JP2021161501A - 成膜装置及びセラミックス膜の製造方法 - Google Patents

成膜装置及びセラミックス膜の製造方法 Download PDF

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Katsumi Higaki
久男 大西
Hisao Onishi
満秋 越後
Mitsuaki Echigo
忠幸 曽木
Tadayuki Sogi
享平 真鍋
Kyohei Manabe
純 明渡
Jun Aketo
倫太郎 青柳
Rintaro Aoyagi
健太郎 篠田
Kentaro Shinoda
弘樹 津田
Hiroki Tsuda
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Abstract

【課題】セラミックス原料粉の付着効率を高めることができる成膜装置を提供する。【解決手段】エアロゾル発生部6と、ノズル10と、搬送ガス送給管S2を有する搬送ガス送給手段15と、加速ガス送給管S3を有する加速ガス送給手段20と、加熱手段23とを備え、搬送ガス送給管S2は、その噴出端がノズル10内に位置し、且つ噴出端から噴出された搬送ガスの流線がノズル10の噴出端に至るまで直線状となるようにノズル10に接続され、加速ガス送給管S3は、その噴出端がノズル10内における搬送ガス送給管S2の噴出端の近傍に位置し、且つ噴出端から噴出された加速ガスの流線と搬送ガスの流線とが衝突するようにノズル10に接続されている。【選択図】図1

Description

本発明は、基材上に膜を形成する成膜装置及びこれを用いたセラミックス膜の製造方法に関する。
焼結のような高温での熱処理を経ることなく、金属酸化物材料からなる厚膜を基材上に形成する方法として、エアロゾルデポジション法(AD法)と呼ばれる手法がある。このAD法は、金属酸化物などの微粒子からなる原料粉を、ノズルから音速程度でセラミックスやプラスチックなどの基材に向けて噴射し、原料粉が基材に衝突する際のエネルギーによって微粒子を破砕・変形させることで、基材上に緻密な膜を形成する方法である。
例えば、特許文献1に記載された方法では、平均粒子径が50nm以上1μm以下であって、非球状の不定形な脆性材料微粒子を原料粉として用いることで、緻密且つ強固な結合をもつ膜を形成することができる。
また、この種のAD法では、原料粉の単位時間当たりの送給重量に対する、緻密な膜として形成される原料粉の重量の割合(付着効率ともいう)が低いという点が実用上の課題として知られている。
特許文献2には、付着効率の向上を図るために、ノズル先端の温度をノズルに導入されるエアロゾルの温度よりも高くする方法が提案されており、この方法によれば、形成速度を向上させることができるとされている。
一方、AD法と同じく、原料粉をノズルから基材に向けて噴射することで、基材上に緻密な膜を形成する方法としては、例えば、特許文献3に開示されているようなコールドスプレー法と呼ばれる手法がある。
コールドスプレー法で使用するコールドスプレー装置では、ガス源から供給される高圧ガスが2つの経路に分岐し、一方の経路を流通する高圧ガスはガス加熱器を経て室温以上且つ原料粉の融点又は軟化温度よりも低い温度に加熱された後、作動ガス供給孔に供給され、他方の経路を流通する高圧ガスは粉末供給装置に供給され、キャリアガスとして原料粉とともに粉末供給孔に供給される。作動ガス供給孔からノズルの入り口に供給された高圧ガスは、先細部やのど部を経て末広部にわたり、膨張、圧力低下、速度上昇して最終的に超音速流となり、この超音速流となった高圧ガスがノズルの出口に向けて直線状に送給される途中で粉末供給孔から原料粉がキャリアガスとともに供給され、超音速流となった高圧ガスとともに原料粉がノズルの出口から噴出される(特許文献3参照)。
一般に、コールドスプレー法において使用される原料粉は、ZnやCu、Al、Cr、Ni、Mo、Fe、Nb、Tiなどの金属や合金である場合が多いが、例えば、特許文献4には、セラミックス原料粉を用いてコールドスプレー法によりセラミックス皮膜を形成する方法が開示されている。
特開2013−73855号公報 特許第3812660号公報 特許第4310251号公報 特許第5345419号公報
上記特許文献2には、ノズル先端の温度が50〜150℃となるように加熱手段を制御して、ノズル先端の温度をノズルに導入されるエアロゾルの温度よりも高くすることで、膜の形成速度を向上させることができるとされている。しかしながら、ノズル先端の温度を50〜150℃程度にするだけでは、加熱していない場合と比較して形成速度の十分な向上を図ることができず、原料粉の歩留まりの低さも相俟って実用上十分な付着効率を達成することができない。
また、コールドスプレー法では、超音速流となった高圧ガスがノズルの出口に向けて直線状に送給される途中で原料粉が供給されるようになっている。そのため、超音速流となった高圧ガス中への原料粉の分散性が問題となり、膜組織の均一性に改善の余地がある他、原料粉によっては、原料粉自体が堆積する効果よりも粒子自体が既に成膜された部分を削り取る効果(ブラスト効果)が上回り、実用的な付着効率を得ることが困難であった。
本発明は以上の実情に鑑みなされたものであり、セラミックス原料粉の付着効率を高めることができる成膜装置及びこの成膜装置を用いたセラミックス膜の製造方法の提供を、その目的とする。
上記目的を達成するための本発明に係る成膜装置の特徴構成は、
基材が保持される保持部を有し、内部が所定圧力以下に減圧される処理室と、
一次粒子の粒度分布が調整されたセラミックス原料粉を分散させたエアロゾルを発生させるエアロゾル発生部と、
噴出端が前記保持部と対向するように前記処理室内に配設されたノズルと、
前記ノズルに接続した搬送ガス送給管を有し、前記エアロゾル発生部を経由して前記ノズルの前記噴出端まで搬送ガスを送給する搬送ガス送給手段と、
前記ノズルに接続した加速ガス送給管を有し、前記ノズル内を流通する前記搬送ガスに合流するように加速ガスを送給する加速ガス送給手段と、
前記加速ガス送給管に設けられ、前記加速ガス送給管内を流通する前記加速ガスを加熱する加熱手段とを備え、
前記搬送ガス送給管は、その噴出端が前記ノズル内に位置し、且つ当該噴出端から噴出された前記搬送ガスの流線が前記ノズルの前記噴出端に至るまで直線状となるように前記ノズルに接続され、
前記加速ガス送給管は、その噴出端が前記ノズル内における前記搬送ガス送給管の前記噴出端の近傍に位置し、且つ当該噴出端から噴出された前記加速ガスの流線と前記搬送ガスの流線とが衝突するように前記ノズルに接続された点にある。
上記特徴構成によれば、加速ガス送給管の噴出端から噴出された加速ガスの流線と搬送ガスの流線とが衝突するようになっていることで、従来のAD法に用いられていた装置では実現することのできなかった速度域でセラミックス原料粉を加速し、当該セラミックス原料粉の飛翔速度を向上させることができる。そのため、緻密な膜として形成される、セラミックス原料粉の量を増加させることができる。
また、搬送ガス送給管が、その噴出端から噴出された搬送ガスの流線がノズルの噴出端に至るまで直線状となるようにノズルに接続されていることで、ノズルの流路断面内におけるセラミックス原料粉の濃度の偏りを抑えることができ、ノズルの内壁面へのセラミックス原料粉の付着を抑えることができる。
更に、加速ガス送給手段によって送給する加速ガスの流量や圧力を制御することによって、加速後のセラミックス原料粉の飛翔速度を調整することができる。
したがって、上記特徴構成を備えた成膜装置によれば、ノズル内壁面へのセラミックス原料粉の付着を抑えつつ、緻密な膜として形成されるセラミックス原料粉の量を増やすことができるため、セラミックス原料粉の付着効率を高めることができる。更に、セラミックス原料粉の飛翔速度を調整することができるため、膜の密度を当該膜の用途に応じて制御することが可能である。
また、本発明に係る成膜装置の更なる特徴構成は、前記加速ガス送給手段は、前記加速ガス送給管内の圧力が400kPaG以上となるように前記加速ガスを送給する点にある。
本願発明者は、加速ガス送給管内の圧力が400kPaG以上である場合に、特に付着効率の向上を図ることができることを見出した。即ち、上記特徴構成によれば、ノズル内における搬送ガスとの合流部近傍での加速ガスの流速を、付着効率が十分に向上する程度の飛翔速度となるようにセラミックス原料粉を加速できるような速度域まで高速化できるため、付着効率の向上を図ることができる。
また、本発明に係る成膜装置の更なる特徴構成は、前記加速ガス送給管は、当該加速ガス送給管における前記噴出端と前記加熱手段との間にオリフィス部が形成されている点にある。
上記特徴構成によれば、加速ガス送給管内を流通する加速ガスの流量を大きくすることなく、オリフィス部を通過した膨張部での加速ガスの流速を高速化することができる。したがって、より高速度域でセラミックス原料粉を加速し、当該セラミックス原料粉の飛翔速度をより向上させることができる。よって、緻密な膜として形成されるセラミックス原料粉の量をより増加させることができ、付着効率の更なる向上を図ることができる。
また、本発明に係る成膜装置の更なる特徴構成は、前記加速ガス送給手段は、前記オリフィス部の上流側における前記加速ガス送給管内の圧力が600kPaG以上となるように前記加速ガスを送給する点にある。
上記特徴構成によれば、オリフィス部を通過した膨張域での加速ガスの流速が音速を越えることが可能となる。したがって、従来のAD法に用いられていた装置では実現することのできなかった超高速度域でセラミックス原料粉を加速し、セラミックス原料粉の飛翔速度を向上させることができ、付着効率の更なる向上を図ることができる。
また、本発明に係る成膜装置の更なる特徴構成は、前記加熱手段は、前記ノズルの前記噴出端でのガス温度が300℃以上700℃未満となるように、前記加速ガス送給管内を流通する前記加速ガスを加熱する点にある。
ノズルの噴出端でのガス温度が300℃未満である場合には、セラミックス原料粉が衝突した際のエネルギーを大きくして付着効率を向上させるという点で若干不十分であり、700℃以上であるには、形成された膜中の多孔質領域が大きくなって膜の強度が不足し、膜が剥離するという問題が発生する虞がある。しかしながら、上記特徴構成によれば、セラミックス原料粉が衝突した際のエネルギーを十分に大きくでき、付着効率の向上を図ることができる。
上記目的を達成するための本発明に係るセラミックス膜の製造方法の特徴構成は、5μm以上の前記一次粒子が体積比において4%未満となるように粒度分布を調整した前記セラミックス原料粉を用いて、上記成膜装置によりセラミックス膜を製造する点にある。
一次粒子の粒度分布が、5μm以上の一次粒子が体積比において4%以上である場合、セラミックス原料粉によるブラストが発生して膜が形成できなかったり、十分な付着効率を達成できなかったりする場合がある。しかしながら、上記特徴構成によれば、十分な付着効率を達成した上でセラミックス膜を製造することができる。
また、本発明に係るセラミックス膜の製造方法の特徴構成は、前記セラミックス原料粉に安定化ジルコニアを用いて、上記成膜装置によりセラミックス膜を製造する点にある。
本願発明者は、一次粒子の粒度分布が調整されたセラミックス原料粉として安定化ジルコニアを用いてセラミックス膜を製造した際に、付着効率の顕著な向上がみられることを実験的に確認している。
本実施形態に係る成膜装置の構成を示す図である。 本実施形態に係る成膜装置における各部の位置関係を説明するための図である。
以下、図面を参照して本発明の一実施形態に係る成膜装置1について説明する。
〔成膜装置について〕
図1に示すように、本実施形態に係る成膜装置1は、処理室2、エアロゾル発生部6、ノズル10、搬送ガス送給手段15、加速ガス送給手段20及び加熱手段としてのヒーター23を備える。
処理室2は、気密状の筐体である。処理室2内は、排気設備としてのメカニカルブースターポンプ3及び真空ポンプ4によって気体が排出されることにより、所定圧力(例えば、0.5kPa程度)以下に減圧される。また、処理室2内には、成膜処理が施される基材Kが保持される保持部5や、ノズル10が配設されている。
エアロゾル発生部6は、一次粒子の粒度分布が調整されたセラミックス原料粉を分散させたエアロゾルを発生させる装置である。本実施形態において、エアロゾル発生部6には、原料供給管S1を介して原料粉供給部7が接続されている。また、エアロゾル発生部6には、後述する搬送ガス送給管S2を介してノズル10が接続されている。そして、エアロゾル発生部6では、原料粉供給部7から一定速度で供給されるセラミックス原料粉と、搬送ガス送給手段15によって送給される搬送ガスとを混合したエアロゾルが発生する。この発生したエアロゾルは、搬送ガス送給管S2を通してノズル10に送給される。尚、原料粉供給部7からエアロゾル発生部6へと供給されるセラミックス原料粉の供給速度は、速くすることで目標とする厚みを有した膜を形成するのに要する時間を短くできるが、供給速度が速すぎると、原料粉の供給量に脈動が生じて均質な膜が得られ難くなる。一方、供給速度が遅すぎると、膜質は改善されるが成膜完了までに要する時間が長くなって製造コストが増加する。そのため、セラミックス原料粉の供給速度は、1.5〜7g/minであることが好ましい。
ノズル10は、その噴出端10aが処理室2内の保持部5と対向するように当該処理室2内に配設されている。図1及び図2に示すように、本実施形態におけるノズル10は、円筒状の直管部材であり、噴出端10aとは反対側の端部に搬送ガス送給管S2が接続され、搬送ガス送給管S2を通してエアロゾル発生部6からエアロゾルが送給され、このエアロゾルが噴出端10aの開口部から噴出される。また、ノズル10の管壁には、後述する加速ガス送給管S3が接続されている。尚、ノズル10の内径Dnは特に限定されるものではないが、例えば11〜20mm程度であり、本実施形態においては15mmである。
搬送ガス送給手段15は、ガス供給部16や搬送ガス圧力制御部17、搬送ガス流量制御部18、搬送ガス送給管S2などからなる。
具体的に、ガス供給部16には、搬送ガス送給管S2が接続されており、ガス供給部16は、空気やN、He、Arなどのガスをコンプレッサーやガスボンベによって搬送ガス送給管S2内に供給するものである。尚、後述するように、ガス供給部16は、加速ガス送給手段20の一部を構成するものでもある。
本実施形態において、搬送ガス送給管S2は、ガス供給部16から供給されるガスを搬送ガスとしてノズル10まで送給するためのものである。具体的に、本実施形態では、ガス供給部16から送出されたガスが搬送ガスとして、搬送ガス圧力制御部17、搬送ガス流量制御部18、エアロゾル発生部6を順に経由してノズル10まで送給されるようになっており、ガス供給部16、搬送ガス圧力制御部17、搬送ガス流量制御部18、エアロゾル発生部6及びノズル10の間に接続された複数の配管によって搬送ガス送給管S2が構成されている。また、搬送ガス送給管S2における搬送ガス流量制御部18とエアロゾル発生部6との間には、搬送ガス送給管S2内の圧力を検出する第1圧力センサP1が設けられている。
更に、搬送ガス送給管S2は、当該搬送ガス送給管S2の噴出端S2a側がノズル10内に位置し、且つ噴出端S2aから噴出される搬送ガスの流線がノズル10の噴出端10aに至るまで直線状となるようにノズル10に接続されている。言い換えれば、搬送ガス送給管S2は、その噴出端S2aがノズル10内に位置し、且つ、その軸線とノズル10の軸線とが同一直線上となるようにノズル10に接続されている。尚、搬送ガス送給管S2の内径は特に限定されるものではないが、エアロゾル発生部6とノズル10とを接続する部分の外径Dcとしては、例えば6〜18mm程度である。本実施形態においては12.7mmであり、ノズル10の内径Dnの15mmよりも小さくしている。
搬送ガス圧力制御部17は、搬送ガス送給管S2内を流通する搬送ガスを適正圧力に静定するものであり、搬送ガス流量制御部18は、搬送ガス送給管S2内を流通する搬送ガスの流量を制御するものである。本実施形態において、搬送ガス圧力制御部17及び搬送ガス流量制御部18は、第1圧力センサP1により検出される圧力などを基に、その動作が適宜制御される。
加速ガス送給手段20は、ガス供給部16や加速ガス圧力制御部21、加速ガス流量制御部22、加速ガス送給管S3などからなる。
加速ガス送給管S3は、搬送ガス送給管S2におけるガス供給部16と搬送ガス圧力制御部17との間に接続されており、ガス供給部16から供給されるガスを加速ガスとしてノズル10まで送給するためのものである。具体的に、本実施形態では、ガス供給部16から送出されたガスが加速ガスとして加速ガス圧力制御部21、加速ガス流量制御部22を順に経由してノズル10まで送給されるように、搬送ガス送給管S2、加速ガス圧力制御部21、加速ガス流量制御部22及びノズル10の間に接続された複数の配管によって構成されている。
また、加速ガス送給管S3における加速ガス流量制御部22とノズル10との間には、当該加速ガス送給管S3の外壁側にヒーター23(加熱手段)が設けられており、当該ヒーター23によって加速ガス送給管S3内を流通する加速ガスが加熱されるようになっている。尚、ヒーター23は、ノズル10の噴出端10aでのガス温度(エアロゾル温度)が300℃以上700℃未満となるように、加速ガス送給管S3を加熱する。
更に、加速ガス送給管S3におけるヒーター23が設けられた箇所とノズル10との間には、流路断面積が加速ガス送給管S3よりも小さいオリフィス部24が設けられている。また、加速ガス送給管S3におけるオリフィス部24の上流側及び下流側には、加速ガス送給管S3内の圧力を検出する第2圧力センサP2及び第3圧力センサP3が設けられている。尚、加速ガス送給管S3の内径やオリフィス部24の内径は特に限定されるものではないが、加速ガス送給管S3の内径Daとしては、例えば4〜10mm程度であり、本実施形態においては4.3mmである。また、オリフィス部24の内径Dtとしては、例えば1.6〜2.4mm程度であり、本実施形態においては2mm又は2.3mmである。
また、加速ガス送給管S3は、当該加速ガス送給管S3の噴出端S3aがノズル10内における搬送ガス送給管S2の噴出端S2aの近傍に位置し、且つ噴出端S3aから噴出された加速ガスの流線と搬送ガスの流線とが衝突するようにノズル10に接続されている。尚、本実施形態においては、加速ガスの流線と搬送ガスの流線とが直交するように加速ガス送給管S3がノズル10に接続されている態様としたが、これに限られるものではなく、加速ガスの流線と搬送ガスの流線とが衝突するような位置関係であればよい。
本実施形態における加速ガス送給手段20は、オリフィス部24の上流側に設けた第2圧力センサP2により検出される圧力が600kPaG以上となるように、加速ガス送給管S3内を流通する加速ガスの流量や加速ガス送給管S3内の圧力を加速ガス圧力制御部21及び加速ガス流量制御部22によって制御する。
次に、図2を参照して、加速ガス送給管S3におけるノズル10との接続部(加速ガス送給管S3の管中心)からノズル10の噴出端10aまでの距離(加速ガス送給管−ノズル噴出端間距離)Ia、ノズル10の噴出端10aとは反対側の端部から加速ガス送給管S3におけるノズル10との接続部(加速ガス送給管S3の管中心)までの距離(ノズル最下端−加速ガス送給管間距離)Ib、ノズル10の噴出端10aとは反対側の端部から搬送ガス送給管S2の噴出端S2aまでの距離(ノズル最下端−搬送ガス送給管噴出端間距離)Ic、及びノズル10の噴出端10aから基材Kまでの距離(ノズル噴出端−基材間距離)Idについて説明する。
本実施形態における成膜装置1において、加速ガス送給管−ノズル噴出端間距離Iaは20mm以上であることが好ましい。加速ガス送給管−ノズル噴出端間距離Iaが20mmよりも短いと、加速ガスのエネルギーがセラミックス原料粉に伝わり難くなって速度不足となるため、基材K上に圧粉体が生成し易くなり、結果的に膜質が低下する。また、ノズル最下端−加速ガス送給管間距離Ib及びノズル最下端−搬送ガス送給管噴出端間距離Icについては、以下の式1の関係を満たすことが好ましく、式2の関係を満たすことがより好ましい。尚、式1及び式2において、Daは加速ガス送給管S3の内径である。
(式1)
Ib−Da≦Ic≦Ib+Da
(式2)
Ib−Da/2≦Ic≦Ib+Da/2
IcがIb+Daよりも長くなると、加速ガスのエネルギーがセラミックス原料粉に伝わり難くなって速度不足となるため、基材K上に圧粉体が生成し易くなり、膜質が低下する。一方、IcがIb−Daよりも短くなると、搬送ガスの合流に不安定さが生じ、膜質が低下する要因となる。
尚、本実施形態においては、加速ガス送給管−ノズル噴出端間距離Iaは4.3mm、ノズル最下端−加速ガス送給管間距離Ibは60mm、ノズル最下端−搬送ガス送給管噴出端間距離Icは58mm、ノズル噴出端−基材間距離Idは20mmである。
〔セラミックス原料粉について〕
成膜装置1を用いたセラミックス膜の製造方法において用いられるセラミックス原料粉を構成する粒子としては、例えば、ジルコニアにイットリウムやカルシウム、マグネシウム、ハフニウムなどを含有する安定化ジルコニアの粒子である。尚、本実施形態においては、イットリウムを含有するジルコニア(YSZ)をセラミックス原料粉として用いる。
また、成膜装置1を用いたセラミックス膜の製造方法において用いられるセラミックス原料粉の一次粒子の粒度分布は、特に限定されるものではないが、膜質や付着効率の向上を図る上で、5μm以上の一次粒子が体積比において4%未満となるように調整されていることが好ましい。
因みに、本願発明者は、4mol%Yを添加したZrO(以下、「4YSZ」と称する)及び8mol%Yを添加したZrO(以下、「8YSZ」と称する)を用いて、一次粒子の粒度分布が成膜結果に与える影響を検討した。具体的には、4YSZ及び8YSZについて、一次粒子をミル処理によって粒度分布の異なる5つのロット(ロットNo.1〜No.5)を作製し、これらを用いて成膜処理を行った。表1は、各ロットの原料組成、一次粒子の平均粒子径D50、10μm以上の粒子の含有量、5μm以上の粒子の含有量、3μm以上の粒子の含有量、及び成膜結果をまとめた表である。
Figure 2021161501
表1に示すように、ロットNo.5については、原料粉が基材をブラストするのみであり、成膜することができなかった。ロットNo.4については、膜を形成することはできたが、膜の厚さはロットNo.3と比較して3割程度にとどまり、付着効率が若干低かった。一方、ロットNo.1〜No.3については、十分な厚さの膜を形成することができ、付着効率が非常に高かった。これらの違いは、5μm以上の一次粒子の存在比の違いから生じていることが確認できる。したがって、同条件で成膜処理を行う際に膜を形成するためには、セラミックス原料粉の一次粒子の粒度分布が、10μm以上の一次粒子をほとんど含まず、5μm以上の一次粒子が体積比において4%未満となるように調整されていることが重要であることがわかった。また、ロットNo.1〜No.3とロットNo.4との違いに着目すると、ロットNo.4には、粒径が3μm以上5μm未満の範囲内にある一次粒子が10%以上含まれている。粒径が3μm以上5μm未満の範囲内にある一次粒子も高速ガス流においては膜を削る効果(即ちブラスト効果)が大きいため、極力少ない方が好ましい。したがって、有意な付着効率を得るためには、セラミックス原料粉の一次粒子の粒度分布が、3μm以上の一次粒子が体積比において10%未満となるように調整されることも重要であることがわかった。
以下、実施例1〜5並びに比較例1及び2について説明する。上記実施形態に係る成膜装置の加速ガス送給管をオリフィス部を備えていないものに交換した装置(実施例1及び2)、実施形態に係る成膜装置のオリフィス部の内径を2.3mmとした装置(実施例3及び4)、実施形態に係る成膜装置のオリフィス部の内径を2mmとした装置(実施例5)、及び加速ガス送給手段を備えていない従来の成膜装置(比較例1及び2)を使用して基材に成膜処理を施した。また、セラミックス原料粉としては、表1に示すロットNo.3の一次粒子を使用した。尚、表2には、各実施例及び各比較例について、搬送ガス流量、加速ガス流量、ヒーター設定温度、オリフィス部の内径、処理室内の絶対圧力、搬送ガス流量制御部後段のゲージ圧力、加速ガス流量制御部後段のゲージ圧力、形成された膜の相対密度、付着効率をまとめた。相対密度とは、成膜部分の密度(基材上に堆積した膜の重量/体積)を求め、これを理論密度値(本材料では5.9g/cm)で除した値(%)である。
Figure 2021161501
まず、比較例1及び2についてみると、比較例1では、形成された膜の相対密度が96%と高いが付着効率は0.3%程度である。一方、比較例2では、ヒーターによって搬送ガスを加熱するようにしたことで、比較例1と比べて付着効率が1%程度に向上しているが、形成された膜の相対密度については87%に低下している。
次に、実施例1〜5と比較例1及び2とを比較すると、実施例1〜5はいずれも比較例1及び2より付着効率が格段に向上している。例えば、実施例1及び2と比較例2とを比べると、実施例1及び2の付着効率は、比較例2の付着効率の4〜5倍程度に向上している。これは、実施例1及び2での搬送ガスの送給量を比較例2での搬送ガスの送給量よりもはるかに多くなるようにするとともに、加速ガスを供給して加速ガス流量制御部後段の圧力を400kPaG程度にしていることで、セラミックス原料粉の加速が促進されるためである。尚、実施例1及び2では、形成された膜の相対密度は70%程度であり、比較例1及び2と比較する緻密性という点で多少劣るが、形成された膜は容易に剥離するような圧粉体とは異なり、一定の強度を持った多孔質厚膜である。このような膜は、触媒の担体や電極材料として利用可能である。
また、実施例1及び2と実施例3〜5とを比較すると、実施例3〜5では、実施例1及び2と同程度の高い付着効率(4%から6%程度)が得られるとともに、形成された膜の相対密度が実施例1及び2よりも高くなっている。これは、オリフィス部を備えていることで、加速ガス流量制御部後段の圧力(オリフィス部前段の圧力)が600kPaG程度まで高められ、オリフィス部を通過した膨張部分での加速ガスの流速が更に高速化されることになり、セラミックス原料粉の加速がより促進されているためである。尚、実施例3〜5で形成された比較的密度の高い膜は、固体酸化物形燃料電池の電解質としての利用が可能である。
実施例3〜5を比較すると、特に、実施例5については、形成された膜の相対密度が比較例1及び2と比べて遜色ない91%であって、付着効率も比較例1及び2の4〜10倍であり、高い膜質を維持しつつ、付着効率を格段に向上させることができている。
以上のように、上記実施形態に係る成膜装置によれば、オリフィス部の有無にかかわらず、付着効率を従来よりも格段に向上させつつ、一定以上の強度を持った膜を成膜することができる。また、各種条件(ガスの流量やオリフィス部の有無、オリフィス部の内径など)を変えることで、膜の用途に応じて異なる相対密度の膜を形成することができる。
〔別実施形態〕
〔1〕上記実施形態においては、加速ガス送給管S3にオリフィス部24を設けた態様としたが、これに限られるものではなく、オリフィス部を設けていない態様であってもよい。
〔2〕上記実施形態においては、オリフィス部24の上流側に設けた第2圧力センサP2により検出される圧力が600kPaGとなる態様としたが、これに限られるものではない。例えば、オリフィス部24の上流側の圧力が600kPaG未満となるようにしてもよい。
また、オリフィス部24を設けていない態様とした場合には、加速ガス送給管S3内の圧力が400kPaG以上となるように加速ガスを送給する態様を採用することが好ましいが、これに限定されるものではない。
〔3〕上記実施形態においては、ノズル10の噴出端10aでのガス温度が300℃以上700℃未満となるように加速ガス送給管S3を加熱する態様としたがこれに限られるものではない。ノズル10の噴出端10aでのガス温度が300℃未満や700℃以上となるように加速ガス送給管S3を加熱するようにしてもよい。
上記実施形態(別実施形態を含む)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
本発明は、基材上に膜を形成する成膜装置及びセラミックス膜の製造方法に適用することができる。
1 成膜装置
2 処理室
5 保持部
6 エアロゾル発生部
10 ノズル
10a 噴出端
15 搬送ガス送給手段
20 加速ガス送給手段
23 ヒーター
24 オリフィス部
S2 搬送ガス送給管
S2a 噴出端
S3 加速ガス送給管
S3a 噴出端

Claims (8)

  1. 基材が保持される保持部を有し、内部が所定圧力以下に減圧される処理室と、
    一次粒子の粒度分布が調整されたセラミックス原料粉を分散させたエアロゾルを発生させるエアロゾル発生部と、
    噴出端が前記保持部と対向するように前記処理室内に配設されたノズルと、
    前記ノズルに接続した搬送ガス送給管を有し、前記エアロゾル発生部を経由して前記ノズルの前記噴出端まで搬送ガスを送給する搬送ガス送給手段と、
    前記ノズルに接続した加速ガス送給管を有し、前記ノズル内を流通する前記搬送ガスに合流するように加速ガスを送給する加速ガス送給手段と、
    前記加速ガス送給管に設けられ、前記加速ガス送給管内を流通する前記加速ガスを加熱する加熱手段とを備え、
    前記搬送ガス送給管は、その噴出端が前記ノズル内に位置し、且つ当該噴出端から噴出された前記搬送ガスの流線が前記ノズルの前記噴出端に至るまで直線状となるように前記ノズルに接続され、
    前記加速ガス送給管は、その噴出端が前記ノズル内における前記搬送ガス送給管の前記噴出端の近傍に位置し、且つ当該噴出端から噴出された前記加速ガスの流線と前記搬送ガスの流線とが衝突するように前記ノズルに接続された成膜装置。
  2. 前記加速ガス送給手段は、前記加速ガス送給管内の圧力が400kPaG以上となるように前記加速ガスを送給する請求項1に記載の成膜装置。
  3. 前記加速ガス送給管は、当該加速ガス送給管における前記噴出端と前記加熱手段との間にオリフィス部が形成されている請求項1又は2に記載の成膜装置。
  4. 前記加速ガス送給手段は、前記オリフィス部の上流側における前記加速ガス送給管内の圧力が600kPaG以上となるように前記加速ガスを送給する請求項3に記載の成膜装置。
  5. 前記加熱手段は、前記ノズルの前記噴出端でのガス温度が300℃以上700℃未満となるように、前記加速ガス送給管内を流通する前記加速ガスを加熱する請求項1〜4のいずれか一項に記載の成膜装置。
  6. 5μm以上の前記一次粒子が体積比において4%未満となるように粒度分布を調整した前記セラミックス原料粉を用いて、請求項1〜5のいずれか一項に記載の成膜装置によりセラミックス膜を製造する、セラミックス膜の製造方法。
  7. 前記セラミックス原料粉は、安定化ジルコニアである請求項6に記載の、セラミックス膜の製造方法。
  8. 前記セラミックス原料粉に安定化ジルコニアを用いて、請求項1〜5のいずれか一項に記載の成膜装置によりセラミックス膜を製造する、セラミックス膜の製造方法。
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