JP2021172677A - 樹脂組成物、樹脂組成物の製造方法 - Google Patents

樹脂組成物、樹脂組成物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】エネルギー吸収性、耐ピンホール性に優れ、海洋生分解性を有する樹脂組成物、およびその製造方法を提供すること。【解決手段】重合体(A)および、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を含む化合物(B)を含む樹脂組成物であって、重合体(A)は、全構成単位100モル%に対し、(A−1)2−ピロリドン由来の構造単位を60mol%以上99mol%以下、および(A−2)2−ピロリドンとの溶解度パラメーター値の差が10cal/cm3以下である、エステル結合を有する環状単量体に由来する構造単位を1mol%以上40mol%以下から構成される重合体であり、樹脂組成物に対して前記化合物(B)に含まれる金属を10ppm以上5,000ppm以下含む樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、食品包材、医療用包材、農薬、試薬ボトルなど包装材や容器等に好適に用いられる樹脂組成物に関するものである。より詳しくは、エネルギー吸収性、耐ピンホール性に優れ、海洋生分解性を有する樹脂組成物、およびその製造方法に関するものである。
ポリアミド樹脂は、高靭性や高い耐熱性といった特徴を活かし、食品包材、医療用包材、農薬、試薬ボトルなど包装材や容器、粉体塗料や粉末造形など各種用途に使用されている。中でも、ポリアミド樹脂の持つ優れた酸素バリアー性から、食品や医療用輸液等の液体を含む物質を入れる用途に用いられることが多い。このような用途に用いられる際は、外力が加わるとフィルムの折り目が発生し、その繰り返し折り目部分にピンホールが発生して内容物が漏出したり、そのピンホールから酸素が進入して内容物が酸化劣化を起こしてしまうことがあることから、折り目が発生しにくくなるエネルギー吸収性や耐ピンホール性が要求されている。
一方で、近年、海洋中のマイクロプラスチックが引き起こす可能性のある、生態系への影響が指摘されている。そのような状況の中、微生物の働きによって水と二酸化炭素に分解される海洋生分解性プラスチックが注目を集めており、ポリアミド樹脂においても、海洋生分解性を有する材料が望まれている。海洋生分解性を有するポリアミド樹脂としては、海洋生分解性を有するポリアミド4樹脂が挙げられるが、融点と分解温度が近く溶融加工が困難という課題がある。
かかる溶融加工性を改良する技術として、例えば、ポリアミド4樹脂に塩を添加する工程を含む成形体の製造方法が開示されている(特許文献1)。
国際公開第2012/157576号公報
しかしながら、特許文献1は、アルカリ金属からなるハロゲン化金属塩を含有したポリアミド4の単独重合体を用いて得られる成形品であるため、靭性発現が不十分であり、エネルギー吸収量や耐ピンホール性に劣るという課題があった。
そこで、本発明では、これら従来技術の課題に鑑み、エネルギー吸収性、耐ピンホール性に優れ、海洋生分解性を有する樹脂組成物を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明は、主として以下の構成を有する。
[1]重合体(A)および、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を含む化合物(B)を含む樹脂組成物であって、重合体(A)は、全構成単位100モル%に対し、(A−1)2−ピロリドン由来の構造単位を60mol%以上99mol%以下、および(A−2)2−ピロリドンとの溶解度パラメーター値の差が10cal/cm以下である、エステル結合を有する環状単量体に由来する構造単位を1mol%以上40mol%以下から構成される重合体であり、樹脂組成物に対して前記化合物(B)に含まれる金属を10ppm以上5,000ppm以下含む樹脂組成物。
[2]前記化合物(B)が、リチウムおよびカリウムから選ばれるいずれかを含む化合物であることを特徴とする、[1]に記載の樹脂組成物。
[3]前記化合物(B)が、炭素数4〜30の有機基を有する金属アルコキシドである、[1]または[2]に記載の樹脂組成物。
[4](A−1)2−ピロリドン、および(A−2)2−ピロリドンとの溶解度パラメーター値の差が10cal/cm以下である、エステル結合を有する環状単量体を、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を含有する化合物(B)の存下で重合する、[1]〜[3]に記載の樹脂組成物の製造方法。
本発明の樹脂組成物は、エネルギー吸収性、耐ピンホール性に優れ、食品包材、医療用包材、農薬、試薬ボトルなど包装材や容器などに好適に利用できる。更に海洋生分解性を有するため、使用後の廃棄が容易となり、環境負荷を低減できる。
以下、本発明について詳細を説明する。
本発明の樹脂組成物は、下記の(A−1)と(A−2)から構成される重合体(A)を含むことを必須とする。
本発明における(A−1)は、(A)の全構成単位100モル%に対し、(A−1)2−ピロリドン由来の構造単位を60mol%以上99mol%以下であり、かかる(A−1)は、70mol%以上97mol%以下であることがより好ましい。60mol%未満であれば、樹脂組成物の結晶性が低くなりすぎ、エネルギー吸収性が低下する。一方、99mol%より多ければ、靭性が発現せず、エネルギー吸収量が低下するとともに、耐ピンホール性が低下する。また、海洋分解性も低下する。
ここで、2−ピロリドンに由来する構造単位は、下記化学式に示すとおりである。なお、アルキレン鎖に存在する水素は本発明の目的を損なわない限りにおいて、低級アルキル基、低級アルコキシル基もしくは低級エステル基、すなわち炭素数5以下,好ましく2以下のアルキル基、アルコキシル基もしくはエステル基、または水酸基、カルボキシル基等の置換基に置換しうる。
Figure 2021172677
本発明における(A−2)は、(A)の全構成単位100モル%に対し、エステル結合を有する環状単量体に由来する構造単位が1mol%以上40mol%以下である。なお、かかる構造単位は、2−ピロリドンとの溶解度パラメーター値の差が10cal/cm以下であるものを指す。(A−2)を用いることで、重合時に2−ピロリドンと環状単量体が均一に溶解してランダム共重合体を形成し、海洋分解性の低い環状単量体に由来する構造単位のブロックおよび結晶相が形成されないため、海洋分解性を向上させることができる。一方、重合体(A)の結晶性を適度に低下させるため、エネルギー吸収性や耐ピンホール性に優れた樹脂組成物を得ることができる。
なお、溶解度パラメーター値は、Properties of Polymers 4th Edition(D.W. Van Krevelen著、Elsevier Science社2009年発行)、Chapter7、P215記載のHoftyzer−Van Krevelenの凝集エネルギー密度とモル分子容から算出した値を示す。本方法で計算できない場合は、同章P195記載のFedorsの凝集エネルギー密度とモル分子容から算出した値を示す。
また、本発明における溶解度パラメーター値の差(以下、ΔSPと称する場合がある)は、下記式(1)より算出することができる。
ΔSP=|(SPA−1)−(SPA−2)|・・・・・・・・・・・・・・(1)
SPA−1:(A−1)構造単位の溶解度パラメーター値
SPA−2:(A−2)構造単位の溶解度パラメーター値
かかる環状単量体としては、例えば、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン等が挙げられる。なお、アルキレン鎖に存在する水素は本発明の目的を損なわない限りにおいて、低級アルキル基、低級アルコキシル基もしくは低級エステル基、すなわち炭素数5以下,好ましく2以下のアルキル基、アルコキシル基もしくはエステル基、または水酸基、カルボキシル基等の置換基に置換しうる。これらは、単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
本発明における(A−2)は、(A)の全構成単位100モル%に対し、環状単量体に由来する構造単位は全繰り返し単位の1mol%以上40mol%以下であり、3mol%以上30mol%以下であることがより好ましい。1mol%より少なければ、靭性が低下し、エネルギー吸収量が低下するとともに、耐ピンホール性が劣る。40mol%より多ければ、樹脂組成物の結晶性が低くなりすぎ、エネルギー吸収性が低下する。
ここで、重合体(A)に含まれる、(A−1)や(A−2)のモル%は、例えば、NMR、FT−IR等の方法を単独あるいは組み合わせて用いて分析することで求めることができる。
本発明の重合体(A)の重量平均分子量は、8,000以上1,000,000以下が好ましい。8,000以上の場合、樹脂組成物のエネルギー吸収性を向上させる傾向にある。重量平均分子量は、10,000以上がより好ましく、30,000以上が更に好ましい。また1,000,000以下とすることで、架橋物などの副反応物の生成や劣化を抑制できる場合があり、耐ピンホール性を向上させることができる傾向にある。重合体(A)の重量平均分子量は500,000以下がより好ましく、100,000以下がさらに好ましい。
かかる重合体(A)の重量平均分子量とは、ヘキサフルオロイソプロパノールを溶媒にゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した値をポリメチルメタクリレートで換算した重量平均分子量を示す。
本発明における樹脂組成物は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属化合物(B)を含有する。かかる(B)は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属が樹脂組成物中のアミド基に配位するため、アミド基間の水素結合を適度に緩和することができ、エネルギー吸収性、耐ピンホール性に優れ、海洋分解性を高めることができる。
本発明の(B)アルカリ金属またはアルカリ土類金属化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等の水酸化物、水素化ナトリウム、水素化カリウム、水素化ホウ素ナトリウム等の水素化物、リチウムt−ブトキシド、ナトリウムt−ブトキシド、カリウムt−ブトキシド、リチウムn−ブトキシド、ナトリウムn−ブトキシド、カリウムn−ブトキシド、リチウムt−ペントキシド、ナトリウムt−ペントキシド、カリウムt−ペントキシド等のアルコキシド、メチルリチウム、n−ブチルリチウム、s−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム等のアルキル金属化合物、ハロゲン化リチウム、ハロゲン化ナトリウム、ハロゲン化カリウム、ハロゲン化カルシウムなどのハロゲン化金属塩、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウムなどの炭酸塩、ナトリウムナフタレン等のアリール金属が挙げられる。これらは、単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
中でも、アミド基と配位しやすく、エネルギー吸収性、耐ピンホール性、海洋分解性をさらに向上させることができるため、(B)アルカリ金属またはアルカリ土類金属化合物は、リチウム化合物またはカリウム化合物であることが好ましい。
リチウム化合物またはカリウム化合物の中でも、炭素数4〜30の有機基を有する金属アルコキシドであることが好ましい。炭素数4〜30の有機基を有する金属アルコキシドは、適度な鎖長の炭素鎖を有しているため、樹脂組成物との相溶性が高い。また、適度な鎖長の炭素鎖を有しているため、強度低下なく靭性を向上させ、エネルギー吸収性、耐ピンホール性を向上させることができる傾向にある。
本発明の樹脂組成物中の(B)アルカリ金属またはアルカリ土類金属化合物の金属元素が、樹脂組成物中の総量100質量部に対して、10ppm以上5,000ppm以下含む。10ppm未満の場合、樹脂組成物の結晶性が高すぎるため、樹脂組成物のエネルギー吸収性、耐ピンホール性が低下する。また、5,000ppmを超える場合、樹脂組成物の結晶性の極度に低下し、エネルギー吸収性、耐ピンホール性が低下する。1,000ppm以下が好ましく、500ppm以下がより好ましい。
本発明の樹脂組成物中の(B)アルカリ金属またはアルカリ土類金属化合物の金属元素量は、例えば、原子吸光を用いた検量線法により求めることが出来る。本発明の樹脂組成物を550℃の電気炉で24時間灰化させ、その灰化物に濃硫酸を加えて加熱して湿式分解し、分解液を希釈する。その希釈液を原子吸光分析計((株)島津製作所製AA−6300)を用いて、原子吸光分析(検量線法)することにより金属含有量を求めることができる。
本発明における海洋生分解性とは、海水中の微生物によって分解されることを示す。具体的には、100mLに対し0.05gの塩化アンモニウムと、同0.01gのリン酸2カリウムを加えた23℃の海水中に2ヵ月間静置した後、試験前後の樹脂組成物の重量を測定し、試験後の重量保持率が85%以下であった場合、海洋生分解性を有するとした。海水中での分解速度が速いほど環境への負荷が低いことから、重量保持率は80%以下が好ましく、75%以下がより好ましい。
本発明の樹脂組成物は、例えば、以下の製造方法によって製造することができる。
その一例としては、2−ピロリドンとなる単量体と、2−ピロリドンとのΔSPが10cal/cm以下であるエステル結合を有する環状単量体を、重合開始剤、反応触媒の存在下にてアニオン重合反応を行って樹脂組成物を製造する。
重合開始剤としては、重合反応が開始されるものであれば特に制限は無く、公知の重合開始剤を用いることができる。重合開始剤としては、具体的に、炭酸ガス、二酸化硫黄、N−アセチルピロリドンやN−アセチルε−カプロラクタム等のラクタム類のアシル化物、塩化アセチルや塩化ステアロイルなどのカルボン酸ハロゲン化物、無水酢酸や無水フタル酸などのカルボン酸無水物、カルボン酸メチルエステルなどのカルボン酸エステル、2,4−ジイソシアン酸トリレンなどのイソシアネート化合物などを挙げることができる。これらの重合開始剤は、1種類を用いても、2種類以上を併用してもよい。重合開始剤の添加量は、2−ピロリドンとなる単量体と、2−ピロリドンとのΔSPが10cal/cm以下であるエステル結合を有する環状単量体の全量の100モル%に対して、0.01モル%以上10モル%以下が好ましい。添加量が0.01モル%以上であれば、重合を進行させることができる。0.05モル%以上がより好ましく、0.1モル%以上が更に好ましい。また、添加量を10モル%以下とすることで、高分子量の樹脂組成物を得ることができる。添加量は5モル%以下がより好ましく、3モル%以下が更に好ましい。
反応触媒としては、アルカリ金属またはアルカリ土類金属化合物(B)を用いることができる。反応触媒の添加量は、単量体100モル%に対して、0.01モル%以上10モル%以下が好ましい。添加量が0.01モル%以上であれば、重合の進行を速くすることができる。0.05モル%以上がより好ましく、0.1モル%以上が更に好ましい。また、添加量を10モル%以下とすることで、高分子量の樹脂組成物を得ることができる。添加量は5モル%以下がより好ましく、3モル%以下が更に好ましい。
重合温度としては、原材料となる単量体の重合が進行する温度であれば特に制限はないが、0℃以上100℃以下であることが好ましい。0℃以上であれば、重合度を高めることができる。20℃以上が好ましく、40℃以上がさらに好ましい。さらに、重合温度を100℃以下とすることで副反応を抑制しつつ重合させることができる。重合温度は80℃以下とすることが好ましく、60℃以下とすることがさらに好ましい。
重合時間は、適宜調整可能であるが、0.1時間以上70時間以下の範囲であることが好ましい。重合時間が0.1時間以上であれば、得られる樹脂組成物の分子量が増大し、樹脂組成物のエネルギー吸収性、耐ピンホール性を向上させることができる。重合時間は、0.2時間以上がより好ましく、0.3時間以上がさらに好ましく、0.5時間以上が特に好ましい。重合時間が70時間以下であれば、樹脂組成物の劣化や着色を防ぐことができる。重合時間は、50時間以下がより好ましく、25時間以下がさらに好ましく、10時間以下が特に好ましい。
樹脂組成物を単離するには、重合終了時点の混合物を樹脂組成物の貧溶媒にて洗浄し、未反応の単量体や樹脂組成物と配位していない金属化合物除去する方法などが挙げられる。樹脂組成物の貧溶媒としては適宜選択できるが、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、イソブタノールなどのアルコール類が好ましい。
また、2−ピロリドンとなる単量体と、2−ピロリドンとのΔSPが10cal/cm以下であるエステル結合を有する環状単量体を、該単量体に非相溶の溶媒に分散させ、重合開始剤、反応触媒の存在下にて重合を行い樹脂組成物を製造する方法、該単量体に相溶の溶媒に溶解させ、重合開始剤等の存在下にて反応を行い重合後に樹脂組成物が析出する方法も好ましく用いられる。これらの手法を用いた場合、バルク重合と異なり、重合終了時まで系内を均一に攪拌できるため、反応系中の除熱が効率的に行われ、より分子量の揃った樹脂組成物を得ることができる。
また、2−ピロリドンと環状単量体に由来する構造単位を繰り返し単位として有する重合体(A)、アルカリ金属またはアルカリ土類金属化合物(B)および必要に応じてその他成分を溶融混練することにより得る方法も用いることができる。溶融混練には公知の方法を用いることができ、例えば、バンバリーミキサー、ゴムロール機、ニーダー、単軸もしくは二軸押出機などを用い、溶融混練して樹脂組成物とすることができる。中でも生産性の観点から、二軸押出機が好ましい。
本発明の樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲でさらに充填剤(例えばマイカ、タルク、カオリン、シリカなど)、酸化防止剤、熱安定剤(例えば、ヒンダードフェノール、ヒドロキノン、ホスファイト類およびこれらの置換体など)、紫外線吸収剤、着色防止剤、難燃剤、滑剤および離型剤、染料または顔料を含む着色剤、あるいは着色剤としてカーボンブラック、結晶核剤、および可塑剤から選択される通常の添加剤を配合することが出来る。あるいは、重合体(A)以外の重合体を配合して、所定の特性をさらに付与することができる。
かくして得られる樹脂組成物は、射出成形、射出圧縮成形、圧縮成形、押出成形、ブロー成形、プレス成形などの公知の溶融成形を行うことによって、優れたエネルギー吸収性、耐ピンホール性、海洋分解性を有する成形品に加工することが可能である。ここでいう成形品としては、射出成形品、押出成形品、プレス成形品、シート、パイプ、未延伸フィルム、一軸延伸フィルム、二軸延伸フィルムなどの各種フィルム、未延伸糸、超延伸糸などの各種繊維などが挙げられる。また、本発明の樹脂組成物は粒子として用いることもできる。
以下に実施例を挙げて本発明の実施形態をさらに具体的に説明する。しかし、本発明は以下の実施例に限定して解釈されるべきものではないことは明らかである。特性評価は下記の方法に従って行った。
[重合体の分子量]
重合体の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法を用い、ポリメチルメタクリレートによる校正曲線と対比させて分子量を算出した。測定サンプルは、試料約3mgをヘキサフルオロイソプロパノール約3gに溶解し調製した。
装置:Waters e−Alliance GPC system
カラム:昭和電工株式会社製HFIP−806M×2
移動相:5mmol/Lトリフルオロ酢酸ナトリウム/ヘキサフルオロイソプロパノール
流速:1.0ml/分
温度:30℃
検出:示差屈折率計
[重合体の組成]
樹脂組成物を減圧乾燥し、H−NMR測定に供して2−ピロリドン由来の構造単位および2−ピロリドンとの溶解度パラメーター値の差が10cal/cm以下である、エステル結合を有する環状単量体に由来する構造単位の化学構造を特定した。さらに、それぞれの構造に由来するピークのピーク面積を定量し、重合体の組成比率を求めた。
装置:H−NMR測定は日本電子(株)製核磁気共鳴装置(JNM−AL400)溶媒:重ヘキサフルオロイソプロパノール
観測周波数:OBFRQ399.65MHz
OBSET124.00KHz
OBFIN10500.00Hz
積算回数:256回
[海洋生分解性]
目開き30μmのメッシュで異物を除去した海水100mLに対し0.05gの塩化アンモニウムと、同0.01gのリン酸2カリウムを加えた。
この海水調製液に、樹脂組成物2.0gを加え、水温を23℃に保ち、2ヵ月間静置した。なお、海水は愛知県知多市の港湾部から採取し、1ヶ月に1度海水の入れ替えを実施した。試験後の樹脂組成物をメンブレンフィルターで濾集し、60℃で24時間真空乾燥した後の樹脂組成物の重量を測定し、重量保持率((試験後の樹脂組成物の重量)/(試験前の樹脂組成物の重量(2.0g))×100(%))を求めた。重量保持率が小さいほど海洋生分解性に優れることを意味する。
[樹脂組成物中の金属元素量]
樹脂組成物を減圧乾燥する。その粉体を550℃の電気炉で24時間灰化させ、その灰化物に濃硫酸を加えて加熱して湿式分解し、分解液を希釈する。その希釈液を原子吸光分析計((株)島津製作所製AA−6300)を用いて、原子吸光分析(検量線法)することにより金属元素量を求めた。
[エネルギー吸収性]
HK−20D(パーカーコーポレーション社製)を用い、シリンダー温度:270℃、ローラー温度:80℃の条件で樹脂組成物を溶融成膜することにより、厚さ100μmのフィルムを作製した。得られたフィルムを打ち抜き刃で打ち抜き、ダンベル状の引張試験片を得た。この引張試験片について、ISO178(2001)に従い、引張試験機テンシロンUTA2.5T(オリエンテック社製)により、クロスヘッド速度5mm/minで引張試験を行い、横軸を歪み、縦軸を応力とした応力歪み曲線を得た。得られた応力歪み曲線とグラフの横軸に囲まれた面積を算出し、エネルギー吸収量を算出した。本試験での値が大きいほどエネルギー吸収性に優れることを意味する。
[耐ピンホール性(繰り返し屈曲疲労テスト)]
HK−20D(パーカーコーポレーション社製)を用い、シリンダー温度:270℃、ローラー温度:80℃の条件で樹脂組成物を溶融成膜することにより、厚さ100μmのフィルムを作製した。得られたフィルムをテスター産業(株)製恒温槽付ゲルボフレックステスターにより、MIL−B−131Cに準じ、10℃下で100回の繰り返し屈曲疲労を与えた後、そのフィルムに生じるピンホールの個数をサンコウ電子製ピンホール探知器を用いて測定した。尚、本試験での値としては0ほど耐ピンホール性に優れることを意味する。
[実施例1]
50℃油浴中にて1,000mLのフラスコ中に2−ピロリドン(富士フイルム和光純薬株式会社製)421.0g、ε−カプロラクトン(富士フイルム和光純薬株式会社製)4.3g、カリウムt−ブトキシド(東京化成工業株式会社製)11.22gを加え、溶解させた。さらに1−アセチル−2−ピロリドン12.71gを加え、系内を窒素で置換した後、1時間重合し塊状物を得た。得られた塊状物を粉砕した後に、3,000mLのエタノールで2度洗浄し、80℃で24時間真空乾燥することで、樹脂組成物X−1を得た。得られたX−1の重量平均分子量(Mw)は47,000であった。樹脂組成物中の金属原子含有量は、410ppmであった。
[実施例2]
50℃油浴中にて1,000mLのフラスコ中に2−ピロリドン(富士フイルム和光純薬株式会社製)383.0g、ε−カプロラクトン(富士フイルム和光純薬株式会社製)57.1g、カリウムt−ブトキシド(東京化成工業株式会社製)11.22gを加え、溶解させた。さらに1−アセチル−2−ピロリドン12.71gを加え、系内を窒素で置換した後、1時間重合し塊状物を得た。得られた塊状物を粉砕した後に、3,000mLのエタノールで2度洗浄し、80℃で24時間真空乾燥することで、樹脂組成物X−2を得た。得られたX−2の重量平均分子量(Mw)は52,000であった。樹脂組成物中の金属原子含有量は、420ppmであった。
[実施例3]
50℃油浴中にて1,000mLのフラスコ中に2−ピロリドン340.4g、ε−カプロラクトン114.1g、カリウムt−ブトキシド11.22gを加え、溶解させた。さらに1−アセチル−2−ピロリドン12.71gを加え、系内を窒素で置換した後、1時間重合し塊状物を得た。得られた塊状物を粉砕した後に、3,000mLのエタノールで2度洗浄し、80℃で24時間真空乾燥することで、樹脂組成物X−3を得た。得られたX−3の重量平均分子量(Mw)は48,000であった。樹脂組成物中の金属原子含有量は、400ppmであった。
[実施例4]
50℃油浴中にて1,000mLのフラスコ中に2−ピロリドン255.3g、ε−カプロラクトン172.2g、カリウムt−ブトキシド11.22gを加え、溶解させた。さらに1−アセチル−2−ピロリドン12.71gを加え、系内を窒素で置換した後、1時間重合し塊状物を得た。得られた塊状物を粉砕した後に、3,000mLのエタノールで2度洗浄し、80℃で24時間真空乾燥することで、樹脂組成物X−4を得た。得られたX−4の重量平均分子量(Mw)は50,000であった。樹脂組成物中の金属原子含有量は、400ppmであった。
[実施例5]
50℃油浴中にて1,000mLのフラスコ中に2−ピロリドン383.0g、ε−カプロラクトン57.1g、カリウムt−ブトキシド5.6gを加え、溶解させた。さらに1−アセチル−2−ピロリドン6.4gを加え、系内を窒素で置換した後、2時間重合し塊状物を得た。得られた塊状物を粉砕した後に、3,000mLのエタノールで2度洗浄し、80℃で24時間真空乾燥することで、樹脂組成物X−5を得た。得られたX−5の重量平均分子量(Mw)は50,000であった。樹脂組成物中の金属原子含有量は、210ppmであった。
[実施例6]
50℃油浴中にて1,000mLのフラスコ中に2−ピロリドン383.0g、ε−カプロラクトン57.1g、ナトリウムt−ブトキシド9.6gを加え、溶解させた。さらに1−アセチル−2−ピロリドン12.71gを加え、系内を窒素で置換した後、1時間重合し塊状物を得た。得られた塊状物を粉砕した後に、3,000mLのエタノールで2度洗浄し、80℃で24時間真空乾燥することで、樹脂組成物X−6を得た。得られたX−6の重量平均分子量(Mw)は51,000であった。樹脂組成物中の金属原子含有量は、390ppmであった。
[実施例7]
50℃油浴中にて1,000mLのフラスコ中に2−ピロリドン383.0g、ε−カプロラクトン57.1g、水素化カリウム(関東化学株式会社製)4.0gを加え、溶解させた。さらに1−アセチル−2−ピロリドン12.71gを加え、系内を窒素で置換した後、1時間重合し塊状物を得た。得られた塊状物を粉砕した後に、3,000mLのエタノールで2度洗浄し、80℃で24時間真空乾燥することで、樹脂組成物X−7を得た。得られたX−7の重量平均分子量(Mw)は49,000であった。樹脂組成物中の金属原子含有量は、450ppmであった。
[実施例8]
50℃油浴中にて1,000mLのフラスコ中に2−ピロリドン(富士フイルム和光純薬株式会社製)383.0g、ε−カプロラクトン(富士フイルム和光純薬株式会社製)57.1g、カリウムt−ブトキシド(東京化成工業株式会社製)112.2gを加え、溶解させた。さらに1−アセチル−2−ピロリドン12.71gを加え、系内を窒素で置換した後、1時間重合し塊状物を得た。得られた塊状物を粉砕した後に、3,000mLのエタノールで2度洗浄し、80℃で24時間真空乾燥することで、樹脂組成物X−8を得た。得られたX−8の重量平均分子量(Mw)は55,000であった。樹脂組成物中の金属原子含有量は、4,300ppmであった。
[比較例1]
50℃油浴中にて1,000mLのフラスコ中に2−ピロリドン(富士フイルム和光純薬株式会社製)425.5g、カリウムt−ブトキシド(東京化成工業株式会社製)11.22gを加え、溶解させた。さらに1−アセチル−2−ピロリドン12.71gを加え、系内を窒素で置換した後、1時間重合し塊状物を得た。得られた塊状物を粉砕した後に、3,000mLのエタノールで2度洗浄し、80℃で24時間真空乾燥することで、樹脂組成物X’−1を得た。得られたX’−1の重量平均分子量(Mw)は46,000であった。樹脂組成物中の金属原子含有量は、380ppmであった。
[比較例2]
3LのオートクレーブにX−2を40g、溶媒として水800gを加え密封後、窒素で10kg/cmまで置換した。窒素を放出させながら系の圧力を0.1kg/cmに調整後、温度を200℃まで昇温し、60rpmで2時間攪拌した。このとき、系内の圧力は9.3kg/cmであった。その後、内温が30℃となるまで、60rpmで攪拌しつつ送風してオートクレーブを冷却した後、系中の懸濁液を吐出した。懸濁液の濾過を行い、得られた濾集物を、60℃で24時間真空乾燥し、樹脂組成物X’−2を得た。樹脂組成物中の金属原子含有量は、0.1ppm以下であった。
[比較例3]
ヘキサフルオロイソプロパノール400g中にX−2を40g加えて溶解し、さらにカリウムt−ブトキシド4gを加え溶解させた。得られたヘキサフルオロイソプロパノール溶液をガラスシャーレ内にキャストし、室温で24時間以上風乾し、その後50℃で12時間真空乾燥して樹脂組成物X’−3を得た。樹脂組成物中の金属原子含有量は、35,000ppmであった。
Figure 2021172677
Figure 2021172677
実施例1〜7と比較例1〜3より、2−ピロリドンおよび2−ピロリドンとのΔSPが10cal/cm以下であるエステル結合を有する環状単量体を本発明の範囲で共重合させ、かつアルカリ金属またはアルカリ土類金属化合物(B)を本発明の範囲で含有させることで、エネルギー吸収性、耐ピンホール性、海洋分解性に優れた。
本発明の樹脂組成物は、良好なエネルギー吸収性、耐ピンホール性を示し、食品包材、医療用包材、農薬、試薬ボトルなど包装材や容器などに好適に利用できる。更に海洋生分解性を有するため、使用後の廃棄が容易となり、環境負荷を低減できる。

Claims (4)

  1. 重合体(A)および、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を含む化合物(B)を含む樹脂組成物であって、重合体(A)は、全構成単位100モル%に対し、(A−1)2−ピロリドン由来の構造単位を60mol%以上99mol%以下、および(A−2)2−ピロリドンとの溶解度パラメーター値の差が10cal/cm以下である、エステル結合を有する環状単量体に由来する構造単位を1mol%以上40mol%以下から構成される重合体であり、樹脂組成物に対して前記化合物(B)に含まれる金属を10ppm以上5,000ppm以下含む樹脂組成物。
  2. 前記化合物(B)が、リチウムおよびカリウムから選ばれるいずれかを含む化合物であることを特徴とする、請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記化合物(B)が、炭素数4〜30の有機基を有する金属アルコキシドである、請求項1または2に記載の樹脂組成物。
  4. (A−1)2−ピロリドン、および(A−2)2−ピロリドンとの溶解度パラメーター値の差が10cal/cm以下である、エステル結合を有する環状単量体を、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を含有する化合物(B)の存在下で重合する、請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物の製造方法。
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