JP2021172698A - 硬化性組成物、蓄熱材、及び物品 - Google Patents

硬化性組成物、蓄熱材、及び物品 Download PDF

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弘 横田
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Abstract

【課題】蓄熱量及び保存安定性に優れる蓄熱材を形成可能な硬化性組成物を提供すること。【解決手段】下記式(1)で表される化合物と、ポリアルキレングリコールと、重合開始剤と、を含有する硬化性組成物。【化1】式(1)中、R11は水素原子又はメチル基を表し、R12はポリオキシアルキレン鎖を有する1価の基を表す。【選択図】なし

Description

本発明は、硬化性組成物、蓄熱材、及び物品に関する。
蓄熱材は、蓄えたエネルギーを必要に応じて熱として取り出すことのできる材料である。この蓄熱材は、空調設備、床暖房設備、冷蔵庫、ICチップ等の電子部品、自動車内外装材、キャニスター等の自動車部品、保温容器などの用途で利用されている。
蓄熱の方式としては、物質の相変化を利用した潜熱蓄熱が、熱量の大きさの点から広く利用されている。潜熱蓄熱物質としては、水−氷がよく知られている。水−氷は、熱量の大きい物質であるが、相変化温度が大気下において0℃と限定されてしまうため、適用範囲も限定されてしまう。そのため、0℃より高く100℃以下の相変化温度を有する潜熱蓄熱物質として、例えばポリアルキレングリコールが利用されている(例えば特許文献1)。
特開2006−96898号公報
ポリアルキレングリコールは、高い吸湿性を有しているため、ポリアルキレングリコールを用いた蓄熱材には保存安定性の点で問題が生じ得る。一方で、蓄熱材の保存安定性を確保するための対策を講じると、蓄熱材の蓄熱量が損なわれるおそれがある。
そこで、本発明の一側面は、蓄熱量及び保存安定性に優れる蓄熱材を形成可能な硬化性組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意研究を行った結果、ポリオキシアルキレン鎖を有し、かつ(メタ)アクリロイル基を有する特定の化合物を、ポリアルキレングリコールと共に用いることにより、蓄熱量を損なわずに、保存安定性を向上させることができることを見出した。本発明は、いくつかの側面において、下記の[1]〜[5]を提供する。
[1] 下記式(1)で表される化合物と、ポリアルキレングリコールと、重合開始剤と、を含有する硬化性組成物。
Figure 2021172698

[式(1)中、R11は水素原子又はメチル基を表し、R12はポリオキシアルキレン鎖を有する1価の基を表す。]
[2] 式(1)で表される化合物の重量平均分子量が1000以上である、[1]に記載の硬化性組成物。
[3] 蓄熱材の形成に用いられる、[1]又は[2]に記載の硬化性組成物。
[4] [1]〜[3]のいずれかに記載の硬化性組成物の硬化物を含む、蓄熱材。
[5] 熱源と、熱源と熱的に接触するように設けられた、[1]〜[3]のいずれかに記載の硬化性組成物の硬化物と、を備える物品。
本発明の一側面によれば、蓄熱量及び保存安定性に優れる蓄熱材を形成可能な硬化性組成物を提供することができる。
蓄熱材の一実施形態を示す模式断面図である。 物品及びその製造方法の一実施形態を示す模式断面図である。 物品の他の一実施形態を示す模式断面図である。 物品の製造方法の他の一実施形態を示す模式断面図である。
以下、図面を適宜参照しながら、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されない。
本明細書における、「(メタ)アクリロイル」とは、「アクリロイル」及びそれに対応する「メタクリロイル」を意味し、「(メタ)アクリレート」、「(メタ)アクリル」等の類似表現においても同様である。
本明細書における重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて以下の条件で測定され、ポリスチレンを標準物質として決定される値を意味する。
・測定機器:HLC−8320GPC(製品名、東ソー(株)製)
・分析カラム:TSKgel SuperMultipore HZ−H(3本連結)(製品名、東ソー(株)製)
・ガードカラム:TSKguardcolumn SuperMP(HZ)−H(製品名、東ソー(株)製)
・溶離液:THF
・測定温度:25℃
[硬化性組成物]
一実施形態に係る硬化性組成物は、下記式(1)で表される化合物と、ポリアルキレングリコールと、重合開始剤と、を含有する硬化性組成物である。
Figure 2021172698

式(1)中、R11は水素原子又はメチル基を表し、R12はポリオキシアルキレン鎖を有する1価の基を表す。
ポリオキシアルキレン鎖は、例えば下記式(1−1)で表される基であってよい。
Figure 2021172698

式(1−1)中、R13はアルキレン基を表し、R14は水素原子又はアルキル基を表し、nは2以上の整数を表し、*は結合手を表す。
13で表されるアルキレン基は、直鎖状であっても分岐状であってもよい。R13は、例えば、炭素数2〜4のアルキレン基であってよい。ポリオキシアルキレン鎖中に複数存在するRは、互いに同一であってよく、互いに異なっていてもよい。ポリオキシアルキレン鎖は、好ましくは、オキシエチレン基、オキシプロピレン基及びオキシブチレン基からなる群より選ばれる1種又は2種以上を有しており、より好ましくは、オキシエチレン基及びオキシプロピレン基からなる群より選ばれる1種又は2種を有しており、更に好ましくはオキシエチレン基のみを有している。
14で表されるアルキル基は、直鎖状であっても分岐状であってもよい。当該アルキル基の炭素数は、好ましくは1〜15、より好ましくは1〜10、更に好ましくは1〜5である。R14は、特に好ましくは水素原子又はメチル基である。
nは、例えば、10以上又は20以上の整数であってよく、80以下、70以下、又は60以下の整数であってよい。nは、更に優れる蓄熱量を有する蓄熱材が得られる観点から、式(1)で表される化合物の分子量が、好ましくは、800以上、900以上、又は1000以上となるような整数であり、より好ましくは、1200以上、1400以上、1600以上、1800以上、又は2000以上となるような整数である。nは、式(1)で表される化合物の分子量が、5000以下、4000以下、3000以下、又は2500以下となるような整数であってもよい。
式(1)で表される化合物の重量平均分子量(Mw)は、更に優れる蓄熱量を有する蓄熱材が得られる観点から、好ましくは、800以上、900以上、又は1000以上であり、より好ましくは、1200以上、1400以上、1600以上、1800以上、又は2000以上である。式(2)で表される化合物の重量平均分子量(Mw)は、5000以下、4000以下、3000以下、又は2500以下であってもよい。
式(1)で表される化合物の含有量は、硬化性組成物全量を基準として、例えば、1質量%以上、2質量%以上であってよく、好ましくは、5質量%以上、10質量%以上であり、より好ましくは、15質量%以上、20質量%以上、又は25質量%以上である。
式(1)で表される化合物の含有量は、硬化性組成物全量を基準として、例えば、99質量%以下、90質量%以下、80質量%以下、又は70質量%以下であってよく、好ましくは60質量%以下である。
硬化性組成物が式(1)で表される化合物に加えて、式(1)で表される化合物と共重合可能な化合物を更に含有する場合(詳細は後述)、式(1)で表される化合物の含有量及び式(1)で表される化合物と共重合可能な化合物の含有量の合計(以下、「重合性成分の含有量の合計」という)100質量部に対して、1質量部以上、2質量部以上、好ましくは、5質量部以上又は10質量部以上であり、より好ましくは、15質量部以上、20質量部以上、又は25質量部以上であり、更に好ましくは、30質量部以上、40質量部以上、50質量部以上、60質量部以上、又は70質量部以上である。式(1)で表される化合物の含有量は、重合性成分の含有量の合計100質量部に対して、例えば、99質量部以下、90質量部以下、80質量部以下、70質量部以下、又は65質量部以下であってよい。
ポリアルキレングリコールは、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール等であってよく、好ましくはポリエチレングリコールである。
ポリアルキレングリコールの重量平均分子量(Mw)は、800以上、900以上、又は1000以上であってよく、2000以下、1900以下、又は1800以下であってよい。
ポリアルキレングリコールの融点は、式(1)で表される化合物の融点に近いことが好ましい。ポリアルキレングリコールの融点と式(1)で表される化合物の融点との差の絶対値は、好ましくは20℃以下、より好ましくは15℃以下、更に好ましくは10℃以下である。
式(1)で表される化合物の融点及びポリアルキレングリコールの融点は、以下のとおり測定される。示差走査熱量測定計(例えば、パーキンエルマー社製、型番DSC8500)を用いて、20℃/分で100℃まで昇温し、100℃で3分間保持した後、10℃/分の速度で−30℃まで降温し、次いで−30℃で3分間保持した後、10℃/分の速度で100℃まで再び昇温する。これによって熱挙動を測定し、融解ピークを融点として算出する。
ポリアルキレングリコールの含有量は、硬化性組成物全量を基準として、10質量%以上、20質量%以上、30質量%以上、40質量%以上、50質量%以上、又は60質量%以上であってよく、90質量%以下、80質量%以下、70質量%以下、60質量%以下、又は50質量%以下であってよい。
ポリアルキレングリコールの含有量は、重合性成分の含有量の合計100質量部に対して、10質量部以上、20質量部以上、30質量部以上、40質量部以上、50質量部以上、60質量部以上、70質量部以上、80質量部以上、90質量部以上、100質量部以上、150質量部以上、又は200質量部以上であってよい。ポリアルキレングリコールの含有量は、重合性成分の含有量の合計100質量部に対して、500質量部以下、400質量部以下、300質量部以下、200質量部以下、150質量部以下、120質量部以下、110質量部以下、又は100質量部以下であってよい。
ポリアルキレングリコールは、後述するようなカプセル(外殻)に内包されていてもよく、内包されていなくてよい。ポリアルキレングリコールがカプセルに内包されていない場合でも、本実施形態の式(1)で表される化合物を含有する硬化性組成物によれば、保存安定性に優れる蓄熱材が得られる。
重合開始剤は、式(1)で表される化合物、及び必要により用いられる式(1)で表される化合物と共重合可能な化合物(詳細は後述)の重合を開始し得る化合物であれば、特に制限されない。重合開始剤は、例えば、熱によりラジカルを発生させる熱重合開始剤、光によりラジカルを発生させる光重合開始剤等であってよい。
硬化性組成物が熱重合開始剤を含有する場合、硬化性組成物に熱を加えることにより、硬化性組成物の硬化物を得ることができる。この場合、硬化性組成物は、好ましくは105℃以上、より好ましくは110℃以上、更に好ましくは115℃以上での加熱によって硬化される硬化性組成物であってよく、例えば、200℃以下、190℃以下、又は180℃以下での加熱によって硬化される硬化性組成物であってもよい。硬化性組成物を加熱する際の加熱時間は、硬化性組成物が好適に硬化するように、硬化性組成物の組成に応じて適宜選択されてよい。
熱重合開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスシクロヘキサノン−1−カルボニトリル、アゾジベンゾイル等のアゾ化合物、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、1,1−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、t−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート等の有機過酸化物などが挙げられる。熱重合開始剤は、これらを1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いられてよい。
硬化性組成物が光重合開始剤を含有する場合、光(例えば200〜400nmの少なくとも一部の波長を含む光(紫外光))を硬化性組成物に照射することにより、硬化性組成物の硬化物を得ることができる。光照射の条件は、光重合開始剤の種類により適宜設定されてよい。
光重合開始剤は、例えば、ベンゾインエーテル系光重合開始剤、アセトフェノン系光重合開始剤、α−ケトール系光重合開始剤、芳香族スルホニルクロリド系光重合開始剤、光活性オキシム系光重合開始剤、ベンゾイン系光重合開始剤、ベンジル系光重合開始剤、ベンゾフェノン系光重合開始剤、ケタール系光重合開始剤、チオキサントン系光重合開始剤、アシルフォスフィンオキシド系光重合開始剤等であってよい。
ベンゾインエーテル系光重合開始剤としては、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(商品名:イルガキュア651、BASF社製)、アニソールメチルエーテル等が挙げられる。アセトフェノン系光重合開始剤としては、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(商品名:イルガキュア184、BASF社製)、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(商品名:イルガキュア2959、BASF社製)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(商品名:ダロキュア1173、BASF社製)、メトキシアセトフェノン等が挙げられる。
α−ケトール系光重合開始剤としては、2−メチル−2−ヒドロキシプロピオフェノン、1−[4−(2−ヒドロキシエチル)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン等が挙げられる。芳香族スルホニルクロリド系光重合開始剤としては、2−ナフタレンスルホニルクロライド等が挙げられる。光活性オキシム系光重合開始剤としては、1−フェニル−1,1−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)−オキシム等が挙げられる。
ベンゾイン系光重合開始剤としては、ベンゾイン等が挙げられる。ベンジル系光重合開始剤としては、ベンジル等が挙げられる。ベンゾフェノン系光重合開始剤としては、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、ポリビニルベンゾフェノン、α−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等が挙げられる。ケタール系光重合開始剤としては、ベンジルジメチルケタール等が挙げられる。チオキサントン系光重合開始剤としては、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、ドデシルチオキサントン等が挙げられる。
アシルフォスフィンオキシド系光重合開始剤としては、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)(2,4,4−トリメチルペンチル)ホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−n−ブチルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−(2−メチルプロパン−1−イル)ホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−(1−メチルプロパン−1−イル)ホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−t−ブチルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)シクロヘキシルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)オクチルホスフィンオキシド、ビス(2−メトキシベンゾイル)(2−メチルプロパン−1−イル)ホスフィンオキシド、ビス(2−メトキシベンゾイル)(1−メチルプロパン−1−イル)ホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジエトキシベンゾイル)(2−メチルプロパン−1−イル)ホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジエトキシベンゾイル)(1−メチルプロパン−1−イル)ホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジブトキシベンゾイル)(2−メチルプロパン−1−イル)ホスフィンオキシド、ビス(2,4−ジメトキシベンゾイル)(2−メチルプロパン−1−イル)ホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)(2,4−ジペントキシフェニル)ホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)ベンジルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2−フェニルプロピルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2−フェニルエチルホスフィンオキシド、2,6−ジメトキシベンゾイルベンジルブチルホスフィンオキシド、2,6−ジメトキシベンゾイルベンジルオクチルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−2,5−ジイソプロピルフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−2−メチルフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−4−メチルフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−2,5−ジエチルフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−2,3,5,6−テトラメチルフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−2,4−ジ−n−ブトキシフェニルホスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)イソブチルホスフィンオキシド、2,6−ジメトキシベンゾイル−2,4,6−トリメチルベンゾイル−n−ブチルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−2,4−ジブトキシフェニルホスフィンオキシド、1,10−ビス[ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド]デカン、トリ(2−メチルベンゾイル)ホスフィンオキシド等が挙げられる。
上述した光重合開始剤は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いられてよい。
重合開始剤の含有量は、重合を好適に進行させる観点から、重合性成分の含有量の合計100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.02質量部以上、更に好ましくは0.04質量部以上である。重合開始剤の含有量は、硬化性組成物の硬化物における重合体の分子量が好適な範囲になると共に、分解生成物を抑制し、蓄熱材として使用した際に好適な接着強度が得られる観点から、重合性成分の含有量の合計100質量部に対して、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下、更に好ましくは3質量部以下、特に好ましくは1質量部以下である。
硬化性組成物は、式(1)で表される化合物と共重合可能な化合物を更に含有してよい。当該共重合可能な化合物は、例えば、エチレン性不飽和結合を有する基(エチレン性不飽和基)を有している。エチレン性不飽和基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等が挙げられる。当該共重合可能な化合物は、好ましくは、(メタ)アクリロイル基を有する化合物である。
硬化性組成物は、硬化性組成物の硬化物の硬さを調整する観点、及び更に優れた保存安定性を有する蓄熱材を形成可能である観点から、当該共重合可能な化合物として、好ましくは下記式(2)で表される化合物を更に含有する。
Figure 2021172698

式(2)中、R21及びR22はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を表し、R23は2価の有機基を表す。
一実施形態において、R21及びR22の一方が水素原子であり、かつ他方がメチル基であってよく、他の一実施形態において、R11及びR12の両方が水素原子であってよく、他の一実施形態において、R11及びR12の両方がメチル基であってよい。
23で表される2価の有機基は、例えば、メチレン鎖(−CH−を構造単位とする鎖)、ポリオキシアルキレン鎖(オキシアルキレン基を構造単位とする鎖)、ポリエステル鎖(−COO−を構造単位中に含む鎖)、ポリウレタン鎖(−OCON−を構造単位中に含む鎖)等の鎖状の基を有していてよい。R23で表される2価の有機基は、フェニル基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、イソシアネート基、アミノ基、エポキシ基等を有していてよい。R23で表される2価の有機基は、好ましくはポリオキシアルキレン鎖を有する2価の有機基である。
ポリオキシアルキレン鎖は、例えば下記式(2−1)で表される。
Figure 2021172698

式(2−1)中、R24はアルキレン基を表し、mは2以上の整数を表し、*は結合手を表す。
24で表されるアルキレン基は、直鎖状であっても分岐状であってもよい。R24は、例えば、炭素数2〜4のアルキレン基であってよい。ポリオキシアルキレン鎖中に複数存在するR24は、互いに同一であってよく、互いに異なっていてもよい。ポリオキシアルキレン鎖中に複数存在するR24は、エチレン基、プロピレン基及びブチレン基からなる群より選ばれる1種又は2種以上であり、より好ましくは、エチレン基及びプロピレン基からなる群より選ばれる1種又は2種であり、更に好ましくはすべてエチレン基である。
mは、例えば、10以上又は20以上の整数であってよく、300以下、250以下、又は200以下の整数であってよい。mは、更に優れる蓄熱量を有する蓄熱材が得られる観点から、好ましくは、式(2)で表される化合物の分子量が、1000以上、2000以上、3000以上、4000以上、5000以上、6000以上、又は7000以上となるような整数である。mは、式(2)で表される化合物の分子量が、12000以下、11000以下、又は10000以下となるような整数であってもよい。
式(2)で表される化合物は、硬化物の柔軟性が得られ、更に優れる蓄熱量を有する蓄熱材が得られる観点から、より好ましくは、下記式(2−2)で表される化合物である。
Figure 2021172698

式(2−2)中、R21及びR22は式(2)におけるR21及びR22とそれぞれ同義であり、R24及びmは式(2−1)におけるR24及びmとそれぞれ同義である。
式(2)で表される化合物の重量平均分子量(Mw)は、更に優れる蓄熱量を有する蓄熱材が得られる観点から、好ましくは、1000以上、2000以上、3000以上、4000以上、5000以上、6000以上、又は7000以上である。式(2)で表される化合物の重量平均分子量(Mw)は、12000以下、11000以下、10000以下であってもよい。
式(2)で表される化合物の含有量は、硬化性組成物全量を基準として、例えば、1質量%以上、2質量%以上、又は5質量%以上であってよく、硬化性組成物の硬化物の柔軟性に優れ、更に優れる蓄熱量を有する蓄熱材が得られる観点から、好ましくは、10質量%以上、15質量%以上、又は20質量%以上であり、より好ましくは、25質量%以上、30質量%以上、35質量%以上、又は40質量%以上である。式(1)で表される化合物の含有量は、硬化性組成物全量を基準として、例えば、99質量%以下、90質量%以下、80質量%以下、70質量%以下、60質量%以下、又は50質量%以下であってよい。
式(2)で表される化合物の含有量は、重合性成分の含有量の合計100質量部に対して、1質量部以上、2質量部以上、又は5質量部以上であってよく、硬化性組成物の硬化物の柔軟性に優れ、更に優れる蓄熱量を有する蓄熱材が得られる観点から、好ましくは、10質量部以上又は15質量部以上であり、より好ましくは、20質量部以上、25質量部以上、30質量部以上、又は35質量部以上であり、更に好ましくは40質量部以上である。式(1)で表される化合物の含有量は、重合性成分の含有量の合計100質量部に対して、例えば、99質量部以下、90質量部以下、80質量部以下、70質量部以下、60質量部以下、又は50質量部以下であってよい。
硬化性組成物が、式(1)で表される化合物に加えて式(2)で表される化合物を更に含有する場合、式(2)で表される化合物の含有量に対する式(1)で表される化合物の含有量の比(式(1)で表される化合物の含有量/式(2)で表される化合物の含有量)は、1以上、1.2以上、1.4以上、1.6以上、1.8以上、2以上、2.2以上、2.5以上、又は3以上であってよく、6以下、5以下、又は4以下であってよい。
硬化性組成物は、硬化性組成物の硬化物の硬さを調整する観点、及び、重合開始剤が固体である場合に重合開始剤を硬化性組成物中に容易に溶解させる観点から、式(1)で表される化合物と共重合可能な化合物として、下記式(3)で表される化合物を更に含有してもよい。
Figure 2021172698

式(3)中、R31は水素原子又はメチル基を表し、R32はアルキル基を表す。
32で表されるアルキル基は、直鎖状であっても分岐状であってもよい。アルキル基の炭素数は、例えば、1〜30であってよい。アルキル基の炭素数は、1〜11、1〜8、1〜6、又は1〜4であってよく、12〜30、12〜28、12〜24、12〜22、12〜18、又は12〜14であってもよい。
式(3)で表される化合物の含有量は、重合性成分の含有量の合計100質量部に対して、例えば、0.5質量部以上、1質量部以上、又は1.5質量部以上であってよく、10質量部以下、8質量部以下、又は6質量部以下であってよい。
硬化性組成物は、式(1)で表される化合物と共重合可能な化合物として、下記式(4)で表される化合物を更に含有してもよい。
Figure 2021172698

式(4)中、R41は水素原子又はメチル基を表し、R42は反応性基を有する1価の基を表す。
硬化性組成物が式(4)で表される化合物を更に含有する場合、式(1)で表される化合物及び式(4)で表される化合物(更には式(1)で表される化合物と共重合可能なその他の化合物)を重合させた後で、式(4)で表される化合物に含まれる反応性基と後述する硬化剤とを反応させて、硬化性組成物を更に硬化させることができる。
42で表される反応性基は、後述する硬化剤と反応し得る基であり、例えば、カルボキシル基、ヒドロキシル基、イソシアネート基、アミノ基及びエポキシ基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基である。すなわち、式(4)で表される化合物は、例えば、カルボキシル基含有化合物、ヒドロキシル基含有化合物、イソシアネート基含有化合物、アミノ基含有化合物又はエポキシ基含有化合物である。
カルボキシル基含有化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イソクロトン酸等が挙げられる。
ヒドロキシル基含有化合物としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、10−ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、12−ヒドロキシラウリル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;(4−ヒドロキシメチルシクロへキシル)メチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキルシクロアルカン(メタ)アクリレートなどが挙げられる。ヒドロキシル基含有化合物は、ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、アリルアルコール、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル等であってもよい。
イソシアネート基含有化合物としては、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート等が挙げられる。
イソシアネート基含有化合物におけるイソシアネート基は、熱により脱離可能なブロック剤(保護基)によってブロック(保護)されていてもよい。すなわち、イソシアネート基含有化合物は、下記式(4−1)で表されるブロックイソシアネート基を有する化合物であってもよい。
Figure 2021172698

式中、Bは保護基を表し、*は結合手を表す。
ブロックイソシアネート基における保護基は、加熱(例えば80〜160℃の加熱)によって脱離(脱保護)可能な保護基であってよい。ブロックイソシアネート基においては、脱保護条件下(例えば80〜160℃の加熱条件下)で、ブロック剤(保護基)と後述する硬化剤との置換反応が生じ得る。あるいは、ブロックイソシアネート基においては、脱保護によりイソシアネート基が生成し、イソシアネート基が後述する硬化剤と反応することもできる。
ブロックイソシアネート基におけるブロック剤としては、ホルムアルドオキシム、アセトアルドオキシム、アセトオキシム、メチルエチルケトオキシム、シクロヘキサノンオキシム等のオキシム化合物;ピラゾール、3−メチルピラゾール、3,5−ジメチルピラゾール等のピラゾール化合物;ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、γ−ブチロラクタム及びβ−プロピオラクタム等のラクタム化合物;チオフェノール、メチルチオフェノール、エチルチオフェノール等のメルカプタン化合物;酢酸アミド、ベンズアミド等の酸アミド化合物;コハク酸イミド及びマレイン酸イミド等のイミド化合物が挙げられる。
ブロックイソシアネート基を有する化合物としては、例えば、2−[(3,5−ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ]エチルメタクリレート、2−(0−[1’−メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)メタクリレートが挙げられる。
アミノ基含有化合物としては、例えば、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
エポキシ基含有化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジル、α−エチル(メタ)アクリル酸グリシジル、α−n−プロピル(メタ)アクリル酸グリシジル、α−n−ブチル(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸−3,4−エポキシブチル、(メタ)アクリル酸−4,5−エポキシペンチル、(メタ)アクリル酸−6,7−エポキシヘプチル、α−エチル(メタ)アクリル酸−6,7−エポキシヘプチル、(メタ)アクリル酸−3−メチル−3,4−エポキシブチル、(メタ)アクリル酸−4−メチル−4,5−エポキシペンチル、(メタ)アクリル酸−5−メチル−5,6−エポキシヘキシル、(メタ)アクリル酸−β−メチルグリシジル、α−エチル(メタ)アクリル酸−β−メチルグリシジル等が挙げられる。
式(4)で表される化合物の含有量は、重合性成分の含有量の合計100質量部に対して、例えば、0.5質量部以上、1質量部以上、又は1.5質量部以上であってよく、10質量部以下、8質量部以下、又は5質量部以下であってよい。
重合性成分の含有量の合計は、硬化性組成物全量基準で、30質量%以上、40質量%以上、50質量%以上、60質量%以上、70質量%以上、80質量%以上、又は90質量%以上であってよく、99.9質量%以下であってもよい。
硬化性組成物が式(4)で表される化合物を含有する場合、硬化性組成物は、好ましくは、硬化剤を更に含有する。硬化剤は、式(4)で表される化合物に含まれる反応性基と反応し得る化合物である。
硬化剤としては、例えば、イソシアネート系硬化剤、フェノール系硬化剤、アミン系硬化剤、イミダゾール系硬化剤、酸無水物系硬化剤、カルボン酸系硬化剤等が挙げられる。これらの硬化剤は、式(4)で表される化合物に含まれる反応性基の種類に応じて、1種単独又は2種以上の組合せとして適宜選択される。例えば、反応性基がエポキシ基である場合、硬化剤は、好ましくはフェノール系硬化剤又はイミダゾール系硬化剤である。
イソシアネート系硬化剤としては、例えば、トリレンジイソシアネート(2,4−若しくは2,6−トリレンジイソシアネート、又はその混合物)(TDI)、フェニレンジイソシアネート(m−若しくはp−フェニレンジイソシアネート、又はその混合物)、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4’−、2,4’−若しくは2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、又はその混合物)(MDI)、4,4’−トルイジンジイソシアネート(TODI)、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(1,3−若しくは1,4−キシリレンジイソシアネート、又はその混合物)(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(1,3−若しくは1,4−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、又はその混合物)(TMXDI)、ω,ω’−ジイソシアネート−1,4−ジエチルベンゼン等の芳香族ジイソシアネートが挙げられる。
イソシアネート系硬化剤としては、トリメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、ブチレンジイソシアネート(テトラメチレンジイソシアネート、1,2−ブチレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート)、1,5−ペンタメチレンジイソシアネート(PDI)、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、2,4,4−又は2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアネートメチルカプエート等の脂肪族ジイソシアネート、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,3−シクロペンテンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート(1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート)、3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(イソホロンジイソシアネート)(IPDI)、メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)(4,4’−、2,4’−又は2,2’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、これらのtrans,trans−体、trans,cis−体、cis,cis−体、又はその混合物)(H12MDI)、メチルシクロヘキサンジイソシアネート(メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート)、ノルボルナンジイソシアネート(各種異性体又はその混合物)(NBDI)、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(1,3−若しくは1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン又はその混合物)(H6XDI)等の脂環族ジイソシアネートなども挙げられる。
フェノール系硬化剤としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、4,4’−ビフェニルフェノール、テトラメチルビスフェノールA、ジメチルビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールF、ジメチルビスフェノールF、テトラメチルビスフェノールS、ジメチルビスフェノールS、テトラメチル−4,4’−ビフェノール、ジメチル−4,4’−ビフェニルフェノール、1−(4−ヒドロキシフェニル)−2−[4−(1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)エチル)フェニル]プロパン、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、トリスヒドロキシフェニルメタン、レゾルシノール、ハイドロキノン、ピロガロール、ジイソプロピリデン骨格を有するフェノール化合物;1,1−ジ−4−ヒドロキシフェニルフルオレン等のフルオレン骨格を有するフェノール化合物;クレゾール化合物;エチルフェノール化合物;ブチルフェノール化合物;オクチルフェノール化合物;ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ナフトール化合物等の各種フェノールを原料とするノボラック樹脂、キシリレン骨格含有フェノールノボラック樹脂、ジシクロペンタジエン骨格含有フェノールノボラック樹脂、ビフェニル骨格含有フェノールノボラック樹脂、フルオレン骨格含有フェノールノボラック樹脂、フラン骨格含有フェノールノボラック樹脂等の各種ノボラック樹脂などが挙げられる。
アミン系硬化剤としては、例えば、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルフォン、ジアミノジフェニルエーテル、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、1,5−ジアミノナフタレン、m−キシリレンジアミン等の芳香族アミン、エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、イソフォロンジアミン、ビス(4−アミノ−3−メチルジシクロヘキシル)メタン、ポリエーテルジアミン等の脂肪族アミン;ジシアンジアミド、1−(o−トリル)ビグアニド等のグアニジン化合物などが挙げられる。
イミダゾール系硬化剤としては、例えば、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ−[1,2−a]ベンズイミダゾール、2,4−ジアミノ−6(2’−メチルイミダゾール(1’))エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6(2’−ウンデシルイミダゾール(1’))エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6(2’−エチル−4−メチルイミダゾール(1’))エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6(2’−メチルイミダゾール(1’))エチル−s−トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2−メチルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−フェニル−3,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニル−3,5−ジシアノエトキシメチルイミダゾール等が挙げられる。
酸無水物系硬化剤としては、例えば、フタル酸無水物、トリメリット酸無水物、ピロメリット酸無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、エチレングリコールトリメリット酸無水物、ビフェニルテトラカルボン酸無水物等の芳香族カルボン酸無水物;アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等の脂肪族カルボン酸の無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、ナジック酸無水物、ヘット酸無水物、ハイミック酸無水物等の脂環式カルボン酸無水物等が挙げられる。
カルボン酸系硬化剤としては、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等が挙げられる。
硬化剤の含有量は、硬化性組成物全量基準で、0.01質量%以上であってよく、10質量%以下、5質量%以下、又は1質量%以下であってよい。
硬化性組成物は、更に優れる蓄熱量を有する蓄熱材が得られる観点から、ポリアルキレングリコール以外の蓄熱性成分(以下「その他の蓄熱性成分」という)を更に含有してもよい。蓄熱性成分は、カプセルに内包された蓄熱性カプセルとして硬化性組成物に含まれていてもよい。蓄熱性カプセルは、蓄熱性成分と、蓄熱性成分を内包する外殻(シェル)とを有している。
その他の蓄熱性成分は、例えば、使用目的に応じて目標温度に適合する相転移温度を有するものが適宜選択される。その他の蓄熱性成分は、実用範囲で蓄熱効果を得る観点から、例えば−30〜120℃に固相/液相の相転移を示す固相/液相転移点(融点)を有する。
その他の蓄熱性成分は、例えば、鎖状(直鎖状又は分岐状(分岐鎖状))の飽和炭化水素化合物(パラフィン系炭化水素化合物)、天然ワックス、石油ワックス、糖アルコール等であってよい。その他の蓄熱性成分は、安価で毒性が低く、所望の相転移温度を有するものを容易に選択できる観点から、好ましくは鎖状の飽和炭化水素化合物(パラフィン系炭化水素化合物)である。
鎖状の飽和炭化水素化合物は、具体的には、n−デカン(C10(炭素数、以下同様)、−29℃(転移点(融点)、以下同様))、n−ウンデカン(C11、−25℃)、n−ドデカン(C12、−9℃)、n−トリデカン(C13、−5℃)、n−テトラデカン(C14、6℃)、n−ペンタデカン(C15、9℃)、n−ヘキサデカン(C16、18℃)、n−ヘプタデカン(C17、21℃)、n−オクタデカン(C18、28℃)、n−ナノデカン(C19、32℃)、n−エイコサン(C20、37℃)、n−ヘンイコサン(C21、41℃)、n−ドコサン(C22、46℃)、n−トリコサン(C23、47℃)、n−テトラコサン(C24、50℃)、n−ペンタコサン(C25、54℃)、n−ヘキサコサン(C26、56℃)、n−ヘプタコサン(C27、60℃)、n−オクタコサン(C28、65℃)、n−ノナコサン(C29、66℃)、n−トリアコンタン(C30、67℃)、n−テトラコンタン(C40、81℃)、n−ペンタコンタン(C50、91℃)、n−ヘキサコンタン(C60、98℃)、n−ヘクタン(C100、115℃)等であってよい。鎖状の飽和炭化水素化合物は、これらの直鎖状の飽和炭化水素化合物と同様の炭素数を有する分岐状の飽和炭化水素化合物であってもよい。鎖状の飽和炭化水素化合物は、これらの1種又は2種以上であってよい。
蓄熱性成分を内包する外殻(シェル)は、好ましくは、蓄熱性成分の転移点(融点)よりも十分に高い耐熱温度を有する材料で形成されている。外殻を形成する材料は、蓄熱性成分の転移点(融点)に対して、例えば30℃以上、好ましくは50℃以上の耐熱温度を有する。なお、耐熱温度は、示差熱熱重量同時測定装置(例えばTG−DTA6300((株)日立ハイテクサイエンス製))を用いて、カプセルの重量減少を測定した際に、1%重量減少した温度として定義される。
外殻を形成する材料としては、硬化性組成物により形成される蓄熱材の用途に応じた強度を有する材料が適宜選択される。外殻は、好ましくは、メラミン樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、シリカ等で形成されていてよい。メラミン樹脂を含む外殻を有するマイクロカプセルとしては、例えばアウトラストテクノロジー社製のBA410xxP,6C、BA410xxP,18C、BA410xxP,37C、三菱製紙(株)製のサーモメモリーFP−16、FP−25、FP−31、FP−39、三木理研工業(株)製のリケンレジンPMCD−15SP、25SP、32SP等が例示される。アクリル樹脂(ポリメチルメタクリレート樹脂)を含む外殻を有するマイクロカプセルとしては、BASF社製のMicronalDS5001X、5040X等が例示される。シリカを含む外殻を有するマイクロカプセルとしては、三木理研工業(株)製のリケンレジンLA−15、LA−25、LA−32等が例示される。
蓄熱性カプセル中の蓄熱性成分の含有量は、蓄熱効果を更に高める観点から、蓄熱性カプセルの全量基準で、好ましくは20質量%以上、より好ましくは60質量%以上であり、蓄熱性成分の体積変化によるカプセルの破損を抑制する観点から、好ましくは80質量%以下である。
蓄熱性カプセルは、カプセルの熱伝導性、比重等を調節する目的で、外殻内に、黒鉛、金属粉、アルコール等を更に含んでいてもよい。
蓄熱性カプセルの粒子径(平均粒径)は、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.2μm以上、更に好ましくは0.5μm以上であり、好ましくは100μm以下、より好ましくは50μm以下である。蓄熱性カプセルの粒子径(平均粒径)は、レーザ回折式粒子径分布測定装置(例えばSALD−2300((株)島津製作所製)を用いて測定される。
蓄熱性カプセルの含有量は、蓄熱効果を更に高める観点から、硬化性組成物全量基準で、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上、更に好ましくは40質量%以上である。蓄熱性カプセルの含有量は、硬化性組成物の硬化物からの蓄熱性カプセルの脱落を抑制する観点から、硬化性組成物全量基準で好ましくは90質量%以下、より好ましくは85質量%以下、更に好ましくは80質量%以下である。
硬化性組成物は、硬化性組成物の硬化物(蓄熱材)の熱的信頼性を向上させる観点から、酸化防止剤を更に含有してもよい。酸化防止剤は、例えば、フェノール系酸化防止剤、ベンゾフェノン系酸化防止剤、ベンゾエート系酸化防止剤、ヒンダートアミン系酸化防止剤、ベンゾトリアゾール系酸化防止剤等であってよい。
酸化防止剤の含有量は、硬化性組成物全量基準で、0.1質量%以上、0.5質量%以上、0.8質量%以上、又は1質量%以上であってよく、10質量%以下又は5質量%以下であってよく、硬化性組成物の硬化物の柔軟性に優れる観点から、好ましくは4質量%以下、より好ましくは3質量%以下、更に好ましくは2.5質量%以下、特に好ましくは2質量%以下である。
硬化性組成物は、必要に応じて、その他の添加剤を更に含有することができる。その他の添加剤としては、例えば、表面処理剤、硬化促進剤、着色剤、フィラー、結晶核剤、熱安定剤、熱伝導材、可塑剤、発泡剤、難燃剤、制振剤、脱水剤、難燃助剤(例えば金属酸化物)等が挙げられる。その他の添加剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。その他の添加剤の含有量は、硬化性組成物全量基準で、0.1質量%以上であってよく、30質量%以下であってよい。
硬化性組成物は、50℃において液体状であってよい。これにより、複雑な形状を有する部材間等においても、充填等の方法により硬化性組成物を容易に設けることができる。この場合、硬化性組成物の50℃における粘度は、流動性及びハンドリング性に優れる観点から、好ましくは100Pa・s以下、より好ましくは50Pa・s以下、更に好ましくは20Pa・s以下、特に好ましくは10Pa・s以下であり、例えば0.5Pa・s以上であってよい。硬化性組成物の粘度は、JIS Z 8803に基づいて測定された値を意味し、具体的には、E型粘度計(例えば、東機産業(株)製、PE−80L)により測定された値を意味する。なお、粘度計の校正は、JIS Z 8809−JS14000に基づいて行うことができる。
以上説明した硬化性組成物に含まれる式(1)で表される化合物は、ポリオキシアルキレン鎖を有し、かつ(メタ)アクリロイル基を有する化合物であるため、式(1)で表される化合物及び重合開始剤を含有する硬化性組成物は硬化可能である。そして、式(1)で表される化合物(更には必要に応じて用いられるその他の重合性成分)に由来する硬化物がポリアルキレングリコールによる吸湿を抑制できるため、硬化性組成物から得られる蓄熱材の保存安定性が向上すると考えられる。加えて、式(1)で表される化合物がポリオキシアルキレン鎖を有していることにより、保存安定性の向上だけでなく、ポリアルキレングリコールと共に蓄熱量の向上にも寄与できる。したがって、この硬化性組成物は蓄熱材用硬化性組成物として好適であり、硬化性組成物の硬化物は蓄熱材として好適に用いられる。
[蓄熱材]
一実施形態に係る蓄熱材は、上述した硬化性組成物の硬化物を含んでいる。図1は、蓄熱材の一実施形態を示す模式断面図である。図1(a)に示すように、一実施形態に係る蓄熱材1Aは、上述した硬化性組成物の硬化物である蓄熱層2を備えるシート状(又はフィルム状)の蓄熱材である。
図1(b)に示すように、他の一実施形態に係る蓄熱材1Bは、上述した硬化性組成物の硬化物である蓄熱層2と、蓄熱層2の一方面上に設けられた粘着層3とを備えるシート状(又はフィルム状)の蓄熱材である。この場合、蓄熱材1Bの適用対象に対して蓄熱材1Bを好適に接着させることができる。
上記の各実施形態において、蓄熱層2の厚さは、例えば、0.01mm以上、0.05mm以上、又は0.1mm以上であってよく、20mm以下、10mm以下、又は5mm以下であってよい。
上記の各実施形態において、蓄熱層2は、硬化性組成物が完全に硬化された硬化物であってよく、硬化性組成物がBステージ化(半硬化)された硬化物であってもよい。図1(a)に示した蓄熱材1Aにおいては、蓄熱材1Aの適用対象に対して蓄熱材1Aを好適に接着させることができる観点から、蓄熱層2は、好ましくは、硬化性組成物がBステージ化(半硬化)された硬化物である。
粘着層3は、公知の粘着剤で構成されていてよい。粘着層3の厚さは、例えば、0.001mm以上、0.003mm以上、又は0.005mm以上であってよく、0.03mm以下、0.02mm以下、又は0.015mm以下であってよい。
蓄熱材1A,1B(これらをまとめて蓄熱材1ともいう)は、様々な分野に活用され得る。蓄熱材1は、例えば、自動車、建築物、公共施設、地下街等における空調設備(空調設備の効率向上)、工場等における配管(配管の蓄熱)、自動車のエンジン(当該エンジン周囲の保温)、電子部品(電子部品の昇温防止)、下着の繊維などに用いられる。
上述した蓄熱材1Aにおける蓄熱層2、又は蓄熱材1Bにおける蓄熱層2及び粘着層3は、支持フィルム上に設けられていてもよい。すなわち、他の一実施形態に係る蓄熱材は、支持フィルムと、支持フィルム上に設けられた蓄熱層2とを備えていてよい。他の一実施形態に係る蓄熱材は、支持フィルムと、支持フィルム上に設けられた蓄熱層2と、蓄熱層2の支持フィルムと反対側に設けられた粘着層3とを備えていてよい。これらの実施形態に係る蓄熱材は、例えば、長尺状に形成され、その長手方向に沿って巻芯に巻回された状態(ロール状の蓄熱材)であってもよい。
支持フィルムは、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリアクリロニトリル、ポリエーテルエーテルケトン、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリイミド、ポリアミドイミド等のポリマーで形成されていてよい。
支持フィルムの厚さは、例えば、1μm以上、2μm以上、又は3μm以上であってよく、15μm以下、10μm以下、又は7μm以下であってよい。
[物品及びその製造方法]
次に、蓄熱材1(硬化性組成物の硬化物)を備える物品及びその製造方法について、蓄熱材1を設ける対象として電子部品を例に挙げて説明する。
図2は、物品及びその製造方法の一実施形態を示す模式断面図である。一実施形態の物品の製造方法では、まず、図2(a)に示すように、蓄熱材を設ける対象である物品として電子部品11Aを用意する。電子部品11Aは、例えば、基板12と、基板12上に設けられた半導体チップ(熱源)13とを備えている。
続いて、図2(b)に示すように、シート状の蓄熱材1を、基板12及び半導体チップ13上に、基板12及び半導体チップ13のそれぞれと熱的に接するように配置する。蓄熱材1は、例えば、上述した図1(a)に示した蓄熱材1Aであってよく、上述した図1(b)に示した蓄熱材1Bであってよい。図1(b)に示した蓄熱材1Bを用いる場合、粘着層3が基板12及び半導体チップ13と接するように蓄熱材1Bを配置する。
蓄熱材1における蓄熱層が、硬化性組成物がBステージ化(半硬化)された硬化物である場合、蓄熱材1を配置した後に、蓄熱層を硬化させる。すなわち、本実施形態の物品の製造方法は、基板12及び半導体チップ13上に配置された蓄熱材1の蓄熱層を硬化させる工程を更に備えていてよい。
これにより、基板12と、半導体チップ13と、基板12及び半導体チップ13上に設けられた蓄熱材1(硬化性組成物の硬化物)とを備える物品14Aが得られる。
上記実施形態では、熱源13における露出した表面の全部を覆うように蓄熱材1を配置したが、他の一実施形態では、熱源における露出した表面の一部を覆うように蓄熱材を配置してもよい。
図3(a)は、物品の他の一実施形態を示す模式断面図である。図3(a)に示すように、他の一実施形態に係る物品14Bでは、蓄熱材1は、例えば半導体チップ(熱源)13における露出した表面の一部に接触して(一部を覆うように)配置されていてよい。蓄熱材1が配置される場所(蓄熱材1が半導体チップ13に接触する場所)は、図3(a)では半導体チップ13の側面部分であるが、半導体チップ13のいずれの表面上であってもよい。
図3(b)は、物品の他の一実施形態を示す模式断面図である。図3(b)に示すように、他の一実施形態に係る物品14Cでは、蓄熱材1は、基板12における半導体チップ13が設けられた面とは反対側の面に配置されている。本実施形態では、蓄熱材1は、半導体チップ13に直接接していないが、基板12を介して半導体チップ13と熱的に接触している。蓄熱材1が配置される場所は、半導体チップ13に熱的に接触していれば、基板12のいずれの表面上であってもよい。この場合でも、熱源(半導体チップ)13で発生する熱は、基板12を介して蓄熱材1に効率良く伝導し、蓄熱材1で好適に蓄えられる。
上記実施形態に係る製造方法では、蓄熱材1はシート状であるが、他の一実施形態に係る製造方法では、液体状の硬化性組成物を用いて物品を製造する(蓄熱材を形成する)こともできる。
図4は、物品の製造方法の他の一実施形態を示す模式断面図である。本実施形態に係る製造方法では、まず、図4(a)に示すように、蓄熱材を設ける対象である物品として電子部品11Bを用意する。電子部品11Bは、例えば、基板(例えば回路基板)12と、基板12上に設けられた半導体チップ(熱源)13と、半導体チップ13を基板12に接続する複数の接続部(例えば半田)15とを備えている。複数の接続部15は、互いに離間して基板12と半導体チップ13との間に設けられている。すなわち、基板12と半導体チップ13との間には、複数の接続部15同士を隔てる隙間が存在している。
続いて、図4(b)に示すように、例えばシリンジ16を用いて、基板12と半導体チップ13との間に硬化性組成物21を充填する。硬化性組成物21は、上述した実施形態に係る硬化性組成物である。硬化性組成物21は、完全に未硬化の状態であってよく、一部が硬化している状態であってもよい。
硬化性組成物21が室温(例えば25℃)で液体状の状態である場合は、室温において硬化性組成物21を充填することができる。硬化性組成物21が室温で固体状である場合は、硬化性組成物21を加熱して(例えば50℃以上)液体状にした上で充填することができる。
以上のように硬化性組成物21を充填することにより、図4(c)に示すように、硬化性組成物21は、基板12と半導体チップ13との間に存在する上記の隙間に、基板12、半導体チップ13及び接続部15のそれぞれと熱的に接するように配置される。
続いて、硬化性組成物21を硬化させることにより、図4(d)に示すように、基板12と半導体チップ13との間に存在する上記の隙間に、硬化性組成物の硬化物(蓄熱層又は蓄熱材ともいえる)22が形成される。このようにして、基板12と、基板12上に設けられた半導体チップ(熱源)13と、半導体チップ13を基板12に接続する複数の接続部15と、基板12、半導体チップ(熱源)13及び複数の接続部15で形成される隙間を充填するように設けられた硬化性組成物の硬化物(蓄熱層又は蓄熱材)22とを備える物品14Dが得られる。
硬化性組成物21の硬化方法は、硬化性組成物21が熱重合開始剤を含有する場合、配置された硬化性組成物21を加熱することによって硬化性組成物21を硬化させる方法であってよい。硬化性組成物21の硬化方法は、硬化性組成物21が光重合開始剤を含有する場合、硬化性組成物21に光(例えば200〜400nmの少なくとも一部の波長を含む光(紫外光))を照射することによって硬化性組成物21を硬化させる方法であってよい。硬化方法はこれらの方法のいずれか1種又は2種以上の組合せであってもよい。
上記の各実施形態では、熱源である半導体チップ13に直接接するように、蓄熱材1(硬化性組成物の硬化物22)を配置しているが、蓄熱材及び硬化性組成物の硬化物は、熱源に熱的に接していればよく、他の一実施形態では、例えば、熱伝導性の部材(放熱部材等)を介して熱源に熱的に接するように配置されていてもよい。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
実施例では以下の各成分を用いた。
(A−1)メトキシポリエチレングリコールアクリレート(重量平均分子量:1000、新中村化学工業(株)製)
(A−2)メトキシポリエチレングリコールアクリレート(重量平均分子量:1500、新中村化学工業(株)製)
(A−3)メトキシポリエチレングリコールアクリレート(重量平均分子量:2000、新中村化学工業(株)製)
(B−1)ポリエチレングリコール(重量平均分子量:1500、三洋化成工業株式会社製)
(B−2)ポリエチレングリコール(重量平均分子量:1300、三洋化成工業株式会社製)
(C)2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(光重合開始剤、BASF社製「ダロキュア1173」)
(D−1)ポリエチレングリコールジアクリレート(重量平均分子量:8000、新中村化学工業(株)製)
(D−2)ポリエチレングリコールジアクリレート(重量平均分子量:1000、新中村化学工業(株)製)
(E)フェノール系酸化防止剤((株)ADEKA製「アデカスタブ AO−80」)
表1に示す配合比で各成分を65℃で加熱混合し、硬化性組成物を得た。次に、青板ガラス上に離型PETフィルムを離型面が上(青板ガラスと反対側)になるように設置し、スペーサーとして200μm厚に切り出したテープで4辺を貼り合わせ、中心部に凹部(ダム)を形成した。その中心部に硬化性組成物を配置し、その上に離型PETフィルムを離型面が硬化性組成物と接するように被せて積層体を得た。続いて、離型PETフィルムの表面が青板ガラスに対して平行となるように積層体をスキージでならした後、積層体に対して、メタルハライドランプを用い、照度:130mW/cm及び照射量:4000mJ/cmの条件でUV照射を行い、厚さ200μmの蓄熱材(硬化性組成物の硬化物)を得た。
[融点及び蓄熱量の評価]
得られた各蓄熱材(硬化性組成物の硬化物)を、示差走査熱量測定計(パーキンエルマー社製、型番DSC8500)を用いて測定し、融点と蓄熱量を算出した。具体的には、室温から3℃/分の速度で100℃まで昇温し、100℃で3分間保持した後、3℃/分の速度で0℃まで降温し、次いで0℃で3分間保持した後、3℃/分の速度で100℃まで再び昇温して熱挙動を測定した。融解ピークを蓄熱材の融点とし、面積を蓄熱量とした。結果を表1に示す。
[保存安定性の評価]
温度85℃及び湿度85%に設定した恒温恒湿器内に蓄熱材(硬化性組成物の硬化物)を24時間静置した。静置前の蓄熱材の質量M1に対する24時間静置後の蓄熱材の質量M2の増加割合(=(M2−M1)/M1×100(%))を算出した。当該増加割合が小さいほど、保存安定性に優れるといえる。結果を表1に示す。
[柔軟性の評価]
厚さ200μmの蓄熱材(硬化性組成物の硬化物)を折り曲げ、折り曲げ可能な場合をA、折り曲げ時に割れてしまう場合をBとして評価した。結果を表1に示す。
Figure 2021172698
1,1A,1B…蓄熱材、2…蓄熱層、3…粘着層、11A,11B…電子部品、12…基板、13…半導体チップ(熱源)、14A,14B,14C,14D…物品、15…接続部、16…シリンジ、21…硬化性組成物、22…硬化性組成物の硬化物(蓄熱材)。

Claims (5)

  1. 下記式(1)で表される化合物と、ポリアルキレングリコールと、重合開始剤と、を含有する硬化性組成物。
    Figure 2021172698

    [式(1)中、R11は水素原子又はメチル基を表し、R12はポリオキシアルキレン鎖を有する1価の基を表す。]
  2. 前記式(1)で表される化合物の重量平均分子量が1000以上である、請求項1に記載の硬化性組成物。
  3. 蓄熱材の形成に用いられる、請求項1又は2に記載の硬化性組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の硬化性組成物の硬化物を含む、蓄熱材。
  5. 熱源と、
    前記熱源と熱的に接触するように設けられた、請求項1〜3のいずれか一項に記載の硬化性組成物の硬化物と、を備える物品。
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