[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列挙して説明する。また、以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
(1)本開示の一態様に係る車載装置は、カーシェアリング用の車両の付属品である携帯機と共に、前記車両内に載置される車載装置であって、外部装置と通信するための通信部と、前記通信部を介して受信した前記外部装置からの入力信号に基づき、制御信号を生成する制御部と、前記携帯機と接続線を介して接続され、前記制御部が生成した前記制御信号を前記携帯機に出力する出力部とを備え、前記携帯機は、前記車両のドアの開閉に関する制御を行うものであり、前記制御部は、前記通信部を介して前記外部装置から前記入力信号を受信した場合、前記入力信号に応じた前記制御信号を、前記出力部及び前記接続線を介して前記携帯機に出力する。
本態様にあっては、カーシェアリングシステムに用いる車載装置は、カーシェアリング用の車両の付属品である携帯機と共に、前記車両内に載置される。車載装置は、前記携帯機と接続線を介して接続され、前記携帯機の機能を用いて前記車両のドアの開閉に関する制御を行う。すなわち、車載装置は、自装置に特定の開閉機能を備えるものではなく、車両に付随する携帯機が予め備える開閉機能を用いて、携帯機を介して車両のドアの開閉に関する制御を行う。従って、車両に対する専門的な改造や、改造のための車両の運送等を必要とすることなく、容易に車載装置を車両に設置することができ、車載装置の導入費用、設置費用が軽減される。また、車載装置は、予め携帯機が付属品として提供される車両であれば使用が可能なため、車両の車種を限定することがなく多様な車両に対して適用することができる。このように、車載装置は簡易な構成により車両のドアの開閉に関する制御を実行する。
(2)本開示の一態様に係る車載装置は、前記制御部は、前記通信部を介して前記外部装置から前記入力信号を受信した場合、前記入力信号に係る認証処理を実行し、前記入力信号が認証されたことにより、前記制御信号を前記携帯機に出力する。
本態様にあっては、車載装置は、カーシェアリングシステムの利用者が所有する外部装置から受信した入力信号に対する認証処理を行い、入力信号が認証されたことにより携帯機に対して制御信号を出力する。従って、認証されない不正な入力信号に基づき携帯機が操作されることによる、不正なドアの開閉操作を防止することができる。
(3)本開示の一態様に係る車載装置は、前記出力部は、前記携帯機に設けられた受電部と前記接続線を介して接続され、前記制御部は、前記外部装置から前記入力信号を受信した場合、前記出力部及び前記接続線を介して前記受電部に給電する。
本態様にあっては、車載装置は、外部装置からの入力信号の受信をトリガーとして、接続線を介して接続される携帯機の受電部に給電する。従って、携帯機への給電を車載装置が制御することができる。携帯機は、電力が供給されることによりドアの開閉機能を実行することができるものであるところ、携帯機への給電を車載装置が制御することで、車載装置の制御の元、携帯機の開閉機能を実行することが可能となる。
(4)本開示の一態様に係る車載装置は、前記制御部は、前記通信部を介して前記外部装置から前記入力信号を受信した場合、前記入力信号に係る認証処理を実行し、前記入力信号が認証されたことにより、前記受電部への給電を開始する。
本態様にあっては、車載装置は、外部装置から受信した入力信号に対する認証処理を行い、入力信号が認証されたことにより携帯機の受電部に給電する。従って、認証されない不正な入力信号に基づき携帯機が操作されることによる、不正なドアの開閉操作を防止することができる。
(5)本開示の一態様に係る車載装置は、前記制御部は、前記外部装置との相互通信が切断された場合、前記受電部への給電を停止する。
本態様にあっては、車載装置は、外部装置との相互通信が切断された場合には受電部への給電を停止する。従って、外部装置が通信圏内から離脱した場合、すなわち利用者が車両から離れた場合には、携帯機への給電を停止することで、不正なドアの開閉操作を防止することができる。
(6)本開示の一態様に係る車載装置は、前記携帯機には、前記車両のドアロックを制御するドアロック部及び前記車両のドアアンロックを制御するドアアンロック部が設けられ、前記出力部は、前記携帯機に設けられた前記ドアロック部、前記ドアアンロック部及び前記受電部と、それぞれ異なる接続線を用いて接続される。
本態様にあっては、出力部は、3本の接続線を用いて携帯機のドアロック部、ドアアンロック部及び受電部に電気的に接続される。また、それぞれ異なる接続線により接続されることで、出力部は、制御信号及び電力を効率的に送信することができる。
(7)本開示の一態様に係るカーシェアリングシステムは、カーシェアリング用の車両と、前記車両の付属品である携帯機と、前記携帯機と共に前記車両内に載置される車載装置とを備え、前記車載装置は、外部装置と通信するための通信部と、前記通信部を介して受信した前記外部装置からの入力信号に基づき、制御信号を生成する制御部と、前記携帯機と接続線を介して接続され、前記制御部が生成した前記制御信号を前記携帯機に出力する出力部とを備え、前記携帯機は、前記車両のドアの開閉に関する制御を行うものであり、前記制御部は、前記通信部を介して前記外部装置から前記入力信号を受信した場合、前記入力信号に応じた前記制御信号を、前記出力部及び前記接続線を介して前記携帯機に出力する。
本態様にあっては、カーシェアリングシステムは、カーシェアリング用の車両の付属品である携帯機の機能を用いることにより、簡易な構成により車両のドアの開閉を制御することができる。
(8)本開示の一態様に係る情報処理方法は、カーシェアリング用の車両の付属品である携帯機と共に、前記車両内に載置されるコンピュータに実行させるための情報処理方法であって、前記携帯機は、前記車両のドアの開閉に関する制御を行うものであり、接続線を介して前記コンピュータに接続され、外部装置から入力信号を受信し、受信した前記入力信号に基づき、前記車両のドアの開閉に関する制御信号を生成し、生成した前記制御信号を前記携帯機に出力する処理をコンピュータに実行させる。
本態様にあっては、簡易な構成により車両のドアの開閉を制御することができる。
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の実施形態に係る車載装置の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
図1は、本実施の形態に係る車載装置1を含むカーシェアリングシステムSの構成を例示する模式図である。
カーシェアリングシステムSは、カーシェアリングシステムSに用いられる車両Cと、車両Cに搭載される車載装置1及び携帯機2と、外部装置3とを含む。外部装置3及び車両Cに搭載された車外通信装置51は、インターネット又は公衆回線網等の車外ネットワークNを介して、カーシェアリングシステムサーバ4とデータの送受信が可能である。
車載装置1は、回路基板100を備えている。回路基板100は、車載装置1の外殻を成す筐体に収納されている。車載装置1は、アンテナ15を介して、外部装置3との間で無線通信を行う。車載装置1は、例えば車両Cのインストルメントパネル、トランクルーム等の内部に設置されている。車載装置1は、内部に携帯機2を収納する収納部を備える。収納部は、例えば携帯機2の大きさ及び形状に応じて当該収納部の大きさ及び形状が可変し、内部に様々な種別の携帯機2を固定可能に構成されている。回路基板100は、例えばBT樹脂(ビスマレイミドトリアジン樹脂)、ガラスエポキシ樹脂等の樹脂材料を用いている。
携帯機2は、車両Cのドアの開閉に関する制御を行うものであり、例えばFOB(Frequency Operated Button )キーである。携帯機2は、例えば車両Cメーカーから、車両Cの付属品として車両Cと共に提供されるものである。携帯機2は、ドアの施錠のためのドアロック部22及びドアの解錠のためのドアアンロック部23(図2参照)等を備えている。携帯機2は、ドア55の開閉機能を備え、ドアロック部22又はドアアンロック部23が操作された場合、操作内容に応じた信号を車両Cへ出力することで、当該車両Cのドア55の開閉に関する制御を行うよう予め構成されている。このような携帯機2が備えるドア55の開閉機能の例としては、例えばキーレスエントリシステム機能、スマートキーシステム機能等が挙げられる。
外部装置3は、例えばスマートフォン、タブレット端末等の無線通信機能を有する可搬型のコンピュータである。外部装置3は、カーシェアリングシステムSを利用して車両Cに実際に乗車する利用者、すなわち車両Cの運転者又は同乗者等により携帯される。利用者は、例えばインターネット上でのカーシェアリングシステムサービスサイト等にてカーシェアリングシステムの利用申し込みを行う。利用申し込みがされた場合、当該利用申し込みに基づきカーシェアリングシステムサーバ4に予約レコードが追加され、当該予約レコードに関連付けられた仮想キーが生成される。外部装置3は、カーシェアリングシステムサーバ4から仮想キーを取得する。
カーシェアリングシステムサーバ4は、例えばインターネット又は公衆回線網等の車外ネットワークNに接続されているサーバ等のコンピュータである。カーシェアリングシステムサーバ4には、予約レコード及び仮想キーを含むカーシェアリングシステムサービスに関する様々な情報が保存されている。
カーシェアリングシステムSは、利用者が車両Cを利用するにあたり、車載装置1により車両Cの内部に設置された携帯機2を操作することにより、携帯機2の機能を用いて車両Cのドアを解錠又は施錠する。カーシェアリングシステムの利用者は、外部装置3を用いてカーシェアリングシステムサーバ4から車両Cの仮想キーを取得する。利用者は、車両Cのドアを開閉するにあたり、外部装置3を用いて、当該車両Cに搭載された車載装置1に仮想キーを送信する。車載装置1は、送信された仮想キーの正当性を判定し、正当である場合は携帯機2にドアの解錠又は施錠のための操作信号を送信する。携帯機2が、操作信号に基づく所定の機能を実行することにより、車両Cのドアの解錠又は施錠が行われ、ドアの開閉が可能となる。
車両Cには、車載装置1及び携帯機2に加え、車外通信装置51、中継装置52、BCM(Body Control Module)53、エンジンECU54などが搭載されている。車外通信装置51と中継装置52とは、例えばシリアルケーブル等のハーネスにより通信可能に接続されている。中継装置52は、車載装置1、BCM53及びエンジンECU54等と、CAN(Controller Area Network )又はイーサネット(Ethernet/登録商標)等の通信プロトコルに対応した車内通信線によって構成される車内LANによって通信可能に接続されている。
車外通信装置51は、車外通信部511及び入出力I/F512を含む。車外通信装置51は、3G、LTE、4G、5G、Wi−Fi等の移動体通信のプロトコルを用いて無線通信をするための通信装置である。車外通信装置51は、車外通信部511に接続されたアンテナ513を介してカーシェアリングシステムサーバ4とデータの送受信を行う。車外通信装置51とカーシェアリングシステムサーバ4との通信は、例えば公衆回線網又はインターネット等の車外ネットワークNを介して行われる。
入出力I/F512は、中継装置52と、例えばシリアル通信するための通信インターフェイスである。車外通信装置51と中継装置52とは、入出力I/F512及び入出力I/F512に接続されたシリアルケーブル等のハーネスを介して相互に通信する。本実施形態では、車外通信装置51は、中継装置52と別装置とし、入出力I/F512等によってこれら装置を通信可能に接続しているが、これに限定されない。車外通信装置51は、中継装置52の一構成部位として、中継装置52に内蔵されるものであってもよい。
中継装置52は、例えばゲートウェイであり、車両Cに搭載される車載装置1、BCM53、エンジンECU54間における通信を中継する。中継装置52は、例えばCAN又はイーサネット等の通信プロトコルを用いて、車内LANに接続されている車載装置1、BCM53及びエンジンECU54それぞれと相互に通信を行う。中継装置52は、車両C全体をコントロールするボディECUの一機能部として構成されるものであってもよい。
BCM53には、シリアルケーブル等のワイヤーハーネスにより、車両Cの左右にそれぞれ設けられたドア55,55、IG(イグニッション)スイッチ56、表示装置57などが通信可能に接続されおり、これら装備品を制御する。BCM53は、アンテナを介して、携帯機2との間でLF(Low Frequency)信号及びUHF(Ultra High Frequency)信号を用いた無線通信を実行し、携帯機2の操作信号に基づき車両Cのドア55を開閉する。
IGスイッチ56は、車両Cの起動と停止を行うためのスイッチである。IGスイッチ56がオン又はオフにされた場合、IGスイッチ56から出力された信号をBCM53が取得する。BCM53は、取得した信号に基づき、当該IGスイッチ56のオン又はオフに関する情報(IGオンの信号又はIGオフの信号)をエンジンECU54に対して送信する。エンジンECU54は、BCM53から送信されたIGスイッチ56のオン又はオフに関する情報を取得し、取得した情報に基づき所定の動作を行う。
表示装置57は、例えばカーナビゲーションのディスプレイ等のHMI(Human Machine Interface)装置である。表示装置57には、BCM53の処理部から入出力I/Fを介して出力されたデータ又は情報が表示される。
図2は、車載装置1等の構成を例示するブロック図である。車載装置1の回路基板100は、制御部10、記憶部11、第1通信部12、第2通信部13及び入出力I/F14を備える。制御部10は、プロセッサ、メモリ、記憶部及び通信部を集積した1つのハードウェア(SoC:System On a Chip)として構成されていてもよい。
制御部10は、CPU(Central Processing Unit)又はMPU(Micro Processing Unit)等の演算処理装置を用いて構成されている。制御部10は、記憶部11に記憶されたプログラム1Pを含むプログラム及びデータを読み出して実行することにより、携帯機2の機能を用いた車両Cのドアの制御に関する種々の処理を行うことができる。
記憶部11は、RAM(Random Access Memory)等の揮発性のメモリ素子又は、ROM(Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)若しくはフラッシュメモリ等の不揮発性のメモリ素子を用いて構成されている。記憶部11には、制御部10が実行するプログラム1P及び処理時に参照するデータが記憶されている。
記憶部11に記憶された上述のプログラム1Pは、車載装置1が読み取り可能な記録媒体1Aから読み出されたプログラム1Pを記憶したものであってもよい。また、図示しない通信網に接続されている図示しない外部コンピュータからプログラム1Pをダウンロードし、記憶部11に記憶させたものであってもよい。
第1通信部12は、Bluetooth(登録商標)のプロトコルを用いて無線通信をするための通信インターフェイスであり、第1通信部12に接続されたアンテナ15を介して外部装置3との間でデータの送受信を行う。第1通信部12は、例えば無線LAN(Local Area Network)、Wi−Fi(登録商標)又はZigBee(登録商標)等のBluetooth以外の通信規格に従って無線通信を行ってもよい。
第2通信部13は、例えばCAN(Controller Area Network )又はイーサネット(Ethernet/登録商標)等の通信プロトコルを用いた入出力インターフェイスである。制御部10は、第2通信部13を介して車内LANに接続されている中継装置52と相互に通信する。制御部10は、中継装置52及び車外通信装置51を介してカーシェアリングシステムサーバ4と通信を行い、外部装置3の認証に係る処理を実行する。
本実施形態において、車載装置1は第2通信部13を介して中継装置52に通信接続されるものに限定されない。例えば車載装置1は、第2通信部13として、3G、LTE、4G、5G、Wi−Fi等の通信プロトコルを用いて無線通信をするための通信インターフェイスを備えてもよい。この場合、車載装置1は、公衆回線網又はインターネット等の車外ネットワークNを介して、直接カーシェアリングシステムサーバ4とデータを送受信する。
入出力I/F14は、車載装置1と携帯機2とを接続するインターフェイスである。制御部10は、通信線61a,61b及び電力線62を含む接続線6を介して、入出力I/F14により制御信号及び電力を携帯機2へ出力する。入出力I/F14は、出力部として機能する。入出力I/F14は、通信線61aにより、携帯機2のドアロック部22と通信可能に接続される。入出力I/F14は、通信線61bにより、携帯機2のドアアンロック部23と通信可能に接続される。入出力I/F14は、電力線62により、携帯機2の受電部24と電気的に接続される。
車載装置1は、さらにUSB(Universal Serial Bus/登録商標)ケーブル等の通信ケーブルを用いた有線通信のための通信I/Fを備えるものであってよい。例えば、利用者が車両Cに乗車し、外部装置3が車両Cの内部に位置する場合においては、通信ケーブルを介して通信を行うことにより、外部装置3との通信状態を常時確認することが可能となる。また、通信ケーブルを介して車載装置1から外部装置3に電力を送信することにより、外部装置3の電力の消耗を抑制することができ、安定した通信状態が保持される。
上述の車載装置1は、例えば車両Cに搭載されるヒューズボックス等の電気配線箱(ジャンクションボックス)と接続され、当該電気配線箱から駆動電圧が印加される。なお車載装置1は、車両Cの電気配線箱に接続されるものに限定されず、例えば車両Cに搭載される外部診断装置等と接続されてもよい。また車載装置1は、車両Cと接続されることにより駆動電圧が印加されるものに限定されず、自車載装置1の内部に乾電池等の電源を備え、当該電源により駆動電圧が印加されるものであってもよい。このように車載装置1は、車両Cに載置し電源を供給することで使用が可能であるため、車両Cの改造や複雑な配策を必要とすることなく容易に車両Cへ設置することができる。
携帯機2は、上述のようにFOBキーを用いる。携帯機2は、制御部20、記憶部21、ドアロック部22、ドアアンロック部23、受電部24、LF受信部25、UHF送信部26などを含む、キーレスエントリシステム等の開閉機能を実現する各種の処理素子を備える。携帯機2は、これら各種処理素子を備える基板と、当該基板の外装を形成しているカバー部材とを備える。
制御部20は、CPU又はMPU等の演算処理装置を用いて構成されている。制御部20は、記憶部21に記憶されたプログラム及びデータを読み出して実行することにより、車両Cのドアの開閉に関する制御に係る処理を行うことができる。
記憶部21は、RAM等の揮発性のメモリ素子又は、ROM、EEPROM若しくはフラッシュメモリ等の不揮発性のメモリ素子を用いて構成されている。記憶部21には、制御部20が実行する各種のプログラム及び処理時に参照するデータが記憶されている。
ドアロック部22は、車両Cに設けられたドア55を施錠するための操作を受け付ける。ドアロック部22は、半導体スイッチを用いて構成されている。半導体スイッチのゲートは、通信線61aにより、車載装置1の入出力I/F14に接続されている。入出力I/F14から出力される制御信号に基づき半導体スイッチがオンに切り替わると、電流がドレイン及びソースを介して流れ、操作信号が出力される。制御部20は、ドアロック部22から出力される操作信号を受信した場合、BCM53に所定の信号を送信する。BCM53は、受信した信号に基づきドア55を施錠する。
ドアアンロック部23は、車両Cに設けられたドア55を解錠するための操作を受け付ける。ドアアンロック部23は、ドアロック部22と同様に、半導体スイッチを用いて構成されている。半導体スイッチのゲートは、通信線61bにより、車載装置1の入出力I/F14に接続されている。入出力I/F14から出力される制御信号に基づき半導体スイッチがオンに切り替わると、電流がドレイン及びソースを介して流れ、操作信号が出力される。制御部20は、ドアアンロック部23から出力される操作信号を受信した場合、BCM53に所定の信号を送信する。BCM53は、受信した信号に基づきドア55を解錠する。
本実施形態において、ドアロック部22及びドアアンロック部23は半導体スイッチを用いるものに限定されない。ドアロック部22及びドアアンロック部23は、その他機械式リレーを用いて構成されてもよい。
受電部24は、受電用の正極端子及び負極端子(電力端子)を用いて構成されている。車載装置1の制御部10が給電を開始すると、入出力I/F14及び電力線62を介して車載装置1から受電部24に電力が供給される。受電部24は、携帯機2の基板上に実装される各素子へ供給された電力を送出する。
通信線61a,61b及び電力線62は、例えば通信線61a,61b及び電力線62の端部を、それぞれ携帯機2のカバー部材内の基板に設けられているランドに半田付けすることにより携帯機2と接続される。通信線61a,61b及び電力線62の接続にあたり、例えば携帯機2のカバー部材に孔部を生成し、生成した孔部に通信線61a,61b及び電力線62を通すことによりカバー部材内の基板に接続してよい。又は、携帯機2は、カバー部材から基板が取外しされた状態で車載装置1の収納部に収納されることにより、基板に直接通信線61a,61b及び電力線62が接続されてもよい。
LF受信部25は、不図示のLF受信アンテナ及び受信用信号処理部を含む。LF受信部は、BCM53から送信されたLF信号を、LF受信アンテナを介して受信する。UHF送信部26は、不図示のUHF送信アンテナ及び送信用信号処理部を含む。UHF送信部は、送信用信号処理部で生成したUHF信号を、UHF送信アンテナを介してBCM53へ送信する。制御部20は、LF受信部25及びUHF送信部26を制御して、BCM53と無線通信し、BCM53に対して信号や情報の送受信を行う。なお、携帯機2とBCM53との間の通信は、LF信号及びUHF信号の2つを用いるものに限定されない。携帯機2は、いずれか1つ(例えばUHF信号)を用いてBCM53との通信を行うものであってもよい。
このようなハードウェア構成を有するカーシェアリングシステムSにて実行される処理について説明する。図3は、車両Cの利用開始処理の手順の一例を示すシーケンス図である。
カーシェアリングシステムSの利用者は、カーシェアリングシステムSの利用に際して、予めカーシェアリングシステムサービスサイト等にて、利用者の連絡先、利用する車両C、利用予定時開始時刻及び終了時刻等を入力し、カーシェアリングシステムSの利用予約を行う。カーシェアリングシステムサーバ4は、当該利用予約に基づく予約レコードを追加し、当該予約レコードに関連付けられた仮想キーを生成する。仮想キーには、例えば予約番号、利用時間、認証コード等の情報が含まれている。認証コードは、例えばワンタイムパスワード等の、利用予約に応じて毎回異なる値であり、利用開始時刻の数分前から終了時刻の数分後等、所定期間に限り有効となる値であることが望ましい。このような認証コードを含む仮想キーは、所定の暗号鍵によって暗号化されたコードとして生成されてもよい。
利用者は、カーシェアリングシステムSの利用開始前に外部装置3を用いて所定のカーシェアリングシステムアプリケーション等を起動させ、カーシェアリングシステムサーバ4へアクセスする。外部装置3は、カーシェアリングシステムサーバ4との通信を行い、予約済みの利用内容を送信することにより、利用予約に応じて生成された仮想キーを取得する(ステップS11)。
外部装置3は、所定の通信規格(例えばBluetooth)を用いた無線通信により、車載装置1へ通信確立要求を送信する(ステップS12)。この場合において、外部装置3は、通信確立要求に仮想キーの情報を付随させて送信する。車載装置1は、外部装置3からの信号を受信し、外部装置3の通信確立要求及び仮想キーを取得する(ステップS13)。すなわち、車載装置1は、外部装置3の車両Cへの接近を検知する。車載装置1は、外部装置3へ応答信号を送信し、外部装置3との間で相互通信が確立される(ステップS14)。このようにして、車載装置1と外部装置3とのペアリングが行われる。相互通信の確立後は、例えば車載装置1から外部装置3へ定常的に通信状態に係るデータの送信を行うポーリングが実行され、通信状態が保持される。
車載装置1は、取得した仮想キーの認証処理を実行し(ステップS15)、取得した仮想キーの認証コードが適正であるか否かを判定する。この場合において、車載装置1は、必要に応じて受信した仮想キーを暗号鍵を用いて復号してよい。車載装置1は、例えばカーシェアリングシステムサーバ4との通信を行うことにより、取得した認証コードが適正であるか否かの認証問い合わせを実行する。
認証コードが適正であると判定された場合、車載装置1は、電力線62を介して携帯機2の受電部24への給電処理を開始する(ステップS16)。受電部24に給電されることにより、携帯機2は、ドアロック部22及びドアアンロック部23の接続状態に応じた所定の動作が可能となる。
続いて利用者は、車両Cのドアの開閉操作を行う。カーシェアリングシステムSにおいて、利用者は車両Cのドアの開閉にあたり、外部装置3を用いて車載装置1へドア55の解錠操作要求を送信する(ステップS17)。この場合において、外部装置3は、解錠操作要求に仮想キーの情報を付随させて送信する。車載装置1は、受信した解錠操作要求と仮想キーとに基づき、仮想キーの認証処理を実行する(ステップS18)。車載装置1は、ステップS15と同様の認証処理を実行し、仮想キーの認証コードが適正であるか否かを判定する。
認証コードが適正であると判定された場合、車載装置1は、ドアアンロック部23を操作する(ステップS19)。具体的には、車載装置1は、通信線61bを介して制御信号を携帯機2のドアアンロック部23へ出力する。ドアアンロック部23は、受信した制御信号に基づき、半導体スイッチのオン操作を示す操作信号を出力する。携帯機2は、操作信号に応じて、所定のキーレスシステム機能に含まれる解錠機能を実行する(ステップS20)。
携帯機2は、解錠機能によりドアアンロック部23の操作に関するUHF信号をBCM53へ送信する。BCM53は、携帯機2からUHF信号を受信し、受信したUHF信号に基づきドア55の施解錠を制御する。これにより、ドア55が解錠され、ドアの開閉が可能となる。これらの処理は、車両Cの付属品である携帯機2に備えられる所定のキーレスシステム機能により実行されるものである。
利用者は、ドア55を開閉して車両Cに乗車する。その後運転手は、IGスイッチ56をオンにする。BCM53は、IGオンの信号を取得した場合、所定のスタート機能を実行する(ステップS21)。BCM53は、携帯機2との間でLF−UHF通信を行うことにより、ID照合を実行する。照合が成立した場合、BCM53は、IGスイッチ56のオンに関する情報をエンジンECU54に対して送信する。エンジンECU54は、BCM53から送信されたIGスイッチ56のオンに関する情報を取得し、取得した情報に基づきエンジンの始動に係る動作を行う。
このようにエンジン始動においては、BCM53と携帯機2との間で通信が行われる。携帯機2は、車載装置1との相互通信が確立されている間は常時車載装置1から給電されるため、LF受信部25及びUHF送信部26が作動しBCM53との間でLF−UHF通信が行われる。すなわち、携帯機2に車載装置1から給電されていない場合には、LF−UHF通信が行われないため、車両Cのスタート機能が実行されずエンジンが始動しない。
図4は、車両Cの利用終了処理の手順の一例を示すシーケンス図である。
利用者は、IGスイッチ56をオフにし、車両Cのエンジンを停止させる。利用者は、車両Cのドアを開閉して車両Cから降車する。降車後、利用者は、外部装置3を用いて車載装置1へドア55の施錠操作要求を送信する(ステップS31)。この場合において、外部装置3は、施錠操作要求に仮想キーの情報を付随させて送信する。車載装置1は、受信した施錠操作要求と仮想キーとに基づき、仮想キーの認証処理を実行する(ステップS32)。車載装置1は、図3のステップS15と同様の認証処理を実行し仮想キーの認証コードが適正であるか否かを判定する。
認証コードが適正であると判定された場合、車載装置1は、ドアロック部22を操作する(ステップS33)。具体的には、車載装置1は、通信線61aを介して制御信号を携帯機2のドアロック部22へ出力する。ドアロック部22は、受信した制御信号に基づき、半導体スイッチのオン操作を示す操作信号を出力する。携帯機2は、操作信号に応じて、所定のキーレスシステム機能に含まれる施錠機能を実行する(ステップS34)。
携帯機2は、施錠機能によりドアロック部22の操作に関するUHF信号をBCM53へ送信する。BCM53は、携帯機2からUHF信号を受信し、受信したUHF信号に基づきドア55の施解錠を制御する。これにより、ドア55が施錠される。これらの処理は、車両Cの付属品である携帯機2に備えられる所定のキーレスシステム機能により実行されるものである。
利用者は、車両Cの利用を終了する。利用者は、例えば外部装置3を用いて利用終了の選択(ペアリングの解除)等を入力することにより、外部装置3と車載装置1との通信を切断する。なお、利用者は利用終了の選択等を入力することなく、外部装置3を携帯した状態で車両C(車載装置1)から所定距離以上離れることにより、外部装置3と車載装置1との通信を切断するものであってもよい。すなわち、利用者の所持する外部装置3が車載装置1との通信可能範囲から離脱したことにより、外部装置3と車載装置1との相互通信が切断される。
車載装置1は、給電開始後、ポーリングを実行し定常的に外部装置3との通信状態を確認している。車載装置1は、外部装置3からのレスポンスを受信しないことにより、外部装置3との相互通信が切断されていることを検知した場合(ステップS35)、携帯機2の受電部24への給電処理を停止する(ステップS36)。これにより、外部装置3が通信範囲内から離れた場合に、車両Cに対し携帯機2から不正な操作が実行されることを防止する。
本実施形態において、外部装置3としてスマートフォンを用いる例を説明したが、これに限定されない。例えば、外部装置3はNFC(近距離無線通信)を用いた可搬型のIDカードと、車両Cに搭載される該IDカードの読取装置を含むものであってもよい。車載装置1は、読取装置を介してIDカードの情報を取得する。IDカードには、例えば仮想キーの認証コードに相当するIDコードが含まれており、車載装置1は、IDコードに基づき認証処理を実行する。利用者は、スマートフォンによる仮想キーが認証されない場合や、スマートフォンの電池切れ等の場合に、代替的にIDカードを利用することが可能となる。
図5は、車載装置1が実行する給電処理の手順の一例を示すフローチャートである。
車載装置1の制御部10は、第1通信部12により外部装置3からの入力信号を検知し、通信確立要求及び仮想キーを取得する(ステップS41)。制御部10は、取得した通信確立要求に対する応答信号を外部装置3へ送信し、外部装置3との間で相互通信を確立する(ステップS42)。上記において、制御部10は、通信確立要求と仮想キーとを、それぞれ異なるステップで取得するものであってもよい。すなわち、仮想キーは通信確立要求に付随することなく送信されてもよい。この場合、制御部10は通信確立要求を受信し、外部装置3との相互通信を確立させた後、仮想キーを受信する。
制御部10は、取得した仮想キーの認証コードが適正であるか否かを判定する認証処理を実行する(ステップS43)。制御部10は、例えば中継装置52及び車外通信装置51を介してカーシェアリングシステムサーバ4との通信を行い、取得した認証コードが適正であるか否かの問い合わせを送信する。カーシェアリングシステムサーバ4は、認証コードの判定処理を実行し、判定結果を制御部10へ送信する。制御部10は、取得した認証コードが適正であるか否かの判定結果をカーシェアリングシステムサーバ4から受信する。
認証コードが適正でないとの判定結果を受信したことにより、認証コードが適正でないと判定した場合(ステップS43:NO)、制御部10は、例えば認証コードが適正でないことを示す判定結果を外部装置3へ送信し、処理を終了する。制御部10は、認証コードが適正でないと判定された場合、外部装置3との相互通信を切断してもよい。あるいは制御部10は、認証コードが適正でないと判定された場合、処理をステップS41に戻すループ処理を行うものであってもよい。制御部10は、ループ処理を実行することにより、通信確立要求を待ち受ける待機状態を維持する。
認証コードが適正であるとの判定結果を受信したことにより、認証コードが適正であると判定した場合(ステップS43:YES)、制御部10は、電力線62を介して携帯機2の受電部24への給電処理を開始する(ステップS44)。
給電開始後、制御部10は、外部装置3へ定常的に通信状態に係るデータの送信を行い、相互通信が切断しているか否かを判定する(ステップS45)。外部装置3からのレスポンスを受信したことにより、外部装置3との相互通信が切断していないと判定した場合(ステップS45:NO)、制御部10は、処理をステップS45に戻し、ポーリングを継続する。
例えば、利用者が外部装置3を用いて利用終了の選択(ペアリングの解除)等を入力した場合、外部装置3と車載装置1とが所定距離以上離れた場合等においては、外部装置3は車載装置1との通信を終了し、レスポンスを送信しない。外部装置3からのレスポンスを受信しないことにより、外部装置3との相互通信が切断していると判定した場合(ステップS45:YES)、制御部10は、携帯機2の受電部24への給電処理を停止し(ステップS46)、一連の処理を終了する。
上述の給電処理の停止は、車両Cの利用終了時に限定されるものではなく、車両Cの利用中においても随時実行されるものである。例えば、外部装置3が電池切れなどの場合にも、車載装置1と外部装置3との相互通信が切断される。外部装置3との相互通信ができないことにより、外部装置3との相互通信が切断されていることを検知した場合、車載装置1は、携帯機2の受電部24への給電処理を停止する。なお、車両Cの利用中において給電処理を停止する場合、車載装置1は、例えばBMC53及び表示装置57を介して給電を停止することを利用者に報知する画面情報等を表示することが望ましい。利用者は、報知画面情報により、携帯機2の通信状態を確認し予期しない給電の停止を回避することができる。
上述のステップS43の認証処理において、制御部10は、カーシェアリングシステムサーバ4との通信により認証コードの適否を判定するものに限定されない。制御部10は、認証コードが適正であるか否かの判定を実行するための検証プログラムを予め記憶部11に記憶し、当該検証プログラムを読み出し、認証コードが適正であるか否かの判定処理を実行するものであってもよい。さらに、制御部10は、仮想キーが暗号化されたデータである場合には、暗号鍵を用いて受信した仮想キーを復号するとよい。複数段階の認証処理を用いることで、仮想キーのセキュリティを向上させ、不正使用を防止することができる。
また、上述のステップS43において、制御部10は、車載装置1と携帯機2との間の距離の推定値を算出し、算出した距離の推定値に応じて給電処理の可否を切り替えるものであってもよい。制御部10は、携帯機2から受信した仮想キーに係る受信信号の電波強度を測定することにより、制御部10と携帯機2との間の距離の推定値を算出する。電波強度に基づく距離の算出方法は、公知の手法を用いてよい。制御部10は、算出した推定値が所定の閾値(例えば3m)以下である場合には、給電処理を開始する。このように、車載装置1と携帯機2との距離に応じて給電処理の可否を切り替えることにより、車両Cと遠く離れた場所に位置する携帯機2との間の不正な通信接続に基づく給電を回避し、不正な携帯機2の操作を防止することができる。
図6は、車載装置1が実行するドアロック部22又はドアアンロック部23に係る操作処理の手順の一例を示すフローチャートである。図6のフローチャートに示す処理は、例えば図5のステップS44における給電処理が実行された後に、車載装置1の制御部10により行われる。制御部10は、図5のステップS45の処理に並行して、図6のフローチャートにおける処理を実行するものであってよい。
車載装置1の制御部10は、第1通信部12により、外部装置3から解錠又は施錠に係る操作要求と、仮想キーとを含む入力信号を受信する(ステップS51)。制御部10は、受信した仮想キーの認証コードが適正であるか否かを判定する認証処理を実行する(ステップS52)。制御部10は、図5のステップS43と同様の認証処理を実行してよい。
認証コードが適正でないとの判定結果をカーシェアリングシステムサーバ4から受信したことにより、仮想キーの認証コードが適正でないと判定した場合(ステップS52:NO)、制御部10は、例えば認証コードが適正でないことを示す判定結果を外部装置3へ送信し、処理を終了する。制御部10は、認証コードが適正でないと判定された場合、処理をステップS51に戻すループ処理を行うものであってもよい。制御部10は、ループ処理を実行することにより、入力信号を待ち受ける待機状態を維持する。
認証コードが適正であるとの判定結果をカーシェアリングシステムサーバ4から受信したことにより、認証コードが適正であると判定した場合(ステップS52:YES)、制御部10は、入力信号に応じた制御信号を携帯機2へ出力する(ステップS53)。具体的には、制御部10は、入力信号として解錠操作要求を受信した場合、通信線61bを介して制御信号を携帯機2のドアアンロック部23へ出力する。あるいは、制御部10は、入力信号として施錠操作要求を受信した場合には、通信線61aを介して制御信号を携帯機2のドアロック部22へ出力する。制御部10は、制御信号を出力し一連の処理を終了する。
上述のように、本カーシェアリングシステムSの車載装置1は、簡易な構成により車両Cのドアの開閉に関する制御を行う。車載装置1は、外部装置3からの入力信号に応じて、携帯機2に対する給電及び操作を行うことにより、車両Cに備えられる開閉機能を使用して車両Cのドアの開閉に関する制御を行う。車載装置1は、入力信号に対する認証処理を実行することにより、不正な使用者からの信号に基づく携帯機2への操作を回避し、車両Cのドア55の開閉を制御するとともに不正使用を防止する。
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって、制限的なものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれる。