JP2021161593A - 不織布 - Google Patents
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Abstract
【課題】フィラーを多く含有する繊維からなる不織布を提供する。【解決手段】プロピレン系樹脂(A)、オレフィン系重合体(B)、及びフィラー(C)を含有する繊維から構成される不織布であって、前記プロピレン系樹脂(A)、前記オレフィン系重合体(B)、及び前記フィラー(C)の合計100質量%中、前記オレフィン系重合体(B)の含有量が5質量%以上30質量%以下であり、前記フィラー(C)の含有量が5質量%以上60質量%以下である、不織布である。【選択図】なし
Description
本発明は、繊維から構成される不織布に関する。
不織布は、衛生材料、生活用品、産業用、フィルタ等の幅広い分野において用いられている。
不織布を構成する繊維に含まれる樹脂としては、軽量性、成形性、耐薬品性などの観点から、ポリオレフィンなどの樹脂が一般に用いられている。
また、不織布を製造する現場においては、比較的安価なフィラーを含有する樹脂組成物を原料に用いることにより、樹脂をフィラーで一部代替し、正味の樹脂使用量を抑えて、不織布の製造コストを低減させるような検討も行われている。
例えば、特許文献1には、硬質炭酸カルシウムを含有するポリオレフィン系不織布が開示されている。
特許文献1では、炭酸カルシウムなどのフィラーを含有する不織布は、フィラーの含有量が多くなるほど、繊維の糸切れの発生が増加し、紡糸ドロップの発生回数が増加するなどの紡糸性が不良となる傾向があることが示されている。
そこで、本発明は、フィラーを多く含有する繊維からなる不織布を提供することを課題とする。
本発明者らは、鋭意検討を行い、上記課題を解決し得ることを見出した。
すなわち、本発明は、次の[1]〜[11]を提供する。
[1]プロピレン系樹脂(A)、オレフィン系重合体(B)、及びフィラー(C)を含有する繊維から構成される不織布であって、前記プロピレン系樹脂(A)、前記オレフィン系重合体(B)、及び前記フィラー(C)の合計100質量%中、前記オレフィン系重合体(B)の含有量が5質量%以上30質量%以下であり、前記フィラー(C)の含有量が5質量%以上60質量%以下である、不織布。
[2]前記プロピレン系樹脂(A)、前記オレフィン系重合体(B)、及び前記フィラー(C)の合計100質量%中、前記フィラー(C)の含有量が15質量%以上である、上記[1]に記載の不織布。
[3]前記繊維の繊度が0.5〜3.5デニールである、上記[1]又は[2]に記載の不織布。
[4]前記オレフィン系重合体(B)のメルトフローレート(230℃、荷重2.16kg)が5,000g/10分以下である、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の不織布。
[5]前記オレフィン系重合体(B)のメルトフローレート(230℃、荷重2.16kg)が1,000g/10分以上である、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の不織布。
[6]前記オレフィン系重合体(B)の25℃における半結晶化時間が30秒以上である、上記[1]〜[5]のいずれかに記載の不織布。
[7]前記オレフィン系重合体(B)がプロピレン単独重合体又はプロピレン系共重合体である、上記[1]〜[6]のいずれかに記載の不織布。
[8]前記プロピレン系樹脂(A)のメルトフローレート(230℃、荷重2.16kg)が5〜100g/10分である、上記[1]〜[7]のいずれかに記載の不織布。
[9]前記プロピレン系樹脂(A)がプロピレン単独重合体である、上記[1]〜[8]のいずれかに記載の不織布。
[10]前記フィラー(C)が炭酸カルシウムである、上記[1]〜[9]のいずれかに記載の不織布。
[11]上記[1]〜[10]のいずれかに記載の不織布を含む多層不織布。
すなわち、本発明は、次の[1]〜[11]を提供する。
[1]プロピレン系樹脂(A)、オレフィン系重合体(B)、及びフィラー(C)を含有する繊維から構成される不織布であって、前記プロピレン系樹脂(A)、前記オレフィン系重合体(B)、及び前記フィラー(C)の合計100質量%中、前記オレフィン系重合体(B)の含有量が5質量%以上30質量%以下であり、前記フィラー(C)の含有量が5質量%以上60質量%以下である、不織布。
[2]前記プロピレン系樹脂(A)、前記オレフィン系重合体(B)、及び前記フィラー(C)の合計100質量%中、前記フィラー(C)の含有量が15質量%以上である、上記[1]に記載の不織布。
[3]前記繊維の繊度が0.5〜3.5デニールである、上記[1]又は[2]に記載の不織布。
[4]前記オレフィン系重合体(B)のメルトフローレート(230℃、荷重2.16kg)が5,000g/10分以下である、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の不織布。
[5]前記オレフィン系重合体(B)のメルトフローレート(230℃、荷重2.16kg)が1,000g/10分以上である、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の不織布。
[6]前記オレフィン系重合体(B)の25℃における半結晶化時間が30秒以上である、上記[1]〜[5]のいずれかに記載の不織布。
[7]前記オレフィン系重合体(B)がプロピレン単独重合体又はプロピレン系共重合体である、上記[1]〜[6]のいずれかに記載の不織布。
[8]前記プロピレン系樹脂(A)のメルトフローレート(230℃、荷重2.16kg)が5〜100g/10分である、上記[1]〜[7]のいずれかに記載の不織布。
[9]前記プロピレン系樹脂(A)がプロピレン単独重合体である、上記[1]〜[8]のいずれかに記載の不織布。
[10]前記フィラー(C)が炭酸カルシウムである、上記[1]〜[9]のいずれかに記載の不織布。
[11]上記[1]〜[10]のいずれかに記載の不織布を含む多層不織布。
本発明によれば、フィラーを多く含有する繊維からなる不織布を提供することができる。
[不織布]
本発明の不織布は、プロピレン系樹脂(A)、オレフィン系重合体(B)、及びフィラー(C)を含有する繊維から構成される。以下、不織布を構成する繊維に含有される、プロピレン系樹脂(A)、オレフィン系重合体(B)、及びフィラー(C)について詳述する。
本発明の不織布は、プロピレン系樹脂(A)、オレフィン系重合体(B)、及びフィラー(C)を含有する繊維から構成される。以下、不織布を構成する繊維に含有される、プロピレン系樹脂(A)、オレフィン系重合体(B)、及びフィラー(C)について詳述する。
<プロピレン系樹脂(A)>
プロピレン系樹脂(A)のメルトフローレート(MFR)は、繊維の紡糸性の観点から、好ましくは5g/10分以上、より好ましくは7g/10分以上、更に好ましくは10g/10分以上、より更に好ましくは20g/10分以上であり、そして、好ましくは100g/10分以下、より好ましくは85g/10分以下、更に好ましくは70g/10分以下である。
ここで、プロピレン系樹脂(A)のメルトフローレート(MFR)は、JIS K7210に準拠し、温度230℃、荷重2.16kgの条件下で測定により求められる値である。なお、当該条件下での測定が困難である場合、例えば、B型粘度などの溶融粘度の測定値を用いて算出した値を、その樹脂のメルトフローレート(MFR)の値とみなすことができる。
プロピレン系樹脂(A)のメルトフローレート(MFR)は、繊維の紡糸性の観点から、好ましくは5g/10分以上、より好ましくは7g/10分以上、更に好ましくは10g/10分以上、より更に好ましくは20g/10分以上であり、そして、好ましくは100g/10分以下、より好ましくは85g/10分以下、更に好ましくは70g/10分以下である。
ここで、プロピレン系樹脂(A)のメルトフローレート(MFR)は、JIS K7210に準拠し、温度230℃、荷重2.16kgの条件下で測定により求められる値である。なお、当該条件下での測定が困難である場合、例えば、B型粘度などの溶融粘度の測定値を用いて算出した値を、その樹脂のメルトフローレート(MFR)の値とみなすことができる。
プロピレン系樹脂(A)の融点(Tm−D)は、繊維の紡糸性の観点から、好ましくは120℃を超え、より好ましくは122℃以上、更に好ましくは125℃以上、より更に好ましくは127℃以上である。また、上限値は特に限定されないが、好ましくは180℃以下、より好ましくは170℃以下である。
ここで、プロピレン系樹脂(A)の融点(Tm−D)は、示差走査型熱量計(パーキン・エルマー社製、「DSC8500」)を用いて、試料10mgを窒素雰囲気下−40℃で5分間保持した後、10℃/分で220℃まで昇温させることにより測定される融解吸熱カーブにおいて、最も高温側に観測されるピークのピークトップを融点として求められる値である。
ここで、プロピレン系樹脂(A)の融点(Tm−D)は、示差走査型熱量計(パーキン・エルマー社製、「DSC8500」)を用いて、試料10mgを窒素雰囲気下−40℃で5分間保持した後、10℃/分で220℃まで昇温させることにより測定される融解吸熱カーブにおいて、最も高温側に観測されるピークのピークトップを融点として求められる値である。
プロピレン系樹脂(A)の25℃における半結晶化時間(ta)は、繊維の紡糸性の観点から、後述するオレフィン系重合体(B)の25℃における半結晶化時間(tb)よりも短く、具体的には、好ましくは0.01秒以上、より好ましくは0.03秒以上、更に好ましくは0.05秒以上、そして、好ましくは25秒以下、より好ましくは15秒以下、更に好ましくは10秒以下である。
半結晶化時間は、結晶化速度を表す指標であり、半結晶化時間が短いほど結晶化速度が速いことを意味する。
プロピレン系樹脂(A)の25℃における半結晶化時間(ta)は、後述するオレフィン系重合体(B)の25℃における半結晶化時間(tb)よりも短い関係が成り立つことが好ましい。
ここで、プロピレン系樹脂(A)の25℃における半結晶化時間(ta)は、FLASH DSC(メトラー・トレド(株)製)を用いて、下記の方法にて測定により求められる値である。
(1)試料を230℃で2分間加熱して融解させた後、2,000℃/秒で25℃まで冷却し、25℃での等温結晶化過程における、発熱量の時間変化を測定する。
(2)等温結晶化開始時から結晶化完了時までの発熱量の積分値を100%とした時、等温結晶化開始時から発熱量の積分値が50%となるまでの時間を半結晶化時間として求める。
半結晶化時間は、結晶化速度を表す指標であり、半結晶化時間が短いほど結晶化速度が速いことを意味する。
プロピレン系樹脂(A)の25℃における半結晶化時間(ta)は、後述するオレフィン系重合体(B)の25℃における半結晶化時間(tb)よりも短い関係が成り立つことが好ましい。
ここで、プロピレン系樹脂(A)の25℃における半結晶化時間(ta)は、FLASH DSC(メトラー・トレド(株)製)を用いて、下記の方法にて測定により求められる値である。
(1)試料を230℃で2分間加熱して融解させた後、2,000℃/秒で25℃まで冷却し、25℃での等温結晶化過程における、発熱量の時間変化を測定する。
(2)等温結晶化開始時から結晶化完了時までの発熱量の積分値を100%とした時、等温結晶化開始時から発熱量の積分値が50%となるまでの時間を半結晶化時間として求める。
プロピレン系樹脂(A)は、プロピレン単独重合体であっても、プロピレン系共重合体であってもよいが、好ましくはプロピレン単独重合体である。
プロピレン系樹脂(A)がプロピレン系共重合体である場合、プロピレン構成単位は、プロピレン系共重合体中、50モル%を超え、好ましくは60モル%以上、より好ましくは70モル%以上、更に好ましくは90モル%以上含む。
プロピレン系樹脂(A)がプロピレン系共重合体である場合、プロピレン構成単位は、プロピレン系共重合体中、50モル%を超え、好ましくは60モル%以上、より好ましくは70モル%以上、更に好ましくは90モル%以上含む。
また、プロピレン系樹脂(A)は、初期弾性率が500〜2,000MPaであることが好ましく、600〜2,000MPaであることがより好ましく、700〜1,800MPaであることがさらに好ましい。本明細書中における初期弾性率とは、以下の測定方法により測定されたものである。
[初期弾性率の測定方法]
厚さ1mmのプレスシートを作成した。得られたプレスシートから、JIS K7113(2002年)−2号1/2に準じた試験片をサンプリングした。引張試験機((株)島津製作所製、オートグラフAG−I)を用いて、初期長L0を40mmに設定し、引張速度100mm/分で伸張し、伸張過程でのひずみと荷重を測定し、下記式から初期弾性率を算出した。
初期弾性率(N)=ひずみ5%の荷重(N)/0.05
[初期弾性率の測定方法]
厚さ1mmのプレスシートを作成した。得られたプレスシートから、JIS K7113(2002年)−2号1/2に準じた試験片をサンプリングした。引張試験機((株)島津製作所製、オートグラフAG−I)を用いて、初期長L0を40mmに設定し、引張速度100mm/分で伸張し、伸張過程でのひずみと荷重を測定し、下記式から初期弾性率を算出した。
初期弾性率(N)=ひずみ5%の荷重(N)/0.05
プロピレン系樹脂(A)の市販品としては、日本ポリプロ(株)製の「NOVATEC(登録商標) PP」シリーズ(例えば「NOVATEC SA03」、「NOVATEC SA04」);ExxonMobil Chemical社製の「ExxonMobil(登録商標) ポリプロピレン」シリーズ(例えば「PP3155」)、及び「Achieve」(登録商標)シリーズ(例えば「Advanced 3854」);(株)プライムポリマー製の「プライムポリプロ」(登録商標)シリーズ(例えば「Y2005GP」、「S119」);Borealis社製の「HG475FB」;大連石化社製の「PPH−Y35X」;China Polymer社製の「H39S」;Shanghai SECCO Petrochemical社製の「SECCO S2040」;Lyondell Basell社製の「Metocene」(登録商標)シリーズ(例えば「MF650Y」)、及び「Moplen」(登録商標)シリーズ(例えば「RP261S」、「HP561R」、「HP562T」、「HP563T」);SABIC社製の「PP511A」;Orpic社製の「Luban」シリーズ(例えば「Luban HP5101R」、及び「Luban HP5101SC」);等を用いることができる。
プロピレン系樹脂(A)の含有量は、繊維の紡糸性の観点から、プロピレン系樹脂(A)、オレフィン系重合体(B)、及びフィラー(C)の合計100質量%中、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上、更に好ましくは20質量%以上、そして、好ましくは90質量%以下、より好ましくは85質量%以下、更に好ましくは80質量%以下である。
<オレフィン系重合体(B)>
本発明の不織布は、オレフィン系重合体(B)を含むことで、該不織布の製造時(溶融紡糸時)において、糸切れの発生を抑制することができる。すなわち、オレフィン系重合体(B)を含むことで、プロピレン系樹脂(A)、オレフィン系重合体(B)、及びフィラー(C)を含有する組成物の紡糸性が向上する。紡糸性の向上には、組成物中の樹脂成分の流動性が向上すること、及び、後述するように、組成物中の樹脂成分の半結晶化時間が、プロピレン系樹脂(A)の半結晶化時間よりも長くなることが、それぞれ寄与しているものと推定される。
本発明の不織布は、オレフィン系重合体(B)を含むことで、該不織布の製造時(溶融紡糸時)において、糸切れの発生を抑制することができる。すなわち、オレフィン系重合体(B)を含むことで、プロピレン系樹脂(A)、オレフィン系重合体(B)、及びフィラー(C)を含有する組成物の紡糸性が向上する。紡糸性の向上には、組成物中の樹脂成分の流動性が向上すること、及び、後述するように、組成物中の樹脂成分の半結晶化時間が、プロピレン系樹脂(A)の半結晶化時間よりも長くなることが、それぞれ寄与しているものと推定される。
オレフィン系重合体(B)のメルトフローレート(MFR)は、繊維の紡糸性の観点から、好ましくは5g/10分以上、より好ましくは30g/10分以上、更に好ましくは100g/10分以上、より更に好ましくは1,000g/10分以上であり、そして、好ましくは5,000g/10分以下、より好ましくは4,000g/10分以下、更に好ましくは3,000g/10分以下である。
ここで、オレフィン系重合体(B)のメルトフローレート(MFR)は、前述のプロピレン系樹脂(A)と同様の方法で測定により求められる値である。
ここで、オレフィン系重合体(B)のメルトフローレート(MFR)は、前述のプロピレン系樹脂(A)と同様の方法で測定により求められる値である。
オレフィン系重合体(B)の融点(Tm−D)は、繊維の紡糸性の観点から、好ましくは120℃以下、より好ましくは100℃以下、更に好ましくは90℃以下であり、そして、好ましくは0℃以上、より好ましくは30℃以上、更に好ましくは60℃以上である。
ここで、オレフィン系重合体(B)の融点(Tm−D)は、前述のプロピレン系樹脂(A)と同様の方法で測定により求められる値である。
ここで、オレフィン系重合体(B)の融点(Tm−D)は、前述のプロピレン系樹脂(A)と同様の方法で測定により求められる値である。
オレフィン系重合体(B)の融解吸熱量(ΔH−D)は、繊維の紡糸性、及び繊維表面のべたつき抑制の観点から、好ましくは0J/g以上、より好ましくは20J/g以上、更に好ましくは25J/g以上、より更に好ましくは27J/g以上、更に好ましくは30J/g以上であり、そして、好ましくは80J/g以下、より好ましくは50J/g以下、更に好ましくは45J/g以下、より更に好ましくは40J/g以下である。
ここで、オレフィン系重合体(B)の融解吸熱量(ΔH−D)は、示差走査型熱量計(パーキン・エルマー社製、「DSC8500」)を用いて、試料10mgを窒素雰囲気下−40℃で5分間保持した後、10℃/分で220℃まで昇温させることにより測定される融解吸熱カーブにおいて、低温側の熱量変化が無い点αと高温側の熱量変化が無い点βとを結んだ線をベースラインとし、点αと点βの区間におけるDSC曲線とベースラインとで囲まれる面積として求められる値である。
なお、融解吸熱量(ΔH−D)は、モノマー濃度、反応圧力を適宜調整することで制御することができる。
ここで、オレフィン系重合体(B)の融解吸熱量(ΔH−D)は、示差走査型熱量計(パーキン・エルマー社製、「DSC8500」)を用いて、試料10mgを窒素雰囲気下−40℃で5分間保持した後、10℃/分で220℃まで昇温させることにより測定される融解吸熱カーブにおいて、低温側の熱量変化が無い点αと高温側の熱量変化が無い点βとを結んだ線をベースラインとし、点αと点βの区間におけるDSC曲線とベースラインとで囲まれる面積として求められる値である。
なお、融解吸熱量(ΔH−D)は、モノマー濃度、反応圧力を適宜調整することで制御することができる。
オレフィン系重合体(B)の25℃における半結晶化時間(tb)は、繊維の紡糸性の観点から、好ましくは30秒以上、より好ましくは1分以上、更に好ましくは5分以上、そして、好ましくは30分以下、より好ましくは40分以下、更に好ましくは50分以下である。
オレフィン系重合体(B)の25℃における半結晶化時間(tb)は、前述したプロピレン系樹脂(A)の25℃における半結晶化時間(ta)よりも長い関係が成り立つことが好ましい。
ここで、オレフィン系重合体(B)の25℃における半結晶化時間(tb)は、前述のプロピレン系樹脂(A)と同様の方法で測定により求められる値である。
オレフィン系重合体(B)の25℃における半結晶化時間(tb)は、前述したプロピレン系樹脂(A)の25℃における半結晶化時間(ta)よりも長い関係が成り立つことが好ましい。
ここで、オレフィン系重合体(B)の25℃における半結晶化時間(tb)は、前述のプロピレン系樹脂(A)と同様の方法で測定により求められる値である。
オレフィン系重合体(B)及び前述のプロピレン系樹脂(A)の混合物の25℃における半結晶化時間(ta+b)と、前述のプロピレン系樹脂(A)の25℃における半結晶化時間(ta)との間には下記の関係が成り立つことが好ましい。
すなわち、半結晶化時間(ta+b)は、繊維の紡糸性の観点から、半結晶化時間(ta)の好ましくは1.2〜2.0倍、より好ましくは1.2〜1.9倍、更に好ましくは1.3〜1.9倍である関係が成り立つ。
半結晶化時間(ta+b)が、半結晶化時間(ta)の1.2倍未満の場合、ノズルから吐出された溶融樹脂が早々に結晶化してしまい、結果として繊維の糸切れが発生し易くなるおそれがある。
一方、半結晶化時間(ta+b)が、半結晶化時間(ta)の2.0倍を超える場合、ノズルから吐出された溶融樹脂が結晶化し難いことから、繊維表面がべたつき易く、不織布の製造が困難になるおそれがある。
すなわち、半結晶化時間(ta+b)は、繊維の紡糸性の観点から、半結晶化時間(ta)の好ましくは1.2〜2.0倍、より好ましくは1.2〜1.9倍、更に好ましくは1.3〜1.9倍である関係が成り立つ。
半結晶化時間(ta+b)が、半結晶化時間(ta)の1.2倍未満の場合、ノズルから吐出された溶融樹脂が早々に結晶化してしまい、結果として繊維の糸切れが発生し易くなるおそれがある。
一方、半結晶化時間(ta+b)が、半結晶化時間(ta)の2.0倍を超える場合、ノズルから吐出された溶融樹脂が結晶化し難いことから、繊維表面がべたつき易く、不織布の製造が困難になるおそれがある。
オレフィン系重合体(B)は、単独重合体であっても、共重合体であってもよいが、繊維の紡糸性及びプロピレン系樹脂(A)との相溶性の観点から、好ましくはプロピレン単独重合体又はプロピレン系共重合体である。
オレフィン系重合体(B)がプロピレン系共重合体である場合、プロピレン構成単位は、プロピレン系共重合体中、50モル%を超え、好ましくは60モル%以上、より好ましくは70モル%以上、更に好ましくは90モル%以上、より更に好ましくは95モル%以上含む。
また、オレフィン系重合体(B)がプロピレン系共重合体である場合、プロピレンと共重合可能なモノマーとしては、エチレン、及び炭素数4〜30のα−オレフィンからなる群より選ばれる少なくとも1つであることが好ましく、具体例としては、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、及び1−デセンなどが挙げられる。そして、エチレン、及び炭素数4〜30のα−オレフィンからなる群より選ばれる少なくとも1つの構成単位は、プロピレン系共重合体中、好ましくは0モル%を超え20モル%以下含む。
また、オレフィン系重合体(B)がプロピレン系共重合体である場合、プロピレンと共重合可能なモノマーとしては、エチレン、及び炭素数4〜30のα−オレフィンからなる群より選ばれる少なくとも1つであることが好ましく、具体例としては、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、及び1−デセンなどが挙げられる。そして、エチレン、及び炭素数4〜30のα−オレフィンからなる群より選ばれる少なくとも1つの構成単位は、プロピレン系共重合体中、好ましくは0モル%を超え20モル%以下含む。
オレフィン系重合体(B)がプロピレン単独重合体である場合、プロピレン単独重合体のメソペンタッド分率[mmmm]は、繊維の紡糸性の観点から、好ましくは20モル%以上、より好ましくは30モル%以上、更に好ましくは40モル%以上であり、そして、好ましくは60モル%以下、より好ましくは55モル%以下、更に好ましくは50モル%以下である。
メソペンタッド分率[mmmm]は、プロピレン単独重合体の立体規則性を表す指標であり、メソペンタッド分率[mmmm]が大きいほど、立体規則性が高いことを意味する。
ここで、オレフィン系重合体(B)のメソペンタッド分率[mmmm]は、エイ・ザンベリ(A.Zambelli)等により「Macromolecules,6,925(1973)」で提案された方法に準拠し、13C−NMRスペクトルのメチル基のシグナルにより測定されるポリプロピレン分子鎖中のペンタッド単位でのメソ分率として求められる値である。
メソペンタッド分率[mmmm]は、プロピレン単独重合体の立体規則性を表す指標であり、メソペンタッド分率[mmmm]が大きいほど、立体規則性が高いことを意味する。
ここで、オレフィン系重合体(B)のメソペンタッド分率[mmmm]は、エイ・ザンベリ(A.Zambelli)等により「Macromolecules,6,925(1973)」で提案された方法に準拠し、13C−NMRスペクトルのメチル基のシグナルにより測定されるポリプロピレン分子鎖中のペンタッド単位でのメソ分率として求められる値である。
オレフィン系重合体(B)の重量平均分子量(Mw)は、繊維の紡糸性の観点から、好ましくは30,000以上、より好ましくは35,000以上、更に好ましくは40,000以上であり、そして、好ましくは200,000以下、より好ましくは150,000以下である。
オレフィン系重合体(B)の分子量分布(Mw/Mn)は、繊維表面のべたつきを抑制する観点から、好ましくは1.5以上、より好ましくは1.8以上であり、そして、好ましくは3.5以下、より好ましくは3.0以下、更に好ましくは2.5以下である。
ここで、オレフィン系重合体(B)の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、下記に示すGPC装置を用いて、下記に示す条件で測定し、ゲルパーミエイションクロマトグラフィ(GPC)法により求められる値である。また、オレフィン系重合体(B)の分子量分布(Mw/Mn)は、重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)の値から算出により求められる値である。
<GPC装置>
機器 :東ソー(株)製「HLC8321GPC/HT」
検出器 :RI検出器
カラム :東ソー(株)製「TOSOH GMHHR−H(S)HT」×2本
<測定条件>
溶媒 :1,2,4−トリクロロベンゼン
測定温度 :145℃
流速 :1.0mL/分
試料濃度 :0.5mg/mL
注入量 :300μL
検量線 :PS標準物質を用いて作製
分子量換算 :Universal Calibration法を用いて換算
αPS:0.707、κPS:0.00121、αPP:0.750、κPP:0.0137
解析プログラム:8321GPC−WS
<GPC装置>
機器 :東ソー(株)製「HLC8321GPC/HT」
検出器 :RI検出器
カラム :東ソー(株)製「TOSOH GMHHR−H(S)HT」×2本
<測定条件>
溶媒 :1,2,4−トリクロロベンゼン
測定温度 :145℃
流速 :1.0mL/分
試料濃度 :0.5mg/mL
注入量 :300μL
検量線 :PS標準物質を用いて作製
分子量換算 :Universal Calibration法を用いて換算
αPS:0.707、κPS:0.00121、αPP:0.750、κPP:0.0137
解析プログラム:8321GPC−WS
(オレフィン系重合体(B)の製造方法)
オレフィン系重合体(B)は、例えば、国際公開第2003/087172号に記載されているようなメタロセン系触媒を用いて製造することができる。特に、配位子が架橋基を介して架橋構造を形成している遷移金属化合物を用いたものが好ましく、中でも、2個の架橋基を介して架橋構造を形成している遷移金属化合物と助触媒を組み合わせて得られるメタロセン系触媒が好ましい。
オレフィン系重合体(B)は、例えば、国際公開第2003/087172号に記載されているようなメタロセン系触媒を用いて製造することができる。特に、配位子が架橋基を介して架橋構造を形成している遷移金属化合物を用いたものが好ましく、中でも、2個の架橋基を介して架橋構造を形成している遷移金属化合物と助触媒を組み合わせて得られるメタロセン系触媒が好ましい。
オレフィン系重合体(B)の市販品のうち、プロピレン単独重合体の市販品としては、出光興産(株)製の「L−MODU」(登録商標)(例えば「S400」、「S401」、「S600」、「S901」)等を用いることができ、プロピレン系共重合体の市販品としてDow Chemical社製の「Versify」(登録商標)シリーズ;ExxonMobil Chemical社製の「Vistamaxx」(登録商標)シリーズ、及び「Linxar」シリーズ;Clariant社製の「Licocene」(登録商標)シリーズ;Lyondell Basell社製の「Adflex」シリーズ等を用いることができる。
オレフィン系重合体(B)の含有量は、プロピレン系樹脂(A)、オレフィン系重合体(B)、及びフィラー(C)の合計100質量%中、5質量%以上であり、好ましくは6質量%以上、より好ましくは8質量%以上、そして、30質量%以下であり、好ましくは28質量%以下、より好ましくは25質量%以下である。
オレフィン系重合体(B)の含有量が、プロピレン系樹脂(A)、オレフィン系重合体(B)、及びフィラー(C)の合計100質量%中、5質量%未満の場合、繊維の糸切れが発生し、不織布を製造することができないおそれがある。
一方、オレフィン系重合体(B)の含有量が、プロピレン系樹脂(A)、オレフィン系重合体(B)、及びフィラー(C)の合計100質量%中、30質量%を超える場合、繊維表面がべたつくため、紡糸性に欠くおそれがある。
オレフィン系重合体(B)の含有量が、プロピレン系樹脂(A)、オレフィン系重合体(B)、及びフィラー(C)の合計100質量%中、5質量%未満の場合、繊維の糸切れが発生し、不織布を製造することができないおそれがある。
一方、オレフィン系重合体(B)の含有量が、プロピレン系樹脂(A)、オレフィン系重合体(B)、及びフィラー(C)の合計100質量%中、30質量%を超える場合、繊維表面がべたつくため、紡糸性に欠くおそれがある。
本発明の不織布を構成する繊維中の、プロピレン系樹脂(A)とオレフィン系重合体(B)との質量比は、繊維の紡糸性の観点から、好ましくは3:1〜9:1、より好ましくは4:1〜8:1、更に好ましくは4.5:1〜7.5:1である。
<フィラー(C)>
フィラー(C)としては、特に限定されず、無機系フィラーであっても、有機系フィラーであってもよい。なお、フィラー(C)は、2種以上のフィラーを組み合わせて用いてもよい。
フィラー(C)としては、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム等の炭酸塩;硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸バリウム等の硫酸塩;塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム等の塩化物;酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、シリカ(二酸化ケイ素)等の酸化物;タルク、クレー(粘土)、マイカ等のケイ酸塩;カーボンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、フラーレン、グラフェン等のナノ炭素材料;等が挙げられる。
フィラー(C)は、目的に応じて選択することができる。例えば、製造コストの削減を目的とする場合は、炭酸カルシウム、タルク、シリカ、クレー(粘土)等を用いることができる。また、繊維の着色を目的とする場合は、酸化チタン、カーボンブラック等を用いることができる。
フィラー(C)としては、特に限定されず、無機系フィラーであっても、有機系フィラーであってもよい。なお、フィラー(C)は、2種以上のフィラーを組み合わせて用いてもよい。
フィラー(C)としては、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム等の炭酸塩;硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸バリウム等の硫酸塩;塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム等の塩化物;酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、シリカ(二酸化ケイ素)等の酸化物;タルク、クレー(粘土)、マイカ等のケイ酸塩;カーボンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、フラーレン、グラフェン等のナノ炭素材料;等が挙げられる。
フィラー(C)は、目的に応じて選択することができる。例えば、製造コストの削減を目的とする場合は、炭酸カルシウム、タルク、シリカ、クレー(粘土)等を用いることができる。また、繊維の着色を目的とする場合は、酸化チタン、カーボンブラック等を用いることができる。
フィラー(C)の形状は、特に限定されず、例えば、粒状であっても、粉状であっても、繊維状であってもよい。
また、フィラー(C)の大きさは、繊維の繊度(繊維直径)を超えないものであれば特に限定されない。例えば、繊維の繊度が3.5デニール以下であって、形状が粒状又は粉状のフィラー(C)を用いる場合、平均粒径が10μm以下のものを用いることができる。フィラー(C)の平均粒径が繊維の繊度よりも小さいことにより、フィラー(C)が繊維から突出するおそれが少なく、繊維の紡糸性や外観への影響も少ない。
ここで、フィラー(C)の平均粒径は、具体的には実施例に記載の方法で測定できる。
また、フィラー(C)の大きさは、繊維の繊度(繊維直径)を超えないものであれば特に限定されない。例えば、繊維の繊度が3.5デニール以下であって、形状が粒状又は粉状のフィラー(C)を用いる場合、平均粒径が10μm以下のものを用いることができる。フィラー(C)の平均粒径が繊維の繊度よりも小さいことにより、フィラー(C)が繊維から突出するおそれが少なく、繊維の紡糸性や外観への影響も少ない。
ここで、フィラー(C)の平均粒径は、具体的には実施例に記載の方法で測定できる。
なお、フィラー(C)は、扱いの容易性の観点から、所定の割合で樹脂と混合したマスターバッチの形態で用いてもよい。
フィラー(C)の含有量は、プロピレン系樹脂(A)、オレフィン系重合体(B)、及びフィラー(C)の合計100質量%中、5質量%以上であり、好ましくは7質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上、そして、60質量%以下であり、好ましくは55質量%以下、より好ましくは50質量%以下、更に好ましくは45質量%以下である。
フィラー(C)の含有量が、プロピレン系樹脂(A)、オレフィン系重合体(B)、及びフィラー(C)の合計100質量%中、60質量%を超える場合、繊維の紡糸性が悪化し、糸切れ等が生じるおそれがある。
フィラー(C)の含有量が、プロピレン系樹脂(A)、オレフィン系重合体(B)、及びフィラー(C)の合計100質量%中、60質量%を超える場合、繊維の紡糸性が悪化し、糸切れ等が生じるおそれがある。
本発明の不織布を構成する繊維中の、オレフィン系重合体(B)とフィラー(C)は、それぞれの含有量の範囲を超えない範囲において、それぞれの質量比((B)/(C))が1/12〜6/1の範囲内にあることが好ましく、1/12〜2/1の範囲内にあることがより好ましい。オレフィン系重合体(B)とフィラー(C)との質量比がこの範囲内にある場合、優れた紡糸性が得られる。
<スリップ剤(D)>
また、本発明の不織布は、プロピレン系樹脂(A)と、オレフィン系重合体(B)と、フィラー(C)のほか、さらにスリップ剤(D)を含有する繊維から構成されていてもよい。
スリップ剤(D)としては、一般にスリップ剤としての機能を有するものであれば、特に限定されず、例えば、アミド、ワックス、フルオロ化合物、脂肪酸、脂肪酸誘導体等が挙げられ、中でも、脂肪酸誘導体が好ましい。
脂肪酸誘導体としては、例えば、脂肪酸アミド、脂肪酸エステル、脂肪酸塩等が挙げられ、中でも、脂肪酸アミドが好ましい。
脂肪酸アミドは、脂肪酸とアンモニア又はアミン含有化合物(例えば第一級アミン基又は第二級アミン基を含む化合物)との反応から誘導される化合物である。
脂肪酸アミドを構成する脂肪酸の炭素数は、好ましくは8〜28、より好ましくは12〜18である。なお、脂肪酸アミドを構成する脂肪酸は、不飽和脂肪酸であっても飽和脂肪酸であってもよい。
脂肪酸としては、例えば、パルミチン酸(ヘキサデカン酸)(C16)、オレイン酸(シス‐9‐オクタデセン酸)(C18)、ステアリン酸(オクタデカン酸)(C18)、アラキジン酸(イコサン酸)(C20)、エルカ酸(シス‐13‐ドコセン酸)(C22)、ベヘン酸(ドコサン酸)(C22)等が挙げられる。
アミン含有化合物としては、例えば、脂肪族アミン(例えば、ステアリルアミン、オレイルアミン)、エチレンジアミン、2,2’−イミノジエタノール、1,1’−イミノジプロパン−2−オール等が挙げられる。
脂肪酸アミドとしては、具体的に、エルカ酸アミド、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド等が挙げられる。
スリップ剤(D)の含有量は、本発明の効果を阻害しない範囲で、スリップ剤の効果を発現させる観点から、プロピレン系樹脂(A)、オレフィン系重合体(B)、及びフィラー(C)の合計100質量部に対して、通常、5質量部以下であり、好ましくは0.01〜3質量部、より好ましくは0.05〜2質量部、更に好ましくは0.08〜1質量部である。
また、本発明の不織布は、プロピレン系樹脂(A)と、オレフィン系重合体(B)と、フィラー(C)のほか、さらにスリップ剤(D)を含有する繊維から構成されていてもよい。
スリップ剤(D)としては、一般にスリップ剤としての機能を有するものであれば、特に限定されず、例えば、アミド、ワックス、フルオロ化合物、脂肪酸、脂肪酸誘導体等が挙げられ、中でも、脂肪酸誘導体が好ましい。
脂肪酸誘導体としては、例えば、脂肪酸アミド、脂肪酸エステル、脂肪酸塩等が挙げられ、中でも、脂肪酸アミドが好ましい。
脂肪酸アミドは、脂肪酸とアンモニア又はアミン含有化合物(例えば第一級アミン基又は第二級アミン基を含む化合物)との反応から誘導される化合物である。
脂肪酸アミドを構成する脂肪酸の炭素数は、好ましくは8〜28、より好ましくは12〜18である。なお、脂肪酸アミドを構成する脂肪酸は、不飽和脂肪酸であっても飽和脂肪酸であってもよい。
脂肪酸としては、例えば、パルミチン酸(ヘキサデカン酸)(C16)、オレイン酸(シス‐9‐オクタデセン酸)(C18)、ステアリン酸(オクタデカン酸)(C18)、アラキジン酸(イコサン酸)(C20)、エルカ酸(シス‐13‐ドコセン酸)(C22)、ベヘン酸(ドコサン酸)(C22)等が挙げられる。
アミン含有化合物としては、例えば、脂肪族アミン(例えば、ステアリルアミン、オレイルアミン)、エチレンジアミン、2,2’−イミノジエタノール、1,1’−イミノジプロパン−2−オール等が挙げられる。
脂肪酸アミドとしては、具体的に、エルカ酸アミド、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド等が挙げられる。
スリップ剤(D)の含有量は、本発明の効果を阻害しない範囲で、スリップ剤の効果を発現させる観点から、プロピレン系樹脂(A)、オレフィン系重合体(B)、及びフィラー(C)の合計100質量部に対して、通常、5質量部以下であり、好ましくは0.01〜3質量部、より好ましくは0.05〜2質量部、更に好ましくは0.08〜1質量部である。
<各種添加剤>
本発明の不織布に含まれる繊維を構成する樹脂組成物には、発泡剤、結晶核剤、耐侯安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、離型剤、難燃剤、合成油、電気的性質改良剤、スリップ防止剤、アンチブロッキング剤、粘度調整剤、着色防止剤、防曇剤、可塑剤、軟化剤、老化防止剤、塩酸吸収剤、塩素捕捉剤、酸化防止剤、粘着防止剤等の添加剤を、必要に応じて含有してもよい。
本発明の不織布に含まれる繊維を構成する樹脂組成物には、発泡剤、結晶核剤、耐侯安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、離型剤、難燃剤、合成油、電気的性質改良剤、スリップ防止剤、アンチブロッキング剤、粘度調整剤、着色防止剤、防曇剤、可塑剤、軟化剤、老化防止剤、塩酸吸収剤、塩素捕捉剤、酸化防止剤、粘着防止剤等の添加剤を、必要に応じて含有してもよい。
<繊度(繊維直径)>
本発明の不織布を構成する繊維の繊度(繊維直径)は、紡糸可能な条件であれば特に限定されないが、例えば、0.5〜10デニールの範囲が挙げられる。繊維の繊度(繊維直径)は、不織布に柔軟性を付与したいような場合、3.5デニール以下が好ましく、2.5デニール以下がより好ましく、2.0デニール以下が更に好ましい。そして、製造の容易性の観点からは、0.5デニール以上が好ましく、1.0デニール以上がより好ましく、1.1デニール以上が更に好ましく、1.2デニール以上がより更に好ましい。
ここで、繊維の繊度(繊維直径)は、具体的には実施例に記載の方法で測定できる。
本発明の不織布を構成する繊維の繊度(繊維直径)は、紡糸可能な条件であれば特に限定されないが、例えば、0.5〜10デニールの範囲が挙げられる。繊維の繊度(繊維直径)は、不織布に柔軟性を付与したいような場合、3.5デニール以下が好ましく、2.5デニール以下がより好ましく、2.0デニール以下が更に好ましい。そして、製造の容易性の観点からは、0.5デニール以上が好ましく、1.0デニール以上がより好ましく、1.1デニール以上が更に好ましく、1.2デニール以上がより更に好ましい。
ここで、繊維の繊度(繊維直径)は、具体的には実施例に記載の方法で測定できる。
<繊維の形態>
本発明の不織布を構成する繊維は、1成分からなる単一繊維であっても、2成分以上からなる複合繊維であってもよい。
また、不織布を構成する繊維が複合繊維である場合、例えば、特定の成分にオレフィン系重合体(B)を含み、他の特定の成分にフィラー(C)を含むことができる。例えば、2成分からなる複合繊維の場合、一方の成分にプロピレン系樹脂(A)及びオレフィン系重合体(B)を含み、他方の成分にプロピレン系樹脂(A)及びフィラー(C)を含むような構成をとってもよい。なお、一方の成分に含まれるプロピレン系樹脂(A)と他方の成分に含まれるプロピレン系樹脂(A)とは、同じであっても異なっていてもよい。2成分からなる複合繊維としては、芯鞘型複合繊維やサイドバイサイド型複合繊維などが挙げられる。
本発明の不織布を構成する繊維は、1成分からなる単一繊維であっても、2成分以上からなる複合繊維であってもよい。
また、不織布を構成する繊維が複合繊維である場合、例えば、特定の成分にオレフィン系重合体(B)を含み、他の特定の成分にフィラー(C)を含むことができる。例えば、2成分からなる複合繊維の場合、一方の成分にプロピレン系樹脂(A)及びオレフィン系重合体(B)を含み、他方の成分にプロピレン系樹脂(A)及びフィラー(C)を含むような構成をとってもよい。なお、一方の成分に含まれるプロピレン系樹脂(A)と他方の成分に含まれるプロピレン系樹脂(A)とは、同じであっても異なっていてもよい。2成分からなる複合繊維としては、芯鞘型複合繊維やサイドバイサイド型複合繊維などが挙げられる。
<不織布の製造方法>
本発明の不織布の製造方法は、特に限定されず、従来公知の方法を採用することができる。
例えば、スパンボンド法を用いる場合であって、本発明の不織布を構成する繊維が単一繊維であるとき、プロピレン系樹脂(A)、オレフィン系重合体(B)、及びフィラー(C)を含む原料を溶融混錬した樹脂組成物を用いて不織布を製造することができる。具体的には、所定のノズル径を有するノズルを用い、溶融させた樹脂組成物を押し出すことで溶融状の繊維を得る。次に、ノズルから押し出された溶融状の繊維を冷却し、高速の空気流で繊維を延伸する。そして、延伸された繊維は細孔形成ベルト上で収集させてウェブを形成する。その後、ウェブを圧縮ロールに通過させ、続いて加熱カレンダーロール間に通し、1つのロール上の盛り上がり部分がウェブの5%〜40%程度の面積を含む部分で結合させることで、不織布を得る。
本発明の不織布の製造方法は、特に限定されず、従来公知の方法を採用することができる。
例えば、スパンボンド法を用いる場合であって、本発明の不織布を構成する繊維が単一繊維であるとき、プロピレン系樹脂(A)、オレフィン系重合体(B)、及びフィラー(C)を含む原料を溶融混錬した樹脂組成物を用いて不織布を製造することができる。具体的には、所定のノズル径を有するノズルを用い、溶融させた樹脂組成物を押し出すことで溶融状の繊維を得る。次に、ノズルから押し出された溶融状の繊維を冷却し、高速の空気流で繊維を延伸する。そして、延伸された繊維は細孔形成ベルト上で収集させてウェブを形成する。その後、ウェブを圧縮ロールに通過させ、続いて加熱カレンダーロール間に通し、1つのロール上の盛り上がり部分がウェブの5%〜40%程度の面積を含む部分で結合させることで、不織布を得る。
本発明の不織布を構成する繊維が複合繊維である場合は、少なくとも2種類の樹脂組成物を用いることになる。この場合、各樹脂組成物を、別々の押出機を用いて、例えば米国特許第3,671,379号明細書に開示されるようなノズルに、溶融押し出しして繊維を形成する。このような特殊なノズルを用いることによって、別々の押出機から押し出された各樹脂組成物は合着され、少なくとも2成分からなる複合繊維を得ることができる。その他の工程については、単一繊維の場合と同様である。
<不織布の形態>
本発明の不織布の形態は、単層不織布であっても、2層以上積層してなる多層不織布であってもよい。多層不織布である場合、少なくとも一層が本発明の不織布であることが好ましい。また、それ以外の層に用いる不織布は、特に限定されないが、スパンボンド法、メルトブロー法、スパンレース法、カード法等の公知の製法によって得られる不織布を用いることができる。
本発明の不織布の形態は、単層不織布であっても、2層以上積層してなる多層不織布であってもよい。多層不織布である場合、少なくとも一層が本発明の不織布であることが好ましい。また、それ以外の層に用いる不織布は、特に限定されないが、スパンボンド法、メルトブロー法、スパンレース法、カード法等の公知の製法によって得られる不織布を用いることができる。
次に実施例を挙げて本発明をより詳しく説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(実施例1)
プロピレン系樹脂(A1)70質量%、オレフィン系重合体(B1)10質量%及びフィラー(C1)20質量%を混錬することにより、樹脂組成物を得た。
ギヤポンプを有する単軸押出機を用いて樹脂温度230℃で前記樹脂組成物を溶融押出し、ノズル径0.6mmのノズル(孔数1,795ホール)より、単孔吐出量0.4g/min/holeの速度で溶融樹脂を吐出させて紡糸した。紡糸により得られた繊維を12.5℃、0.6m/secの冷却風速度で冷却しながら、ノズル下でエジェクターにより1.5kg/cm2の圧力で吸引して、60m/minのライン速度で移動しているネット面に繊維を積層した。
ネット面に積層された繊維束を135℃に加熱したカレンダーロールで、ニップ圧40N/mmでエンボス加工し、引取りロールに巻き取り、目付が20gsmのスパンボンド不織布を得た。
プロピレン系樹脂(A1)70質量%、オレフィン系重合体(B1)10質量%及びフィラー(C1)20質量%を混錬することにより、樹脂組成物を得た。
ギヤポンプを有する単軸押出機を用いて樹脂温度230℃で前記樹脂組成物を溶融押出し、ノズル径0.6mmのノズル(孔数1,795ホール)より、単孔吐出量0.4g/min/holeの速度で溶融樹脂を吐出させて紡糸した。紡糸により得られた繊維を12.5℃、0.6m/secの冷却風速度で冷却しながら、ノズル下でエジェクターにより1.5kg/cm2の圧力で吸引して、60m/minのライン速度で移動しているネット面に繊維を積層した。
ネット面に積層された繊維束を135℃に加熱したカレンダーロールで、ニップ圧40N/mmでエンボス加工し、引取りロールに巻き取り、目付が20gsmのスパンボンド不織布を得た。
(実施例2)
プロピレン系樹脂(A1)50質量%、オレフィン系重合体(B1)10質量%、及びフィラー(C1)40質量%を混錬して、樹脂組成物を調製した以外は、実施例1と同様の条件でスパンボンド不織布を製造し、目付が20gsmのスパンボンド不織布を得た。
プロピレン系樹脂(A1)50質量%、オレフィン系重合体(B1)10質量%、及びフィラー(C1)40質量%を混錬して、樹脂組成物を調製した以外は、実施例1と同様の条件でスパンボンド不織布を製造し、目付が20gsmのスパンボンド不織布を得た。
(比較例1)
プロピレン系樹脂(A1)80質量%及びフィラー(C1)20質量%を混錬して、樹脂組成物を調製した以外は、実施例1と同様の条件としたが、糸切れが発生し、不織布を得ることができなかった。
プロピレン系樹脂(A1)80質量%及びフィラー(C1)20質量%を混錬して、樹脂組成物を調製した以外は、実施例1と同様の条件としたが、糸切れが発生し、不織布を得ることができなかった。
(比較例2)
プロピレン系樹脂(A1)80質量%及びフィラー(C1)20質量%を混錬して、樹脂組成物を得た。
ギヤポンプを有する単軸押出機を用いて樹脂温度230℃で前記樹脂組成物を溶融押出し、ノズル径0.6mmのノズル(孔数1,795ホール)より、単孔吐出量0.4g/min/holeの速度で溶融樹脂を吐出させて紡糸した。紡糸により得られた繊維を12.5℃、0.6m/secの冷却風速度で冷却しながら、ノズル下でエジェクターにより1.0kg/cm2の圧力で吸引して、60m/minのライン速度で移動しているネット面に繊維を積層した。
ネット面に積層された繊維束を135℃に加熱したカレンダーロールで、ニップ圧40N/mmでエンボス加工し、引取りロールに巻き取り、目付が20gsmのスパンボンド不織布を得た。
プロピレン系樹脂(A1)80質量%及びフィラー(C1)20質量%を混錬して、樹脂組成物を得た。
ギヤポンプを有する単軸押出機を用いて樹脂温度230℃で前記樹脂組成物を溶融押出し、ノズル径0.6mmのノズル(孔数1,795ホール)より、単孔吐出量0.4g/min/holeの速度で溶融樹脂を吐出させて紡糸した。紡糸により得られた繊維を12.5℃、0.6m/secの冷却風速度で冷却しながら、ノズル下でエジェクターにより1.0kg/cm2の圧力で吸引して、60m/minのライン速度で移動しているネット面に繊維を積層した。
ネット面に積層された繊維束を135℃に加熱したカレンダーロールで、ニップ圧40N/mmでエンボス加工し、引取りロールに巻き取り、目付が20gsmのスパンボンド不織布を得た。
各実施例及び比較例により得られた不織布の繊維の繊度及び柔軟性の評価は、下記の測定方法により行い、その結果を表1に示した。
〔繊度(繊維直径)〕
得られた不織布中の繊維を、走査型電子顕微鏡を用いて観察し、無作為に選んだ100本の繊維直径の平均値(d)を測定し、樹脂の密度(ρ=900,000g/m3)を用いて、不織布サンプルの繊度を下記式から計算した。
繊度(デニール)=ρ×π×(d/2)2×9,000
得られた不織布中の繊維を、走査型電子顕微鏡を用いて観察し、無作為に選んだ100本の繊維直径の平均値(d)を測定し、樹脂の密度(ρ=900,000g/m3)を用いて、不織布サンプルの繊度を下記式から計算した。
繊度(デニール)=ρ×π×(d/2)2×9,000
〔ハンドロメーター試験〕
得られた不織布から、長さ200mm×幅200mmの試験片を作製した。該試験片を幅1/4インチのスリット上にスリットと直角となるようにセットし、試験片の辺から67mm(試験片幅の1/3)の位置をペネトレーターのブレードにて8mm押し込んだ。この時の抵抗値を測定し試験片の柔軟度を評価した。
この測定方法の特徴は、試験片が試験台上で若干スリップし、それによって発生する摩擦力と押し込み時の抵抗力(柔軟度)の複合された力が計測されることである。測定により得られた抵抗値の値が小さい程、不織布の柔軟性が良好であることを示す。
得られた不織布から、長さ200mm×幅200mmの試験片を作製した。該試験片を幅1/4インチのスリット上にスリットと直角となるようにセットし、試験片の辺から67mm(試験片幅の1/3)の位置をペネトレーターのブレードにて8mm押し込んだ。この時の抵抗値を測定し試験片の柔軟度を評価した。
この測定方法の特徴は、試験片が試験台上で若干スリップし、それによって発生する摩擦力と押し込み時の抵抗力(柔軟度)の複合された力が計測されることである。測定により得られた抵抗値の値が小さい程、不織布の柔軟性が良好であることを示す。
表1に示した各組成の詳細は下記のとおりである。
<プロピレン系樹脂(A)>
プロピレン系樹脂(A1):「NOVATEC SA03」(日本ポリプロ(株)製、MFR:30g/10分、融点(Tm−D):160℃、25℃における半結晶化時間(ta):0.07秒)
なお、プロピレン系樹脂(A1)のMFR、融点(Tm−D)、及び半結晶化時間(ta)は、前述の測定方法にて測定により求めた。
<オレフィン系重合体(B)>
オレフィン系重合体(B1):「L−MODU S400」(出光興産(株)製、MFR:2,600g/10分、融点(Tm−D):80℃、25℃における半結晶化時間(tb):21分)
なお、オレフィン系重合体(B1)の半結晶化時間(tb)は、前述の測定方法にて測定により求めた。
<フィラー(C)>
フィラー(C1):「カルペットA」(日東粉化工業(株)製、炭酸カルシウムマスターバッチ(炭酸カルシウム:樹脂(ポリオレフィン)=80:20(質量比))、炭酸カルシウムの平均粒径:2.1μm)
なお、炭酸カルシウムの平均粒径は、以下の方法にて測定により求めた。
<プロピレン系樹脂(A)>
プロピレン系樹脂(A1):「NOVATEC SA03」(日本ポリプロ(株)製、MFR:30g/10分、融点(Tm−D):160℃、25℃における半結晶化時間(ta):0.07秒)
なお、プロピレン系樹脂(A1)のMFR、融点(Tm−D)、及び半結晶化時間(ta)は、前述の測定方法にて測定により求めた。
<オレフィン系重合体(B)>
オレフィン系重合体(B1):「L−MODU S400」(出光興産(株)製、MFR:2,600g/10分、融点(Tm−D):80℃、25℃における半結晶化時間(tb):21分)
なお、オレフィン系重合体(B1)の半結晶化時間(tb)は、前述の測定方法にて測定により求めた。
<フィラー(C)>
フィラー(C1):「カルペットA」(日東粉化工業(株)製、炭酸カルシウムマスターバッチ(炭酸カルシウム:樹脂(ポリオレフィン)=80:20(質量比))、炭酸カルシウムの平均粒径:2.1μm)
なお、炭酸カルシウムの平均粒径は、以下の方法にて測定により求めた。
〔炭酸カルシウムの平均粒径〕
ミクロトームを用いて、厚さが50μm以下になるように炭酸カルシウムマスターバッチの薄片を作成した。作成した薄片をスライドガラスに乗せ、280℃に加熱したホットプレート上で30分素焼きを行った。その後、ピンセットを用いて薄片を砕き、光学顕微鏡(倍率:1,000倍)を用いて画像を撮影した。画像内に確認された炭酸カルシウムの粒子を無作為に100個選出し、その長軸を粒径の値としてそれぞれ測定し、平均値(平均粒径)を算出した。
ミクロトームを用いて、厚さが50μm以下になるように炭酸カルシウムマスターバッチの薄片を作成した。作成した薄片をスライドガラスに乗せ、280℃に加熱したホットプレート上で30分素焼きを行った。その後、ピンセットを用いて薄片を砕き、光学顕微鏡(倍率:1,000倍)を用いて画像を撮影した。画像内に確認された炭酸カルシウムの粒子を無作為に100個選出し、その長軸を粒径の値としてそれぞれ測定し、平均値(平均粒径)を算出した。
本発明によれば、フィラーを多く含有する場合であっても、繊度の小さい、柔軟な不織布を得ることができる。また、フィラーを多く含有させることにより、不織布中の樹脂成分の総量を減らすことができるため、本発明によって提供された不織布は、環境に配慮した繊維製品に用いることができるものと期待される。加えて、本発明によって提供された不織布は、繊度が小さいため、地合の均一性にも優れることが期待される。
本発明の不織布は、繊維製品として特に制限はされないが、例えば、衛生材料、及び非衛生材料の用途に利用でき、例えば、使い捨ておむつ用部材、おむつカバー用伸縮性部材、生理用品用伸縮性部材、衛生製品用伸縮性部材、伸縮性テープ、絆創膏、衣料用伸縮性部材、衣料用絶縁材、衣料用保温材、防護服、帽子、マスク、手袋、サポーター、伸縮性包帯、湿布剤の基布、スベリ止め基布、振動吸収材、指サック、クリーンルーム用エアフィルター、エレクトレット加工を施したエレクトレットフィルター、セパレーター、断熱材、コーヒーバッグ、食品包装材料、自動車用天井表皮材、防音材、クッション材、スピーカー防塵材、エアクリーナー材、インシュレーター表皮、バッキング材、接着不織布シート、ドアトリム等の各種自動車用部材、複写機のクリーニング材等の各種クリーニング材、カーペットの表材や裏材、農業捲布、木材ドレーン、スポーツシューズ表皮等の靴用部材、かばん用部材、工業用シール材、ワイピング材及びシーツなどの用途に利用することができる。また、本発明の不織布を利用する繊維製品は、樹脂の使用量が従来よりも抑えられているため、環境に配慮した製品であるといえる。
Claims (11)
- プロピレン系樹脂(A)、オレフィン系重合体(B)、及びフィラー(C)を含有する繊維から構成される不織布であって、
前記プロピレン系樹脂(A)、前記オレフィン系重合体(B)、及び前記フィラー(C)の合計100質量%中、前記オレフィン系重合体(B)の含有量が5質量%以上30質量%以下であり、前記フィラー(C)の含有量が5質量%以上60質量%以下である、不織布。 - 前記プロピレン系樹脂(A)、前記オレフィン系重合体(B)、及び前記フィラー(C)の合計100質量%中、前記フィラー(C)の含有量が15質量%以上である、請求項1に記載の不織布。
- 前記繊維の繊度が0.5〜3.5デニールである、請求項1又は2に記載の不織布。
- 前記オレフィン系重合体(B)のメルトフローレート(230℃、荷重2.16kg)が5,000g/10分以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の不織布。
- 前記オレフィン系重合体(B)のメルトフローレート(230℃、荷重2.16kg)が1,000g/10分以上である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の不織布。
- 前記オレフィン系重合体(B)の25℃における半結晶化時間が30秒以上である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の不織布。
- 前記オレフィン系重合体(B)がプロピレン単独重合体又はプロピレン系共重合体である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の不織布。
- 前記プロピレン系樹脂(A)のメルトフローレート(230℃、荷重2.16kg)が5〜100g/10分である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の不織布。
- 前記プロピレン系樹脂(A)がプロピレン単独重合体である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の不織布。
- 前記フィラー(C)が炭酸カルシウムである、請求項1〜9のいずれか一項に記載の不織布。
- 請求項1〜10のいずれか一項に記載の不織布を含む多層不織布。
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2021
- 2021-03-15 JP JP2021041742A patent/JP2021161593A/ja active Pending
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