[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示の回路構成体は、次の通りである。
(1)クラッド材で構成された第1バスバーと、第2バスバーと、前記第1バスバー及び前記第2バスバーの間に位置する絶縁部分を含む絶縁部材と、前記絶縁部分を跨ぐように前記第1バスバー及び前記第2バスバーの上に設けられた電子部品とを備え、前記電子部品は、前記第1バスバーに接合された接続端子を有する、回路構成体である。本開示によると、第1バスバーがクラッド材で構成されていることから、第1バスバーのうち電子部品の接続端子が接合される部分の材料として、接合が容易な材料を用いることができる。そのため、電子部品の接続端子を第1バスバーに接合し易くすることができる。一方で、接合が容易な材料の線膨張係数と絶縁部材の線膨張係数の差が大きい場合がある。この場合においても、第1バスバーを構成する他の部分の材料として、その線膨張係数が絶縁部材の線膨張係数に近いものを選択することによって、第1バスバー全体の線膨張係数を絶縁部材の線膨張係数に近づけることができる。これにより、接続端子を第1バスバーに接合し易くするともに、接続端子と第1バスバーの接合部分に熱応力が発生しにくくなる。その結果、当該接合部分の信頼性が向上する。
(2)前記第1バスバーは、第1金属層と、前記第1バスバーの厚み方向において前記第1金属層に積層された第2金属層とを有し、前記接続端子は、前記第2金属層に接合されていてもよい。この場合、クラッド材で構成された第1バスバーを、第1金属層及び第2金属層を積層することによって簡単に作製することができる。また、第2金属層として第1金属層よりも電子部品の接続端子との接合が容易な金属層を用いた場合には、第2金属層に対する電子部品の接続端子の接合を容易にしつつ、第1バスバー全体としての線膨張係数を絶縁部材の線膨張係数に近づけることができる。
(3)前記第1金属層はアルミニウム層であって、前記第2金属層は、銅層、あるいは表面に金属メッキが施された銅層であってもよい。この場合、クラッド材で構成された第1バスバーをアルミニウム及び銅を用いて簡単に作製することができる。また、銅の方がアルミニウムよりも電子部品の接続端子との接合が容易である一方、アルミニウムは銅よりも線膨張係数が絶縁部材に近い。したがって、第2金属層に対する電子部品の接続端子の接合を容易にしつつ、第1バスバー全体としての線膨張係数を絶縁部材の線膨張係数に近づけることができる。
(4)前記第1金属層の線膨張係数は、前記第2金属層の線膨張係数よりも、前記絶縁部材の線膨張係数に近くてもよい。この場合、第1金属層としては、電子部品の接続端子との接合性を考慮することなく、線膨張係数が絶縁部材の線膨張係数に近い金属層を採用することができる。
(5)前記絶縁部分の上端面は、前記第1金属層の上面と面一、あるいは当該上面よりも下側に位置してもよい。この場合、第2金属層は、周囲温度の変化による絶縁部分の変形の影響を受けにくくなる。その結果、第2金属層と接続端子の接合部分に熱応力がさらに発生しにくくなる。したがって、第2金属層として、絶縁部材との線膨張係数の差が大きな金属層を用いることができる。
(6)前記第1バスバー、前記第2バスバー及び前記絶縁部材は一体成形されていてもよい。この場合、回路構成体では、第1バスバー、第2バスバー及び絶縁部材を一体化するための部材が不要となる。これにより、回路構成体の構成を簡素化することができる。
(7)前記第2バスバーは、クラッド材で構成されていてもよい。この場合、第2バスバー全体の線膨張係数を絶縁部材の線膨張係数に近づけることができる。
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の回路構成体の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されず、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内におけるすべての変更が含まれることが意図される。
[実施形態1]
<回路構成体の概略説明>
図1は本実施形態に係る回路構成体1Aを示す概略斜視図である。回路構成体1Aは、例えば、電気接続箱900(後述の図16参照)に組み込まれる。電気接続箱900は、例えば、自動車において、バッテリと各種電装部品との間の電力供給路に設けられる。
図1に示されるように、回路構成体1Aは、入力側バスバー2(単にバスバー2ともいう)と、出力側バスバー3(単にバスバー3ともいう)と、入力側バスバー2と出力側バスバー3とを電気絶縁するための絶縁部材4とを備える。回路構成体1Aは、さらに、配線基板5と、複数の電子部品6と、電子部品7と、コネクタ8と、複数の導電片9とを備える。
バスバー2及び3は導電部材である。各電子部品6は例えばスイッチング素子である。具体的には、各電子部品6は例えばMOESFET(metal-oxide-semiconductor field-effect transistor)である。MOSFETは、半導体スイッチング素子の一種である。電子部品7は例えばダイオードである。具体的には、電子部品7は例えばツェナーダイオードである。以後、電子部品6をMOSFET6と呼ぶことがある。また、電子部品7をツェナーダイオード7と呼ぶことがある。電子部品6はMOSFET以外のスイッチング素子であってもよい。また、電子部品6は、スイッチング素子以外の電子部品であってもよい。電子部品7はツェナーダイオード以外のダイオードであってもよい。また、電子部品7はダイオード以外の電子部品であってもよい。
複数のMOSFET6のドレイン端子は、例えば互いに電気的に接続されている。また、複数のMOSFET6のソース端子は、例えば互いに電気的に接続されている。ツェナーダイオード7は、MOSFET6のドレイン端子とソース端子との間に過電圧が印加されることを防止するための電子部品である。ツェナーダイオード7のカソード端子は、例えば、複数のMOSFET6のドレイン端子に電気的に接続されている。ツェナーダイオード7のアノード端子は、例えば、複数のMOSFET6のソース端子に電気的に接続されている。各MOSFET6のドレイン端子は入力側バスバー2に電気的に接続されている。各MOSFET6のソース端子は出力側バスバー3に電気的に接続されている。MOSFET6のドレイン端子、ソース端子及びゲート端子のそれぞれは接続端子ともいえる。同様に、ツェナーダイオード7のカソード端子及びアノード端子のそれぞれは接続端子ともいえる。本例では、回路構成体1Aは4個のMOSFET6を備えているが、回路構成体1Aが備えるMOSFET6の数はこの限りではない。
バスバー2は、例えば、板状の金属部材である。バスバー2は、例えば、本体部20と当該本体部20から突出する入力端子部21とを備える。本体部20と入力端子部21は、同一平面上に位置する。本体部20は、例えば、略L字型の板状部分である。本体部20は、第1部分201と、当該第1部分201とL字状を成す第2部分202とを備える。弟1部分201及び第2部分202のそれぞれは、例えば長方形の板状部分である。第1部分201には、各MOSFET6のドレイン端子が電気的に接続されている。第2部分202には、ツェナーダイオード7のカソード端子が電気的に接続されている。入力端子部21は、板状部分であって、弟2部分202の長手方向の一端から突出している。入力端子部21は、その厚み方向に貫通する貫通孔210を有する。入力端子部21には、例えば、バッテリから延びる配線部材が、貫通孔210が利用されて接続される。例えば、配線部材が備える接続端子の貫通孔と、入力端子部21の貫通孔210とにボルトが通された後に、当該ボルトにナットが取り付けられることによって、入力端子部21に配線部材の接続端子がボルト止めされる。入力端子部21には、配線部材を通じてバッテリの出力電圧が与えられる。入力端子部21に与えられたバッテリの出力電圧は、本体部20を通じて各MOSFET6のドレイン端子に与えられる。
バスバー3は、例えば、板状の金属部材である。バスバー2及び3は同一平面上に位置する。バスバー3は、本体部30と当該本体部30から突出する出力端子部31とを備える。本体部30と出力端子部31は、同一平面上に位置する。本体部30は、例えば長方形の板状部分である。本体部30上には配線基板5が設けられている。本体部30は、本体部20の第1部分201及び第2部分202と隣り合うように、本体部20と同一平面上に位置する。本体部30の長手方向は、第1部分201の長手方向と平行となっている。本体部30には、各MOSFET6のソース端子とツェナーダイオード7のアノード端子とが電気的に接続されている。
出力端子部31は板状部分であって、本体部30の短手方向の一端から突出している。出力端子部31は、入力端子部21と隣り合うように同一平面上に位置する。出力端子部31は、その厚み方向に貫通する貫通孔310を有する。出力端子部31には、例えば、電装部品から延びる配線部材が、入力端子部21と同様に、貫通孔310が利用されて接続される。出力端子部31には、MOSFET6のソース端子から出力される電圧が与えられる。出力端子部31に与えられた電圧は、配線部材を通じて電装部品に対して例えば電源として与えられる。
絶縁部材4は、バスバー2及び3を電気絶縁しつつ、当該バスバー2及び3を保持する。絶縁部材4は、例えば絶縁性樹脂で構成されている。具体的には、絶縁部材4は、例えば、PPS(Poly Phenylene Sulfide Resin)で構成されている。絶縁部材4は、例えば、バスバー2及び3と一体成形されている。絶縁部材4は、例えばインサート成形によって、バスバー2及び3と一体成形されている。絶縁部材4は、枠状の絶縁部分41と、当該絶縁部分41と繋がるL字状の絶縁部分42とを備える。枠状の絶縁部分41は、本体部20及び30の周囲を取り囲むように本体部20及び30に取り付けられている。L字状の絶縁部分42は、L字状の本体部20と本体部30の間に位置する。絶縁部分42は、本体部20の第1部分201と本体部30の間に位置するとともに、本体部20の第2部分202と本体部30の間に位置する。バスバー2及び3は、絶縁部分42によって電気絶縁されている。
配線基板5は、例えば、長方形の板状部材である。配線基板5は、バスバー3の本体部30上に設けられている。配線基板5は、例えば、絶縁基板50と、当該絶縁基板50に設けられた導電層51とを有する。絶縁基板50は、例えば、セラミック基板であってもよいし、樹脂を含む基板であってもよい。後者の場合、絶縁基板50は、ガラスエポキシ基板であってもよいし、樹脂を含む他の基板であってもよい。絶縁基板50の厚さは、例えば、0.4mm以上0.6mm以下に設定されてもよい。導電層51は、銅で構成されてもよいし、他の金属で構成されてもよい。導電層51は、例えば、絶縁基板50の上面上に設けられている。配線基板5は、その上面に導電層51を有する。配線基板5は、単層基板であってもよいし、多層基板であってもよい。配線基板5は、上面だけではなく、下面に導電層を有してもよいし、内層に導電層を有してもよい。各MOSFET6のゲート端子は、配線基板5の導電層51に電気的に接続されている。本例では、配線基板5はリジッド基板であるが、シート状のフレキシブル基板であってもよいし、リジッド基板とフレキシブル基板が一体化された複合基板であってもよい。
コネクタ8は、配線基板5の上面上に設けられている。コネクタ8には、複数のMOSFET6のゲート端子が、配線基板5の導電層51を通じて電気的に接続されている。各MOSFET6は、コネクタ8を通じて外部からスイッチング制御される。
複数の導電片9は、複数のMOSFET6にそれぞれ対応して設けられている。各導電片9は、それに対応するMOSFET6のソース端子とバスバー3との間の電気抵抗を低減するために設けられている。導電片9は、例えば、銅で構成されてもよいし、他の金属で構成されてもよい。前者の場合、導電片9は、例えば無酸素銅で構成されてもよい。この無酸素銅は、例えば、日本工業規格(JIS:Japanese Industrial Standards)で定められているC1020の無酸素銅が採用される。また、導電片9は銅合金で構成されてもよい。
<回路構成体の詳細説明>
図2は回路構成体1Aを示す概略平面図である。図3は、図2に示される矢視A−Aの断面構造を示す概略図である。図4は、図2に示される矢視B−Bの断面構造を示す概略図である。図5は、図2に示される矢視C−Cの断面構造を示す概略図である。図6は、回路構成体1Aが備えるバスバー2、バスバー3、絶縁部材4及び配線基板5の一例を示す概略斜視図である。図6では、バスバー3から引き離された配線基板5が示されている。
<バスバーの構成例>
バスバー2は、例えばクラッド材で構成されている。クラッド材はクラッドメタルとも呼ばれる。本例では、バスバー2は、例えば2層で構成されている。図3〜5に示されるように、バスバー2は、下面側の金属層250(下層金属層250ともいう)と、上面側の金属層260(上層金属層260ともいう)とを備える。金属層250及び260は、バスバー2の厚み方向において積層されている。金属層250及び260は、例えば、組立圧延法、鋳込圧延法、爆発圧着法、肉盛溶接法あるいは拡散溶接法などで、互いに接合されている。金属層250と金属層260の境界面は、例えば拡散接合されている。
バスバー2は、例えば、銅とアルミニウムのクラッド材で構成されている。本例では、下層金属層250は、例えばアルミニウム層であって、上層金属層260は、例えば銅層である。下層金属層250は、例えば純アルミニウムで構成される。この純アルミニウムは、例えば、JISで定められるA1050の純アルミニウムが採用される。上層金属層260は、例えば無酸素銅で構成されている。この無酸素銅は、例えば、JISで定められているC1020の無酸素銅が採用される。
金属層250の線膨張係数は、例えば、金属層260の線膨張係数より、絶縁部材4の線膨張係数に近くなっている。本例では、PPSで構成された絶縁部材4の線膨張係数は、例えば40ppm/℃である。純アルミニウムで構成された金属層250の線膨張係数は、例えば24ppm/℃である。無酸素銅で構成された金属層260の線膨張係数は、例えば17ppm/℃である。線膨張係数は熱膨張係数と呼ばれることがある。また、上層金属層260の導電率は、下層金属層250の導電率よりも大きい。
バスバー2の上面及び下面のそれぞれは、例えば平坦となっている。つまり、上層金属層260の上面と下層金属層250の下面のそれぞれは、例えば平坦となっている。金属層250の厚みは、例えば、金属層260の厚みよりも大きく設定されている。例えば、金属層250の厚みは3mmに設定され、金属層260の厚みは2mmに設定されてもよい。
バスバー3は、バスバー2と同様に、例えばクラッド材で構成されている。本例では、バスバー3は、例えば2層で構成されている。図3〜5に示されるように、バスバー3は、下面側の金属層350(下層金属層350ともいう)と、上面側の金属層360(上層金属層360ともいう)とを備える。金属層350及び360は、例えば、組立圧延法、鋳込圧延法、爆発圧着法、肉盛溶接法あるいは拡散溶接法などで、互いに接合されている。金属層350と金属層360の境界面は、例えば拡散接合されている。
バスバー3は、例えば、銅とアルミニウムのクラッド材で構成されている。本例では、下層金属層350は、例えばアルミニウム層であって、上層金属層360は、例えば銅層である。下層金属層350は、例えば純アルミニウムで構成される。この純アルミニウムは、例えば、JISで定められるA1050の純アルミニウムが採用される。上層金属層360は、例えば無酸素銅で構成されている。この無酸素銅は、例えば、JISで定められているC1020の無酸素銅が採用される。
金属層350の線膨張係数は、例えば、金属層360の線膨張係数より、絶縁部材4の線膨張係数に近くなっている。本例では、純アルミニウムで構成された金属層350の線膨張係数は、例えば24ppm/℃である。無酸素銅で構成された金属層360の線膨張係数は、例えば17ppm/℃である。また、上層金属層360の導電率は、下層金属層350の導電率よりも大きい。
バスバー3の下面は、例えば平坦となっている。つまり、下層金属層350の下面は、例えば平坦となっている。バスバー3の下面は、例えば、バスバー2の下面と同一平面上に位置する。一方で、バスバー3の上面は、図6に示されるように、他の領域よりも1段低くなった領域301を有している。この領域301は、配線基板5が載置される基板載置領域301となっている。例えば、本体部30の上面の一部が、基板載置領域301を構成している。
本例では、上層金属層360の上面が部分的に低くなっており、その低くなっている領域が基板載置領域301を構成している。つまり、上層金属層360の上面に基板載置領域301が設けられている。基板載置領域301は、例えば、バスバー2の上面よりも低くなっている。バスバー3の上面のうち、基板載置領域301以外の領域は、例えば、バスバー2の上面と同一平面上に位置している。
基板載置領域301には、複数の導電性の突起部302が設けられている。複数の突起部302は、例えば、バスバー3の一部で構成されている。具体的には、複数の突起部302は、例えば、金属層360の一部で構成されている。各突起部302は、バスバー3と一体成形されていると言える。また、各突起部302は、金属層360と一体成形されていると言える。本例では、突起部302は、金属層360の一部であることから、例えば銅で構成されている。
各突起部302は、例えば円板状を成している。基板載置領域301に配線基板5が載置される場合には、複数の突起部302は、配線基板5に設けられた後述の複数の貫通孔52にそれぞれ挿入される。
複数の突起部302には、例えば、4個のMOSFET6にそれぞれ対応する4個の突起部302aが含まれる。また、複数の突起部302には、ツェナーダイオード7に対応する2個の突起部302bが含まれる。複数の突起部302aは、本体部30の長手方向に沿って並んでいる。複数の突起部302aは、本体部30の短手方向の両端部のうち、バスバー2の第1部分201側の端部に設けられている。複数の突起部302aは、バスバー2の第1部分201に沿って並んでいる。2個の突起部302bは、本体部30の短手方向に沿って並んでいる。2個の突起部302bは、本体部30の長手方向の両端部のうち、バスバー2の第2部分202側の端部に設けられている。複数の突起部302aのうち、最も第2部分202側の突起部302aは、2個の突起部302bと本体部30の短手方向に沿って並んでいる。突起部302a及び302bの役割については後で詳細に説明する。
金属層350の厚みは、例えば、金属層360の厚みよりも大きく設定されている。例えば、金属層350の厚みは3mmに設定されてもよい。また、金属層360における、上面に基板載置領域301が存在しない部分の厚みは2mmに設定されてもよい。
<MOSFETの構成例>
図7は、MOSFET6の裏面の一例を示す概略平面図である。ここでは、説明の便宜上、図7の右側及び左側をそれぞれMOSFET6の右側及び左側とし、図7の上下方向をMOSFET6の上下方向として、MOSFET6の構成を説明する。
MOSFET6は、例えば表面実装部品である。図7に示されるように、MOSFET6は、半導体素子等が収容されたパッケージ60を備える。パッケージ60は、例えば、リードレス型のパッケージある。パッケージ60は、本体部65と、ゲート端子61と、複数のソース端子62と、ドレイン端子63とを備える。ゲート端子61と、複数のソース端子62と、ドレイン端子63は、本体部65の裏面に設けられている。
本体部65は、例えば、エポキシ樹脂等の樹脂で構成されている。複数のソース端子62は、本体部65の内部で互いに電気的に接続されている。ゲート端子61、ソース端子62及びドレイン端子63は、例えば金属で構成されている。ゲート端子61、ソース端子62及びドレイン端子63は、例えば無酸素銅で構成されてもよい。この無酸素銅は、例えば、JISで定められているC1020の無酸素銅が採用される。また、ゲート端子61、ソース端子62及びドレイン端子63は銅合金で構成されてもよい。ゲート端子61、ソース端子62及びドレイン端子63は、例えば平板状を成している。
本体部65の裏面の右側端部では、ゲート端子61及び複数のソース端子62が上下方向に沿って一列に並べられている。ゲート端子61及び複数のソース端子62は、本体部65の裏面の右側端から少し外側に突出している。ドレイン端子63の左側端は凹凸状となっており、当該左側端に上下方向に並ぶ複数の凸部63aが設けられている。複数の凸部63aは、本体部65の裏面の左側端から少し外側に突出している。
なお、パッケージ60の形状は上記の例に限られない。例えば、ドレイン端子63の形状は、図7の形状以外であってもよい。また、パッケージ60が備えるソース端子62の数は3個以外であってもよい。また、パッケージ60はリード型のパッケージであってもよい。
<ツェナーダイオードの構成例>
図2及び5を用いてツェナーダイオード7の構成について説明する。ここでは、説明の便宜上、図2の左側及び右側をそれぞれツェナーダイオード7の上側及び下側とし、図2の上下方向をツェナーダイオード7の左右方向として、ツェナーダイオード7の構成を説明する。
図2及び5に示されるように、ツェナーダイオード7は、半導体素子等が収容されたパッケージ70を備える。パッケージ70は、例えば、リード型のパッケージある。パッケージ70は、本体部75と、カソード端子71と、アノード端子72及び73とを備える。
本体部75は、例えば、エポキシ樹脂等の樹脂で構成されている。カソード端子71とアノード端子72及び73は、例えば金属で構成されている。カソード端子71とアノード端子72及び73は、例えば無酸素銅で構成されてもよい。この無酸素銅は、例えば、JISで定められているC1020の無酸素銅が採用される。また、カソード端子71とアノード端子72及び73は銅合金で構成されてもよい。カソード端子71は、例えば平板状を成している。アノード端子72及び73は、例えば、リード端子であって、細長い板状部が2箇所で折れ曲げられた形状を有している。
カソード端子71は、本体部75の裏面に設けられている。カソード端子71の上側端部は、本体部75の裏面の上側端から少し突出している。アノード端子72及び73は、本体部75の下側端面から外側に延びており、左右方向に並んでいる。アノード端子72及び73の先端部は、配線基板5上に載置されている。
なお、パッケージ70の形状は上記の例に限られない。例えば、カソード端子71とアノード端子72及び73の少なくとも一つの形状は、図2及び5の形状以外であってもよい。また、パッケージ70はリードレス型のパッケージであってもよい。
<配線基板の構成例>
図8は配線基板5の一例を示す概略斜視図である。図6及び8等に示されるように、配線基板5は、その厚み方向に貫通する複数の貫通孔52を備える。複数の貫通孔52は、例えば、4個のMOSFET6にそれぞれ対応する4個の貫通孔52aと、ツェナーダイオード7に対応する2個の貫通孔52bとを含む。4個の貫通孔52aは、配線基板5の長手方向に沿って並ぶように、配線基板5の短手方向の一方端部に設けられている。2個の貫通孔52bは、配線基板5の短手方向に沿って並ぶように、配線基板5の長手方向の一方端部に設けられている。複数の貫通孔52aのうち、最も端の一方の貫通孔52aは、2個の貫通孔52bと配線基板5の短手方向に沿って並んでいる。貫通孔52aの近くには、それに対応するMOSFET6が配置される。2個の貫通孔52bの近くにはツェナーダイオード7が配置される。
配線基板5の導電層51は、図6及び8等に示されるように、複数のMOSFET6にそれぞれ対応する複数の導電領域53を含む。また、導電層51は、コネクタ8に対応する導電領域54と、配線領域55とを含む。なお、図3〜5では、導電層51の図示は省略されている。
導電領域53は、それに対応するMOSFET6のゲート端子61が接合されるランド531を有する。導電領域53は、それに対応するMOSFET6の3個のソース端子62がそれぞれ接合される3個のランド532を有する。端子等が接合されるランドは、パッドとも呼ばれる。
各導電領域53は、複数のランド532から拡張された拡張領域533を有する。MOSFET6に対応する導電領域53に含まれる拡張領域533は、当該MOSFET6に対応する貫通孔52aの周囲に位置する。拡張領域533は、貫通孔52aの開口縁(詳細には配線基板5の上面側の開口縁)を取り囲むように設けられている。貫通孔52aは拡張領域533に設けられているとも言える。各ランド532は、拡張領域533から突出する凸部であるとも言える。
本例では、貫通孔52aは、例えば、その内周面に導電領域が形成されたスルーホールである。一方で、貫通孔52bは、例えば、スルーホールではなく、その内周面に導電領域が形成されていない。貫通孔52aの内周面の導電領域は、例えば、金属で構成されている。貫通孔52aの内周面の導電領域は、導電層51と同じ材料で構成されてもよいし、異なる材料で構成されてもよい。貫通孔52aの内周面の導電領域は、当該貫通孔52aの周囲の拡張領域533と繋がっている。なお、貫通孔52aの内周面には導電領域が形成されていなくてもよい。また、貫通孔52bは、その内周面に導電領域が形成されたスルーホールであってもよい。
コネクタ8に対応する導電領域54は、例えば、4個のランド541と、2個のランド542とを備える。2個のランド542は、コネクタ8を配線基板5に固定するためのランドである。コネクタ8の裏面には、固定用の2個の金属領域が設けられている。当該2個の金属領域は、2個のランド542に対して、例えばはんだでそれぞれ接合される。はんだは、すずを主成分としている。また、コネクタ8は、複数のMOSFET6のゲート端子61にそれぞれ電気的に接続される4個の接続端子81を備える(図2参照)。各接続端子81は、例えば金属で構成されている。複数のランド541に対して、コネクタ8の複数の接続端子81が、例えば、はんだでそれぞれ接合される。
配線領域55は、例えば、4個のMOSFET6のゲート端子61にそれぞれ電気的に接続される4個の配線551を備える。複数の配線551の一端は、複数のMOSFET6のゲート端子61が接合される複数のランド531にそれぞれ繋がっている。複数の配線551の他端は、コネクタ8の複数の接続端子81が接合される複数のランド541にそれぞれ繋がっている。ゲート端子61は、配線551を通じて、コネクタ8の接続端子81に電気的に接続されている。
以上のような構成を有する配線基板5は、バスバー3の上面の基板載置領域301上に載置される。基板載置領域301の外形は、配線基板5の外形とほぼ同じ形状となっている。図9は、バスバー3の基板載置領域301上に配線基板5が載置された様子の一例を示す図である。
配線基板5が基板載置領域301上に載置されるとき、バスバー3の複数の突起部302aが、配線基板5の複数の貫通孔52aにそれぞれ挿入されるとともに、バスバー3の複数の突起部302bが、配線基板5の複数の貫通孔52bにそれぞれ挿入される。配線基板5が基板載置領域301上に載置された状態では、突起部302aはバスバー3から貫通孔52a内に突出し、突起部302bはバスバー3から貫通孔52b内に突出する。突起部302の直径は、貫通孔52の直径よりも若干小さく設定されている。突起部302は貫通孔52に嵌合するとも言える。
基板載置領域301上の配線基板5は、バスバー3上だけではなく、バスバー2とバスバー3の間に位置するL字状の絶縁部分42上にも位置する。絶縁部分42のうち、基板載置領域301の周囲に位置する周囲部分42a(図6参照)の上端面は、図4及び5に示されるように、例えば、下層金属層250及び350の上面と面一となっている。周囲部分42aは、上層金属層260と上層金属層360の間には位置しない。配線基板5は、基板載置領域301上に位置するとともに、基板載置領域301の周囲に位置する周囲部分42aの上方に当該周囲部分42aの上端面から隙間を隔てて位置する。当該隙間には、例えば粘着テープなどの絶縁部材が設けられてもよい。配線基板5は、バスバー2の第1部分201及び第2部分202のそれぞれに隣接する。基板載置領域301に載置された配線基板5の絶縁基板50の上面は、バスバー2の上面と、バスバー3の上面における基板載置領域301以外の領域と面一となっている。なお、絶縁基板50上の導電層51の上面が、バスバー2の上面と、バスバー3の上面における基板載置領域301以外の領域と同一平面上に位置してもよい。
配線基板5は、例えば、接合材によって基板載置領域301に固定される。接合材としては、例えば両面粘着テープが採用される。接合材としては、他の部材が採用されてもよい。また、配線基板5は、基板載置領域301に置かれるだけで固定されなくてもよい。
貫通孔52内の突起部302の上面は、例えば、配線基板5の絶縁基板50上の導電層51の上面と同一平面上に位置する。この場合、貫通孔52a内の突起部302aの上面は、当該貫通孔52aの周囲の拡張領域533の上面と面一になる。なお、突起部302の上面は、絶縁基板50の上面と同一平面上に位置してもよい。
<導電片について>
複数の導電片9は、配線基板5の上面から露出する複数の突起部302aにそれぞれ接合されている。また、複数の導電片9は、配線基板5の複数の拡張領域533にそれぞれ接合されている。導電片9は、配線基板5の貫通孔52a内の突起部302aの上面と、当該貫通孔52aの周縁部とを覆うように配線基板5上に設けられている。導電片9は貫通孔52aの開口縁(詳細には配線基板5の上面側の開口縁)を覆っている。導電片9の厚みは、例えば、0.2mm以上0.5mm以下に設定されてもよい。
導電片9は、貫通孔52a内の突起部302aの上面と、当該貫通孔52aの周囲の拡張領域533とに対して、導電性接合材115で接合されている(図4参照)。導電性接合材115としては、例えばはんだが採用される。導電性接合材115は、導電片9の裏面を突起部302a及び拡張領域533の上面に接合し、導電片9の端面を拡張領域533の上面に接合する。導電性接合材115は、突起部302a及び拡張領域533と導電片9との間に位置する部分を含む。
なお、導電性接合材115は、貫通孔52a内に入り込んでもよい。この場合、スルーホールである貫通孔52aの内周面の導電領域と、当該貫通孔52a内の突起部302aとが導電性接合材115で接合されてもよい。
<電子部品の実装例>
各MOSFET6は、バスバー2と、バスバー3上の配線基板5との両方に跨って実装されている。例えば、MOSFET6は、バスバー2の第1部分201と、配線基板5の短手方向における、導電領域53が形成された端部とに跨って実装されている。言い換えれば、MOSFET6は、バスバー2の第1部分201と、配線基板5における、当該第1部分201に隣接する部分とに跨って実装されている。図6に示されるように、バスバー2の第1部分201とバスバー3との間には絶縁部分42(詳細には周囲部分42a)が位置する。MOSFET6は、絶縁部分42を跨ぐようにバスバー2及び3の上に設けられている。
MOSFET6のドレイン端子63は、バスバー2の第1部分201の上面に対して、導電性接合材103(図2〜4参照)で接合されている。導電性接合材103としては、例えばはんだが採用される。導電性接合材103は、ドレイン端子63の裏面及び端面と第1部分201とを接合する。導電性接合材103は、ドレイン端子63と第1部分201との間に位置する部分を含む。バスバー2の入力端子部21に与えられる電圧は、当該バスバー2に接合されたドレイン端子63に与えられる。
MOSFET6のゲート端子61は、当該MOSFET6に対応する導電領域53のランド531に対して、導電性接合材101(図3参照)で接合されている。導電性接合材101としては、例えばはんだが採用される。導電性接合材101は、例えば、ゲート端子61の裏面及び端面とランド531とを接合する。導電性接合材101は、ゲート端子61とランド531との間に位置する部分を含む。ゲート端子61は、ランド531と、当該ランド531に繋がる配線551と、当該配線551に繋がるランド541とを通じて、コネクタ8の接続端子81に電気的に接続されている。各MOSFET6は、コネクタ8を通じて外部からスイッチング制御される。
MOSFET6の複数のソース端子62は、当該MOSFET6に対応する導電領域53の複数のランド532に対して、それぞれ導電性接合材102(図4参照)で接合されている。導電性接合材102としては、例えばはんだが採用される。導電性接合材102は、例えば、ソース端子62の裏面及び端面とランド532とを接合する。導電性接合材102は、ソース端子62とランド532との間に位置する部分を含む。ソース端子62は、ランド532と、当該ランド532に繋がる拡張領域533と、当該拡張領域533に接合された導電片9と、当該導電片9が接合された導電性の突起部302aとを通じて、出力側バスバー3に電気的に接続されている。導電片9は、ソース端子62と突起部302aとを電気的に接続する中継端子として機能する。ソース端子62の出力電圧は、バスバー3の出力端子部31から外部に出力される。
ツェナーダイオード7は、MOSFET6と同様に、バスバー2と、バスバー3上の配線基板5との両方に跨って実装されている。例えば、ツェナーダイオード7は、バスバー2の第2部分202と、配線基板5の長手方向における、貫通孔52bが形成された端部とに跨って実装されている。言い換えれば、ツェナーダイオード7は、バスバー2の第2部分202と、配線基板5における、当該第2部分202に隣接する部分とに跨って実装されている。バスバー2の第2部分202とバスバー3との間には絶縁部分42(詳細には周囲部分42a)が位置する。ツェナーダイオード7は、絶縁部分42を跨ぐようにバスバー2及び3の上に設けられている。
ツェナーダイオード7のカソード端子71は、バスバー2の第2部分202の上面に対して、導電性接合材111(図5参照)で接合される。導電性接合材111としては、例えばはんだが採用される。導電性接合材111は、カソード端子71の裏面及び端面と第2部分202とを接合する。導電性接合材111は、カソード端子71と第2部分202との間に位置する部分を含む。カソード端子71は、バスバー2を通じてMOSFET6のドレイン端子63と電気的に接続されている。
ツェナーダイオード7のアノード端子72は、配線基板5の一方の貫通孔52b内の一方の突起部302bに接合されている。ツェナーダイオード7のアノード端子73は、配線基板5の他方の貫通孔52b内の他方の突起部302bに接合されている。本例では、突起部302bは、バスバー3の一部で構成されていることから、アノード端子72及び73は、バスバー3の上面に接合されていると言える。
アノード端子72は、一方の突起部302bの上面に対して導電性接合材で接合されている。導電性接合材としては、例えばはんだが採用される。導電性接合材は、アノード端子72の先端部の裏面及び端面と一方の突起部302bとを電気的に接合する。導電性接合材は、アノード端子72の先端部と一方の突起部302bとの間に位置する部分を含む。アノード端子72は、一方の突起部302b及びバスバー3を通じて、MOSFET6のソース端子62に電気的に接続されている。
アノード端子73は、他方の突起部302bの上面に対して導電性接合材112(図5参照)で接合されている。導電性接合材112としては、例えばはんだが採用される。導電性接合材112は、アノード端子73の先端部の裏面及び端面と他方の突起部302bとを接合する。導電性接合材112は、アノード端子73の先端部と他方の突起部302bとの間に位置する部分を含む。
<回路構成体の製造方法の一例>
以上のような構成を備える回路構成体1Aが製造される場合には、まず、バスバー2及び3を作製するための2個のクラッド材10が準備される。クラッド材10は、図10に示されるように、互いに積層された金属層10a及び10bを備える。金属層10aは例えばアルミニウム層であって、金属層10bは例えば銅層である。アルミニウム板及び銅板が、例えば圧延及び熱処理にて拡散接合されることによって、クラッド材10が作製される。金属層10aが、バスバー2の金属層250あるいはバスバー3の金属層350となる。金属層10bが、バスバー2の金属層260あるいはバスバー3の金属層360となる。
次に、準備された2個のクラッド材10の一方のクラッド材10が、例えば、冷間圧造あるいは切削加工されて所定の形状に成形される。そして、成形された一方のクラッド材10に貫通孔210が設けられる。これにより、バスバー2が完成する。
また、他方のクラッド材10が、例えば、冷間圧造あるいは切削加工されて所定の形状に成形される。そして、成形された他方のクラッド材10に貫通孔310が設けられる。次に、他方のクラッド材10の表面に複数の突起部302が設けられる。これにより、図11に示されるバスバー3が完成する。
次に、図12に示されるように、インサート成形用金型内にバスバー2及び3が配置される。図12では、インサート成形用金型の図示が省略されている。そして、PPS等の耐熱性に優れた熱可塑性樹脂が射出成形機からインサート成形用金型に射出されて、バスバー2及び3と樹脂とが一体成形される。これにより、図13に示されるように、バスバー2及び3と絶縁部材4とが一体成形された一体成形品が得られる。
次に、作製された一体成形品が備えるバスバー3の基板載置領域301に対して配線基板5が両面粘着テープ等の接合材によって固定される。これにより、上述の図9に示される構造が得られる。
次に、図14に示されるように、バスバー2、バスバー3及び配線基板5の上面の所定領域にはんだペースト11が塗布される。図14では、はんだペースト11が斜線で示されている。そして、はんだペースト11が塗布された領域に対して、複数のMOSFET6、ツェナーダイオード7、コネクタ8及び複数の導電片9がリフロー方式ではんだ付けされる。これにより、上述の図1及び2等に示される回路構成体1Aが完成する。
その後、図15に示されるように、回路構成体1Aに対して、各MOSFET6を制御する制御基板910が取り付けられる。制御基板910は、例えば、マイクロコンピュータ及びコネクタ911及び912等を備える。コネクタ912は、回路構成体1Aのコネクタ8に接続される。制御基板910は、コネクタ912と、それに接続されるコネクタ8とを通じて、各MOSFET6のゲート端子61と電気的に接続される。これにより、制御基板910は各MOSFET6をスイッチング制御することができる。コネクタ911には、外部装置から延びる配線部材が接続される。制御基板910は、外部装置からの指示に応じて、各MOSFET6をスイッチング制御する。
次に、図16に示されるように、バスバー2及び3の裏面に対して、放熱シート等の熱伝導部材を介してヒートシンク920が取り付けられる。これにより、回路構成体1Aで発生する熱がヒートシンク920から外部に放出される。そして、バスバー2及び3に対して、配線基板5、複数のMOSFET6、ツェナーダイオード7、コネクタ8及び複数の導電片9を覆うケース930が取り付けられる。これにより、電気接続箱900が完成する。
以上のように、本例では、バスバー2がクラッド材で構成されていることから、MOSFET6のドレイン端子63をバスバー2に接合し易くするともに、バスバー2全体の線膨張係数を絶縁部材4の線膨張係数に近づけることができる。
例えば、上記の例のように、上層金属層260が銅層で構成され、下層金属層250がアルミニウム層で構成される場合を考える。この場合、ドレイン端子63が接合される部分ははんだ付けし易い銅で構成されていることから、ドレイン端子63をバスバー2に接合し易くなる。また、下層金属層250は、絶縁部材4の線膨張係数に比較的近い線膨張係数を有するアルミニウム層で構成されていることから、バスバー2全体の線膨張係数を絶縁部材4の線膨張係数に近づけることができる。
これに対して、本例とは異なり、バスバー2が銅(例えば無酸素銅)だけで構成されている場合を考える。この場合、ドレイン端子63はバスバー2にはんだ付けし易いものの、バスバー2の線膨張係数(例えば17ppm/℃)は、絶縁部材4の線膨張係数(例えば40ppm/℃)と大きく異なる。MOSFET6は、絶縁部材4の絶縁部分42を跨ぐようにバスバー2及び3の上に設けられていることから、バスバー2の線膨張係数が絶縁部材4の線膨張係数と異なる場合、周囲温度の変化に応じて、ドレイン端子63とバスバー2の接合部分に熱応力が発生する可能性がある。これにより、当該接合部分にクラックが発生し、当該接合部分の信頼性が低下し得る。
また、バスバー2がアルミニウム(例えば純アルミニウム)だけで構成されている場合を考える。この場合、バスバー2が銅だけで構成されている場合と比較して、バスバー2の線膨張係数(例えば24ppm/℃)は、絶縁部材4の線膨張係数に近くなる。したがって、バスバー2が銅だけで構成されている場合と比べて、ドレイン端子63とバスバー2の接合部分に熱応力が発生しにくくなる。しかしながら、アルミニウムから成るバスバー2に対しては、ドレイン端子63をはんだ付けしにくいことから、バスバー2に対してドレイン端子63を接合しにくくなる。その結果、ドレイン端子63とバスバー2を適切に接合することができず、ドレイン端子63とバスバー2の接合部分の信頼性が低下し得る。
本例では、バスバー2がクラッド材で構成されていることから、上記の例のように、バスバー2のうちMOSFET6のドレイン端子2が接合される部分の材料として、接合が容易な材料を用いることができる。そのため、ドレイン端子2をバスバー2に接合し易くすることができる。一方で、接合が容易な材料の線膨張係数と絶縁部材4の線膨張係数の差が大きい場合がある。この場合においても、バスバー2を構成する他の部分の材料として、その線膨張係数が絶縁部材4の線膨張係数に近いものを選択することによって、バスバー2全体の線膨張係数を絶縁部材4の線膨張係数に近づけることができる。これにより、ドレイン端子63をバスバー2に接合し易くするともに、ドレイン端子63とバスバー2の接合部分に熱応力が発生しにくくなる。その結果、当該接合部分の信頼性が向上する。また、MOSFET6で発熱した熱を直接バスバー2に伝えることができるため、局所的な温度上昇が発生しにくくなる。同様に、カソード端子71をバスバー2に接合し易くするともに、カソード端子71とバスバー2の接合部分に熱応力が発生しにくくなる。その結果、当該接合部分の信頼性が向上する。
また、本例では、バスバー3がクラッド材で構成されていることから、ツェナーダイオード7のアノード端子72及び73をバスバー3(詳細には突起部302b)に接合し易くするともに、バスバー3全体の線膨張係数を絶縁部材4の線膨張係数に近づけることができる。これにより、アノード端子72及び73をバスバー3に接合し易くするともに、アノード端子72及び73とバスバー3の接合部分に熱応力が発生しにくくなる。その結果、当該接合部分の信頼性が向上する。
また、本例では、バスバー2は、金属層250と、それに積層された金属層260とを備えることから、クラッド材から成るバスバー2を、金属層250及び260を積層することによって簡単に作製することができる。また、金属層260として金属層250よりもドレイン端子63及びカソード端子71との接合が容易な金属層を用いた場合には、金属層260に対するドレイン端子63及びカソード端子71の接合を容易にしつつ、バスバー2全体としての線膨張係数を絶縁部材4の線膨張係数に近づけることができる。同様に、クラッド材から成るバスバー3を金属層350及び360を積層することによって簡単に作製することができる。また、金属層360として金属層350よりもアノード端子72及び73との接合が容易な金属層を用いた場合には、金属層360に対するアノード端子72及び73の接合を容易にしつつ、バスバー3全体としての線膨張係数を絶縁部材4の線膨張係数に近づけることができる。
また、本例に係るバスバー2では、金属層250はアルミニウム層であって、金属層260は銅層であることから、クラッド材から成るバスバー2をアルミニウム及び銅を用いて簡単に作製することができる。また、銅の方がアルミニウムよりもドレイン端子63及びカソード端子71との接合が容易である一方、アルミニウムは銅よりも線膨張係数が絶縁部材4に近い。したがって、金属層260に対するドレイン端子63及びカソード端子71の接合を容易にしつつ、バスバー2全体としての線膨張係数を絶縁部材4の線膨張係数に近づけることができる。同様に、クラッド材から成るバスバー3をアルミニウム及び銅を用いて簡単に作製することができる。また、銅の方がアルミニウムよりもアノード端子72及び73との接合が容易である一方、アルミニウムは銅よりも線膨張係数が絶縁部材4に近い。したがって、金属層360に対するアノード端子72及び73の接合を容易にしつつ、バスバー3全体としての線膨張係数を絶縁部材4の線膨張係数に近づけることができる。
また、本例では、金属層250の線膨張係数は、金属層260の線膨張係数よりも、絶縁部材4の線膨張係数に近いことから、金属層250としては、ドレイン端子63及びカソード端子71との接合性を考慮することなく、線膨張係数が絶縁部材4の線膨張係数に近い金属層を採用することができる。同様に、金属層350の線膨張係数は、金属層360の線膨張係数よりも、絶縁部材4の線膨張係数に近いことから、金属層350としては、アノード端子72及び73との接合性を考慮することなく、線膨張係数が絶縁部材4の線膨張係数に近い金属層を採用することができる。
また、本例では、絶縁部材4の絶縁部分42の上端面は、絶縁部材4の線膨張係数に近い線膨張係数を有する下層金属層250の上面と面一である(例えば図4参照)。これにより、上層金属層260は、周囲温度の変化による絶縁部分42の変形の影響を受けにくくなる。その結果、上層金属層260とドレイン端子63及びカソード端子71の接合部分に熱応力が発生しにくくなる。したがって、金属層260として、絶縁部材4との線膨張係数の差が大きな金属層を用いることができる。
また、本例では、絶縁部分42の上端面は、絶縁部材4の線膨張係数に近い線膨張係数を有する下層金属層350の上面と面一である(例えば図5参照)。これにより、上層金属層360は、周囲温度の変化による絶縁部分42の変形の影響を受けにくくなる。その結果、上層金属層360とアノード端子72及び73の接合部分に熱応力が発生しにくくなる。したがって、金属層360として、絶縁部材4との線膨張係数の差が大きな金属層を用いることができる。
また、本例では、絶縁部分42の上端面は下層金属層250及び下層金属層350の上面と面一であり、下層金属層250及び下層金属層350は同一種類の金属、例えばアルミニウムによって構成されている。このため、絶縁部材4を挟んで下層金属層250及び下層金属層350の双方の上面に沿う方向(図3〜図5の左右方向)の熱応力の分布に対称性が生じて、双方に生ずる熱応力が打ち消しあう。その結果、上層金属層260とドレイン端子63及びカソード端子71の接合部分(例えば、図3、図5参照)に熱応力が発生しにくくなり、当該各接合部分の信頼性が向上する。同様に、上層金属層360上の配線基板5と、ゲート端子61及びソース端子62との接合部分(例えば、図3、図4参照)に熱応力が発生しにくくなり、当該各接合部分の信頼性が向上する。同様に、上層金属層360とアノード端子72及び73の接合部分(例えば、図5参照)に熱応力が発生しにくくなり、当該各接合部分の信頼性が向上する。
また、本例のように、絶縁部材4の線膨張係数に近い線膨張係数を有する下層金属層250の厚みを上層金属層260の厚みよりも大きくすることによって、バスバー2全体の線膨張係数を絶縁部材4の線膨張係数にさらに近づけることができる。その結果、ドレイン端子63とバスバー2の接合部分に熱応力がさらに発生しにくくなり、当該接合部分の信頼性がさらに向上する。同様に、下層金属層350の厚みを上層金属層360の厚みよりも大きくすることによって、バスバー3全体の線膨張係数を絶縁部材4の線膨張係数にさらに近づけることができる。その結果、アノード端子72及び73とバスバー3の接合部分の信頼性がさらに向上する。
また、本例では、バスバー2、バスバー3及び絶縁部材4が一体成形されていることから、バスバー2、バスバー3及び絶縁部材4を一体化するための部材が不要となる。これにより、回路構成体1Aの構成を簡素化することができる。
また、本例では、導電性の突起部302aが、バスバー3から配線基板5の貫通孔52a内に突出している。このため、配線基板5上のソース端子62を、貫通孔52a内の突起部302aに電気的に接続することによって、ソース端子62をバスバー3と電気的に簡単に接続することができる。
また、本例では、導電性の突起部302bが、バスバー3から配線基板5の貫通孔52b内に突出している。このため、配線基板5上のアノード端子72及び73を、貫通孔52b内の突起部302bに電気的に接続することによって、アノード端子72及び73をバスバー3と電気的に簡単に接続することができる。
また、本例では、突起部302はバスバー3の一部で構成されていることから、ソース端子62とバスバー3との間の電気抵抗を低減することができるとともに、アノード端子72及び73とバスバー3との間の電気抵抗を低減することができる。
また、本例では、図2及び図5等に示されるように、アノード端子72及び73は突起部302bに接合されていることから、アノード端子72及び73とバスバー3との間の電気抵抗を低減することができる。
また、本例では、ソース端子62が接合されたランド532から拡張されて貫通孔52aの周囲に位置する拡張領域533と、当該貫通孔52a内の突起部302aの上面とに接合された導電片9が設けられている。この導電片9によって、ソース端子62とバスバー3との間の電気抵抗を低減することができる。また、MOSFET6で発生した熱を導電片9によってバスバー3に伝えやすくなることから、局所的な温度上昇が発生しにくくなる。
また、本例では、拡張領域533が貫通孔52aの周囲を取り囲み、導電片9が貫通孔52aの開口縁を覆っている。これにより、拡張領域533及び突起部302aと導電片9との接合面積を大きくすることができる。その結果、ソース端子62とバスバー3との間の電気抵抗をさらに低減することができる。
また、本例では、配線基板5は、バスバー3の上面において、バスバー2の上面よりも低い基板載置領域301上に位置することから、配線基板5とバスバー2との段差を小さくすることができる。よって、MOSFET6及びツェナーダイオード7を、配線基板5とバスバー2に跨って設けやすくなる。
また、本例では、MOSFET6のゲート端子61及びソース端子62は、配線基板5上で絶縁されていることから、ゲート端子61及びソース端子62の間隔が小さくなったとしても、ゲート端子61及びソース端子62を適切に絶縁することができる。よって、パッケージ60として、端子間隔が狭い狭ピッチのパッケージを採用することができる。
なお、配線基板5の線膨張係数は、上層金属層260及び360の線膨張係数(例えば17ppm/℃)よりも絶縁部材4の線膨張係数(例えば40ppm/℃)に近くてもよい。例えば、配線基板5の線膨張係数は18ppm/℃以上であってもよい。また、配線基板5の線膨張係数は、下層金属層250及び350の線膨張係数(例えば24ppm/℃)よりも絶縁部材4の線膨張係数(例えば40ppm/℃)に近くてもよい。例えば、配線基板5の線膨張係数は25ppm/℃以上であってもよい。これにより、配線基板5と、ゲート端子61及びソース端子62との接合部分に熱応力が発生しにくくなる。その結果、当該接合部分の信頼性が向上する。
また、バスバー2の入力端子部21に、バッテリから延びる配線部材の接続端子を接続する場合には、配線部材の接続端子を上層金属層260に接触させてもよい。上層金属層260の導電率は、下層金属層250の導電率よりも大きい。配線部材の接続端子を上層金属層260に接触させることによって、入力端子部21とバッテリとの間の電気抵抗を低減することができる。
また、バスバー3の出力端子部31に、電装部品から延びる配線部材の接続端子を接続する場合には、配線部材の接続端子を上層金属層360に接触させてもよい。上層金属層360の導電率は、下層金属層350の導電率よりも大きい。配線部材の接続端子を上層金属層360に接触させることによって、出力端子部31と電装部品との間の電気抵抗を低減することができる。
[実施形態2]
図17は本実施形態に係る回路構成体1Bの一例を示す概略斜視図である。図18は回路構成体1Bの一例を示す概略平面図である。図19は、図18の矢視D−Dの断面構造の一例を示す概略図である。図20は、図18の矢視E−Eの断面構図の一例を示す概略図である。図21は、図18の矢視F−Fの断面構図の一例を示す概略図である。図22は、回路構成体1Bが備える入力側バスバー12、出力側バスバー13及び中継バスバー16の一例を示す概略斜視図である。以下では、回路構成体1Bの構造について、上述の回路構成体1Aとの相違点を中心に説明する。
<回路構成体の概略説明>
回路構成体1Bは、入力側バスバー12(単にバスバー12ともいう)と、出力側バスバー13(単にバスバー13ともいう)と、中継バスバー16(単にバスバー16ともいう)と、配線基板15とを備える。バスバー12,13,16は導電部材である。回路構成体1Bは、さらに、上述のMOSFET6、ツェナーダイオード7、コネクタ8及び導電片9を備える。本例では、回路構成体1Bは、例えば、8個のMOSFET6と、2個のツェナーダイオード7と、2個のコネクタ8と、4個の導電片9とを備える。なお、回路構成体1Bが備えるMOSFET6、ツェナーダイオード7、コネクタ8及び導電片9の数はこの限りではない。
8個のMOSFET6のうちの4個のMOSFET6のドレイン端子63と、2個のツェナーダイオード7の一方のツェナーダイオード7のカソード端子71は、入力側バスバー12に電気的に接続されている。これにより、4個のMOSFET6のドレイン端子63と、一方のツェナーダイオード7のカソード端子71とが互いに電気的に接続されている。
8個のMOSFET6のうちの残りの4個のMOSFET6のドレイン端子63と、2個のツェナーダイオード7の他方のツェナーダイオード7のカソード端子71は、出力側バスバー13に電気的に接続されている。これにより、残りの4個のMOSFET6のドレイン端子63と、他方のツェナーダイオード7のカソード端子71とが互いに電気的に接続されている。
8個のMOSFET6の各ソース端子62と、2個のツェナーダイオード7のアノード端子72及び73は、中継バスバー16に電気的に接続されている。これにより、8個のMOSFET6の各ソース端子62と、2個のツェナーダイオード7のアノード端子72及び73は、互いに電気的に接続されている。
以後、バスバー12に電気的に接続されたドレイン端子63を備えるMOSFET6をMOSFET6aと呼ぶことがある。また、バスバー13に電気的に接続されたドレイン端子63を備えるMOSFET6をMOSFET6bと呼ぶことがある。また、バスバー12に電気的に接続されたカソード端子71を備えるツェナーダイオード7をツェナーダイオード7aと呼ぶことがある。また、バスバー13に電気的に接続されたカソード端子71を備えるツェナーダイオード7をツェナーダイオード7bと呼ぶことがある。
入力側バスバー12は、上述の回路構成体1Aのバスバー2の形状を変更したものである。バスバー12は、例えば一方向に長い板状金属部材である。バスバー12の上面及び下面は例えば平坦である。バスバー12は、例えば、本体部120及び入力端子部121を備える。本体部120は、例えば、長方形の板状部分である。本体部120には、MOSFET6aのドレイン端子63と、ツェナーダイオード7aのカソード端子71が電気的に接続されている。入力端子部121は、本体部120の長手方向の一端から突出する。入力端子部121は、その厚み方向に貫通する貫通孔1210を有する。入力端子部121には、例えば、バッテリから延びる配線部材が、貫通孔1210が利用されて接続される。入力端子部121には、配線部材を通じてバッテリの出力電圧が与えられる。入力端子部121に与えられたバッテリの出力電圧は、本体部120を通じて各MOSFET6aのドレイン端子に与えられる。
出力側バスバー13は、回路構成体1Aのバスバー3の形状を変更したものである。バスバー13は、バスバー12と同様に、一方向に長い板状金属部材である。バスバー13は、バスバー12をその長手方向を対称軸として反転させた形状を有する。バスバー13は、例えば、本体部130及び出力端子部131を備える。本体部130は、例えば、長方形の板状部分である。本体部130には、MOSFET6bのドレイン端子63と、ツェナーダイオード7bのカソード端子71が電気的に接続されている。出力端子部131は、本体部130の長手方向の一端から突出する。出力端子部131は、その厚み方向に貫通する貫通孔1310を有する。出力端子部131には、例えば、電装部品から延びる配線部材が、貫通孔1310が利用されて接続される。出力端子部131には、MOSFET6bのドレイン端子から出力される電圧が与えられる。出力端子部131に与えられた電圧は、配線部材を通じて電装部品に対して例えば電源として与えられる。
図22に示されるように、中継バスバー16は、例えば、長方形の板状金属部材である。バスバー12,13,16は、例えば同一平面上に位置する。バスバー12及び13は、それらの長手方向が互いに平行となるように隙間を空けて対向配置されている。バスバー16は、その長手方向が、バスバー12及び13の長手方向と平行となるように、バスバー12及び13の間に位置する。バスバー16は、バスバー12の本体部120とバスバー13の本体部130との間に位置する。バスバー16には、8個のMOSFET6のソース端子62と2個のツェナーダイオード7のアノード端子72及び73とが電気的に接続されている。
絶縁部材14は、回路構成体1Aの絶縁部材4の形状を変更したものである。絶縁部材14は、バスバー12,13,16を互いに電気的に絶縁しつつ、当該バスバー12,13,16を保持する。絶縁部材14は、例えば、バスバー12,13,16と一体成形されている。絶縁部材14は、例えばインサート成形によって、バスバー12,13,16と一体成形されている。
図23は、バスバー12,13,16及び絶縁部材14が一体成形された一体成型品と配線基板15の一例を示す概略斜視図である。図23には、バスバー16に搭載される配線基板15が、バスバー16から引き離されて示されている。
図17,23等に示されるように、絶縁部材14は、例えば、枠状の絶縁部分141を備える。枠状の絶縁部分141は、本体部120と、本体部130と、それらの間のバスバー13の周囲を取り囲んでいる。絶縁部材14は、絶縁部分141以外にも、バスバー12及び16の間に位置する絶縁部分142と、バスバー13及び16の間に位置する絶縁部分143とを備える。バスバー12及び16は、絶縁部分142によって電気絶縁されている。バスバー13及び16は、絶縁部分143によって電気絶縁されている。
配線基板15は、回路構成体1Aの配線基板5の形状を変更したものである。配線基板15は、バスバー16上に設けられている。配線基板15は、配線基板5と同様に、例えば、絶縁基板50と、当該絶縁基板50に設けられた導電層51とを有する。
2個のコネクタ8は、配線基板5上に設けられている。2個のコネクタ8は、複数のMOSFET6aのゲート端子61が、配線基板5の導電層51を通じて電気的に接続されているコネクタ8aと、複数のMOSFET6bのゲート端子61が導電層51を通じて電気的に接続されているコネクタ8bとを備える。各MOSFET6aは、コネクタ8aを通じて外部からスイッチング制御される。各MOSFET6bは、コネクタ8bを通じて外部からスイッチング制御される。
本例では、1個のMOSFET6aと1個のMOSFET6bとが互いに対向するように配置されている。そして、互いに対向配置されたMOSFET6a及び6bがFET対を構成している。回路構成体1Bは、4個のFET対を備えている。4個の導電片9は、4個のFET対にそれぞれ対応して設けられている。各導電片9は、それに対応するFET対を構成するMOSFET6a及び6bのソース端子62とバスバー16との間の電気抵抗を低減するために設けられている。
<回路構成体の詳細説明>
<バスバーの構成例>
バスバー12,13のそれぞれは、例えばクラッド材で構成されている。バスバー12は、バスバー2と同様に、下層金属層250と上層金属層260を備える。バスバー13は、バスバー3と同様に、下層金属層350と上層金属層360を備える。本例においても、金属層250の厚みは、例えば、金属層260の厚みよりも大きく設定されている。例えば、金属層250の厚みは3mmに設定され、金属層260の厚みは2mmに設定されてもよい。また、金属層350の厚みは、例えば、金属層360の厚みよりも大きく設定されている。例えば、金属層350の厚みは3mmに設定され、金属層360の厚みは2mmに設定されてもよい。
バスバー16は、バスバー12及び13と同様に、例えばクラッド材で構成されている。本例では、バスバー16は、例えば2層で構成されている。図19〜22に示されるように、バスバー16は、下面側の金属層650(下層金属層650ともいう)と、上面側の金属層660(上層金属層660ともいう)とを備える。金属層650及び660は、例えば、組立圧延法、鋳込圧延法、爆発圧着法、肉盛溶接法あるいは拡散溶接法などで、互いに接合されている。金属層650と金属層660の境界面は、例えば拡散接合されている。
バスバー16は、例えば、銅とアルミニウムのクラッド材で構成されている。本例では、下層金属層650は、例えばアルミニウム層であって、上層金属層660は、例えば銅層である。下層金属層650は、例えば純アルミニウムで構成される。この純アルミニウムは、例えば、JISで定められるA1050の純アルミニウムが採用される。上層金属層660は、例えば無酸素銅で構成されている。この無酸素銅は、例えば、JISで定められているC1020の無酸素銅が採用される。
金属層650の線膨張係数は、例えば、金属層660の線膨張係数より、絶縁部材14の線膨張係数に近くなっている。本例では、純アルミニウムで構成された金属層650の線膨張係数は、例えば24ppm/℃である。無酸素銅で構成された金属層660の線膨張係数は、例えば17ppm/℃である。
バスバー16の上面は、全体的に、バスバー12及び13の上面よりも少し低くなっている。バスバー16の上面は、バスバー12及び13の上面よりも、例えば、配線基板15の厚みの分だけ低くなっている。バスバー16の上面の外形は、配線基板15の外形とほぼ同一である。
バスバー16の上面には、複数の導電性の突起部160が設けられている。複数の突起部160は、例えば、バスバー16の一部で構成されている。具体的には、複数の突起部160は、例えば、上層金属層660の一部で構成されている。本例では、突起部160は、上層金属層660の一部であることから、例えば銅で構成されている。
複数の突起部160は、バスバー16の長手方向に沿って一列に並んでいる。各突起部160は、例えば円板状を成している。バスバー16上に配線基板15が載置される場合には、複数の突起部160は、配線基板15に設けられた後述の複数の貫通孔152にそれぞれ挿入される。
複数の突起部160には、4個のFET対にそれぞれ対応する4個の突起部160cが含まれる。また、複数の突起部160には、ツェナーダイオード7aに対応する2個の突起部160aが含まれる。また、複数の突起部160には、ツェナーダイオード7bに対応する2個の突起部160bが含まれる。2個の突起部160aは、複数の突起部160が成す列の一方端に設けられ、2個の突起部160bは、当該列の他方端に設けられている、4個の突起部160cは、2個の突起部160aと、2個の突起部160bとの間に位置する。
金属層650の厚みは、例えば、金属層660の厚みよりも大きく設定されている。例えば、金属層650の厚みは3mmに設定され、金属層660における、突起部160が存在する部分の厚みは2mmに設定されてもよい。金属層660の導電率は、金属層650の導電率よりも大きい。
<配線基板の構成例>
図23等に示されるように、配線基板15は、その厚み方向に貫通する複数の貫通孔152を備えている。複数の貫通孔152は、配線基板15の長手方向に沿って一列に並んでいる。複数の貫通孔152は、4個のFET対にそれぞれ対応する複数の貫通孔152cを含む。また、複数の貫通孔152は、ツェナーダイオード7aに対応する2個の貫通孔152aと、ツェナーダイオード7bに対応する2個の貫通孔152bとを含む。2個の貫通孔152aは、複数の貫通孔152が構成する列の一方端に位置し、2個の貫通孔152bは、当該列の他方端に位置する。4個の貫通孔152cは、2個の貫通孔152aと、2個の貫通孔152bとの間に位置する。
貫通孔152cの近くには、それに対応するFET対が配置される。2個の貫通孔152aの近くにはツェナーダイオード7aが配置される。2個の貫通孔152bの近くにはツェナーダイオード7bが配置される。
配線基板15の導電層51は、4個のFET対にそれぞれ対応する4個の導電領域155を含む。また、配線基板15の導電層51は、コネクタ8a及び8bにそれぞれ対応する2個の上述の導電領域54を含む。以後、コネクタ8aに対応する導電領域54を導電領域54aと呼び、コネクタ8bに対応する導電領域54を導電領域54bと呼ぶことがある。なお、図19〜21では、導電層51の図示が省略されている。
導電領域155は、それに対応するFET対を構成するMOSFET6a及び6bのゲート端子61がそれぞれ接合されるランド156a及び156bを有する。また、導電領域155は、それに対応するFET対が備えるMOSFET6aの複数のソース端子62がそれぞれ接合される複数のランド157aを含む。また、導電領域155は、それに対応するFET対が備えるMOSFET6bの複数のソース端子62がそれぞれ接合される複数のランド157bを含む。また、導電領域155は、複数のランド157a及び複数のランド157bから拡張された拡張領域158を含む。複数のランド157aと、複数のランド157bとは、拡張領域158によって接続されていると言える。
FET対に対応する導電領域155に含まれる拡張領域158は、当該FET対に対応する貫通孔152cの周囲に位置する。拡張領域158は、貫通孔152cを取り囲むように設けられている。貫通孔152cは拡張領域158に設けられているとも言える。ランド157a及び157bは、拡張領域158から突出する凸部であるとも言える。
本例では、貫通孔152cは、例えば、その内周面に導電領域が形成されたスルーホールである。一方で、貫通孔152a及び152bは、例えば、スルーホールではなく、その内周面に導電領域が形成されていない。貫通孔152cの内周面の導電領域は、例えば、金属で構成されている。貫通孔152cの内周面の導電領域は、導電層51と同じ材料で構成されてもよいし、異なる材料で構成されてもよい。貫通孔152cの内周面の導電領域は、当該貫通孔152cの周囲の拡張領域158と繋がっている。なお、貫通孔152cの内周面には導電領域が形成されてなくてもよい。また、貫通孔152a及び152bは、その内周面に導電領域が形成されたスルーホールであってもよい。
導電領域54a及び54bは、複数の貫通孔152の外側に位置する。導電領域54a及び54bは、配線基板15の長手方向の両端部にそれぞれ位置する。導電領域54aが備える2個のランド542は、コネクタ8aの裏面の固定用の2個の金属領域に、例えばはんだでそれぞれ接合されている。導電領域54aが備える4個のランド541は、コネクタ8aが備える4個の接続端子81に、例えばはんだでそれぞれ接合されている。導電領域54bが備える2個のランド542は、コネクタ8bの裏面の2個の金属領域に、例えばはんだでそれぞれ接合されている。導電領域54bが備える4個のランド541は、コネクタ8bが備える4個の接続端子81に、例えばはんだでそれぞれ接合されている。
配線基板15の導電層51には、配線領域も含まれる。配線領域には、複数のMOSFET6aのゲート端子61にそれぞれ電気的に接続される複数の第1配線を備える。複数の第1配線の一端は、複数のMOSFET6aのゲート端子61が接合される複数のランド156aにそれぞれ繋がっている。複数の第1配線の他端は、コネクタ8aの複数の接続端子81が接合される複数のランド541にそれぞれ繋がっている。MOSFET6aのゲート端子61は、第1配線を通じて、コネクタ8aの接続端子81に電気的に接続されている。また、配線領域には、複数のMOSFET6bのゲート端子61にそれぞれ電気的に接続される複数の第2配線を備える。複数の第2配線の一端は、複数のランド156bにそれぞれ繋がっている。複数の第2配線の他端は、コネクタ8bの複数の接続端子81が接合される複数のランド541にそれぞれ繋がっている。MOSFET6bのゲート端子61は、第2配線を通じて、コネクタ8bの接続端子81に電気的に接続されている。
以上のような構成を有する配線基板15は、バスバー16の上面上に載置される。図24は、バスバー16上に配線基板15が載置された様子の一例を示す図である。
配線基板15がバスバー16上に載置されるとき、複数の突起部160cが複数の貫通孔152cにそれぞれ挿入され、複数の突起部160aが複数の貫通孔152aにそれぞれ挿入され、複数の突起部160bが複数の貫通孔152bにそれぞれ挿入される。突起部160の直径は、貫通孔152の直径よりも若干小さく設定されている。
配線基板15は、バスバー16上だけではなく、バスバー12及び16の間に位置する絶縁部分142上と、バスバー13及び16の間に位置する絶縁部分143上にも位置する。配線基板15は、バスバー12の本体部120及びバスバー13の本体部130に隣接している。絶縁部分142及び143の上端面は、図19〜21に示されるように、例えば、下層金属層250,350,650の上面と面一となっている。バスバー16上の配線基板15の絶縁基板50の上面は、バスバー12及び13の上面と面一となっている。なお、絶縁基板50上の導電層51の上面が、バスバー12及び13の上面と同一平面上に位置してもよい。
配線基板15は、例えば、接合材によってバスバー16に固定される。接合材としては、例えば両面粘着テープが採用される。接合材としては、他の部材が採用されてもよい。また、配線基板15は、バスバー16に置かれるだけで固定されなくてもよい。
貫通孔152内の突起部160の上面は、例えば、配線基板15の絶縁基板50上の導電層51の上面と同一平面上に位置する。この場合、貫通孔152c内の突起部160cの上面は、当該貫通孔152cの周囲の拡張領域158の上面と面一になる。なお、突起部160の上面は、配線基板15の絶縁基板50の上面と同一平面上に位置してもよい。
<導電片について>
複数の導電片9は、配線基板15の上面から露出する複数の突起部160cにそれぞれ接合されている。また、複数の導電片9は、配線基板15の複数の拡張領域158にそれぞれ接合されている。導電片9は、配線基板15の貫通孔152c内の突起部160cの上面と、当該貫通孔152cの周縁部とを覆うように配線基板15上に設けられている。導電片9は貫通孔152cの開口縁(詳細には配線基板15の上面側の開口縁)を覆っている。導電片9は、貫通孔152c内の突起部160cの上面と、当該貫通孔152cの周囲の拡張領域158とに対して、上述の導電性接合材115で接合されている(図20参照)。導電性接合材115は、突起部160c及び拡張領域158と導電片9との間に位置する部分を含む。
なお、導電性接合材115は、貫通孔152c内に入り込んでもよい。この場合、スルーホールである貫通孔152cの内周面の導電領域と、当該貫通孔152c内の突起部160cとが導電性接合材115で接合されてもよい。
<電子部品の実装例>
各MOSFET6aは、バスバー12と、バスバー16上の配線基板15との両方に跨って実装されている。図19及び20に示されるように、バスバー12とバスバー16との間には絶縁部分142が位置する。MOSFET6aは、絶縁部分142を跨ぐようにバスバー12及び16の上に設けられている。
各MOSFET6bは、バスバー13と、バスバー16上の配線基板15との両方に跨って実装されている。図19及び20に示されるように、バスバー13とバスバー16との間には絶縁部分143が位置する。MOSFET6bは、絶縁部分143を跨ぐようにバスバー13及び16の上に設けられている。
MOSFET6aのドレイン端子63は、バスバー12の上面に対して、上記と同様に導電性接合材103で接合されている。バスバー12の入力端子部121に与えられる電圧は、バスバー12に接合された、MOSFET6aのドレイン端子63に与えられる。
MOSFET6bのドレイン端子63は、バスバー13の上面に対して、上記と同様に導電性接合材103で接合されている。MOSFET6bのドレイン端子63の出力電圧は、バスバー13の出力端子部131から外部に出力される。
FET対を構成するMOSFET6a及び6bのゲート端子61は、当該FET対に対応する導電領域155に含まれるランド156a及び156bに対して、上記と同様に導電性接合材101でそれぞれ接合されている。MOSFET6aのゲート端子61は、ランド156aと、導電層51に含まれる配線領域と、ランド541を通じて、コネクタ8aの接続端子81に電気的に接続されている。MOSFET6bのゲート端子61は、ランド156bと、導電層51に含まれる配線領域と、ランド541を通じて、コネクタ8bの接続端子81に電気的に接続されている。各MOSFET6aは、コネクタ8aを通じて外部からスイッチング制御される。各MOSFET6bは、コネクタ8bを通じて外部からスイッチング制御される。
FET対の一方のMOSFET6aの複数のソース端子62は、当該FET対に対応する導電領域155に含まれる複数のランド157aに対して、上記と同様に導電性接合材102でそれぞれ接合されている。FET対の他方のMOSFET6bの複数のソース端子62は、当該FET対に対応する導電領域155に含まれる複数のランド157bに対して、導電性接合材102でそれぞれ接合されている。MOSFET6aのソース端子62は、ランド157aと、当該ランド157aに繋がる拡張領域158と、当該拡張領域158に接合された導電片9と、当該導電片9が接合された導電性の突起部160cとを通じて、出力側バスバー13に電気的に接続されている。また、MOSFET6bのソース端子62は、ランド157bと、当該ランド157bに繋がる拡張領域158と、当該拡張領域158に接合された導電片9と、当該導電片9が接合された導電性の突起部160cとを通じて、出力側バスバー13に電気的に接続されている。導電片9は、ソース端子62と突起部160cとを電気的に接続する中継端子として機能する。
ツェナーダイオード7aは、MOSFET6aと同様に、バスバー12と、バスバー16上の配線基板15との両方に跨って実装されている。バスバー12とバスバー16との間には絶縁部分142が位置する。図21に示されるように、ツェナーダイオード7aは、絶縁部分142を跨ぐようにバスバー12及び16の上に設けられている。
ツェナーダイオード7bは、MOSFET6bと同様に、バスバー13と、バスバー16上の配線基板15との両方に跨って実装されている。バスバー13とバスバー16との間には絶縁部分143が位置する。ツェナーダイオード7bは、絶縁部分143を跨ぐようにバスバー13及び16の上に設けられている。
ツェナーダイオード7aのカソード端子71は、バスバー12の上面に対して、上記と同様に導電性接合材111で接合されている。MOSFET6aのカソード端子71は、バスバー12を通じてMOSFET6aのドレイン端子63と電気的に接続されている。
ツェナーダイオード7bのカソード端子71は、バスバー13の上面に対して、上記と同様に導電性接合材111で接合されている。MOSFET6bのカソード端子71は、バスバー13を通じてMOSFET6bのドレイン端子63と電気的に接続されている。
ツェナーダイオード7aのアノード端子72は、配線基板15が備える2個の貫通孔152aのうちの一方の貫通孔152a内の突起部160aに対して、上記と同様にして接合されている。ツェナーダイオード7aのアノード端子73は、2個の貫通孔152aのうちの他方の貫通孔152a内の突起部160aに対して、上記と同様にして導電性接合材112で接合されている。ツェナーダイオード7aのアノード端子72は、突起部160a及びバスバー16を通じて、MOSFET6aのソース端子62に電気的に接続されている。
ツェナーダイオード7bのアノード端子72は、配線基板15が備える2個の貫通孔152bのうちの一方の貫通孔152b内の突起部160bに対して、上記と同様にして接合されている。ツェナーダイオード7bのアノード端子73は、2個の貫通孔152bのうちの他方の貫通孔152b内の突起部160bに対して、上記と同様にして導電性接合材112で接合されている。ツェナーダイオード7bのアノード端子72は、突起部160b及びバスバー16を通じて、MOSFET6bのソース端子62に電気的に接続されている。
本例では、突起部160a及び160bは、バスバー16の一部で構成されていることから、アノード端子72及び73は、バスバー16の上面に接合されていると言える。
<回路構成体の製造方法の一例>
以上のような構成を備える回路構成体1Bを製造する場合には、まず、バスバー12,13,16を作製するための3個の上述のクラッド材10(図10参照)が準備される。
次に、3個のクラッド材10に対して冷間圧造あるいは切削加工等が行われて、図25に示されるように、バスバー12,13,16が作製される。
次に、インサート成形用金型内にバスバー12,13,16が配置される。そして、PPS等の耐熱性に優れた熱可塑性樹脂が射出成形機からインサート成形用金型に射出されて、バスバー12,13,16と樹脂とが一体成形される。これにより、バスバー12,13,16と絶縁部材14とが一体成形された一体成形品が得られる。
次に、作製された一体成形品が備えるバスバー16の上面に対して配線基板15が両面粘着テープ等の接合材によって固定される。これにより、上述の図24に示される構造が得られる。
次に、図26に示されるように、バスバー12、バスバー13、バスバー16及び配線基板15の上面の所定領域にはんだペースト611が塗布される。図26では、はんだペースト611が斜線で示されている。そして、はんだペースト611が塗布された領域に対して、複数のMOSFET6、複数のツェナーダイオード7、複数のコネクタ8及び複数の導電片9がリフロー方式ではんだ付けされる。これにより、上述の図17及び18等に示される回路構成体1Bが完成する。
その後、図27に示されるように、バスバー12,13及び16の裏面に対して、放熱シート等の熱伝導部材を介してヒートシンク970が取り付けられる。そして、バスバー12及び13に対して、配線基板15、複数のMOSFET6、複数のツェナーダイオード7、複数のコネクタ8及び複数の導電片9を覆うケース980が取り付けられる。これにより、電気接続箱990が完成する。
以上のように、本例では、バスバー12及び13がクラッド材で構成されていることから、ドレイン端子63をバスバー12及び13に接合し易くするともに、バスバー12及び13全体の線膨張係数を絶縁部材14の線膨張係数に近づけることができる。これにより、ドレイン端子63をバスバー12及び13に接合し易くするともに、ドレイン端子63とバスバー12及び13の接合部分に熱応力が発生しにくくなる。その結果、当該接合部分の信頼性が向上する。また、MOSFET6で発熱した熱を直接バスバー12及び13に伝えることができるため、局所的な温度上昇が発生しにくくなる。同様に、カソード端子71をバスバー12及び13に接合し易くするともに、カソード端子71とバスバー12及び13の接合部分に熱応力が発生しにくくなる。その結果、当該接合部分の信頼性が向上する。
また、本例では、バスバー16がクラッド材で構成されていることから、ツェナーダイオード7のアノード端子72及び73をバスバー16(詳細には突起部160a及び160b)に接合し易くするともに、バスバー16全体の線膨張係数を絶縁部材14の線膨張係数に近づけることができる。これにより、アノード端子72及び73をバスバー16に接合し易くするともに、アノード端子72及び73とバスバー16の接合部分に熱応力が発生しにくくなる。その結果、当該接合部分の信頼性が向上する。
また、本例では、上述のバスバー2及び3と同様に、クラッド材から成るバスバー12,13,16を、複数の金属層を積層することによって簡単に作製することができる。また、金属層260として金属層250よりもドレイン端子63及びカソード端子71との接合が容易な金属層を用いた場合には、金属層260に対するドレイン端子63及びカソード端子71の接合を容易にしつつ、バスバー12全体としての線膨張係数を絶縁部材4の線膨張係数に近づけることができる。また、金属層360として金属層350よりもドレイン端子63及びカソード端子71との接合が容易な金属層を用いた場合には、金属層360に対するドレイン端子63及びカソード端子71の接合を容易にしつつ、バスバー13全体としての線膨張係数を絶縁部材4の線膨張係数に近づけることができる。
また、本例では、バスバー2及び3と同様に、クラッド材から成るバスバー12,13,16を、アルミニウム及び銅を用いて簡単に作製することができる。また、銅の方がアルミニウムよりもドレイン端子63及びカソード端子71との接合が容易である一方、アルミニウムは銅よりも線膨張係数が絶縁部材4に近い。したがって、金属層260に対するドレイン端子63及びカソード端子71の接合を容易にしつつ、バスバー12全体としての線膨張係数を絶縁部材4の線膨張係数に近づけることができる。また、金属層360に対するドレイン端子63及びカソード端子71の接合を容易にしつつ、バスバー13全体としての線膨張係数を絶縁部材4の線膨張係数に近づけることができる。
また、本例に係るバスバー12では、金属層250の線膨張係数は、金属層260の線膨張係数よりも、絶縁部材4の線膨張係数に近いことから、金属層250としては、ドレイン端子63及びカソード端子71との接合性を考慮することなく、線膨張係数が絶縁部材4の線膨張係数に近い金属層を採用することができる。同様に、金属層350としては、ドレイン端子63及びカソード端子71との接合性を考慮することなく、線膨張係数が絶縁部材4の線膨張係数に近い金属層を採用することができる。
また、本例では、絶縁部材14の絶縁部分142の上端面は、絶縁部材14の線膨張係数に近い線膨張係数を有する下層金属層250の上面と面一である(例えば図19参照)。これにより、バスバー12の上層金属層260は、周囲温度の変化による絶縁部分142の変形の影響を受けにくくなる。その結果、バスバー12の上層金属層260とドレイン端子63及びカソード端子71との接合部分に熱応力が発生しにくくなる。したがって、金属層260として、絶縁部材4との線膨張係数の差が大きな金属層を用いることができる。
また、本例では、絶縁部材14の絶縁部分143の上端面は、絶縁部材14の線膨張係数に近い線膨張係数を有する下層金属層350の上面と面一である(例えば図19参照)。これにより、バスバー13の上層金属層360は、周囲温度の変化による絶縁部分143の変形の影響を受けにくくなる。その結果、上層金属層360とアノード端子72及び73の接合部分に熱応力が発生しにくくなる。したがって、金属層360として、絶縁部材4との線膨張係数の差が大きな金属層を用いることができる。
また、本例では、絶縁部分142及び絶縁部分143の上端面は、下層金属層250、下層金属層650及び下層金属層350の上面と面一であり、下層金属層250、下層金属層650及び下層金属層350は同一種類の金属、例えば、アルミニウムによって構成されている。このため、絶縁部材14を挟んで下層金属層250及び下層金属層650の双方の上面に沿う方向(図19〜図21の左右方向)の熱応力の分布に対称性が生じて、双方に生ずる熱応力が打ち消しあう。同様に、絶縁部材14を挟んで下層金属層650及び下層金属層350の双方の上面に沿う方向(図19〜図21の左右方向)の熱応力の分布に対称性が生じて、双方に生ずる熱応力が打ち消しあう。これらの結果、上層金属層260とドレイン端子63及びカソード端子71の接合部分(例えば、図19〜図21参照)に熱応力が発生しにくくなり、当該各接合部分の信頼性が向上する。同様に、上層金属層660上の配線基板15と、ゲート端子61及びソース端子62との接合部分(例えば、図19、図20参照)に熱応力が発生しにくくなり、当該各接合部分の信頼性が向上する。同様に、上層金属層660とアノード端子72及び73の接合部分(例えば、図21参照)に熱応力が発生しにくくなり、当該各接合部分の信頼性が向上する。
また、本例では、バスバー12、バスバー13、バスバー16及び絶縁部材14が一体成形されていることから、バスバー12、バスバー13、バスバー16及び絶縁部材14を一体化するための部材は不要となる。このため、回路構成体1Bの構成を簡素化することができる。
また、本例では、導電性の突起部160が、バスバー16から配線基板15の貫通孔152内に突出している。このため、配線基板15上のソース端子62を、貫通孔152c内の突起部160cに電気的に接続することによって、ソース端子62をバスバー16と電気的に簡単に接続することができる。また、配線基板15上のアノード端子72及び73を、貫通孔152内の突起部160に電気的に接続することによって、アノード端子72及び73をバスバー16と電気的に簡単に接続することができる。
また、本例では、突起部160はバスバー16の一部で構成されていることから、ソース端子62とバスバー16との間の電気抵抗を低減することができるとともに、アノード端子72及び73とバスバー16との間の電気抵抗を低減することができる。
また、本例では、アノード端子72及び73は突起部160に接合されていることから、アノード端子72及び73とバスバー16との間の電気抵抗を低減することができる。
また、本例では、MOSFET6aのソース端子62が接合されたランド157aから拡張されて貫通孔152cの周囲に位置する拡張領域158と、当該貫通孔152c内の突起部160cの上面とに接合された導電片9が設けられている。このような導電片9によって、MOSFET6aのソース端子62とバスバー16との間の電気抵抗を低減することができる。また、MOSFET6aで発生した熱を導電片9によってバスバー16に伝えやすくなることから、局所的な温度上昇が発生しにくくなる。同様に、導電片9によって、MOSFET6bのソース端子62とバスバー16との間の電気抵抗を低減することができる。また、MOSFET6bで発生した熱を導電片9によってバスバー16に伝えやすくなることから、局所的な温度上昇が発生しにくくなる。
また、本例では、拡張領域158が貫通孔152cの周囲を取り囲み、導電片9が貫通孔152cの開口縁を覆っている。これにより、拡張領域158及び突起部160cと導電片9との接合面積を大きくすることができる。その結果、ソース端子62とバスバー16との間の電気抵抗をさらに低減することができる。
また、本例では、配線基板15は、バスバー16の上面において、バスバー12及び13の上面よりも低い領域上に位置することから、配線基板15とバスバー12及び13との段差を小さくすることができる。よって、MOSFET6a及びツェナーダイオード7aを、配線基板15とバスバー12に跨って設けやすくなる。また、MOSFET6b及びツェナーダイオード7bを、配線基板15とバスバー13に跨って設けやすくなる。本例では、バスバー16の上面の全領域が、バスバー16の上面において、バスバー12及び13の上面よりも低い領域となっている。
また、本例では、導電片9が接合される拡張領域158は、MOSFET6aのソース端子62が接合されるランド157aと、MOSFET6bのソース端子62が接合されるランド157bの両方から拡張されて、貫通孔152cの周囲に位置することから、拡張領域158をMOSFET6a及び6bで共用することができる。これにより、MOSFET6aのソース端子62とバスバー16との間の電気抵抗と、MOSFET6bのソース端子62とバスバー16との間の電気抵抗とを簡単な構成で低減することができる。
なお、配線基板15の線膨張係数は、上層金属層260,360,660の線膨張係数(例えば17ppm/℃)よりも絶縁部材14の線膨張係数(例えば40ppm/℃)に近くもよい。例えば、配線基板15の線膨張係数は18ppm/℃以上であってもよい。また、配線基板15の線膨張係数は、下層金属層250,350,650の線膨張係数(例えば24ppm/℃)よりも絶縁部材14の線膨張係数に近くてもよい。例えば、配線基板15の線膨張係数は25ppm/℃以上であってもよい。これにより、配線基板15とソース端子62との接合部分に熱応力が発生しにくくなる。その結果、当該接合部分の信頼性が向上する。
また、バッテリから延びる配線部材の接続端子を、バスバー12の入力端子部121の上層金属層260に接触させてもよい。上層金属層260の導電率は下層金属層250の導電率よりも大きいことから、入力端子部21とバッテリとの間の電気抵抗を低減することができる。また、電装部品から延びる配線部材の接続端子を、バスバー13の出力端子部131の上層金属層360に接触させてもよい。上層金属層360の導電率は下層金属層350の導電率よりも大きいことから、出力端子部31と電装部品との間の電気抵抗を低減することができる。
<回路構成体の他の例>
回路構成体1A及び1Bの構造は上記の例に限られない。例えば、バスバー2,3,12,13,16の少なくとも一つは、3層以上の金属層から成るクラッド材で構成されてもよい。この場合、最上層の金属層は、電子部品の接続端子がはんだ等で接合されやすい材料で構成されてもよい。例えば、最上層の金属層は銅層であってもよい。
また、バスバー2,3,12,13,16の少なくとも一つは、金属層の端面と金属層の端面とが接合されたクラッド材で構成されてもよい。例えば、アルミニウム層と銅層とが積層されるのではなく、アルミニウム層の端面と銅層の端面とが拡散接合されたクラッド材が、バスバー2,3,12,13,16の少なくとも一つに採用されてもよい。この場合、銅層に対してMOSFET6等の電子部品の接続端子が接合されてもよい。また、3個以上の金属層が同一平面上に一方向に並べられ、隣接する2個の金属層の端面同士が接合されたクラッド材が、バスバー2,3,12,13,16の少なくとも一つに採用されてもよい。
また、突起部302は、バスバー3の一部で構成されるのではなく、バスバー3と別体で構成されてもよい。この場合、突起部302は、はんだ等の導電性接合材でバスバー3の上面に接合されてもよい。同様に、突起部160は、バスバー16の一部で構成されるのではなく、バスバー16と別体で構成されてもよい。この場合、突起部160は、はんだ等の導電性接合材でバスバー16の上面に接合されてもよい。
また、回路構成体1Aは配線基板5を備えなくてもよい。この場合、例えば、絶縁部材4によってバスバー2及び3と電気絶縁された別のバスバーが設けられてもよい。そして、MOSFET6のソース端子62がバスバー3に接合され、MOSFET6のゲート端子61が別のバスバーに接合されてもよい。
同様に、回路構成体1Bは配線基板15を備えなくてもよい。この場合、例えば、絶縁部材14によってバスバー12,13,16と電気的に絶縁された別のバスバーが設けられてもよい。そして、MOSFET6のソース端子62がバスバー16に接合され、MOSFET6のゲート端子61が別のバスバーに接合されてもよい。
また、回路構成体1Aは導電片9を備えなくてもよい。この場合、貫通孔52内の突起部302と、当該貫通孔52の周囲の拡張領域533とがはんだ等で接合されてもよい。同様に、回路構成体1Bは導電片9を備えなくてもよい。この場合、貫通孔152内の突起部160と、当該貫通孔152の周囲の拡張領域158とがはんだ等で接合されてもよい。
また、回路構成体1Aでは、図28に示されるように、絶縁部分42に含まれる周囲部分42aの上端面は、下層金属層250及び350の上面よりも下側に位置してもよい。この場合であっても、上層金属層260は、周囲温度の変化による絶縁部分42の変形の影響を受けにくくなる。その結果、上層金属層260とドレイン端子63及びカソード端子71の接合部分に熱応力が発生しにくくなる。
同様に、回路構成体1Bでは、図29に示されるように、絶縁部分142の上端面は、下層金属層250,350,650の上面よりも下側に位置してもよい。また、絶縁部分143の上端面は、下層金属層250,350,650の上面よりも下側に位置してもよい。
また、上記の例では、バスバー3の本体部30は、突起部302以外の部分に上層金属層360を備えているが、突起部302以外の部分に上層金属層360を備えなくてもよい。つまり、本体部30では、下層金属層350上に複数の突起部302だけが設けられてもよい。この場合には、配線基板5は、本体部30の下層金属層350上に固定される。同様に、バスバー16では、下層金属層650上に複数の突起部160だけが設けられてもよい。
また、上層金属層260,360,660は、銅以外の、はんだ等でドレイン端子63等を接合し易い金属材料で構成されてもよい。また、下層金属層250,350,650は、アルミニウム以外の、絶縁部材4の線膨張係数に近い線膨張係数を有する金属材料で構成されてもよい。また、上層金属層260,360,660に対して端子等をはんだ接合しやすくするため、配線部材と入力端子部21及び121との接触抵抗を低減するため、及び配線部材と出力端子部31及び131との接触抵抗を低減するために、上層金属層260,360,660は、その表面に、ニッケルめっきなどの金属めっきを有してもよい。この場合、上層金属層60,360,660は、金属めっきが表面に施された銅層であってもよい。
また、バスバー2,3,12,13,16の少なくとも一部の複数のバスバーは、互いに異なるクラッド材で構成されてもよい。また、バスバー2,3,12,13,16の少なくとも一つは、クラッド材でなくてもよい。例えば、バスバー2,3,12,13,16の少なくとも一つは、銅のみで構成されてもよいし、他の種類の金属のみで構成されてもよい。
以上のように、回路構成体は詳細に説明されたが、上記した説明は、全ての局面において例示であって、この開示がそれに限定されるものではない。また、上述した各種変形例は、相互に矛盾しない限り組み合わせて適用可能である。そして、例示されていない無数の変形例が、この開示の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。