JP2021155335A - 変形性関節症の処置および/または予防方法 - Google Patents

変形性関節症の処置および/または予防方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本願の課題は、軟骨の再生方法を提供することである。本願の別の課題は、変形性関節症の処置および/または予防方法を提供することである。【解決手段】歯髄幹細胞および/またはその培養上清を含む軟骨再生用の組成物、および、歯髄幹細胞を培養し、歯髄幹細胞および/またはその培養上清を回収することを含む、その製造方法を提供する。歯髄幹細胞および/またはその培養上清を含む、変形性関節症の処置および/または予防用の組成物、および、歯髄幹細胞を培養し、歯髄幹細胞および/またはその培養上清を回収することを含む、その製造方法を提供する。【選択図】図2

Description

本願は、軟骨を再生するための歯髄幹細胞および/またはその培養上清の使用、または、変形性関節症を処置および/または予防するための歯髄幹細胞および/またはその培養上清の使用に関する。
関節の表面は、関節軟骨に覆われている。変形性関節症では機械的刺激などにより関節軟骨の変性・磨耗を生じ、関節軟骨・骨の変形をもたらす。運動機能障害や激しい疼痛によって患者のQOLは著しく低下する。自覚症状を有する国内患者は1000万人と推定される。軟骨再生を促す治療薬はないが、昨今、自家軟骨細胞や滑膜由来間葉系幹細胞を採取・培養後に関節損傷部に移植する再生医療が実施され始めている。しかしながら、治療費は高額であり、自家細胞の採取や移植手術の侵襲は大きく、軟骨再生を促す新薬の開発が急務である。
歯髄幹細胞は、神経幹細胞と骨髄幹細胞の性質を併せ持ち、細胞外マトリックスおよび液性因子を多く産生する。これまでの研究により、歯髄幹細胞の培養上清が、抗炎症性組織再生型の単球系細胞を誘導することにより、様々な難治性疾患の病態を改善することが明らかにされた。例えば、特許文献1および2、非特許文献1および2は、歯髄幹細胞の培養上清またはその成分が損傷部および炎症性疾患の治療に有効であることを開示しており、特許文献3および4、非特許文献3および4は、歯髄幹細胞により産生されるMCP−1およびsSiglec−9が、炎症部位に存在するコンドロイチン硫酸と相互作用してM2マクロファージを誘導し、M2マクロファージが様々な栄養因子や免疫調節因子を産生し、組織を再生することを開示している。歯髄幹細胞またはその培養上清の軟骨細胞に対する直接的な作用は報告されていない。
国際公開第2011/118795号 国際公開第2014/126176号 国際公開第2014/098249号 特開2015−166694号公報
Ishikawa J, Takahashi N, Matsumoto T, Yoshioka Y, Yamamoto N, Nishikawa M, Hibi H, Ishigro N, Ueda M, Furukawa K, Yamamoto A. Factors secreted from dental pulp stem cells show multifaceted benefits for treating experimental rheumatoid arthritis. Bone. 2016;83:210-9. Shimojima C, Takeuchi H, Jin S, Parajuli B, Hattori H, Suzumura A, Hibi H, Ueda M, Yamamoto A. Conditioned Medium from the Stem Cells of Human Exfoliated Deciduous Teeth Ameliorates Experimental Autoimmune Encephalomyelitis. J Immunol. 2016;196(10):4164-71. Kano F, Matsubara K, Ueda M, Hibi H, Yamamoto A. Secreted Ectodomain of Sialic Acid-Binding Ig-Like Lectin-9 and Monocyte Chemoattractant Protein-1 Synergistically Regenerate Transected Rat Peripheral Nerves by Altering Macrophage Polarity. Stem Cells. 2017;35:641-653. Matsubara K, Matsushita Y, Sakai K, Kano F, Kondo M, Noda M, Hashimoto N, Imagama S, Ishiguro N, Suzumura A, Ueda M, Furukawa K, Yamamoto A. Secreted ectodomain of sialic acid-binding Ig-like lectin-9 and monocyte chemoattractant protein-1 promote recovery after rat spinal cord injury by altering macrophage polarity. J Neurosci. 2015;35:2452-2464.
本願は、軟骨の再生方法、または、変形性関節症の処置および/または予防方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、強制開口によるマウス変形性顎関節症モデルを用いて、歯髄幹細胞の培養上清を投与すると、関節表面の粗造化を改善し、関節軟骨細胞の増殖を促し、関節形態が再生することを見出した。
従って、ある態様では、本願は、歯髄幹細胞および/またはその培養上清を含む、軟骨再生用の組成物を提供する。
また別の態様では、本願は、歯髄幹細胞および/またはその培養上清を含む、変形性関節症の処置および/または予防用の組成物を提供する。
また別の態様では、本願は、歯髄幹細胞を培養し、歯髄幹細胞および/またはその培養上清を回収することを含む、軟骨再生用の組成物の製造方法を提供する。
また別の態様では、本願は、歯髄幹細胞を培養し、歯髄幹細胞および/またはその培養上清を回収することを含む、変形性関節症の処置および/または予防用の組成物の製造方法を提供する。
本願の開示により、軟骨の再生方法、または、変形性関節症の処置および/または予防方法が提供される。
図1は、顎関節症モデルマウスにおける歯髄幹細胞の培養上清の予防効果を示す。 図2は、顎関節症モデルマウスにおける歯髄幹細胞の培養上清の治療効果を示す。 図3は、顎関節症モデルマウスにおける歯髄幹細胞の培養上清の軟骨細胞増殖効果を示す。
特に具体的な定めのない限り、本明細書で使用される用語は、有機化学、医学、薬学、分子生物学、微生物学等の分野における当業者に一般に理解されるとおりの意味を有する。以下にいくつかの本明細書で使用される用語についての定義を記載するが、これらの定義は、本明細書において、一般的な理解に優先する。
本明細書では、数値が「約」の用語を伴う場合、その値の±10%の範囲を含むことを意図する。例えば、「約20」は、「18〜22」を含むものとする。数値の範囲は、両端点の間の全ての数値および両端点の数値を含む。範囲に関する「約」は、その範囲の両端点に適用される。従って、例えば、「約20〜30」は、「18〜33」を含むものとする。
本明細書において、歯髄幹細胞および/またはその培養上清を含む組成物を「本組成物」と称する。「歯髄幹細胞」は、歯髄に由来する体性幹細胞を意味する。歯髄幹細胞は、永久歯または乳歯に由来し得る。好ましくは、歯髄幹細胞は脱落した乳歯に由来する。歯髄幹細胞は、組成物を適用する対象と同一生物種に由来しても、異なる生物種に由来してもよく、好ましくは同一生物種に由来し(例えば、対象がヒトであれば、ヒト由来の歯髄幹細胞を用いる)、より好ましくは自家歯髄幹細胞である。歯髄幹細胞は、歯髄細胞中の接着性細胞として選別することができる。即ち、歯髄幹細胞は、乳歯や永久歯から採取した歯髄細胞に含まれる接着性細胞またはその継代細胞であり得る。また、細胞株として樹立された歯髄幹細胞を使用してもよい。あるいは、iPS細胞やES細胞などの多能性幹細胞から分化誘導された歯髄幹細胞を使用してもよい。
歯髄幹細胞は、軟骨再生および/または変形性関節症に対して歯髄幹細胞のものと同等の効果を有する限り、人為的に改変または導入された少なくとも1つの遺伝子を有してもよい。例えば、歯髄幹細胞の不死化を目的として、1、2、3、4またはそれ以上の遺伝子が導入されていてもよい。そのような歯髄幹細胞および/またはその培養上清の軟骨再生に対する効果は、例えば、歯髄幹細胞および/またはその培養上清を軟骨再生の評価系に供給し、軟骨再生への作用を評価することにより評価し得る。軟骨再生の評価系としては、例えば、本願の実施例に記載の方法、インビトロでの軟骨細胞増殖または軟骨細胞死の評価などを用いることができる。歯髄幹細胞および/またはその培養上清の変形性関節症に対する効果は、例えば、歯髄幹細胞および/またはその培養上清を変形性関節症の評価系に供給し、変形性関節症への作用を評価することにより評価し得る。変形性関節症の評価系としては、例えば、本願の実施例に記載の方法などを用いることができる。
「歯髄幹細胞の培養上清」は、歯髄幹細胞を培養して得られる培養液の上清である。培養上清は、実質的に細胞成分(歯髄幹細胞または歯髄細胞)を含まない。細胞成分は、培養後に細胞成分を分離除去することによって、除去される。培養液からの細胞成分の分離は、当業者に周知の方法で実施できる。さらに、培養液に対して各種処理(例えば、遠心処理、濃縮、溶媒の置換、透析、凍結、乾燥、凍結乾燥、希釈、脱塩、保存等)を適宜施してもよい。
歯髄幹細胞の培養には、基本培地、あるいは基本培地に血清等を添加したものを使用できる。基本培地としてはDMEMの他、イスコフ改変ダルベッコ培地(IMDM)(GIBCO社等)、ハムF12培地(HamF12)(SIGMA社、GIBCO社等)、RPMI1640培地等を用いることができる。二種以上の基本培地を併用してもよい。混合培地の一例として、IMDMとHamF12を等量混合した培地(例えば商品名:IMDM/HamF12(GIBCO社)として市販される)を挙げることができる。また、培地に添加可能な成分の例として、血清(ウシ胎仔血清、ヒト血清、羊血清等)、血清代替物(Knockout serum replacement(KSR)など)、ウシ血清アルブミン(BSA)、抗生物質、各種ビタミン、各種ミネラルを挙げることができる。
本組成物は、血清を含まないことが好ましい。例えば、血清を含まない培地(無血清培地)で歯髄幹細胞を培養することによって、血清を含まない培養上清を調製することができる。1回または複数回の継代培養を行い、最後または最後から数回の継代培養を無血清培地で培養することによっても、血清を含まない培養上清を得ることができる。一方、回収した培養上清から、透析やカラムによる溶媒置換などを利用して血清を除去することによっても、血清を含まない培養上清を得ることができる。
歯髄幹細胞の培養には、幹細胞に通常用いられる条件をそのまま、あるいは適宜変更して適用できる。歯髄幹細胞の培養上清の製造は、当業者であれば適宜行うことができる。例えば、出典明示により本明細書の一部とする国際公開第2011/118795号(特許文献4)、国際公開第2014/126176号(特許文献5)等の記載を参照し得る。また、例えば、以下のような操作で培養上清を取得してもよい。
まず、歯髄から選抜した接着性細胞(歯髄幹細胞)を、上記した培地で培養する。例えば、細胞を付着性細胞培養用ディッシュに播種し、適当な条件(例えば、5%CO、37℃)に調整したインキュベータにて培養する。必要に応じて継代培養を行う。例えば、肉眼で観察してサブコンフルエント(培養容器の表面の約70%を細胞が占める状態)からコンフルエント(培養容器の表面の約100%を細胞が占める状態)に達したときに細胞を培養容器から剥離して回収し、再度、培養液を満たした培養容器に播種する。継代培養を繰り返し行ってもよい。例えば継代培養を1〜8回行い、必要な細胞数(例えば、約1×10個/ml)まで増殖させる。培養容器からの細胞の剥離は、トリプシン処理など常法で実施することができる。以上の培養の後、細胞を回収して保存(例えば、4℃または−198℃で)してもよい。
十分な数の歯髄幹細胞を十分な時間培養した時点で回収した培養上清を、本組成物に用い得る。例えば、約70〜100%コンフルエント、好ましくは約80〜90%コンフルエントの歯髄幹細胞に培地を添加し、約12〜72時間、好ましくは約36〜60時間、例えば約48時間培養した後、培養上清を回収する。ある実施態様では、歯髄幹細胞を約80〜90%コンフルエントになるまで培養し、洗浄し、無血清培地を添加し、約48時間培養し、培養上清を回収する。培養上清は、例えば、スポイトやピペットなどを用いて回収することができる。
回収した培養上清は、そのまま、あるいは一以上の処理を経た後に、本組成物の有効成分として使用され得る。ここでの処理として、遠心処理、濃縮、溶媒の置換、透析、凍結、乾燥、凍結乾燥、希釈、脱塩、保存(例えば、4℃、−80℃)を例示することができる。
本培養上清に対して適宜濃縮処理を施すこともできる。即ち、本培養上清は濃縮物であってもよい。濃縮方法としては公知の手法から当業者であれば適宜選択して用いることができる。本培養上清は、凍結乾燥処理が施されていてもよい。即ち、本培養上清は、凍結乾燥物であってもよい。
本組成物は、軟骨再生のために用いることができる。本明細書で使用されるとき、「軟骨再生」は、インビボおよび/またはインビトロにおいて、軟骨細胞の増殖を促進すること、軟骨細胞死を抑制すること、および/または、軟骨基質の産生を促進すること、軟骨の機能を改善すること、軟骨の機能低下の進行を遅延または停止させることを意味する。
本組成物は、また、変形性関節症の処置および/または予防のために用いることができる。変形性関節症の例には、変形性顎関節症、変形性膝関節症、変形性股関節症、変形性足関節症、変形性肩関節症、変形性肘関節症、変形性手関節症、変形性手指関節症、変形性脊椎椎間関節症が含まれるが、これらに限定されない。
本明細書で使用されるとき、「処置する」または「処置」は、変形性関節症を有する対象において、変形性関節症の原因を軽減または除去すること、その進行を遅延または停止させること、および/または、その症状を軽減、緩和、改善または除去することを意味する。
本明細書で使用されるとき、「予防する」または「予防」は、対象において、特に、変形性関節症を発症する可能性が高いが、未だ発症していない対象において、変形性関節症の発症を防止すること、または、変形性関節症を発症する可能性を低減することを意味する。変形性関節症を発症する可能性があるが、未だ発症していない対象には、変形性関節症のリスク因子を有する対象が含まれる。リスク因子の例には、遺伝、職業、肥満、炎症性疾患、軟骨脆弱性、外傷、関節形成不全、関節動揺性、高齢(ヒトの場合、例えば50歳以上、60歳以上または70歳以上)が含まれるが、これらに限定されない。
本組成物は、歯髄幹細胞が培養中に分泌したタンパク質などの高分子化合物、並びに、低分子有機化合物を含み得る。さらに、本組成物は、培地由来の成分も含み得る。
本組成物は、液体状(液状、ゲル状など)および固体状(粉状、細粒、顆粒状など)の形態を採り得る。また、本組成物は、疾患の種類、疾患を有する個体の特徴、投与方法および投与量に応じて、公知の各種製剤形態を採り得る。例えば、錠剤、粉剤、粒剤、顆粒剤、細粒剤、カプセル剤、用時溶解する固形の注射剤、坐剤などの固形性剤、液状の注射剤(静注/筋注)、注入剤、点滴用剤などの液状性剤、点眼剤、スプレー剤、ローション剤、クリーム剤、貼付剤などの局所外用剤等が挙げられる。また、体内留置型の医療器具等に担持される形態を採ることもできる。そのほか、本組成物は、公知の薬学上許容される塩を含むことができる。当業者であれば、適切な製剤化が可能である。ある実施態様では、本組成物は、静脈投与用の製剤形態をとるものである。ある実施態様では、本組成物は、関節内投与用の製剤形態をとるものである。
本組成物は、その目的や製剤形態に応じて、製剤上許容される他の成分(例えば、担体、賦形剤、崩壊剤、緩衝剤、乳化剤、懸濁剤、無痛化剤、安定剤、保存剤、防腐剤、生理食塩水など)を含み得る。賦形剤としては乳糖、デンプン、ソルビトール、D−マンニトール、白糖等を用いることができる。崩壊剤としてはデンプン、カルボキシメチルセルロース、炭酸カルシウム等を用いることができる。緩衝剤としてはリン酸塩、クエン酸塩、酢酸塩等を用いることができる。乳化剤としてはアラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、トラガント等を用いることができる。懸濁剤としてはモノステアリン酸グリセリン、モノステアリン酸アルミニウム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ラウリル硫酸ナトリウム等を用いることができる。無痛化剤としてはベンジルアルコール、クロロブタノール、ソルビトール等を用いることができる。安定剤としてはプロピレングリコール、アスコルビン酸等を用いることができる。保存剤としてはフェノール、塩化ベンザルコニウム、ベンジルアルコール、クロロブタノール、メチルパラベン等を用いることができる。防腐剤としては塩化ベンザルコニウム、パラオキシ安息香酸、クロロブタノール等を用いることができる。抗生物質、pH調整剤、成長因子(例えば、上皮細胞成長因子(EGF)、神経成長因子(NGF)、脳由来神経栄養因子(BDNF))等を含んでもよい。
本組成物の投与経路は特に限定されない。適用部位や対象とする疾患に応じて公知の各種投与形態を採用できる。たとえば、非経口投与は、全身投与であってもよいし局所投与であってもよい。より具体的には、病変または疾患のある部位への注入、塗布または噴霧が挙げられる。また、静脈内投与、動脈内投与、門脈内投与、皮内投与、皮下投与、筋肉内投与、腹腔内投与、鼻腔内投与、口腔内投与、関節内投与等が挙げられる。ある実施態様では、本組成物を静脈内投与する。ある実施態様では、本組成物を関節内投与する。
本組成物の用法用量は特に限定されない。対象の性別、年齢、体重、病態等を勘案して設定することができる。例えば、約0.01〜約100ml/kg体重、約0.1〜約50ml/kg体重、約0.5〜約30ml/kg体重、または、約1〜約10ml/kg体重の培養上清が投与されるようにする。あるいは、例えば、乾燥重量で約0.01〜約500mg/kg体重、約0.1〜約300mg/kg体重、約1〜約100mg/kg体重、または、約5〜約50mg/kg体重の培養上清が投与されるようにする。投与スケジュールの作成においては、対象の性別、年齢、体重、病態などを考慮することができる。本組成物は、単回投与してもよく、複数回投与してもよい。複数回投与する場合、例えば、1日1回〜数回、2日〜7日に1回、1週〜数週に1回、1月〜数月に1回、投与し得る。ある実施態様では、本組成物を単回投与する。
本組成物が適用される対象としては、ヒトを含む哺乳動物(ペット、家畜、実験動物等)が挙げられる。例えば、ヒトのほか、イヌ、ネコ、ウサギ、マウス、ウシ、ブタ、ヤギ、ヒツジ、ウマ、サル、モルモット、ラットおよびマウス等が挙げられる。
ある態様では、本願は、歯髄幹細胞を培養し、歯髄幹細胞および/または培養上清を回収することを含む、本組成物の製造方法を提供する。この製造方法において、歯髄幹細胞の培養並びに歯髄幹細胞および/または培養上清の回収は上記の通りに実施することができるが、これらに限定されず、当業者に公知のいかなる方法を用いてもよい。この製造方法は、さらに、乳歯または永久歯から歯髄細胞を取得する工程、歯髄細胞集団に含まれる接着性細胞を歯髄幹細胞として選別し、取得する工程、並びに、当業者に知られている通常の製剤化の工程、例えば、歯髄幹細胞および/または培養上清を処理する工程、製剤上許容される他の成分を添加する工程、および/または、歯髄幹細胞および/または培養上清を各種製剤形態に調製する工程などを含み得る。
別の態様では、本願は、有効量の歯髄幹細胞および/またはその培養上清を対象に投与することを含む、軟骨再生方法を提供する。
また別の態様では、本願は、軟骨再生のための歯髄幹細胞および/またはその培養上清の使用を提供する。
また別の態様では、本願は、軟骨再生用の医薬を製造するための、歯髄幹細胞および/またはその培養上清の使用を提供する。
別の態様では、本願は、有効量の歯髄幹細胞および/またはその培養上清を対象に投与することを含む、変形性関節症の処置および/または予防方法を提供する。
また別の態様では、本願は、変形性関節症の処置および/または予防のための歯髄幹細胞および/またはその培養上清の使用を提供する。
また別の態様では、本願は、変形性関節症の処置および/または予防用の医薬を製造するための、歯髄幹細胞および/またはその培養上清の使用を提供する。
本願は、例えば、下記の実施態様を提供する。
[1]歯髄幹細胞および/またはその培養上清を含む、軟骨再生用の組成物。
[2]変形性関節症の処置および/または予防用の、第1項に記載の組成物。
[3]歯髄幹細胞および/またはその培養上清を含む、変形性関節症の処置および/または予防用の組成物。
[4]変形性関節症が、変形性顎関節症、変形性膝関節症、変形性股関節症、変形性足関節症、変形性肩関節症、変形性肘関節症、変形性手関節症、変形性手指関節症または変形性脊椎椎間関節症である、第2項または第3項に記載の組成物。
[5]変形性関節症が変形性顎関節症である、第2項〜第4項のいずれかに記載の組成物。
[6]変形性関節症が変形性膝関節症である、第2項〜第4項のいずれかに記載の組成物。
[7]歯髄幹細胞が乳歯に由来する、第1項〜第6項のいずれかに記載の組成物。
[8]歯髄幹細胞が自家歯髄幹細胞である、第1項〜第7項のいずれかに記載の組成物。
[9]歯髄幹細胞を含まない、第1項〜第8項のいずれかに記載の組成物。
[10]血清を含まない、第1項〜第9項のいずれかに記載の組成物。
[11]歯髄幹細胞を培養し、歯髄幹細胞および/またはその培養上清を回収することを含む、第1項〜第10項のいずれかに記載の組成物の製造方法。
本明細書で引用するすべての文献は、出典明示により本明細書の一部とする。
上記の説明は、すべて非限定的なものであり、添付の特許請求の範囲において定義される本発明の範囲から逸脱せずに、変更することができる。さらに、下記の実施例は、すべて非限定的な実施例であり、本発明を説明するためだけに供されるものである。
ヒト脱落乳歯歯髄幹細胞培養上清(SHED−CM)の調製
10cmディッシュを用いてDMEM(SIGMA ALORICH Co.USA)+10%FBS(SIGMA ALORICH Co USA)+1% Penicillin Streptomycin(Life Technologies Japan Ltd)でヒト脱落乳歯歯髄幹細胞を培養し、80〜90%コンフルエントになるまで培養を行った。PBSで2回洗浄した後に、無血清培養液(DMEM)を添加し、48時間培養を行った。上清を回収し、1500rpmで4〜5分間、3000rpmで5分間遠心分離し、その上清を、歯髄幹細胞培養上清として以下の実施例に使用した。
以下の実験は、Izawa T, Mori H, Shinohara T, Mino-Oka A, Hutami IR, Iwasa A, et al. (2016) Rebamipide Attenuates Mandibular Condylar Degeneration in a Murine Model of TMJ-OA by Mediating a Chondroprotective Effect and by Downregulating RANKL-Mediated Osteoclastogenesis. PLoS ONE 11 (4): e0154107. doi:10.1371/journal.pone.0154107 に記載の方法に準じて実施した。
試験1
11週齢ICRマウスに1日3時間の強制的開口処置を5日間実施し、側頭下顎関節に過剰な機械的負荷を加えた。SHED−CM投与群には、1日1回、0.5mlのSHED−CMを尾静脈投与した。5日目に顎関節をCT撮影した。代表的な結果を図1に示す。開口処置のみのマウス(パネルB)では顎関節の軟骨は表面粗造で変形していたが、SHED−CM投与群(パネルC)では、開口処置をしていないマウス(パネルA)と同様に、軟骨表面は滑らかであった。また、開口処置のみのマウスの体重は咀嚼障害により著しく減少したが、SHED−CM投与群の体重は減少しなかった。この結果は、SHED−CMは、関節の変形および機能の障害を予防し得ることを示す。
試験2
11週齢ICRマウスに1日3時間の強制的開口処置を5日間実施し、変形性顎関節症を発症させた(試験1参照)。開口処置をさらに5日間継続し、SHED−CM投与群には、1日1回、0.5mlのSHED−CMを尾静脈投与した。10日目に顎関節をCT撮影した。代表的な結果を図2に示す。開口処置のみのマウス(パネルB)では顎関節の軟骨は表面粗造で変形していたが、SHED−CM投与群(パネルC)では、開口処置をしていないマウス(パネルA)と同様に、軟骨表面は滑らかであった。また、10日目に顎関節組織の切片をヘマトキシリン・エオシン染色した。結果を図3に示す。SHED−CM非投与群(左)では、軟骨細胞の空胞化、骨梁の粗造化が見られた。一方、SHED−CM投与群(右)では、軟骨層の回復、骨梁の緻密化が認められた。さらに、サフラニンO染色およびトルイジンブルー染色においても、開口群では、軟骨細胞領域の著しい減少が認められた。これらの結果は、SHED−CMは、物理的ストレスによって生じた変形性顎関節症において、下顎頭軟骨の再生効果を発揮し、関節の変形および機能の障害を治療し得ることを示す。
以上の結果より、SHED−CMは、軟骨の再生、並びに変形性関節症の予防および治療に有用であることが示された。
本明細書の開示に従って、歯髄幹細胞および/またはその培養上清により軟骨の再生が可能になる。また、決定的な治療法が存在しなかった変形性関節症の処置および/または予防が可能になる。歯髄幹細胞は、従来廃棄されていた脱落乳歯から採取することができ、容易に入手し得る。

Claims (8)

  1. 歯髄幹細胞および/またはその培養上清を含む、軟骨再生用の組成物。
  2. 歯髄幹細胞を含まない、請求項1に記載の組成物。
  3. 血清を含まない、請求項1または2に記載の組成物。
  4. 歯髄幹細胞を培養し、培養上清を回収することを含む、請求項1〜3のいずれかに記載の組成物の製造方法。
  5. 歯髄幹細胞および/またはその培養上清を含む、変形性関節症の処置および/または予防用の組成物。
  6. 歯髄幹細胞を含まない、請求項5に記載の組成物。
  7. 血清を含まない、請求項5または6に記載の組成物。
  8. 歯髄幹細胞を培養し、歯髄幹細胞および/またはその培養上清を回収することを含む、請求項5〜7のいずれかに記載の組成物の製造方法。
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