以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一又は相当部分には同一符号を付す。
(実施の形態1)
<空調システム1>
図1に、本発明の実施の形態1に係る空調システム1の全体構成を示す。空調システム1は、家屋2における空調を制御するシステムである。図1に示すように、空調システム1は、空調機10と、空調制御装置100と、音声認識サーバ200と、を備える。
空調制御装置100と音声認識サーバ200とは、広域ネットワークN及び基地局Sを介して通信可能に接続されている。広域ネットワークNは、例えばインターネットであって、空調制御装置100と音声認識サーバ200との間における情報の送受信を中継する。基地局Sは、空調制御装置100及び基地局Sの近傍エリアに存在する機器を、広域ネットワークNに接続するための設備である。
<空調機10>
空調機10は、空調対象の空間である家屋2内の室内空間を空調する機器である。空調とは、空調対象の空間の空気の温度、湿度、清浄度、気流等を調整することであって、具体的には、暖房、冷房、除湿、加湿、空気清浄等を含む。空調機10は、図示しない商用電源、発電設備又は蓄電設備から電力を得て動作する。
空調機10は、例えばCO2(二酸化炭素)又はHFC(ハイドロフルオロカーボン)等を冷媒として用いたヒートポンプ式の空調設備である。図2に示すように、空調機10は、室外に設置される室外機11と、室内に設置される室内機12と、ユーザUによって操作されるリモコン13と、を備える。室外機11と室内機12とは、冷媒が流れる冷媒配管15及び通信線16を介して接続されている。
室外機11は、圧縮機21と、四方弁22と、室外熱交換器23と、膨張弁24と、室外送風機26と、室外機制御部28と、を備える。室内機12は、室内熱交換器25と、室内送風機27と、室内機制御部29と、を備える。冷媒配管15は、圧縮機21と、四方弁22と、室外熱交換器23と、膨張弁24と、室内熱交換器25と、を環状に接続している。これにより、ヒートポンプが構成されている。ヒートポンプは、冷凍サイクルとも呼ぶ。
圧縮機21は、冷媒配管15を流れる冷媒を圧縮して、冷媒の温度及び圧力を上昇させる。圧縮機21は、圧縮した冷媒を四方弁22に吐出することで、冷媒配管15を循環させる。圧縮機21は、駆動周波数に応じて、単位当たりの送り出し量を変化させることができるインバータ回路を備える。圧縮機21は、室外機制御部28から指示される制御値に従って容量を変更する。
四方弁22は、圧縮機21の吐出側に設置されている。四方弁22は、空調システム1が冷房運転する場合には、圧縮機21から吐出された冷媒が室外熱交換器23に流入し、空調システム1が暖房運転する場合には、圧縮機21から吐出された冷媒が室内熱交換器25に流入するように、冷媒配管15中の冷媒の流れる方向を切り替える。
室外熱交換器23は、冷媒配管15を流れる冷媒により供給される冷温熱と、屋外の空気と、の間で熱交換を行う。室外送風機26は、送風動作を開始すると、室外機11の内部に負圧が生じて屋外の空気を吸い込む。吸い込まれた空気は、室外熱交換器23に供給され、室外熱交換器23で熱交換された後、屋外に吹き出される。膨張弁24は、室内熱交換器25と室外熱交換器23との間に設置されている。膨張弁24は、その開度が調整されることで、冷媒を減圧して膨張させる。膨張弁24は、一例として、開度が可変に制御可能な電子式膨張弁である。
室内熱交換器25は、冷媒配管15を流れる冷媒より供給される冷温熱と、室内空間の空気と、の間で熱交換を行う。室内熱交換器25で熱交換された空気は、空調空気として室内空間に供給される。これにより、室内空間が冷暖房される。室内送風機27は、送風動作を開始すると、室内機12の内部に負圧が生じて室内空間の空気を吸い込む。吸い込まれた空気は、室内熱交換器25に供給され、室内熱交換器25で熱交換された後、室内空間に吹き出される。室内熱交換器25における冷媒と空気との熱交換量が高いほど、空調システム1の冷却能力又は加熱能力は上がる。冷却能力及び加熱能力は、圧縮機21の周波数を変えることによって調整される。
室外機11における圧縮機21、四方弁22、室外熱交換器23、膨張弁24及び室外送風機26、並びに、室内機12における室内熱交換器25及び室内送風機27は、室内空間を空調する空調手段として機能する。
室外機制御部28及び室内機制御部29は、いずれも図示しないが、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、通信インタフェース、及び、読み書き可能な不揮発性の半導体メモリを備える。室外機制御部28及び室内機制御部29において、CPUがRAMをワークメモリとして用いながらROMに格納された制御プログラムを実行することにより、それぞれ室外機11及び室内機12の動作を制御する。
室外機制御部28と室内機制御部29とは、通信線16によって接続され、通信線16を介して各種信号を相互に授受することにより協調動作し、空調機10全体を制御する。言い換えると、室外機制御部28及び室内機制御部29は、空調機10の制御部として機能する。なお、通信線16は、有線、無線又は他の通信媒体であってもよい。
室内機制御部29は、室内空間に置かれたリモコン13と各種信号を授受する。空調機10の使用者は、リモコン13を操作することで、空調機10に運転指令を入力する。運転指令として、例えば、運転と停止との切換指令、運転モード(冷房、暖房、除湿、加湿、保湿、空気清浄又は送風等)の切換指令、目標温度の切換指令、目標湿度の切換指令、風量の切換指令、風向の切換指令、又はタイマーの切換指令等が挙げられる。空調機10は、入力された運転指令に従って運転を開始する。
<冷房運転における冷凍サイクル>
第1に、「冷房」の運転モードについて説明する。室外機制御部28は、「冷房」の運転指令を受信すると、圧縮機21から吐出された冷媒が室外熱交換器23に流入するように四方弁22の流路を切り換え、膨張弁24を開き、そして圧縮機21と室外送風機26とを駆動させる。また、室内機制御部29は、「冷房」の運転指令を受信すると、室内送風機27を駆動させる。
圧縮機21が駆動すると、圧縮機21から吐出された冷媒は、四方弁22を通過して室外熱交換器23へと流入する。室外熱交換器23に流入した冷媒は、室外空間から吸い込まれた室外空気と熱交換して凝縮液化し、膨張弁24へと流入する。膨張弁24に流入した冷媒は、膨張弁24で減圧された後、室内熱交換器25へと流入する。室内熱交換器25に流入した冷媒は、室内空間から吸い込まれた室内空気と熱交換して蒸発した後、四方弁22を通過して、再び圧縮機21に吸入される。このようにして冷媒が流れることで、室内空間から吸い込まれた室内空気が室内熱交換器25で冷却される。室内熱交換器25における冷媒と室内空気との熱交換量を、冷房能力と呼ぶ。
<暖房運転における冷凍サイクル>
第2に、「暖房」の運転モードについて説明する。室外機制御部28は、「暖房」の運転指令を受信すると、圧縮機21から吐出された冷媒が室内熱交換器25に流入するように四方弁22の流路を切り換え、膨張弁24を開き、そして圧縮機21と室外送風機26とを駆動させる。また、室内機制御部29は、「暖房」の運転指令を受信すると、室内送風機27を駆動させる。
圧縮機21が駆動すると、圧縮機21から吐出された冷媒は、四方弁22を通過して室内熱交換器25へと流入する。室内熱交換器25に流入した冷媒は、室内空間から吸い込まれた室内空気と熱交換して凝縮液化し、膨張弁24へと流入する。膨張弁24に流入した冷媒は、膨張弁24で減圧された後、室外熱交換器23へと流入する。室外熱交換器23に流入した冷媒は、室外空間から吸い込まれた室外空気と熱交換して蒸発した後、四方弁22を通過して、再び圧縮機21に吸入される。このようにして冷媒が流れることで、室内空間から吸い込まれた室内空気が室内熱交換器25で加熱される。室内熱交換器25における冷媒と室内空気との熱交換量を、暖房能力と呼ぶ。
<空調制御装置100>
空調制御装置100は、空調機10による室内空間の空調を制御する。空調制御装置100は、家屋2の居住者、所有者等であるユーザUによって操作される、スマートフォン、タブレット端末、携帯電話等の端末装置である。一例として、空調制御装置100は、図1に示すように、椅子に座っているユーザUによって、机の上に置かれた状態で操作される。
図3に示すように、空調制御装置100は、制御部101と、記憶部102と、計時部103と、ユーザインタフェース104と、撮像部105と、画像処理部106と、音センサ107と、通信部108と、を備える。これら各部はバス109を介して接続されている。
制御部101は、CPU、ROM及びRAMを備える。CPUは、様々な処理及び演算を実行する処理部であって、中央処理装置、中央演算装置、プロセッサ、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSP(Digital Signal Processor)等とも呼ぶ。制御部101において、CPUは、ROMに格納されたプログラム及びデータを読み出し、RAMをワークエリアとして用いて、空調制御装置100を統括制御する。
記憶部102は、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)等の不揮発性の半導体メモリであって、いわゆる二次記憶装置又は補助記憶装置としての役割を担う。記憶部102は、制御部101が各種処理を行うために使用するプログラム及びデータ、並びに、制御部101が各種処理を行うことにより生成又は取得するデータを記憶する。
計時部103は、RTC(Real Time Clock)を備えており、空調制御装置100の電源がオフの間も計時を継続する計時デバイスである。
ユーザインタフェース104は、LCD(Liquid Crystal Display)パネル、有機EL(Electro-Luminescence)、LED(Light Emitting Diode)等である表示部と、タッチパネル、タッチパッド、スイッチ、押圧ボタン等である入力部と、を備える。ユーザインタフェース104は、入力部を介してユーザUから操作を受け付け、また、表示部を介して表示画像を表示する。なお、表示部と入力部とは、これらが互いに重ねられて配置されたタッチパネル又はタッチスクリーンとして構成されるものであっても良い。また、ユーザインタフェース104は、音声を出力するスピーカを備えていても良い。
撮像部105は、室内空間を撮像することによって、室内空間に居るユーザUを表す画像を取得する。撮像部105は、被写体から射出された光束を集光するレンズと、レンズによる集光位置に配置され、光電変換によって被写体の光学像を電気信号として取得する画像センサと、画像センサによって得られた電気信号をデジタルデータに変換するA/D(Analog/Digital)変換器と、を備える。画像センサは、CCD(Charge Coupled Device)、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の撮像素子である。撮像部105は、撮像手段として機能する。
画像処理部106は、DSP、GPU(Graphics Processing Unit)等の画像処理用のプロセッサと、処理される画像を一時的に保存するバッファメモリと、を備える。画像処理部106は、撮像部105によって撮像された画像を加工する加工処理、画像に含まれる人を認識する人認識処理、画像に含まれる物体を認識する物体認識処理等を実行する。
音センサ107は、マイクロフォンとも呼び、音を検知するセンサである。音とは、会話、音声、音楽、騒音、雑音等、人の聴覚を刺激するものである。音センサ107は、空気の振動を検知する振動検知部と、検知した振動を電気信号に変換し、更にデジタル信号に変換する変換部と、を備えている。音センサ107は、振動検知部と変換部とによって、ユーザUから発せられた音声を含む周囲の音を検知し、検知した音を表すデジタルの音声信号を生成する。
通信部108は、空調機10及び音声認識サーバ200と通信するための通信インタフェースを備える。通信部108は、空調機10との間で、赤外線通信、Bluetooth(登録商標)、Wi−Fi(登録商標)、Wi−SUN(登録商標)等の通信規格に従って無線通信する。例えば、通信部108は、制御部101の制御のもと、空調機10の制御指令を室内機制御部29に送信し、空調機10の状態を示す状態情報を室内機制御部29から受信する。また、通信部108は、基地局Sを介して広域ネットワークNに接続し、広域ネットワークNを介して音声認識サーバ200と通信する。
<音声認識サーバ200>
音声認識サーバ200は、クラウドコンピューティングを利用した音声認識のサービスを提供するサーバであって、空調制御装置100と連携して空調システム1を機能させる。図4に示すように、音声認識サーバ200は、制御部201と、記憶部202と、通信部203と、を備える。これら各部はバス209を介して接続されている。
制御部201は、CPU、ROM及びRAMを備える。CPUは、様々な処理及び演算を実行する処理部であって、中央処理装置、中央演算装置、プロセッサ、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSP等とも呼ぶ。制御部201において、CPUは、ROMに格納されたプログラム及びデータを読み出し、RAMをワークエリアとして用いて、音声認識サーバ200を統括制御する。
記憶部202は、フラッシュメモリ、EPROM、EEPROM等の不揮発性の半導体メモリであって、いわゆる二次記憶装置又は補助記憶装置としての役割を担う。記憶部202は、制御部201が各種処理を行うために使用するプログラム及びデータ、並びに、制御部201が各種処理を行うことにより生成又は取得するデータを記憶する。
通信部203は、広域ネットワークNに接続するための通信インタフェースを備え、広域ネットワークNを介して空調制御装置100と通信する。具体的に説明すると、通信部203は、制御部201の制御のもと、空調制御装置100から音声情報を受信し、音声認識の結果を示す情報を空調制御装置100に送信する。
次に、図5を参照して、空調システム1の機能的な構成について説明する。
図5に示すように、空調制御装置100は、機能的に、変化検知部110と、音声取得部120と、音声情報送信部130と、認識情報受信部140と、抽出部150と、空調制御部160と、を備える。音声認識サーバ200は、機能的に、音声情報受信部210と、音声認識部220と、認識情報送信部230と、を備える。
これらの各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、又は、ソフトウェアとファームウェアとの組み合わせによって実現される。ソフトウェア及びファームウェアは、プログラムとして記述され、空調制御装置100のROM又は記憶部102、及び、音声認識サーバ200のROM又は記憶部202に格納される。そして、空調制御装置100の制御部101において、CPUが、ROM又は記憶部102に記憶されたプログラムを実行することによって、空調制御装置100の各機能を実現する。また、音声認識サーバ200の制御部201において、CPUが、ROM又は記憶部202に記憶されたプログラムを実行することによって、音声認識サーバ200の各機能を実現する。
空調制御装置100において、変化検知部110は、ユーザUの姿勢と、ユーザUの位置と、ユーザUの表情と、ユーザUの向きと、のうちの少なくとも1つの変化を検知する。具体的に説明すると、変化検知部110は、撮像部105によってユーザUが撮像された画像に基づいて、ユーザUの姿勢、位置、表情、向き等のうちのいずれかが変化したか否かを検知する。以下では、姿勢、位置、表情、向き等を総称して、「姿勢等」と呼ぶ。
図6に、撮像部105によってユーザUが撮像された画像である撮像画像5を示す。撮像部105は、ユーザUの姿勢等の変化を検知できるようにするため、定期的に又は予め決められたタイミングで繰り返しユーザUを撮像して、図6に示すような撮像画像5を取得する。変化検知部110は、撮像部105によって撮像画像5が取得される毎に、取得された撮像画像5を画像処理部106の機能を用いて解析する。具体的に説明すると、変化検知部110は、周知の人認識、顔認識、物体認識等の手法によって撮像画像5の中からユーザUを認識し、ユーザUの姿勢等の情報を取得する。変化検知部110は、制御部101が撮像部105及び画像処理部106と協働することによって実現される。変化検知部110は、変化検知手段として機能する。
ユーザUの姿勢とは、体勢とも呼び、ユーザUの体の構え又は格好である。ユーザUの姿勢は、ユーザUの体に含まれる各部位の配置の変化によって、変化する。例えばユーザUが椅子、床等に座っている場合には、ユーザUが前、後、左又は右に寄りかかる、体を屈める、腕又は足を組む等によって、ユーザUの姿勢は変化する。変化検知部110は、周知の人認識、物体認識等の手法によって、撮像部105によって撮像された画像における、ユーザUの体に含まれる各部位の位置を特定する。そして、変化検知部110は、特定した各部位の位置の変化を検知することによって、ユーザUの姿勢が変化したか否かを検知する。
ユーザUの位置とは、室内空間においてユーザUが存在している位置である。ユーザUの位置は、ユーザUが室内空間内を歩いた場合、ユーザUが座っている位置を変えた場合等に変化する。変化検知部110は、周知の人認識の手法によって、撮像部105によって撮像された画像におけるユーザUの位置を特定する。そして、変化検知部110は、特定したユーザUの位置が変化したか否かを検知する。
ユーザUの表情とは、ユーザUの感情が顔に表されたものである。ユーザUの表情は、室内空間の環境、ユーザUの状態等に応じて変化する。変化検知部110は、周知の顔認識の手法によって、撮像部105によって撮像されたユーザUの顔を特定する。そして、変化検知部110は、特定したユーザUの顔に含まれる各部分の動きを検知することによって、ユーザUの表情が変化したか否かを検知する。
ユーザUの向きとは、ユーザUの顔又は体の向きである。ユーザUの向きは、ユーザUが頭部を動かした場合、ユーザUが姿勢を変えた場合等に変化する。変化検知部110は、周知の顔認識、人認識等の手法によって、撮像部105によって撮像されたユーザUの顔又は体を特定する。そして、変化検知部110は、特定したユーザUの顔又は体の向きが変化したか否かを検知する。
変化検知部110は、ユーザUの姿勢と、ユーザUの位置と、ユーザUの表情と、ユーザUの向きと、のうちの少なくとも1つの変化の度合が閾値を超えたか否かを判定する。具体的に説明すると、変化検知部110は、ユーザUの姿勢の変化を検知する場合、ユーザUの体に含まれる少なくとも1つの部位の、予め定められた時間内における変化量が、閾値を超えたか否かを判定する。ユーザUの位置の変化を検知する場合、変化検知部110は、ユーザUの位置の、予め定められた時間内における変化量が、閾値を超えたか否かを判定する。ユーザUの表情の変化を検知する場合、変化検知部110は、ユーザUの顔に含まれる少なくとも1つの部位の、予め定められた時間内における変化量が、閾値を超えたか否かを判定する。ユーザUの向きの変化を検知する場合、変化検知部110は、ユーザUの顔又は体の向きの、予め定められた時間内に変化した角度が、閾値を超えたか否かを判定する。
変化検知部110は、このような変化の度合が閾値を超えた場合に、ユーザUの姿勢等の変化を検知したと判定する。閾値は、適宜の値に予め設定されて、ROM又は記憶部102に記憶されている。
音声取得部120は、ユーザUの姿勢と、ユーザUの位置と、ユーザUの表情と、ユーザUの向きと、のうちの少なくとも1つが変化した場合に、ユーザUの音声を取得する。ユーザUの音声とは、ユーザUから発せられた声であって、ユーザUの呟き、独り言、周囲の人との会話等である。
ユーザUの音声は、空調制御装置100の周囲で発生する音と共に、音センサ107によって検知される。音声取得部120は、音センサ107によって、ユーザUの音声を示す音声信号を取得する。音声取得部120は、制御部101が音センサ107と協働することによって実現される。音声取得部120は、音声取得手段として機能する。
より詳細に説明すると、音声取得部120は、ユーザUが姿勢等を変えた際におけるユーザUの音声を取得する。例えば、ユーザUが姿勢等を変えると共に、「この部屋暑いなあ」、「今日は少し寒い」等と呟いた場合、音声取得部120は、このような呟きを取得する。そのために、音声取得部120は、変化検知部110によってユーザUの姿勢等の変化が検知された場合、変化検知部110によって変化が検知されてから規定時間が経過するまでの間におけるユーザUの音声を取得する。
音声取得部120は、変化検知部110によってユーザUの姿勢等の変化が検知されると、音センサ107によって周囲の音声を検知可能な状態に移行して、音声の取得を開始する。そして、音声取得部120は、計時部103による計時を開始し、規定時間が経過するまでの間、音声を取得する。規定時間は、例えば数秒から数10秒程度の時間であって、予め設定されてROM又は記憶部102に記憶されている。
音声情報送信部130は、音声取得部120によって取得された音声を示す音声情報を音声認識サーバ200に送信する。具体的に説明すると、音声情報送信部130は、音声取得部120によって取得された音声の内容を識別するために、音声認識サーバ200によって音声認識を実行する。そのために、音声情報送信部130は、音声取得部120によって音声が取得されると、通信部108及び広域ネットワークNを介して音声認識サーバ200と通信することによって、取得された音声を示す音声情報を音声認識サーバ200に送信する。音声情報送信部130は、制御部101が通信部108と協働することによって実現される。音声情報送信部130は、音声情報送信手段として機能する。
音声認識サーバ200において、音声情報受信部210は、空調制御装置100から送信された音声情報を受信する。音声情報受信部210は、通信部203及び広域ネットワークNを介して空調制御装置100と通信することによって、空調制御装置100から送信された音声情報を受信する。音声情報受信部210は、制御部201が通信部203と協働することによって実現される。音声情報受信部210は、音声情報受信手段として機能する。
音声認識部220は、音声情報受信部210によって受信された音声情報によって示される音声を認識する。具体的に説明すると、音声認識部220は、周知のアルゴリズムに基づいて、音声情報受信部210によって受信された音声情報に対して音声認識を実行して、ユーザUから発せられている言葉を特定する。
一例として、音声認識部220は、音声信号の特徴を表す特徴量として、メル周波数ケプストラム係数(MFCC)を、単位時間区間毎に計算する。そして、音声認識部220は、一般的な音声認識で利用される音響モデルである隠れマルコフモデル(HMM)を利用して、各時間区間における特徴量が出力される元となった音を確率的に推定する。これにより、音声認識部220は、音声情報受信部210によって受信された音声情報に含まれる個々の音を推定し、推定した音のそれぞれを対応する文字に変換する。このようにして、音声認識部220は、音声取得部120によって取得された音声信号を、対応する文字列に変換する。
更に、音声認識部220は、得られた文字列に対して、周知の手法を用いて語彙解釈及び文脈解釈を実行して、漢字仮名交じりの文字列に変換する。このとき、音声認識部220は、例えば「あっつい」を「暑い」に変換する等、不規則な口語を正しい言葉に変換する。更に、音声認識部220は、方言を標準語に変換しても良いし、異なる言語間で翻訳を実行しても良い。
音声認識部220は、このような音声認識処理によって、ユーザUの姿勢等が変化した際にユーザUによって発せられた言葉を表す文字列を得る。音声認識に利用されるプログラム及び音響モデルは、記憶部202に記憶されている。音声認識部220は、制御部201が記憶部202と協働することによって実現される。音声認識部220は、音声認識手段として機能する。
認識情報送信部230は、音声認識部220によって認識された結果を示す認識情報を空調制御装置100に送信する。具体的に説明すると、認識情報送信部230は、音声認識部220による音声認識の結果として得られた文字列を示す認識情報を生成する。そして、認識情報送信部230は、通信部203及び広域ネットワークNを介して空調制御装置100と通信することによって、生成した認識情報を空調制御装置100に送信する。認識情報送信部230は、制御部201が通信部203と協働することによって実現される。認識情報送信部230は、認識情報送信手段として機能する。
空調制御装置100において、認識情報受信部140は、音声認識サーバ200から送信された認識情報を受信する。認識情報受信部140は、通信部108及び広域ネットワークNを介して音声認識サーバ200と通信することによって、音声認識サーバ200から送信された認識情報を受信する。認識情報受信部140は、制御部101が通信部108と協働することによって実現される。認識情報受信部140は、認識情報受信手段として機能する。
抽出部150は、音声取得部120によって取得された音声に含まれる温冷感を示す言葉を抽出する。温冷感を示す言葉とは、「暑い」、「寒い」、「暖かい」、「冷たい」等、暑さ又は寒さに関する人の感覚を表す語句である。例えば図7に示すように、ユーザUが「この部屋暑いなあ」との音声を発した場合、抽出部150は、温冷感を示す言葉として「暑い」との文字列を抽出する。或いは、ユーザUが「今日は少し寒い」との音声を発した場合、抽出部150は、温冷感を示す言葉として「寒い」との文字列を抽出する。
具体的に説明すると、抽出部150は、周知の文字列検索のアルゴリズムを用いて、認識情報受信部140によって受信された認識情報によって示される文字列の中に、温冷感を示す言葉が含まれているか否かを判定する。「暑い」、「寒い」、「暖かい」、「冷たい」等の温冷感を示す典型的な言葉は、予め記憶部102に登録されている。抽出部150は、認識情報によって示される文字列の中に、予め登録された温冷感を示す言葉に合致する文字列が含まれている場合に、その合致する文字列を抽出する。抽出部150は、制御部101が記憶部102と協働することによって実現される。抽出部150は、抽出手段として機能する。
空調制御部160は、音声取得部120によって取得された音声に基づいて、空調機10による空調を制御する。具体的に説明すると、空調制御部160は、認識情報受信部140によって受信された認識情報を元に抽出部150によって抽出された温冷感を示す言葉に応じて、空調機10による空調を制御する。
例えば、温冷感を示す言葉として、温感を示す言葉が抽出部150によって抽出された場合、空調制御部160は、空調機10に室内空間の温度を低下させる。温感を示す言葉とは、「暑い」、「暖かい」等のような室内空間の温度が所望より高いことを示す言葉である。室内空間の温度を低下させるとは、具体的には、冷房中であれば冷房を強めることであり、暖房中であれば暖房を弱める又は停止させることであり、冷房中でも暖房中でも無ければ冷房を開始させることである。温感を示す言葉が抽出された場合、ユーザUが暑さによって不快に感じている可能性が高い。そのため、空調制御部160は、室内空間の温度を低下させる制御指令を空調機10に送信して、室内空間の快適性を向上させる。
これに対して、温冷感を示す言葉として、冷感を示す言葉が抽出部150によって抽出された場合、空調制御部160は、空調機10に室内空間の温度を上昇させる。冷感を示す言葉とは、「寒い」、「冷たい」等のような室内空間の温度が所望より低いことを示す言葉である。室内空間の温度を上昇させるとは、具体的には、暖房中であれば暖房を強める指令であり、冷房中であれば冷房を弱める又は停止させる指令であり、冷房中でも暖房中でも無ければ暖房を開始させる指令である。冷感を示す言葉が抽出された場合、ユーザUが寒さによって不快に感じている可能性が高い。そのため、空調制御部160は、室内空間の温度を上昇させる制御指令を空調機10に送信して、室内空間の快適性を向上させる。
このように、空調制御部160は、ユーザUが感じている温冷感に応じて、空調の制御内容を決定する。そして、空調制御部160は、決定した制御内容に応じた制御指令を生成し、通信部108を介して空調機10に送信する。空調制御部160は、制御部101が通信部108と協働することによって実現される。空調制御部160は、空調制御手段として機能する。
空調機10は、制御指令を受信すると、受信した制御指令に従って空調手段を制御する。具体的に説明すると、空調機10は、運転モードに応じて四方弁22の流路を切り換え、膨張弁24の開度を調整し、圧縮機21、室外送風機26及び室内送風機27を駆動させる。
以上のように構成された空調システム1において実行される空調制御処理の流れについて、図8に示すフローチャートを参照して説明する。図8に示す空調制御処理は、空調制御装置100に電源が投入されており、空調制御装置100が通常の処理を実行可能な状態において、随時実行される。
空調制御処理が開始すると、空調制御装置100の制御部101は、室内空間におけるユーザUの情報を取得する(ステップS1)。具体的に説明すると、制御部101は、撮像部105によって撮像された撮像画像5に対して、人認識、顔認識、物体認識等の画像処理を実行する。これにより、制御部101は、撮像画像5に撮像されたユーザUの姿勢、位置、表情、向き等の情報を取得する。
ユーザUの姿勢等の情報を取得すると、制御部101は、ユーザUの姿勢等が変化したか否かを判定する(ステップS2)。具体的に説明すると、制御部101は、ユーザUの姿勢等の、予め定められた時間内における変化の度合が、閾値を超えたか否かを判定する。制御部101は、変化の度合が閾値を超えた場合、ユーザUの姿勢等が変化したと判定し、変化の度合が閾値を超えていない場合、ユーザUの姿勢等が変化していないと判定する。
ユーザUの姿勢等が変化していない場合(ステップS2;NO)、制御部101は、処理をステップS1に留める。そして、制御部101は、ユーザUの姿勢等の変化を検知するまで、引き続きユーザUの情報を取得する。ステップS1,S2において、制御部101は、変化検知部110として機能する。
ユーザUの姿勢等が変化した場合(ステップS2;YES)、制御部101は、ユーザUの音声を取得する(ステップS3)。具体的に説明すると、制御部101は、ユーザUの姿勢等が変化してから規定時間が経過するまでの間、音センサ107によって周囲の音声を検知可能な状態に移行して、周囲の音声を取得する。これにより、制御部101は、ユーザUが姿勢等を変えた際にユーザUから発せられた会話、呟き等を取得する。ステップS3において、制御部101は、音声取得部120として機能する。
音声を取得すると、制御部101は、取得した音声を示す音声情報を、広域ネットワークNを介して音声認識サーバ200に送信する(ステップS4)。ステップS4において、制御部101は、音声情報送信部130として機能する。
空調制御装置100が音声情報を送信すると、音声認識サーバ200において、制御部201は、送信された音声情報を受信する。このとき、制御部201は、音声情報受信部210として機能する。
音声情報を受信すると、制御部201は、受信した音声情報に対して音声認識を実行する(ステップS5)。具体的に説明すると、制御部201は、周知の音声認識の手法に従って、受信した音声情報によって示される音声に含まれる個々の音を推定する。また、制御部201は、必要に応じて語彙解釈、文脈解釈等を実行する。これにより、制御部201は、ユーザUの姿勢等の変化を検知した際に音センサ107によって取得された音声信号を、文字列の情報に変換する。ステップS5において、制御部201は、音声認識部220として機能する。
音声認識を実行すると、制御部201は、音声認識の結果として得られた文字列を示す認識情報を、広域ネットワークNを介して空調制御装置100に送信する(ステップS6)。ステップS6において、制御部201は、認識情報送信部230として機能する。
音声認識サーバ200が認識情報を送信すると、空調制御装置100において、制御部101は、送信された認識情報を受信する。このとき、制御部101は、認識情報受信部140として機能する。
認識情報を受信すると、制御部101は、受信した認識情報から温冷感を示す言葉を抽出できたか否かを判定する(ステップS7)。具体的に説明すると、制御部101は、受信した認識情報によって示される文字列の中に、「暑い」、「寒い」、「暖かい」、「冷たい」等の温冷感を示す文字列が含まれているか否かを判定する。ステップS7において、制御部101は、抽出部150として機能する。
温冷感を示す言葉を抽出できた場合(ステップS7;YES)、制御部101は、抽出された言葉に応じて空調を制御する(ステップS8)。具体的に説明すると、制御部101は、受信した認識情報によって示される文字列の中に「暑い」、「暖かい」等の言葉が含まれていた場合、室内空間の温度を下げる指令を空調機10に送信する。これに対して、制御部101は、受信した認識情報によって示される文字列の中に「寒い」、「冷たい」等の言葉が含まれていた場合、室内空間の温度を上げる指令を空調機10に送信する。ステップS8において、制御部101は、空調制御部160として機能する。
これに対して、温冷感を示す言葉を抽出できなかった場合(ステップS7;NO)、制御部101は、ステップS8の処理をスキップする。言い換えると、ユーザUから温冷感を示す言葉が発せられなかった場合、室内空間の現在の環境を変更する必要は無いと想定されるため、制御部101は、空調機10に空調動作を変更させる指令を送信しない。以上によって、図8に示した空調制御処理は終了する。
以上説明したように、実施の形態1に係る空調システム1は、ユーザUの姿勢等が変化した場合にユーザUの音声を取得し、取得した音声に基づいて空調機10による空調を制御する。例えば、暑い、寒い等の空調に関する不快感をユーザUが抱いた際、ユーザUは、集中力が切れてだらけた姿勢をとる、体を揺する、震える、顔を歪める、うつむく等、それまでの姿勢、体勢、表情、向き等を変えながら、温冷感に関する言葉を発することが多い。空調システム1は、このようなユーザUの姿勢等の変化を検知し、その際のユーザUの音声に基づいて、ユーザUの快適性を高めるように空調を制御する。このような構成によって、ユーザUの状況に応じて的確に空調を制御することができる。
特に、空調システム1が空調を制御するに当たり、ユーザUは、センサに向かって腕を振るといった明示的な動作を意識して行う必要も、ユーザは音声を入力するタイミングを意識する必要も無い。そのため、実施の形態1に係る空調システム1によれば、高い利便性で、快適な空調環境を得ることができる。
また、実施の形態1に係る空調システム1は、ユーザUの姿勢等の変化を検知したことをトリガとして、そこから規定時間の間に限って音声を取得する。そのため、取得する音声のデータ量を抑制することができ、且つ、音声認識及び温冷感の抽出に係るデータ処理量を抑制することができる。
また、実施の形態1に係る空調システム1は、空調制御装置100で取得したユーザUの音声を示す音声情報を音声認識サーバ200に送信し、音声認識サーバ200で音声を認識する。処理負荷が大きい音声認識処理を音声認識サーバ200が実行するため、ユーザUの側で動作する空調制御装置100における処理負荷を小さくすることができ、空調制御装置100の構成を簡単にすることができる。そのため、スマートフォン、タブレット端末、携帯電話等の広く普及している端末装置にアプリケーションソフトウェアをダウンロードすることによって、特別なハードウェアを必要とせずに、簡単に空調制御装置100を実現することができる。また、音声認識処理の性能又は機能の向上、不具合の修正等のための更新を実施する際、音声認識サーバ200で一括して実施することができ、個々のユーザUの空調制御装置100で更新を実施する必要が無い。そのため、容易に音声認識処理を更新することができる。
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2について説明する。
図9に、本発明の実施の形態2に係る空調システム1aの全体構成を示す。空調システム1aは、事務所3における空調を制御するシステムである。図9に示すように、空調システム1aは、複数の空調機10a,10b,…と、複数の空調制御装置100a,100b,…と、音声認識サーバ200と、空調管理装置300と、を備える。複数の空調制御装置100a,100b,…と音声認識サーバ200とは、広域ネットワークN及び基地局Sを介して通信可能に接続されている。
複数の空調機10a,10b,…のそれぞれは、実施の形態1における空調機10と同様の構成及び機能を備えるヒートポンプ式の空調設備である。複数の空調機10a,10b,…のそれぞれは、事務所3内の異なる場所に設置されており、空調管理装置300の制御のもとで、事務所3内の異なる複数の空間を空調する。
複数の空調制御装置100a,100b,…は、複数の空調機10a,10b,…による空調を制御する。複数の空調制御装置100a,100b,…は、それぞれユーザU1,U2,…によって操作される、スマートフォン、タブレット端末、携帯電話等の端末装置である。ユーザU1,U2,…は、それぞれ事務所3内に居る労働者、作業者等の人である。例えば、第1の空調制御装置100aは第1のユーザU1の机上に置かれて操作され、第2の空調制御装置100bは第2のユーザU2の机上に置かれて操作される。
複数の空調制御装置100a,100b,…のそれぞれは、実施の形態1における空調制御装置100と同様の構成及び機能を備える。具体的に説明すると、複数の空調制御装置100a,100b,…のそれぞれにおいて、変化検知部110は、対応するユーザの姿勢等の変化を検知する。音声取得部120は、変化検知部110によって変化が検知された場合に、音声取得部120によってそのユーザの音声を取得する。音声情報送信部130は、音声取得部120によって取得された音声を示す音声情報を音声認識サーバ200に送信する。
音声認識サーバ200は、実施の形態1と同様の構成及び機能を備える。具体的に説明すると、音声認識サーバ200において、音声情報受信部210は、複数の空調制御装置100a,100b,…のそれぞれから送信された音声情報を受信する。音声認識部220は、音声情報受信部210によって受信された音声情報によって示される音声を認識する。認識情報送信部230は、音声認識部220による音声認識の結果を示す認識情報を、複数の空調制御装置100a,100b,…のうちの音声情報を送信した空調制御装置100に送信する。
複数の空調制御装置100a,100b,…のそれぞれにおいて、認識情報受信部140は、音声認識サーバ200から認識情報が送信されると、その認識情報を受信する。抽出部150は、認識情報受信部140によって受信された認識情報から、温冷感を示す言葉を抽出する。そして、空調制御部160は、抽出部150によって抽出された温冷感を示す言葉に応じて、複数の空調機10a,10b,…による空調を制御する。これにより、空調制御部160は、対応するユーザの姿勢等が変化した際に取得されたユーザの音声に基づいて、ユーザの快適性が向上するように空調を制御する。
より詳細に説明すると、空調制御部160は、音声取得部120によって取得された音声に基づく制御指令を、通信部108を介して空調管理装置300に送信することによって、空調を制御する。例えば、空調制御部160は、抽出部150によって抽出された温冷感を示す言葉が「暑い」、「暖かい」等であった場合、室内空間の温度を低下させる制御指令を、空調管理装置300に送信する。これに対して、空調制御部160は、抽出部150によって抽出された温冷感を示す言葉が「寒い」、「冷たい」等であった場合、室内空間の温度を上昇させる制御指令を、空調管理装置300に送信する。このように、空調制御部160は、複数の空調機10a,10b,…のそれぞれに直接制御指令を送信するのではなく、複数の空調機10a,10b,…を管理する空調管理装置300に制御指令を送信することによって、複数の空調機10a,10b,…による空調を間接的に制御する。
空調管理装置300は、複数の空調機10a,10b,…を管理する装置である。空調管理装置300は、一例として、事務所3全体の電力を管理するHEMS(Home Energy Management System)又はBEMS(Building Energy Management System)コントローラであって、事務所3内の適宜の場所に設置される。図10に示すように、空調管理装置300は、制御部301と、記憶部302と、通信部303と、を備える。これら各部はバス309を介して接続されている。
制御部301は、CPU、ROM及びRAMを備える。CPUは、様々な処理及び演算を実行する処理部であって、中央処理装置、中央演算装置、プロセッサ、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSP等とも呼ぶ。制御部301において、CPUは、ROMに格納されたプログラム及びデータを読み出し、RAMをワークエリアとして用いて、空調管理装置300を統括制御する。
記憶部302は、フラッシュメモリ、EPROM、EEPROM等の不揮発性の半導体メモリであって、いわゆる二次記憶装置又は補助記憶装置としての役割を担う。記憶部302は、制御部301が各種処理を行うために使用するプログラム及びデータ、並びに、制御部301が各種処理を行うことにより生成又は取得するデータを記憶する。
通信部303は、複数の空調制御装置100a,100b,…及び複数の空調機10a,10b,…と通信するための通信インタフェースを備える。通信部303は、複数の空調制御装置100a,100b,…との間で、赤外線通信、Bluetooth(登録商標)、Wi−Fi(登録商標)、Wi−SUN(登録商標)等の通信規格に従って無線通信する。また、通信部303は、例えばエコーネットライト(ECHONET Lite)に準じたネットワークを介して複数の空調機10a,10b,…と通信する。
図11に、実施の形態2に係る空調管理装置300の機能的な構成を示す。図11に示すように、空調管理装置300は、機能的に、指令受信部310と、決定部320と、空調管理部330と、を備える。これらの各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、又は、ソフトウェアとファームウェアとの組み合わせによって実現される。ソフトウェア及びファームウェアは、プログラムとして記述され、空調管理装置300のROM又は記憶部302に格納される。そして、制御部301において、CPUが、ROM又は記憶部302に記憶されたプログラムを実行することによって、空調管理装置300の各機能を実現する。
指令受信部310は、複数の空調制御装置100a,100b,…のそれぞれから送信された制御指令を受信する。制御指令は、複数の空調制御装置100a,100b,…のそれぞれにおいて、対応するユーザの音声に基づいて生成された、複数の空調機10a,10b,…に対する空調の指令である。指令受信部310は、複数の空調制御装置100a,100b,…のうちのいずれかから制御指令が送信される毎に、送信された制御指令を受信する。指令受信部310は、制御部301が通信部303と協働することによって実現される。指令受信部310は、指令受信手段として機能する。
決定部320は、指令受信部310によって受信された制御指令に基づいて、空調機10a,10b,…の制御内容を決定する。具体的に説明すると、決定部320は、指令受信部310が複数の空調制御装置100a,100b,…のうちの一の空調制御装置から制御指令を受信した場合、受信された制御指令の通りに空調機10a,10b,…の制御内容を決定する。
空調管理部330は、指令受信部310によって受信された制御指令に従って、複数の空調機10a,10b,…のうちの少なくとも1つに空調させる。具体的に説明すると、空調管理部330は、決定部320によって決定された制御内容に応じた制御指令を、通信部303を介して複数の空調機10a,10b,…のうちの制御対象の空調機に送信する。空調管理部330は、制御部301が通信部303と協働することによって実現される。空調管理部330は、空調管理手段として機能する。
より詳細に説明すると、空調管理部330は、指令受信部310が複数の空調制御装置100a,100b,…のうちの一の空調制御装置から制御指令を受信した場合、複数の空調機10a,10b,…のうちの、この一の空調制御装置に最も近い空調機に、指令受信部310によって受信された制御指令に従って空調させる。具体的に説明すると、複数の空調制御装置100a,100b,…は、自装置の位置情報を検知する位置検知部を備えており、空調制御部160は、位置検知部によって検知された自装置の位置情報を、制御指令と共に空調管理装置300に送信する。
空調管理装置300において、指令受信部310が一の空調制御装置から指令情報と位置情報とを受信すると、空調管理部330は、複数の空調機10a,10b,…の中から、受信された位置情報によって示される位置に最も近い空調機を、制御対象の空調機に決定する。そして、空調管理部330は、制御対象の空調機に制御指令を送信することで、制御対象の空調機に空調させる。このように、制御指令を送信した空調制御装置に最も近い空調機に空調させることによって、ユーザの近くに設置されている空調機に空調させることができるため、ユーザの快適性を高めることができる。
これに対して、指令受信部310が複数の空調制御装置100a,100b,…から複数の制御指令を受信した場合、予め定義された規則に従って、空調機10a,10b,…の制御内容を決定する。具体的に説明すると、指令受信部310が第1の空調制御装置100aから第1の制御指令を受信した後、空調管理部330が制御指令に従って複数の空調機10a,10b,…に空調させる前に、指令受信部310が第2の空調制御装置100bから第1の制御指令とは異なる第2の制御指令を受信した場合、決定部320は、第1の制御指令と第2の制御指令とに予め定義された規則を適用することによって、空調の制御内容を決定する。
言い換えると、複数の空調制御装置100a,100b,…のうちの少なくとも2つの空調制御装置のそれぞれから互いに異なる制御指令が同時期に送信された場合、決定部320は、指令された制御を同時に実行することはできない。そのため、決定部320は、指令受信部310が複数の制御指令を受信した場合、複数の制御指令の内容に基づいて、空調の制御内容を決定する。
例えば、指令受信部310が第1,第2の空調制御装置100a,100bのそれぞれから、空調の目標温度のような多値選択の制御指令を受信した場合、受信した目標温度の平均値を算出し、空調機10a,10b,…の設定温度を算出した平均値に設定することを、制御内容として決定する。また、指令受信部310が少なくとも3つの空調制御装置100a,100b,…から、温度を上げる又は下げるというような二値選択の制御指令を受信した場合、決定部320は、多数決によって制御内容を決定する。決定部320は、予め定義された規則として、その他各種アルゴリズムを用いて制御内容を決定しても良い。予め定義された規則は、指令受信部310が異なる複数の制御指令を受信した場合に、空調の制御内容を決定するための規則であって、予め記憶部302に記憶されている。
このように、指令受信部310が同時期に複数の制御指令を受信した場合、決定部320は、受信された複数の制御指令の内容を調停して、空調の制御内容を決定する。空調管理部330は、決定部320によって決定された制御内容で、複数の空調機10a,10b,…に空調させる。決定部320は、制御部301が記憶部302と協働するによって実現される。決定部320は、決定手段として機能する。
以上説明したように、実施の形態2に係る空調システム1aは、複数の空調機10a,10b,…と、複数の空調制御装置100a,100b,…と、が設置されている建物において、ユーザU1,U2,…の快適性を高めることができるように、適切に空調を制御することができる。
なお、上記実施の形態2では、空調システム1aは、複数の空調機10a,10b,…を備えていた。しかしながら、空調機10は1台であっても良い。空調機10が1台である場合、空調管理装置300は、複数の空調制御装置100a,100b,…のそれぞれから送信される制御指令に基づいて1台の空調機10の制御内容を決定し、決定した制御内容に従って空調を制御する。また、空調機10は、1台の室外機に複数の室内機が接続された、いわゆるマルチエアコンであっても良い。空調機10がマルチエアコンである場合、マルチエアコンにおける複数の室内機が上述した複数の空調機10a,10b,…に対応するとして、同様に説明することができる。
また、上記実施の形態2では、空調管理装置300は、事務所3全体の電力を管理するHEMS又はBEMSコントローラであるとして説明した。しかしながら、空調管理装置300は、複数の空調機10a,10b,…のうちのいずれかに備えられており、例えば室外機制御部28又は室内機制御部29が、空調管理装置300として機能しても良い。或いは、複数の空調制御装置100a,100b,…のうちのいずれかが、空調管理装置300として機能しても良い。
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3について説明する。
図12に、本発明の実施の形態3に係る空調システム1bの全体構成を示す。空調システム1bは、家屋2における空調を制御するシステムである。図12に示すように、空調システム1bは、空調機10と、空調制御装置190と、を備える。実施の形態1,2とは異なり、実施の形態3に係る空調システム1bは、音声認識サーバ200を備えていない。
空調機10は、家屋2内の室内空間を空調する機器である。空調機10は、実施の形態1における空調機10と同様の構成及び機能を備える。そのため、ここでは詳細な説明を省略する。
空調制御装置190は、空調機10による室内空間の空調を制御する。空調制御装置190は、一例として、家屋2全体の電力を管理するHEMSコントローラであって、家屋2内の適宜の場所に設置される。
図13に示すように、空調制御装置190は、制御部101と、記憶部102と、計時部103と、ユーザインタフェース104と、人感センサ191と、音センサ107と、通信部108と、を備える。これら各部はバス109を介して接続されている。言い換えると、空調制御装置190は、実施の形態1における空調制御装置100と比べて、撮像部105と画像処理部106とを備えない代わりに、人感センサ191を備える。空調制御装置190における人感センサ191以外の構成は、実施の形態1と同様であるため、詳細な説明を省略する。
人感センサ191は、人の存在及び位置を検知するセンサである。人感センサ191は、一例として、赤外線を介して周囲の温度を測定することによって、人の存在及び位置を検知する赤外線センサである。或いは、人感センサ191は、可視光、超音波等を介して人の存在及びその位置を検知するセンサであっても良い。
図14に、実施の形態3に係る空調制御装置190の機能的な構成を示す。図14に示すように、空調制御装置190は、機能的に、変化検知部110と、音声取得部120と、音声認識部220と、抽出部150と、空調制御部160と、を備える。これらの各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、又は、ソフトウェアとファームウェアとの組み合わせによって実現される。ソフトウェア及びファームウェアは、プログラムとして記述され、空調制御装置100のROM又は記憶部102に格納される。そして、制御部101において、CPUが、ROM又は記憶部102に記憶されたプログラムを実行することによって、空調制御装置190の各機能を実現する。
変化検知部110は、ユーザUの位置の変化を検知する。例えば図12に示すようにユーザUが室外から室内に入った場合、或いは室内でユーザUが移動した場合のように、ユーザUの位置が変化した場合、変化検知部110は、その位置の変化を検知する。
具体的に説明すると、変化検知部110は、人感センサ191によって、周囲に人が存在しているか否かを検知し、周囲に人が存在している場合に、予め定められた時間内における人の位置の変化量が閾値を超えたか否かを判定する。そして、変化検知部110は、予め定められた時間内における人の位置の変化量が閾値を超えた場合に、ユーザUの位置の変化を検知したと判定する。変化検知部110は、制御部101が人感センサ191と協働することによって実現される。変化検知部110は、変化検知手段として機能する。
音声取得部120は、ユーザUの位置が変化した場合に、ユーザUの音声を取得する。音声取得部120の機能は、実施の形態1における機能と同様である。具体的に説明すると、音声取得部120は、変化検知部110によってユーザUの位置の変化が検知された場合、変化検知部110によって変化が検知されてから規定時間が経過するまでの間におけるユーザUの音声を取得する。例えば、ユーザUが「この部屋暑いなあ」、「今日は少し寒い」等と呟きながら室内に入った場合、音声取得部120は、このような呟きを取得する。
音声認識部220は、音声取得部120によって取得された音声を認識する。音声認識部220の機能は、実施の形態1において音声認識サーバ200に備えられていた機能と同様である。具体的に説明すると、音声認識部220は、周知のアルゴリズムに基づいて、音声情報受信部210によって受信された音声情報に対して音声認識を実行する。また、制御部201は、必要に応じて語彙解釈、文脈解釈等を実行する。これにより、制御部201は、ユーザUの位置の変化を検知した際にユーザUから発せられた言葉を特定し、対応する文字列を取得する。
抽出部150は、音声認識部220による音声認識によって得られた文字列から、温冷感を示す言葉を抽出する。空調制御部160は、抽出部150によって抽出された温冷感を示す言葉に従って、空調機10による空調を制御する。抽出部150及び空調制御部160の機能は、実施の形態1における機能と同様である。具体的に説明すると、空調制御部160は、音声認識によって得られた文字列から「暑い」、「暖かい」等の言葉が抽出された場合、室内空間の温度を下げる指令を空調機10に送信する。これに対して、空調制御部160は、音声認識によって得られた文字列から「寒い」、「冷たい」等の言葉が抽出された場合、室内空間の温度を上げる指令を空調機10に送信する。
以上説明したように、実施の形態3に係る空調システム1bは、人感センサ191によってユーザUの位置の変化が検知された場合にユーザUの音声を取得し、取得した音声に基づいて空調機10による空調を制御する。ユーザUを撮像する必要が無いため、実施の形態3に係る空調システム1bによれば、実施の形態1に比べてより簡易な構成で、ユーザUの状況に応じて的確に空調を制御することができる。
(変形例)
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明を実施するにあたっては、種々の形態による変形及び応用が可能である。
例えば、上記実施の形態では、実施の形態1,2に係る空調制御装置100は、撮像部105によってユーザUを撮像することで、ユーザUの姿勢等の変化を検知し、実施の形態3に係る空調制御装置190は、人感センサ191によってユーザUの位置の変化を検知した。しかしながら、本発明において、実施の形態1,2に係る空調制御装置100が人感センサ191によってユーザUの位置の変化を検知しても良いし、実施の形態3に係る空調制御装置190が撮像部105によってユーザUの姿勢等の変化を検知しても良い。
上記実施の形態では、空調制御装置100,190が、撮像部105又は人感センサ191を備えていた。しかしながら、本発明において、撮像部105又は人感センサ191は、空調制御装置100,190の外部に設置されていても良い。言い換えると、変化検知部110の機能が空調制御装置100,190の外部に備えられていても良い。例えば、撮像部105又は人感センサ191は、室内空間の壁、天井等に設置されていても良いし、空調機10の室内機12に備えられていても良い。この場合、空調制御装置100,190は、撮像部105又は人感センサ191によって検知された情報を、通信部108を介して取得する。また、音センサ107が空調制御装置100,190の外部に設置されていても良い。この場合、音声取得部120は、音センサ107によって検知された音声を示す情報を、通信部108を介して音センサ107から取得する。
上記実施の形態では、空調制御装置100,190が抽出部150の機能を備えていた。しかしながら、本発明において、音声認識サーバ200が抽出部150の機能を備えていても良い。この場合、音声認識サーバ200が、音声認識部220による音声認識の結果を示す文字列から、抽出部150によって温冷感を示す言葉を抽出する。そして、認識情報送信部230が、抽出部150によって抽出された言葉を示す認識情報を、空調制御装置100,190に送信する。抽出部150の機能を音声認識サーバ200が備えることで、ユーザUの元にある空調制御装置100,190の構成をより簡易にすることができる。
上記実施の形態では、空調システム1が適用される対象として、家屋2及び事務所3を例に挙げて説明した。しかしながら、本発明において、空調システム1が適用される対象は、集合住宅、施設、オフィスビル、工場等であっても良い。
上記実施の形態では、空調制御装置100,190の制御部101において、CPUがROM又は記憶部102に記憶されたプログラムを実行することによって、変化検知部110、音声取得部120、音声情報送信部130、認識情報受信部140、抽出部150及び空調制御部160のそれぞれとして機能した。また、音声認識サーバ200の制御部201において、CPUがROM又は記憶部202に記憶されたプログラムを実行することによって、音声情報受信部210、音声認識部220及び認識情報送信部230のそれぞれとして機能した。また、空調管理装置300の制御部301において、CPUがROM又は記憶部302に記憶されたプログラムを実行することによって、指令受信部310、決定部320及び空調管理部330のそれぞれとして機能した。しかしながら、本発明において、制御部101,201,301は、専用のハードウェアであってもよい。専用のハードウェアとは、例えば単一回路、複合回路、プログラム化されたプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又は、これらの組み合わせ等である。制御部101,201,301が専用のハードウェアである場合、各部の機能それぞれを個別のハードウェアで実現してもよいし、各部の機能をまとめて単一のハードウェアで実現してもよい。
また、各部の機能のうち、一部を専用のハードウェアによって実現し、他の一部をソフトウェア又はファームウェアによって実現してもよい。このように、制御部101,201,301は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又は、これらの組み合わせによって、上述の各機能を実現することができる。
本発明に係る空調制御装置100,190、音声認識サーバ200及び空調管理装置300の動作を規定する動作プログラムを既存のパーソナルコンピュータ又は情報端末装置等のコンピュータに適用することで、当該コンピュータを、本発明に係る空調制御装置100,190、音声認識サーバ200及び空調管理装置300として機能させることも可能である。
また、このようなプログラムの配布方法は任意であり、例えば、CD−ROM(Compact Disk ROM)、DVD(Digital Versatile Disk)、MO(Magneto Optical Disk)、又は、メモリカード等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布してもよいし、インターネット等の通信ネットワークを介して配布してもよい。
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、この発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。すなわち、本発明の範囲は、実施の形態ではなく、請求の範囲によって示される。そして請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、この発明の範囲内とみなされる。