JP2021171226A - 吸入器 - Google Patents

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【課題】ミスト化された薬液中に溶け込んだ薬剤の粒子径の多くをナノサイズレベルに微粒子化させた薬滴を作り、当該薬滴が人体の呼吸器系粘膜の細胞組織中に効率良く浸透するようにした吸入器を提供する。【解決手段】圧縮ガスを供給するガス供給部110と、薬液を貯留する薬液貯留部28と、ガス供給部110から供給されたガスと薬液貯留部28内に貯留された薬液とから薬剤ミストを生成するミスト生成部6と、このミスト生成部6から排出される薬剤ミストを呼吸気管内に吸入するための吸入部13と、を有し、前記薬液は、水溶性薬剤又は粉末薬剤を粉砕溶解させた薬剤を含み、この薬液の性質によって、薬剤ミストに生成された各薬滴が相互に結合付着する場合には、薬剤ミスト中の薬滴が相互に結合付着するのを阻止するための添加剤を加えることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、薬液を霧化した薬剤ミストを呼吸気管の粘膜に浸透させるための吸入器に関し、特に霧化した薬剤ミスト中になるべく多くのナノサイズ微粒子を含む薬滴を供給するための吸入器に関する。
液体又は薬剤を溶解した薬液(以下、本願においては単に「薬液」という)を微細径の霧状にするネブライザー(ガスボンベ、コンプレッサ、単流体ノズル及びに二流体ノズル等を利用した噴霧ノズルを備えるものを含む)を利用した吸入器(以下、本願においては単に「吸入器」という)は、薬液を呼吸と一緒に気管や肺、鼻の奥へ送り込む医療器材である。吸入器によるこうした治療は、気管支炎や肺炎の治療や、炎症を起こして蓄膿になった副鼻腔の炎症を和らげるのに利用されている。ミストは、その粒子径が5μm以上であれば鼻咽頭や喉咽頭などの上気道に沈着し、2乃至10μmであれば気管などの中枢気道に沈着し、0.1μm(100nm)以下であるならば肺胞に到達し胚細胞膜内に極めて効率よく浸透することが知られている。
また、近年は、鼻から脳への薬剤送達が注目されてきている。脳には、異物進入防御機構である血液―脳関門(Blood−brain barrier;BBB)が備わっているため、静脈内投与や経口投与による体内循環血流を介した脳への薬剤送達は困難であることが知られている。
ところで、鼻粘膜と脳の中枢神経にはこれらを繋ぐルートが存在している。これを利用して、鼻から脳へ薬剤送達するには、鼻腔の上部にある鼻粘膜を介する嗅神経束からの脳への直接的な移行、嗅神経や三叉神経などの脳脊髄液への移行、鼻粘膜全体に存在する毛細血管周囲組織を介する直接的な脳への薬剤漏出などによる方法がある。
しかし、鼻粘膜を介した薬剤の送達は1回の投与に適用できる量が限られる。そのため、薬剤をナノ粒子化することで比表面積を増大させて、経鼻投与後の脳への薬剤移行性を向上させるようにしている(例えば、特許文献1を参照)。
また、薬液を微粒子化した薬滴で供給する吸入器としては、ポンプを駆動させて吸気ガス通路に毛管ノズルから液体を供給する構成において、薬滴の形成を刺激するため毛管ノズルの先端を圧電振動装置によって刺激する構成の吸入器等が知られている(例えば、特許文献2を参照)。
また、薬液が入っている水槽の底部に超音波振動子によって刺激を与えて薬液を霧化し、霧化した薬液に空気を送風して金網に導き、金網の回転により微細な薬滴を取り出す構成の吸入器も知られている(例えば、特許文献3を参照)。
特開平3−66625号公報 特開2001−054574号公報 再表2003/061746号公報
しかしながら、ミスト化した薬滴は移動する過程で互いに結合付着して粒子径が大きくなってしまう。そのため、粒子を微細化した薬滴を生成しても、実際に送達される微細粒子の薬滴の量は少なくなる。
そして、ミスト化された薬液(本願では、液状薬剤のみならず、粉末状固形粒子の薬剤が液体中に粉砕溶解された薬液を含む)中に溶け込んだ薬剤の粒子径が1μm(マイクロメートル)以下のナノサイズレベルに微粒子化すれば、人体の特に呼吸器系粘膜(鼻孔、咽頭等の鼻孔等、気管、上部肺組織及び下部肺組織等)の粘膜細胞組織中に極めて効率良く含侵し、浸透することが良く知られている。
従って、本発明は、ミスト化された薬液又は/及び粉末状固形粒子の薬剤が粉砕溶解された薬液中に溶け込んだ薬剤の粒子径の多くがナノサイズレベルに微粒子化させて、人体の特に呼吸器系粘膜の細胞組織中に極めて効率良く浸透させるようにした吸入器を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は、薬液を霧化した薬剤ミストを呼吸器系に送達するための吸入器であって、圧縮ガスを供給するガス供給部と、前記薬液を貯留する薬液貯留部と、前記ガス供給部から供給されたガスと、前記薬液貯留部内に貯留された薬液とから、前記薬剤ミストを生成するミスト生成部と、前記ミスト生成部から排出される前記薬剤ミストを呼吸気管内に吸入するための吸入部と、を有し、前記薬液は、水溶性薬剤又は粉末薬剤を粉砕溶解させた薬剤を含み、前記薬液の性質によって前記薬剤ミストに生成された各薬滴が相互に結合付着する場合には、前記薬剤ミスト中の薬滴が相互に結合付着するのを阻止するための添加剤を含む、ことを特徴とする。
尚、本願において「添加物」とは、例えば「食品添加物」等の「添加物」を意味するものではなく、「薬剤ミスト中の薬滴が相互に結合付着するのを阻止する」作用効果を奏する物を意味する。
ここで、前記添加剤は、食塩又はビタミンCの何れか又は双方であり、前記薬液は、当該添加材により生理食塩水と同程度の浸透圧になるように調整される。
そして、前記添加剤は、前記薬剤ミスト中の薬滴をイオン化させることにより相互に分離させ、これにより、ミスト化した薬滴は移動する過程で互いに結合付着して粒子径が大きくなってしまうことがない。
尚、前記薬剤ミスト中の薬滴を相互に分離させ、ミスト化した薬滴が移動する過程で互いに結合付着しないようにするには、上述した電子によるイオン化の他に、エネルギーによるイオン化、溶媒中のイオン化、粉砕溶解される薬剤の結晶中のイオン化等が考えられる。
また、前記薬液は、当該添加剤により生理食塩水と同程度の浸透圧になるように調整されるので、本吸入器の使用時に、呼吸気管に痛みや違和感を生じさせることがない。
ところで、前記ガス供給部は、酸素を含む圧縮ガスを内部に貯蔵するガスボンベ又は清浄化された空気を吸入するコンプレッサであって、そこから排出される気圧が1.15乃至6気圧であり、空気中の細菌等を呼吸気管に取り込む危険性を排除している。尚、小規模の病院や家庭内で使用するときは、殺菌された圧縮空気又は圧縮酸素を貯蔵するガスボンベが望ましい。ここで、前記ミスト生成部は、噴霧ノズル、単流体ノズル及びに二流体ノズルの何れかであってもよい。
これにより、本発明に係る吸入器においては、前記薬剤ミストには、単位cm当たり粒径サイズ100ナノメートル(nm)以下の微細化された薬滴が少なくとも5000個以上含まれていることが実験で確認されたのである。
また、前記薬液には、殺菌された精製水中に、ぜんそく薬、インフルエンザ治療薬、肺炎治療薬又は鼻孔又は気管拡張剤の何れか又は複数が含まれる。
さらに、前記薬液には、抗菌作用又は抗ウイルス作用を有するカテキン、一又は複数のハーブ、を含有させるようにしてもよい。
本発明によれば、ミスト化された薬液又は/及び粉末状固形粒子の薬剤が粉砕溶解された薬液中に溶け込んだ薬剤の粒子径の多くがナノサイズレベルに微粒子化させて、人体の特に呼吸器系粘膜の細胞組織中に極めて効率良く浸透させるようにした吸入器の提供を実現したのである。また、ガス供給部から排出される気圧が1.15乃至6気圧であっても、薬液中に溶け込んだ薬剤の粒子径の多くがナノサイズレベルに微粒子化させて放出され得ることが確認され、比較的低圧で小さなガスボンベ等であっても、長時間に亘って吸引させることが可能である。
本発明の一実施形態に係る吸入器の全体構成図を示す。 ミスト排出部とミスト生成部との組立て説明図を示す。 図1の吸入器におけるミスト排出部と薬液導入部のガス噴出部との接合状態を側断面図で示す。 図2におけるミスト排出部から見たミスト生成部の平面図で示す。 図2におけるミスト生成部から見たミスト排出部の構成を平面図で示す。 図1の吸入器における微粒子選別フィルタリング手段に取り付けられるプレートの平面図を示す。 吸入器に微粒子選別フィルタリング手段が無く、且つ導管に通常のホースを用いてミスト粒子が微細な薬滴の測定結果を示すグラフを示す。 吸入器に微粒子選別フィルタリング手段を組み込み、且つ導管に通常のホースを用いてミスト粒子が微細な薬滴の測定結果を示すグラフを示す。 吸入器に微粒子選別フィルタリング手段を組み込み、且つ導管に蛇腹のホースを用いてミスト粒子が微細な薬滴の測定結果を示すグラフを示す。 微粒子選別フィルタリング手段の他の実施形態の説明図を示す。 微粒子選別フィルタリング手段のさらに別の実施形態の説明図を示す。 本発明の他の実施形態に係る吸入器の全体構成図を示す。 図12の吸入器の構成を模式的に断面図で示す。 図12の吸入器における生成器本体を一部破断斜視図で示す。 図12の吸入器における生成器本体を模式的に断面図で示す。 本発明に係る吸入器における薬液サイズの分布を示す比較測定結果(その1)を示す 本発明に係る吸入器における薬液サイズの分布を示す比較測定結果(その2)を示す。 本発明に係る吸入器における薬液サイズの分布を示す比較測定結果(その3)を示す。 本発明に係る吸入器における薬液サイズの分布を示す比較測定結果(その4)を示す。 本発明に係る吸入器における薬液サイズの分布を示す比較測定結果(その5)を示す。 本発明に係る吸入器における薬液サイズの分布を示す比較測定結果(その6)を示す。 本発明に係る吸入器における薬液サイズの分布を示す比較測定結果(その7)を示す。 本発明に係る吸入器における薬液サイズの分布を示す比較測定結果(その8)を示す。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明に係る吸入器50の全体構成の外観図を示している。吸入器50は、図2に示すように、ミスト排出部1とミスト生成部6とを組み立て構成される。ミスト排出部1のハウジング15内には、ミスト噴出口4を備える流路2が形成されている。この流路2の他端には、流路2を開閉自在なよう一端が支持された回動板18が設けられている。回動板18は、逆止弁として機能するよう、規制部19によりこの他端側への回動が規制されている。
ミスト排出部1は、流路2の下方には同心の二重筒である内筒1a及び外筒1bを有し、中空の内筒1aの上部は流路2に向けて開放しているが、外筒1bの上部は流路2に対し閉塞している。内筒1aの流路2と反対側の下端にはガス導入部5が接続される。
図4及び図5は、ミスト排出部1とミスト生成部6とが互いの接合される側から見たそれぞれの平面図を示している。ミスト生成部6は、ミスト排出部1の外筒1bの内周に形成されたネジ部17との螺合によりミスト排出部1と接合される。そして、ミスト生成部6は、中央に設けられた仕切板27により上下に区画されており、仕切板27の上方は薬液貯留部28となっている。薬液貯留部28には、ミスト生成部6をミスト排出部1から取り外したとき、薬液が貯留される。
ガス導入部5は、一端で圧力調整バルブ16を介して、一端がコンプレッサ又は圧縮ガスボンベ等により4乃至8気圧に圧縮されたガスを供給するガス供給部(図示せず)と接続され、他端にガス噴出部8を備える。ガス噴出部8は、その先端には、仕切板27の中央を貫通するようミスト生成部6に取り付けられノズル8aを具備している。
ミスト生成部6には、ノズル8aに対向してバッフル26が設けられている。このバッフル26を支持するバッフル支持部26aは、中空の円板である鍔部31とノズル8aに被さる筒部32から構成されており、バッフル26は、ノズル8aの先端と対向するよう鍔部31の中空部分を跨るよう設けられている。
そして、ミスト生成部6は、筒部32をノズル8aに被せてガス導入部5と接続したとき、筒部32の長さ寸法は、その下端は仕切板27の表面に接しないよう設定しており、これにより生じる隙間が薬液貯留部28の薬液を取り込むための取込部34となる。加えて、筒部32をノズル8aに被せたとき、ノズル8aの外周と筒部32の内周との間には、薬液貯留部28の薬液をノズル8aの先端にまで吸い込むための隙間である薬液吸入路33が形成されるよう、ノズル8aの外径と筒部32との内径とは設定されている。
ここで、薬液貯留部28内の薬液は、水溶性薬剤又は粉末薬剤を粉砕溶解させた薬剤が含有され、前記薬液の性質により前記薬剤ミストに生成された各薬滴において相互に結合付着する場合には、前記薬剤ミスト中の薬滴が相互に結合付着するのを阻止するための添加剤を含む。
そして、添加剤は、例えば、食塩又はビタミンCであり、薬液は、当該添加材により生理食塩水と同程度の比重(浸透圧)になるように調整される。これにより、本吸入器の使用者は、呼吸気管に痛みや違和感を生じさせることがない。
ところで、上述した添加剤は、例えば、薬剤ミスト中の薬滴をイオン化させることにより相互に分離させ、これにより、ミスト化した薬滴は移動する過程で互いに結合付着して粒子径が大きくなってしまうことがない。
従って、薬剤ミスト中の薬滴のイオン化のみならず、薬滴が、移動する過程で相互に結合したり付着したりして粒子径が大きくなってしまわないように作用する、例えば互いに界面活性作用を奏する等の、他種類の添加剤であっても良い。
ところで、ガス供給部は、酸素を含む圧縮ガスを内部に貯蔵するガスボンベ又は清浄化された空気を吸入するコンプレッサであることから、空気中の細菌等を呼吸気管に取り込む危険性を排除している。尚、小規模の病院や家庭内で使用するときは、殺菌された圧縮空気又は圧縮酸素を貯蔵するガスボンベが望ましい。
しかし、清浄化された空気を吸入するようにすれば、ミスト生成部6は、噴霧ノズルの他に、単流体ノズル及びに二流体ノズルの何れかであってもよい。
これにより、本発明に係る吸入器においては、薬剤ミストには、単位cm当たり粒径サイズが数百ナノメートル(nm)以下の微細化された薬滴が少なくとも5000個以上含まれていることが実験で確認されたのである。これについては、図16以降に示す種々の測定結果において、詳細に後述する。
また、薬液には、殺菌された精製水中に、例えば、オルベスコ(一般名:シクレソニド)等のぜんそく薬、アビガン等のインフルエンザ治療薬、カトレラ(一般名:ロピナビル又はリトナビル)等の抗ウイルス化学療法剤、公知の肺炎治療薬又は鼻孔又は気管拡張剤の何れか又は複数が含まれる。
さらに、前記薬液には、抗菌作用又は抗ウイルス作用を有するカテキン、一又は複数のハーブ、を含有させるようにしてもよい。ここで、ハーブには、このような薬用ばかりか、精神安定作用又は芳香作用を有する種々の公知のハーブである。尚、これらのカテキン又はハーブを含有させる場合には、薬液に溶け込んだエキスのみを用いるのが望ましいことは言うまでもない。
ところで、ガス供給部からガスがノズル8aに供給されたとき、ノズル8aは先端に向かって狭窄されているため、ガスは流速を増して吐出される。薬液貯留部28に貯留されている薬液は、このときの気流により発生する負圧で取込部34を通して薬液吸入路33に吸い込まれてノズル8aの先端まで導かれガスと合流し、バッフル26に激しく衝突する。この衝突によって、微細な粒径、具体的には10μm以下の薬剤ミストが生成される。このように微細に粉砕されたミストは、マイナスイオンの効果を発揮することができる。
生成された薬剤ミストは浮上して流路2を通り、ミスト噴出口4から噴出される。また、ミスト化されなかった薬液や粒子が大きすぎて浮上できないミスト、すなわち薬滴は鍔部31の中空部を通り薬液貯留部28へ戻る。
薬剤ミスト生成部6には、ミスト排出部1の流路2の回動板18が配置されている側の端部に空気取入口3が設けられており、使用者が薬剤ミストを吸入する際の負圧で回動板18が回動して、空気が取り込まれることになり、薬剤ミストが吸入しやすくなる。
尚、図3において、例えば、薬液注入口3と薬液貯留28に薬液を注入する経路間を閉経路とし、若しくは当該経路間に循環経路(図示せず)を設けるようにすれば、薬液中に若しくはミスト中に雑菌の侵入を防ぐことが可能となるので、本発明の実施に当たって考慮すべき事項である。
ガスは空気又は酸素ガスの何れもが使用可能である。しかし、酸素ガスの方が圧力変動が少なく空気よりも好ましい。また、空気を使用する場合には、1立方mm当たりバクテリアが3μm以下、菌やカビ類が0.45μm以下、ウイルス0.01μm以下の条件で使用できる。
ミスト噴出口4には、微粒子選別フィルタリング手段9が配置されており、微粒子選別フィルタリング手段9を通してミスト排出部1で生成した微粒子化された薬滴を含むミストが導管10へ放出される。
微粒子選別フィルタリング手段9は、流路2に連通して薬剤ミストが通過する管路9Aで構成される。そして、微粒子選別フィルタリング手段9は、管路9Aの内壁に周縁が密着するよう、薬剤ミストが流れる方向と直交する方向に、複数の微細な透過部12が形成されている1又は複数枚のプレート11が配置されている。
プレート11には、メッシュプレートやパンチプレートが使用される。メッシュプレートであれば、例えば、ステンレス鋼素材による縦線21と横線22とを交差させるパターンで構成される、図6(a)に示すようなメッシュプレートを使用することができる。この場合は、メッシュの目20が透過部12となる。図6(a)での透過部12の形状は四角であるが、縦線と横線との編み方により菱形や亀甲模様などの形状であってもよい。
また、パンチプレートであれば、例えば鋼板を金型で打ち抜いて製造される図6(b)に示すようなパンチングメタル25を使用することができる。この場合には、パンチ孔24が透過部12であり、図6(b)での透過部12の形状は丸孔であるが、長孔や角孔などの形状であってもよい。
何れのプレートも、透過部12の寸法は500μm以下にまで形成することが可能である。微粒子選別フィルタリング手段9は、導管10の途中又は導管10の出口側と吸入部13との間に設けられてもよい。
導管10は、微粒子選別フィルタリング手段9の出口側と吸入部13とを接続するもので蛇腹のホースが使用される。蛇腹ホースは、内壁が凹凸形状を有するために、薬剤ミストが吸入部13へ移動する間に、粒子径が大きくなった薬滴は、内壁の凹部に落下して受け止められるため、薬液が吸入部13から呼吸器系へ導入されることが防げる。
尚、図10(b)に示す蛇腹のホース(フレキシブルホース)は、その内壁の断面がウェーブ(サインカーブ)状のタイプの例を示しているが、その内壁が文字通りの矩形型凹凸形状を有するホースを使用することにより、ミスト化されなかった薬液や粒子が大きすぎて浮上できないミストを排除し、より粒径が微細のミストを効率よく且つより多く吸入部13側へ供給することが可能になる。
これにより、場合によっては、上述した微粒子選別フィルタリング手段9を省くことも可能になり得る。
吸入部13は、そのままマウスピースとして口にくわえて薬剤ミストを咽頭や喉頭、気管、気管支、肺に吸入するのに用いられてもよいし、使用者の鼻と口を覆うフェイスマスクを吸入部13に接続してマスクを通して口や鼻から吸入してもよい。また、鼻腔から脳へ薬剤を送達する用途の場合には、吸入部13に鼻腔カニューレを接続して吸入するのが効果的である。
上記構成の吸入器50は、ガスとガスの噴射により吸引された薬液とがバッフル26への衝突で微細化された粒子径の薬滴による薬剤ミストが生成されて上方に浮上する。そして、薬剤ミストは、ガス圧で流路2のミスト噴出口4から放出され、微粒子選別フィルタリング手段9を通過する。薬剤ミストの粒子の中で粒径の大きい薬滴は、微粒子選別フィルタリング手段9のプレート11に形成された透過部12を透過できず、流路2に留まる。したがって、透過部12の孔の大きさで微粒子の薬滴が選別されて導管10へ導入される。
また、薬滴が透過部12を透過できないサイズの粒径であっても、透過部12を通過することで細かく粉砕され微細な粒子の薬滴となって、微粒子選別フィルタリング手段9を通過する。このとき、薬剤ミストの生成後、薬滴どうしが結合して粒子が大きくなった薬滴も、透過部12を通過することで細かく再粉砕されて微粒子選別フィルタリング手段9を通過する。
薬剤ミスト生成部6に設けられた空気取入口3は、使用者が薬剤ミストを吸入する際の負圧で回動板18が回動して、空気が取り込まれることになり、薬剤ミストが吸入しやすくなることを前述したが、これに加えて、呼吸と同期して空気を薬剤ミスト生成部6に取り込み風圧が上がることで、透過部12を通過するときの薬滴の粉砕が進み、ミストサイズを更に細かくすることができる。
生成された薬液ミストには、大きなサイズの薬滴すなわち液体のままの薬液が混在しており、薬液がプレート11に達すると表面張力で透過部12を塞ぐことになる。よって、プレート11とミスト噴出口4との配置関係は、薬液がプレート11に達する前に落下するような適度な距離で間隔を空けている。
このように、微粒子選別フィルタリング手段9を用いることで、粒子径が0.2μm乃至0.3μmである微細な薬滴が効果的に吸入部13から排出されることを、図7乃至図9を参照して説明する。
図7乃至図9は、吸入器50に微粒子選別フィルタリング手段9が有る場合と無い場合との比較を示す実験結果を示すグラフである。図7は、微粒子選別フィルタリング手段9を設けずに、且つ導管10には蛇腹のホースではなく内面が平らなホースで構成した吸入器50の実験結果を示し、図8は、微粒子選別フィルタリング手段9を設けて、且つ導管10には蛇腹のホースではなく内面が平らなホースで構成した吸入器50の実験結果を示し、図9は、微粒子選別フィルタリング手段9を設けて、且つ導管10には蛇腹のホースで構成した吸入器50の実験結果をそれぞれ示している。
そして、各図とも、(a)は吸入部13に到達した薬剤ミストの1立方センチメートル当たりに含まれる各粒径サイズ(ミスト径)の薬滴の個数を折れ線グラフで示し、(b)は各ミスト径の分布度を棒グラフで示している。
これらの図から明らかなように、図8では薬滴の粒径が0.2μm乃至0.3μmの薬滴は全体の略18%を占めるのに対して、図7の場合には同じサイズの薬滴の分布は略11%である。そして、0.3μm乃至0.4μm、0.4μm乃至0.5μmの範囲の薬滴の分布度も図8の場合の方が高いことが分かる。したがって、微粒子選別フィルタリング手段9を設けることで、より微細化された薬滴を多く含有する薬剤ミストが呼吸器系に送達されることになる。
そして、図9では、導管10に蛇腹のホースを用いたとき、微細化された薬滴を含有する薬剤ミストがさらに効果的に呼吸器系に送達されることを示している。これは、前述したように、導管10内を移動中に粒子径が大きくなった薬滴は内壁の凹部に落下して受け止められるため、この薬滴が粒子径の小さな薬滴と結合することがないため、微細化された薬滴が吸入部13に到達する率が高くなる。
薬液は、治療目的に応じて各種のナノ粒子含有薬剤を溶解した溶液を用いれば、単位薬液量当たりのナノ粒子の総量を増加させると共に溶解速度、分散性、製剤安定性の改善が可能となる。また、薬液には、0.9パーセントの濃度で塩化ナトリウムを含有させれば、呼吸器系粘膜の洗浄効果に加えて、噴霧吸入剤として呼吸器系の粘膜への浸透効率が向上するため、人体の呼吸器系粘膜の表面への浸透圧の薬剤の浸透圧が高まり、効果的に薬剤を送達できる。
次に上記した吸入器50における微粒子選別フィルタリング手段9の種々の変形例を説明する。
微粒子選別フィルタリング手段9のプレート11は図10に示すように、薬剤ミストが流れる方向に沿って適当な間隔を空けて複数設けることができる。プレート11どうしの間には、図10(a)に示すように、その間隔を固定するための押え部材14を設ける。押え部材14は、例えば、微粒子選別フィルタリング手段9の管路9Aの内径と等しい外径を有するチューブで構成される。或いは、図10(b)に示すように、微粒子選別フィルタリング手段9の管路9Aを蛇腹のチューブで構成して、内周壁の凹部を押え部材として、この凹部にブレート11を嵌め込んで構成することができる。
微細粒子は表面エネルギーが極めて大きいため、粒子どうしの付着・凝集性が著しく高いがプレート11を複数設けることで、薬剤ミストは各プレート11の透過部12を通過するごとに、再粉砕されるため微細粒子の分布度を高く保持することができる。
このように、プレート11を複数設けたときには、各プレート11に形成されるそれぞれの透過部12の開口面積は薬剤ミスト進行方向で下流ほど小さく設定するとよい。薬剤ミストの生成直後は微細粒子の薬滴の分布率は高いが、時間の経過と共に凝集されて微細粒子の薬滴の分布度は低くなっていく。したがって、ミスト排出部1に近いプレート11の透過部12ほど、その開口面積を小さくすることで、初めのプレート11では、粒子の径が大きい薬滴(液体)を選別して薬剤ミストから除去する。その後のプレート1でも、液体の薬滴は除去する一方、透過部12を通過するたびに薬滴の再粉砕が行われて、微細粒子の薬滴の分布率を高くに保持する。しかも、流れにしたがい各プレート11の透過部12の開口面積は小さくなるため、ガス供給部から遠ざかり移動エネルギーが減衰しても、透過部12を通過するときには激しく吹き出されることで再粉砕が繰り返されることになる。
微粒子選別フィルタリング手段9の管路9Aは、図11に示すように、薬剤ミストが流れる方向にしたがい開口の断面面積が小さくなるテーパを有する筒であってもよい。これにより、プレート11の透過部12を通過したときの圧力変動によるキャビテーションが高まるため薬滴が効果的に再粉砕される。このとき、プレート11を複数設けるときには、取り付けられる開口の断面積に応じてプレート11の径も小さくする。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の吸入器にも適用可能である。
図12は、他の実施形態を示すもので、この実施形態の吸入器100は、酸素(以下、単に「ガス」という)を供給するガス供給手段としてのガスボンベ110と、薬剤ミスト生成手段としてのミスト生成部120と、吸入部としての吸入マスク140とを有する。
ミスト生成部120にガスを供給するガスボンベ110は、本実施形態では携帯性に着目して小型のカートリッジ式のものを用いる。この小型のガスボンベ110は、ミスト生成部120のガスボンベ接続部126に装着され、ガスをミスト生成部120に所定圧で供給する。
ミスト生成部120は、内部に薬液を貯留して、ガスボンベ110から供給されるガスの高速流により、この薬液とガスを粉砕溶解した薬剤ミストを生成し、これを吸入マスク140に供給する。図13はミスト生成部120の構造を示す断面模式図である。同図に示すように、ミスト生成部120は、生成器本体121と、蓋部材133とから構成されている。蓋部材133は、ミスト生成部120で生成された薬剤ミストを排出する薬剤ミスト排出口134を備えており、この薬剤ミスト排出口134に微粒子選別フィルタリング手段91が配置されている。
微粒子選別フィルタリング手段91は、上述の微粒子選別フィルタリング手段9と同様に、複数の透過部(図示しない)が設けられた1乃至複数(図示は1枚)のメッシュプレート又はパンチプレートで構成されるプレート92を備える。
生成器本体121の詳細を図13及び図14に示す。図13は生成器本体121の一部破断斜視図、図14は断面模式図である。これらの図に示すように、生成器本体121は、液体を貯留する液体貯留部122と、ガスボンベ110から供給されるガスを先端開口123Aから吐出するノズル123と、液体貯留部122に貯留された薬液をノズル123の先端まで吸い上げる吸液管124Aを構成する吸液管形成部材124と、ノズル123の先端開口123Aと対向する位置に設けられるバッフル125と、ガスボンベ110と接続されるガスボンベ接続部126とを備えている。さらに、生成器本体121には通気孔127が形成されており、ここから生成器本体121内に外気が吸引される。
液体貯留部122は、図13及び図14に示すように生成器本体121の底部と側壁の一部、及び遮蔽板122Aにより仕切られて形成されている。この遮蔽板122Aは、液体貯留部122内の圧力を遮蔽板122Aから上部の圧力よりも高く維持することによって、液体を吸液管124A上方に押し上げる作用を有する。このため、遮蔽板122Aは生成器本体121の内壁の所定位置に固定的に配置されても良いが、液体貯留部122の液面レベルに応じて上下に移動可能な構成にしても良い。また、ノズル123の先端開口123Aから吐出するガス圧の大きさ次第では、遮蔽板122Aは無くても良い。
生成器本体121(液体貯留部122)の底側中央には、ノズル123が設けられている。このノズル123は、液体貯留部122の底及びガスボンベ接続部126を貫通しており、生成器本体121の上部に向かって絞られる略円錐筒状に形成されている。ノズル123の基端にはガスボンベ110が接続され、その先端開口123Aからはガスを吐出することが可能である。
吸液管124Aは、ノズル123の外周面と、ノズル123より一回り大きい略円錐筒状の吸液管形成部材124の内周面との間に形成される。即ち、図14に示すように、ノズル123に吸液管形成部材124を被せるように配置することにより、ノズル123の外周面と吸液管形成部材124の内周面との間に吸液管124Aが形成される。このとき、図示は省略したが吸液管形成部材124の基端には微小な爪状突起部が設けられているため、吸液管形成部材124の基端と液体貯留部122の底面には隙間が形成されており、この隙間から液体貯留部122に貯留された液体が吸液管124Aによって吸い上げられる。また、吸液管形成部材124の先端部124Bは、ノズル123の先端開口123Aの近傍で開口しており、ノズル123から吐出されるガス流に、吸液管124Aが吸い上げた液体が突き当たるように構成されている。
バッフル125は、ノズル123の先端開口123A及び吸液管形成部材124の先端部124Bに対向する位置に配置される部材であり、ここでは吸液管形成部材124に固定的に支持されている。バッフル125はこのほか、遮蔽板122A、生成器本体121の内側に固定支持される構成としても良い。なお、吸液管形成部材124は、上下方向略中央部で遮蔽板122Aと連結されている。また、遮蔽板122Aもその外周で生成器本体121内側と連結している。このように生成器本体121は、全体が一体に形成されるのが好ましい。
ガスボンベ接続部126は、好適にはワンタッチでガスボンベ110を装着し使用できる接続部である。図示は省略するが、ガスボンベ接続部126は内部にレギュレータを備えており、ガスボンベ110から供給されるガスの流量を調節可能にする。また、ガスボンベ110から供給されるガス流は、ガスボンベ接続部126内で二つに分岐され(図12の分岐部138)、一方はノズル123に、他方は管128Aを通って、後述するガス供給部128に供給される。なお、ここではガスボンベ接続部126に、ダイヤルスイッチ126A、残量ゲージ126Bが設けられた例を示している。ダイヤルスイッチ126Aは、回すことでガス供給のオン・オフ、及び供給量調節が可能である。残量ゲージ126Bには、ガスボンベ110のガス残量が表示される。
液体貯留部122には、予め製造段階において所定の液体が貯留されているのが好適である(使い捨てタイプの場合)。即ち、本吸入器100を実際に使用する際には既にミスト生成部120に液体が貯留された状態であるのが好ましい。このように使い捨てにすることで、衛生的かつ簡便に薬剤ミストの吸入を行うことができる。あるいは、液体貯留部122に液体を注入、補充するための液体注入口等を設け、ここから液体を注入、補充する構成であっても良い。
吸入マスク140は、接続部141により薬剤ミスト排出口134と接続され、使用者は薬液ミストを吸入する。なお図示は省略したが、吸入マスク140には、外気を取り込み高濃度酸素や炭酸ガスの長時間吸引による弊害を防ぐため、開口を設けておいても良い。
上記構成の吸入器100は、まず、液体貯留部122に既に薬液が貯留された状態でガスボンベ110を、ミスト生成部120のガスボンベ接続部126にセットする。そして、ガスボンベ接続部126のダイヤルスイッチ126AをONにすると、ガスがノズル123及びガス供給部128へ供給され始める。なお、ダイヤルスイッチ126Aではガスの流量を調整することができる。
ガスがノズル123に供給されると、ノズル123は図14に示すように先端に向かって狭窄されているため、ガスは流速を増して吐出される。液体はこのときの気流により発生する負圧で吸液管124Aから吸い上げられ、吸液管124Aの先端部124Bでガスに吹き上げられてバッフル125に衝突し、薬剤ミストが生成される。この衝突によって生成されるミストの粒径は微細であり、具体的には10μm以下である。このように微細に粉砕されたミストは、マイナスイオンの効果を発揮することができる。
ガスはさらにガス供給部128及びガス導入部131からも生成器本体121内に供給されて、生成された薬剤ミストの排出圧を高くする。薬剤ミストは薬剤ミスト排出口134から吸入マスク140へと排出されるが、薬剤ミスト排出口134を通過する間、薬剤ミストの粒子の中で粒径の大きい薬滴は、微粒子選別フィルタリング手段91のプレート92に形成された透過部を透過できず、薬滴となって下方に落下する。したがって、透過部孔の大きさで微粒子の薬滴が選別されて薬剤ミスト排出口134から吸入マスク140へと排出される。
また、薬滴によっては、プレート92に形成された透過部を透過できないサイズの粒径であっても、透過部を通過することで細かく粉砕され微細な粒子の薬滴となって、微粒子選別フィルタリング手段91を通過する。このとき、薬剤ミストの生成後、薬滴どうしが結合して粒子が大きくなった薬滴も、透過部を通過することで細かく再粉砕されて微粒子選別フィルタリング手段91を通過する。排出された薬剤ミストは、吸入マスク140の接続部141に設けられる吸入口から吸入することができる。
生成器本体121に形成される通気孔127は、使用者が薬剤ミストを吸入する際の負圧によって生成器本体121内に空気が取り込まれることになり、薬剤ミストが吸入しやすくなる。これに加えて、呼吸と同期して空気を生成器本体121に取り込み風圧が上がることで、微粒子選別フィルタリング手段91の透過部を通過するときの薬滴の粉砕が進み、ミストサイズを更に細かくすることができる。
尚、吸入器100では、薬剤ミスト排出口134と吸入マスク140とを接続部141を介して直接接続しているが、両方の間に吸入器100で用いた蛇腹のホースを配置することで、ミスト化されなかった薬液や粒子が大きいミストを受け止めるようにすることができる。
次に、図16乃至23により、本発明の特に主要な構成である、薬液に水溶性薬剤又は粉末薬剤を粉砕溶解させた薬剤と共に、薬剤ミスト中の薬滴が相互に結合付着するのを阻止するための添加剤を含有させた場合の実験結果について、このような含まない場合の測定結果と比較して説明する。
尚、本発明に係る吸入器の、薬剤ミスト中の薬滴が相互に結合付着するのを阻止するための添加剤を含む場合とそのような添加剤を含まない水の場合におけるミスト粒子が微細な薬滴の測定結果を示すものであり、図9で示した測定結果と比較するために、図9と同様の条件で実験した結果を示すが、図16乃至23において得られたミスト粒子サイズの測定された分布は、図9と測定条件とは異なり、上述した薬滴細部を微細化するためのフィルタを用いていない。
図16は、ガス供給部としてボンベ(6気圧:ガス圧0.6と表示)を使用し、ホース長は蛇腹フレキシブルの800mmであり、薬滴のサイズを制限するフィルタを用いず、外部からの空気流入を遮断している気流の閉鎖回路(流速:5メートル/秒)としている。薬液には、添加剤を含まない。
図16に示すように、薬滴ミストの粒径は、1μm乃至2μmが最も多く、1μm以下の粒径サイズのものは3000個/cm程度しか含まれていない。
図17は、ガス供給部としてボンベ(2気圧:ガス圧0.2と表示)を使用し、ホース長は蛇腹フレキシブルの800mmであり、薬滴のサイズを制限するフィルタを用いず、外部からの空気流入を遮断している気流の閉鎖回路(流速:5メートル/秒)としている。薬液には、添加剤を含まない。
図17に示すように、薬滴ミストの粒径は、図16(a)と同様に、1μm乃至2μmが最も多く、1μm以下の粒径サイズのものは2500個/cm以下しか含まれていない。
図18は、ガス供給部としてボンベ(6気圧:ガス圧0.6と表示)を使用し、ホース長は蛇腹フレキシブルの800mmであり、薬滴のサイズを制限するフィルタを用いず、外部からの空気流入を遮断している気流の閉鎖回路(流速:5メートル/秒)としている。薬液には、添加剤として生理食塩水(浸透圧が体液と同等の食塩水)を含む。
図18に示すように、薬滴ミストの粒径は、1μm以下のものが最も多く、特に0.5μm(500nm)以下の粒径サイズのものは6000乃至8000個/cmも含まれている。
図19は、ガス供給部としてボンベ(6気圧:ガス圧0.6と表示)を使用し、ホース長は蛇腹フレキシブルの800mmであり、薬滴のサイズを制限するフィルタを用いず、外部からの空気流入を遮断している気流の閉鎖回路(流速:5メートル/秒)としている。薬液には、添加剤として牛乳(浸透圧が体液と同等の牛乳)を含む。
図19に示すように、薬滴ミストの粒径は、1μm以下のものが多いものの、薬液が水のみである場合(図16の例)と比較して、1.0μm以下の粒径サイズのものを含んで入るものの、図18に示した添加剤が生理食塩水の場合と比較して、1μm以上の粒径サイズのものがより多い。
図20は、ガス供給部としてボンベ(2気圧:ガス圧0.2と表示)を使用し、ホース長は蛇腹フレキシブルの800mmであり、薬滴のサイズを制限するフィルタを用いず、外部からの空気流入を遮断している気流の閉鎖回路(流速:5メートル/秒)としている。薬液には、添加剤としてビタミンCを含む。
図20に示すように、薬滴ミストの粒径は、1μm以下のものが最も多く、0.5μm以下の粒径サイズのものは最大12000個/cmに及ぶ。
図21は、ガス供給部としてボンベ(6気圧:ガス圧0.6と表示)を使用し、ホース長は蛇腹フレキシブルの800mmであり、薬滴のサイズを制限するフィルタを用いず、外部からの空気流入を遮断している気流の閉鎖回路(流速:5メートル/秒)としている。薬液には、添加剤としてビタミンCを含む。
図21に示すように、薬滴ミストの粒径は、1μm以下のものが最も多く、0.5μm以下の粒径サイズのものは最大7000個/cmであるが、ミスト分布においては、図20との大きな違いは認められなかった。従って、本発明に係る呼吸器においては、比較的低い圧力のガスボンベであっても長時間使用することが可能であること示している。
図22は、ガス供給部としてボンベ(1.5気圧:ガス圧0.15と表示)を使用し、ホース長は蛇腹フレキシブルの800mmであり、薬滴のサイズを制限するフィルタを用いず、外部からの空気流入を遮断している気流の閉鎖回路(流速:5メートル/秒)としている。薬液には、添加剤としてビタミンCを含む。
図22に示すように、薬滴ミストの粒径は、1μm以下のものが最も多く、0.5μm以下の粒径サイズのものは最大9000個/cmであるが、ミスト分布においては、図21と大きな違いは認められなかった。従って、本発明に係る呼吸器においては、ガスボンベの気圧が1.5気圧程度の低圧であっても有用であることを示している。
図23は、ガス供給部としてボンベ(2気圧:ガス圧0.2と表示)を使用し、ホース長は蛇腹フレキシブルの800mmであり、薬滴のサイズを制限するフィルタを用いず、外部からの空気流入を遮断している気流の閉鎖回路(流速:5メートル/秒)としている。薬液には、添加剤を含まない。
図23に示す測定結果は、薬液に添加剤を含まず水のみである場合(図16(a)の例)と同様に、1.0μm以下の粒径サイズのものが極めて少なく、1μm以上の粒径サイズのものが80%以上である。
上述したように、本発明に係る吸引機においては、ミスト化された薬液又は/及び粉末状固形粒子の薬剤が粉砕溶解された薬液中に溶け込んだ薬剤の粒子径の多くがナノサイズレベルに微粒子化させて、人体の特に呼吸器系粘膜の細胞組織中に極めて効率良く浸透させるようにした吸入器の提供を実現した。
また、ガス供給部から排出される気圧が1.15乃至6気圧であっても、薬液中に溶け込んだ薬剤の粒子径の多くがナノサイズレベルに微粒子化させて放出されることが確認され、比較的低圧で小さなガスボンベ等であっても、長時間に亘って吸引させることが可能である。
本発明は、ミスト化された薬液中に溶け込んだ薬剤の粒子径の多くをナノサイズレベルに微粒子化させた薬滴を作り、当該薬滴が人体の呼吸器系粘膜の細胞組織中に効率良く浸透するようにした吸入器に関するものであり、産業上の利用可能性を有する。
6 ミスト生成部
9 微粒子選別フィルタリング手段
9A 管路
10 導管
11 プレート
12 透過部
13 吸入部
91 微粒子選別フィルタリング手段
92 プレート
100 吸入器
120 ミスト生成部

Claims (15)

  1. 薬液を霧化した薬剤ミストを呼吸器系に送達するための吸入器であって、
    圧縮ガスを供給するガス供給部と、
    前記薬液を貯留する薬液貯留部と、
    前記ガス供給部から供給されたガスと、前記薬液貯留部内に貯留された薬液とから、前記薬剤ミストを生成するミスト生成部と、
    前記ミスト生成部から排出される前記薬剤ミストを呼吸気管内に吸入するための吸入部と、を有し、
    前記薬液は、水溶性薬剤又は粉末薬剤を粉砕溶解させた薬剤を含み、
    前記薬液の性質により前記薬剤ミストに生成された各薬滴が相互に結合付着する場合には、前記薬剤ミスト中の薬滴が相互に結合付着するのを阻止するための添加剤を含む、ことを特徴とする吸入器。
  2. 前記添加剤は、食塩又はビタミンCの何れかであり、
    前記薬液は、当該添加材により生理食塩水と同程度の浸透圧になるように調整される、ことを特徴とする請求項1に記載の吸入器。
  3. 前記添加剤は、前記薬剤ミスト中の薬滴をイオン化させることにより相互に分離させるものであり、
    前記薬液は、当該添加剤により生理食塩水と同程度の比重(浸透圧)になるように調整される、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の吸入器。
  4. 前記ガス供給部は、酸素を含む圧縮ガスを内部に貯蔵するガスボンベ又は清浄化された空気を吸入するコンプレッサであって、そこから排出される気圧が1.15乃至6気圧であり、
    前記ミスト生成部は、噴霧ノズル、単流体ノズル及びに二流体ノズルの何れかを備える、ことを特徴とする請求項1乃至3の何れかの項に記載の吸入器。
  5. 前記薬剤ミストには、単位cm当たり粒径サイズ100ナノメートル(nm)以下の微細化された薬滴が少なくとも5000個以上含まれていることを特徴とする請求項4に記載の吸入器。
  6. 前記薬液には、殺菌された精製水中に、ぜんそく薬、インフルエンザ治療薬、肺炎治療薬又は鼻孔又は気管拡張剤の何れか又は複数が含まれることを特徴とする請求項5に記載の吸入器。
  7. 前記薬液には、抗菌作用又は抗ウイルス作用を有するカテキン、一又は複数のハーブ、が含まれることを特徴とする請求項6に記載の吸入器。
  8. 前記ミスト排出部と前記吸入部との間に設けられる所定径以下の微粒子を選別するためのフィルタリング手段と、
    を備え、
    前記微粒子選別フィルタリング手段は、前記薬剤ミストが通過する管路で構成されて、前記管路内には、該管路の内周壁に周縁が密着するようプレートが配置され、前記プレートは複数の微細な透過部を有する請求項1乃至6の何れかの項に記載の吸入器。
  9. 前記プレートは、網目で前記透過部を形成する網板で構成される請求項8に記載の吸入器。
  10. 前記管路の開口面積は、前記薬剤ミスト進行方向で下流ほど小さくなる請求項8又は9に記載の吸入器。
  11. 前記プレートは前記管路内に間隔を空けて複数設けられて、前記プレートどうし間には間隔を固定するための押え部材が設けられる請求項10に記載の吸入器。
  12. 前記下流に配置された前記プレートほど前記透過部の開口面積が小さくなる請求項11に記載の吸入器。
  13. 前記管路の断面面積及び前記プレートの表面積は、前記薬剤ミスト進行方向で下流ほど小さくなる請求項11に記載の吸入器。
  14. 前記流出部と前記吸入部とを接続する導管を設け、前記微粒子選別フィルタリング手段は、前記流出部と前記導管の入口側との間、又は前記導管の出口側と前記吸入部との間、或いは前記導管の途中に配置する請求項13に記載の吸入器。
  15. 前記導管は、蛇腹形状のホースである請求項14に記載の吸入器。
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