JP2021167705A - 爆薬装填システムおよび爆薬装填方法 - Google Patents

爆薬装填システムおよび爆薬装填方法 Download PDF

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Abstract

【課題】トンネルの切羽面に穿孔した発破孔に、安全かつ効率良く爆薬を装填できる技術を提供する。【解決手段】切羽面に穿孔された発破孔に爆薬を装填する爆薬装填システムであって、前端側に起爆用爆薬を装着され、後端側が発破孔から外部に突出するように発破孔に挿入される保持管と、施工機械のブームに保持された装薬ユニットと、装薬ユニットに追加用爆薬を供給する爆薬供給装置と、を備え、装薬ユニットは、内部に追加用爆薬の移送路が形成されると共に前端部に保持管を接続するための接続口が開口形成された筒状の装填管と、装填管に設けられると共に発破孔に挿入された状態の保持管の後端を接続口に向けてガイドするガイド面を有するガイド部と、を有する。【選択図】図2

Description

本発明は、トンネルの切羽面に削孔された発破孔に爆薬を装填する爆薬装填システムおよび爆薬装填方法に関する。
トンネルの掘削工法として、発破工法が知られている。発破工法でトンネルを掘削するに際しては、切羽面に穿孔した複数の発破孔(装薬孔)に雷管を取り付けた爆薬を挿入し、雷管を起爆することで爆薬を爆破して切羽面を掘削する。発破工法において、切羽面の発破孔に装填される爆薬としては、例えば硝安油剤爆薬(以下、ANFOと略記する)等に代表される粒状爆薬や、エマルション爆薬等に代表される液状爆薬といったバルクタイプの爆薬、或いは、薬包含水爆薬などに代表される薬包タイプの爆薬等が知られている。
従来、発破方式によって施工されるトンネル現場において、発破孔への爆薬の装填は、作業者よる手装填が行われているのが一般的であった。この装填作業は発破孔に長尺棒材を用いて順次爆薬を押し込む作業となり、かなりの重労働となっていた。
そのため、ホースやパイプを使用して切羽面から離れた位置から起爆用の親ダイナマイト(以下、「親ダイ」と略称する場合がる)と、発破時の爆破力を増大させるための追加用のダイナマイト(以下、「増しダイ」と略称する略称する場合がる)を発破孔に装填する技術が提案されている( 例えば、特許文献1〜3等を参照)。この種の爆薬装填技術
は、機械装填(遠隔装填)等と呼ばれている。このような機械装填としては、例えば、ドリルジャンボの架台(ケージ)上に搭乗した作業員が切羽面に穿孔された発破孔に装填パイプの先端部を挿入し、装填パイプに連結されているホースの基端部に設けられている装填機から圧縮空気を装填パイプの先端部に向けて圧送し、圧縮空気と共に親ダイおよび増しダイを、装填ホース内部を通過移動させることにより、装薬孔内部まで到達させて装填する。
上記した爆薬の機械装填においては、ホースが接続されている装填パイプを発破孔に挿入させる作業を狭い架台上で行わなければならず、作業性が悪く、作業員の技量や慣れによって作業効率が異なり、作業効率が低下したり、バラツキが生じて作業のサイクルタイムが長くなり、工期に影響を与えるといった問題があった。また、架台上に搭乗した作業員が装填パイプを発破孔に挿入する作業は、切羽面に作業員が接近せざると得ない場合があり、安全性の向上が望まれている。
これに対して、近年では、発破孔に対する爆薬の装填安全性の向上および作業の省力化を図るために、発破孔に爆薬を自動で装填する爆薬自動装填装置も提案されている。
例えば、特許文献4には、架台と、架台上で爆薬の装填方向に進退可能に設けられた装填パイプと、架台上で装填パイプの前方に設けられ、親ダイナマイトを装填パイプと同軸上に供給可能な親ダイ供給機構と、装填パイプの後方に連通させて接続された装填ホースと、装填ホースに連結され、装填ホースおよび装填パイプの内部を通過させて増しダイナマイトを圧送供給する爆薬装填機構とからなり、装填パイプの先端部内に親ダイナマイトが挿入可能とされた爆薬自動装填装置が開示されている。
特許第2860847号公報 特許第5614139号公報 特許第5854923号公報 特開2008−25972号公報
特許文献4の記載によると、親ダイナマイトを装填パイプの先端部に供給した状態で装填パイプを装填方向に移動させ、その先端部を発破孔の最奥部に到達させ、さらに、増しダイナマイトを装填パイプの後方から送り込むと同時に、装填パイプを発破孔から引抜くことで発破孔内に親ダイナマイトと増しダイナマイトを装填できるとされている。しかしながら、この種の爆薬自動装填装置を現実に用いようとした場合、発破孔に装填パイプをブーム操作によって挿入することは容易ではなく、作業性が良いとは言えないのが実情であった。
本発明は、上記のような問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、トンネルの切羽面に穿孔した発破孔に、安全かつ効率良く爆薬を装填できる技術を提供することにある。
上記課題の解決するために、本発明は以下の手段を採用した。すなわち、本発明は、切羽面に穿孔された発破孔に爆薬を装填する爆薬装填システムであって、前端側に起爆用爆薬を装着され、後端側が前記発破孔から外部に突出するように当該発破孔に挿入される保持管と、施工機械のブームに保持された装薬ユニットと、前記装薬ユニットに、発破時の爆破力を増大させるための追加用爆薬を供給する爆薬供給装置と、を備え、前記装薬ユニットは、内部に追加用爆薬の移送路が形成されると共に前端部に前記保持管を接続するための接続口が開口形成された筒状の装填管と、前記装填管に設けられると共に、前記発破孔に挿入された状態の前記保持管の後端を前記接続口に向けてガイドするガイド面を有するガイド部と、を有する。
ここで、前記装薬ユニットは、前記装填管の軸方向において少なくとも前記接続口よりも後方側に位置する領域に形成され或いは前記装填管の後段に接続された、柔軟性を有するフレキシブル部を、更に有していても良い。
また、前記装填管は、前記施工機械のブームに取り付けられたロッド部材に保持されていても良い。ここで、前記フレキシブル部は、前記装填管の軸方向を前記ロッド部材の軸方向と平行な姿勢に維持可能な剛性を有していても良い。また、前記フレキシブル部は、可撓性を有する前記ロッド部材によって構成され、或いは、前記ロッド部材と前記装填管との間に介在すると共に可撓性を有するフレキシブル部材によって形成されていても良い。
また、前記ガイド面は、前記接続口から当該接続口の前方に向かってテーパ状に拡径していても良い。
また、前記装填管は円筒形状を有し、前記ガイド部は前記装填管と同軸に設けられていても良い。
また、前記装填管における前記接続口の内径が前記保持管の外径と等しいか、当該保持管の外径よりも大きくても良い。
また、前記装填管は、前記接続口を含む前端領域における内径が前記保持管の外径と等
しく、前記前端領域の後方に隣接する隣接領域における内径が前記保持管の内径以下の寸法に設定されていても良い。
また、前記装填管における前記前端領域および前記隣接領域との境界部に形成された段差部が、前記ガイド面によって前記接続口にガイドされた前記保持管が前記装填管に挿入された際に当該保持管の後端と当接するストッパーとして機能しても良い。
また、前記装薬ユニットは、前記ガイド面によって前記接続口にガイドされた前記保持管が前記装填管に挿入されたことを識別するための識別用部材を、更に有していても良い。
また、前記装填管の外径が前記保持管の内径以下の寸法を有し、且つ、前記装填管の前端部は前記接続口に向かってテーパ状に縮径していても良い。
また、前記保持管は、前記発破孔内への追加用爆薬の装填時に、前記保持管の内側から発破孔内に追加用爆薬および残留空気を導く開口部を有していても良い。
また、前記保持管の前記開口部は、当該保持管の軸方向に沿って形成されたスリットを含んでいても良い。
前記保持管の後端を含む後端領域は、全周に亘って前記スリットが形成されない円環形状を有していても良い。
また、本発明は爆薬装填方法として特定することもできる。すなわち、本発明は、上述までの何れかの爆薬装填システムを用いて切羽面に穿孔された発破孔に追加用爆薬を装填する爆薬装填方法であって、前端側に起爆用爆薬を装着した前記保持管を、当該保持管の後端側が前記発破孔から外部に突出するように当該発破孔に挿入する挿入工程と、前記ブームを操作することによって前記装薬ユニットを前記保持管の後端に向かって送り出し、前記ガイド部における前記ガイド面によって前記保持管の後端を前記接続口にガイドすることで前記装填管に前記保持管を接続する前送り工程と、前記前送り工程の後、前記爆薬供給装置から前記装薬ユニットに追加用爆薬を供給し、前記装填管および前記保持管を通じて追加用爆薬を前記発破孔内に装填する充填工程と、を含む。
本発明によれば、トンネルの切羽面に穿孔した発破孔に、安全かつ効率良く爆薬を装填できる技術を提供できる。
図1は、実施形態1に係る爆薬装填システムを示す概略説明図である。 図2は、実施形態1に係る装薬ユニットの詳細構造を説明する図である。 図3は、実施形態1に係る爆薬供給装置の概略構造を示す図である。 図4は、実施形態1に係るドリルジャンボの操縦席に設けられる各設備を説明する図である。 図5は、実施形態1に係る爆薬装填方法の手順を説明する図である。 図6は、実施形態1に係る親ダイが装着された保持管を示す図である。 図7は、実施形態1に係る保持管の横断面を示す図である。 図8は、実施形態1に係る爆薬装填方法において挿入工程が完了した状態を説明する図である。 図9は、実施形態1に係る爆薬装填方法における接続工程を説明する図である。 図10は、実施形態1に係る爆薬装填方法における接続工程を説明する図である。 図11は、実施形態1に係る爆薬装填方法における接続工程を説明する図である。 図12は、実施形態1に係る爆薬装填方法における接続工程を説明する図である。 図13は、実施形態1に係る装填管に挿入された保持管の横断面を概略的に示す図である。 図14は、実施形態1に係る識別用部材を説明する図である。 図15は、実施形態1に係る識別用部材を説明する図である。 図16は、実施形態1に係る爆薬装填方法における増しダイ装填工程を説明する図である。 図17は、実施形態1に係る爆薬装填方法における増しダイ装填工程を説明する図である。 図18は、実施形態1に係る爆薬装填方法における増しダイ装填工程を説明する図である。 図19は、実施形態1の変形例1に係る装薬ユニットにおける装填管の構造を示す図である。 図20は、実施形態1の変形例1に係る保持管を示す図である。 図21は、実施形態1の変形例1に係る装薬ユニットの装填管に対する保持管の接続が完了した状態を示す図である。 図22は、実施形態1の変形例2に係る装薬ユニットにおける装填管の構造を示す図である。 図23は、実施形態1の変形例2に係る装填管に保持管を接続する過程を説明する図である。 図24は、実施形態2に係る装薬ユニットを説明する図である。 図25は、実施形態3に係る装薬ユニットを説明する図である。 図26は、実施形態4に係る装薬ユニットを説明する図である。 図27は、実施形態4に係る爆薬装填方法における接続工程を説明する図である。 図28は、実施形態4に係る爆薬装填方法における接続工程を説明する図である。 図29は、実際の切羽面における凹凸に起因して保持管における余長部の突出長さが相違する状況を説明する図である。 図30は、実施形態5に係る装薬ユニットを説明する図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
<実施形態1>
図1は、実施形態1に係るトンネルTの切羽面(岩盤)1に穿孔された発破用の発破孔(装薬孔)2に爆薬を装填する爆薬装填システムを示す概略説明図である。図1に示すように、切羽面1には複数の発破孔2が所定の削孔深さで削孔されている。
図1において、トンネルTにおける切羽面1の近傍には、発破孔2に爆薬を装填するための施工機械の一例としてドリルジャンボ10が配置されている。ドリルジャンボ10は、自走するための台車11、ケージ用ブーム12、穿孔・装薬用ブーム13、作業用ケージ14、操縦席15、爆薬装填装置3等を備えている。ケージ用ブーム12および穿孔・装薬用ブーム13は、これらに付設される駆動機構の作動によって伸縮動作、傾動動作、揺動動作、回動動作等が自在である。
作業用ケージ14は、作業員が搭乗可能な作業架台であり、ケージ用ブーム12の先端側に設けられている。また、爆薬装填装置3は、穿孔・装薬用ブーム13の先端側に設けられたガイドセル31、当該ガイドセル31に沿って前後方向に往復動可能に支持されたドリフタ32、ドリフタ32に取り付けられた装薬ユニット33等を備えている。ガイドセル31は、装薬ユニット33およびドリフタ32を、前後方向に案内するガイド部材である。ドリフタ32は、図示しないフィーダの作動によってガイドセル31の延伸方向に沿って前後方向に進退動することが可能になっている。また、ドリフタ32を往復運動させるフィーダは、例えば、油圧シリンダ等から構成することができる。また、ドリフタ32には、装薬ユニット33と、先端部に穿孔用ビットが設けられた穿孔ロッドが着脱式となっており、切羽面1に対して発破孔2の穿孔作業を行う際には、オペレータの操作に応じて、穿孔ロッドにドリフタ32で打撃力を付与するとともに、ドリフタ32を前方向に前送りすることで切羽面1に発破孔2を穿孔可能になっている。また、穿孔・装薬用ブーム13には、ガイドセル31を駆動する駆動機構が設けられており、この駆動機構によってガイドセル31を水平方向への揺動動作、垂直方向への揺動動作、前後方向への進退動が可能となっている。
図2は、実施形態1に係る装薬ユニット33の詳細構造を説明する図である。装薬ユニット33は、ドリフタ32に取り付けられており、台車11から離間する方向に沿って順に配置された取付ロッド34(ロッド部材)、フレキシブル管35(フレキシブル部)、装填管36等を有している。以下、装薬ユニット33において、ドリフタ32が位置する方向を後方と定義し、ドリフタ32が位置する方と反対側を前方と定義する。取付ロッド34は、ドリフタ32に対して取り付けられた長尺ロッド部材である。取付ロッド34は、前端側が所定範囲に亘って中空部として形成されることで、当該中空部によって移送路340が形成されている。取付ロッド34は、例えば、金属製のロッド部材であり、その前端34aは開口端として形成されている。また、取付ロッド34の側面には、圧送路340の後端部近傍に臨むように連通孔341が形成され、取付ロッド34の連通孔341に対応する位置に装填ホース44が接続されている。装填ホース44は、発破時の爆破力を増大するための追加用爆薬である増しダイナマイト(以下、「増しダイ」と略称する)Mを装薬ユニット33に圧送するためのホースであり、連通孔341を通じて取付ロッド34の移送路340に連通している。装填ホース44は、合成樹脂製ホース、ゴムホース等から形成されていても良い。なお、ガイドセル31の適所には、取付ロッド34をガイドセル31に進退動可能にしつつガイドセル31に対して取付ロッド34を平行な姿勢に保持するための受け架台(図示せず)が設けられていても良い。
フレキシブル管35は、可撓性、柔軟性を有する円筒状のパイプ状部材であり、内側に増しダイMを移送するための移送路350が形成されている。図2に示す例では、取付ロッド34の前端にフレキシブル管35が接続されている。フレキシブル管35は、可撓性、柔軟性を有していればその材質は特に限定されない。フレキシブル管35は、例えば樹脂製であっても良いし、金属製であっても良い。フレキシブル管35は、本発明に係るフレキシブル部に相当する。
装填管36は、フレキシブル管35の前端に取り付けられた円筒状のパイプ部材であり、その前端にラッパ形状のガイド部37が設けられている。装填管36は、後端側にフレキシブル管35と接続される後端口361が開口し、前端側に増しダイMを吐出する開口部である接続口362が開口している。なお、装填管36における接続口362は、後述する保持管5を装填管36に接続するため接続用開口として機能する。装填管36の内側には、増しダイMを移送するための移送路360が形成されている。また、装填管36の後端口361は、後方に接続されるフレキシブル管35と実質的に同じ口径を有している。
ガイド部37は、装填管36の接続口362から当該接続口362の前方に向かって(接続口362から離間するに従って)テーパ状に拡径する概略ラッパ形状を有する円筒部材であり、その内周面がガイド面37Aとして形成されている。ガイド部37におけるガイド面37Aのガイド機能については後述する。符号371は、ガイド部37の前端に形成された前方開口端であり、符号372はガイド部37の後端に形成された後方開口端である。ガイド部37は、後方開口端372において、装填管36の前端に位置する接続口362に接続されている。また、ガイド部37は、後方開口端372において直径が最小、前方開口端371において直径が最大となっている。なお、ガイド部37の軸方向において、前方開口端371から後方開口端372までの軸方向長さを「ガイド深さLg1」と呼ぶ。また、ガイド部37における前方開口端371は、切羽面1に穿孔される発破孔2の直径(設計値)よりも内径が大きな寸法に設定されている。なお、装填管36の材質は特に限定されない。
ここで、取付ロッド34と装填管36の間に介在するフレキシブル管35は、装填管36を保持する保持部材ということもできる。本実施形態において、フレキシブル管35は、装填管36およびガイド部37の自重によってこれらが下方に垂れ下がらない程度の剛性を有している。より詳しくは、フレキシブル管35は、装填管36の軸方向を取付ロッド34の軸方向と平行な姿勢に維持可能な剛性を有している。すなわち、フレキシブル管35は、装填管36の接続口362およびガイド部37の前方開口端371が前方を向くように装填管36およびガイド部37を保持できるような剛性と、柔軟性とを兼ね揃えていることが好ましい。なお、取付ロッド34および装填ホース44間の接続構造、取付ロッド34およびフレキシブル管35間の接続構造、フレキシブル管35および装填管36間の接続構造、装填管36およびガイド部37間の接続構造は、例えば管部材同士を接続する公知の接続構造を採用すれば良い。また、図2に示す符号38は、装填管36に付設された識別用部材である。識別用部材38の詳細については後述する。
図3は、実施形態1に係る増しダイMを装薬ユニット33に供給する爆薬供給装置4を説明する図である。爆薬供給装置4は、例えば、切羽面1に対してドリルジャンボ10の後方側に配置された作業車(図示せず)の荷台等に搭載されている。但し、爆薬供給装置4は、ドリルジャンボ10に搭載されていても良い。爆薬供給装置4は、エアコンプレッサ(空気圧送装置)41、増しダイMを貯留するホッパー42、シュート43、装填ホース44、エア供給ホース45、仲介ノズル46等を備える。ホッパー42は、例えば、貯留する増しダイMを自動計量して予め設定された量の増しダイMをシュート43に送り出すことが可能な移送機構47を有している。そして、シュート43の下端には仲介ノズル46が接続され、当該仲介ノズル46には装填ホース44が接続されている。更に、仲介ノズル46の中間部には、エアコンプレッサ41から延びるエア供給ホース45が接続されている。
また、ドリルジャンボ10の操縦席15には、例えば、図4に示すように、モニタ(ディスプレイ装置)101、制御コンピュータ102、装薬用リモコンスイッチ103、操作盤(操作部)104、キーボード105、ポンティングデバイス106等が設けられている。操作盤104には、ケージ用ブーム12や穿孔・装薬用ブーム13、爆薬装填装置3におけるガイドセル31、ドリフタ32等を操作するための操作レバーや操作ボタン等を有している。
また、ホッパー42から増しダイMを送り出す移送機構47や、エアコンプレッサ41は、操縦席15に設けられている装薬用リモコンスイッチ103をオペレータ(作業員)が操作することで、作動するように構成されている。装薬用リモコンスイッチ103には、例えば、電源ボタン103A、装薬ボタン103B等が配置されている。装薬用リモコ
ンスイッチ103には、エアブローボタンが配置されていても良い。電源ボタン103Aは、装薬用リモコンスイッチ103の電源のオン、オフを切り替えるボタンである。また、装薬用リモコンスイッチ103の装薬ボタン103Bが押されると、装薬用リモコンスイッチ103からの指令信号に基づいて、ホッパー42の移送機構47が作動する。その結果、ホッパー42に貯留されている増しダイMが予め定められた量だけ、シュート43に送り出される。このような移送機構47として、例えばロータリーバルブ等を採用しても良い。
次いで、エアコンプレッサ41が作動することにより生成された圧縮空気が、エア供給ホース45を通じて仲介ノズル46に供給される。ここで、装薬ボタン103Bが1回押される度にエアコンプレッサ41からエア供給ホース45に送られる圧縮空気の量は、予め定められた適正な量に調整されている。上記のように、エア供給ホース45から圧縮空気が仲介ノズル46に供給されることにより、シュート43から仲介ノズル46に供給された増しダイMが装填ホース44に送気される。その結果、所定量の増しダイMが装填ホース44を通じて装薬ユニット33にエア圧送されることになる。
次に、トンネルTの切羽面1に穿孔された発破孔2に爆薬装填装置3を用いて爆薬を装填する手順を説明する。図5は、実施形態1に係る切羽面1の発破孔2に対する爆薬装填方法の手順を示す図である。なお、切羽面1に対する発破孔2の穿孔作業は、ドリルジャンボ10を用いて行うことができる。上記のように、ドリルジャンボ10のドリフタ32に取り付けられる装薬ユニット33は、ドリフタ32に対して着脱自在となっている。切羽面1に対して発破孔2の穿孔作業を行う際、ドリルジャンボ10のドリフタ32に対して穿孔ロッド(図示せず)を取り付け、穿孔ロッドにドリフタ32で打撃力を付与するとともにドリフタ32を前方向に前送りすることで、穿孔ロッドによって切羽面1に発破孔2を穿孔する。切羽面1に対して発破孔2の穿孔作業が全て完了した後、ドリフタ32から着脱式の穿孔ロッドを取り外し、代わりに、ドリフタ32に装薬ユニット33が取り付けられる。
ドリルジャンボ10の岩盤穿孔装置によって切羽面1に全ての発破孔2が穿孔された後は、図6に示すように、保持管5の前端に形成された保持部5Aに、親ダイナマイト(以下、「親ダイ」と略称する)Dを装着する(親ダイ装着工程)。図6は、実施形態1に係る親ダイDが装着された保持管5を示す図である。図7は、実施形態1に係る保持管5の横断面を示す図である。符号C1は、保持管5の中心軸を示す。符号Ro1は、保持管5の外径を示す。親ダイDは、発破孔2の孔尻近傍に設置される起爆用のダイナマイトである。親ダイDは、雷管D1を有し、この雷管D1に起爆用導火線D2が結線されている。本実施形態においては、親ダイDとして、薬包含水爆薬を採用しており、紙又はプラスチック製フィルム等で包装した包装爆薬の形態(薬包タイプ)となっている。親ダイDの外径は例えば25〜30mm程度、長さは100〜250mm程度であっても良い。なお、親ダイDは、起爆用爆薬に相当する。また、親ダイDの雷管D1は、例えば、起爆操作装置機から無線で送信された交流磁界エネルギーを受け取る無線起爆雷管用アンテナ(例えば、受信コイル等)を有する無線雷管であっても良い。このような無線雷管方式で親ダイDを構成した場合には雷管D1に起爆用導火線D2を結線する必要は無い。
図6および図7に示すように、保持管5は、例えば長尺の紙管であり、その長尺方向に沿ってスリット5Bが形成されている。図6に示す例では、保持管5の前端に位置する保持部5Aから後端5Dに亘ってスリット5Bが形成されている。ここで、保持管5は、例えば厚紙、段ボール等によって形成されていても良い。図7に示される保持管5は、横断面C形状を有するスリット入り紙管である。保持管5の外径Ro1は、発破孔2の直径(設計値)より小さな寸法に設定されている。また、保持管5の内径Ri1は、例えば、薬包タイプの親ダイDを保持部5Aに装着するのに適した寸法に設定されている。また、保
持管5におけるスリット5Bの幅は親ダイDの直径よりも小さく、保持部5Aの先端から親ダイDを装着することで、保持部5Aに親ダイDを保持することが可能である。
図8に示すように、前端側の保持部5Aに親ダイDを装着した保持管5を、保持部5A(親ダイD)側を先頭にして発破孔2へと挿入する(挿入工程)。図8は、実施形態1に係る爆薬装填方法において挿入工程が完了した状態を示している。図8において、保持管5は、スリット5Bが上方を向くような姿勢で発破孔2に挿入されている。但し、保持管5は、スリット5Bが側方を向くような姿勢で発破孔2に挿入されても良い。なお、図8以降において、親ダイDの雷管D1および起爆用導火線D2の図示を便宜上指示省略する。
また、本実施形態における挿入工程、すなわち発破孔2に対する親ダイDの装填作業(保持管5の挿入作業)は、例えば作業員による人手によって行われても良い。なお、図8における符号Lh1は、発破孔2の孔尻2Aから孔口2Bまでの穿孔深さ(設計値)である。本実施形態においては、親ダイDが発破孔2の孔尻2Aに配置されるように保持管5を発破孔2に挿入した際、保持管5の後端5D側が発破孔2の孔口2Bから外部に突出するように、保持管5の長さLp1(図6を参照)が規定されている。なお、本実施形態の挿入工程は、切羽面1に穿孔された全ての発破孔2に対して親ダイDを装着した保持管5を順次挿入する。
ここで、発破孔2に挿入された状態における保持管5のうち、発破孔2の孔口2Bから外部に突出する領域を「余長部5C」と呼ぶ。保持管5は、余長部5Cの長さ(以下、「突出長さ」という)Lp2(図8を参照)は、装薬ユニット33のガイド部37におけるガイド深さLg1よりも長い寸法に設定されていることが好ましい。また、符号5Eは、保持管5の内部に形成される中空路(図6〜図8等を参照)である。
また、本実施形態においては、切羽面1に形成された全ての発破孔2の孔尻2Aに、保持管5を用いて親ダイDを装填する。なお、発破孔2に対する親ダイDの装填作業は、作業員が作業用ケージ14に適宜搭乗した状態で行うことができる。なお、本実施形態においては、親ダイDを装着した保持管5を発破孔2に挿入することで、発破孔2に親ダイDを装填するようにしたので、保持管5が発破孔2を保孔する保孔部材として機能させることができる。
上記のようにして、切羽面1に形成された全ての発破孔2に対する親ダイDの装填作業が完了すると、次に、装薬ユニット33を保持管5の後端5Dに向かって接近させ、ガイド部37におけるガイド面37Aによって保持管5の後端5Dを装填管36の前端に位置する接続口362にガイドすることで装填管36に保持管5を接続する接続工程(図5のS103)を行う。本実施形態において、接続工程は、装薬ユニット初期位置合わせ工程および前送り工程を含む。装薬ユニット初期位置合わせ工程は、例えば、ドリルジャンボ10の操縦席15に搭乗したオペレータが操作盤104を介して穿孔・装薬用ブーム13、ガイドセル31等を操作し、図9に示すように装薬ユニット33を初期位置に配置する工程である。図9に示すように、装薬ユニット33が初期位置に配置された状態において、装薬ユニット33のガイド部37における前方開口端371が、切羽面1と離間した状態において発破孔2と概ね対向するように配置されている。装薬ユニット33のガイド部37における前方開口端371の内径は、発破孔2の直径(設計値)よりも大きな寸法に形成されている。そのため、本実施形態においては、装薬ユニット33を初期位置に配置する際、発破孔2に対して、装填管36が偏心していても良い。すなわち、発破孔2の軸方向に直交する仮想平面を基準とした場合に、発破孔2に挿入された保持管5の余長部5Cが、装薬ユニット33のガイド部37における前方開口端371の占有領域内に含まれるように、装薬ユニット33の位置を大まかに位置合わせすれば良い。
ここで、装薬ユニット33におけるフレキシブル管35は、適度な柔軟性と剛性を併せ持っている。そのため、図9に示すように、フレキシブル管35の前段に接続される装填管36およびガイド部37の姿勢を、これらの軸方向が取付ロッド34の軸方向と平行な姿勢(図9に示す例では、略水平な姿勢)に保持できる。
また、装薬ユニット33を初期位置に配置する際、オペレータは、目視によって穿孔・装薬用ブーム13およびガイドセル31を操作しても良いし、或いは、例えば装薬ユニット33の適所に取り付けたカメラによって撮像した画像をモニタ101にリアルタイムで表示し、当該モニタ101に表示された画像を見ながら穿孔・装薬用ブーム13およびガイドセル31を操作しても良い。また、例えば制御コンピュータ102にインストールされたナビゲーションシステムに予め発破孔2の位置情報を入力しておき、ガイドセル31の後端と、ドリルジャンボ10の台車11の適所(例えば、台車11の後部)に設置した視準用のプリズムの位置をトータルステーション等の測量機器によって自動計測しながら、装薬ユニット33を上述した初期位置に誘導しても良い。ドリルジャンボ10は、フルオートドリルジャンボ(「コンピュータドリルジャンボ」とも呼ばれる)であっても良く、その場合には、コンピュータに記憶されている発破孔2の位置情報に基づいて穿孔・装薬用ブーム13およびガイドセル31を操作しても良い。
図9に示すように装薬ユニット33を初期位置に配置した後は、次いで、ガイドセル31に沿ってドリフタ32を前方に駆動し、装薬ユニット33を保持管5の後端に向かって(切羽面1に向かって接近するように)前方に送り出す(前送り工程)。図9に示す例のように、装薬ユニット33を初期位置に配置した状態において、保持管5に対して装填管36が偏心している場合、前送り工程において切羽面1に向かって装薬ユニット33が前送りされた際に、前送り工程の過程で、発破孔2から突出する保持管5の後端5Dに対してガイド部37のガイド面37Aが当接する(図10を参照)。
図10に示すように、前送り工程においてガイド部37のガイド面37Aが保持管5の後端5Dに当接した以降は、装薬ユニット33が切羽面1に接近するように更に前送りされることに伴い、保持管5の後端5Dがガイド部37のガイド面37Aを後方開口端372側に向かって摺接する。ここで、ガイド部37のガイド面37Aは、前方開口端371から後方開口端372にかけて徐々に縮径している。また、ガイド部37の後方開口端372には、装填管36の接続口362に接続されており、ガイド部37と装填管36の中心軸は同軸に配置されている。以上のことより、前送り工程において保持管5の後端5Dがガイド部37のガイド面37Aを後方開口端372側に向かって摺接することで、保持管5および装填管36の中心軸同士が互いに接近する方向(合致する方向)に、保持管5の後端5Dがガイド部37のガイド面37Aによってガイドされる。逆に、切羽面1の発破孔2に挿入された保持管5を基準とすると、保持管5および装填管36の中心軸同士が互いに接近する方向(合致する方向)に装填管36をガイドすることができる。
なお、本実施形態における装填管36の後段に接続されたフレキシブル管35は、可撓性(柔軟性)を有している。そのため、上記前送り工程においては、図11に示すようにフレキシブル管35を変形させながら、保持管5の後端5Dをガイド部37のガイド面37Aに沿って摺接させることで、保持管5および装填管36の中心軸同士が互いに接近する方向に装填管36をガイドすることができる。
ここで、装薬ユニット33は、装填管36における接続口362の内径が保持管5の外径Ro1よりも若干大きな寸法に設定されている。但し、装填管36における接続口362の内径は、保持管5の外径Ro1と等しい寸法に設定されていても良い。これにより、前送り工程において、ガイド部37のガイド面37Aを摺接する保持管5の後端5Dを後
方開口端372までガイドした後、保持管5の後端5D側を接続口362から装填管36内に挿入させることができる。
前送り工程において、ガイド部37のガイド面37Aを摺接する保持管5の後端5Dが後方開口端372(接続口362)に到達した時点で、保持管5の中心軸C1と装填管36の中心軸の位置が合致した状態となる。この状態から、装薬ユニット33が更に前方に前送りされる。これにより、図12に示すように、保持管5が接続口362から装填管36の内部に挿入される結果、装填管36に対して保持管5が接続される。以上のように、本実施形態においては、前送り工程において、フレキシブル管35が変形を伴いながら保持管5と装填管36における中心軸同士を徐々に近づけていくことができる。すなわち、保持管5と装填管36における中心同士の位置ずれをフレキシブル管35の変形によって吸収しつつ、ガイド面37Aによるガイド機能によって上記中心同士の平面的な位置を合致させることができる。
図13は、実施形態1に係る装填管36の接続口362から装填管36の内部に挿入された保持管5の横断面を概略的に示す図である。図13に示すように、装填管36における接続口362の内径は、保持管5の外径Ro1に比べて僅かに大きな寸法に設定されているため、装填管36に挿入された保持管5の外周面5Fと装填管36の内周面364との間には大きな隙間が生じないようになっている。
図14は、装填管36に付設された識別用部材38を説明する図である。図14には、装填管36に付設された識別用部材38および当該識別用部材38の周辺部を拡大して示している。識別用部材38は、装填管36に形成された開口部363に配設された本体部381と、本体部381に設けられた当接部382および識別部383を含む。ここで、識別用部材38における本体部381は、回動軸C2を中心として回動可能に装填管36における開口部363の縁部に軸支された円柱状の軸部材である。ここで、識別用部材38における本体部381の回動軸C2は、例えば装填管36の中心軸と直交方向に設けられている。また、識別用部材38における当接部382および識別部383は、本体部381における回動軸C2を中心として略90°異なる方向に伸びるように本体部381から延設された板部材である。また、識別用部材38における識別部383は、装填管36の外側に配置され、識別用部材38における当接部382は装填管36の移送路360内に配置されている。そして、図14に示すように、識別用部材38は、識別部383が装填管36の外面に沿った状態で、当接部382が装填管36の移送路360を部分的に塞ぐように移送路360の延在方向に略直交する方向に延在するように装填管36に対して設置されている。図14に示す識別用部材38の姿勢を「第1姿勢」と呼ぶ。
次に、識別用部材38の動作について説明する。前送り工程において、装填管36に接続口362から挿入された保持管5は、図14に示す矢印Aの方向に装填管36の内周面364を摺接しながら進行する。ここで、識別用部材38は、第1姿勢にあるときには、保持管5の進路上の少なくとも一部を当接部382が塞ぐように当接部382が形成されており、例えば当接部382は概略半円形の板部材であっても良い。装填管36の接続口362から装填管36の内部に挿入された保持管5の後端5Dが識別用部材38の当接部382に到達した後、更に保持管5が装填管36内に押し込まれることで、図14に示す矢印Bの方向に識別用部材38の当接部382が跳ね上げられる。その結果、当接部382と一体に設けられた識別用部材38の本体部381が回動軸C2を中心に矢印C方向に回転し、識別用部材38の識別部383が図15に示すように装填管36の外面に対して起立した状態となる。以下、図15に示す識別用部材38の姿勢を「第2姿勢」と呼ぶ。
識別用部材38の識別部383は、オペレータが遠方からも容易に視認できるように目立つ色の塗料などを用いて着色されていても良い。オペレータは、識別用部材38の識別
部383が第1姿勢から第2姿勢(起立状態)に切り替わったことを視認することで、保持管5が装填管36に対して適切な深さまで挿入されたことを把握できる。本実施形態においては、識別用部材38が第1姿勢から第2姿勢に切り替わったことを確認できた時点で装薬ユニット33の前送りを終了する。本実施形態においては、前送り工程の完了時に装薬ユニット33におけるガイド部37の前方開口端371と、切羽面1(切羽面1のうち、発破孔2における孔口2Bの周囲に位置する切羽縁部1A)との間に十分な隙間が形成されるように、保持管5の長さLp1を調節しておくことが好ましい。
前送り工程が完了すると、次いで、オペレータは、装薬用リモコンスイッチ103の電源ボタン103Aを押すことで装薬用リモコンスイッチ103の電源をオンにした後、装薬ボタン103Bを押すことで、爆薬供給装置4から装薬ユニット33に増しダイMを供給する。これにより、装薬用リモコンスイッチ103からの指令信号に基づいてホッパー42の移送機構およびエアコンプレッサ41が作動する。その結果、ホッパー42からシュート43に所定量の増しダイMが供給された後、その増しダイMが装填ホース44を通じて装薬ユニット33にエア圧送される。なお、増しダイMの種類は特に限定されないが、例えば、粒状爆薬やバルクタイプの爆薬を好適に用いることができる。但し、増しダイMは粒状爆薬やバルクタイプの爆薬に限られず、薬包タイプの爆薬を採用しても良い。本実施形態においては、例示的に粒状爆薬を採用している。
装填ホース44を経由して装薬ユニット33にエア圧送された増しダイMは、取付ロッド3の連通孔341を通じて、取付ロッド3の移送路340に流入する。そして、取付ロッド34の移送路340に流入した増しダイMは、フレキシブル管35の移送路350、装填管36の移送路360を順次通過し、装填管36に挿入されることで当該装填管36に接続された保持管5の後端5Dから中空路5Eに流入する。このようにして、装填管36に接続された保持管5を通じて、発破孔2内に増しダイMが装填される(増しダイ装填工程)。
増しダイ装填工程において、保持管5の後端5Dから保持管5内(中空路5E)に流入した増しダイMは、図16に示すように、保持管5の前端側に位置する保持部5Aに向かって中空路5Eを流れてゆく。そして、保持部5A(親ダイD)に到達した増しダイMは、例えば、保持管5のスリット5Bを通じて中空路5Eから発破孔2内における間隙部2Dに排出される。そして、発破孔2の孔尻2A側が増しダイMによって充填された後は、図17に示すように増しダイMが孔口2B側に向かって発破孔2の間隙部2Dに充填されてゆく。図18は、発破孔2への増しダイMの装填が完了した状態を示している。なお、装薬ユニット33による発破孔2への装薬開始時において、発破孔2内に溜まっている残留空気は、発破孔2に圧送される増しダイMによって順次押し流され、増しダイ装填工程の過程で発破孔2の孔口2Bから外部に排出される。本実施形態における保持管5はスリット5Bが形成されているため、中空路5Eから発破孔2の間隙部2Dへと円滑に増しダイMを流出させることができる。また、保持管5は、スリット5Bに代えて、中空路5Eから発破孔2における間隙部2Dに残留空気および増しダイMを導く(流出させる)ための開口が設けられていても良い。また、保持管5の横断面形状は上記の例に限定されず、円形状以外の外形を有していても良い。但し、保持管5のスリット5Bを、保持管5の軸方向に沿って延在させることによって、保持管5における中空路5E内から発破孔2における間隙部2Dへと残留空気および増しダイMをより一層好適に導くことができる。
上記した増しダイ装填工程を経て、発破孔2への増しダイMの装填が完了すると、オペレータは、操作盤104を介してガイドセル31に沿ってドリフタ32を後方に駆動することで切羽面1から装薬ユニット33を後退させる。そして、オペレータは、次に装薬対象となる発破孔2に装填管36が対向するように穿孔・装薬用ブーム13を操作した後、当該次の発破孔2への増しダイMの装填を行う。すなわち、図5に示す各工程を装薬対象
となる発破孔2毎に繰り返し行い、切羽面1に穿孔された全ての発破孔2に対して増しダイMを装填する。なお、ドリルジャンボ10がフルオートドリルジャンボ(コンピュータドリルジャンボ)である場合には、穿孔・装薬用ブーム13、ガイドセル31、ドリフタ32等の操作をオペレータが行う代わりに、穿孔・装薬用ブーム13やドリフタ32の自動制御機能を利用して行っても良い。
以上のように、本実施形態における爆薬装填システムによれば、保持部5Aに親ダイDを装着した保持管5を、当該保持管5の後端5D側が発破孔2から外部に突出するように発破孔2に挿入し、穿孔・装薬用ブーム13、ガイドセル31、ドリフタ32等を適宜操作することによって装薬ユニット33を保持管5の後端5Dに向かって送り出し、装薬ユニット33のガイド部37におけるガイド面37Aによって保持管5の後端5Dを装填管36の接続口362にガイドすることで装填管36に保持管5を接続した後、爆薬供給装置4から装薬ユニット33に増しダイMを供給し、装填管36および保持管5を通じて増しダイMを発破孔2内に装填する。これによれば、従来の機械装填のように追加用爆薬を装填するためのパイプを発破孔2に挿入する必要が無く、装填管36を発破孔2の外側(孔口2B付近)に配置した状態で保持管5を通じて増しダイMを発破孔2内に装填することができる。その結果、増しダイMの装填作業性が非常に優れ、増しダイMを効率良く短時間で発破孔2に装填することができる。また、発破孔2への増しダイMの装填作業を作業員が切羽面1の近傍に立ち入ることなく行うことができるため、安全性も確保できる。以上より、本実施形態における爆薬装填システムおよびこれを用いた爆薬装填方法によれば、切羽面1に穿孔した発破孔2に安全かつ効率良く増しダイM(追加用爆薬)を装填することが可能となる。
また、本実施形態に係る装薬ユニット33のガイド部37は、発破孔2に挿入された状態の保持管5の後端5Dを装填管36の接続口362に向けてガイドするガイド面37Aを有している。そのため、ガイド面37Aによって保持管5の後端5Dをガイドすることにより、前送り工程を行う過程で保持管5と装填管36の中心軸同士を容易に合わせることができる。そのため、装薬ユニット初期位置合わせ工程においては、装薬ユニット33を初期位置に配置する際に発破孔2に対して装填管36のシビアな位置合わせが不要となり、作業効率がより一層優れたものとなる。特に、ガイド部37のガイド面37Aは、装填管36の接続口362から当該接続口362の前方に向かってテーパ状に拡径するため、前送り工程を行う過程で保持管5と装填管36の中心軸同士をより一層精度良く合致させることができる。また、ガイド部37と装填管36の中心軸は同軸に配置されているため、前送り工程を行う過程で保持管5と装填管36の中心軸同士をより一層精度良く合致させることができる。
更に、装薬ユニット33は、装填管36の後段にフレキシブル管35が設けられている。そのため、ガイド部37のガイド面37Aによって保持管5の後端5Dをガイドする際、保持管5と装填管36(ガイド部37)における中心同士の位置ずれ量に応じてフレキシブル管35を変形させながら、保持管5と装填管36(ガイド部37)の中心位置同士を容易に合わせることができる。なお、本実施形態においては、装填管36の後段にフレキシブル管35を接続する態様を例に説明したが、装填管36の一部に可撓性や柔軟性を有するフレキシブル部を形成しても良い。その場合、装填管36の軸方向において少なくとも接続口362よりも後方側に位置する領域にフレキシブル部を形成すると良い。
また、本実施形態における装薬ユニット33は、装填管36における接続口362の内径が保持管5の外径Ro1よりも若干大きな寸法、或いは保持管5の外径Ro1と等しい寸法に設定されているため、ガイド部37のガイド面37Aによって保持管5の後端5Dを後方開口端372までガイドした後、保持管5の後端5D側を接続口362から装填管36内に円滑に挿入させることができる。また、装薬ユニット33におけるフレキシブル
管35は、適度な柔軟性と剛性を併せ持っており、フレキシブル管35の前段に接続される装填管36およびガイド部37の姿勢を、これらの軸方向が取付ロッド34の軸方向と平行な姿勢に保持することができるため、前送り工程において、装薬ユニット33におけるガイド部37を保持管5の後端5Dに対して平行に接近させることができ、保持管5に対して装填管36を円滑に案内することができる。
以下、本実施形態における爆薬装填システムおよび爆薬装填方法の変形例について説明する。
<変形例1>
図19は、実施形態1の変形例1に係る装薬ユニット33Aにおける装填管36Aの構造を示す図である。変形例1における装填管36Aは、前端部に形成された接続口362を含む前端領域R1における内径が保持管5の外径Ro1と等しく、前端領域R1の後方に隣接する隣接領域R2における内径が保持管5の内径Ri1と等しい寸法に設定されている。以下、装填管36Aにおける内周面364のうち、前端領域R1に対応する部位を第1内周面364Aと呼び、隣接領域R2に対応する部位を第2内周面364Bと呼ぶ。装填管36Aにおける隣接領域R2は、前端領域R1に対して保持管5の肉厚分だけ内径が小さくなっている。また、装填管36Aは、第1内周面364Aおよび第2内周面364Bの境界部に段差部365が形成されている。段差部365は、保持管5の径方向に延在する壁面として形成されている。
図20は、実施形態1の変形例1に係る保持管5を示す図である。変形例1に係る保持管5は、後端5Dを含む後端領域R3には、全周に亘ってスリット5Bが形成されない円環形状(ドーナツ形状)を有する円環部5Gが形成されている。
図21は、実施形態1の変形例1に係る装薬ユニット33Aにおける装填管36Aに対する保持管5の接続が完了した状態を示す図である。変形例1における装填管36Aの段差部365は、前送り工程においてガイド面37Aによって接続口362にガイドされた保持管5が装填管36Aに挿入された際に、当該保持管5の後端5Dと当接するストッパーとして機能する。そして、上記のように、変形例1に係る装填管36Aは、前端領域R1における内径が保持管5の外径Ro1と等しく、隣接領域R2における内径が保持管5の内径Ri1と等しい寸法に設定されているため、装填管36Aに保持管5が挿入された状態において、保持管5の内周面と隣接領域R2における第2内周面364Bとの間に段差が生じなくなる(面一となる)。すなわち、装填管36Aにおける隣接領域R2と保持管5の後端5Dの境界部において、装填管36Aの後端面が移送路360内に突出していない。これによれば、爆薬供給装置4から装薬ユニット33に増しダイMを供給した際、装填管36Aの隣接領域R2から保持管5の中空路5Eへと円滑に増しダイMを供給することができる。言い換えると、爆薬供給装置4から装薬ユニット33に増しダイMを供給した際、装填管36Aの後端面に増しダイMが衝突する等して増しダイMが塊状になることを抑制し、その結果、移送路360が閉塞することを好適に抑制できる。特に、本変形例における保持管5は、後端5Dを含む後端領域R3には、全周に亘ってスリット5Bが形成されない円環部5Gが形成されているため、爆薬供給装置4から装薬ユニット33に増しダイMを供給した際に装填管36Aの後端面に増しダイMが衝突することをより一層好適に抑制できる。なお、本変形例における保持管5は、本明細書における他の実施形態および変形例にも適用することができる。
<変形例2>
図22は、実施形態1の変形例2に係る装薬ユニット33Bにおける装填管36Bの構造を示す図である。装填管36Bは、その外径が保持管5の内径Ri1以下の寸法を有している。また、装填管36Bの前端側部には、接続口362に向かってテーパ状に縮径す
る筒状の縮径部366が形成されている。また、ガイド部37は、装填管36Bの外周面367の外側を一定の間隔を明けて覆う円筒状の外筒部391とストッパー部392を含む接続部材39を介して装填管36Bに取り付けられている。接続部材39におけるストッパー部392は、装填管36Bの外周面367に沿って配置された円環状の部材である。また、接続部材39における外筒部391の内周面391Aと装填管36Bの外周面367との間には、円筒状の空洞部393が形成されている。空洞部393の径方向の厚さ寸法は、保持管5の厚さと等しいか、それよりも若干大きな寸法に設定されており、空洞部393に保持管5が挿入可能になっている。
図23は、実施形態1の変形例2に係る装填管36Bに保持管5を接続する過程を説明する図である。図23は、装薬ユニット33Bガイド部37によってガイドされた保持管5を外筒部391の内周面391Aと装填管36Bの外周面367との間に形成された空洞部393に挿入している途中の状態を示している。ここで、本変形例における装填管36Bの前端側には、テーパ筒状の縮径部366が設けられているため、空洞部393によって保持管5の後端5Dを空洞部393へと円滑に導くことができる。図23に示す符号392Aは、ストッパー部392の内面である。前送り工程において、空洞部393に挿入された保持管5の後端5Dはストッパー部392の内面392Aに当接するまで空洞部393に挿入される。そして、保持管5の後端5Dがストッパー部392の内面392Aに当接することで位置決めされ、前送り工程が完了する。なお、本変形例においても、装填管36Bに識別用部材38を設置しても良く、保持管5が空洞部393に挿入されることによって装填管36Bに保持管5が接続されたことを識別用部材38によって識別しても良い。
<実施形態2>
次に、実施形態2を説明する。図24は、実施形態2に係る装薬ユニット33Cを説明する図である。実施形態1と同様の構成については同一の参照符号を付すことでその詳しい説明を省略する。実施形態2に係る装薬ユニット33Cにおいて、フレキシブル管35は設けられていない。また、取付ロッド34Aは、ある程度の柔軟性を有する材料、例えば樹脂製の長尺ロッドである。取付ロッド34Aは、後端がドリフタ32に固定されると共に、内部に移送路340が形成されている点で実施形態1における取付ロッド34と同様である。また、取付ロッド34Aの前端には装填管36の後端口361が接続されており、取付ロッド34Aの移送路340が装填管36の移送路360に連通している。また、取付ロッド34Aと装填管36は同軸に接続されている。
上記構成の装薬ユニット33Cは、樹脂製の長尺ロッドによって形成される取付ロッド34A自体がある程度の可撓性を有しており、本発明におけるフレキシブル部を取付ロッド34Aが構成している。本実施形態においては、実施形態1の図5で説明した前送り工程において保持管5の後端5Dをガイド部37のガイド面37Aによってガイドする際、保持管5と装填管36(ガイド部37)における中心同士の位置ずれ量に応じてフレキシブル部としての取付ロッド34Aを撓らせながら保持管5と装填管36(ガイド部37)の中心位置同士を容易に合わせることができる。
<実施形態3>
次に、実施形態3を説明する。図25は、実施形態3に係る装薬ユニット33Dを説明する図である。実施形態1、2と同様の構成については同一の参照符号を付すことでその詳しい説明を省略する。上述までの実施形態においては、装薬ユニット33,33A〜33Cを、穿孔・装薬用ブーム13に設置されたガイドセル31に支持されたドリフタ32に取り付ける態様を例に説明したが、本実施形態においては装薬ユニット33Dをガイドセル31に取り付ける態様について説明する。
図25に示すように、本実施形態における装薬ユニット33Dは、ガイドセル31の先端側に取り付けられた保持具310にフレキシブル管35が固定されている。フレキシブル管35の前端側には、実施形態1と同様に装填管36が接続されている。また、フレキシブル管35の後端側には、爆薬供給装置4における装填ホース44が接続されており、装填ホース44を通じてフレキシブル管35に増しダイMが供給される構成となっている。なお、図25に示す例では、ガイドセル31に設けられたドリフタ32に対して取付ロッド34や穿孔ロッドが取り外された状態となっている。
親ダイDを装着済みの保持管5が挿入された発破孔2に対する増しダイMの充填は、穿孔・装薬用ブーム13、ガイドセル31等の操作を介して装填管36に保持管5を接続した後(接続工程)、爆薬供給装置4から装薬ユニット33Dに増しダイMを供給することで行われる。接続工程においては、例えば、穿孔・装薬用ブーム13およびガイドセル31を適宜操作することによって、装薬ユニット33Dを初期位置に配置した後、ガイドセル31を前送りする。これにより、保持管5および装填管36が偏心していたとしても、フレキシブル管35の変形を適宜伴いながら保持管5の後端5Dをガイド部37のガイド面37Aに沿って摺接させることで装填管36がガイドされ、装填管36および保持管5の円滑な接続状態が得られる。
<実施形態4>
次に、実施形態4を説明する。本実施形態においては、ドリルジャンボ10が切羽面1に対する発破孔2の穿孔を全自動制御で行うコンピュータジャンボとした場合を例に説明する。具体的には、ドリルジャンボ10は、制御コンピュータ102の記憶部に、切羽面1に対する発破孔2の発破パターン(例えば、削孔長、削孔角度、削孔順序等)に関するデータ、トンネル線形に関する3次元座標データが記憶されており、穿孔・装薬用ブーム13、ガイドセル31、ドリフタ32等を自動制御することで切羽面1に対する発破孔2の穿孔作業を全自動制御(以下、「自動削孔制御」という)で行うことができるようになっている。切羽面に対する削孔作業を発破(削孔)パターンに従って全自動で行うための制御自体については、例えば特開2017−190642号公報、特開2005−220627号公報等に記載されている通り公知であり、その詳しい説明を省略する。
本実施形態におけるドリルジャンボ10は、制御コンピュータ102の記憶部に記憶されている発破孔2の発破パターン(例えば、削孔長、削孔角度、削孔順序等)に関するデータ、トンネル線形に関する3次元座標データに基づいて、穿孔・装薬用ブーム13、ガイドセル31、ドリフタ32等をオペレータによる操作を介さずに自動制御することによって切羽面1に各発破孔2を穿孔する。また、ドリルジャンボ10の制御コンピュータ102は、自動削孔制御に際して、穿孔ロッドによる削孔時におけるガイドセル31の位置および姿勢等から、切羽面1に削孔された実際の発破孔2の削孔位置を算出し、算出した発破孔2の削孔位置を記憶しておく。なお、ガイドセル31の位置および姿勢は、ガイドセル31やドリルジャンボ10の機体に設置された視準用ターゲットをトータルステーション等の測量機器によって視準することで得られた3次元座標データ、穿孔・装薬用ブーム13やガイドセル31の各関節に取り付けられた各種センサ(例えば、回転角センサ、変位センサ、近接センサ等)の検出データ等に基づいて取得することができる。また、本実施形態におけるドリルジャンボ10は、実施形態1で説明した挿入工程の後の接続工程において制御コンピュータ102が穿孔・装薬用ブーム13、ガイドセル31を自動制御することによって装填管36に保持管5を自動で接続する自動接続制御
を行う。
ここで、図26は、実施形態4に係る装薬ユニット33Eを説明する図である。本実施形態において、上述までの実施形態と同様の構成については同一の参照符号を付すことでその詳しい説明を省略する。装薬ユニット33Eは、図24で説明した装薬ユニット33
Cにおける取付ロッド34Aと同一構造である。ここで、図26に示すように、ガイドセル31の先端側に保持具310が取り付けられており、保持具310の上面に設置された受け架台311に取付ロッド34Aが前後方向に進退動可能に支持されている。受け架台311は、例えば、正面視U字形の受け部に取付ロッド34Aを支持していても良い。本実施形態においては、保持具310の前方に嵩増し具312が取り付けられており、嵩増し具312の前方に比較的柔軟なパッド313が取り付けられている。パッド313は、例えばゴム製であっても良いが他の材料によって形成されていても良い。図26に示すように、嵩増し具312は、パッド313の前端面313Aがガイド部37の前方開口端371よりも前方に位置するような長さを有している。なお、装薬ユニット33Eにおいて、装填管36には識別用部材38は設けられていない。
自動接続制御においては、オペレータに選択された孔番号に対応する発破孔2の削孔位置へと装薬ユニット33Eが誘導されるように制御コンピュータ102が穿孔・装薬用ブーム13、ガイドセル31を自動制御(以下、「ブーム等自動誘導制御」という)する。ここで、切羽面1に削孔された発破孔2には保持管5が挿入されており、保持管5の余長部5Cが孔口2Bから突出しているため、ブーム等自動誘導制御を行う過程でガイド部37のガイド面37Aが保持管5の後端5Dに接触し、ガイド面37Aによって保持管5の後端5Dがガイドされる。
図27は、実施形態4に係る爆薬装填方法における接続工程を説明する図である。より詳しくは、図27は、ブーム等自動誘導制御によってガイドセル31を切羽面1に向かって前送りすることで、発破孔2から突出する保持管5の後端5Dをガイド部37のガイド面37Aに沿ってガイドしている状況を示している。その際、本実施形態における取付ロッド34Aは可撓性を有する長尺ロッド部材であるため、取付ロッド34Aを撓らせながら保持管5と装填管36(ガイド部37)の中心位置同士が合致する方向へのガイドが容易となる。このようにして、ガイド部37の後方開口端372までガイドされた保持管5は、装填管36との中心位置同士が合致し、接続口362から装填管36内に挿入される。
そして、図28に示すようにガイドセル31の先端に取り付けられたパッド313の前端面313Aが切羽面1(切羽縁部1A)に当接すると、その時点でブーム等自動誘導制御によるガイドセル31の前送りが停止されると共に、装填管36に保持管5を自動で接続する自動接続制御が完了する。例えば、ガイドセル31を駆動する駆動機構の作動油圧を油圧センサによって検知するように構成しておき、制御コンピュータ102は、作動油圧が所定の閾値以上になったときに、ガイドセル31に取り付けられたパッド313の切羽面1(切羽縁部1A)に対する当接(衝突)したと判定しても良い。以上のようにして、本実施形態によれば、制御コンピュータ102が穿孔・装薬用ブーム13、ガイドセル31の自動制御を行うことによって、装填管36に保持管5を自動で接続することができる。また、本実施形態においては、パッド313の前端面313Aがガイド部37の前方開口端371よりも前方に位置付けられているため、自動接続制御時にガイド部37の前方開口端371が切羽面1(切羽縁部1A)に衝突する手前でパッド313の前端面313Aを切羽面1(切羽縁部1A)に衝突させることができる。これにより、自動接続制御時にガイド部37の前方開口端371が切羽面1(切羽縁部1A)に衝突することを抑制することができる。
なお、本実施形態におけるドリルジャンボ10は、発破孔2の自動削孔制御を行う際、予め設定された仮想切羽面、各発破孔2の削孔線や孔尻位置等を設定して、各発破孔2を削孔する。従って、自動削孔制御においては、各発破孔2の孔尻2Aの位置が揃うこととなる。一方で、実際の切羽面1には凹凸があるため、各発破孔2における孔口2Bの位置は必ずしも一定とはならず、場所によってバラバラとなる。これに起因して、保持管5が
発破孔2の孔口2Bから突出する余長部5Cの突出長さLp2(図8を参照)も各発破孔2で一定とはならず、発破孔2毎にまちまちとなる。図29には、実際の切羽面1における凹凸に起因して保持管5における余長部5Cの突出長さLp2が相違する状況を説明する図である。図中上側には保持管5における余長部5Cの突出長さLp2が長いケースを示し、図中下側には保持管5における余長部5Cの突出長さLp2が短いケースを示している。なお、図29に示す仮想切羽面の位置は一例であり、仮想切羽面の設定位置は変更することができる。
ここで、本実施形態における自動接続制御においては、ガイドセル31の先端に取り付けられたパッド313が切羽面1(切羽縁部1A)に当接した時点でガイドセル31の前送りが停止されるため、保持管5における余長部5Cの突出長さLp2が長いケースと短いケースとでは、装填管36内に保持管5が挿入される挿入長さ(呑み込み長さ)が相違することになる。この点に関して、本実施形態においては、保持管5における余長部5Cの突出長さLp2がバラついていても、パッド313が切羽面1(切羽縁部1A)に当接する時点で保持管5が装填管36内に挿入されているように(保持管5の後端5Dが装填管36内に位置しているように)装填管36の長さ、保持管5の長さ、その他の各種寸法が設定されている。これにより、全ての発破孔2に対する自動接続制御において、装填管36と保持管5との好適な接続関係が得られる。
なお、上記実施形態4においては、自動接続制御を行う際にガイドセル31のパッド313が切羽面1(切羽縁部1A)に当接した時点でガイドセル31の前送りを停止させていたが、発破孔2に挿入されている保持管5の後端Dが装填管36に挿入された時点でガイドセル31の前送りを自動停止させる制御を行う変形例を採用することもできる。例えば、装填管3に対する保持管5の挿入長さが所定の長さに到達した時点でガイドセル31の前送りを自動停止させることで、自動接続制御を完了させても良い。なお、このような変形例を採用する場合、ガイド部37の前方開口端371が切羽面1(切羽縁部1A)に衝突する前にガイドセル31の前送りを自動停止させることができるため、パッド313の前端面313Aをガイド部37の前方開口端371よりも前方に位置付けさせる必要が無い。そのため、保持具310に嵩増し具312を設置せず、パッド313の前端面313Aがガイド部37の前方開口端371よりも後方に位置するように保持具310の前端に直接パッド313を取り付けても良い。なお、上記変形例に係る自動接続制御を行う際には、ガイドセル31の前送りを行う代わりに、ドリフタ32(取付ロッド34A)を前送りすることでガイド部37のガイド面37Aに沿って保持管5の後端5Dをガイドしても良い。
<実施形態5>
次に、実施形態5について説明する。図30は、実施形態5に係る装薬ユニット33Fを説明する図である。本実施形態において、上述までの実施形態と同様の構成については同一の参照符号を付すことでその詳しい説明を省略する。図30に示す装薬ユニット33Fは、装填管36に識別用部材38が設けられていない点を除いて、図25で説明した装薬ユニット33Dと同一構造となっている。そして、ガイドセル31の先端側に設けられた保持具310にフレキシブル管35が固定支持されている。また、図30に示すように、保持具310の前端には図26で説明した装薬ユニット33Eと同様、嵩増し具312およびパッド313が取り付けられており、パッド313の前端面313Aはガイド部37の前方開口端371よりも前方に位置している。
上記構成の装薬ユニット33Fにおいても、図26で説明した装薬ユニット33Eと同様、ドリルジャンボ10の制御コンピュータ102が穿孔・装薬用ブーム13、ガイドセル31の自動制御を行うことによって装填管36に保持管5を自動で接続する自動接続制御への適用が可能である。
なお、実施形態5においても、実施形態4の変形例として説明したように、ガイドセル31のパッド313を切羽面1(切羽縁部1A)に当接させるのではなく、各発破孔2における保持管5の後端Dが装填管36に挿入された時点でガイドセル31の前送りを自動停止させる制御を行うようにしても良い。勿論、当該変形例を採用する場合には、保持具310に嵩増し具312を設置せず、パッド313の前端面313Aがガイド部37の前方開口端371よりも後方に位置するように保持具310の前端に直接パッド313を取り付けても良い。
以上、本発明の実施形態および変形例を説明したが、本発明に係る爆薬装填システムおよび爆薬装填方法はこれらに限られず、可能な限りこれらを組み合わせることができる。
1・・・切羽面
2・・・発破孔
3・・・爆薬装填装置
4・・・爆薬供給装置
5・・・親ダイ保持管
10・・・ドリルジャンボ
13・・・穿孔・装薬用ブーム
31・・・ガイドセル
32・・・ドリフタ
33・・・装薬ユニット
34・・・取付ロッド
35・・・フレキシブル管
36・・・装填管
37・・・ガイド部

Claims (9)

  1. 切羽面に穿孔された発破孔に爆薬を装填する爆薬装填システムであって、
    前端側に起爆用爆薬を装着され、後端側が前記発破孔から外部に突出するように当該発破孔に挿入される保持管と、
    施工機械のブームに保持された装薬ユニットと、
    前記装薬ユニットに、発破時の爆破力を増大させるための追加用爆薬を供給する爆薬供給装置と、
    を備え、
    前記装薬ユニットは、
    内部に追加用爆薬の移送路が形成されると共に前端部に前記保持管を接続するための接続口が開口形成された筒状の装填管と、
    前記装填管に設けられると共に、前記発破孔に挿入された状態の前記保持管の後端を前記接続口に向けてガイドするガイド面を有するガイド部と、
    を有する、
    爆薬装填システム。
  2. 前記装薬ユニットは、前記装填管の軸方向において少なくとも前記接続口よりも後方側に位置する領域に形成され或いは前記装填管の後段に接続された、可撓性を有するフレキシブル部を、更に有する、請求項1に記載の爆薬装填システム。
  3. 前記装填管は、前記施工機械のブームに取り付けられたロッド部材に保持されている、請求項2に記載の爆薬装填システム。
  4. 前記フレキシブル部は、可撓性を有する前記ロッド部材によって構成され、或いは、前記ロッド部材と前記装填管との間に介在すると共に可撓性を有するフレキシブル部材によって形成されている、請求項3に記載の爆薬装填システム。
  5. 前記ガイド面は、前記接続口から当該接続口の前方に向かってテーパ状に拡径している、請求項1から4の何れか一項に記載の爆薬装填システム。
  6. 前記装填管は円筒形状を有し、前記ガイド部は前記装填管と同軸に設けられている、請求項1から5の何れか一項に記載の爆薬装填システム。
  7. 前記装填管における前記接続口の内径が前記保持管の外径と等しいか、当該保持管の外径よりも大きい、請求項1から6の何れか一項に記載の爆薬装填システム。
  8. 前記保持管は、前記発破孔内への追加用爆薬の装填時に、前記保持管の内側から発破孔内に追加用爆薬および残留空気を導く開口部を有している、請求項1から7の何れか一項に記載の爆薬装填システム。
  9. 請求項1から8の何れか一項に記載の爆薬装填システムを用いて切羽面に穿孔された発破孔に追加用爆薬を装填する爆薬装填方法であって、
    前端側に起爆用爆薬を装着した前記保持管を、当該保持管の後端側が前記発破孔から外部に突出するように当該発破孔に挿入する挿入工程と、
    前記装薬ユニットを前記保持管の後端に向かって接近させ、前記ガイド部における前記ガイド面によって前記保持管の後端を前記接続口にガイドすることで前記装填管に前記保持管を接続する接続工程と、
    前記接続工程の後、前記爆薬供給装置から前記装薬ユニットに追加用爆薬を供給し、前記装填管および前記保持管を通じて追加用爆薬を前記発破孔内に装填する充填工程と、
    を含む、爆薬装填方法。
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