JP2021169236A - ドアホールシール - Google Patents
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Abstract
【課題】ワイヤーハーネス挿通時のスリットの口開きを低減し、止水性および遮音性の低下を防止する。【解決手段】ドアホールシール(1)は、第1シート(10)と第2シート(20)とを備え、第1シート(10)は、車両の前後方向に延伸する第1スリット(11)と、第1スリット(11)の第1領域(13)から鉛直下側に延伸する複数の第2スリット(12)とが形成され、第2シート(20)は、第3スリット(21)と、第3スリット(21)の第2領域(23)から鉛直下側に延伸する第4スリット(22)とが形成され、第2領域(23)は、第2シート(20)において第1領域(13)と重なる部分より、鉛直下側に形成され、第4スリット(22)は、第2シート(20)における第2スリット(12)と重なる部分と異なる部分に形成されている。【選択図】図3
Description
本発明はドアホールシールに関する。
従来から、車両のドアのドアインナーパネルに形成されたサービスホールを塞ぐために、ドアホールシールが使用されている。例えば、特許文献1には、ゴムシートにスリット部が形成され、上記スリット部の近傍に第1の穴が形成されたドアホールシールが開示されている。該ドアホールシールでは、第1の穴の位置を変化させることで、ワイヤーハーネスをスリット部に挿通した場合でも、スリット部の開口が狭小化するような張力がゴムシートに働き、遮音性能を向上させることができる。
しかしながら、特許文献1に開示されたドアホールシールでは、ワイヤーハーネスをスリット部に挿通した状態において、ワイヤーハーネスによる張力だけでは、スリット部はスリットに沿って開口した部分を有していた。そのため、特許文献1に開示されたドアホールシールは、止水性および遮音性において改善の余地があった。
本発明の一態様は、前記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、ワイヤーハーネス挿通時のスリットの口開きを低減し、止水性および遮音性の低下を防止することにある。
前記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るドアホールシールは、車両のドアのドアインナーパネルに形成されたドアホールに取り付けられるドアホールシールであって、前記ドアホールを車内側から塞ぐ第1シートと、前記第1シートの車外側に接着された第2シートと、を備え、前記第1シートは、車両の前後方向に延伸する第1スリットと、前記第1スリットにおける端部領域以外の特定の第1領域から鉛直下側に延伸する複数の第2スリットとが形成され、前記第1スリットおよび前記複数の第2スリットにワイヤーハーネスが挿通されるものであり、前記第2シートは、第3スリットと、前記第3スリットにおける端部領域以外の特定の第2領域から鉛直下側に延伸する第4スリットとが形成され、前記第3スリットおよび前記第4スリットに前記ワイヤーハーネスが挿通されるものであり、前記第2領域は、前記第2シートにおいて前記第1領域と重なる部分より、鉛直下側に形成され、前記第4スリットは、前記第2シートにおける前記第2スリットと重なる部分と異なる部分に形成された構成である。
前記構成によれば、第2シートの第2領域は、第2シートにおいて第1領域と重なる部分とは異なる部分に形成される。また、第4スリットは第2シートにおける第2スリットと重なる部分と異なる部分に形成される。そのため、ワイヤーハーネスを挿通した状態において、第1シートがワイヤーハーネスによって開口した部分を第2シートが覆い、第1スリットの口開きが低減される。したがって、ドアホールシールの止水性および遮音性の低下を防止することができる。
さらに、車外側の第2シートの第2領域は、第2シートにおいて第1領域と重なる部分より鉛直下側にある。そのため、ワイヤーハーネスを挿通した状態において、車外側の第2シートにおけるワイヤーハーネスによってスリットが開口した部分から雨水等が侵入してきたとしても、第1領域は鉛直上側にあるため、車外側からの雨水等の侵入を防ぎ、ドアホールシールの止水性の低下を防止することができる。
本発明の一態様に係るドアホールシールは、前記第1シートは、前記第1シートと前記第2シートとを接着するスリット接着部を有し、前記スリット接着部は、前記複数の第2スリットのうちの少なくとも1つの前記第2スリットにおける、前記第2スリットの端部領域以外の特定の第3領域を塞ぐように形成されていてもよい。
前記構成によれば、第1シートと第2シートとが、少なくとも1つの第2スリットにおいて、第3領域を塞ぐように形成されたスリット接着部によって接着されている。そのため、スリット接着部がない場合に比べて、第2スリットの口開きが低減され、ドアホールシールの止水性および遮音性の低下を防止することができる。
さらに、スリット接着部を有している場合、ワイヤーハーネスを挿通した状態において、ワイヤーハーネスの自重によりスリット接着部に負荷がかかっても、第2スリットの端部には負荷がかからない。そのため、ワイヤーハーネスの自重によって第2スリットの端部付近における第1シートの破損を防止できる。したがって、第2スリットが広がってしまい、ドアホールシールの止水性および遮音性が低下してしまうことを防止できる。
また、第2スリットの大きさをワイヤーハーネスの大きさに合わせて変更する場合は、第2スリットの大きさによって異なる刃物を用意しなければならない。一方、スリット接着部を形成する場合には、第2スリットの大きさは変更せず、ワイヤーハーネスの大きさに合わせてスリット接着部の位置を変更すればよい。したがって、スリット接着部を有していない場合に比べて、ドアホールシールの製造を安価かつ容易に行うことができる。
本発明の一態様に係るドアホールシールは、前記スリット接着部は、前記複数の第2スリットのうちの全ての前記第2スリットにおける、前記第3領域を塞ぐように形成されていてもよい。前記構成によれば、全ての第2スリットがスリット接着部を有しているので、ドアホールシールの止水性および遮音性の低下をさらに効果的に防止することができ、第2スリット端部の破損をより低減できる。
本発明の一態様に係るドアホールシールは、前記スリット接着部は、前記第1シートにおける前記第4スリットの下端領域と重なる部分よりも鉛直上側に形成されていてもよい。前記構成によれば、車外側から雨水等が侵入した場合でも、第4スリットに沿って液体は落ちていく。そのため、ワイヤーハーネスを挿通した状態において、第1シートにおけるワイヤーハーネスによってスリットが開口した部分は、第4スリットの下端領域よりも上側で、スリット接着部により閉じられている。したがって、車内側まで雨水等がより浸入しにくくなり、ドアホールシールの止水性の低下を防止することができる。
本発明の一態様に係るドアホールシールは、前記第2スリットは2つであり、前記第4スリットは1つであってもよい。前記構成によれば、第2スリットおよび第4スリットの数を最小限とすることで、スリットを形成する工程またはスリット接着部を形成する工程が容易となるため、ドアホールシールの製造を容易に行うことができる。
本発明の一態様に係るドアホールシールは、前記第3スリットおよび前記第4スリットは、前記第2シートにおける前記第1スリットと重なる部分よりも鉛直下側に形成されていてもよい。前記構成によれば、第3スリットおよび第4スリットが、第1スリットよりも鉛直下側にある。そのため、ワイヤーハーネスを挿通した状態において、車外側の第2シートの第3スリットおよび第4スリットから雨水等が侵入してきたとしても、第1スリットは鉛直上側にあるため、雨水等は第1シートと第2シートとの間に溜まる。そのため、車外側からの雨水等の侵入を防ぐことができ、ドアホールシールの止水性の低下を効果的に防止することができる。
本発明の一態様によれば、ワイヤーハーネス挿通時のスリットの口開きを低減し、止水性および遮音性の低下を防止することができる。
<ドアホールシール1の概要および取り付け例>
図1を参照して、本発明の一実施形態に係るドアホールシール1の概要および取り付け例について説明する。なお、図1の例において、紙面向かって上側が鉛直上側、下側が鉛直下側、右側が前側(フロント側)、左側が後側(リヤ側)、手前側が車内側(車両の内側)、奥側が車外側(車両の外側)に、それぞれ対応している。また、図1は、フロントドアDを車内側から見た図である。ただし、これはドアホールシール1が車両に取り付けられる方向を制限するものではなく、ドアホールシール1は、車両に対していかなる方向となるように取り付けられてもよい。
図1を参照して、本発明の一実施形態に係るドアホールシール1の概要および取り付け例について説明する。なお、図1の例において、紙面向かって上側が鉛直上側、下側が鉛直下側、右側が前側(フロント側)、左側が後側(リヤ側)、手前側が車内側(車両の内側)、奥側が車外側(車両の外側)に、それぞれ対応している。また、図1は、フロントドアDを車内側から見た図である。ただし、これはドアホールシール1が車両に取り付けられる方向を制限するものではなく、ドアホールシール1は、車両に対していかなる方向となるように取り付けられてもよい。
フロントドアDは、車両のドアの一例であり、車両のフロントドア用開口部(図示せず)に開閉可能に取り付けられている。フロントドアDは、ドアアウターパネル(図示せず)およびドアインナーパネルD1を備え、ドアインナーパネルD1にはサービスホールD2が形成されている。サービスホールD2は、例えばフロントドアDの内部に配置された各種部品を組付けするために、作業者が手または工具等を入れるための開口部である。なお、図1に示すフロントドアDの形成態様はあくまで一例である。
ドアインナーパネルD1の車内側の面には、ドアホールシール1が取り付けられている。ドアホールシール1は、サービスホールD2を車内側から塞ぐことで、フロントドアDの内部に浸入した雨水等が、サービスホールD2から車内に浸入するのを防止する。
ドアホールシール1は、図1に示すように、第1シート10および第2シート20を備えている。第2シート20は、車外側から第1シート10に、接着部2により接着され、当該第1シート10は、ドアインナーパネルD1の車内側の面に、サービスホールD2を塞ぐように取り付けられている。
第1シート10には、ワイヤーハーネスD3が挿通される第1スリット11および第2スリット12が形成されている。また、第2シート20には、ワイヤーハーネスD3が挿通される第3スリット21および第4スリット22が形成されている。ワイヤーハーネスD3は、ケーブルとも称され、フロントドアDの内部の装置(図示せず)、例えばスピーカおよびウインドレギュレータに電気を供給する。
なお、上述したドアホールシール1の取り付けはあくまで一例である。例えば、ドアホールシール1が取り付けられる車両のドアは図1の例に示すフロントドアDに限定されず、およそ車両のドアであればどのような種類のドアであってもよい。したがって、ドアホールシール1は、例えばリアドアまたはスライドドア(図示せず)に取り付けられてもよい。また、ドアホールシール1の取り付け対象となる車両についても、ハードトップ車およびコンバーチブル車をはじめとする任意の種類の車両が取り付け対象となる。
<ドアホールシール1の構造>
図2〜図4を参照して、ドアホールシール1の構造について説明する。なお図2の例において、符号201で示す図は、ドアホールシール1を車内側(車両の内側)から見た図である。また符号202で示す図は、ドアホールシール1を車外側(車両の外側)から見た図である。そのため、符号201で示す図は紙面向かって上側が鉛直上側、下側が鉛直下側、右側が前側(フロント側)、左側が後側(リヤ側)、手前側が車内側(車両の内側)、奥側が車外側(車両の外側)に、それぞれ対応している。一方、符号202で示す図は紙面向かって上側が鉛直上側、下側が鉛直下側、右側が後側(リヤ側)、左側が前側(フロント側)、手前側が車外側(車両の外側)、奥側が車内側(車両の内側)に、それぞれ対応している。
図2〜図4を参照して、ドアホールシール1の構造について説明する。なお図2の例において、符号201で示す図は、ドアホールシール1を車内側(車両の内側)から見た図である。また符号202で示す図は、ドアホールシール1を車外側(車両の外側)から見た図である。そのため、符号201で示す図は紙面向かって上側が鉛直上側、下側が鉛直下側、右側が前側(フロント側)、左側が後側(リヤ側)、手前側が車内側(車両の内側)、奥側が車外側(車両の外側)に、それぞれ対応している。一方、符号202で示す図は紙面向かって上側が鉛直上側、下側が鉛直下側、右側が後側(リヤ側)、左側が前側(フロント側)、手前側が車外側(車両の外側)、奥側が車内側(車両の内側)に、それぞれ対応している。
また、図3の例において、紙面向かって上側が鉛直上側、下側が鉛直下側、右側が前側(フロント側)、左側が後側(リヤ側)、手前側が車内側(車両の内側)、奥側が車外側(車両の外側)に、それぞれ対応している。また、図4の例において、紙面向かって上側が鉛直上側、下側が鉛直下側、右側が車内側(車両の内側)、左側が車外側(車両の外側)、手前側が前側(フロント側)、奥側が後側(リヤ側)に、それぞれ対応している。
図2の符号201で示す図のように、第1シート10には、ワイヤーハーネスD3が挿通される第1スリット11および複数の第2スリット12が形成されている。第1スリット11は、車両の前後方向に延びるように形成されるスリットである。第2スリット12は、第1スリット11における端部領域以外の特定の第1領域13から鉛直下側に形成されるスリットである。
第1領域13は、第1スリット11と第2スリット12とが重なる領域である。また、第1領域13は、第1シート10における第1スリット11の縁部の、第2スリット12が延伸する基点が含まれている領域として表現することもできる。ワイヤーハーネスD3を、第1スリット11および第2スリット12に挿通させる際には、作業者は、当該第1領域13を目標とすることで、ワイヤーハーネスD3を円滑に挿通させることができる。
本実施形態において、第2スリット12は2つであるが、本発明はこれに限定されず、少なくとも2つ以上の第2スリット12が形成されていればよい。なお、第2スリット12は2つである場合、3つ以上の第2スリット12が形成されている場合よりも、第2スリット12を形成する工程が容易となるため、ドアホールシール1の製造が容易になる。
また、本実施形態において、第1領域13は第1スリット11の略中央に配置されているが、本発明はこれに限定されず、第1領域13は、第1スリット11における端部領域以外の領域であれば、第1スリット11のどの領域に配置されていてもよい。なお、第1領域13が第1スリット11の略中央に配置されている場合、ワイヤーハーネスD3を挿通した状態において、第1領域13が第1スリット11の一方の端部側に偏った位置に配置されている場合よりも、第1スリット11の該一方の端部に負荷がかかるのを低減できる。
第1シート10の材料の例としては、エラストマーおよびエラストマーを含む複合体が挙げられる。エラストマーの例としては、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)等のゴムおよび熱可塑性エラストマー(Thermoplastic Elastomer:TPE)が挙げられ、TPEの例としては、オレフィン系熱可塑性エラストマー(Thermoplastic Olefinic Elastomer:TPO)が挙げられる。
図2の符号202で示す図のように、第2シート20には、ワイヤーハーネスD3が挿通される第3スリット21および第4スリット22が形成されている。第4スリット22は、第3スリット21における端部領域以外の特定の第2領域23から鉛直下側に形成されている。
第2領域23は、第3スリット21と第4スリット22とが重なる領域である。また、第2領域23は、第2シート20における第3スリット21の縁部の、第4スリット22が延伸する基点が含まれている領域として表現することもできる。ワイヤーハーネスD3を、第3スリット21および第4スリット22に挿通させる際には、作業者は、当該第2領域23を目標とすることで、ワイヤーハーネスD3を円滑に挿通させることができる。
本実施形態において、第3スリット21は車両の前後方向に延伸しているが、本発明はこれに限定されず、どの方向に延伸していてもよい。なお、第3スリット21は車両の前後方向に延伸していることが好ましい。これによれば、ワイヤーハーネスD3を挿通した状態において、第3スリット21が車両の上下方向に延伸している場合よりも、第3スリット21から車内側に雨水等が侵入するのを低減できる。
また、本実施形態において、第4スリット22は1つであるが、本発明はこれに限定されず、2つ以上の第4スリット22が形成されていてもよい。なお、第4スリット22が1つである場合、複数の第4スリット22が形成されている場合よりも、スリットを形成する工程が容易となるため、ドアホールシール1の製造が容易になる。
また、本実施形態において、各スリットは全て直線状に形成されているが、本発明はこれに限定されず、例えば破線状および曲線状等の、任意の形状として形成されていてもよい。
第2シート20の材料の例としては、熱可塑性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂の例としては、PE、PP、PVA(ポリビニルアルコール)およびABS(アクリルニトリル・ブタジエン・スチレン)等が挙げられる。
図3に示すように、ドアホールシール1において、第1シート10と、第2シート20とは、接着部2によって接着されている。図2に示すように、接着部2は、第2シート20における第3スリット21および第4スリット22の周囲を取り囲む第2外周部24と、第1シート10における第1スリット11および第2スリット12の周囲を取り囲む第1外周部14とが接着することで形成される。なお、本明細書において、「接着」は「粘着」、「圧着」、「溶着」等の概念を含む。また、本実施形態において、接着部2は円形となっているが、本発明はこれに限定されず、例えば矩形等の他の形状であってもよい。
本実施形態において、接着部2では、第1外周部14と第2外周部24とが全周に渡って接着されているが、本発明はこれに限定されず、接着部2では、第1外周部14と第2外周部24とが部分的に接着されていてもよい。なお、接着部2は、第1外周部14と第2外周部24とが全周に渡って接着されている場合、部分的に接着されている場合よりも、第1シート10と第2シート20との間に侵入した雨水等が車内側に侵入するのを防ぐことができる。そのため、止水性および遮音性の低下を防止することができる。
また、本実施形態において、図2の符号201で示すように、第1外周部14は、第1スリット11および第2スリット12のそれぞれの端部領域と重なるように形成されている。同様に、図2の符号202で示すように、第2外周部24は、第3スリット21および第4スリット22のそれぞれの端部領域に重なるように形成されている。ただし、本発明はこれに限定されず、第1外周部14および第2外周部24は、それぞれ、第1スリット11および第2スリット12ならびに第3スリット21および第4スリット22の周囲を取り囲んで形成されていればよい。なお、第1外周部14および第2外周部24が、それぞれに形成されているスリットの端部領域に重なるように形成されている場合、これらのスリットの端部領域は、接着部2によって保護される。したがって、これらのスリットの端部付近における第1シートの破損を低減できる。
図3に示すように、第1シート10と第2シート20とが接着された状態において、第2領域23は、第2シート20において第1領域13と重なる部分より、鉛直下側に形成されている。さらに、第1シート10と第2シート20とが接着された状態において、第2スリット12と第4スリット22とは互い違いに配置されるように形成されている。言い換えれば、第4スリット22は、第2シート20における第2スリット12と重なる部分と異なる部分に形成されている。
図4は、ドアホールシール1にワイヤーハーネスD3を挿通した状態を示す断面図である。ワイヤーハーネスD3は、車外側から車内側に向かって、第2シート20における第2領域23を目標に第3スリット21および第4スリット22に挿通される。ワイヤーハーネスD3はさらに、車内側にむけて第1シート10における第1領域13を目標に、第1スリット11および第2スリット12に挿通される。これにより、ワイヤーハーネスD3がドアホールシール1を貫通する。
図4で示すように、ワイヤーハーネスD3を挿通した状態では、第1シート10がワイヤーハーネスD3によって開口した部分を、第2シート20が覆う構成となる。これは、第2スリット12と第4スリット22とが互い違いに配置されるように形成されているため、第1シート10においてスリットに沿って開口した部分と、第2シート20においてスリットに沿って開口した部分とは重ならないためである。そのため、ドアホールシール1にワイヤーハーネスD3が挿通した状態での口開きが低減され、ドアホールシール1の止水性および遮音性の低下を防止することができる。
さらに、車外側の第2シート20の第2領域23は、第2シート20において第1領域13と重なる部分より鉛直下側に形成されている。そのため、ワイヤーハーネスD3を挿通した状態において、車外側の第2領域23から雨水等が侵入してきたとしても、第1領域13はその上側に位置しているため、雨水等は第1シート10と第2シート20との間に溜まりやすい。そのため、車外側からの雨水等の侵入を防ぐことができ、ワイヤーハーネスD3の挿通によるドアホールシール1の止水性の低下を効果的に防止することができる。
本実施形態において、図3に示すように、第3スリット21および第4スリット22は、第2シート20における第1スリット11と重なる部分よりも鉛直下側に形成されている。ただし、本発明はこれに限定されず、第2領域23が、第2シート20において第1領域13と重なる部分より、鉛直下側に形成されていればよい。なお、第3スリット21および第4スリット22が、第1スリット11よりも鉛直下側に形成されている場合、車外側から第3スリット21および第4スリット22を通って雨水等が侵入してきたとしても、雨水等は第1シート10と第2シート20との間に溜まりやすくなる。そのため、ドアホールシール1は、車外側からの雨水等の侵入を防ぐことができ、第3スリット21の一部が第1シート10における第1スリット11と重なる部分よりも鉛直上側にある場合より、止水性が良好となる。
第1シート10は、第1シート10と第2シート20とを接着するスリット接着部3を有していることが好ましい。スリット接着部3は、第2スリット12の一部の領域(第3領域)を塞ぐように、第1シート10と第2シート20とを接着するように形成される。スリット接着部3は、少なくとも1つの第2スリット12に形成されていればよい。言い換えれば、スリット接着部3は、複数の第2スリット12のうちの少なくとも1つの第2スリット12における、第2スリット12の端部領域以外の特定の第3領域を塞ぐように形成されている。そのため、スリット接着部3が形成されていない場合に比べて、ワイヤーハーネスD3が挿通された状態での第2スリット12の口開きがさらに効果的に低減され、ドアホールシール1の止水性および遮音性の低下を防止することができる。
さらに、第1シート10がスリット接着部3を有している場合、ワイヤーハーネスD3を挿通した状態において、ワイヤーハーネスD3の自重によりスリット接着部3に負荷がかかっても、第2スリット12の鉛直下側の端部には負荷がかからない。したがって、ワイヤーハーネスD3の自重によって第2スリット12の端部付近における第1シート10の破損を防止できる。したがって、第2スリット12が広がってしまい、ドアホールシール1の止水性および遮音性が低下してしまうことを防止できる。
また、第2スリット12の大きさを、挿通されるワイヤーハーネスD3の大きさに合わせて変更する場合は、第2スリット12を形成するときに、その大きさによって異なる刃物を用意しなければならない。一方、第1シート10がスリット接着部3を有する場合には、第2スリット12の大きさは変更せず、ワイヤーハーネスD3の大きさに合わせてスリット接着部3の位置を変更すればよい。この場合には、ワイヤーハーネスD3の大きさによらず、同じ大きさの第2スリット12を形成し、スリット接着部3の位置を変更することで、第2スリット12の開口面積を容易にワイヤーハーネスD3の大きさに合わせることができる。したがって、ドアホールシール1の製造を安価かつ容易に行うことができる。
本実施形態において、図3に示すように、スリット接着部3は円形状であるが、本発明はこれに限定されず、第2スリット12の端部領域以外の特定の第3領域を塞ぐように形成されていればよい。例えば、線状に形成されたスリット接着部3が、複数の第2スリット12を塞ぐ態様であってもよい。
また、本実施形態において、図3に示すように、スリット接着部3は全ての第2スリット12における第3領域を塞ぐように形成されている。ただし、本発明はこれに限定されず、複数の第2スリット12のうちの少なくとも1つの第2スリット12において、スリット接着部3が形成されていればよい。なお、全ての第2スリット12がスリット接着部3により塞がれている場合、一部の第2スリット12がスリット接着部3により塞がれている場合に比べて、ドアホールシール1の止水性および遮音性の低下をさらに効果的に防止することができる。また、ワイヤーハーネスD3からかかる負荷による第2スリット12端部の破損を防止できる。
さらに、本実施形態において、図3に示すように、スリット接着部3は、第1シート10における第4スリット22の下端領域と重なる部分よりも鉛直上側に形成されている。これによれば、ドアホールシール1の車外側から雨水等が侵入した場合でも、第4スリット22に沿って雨水等は鉛直下側へと落ちていく。そのため、ワイヤーハーネスD3を挿通した状態において、第1シート10における、ワイヤーハーネスD3によってスリットが開口した部分は、第4スリット22の下端領域よりも上側で、スリット接着部3により閉じられている。したがって、車内側まで水が浸入しにくくなり、ドアホールシール1の止水性の低下をさらに効果的に防止することができる。ただし、本発明はこれに限定されず、スリット接着部3は第2スリット12の端部領域以外の特定の第3領域を塞ぐように形成されていればよい。
以下に、本発明の実施例および比較例に係るドアホールシールを評価した結果について説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<1.遮音性評価>
図5に、本発明の一実施形態に係るドアホールシール1の遮音性能と、比較例1〜3のドアホールシールの遮音性能とを、残響室−無響室法にて測定した結果を示す。図5の横軸は音の周波数(Hz)を示しており、縦軸はドアホールシールによる透過損失(dB)を示している。
図5に、本発明の一実施形態に係るドアホールシール1の遮音性能と、比較例1〜3のドアホールシールの遮音性能とを、残響室−無響室法にて測定した結果を示す。図5の横軸は音の周波数(Hz)を示しており、縦軸はドアホールシールによる透過損失(dB)を示している。
実施例1では、第1シート10として500mm×500mmの発泡ゴムシートを使用し、第2シート20としてPEシートを使用した。第1シート10および第2シート20には、図3で示すのと同形状の第1スリット11、第2スリット12、第3スリット21および第4スリット22をそれぞれ形成し、ワイヤーハーネスD3を挿通した際の遮音性能を測定した。
比較例として、図7の符号701で示すドアホールシール100および符号702で示すドアホールシール200を用いた。比較例1・2では、第1シート110・210として500mm×500mmの発泡ゴムシートを使用し、第2シート120・220としてPEシートを使用した。比較例1および比較例2において、第1シート110・210と第2シート120・220とは、スリットの外周部で接着されている。
比較例1は、図7の符号701で示すように、第1シート110に車両の前後方向に延伸する第1スリット111が形成され、第2シート120に車両の前後方向に延伸する第2スリット121が形成されている。さらに、第2スリット121は、第2シート120における第1スリット111と重なる部分より、鉛直下側に形成されている。ワイヤーハーネスD3を第2スリット121に挿通した後、第1スリット111に挿通した状態における、ドアホールシール100の遮音性能を測定した。
比較例2は、図7の符号702で示すように、第1シート210に車両の上下方向に延伸する第1スリット211と、第1スリット211の下端に位置する丸孔212と、が形成されている。さらに、車両の前後方向に延伸する第2スリット221は、第2シート220における丸孔212と重なる部分より、鉛直下側に形成されている。ワイヤーハーネスD3を第2スリット221に挿通し、第1スリット211に通した後、重力により丸孔212にワイヤーハーネスD3が納まった状態における、ドアホールシール200の遮音性能を測定した。
また、比較例3はスリットを形成していない500mm×500mmの発泡ゴムシートを使用した。したがって、比較例3がもっとも遮音性能が高く、比較例3の値に近いほどドアホールシールの遮音性能が向上していることが示される。
図5に示すとおり、実施例1が比較例1および2と比べて、もっとも比較例3の値に近く、遮音性能が高いことが示された。特に、比較例1と比べると2000Hz以上の周波数帯域で、最大2dBも遮音性が向上していることが示された。
<2.開口面積比較>
図6に、本発明の一実施形態に係るドアホールシール1にワイヤーハーネスD3を挿通した状態の開口面積と、比較例1のドアホールシール100にワイヤーハーネスD3を挿通した状態の開口面積と、を比較した図を示す。図6に示すように、実施例1のドアホールシールの開口面積61は、比較例1のドアホールシールの開口面積62と比較して減少していることが示された。これらの開口面積を画像から算出し、比較したところ、比較例1の開口面積62に対し、実施例1の開口面積61は約60%減少していることが示された。
図6に、本発明の一実施形態に係るドアホールシール1にワイヤーハーネスD3を挿通した状態の開口面積と、比較例1のドアホールシール100にワイヤーハーネスD3を挿通した状態の開口面積と、を比較した図を示す。図6に示すように、実施例1のドアホールシールの開口面積61は、比較例1のドアホールシールの開口面積62と比較して減少していることが示された。これらの開口面積を画像から算出し、比較したところ、比較例1の開口面積62に対し、実施例1の開口面積61は約60%減少していることが示された。
このように、本発明の一実施形態に係るドアホールシール1は、比較例に比べ、ワイヤーハーネスD3を挿通した状態における、スリットの口開きが低減され、止水性および遮音性の低下を防止することが示された。
〔付記事項〕
本発明は上述した各実施形態および各実施例に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態および実施例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても、本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明は上述した各実施形態および各実施例に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態および実施例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても、本発明の技術的範囲に含まれる。
1 ドアホールシール
3 スリット接着部
10 第1シート
11 第1スリット
12 第2スリット
13 第1領域
20 第2シート
21 第3スリット
22 第4スリット
23 第2領域
D フロントドア(車両のドア)
D1 ドアインナーパネル
D2 サービスホール
D3 ワイヤーハーネス
3 スリット接着部
10 第1シート
11 第1スリット
12 第2スリット
13 第1領域
20 第2シート
21 第3スリット
22 第4スリット
23 第2領域
D フロントドア(車両のドア)
D1 ドアインナーパネル
D2 サービスホール
D3 ワイヤーハーネス
Claims (6)
- 車両のドアのドアインナーパネルに形成されたドアホールに取り付けられるドアホールシールであって、
前記ドアホールを車内側から塞ぐ第1シートと、
前記第1シートの車外側に接着された第2シートと、を備え、
前記第1シートは、車両の前後方向に延伸する第1スリットと、前記第1スリットにおける端部領域以外の特定の第1領域から鉛直下側に延伸する複数の第2スリットとが形成され、前記第1スリットおよび前記複数の第2スリットにワイヤーハーネスが挿通されるものであり、
前記第2シートは、第3スリットと、前記第3スリットにおける端部領域以外の特定の第2領域から鉛直下側に延伸する第4スリットとが形成され、前記第3スリットおよび前記第4スリットに前記ワイヤーハーネスが挿通されるものであり、
前記第2領域は、前記第2シートにおいて前記第1領域と重なる部分より、鉛直下側に形成され、
前記第4スリットは、前記第2シートにおける前記第2スリットと重なる部分と異なる部分に形成されていることを特徴とするドアホールシール。 - 前記第1シートは、前記第1シートと前記第2シートとを接着するスリット接着部を有し、
前記スリット接着部は、前記複数の第2スリットのうちの少なくとも1つの前記第2スリットにおける、前記第2スリットの端部領域以外の特定の第3領域を塞ぐように形成されることを特徴とする、請求項1に記載のドアホールシール。 - 前記スリット接着部は、前記複数の第2スリットのうちの全ての前記第2スリットにおける、前記第3領域を塞ぐように形成されることを特徴とする、請求項2に記載のドアホールシール。
- 前記スリット接着部は、前記第1シートにおける前記第4スリットの下端領域と重なる部分よりも鉛直上側に形成されることを特徴とする、請求項2または3に記載のドアホールシール。
- 前記第2スリットは2つであり、
前記第4スリットは1つであることを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載のドアホールシール。 - 前記第3スリットおよび前記第4スリットは、前記第2シートにおける前記第1スリットと重なる部分よりも鉛直下側に形成されていることを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載のドアホールシール。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2020072260A JP2021169236A (ja) | 2020-04-14 | 2020-04-14 | ドアホールシール |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2020072260A JP2021169236A (ja) | 2020-04-14 | 2020-04-14 | ドアホールシール |
Publications (1)
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ID=78149961
Family Applications (1)
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JP2020072260A Pending JP2021169236A (ja) | 2020-04-14 | 2020-04-14 | ドアホールシール |
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-
2020
- 2020-04-14 JP JP2020072260A patent/JP2021169236A/ja active Pending
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