JP2021170009A - 呼吸器感染症の重症化の予測を補助する方法、バイオマーカーの測定値をモニタリングする方法、これらの方法に用いられる試薬キット、呼吸器感染症の重症化の予測を補助する装置およびコンピュータプログラム - Google Patents

呼吸器感染症の重症化の予測を補助する方法、バイオマーカーの測定値をモニタリングする方法、これらの方法に用いられる試薬キット、呼吸器感染症の重症化の予測を補助する装置およびコンピュータプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】呼吸器感染症の重症化を予測するための新たな方法を提供することを課題とする。【解決手段】呼吸器感染症に罹患した被検者または呼吸器感染症が疑われる被検者から採取した検体中のバイオマーカーを測定する工程を含み、バイオマーカーが、IFNλ3、CCL17、CXCL11、IP-10、IL-6およびCXCL9からなる群より選択される少なくとも1つであり、バイオマーカーの測定値を、呼吸器感染症の重症化を予測するための指標とする、呼吸器感染症の重症化の予測を補助する方法によって、上記課題を解決する。【選択図】図5A

Description

本発明は、呼吸器感染症の重症化の予測を補助する方法に関する。本発明は、バイオマーカーの測定値をモニタリングする方法に関する。本発明は、これらの方法に用いられる試薬キットに関する。本発明は、呼吸器感染症の重症化の予測を補助する装置およびコンピュータプログラムに関する。
呼吸器感染症の患者は、多くの場合は軽症で入院の必要はないが、一部の患者は重症化し、入院して治療を受ける必要がある。重症化した患者に対しては優先的に治療を行う必要があるので、呼吸器感染症の重症化を予測する手段のニーズは高い。
特許第6081699号公報
上記の事情に鑑み、本発明者らは、重症化を予測可能なバイオマーカーの探索を試みた。本発明は、そのようなバイオマーカーを用いて、呼吸器感染症の重症化を予測するための新たな手段を提供することを目的とする。
特許文献1には、サイトカインの一種であるIL(Interleukin)-28B(IFNλ3とも呼ばれる)を特異的に測定する方法により、C型慢性肝炎患者の血清中のIL-28Bを検出したことが記載されている。しかし、特許文献1には、呼吸器感染症の重症化を予測するためにIFNλ3を測定したことは記載されていない。
本発明者らは、IFNλ3(Interferonλ3)、CCL17(CC chemokine ligand 17)、CXCL11(CXC chemokine ligand 11)、IP-10(Interferon-inducible Protein-10)、IL-6およびCXCL9(CXC chemokine ligand 9)が、呼吸器感染症の重症化を予測するためのバイオマーカーとして利用できることを見出して、発明を完成した。よって、本発明は、呼吸器感染症に罹患した被検者または呼吸器感染症が疑われる被検者から採取した検体中のバイオマーカーを測定する工程を含み、バイオマーカーが、IFNλ3、CCL17、CXCL11、IP-10、IL-6およびCXCL9からなる群より選択される少なくとも1つであり、バイオマーカーの測定値を、呼吸器感染症の重症化を予測するための指標とする、呼吸器感染症の重症化の予測を補助する方法を提供する。
本発明は、呼吸器感染症に罹患した被検者または呼吸器感染症が疑われる被検者から採取した検体中のバイオマーカーの測定値をモニタリングする方法を提供する。この方法は、被検者から複数の時点において採取された検体を用い、バイオマーカーの測定値を取得することを含み、バイオマーカーが、IFNλ3、CCL17、CXCL11、IP-10、IL-6およびCXCL9からなる群より選択される少なくとも1つであり、測定値を、呼吸器感染症の重症化を予測するための指標とする。
本発明は、呼吸器感染症に罹患した被検者または呼吸器感染症が疑われる被検者から採取した検体中のバイオマーカーを測定する工程と、バイオマーカーの測定値に基づいて、呼吸器感染症の重症化を予測する工程とを含み、バイオマーカーが、IFNλ3、CCL17、CXCL11、IP-10、IL-6およびCXCL9からなる群より選択される少なくとも1つである、呼吸器感染症の重症化の予測を補助する方法を提供する。
本発明は、バイオマーカーと特異的に結合可能な物質を含む試薬を含む、上記方法に用いられる試薬キットを提供する。
本発明は、プロセッサおよびプロセッサの制御下にあるメモリを含むコンピュータを備え、メモリには、呼吸器感染症に罹患した被検者または呼吸器感染症が疑われる被検者から採取した検体中のバイオマーカーの測定値を算出するステップと、バイオマーカーの測定値を出力するステップとを前記コンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムが記録されており、バイオマーカーの測定値が、呼吸器感染症の重症化を予測するための指標となり、バイオマーカーが、IFNλ3、CCL17、CXCL11、IP-10、IL-6およびCXCL9からなる群より選択される少なくとも1つを含む、呼吸器感染症の重症化の予測を補助する装置を提供する。
本発明は、呼吸器感染症の重症化の予測を補助するためのコンピュータプログラムを提供する。このコンピュータプログラムは、コンピュータに読み取り可能な媒体に記録され、呼吸器感染症に罹患した被検者または呼吸器感染症が疑われる被検者から採取した検体中のバイオマーカーの測定値を算出するステップと、バイオマーカーの測定値を出力するステップとをコンピュータに実行させる。バイオマーカーは、IFNλ3、CCL17、CXCL11、IP-10、IL-6およびCXCL9からなる群より選択される少なくとも1つを含む。
本発明によれば、被検者の呼吸器感染症の重症化の予測を補助することができる。
本実施形態の試薬キットの一例を示す概略図である。 本実施形態の試薬キットの一例を示す概略図である。 本実施形態の試薬キットの一例を示す概略図である。 本実施形態の試薬キットの一例を示す概略図である。 本実施形態の装置の一例を示す概略図である。 本実施形態の装置のハードウェア構成を示すブロック図である。 本実施形態の装置による処理手順を示すフローチャートである。 本実施形態の装置による処理手順を示すフローチャートである。 本実施形態の装置による処理手順を示すフローチャートである。 本実施形態の装置による処理手順を示すフローチャートである。 本実施形態の装置による処理手順を示すフローチャートである。 本実施形態の装置による処理手順を示すフローチャートである。 症例No.7の患者の血清におけるIFNλ3濃度の推移を示すグラフである。 症例No.11の患者の血清におけるIFNλ3濃度の推移を示すグラフである。 症例No.5の患者の血清におけるIFNλ3濃度の推移を示すグラフである。 症例No.9の患者の血清におけるIFNλ3濃度の推移を示すグラフである。 症例No.12の患者の血清におけるIFNλ3濃度の推移を示すグラフである。 症例No.4の患者の血清におけるIFNλ3濃度の推移を示すグラフである。 症例No.8の患者の血清におけるIFNλ3濃度の推移を示すグラフである。 症例No.10の患者の血清におけるIFNλ3濃度の推移を示すグラフである。 症例No.7の患者の血清におけるCXCL11濃度の推移を示すグラフである。 症例No.11の患者の血清におけるCXCL11濃度の推移を示すグラフである。 症例No.5の患者の血清におけるCXCL11濃度の推移を示すグラフである。 症例No.9の患者の血清におけるCXCL11濃度の推移を示すグラフである。 症例No.12の患者の血清におけるCXCL11濃度の推移を示すグラフである。 症例No.4の患者の血清におけるCXCL11濃度の推移を示すグラフである。 症例No.8の患者の血清におけるCXCL11濃度の推移を示すグラフである。 症例No.10の患者の血清におけるCXCL11濃度の推移を示すグラフである。 症例No.7の患者の血清におけるIP-10濃度の推移を示すグラフである。 症例No.11の患者の血清におけるIP-10濃度の推移を示すグラフである。 症例No.5の患者の血清におけるIP-10濃度の推移を示すグラフである。 症例No.9の患者の血清におけるIP-10濃度の推移を示すグラフである。 症例No.12の患者の血清におけるIP-10濃度の推移を示すグラフである。 症例No.4の患者の血清におけるIP-10濃度の推移を示すグラフである。 症例No.8の患者の血清におけるIP-10濃度の推移を示すグラフである。 症例No.10の患者の血清におけるIP-10濃度の推移を示すグラフである。 症例No.7の患者の血清におけるIL-6濃度の推移を示すグラフである。 症例No.11の患者の血清におけるIL-6濃度の推移を示すグラフである。 症例No.5の患者の血清におけるIL-6濃度の推移を示すグラフである。 症例No.9の患者の血清におけるIL-6濃度の推移を示すグラフである。 症例No.12の患者の血清におけるIL-6濃度の推移を示すグラフである。 症例No.4の患者の血清におけるIL-6濃度の推移を示すグラフである。 症例No.8の患者の血清におけるIL-6濃度の推移を示すグラフである。 症例No.10の患者の血清におけるIL-6濃度の推移を示すグラフである。 症例No.7の患者の血清におけるCXCL9濃度の推移を示すグラフである。 症例No.11の患者の血清におけるCXCL9濃度の推移を示すグラフである。 症例No.5の患者の血清におけるCXCL9濃度の推移を示すグラフである。 症例No.9の患者の血清におけるCXCL9濃度の推移を示すグラフである。 症例No.12の患者の血清におけるCXCL9濃度の推移を示すグラフである。 症例No.4の患者の血清におけるCXCL9濃度の推移を示すグラフである。 症例No.8の患者の血清におけるCXCL9濃度の推移を示すグラフである。 症例No.10の患者の血清におけるCXCL9濃度の推移を示すグラフである。 症例No.7の患者の血清におけるCCL17濃度の推移を示すグラフである。 症例No.11の患者の血清におけるCCL17濃度の推移を示すグラフである。 症例No.5の患者の血清におけるCCL17濃度の推移を示すグラフである。 症例No.9の患者の血清におけるCCL17濃度の推移を示すグラフである。 症例No.12の患者の血清におけるCCL17濃度の推移を示すグラフである。 症例No.4の患者の血清におけるCCL17濃度の推移を示すグラフである。 症例No.8の患者の血清におけるCCL17濃度の推移を示すグラフである。 症例No.10の患者の血清におけるCCL17濃度の推移を示すグラフである。 H群の患者の血清におけるIFNλ3濃度の推移を示すグラフである。 L群の患者の血清におけるIFNλ3濃度の推移を示すグラフである。 H群の患者の血清におけるCCL17濃度の推移を示すグラフである。 L群の患者の血清におけるCCL17濃度の推移を示すグラフである。 H群およびL群の患者の血清におけるIFNλ3濃度をプロットしたグラフである。 H群およびL群の患者の血清におけるCCL17濃度をプロットしたグラフである。 IFNλ3濃度に基づいて呼吸器感染症の重症化の判定を行ったときのROC(receiver operating characteristic)曲線である。 CCL17濃度に基づいて呼吸器感染症の重症化の判定を行ったときのROC曲線である。 IFNλ3濃度がカットオフ値以上の患者群およびIFNλ3濃度がカットオフ値より低い患者群における、入院後の期間と無イベント生存率との関係を示すKaplan-Meier曲線である。 CCL17濃度がカットオフ値より高い患者群およびCCL17濃度がカットオフ値以下の患者群における、入院後の期間と無イベント生存率との関係を示すKaplan-Meier曲線である。
本実施形態の呼吸器感染症の重症化の予測を補助する方法(以下、「予測方法」ともいう)では、まず、被検者から採取した検体中のバイオマーカーとして、IFNλ3、CCL17、CXCL11、IP-10、IL-6およびCXCL9からなる群より選択される少なくとも1つを測定する。本実施形態の予測方法では、バイオマーカーの測定値が、呼吸器感染症の重症化を予測するための指標となる。
呼吸器感染症とは、鼻腔、咽頭、気管、気管支および肺胞などの呼吸に関する器官に病原体が感染することにより起こる疾患を指す。病原体は特に限定されないが、例えばウイルス、細菌、真菌または寄生虫などが挙げられる。ウイルスとしては、コロナウイルス、インフルエンザウイルスなどが挙げられる。コロナウイルスは特に限定されず、例えば、α−コロナウイルス、β−コロナウイルス、γ−コロナウイルスおよびδ−コロナウイルスが挙げられる。β−コロナウイルスとしては、例えば、SARS-CoV-2、SARS-CoV、HCoV-OC43、HCoV-HKU1、Bat SL-CoV-WIV1、BtCoV-HKU4、BtCoV-HKU5、MERS-CoVおよびBtCoV-HKU9などが挙げられる。
本実施形態における被検者としては、呼吸器感染症に罹患した患者および呼吸器感染症が疑われる者が挙げられる。呼吸器感染症に罹患した患者は、病原体が検出されたことなどにより感染が確認され、且つ、呼吸器感染症がまだ重症化していない者をいう。呼吸器感染症が疑われる者とは、例えば、発熱、咳、鼻水、咽頭痛などの風邪症状および/または息苦しさ、労作時の息切れ、味覚および嗅覚の異常などの所定の呼吸器感染症に特有の症状が出ている者、呼吸器感染症の患者と接触した者および接触が疑われる者を含む。呼吸器感染症の患者との接触とは、例えば、該患者と1m以内の距離で会話をすること、該患者が存在する密閉空間内に滞在すること、該患者の唾液、せき等の飛沫を浴びることなどの行為をいう。
一実施形態では、呼吸器感染症の重症化とは、酸素吸入が必要な肺炎になること、または人工呼吸管理を含む集中治療管理が必要な状態となることを指す。
検体は、被検者から採取され、上記バイオマーカーが含まれることが疑われる液体試料であれば特に限定されない。そのような液体試料としては、例えば、血液試料、脳脊髄液、喀痰、気管支肺胞洗浄液、鼻咽頭拭い液、リンパ液、尿、大便、唾液などが挙げられる。これらの中でも、血液試料が好ましい。血液試料としては、全血、血漿および血清が挙げられ、特に血漿および血清が好ましい。
検体に細胞などの不溶性の夾雑物が含まれる場合は、例えば、遠心分離、ろ過などの公知の手段により、検体から夾雑物を除去してもよい。また、検体は、必要に応じて適切な水性媒体で希釈してもよい。そのような水性媒体は、後述の測定を妨げないかぎり特に限定されず、例えば、水、生理食塩水、緩衝液などが挙げられる。緩衝液は、中性付近のpH(例えば6以上8以下のpH)で緩衝作用を有するかぎり、特に限定されない。そのような緩衝液は、例えば、HEPES、MES、Tris、PIPESなどのグッド緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)などが挙げられる。
本実施形態の予測方法で測定されるバイオマーカーは、IFNλ3、CCL17、CXCL11、IP-10、IL-6およびCXCL9から選択される1つまたは2つ以上のタンパク質分子である。IFNλ3とは、IL-28Bとも呼ばれ、19番目の染色体に存在する約1.5 Kbの遺伝子にコードされている200アミノ酸からなるタンパク質である。IFNλ3は、N末端に25個のシグナルペプチドを有しており、IFNλ3が細胞外へ分泌されるときに該シグナルペプチドは切断される。CCL17とは、TARC(Thymus- and activation-regulated chemokine)とも呼ばれ、Th2タイプケモカインの一種である。CXCL11とは、I-TAC(Interferon-inducible T-cell Chemoattractant)とも呼ばれるケモカインであり、CXCR3受容体のリガンドである。IP-10とは、CXCL10とも呼ばれ、Th1タイプケモカインの一種である。IL-6とは、TH2タイプサイトカインの一種である。CXCL9とは、MIG(Monokine induced by interferonγ)とも呼ばれ、CXCR3受容体
のリガンドであり、IP-10と同様Th1タイプケモカインの一種である。これらのタンパク質分子自体は公知であり、それらのアミノ酸配列は例えば、NCBI(National Center for Biotechnology Information)などの公知のデータベースから取得できる。例えば、IFNλ3は、配列番号1で表されるアミノ酸配列を有してもよいし、配列番号2で表されるアミノ酸配列を有してもよい。
本実施形態では、重症化の予測の精度を向上させる観点から、IFNλ3、CCL17、CXCL11、IP-10、IL-6およびCXCL9から選択される2つ以上のバイオマーカーの測定値を取得することが好ましい。2つ以上のバイオマーカーとしては、例えば、次のいずれかの組み合わせが挙げられる:
- IFNλ3と、CCL17、CXCL11、IP-10、IL-6およびCXCL9からなる群より選択される少なくとも1つとの組み合わせ;
- CCL17と、IFNλ3、CXCL11、IP-10、IL-6およびCXCL9からなる群より選択される少なくとも1つとの組み合わせ;
- CXCL11と、IFNλ3、CCL17、IP-10、IL-6およびCXCL9からなる群より選択される少なくとも1つとの組み合わせ;
- IP-10と、IFNλ3、CCL17、CXCL11、IL-6およびCXCL9からなる群より選択される少なくとも1つとの組み合わせ;
- IL-6と、IFNλ3、CCL17、CXCL11、IP-10およびCXCL9からなる群より選択される少なくとも1つとの組み合わせ;および
- CXCL9と、IFNλ3、CCL17、CXCL11、IP-10およびIL-6からなる群より選択される少なくとも1つとの組み合わせ。
本実施形態では、IFNλ3の測定値およびCCL17の測定値を取得することが特に好ましい。
バイオマーカーの測定には公知の方法を用いることができ、特に限定されない。本実施形態では、バイオマーカーと特異的に結合可能な物質を用いて、該マーカーを捕捉する方法が好ましい。このような物質により捕捉されたバイオマーカーを、当該技術において公知の方法で検出することにより、検体に含まれるバイオマーカーを測定できる。バイオマーカーの測定値は、検体中の量や濃度を反映する値であり得る。また、測定値は、キャリブレータの測定結果に基づいて算出された、濃度又は濃度を反映する値であり得る。ここで、「濃度を反映する値」は後述の標識物質の種類に依り、蛍光強度の測定値、発光強度の測定値、放射能測定値などが例示される。
バイオマーカーと特異的に結合可能な物質としては、例えば、抗体、アプタマーなどが挙げられるが、それらの中でも抗体が特に好ましい。バイオマーカーに対する抗体は、バイオマーカーと特異的に結合できる抗体であれば、特に限定されない。そのような抗体は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、およびそれらの断片(例えば、Fab、F(ab')2など)のいずれであってもよい。また、市販の抗体を用いてもよい。
IFNλ3と特異的に結合できる抗体としては、例えば、下記(1)〜(5)のいずれか1つに記載の重鎖可変領域ドメインおよび軽鎖可変領域ドメインを有するモノクローナル抗体またはその断片を用いてもよい。
(1) 配列番号3で表されるアミノ酸配列における31番〜35番のアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域1、50番〜66番のアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域2、および99番〜113番のアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域3を含む重鎖可変領域ドメイン、並びに配列番号4で表されるアミノ酸配列における24番〜38番のアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域1、54番〜60番のアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域2、および93番〜101番のアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域3を含む軽鎖可変領域ドメイン;
(2) 配列番号5で表されるアミノ酸配列における31番〜35番のアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域1、50番〜66番のアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域2、および99番〜109番のアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域3を含む重鎖可変領域ドメイン、並びに配列番号6で表されるアミノ酸配列における24番〜38番のアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域1、54番〜60番のアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域2、および93番〜101番のアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域3を含む軽鎖可変領域ドメイン;
(3) 配列番号7で表されるアミノ酸配列における31番〜35番のアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域1、50番〜66番のアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域2、および99番〜106番のアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域3を含む重鎖可変領域ドメイン、並びに配列番号8で表されるアミノ酸配列における24番〜38番のアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域1、54番〜60番のアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域2、および93番〜101番のアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域3を含む軽鎖可変領域ドメイン;
(4) 配列番号9で表されるアミノ酸配列における31番〜35番のアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域1、50番〜66番のアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域2、および99番〜106番のアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域3を含む重鎖可変領域ドメイン、並びに配列番号10で表されるアミノ酸配列における24番〜38番のアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域1、54番〜60番のアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域2、および93番〜101番のアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域3を含む軽鎖可変領域ドメイン;または
(5) 配列番号11で表されるアミノ酸配列における31番〜35番のアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域1、50番〜66番のアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域2、および99番〜106番のアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域3を含む重鎖可変領域ドメイン、並びに配列番号12で表されるアミノ酸配列における24番〜38番のアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域1、54番〜60番のアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域2、および93番〜101番のアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域3を含む軽鎖可変領域。
抗体を用いてバイオマーカーを測定する方法は、特に限定されず、公知のイムノアッセイから適宜選択できる。本実施形態においては、酵素結合免疫吸着法(ELISA法)が好ましく、サンドイッチELISA法が特に好ましい。測定工程の一例として、サンドイッチELISA法により、検体中のバイオマーカーを測定する場合について、以下に説明する。
まず、バイオマーカーと、バイオマーカーを捕捉するための抗体(以下、「捕捉用抗体」ともいう)と、バイオマーカーを検出するための抗体(以下、「検出用抗体」ともいう)とを含む複合体を固相上に形成させる。検体がバイオマーカーを含む場合、当該検体と、捕捉用抗体と、検出用抗体とを混合することにより複合体が形成され得る。そして、複合体を含む溶液を、捕捉用抗体を固定できる固相と接触させることにより、上記の複合体を固相上に形成させることができる。あるいは、捕捉用抗体をあらかじめ固定させた固相を用いてもよい。すなわち、捕捉用抗体を固定させた固相と、検体と、検出用抗体とを接触することにより、上記の複合体を固相上に形成させることができる。なお、捕捉用抗体および検出用抗体がいずれもモノクローナル抗体の場合は、互いのエピトープが異なっていることが好ましい。
捕捉用抗体の固相への固定の態様は、特に限定されない。例えば、捕捉用抗体と固相とを直接結合させてもよいし、捕捉用抗体と固相とを別の物質を介して間接的に結合させてもよい。直接の結合としては、例えば、物理的吸着などが挙げられる。間接的な結合としては、例えば、ビオチン類とアビジン類との組み合わせを介した結合が挙げられる。この場合、捕捉用抗体をあらかじめビオチン類で修飾し、固相にアビジン類をあらかじめ結合させておくことにより、ビオチン類とアビジン類との結合を介して、捕捉用抗体と固相とを間接的に結合させることができる。ビオチン類とは、ビオチン、およびデスチオビオチンなどのビオチン類縁体を含む。アビジン類とは、アビジン、並びにストレプトアビジンおよびタマビジン(登録商標)などのアビジン類縁体を含む。
固相の素材は特に限定されず、例えば、有機高分子化合物、無機化合物、生体高分子などから選択できる。有機高分子化合物としては、ラテックス、ポリスチレン、ポリプロピレンなどが挙げられる。無機化合物としては、磁性体(酸化鉄、酸化クロムおよびフェライトなど)、シリカ、アルミナ、ガラスなどが挙げられる。生体高分子としては、不溶性アガロース、不溶性デキストラン、ゼラチン、セルロースなどが挙げられる。これらのうちの2種以上を組み合わせて用いてもよい。固相の形状は特に限定されず、例えば、粒子、膜、マイクロプレート、マイクロチューブ、試験管などが挙げられる。それらの中でも粒子が好ましく、磁性粒子が特に好ましい。
本実施形態においては、複合体の形成工程と複合体の検出工程との間に、複合体を形成していない未反応の遊離成分を除去するB/F(Bound/Free)分離を行ってもよい。未反応の遊離成分とは、複合体を構成しない成分をいう。例えば、バイオマーカーと結合しなかった捕捉用抗体および検出用抗体などが挙げられる。B/F分離の手段は特に限定されないが、固相が粒子であれば、遠心分離により、複合体を捕捉した固相だけを回収することによりB/F分離ができる。固相がマイクロプレートやマイクロチューブなどの容器であれば、未反応の遊離成分を含む液を除去することによりB/F分離ができる。また、固相が磁性粒子の場合は、磁石で磁性粒子を磁気的に拘束した状態でノズルによって未反応の遊離成分を含む液を吸引除去することによりB/F分離ができ、自動化の観点で好ましい。未反応の遊離成分を除去した後、複合体を捕捉した固相をPBSなどの適切な水性媒体で洗浄してもよい。
そして、固相上に形成された複合体を、当該技術において公知の方法で検出することにより、検体に含まれるバイオマーカーの測定値を取得できる。例えば、検出用抗体として、標識物質で標識した抗体を用いた場合は、その標識物質により生じるシグナルを検出することにより、液体試料におけるマーカーの測定値を取得できる。あるいは、検出用抗体に対する標識二次抗体を用いた場合も、同様にして液体試料におけるバイオマーカーの測定値を取得できる。
また、抗体を用いてバイオマーカーを測定する方法の例として、特開平1-254868号公報に記載の免疫複合体転移法を用いることもできる。
本明細書において、「シグナルを検出する」とは、シグナルの有無を定性的に検出すること、シグナル強度を定量すること、および、シグナルの強度を半定量的に検出することを含む。半定量的な検出とは、シグナルの強度を、「シグナル発生せず」、「弱」、「中」、「強」などのように段階的に示すことをいう。本実施形態では、シグナルの強度を定量的または半定量的に検出することが好ましい。
標識物質は、特に限定されない。標識物質は、例えば、それ自体がシグナルを発生する物質(以下、「シグナル発生物質」ともいう)であってもよいし、他の物質の反応を触媒してシグナルを発生させる物質であってもよい。シグナル発生物質としては、例えば、蛍光物質、放射性同位元素などが挙げられる。他の物質の反応を触媒して検出可能なシグナルを発生させる物質としては、例えば、酵素が挙げられる。酵素としては、アルカリホスファターゼ、ペルオキシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼなどが挙げられる。蛍光物質としては、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、ローダミン、Alexa Fluor(登録商標)などの蛍光色素、GFPなどの蛍光タンパク質などが挙げられる。放射性同位元素としては、125I、14C、32Pなどが挙げられる。それらの中でも、標識物質として、酵素が好ましく、アルカリホスファターゼおよびペルオキシダーゼが特に好ましい。
シグナルを検出する方法自体は、当該技術において公知である。本実施形態では、上記の標識物質に由来するシグナルの種類に応じた測定方法を適宜選択すればよい。例えば、標識物質が酵素である場合、該酵素に対する基質を反応させることによって発生する光、色などのシグナルを、分光光度計などの公知の装置を用いて測定することにより行うことができる。
酵素の基質は、該酵素の種類に応じて公知の基質から適宜選択できる。例えば、酵素としてアルカリホスファターゼ(ALP)を用いる場合、基質として、CDP-Star(登録商標)(4-クロロ-3-(メトキシスピロ[1, 2-ジオキセタン-3, 2'-(5'-クロロ)トリクシロ[3. 3. 1. 13, 7]デカン]-4-イル)フェニルリン酸2ナトリウム)、CSPD(登録商標)(3-(4-メトキシスピロ[1, 2-ジオキセタン-3, 2-(5'-クロロ)トリシクロ[3. 3. 1. 13, 7]デカン]-4-イル)フェニルリン酸2ナトリウム)などの化学発光基質、5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリルリン酸(BCIP)、5-ブロモ-6-クロロ−インドリルリン酸2ナトリウム、p-ニトロフェニルリン酸などの発色基質が挙げられる。また、酵素としてペルオキシダーゼを用いる場合、基質としては、ルミノールおよびその誘導体などの化学発光基質、2, 2'-アジノビス(3-エチルベンゾチアゾリン-6-スルホン酸アンモニウム)(ABTS)、1, 2-フェニレンジアミン(OPD)、3, 3',5, 5'-テトラメチルベンジジン(TMB)などの発色基質が挙げられる。
標識物質が放射性同位体である場合は、シグナルとしての放射線を、シンチレーションカウンターなどの公知の装置を用いて測定できる。また、標識物質が蛍光物質である場合は、シグナルとしての蛍光を、蛍光マイクロプレートリーダーなどの公知の装置を用いて測定できる。なお、励起波長および蛍光波長は、用いた蛍光物質の種類に応じて適宜決定できる。
シグナルの検出結果は、バイオマーカーの測定値として用いることができる。例えば、シグナルの強度を定量的に検出する場合は、シグナル強度の測定値自体または該測定値から取得される値を、バイオマーカーの測定値として用いることができる。シグナル強度の測定値から取得される値としては、例えば、該測定値から陰性対照試料の測定値またはバックグラウンドの値を差し引いた値、該測定値を検量線に当てはめて取得した値などが挙げられる。陰性対照試料は、適宜選択できるが、例えば、軽症患者(例えば感染症患者のうち重症化せずに回復した者)から得た検体、健常人から得た検体などが挙げられる。
本実施形態では、EIA法やELISA法などのイムノアッセイにより、検体に含まれるバイオマーカーを測定することが好ましい。バイオマーカーの測定は、HISCLシリーズ(シスメックス株式会社製)、Bio-Plex Multiplex System(バイオラッド社製)などの市販の装置、試薬を用いて行うことができる。
本実施形態では、上述のバイオマーカーの測定値を、被検者の呼吸器感染症が重症化するか否かを示す指標として利用できる。例えば、取得したバイオマーカーの測定値と、該バイオマーカーに対応する閾値との比較により、該バイオマーカーの測定値を、被検者の呼吸器感染症が重症化する可能性が高いこと、または低いことを示唆する指標としてもよい。本実施形態において、呼吸器感染症が重症化する可能性は、被検者から検体を採取した日から所定の期間(例えば1日〜1ヶ月)の経過後に、該被検者の呼吸器感染症が重症化するリスクである。
後述の実施例に示されるように、IFNλ3、CXCL11、IP-10、IL-6およびCXCL9は、呼吸器感染症が重症化した患者において高値を示し、呼吸器感染症が軽症のまま経過した患者において低値を示した。IFNλ3、CXCL11、IP-10、IL-6およびCXCL9の測定値は、各バイオマーカーに対応する閾値との比較により、呼吸器感染症が重症化する可能性を示唆する指標として利用できる。一実施形態では、バイオマーカーがIFNλ3を含み、IFNλ3の測定値が、IFNλ3に対応する閾値以上となる場合に、被検者の呼吸器感染症が重症化する可能性が高いことが示唆される。IFNλ3の測定値が、IFNλ3に対応する閾値より低い場合に、被検者の呼吸器感染症が重症化する可能性が低いことが示唆される。
一実施形態では、バイオマーカーがCXCL11を含み、CXCL11の測定値が、CXCL11に対応する閾値以上となる場合に、被検者の呼吸器感染症が重症化する可能性が高いことが示唆される。CXCL11の測定値が、CXCL11に対応する閾値より低い場合に、被検者の呼吸器感染症が重症化する可能性が低いことが示唆される。
一実施形態では、バイオマーカーがIP-10を含み、IP-10の測定値が、IP-10に対応する閾値以上となる場合に、被検者の呼吸器感染症が重症化する可能性が高いことが示唆される。IP-10の測定値が、IP-10に対応する閾値より低い場合に、被検者の呼吸器感染症が重症化する可能性が低いことが示唆される。
一実施形態では、バイオマーカーがIL-6を含み、IL-6の測定値が、IL-6に対応する閾値以上となる場合に、被検者の呼吸器感染症が重症化する可能性が高いことが示唆される。IL-6の測定値が、IL-6に対応する閾値より低い場合に、被検者の呼吸器感染症が重症化する可能性が低いことが示唆される。
一実施形態では、バイオマーカーがCXCL9を含み、CXCL9の測定値が、CXCL9に対応する閾値以上となる場合に、被検者の呼吸器感染症が重症化する可能性が高いことが示唆され、CXCL9の測定値が、CXCL9に対応する閾値より低い場合に、被検者の呼吸器感染症が重症化する可能性が低いことが示唆される。
一実施形態では、バイオマーカーが、IFNλ3、CXCL11、IP-10、IL-6およびCXCL9からなる群より選択される少なくとも2つを含み、それらの測定値により、被検者の呼吸器感染症の重症化リスクが示唆され得る。具体的には、前記群より選択したバイオマーカーの測定値の少なくとも1つが、該バイオマーカーに対応する閾値以上となる場合に、被検者の呼吸器感染症が重症化する可能性が高いことが示唆される。前記群より選択したバイオマーカーの測定値のすべてが、各バイオマーカーに対応する閾値より低い場合に、被検者の呼吸器感染症が重症化する可能性が低いことが示唆される。
一例としては、バイオマーカーが、IFNλ3、CXCL11、IP-10、IL-6およびCXCL9からなる群より選択される2つであり、それらのいずれか又は両方が、対応する閾値以上となる場合に、被検者の呼吸器感染症が重症化する可能性が高いことが示唆される。別の例では、バイオマーカーが、IFNλ3、CXCL11、IP-10、IL-6およびCXCL9からなる群より選択される3つであり、それらの少なくとも1つが、対応する閾値以上となる場合に、被検者の呼吸器感染症が重症化する可能性が高いことが示唆される。別の例では、バイオマーカーが、IFNλ3、CXCL11、IP-10、IL-6およびCXCL9からなる群より選択される4つであり、それらの少なくとも1つが、対応する閾値以上となる場合に、被検者の呼吸器感染症が重症化する可能性が高いことが示唆される。別の例では、バイオマーカーが、IFNλ3、CXCL11、IP-10、IL-6およびCXCL9からなる5つであり、それらの少なくとも1つが、対応する閾値以上となる場合に、被検者の呼吸器感染症が重症化する可能性が高いことが示唆される。
別の実施形態では、バイオマーカーが、IFNλ3、CXCL11、IP-10、IL-6およびCXCL9からなる群より選択される少なくとも2つを含み、それらの測定値により、被検者の呼吸器感染症の重症化リスクを3段階に分類することができる。具体的には:
・前記群より選択したバイオマーカーの測定値のすべてが、各バイオマーカーに対応する閾値以上となる場合に、呼吸器感染症が重症化する可能性が高いことが示唆され;
・前記群より選択したバイオマーカーの測定値の少なくとも1つが、該バイオマーカーに対応する閾値以上となる場合に、呼吸器感染症が重症化する可能性が中程度であることが示唆され;
・前記群より選択したバイオマーカーの測定値のすべてが、各バイオマーカーに対応する閾値より低い場合に、呼吸器感染症が重症化する可能性が低いことが示唆される。
一例としては、バイオマーカーが、IFNλ3、CXCL11、IP-10、IL-6およびCXCL9からなる群より選択される2つであり、それらの両方が、対応する閾値以上となる場合に、被検者の呼吸器感染症が重症化する可能性が高いことが示唆される。別の例では、バイオマーカーが、IFNλ3、CXCL11、IP-10、IL-6およびCXCL9からなる群より選択される3つであり、それらのすべてが、対応する閾値以上となる場合に、被検者の呼吸器感染症が重症化する可能性が高いことが示唆される。別の例では、バイオマーカーが、IFNλ3、CXCL11、IP-10、IL-6およびCXCL9からなる群より選択される4つであり、それらのすべてが、対応する閾値以上となる場合に、被検者の呼吸器感染症が重症化する可能性が高いことが示唆される。別の例では、バイオマーカーが、IFNλ3、CXCL11、IP-10、IL-6およびCXCL9からなる5つであり、それらのすべてが、対応する閾値以上となる場合に、被検者の呼吸器感染症が重症化する可能性が高いことが示唆される。
本実施形態では、検体中のCCL17を測定してもよい。後述の実施例に示されるように、CCL17は、他のバイオマーカーとは異なり、呼吸器感染症が重症化した患者において低値を示し、呼吸器感染症が軽症のまま経過した患者において高値を示した。CCL17の測定値は、CCL17に対応する閾値との比較により、呼吸器感染症が重症化する可能性を示唆する指標として利用できる。一実施形態では、バイオマーカーがCCL17を含み、CCL17の測定値が、CCL17に対応する閾値より低い場合に、被検者の呼吸器感染症が重症化する可能性が高いことが示唆される。CCL17の測定値が、CCL17に対応する閾値以上となる場合に、被検者の呼吸器感染症が重症化する可能性が低いことが示唆される。
好ましい実施形態では、CCL17は、IFNλ3、CXCL11、IP-10、IL-6およびCXCL9から選択される少なくとも1つのバイオマーカーと組み合わせて用いられる。例えば、バイオマーカーが、IFNλ3、CXCL11、IP-10、IL-6およびCXCL9からなる群より選択される少なくとも1つと、CCL17とを含み、それらの測定値により、被検者の呼吸器感染症の重症化リスクが示唆され得る。具体的には、前記群より選択したバイオマーカーの測定値の少なくとも1つが、該バイオマーカーに対応する閾値以上となり、且つ/またはCCL17の測定値が、CCL17に対応する閾値より低い場合に、被検者の呼吸器感染症が重症化する可能性が高いことが示唆される。前記群より選択したバイオマーカーの測定値のすべてが、各バイオマーカーに対応する閾値より低く、且つCCL17の測定値が、CCL17に対応する閾値以上となる場合に、被検者の呼吸器感染症が重症化する可能性が低いことが示唆される。
別の実施形態では、バイオマーカーが、IFNλ3、CXCL11、IP-10、IL-6およびCXCL9からなる群より選択される少なくとも1つと、CCL17とを含み、それらの測定値により、被検者の呼吸器感染症の重症化リスクを3段階に分類することができる。具体的には:
・前記群より選択したバイオマーカーの測定値のすべてが、各バイオマーカーに対応する閾値以上となり、且つCCL17の測定値が、CCL17に対応する閾値より低い場合に、被検者の呼吸器感染症が重症化する可能性が高いことが示唆され;
・前記群より選択したバイオマーカーの測定値の少なくとも1つが、該バイオマーカーに対応する閾値以上となり、且つCCL17の測定値が、CCL17に対応する閾値より高い場合に、被検者の呼吸器感染症が重症化する可能性が中程度であることが示唆され;
・前記群より選択したバイオマーカーの測定値の少なくとも1つが、該バイオマーカーに対応する閾値より低く、且つCCL17の測定値が、CCL17に対応する閾値より低い場合に、被検者の呼吸器感染症が重症化する可能性が中程度であることが示唆され;
・前記群より選択したバイオマーカーの測定値のすべてが、各バイオマーカーに対応する閾値より低く、且つCCL17の測定値が、CCL17に対応する閾値以上となる場合に、被検者の呼吸器感染症が重症化する可能性が低いことが示唆される。
より具体的な例では、バイオマーカーがIFNλ3とCCL17とを含み、
・IFNλ3の測定値がIFNλ3に対応する閾値以上となり、且つCCL17の測定値がCCL17に対応する閾値より低い場合に、被検者の呼吸器感染症が重症化する可能性が高いことが示唆され;
・IFNλ3の測定値がIFNλ3に対応する閾値以上となり、且つCCL17の測定値がCCL17に対応する閾値以上である場合に、被検者の呼吸器感染症が重症化する可能性が中程度であることが示唆され;
・IFNλ3の測定値がIFNλ3に対応する閾値より低く、且つCCL17の測定値がCCL17に対応する閾値より低い場合に、被検者の呼吸器感染症が重症化する可能性が中程度であることが示唆され;
・IFNλ3の測定値がIFNλ3に対応する閾値より低く、且つCCL17の測定値がCCL17に対応する閾値以上となる場合に、被検者の呼吸器感染症が重症化する可能性が低いことが示唆される。
各バイオマーカーに対応する閾値は特に限定されず、適宜設定できる。例えば、複数の呼吸器感染症患者から検体を採取し、検体中のバイオマーカーを測定して測定値を得る。検体採取から所定の期間(例えば2週間)の経過後、呼吸器感染症が重症化したか否かを確認する。取得した測定値のデータを、重症化した患者群のデータと、重症化しなかった患者群のデータとに分類する。そして、各バイオマーカーについて、重症化した患者群と重症化しなかった患者群とを最も精度よく区別可能な値を求め、その値を閾値として設定する。閾値の設定においては、感度、特異度、陽性的中率、陰性的中率などを考慮することができる。
本実施形態では、IFNλ3に対応する閾値は、例えば4pg/mL以上15 pg/mL以下の範囲内で設定される。CXCL11に対応する閾値は、例えば20 pg/mL以上40 pg/mL以下の範囲内で設定される。IP-10に対応する閾値は、例えば400 pg/mL以上1200 pg/mL以下の範囲内で設定される。IL-6に対応する閾値は、例えば4pg/mL以上6pg/mL以下の範囲内で設定される。CXCL9に対応する閾値は、例えば30 pg/mL以上40 pg/mL以下の範囲内で設定される。CCL17に対応する閾値は、例えば40 pg/mL以上100 pg/mL以下の範囲内で設定される。
医師などの医療従事者は、バイオマーカーの測定値による示唆と他の情報とを組み合わせて、呼吸器感染症が重症化するリスクを判定してもよい。ここで、「他の情報」とは、肺のX線画像またはCT画像の所見、その他の医学的所見を含む。
本実施形態の被検者の呼吸器感染症の重症化を予測するための指標として、被検者におけるバイオマーカーの測定値の経時変化を取得してもよい。バイオマーカーの測定値の経時変化は、被検者から定期的または不定期に複数回採取した検体中のバイオマーカーの測定値の推移を示す情報であれば、特に限定されない。そのような経時変化としては、例えば、複数の測定値から算出される値(例えば、任意の2つの時点で採取した2つの検体の測定値の差、比など)、測定値の記録(例えば、測定値の表や測定値をプロットしたグラフなど)などが挙げられる。
本実施形態では、取得されたバイオマーカーの測定値により、被検者の呼吸器感染症が重症化する可能性が高いと示唆された場合、該被検者には、呼吸器感染症の重症化に対する医学的介入を行うことができる。医学的介入の例は、薬剤の投与、外科手術、免疫療法、遺伝子治療、酸素供給処置、人工心肺装置を用いた処置などが含まれる。薬剤は、呼吸器感染症に対する公知の治療薬またはその候補となる医薬から適宜選択できる。例えば、呼吸器感染症がSARS-CoV-2感染症である場合、薬剤としては抗ウイルス作用のある薬剤、炎症を軽減する薬剤、ACE阻害薬などが挙げられる。具体的には、ファビピラビル、ロピナビル、リトナビル、ナファモスタット、カモスタット、レムデシビル、リバビリン、イベルメクチン、シクレソニド、クロロキン、ヒドロキシクロロキン、インターフェロン、トシリズマブ、サリルマブ、トファシチニブ、バリシチニブ、ルキソリチニブ、アカラブルチニブ、ラブリズマブ、エリトラン、イブジラスト、HLCM051、LY3127804などが挙げられる。
本実施形態の予測方法は、被検者から採取した検体から取得したバイオマーカーの測定値に基づいて、呼吸器感染症の重症化を予測する工程を含んでもよい。この工程では、例えば、取得したバイオマーカーの測定値と、該バイオマーカーに対応する閾値とを比較し、その比較結果に基づいて、被検者の呼吸器感染症が重症化する可能性が高いか、または低いかを判定してもよい。バイオマーカーに対応する閾値の詳細は上記のとおりである。
一実施形態では、バイオマーカーがIFNλ3を含み、IFNλ3の測定値が、IFNλ3に対応する閾値以上となる場合に、被検者の呼吸器感染症が重症化する可能性が高いと判定され得る。IFNλ3の測定値が、IFNλ3に対応する閾値より低い場合に、被検者の呼吸器感染症が重症化する可能性が低いと判定され得る。
一実施形態では、バイオマーカーがCXCL11を含み、CXCL11の測定値が、CXCL11に対応する閾値以上となる場合に、被検者の呼吸器感染症が重症化する可能性が高いと判定され得る。CXCL11の測定値が、CXCL11に対応する閾値より低い場合に、被検者の呼吸器感染症が重症化する可能性が低いと判定され得る。
一実施形態では、バイオマーカーがIP-10を含み、IP-10の測定値が、IP-10に対応する閾値以上となる場合に、被検者の呼吸器感染症が重症化する可能性が高いと判定され得る。IP-10の測定値が、IP-10に対応する閾値より低い場合に、被検者の呼吸器感染症が重症化する可能性が低いと判定され得る。
一実施形態では、バイオマーカーがIL-6を含み、IL-6の測定値が、IL-6に対応する閾値以上となる場合に、被検者の呼吸器感染症が重症化する可能性が高いと判定され得る。IL-6の測定値が、IL-6に対応する閾値より低い場合に、被検者の呼吸器感染症が重症化する可能性が低いと判定され得る。
一実施形態では、バイオマーカーがCXCL9を含み、CXCL9の測定値が、CXCL9に対応する閾値以上となる場合に、被検者の呼吸器感染症が重症化する可能性が高いと判定され得る。CXCL9の測定値が、CXCL9に対応する閾値より低い場合に、被検者の呼吸器感染症が重症化する可能性が低いと判定され得る。
一実施形態では、バイオマーカーがCCL17を含み、CCL17の測定値が、CCL17に対応する閾値より低い場合に、被検者の呼吸器感染症が重症化する可能性が高いと判定され得る。CCL17の測定値が、CCL17に対応する閾値以上となる場合に、被検者の呼吸器感染症が重症化する可能性が低いと判定され得る。
一実施形態では、バイオマーカーが、IFNλ3、CXCL11、IP-10、IL-6およびCXCL9からなる群より選択される少なくとも2つを含み、それらの測定値に基づいて、被検者の呼吸器感染症の重症化リスクを判定してもよい。具体的には、前記群より選択したバイオマーカーの測定値の少なくとも1つが、該バイオマーカーに対応する閾値以上となる場合に、被検者の呼吸器感染症が重症化する可能性が高いと判定され得る。前記群より選択したバイオマーカーの測定値のすべてが、各バイオマーカーに対応する閾値より低い場合に、被検者の呼吸器感染症が重症化する可能性が低いと判定され得る。
一例としては、バイオマーカーが、IFNλ3、CXCL11、IP-10、IL-6およびCXCL9からなる群より選択される2つであり、それらのいずれか又は両方が、対応する閾値以上となる場合に、被検者の呼吸器感染症が重症化する可能性が高いと判定される。別の例では、バイオマーカーが、IFNλ3、CXCL11、IP-10、IL-6およびCXCL9からなる群より選択される3つであり、それらの少なくとも1つが、対応する閾値以上となる場合に、被検者の呼吸器感染症が重症化する可能性が高いと判定される。別の例では、バイオマーカーが、IFNλ3、CXCL11、IP-10、IL-6およびCXCL9からなる群より選択される4つであり、それらの少なくとも1つが、対応する閾値以上となる場合に、被検者の呼吸器感染症が重症化する可能性が高いと判定される。別の例では、バイオマーカーが、IFNλ3、CXCL11、IP-10、IL-6およびCXCL9からなる5つであり、それらの少なくとも1つが、対応する閾値以上となる場合に、被検者の呼吸器感染症が重症化する可能性が高いと判定される。
別の実施形態では、バイオマーカーが、IFNλ3、CXCL11、IP-10、IL-6およびCXCL9からなる群より選択される少なくとも2つを含み、それらの測定値に基づいて、被検者の呼吸器感染症の重症化リスクを3段階に判定してもよい。具体的には:
・前記群より選択したバイオマーカーの測定値のすべてが、各バイオマーカーに対応する閾値以上となる場合に、呼吸器感染症が重症化する可能性が高いと判定され;
・前記群より選択したバイオマーカーの測定値の少なくとも1つが、該バイオマーカーに対応する閾値以上となる場合に、呼吸器感染症が重症化する可能性が中程度であると判定され;
・前記群より選択したバイオマーカーの測定値のすべてが、各バイオマーカーに対応する閾値より低い場合に、呼吸器感染症が重症化する可能性が低いと判定され得る。
一例としては、バイオマーカーが、IFNλ3、CXCL11、IP-10、IL-6およびCXCL9からなる群より選択される2つであり、それらの両方が、対応する閾値以上となる場合に、被検者の呼吸器感染症が重症化する可能性が高いと判定される。別の例では、バイオマーカーが、IFNλ3、CXCL11、IP-10、IL-6およびCXCL9からなる群より選択される3つであり、それらのすべてが、対応する閾値以上となる場合に、被検者の呼吸器感染症が重症化する可能性が高いと判定される。別の例では、バイオマーカーが、IFNλ3、CXCL11、IP-10、IL-6およびCXCL9からなる群より選択される4つであり、それらのすべてが、対応する閾値以上となる場合に、被検者の呼吸器感染症が重症化する可能性が高いと判定される。別の例では、バイオマーカーが、IFNλ3、CXCL11、IP-10、IL-6およびCXCL9からなる5つであり、それらのすべてが、対応する閾値以上となる場合に、被検者の呼吸器感染症が重症化する可能性が高いと判定される。
さらなる実施形態では、バイオマーカーが、IFNλ3、CXCL11、IP-10、IL-6およびCXCL9からなる群より選択される少なくとも1つと、CCL17とを含み、それらの測定値に基づいて、被検者の呼吸器感染症の重症化リスクを判定してもよい。具体的には、前記群より選択したバイオマーカーの測定値の少なくとも1つが、該バイオマーカーに対応する閾値以上となるか、且つ/またはCCL17の測定値が、CCL17に対応する閾値より低い場合に、被検者の呼吸器感染症が重症化する可能性が高いと判定され得る。前記群より選択したバイオマーカーの測定値のすべてが、各バイオマーカーに対応する閾値より低く、且つCCL17の測定値が、CCL17に対応する閾値以上となる場合に、被検者の呼吸器感染症が重症化する可能性が低いと判定され得る。
別の実施形態では、バイオマーカーが、IFNλ3、CXCL11、IP-10、IL-6およびCXCL9からなる群より選択される少なくとも1つと、CCL17とを含み、それらの測定値に基づいて、被検者の呼吸器感染症の重症化リスクを3段階に判定してもよい。具体的には:
・前記群より選択したバイオマーカーの測定値のすべてが、各バイオマーカーに対応する閾値以上となり、且つCCL17の測定値が、CCL17に対応する閾値より低い場合に、被検者の呼吸器感染症が重症化する可能性が高いと判定され;
・前記群より選択したバイオマーカーの測定値の少なくとも1つが、該バイオマーカーに対応する閾値以上となり、且つCCL17の測定値が、CCL17に対応する閾値以上である場合に、被検者の呼吸器感染症が重症化する可能性が中程度であると判定され;
・前記群より選択したバイオマーカーの測定値の少なくとも1つが、該バイオマーカーに対応する閾値より低く、CCL17の測定値が、CCL17に対応する閾値より低い場合に、被検者の呼吸器感染症が重症化する可能性が中程度であると判定され;
・前記群より選択したバイオマーカーの測定値のすべてが、各バイオマーカーに対応する閾値より低く、且つCCL17の測定値が、CCL17に対応する閾値以上となる場合に、被検者の呼吸器感染症が重症化する可能性が低いと判定され得る。
より具体的な例では、バイオマーカーがIFNλ3とCCL17とを含み、
・IFNλ3の測定値がIFNλ3に対応する閾値以上となり、且つCCL17の測定値がCCL17に対応する閾値より低い場合に、被検者の呼吸器感染症が重症化する可能性が高いと判定され;・IFNλ3の測定値がIFNλ3に対応する閾値以上となり、且つCCL17の測定値がCCL17に対応する閾値以上である場合に、被検者の呼吸器感染症が重症化する可能性が中程度であると判定され;
・IFNλ3の測定値がIFNλ3に対応する閾値より低く、CCL17の測定値がCCL17に対応する閾値より低い場合に、被検者の呼吸器感染症が重症化する可能性が中程度であると判定され;
・IFNλ3の測定値がIFNλ3に対応する閾値より低く、且つCCL17の測定値がCCL17に対応する閾値以上となる場合に、被検者の呼吸器感染症が重症化する可能性が低いと判定され得る。
本発明の一実施形態は、被検者から採取した検体中のバイオマーカーの測定値をモニタリングする方法(以下、「モニタリング方法」ともいう)である。本実施形態のモニタリング方法では、被検者から複数の時点において採取された検体を用い、バイオマーカーの測定値を取得する。ここで、被検者、検体、バイオマーカーおよびその測定値の取得の詳細は、上記の本実施形態の予測方法について述べたことと同じである。
本実施形態において、複数の時点は、2以上の互いに異なる時点であればよい。例えば、複数の時点は、第1の時点と、該第1の時点とは異なる第2の時点とを含む。第1の時点は、特に限定されず、任意の時点である。例えば、第1の時点は、被検者が呼吸器感染症に罹患していることが判明した時点、被検者に呼吸器感染症の症状が現れた時点、被検者が入院した時点などであってもよい。第2の時点は、第1の時点とは異なる限り、特に限定されない。好ましくは、第2の時点は、第1の時点から1ヶ月以内の期間が経過した時点である。具体的には、第2の時点は、第1の時点から0.5時間、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、12時間、15時間、18時間、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、12日、2週間、3週間、4週間または1ヶ月が経過した時点である。
本実施形態において、「被検者から複数の時点において採取された検体」は、複数の時点のそれぞれにおいて同一の被検者から採取された検体である。例えば、第1の時点において被検者から採取した第1の検体と、該第1の時点とは異なる第2の時点において該被検者から採取した第2の検体を含む。本実施形態のモニタリング方法では、検体を採取する度にバイオマーカーを測定してもよいし、採取した各検体を保存しておき、それらをまとめて測定してもよい。
本実施形態のモニタリング方法では、同一の被検者におけるバイオマーカーの測定値がモニターされ、呼吸器感染症の重症化を予測するための指標となる。好ましい実施形態では、複数の時点における同一のバイオマーカーの測定値を取得する。各検体から測定したバイオマーカーの測定値と、該バイオマーカーに対応する閾値とを比較し、その比較結果に基づいて、被検者の呼吸器感染症が重症化する可能性が高いこと、または低いことが示唆されてもよい。バイオマーカーに対応する閾値の詳細は、上記の本実施形態の予測方法について述べたことと同様である。
一実施形態では、バイオマーカーがIFNλ3を含み、複数の時点のうち少なくともいずれかの時点で、IFNλ3の測定値が、IFNλ3に対応する閾値以上となる場合に、被検者の呼吸器感染症が重症化する可能性が高いことが示唆される。複数の時点のうちいずれの時点においても、IFNλ3の測定値が、IFNλ3に対応する閾値より低い場合に、被検者の呼吸器感染症が重症化する可能性が低いことが示唆される。
一実施形態では、バイオマーカーがCXCL11を含み、複数の時点のうち少なくともいずれかの時点で、CXCL11の測定値が、CXCL11に対応する閾値以上となる場合に、被検者の呼吸器感染症が重症化する可能性が高いことが示唆される。複数の時点のうちいずれの時点においても、CXCL11の測定値が、CXCL11に対応する閾値より低い場合に、被検者の呼吸器感染症が重症化する可能性が低いことが示唆される。
一実施形態では、バイオマーカーがIP-10を含み、複数の時点のうち少なくともいずれかの時点で、IP-10の測定値が、IP-10に対応する閾値以上となる場合に、被検者の呼吸器感染症が重症化する可能性が高いことが示唆される。複数の時点のうちいずれの時点においても、IP-10の測定値が、IP-10に対応する閾値より低い場合に、被検者の呼吸器感染症が重症化する可能性が低いことが示唆される。
一実施形態では、バイオマーカーがIL-6を含み、複数の時点のうち少なくともいずれかの時点で、IL-6の測定値が、IL-6に対応する閾値以上となる場合に、被検者の呼吸器感染症が重症化する可能性が高いことが示唆される。複数の時点のうちいずれの時点においても、IL-6の測定値が、IL-6に対応する閾値より低い場合に、被検者の呼吸器感染症が重症化する可能性が低いことが示唆される。
一実施形態では、バイオマーカーがCXCL9を含み、複数の時点のうち少なくともいずれかの時点で、CXCL9の測定値が、CXCL9に対応する閾値以上となる場合に、被検者の呼吸器感染症が重症化する可能性が高いことが示唆される。複数の時点のうちいずれの時点においても、CXCL9の測定値が、CXCL9に対応する閾値より低い場合に、被検者の呼吸器感染症が重症化する可能性が低いことが示唆される。
一実施形態では、バイオマーカーが、IFNλ3、CXCL11、IP-10、IL-6およびCXCL9からなる群より選択される少なくとも2つを含み、複数の時点におけるバイオマーカーの測定値により、被検者の呼吸器感染症の重症化リスクが示唆され得る。具体的には、複数の時点のうち少なくともいずれかの時点で、前記群より選択したバイオマーカーの測定値の少なくとも1つが、該バイオマーカーに対応する閾値以上となる場合に、被検者の呼吸器感染症が重症化する可能性が高いと示唆される。複数の時点のうちいずれの時点においても、前記群より選択したバイオマーカーの測定値のすべてが、各バイオマーカーに対応する閾値より低い場合に、被検者の呼吸器感染症が重症化する可能性が低いことが示唆される。
上記の各検体中のCCL17の測定値を取得してもよい。一実施形態では、バイオマーカーがCCL17を含み、複数の時点のうち少なくともいずれかの時点で、CCL17の測定値が、CCL17に対応する閾値より低い場合に、被検者の呼吸器感染症が重症化する可能性が高いことが示唆される。複数の時点のうちいずれの時点においても、CCL17の測定値が、CCL17に対応する閾値以上となる場合に、被検者の呼吸器感染症が重症化する可能性が低いことが示唆される。
さらなる実施形態では、バイオマーカーが、IFNλ3、CXCL11、IP-10、IL-6およびCXCL9からなる群より選択される少なくとも1つと、CCL17とを含み、複数の時点におけるバイオマーカーの測定値により、被検者の呼吸器感染症の重症化リスクが示唆され得る。具体的には、複数の時点のうち少なくともいずれかの時点で、前記群より選択したバイオマーカーの測定値の少なくとも1つが、該バイオマーカーに対応する閾値以上となるか、且つ/または、複数の時点のうち少なくともいずれかの時点で、CCL17の測定値が、CCL17に対応する閾値より低い場合に、被検者の呼吸器感染症が重症化する可能性が高いことが示唆される。複数の時点のうちいずれの時点においても、前記群より選択したバイオマーカーの測定値のすべてが、各バイオマーカーに対応する閾値より低く、且つ、複数の時点のうちいずれの時点においても、CCL17の測定値が、CCL17に対応する閾値以上となる場合に、被検者の呼吸器感染症が重症化する可能性が低いことが示唆される。
本実施形態のモニタリング方法を終了する条件は、特に限定されず、医師などの医療従事者が適宜決定してもよい。例えば、被検者から複数の時点において採取された検体から取得されたバイオマーカーの測定値により、被検者の呼吸器感染症が重症化する可能性が高いと示唆された場合、本実施形態のモニタリング方法を終了してもよい。この場合、該被検者には、呼吸器感染症の重症化に対する医学的介入を行うことが好ましい。医学的介入の詳細は上記のとおりである。あるいは、被検者から複数の時点において採取された検体から取得されたバイオマーカーの測定値により、被検者の呼吸器感染症が重症化する可能性が低いと示唆され、且つ、該被検者に呼吸器感染症の症状が認められない場合、本実施形態のモニタリング方法を終了してもよい。
上述した各実施形態では、IFNλ3、CXCL11、IP-10、IL-6およびCXCL9の測定値が、各バイオマーカーに対応する閾値と同じである場合、被検者の呼吸器感染症が重症化する可能性が高いことが示唆されるとしたが、被検者の呼吸器感染症が重症化する可能性が低いことが示唆されてもよい。また、上述した各実施形態では、CCL17の測定値が、CCL17に対応する閾値と同じである場合、被検者の呼吸器感染症が重症化する可能性が低いことが示唆されるとしたが、被検者の呼吸器感染症が重症化する可能性が高いことが示唆されてもよい。
本発明の一実施形態は、上記の本実施形態の予測方法および/またはモニタリング方法に用いるための試薬キットである。本実施形態の試薬キットは、IFNλ3と特異的に結合可能な物質を含む試薬、CCL17と特異的に結合可能な物質を含む試薬、CXCL11と特異的に結合可能な物質を含む試薬、IP-10と特異的に結合可能な物質を含む試薬、IL-6と特異的に結合可能な物質を含む試薬、およびCXCL9と特異的に結合可能な物質を含む試薬から選択される少なくとも1つの試薬を含む。さらなる実施形態では、試薬キットは、IFNλ3と特異的に結合可能な物質を含む試薬、CXCL11と特異的に結合可能な物質を含む試薬、IP-10と特異的に結合可能な物質を含む試薬、IL-6と特異的に結合可能な物質を含む試薬、およびCXCL9と特異的に結合可能な物質を含む試薬から選択される少なくとも1つと、CCL17と特異的に結合可能な物質を含む試薬とを含んでいてもよい。好ましい実施形態では、試薬キットは、IFNλ3と特異的に結合可能な物質を含む試薬と、CCL17と特異的に結合可能な物質を含む試薬とを含む。各バイオマーカーと特異的に結合可能な物質としては、例えば、抗体、アプタマーなどが挙げられる。それらの中でも抗体が特に好ましい。
本実施形態の試薬キットの一例を、図1Aに示す。図1Aにおいて、11は、試薬キットを示し、12は、IFNλ3と特異的に結合可能な物質を含む試薬を収容した第1容器を示し、13は、CCL17と特異的に結合可能な物質を含む試薬を収容した第2容器を示し、14は、梱包箱を示し、15は、添付文書を示す。添付文書には、各試薬の組成、使用方法、保存方法などが記載されてもよい。この例の試薬キットは、IFNλ3と特異的に結合可能な物質を含む試薬と、CCL17と特異的に結合可能な物質を含む試薬とを含むが、これらの
試薬に替えて、他のバイオマーカーと特異的に結合可能な物質を含む試薬が含まれてもよい。
好ましい実施形態では、本実施形態の試薬キットは、バイオマーカーの捕捉用抗体および検出用抗体を含む。検出用抗体は、標識物質で標識されていてもよい。捕捉用抗体、検出用抗体および標識物質の詳細は、上記の本実施形態の予測方法について述べたことと同じである。また、試薬キットは、固相と、基質とを含んでもよい。固相および基質の詳細は、上記の本実施形態の予測方法について述べたことと同じである。
さらなる実施形態の試薬キットの一例を、図1Bに示す。図1Bにおいて、21は、試薬キットを示し、22は、IFNλ3の捕捉用抗体を含む試薬を収容した第1容器を示し、23は、IFNλ3の検出用標識抗体を含む試薬を収容した第2容器を示し、24は、CCL17の捕捉用抗体を含む試薬を収容した第3容器を示し、25は、CCL17の検出用標識抗体を含む試薬を収容した第4容器を示し、26は、添付文書を示し、27は、梱包箱を示す。この例の試薬キットは、IFNλ3の捕捉用抗体および検出用標識抗体のそれぞれを含む試薬と、CCL17の捕捉用抗体および検出用標識抗体のそれぞれを含む試薬とを含むが、これらの試薬に替えて、他のバイオマーカーの捕捉用抗体および検出用標識抗体のそれぞれを含む試薬が含まれてもよい。
上記のいずれの試薬キットにおいても、キャリブレータを含むことが好ましい。キャリブレータとしては、例えばIFNλ3の定量のためのキャリブレータ(IFNλ3用キャリブレータ)、CXCL11の定量のためのキャリブレータ(CXCL11用キャリブレータ)、IP-10の定量のためのキャリブレータ(IP-10用キャリブレータ)、IL-6の定量のためのキャリブレータ(IL-6用キャリブレータ)、CXCL9の定量のためのキャリブレータ(CXCL9用キャリブレータ)およびCCL17の定量のためのキャリブレータ(CCL17用キャリブレータ)が挙げられる。IFNλ3用キャリブレータは、例えば、IFNλ3を含まない緩衝液(ネガティブコントロール)と、IFNλ3を既知濃度で含む緩衝液とを備えていてもよい。CXCL11用キャリブレータは、例えば、CXCL11を含まない緩衝液(ネガティブコントロール)と、CXCL11を既知濃度で含む緩衝液とを備えていてもよい。IP-10用キャリブレータは、例えば、IP-10を含まない緩衝液(ネガティブコントロール)と、IP-10を既知濃度で含む緩衝液とを備えていてもよい。IL-6用キャリブレータは、例えば、IL-6を含まない緩衝液(ネガティブコントロール)と、IL-6を既知濃度で含む緩衝液とを備えていてもよい。CXCL9用キャリブレータは、例えば、CXCL9を含まない緩衝液(ネガティブコントロール)と、CXCL9を既知濃度で含む緩衝液とを備えていてもよい。CCL17用キャリブレータは、例えば、CCL17を含まない緩衝液(ネガティブコントロール)と、CCL17を既知濃度で含む緩衝液とを備えていてもよい。
さらなる実施形態の試薬キットの一例を、図1Cに示す。図1Cにおいて、31は、試薬キットを示し、32は、IFNλ3の捕捉用抗体を含む試薬を収容した第1容器を示し、33は、IFNλ3の検出用標識抗体を含む試薬を収容した第2容器を示し、34は、CCL17の捕捉用抗体を含む試薬を収容した第3容器を示し、35は、CCL17の検出用標識抗体を含む試薬を収容した第4容器を示し、36は、IFNλ3およびCCL17のいずれも含まない緩衝液を収容した第5容器を示し、37は、IFNλ3およびCCL17をそれぞれ所定の濃度で含有する緩衝液を収容した第6容器を示し、38は、梱包箱を示し、39は、添付文書を示す。IFNλ3およびCCL17のいずれも含まない緩衝液と、IFNλ3およびCCL17をそれぞれ所定の濃度で含有する緩衝液は、IFNλ3およびCCL17の定量のためのキャリブレータとして用いることができる。この例の試薬キットは、IFNλ3の捕捉用抗体および検出用標識抗体のそれぞれを含む試薬と、CCL17の捕捉用抗体および検出用標識抗体のそれぞれを含む試薬と、IFNλ3およびCCL17の定量のためのキャリブレータを含むが、これらの試薬に替えて、他のバイオマーカーの捕捉用抗体および検出用標識抗体のそれぞれを含む試薬およびキャリブレータが含まれてもよい。
さらなる実施形態では、IFNλ3と特異的に結合可能な物質を含む試薬、CCL17と特異的に結合可能な物質を含む試薬、CXCL11と特異的に結合可能な物質を含む試薬、IP-10と特異的に結合可能な物質を含む試薬、IL-6と特異的に結合可能な物質を含む試薬、およびCXCL9と特異的に結合可能な物質を含む試薬から選択される一の試薬を収容した容器を箱に梱包するなどし、試薬キットとしてユーザに提供してもよい。箱には、添付文書を同梱してもよい。添付文書には、試薬の組成、使用方法、保存方法などが記載されてもよい。試薬キットの一例を図1Dに示す。図1Dにおいて、41は、試薬キットを示し、42は、IFNλ3と特異的に結合可能な物質を含む試薬を収容した容器を示し、43は、梱包箱を示し、44は、添付文書を示す。この例の試薬キットは、IFNλ3と特異的に結合可能な物質を含む試薬を含むが、この試薬に替えて、他のバイオマーカーと特異的に結合可能な物質を含む試薬が含まれてもよい。
本発明の一実施形態は、上記の本実施形態の予測方法および/またはモニタリング方法を実施するための装置である。そのような装置は、呼吸器感染症の重症化の予測を補助する装置(以下、単に「装置」ともいう)である。また、本発明の別の実施形態は、上記の本実施形態の予測方法および/またはモニタリング方法をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムである。そのようなコンピュータプログラムは、呼吸器感染症の重症化の予測を補助するためのコンピュータプログラムである。
以下に、上記の本実施形態の予測方法を実施するための装置の一例を、図面を参照して説明する。図2は、本実施形態の装置の概略図である。図2に示された装置10は、免疫測定装置20と、該免疫測定装置20と接続されたコンピュータシステム30とを含む。
本実施形態において、免疫測定装置の種類は特に限定されず、バイオマーカーの測定方法に応じて適宜選択できる。図2に示される例では、免疫測定装置20は、捕捉用抗体を固定した磁性粒子および酵素標識された検出用抗体を用いるサンドイッチELISA法により生じる化学発光シグナルを検出可能な市販の自動免疫測定装置である。免疫測定装置20は、用いた標識物質に基づくシグナルの検出が可能であれば特に限定されず、標識物質の種類に応じて適宜選択できる。
捕捉用抗体を固定した磁性粒子を含む試薬、酵素標識された検出用抗体を含む試薬および被検者から採取した検体を免疫測定装置20にセットすると、該免疫測定装置20は、各試薬を用いて抗原抗体反応を実行し、バイオマーカーと特異的に結合した酵素標識抗体に基づく光学的情報として化学発光シグナルを取得し、得られた光学的情報をコンピュータシステム30に送信する。
コンピュータシステム30は、コンピュータ本体300と、入力部301と、検体情報や判定結果などを表示する表示部302とを含む。コンピュータシステム30は、免疫測定装置20から光学的情報を受信する。そして、コンピュータシステム30のプロセッサは、光学的情報に基づいて、ハードディスク313にインストールされた、呼吸器感染症の重症化の予測を補助するためのコンピュータプログラムを実行する。なお、コンピュータシステム30は、図2に示されるように、免疫測定装置20とは別個の機器であってもよいし、免疫測定装置20を内包する機器であってもよい。後者の場合、コンピュータシステム30は、それ自体で予測補助装置10となってもよい。市販の自動免疫測定装置に、呼吸器感染症の重症化の予測を補助するためのコンピュータプログラムを搭載してもよい。装置10は、免疫測定装置20とコンピュータシステム30とが一体的に構成された装置であってもよい。
図3を参照して、コンピュータ本体300は、CPU(Central Processing Unit)310と、ROM(Read Only Memory)311と、RAM(Random Access Memory)312と、ハードディスク313と、入出力インターフェイス314と、読取装置315と、通信インターフェイス316と、画像出力インターフェイス317とを備えている。CPU310、ROM311、RAM312、ハードディスク313、入出力インターフェイス314、読取装置315、通信インターフェイス316および画像出力インターフェイス317は、バス318によってデータ通信可能に接続されている。また、免疫測定装置20は、通信インターフェイス316により、コンピュータシステム30と通信可能に接続されている。
CPU310は、ROM311またはハードディスク313に記憶されているプログラムおよびRAM312にロードされたプログラムを実行することが可能である。CPU310は、バイオマーカーの測定値を算出し、表示部302に表示させる。
ROM311は、マスクROM、PROM、EPROM、EEPROMなどによって構成されている。ROM311には、前述のようにCPU310によって実行されるコンピュータプログラムおよび該コンピュータプログラムの実行に用いるデータが記録されている。ROM311に記録されているコンピュータプログラムには、BIOS(Basic Input Output System)が含まれる。
RAM312は、SRAM、DRAMなどによって構成されている。RAM312は、ROM311およびハードディスク313に記録されているプログラムの読み出しに用いられる。RAM312はまた、これらのプログラムを実行するときに、CPU310の作業領域として利用される。
ハードディスク313は、CPU310に実行させるためのオペレーティングシステム、アプリケーションプログラムなどのコンピュータプログラムおよび当該コンピュータプログラムの実行に用いるデータがインストールされている。
読取装置315は、フレキシブルディスクドライブ、CD-ROMドライブ、DVD-ROMドライブ、USBポート、SDカードリーダ、CFカードリーダ、メモリースティックリーダ、ソリッドステートドライブなどによって構成されている。読取装置315は、可搬型記録媒体400に記録されたプログラムまたはデータを読み取ることができる。
入出力インターフェイス314は、例えば、USB、IEEE1394、RS-232Cなどのシリアルインターフェイスと、SCSI、IDE、IEEE1284などのパラレルインターフェイスと、D/A変換器、A/D変換器などからなるアナログインターフェイスとから構成されている。入出力インターフェイス314には、キーボード、マウスなどの入力部301が接続されている。操作者は、該入力部301により、コンピュータ本体300に各種の指令を入力することが可能である。
通信インターフェイス316は、例えば、Ethernet(登録商標)インターフェイスなどである。コンピュータ本体300は、通信インターフェイス316により、プリンタなどへの印刷データの送信も可能である。
画像出力インターフェイス317は、LCD、CRTなどで構成される表示部302に接続されている。これにより、表示部302は、CPU310から与えられた画像データに応じた映像信号を出力できる。表示部302は、入力された映像信号にしたがって画像(画面)を表示する。
図4Aを参照して、本実施形態の装置10より実行される処理手順について説明する。ここでは、捕捉用抗体を固定した磁性粒子および酵素標識された検出用抗体を用いるサンドイッチELISA法により生じる化学発光シグナルからIFNλ3の測定値を取得し、出力する場合を例として説明する。IFNλ3の測定値に替えて、CCL17、CXCL11、IP-10、IL-6またはCXCL9の測定値を取得してもよい。
ステップS101において、CPU310は、免疫測定装置20から光学的情報(化学発光シグナル)を取得する。ステップS102において、CPU310は、取得した光学的情報からIFNλ3の測定値を算出してハードディスク313に記憶する。ステップS103において、CPU310は、IFNλ3の測定値を出力し、表示部302に表示させたり、プリンタに印刷させたりする。IFNλ3の測定値を出力する際に、参照情報としてINFλ3に対応する閾値も表示部302に表示してもよい。これにより、呼吸器感染症の重症化の予測を補助するための指標を医師などに提供できる。
図4Bを参照して、本実施形態の装置10より実行される他の処理手順について説明する。ここでは、IFNλ3およびCCl17の測定値を取得し、出力する場合を例として説明する。ステップS201において、CPU310は、免疫測定装置20から光学的情報(化学発光シグナル)を取得する。ステップS202において、CPU310は、取得した光学的情報からIFNλ3およびCCL17の測定値を算出してハードディスク313に記憶する。ステップS203において、CPU310は、測定値を出力し、表示部302に表示させたり、プリンタに印刷させたりする。IFNλ3およびCCL17測定値を出力する際に、参照情報としてIFNλ3およびCCL17のそれぞれに対応する閾値も表示部302に表示してもよい。これにより、呼吸器感染症の重症化の予測を補助するための指標を医師などに提供できる。
図4Cを参照して、IFNλ3の測定値に基づいて呼吸器感染症の重症化の予測を行う場合のフローについて説明する。ステップS301において、CPU310は、免疫測定装置20から光学的情報(化学発光シグナル)を取得する。ステップS302において、CPU310は、取得した光学的情報からIFNλ3の測定値を算出してハードディスク313に記憶する。ステップS303において、CPU310は、算出したIFNλ3の測定値と、ハードディスク313に記憶されたIFNλ3に対応する閾値とを比較する。IFNλ3の測定値が閾値以上であるとき、処理はステップS304に進行する。ステップS304において、CPU310は、被検者の呼吸器感染症が重症化する可能性が高いとの判定結果をハードディスク313に記憶する。
一方、ステップS303において、IFNλ3の測定値が閾値より低いとき、処理はステップS305に進行する。ステップS305において、CPU310は、被検者の呼吸器感染症が重症化する可能性が低いとの判定結果をハードディスク313に記憶する。ステップS306において、CPU310は、判定結果を出力し、表示部302に表示させたり、プリンタに印刷させたりする。これにより、呼吸器感染症の重症化の予測を補助するための指標を医師などに提供できる。
図4Dを参照して、IFNλ3およびCXCL11の測定値に基づいて呼吸器感染症の重症化の予測を行う場合のフローについて説明する。図4Dでは、IFNλ3の測定値に対応する閾値を「第1の閾値」と表記し、CXCL11の測定値に対応する閾値を「第2の閾値」と表記した。
ステップS401において、CPU310は、免疫測定装置20から光学的情報(化学発光シグナル)を取得する。ステップS402において、CPU310は、取得した光学的情報からIFNλ3およびCXCL11の測定値を算出してハードディスク313に記憶する。ステップS403において、CPU310は、算出したIFNλ3の測定値と、ハードディスク313に記憶された第1の閾値とを比較する。IFNλ3の測定値が第1の閾値以上であるとき、処理はステップS404に進行する。ステップS404において、CPU310は、被検者の呼吸器感染症が重症化する可能性が高いとの判定結果をハードディスク313に記憶する。
ステップS403において、IFNλ3の測定値が第1の閾値より低いとき、処理はステップS405に進行する。ステップS405において、CPU310は、算出したCXCL11の測定値と、ハードディスク313に記憶された第2の閾値とを比較する。CXCL11の測定値が第2の閾値以上であるとき、処理はステップS404に進行し、CPU310は、被検者の呼吸器感染症が重症化する可能性が高いとの判定結果をハードディスク313に記憶する。ステップS405において、CXCL11の測定値が第2の閾値より低いとき、処理はステップS406に進行する。ステップS406において、CPU310は、被検者の呼吸器感染症が重症化する可能性が低いとの判定結果をハードディスク313に記憶する。ステップS407において、CPU310は、判定結果を出力し、表示部302に表示させたり、プリンタに印刷させたりする。これにより、これにより、呼吸器感染症の重症化の予測を補助するための指標を医師などに提供できる。
図4Eを参照して、IFNλ3およびCCL17の測定値に基づいて呼吸器感染症の重症化の予測を行う場合のフローについて説明する。図4Eでは、IFNλ3の測定値に対応する閾値を「第1の閾値」と表記し、CCL17の測定値に対応する閾値を「第3の閾値」と表記した。
ステップS501において、CPU310は、免疫測定装置20から光学的情報(化学発光シグナル)を取得する。ステップS502において、CPU310は、取得した光学的情報からIFNλ3およびCCL17の測定値を算出してハードディスク313に記憶する。ステップ503において、CPU310は、算出したIFNλ3の測定値と、ハードディスク313に記憶された第1の閾値とを比較する。IFNλ3の測定値が第1の閾値以上であるとき、処理はステップS504に進行する。ステップS504において、CPU310は、被検者の呼吸器感染症が重症化する可能性が高いとの判定結果をハードディスク313に記憶する。ステップS503において、IFNλ3の測定値が第1の閾値より低いとき、処理はステップS505に進行する。ステップS505において、CPU310は、算出したCCL17の測定値と、ハードディスク313に記憶された第3の閾値とを比較する。CCL17の測定値が第3の閾値以上であるとき、処理はステップS506に進行する。ステップS506において、CPU310は、被検者の呼吸器感染症が重症化する可能性が低いとの判定結果をハードディスク313に記憶する。
ステップS505において、CCL17の測定値が第3の閾値より低いとき、処理はステップS504に進行し、CPU310は、被検者の呼吸器感染症が重症化する可能性が高いとの判定結果をハードディスク313に記憶する。ステップS507において、CPU310は、判定結果を出力し、表示部302に表示させたり、プリンタに印刷させたりする。これにより、これにより、呼吸器感染症の重症化の予測を補助するための指標を医師などに提供できる。
図4Fを参照して、CCL17の測定値に基づいて呼吸器感染症の重症化の予測を行う場合のフローについて説明する。ステップS601において、CPU310は、免疫測定装置20から光学的情報(化学発光シグナル)を取得する。ステップS602において、CPU310は、取得した光学的情報からCCL17の測定値を算出してハードディスク313に記憶する。ステップS603において、CPU310は、算出したCCL17の測定値と、ハードディスク313に記憶されたCCL17に対応する閾値とを比較する。CCL17の測定値が閾値より低いとき、処理はステップS604に進行する。ステップS604において、CPU310は、被検者の呼吸器感染症が重症化する可能性が高いとの判定結果をハードディスク313に記憶する。
一方、ステップS603において、CCL17の測定値が閾値以上であるとき、処理はステップS605に進行する。ステップS605において、CPU310は、被検者の呼吸器感染症が重症化する可能性が低いとの判定結果をハードディスク313に記憶する。ステップS606において、CPU310は、判定結果を出力し、表示部302に表示させたり、プリンタに印刷させたりする。これにより、呼吸器感染症の重症化の予測を補助するための指標を医師などに提供できる。
別の実施形態では、バイオマーカーとしてIFNλ3、CXCL11、IP-10、IL-6およびCXCL9からなる群より選択される3つが用いられる。この場合、CPU310は、免疫測定装置20からこの3つのバイオマーカーについて光学的情報(化学発光シグナル)を取得する。CPU310は、取得した光学的情報から各バイオマーカーの測定値を算出してハードディスク313に記憶する。CPU310は、各バイオマーカーの測定値と、対応する閾値とを比較し、少なくとも1つのバイオマーカーの測定値が閾値以上となる場合、被検者の呼吸器感染症が重症化する可能性が高いとの判定結果をハードディスク313に記憶する。すべてのバイオマーカーの測定値が閾値より低い場合、被検者の呼吸器感染症が重症化する可能性が低いとの判定結果をハードディスク313に記憶する。CPU310は、判定結果を出力し、表示部302に表示させたり、プリンタに印刷させたりする。
別の実施形態では、バイオマーカーとしてIFNλ3、CXCL11、IP-10、IL-6およびCXCL9からなる群より選択される3つが用いられる。この場合、CPU310は、免疫測定装置20からこの3つのバイオマーカーについて光学的情報(化学発光シグナル)を取得する。CPU310は、取得した光学的情報から各バイオマーカーの測定値を算出してハードディスク313に記憶する。CPU310は、各バイオマーカーの測定値と、対応する閾値とを比較し、すべてのバイオマーカーの測定値が閾値以上となる場合、被検者の呼吸器感染症が重症化する可能性が高いとの判定結果をハードディスク313に記憶する。少なくとも1つのバイオマーカーの測定値が閾値より低い場合、被検者の呼吸器感染症が重症化する可能性が低いとの判定結果をハードディスク313に記憶する。CPU310は、判定結果を出力し、表示部302に表示させたり、プリンタに印刷させたりする。
別の実施形態では、バイオマーカーとしてIFNλ3、CXCL11、IP-10、IL-6およびCXCL9からなる群より選択される4つが用いられる。この場合、CPU310は、免疫測定装置20からこの4つのバイオマーカーについて光学的情報(化学発光シグナル)を取得する。CPU310は、取得した光学的情報から各バイオマーカーの測定値を算出してハードディスク313に記憶する。CPU310は、各バイオマーカーの測定値と、対応する閾値とを比較し、少なくとも1つのバイオマーカーの測定値が閾値以上となる場合、被検者の呼吸器感染症が重症化する可能性が高いとの判定結果をハードディスク313に記憶する。すべてのバイオマーカーの測定値が閾値より低い場合、被検者の呼吸器感染症が重症化する可能性が低いとの判定結果をハードディスク313に記憶する。CPU310は、判定結果を出力し、表示部302に表示させたり、プリンタに印刷させたりする。
別の実施形態では、バイオマーカーとしてIFNλ3、CXCL11、IP-10、IL-6およびCXCL9からなる群より選択される4つが用いられる。この場合、CPU310は、免疫測定装置20からこの4つのバイオマーカーについて光学的情報(化学発光シグナル)を取得する。CPU310は、取得した光学的情報から各バイオマーカーの測定値を算出してハードディスク313に記憶する。CPU310は、各バイオマーカーの測定値と、対応する閾値とを比較し、すべてのバイオマーカーの測定値が閾値以上となる場合、被検者の呼吸器感染症が重症化する可能性が高いとの判定結果をハードディスク313に記憶する。少なくとも1つのバイオマーカーの測定値が閾値より低い場合、被検者の呼吸器感染症が重症化する可能性が低いとの判定結果をハードディスク313に記憶する。CPU310は、判定結果を出力し、表示部302に表示させたり、プリンタに印刷させたりする。
別の実施形態では、バイオマーカーとしてIFNλ3、CXCL11、IP-10、IL-6およびCXCL9からなる5つが用いられる。この場合、CPU310は、免疫測定装置20からこの5つのバイオマーカーについて光学的情報(化学発光シグナル)を取得する。CPU310は、取得した光学的情報から各バイオマーカーの測定値を算出してハードディスク313に記憶する。CPU310は、各バイオマーカーの測定値と、対応する閾値とを比較し、少なくとも1つのバイオマーカーの測定値が閾値以上となる場合、被検者の呼吸器感染症が重症化する可能性が高いとの判定結果をハードディスク313に記憶する。すべてのバイオマーカーの測定値が閾値より低い場合、被検者の呼吸器感染症が重症化する可能性が低いとの判定結果をハードディスク313に記憶する。CPU310は、判定結果を出力し、表示部302に表示させたり、プリンタに印刷させたりする。
別の実施形態では、バイオマーカーとしてIFNλ3、CXCL11、IP-10、IL-6およびCXCL9からなる5つが用いられる。この場合、CPU310は、免疫測定装置20からこの5つのバイオマーカーについて光学的情報(化学発光シグナル)を取得する。CPU310は、取得した光学的情報から各バイオマーカーの測定値を算出してハードディスク313に記憶する。CPU310は、各バイオマーカーの測定値と、対応する閾値とを比較し、すべてのバイオマーカーの測定値が閾値以上となる場合、被検者の呼吸器感染症が重症化する可能性が高いとの判定結果をハードディスク313に記憶する。少なくとも1つのバイオマーカーの測定値が閾値より低い場合、被検者の呼吸器感染症が重症化する可能性が低いとの判定結果をハードディスク313に記憶する。CPU310は、判定結果を出力し、表示部302に表示させたり、プリンタに印刷させたりする。
本発明の一実施形態は、呼吸器感染症の治療方法に関する。本実施形態の呼吸器感染症の治療方法は、呼吸器感染症に罹患した被検者または呼吸器感染症が疑われる被検者から採取した検体中のバイオマーカーを測定する工程と、バイオマーカーの測定値に基づいて、呼吸器感染症の重症化を予測する工程と、予測工程において、呼吸器感染症が重症化すると予測された被検者に対して医学的介入を行う工程とを含む。なお、「医学的介入」の例は、薬剤の投与、外科手術、免疫療法、遺伝子治療、酸素供給処置、人工心肺装置を用いた処置などが含まれる。薬剤は、呼吸器感染症に対する公知の治療薬またはその候補となる医薬から適宜選択できる。例えば、呼吸器感染症がSARS-CoV-2感染症である場合、薬剤としては抗ウイルス作用のある薬剤、炎症を軽減する薬剤、ACE阻害薬などが挙げられる。具体的には、ファビピラビル、ロピナビル、リトナビル、ナファモスタット、カモスタット、レムデシビル、リバビリン、イベルメクチン、シクレソニド、クロロキン、ヒドロキシクロロキン、インターフェロン、トシリズマブ、サリルマブ、トファシチニブ、バリシチニブ、ルキソリチニブ、アカラブルチニブ、ラブリズマブ、エリトラン、イブジラスト、HLCM051、LY3127804などが挙げられる。
以下に、本発明を実施例により詳細に説明する。以下、「HISCL」とは、シスメックス株式会社の登録商標である。
実施例1
(1) 生体試料
PCR検査によりSARS-CoV-2の感染が確認された8名の患者から得た血清を生体試料として用いた。血清は、患者が入院した日から複数時点で採取した血液から調製した。各患者の情報を表1に示す。表中、「発症日」は、発熱、咳などの風邪症状が現れた日を示す。「重症度」は、各患者の入院後の最終的な病状を示す。「mild」は、肺炎がない症例を示す。「moderate」は、酸素需要のない肺炎がある症例を示す。「severe」は、酸素需要のある肺炎がある症例を示す。「critical」は、人工呼吸管理を含む集中治療管理が必要な症例を示す。
Figure 2021170009
(2) バイオマーカーの測定
(2.1) ケモカインおよびサイトカインの測定
各種のケモカインおよびサイトカインの濃度を、Bio-Plex Pro(商標)ヒトケモカイン40-Plexパネル(#171AK99MR2、BIO-RAD社)およびBio-Plex Pro(商標)ヒトサイトカインスクリーニング48-Plexパネル(#12007283、BIO-RAD社)を用いて測定した。測定装置としてBio-Plex MAGPIXシステム(BIO-RAD社)を用いた。具体的な操作は、キットの添付文書および測定装置の添付文書に従って行った。
(2.2) INFλ3(IL-28B)の測定
上記キットの測定項目に含まれないサイトカインとしてINFλ3の濃度を、下記のR1〜R5試薬を用いて全自動免疫測定装置HISCL-5000(シスメックス株式会社)により測定した。R1試薬(捕捉用抗体試薬)は、国立国際医療研究センターより提供された抗hIL-28B抗体(クローン名:Hyb-TA2650B)を慣用の手法によりビオチンで標識して、1%ウシ血清アルブミン(BSA)および0.5%カゼイン含有バッファーに溶解して調製した。R2試薬(固相)として、ストレプトアビジン結合磁性粒子を含むHISCL R2試薬(シスメックス株式会社)を用いた。R3試薬(検出用抗体試薬)は、国立国際医療研究センターより提供された抗rhIL-28B抗体(クローン名:Hyb-TA2664)を慣用の手法によりFab'フラグメントとし、このFab'フラグメントを慣用の手法によりALPで標識して、1%BSAおよび0.5%カゼイン含有バッファーに溶解して調製した。R4試薬(測定用緩衝液)として、HISCL R4試薬(シスメックス株式会社)を用いた。R5試薬(ALP基質溶液)として、HISCL R5試薬(シスメックス株式会社)を用いた。なお、抗hIL-28B抗体および抗rhIL-28B抗体の作製法は、特許文献1に記載されている。
HISCL-5000による測定手順は、次のとおりであった。血清(30μL)とR1試薬(100μL)とを混合した後、R2試薬(30μL)を添加した。得られた混合液中の磁性粒子を集磁して上清を除き、HISCL洗浄液(300μL)を加えて磁性粒子を洗浄した。上清を除き、磁性粒子にR3試薬(100μL)を添加して混合した。得られた混合液中の磁性粒子を集磁して上清を除き、HISCL洗浄液(300μL)を加えて磁性粒子を洗浄した。上清を除き、磁性粒子にR4試薬(50μL)およびR5試薬(100μL)を添加して、化学発光強度を測定した。キャリブレータ(検量線作成用抗原)として、国立国際医療研究センターより提供されたhIL-28B(10-046)を用いた。キャリブレータを、血清と同様に測定して検量線を作成した。各血清の測定で得られた化学発光強度を検量線に当てはめて、INFλ3の濃度を決定した。
(3) 測定結果
各種のケモカインおよびサイトカインの測定結果より、SARS-CoV-2感染症の予後を予測可能なバイオマーカーとして、IFNλ3、CXCL11、IP-10、IL-6、CXCL9およびCCL17を見出した。IFNλ3、CXCL11、IP-10、IL-6、CXCL9およびCCL17について、各患者の測定値をプロットしたグラフを図5〜図10に示す。図中、「経過日数」は、患者が入院した日(経過日数0)からの日数を示す。図中の矢印は、患者に酸素吸入装置または人工心肺装置による処置を施した時点を示す。図中、「IFNL3」はIFNλ3を意味する。
図5〜9のA〜Eから分かるように、症例No.5、7、9、11および12の患者では、IFNλ3、CXCL11、IP-10、IL-6およびCXCL9が高値を示した後に、感染症が重症化する傾向にあった。なお、症例No.9の患者は、他の重症化した患者に比べて、IFNλ3の測定値が比較的低かったが、CXCL11、IP-10、IL-6およびCXCL9の測定値は高い傾向にあった。一方、図5〜9のF、GおよびHから分かるように、症例No.4、8および10の患者では、IFNλ3、CXCL11、IP-10、IL-6およびCXCL9の測定値は、重症化した患者に比べて低値を示す傾向にあった。これらの結果から、IFNλ3、CXCL11、IP-10、IL-6およびCXCL9は、呼吸器感染症の重症化を予測するためのバイオマーカーとして利用できることが示唆された。
図10A〜Hから分かるように、CCL17の測定値は、重症化した患者に比べて、軽症の患者において高値を示す傾向にあった。この結果から、CCL17は、IFNλ3、CXCL11、IP-10、IL-6またはCXCL9と組み合わせて用いることで、呼吸器感染症が重症化する可能性が低い患者を見出すためのバイオマーカーとして利用できることが示唆された。
実施例2
(1) 生体試料
PCR検査によりSARS-CoV-2の感染が確認された20名の患者から得た血清を生体試料として用いた。血清は、患者が入院した日から複数時点で採取した血液から調製した。20名の患者の重症度については、mildが2名、moderateが11名、severeが2名、およびcriticalが5名であった。
(2) バイオマーカーの測定
各患者の血漿中のIFNλ3およびCCL17の濃度を実施例1と同様にして測定した。IFNλおよびCCL17について、実施例2の20名の患者および実施例1の8名の患者を合わせた28名の患者の測定値をプロットしたグラフを図11および12に示す。図11Aは、criticalおよびsevereの患者のIFNλ3測定値を示し、図11Bは、moderateおよびmildの患者のIFNλ3測定値を示す。図12Aは、criticalおよびsevereの患者のCCL17測定値を示し、図12Bは、moderateおよびmildの患者のCCL17測定値を示す。図中、「Days after hospitalization」は、患者が入院した日(0day)からの日数を示す。
(3) バイオマーカーの測定値の解析
解析は、実施例2の20名の患者および実施例1の8名の患者を合わせた28名の患者の測定値について行った。28名の患者のうち、重症度がmildまたはmoderateであった患者を「ローリスク群」(以下「L群」という)に分類し、重症度がsevereまたはcriticalであった患者を「ハイリスク群」(以下「H群」という)に分類し、各群のIFNλ3およびCCL17の濃度をプロットした。結果を図13AおよびBに示す。図中の横線は、各群のバイオマーカー濃度の第一四分位数、中央値および第三四分位数を示す。
28名の患者のバイオマーカー濃度をROC解析して、L群とH群とを判別する最適なカットオフ値(閾値)を設定した。28名の患者について、設定したカットオフ値を用いて、呼吸器感染症が重症化する可能性が高いか否かを判定したときの判定の感度、特異度および曲線下面積(AUC)を算出した。得られたROC曲線を図14AおよびBに示す。IFNλ3およびCCL17のカットオフ値、該カットオフ値を用いた判定の感度、特異度、AUCおよびp値を表2に示す。上記のカットオフ値に基づいて分類した2つの患者群について、Kaplan-Meier法により、入院後の無イベント生存率(EFS)を調べた。得られたKaplan-Meier曲線を図15AおよびBに示す。
Figure 2021170009
表2より、IFNλ3およびCCL17は、呼吸器感染症の重症化の予測を可能にするバイオマーカーであることが示された。図15Aより、IFNλ3の測定値がカットオフ値より高い場合に、呼吸器感染症が重症化する可能性が高いことが示され、IFNλ3の測定値がカットオフ値以下の場合に、呼吸器感染症が重症化する可能性が低いことが示された。図15Bより、CCL17の測定値がカットオフ値より低い場合に、呼吸器感染症が重症化する可能性が高いことが示され、CCL17の測定値がカットオフ値以上となる場合に、呼吸器感染症が重症化する可能性が低いことが示された。
11、21、31、41: 試薬キット
12、22、32、42: 第1容器
13、23、33: 第2容器
24、34: 第3容器
25、35: 第4容器
36: 第5容器
37: 第6容器
14、27、38、43: 梱包箱
15、26、39、44: 添付文書
10: 判定装置
20: 免疫測定装置
30: コンピュータシステム
40: 記録媒体
300: コンピュータ本体
301: 入力部
302: 表示部
310: CPU
311: ROM
312: RAM
313: ハードディスク
314: 入出力インターフェイス
315: 読取装置
316: 通信インターフェイス
317: 画像出力インターフェイス
318: バス

Claims (17)

  1. 呼吸器感染症に罹患した被検者または呼吸器感染症が疑われる被検者から採取した検体中のバイオマーカーを測定する工程を含み、前記バイオマーカーがCCL17であり、前記バイオマーカーの測定値を、前記呼吸器感染症の重症化を予測するための指標とする、呼吸器感染症の重症化の予測を補助する方法。
  2. 前記CCL17の測定値が、CCL17に対応する閾値より低い場合に、前記被検者の呼吸器感染症が重症化する可能性が高いことが示唆される、請求項1に記載の方法。
  3. 前記CCL17の測定値が、CCL17に対応する閾値以上となる場合に、前記被検者の呼吸器感染症が重症化する可能性が低いことが示唆される、請求項1に記載の方法。
  4. 前記指標が、前記被検者におけるバイオマーカーの測定値の経時変化である、請求項1に記載の方法。
  5. 前記検体が、全血、血漿または血清である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記呼吸器感染症が、ウイルスによる感染症である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 前記ウイルスが、コロナウイルスまたはインフルエンザウイルスである、請求項6に記載の方法。
  8. 前記コロナウイルスが、α−コロナウイルス、β−コロナウイルス、γ−コロナウイルスもしくはδ−コロナウイルスである、請求項7に記載の方法。
  9. 前記β−コロナウイルスが、SARS-CoV-2、HCoV-OC43、HCoV-HKU1、SARS-CoV、Bat SL-CoV-WIV1、BtCoV-HKU4、BtCoV-HKU5、MERS-CoVおよびBtCoV-HKU9のいずれか1種である、請求項8に記載の方法。
  10. 呼吸器感染症に罹患した被検者または呼吸器感染症が疑われる被検者から採取した検体中のバイオマーカーの測定値をモニタリングする方法であって、前記被検者から複数の時点において採取された検体を用い、前記バイオマーカーの測定値を取得することを含み、前記バイオマーカーがCCL17であり、前記測定値を、前記呼吸器感染症の重症化を予測するための指標とする、前記方法。
  11. 前記複数の時点のうち少なくともいずれかの時点で、CCL17の測定値が、CCL17に対応する閾値より低い場合に、前記被検者の呼吸器感染症が重症化する可能性が高いことが示唆される、請求項10に記載の方法。
  12. 前記複数の時点のうちいずれの時点においても、CCL17の測定値が、CCL17に対応する閾値以上となる場合に、前記被検者の呼吸器感染症が重症化する可能性が低いことが示唆される、請求項10または11に記載の方法。
  13. 前記複数の時点において採取された検体が、第1の時点において採取された第1の検体と、前記第1の時点とは異なる第2の時点において採取された第2の検体を含む、請求項10〜12のいずれか1項に記載の方法。
  14. 前記複数の時点が、第1の時点と、前記第1の時点とは異なる第2の時点とを含み、前記第2の時点が、前記第1の時点から1か月以内の時点である、請求項10〜13のいずれか1項に記載の方法。
  15. 呼吸器感染症に罹患した被検者または呼吸器感染症が疑われる被検者から採取した検体中のバイオマーカーを測定する工程と、
    前記バイオマーカーの測定値に基づいて、前記呼吸器感染症の重症化を予測する工程と、を含み、
    前記バイオマーカーがCCL17である、
    呼吸器感染症の重症化の予測を補助する方法。
  16. 前記バイオマーカーと特異的に結合可能な物質を含む試薬を含む、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法に用いられる試薬キット。
  17. 前記物質が抗体である、請求項16記載の試薬キット。
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