JP2021153575A - 培地、及びラッカーゼの製造方法 - Google Patents

培地、及びラッカーゼの製造方法 Download PDF

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麻衣 志村
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凪左 和田
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Abstract

【課題】新規のラッカーゼの製造手段の提供。【解決手段】真菌を生育させるための培地であって、前記培地は、TEMPO酸化セルロースナノファイバーを含有し、前記培地は、前記真菌を生育させることにより、前記真菌にラッカーゼを産生させるための培地である、培地。ラッカーゼの製造方法であって、前記製造方法は、TEMPO酸化セルロースナノファイバーを含有する培地を用いて、真菌を生育させることにより、前記真菌にラッカーゼを産生させる工程を有する、ラッカーゼの製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、培地、及びラッカーゼの製造方法に関する。
ラッカーゼは自然界に広く分布する酵素であり、主なラッカーゼ産生菌類としては、木材腐朽菌、特に担子菌類及び子嚢菌類が挙げられる。ラッカーゼは、リグニンの分解、ウルシオール等のフェノール類の酸化、重合等の作用を有しており、有用性が高い。そのため産業界では、パルプの製造時におけるリグニンの除去、色素を含む廃水の処理、漆の製造等で利用されている。さらに、ポリ塩化ビフェニル(PCB)等の環境汚染物質の分解に、ラッカーゼを利用することも期待されている。
その一方で、自然界から取り出せるラッカーゼの量には限りがある。発酵技術を利用したラッカーゼの合成も検討されているが、銅イオンや芳香族化合物等の添加剤の使用が必要であるため、環境汚染の懸念があり、発酵液の解毒処理が必要であるなど、実用性が高いとはいえない。
このように、ラッカーゼは、産業上での利用価値が高いものの、生産量の増大を見込めず、大規模な利用には至っていない。
これらとは異なるラッカーゼの製造方法としては、特定種のラッカーゼ生産性の糸状菌によるラッカーゼ生産のための発酵過程において、特定種のカロテノイド生産性の微生物を添加することによって、前記糸状菌によるラッカーゼの生産を促進し、ラッカーゼを製造する方法が開示されている(特許文献1参照)。この製造方法では、ラッカーゼ生産性の糸状菌と、カロテノイド生産性の微生物と、の組み合わせとして、アギタケ(Pleurotus ferulae)とスポリディオボラス・パラロゼウス(Sporidiobolus pararoseus)との組み合わせ;ヒラタケ(Pleurotus ostreatus)とロドトルラ・ムチラギノーザ(Rhodotorula mucilaginosa)との組み合わせ;レイシ(Ganoderma Lucidum)とロドトルラ・ムチラギノーザ(Rhodotorula mucilaginosa)との組み合わせ、のいずれかを採用する。
特許第6560301号公報
特許文献1で開示されている製造方法では、カロテノイド生産性の微生物ではなく、その抽出物や、β−カロテンを添加した場合の製造方法も開示されているが、カロテノイド生産性の微生物を添加した方が、より酵素活性の高いラッカーゼが得られている。しかし、その場合には、カロテノイド生産性の微生物の併用が必要であるため、この微生物の使用と管理の分だけ、工程が煩雑であるという問題点があった。そこで、これまでに無い、新規のラッカーゼの製造方法の開発が望まれていた。
本発明は、新規のラッカーゼの製造手段を提供することを課題とする。
本発明は、真菌を生育させるための培地であって、前記培地は、TEMPO酸化セルロースナノファイバーを含有し、前記培地は、前記真菌を生育させることにより、前記真菌にラッカーゼを産生させるための培地である、培地を提供する。
本発明の培地においては、前記真菌がキノコであることが好ましい。
本発明の培地においては、前記ラッカーゼがビリルビンオキシダーゼであってもよい。
本発明は、ラッカーゼの製造方法であって、前記製造方法は、TEMPO酸化セルロースナノファイバーを含有する培地を用いて、真菌を生育させることにより、前記真菌にラッカーゼを産生させる工程を有する、ラッカーゼの製造方法を提供する。
本発明によれば、新規のラッカーゼの製造手段が提供される。
実施例1〜2及び比較例1〜2で得られたラッカーゼの酵素活性の測定結果を示すグラフである。 実施例3及び比較例3〜6で得られたラッカーゼの酵素活性の測定結果を示すグラフである。
<<培地>>
本発明の一実施形態に係る培地は、真菌を生育させるための培地であって、前記培地は、TEMPO酸化セルロースナノファイバー(本明細書においては、「TEMPO酸化CNF」と略記することがある)を含有し、前記培地は、前記真菌を生育させることにより、前記真菌にラッカーゼを産生させるための培地である。
本実施形態の培地は、TEMPO酸化CNFを含有していることにより、真菌を生育させることによって、真菌に酵素活性(ラッカーゼ活性)が十分に高いラッカーゼを産生させることを可能としており、新規な方法でのラッカーゼの製造を実現する。
本明細書においては、ラッカーゼの酵素活性とは、特に断りのない限り、ラッカーゼ活性を意味する。
<真菌>
本実施形態の培地の使用対象となる前記真菌は、ラッカーゼ産生能を有しており、ラッカーゼ産生菌である。
前記真菌は、TEMPO酸化CNFを利用して生育し、ラッカーゼを産生する。
前記真菌としては、例えば、木材腐朽菌、麹菌等が挙げられ、子実体(キノコ)であってもよい。すなわち、本実施形態においては、真菌の生育には、微生物の培養と、子実体(キノコ)の栽培(生育)と、の両方が含まれる。
木材腐朽菌は、セルロース、ヘミセルロース及びリグニン等の、いずれかの木材の主要成分を分解して、腐朽を引き起こす。
木材腐朽菌としては、例えば、シイタケ、ヒラタケ、マイタケ、エリンギ等の白色腐朽菌;オオウズラタケ、サルノコシカケ、ナミダタケ等の褐色腐朽菌;トリコデルマ(Trichoderma)属に属する微生物、カエトミウム(Caetomium)属に属する微生物等の軟腐朽菌等が挙げられる。
麹菌は、アスペルギルス(Aspergillus)属に属する微生物であり、その具体例としては、黄麹菌、白麹菌、黒麹菌等が挙げられる。
前記培地を用いて生育させる真菌は、1種のみのであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
真菌のうち、キノコは、それ自体の利用価値が高く、ラッカーゼを産生させる真菌として、特に好適である。
すなわち、前記真菌はキノコであることが好ましい。
<TEMPO酸化セルロースナノファイバー>
TEMPO酸化セルロースナノファイバー(TEMPO酸化CNF)とは、TEMPO、すなわち、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン 1−オキシル(2,2,6,6−tetramethylpiperidine 1−oxyl)の触媒作用によって、セルロースを化学変性させて得られたセルロースナノファイバー(本明細書においては、「CNF」と略記することがある)である。
セルロースナノファイバーとしては、例えば、セルロース若しくはその誘導体で、繊維幅が3〜200nmのミクロフィブリル又はミクロフィブリル集合体となっているものが挙げられる。
前記培地において、前記培地の総質量に対する、TEMPO酸化CNFの含有量の割合は、真菌の生育が良好となるように適宜調節すればよく、特に限定されない。
なかでも、前記割合は、0.05〜4質量%であることが好ましく、0.1〜2.5質量%であることがより好ましく、例えば、0.2〜1.5質量%、及び0.3〜1質量%のいずれかであってもよい。前記割合が前記下限値以上であることで、真菌が産生するラッカーゼの酵素活性が、より高くなる。前記割合が前記上限値以下であることで、TEMPO酸化CNFの過剰使用がより抑制される。
ラッカーゼの酵素活性は、酵素としてラッカーゼを含有する液体(本明細書においては、「酵素液」と称することがある)を用いて、公知の方法で測定できる。
例えば、ABTS、すなわち、2,2’−アジノ−ビス(3−エチルベンゾチアゾリン−6−スルホン酸)ジアンモニウム塩(2,2’−Azino−bis(3−ethylbenzothiazoline−6−sulfonic acid) diammonium salt, C1816(NH)を基質として用い、ABTS水溶液と、緩衝液と、酵素液と、を用意し、これらを混合して得られた反応液を検体とする。この検体中では、ラッカーゼの酵素作用によって、ABTSが酸化されていく。ABTSの酸化物は、波長420nmでの吸光度が大きいため、ABTS水溶液は、本来は透明であるが、ラッカーゼにより酸化されると、その色が青色に変化する。混合後(換言すると反応開始後)、一定時間(例えば数分)が経過するまで、この検体について、波長420nmでの吸光度A420を継続的に測定し、A420が直線的に増大する範囲で、波長420nmでの吸光度の増加量ΔA420と、それに対応した反応時間(min)を求める。そして、下記式(i)に各数値を代入することにより、ラッカーゼの酵素活性を算出できる。式(i)中、「36」とは、波長420nmでのABTSのモル吸光係数(36000M−1・cm−1)に由来する。
[ラッカーゼの酵素活性(U/mL)]={ΔA420×[反応液量(mL)]}/{[反応時間(min)]×36×[酵素液量(mL)]} (i)
ここで、ラッカーゼの総酵素活性1Uは、上記の反応によって、1分間に1μmolのABTSを酸化する酵素量、と定義され、下記式(ii)の関係を満たす。
[ラッカーゼの総酵素活性(U)]=[ラッカーゼの酵素活性(U/mL)]×[酵素液量(mL)] (ii)
前記培地は、液状及び固形状のいずれであってもよい。
前記培地が液状である場合、TEMPO酸化CNFは培地中で偏在していてもよいが、均一に分散していることが好ましい。
前記培地が固形状である場合、TEMPO酸化CNFは培地中に偏在していてもよいし、均一に分散していてもよいが、偏在している場合には、培地中の真菌を生育させる部位とその近傍領域に、偏在していることが好ましい。
<他の成分>
前記培地は、TEMPO酸化CNF以外に、真菌の生育に必要な他の成分を含有していてもよい。
前記他の成分は特に限定されず、真菌の種類等に応じて、適宜選択できる。
前記他の成分は、例えば、有機成分及び無機成分のいずれであってもよい。
前記培地は、例えば、公知の培地に、TEMPO酸化CNFが添加されたものであってもよい。
前記培地が含有する前記他の成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
前記他の成分としては、例えば、おが屑、コーンコブ等の基材;米ぬか、フスマ、オカラ、コーンブラン、豆皮等の栄養材;水;ペプトン;酵母エキス;硫酸鉄、硫酸マグネシウム、リン酸二水素カリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素二カリウム、塩化カルシウム、硫酸マンガン(II)、硫酸亜鉛、硫酸銅(II)等の金属塩等が挙げられる。
前記金属塩のうち、水和物が存在するものは、前記培地の製造時において、その金属水和物を配合してもよい。
前記培地が前記基材を含有する場合、前記培地において、前記培地の総質量に対する、基材の含有量の割合は、真菌の生育が良好となるように適宜調節すればよく、特に限定されない。
なかでも、前記割合は、30〜70質量%であることが好ましく、35〜65質量%であることがより好ましく、例えば、40〜60質量%、及び45〜55質量%のいずれかであってもよい。前記割合が前記下限値以上であることで、真菌がより良好に生育し、ラッカーゼの産生量がより多くなる。前記割合が前記上限値以下であることで、基材の過剰使用がより抑制される。
前記培地が前記栄養材を含有する場合、前記培地において、前記培地の総質量に対する、栄養材の含有量の割合は、真菌の生育が良好となるように適宜調節すればよく、特に限定されない。
なかでも、前記割合は、3〜40質量%であることが好ましく、5〜35質量%であることがより好ましく、例えば、10〜30質量%、及び15〜25質量%のいずれかであってもよい。前記割合が前記下限値以上であることで、真菌がより良好に生育し、ラッカーゼの産生量がより多くなる。前記割合が前記上限値以下であることで、栄養材の過剰使用がより抑制される。
前記培地が水を含有する場合、前記培地において、前記培地の総質量に対する、水の含有量の割合は、真菌の生育が良好となるように適宜調節すればよく、特に限定されない。
なかでも、特に、固形状の培地の場合、前記割合は、55〜75質量%であることが好ましく、60〜70質量%であることがより好ましい。前記割合が前記下限値以上であることで、水を用いたことによる効果が、より顕著に得られる。前記割合が前記上限値以下であることで、水の過剰使用がより抑制される。後述する実施例では、いずれもこれらの条件を満たしている。
前記培地が液状の場合、前記培地において、前記培地の総質量に対する、水の含有量の割合は、89.5〜99.3質量%であることが好ましい。
ペプトン、酵母エキス及び金属塩は、液状の培地での含有成分として好ましい。
前記培地が液状の場合、前記培地において、前記培地の総質量に対する、ペプトンの含有量の割合は、0.5〜5質量%であることが好ましい。
前記培地が液状の場合、前記培地において、前記培地の総質量に対する、酵母エキスの含有量の割合は、0.05〜0.5質量%であることが好ましい。
前記培地が液状の場合、前記培地において、前記培地の総質量に対する、金属塩の含有量の割合は、0.1〜1質量%であることが好ましい。
前記培地において、前記培地の総質量に対する、前記培地の1種又は2種以上の上述の含有成分の合計含有量の割合は、100質量%を超えない。
前記培地がTEMPO酸化CNF、前記基材、前記栄養材及び水を含有する場合、前記培地において、前記培地の総質量に対する、TEMPO酸化CNF、基材、栄養材及び水の合計含有量の割合は、真菌の生育が良好となるように適宜調節すればよく、特に限定されない。
なかでも、前記割合は、80〜100質量%であることが好ましく、85〜100質量%であることがより好ましく、90〜100質量%であることがさらに好ましく、例えば、95〜100質量%であってもよい。前記割合が前記下限値以上であることで、真菌がより良好に生育する。
前記培地がTEMPO酸化CNF、ペプトン、酵母エキス、金属塩及び水を含有する場合、前記培地において、前記培地の総質量に対する、TEMPO酸化CNF、ペプトン、酵母エキス、金属塩及び水の合計含有量の割合は、真菌の生育が良好となるように適宜調節すればよく、特に限定されない。
なかでも、前記割合は、90〜100質量%であることが好ましく、93〜100質量%であることがより好ましく、例えば、95〜100質量%であってもよい。前記割合が前記下限値以上であることで、真菌がより良好に生育する。
TEMPO酸化CNFを含有する培地としては、これまでに、「特開2019−41731号公報」において、セルロース分解菌用培地が開示されている。前記公報には、セルロース分解菌は、セルロースの加水分解酵素であるセルラーゼを有する菌類であり、セルラーゼを用いることによって、セルロースを最終産物であるグルコース又はオリゴ糖にまで分解すること、セルロース分解菌は、通常、この最終産物を栄養源として利用することが開示されている。また、前記公報には、このような培地を用いて、セルロース分解菌を生育させることにより、セルロース分解菌は、セルロースとしてTEMPO酸化CNFを分解することが、開示されている。
しかし、前記公報には、前記セルロース分解菌用培地を用いて、セルロース分解菌にラッカーゼを産生させることについては、一切開示されていない。そして、一般的に、セルロース分解菌は、必ずラッカーゼを産生する、とはいえない。
また、前記公報には、前記セルロース分解菌用培地を用いて、子実体(キノコ)を生育させることは、具体的に開示されていない。
これに対して、本実施形態の培地を用いて、真菌を生育させることにより、真菌はTEMPO酸化CNFという特定範囲のCNFを利用して生育し、ラッカーゼを産生し、しかもその酵素活性(ラッカーゼ活性)が高い。
また、本実施形態の培地を用いることで、子実体(キノコ)は、実際に良好に生育し、酵素活性が高いラッカーゼを産生する。
真菌のこれらラッカーゼ産生特性を引き出す本実施形態の培地は、前記公報の記載内容からは、容易に想到し得るものではない。
一方、ラッカーゼの製造方法としては、先の説明のとおり、「特許第6560301号公報(前記特許文献1)」において、特定種のラッカーゼ生産性の糸状菌と、特定種のカロテノイド生産性の微生物と、を併用する方法が開示されている。しかし、この製造方法では、先の説明のとおり、カロテノイド生産性の微生物の使用と管理が必要であり、工程が煩雑である。そして、前記公報には、この製造方法も含めて、開示されているすべての製造方法で得られるラッカーゼの酵素活性は、80.3〜10000U/Lとなっている。
これに対して、本実施形態の培地を用いて、真菌を生育させることにより、他の微生物の併用は必須とせずに、酵素活性が、例えば、12U/mL(12000U/L)以上、30U/mL(30000U/L)以上等のラッカーゼを得ることが可能であり、簡略化された工程で、酵素活性が際立って高いラッカーゼが得られる。
本実施形態の培地を用いて得られるラッカーゼの酵素活性については、後ほど詳しく説明する。
本実施形態の培地は、TEMPO酸化CNFを含有していることにより、酵素活性(ラッカーゼ活性)が十分に高いラッカーゼを産生させることが可能となっている。これに対して、TEMPO酸化CNF以外のCNF、例えば、機械解繊セルロースナノファイバー(機械解繊CNF)を用いた場合には、このような効果は得られない。
前記機械解繊CNFは、TEMPOを用いることなく、水等の分散媒中で、セルロースナノファイバー前駆体(CNF前駆体)に対して機械解繊処理を行うことにより、セルロースナノファイバー分散液(CNF分散液)を得る工程を有する製造方法で製造されたCNFである。
前記培地は、TEMPO酸化CNFと、前記他の成分と、を配合することで製造できる。
各成分の配合は、例えば、15〜40℃の温度条件下で行うことができ、常温下で行ってもよい。
本明細書において、「常温」とは、特に冷やしたり、熱したりしない温度、すなわち平常の温度を意味し、例えば、15〜25℃の温度等が挙げられる。
また、各成分の配合は、例えば、常圧下で行うことができる。
前記培地の製造時に用いるTEMPO酸化CNFは、例えば、取り出し若しくは精製によって、純品となっている状態で配合してもよいし、後処理によって、TEMPO酸化CNF以外の成分との混合物の状態となっているものを配合してもよいし、TEMPO酸化CNFの製造時に得られた、TEMPO酸化CNF以外の成分との混合物の状態となっているものを、そのまま配合してもよい。
<<ラッカーゼの製造方法>>
本発明の一実施形態に係るラッカーゼの製造方法は、TEMPO酸化CNFを含有する培地を用いて、真菌を生育させることにより、前記真菌にラッカーゼを産生させる工程(本明細書においては、「ラッカーゼ産生工程」と略記することがある)を有する。
本実施形態の製造方法で用いる前記培地は、先に説明した、本発明の一実施形態に係る培地である。
本実施形態の製造方法で用いる前記真菌は、先に説明した真菌である。
前記ラッカーゼ産生工程において、真菌の生育は、例えば、前記培地及び真菌を用いる点を除けば、菌類を生育させる公知の方法と同じ方法で行うことができる。すなわち、前記培地の使用方法は、公知の培地の使用方法と同じであってもよい。
前記培地が液状である場合には、真菌の生育時には、前記培地を静置してもよいし、振とう(すなわち、振とう培養)してもよい。
前記培地が固形状である場合には、真菌の生育時には、前記培地を静置しておけばよい。
前記ラッカーゼ産生工程は、例えば、前記培地を滅菌処理した後、得られた滅菌済み培地に真菌を植菌し、滅菌済み培地中又は滅菌済み培地上で、植菌した真菌を生育させることで、行うことができる。
前記ラッカーゼ産生工程においては、例えば、植菌後の真菌をある程度生育させておき、培地中又は培地上の、生育した真菌の一部を取り除く、所謂「菌掻き処理」を行うことが好ましい。菌掻き処理を行うことによって、真菌の生育度を向上させることができる。
真菌として子実体(キノコ)を生育させる場合には、例えば、植菌した種菌を生育させ、子実体としての形態での生育がはっきりとは認められない段階で、菌掻き処理を行うことが好ましい。このようにすることで、子実体の生育度が顕著に向上する。
前記ラッカーゼ産生工程において、真菌生育時の温度は、真菌の種類に応じて適宜選択すればよく、特に限定されない。
通常、真菌生育時の温度は、13〜50℃であることが好ましく、15〜35℃であることがより好ましい。前記温度がこのような範囲内であることで、真菌の生育度がより向上する。
菌掻き処理を行う場合には、菌掻き処理の前後で、真菌生育時の温度は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
前記培地が固形状の場合、前記ラッカーゼ産生工程において、真菌生育時の相対湿度は、真菌の種類に応じて適宜選択すればよく、特に限定されない。
通常、真菌生育時の相対湿度は、50〜99%であることが好ましく、60〜85%であることがより好ましい。前記相対湿度が前記下限値以上であることで、真菌の生育度がより向上する。前記相対湿度が前記上限値以下であることで、相対湿度が過剰となることが避けられる。
菌掻き処理を行う場合には、菌掻き処理の前後で、真菌生育時の湿度は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
前記ラッカーゼ産生工程において、真菌の生育時間は、真菌の種類、真菌生育時の温度、真菌生育時の相対湿度、培地の態様(固形状又は液状)等に応じて、適宜選択すればよく、特に限定されない。
通常、真菌の生育時間(日数)は、10〜180日間であることが好ましく、25〜70日間であることがより好ましい。前記生育時間が前記下限値以上であることで、真菌の生育度がより向上する。前記生育時間が前記上限値以下であることで、前記ラッカーゼ産生工程の所要時間が過剰な長さとなることが避けられる。
前記ラッカーゼ産生工程においては、真菌が前記培地中のTEMPO酸化CNFを利用して、良好に生育し、酵素活性が十分に高いラッカーゼを産生する。
本実施形態のラッカーゼの製造方法は、前記ラッカーゼ産生工程と、それ以外の他の工程と、を有していてもよい。
前記他の工程は、特に限定されず、目的に応じて任意に選択できる。
前記他の工程としては、例えば、前記ラッカーゼ産生工程後の前記培地から、産生されたラッカーゼを分離する工程(本明細書においては、「分離工程」と略記することがある)等が挙げられる。
前記分離工程は、例えば、前記ラッカーゼ産生工程後の前記培地から、ラッカーゼを含有する液体(例えば、ラッカーゼの水溶液)を抽出又は分離することにより、行うことができる。
前記分離工程においては、さらに、前記ラッカーゼを含有する液体中でラッカーゼを沈殿させ、ラッカーゼの沈殿を前記液体から取り出してもよい。
本実施形態の製造方法によれば、前記培地を用いることにより、真菌に酵素活性が十分に高いラッカーゼを産生させることでき、酵素活性が十分に高いラッカーゼを製造できる。
例えば、本実施形態の製造方法で得られるラッカーゼの酵素活性は、好ましくは12U/mL以上であり、例えば、30U/mL以上、100U/mL以上、150U/mL以上、200U/mL以上、250U/mL以上、300U/mL以上、及び340U/mL以上のいずれかであってもよい。
一方、本実施形態の製造方法で得られるラッカーゼの酵素活性の上限値は、特に限定されないが、例えば、500U/mL以下のラッカーゼは、比較的容易に製造できる。
真菌を生育させた後、例えば、子実体(キノコ)を生育させ、収穫した後の培地は、一般的には廃菌床等と呼ばれ、従来であれば、廃棄されるものである。しかし、本実施形態のこの段階の培地は、真菌が産生したラッカーゼを含有している。すなわち、本実施形態の培地は、真菌を生育させるだけでなく、ラッカーゼの産生の場ともなっており、従来の培地よりも有効活用の点で俄然優れている点で、顕著に有用である。
本実施形態の好ましい培地の一例としては、真菌を生育させるための培地であって、
前記培地は、TEMPO酸化セルロースナノファイバーと、基材と、栄養材と、水と、を含有する固形状の培地であり、
前記培地において、前記培地の総質量に対する、前記TEMPO酸化セルロースナノファイバーの含有量の割合が、0.05〜4質量%であり、
前記培地において、前記培地の総質量に対する、前記基材の含有量の割合が、30〜70質量%であり、
前記培地において、前記培地の総質量に対する、前記栄養材の含有量の割合が、3〜40質量%であり、
前記培地において、前記培地の総質量に対する、前記水の含有量の割合が、55〜75質量%であり、
ただし、前記培地において、前記培地の総質量に対する、前記TEMPO酸化セルロースナノファイバー、基材、栄養材及び水の合計含有量の割合は、100質量%を超えず、
前記培地は、前記真菌を生育させることにより、前記真菌にラッカーゼを産生させるための培地である、培地が挙げられる。
本実施形態の好ましい培地の他の例としては、真菌を生育させるための培地であって、
前記培地は、TEMPO酸化セルロースナノファイバーと、ペプトンと、酵母エキスと、金属塩と、水と、を含有する液状の培地であり、
前記培地において、前記培地の総質量に対する、前記TEMPO酸化セルロースナノファイバーの含有量の割合が、0.05〜4質量%であり、
前記培地において、前記培地の総質量に対する、前記ペプトンの含有量の割合が、0.5〜5質量%であり、
前記培地において、前記培地の総質量に対する、前記酵母エキスの含有量の割合が、0.05〜0.5質量%であり、
前記培地において、前記培地の総質量に対する、前記金属塩の含有量の割合が、0.1〜1質量%であり、
前記培地において、前記培地の総質量に対する、前記水の含有量の割合が、89.5〜99.3質量%であり、
ただし、前記培地において、前記培地の総質量に対する、前記TEMPO酸化セルロースナノファイバー、ペプトン、酵母エキス、金属塩及び水の合計含有量の割合は、100質量%を超えず、
前記培地は、前記真菌を生育させることにより、前記真菌にラッカーゼを産生させるための培地である、培地が挙げられる。
この培地においては、前記ラッカーゼがビリルビンオキシダーゼであってもよい。
以下、具体的実施例により、本発明についてより詳細に説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施例に、何ら限定されるものではない。
[実施例1]
<<培地の製造>>
保水したおが屑(327g)、米ぬか(130g)、水(193g)及びTEMPO酸化CNF(4g)を混合することにより、TEMPO酸化セルロースナノファイバーを含有する培地(654g)を得た。
<<ラッカーゼの製造>>
<培地の滅菌処理>
上記で得られた培地の全量を、透明なキノコ栽培用のビンに充填し、培地の中心部に穴を1つ開け、ビンに蓋をした。
次いで、ビンごとこの培地をオートクレーブ装置内に設置し、98℃、1時間の条件下で培地を予備滅菌処理した後、引き続き120℃、45分の条件下で培地を滅菌処理した。
次いで、オートクレーブ装置内の温度を80℃まで下げてから、ビンをクリーンベンチ内に移動させ、ビン(培地)の温度が15℃になるまで静置した。
以上により、滅菌済み培地を得た。
<真菌の生育(ラッカーゼの製造)>
前記クリーンベンチ内において、上記で得られた滅菌済み培地が充填されているビンの蓋を開け、滅菌済み培地上に、ヒラタケの種菌H67号(10g)を載せた。
次いで、直ちにビンに蓋をして、ビンごとこの植菌済み滅菌済み培地をインキュベーター内に設置し、温度20℃、相対湿度70%の条件下で種菌を30日間培養した。
次いで、ビンをインキュベーター内から取り出し、蓋を外して、培地の表面を削ることにより、菌掻き処理を行った。そして、ビンに蓋をした。
次いで、ビンごとこの培地をインキュベーター内に設置し、温度15℃、相対湿度90%の条件下で、種菌を子実体(ヒラタケ)に生育させ、ヒラタケにラッカーゼ産生させた。この間の生育時間は14日間であった。
以上により、前記ラッカーゼ産生工程を行った。
次いで、ビンをインキュベーター内から取り出し、蓋を外して、ヒラタケを収穫した。
以上により、ラッカーゼを含有する培地を得た。
<<培地の評価>>
<粗酵素液の調製>
ヒラタケを収穫後のビン内の培地のうち、上部、中部及び下部からそれぞれサンプルを取り出し、このサンプル(15g)を、濃度が10mMであるリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)(30mL)中に添加し、得られた混合液を、シェーカーを用いて、127rpm、4℃の条件で一晩振とうした。
次いで、この振とう後の混合液を、10000G、30分、4℃の条件で遠心分離することにより、混合液から固形分を除去した。
次いで、この固形分を除去後の液体に対して、その液量に対して5質量%の量のベントナイトを添加し、得られた混合液を4℃で30分撹拌した。
次いで、この撹拌後の混合液を、10000G、30分、4℃の条件で遠心分離することにより、混合液から細かい不溶物を除去した。
次いで、この不溶物を除去後の液体に対して、濃度が70質量%である飽和硫酸アンモニウム水溶液を添加して、タンパク質を沈殿させ、この沈殿を含む液体を、10000G、30分、4℃の条件で遠心分離することにより、沈殿を取り出した。
ここまでの工程は、前記分離工程に相当する。
この取り出した沈殿を、濃度が50mMであるリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)(5mL)中に添加し、撹拌して懸濁させることにより、粗酵素液を得た。
以上により、培地の上部、中部及び下部からそれぞれ取り出した3種のサンプルに対応した、3種の粗酵素液を調製した。
<ラッカーゼの酵素活性の測定>
濃度が50mMであるクエン酸ナトリウム緩衝液(pH3.0)に、基質としてABTSを添加し、溶解させることにより、ABTSの濃度が10mMであるABTS溶液を調製した。
前記ABTS溶液(250μL)と、濃度が50mMであるクエン酸ナトリウム緩衝液(pH3.0)(730μL)と、精製水(19μL)と、前記粗酵素液(1μL)と、を混合し、得られた反応液(1mL)を検体とした。得られた検体において、ABTSの濃度は2.5mMであり、クエン酸ナトリウムの濃度は36.5mMであった。
上記で得られた3種の検体について、波長420nmで3分間、吸光度を測定した。そして、波長420nmでの吸光度の増加量ΔA420と、反応時間(min)を求め、前記式(i)により、ラッカーゼの酵素活性(U/mL)を求めた。結果を図1に示す。図1中、「上」、「中」、「下」とは、それぞれ培地のサンプルの取り出し部位を意味する。
<<培地の製造、ラッカーゼの製造、及び培地の評価>>
[実施例2]
ヒラタケの種菌として、H67号に代えてKH−83号を用いた点と、種菌の培養日数を30日間に代えて15日間とした点、以外は、実施例1の場合と同じ方法で、培地及びラッカーゼを製造し、培地を評価した。結果を図1に示す。
[比較例1]
培地の製造時に、TEMPO酸化CNFを用いなかった点と、種菌の培養日数を30日間に代えて35日間とした点、以外は、実施例1の場合と同じ方法で、培地及びラッカーゼを製造し、培地を評価した。結果を図1に示す。
[比較例2]
培地の製造時に、TEMPO酸化CNFを用いなかった点と、種菌の培養日数を15日間に代えて20日間とした点、以外は、実施例2の場合と同じ方法で、培地及びラッカーゼを製造し、培地を評価した。結果を図1に示す。
図1から明らかなように、実施例1〜2においては、ヒラタケが産生したラッカーゼの酵素活性は、すべての検体で45U/mL以上(45〜346U/mL)となっており、極めて高かった。最も酵素活性が高い検体に着目すると、実施例1〜2においては、ラッカーゼの酵素活性が220U/mL超となっており、極めて高かった。なかでも、実施例1においては、ラッカーゼの酵素活性が346U/mLとなっており、特に高かった。
実施例1〜2においては、培地の種類が同じであるため、実施例1で用いたヒラタケの方が、実施例2で用いたヒラタケよりも、酵素活性が高いラッカーゼの産生の点で優れていた。
これに対して、比較例1〜2においては、ヒラタケが産生したラッカーゼの酵素活性は、極めて低かった。実施例1及び比較例1の比較、並びに実施例2及び比較例2の比較から、培地のTEMPO酸化CNFの含有の有無が、ラッカーゼの酵素活性の程度に大きな影響を及ぼしていることを確認できた。
[実施例3]
<<培地の製造>>
濃度が10g/Lのペプトン、濃度が1.0g/Lの酵母エキス、濃度が1.0g/Lのリン酸二水素カリウム、濃度が0.25g/Lのリン酸水素二ナトリウム十二水和物、濃度が13.2mg/Lの塩化カルシウム二水和物、濃度が1.08mg/Lの硫酸マンガン(II)五水和物、濃度が1.0mg/Lの硫酸亜鉛七水和物、濃度が2.0mg/Lの硫酸銅(II)五水和物、濃度が0.1g/Lの硫酸鉄(II)七水和物、濃度が0.5g/Lの硫酸マグネシウム七水和物、及び濃度が5.0g/LのTEMPO酸化CNFを混合し、さらに蒸留水を添加することで、全体の液量を50mLに調節した。
次いで、得られた水溶液のpHを6.00に調節することにより、TEMPO酸化CNFを含有する培地を得た。
<<ラッカーゼの製造>>
<培地の滅菌処理>
上記で得られた培地を、121℃で20分オートクレーブ滅菌することにより、滅菌済み培地を得た。
<真菌の生育(ラッカーゼの製造)>
上記で得られた滅菌済み培地に、ヒラタケNBRC104981株を植菌し、シェーカーを用いて、この植菌済み滅菌済み培地を26℃、100rpmの条件で振とうすることにより、振とう培養を行い、前記ラッカーゼ産生工程を行った。培養(振とう培養)は30日間行った。
以上により、ラッカーゼを含有する培地を得た。
なお、ここで用いたヒラタケNBRC104981株は、独立行政法人製品評価技術基盤機構バイオテクノロジーセンターより分譲可能である。
<<培地の評価>>
<粗酵素液の調製>
培養を開始してから30日が経過するまでの間に、適宜培地からサンプルを取り出し、このサンプル(1mL)を12000rpm(10020G)、4℃、30分の条件で遠心分離することにより、上清を得た。そして、この上清を粗酵素液とした。
この工程は、前記分離工程に相当する。
<ラッカーゼの酵素活性の測定>
上記で得られた粗酵素液を用いて、実施例1の場合と同じ方法で、ラッカーゼの酵素活性(U/mL)を求めた。結果を図2に示す。
<<培地の製造、ラッカーゼの製造、及び培地の評価>>
[比較例3]
培地の製造時に、TEMPO酸化CNFに代えて、同量のグルコースを用いた点以外は、実施例3の場合と同じ方法で、培地及びラッカーゼを製造し、培地を評価した。結果を図2に示す。
[比較例4]
培地の製造時に、TEMPO酸化CNFに代えて、同量の機械解繊CNFを用いた点以外は、実施例3の場合と同じ方法で、培地及びラッカーゼを製造し、培地を評価した。結果を図2に示す。
[比較例5]
培地の製造時に、TEMPO酸化CNFに代えて、同量の粉末セルロースを用いた点以外は、実施例3の場合と同じ方法で、培地及びラッカーゼを製造し、培地を評価した。結果を図2に示す。
[比較例6]
培地の製造時に、TEMPO酸化CNFに代えて、同量のセロウロン酸を用いた点以外は、実施例3の場合と同じ方法で、培地及びラッカーゼを製造し、培地を評価した。結果を図2に示す。
図2から明らかなように、実施例3においては、ヒラタケが産生したラッカーゼの酵素活性が、培養を開始してから15日目に最大となった。このとき、培地50mL中の総活性が650U程度であり、ラッカーゼの酵素活性は13.3U/mLであった。また、このときの高活性のラッカーゼを特定したところ、ビリルビンオキシダーゼ(EC1.3.3.5)であった。このとき、上記で得られた粗酵素液を精製し、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS PAGE)法で分離した目的物を、液体クロマトグラフ質量分析法(LC/MS/MS)で分析することにより、ラッカーゼがビリルビンオキシダーゼ(EC1.3.3.5)であることを特定した。
これに対して、比較例3〜6においては、ヒラタケが産生したラッカーゼの酵素活性は、実施例3の場合よりも明らかに低かった。
比較例3においては、ラッカーゼの酵素活性が、培養を開始してから15日目に最大となり、このときの酵素活性は6.8U/mLであった。
比較例4においては、ラッカーゼの酵素活性が、培養を開始してから15日目に最大となり、このときの酵素活性は7.8U/mLであった。
比較例5においては、ラッカーゼの酵素活性が、培養を開始してから7日目に最大となり、このときの酵素活性は1.9U/mLであった。
比較例6においては、ラッカーゼの酵素活性が、培養を開始してから15日目に最大となり、このときの酵素活性は6.7U/mLであった。
本発明は、ラッカーゼの製造に利用可能である。

Claims (4)

  1. 真菌を生育させるための培地であって、
    前記培地は、TEMPO酸化セルロースナノファイバーを含有し、
    前記培地は、前記真菌を生育させることにより、前記真菌にラッカーゼを産生させるための培地である、培地。
  2. 前記真菌がキノコである、請求項1に記載の培地。
  3. 前記ラッカーゼがビリルビンオキシダーゼである、請求項1又は2に記載の培地。
  4. ラッカーゼの製造方法であって、
    前記製造方法は、TEMPO酸化セルロースナノファイバーを含有する培地を用いて、真菌を生育させることにより、前記真菌にラッカーゼを産生させる工程を有する、ラッカーゼの製造方法。
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