが締結部材としてのボルトによって締結された構成を有している。
更に、本例では、試験体R1との比較のため、試験体R1におけるシール材4をOリングに置き換えた試験体R3を作成しようとした。しかし、Oリングからの反発力はシリコーンゲルからなるシール材4に比べて格段に高い。そのため、蓋部302をケース本体部2に押し込む過程において、Oリングの圧縮率が約50%となった時点で蓋部302の変形が発生し、蓋部302とケース本体部2との間を液密に封止することができなかった。
以上の構成を有する試験体R1及び試験体R2において、収容空間の内圧が10kPaとなるように加圧した。そして、これらの試験体を130℃の温度に保持して高温放置試験を行った。また、高温放置試験とは別に、試験体を−30℃の温度に30分間保持し、次いで100℃の温度に30分間保持するサイクルを繰り返し行う冷熱サイクル試験を実施した。
高温放置試験においては、いずれの試験体についても、保持時間が187.5時間に到達した時点で試験開始前の内圧が維持されていた。また、冷熱サイクル試験においては、いずれの試験体についても、サイクル数が600サイクルに到達した時点で試験開始前の内圧が維持されていた。
これらの結果から、試験体R1は、Oリングを用いる従来の防水ケース102と同等以上の防水性能を有していることが理解できる。そして、試験体R1におけるシール材4として、実験例1における試験片AA〜DDや、実験例2における試験片II〜JJのような、SOx基を有するシリコーンゲルを用いることにより、シール材4をより強くケース本体部2及び蓋部302に粘着させ、防水ケース102の防水性能をさらに向上させることが期待できる。
本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の実施形態に適用することが可能である。例えば、実施形態1及び実施形態2においては、ケース本体部2に係合凸部23を、蓋部3、302に受け入れ部31をそれぞれ設けた例を示したが、ケース本体部2に受け入れ部を設け、蓋部3、302に係合凸部を設けてもよい。更に、ケース本体部2及び蓋部3、302のそれぞれに係合凸部を設け、これらの係合凸部と対応するように受け入れ部を設けることもできる。
係合凸部23及び受け入れ部31の構造は、実施形態1及び実施形態2の態様に限定されるものではなく、いわゆるスナップフィットが可能な構造を採用することができる。例えば、係合凸部としてのピンを受け入れ部としての孔に圧入することにより、係合凸部を受け入れ部に係止する態様としてもよい。
ケース本体部2には、シール材保持溝26を設けなくてもよい。つまり、側壁部25の先端251に直接シール材4を配置し、蓋部3のシール面によってシール材4を圧縮することもできる。
また、蓋部3にシール材保持溝を設け、当該シール材保持溝内にシール材4を配置してもよい。
防水ケース1、102におけるシール材4は、1種のシリコーンゲルから構成されていてもよい。この場合、例えば、ケース本体部2及び蓋部3、302におけるシール材4を設けようとする部分に単一のシリコーン組成物を塗布した後、シリコーン組成物を硬化させることにより、単一種類のシリコーンゲルからなるシール材4を形成することができる。
また、シール材4には2種以上のシリコーンゲルが含まれていてもよい。この場合、例えば、ケース本体部2及び蓋部3、302におけるシール材4を設けようとする部分を互いに組成の異なるシリコーン組成物で塗り分けた後、これらのシリコーン組成物を硬化させることにより、2種以上のシリコーンゲルからなるシール材4を形成することができる。2種以上のシリコーンゲルを含むシール材4において、シリコーンゲルの組み合わせは特に限定されることはない。例えば、シール材4は、SO基を備え粘着性を有するシリコーンゲル、SO基を備え粘着性を有するシリコーンゲル、SO基を備え粘着性を有するシリコーンゲル、SO基及びSO基を備え粘着性を有するシリコーンゲル、SO基及びSO基を備え粘着性を有するシリコーンゲル、SO基及びSO基を備え粘着性を有するシリコーンゲル及びSO基、SO基及びSO基を備え粘着性を有するシリコーンゲルからなる群より選択される2種以上のシリコーンゲルを有していてもよい。
また、実施形態1〜2には、光硬化型シリコーン組成物及びシリコーンゲルを防水ケースのシール材に適用した例を示したが、光硬化型シリコーン組成物及びシリコーンゲルの用途は防水ケースのシール材に限定されるものではない。
1、102 防水ケース
2 ケース本体部
21 収容空間
22 開口
23 係合凸部
3、302 蓋部
31 受け入れ部
4 シール材

Claims (14)

  1. 被収容物を収容するための収容空間(21)と、前記収容空間内に連なる開口(22)とを備えたケース本体部(2)と、
    前記ケース本体部に取り付けられ、前記開口を閉鎖する蓋部(3、302)と、
    SO基、SO基及びSO基のうち少なくとも1種のSOx基を備え粘着性を有するシリコーンゲルからなり前記ケース本体部と前記蓋部との間に介在するシール材(4)と、
    前記ケース本体部及び前記蓋部のうち少なくとも一方に設けられた受け入れ部(31)と、
    前記ケース本体部及び前記蓋部における前記受け入れ部に対応する位置に設けられ、前記受け入れ部に係止された係合凸部(23)と、を有する、自動車用防水ケース(1、102)。
  2. 前記シリコーンゲルは、SH基を備えたチオール系架橋剤と、SH基及びチオエーテル基を酸化することができるように構成された酸化剤とを含む光硬化型シリコーン組成物の硬化物である、請求項1に記載の自動車用防水ケース。
  3. 前記ケース本体部及び前記蓋部のうち少なくとも一方は樹脂から構成されている、請求項1または2に記載の自動車用防水ケース。
  4. 前記ケース本体部または前記蓋部のうちいずれか一方には、底面(261)と、前記底面に連なる側面(262)とを備えたシール材保持溝(26)が設けられており、前記シール材は、前記側面との間に隙間を有する状態で前記底面上に配置されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の自動車用防水ケース。
  5. 前記ケース本体部及び前記蓋部(302)における前記シール材保持溝に対面する位置には、前記底面へ向かって突出した突起部(33)が設けられており、前記突起部は前記シール材に圧入されている、請求項4に記載の自動車用防水ケース(102)。
  6. 前記シール材は、前記ケース本体部と前記蓋部との間において圧縮された状態の高さ(Hf)が、圧縮されていない状態の高さ(Hi)の40〜80%となるように圧縮されている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の自動車用防水ケース。
  7. 自動車のエンジンルーム内で用いられる請求項1〜6のいずれか1項に記載の自動車用防水ケース。
  8. 以下の(A)〜(D)成分を含み、SO基、SO基及びSO基のうち少なくとも1種のSOx基を有するシリコーンゲルを形成可能に構成された光硬化型シリコーン組成物。
    (A)成分:ビニルシロキサン基を有するポリオルガノシロキサン
    (B)成分:チオール系架橋剤
    (C)成分:ラジカル系光開始剤
    (D)成分:10時間半減期温度が150℃以下の有機過酸化物
  9. 前記(A)成分100質量部に対して、前記(B)成分が0.1〜10質量部、前記(C)成分が0.1〜5.0質量部、前記(D)成分が0.1〜5.0質量部含まれている、請求項8に記載の光硬化型シリコーン組成物。
  10. 前記(D)成分がパーオキシエステル構造を有する有機過酸化物である、請求項8または9のいずれか1項に記載の光硬化型シリコーン組成物。
  11. 前記(D)成分が下記一般式(1)または下記一般式(2)で示される分子構造を有している、請求項10に記載の光硬化型シリコーン組成物。
    −O−O−CO−R ・・・一般式(1)
    −O−O−CO−O−R ・・・一般式(2)
    (ただし、前記一般式(1)及び一般式(2)におけるR〜Rは、それぞれ独立に、芳香族基、脂肪族炭化水素基及び不飽和炭化水素基からなる群より選択される炭化水素基である)
  12. 前記(D)成分の10時間半減期温度が60〜110℃である、請求項8〜11のいずれか1項に記載の光硬化型シリコーン組成物。
  13. 前記光硬化型シリコーン組成物には、さらに、(E)成分としての充填剤が含まれている、請求項8〜12のいずれか1項に記載の光硬化型シリコーン組成物。
  14. 請求項8〜13のいずれか1項に記載の光硬化型シリコーン組成物を硬化させてなり、SO基、SO基及びSO基のうち少なくとも1種のSOx基を有するシリコーンゲル。
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