JP2021172503A - 繊維パッケージ - Google Patents

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Shota Harada
恒 篠川
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Abstract

【課題】 細繊度モノフィラメントの高速解舒性に優れた繊維パッケージを提供する。さらに詳しくは、細繊度モノフィラメントを高速で解舒する時に、テーパー中央部から発生するフォーム崩れを抑制し、高速解舒性に優れた熱可塑性繊維パッケージを提供する。【解決手段】 繊度が13dtex以下の熱可塑性繊維が巻き取られた繊維パッケージにおいて、パッケージの端面がテーパー形状であり、テーパー部がパッケージ巻芯側に凹んでいる繊維パッケージにより達成できる。【選択図】図1

Description

本発明は熱可塑性繊維の繊維パッケージに関する。さらに詳しくは、細繊度の熱可塑性モノフィラメントの高速解舒性が良好な繊維パッケージに関する。
昨今では、熱可塑性繊維の編織工程において、高生産性、高速度化技術が確立、一般化されており、中には1000m/分以上の解舒速度で使用されるケースも少なくない。解舒速度の高速度化が進むと、一般的には解舒時に糸切れが増加し、解舒性の良し悪しが生産効率、高次加工製品の品位に与える影響は大きい。
また製糸技術の高度化及び市場の要望により、繊維の細繊度化が進んでいる。細繊度化が進むと、繊維重量が軽くなるため解舒時に形成される解舒バルーンが小さくなり、繊維がより強くパッケージの表面と擦れる。また、細繊度繊維は巻き密度が高くなるため、パッケージのストレート中央部がより巻き締まる。したがって、テーパー部は膨らむようになり、特にテーパー部中央部は膨らみやすく繊維が弛みやすい。これより、解舒時にテーパー部中央部からフォーム崩れが起き、解舒不良が発生しやすくなる。解舒性改善を目的とした繊維パッケージの提案はこれまでいくつかなされている(例えば特許文献1〜3)。
特許文献1では、ポリエステル(PET)モノフィラメントのパッケージにつき、テーパー角を75°以下として糸落ちの抑制の提案がなされている。
特許文献2では、仮撚加工糸のチーズ状パッケージの解舒性改善を目的とした提案がなされている。パッケージの内外層でテーパー角を変化させ、テーパー形状を巻芯側と反対方向に凸にすることでパッケージ端面の糸落ちの抑制をしている。
特許文献3では、付着油剤の調整を行うことでガイド通過時の張力の低下、静電気の発生を抑制して優れた品位かつ製織生産性のよいポリアミドモノフィラメントおよび繊維パッケージの提案がなされており、8dtexのナイロン66モノフィラメント、整経速度上限250m/分が例示されている。
国際公開第2011−086954号パンフレット 特開2016−69160号公報 国際公開第2016−052287号パンフレット
しかしながら、特許文献1に記載のパッケージは、テーパー角を75°以下とすることで、テーパー端部の糸落ちは抑制できるが、テーパー部中央部の弛みは軽減できず、細繊度繊維の高速解舒時にフォーム崩れが多発する。
特許文献2に記載のパッケージは、太繊度の繊維であり、テーパー部は巻芯と反対方向に膨らんでいるため、細繊度繊維の高速解舒時には、テーパー部中央部からフォーム崩れが多発する。
特許文献3に記載のパッケージは、具体的なテーパー形状の示唆もなく、800m/分以上の高速解舒性について何の示唆もない。細繊度繊維は巻密度が高くなるため、パッケージストレート中央部がより巻き締まる。したがって、テーパー部は膨らむようになり、特にテーパー部中央部は膨らみやすく繊維が弛みやすいため、細繊度繊維の高速解舒時には、テーパー部中央部からフォーム崩れが起き、解舒不良が発生しやすくなる懸念が依然として残されていた。
そこで本発明は、上記課題を克服し、細繊度繊維の高速解舒性に優れた繊維パッケージを提供することを課題とする。さらに詳しくは、細繊度繊維を高速で解舒する時に、テーパー中央部から発生するフォーム崩れを抑制し、高速解舒性に優れた熱可塑性繊維パッケージを提供することを課題とする。
本発明は、上記課題を解決するため、以下の構成を採用する。
(1)繊度が13dtex以下の熱可塑性繊維が巻かれた繊維パッケージにおいて、パッケージの端面がテーパー形状であり、テーパー部がパッケージの巻芯側に凹んでいることを特徴とする繊維パッケージ。
(2)テーパー部の角度が、パッケージの内層から外層にかけて漸次増加しており、次の要件(a)(b)を満たすことを特徴とする(1)に記載の繊維パッケージ。
(a)外層5%のテーパー角:θ3≦30°
(b)テーパー凹部の距離:d≧0.01R (R:巻径)
(3)パッケージのテーパー部全体の角度θ2が25°以下であることを特徴とする(1)または(2)に記載の繊維パッケージ。
(4)熱可塑性繊維が、ポリエステル繊維であることを特徴とする(1)〜(3)いずれか1つに記載の繊維パッケージ。
本発明によれば、細繊度繊維の高速解舒性に優れた繊維パッケージを提供することができる。また、本発明の細繊度繊維の繊維パッケージを用いることにより、編織工程において、高速解舒時に繊維と繊維パッケージテーパー部への擦れを軽減し、フォーム崩れが抑制され、加工時の糸切れなく、生産効率に優れた布帛品を得ることができる。
本発明の繊維パッケージの正面概略図である。 本発明の繊維パッケージのテーパー角の定義を示した説明図である。 本発明の繊維パッケージの外層5%のテーパー角の定義を示した説明図である。 実施例、比較例のパッケージ形態を得るための経時でのトラバースの動きを示した説明図である。 図1のI部分を拡大した、本発明の繊維パッケージ形態を得るためのトラバース幅の制御方法を説明する図である。 本発明のパッケージ形態を得るための巻取方法を例示した模式図である。
本発明に用いる熱可塑性繊維とは、ポリエステル繊維やポリアミド繊維、ポリオレフィン繊維に代表される繊維を例示できる。
ここで、ポリエステル繊維には、繊維素材ポリマーとして、ポリエチレンテレフタレート、繰り返し単位としてエチレンテレフタレート以外のものを一部含む共重合ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート以外のポリマーをポリエチレンテレフタレートに一部混合したポリエステルポリマーブレンドを用いたものが挙げられる。また、ポリアミド繊維には、繊維素材ポリマーとして、ポリアミド、繰り返し単位としてポリアミド以外のものを一部含む共重合ポリアミド、ポリアミド以外のポリマーをポリアミドに一部混合したポリアミドポリマーブレンドを用いたものが挙げられる。
その中でも特にポリエステル繊維が好ましい。ポリエステル繊維は比較的安価であり、機械的性質等の優れた特性から、衣料用途や資材用途など多方面で使用されるためである。
本発明の繊維パッケージを構成する熱可塑性繊維の繊度は、総繊度13dtex以下のものを示す。繊度が13dtex以下になると、解舒時に形成される解舒バルーンが小さくなり、パッケージ端面とより擦れることでパッケージのテーパーのフォーム崩れが発生するため、13dtex以下の繊維が本発明の対象である。特に8dtex以下の繊度では本発明の効果がより顕著に表れる。
本発明の繊維パッケージを構成する熱可塑性繊維のフィラメント数は、20以下であることが好ましい。フィラメント数が20を超えると単糸繊度が細すぎ、製糸性に問題が発生するためである。繊度が同じ場合、フィラメント数の減少に伴い、単糸繊度は太くなるため、パッケージ表面の凹凸は大きくなる。したがって、解舒時の繊維と繊維パッケージとの擦れの程度は大きくなり、フォーム崩れが発生しやすい。そのため、モノフィラメントはフォーム崩れが発生し易く、本発明の効果がより顕著に表れる。
本発明の繊維パッケージは、図1に例示のとおり、パッケージ両端のテーパー部とストレート部を有し、テーパー部が巻芯側に凹んでいる。テーパー部が巻芯側に凹んでいるとは、両端部テーパー部それぞれに対して、最内層端部A1と最外層端部A2を結んだ直線Eよりも巻芯側に凹んでいることを言う。
繊維パッケージのテーパー部が直線Eよりも巻芯反対側に膨らんでいるもしくは、直線E上にある場合、高速解舒時にフォーム崩れが発生し、加工糸切れが多発する。繊度が細くなるほど、繊維パッケージの巻密度は高くなるため、パッケージ形成時、ストレート部がより巻き締まる。その結果、テーパー部は巻芯に対して反対方向に膨らむようになり、特にテーパー中央部分は膨らみやすく繊維が弛みやすい。一方、繊度が細くなるほど、繊維重量が軽くなるため、解舒時に形成される解舒バルーンの振幅が小さくなり、繊維と繊維パッケージのテーパー部と擦れやすくなる。特に高速解舒時は、その擦れる力が増大する。そのため、細繊度繊維は、テーパー部が膨れている場合、高速解舒時にテーパー中央部と擦れやすくなり、擦れる力によって、テーパー中央部からフォーム崩れが発生しやすくなる。従って、テーパー部が巻芯側に凹んでいることで、高速解舒時に繊維とテーパー部への擦れを軽減し、フォーム崩れが抑制され、加工糸切れが減少する。
また、テーパー部の好ましい形状(曲線A1−A2)として、テーパー角θがテーパー部最内層端部A1からテーパー部最外層端部A2に向けて漸次増加することが好ましい。ここでいうテーパー角θとは、図2に示す直線Cと直線Dのなす角である。直線Cは巻芯中心Bに対して水平な最内層線、直線Dは、A3を始点として直線Cをパッケージ側に傾斜させた際にパッケージテーパー部(曲線A3−A4)と接触する直線である。テーパー角θがテーパー部最内層端部A3からテーパー部最外層端部A4に向けて漸次増加することで、繊維パッケージの解舒が進んでも常にテーパー部の形状は巻芯側に凹むため、テーパー部と繊維の擦れの軽減は維持される。
外層5%のテーパー角θ3は30°以下であることが好ましい。ここでいう外層5%とは、図3に示す巻径Rが1.0R〜0.9Rの部分を示している。外層5%のテーパー角θ3とは、図3に示す直線Cと直線Fがなす角のことである。直線Fは、巻径0.9Rのテーパー部外層端部A5と、テーパー部最外層端部(巻径1.0R)A2とを結んだ直線である。外層5%のテーパー角θ3を30°以下とすることにより、繊維とパッケージ外層の端面との屈曲が小さくなり、テーパー端面の接触部分以降の解舒張力が小さくなる。したがって、繊維と繊維パッケージのテーパー部との擦れの程度が小さくなるためである。
本発明のパッケージのテーパー凹部の距離dは、巻芯側への凹みの程度を示し、図1のように、テーパー部(曲線A1−A2)の中点と直線A1−A2の中点との距離dで示すことができ、数値が小さい程凹みは小さく、数値が大きいほど凹みが大きいことを意味する。本発明では、テーパー凹部の距離dがパッケージの巻径Rの1%以上(d≧0.01R)であることが好ましい。d≧0.01Rとすることにより高速解舒時に繊維がテーパー部への擦れをより軽減し、フォーム崩れが抑制され、加工糸切れが減少する。さらに好ましくは3%以上である。
テーパー凹部の距離dの測定は、型取りゲージを用いて測定する方法を用いた。具体的には、繊維パッケージの側面に沿って幅0.5mmの型取りゲージを設置し、繊維パッケージの表面形態を型取りする。型取りゲージはボビンの長手方向の軸に合わせて設置した。得られた型は紙面上に転写し、実際のd値を測定した。測定は、テーパー部をボビン軸の90°毎の等間隔に4箇所型取り、個々値を測定し、その平均値とした。測定方法は、上述した方法以外にも、繊維パッケージに対して光源をあて、その光源の繊維パッケージを挟んで垂直方向に二次元シートを設置し、写った影を縁取り測定する方法、繊維パッケージ画像を写真撮影で入手したのち、二次元処理した画像で測定する方法などが挙げられる。
本発明の繊維パッケージは、パッケージ全体のテーパー角θ2が30°以下であることが好ましい。ここで言うテーパー角θ2とは、図2に示す直線Cと直線Eのなす角である。細繊度繊維は、太繊度繊維対比、高張力で巻取ることができないため、解舒時にパッケージ端部で糸落ちが発生しやすい。したがってパッケージの解舒が進行後も糸落ちの発生を抑制するためにθ2は30°以下であることが好ましい。θ2の下限は、5°以上であればパッケージ当りの巻取可能糸量が多くなるため工業生産上好ましい。
次に本発明の繊維パッケージの製造方法について記載する。
巻取方法は特に限定するものではないが、例えば、特開2002−284447号記載の巻取方法が挙げられる。具体的には、スピンドルに装着したボビンに連続的に糸条を巻き取りながら、この糸条をトラバースガイドによってボビン軸方向に相対的に往復トラバースさせるようにする糸条巻取機において(請求項1)、スピンドル側を静置し、糸条を、トラバースガイドを介して往復トラバースさせる方法(請求項4)や、糸条の給糸位置を固定し、スピンドル側を往復トラバースさせるようにする方法(請求項5)である。いずれも、巻き始めから巻き終わりにかけて所望のテーパー形状となるように、トラバースの往復幅を漸減させ、ボビン上にパーン状のパッケージを形成する。また、パッケージ最内層の巻幅および1トラバースあたりの糸長は、所望の巻幅および糸長となるように、巻き始めのトラバースの往復幅、トラバース速度を設定できることが好ましい。
なお、本発明の繊維パッケージの巻き取りにおいて、巻き取り中にパッケージ表面を押圧しないことが好ましい。本発明の13dtex以下の細繊度繊維は、太繊度繊維対比、高張力で巻き取ることができないため、パッケージ端面で糸落ちが発生しやすく、巻き取り中にパッケージ表面を押圧すると、糸落ちを助長することになる。しかし、やむを得ず、巻き取り中のパッケージ表面に、ボビンの回転軸に略平行な回転軸をもつローラ、いわゆるタッチローラやローラベイルなどで押圧させる場合は、巻き始めから巻き終わりにかけて、パッケージ表面とローラの接触長の単位長さあたりの押圧力を、60gf/cm以下とすることが好ましい。より好ましくは30gf/cm以下である。なお、本発明のパッケージの端部はテーパー形状であるため、巻き太るに従い、パッケージストレート部表面とローラの接触長は、次第に短くなる。したがって、ローラの押圧力を好ましい押圧力範囲に収めるために、巻き取り中に押圧力を連続的もしくは段階的に調節させてもよい。
本発明の繊維パッケージの巻き取り方法は、巻き始めから巻き終わりにかけてトラバース幅を減少させていき、その減少の割合を徐々に遅くさせる図4(A)に例示する方法を採用することにより、テーパー部を巻芯側に凹ませることができる。この方法を用いる場合には、解舒が進んでも、常にテーパー部の形状は、巻き取り軸方向に対して凹んだ形状を維持するので、高速解舒時において、繊維とテーパー部への擦れの観点から好ましい。テーパー凹部の距離をdとした時、dはパッケージの巻径Rの1%以上(d≧0.01R)であることが好ましい。巻径とトラバース幅の関係が、下記式を満たすように制御することで、所望のdを得ることができる。
R0.5=[(WR0+W)/2]−2[d/sinθ2]
R0.5:巻径が0.5R時点のトラバース幅
R0:巻き始め時点の最内層トラバース幅
:巻き終わり時点の最外層トラバース幅
R0:巻芯直径
トラバース幅を一定の割合で減少させ、テーパーが直線形状の場合、図5において繊維パッケージの巻径0.5R時点のトラバース幅は、(WR0+W)/2であり、トラバース折り返し地点はA6である。一方、dだけテーパー部を凹ませる時、巻径0.5R時点のトラバース折り返し地点は点A7である。直線A1−A2の中点A6とA6から直線Jに対して垂直におろした直線とテーパー部との交点をA8とした時、θ2、θ3は30°以下であることから、角A6A7A8はθ2とみなすことができる。つまり、線分A6−A7の距離はd/sinθ2となるため、d≧0.01Rを満たす時、トラバース幅WR0.5は、[(WR0+W)/2]−2[d/sinθ2]となる。
トラバース幅を一定の割合で減少させる図4(B)の場合、テーパー部は直線E上にあり、トラバース幅の減少の割合を徐々に速くさせる図4(C)の場合、直線Eよりも巻芯反対側に膨む。
パッケージ形成の際の綾角は特に規定はないが、トラバース速度を一定、もしくは任意に設定して綾角を変化させることは可能である。
次に、実施例により本発明の繊維パッケージについて、詳細に説明する。実施例と比較例の評価は、次の方法により定めた。
<解舒テスト>
得られた繊維パッケージ10本を30cm間隔のクリールに並べ、熱可塑性繊維をパッケージ端部から30cmの距離にあるガイドを介して、1000m/分の速度のローラで引き取った。10hr連続で解舒した際のパッケージのフォームの状態や解舒糸切れ本数を下記基準で評価した。合格レベルはS、A、B、不合格レベルはC、D、Eである。
S :フォーム崩れ発生なし、かつ糸揺れ・糸切れなし
A :フォーム崩れ発生なし、かつ糸切れなし。
B :フォーム崩れの発生、かつ糸切れしたパッケージが2本未満。
C :フォーム崩れの発生、かつ糸切れしたパッケージが2本以上5本未満。
D :フォーム崩れの発生、かつ糸切れしたパッケージが5本以上7本未満。
E :フォーム崩れの発生、かつ糸切れしたパッケージが7本以上。
(実施例1)
PET繊維4dtex−1フィラメントについて、4050m/分の速度で送り出された繊維を巻取張力2.0cNで制御された糸条巻取装置にて巻き取り、外径51mm、巻取り軸方向の長さ350mmボビンに巻き取った。
糸条巻取装置は、特開2002−284447号の請求項5記載の糸条巻取装置を使用した。この糸条巻取装置は、スピンドルに装着したボビンに連続的に糸条を巻き取りながら、糸条をサーボ機構によりボビン軸方向に相対的に往復トラバースさせるようにする糸条巻取装置において、糸条の給糸位置を固定し、スピンドル側を往復トラバースさせるようにする糸条巻取装置である。具体的には、図6(A)に示す様に、スピンドル12は誘導モータ11およびトラバース駆動装置に連結され、そのスピンドル12にボビン1が装着されている。糸条Yの給糸位置を糸道ガイド4によって固定し、誘導モータ11によりスピンドル12が回転駆動され、かつスピンドル12がトラバース駆動装置によりボビン軸方向にトラバースされると、ボビン1の上に糸条Yが巻き付けられる。上記スピンドル12に連結されたトラバース駆動装置の駆動源として、正転、逆転を交互に行うサーボモータ5が設けられている。サーボモータ5にはカップリング10を介してボールねじ6が連結され、ボールねじ6は両端部がボールベアリング(図示せず)を介してブラケット9に回転自在に支持されている。ボールねじ6にはボールナット7が螺合して軸方向に移動可能になっており、そのボールナット7に誘導モータ11が取り付けられている。そのボールナット7は、ボールねじ6と平行に設けられた2本の案内ガイド8に摺動自在に支持されている。各案内ガイド8の両端部はブラケット9に固定されている。サーボモータ5が正逆に回転するとボールねじ6が正逆に回転し、正転か逆転かに応じてボールナット7がボールねじ6の軸方向に往復移動する。したがって、ボールナット上の誘導モータ5に連結されたスピンドル12は、ボビン1の軸方向に往復トラバースし、給糸位置が固定された糸条Yは、そのボビン1の上に巻き取られる。このようにスピンドルが往復トラバースするトラバース区間は、糸条Yの巻取中において変化するように制御され、ボビン上にパーン状のパッケージ2を形成する。
なお、最内層のトラバース幅WR0は280mm、最外層のトラバース幅Wは210mm、巻き始めから巻き終わりにかけて、トラバースの幅の減少の割合を徐々に遅くさせる図4(A)を採用した。また巻径0.5R時点のトラバース幅WR0.5は237mmとした。得られた繊維パッケージの形状、評価結果は表1のとおりである。
(実施例2)
PET繊維13dtex−8フィラメントについて、840m/分の速度で送り出された繊維を巻取張力2.0cNで制御された糸条巻取装置にて、外径51mm、巻取軸方向の長さ350mmボビンに巻き取った。
糸条巻取装置は、特開2002−284447号の請求項4記載の糸条巻取装置を使用した。この糸条巻取装置は、スピンドルに装着したボビンに連続的に糸条を巻き取りながら、糸条をサーボ機構によりボビン軸方向に相対的に往復トラバースさせるようにする糸条巻取装置において、スピンドル側を静置し、糸条を、トラバースガイドを介して往復トラバースさせるようにする糸条巻取装置である。具体的には、図6(B)に示す様に、スピンドル12は誘導モータ11に連結され、そのスピンドル12にボビン1が装着されている。誘導モータ11によりスピンドル12が回転駆動されると、ボビン1の上に糸条Yがトラバースガイド3に案内されながら巻き付けられる。他方、上記トラバースガイド3のトラバース駆動装置の駆動源として、正転、逆転を交互に行うサーボモータ5が設けられている。サーボモータ5にはカップリング10を介してボールねじ6が連結され、ボールねじ6は両端部がボールベアリングを介してブラケット9,9に回転自在に支持されている。ボールねじ6にはボールナット7が螺合して軸方向に移動可能になっており、そのボールナット7にトラバースガイド3が取り付けられている。そのボールナット7は、ボールねじ6と平行に設けられた2本の案内ガイド8,8に摺動自在に支持されている。各案内ガイド8の両端部はブラケット9,9に固定されている。サーボモータ5が正逆に回転するとボールねじ6が正逆に回転し、正転か逆転かに応じてボールナット7がボールねじ6の軸方向に往復移動する。したがって、ボールナット7上のトラバースガイド3に糸条Yが案内されながら、ボビン1の軸方向に往復トラバースし、そのボビン1の上に巻き取られる。このように糸条Yが往復トラバースするトラバース区間は、糸条Yの巻取中において本発明のトラバース制御方法により変化するように制御され、ボビン上にパーン状のパッケージ2を形成する。
なお、最内層のトラバース幅WR0は335mm、最外層のトラバース幅Wは200mm、巻き始めから巻き終わりにかけて、トラバースの幅の減少の割合を徐々に遅くさせる図4(A)を採用した。また巻径0.5R時点のトラバース幅WR0.5は260mmとした。得られた繊維パッケージの形状、評価結果は表1のとおりである。
(実施例3)
巻径0.5R時点のトラバース幅WR0.5を表1の通り変更したこと以外は、実施例1と同様にして繊維パッケージを得た。得られた繊維パッケージの形状、評価結果は表1のとおりである。
(実施例4)
繊度、最内層トラバース幅WR0、最外層トラバース幅Wを表1の通り変更した以外は実施例1と同様にして繊維パッケージを得た。得られた繊維パッケージの形状、評価結果は表1のとおりである。
(実施例5)
繊度表1の通り変更した以外は実施例4と同様にして繊維パッケージを得た。得られた繊維パッケージの形状、評価結果は表1のとおりである。
(実施例6)
ポリアミド繊維13dtex−1フィラメントと変更した以外は、実施例2と同様にして繊維パッケージを得た。得られた繊維パッケージの形状、評価結果は表1のとおりである。
(実施例7)
最外層のトラバース幅W、巻径0.5R時点のトラバース幅WR0.5を表1の通り変更したこと以外は、実施例1と同様にして繊維パッケージを得た。得られた繊維パッケージの形状、評価結果は表1のとおりである。
Figure 2021172503
(比較例1)
巻き始めから巻き終わりにかけて、トラバースの幅を一定の割合で減少させる図4(B)を採用し、巻径0.5R時点のトラバース幅WR0.5を表2の通り変更したこと以外は、実施例1と同様にして繊維パッケージを得た。
得られた繊維パッケージの形状、評価結果は表2のとおりである。繊維パッケージのテーパー部は直線となっており、高速解舒時にフォーム崩れ、加工糸切れが6本発生した。
(比較例2)
巻き始めから巻き終わりにかけて、トラバースの幅を一定の割合で減少させる図4(B)を採用し、巻径0.5R時点のトラバース幅WR0.5を表2の通り変更したこと以外は、実施例2と同様にして繊維パッケージを得た。
得られた繊維パッケージの形状、評価結果は表2のとおりである。繊維パッケージのテーパー部は直線となっており、高速解舒時にフォーム崩れ、加工糸切れが2本発生した。
(比較例3)
巻き始めから巻き終わりにかけて、トラバースの幅の減少の割合を徐々に速くさせる図4(C)を採用し、巻径0.5R時点のトラバース幅WR0.5を表2の通り変更したこと以外は、実施例1と同様にして繊維パッケージを得た。
得られた繊維パッケージの形状、評価結果は表2のとおりである。繊維パッケージのテーパー部は膨れており、高速解舒時にフォーム崩れが、加工糸切れが8本発生した。
(比較例4)
繊度、最内層トラバース幅WR0、最外層トラバース幅Wを表2の通り変更した以外は比較例1と同様にして繊維パッケージを得た。
得られた繊維パッケージの形状、評価結果は表2のとおりである。繊維パッケージのテーパー部は直線となっており、高速解舒時にフォーム崩れ、加工糸切れが5本発生した。
Figure 2021172503
A1、A3:テーパー部最内層端部
A2、A4:テーパー部最外層端部
A5:巻径0.9R時のテーパー部外層端部
A6:直線A1−A2の中点
A7:巻径0.5R時点のトラバース折り返し地点
A8:A6から直線Eに対して垂直におろした直線とテーパー部との交点
B:巻芯軸
C:巻芯軸に対して水平な最内層の直線
D:A3を始点としてテーパー部曲線A3―A4と接触する直線
E:直線A1―A2
F:A2とA5を通過する直線
G:スピンドルの往復方向
H:トラバースガイドの往復方向
I:図1のテーパー部を囲んだ点線
J:直線Eと並行であり、曲線A1―A2と接する直線
d:テーパー凹部の距離
R:巻径
R0:巻芯直径
θ:テーパー角
θ2:テーパー部全体のテーパー角
θ3:外層5%のテーパー角
1:ボビン
2:繊維パッケージ
3:トラバースガイド
4:糸道ガイド
5:サーボモータ
6:ボールねじ
7:ボールナット
8:案内ガイド
9:ブラケット
10:カップリング
11:誘導モータ
12:スピンドル
15:巻き取り張力測定位置
16:綾振り支点
Y:糸条

Claims (4)

  1. 繊度が13dtex以下の熱可塑性繊維が巻かれた繊維パッケージにおいて、パッケージの端面がテーパー形状であり、テーパー部がパッケージ巻芯側に凹んでいることを特徴とする繊維パッケージ。
  2. テーパー部の角度が、パッケージの内層から外層にかけて漸次増加しており、次の要件(a)(b)を満たすことを特徴とする請求項1に記載の繊維パッケージ。
    (a)外層5%のテーパー角:θ3≦30°
    (b)テーパー凹部の距離:d≧0.01R (R:巻径)
  3. パッケージのテーパー部全体の角度θ2が25°以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の繊維パッケージ。
  4. 熱可塑性繊維が、ポリエステル繊維であることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項に記載の繊維パッケージ。
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