最初に、本開示の実施形態の内容を列記して説明する。
(1)本開示の実施の形態に係るSI送出装置は、放送波に含まれるSI情報を送出するSI送出装置であって、前記SI情報が格納されたフレームを受けて、受けた前記フレームから、前記SI情報が分割して格納された複数のTSパケットであってカウント値を含むTSパケットを生成して出力するTSパケット処理部と、前記TSパケット処理部から受けた前記TSパケットを1または複数格納したIPパケットを生成して送信する送信部とを備え、前記TSパケット処理部は、運用系としての動作および待機系としての動作が可能であり、前記フレームおよび前記カウント値について不連続無しに他の前記SI送出装置との間で運用系および待機系を切り替える切り替え処理を行う。
このような構成により、フレーム単位で完結したSI情報をより確実に再生装置へ伝送できるとともに、TSパケットのカウント値の不連続による再生装置におけるエラー等を防ぐことができる。これにより、運用系のSI出力装置の出力停止のタイミングおよび待機系のSI出力装置の出力開始のタイミングを単に合わせて切り替える構成と比べて、再生装置において、切り替え先のSI送出装置から伝送されるSI情報を安定して処理し、コンテンツの良好な視聴環境を提供したり、切り替えに伴う他の装置による異常の誤検知を防いだりすることが可能となる。したがって、SI情報の送出装置を切り替え可能な構成において、再生装置への安定したSI情報の提供を実現することができる。
(2)好ましくは、SI情報には、複数種類の情報があり、前記TSパケット処理部は、前記SI情報が種類ごとに格納された前記フレームをそれぞれ受けて、前記種類ごとに、前記フレームから複数の前記TSパケットを生成して出力し、前記TSパケット処理部は、前記種類ごとに前記切り替え処理を行う。
このような構成により、複数種類の情報に係るTSパケットを簡易な構成で生成するとともに、たとえば情報の種類ごとの伝送周期の相違に応じたタイミングで切り替え処理を別個に行うことができるため、運用系および待機系の切り替えにおいてSI情報のより安定した送出を実現することができる。
(3)より好ましくは、前記TSパケット処理部は、前記種類ごとに、運用系から待機系へ切り替える際の、最新の前記カウント値の他の前記SI送出装置への通知、および前記フレーム単位での前記TSパケットの送信停止、ならびに、待機系から運用系へ切り替える際の、通知された前記カウント値に基づく前記TSパケットのカウント値の設定、および前記フレーム単位での前記TSパケットの送信開始を行う。
このような構成により、各SI送出装置をたとえばビット単位のタイミングで互いに同期させる複雑な構成を用いることなく、簡易な構成で、かつ情報の種類ごとに、フレームおよびカウント値についての不連続の無い切り替えを行うことができる。
(4)好ましくは、前記TSパケット処理部は、1つのSI情報を構成する複数の前記TSパケットを連続的に前記送信部へ出力する。
このような構成により、切り替え指示を受けてからフレーム単位でのTSパケットの送信を停止するまでの時間をより短くすることができるため、より迅速な切り替え処理を実現することができる。
(5)好ましくは、前記TSパケット処理部は、運用系から待機系へ切り替える際、前記TSパケットの出力を停止した旨を示す停止情報を他の前記SI送出装置へ送信し、待機系から運用系へ切り替える際、前記SI送出装置からの前記停止情報を受信してから前記TSパケットの出力を開始する。
このような構成により、運用系および待機系の切り替えにおいて両方のSI送出装置からフレームが二重に送信されることをより確実に防ぐことができる。
(6)好ましくは、前記SI送出装置は、さらに、前記SI情報が分割して格納されたTSパケットを受信し、受信した複数のTSパケットの整合性を確認し、整合性有りと判断した複数のTSパケットを格納した前記フレームを生成して前記TSパケット処理部へ出力する受信部を備える。
このように、他の装置から受信したTSパケットのフレーム単位での整合性を確認する構成により、整合性有りが確認されたTSパケットを選択的に再生装置へ伝送することができるため、再生装置においてより安定したSI情報の取得が可能となる。
(7)本開示の実施の形態に係るSI送出システムは、同じ放送波に係るSI情報が与えられる第1のSI送出装置および第2のSI送出装置を備え、前記第1のSI送出装置および前記第2のSI送出装置は、前記SI情報が格納されたフレームから、前記SI情報が分割して格納された複数のTSパケットであってカウント値を含むTSパケットを生成し、生成した前記TSパケットを1または複数格納したIPパケットを生成して送信し、前記第1のSI送出装置および前記第2のSI送出装置は、運用系としての動作および待機系としての動作が可能であり、前記フレームおよび前記カウント値について不連続無しに他方のSI送出装置との間で運用系および待機系を切り替える切り替え処理を行う。
このような構成により、フレーム単位で完結したSI情報をより確実に再生装置へ伝送できるとともに、TSパケットのカウント値の不連続による再生装置におけるエラー等を防ぐことができる。これにより、運用系のSI出力装置の出力停止のタイミングおよび待機系のSI出力装置の出力開始のタイミングを単に合わせて切り替える構成と比べて、再生装置において、切り替え先のSI送出装置から伝送されるSI情報を安定して処理し、コンテンツの良好な視聴環境を提供したり、切り替えに伴う他の装置による異常の誤検知を防いだりすることが可能となる。したがって、SI情報の送出装置を切り替え可能な構成において、再生装置への安定したSI情報の提供を実現することができる。
(8)本開示の実施の形態に係るSI送出方法は、放送波に含まれるSI情報を送出するSI送出装置におけるSI送出方法であって、前記SI情報が格納されたフレームを受けて、受けた前記フレームから、前記SI情報が分割して格納された複数のTSパケットであってカウント値を含むTSパケットを生成するステップと、生成した前記TSパケットを1または複数格納したIPパケットを生成して送信するステップとを含み、前記SI送出装置は、運用系としての動作および待機系としての動作が可能であり、前記SI送出方法は、さらに、前記フレームおよび前記カウント値について不連続無しに他の前記SI送出装置との間で運用系および待機系を切り替えるステップを含む。
このような構成により、フレーム単位で完結したSI情報をより確実に再生装置へ伝送できるとともに、TSパケットのカウント値の不連続による再生装置におけるエラー等を防ぐことができる。これにより、運用系のSI出力装置の出力停止のタイミングおよび待機系のSI出力装置の出力開始のタイミングを単に合わせて切り替える構成と比べて、再生装置において、切り替え先のSI送出装置から伝送されるSI情報を安定して処理し、コンテンツの良好な視聴環境を提供したり、切り替えに伴う他の装置による異常の誤検知を防いだりすることが可能となる。したがって、SI情報の送出装置を切り替え可能な構成において、再生装置への安定したSI情報の提供を実現することができる。
(9)本開示の実施の形態に係る運用方法は、同じ放送波に係るSI情報が与えられる第1のSI送出装置および第2のSI送出装置を備えるSI送出システムの運用方法であって、前記第1のSI送出装置および前記第2のSI送出装置は、運用系としての動作および待機系としての動作が可能であり、前記SI情報が格納されたフレームから、前記SI情報が分割して格納された複数のTSパケットであってカウント値を含むTSパケットを1または複数格納したIPパケットを生成して送信し、前記第1のSI送出装置および前記第2のSI送出装置を接続するステップと、前記第1のSI送出装置または前記第2のSI送出装置に切り替え指示を与えるステップと、前記切り替え指示が与えられた後、前記第1のSI送出装置および前記第2のSI送出装置が、前記フレームおよび前記カウント値について不連続無しに他方のSI送出装置との間で運用系および待機系を切り替える切り替え処理を行うステップと、待機系に切り替えた前記第1のSI送出装置または前記第2のSI送出装置を非接続とするステップとを含む。
このような方法により、装置交換およびソフトウェアのバージョンアップ等の保守作業の際に、フレーム単位で完結したSI情報をより確実に再生装置へ伝送できるとともに、TSパケットのカウント値の不連続による再生装置におけるエラー等を防ぐことができる。これにより、運用系のSI出力装置の出力停止のタイミングおよび待機系のSI出力装置の出力開始のタイミングを単に合わせて切り替える構成と比べて、再生装置において、切り替え先のSI送出装置から伝送されるSI情報を安定して処理し、コンテンツの良好な視聴環境を提供したり、切り替えに伴う他の装置による異常の誤検知を防いだりすることが可能となる。したがって、SI情報の送出装置を切り替え可能な構成において、再生装置への安定したSI情報の提供を実現することができる。
以下、本開示の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。また、以下に記載する実施の形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
[構成]
図1は、本開示の実施の形態に係るIP再送信システムの構成を示す図である。
図1を参照して、IP再送信システム301は、たとえばMPEG2−TS(Moving Picture Experts Group 2 Transport Stream)またはH.264規格に従うIP再送信システムであり、複数のIP再送信装置151と、複数のSI送出装置101と、ハブ152〜154とを備える。なお、IP再送信システム301は、他の規格に従うIP再送信システムであってもよい。
図1では、一例として、たとえばN個の放送局に対応するN台(Nは1以上の整数)のIP再送信装置151と、運用系および予備系として2台のSI送出装置101とが設けられている。運用系および予備系のSI送出装置101によってSI送出システムが構成される。なお、SI送出システムは、3台以上のSI送出装置101を備える構成であってもよい。
IP再送信装置151は、コンテンツを格納したストリームを含む放送波を受信し、受信した放送波に含まれる対応の放送局のコンテンツ等をIPパケットに含めて再送信する。放送波は、一例として、地上デジタル放送またはBSデジタル放送の放送波である。
ストリームは、コンテンツすなわち番組の情報等を含む。番組の情報は、たとえば、音声情報、映像情報、PSI情報(Program Specific Information)、SI情報(Service Information)および字幕情報等を含む。
より詳細には、アンテナにおいて受信された放送信号が、図示しない分配器によって各IP再送信装置151へ分配される。すなわち、各SI送出装置101には、同じ放送波に係る、SI情報等の番組の情報が与えられる。
IP再送信装置151は、アンテナから受けた放送信号から番組の情報を抽出し、抽出した情報をたとえば分割して含む複数のIPパケットを、ハブ152およびIP網401経由で各STB202へマルチキャストする。たとえば、IP再送信装置151は、音声情報、映像情報、PSI情報、SI情報および字幕情報等が複数に分割された情報を含む複数のTSパケットを1または複数のIPパケットに含めて再送信する。このIPパケットに含まれるSI情報は、たとえばIP再送信装置151に対応する放送局のSI情報である。
たとえば、各IP再送信装置151は、互いに異なるUDPポート番号をIPパケットに設定し、当該IPパケットを格納したイーサネットフレーム(登録商標)を生成し、放送信号としてハブ152へ出力する。
STB202は、コンテンツの再生装置の一例であり、IP網401から受信したIPパケットからコンテンツ情報を抽出し、図示しないテレビジョン装置において再生する。
IP再送信装置151は、アンテナから受けた放送信号から対応の放送局のSI情報を抽出し、抽出したSI情報を含むIPパケットを、ハブ153経由で各SI送出装置101へマルチキャストする。たとえば、IP再送信装置151は、SI情報が複数に分割された情報を含む複数のTSパケットを1または複数のIPパケットに含めて再送信する。
たとえば、各IP再送信装置151は、互いに異なるUDPポート番号をIPパケットに設定し、当該IPパケットを格納したイーサネットフレームを生成し、SI信号としてハブ153へ出力する。
すなわち、各IP再送信装置151から出力されるSI情報にはユニークなUDPポート番号が割り当てられている。
SI情報は、EPGの表示を目的に使用される信号である。SI情報には、複数種類の情報がある。具体的には、たとえば、SI情報には、NIT、BIT、SDT、EITおよびCDTのテーブル情報がある。CDTは、BSデジタル放送の放送波には含まれない。なお、テーブル情報の種類は、上記各情報の一部であってもよいし、他のテーブル情報であってもよいし、上記各情報の一部または全部と他の情報との組み合わせであってもよい。
SI送出装置101は、放送波に含まれるSI情報を送出する。SI送出装置101は、各IP再送信装置151から送信されたSI信号を集約し、宅側における各再生装置へマルチキャストする。
より詳細には、SI送出装置101は、各IP再送信装置151から受信したイーサネットフレームからSI情報を抽出し、抽出したSI情報をたとえば分割して含む複数のIPパケットを、ハブ154およびIP網401経由で各STB202へマルチキャストする。たとえば、SI送出装置101は、SI情報が複数に分割された情報を含む複数のTSパケットを1または複数のIPパケットに含めて再送信する。
たとえば、SI送出装置101は、各IP再送信装置151からのSI情報について同じUDPポート番号をIPパケットに設定し、当該IPパケットを格納したイーサネットフレームを生成し、SI信号としてハブ154へ出力する。
SI送出装置101を設ける構成により、STB202において、各チャネルのSI情報を取得するための通信手順を簡易化することができ、処理負荷および通信負荷を軽減することができる。
図2は、本開示の実施の形態に係るIP再送信システムにおけるSI送出装置の構成を示す図である。図3は、本開示の実施の形態に係るSI送出装置における受信部の構成を示す図である。図4は、本開示の実施の形態に係るSI送出装置におけるTSパケット処理部の構成を示す図である。
図2〜図4を参照して、SI送出装置101は、受信部21と、TSパケット処理部22と、送信部23とを備える。受信部21は、ネットワーク受信部1と、UDPポート番号分離部2と、複数のPID分離部3と、複数のセクション化部4とを含む。TSパケット処理部22は、複数のセクション多重部11と、複数のTSパケット化部12と、複数の送出制御部13と、複数のCC書き換え部14と、複数のCC管理部15と、TSパケット多重部16とを含む。なお、SI送出装置101の外部に受信部21が設けられる構成であってもよい。
受信部21は、SI情報が分割して格納された複数のTSパケットを受信し、受信した複数のTSパケットを格納したセクションデータを生成してTSパケット処理部22へ出力する。セクションデータは、SI情報が格納されたフレームの一例である。
受信部21は、複数の放送局にそれぞれ対応して設けられた複数のIP再送信装置からセクションデータを受信し、放送局ごとにセクションデータを生成する。
具体的には、ネットワーク受信部1は、IP再送信装置151から送信されたSI信号であるイーサネットフレームをハブ153経由で受信し、受信したイーサネットフレームに格納されたIPパケットをUDPポート番号分離部2へ出力する。
UDPポート番号分離部2は、ネットワーク受信部1から受けたIPパケットのUDPポート番号を参照することにより、当該IPパケットをIP再送信装置151ごとすなわち放送局ごとに分けて出力する。たとえば、UDPポート番号分離部2は、各IP再送信装置151のUDPポート番号を示すUDPポート番号指示を図示しない記憶部から取得するか、または他の装置から受けることにより、IPパケットの分離を行う。
たとえば、UDPポート番号分離部2は、IPパケットに格納されたTSパケットを、放送局ごとに設けられた複数のPID分離部3のうち、対応のPID分離部3へ出力する。
図5は、本開示の実施の形態に係るIP再送信システムにおけるTSパケットのフォーマットの例を示す図である。
図5を参照して、TSパケットは、データ長が188バイトであり、ヘッダと、アダプテーションフィールドと、ペイロードとを含む。ヘッダは、同期バイトと、トランスポートエラーインジケータと、ペイロードユニット開始インジケータと、トランスポート優先度と、PID(Packet Identification)と、トランスポートスクランブル制御と、アダプテーションフィールド制御と、連続性指標すなわちCC(Continuity Counter)値とを含む。CC値は、TSパケットに付与されるカウント値の一例である。
PIDは、TSパケットの識別子である。PIDは、13ビットで表現される識別子であり、TSパケットのペイロードの内容に応じた値に設定される。ペイロードユニット開始インジケータは、ペイロードに含まれるSI情報等が、当該ペイロードから開始されるか否かを示す1ビットのデータである。CC値は、TSパケットの連続性を示す、同じPIDのTSパケットごとにインクリメントされる4ビットのカウンタ値である。TSパケットの受信側でCC値の不連続を検出することにより、TSパケットのロスを検出することができる。
再び図2を参照して、PID分離部3は、UDPポート番号分離部2から受けたTSパケットのPIDを参照することにより、当該TSパケットをNIT、BIT、SDT、EITおよびCDTのテーブル情報に分類し、放送局ごとかつテーブルの種類ごとに設けられた複数のセクション化部4のうち、対応のセクション化部4へ出力する。
具体的には、PIDは、NITが0x0010であり、BITが0x0024であり、SDTが0x0011であり、EITが0x0012であり、CDTが0x0029である。ここで、「0x」で始まる数字は、「0x」以降の数字が16進数で表されていることを意味する。
セクション化部4は、TSパケットのデータフォーマットからセクションデータのデータフォーマットへの変換を行う。
図6は、本開示の実施の形態に係るSI送出装置におけるセクション化部によるフォーマット変換の例を示す図である。
図6を参照して、セクションデータは、たとえば最大1024バイトまたは最大4096バイトのデータ長を有する。セクションデータは、放送局において生成され、データ長がたとえば188バイトの複数のTSパケットに分割され、放送波に含めて伝送される。
セクションデータは、テーブルIDのフィールドと、セクション長のフィールドと、データ部のフィールドと、CRC32のフィールドとを含む。
テーブルIDは、セクションデータが属するテーブルを示す。セクション長は、データ部およびCRC32の合計データ長を示す。CRC32は、データ部のCRC(Cyclic Redundancy Check)用のチェックサムである。
セクション化部4は、TSパケットのペイロードに格納されたデータを結合することにより、放送局において生成されたセクションデータを再構成する。セクション化部4は、テーブルの種類ごとに設けられた複数のセクション多重部11のうち、対応のセクション多重部11へ再構成したセクションデータを出力する。
すなわち、各セクション化部4からの各放送局の同じ種類のテーブルを格納したセクションデータが、共通のセクション多重部11へ出力される。
受信部21は、上述のような処理により、各種テーブルのTSパケットを、セクションデータとして放送局の単位でまとめた状態でTSパケット処理部22に与える。これにより、STB202において、ストリームの各TSパケットからセクションデータを放送局として再構成することができる。
なお、受信部21は、SI情報が分割して格納されたTSパケットを受信し、受信した複数のTSパケットの整合性を確認し、整合性有りと判断した複数のTSパケットを格納したセクションデータを生成してTSパケット処理部22へ出力する構成であってもよい。
具体的には、たとえば、セクション化部4は、セクションデータが所定時間以内に再構成できなかった場合、格納途中のデータを破棄する。あるいは、セクション化部4は、CRC32におけるチェックサムを用いて誤り検出を行い、誤りが検出されたセクションデータを破棄する。
このように、SI送出装置101が、IP再送信装置151から受けるTSパケットを一度セクション化する構成により、IP再送信装置151からのTSパケットに欠落および伝送誤り等が生じても、整合性のあるセクションデータを選択的に送出することができる。
各SI送出装置101は、セクションデータから、SI情報が分割して格納された複数のTSパケットであってカウント値を含むTSパケットを生成し、生成したTSパケットを1または複数格納したIPパケットを生成して送信する。
より詳細には、TSパケット処理部22は、SI情報が格納されたセクションデータを受けて、受けたセクションデータから、SI情報が分割して格納された複数のTSパケットであってカウント値を含むTSパケットを生成して出力する。
送信部23は、TSパケット処理部22から受けたTSパケットを1または複数格納したIPパケットを生成して送信する。
たとえば、SI情報には、複数種類の情報がある。TSパケット処理部22は、SI情報が種類ごとに格納されたセクションデータをそれぞれ受けて、当該種類ごとに、セクションデータからカウント値を含む複数のTSパケットを生成して出力する。
TSパケット処理部22において、セクション多重部11は、テーブルの種類ごとに、各IP再送信装置151からのセクションデータを多重し、対応のTSパケット化部12へ出力する。セクション多重部11は、セクションの途中で他のセクションデータが混ざらないように、セクション単位で完結させて多重する。
TSパケット化部12は、セクション化された各テーブルを元のTSパケットのデータフォーマットに変換する。
図7は、本開示の実施の形態に係るSI送出装置におけるTSパケット化部によるフォーマット変換およびCC書き換え部によるCC値書き換えの例を示す図である。
図7を参照して、TSパケット化部12は、セクションデータが分割してペイロードに格納されたTSパケットを生成する。TSパケット化部12は、セクションデータの先頭を格納するTSパケットのペイロードユニット開始インジケータを「1」に設定することにより、セクションデータが当該TSパケットのペイロードから開始される旨の情報をSTB202等の後段の装置に与える。
また、TSパケット化部12は、テーブルの種類すなわちテーブルIDに応じたPIDをTSパケットに設定する。また、TSパケット化部12は、TSパケットのCC値をゼロ等の固定値に設定する。
再び図2を参照して、TSパケット化部12は、生成したTSパケットを送出制御部13へ出力する。
送出制御部13は、TSパケット化部12から受けたTSパケットをCC書き換え部14へ出力するか否かを切り替える。たとえば、送出制御部13は、他のSI送出装置101から受けた出力切り替え指示に応じてTSパケットの出力の有無を切り替える。
CC書き換え部14は、図7に示すように、送出制御部13から受けたTSパケットのCC値をインクリメントしながらTSパケット多重部16へ出力する。これにより、送出制御部13から出力されるTSパケット、すなわち配信されるTSパケットのCC値の連続性を実現することができる。すなわち、各IP再送信装置151から送信されたTSパケットのCC値をセクション多重部11による多重化後に振り直すことにより、SI送出装置101から送出されるTSパケットのCC値の連続性を実現することができる。
CC管理部15は、CC書き換え部14におけるCC値のインクリメントを管理する。
TSパケット多重部16は、各CC書き換え部14から受けたTSパケットすなわち各種テーブルのTSパケットをTSパケット単位で多重して送信部23へ出力する。
送信部23は、TSパケット多重部16から受けた複数のTSパケットを1または複数のIPパケットに含め、各IPパケットで共通のUDPポート番号をIPパケットに設定し、当該IPパケットを格納したイーサネットフレームを生成し、SI信号としてハブ154へ出力する。
以上のように、SI送出装置101では、各IP再送信装置151から送信されるTSパケットを放送局ごとに分離し、テーブル種別ごとにセクションデータにまとめ、放送局ごとのセクションデータを多重し、TSパケット化して配信する。
[課題]
運用上、SI送出装置101のファン等の一部故障、ならびに装置交換およびプログラムのバージョンアップ等の保守による、SI送出装置101の停止または再起動が起こり得る。このため、IP再送信システム301は、SI送出装置101の冗長構成を備える。
冗長構成の比較例1として、常に両方のSI送出装置101、すなわちSI送出装置#Aおよび#BがSI信号を送出している状態で運用し、後段のハブ154から送出すべき側の系を選択すなわちスルーし、いずれか一方のSI送出装置101からのSI信号をIP網401へ配信する構成が考えられる。
また、冗長構成の比較例2として、両方のSI送出装置#Aおよび#BをLAN通信によって接続し、他方の装置の送出オン/オフを制御する。LAN通信の断、および送出オン/オフ指示を判断基準として、各SI送出装置101の出力段の送出オン/オフを制御し、いずれか一方のSI送出装置101からのSI信号をIP網401へ配信する構成が考えられる。
このような比較例1および比較例2において、送出中のTSパケットの状態すなわち中身を考慮せずに、単純に各系の送出オン/オフを制御した場合、以下の課題が生じる。
図8は、本開示の実施の形態に係るIP再送信システムの比較例における冗長切り替えの課題1を示す図である。
図8を参照して、送出系の切り替え前後において、NITのCC値がゼロから2へと不連続に変更されており、NITについてCC値のエラーが生じている。
このように、SI送出装置#Aおよび#B間においてCC値が同期できていない場合、CC値は、系の切り替えに伴い連続性を失ってしまい、たとえばSTB202においてCC値のエラーが生じる。
図9は、本開示の実施の形態に係るIP再送信システムの比較例における冗長切り替えの課題2を示す図である。
図9を参照して、あるテーブルのセクションデータのデータ部にTSパケットのデータが途中まで格納されている状態で系が切り替えられ、たとえば連続しないTSパケットのデータが結合されている。この場合、たとえば、STB202が、TSパケットからセクションデータに構築できないデータを受信してしまい、CRCエラーが生じる。
すなわち、TSパケット単位に分割された、NIT、BIT、SDT、EITまたはCDTの各種テーブルのセクションデータを送出している途中において系の切り替えを行った場合、セクションデータとして完結しない状態で配信がなされてしまう。
そこで、本開示の実施の形態に係るSI送出装置では、以下のような構成および動作により、上述のような課題1,2を解決する。
各SI送出装置101は、運用系としての動作および待機系としての動作が可能であり、セクションデータおよびカウント値について不連続無しに他方のSI送出装置101との間で運用系および待機系を切り替える切り替え処理を行う。
すなわち、課題1を解決するために、送出をオフしたSI送出装置101は、最後に使用したCC値を他方のSI送出装置101に通知する。そして、他方のSI送出装置101は、受け取ったCC値から連続した値をCC値の初期値として送出をオンする。
課題2を解決するために、SI送出装置101の送出をオンからオフへ切り替える際、セクションデータの最終が含まれるTSパケットを送出してからTSパケットの送出を停止する。また、SI送出装置101の送出をオフからオンへ切り替える際、セクションデータの先頭が含まれるTSパケットから送出を開始する。
SI送出装置101において、TSパケット処理部22は、運用系としての動作および待機系としての動作が可能であり、セクションデータおよびカウント値について不連続無しに他のSI送出装置101との間で運用系および待機系を切り替える切り替え処理を行う。
より詳細には、TSパケット処理部22は、SI情報の種類ごとに、運用系から待機系へ切り替える際の、最新のカウント値の他のSI送出装置101への通知、およびセクションデータ単位でのTSパケットの送信停止を行う。また、TSパケット処理部22は、SI情報の種類ごとに、待機系から運用系へ切り替える際の、通知されたカウント値に基づくTSパケットのカウント値の設定、およびセクションデータ単位でのTSパケットの送信開始を行う。
たとえば、TSパケット処理部22は、運用系から待機系へ切り替える際、TSパケットの出力を停止した旨を示す停止情報を他のSI送出装置101へ送信する。また、TSパケット処理部22は、待機系から運用系へ切り替える際、SI送出装置101からの停止情報を受信してからTSパケットの出力を開始する。
すなわち、SI送出装置101置間のLAN通信によって、SI送出装置101が、他方のSI送出装置101においてSI信号の送出がオフされたことを確認してから自己の送出をオンする。
TSパケット処理部22において、TSパケット化部12は、出力するTSパケットがセクションデータの先頭または最終に該当する場合、先頭である旨または最終である旨を送出制御部13に通知する。
送出制御部13は、ユーザから待機系への切り替え指示を受けた場合、送出オンを示す出力切り替え指示を他方のSI送出装置101へ出力する。また、送出制御部13は、ユーザから運用系への切り替え指示を受けた場合、送出オフを示す出力切り替え指示を他方のSI送出装置101へ出力する。
また、送出制御部13は、送出オフ状態において送出オンを示す出力切り替え指示を受けた場合、セクションデータの先頭が含まれるTSパケットから送出を開始し、切り替え完了通知を他方のSI送出装置101へ送信する。また、送出制御部13は、送出オン状態において送出オフを示す出力切り替え指示を受けた場合、セクションデータの最終が含まれるTSパケットを送出してからTSパケットの送出を停止し、切り替え完了通知を停止情報として他方のSI送出装置101へ送信する。また、送出制御部13は、送出オフ状態において切り替え完了通知を受けた場合、セクションデータの先頭が含まれるTSパケットから送出を開始し、切り替え完了の旨を出力する。
CC管理部15は、最新のCC値すなわち最後にインクリメントしたCC値を参照する機能、およびCC書き換え部14にCC値の初期値を設定する機能を有する。
CC管理部15は、ユーザから待機系への切り替え指示を受けた場合、または他方のSI送出装置101から送出オフを示す出力切り替え指示を受けた場合、最新のCC値を取得して他方のSI送出装置101へ通知する。また、CC管理部15は、他方のSI送出装置101からCC値の通知を受けた場合、通知されたCC値から連続する値を初期値としてCC書き換え部14に設定する。
このように、TSパケット処理部22は、SI情報の種類ごとに切り替え処理を行う。すなわち、SI送出装置101では、TSパケット処理部22は、セクション多重部11、TSパケット化部12、送出制御部13、CC書き換え部14およびCC管理部15の組がテーブルの種類ごとに設けられている。
なお、SI送出装置101は、自己が運用系であるかまたは待機系であるかの情報を保持する構成であってもよいし、保持しない構成であってもよい。
図10は、本開示の実施の形態に係るIP再送信システムにおける冗長切り替えの例を示す図である。
図10を参照して、IP再送信システム301では、最新のCC値を他方のSI送出装置101へ通知する構成により、送出系の切り替え前後において、NITのCC値がゼロから1へと連続的に変更されており、NITについてCC値のエラーが生じていない。
このように、SI送出装置#Aおよび#B間においてCC値が同期していることから、CC値は、系の切り替えにおいても連続性を失わず、たとえばSTB202においてCC値のエラーが生じることを防ぐことができる。
図11は、本開示の実施の形態に係るIP再送信システムにおける冗長切り替えの例を示す図である。
図11を参照して、IP再送信システム301では、セクションデータ単位での送出開始および停止を行う構成により、あるテーブルのセクションデータのデータ部およびCRCチェックサムへのデータの格納が、連続するTSパケットのデータ結合によって完了してから系が切り替えられている。この場合、たとえば、STB202が、TSパケットからセクションデータに構築できないデータを受信することなく、セクションデータを正常に再構成することができる。
このように、TSパケット単位に分割された、NIT、BIT、SDT、EITまたはCDTの各種テーブルのセクションデータ単位での送出を完了してから系の切り替えを行うことにより、セクションデータとして完結しない状態での配信を防ぐことができる。
以上のように、本開示の実施の形態に係るSI送出システムでは、保守作業における送出系の切り替えにおいて、CC値エラーおよびCRCエラーを発生させることなくシームレスに切り替えることが可能となる。これにより、STB202に不整合な情報を受信させることを防ぐことができ、また、一例として、ハブ154の後段に、配信されるSI信号を常時監視する監視装置が設けられている場合において、当該監視装置におけるCC値エラーおよびCRCエラー等のエラーの誤検知を防ぐことができる。これにより、たとえば、SI送出装置101の保守作業を行う際に監視装置を停止させる必要がなくなり、保守作業を効率化することができる。
なお、TSパケット処理部22は、1つのSI情報を構成する複数のTSパケットを連続的に送信部23へ出力する構成であってもよい。
具体的には、TSパケット化部12は、連続的に、たとえばビット単位の連続するクロックタイミングにおいて、1つのSI情報を構成する複数のTSパケット、すなわち1つのセクションデータに含まれる複数のTSパケットを出力する。
SI送出装置101では、IP再送信装置151から受けるTSパケットを一度セクション化し、セクションデータをTSパケット化して複数のTSパケットを送出する構成により、各TSパケットを詰めて送出することができる。これにより、IP再送信装置151が受信する放送波において1つのテーブルに対応する複数のTSパケットの到来間隔が空いている場合でも、あるセクションデータにおいて最初のTSパケットの送出から最後のTSパケットの送出までの時間を短くすることができるため、送出オン状態から送出オフ状態への切り替えに要する時間を短くすることができる。
特に、切り替え開始タイミングをユーザが設定可能であり、かつ運用系からのセクションデータ単位での送出完了を待つ必要のある保守作業において、冗長切り替えの時間を短縮し、SI送出装置101の保守作業をより短時間で完了させることができる。
[動作の流れ]
次に、本開示の実施の形態に係るIP再送信システムにおけるSI送出装置の切り替え動作の流れについて説明する。
IP再送信システム301における各装置は、メモリを含むコンピュータを備え、当該コンピュータにおけるCPU等の演算処理部は、以下のフローチャートの各ステップの一部または全部を含むプログラムを当該メモリからそれぞれ読み出して実行する。これら複数の装置のプログラムは、それぞれ、外部からインストールすることができる。これら複数の装置のプログラムは、それぞれ、記録媒体に格納された状態で流通する。
図12は、本開示の実施の形態に係るIP再送信システムにおけるSI送出装置の切り替え動作の流れの一例を示す図である。図12は、運用系のSI送出装置101であるSI送出装置#Aにユーザからの切り替え指示が与えられる例を示している。
まず、SI送出装置#Aが運用系としてSI信号を送出中であり、SI送出装置#Bが待機系としてSI信号の送出を停止している状態において、SI送出装置#Aは、ユーザからの切り替え指示を図示しないPC等を介して受け付ける(ステップS1)。
次に、SI送出装置#Aは、各テーブルの送出制御部13によるTSパケットの送出を停止する。より詳細には、SI送出装置#Aは、セクションデータの最終が含まれるTSパケットを送出したテーブルについて、TSパケットの送出を順次停止する(ステップS2)。
次に、SI送出装置#Aは、すべてのテーブルについて送出停止を完了した場合(ステップS3でYES)、各テーブルにおいて最後に使用したCC値、すなわち最後に送出したTSパケットのCC値をCC書き換え部14から取得する(ステップS4)。
次に、SI送出装置#Aは、各テーブルのCC値、および送出オンを示す出力切り替え指示をSI送出装置#Bへ出力する(ステップS5)。
次に、SI送出装置#Bは、SI送出装置#Aから受けたCC値に基づく初期値をCC書き換え部14に設定する(ステップS6)。
次に、SI送出装置#Bは、各テーブルの送出制御部13によるTSパケットの送出を開始する。より詳細には、SI送出装置#Bは、各テーブルにおけるセクションデータの先頭が含まれるTSパケットから送出を順次開始する(ステップS7)。
次に、SI送出装置#Bは、すべてのテーブルについて送出開始を完了した場合(ステップS8でYES)、切り替え完了通知をSI送出装置#Aへ送信する(ステップS9)。
次に、SI送出装置#Aは、SI送出装置#Bから切り替え完了通知を受信して、切り替え完了の旨を出力する。たとえば、ユーザは、切り替え完了の旨が図示しないPCのディスプレイに表示されることにより、切り替え完了を認識し、待機系となったSI送出装置#Aの交換およびソフトウェアのバージョンアップ等の保守作業を行うことができる(ステップS10)。
図13は、本開示の実施の形態に係るIP再送信システムにおけるSI送出装置の切り替え動作の流れの他の例を示す図である。図13は、待機系のSI送出装置101であるSI送出装置#Aにユーザからの切り替え指示が与えられる例を示している。
まず、SI送出装置#Bが運用系としてSI信号を送出中であり、SI送出装置#Aが待機系としてSI信号の送出を停止している状態において、SI送出装置#Aは、ユーザからの切り替え指示を図示しないPC等を介して受け付ける(ステップS1)。
次に、SI送出装置#Aは、送出オフを示す出力切り替え指示をSI送出装置#Bへ出力する(ステップS12)。
次に、SI送出装置#Bは、各テーブルの送出制御部13によるTSパケットの送出を停止する。より詳細には、SI送出装置#Bは、セクションデータの最終が含まれるTSパケットを送出したテーブルについて、TSパケットの送出を順次停止する(ステップS13)。
次に、SI送出装置#Bは、すべてのテーブルについて送出停止を完了した場合(ステップS14でYES)、各テーブルにおいて最後に使用したCC値、すなわち最後に送出したTSパケットのCC値をCC書き換え部14から取得する(ステップS15)。
次に、SI送出装置#Bは、各テーブルのCC値および切り替え完了通知をSI送出装置#Aへ出力する(ステップS16)。
次に、SI送出装置#Aは、SI送出装置#Bから受けたCC値に基づく初期値をCC書き換え部14に設定する(ステップS17)。
次に、SI送出装置#Aは、各テーブルの送出制御部13によるTSパケットの送出を開始する。より詳細には、SI送出装置#Aは、各テーブルにおけるセクションデータの先頭が含まれるTSパケットから送出を順次開始する(ステップS18)。
次に、SI送出装置#Aは、すべてのテーブルについて送出開始を完了した場合(ステップS19でYES)、切り替え完了の旨を出力する。たとえば、ユーザは、切り替え完了の旨が図示しないPCのディスプレイに表示されることにより、切り替え完了を認識し、待機系となったSI送出装置#BAの交換およびソフトウェアのバージョンアップ等の保守作業を行うことができる(ステップS20)。
図14は、本開示の実施の形態に係るSI送出システムの運用方法の手順を定めたフローチャートである。
図14を参照して、まず、デジタル放送の事業者等のユーザは、複数のSI送出装置101を含む、IP再送信システム301を構成する各装置を準備する(ステップS31)。
次に、ユーザは、準備した各装置を配置し、互いに通信可能に接続する。たとえば、ユーザは、各SI送出装置101をLANケーブル等によって互いに通信可能に接続する(ステップS32)。
次に、各SI送出装置101のうちのいずれか1つを運用系としてIP再送信システム301の運用を開始する(ステップS33)。
次に、ユーザは、保守作業のために切り替え指示をSI送出装置101に与える(ステップS34)。
次に、各SI送出装置101は、上述のように、セクションデータおよびCC値について不連続無しに他方のSI送出装置101との間で運用系および待機系を切り替える切り替え処理を行う(ステップS35)。
次に、ユーザは、PCのディスプレイ等において切り替え完了を確認し(ステップS36)、待機系に切り替えたSI送出装置101の電源をオフする等により、当該SI送出装置101をIP再送信システム301から非接続とする(ステップS36)。
次に、ユーザは、修理もしくはバージョンアップ等の完了したSI送出装置101、または新たなSI送出装置101と運用系のSI送出装置101とをLANケーブル等によって互いに通信可能に接続する(ステップS32)。
なお、本開示の実施の形態に係るSI送出装置では、TSパケット処理部22は、CC値を他方のSI送出装置101に通知し、かつセクションデータの最終が含まれるTSパケット送出までの継続またはセクションデータの先頭が含まれるTSパケットからの送出を行う構成であるとしたが、これに限定するものではない。各SI送出装置101におけるTSパケット処理部22が、カウント値の更新およびデータ送出におけるビット単位のタイミングで互いに同期することにより、カウント値およびセクションデータについての不連続の無い切り替えを行う構成であってもよい。このような厳密な同期を行う場合、SI送出装置101同士が互いに通信可能でなくてもよく、クロック同期のためのハード線等によってSI送出装置101同士が互いに接続される。
また、本開示の実施の形態に係るSI送出装置では、SI情報の種類ごとの各種ユニットを備える構成であるとしたが、これに限定するものではない。放送波におけるSI情報の種類が1つである場合、1つの種類のSI情報に対応する各種ユニットを備える構成であってもよい。
ところで、SI送出装置が冗長化されたSI送出システムにおいて、運用系のSI送出装置の保守交換等のために当該SI送出装置の出力を停止し、予備系のSI送出装置へ配信を切り替える際、再生装置において、SI情報の受信が不安定になったり、配信を監視する装置において異常の誤検知が生じたりする問題が考えられる。
これに対して、本開示の実施の形態に係るSI送出装置では、TSパケット処理部22は、SI情報が格納されたセクションデータを受けて、受けたセクションデータから、SI情報が分割して格納された複数のTSパケットであってカウント値を含むTSパケットを生成して出力する。送信部23は、TSパケット処理部22から受けたTSパケットを1または複数格納したIPパケットを生成して送信する。TSパケット処理部22は、運用系としての動作および待機系としての動作が可能であり、セクションデータおよびカウント値について不連続無しに他のSI送出装置101との間で運用系および待機系を切り替える切り替え処理を行う。
また、本開示の実施の形態に係るSI送出方法では、まず、SI情報が格納されたセクションデータを受けて、受けたセクションデータから、SI情報が分割して格納された複数のTSパケットであってカウント値を含むTSパケットを生成する。次に、生成したTSパケットを1または複数格納したIPパケットを生成して送信する。次に、セクションデータおよびカウント値について不連続無しに他のSI送出装置101との間で運用系および待機系を切り替える。
このような構成により、フレーム単位で完結したSI情報をより確実に再生装置へ伝送できるとともに、TSパケットのカウント値の不連続による再生装置におけるエラー等を防ぐことができる。これにより、運用系のSI出力装置の出力停止のタイミングおよび待機系のSI出力装置の出力開始のタイミングを単に合わせて切り替える構成と比べて、再生装置において、切り替え先のSI送出装置から伝送されるSI情報を安定して処理し、コンテンツの良好な視聴環境を提供したり、切り替えに伴う他の装置による異常の誤検知を防いだりすることが可能となる。
したがって、本開示の実施の形態に係るSI送出装置およびSI送出方法では、SI情報の送出装置を切り替え可能な構成において、再生装置への安定したSI情報の提供を実現することができる。
また、本開示の実施の形態に係るSI送出システムの運用方法では、まず、各SI送出装置101を接続する。次に、いずれかのSI送出装置101に切り替え指示を与える。次に、切り替え指示が与えられた後、各SI送出装置101が、セクションデータおよびカウント値について不連続無しに他方のSI送出装置101との間で運用系および待機系を切り替える切り替え処理を行う。次に、待機系に切り替えたSI送出装置101を非接続とする。
このような構成により、フレーム単位で完結したSI情報をより確実に再生装置へ伝送できるとともに、TSパケットのカウント値の不連続による再生装置におけるエラー等を防ぐことができる。これにより、運用系のSI出力装置の出力停止のタイミングおよび待機系のSI出力装置の出力開始のタイミングを単に合わせて切り替える構成と比べて、再生装置において、切り替え先のSI送出装置から伝送されるSI情報を安定して処理し、コンテンツの良好な視聴環境を提供したり、切り替えに伴う他の装置による異常の誤検知を防いだりすることが可能となる。
したがって、本開示の実施の形態に係るSI送出システムの運用方法では、SI情報の送出装置を切り替え可能な構成において、再生装置への安定したSI情報の提供を実現することができる。
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
以上の説明は、以下に付記する特徴を含む。
[付記1]
放送波に含まれるSI情報を送出するSI送出装置であって、
前記SI情報が格納されたフレームを受けて、受けた前記フレームから、前記SI情報が分割して格納された複数のTSパケットであってカウント値を含むTSパケットを生成して出力するTSパケット処理部と、
前記TSパケット処理部から受けた前記TSパケットを1または複数格納したIPパケットを生成して送信する送信部とを備え、
前記TSパケット処理部は、運用系としての動作および待機系としての動作が可能であり、前記フレームおよび前記カウント値について不連続無しに他の前記SI送出装置との間で運用系および待機系を切り替える切り替え処理を行い、
前記SI送出装置は、さらに、
前記SI情報が分割して格納された複数のTSパケットを受信し、受信した前記複数のTSパケットを格納した前記フレームを生成して前記TSパケット処理部へ出力する受信部を備え、
前記受信部は、複数の放送局にそれぞれ対応して設けられた複数のIP再送信装置から前記フレームを受信し、前記放送局ごとに前記フレームを生成する、SI送出装置。