JP2021171507A - ソール及びシューズ - Google Patents

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Abstract

【課題】実際の足の屈曲形状に適合できるような追従性を有するソール及びシューズを提供する。【解決手段】ソール14は、接地面に複数のスタッド18が設けられたソール14であって、ソール14には、着用者のMP関節に対応する領域に設けられ、ソール14の幅方向断面の剛性を調整する第1肉抜き部20、第2肉抜き部22及び調整領域外縁部28が形成され、第1肉抜き部20、第2肉抜き部22及び調整領域外縁部28は、着用者のMP関節に対応する領域において最大幅を有する形状である。【選択図】図8

Description

本発明はソール及びシューズに関する。
従来、サッカー、ラグビー等の激しい動きが伴う競技においては、着用者の瞬発力、旋回性能を高めるためにシューズの底に複数のスタッドが設けられたシューズが一般的に用いられている。これらスタッド式シューズに関しては、着用者のパフォーマンスを考慮して様々な技術改良がなされている(例えば特許文献1)。
特許第2017−113314号公報
特許文献1に記載されたような現行のスタッド式シューズでは、走行又は歩行時に実際に足が屈曲する位置に合わせてシューズの曲げ強度が設計できておらず、追従性が適切に調整できていない、という新しい観点からシューズの問題点を見出した。
本発明は、このような新しい観点に基づいてなされたものであり、実際の足の屈曲形状に適合できるような追従性を有するソール及びシューズを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明の一態様は、接地面に複数のスタッドが設けられたソールであって、ソールには、着用者のMP関節に対応する領域に設けられ、ソールの幅方向断面の剛性を調整する剛性調整領域が形成され、剛性調整領域は、着用者のMP関節に対応する領域において最大幅を有する形状である。
本発明によれば、実際の足の屈曲形状に適合したソールを提供できる。
足の骨格を示す上面図を示す。 シューズの側面図を示す。 同シューズの底面図を示す。 同シューズの底面図を示す。 図2のA−A断面における断面図を示す。 同シューズの要部拡大図を示す。 スタッドの拡大図である。 同シューズの底面図を示す。
まず、本明細書で用いる用語の定義について説明する。本明細書では、方向を示す用語として、前後方向、幅方向、及び上下方向を用いることがあるが、これら方向を示す用語は、シューズを平らな面に置き、シューズを着用したときの着用者の視点から見た方向を示す。したがって、前方向はつま先側を意味し、後方向はかかと側を意味する。また、方向を示す用語として、内足側、及び外足側を用いることがあるが、内足側とは足の幅方向内側、即ち足の母指(第1指)側を意味し、外足側とは幅方向において内足側とは反対側を意味する。
また、以下の説明では、3次元直交座標を用いて方向を説明することがある。この場合、X軸は外足側から内足側に向けて延び、Y軸は踵側からつま先側に向けて延び、Z軸は底面側から上側に向けて延びる。
また、実施形態によるシューズの説明を行う前に、実施形態によるシューズと関連するこがある足の骨格について、図1を参照しながら説明を行う。
図1は、足の骨格を示す上面図である。人体の足は、主に、楔状骨Ba、立方骨Bb、舟状骨Bc、距骨Bd、踵骨Be、中足骨Bf、趾骨Bgで構成される。足の関節には、MP関節Ja、リスフラン関節Jb、ショパール関節Jcが含まれる。ショパール関節Jcには、立方骨Bbと踵骨Beがなす踵立方関節Jc1と、舟状骨Bcと距骨Bdがなす距舟関節Jc2とが含まれる。本明細書での着用者の「前足部」は、MP関節Jaよりも前側の部分をいい、シューズの長さ比率で置き換えると、つま先側から測定してシューズの全長の0〜約30%の部分をいう。また、「中足部」は、MP関節Jaからショパール関節Jcまでの部分をいい、同様に、つま先側から測定してシューズの全長の約30〜80%の部分をいう。また、「後足部」は、ショパール関節Jcよりも後側の部分をいい、同様に、つま先側から測定してシューズの全長の約80〜100%の部分をいう。また、図1において中心線Sは、シューズの中心線を示し、足幅方向中央部に沿って延びる。中心線Sは、人体の第三中足骨Bf3と踵骨Beの踵骨隆起内側突起Be1を通る直線上に位置する部位を想定している。図1では踵骨隆起内側突起Be1が位置すると想定される範囲を示す。シューズの全長における割合は目安であって、前足部、中足部、後足部の範囲を限定するものではない。
図2は、シューズの側面図である。シューズ10は、着用して動作する際に地面に対するグリップ力を必要とする例えばサッカー、ラグビー等の球技に用いられるものである。シューズ10は、アッパー12と、ソール14とを備える。
アッパー12は、ソール14の接足面を覆う形状を有している。アッパー12は、アッパー本体12aと、アッパー12の緊締手段(緊締構造)12bと、アッパー12の幅方向中央付近においてアッパー12の前後方向に延びるスリット12cとを備える。また、アッパー12にはシュータン12dが取り付けられている。本実施形態では、アッパー12の締め付け具合を調整するための緊締手段12bとして、ハトメと、シューレースとの組み合わせによる構造を採用しているが、緊締手段12bとしては面ファスナー等を用いてもよい。また、スリットを備えない、モノソックタイプのアッパーとしてもよい。
アッパー本体12aは、例えばポリエステル、ポリウレタン等の合成繊維を編んだメッシュ素材、合成皮革、天然皮革によって形成され、足の甲を覆う形状を有している。スリット12cは、シューレースの締め具合によってアッパー本体12aの幅を調整するための緩衝部分である。スリット12cの幅方向両側には、複数のハトメが設けられている。スリット12cからはシュータン12dが露出しており、シューレースを付けた際にシューレースが着用者の足の甲に接触しないようになっている。
図3は、シューズの底面図である。シューズ10の底面には、ソール14が全面的に露出している。ソール14は、ソール本体16と、ソール本体16の接地面に形成された複数のスタッド18とを備える。ソール本体16は、ナイロン等の合成樹脂を所定形状に成形して形成されている。ソール本体16は、例えば二色成形等によりヤング率が異なる樹脂を一体成形して形成される。ソール本体16の前足部は主としてヤング率が低い材料により形成され、後足部は主としてヤング率が高い材料により形成される。ソール本体16の中足部は、前足部と同一の材料によって形成してもよいし、後足部と同一の材料によって形成してもよい。また、ソール本体16の中足部を、前足部よりもヤング率が高く後足部よりもヤング率が低い材料によって形成してもよい。いずれの場合もソール本体16は、つま先から踵に向かうにしたがってヤング率が高くなるように形成される。一例として、前足部をヤング率が180Mpa程度のナイロン樹脂により形成し、中足部及び後足部をヤング率が800Mpa程度のナイロン樹脂により形成することができる。
ソール本体16には、複数の肉抜き部20,22,24,26が形成されている。図示の例では、つま先から踵に向けて、前足部に形成された第1肉抜き部20と、中足部に形成された第2肉抜き部22と、中足部踵側から後足部にかけて形成された第3肉抜き部24と、後足部に形成された第4肉抜き部26とを備える。肉抜き部20,22,24,26は、ソール本体16を厚み方向に貫通する所定形状の孔により形成される。肉抜き部20,22,24,26は、ソール本体16(ソール14)の底面の投影形状の約20〜90%を占め、より好ましくは前足部の20〜50%を占める。この場合、肉抜き部20,22,24,26はソール本体16の縁には到達せず、ソール本体16によって囲まれていることが好ましい。これによりソール本体16の剛性が低くなり過ぎないようにする。
第1肉抜き部20、及び第2肉抜き部22は、調整領域外縁部28により囲まれている。調整領域外縁部28は、ソール本体16よりもヤング率が低い材料により形成される。調整領域外縁部28は、例えばヤング率が50Mpa程度のウレタン材料により形成される。調整領域外縁部28のヤング率は、ソール本体16のヤング率と、第1肉抜き部20又は第2肉抜き部22のヤング率(E=0)との間の範囲に設定されるのがよい。調整領域外縁部28は、ソール本体16から第1肉抜き部20又は第2肉抜き部22にかけて急激にヤング率を変化させないための緩衝領域として作用する。
図4は、シューズの底面図である。具体的には図4は、ソール本体16と調整領域外縁部28を分解した状態を示す。図5は、図3のA−A断面に沿った断面図である。図5においては、ソール本体16と調整領域外縁部28は組み合わせて一体にされている。ソール本体16は、前足部から中足部にかけて前後方向に延びる開口30を有する。開口30は、第1肉抜き部20と第2肉抜き部22を形成するために用いられる。開口30内には、第1肉抜き部20及び第2肉抜き部22が形成された調整領域外縁部28が嵌め込まれる。開口30には、内縁に沿って第1段部32が形成されている。第1段部32は、側面視したときに上面が切り欠いた形状を有する。調整領域外縁部28は、開口30とほぼ同一の形状を有し、外縁に沿って第2段部34が形成されている。第2段部34は、側面視したときに下面が切り欠かれた形状を有する。第1段部32と第2段部34は相補的な形状を有しており、上面側から調整領域外縁部28を開口30内に配置して第1段部32と第2段部34を係合すると、調整領域外縁部28が開口30内にぴったり嵌まる。なお、第1段部32と第2段部34の係合方向を逆にしてもよい。
図3に戻り、調整領域外縁部28は、前後方向において隣接するスタッド18の間に向けて突出する複数の凸部36を有する異形形状を有する。凸部36は、ソール14の中心から外向きに突出するということもできる。第1肉抜き部20及び第2肉抜き部22は、異形形状を有する調整領域外縁部28と類似する形状を有する。より具体的には、第1肉抜き部20及び第2肉抜き部22は、外足側及び内足側の縁が調整領域外縁部28の縁に追従する形状を有する。したがって、第1肉抜き部20及び第2肉抜き部22も、調整領域外縁部28と同様に凸部を有するとも言える。
複数の凸部36のうち、前足部、つまりMP関節Jaに対応する位置に沿って延びる仮想線L1よりもつま先側に形成されている凸部36は、全てスタッド18の間まで延びる。
図6は、シューズの要部拡大図である。より具体的には図6は、ソールのスタッド周辺を拡大した底面図である。凸部36がスタッド18の間まで延びるとは、凸部36の先端が少なくとも部分的に隣接するスタッド18の内側の接線L2を越えて外側に配置されていることをいう。調整領域外縁部28の凸部36に限らず、第1肉抜き部20の凸部が接線L2を越えて外側に延びてもよい。なお、スタッド18がソール本体16に向けて径が大きくなる錐形状を有する場合、接線L2はスタッド18の最も径が大きい位置で定めることができる。
図3に戻り、複数の凸部36のうち、中足部に形成されている複数の凸部36のうちの一部は、前後方向において隣接するスタッド18の間まで延びている。中足部に形成されている複数の凸部36を全てスタッド18の間まで延ばしてもよい。
第3肉抜き部24及び第4肉抜き部26は、ソール本体16を貫通し、略Y軸に沿って延びる短冊状の孔により形成される。第3肉抜き部24及び第4肉抜き部26は、ソール本体16の軽量化を図るために設けられている。したがって、第3肉抜き部24及び第4肉抜き部26の形状及び孔の寸法は、スタッド18と干渉しないように適宜変更可能である。なお、第3肉抜き部24及び第4肉抜き部26を設けなくてもよい。
第2肉抜き部22と第3肉抜き部24との間には、ソール本体16の捻れ剛性を高めるための第1リブ38が設けられている。第1リブ38は、前端部が外足側にあり、後端部が内足側にあり、X軸及びY軸に対して傾斜して延びる。第1リブ38を設けることにより後足部が外側に捻れる(又は前足部が内側に捻れる)のを防止できる。
第1肉抜き部20、第2肉抜き部22、第3肉抜き部24、及び第4肉抜き部26の上部には、シューズ10のインナーソール(図示せず)が配置される。インナーソールが露出するのを防止するために、第1肉抜き部20、第2肉抜き部22、第3肉抜き部24、及び第4肉抜き部26を下側からメッシュシートを含む基布等、剛性に影響を及ぼし難い材料によって覆ってもよい。これにより、第1肉抜き部20等を介してソール14とインナーソールの間に小石等の異物が入るのを防止できる。なお、第1肉抜き部20、第2肉抜き部22、第3肉抜き部24、及び第4肉抜き部26の少なくともいずれか1つ又は全てを覆わず、インナーソールを露出させてもよい。
複数のスタッド18は、ソール14の底面から下側に突出する形状を有する。複数のスタッド18は、ソール本体16の外縁に沿って配置される。スタッド18は、例えば耐摩耗性が高いウレタン材料により形成される。また、複数のスタッド18のうちの1つは、第1肉抜き部20と第2肉抜き部22との間、即ち調整領域外縁部28に形成される。以下、調整領域外縁部28に形成されたスタッドをスタッド40と称し、その他のスタッドをスタッド18と称する。
複数のスタッド18はソール本体16と一体に形成されたものでもよいし、ソール本体16に対して着脱自在に形成されたものであってもよい。複数のスタッド18は、調整領域外縁部28、第3肉抜き部24、及び第4肉抜き部26と重複しないよう、これらの領域以外の領域に形成される。また、複数のスタッド18は、MP関節Jaに対応して延びる仮想線L1上以外の位置に配置される。複数のスタッド18の間には、第2リブ42が形成される。第2リブ42は、例えばソール本体16を隆起させて形成される。第2リブ42を設けることにより、ソール14の曲げ剛性がスタッド18の位置で急激に増加するのを抑制できる。第2リブ42は、前足部以外の位置、つまり中足部及び後足部のみに設けられていることが好ましい。これにより、前足部の剛性を適度に低下させ、屈曲性を向上させられる。
スタッド40は、調整領域外縁部28と一体に形成されたものでもよいし、調整領域外縁部28に対して着脱自在に形成されたものであってもよい。スタッド40は、MP関節Jaに対応して延びる仮想線L1上以外の位置に配置される。
なお、本明細書において、スタッド18,40がソール本体16に形成されているとは、ソールとスタッドが一体にされている場合、及びスタッドがソールに対して着脱自在に形成されている場合の両方を含むものとする。
スタッド18の形状は、配置される部位によって異なる。より具体的には、つま先側に配置されるスタッド18の前後方向の厚みは薄くされ、踵側に配置されるスタッド18の前後方向の厚みは厚くされる。図示の例では、最もつま先側に配置されるスタッド18の厚みが最も薄く、つま先側から二列目に配置される2つのスタッド18の厚みが次に薄く、つま先側から三列目以降に配置されるスタッド18の厚みが最も厚い。
図7は、スタッドの拡大図である。より具体的には、図7は、最もつま先側に配置されるスタッド180、つま先側から二列目に配置される2つのスタッド182、及びつま先側から三列目以降に配置されるスタッド184を示す。
スタッド180は、屈曲したブレード形状を有する。スタッド180の前端は、つま先側を向いた2つの面186,188により形成される。スタッド180の後端は、踵側を向いた2つの面190,192により形成される。スタッド180は、前後方向において薄い形状を有している。したがってスタッド180は、前後方向においては抵抗が高いが、幅方向において抵抗が低い。
スタッド182は、120度間隔に配置された3つの凸部からなる形状を有する。スタッド182の前端には1つの凸部が形成され、2つの凸部が後側に向けて延びる。スタッド182の後端は、踵側を向いた2つの面194,196を備える。スタッド182は、前後方向及び幅方向において、一定以上の抵抗を有する。
スタッド184は、略円形形状を有する。スタッド184の周囲には、120度間隔で切り欠きが形成されている。スタッド184の後端には、切り欠きの1つが形成されており、踵側を向いた2つの面198,200を備える。
スタッド180,182,184の踵側(後方)を向いた立面(踵側の面)の面積を比較すると、Y軸に沿って見たときにスタッド180の2つの面190,192の合計面積が最も大きく、スタッド184の2つの面198,200の合計面積が最も小さい。スタッド182の2つの面194,196の合計面積は、スタッド180の2つの面190,192の合計面積よりも小さく、スタッド184の2つの面198,200の合計面積よりも大きい。
スタッド180,182,184の形状を部位によって異ならせることで加速力、旋回性能、及び耐摩耗性を高められる。加速時には、つま先のスタッド180に最も地面に対するグリップ力が要求される。したがって、スタッド180の面190,192の合計面積を最も大きくすることにより、加速力を向上させられる。また、スタッド180は旋回時には使用されないため、スタッド180を前後方向において薄くすることで、スタッド180が旋回時の抵抗となるのを防止できる。
スタッド184は、切り欠きを有する円形形状とすることで旋回時及び加速時の両方の場合にグリップ力を発生させられる。スタッド182は、いわばスタッド180とスタッド184の中間形状を有する。したがって、スタッド184よりも高い加速力を得られるよう、120度間隔に配置された3つの凸部からなる形状を有する。
次に、シューズ10及びソール14の作用について説明する。
ソール14は、剛性調整領域として、第1肉抜き部20、第2肉抜き部22、及び調整領域外縁部28を有している。第1肉抜き部20、第2肉抜き部22、及び調整領域外縁部28は、ソール本体16の幅方向の鉛直断面形状を変化させる。具体的には、第1肉抜き部20、及び第2肉抜き部22は、ソール14の幅方向断面の剛性を低下させる低剛性領域として機能する。また、調整領域外縁部28は、ソール14において最もヤング率の高いソール本体16と、低剛性領域である第1肉抜き部20、及び第2肉抜き部22との間の位置において、ソール14の幅方向断面の剛性を増加させる高剛性領域として機能する。
ソール14の剛性は、ソール本体16を形成する材料のヤング率Eと、幅方向の断面形状の断面二次モーメントIの積である。つまりソール本体16を形成する材料、及び断面形状の少なくともいずれか一方を調整することで、ソール本体16の剛性を、前後方向の任意の位置で変化させられる。実施形態では、剛性調整領域としての第1肉抜き部20、第2肉抜き部22、及び調整領域外縁部28の形状を調整することで、ソール14の断面形状を前後方向の任意の位置で変化させる。これにより、ソール14の前後方向の任意の位置でソール14の剛性を変化させる。ソール14の剛性を低めたい断面においては、当該断面における第1肉抜き部20又は第2肉抜き部22の量を増やして断面二次モーメントを少なくする。反対にソールの14の剛性を高めたい断面においては、当該断面における第1肉抜き部20又は第2肉抜き部22の量を減らしてソール本体16の断面積を増やし断面二次モーメントを少なくする。
発明者等はこのような原理を活用して、ソール14の形状を適切にすることで、運動時の足の挙動に応じて、運動を阻害せず、かつ着用者のパフォーマンスを向上させられることを見出した。発明者等がサッカー等の特定の競技における着用者の足の挙動を解析した結果、競技中は、着用者の中足部の踵側及び後足部において足の湾曲が少なく、中足部のつま先側及び前足部において足の湾曲が多いことが判明した。さらなる解析の結果、着用者のMP関節Ja付近においてソール14の剛性を低め、かつそれ以外の部分(特に中足部の踵側及び後足部)においてソール14の剛性を高めることで、着用者の運動を阻害せず、着用者のパフォーマンスを向上させ、かつ障害を予防できるという結論を得た。
このような知見のもと、ソール14の剛性調整領域は、着用者のMP関節Jaに対応する領域において最大幅を有する形状とされている。
図8は、シューズの底面図を示す。MP関節Jaに対応する領域とは、MP関節Jaに対応する仮想線L1を基準として、前後方向に例えば0.5〜1センチの範囲の領域Bをいう。領域Bは、スタッド18と重複せず、仮想線L1に沿ってスタッド18の間に延びる領域でもある。仮想線L1は、MP関節Jaに対応する湾曲形状を有しており、第1肉抜き部20及び調整領域外縁部28を横切るように延びる。仮想線L3、L4は、仮想線L1と同一形状を有し、仮想線L1を前後に移動させた線である。仮想線L1のうち第1肉抜き部20と重なる部分の長さは、仮想線L3のうち第1肉抜き部20と重なる部分の長さ、及び仮想線L4のうち第1肉抜き部20と重なる部分の長さよりも長い。つまり第1肉抜き部20は、仮想線L1に沿った位置での幅が、仮想線L3又はL4に沿った位置の幅よりも大きい形状を有する。幅とは、X軸に沿った長さではなく、仮想線L1に沿った長さである。第1肉抜き部20は、このような「幅」の定義に基づいて、MP関節Jaに対応する領域において最大幅を有する。つまり、仮想線L1を基準として、前後方向に例えば0.5〜1センチの範囲内に、第1肉抜き部20の最大幅を有する部分が存在している。
第1肉抜き部20が最大幅を有する断面は、ソール本体16の断面積が小さく、断面全体において空洞が占める割合が大きくなるため、断面二次モーメントが小さくなる。これを実現するために、例えばMP関節Jaに対応する領域の幅方向両側に、凸部36を配置することができる。MP関節Jaに対応する位置において断面二次モーメントを小さくすることで、当該断面における剛性を低くできる。これにより、MP関節Jaに対応する位置においてソール14が曲がり易くなる。
第1肉抜き部20の形状は、上面視したときに、例えば踵側に向けてY軸に沿った幅が漸減するよう先細り形状を採用できる。これにより、踵側に向けてソール14の剛性を漸増させ、剛性が急激に変化するのを防止できる。
また、ソール本体16に第1肉抜き部20及び第2肉抜き部22を設けることにより、剛性の調整に加えてソール本体16を軽量化できるという副次的な効果が得られる。
また、中足部踵側及び後足部においては、ヤング率が高い材料を用いることで、運動時に湾曲が少ない位置の剛性を高められる。これにより、踵部を安定させ、例えば第5中足骨骨折等を予防できる。さらに第3肉抜き部24及び第4肉抜き部26を設けることで、中足部及び後足部においてもソール本体16の軽量化を図れる。
以上のように実施形態によれば、運動時の足の挙動に適合した剛性を有するソールを提供できる。
本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、実施形態の各構成は本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
実施形態においては以下のような変形例が想定される。
実施形態では、断面二次モーメントを調整してソール本体16の剛性を調整することとした。しかしながら、ソール本体16のヤング率を調整してMP関節Jaに対応する仮想線L1に沿った位置の剛性を低くしてもよい。この場合、仮想線L1に沿って又は領域B内においてソール本体16のヤング率を最も低くし、前足部及び中足部のヤング率を高くしてもよい。また、調整領域外縁部28のヤング率を調整することで、ソール本体16の剛性を調整してもよい。この場合、調整領域外縁部28のヤング率をソール本体16のヤング率よりも高くしてもよい。
肉抜き部20,22,24,26はソール本体16を貫通せず、ソール本体16の厚みを他の部分よりも薄くした薄肉部としてもよい。このような薄肉部によっても断面形状の合成を調整できる。
剛性調整領域の幅は、仮想線L1と同一形状の曲線に沿った長さではなくX軸に沿った幅によって定めてもよい。また、第1肉抜き部20及び第2肉抜き部22は、必ずしも調整領域外縁部28の形状を追従しなくてもよい。
後足部は、ヤング率が高い材料を用いることとしたが、ソール本体16を同一のヤング率の材料で形成し、第3肉抜き部24、及び第4肉抜き部26の形状を小さくして後足部の剛性を上げてもよい。
また上述の実施形態を一般化すると、以下のようなソールの製造方法を導き出せる。
内縁に沿って第1段部が形成された開口を有するソール本体を準備し、
前記ソール本体よりもヤング率が高い材料で形成され、外縁に沿って前記第1段部と相補的な第2段部が形成され、少なくとも1つの肉抜き部を有するインナー部分(調整領域外縁部28に相当)を準備し、
前記第1段部と前記第2部分とを係合させる、ソールの製造方法。
10 :シューズ
12 :アッパー
14 :ソール
18 :スタッド
20 :第1肉抜き部
22 :第2肉抜き部
28 :調整領域外縁部
36 :凸部

Claims (12)

  1. 接地面に複数のスタッドが設けられたソールであって、
    前記ソールには、着用者のMP関節に対応する領域に設けられ、前記ソールの幅方向断面の剛性を調整する剛性調整領域が形成され、
    前記剛性調整領域は、着用者のMP関節に対応する領域において最大幅を有する形状である、ソール。
  2. 前記剛性調整領域は、幅方向に突出する少なくとも1つの凸部を有し、前記凸部の先端は前記複数のスタッドの間に配置される、請求項1に記載のソール。
  3. 前記剛性調整領域は、前記ソールの厚み方向に貫通する肉抜き部を含む、請求項1又は2に記載のソール。
  4. 前記肉抜き部は、前記ソールを底面視したときに前記ソールの20〜90%を占める、請求項3に記載のソール。
  5. 前記肉抜き部を覆うシートを備える、請求項3又は4に記載のソール。
  6. 前記剛性調整領域は、低剛性領域と、前記低剛性領域よりも剛性が高く前記低剛性領域を囲む高剛性領域を備える、請求項1乃至5のいずれか1項に記載のソール。
  7. 前記複数のスタッドは、つま先側から踵側に向かって配列され、前記つま先側から前記踵側に向かうにつれて、前後方向の厚みが増加する、請求項1乃至6のいずれか1項に記載のソール。
  8. 前記複数のスタッドは、前記MP関節に対応する領域以外の領域に配置される、請求項1乃至7のいずれか1項に記載のソール。
  9. 前記複数のスタッドの踵側の面は、1つ又はそれ以上の平面の組み合わせを含み、
    前記複数のスタッドの各々を踵側の面は、つま先側のスタッドが最大面積を有する、請求項7又は8に記載のソール。
  10. 前記複数のスタッドの各々の踵側の面は、踵側のスタッドが最小面積を有する、請求項7乃至9のいずれか1項に記載のソール。
  11. 接地面に複数のスタッドが設けられたソールと、
    前記ソールの前記接地面とは反対側の接足面を覆うアッパーとを備え、
    前記ソールには、着用者のMP関節に対応する領域に設けられ、前記ソールの幅方向断面の剛性を低下させる剛性調整領域が形成され、
    前記剛性調整領域は、着用者のMP関節に対応する領域において最大幅を有する形状である、シューズ。
  12. 前足部に剛性調整領域を有し、
    前記剛性調整領域は、外方に向けて突出する複数の凸部を備え、
    前記複数の凸部の全ての凸部が少なくとも部分的に前後方向から隣り合う2つのスタッドで前後方向において挟まれる、ソール。
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