JP2021156709A - 収差推定方法、収差推定装置、プログラム、および記憶媒体 - Google Patents

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Abstract

【課題】結像位置のずれに対してロバストに機能する収差推定方法、収差推定装置、プログラム、および記憶媒体を提供すること。【解決手段】収差推定方法は、被検光学系を介して形成された被写体の光学像の光強度分布を取得する第1取得ステップと、被検光学系の焦点ずれ量を取得する第2取得ステップと、光強度分布、および焦点ずれ量を用いて被検光学系の収差を推定する推定ステップとを有する。【選択図】図4

Description

本発明は、光強度分布を用いて光学系の収差を推定する、収差推定方法、収差推定装置、プログラム、および記憶媒体に関する。
カメラや望遠鏡などの光学機器では、機器の性能を評価および保証するためにレンズなどの光学系の収差が計測される。収差の計測では光の位相を計測する必要があるため、従来、干渉計やShack Hartmannセンサなどが用いられている。しかしながら、これらの測定装置は専用の光学モジュールを必要とするため、コストがかかり、装置も大がかりになってしまう。
特許文献1および非特許文献1には、光強度分布に基づいて後処理を実行することで収差を推定する方法が開示されている。これらの方法では、複数の強度計測結果に対し、最適化演算を行うことで収差を推定している。
特許第4411395号公報
天谷賢治、大友暢寛、大西有希、「低非点収差オフセットを持つスポット像からの収差逆解析」、計算数理工学論文集、Vol.15、論文No.17−151204、2015年12月 岡田和佳、天谷賢治、大西有希、「低解像度スポット像を用いた収差解析手法の開発」、光学41(12)、pp.627、2012年12月10日 Joseph Goodman,"Introduction to Fourier Optics", Roberts and Company Publishers
特許文献1および非特許文献1の方法では、光強度分布を計測する条件が予め定められた条件と一致している必要がある。しかしながら、被検光学系の結像位置は、光学系ごとに、又は設置するごとに変化するため、収差の推定精度を保つためには計測前に被検光学系、又は装置を調整し、所定の位置に合わせる必要がある。計測のたびに精密な調整を実施することは作業者にとって負担となる。作業者負担を減らすために専用の調整機構を設置すると、装置コストの増加を招く。
本発明は、結像位置のずれに対してロバストに機能する収差推定方法、収差推定装置、プログラム、および記憶媒体を提供することを目的とする。
本発明の一側面としての収差推定方法は、被検光学系を介して形成された被写体の光学像の光強度分布を取得する第1取得ステップと、被検光学系の焦点ずれ量を取得する第2取得ステップと、光強度分布、および焦点ずれ量を用いて被検光学系の収差を推定する推定ステップとを有することを特徴とする。
また、本発明の他の側面としての収差推定装置は、被検光学系を介して形成された被写体の光学像の光強度分布を取得する撮像素子と、被検光学系の焦点ずれ量を取得すると共に、光強度分布、および焦点ずれ量を用いて収差を推定する制御部とを有することを特徴とする。
本発明によれば、結像位置のずれに対してロバストに機能する収差推定方法、収差推定装置、プログラム、および記憶媒体を提供することができる。
本発明の実施形態に係る収差推定装置の概略図である。 計測位置と焦点ずれの関係を示す図である。 計測位置と焦点ずれの関係を示す図である。 収差推定方法を示すフローチャートである。 実施例1の焦点ずれ量を推定するための被写体を示す図である。 実施例1の計測位置とコントラストとの関係を示す図である。 実施例1の推定されたZernike多項式の係数を示す図である。 実施例2の計測位置と光強度分布の最大値との関係を示す図である。 実施例2の推定されたZernike多項式の係数を示す図である。 実施例3の焦点ずれ量を推定するための被写体を示す図である。
以下、本発明の好ましい実施の形態を、添付の図面に基づいて詳細に説明する。各図において、同一の部材については同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。
図1は、本発明の実施形態に係る収差推定装置100の概略図である。被写体101から発せられた光は、被検光学系102を介して撮像素子103の撮像面に結像され、被写体101の光学像を形成する。被写体101は例えば、ピンホールのような微小光源である。撮像素子103は、駆動装置104上に設置されている。駆動装置104は、コンピュータ(制御部)105によって制御されており、撮像素子103を指定の位置まで光軸に沿って移動させる。撮像素子103は、移動した各位置において、光学像の光強度分布を取得し、取得した光強度分布をコンピュータ105、又は不図示のデータ保持装置に保存する。コンピュータ105は、光強度分布に対して後処理を実行することで被検光学系102の収差を推定する。後処理は、コンピュータ105が実行してもよいし、別の演算装置が実行してもよい。また、ネットワークを通じてクラウド上に存在する演算装置が後処理を実行してもよい。
なお、本実施形態では、駆動装置104は、撮像素子103を移動させるが、本発明はこれに限定されない。後述するように、デフォーカス量を変えて計測を行うことができれば、被検光学系102を移動させてもよいし、被写体101を移動させてもよい。また、空間光変調器を用いて、デフォーカスに相当する位相変調を与えてもよい。
光軸方向の異なる位置で光強度分布を計測することは、複数のデフォーカス位置で光学像の光強度分布を取得することを意味する。ここで、デフォーカスとは計測位置が被検光学系102の結像位置と異なっていることを指し、デフォーカス位置とは被検光学系102の結像位置を基準とした光軸方向の位置を指す。デフォーカス量は、デフォーカス位置で表す以外にも、デフォーカス位置を被検光学系102の焦点深度で規格化した値を用いることもできるし、デフォーカスに関する波面収差の量で表すこともできる。表現の方法によって、本発明の主旨は変わるものではない。また、撮像位置が被検光学系102の結像位置と一致している場合はデフォーカス量、およびデフォーカス位置は0である。計測を行うデフォーカス位置は、収差の推定精度を保ちつつ、演算時間を短くするように設定すればよい。計測位置は、設定されたデフォーカス位置を基に決定される。例えば、装置設計上の結像位置を基準として、予め定められたデフォーカス量が得られる位置を計測位置とすればよい。以下、光軸に沿って装置から遠ざかる方向を正とする。
以下、算出される収差は被検光学系102の波面収差として説明を行うが、本発明によって計測可能な収差はこれに限るものではない。波面収差が得られれば、簡単な演算によって横収差量や縦収差量を算出可能である。また、複数の波長で計測を行うことで、色収差を計測可能である。更に、波面収差をZernike多項式で展開することで、コマ収差や球面収差等のザイデル収差に変換可能である。
コンピュータ105が実行する後処理の方法として、例えば、最適化がある。最適化は、目的関数の値が最も小さくなるように収差を逐次的に変更していくことで収差を推定する演算方法である。目的関数とは、最適化の各繰り返しステップにおける推定収差が計測結果を再現する度合を評価する量であり、例えば、推定収差から演算によって得られる光強度分布と計測で得られる光強度分布の差分二乗和や、振幅分布の差分二乗和等がある。目的関数は、問題に応じて適宜選択すればよい。なお、光強度分布を演算によって算出する方法として、例えば、非特許文献2や非特許文献3等に開示されている方法を用いることができる。
最適化の方法は種々存在し、例えば、最急降下法、共役勾配法、準ニュートン法等、ガウスニュートン法、Levenberg−Marquardt法等がある。使用する方法は、問題に応じて適宜選択すればよい。
最適化の演算負荷を減らすために収差を適当な関数で展開し、その係数を最適化変数とすることも可能である。収差を展開する関数として、例えば、Zernike多項式がある。Zernike多項式は、基底関数と収差の種類が対応しているため、収差を展開する関数として適している。
最適化を実行するためには初期値が必要となる。初期値として、無収差や設計値を用いることができる。初期値は真値に近いことが望ましいため、計測結果から最適化とは異なる方法で近似的に算出される近似収差を用いてもよい。例えば、強度輸送方程式を用いた収差推定を行うことで、繰り返し演算をすることなく近似収差を得ることができる。
上述した方法により、計測された光強度分布から被検光学系102の収差を推定することができる。しかしながら、実際の計測では、被検光学系102を設置する際の設置誤差によって、被検光学系102の実際の結像位置が装置設計上の結像位置からずれてしまう。以降、被検光学系102の設計上の結像位置を設計結像位置、被検光学系102の実際の結像位置を結像位置と称す。また、設計結像位置と結像位置との不一致を焦点ずれ、そのずれ量を焦点ずれ量と称す。また、結像位置が設計結像位置から光軸方向へ装置から遠ざかるようにずれている場合に焦点ずれ量を正とし、近づくようにずれている場合に負とする。
計測位置は設計結像位置を基準として決まっているため、焦点ずれがあると所望のデフォーカス位置とは異なった位置で計測が行われることになる。計測位置が所望のデフォーカス位置からずれることにより想定していた条件とは異なる条件で計測が行われることになり、後処理で得られる収差の推定精度が低下してしまう。
推定精度低下の要因の1つに点被写体のデフォーカス像に対する露光量調整のずれがある。露光量は、所定のデフォーカス位置での光学像を最良のSN比で計測できるように、事前に調整されている。焦点ずれがあると、想定された光量とは異なる量の光が撮像素子103に入射するため、適切な計測ができなくなる。例えば、図2に示されるように、結像位置近傍で結像位置を含む複数のデフォーカス位置で計測を行う場合を考える。107が計測位置、108が設計結像位置である。図2(a)では、計測位置が結像位置を含むように設定されているため、露光量は結像位置で信号が飽和しないように調整される。この条件下で、図2(b)に示されるように、正の焦点ずれがあると、負の計測位置で取得される点像は、想定している以上に像が広がってしまうため、信号雑音比(SN比)が増加し推定収差の精度が低下してしまう。
また、図3(a)に示されるように、結像位置から離れた位置で計測することを想定している場合では、結像位置から最も近いデフォーカス位置で信号が飽和しないように露光量が調整される。図3(b)に示されるように、正の焦点ずれがあると、正のデフォーカス位置では想定以上に光が集光されてしまうため、撮像素子の信号が飽和し、正しい点像が得られなくなる。逆に、負のデフォーカス位置では点像が広がりすぎてSN比が低下する。
また、最適化においても課題が生じる。最適化で収差を推定する場合、焦点ずれに関わる収差成分も同時に推定する必要がある。焦点ずれに関わる収差成分とは、例えば波面収差において収差量が瞳座標の2乗に比例して大きくなる成分のことで、Fringe Zernike多項式における第4項に相当する。この収差成分は焦点ずれが無い場合に(近似的に)0となり、焦点ずれの量に比例して大きくなる。焦点ずれが大きい場合、この収差成分が大きくなり、最適化が局所解に陥りやすくなる。その結果、推定精度の低下を招く。
最適化以外でも、初期値の算出や最適化を行う前処理等でデフォーカス位置の情報を用いることができる。焦点ずれがあると、デフォーカス位置の情報を利用している各演算処理において誤差が発生し、収差の推定精度が低下する。
上述した通り、焦点ずれがあると複数の要因が組み合わさって収差の推定精度が低下する。この問題を回避するため、焦点ずれがなくなるように測定前に被検光学系102を調整する方法が考えられるが、計測ごとに調整する必要があるため作業者の負担が増加する。また、カメラ等で用いられる位相差AF等のオ−トフォーカス(AF)機能を用いることで、作業者の負担無しに被検光学系102を調整する方法も考えられるが、AF用の素子を追加する必要があるため、装置コストが増加する。
そこで本実施形態では、低コストで高精度な収差推定を実現するため、焦点ずれがある場合でも高精度な収差推定が可能な方法を実行する。本実施形態では、計測済みの光強度分布から焦点ずれ量を取得し、得られた焦点ずれ量に基づいた後処理を実行する。
以下、図4を参照して、本発明の収差推定方法について説明する。図4は、収差推定方法を示すフローチャートである。
ステップS1(第1取得ステップ)では、コンピュータ105は、被検光学系102によって結像された光学像の光強度分布を、駆動装置104を動かすことで所定の計測位置で取得する。
ステップS2(第2取得ステップ)では、コンピュータ105は、得られた光強度分布から焦点ずれ量を取得する。使用する光強度分布は1つでもよいし、複数でもよい。焦点ずれ量の取得は、収差推定用の被写体であるピンホール、又は焦点ずれ算出用の被写体を用いて取得された光強度分布を解析することで行われる。焦点ずれ量は、取得した光強度分布に対する評価量、又は光強度分布から近似的に算出される収差量から取得される。
ステップS3では、コンピュータ105は、取得された焦点ずれ量に基づいて後処理を実行し、被検光学系102の収差を推定する。取得された焦点ずれ量は、ステップS301(選択ステップ)における光強度分布の選択、又はステップS302(設定ステップ)における演算パラメータの設定に利用される。ステップS303において、コンピュータ105は演算によって被検光学系102の収差を推定する。
本実施形態は、数学的にモデル化することができるため、コンピュータ・システムのソフトウェア機能として実装可能である。ここで、コンピュータ・システムのソフトウェア機能は、実行可能なコードを含んだプログラミング(プログラム)を含む。ソフトウェア・コードは、汎用コンピュータで実行可能である。ソフトウェア・コード動作中に、コード、または関連データ記録は、汎用コンピュータ・プラットフォーム内に格納される。しかしながら、その他の場合、ソフトウェアは他の場所に格納される、または適切な汎用コンピュータ・システムにロードされる。したがって、ソフトウェア・コードは、1つまたは複数のモジュールとして、少なくとも1つの機械可読媒体(記憶媒体)で保持可能である。
以下、本発明の好ましい実施例を詳細に説明する。
以下、本実施例の収差の推定方法を、シミュレーションを用いた解析によって説明する。本実施例は、図1の収差推定装置100によって実現される。被検光学系102のF値は4、計測波長λは524nm、撮像素子103のピクセルサイズは6.4μmとする。撮像素子103は、駆動装置104上に設置され、コンピュータ105によって指示された位置に移動する。被検光学系102は収差を持ち、Fringe Zernike多項式の展開係数で第5項が0.1λ、第7項が0.5λ、第8項が0.5λ、第9項が0.25λである。本実施例では、被検光学系102の結像位置が150μmの位置にある、すなわち焦点ずれ量が150μmであるとする。また、被写体101は、ピンホールと、これに隣接される白黒のラインチャートである。ラインチャートは図5に示される形状で、理想結像した場合の像面におけるサイズが幅20μmで長さ400μmの白いラインが間隔20μmで5本並んでいる。図5におけるxおよびyは像面での直交座標である。
本実施例における収差推定は、図4のフローチャートに沿って行われる。
ステップS1では、コンピュータ105は、複数の光強度分布を取得する。計測位置は、設計結像位置を基準として、−1610μmから80μmおきに計5箇所、−640μmから80μmおきに17箇所、1290μmから80μmおきに計5箇所の計27箇所とする。これらの計測位置をzとし、間隔80μmをdzとする。
ステップS2では、コンピュータ105は、取得したラインチャートの光強度分布から焦点ずれ量を取得する。コンピュータ105はまず、取得したラインチャートの光強度分布から画質を評価する評価量を各計測位置に対して算出する。具体的には、中心の3つの白色ラインの像からコントラストを算出する。図6は、計測位置とコントラストとの関係を示している。図6に示されるように、コントラストは150μm付近でピークを示している。ピーク位置と前後2点のデータを用いて2次関数フィットを行い、極値となる位置を焦点ずれ量Δzとした。得られた焦点ずれ量Δzは149μmであり、図6における点線で示される位置である。
ステップS301では、コンピュータ105は、得られた焦点ずれ量を用いて光強度分布の選択を行う。本実施例では、収差の推定を行うデフォーカス位置を−1450μm、−480μm、−400μm、−320μm、320μm、400μm、480μm、1450μmとする。これらのデフォーカス位置をzdef,iと表す。上述したように被検光学系102の結像位置は設計結像位置を基準に149μmの位置にあることがわかったため、この位置を基準として所定のデフォーカス位置zdef,iとなる以下の式(1)で表される位置の近傍で計測された光強度分布を選択する。
Figure 2021156709
ここで、[]は最も近傍の整数を選択する演算子である。本実施例で選択された計測位置は、−1290μm、−320μm、−240μm、−160μm、480μm、560μm、640μm、1610μmである。これらの位置で計測された光強度分布を用いて収差の推定が行われる。
ステップS302では、コンピュータ105は、焦点ずれ量を用いて演算パラメータの設定を行う。本実施例では、正負でデフォーカス量が最も大きくなる−1290μmと1610μmで計測された光強度分布から強度輸送方程式を解いて初期解の算出が行われ、残りの6つの光強度分布から最適化によって収差が推定される。焦点ずれがあることによって主に影響を受ける演算パラメータとして演算に用いる各光強度分布に対するデフォーカス位置がある。ステップS301においてデフォーカス位置zdef,iの近傍での光強度分布が選択されたが、計測の間隔dzが有限であるために、実際のデフォーカス位置はzdef,iと一致していない。このずれを補正するために、各光強度分布に対する実際のデフォーカス位置z’def,iが以下の式(2)を用いて算出される。
Figure 2021156709
式(2)の右辺の第2項と第3項の減算は、光強度分布の取得間隔が有限であるためにステップS301における光強度分布の選択で補正しきれなかった焦点ずれ量を示している。本実施例では、各光強度分布対する実際のデフォーカス位置z’def,iは、−469μm、−389μm、−309μm、331μm、411μm、491μmとなった。選択された光強度分布と各光強度分布対する実際のデフォーカス位置z’def,iを用いて演算を行うことで焦点ずれを補正することができる。
ステップS303では、コンピュータ105は、最適化によって被検光学系102の収差を推定する。最適化変数は、収差をFringe Zernike多項式で展開したときの第2項から第36項までの各係数をとした。
図7は、推定されたZernike多項式の係数を示している。従来例は焦点ずれの算出を行わず、デフォーカス位置−1450μm、480μm、−400μm、−320μm、320μm、400μm、480μm、1450μmと計測位置とが一致していると仮定して収差の推定を行った。更に、収差全体で評価するため、推定された収差と真の収差との残差RMSresを算出する。残差RMSresは、以下の式(3)で定義される。
Figure 2021156709
ここで、Westは推定された収差、Wは真の収差、和は瞳の開口領域内で行われ、
Figure 2021156709
は瞳の開口領域内でのデータ点数である。残差RMSresが小さいほど推定結果が正しいことを示す。従来例ではRMSresが53.2mλであるが、本発明ではRMSresが19.2mλとなり、本発明の方が高い精度で収差が推定されている。
本実施例では、デフォーカス位置で良好なSN比が得られるように、露光量は事前に調整されている。ただし、露光量の調整を行う段階では、被検光学系102の結像位置がどこにあるかはわからないため、設計結像位置を基準にして最もデフォーカス量が小さくなる−320μm又は320μmの位置で露光量を調整しておく。露光量は、調整用の参照光学系を用いて調整してもよいし、装置の設計値から決めてもよい。
本実施例では、修正する演算パラメータの例として、所定のデフォーカス位置zdef,iを示したが、これに限ることはない。最適化を行う際の初期値を修正してもよい。この場合、演算に用いる実際のデフォーカス位置z’def,をデフォーカス位置zdef,iと同一にしておき、焦点ずれ量から換算されるZernike第4項の係数を初期値として与えればよい。具体的には、以下の式(4)で表される係数C(単位をλとする)を初期値として与えればよい。
Figure 2021156709
ここで、NAは被検光学系102の像側開口数である。式(4)の右辺では、ステップS301における光強度分布の選択で補正しきれなかった焦点ずれ量が収差係数に換算されている。これにより、精度の高い収差推定が可能となる。
本実施例では、ステップS301、およびステップS302の処理を共に実行したが、どちらか片方のみを実行するだけでも収差の推定精度は向上する。仮に、ステップS301の処理を実行せずに、ステップS302の処理のみを実行する場合は演算に用いるデフォーカス位置z’def,iが以下の式(5)を用いて算出されればよい。
Figure 2021156709
または、最適化での初期値として、以下の式(6)で表される係数C4を与えればよい。
Figure 2021156709
焦点ずれ量を用いた演算パラメータの修正方法は、特定の方法に限定されない。本発明の主旨は算出された焦点ずれ量に基づいた後処理を実行することにあるため、焦点ずれ量の利用方法によって本発明が限定されるものではない。
本実施例では、焦点ずれを算出するための白黒チャートをピンホールの隣接位置に配置したが、ピンホールの真横に近接されている必要はない。白黒チャートは、ピンホールから距離のある場所に配置されていてもよい。その際、光軸方法のずれがあってもよい。光軸方向のずれが小さければ、そのずれは無視できる。仮に大きかったとしても、被検光学系102の焦点距離からレンズの式を用いてずれ量を補正すればよい。
また、本実施例では、焦点ずれ量を算出するための被写体として白黒のラインチャートを例示したが、光強度分布から結像性能を定量化する量が得られれば、本発明はこれに限定されない。例えば、白黒のエッジ被写体を用いてもよい。エッジ像の光強度分布に対して良く知られた周波数解析を行うことでMTF(Modulation Transfer Function)が算出される。各計測位置においてMTFを算出することで、焦点ずれ量を算出することができる。
また、本実施例では、最適化の初期値として強度輸送方程式を使った近似収差を例に示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、フーリエ変換を繰り返す方法で初期値を算出してもよい。
また、本実施例では、収差を推定するための被写体101としてピンホールを用いたが、被検光学系102によって像面の微小な領域に光強度分布が集中する像が形成されれば、本発明はこれに限定されない。例えば、遠方にある一般的な照明光源や、望遠鏡等で観測される天体等を被写体として用いてもよい。レーザーなどから発せられる平行平面波を被検光学系102に入射させてもよい。また、ピンホールを用いた場合でも、その開口の大きさは有限であって構わない。
また、本実施例では、説明を容易にするため光軸上近傍で議論を行ったが、光軸外に結像する光に対しても同様に機能する。本発明は、計測する像高に依存しない。
以下、本実施例の収差の推定方法を、シミュレーションを用いた解析によって説明する。本実施例は、実施例1と同様に、図1の収差推定装置100によって実現される。本実施例では、焦点ずれを算出するための被写体として点物体を用いる。他の条件は、実施例1と同一である。本実施例では、画像を評価する指標として、各点像の光強度分布の最大値を用いる。
図8は、本実施例の計測位置と光強度分布の最大値との関係を示す図である。最大値は、150μm付近でピークを示している。本実施例では、実施例1と同様に、前後2点のデータを用いて2次関数フィットを行い、極値となる位置を焦点ずれ量とした。得られた焦点ずれ量は149μmである。本実施例では、得られた焦点ずれ量を用いて、実施例1と同様に、式(1)で表される位置の近傍で計測された光強度分布を選択した。本実施例で選択された計測位置は、−1290μm、−320μm、−240μm、−160μm、480μm、560μm、640μm、1610μmである。また、本実施例では、実施例1と同様に、式(2)を用いて最適化で用いるデフォーカス位置z’def,iを算出した。デフォーカス位置算出されたz’def,iは、−469μm、−389μm、−309μm、331μm、411μm、491μmである。選択された光強度分布とデフォーカス位置z’def,iを用いて、被検光学系102の収差を推定した。
図9は、本実施例の推定されたZernike多項式の係数を示す図である。従来例は実施例1で示したものと同じである。従来例よりも本発明の方が真値に近い結果が得られている。残差RMSresで比較すると本発明では20.2mλであり、従来例の53.2mλに比べて精度が向上している。
本実施例では、焦点ずれを算出するために点物体を用いたが、収差推定を実行するために取得した点像を利用することも可能である。ただし、正しい焦点位置を算出するためには、計測範囲すべてで点像に対する露光量が適切に調整されている必要がある。したがって、露光量は点像の強度が最も強くなる位置、すなわち結像位置近傍で露光量が調整されている必要がある。この場合、図2(a)に示されるように、結像位置近傍での光強度分布から収差を推定することが適している。
以下、本実施例の収差の推定方法を説明する。本実施例は、実施例1と同様に、図1の収差推定装置100によって実現される。本実施例では、焦点ずれを算出するための被写体として図10の立体チャートを用いる。図10の立体チャートでは、高さ方向に沿って白黒ラインチャートが光軸方向106の異なる位置に設置されている。この被写体の光強度分布を取得すると、それぞれのラインチャートの像が光軸方向に異なる位置で撮影したデータと同等になるため、1つのデータから複数のデフォーカス位置でのコントラストを一括で計測できる。したがって、図6の結果が1つの撮影結果から取得される。得られたコントラスト値を用いて、焦点ずれ量を算出し、光強度分布の選択と演算パラメータの設定を行えば、実施例1と同様に高精度な収差推定が可能となる。
立体チャートの例はこれに限ることはない。高さ方向に沿って光軸方向の位置が変わる斜めチャートを用いても同様の効果が得られる。光軸方向に異なる位置に配置された被写体を用いることが本実施例の主旨であり、チャートの形状は特定のものに限られることはない。
以下、本実施例の収差の推定方法を、シミュレーションを用いた解析によって説明する。本実施例は、実施例1と同様に、図1の収差推定装置100によって実現される。本実施例では、焦点ずれ量を取得するための被写体を使用しない。すなわち、被写体101は、ピンホールのみである。他の条件は、実施例1と同一である。
本実施例における収差推定は、図4のフローチャートに沿って行われる。
ステップS1では、コンピュータ105は、複数の光強度分布を計測する。
ステップS2では、コンピュータ105は、焦点ずれ量を取得する。本実施例では、コンピュータ105は、近似収差から焦点ずれ量を取得する。−1450μm、および1450μmの2つの位置で取得された光強度分布から強度輸送方程式を解くことで近似収差が得られる。得られた近似収差はFringe Zernike多項式で展開され、焦点ずれに関わる項である第4項の係数Cが抽出される。抽出された係数Cは、1.14λである。係数Cは、以下の式(7)で焦点ずれ量Δzと関連付けられる。
Figure 2021156709
式(7)を用いて算出された焦点ずれ量Δzは、153μmである。得られた焦点ずれ量を用いて光強度分布の選択と演算パラメータの設定を行うことで、実施例1と同様に高精度な収差推定を実現できる。
本実施例では強度輸送方程式を解くことで近似収差を取得したが、別の演算方法を用いてもよい。例えば、フーリエ反復法や最適化演算を用いてもよい。
[その他の実施例]
本発明は、上述の実施例の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
101 被写体
102 被検光学系

Claims (12)

  1. 被検光学系を介して形成された被写体の光学像の光強度分布を取得する第1取得ステップと、
    前記被検光学系の焦点ずれ量を取得する第2取得ステップと、
    前記光強度分布、および前記焦点ずれ量を用いて前記被検光学系の収差を推定する推定ステップとを有することを特徴とする収差推定方法。
  2. 前記推定ステップは、前記焦点ずれ量を用いて前記収差を推定する際に使用する演算パラメータを設定する設定ステップを有することを特徴とする請求項1に記載の収差推定方法。
  3. 前記設定ステップでは、前記演算パラメータとして、デフォーカス位置が設定されることを特徴とする請求項2に記載の収差推定方法。
  4. 前記設定ステップでは、前記焦点ずれ量を用いて前記収差を推定する際に使用する初期値が設定されることを特徴とする請求項2又は3に記載の収差推定方法。
  5. 前記第1取得ステップでは、光軸方向において異なる複数の位置で計測された複数の光強度分布が取得され、
    前記推定ステップでは、前記複数の光強度分布の少なくとも1つを用いて前記収差が推定されることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の収差推定方法。
  6. 前記推定ステップは、前記焦点ずれ量を用いて前記複数の光強度分布から前記収差を推定する際に使用する光強度分布を選択する選択ステップを有することを特徴とする請求項5に記載の収差推定方法。
  7. 前記選択ステップでは、露光量が調整された位置で計測された光強度分布が選択されることを特徴とする請求項6に記載の収差推定方法。
  8. 前記被写体には、前記焦点ずれ量を取得するための被写体が含まれることを特徴とする請求項1乃至7の何れか一項に記載の収差推定方法。
  9. 前記推定ステップでは、焦点ずれに関わる収差成分が推定されることを特徴とする請求項1乃至8の何れか一項に記載の収差推定方法。
  10. 被検光学系を介して形成された被写体の光学像の光強度分布を取得する撮像素子と、
    前記被検光学系の焦点ずれ量を取得すると共に、前記光強度分布、および前記焦点ずれ量を用いて前記収差を推定する制御部とを有することを特徴とする収差推定装置。
  11. 請求項1乃至9の何れか一項に記載の収差推定方法をコンピュータに実行させるプログラム。
  12. 請求項11に記載のプログラムを、コンピュータで読み取り可能な記憶媒体。
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