以下、図面を参照しながら、定期検査情報連携システムおよび定期検査情報連携方法の実施形態について詳細に説明する。
図1の符号1は、本実施形態の定期検査情報連携システムである。この定期検査情報連携システム1は、原子力発電所、火力発電所、新エネルギー発電所(風力発電所、太陽光発電所、バイオマス発電所など)、化学プラント、または工場などのプラントにおいて、定期検査を行う際に、これに関わる人々の連携を図るために設けられている。
プラントは、配電システム、運転機器、監視機器などの複数の要素を用いて構築される。プラントのような大規模な施設では、多数の人々が定期検査に関わる。例えば、プラントで作業を行う作業者W、作業の立会を行う立会者T、作業の管理を行う管理者Mなどの人々が関わる。なお、これらの者を総称してユーザーUと称する場合がある。
また、プラントの定期検査には、複数のグループが関わる。本実施形態では、第1グループG1と第2グループG2と第3グループG3の三社が関わる形態を例示する。例えば、第1グループG1は、プラントで定期検査の作業に関わるサービスを提供するベンダーである。第2グループG2は、プラントの保全を行う保全グループである。第3グループG3は、プラントの運転管理を行う運転管理グループである。
なお、本実施形態では、定期検査に3つのグループが関わる形態を例示しているが、4つ以上のグループが定期検査に関わっても良い。例えば、放射線管理部門を担当する第4グループがあっても良い。また、定期検査開始後に、任意にグループを追加したり削減したりできるようにしても良い。
これらのグループG1〜G3は、それぞれが個々に意思決定を行う組織である。それぞれのグループG1〜G3の内部では、序列を設けた体系を構築することで連携が図れる。しかしながら、複数のグループG1〜G3が共同で1つの事業を行うきには、グループG1〜G3ごとに個々に意思決定が行われてしまうため、グループG1〜G3同士の連携が取り難いという課題がある。本実施形態は、このような課題を解決することができる。
また、グループG1〜G3同士の連携強化に加え、熟練者が持つネットワークを事前に設定し、従来のノウハウを規定化することにより、組織または計画実行の技術力の維持または技術力の逸散防止といった課題解決にも寄与できる。
第1グループG1には、作業者Wとこれらの者を管理する管理者Mが所属している。第2グループG2には、プラント全体を統括的に管理する管理者Mと作業に立ち会う立会者Tが所属している。第3グループG3には、作業者Wとこれらの者を管理する管理者Mが所属している。
保全グループである第2グループG2がプラントの保全の立案をして、第3グループG3である運転管理グループにその運転管理を任せている。また、第3グループG3は、プラント運転中の操作に加え、定期検査時のプラント停止期間中に必要な系統・機器の運転管理を任されている。
このようなプラントにおいて、定期検査を行う際には、第2グループG2が定期検査に関わるメインワークオーダー2を作成する。第2グループG2は、ベンダーである第1グループG1にメインワークオーダー2を渡して作業の指示を行うようにしている。なお、それぞれのメインワークオーダー2には、メインワークオーダー2を個々に識別可能なメインワークオーダーIDが付与される(図8)。
メインワークオーダー2(図1)には、例えば、作業の対象となる機器、作業に関わるタスク、作業の順序、説明書、作業に要する費用、作業の形態、作業を実行する日時、作業を実行する場所、作業に要する時間、作業を行う組織または部門に関する情報、作業に割り当てられる人員などが記載されている。
本実施形態のメインワークオーダー2は、点検対象となる機器ごとに作成される。例えば、1つの機器の点検作業に対応して1つのメインワークオーダー2が作成される。なお、受注側の第1グループG1では、顧客側の第2グループG2から受け取ったメインワークオーダー2の内容を容易に変更できない。
ここで、メインワークオーダー2の内容は容易に変更できないものの、その一部を受注側の第1グループG1が変更しても良い。例えば、放射線管理などに関する内容は、そのノウハウを有している第1グループG1が追加したり変更したりすることができる。
そこで、本実施形態では、第2グループG2からメインワークオーダー2を受け取った第1グループG1が、1つのメインワークオーダー2を複数のサブワークオーダー3に分割する設定を行う。例えば、メインワークオーダー2は、定期検査に関わる部門、定期検査の形態、定期検査の対象となる機器の少なくともいずれかに基づいて、複数のサブワークオーダー3(図2)に分割される。
なお、本実施形態の「分割」とは、1つのメインワークオーダー2に含まれる個々の事項を区分けすることを示す。このようにすれば、メインワークオーダー2の内容を変更せずに、サブワークオーダー3に基づいて、定期検査の形態ごとの管理を行うことができる。また、部門間の情報共有と連携を強化することができる。また、機器ごとの管理を行うことができる。なお、それぞれのサブワークオーダー3には、サブワークオーダー3を個々に識別可能なサブワークオーダーIDが付与される(図8)。
図2に示すように、それぞれのグループG1〜G3には、複数のタスク4が割り当てられる。それぞれのグループG1〜G3に割り当てられるタスクのうち複数のグループに跨って関連する複数のタスク4が1のサブワークオーダー3に含められる。例えば、第1グループG1は、アイソレーションを第2グループG2に依頼するタスク4を有している。そして、第2グループG2は、第1グループG1からの依頼に基づいて、第3グループG3に依頼するタスク4を有している。
これら一連のタスク4が少なくとも1つのサブワークオーダー3と対応付けられる。つまり、それぞれのタスク4は、サブワークオーダー3により紐づけられている。なお、1つのタスク4に複数のサブワークオーダー3が対応付けられても良いし、それぞれのタスク4にそれぞれ異なるサブワークオーダー3が対応付けられても良い。このようにすれば、サブワークオーダー3を特定することで、これに関連するタスク4の状況を把握できるようになる。つまり、個々に意思決定を行う複数のグループG1〜G3がサブワークオーダー3に基づいて互いに連携できるようになる。
本実施形態では、メインワークオーダーである作業件名から枝分かれする作業ステップと、作業ステップから枝分かれする作業段階とで、第1種のツリー構造を構成することができる(図4)。また、メインワークオーダーから枝分かれするサブワークオーダーで第2種のツリー構造を構成することができる。本実施形態では、第1種のツリー構造と第2種のツリー構造とをそれぞれ個別に構築する。つまり、作業を区分けするための第1種のツリー構造と、1の作業を他の作業と連携させるための第2種のツリー構造を設けるようにしている。第1種のツリー構造と第2種のツリー構造は、互いに異なるものとなっている。なお、第1種のツリー構造の一部と第2種のツリー構造の一部とが重複しても良い。また、本実施形態では、第1種のツリー構造のルートは、メインワークオーダーとなっている。一方、第2種のツリー構造のルートは、メインワークオーダーでなくても良く、1の作業を他の作業と連携させるための連携態様に応じて任意に設定することができる。
ここで、メインワークオーダーとサブワークオーダーのそれぞれの関係性について図3から図5を用いて詳述する。
図3に示すように、例えば、定期検査を運転管理と保全管理(メンテナンス)とに大別する。なお、管理体系には、放射線管理、燃料管理などがあっても良い。それぞれの管理体系では、運転管理と保全管理を例にすると、系統ごとに枝分かれし、さらに系ごとに枝分かれする。それぞれの系には、多数の機器が設けられている。そのため、それぞれの系をさらに、機器ごとに枝分かれさせることができる。そして、機器ごとに定期検査に関する複数の作業段階または作業形態を対応付けることができる。なお、図3のツリー構造は一例であって、必ずしも系統をツリー構造の上位階層しなくても良い。他の構成を上位階層にしたツリー構造としても良い。
サブワークオーダーIDは、所定の命名規則に従って付与される。図3から図5の例では、アルファベットと数字を組み合わせた固有の識別番号をサブワークオーダーIDとしている。例えば、運転管理部門の「Operation」の頭文字を引用してサブワークオーダーIDを「O1001」とする。保全管理部門の「Maintenance」の頭文字を引用してサブワークオーダーIDを「M1001」とする。ベンダーの「Vendor」の頭文字を引用してサブワークオーダーIDを「V1001」とする。なお、サブワークオーダーIDをグループG1〜G3ごとに固有の識別番号とするのみならず、グループG1〜G3の全体で共通するサブワークオーダーIDとしても良い。
なお、本実施形態では、主に第1グループG1がサブワークオーダーの設定を行うものとする。運転管理に関するサブワークオーダーの設定は、第3グループG3が行うものとする。その場合でも管理窓口は第2グループG2のみとしても良い。また、放射線管理部門を担当する第4グループがある場合には、放射線管理に関するサブワークオーダーの設定は、第4グループが行うものとする。
図4に示すように、本実施形態では、1つのメインワークオーダーIDに対して複数の作業ステップが対応付けられる。さらに、1つの作業ステップに対して複数の作業段階が対応付けられる。さらに、それぞれの作業段階に対してサブワークオーダーIDが対応付けられる。なお、複数の作業段階に同一のサブワークオーダーIDが対応付けられても良い。例えば、それぞれの作業段階に対応する作業形態ごとに同一のサブワークオーダーIDが対応付けられている。
サブワークオーダーIDを決定する場合には、まず、部門または機器ごとに固有の識別番号を付与する。例えば、固有番号を「V1001」とした場合において、この固有番号は、原則的に変更されるものではない。しかしながら、固有番号の冒頭または末尾に補助的な番号が追加されても良い。例えば、サブワークオーダーIDが対応付けられた作業ステップまたは作業段階を個々に識別可能な番号が固有番号に追加されても良い。例えば、「1.準備作業」の作業ステップに対応するサブワークオーダーIDが「1−V1001」と変更されても良い。さらに、定期検査の進行に応じて他の識別番号がサブワークオーダーIDに追加されても良い。
本実施形態では、サブワークオーダーIDにメインワークオーダーID(件名)が追加されても良い。例えば、サブワークオーダーIDが、メインワークオーダーIDと組み合わされて「AB1−D002E−1−V1001」となっても良い。このようにすれば、定期検査中の全てのタスクが識別可能となる。
サブワークオーダーIDは、類似する作業形態の括りを一纏めにするものである。例えば、組織または管理を担うグループが異なる場合に、サブワークオーダーIDを異なるものとしても良い。例えば、機械系作業の弁分解と電気系作業のケーブル解線では、互いの作業形態が異なるため、サブワークオーダーIDも異なるものとしても良い。また、作業形態が異なっていても、関連する部門が同一ならばサブワークオーダーIDを同一のものとしても良い。つまり、サブワークオーダーIDのツリー構造は、作業の内容に関わらず、任意に構築することができる。また、よりきめ細かく確認をしたいのであれば、1つのサブワークオーダーの中をさらに細分化して、「1−V1001−a」として、作業形態の中身を任意に区切ることもできる。
図5は、サブワークオーダーIDを利用して所定の作業が完了したか否かを判定するためのロジックツリーである。このロジックツリーは、サブワークオーダーIDを用いた判定の一例であり、その他の判定にサブワークオーダーIDを用いても良い。
例えば、サブワークオーダーIDが付与された作業形態82が複数あるものとする。ここで、それぞれの作業形態82を、論理ゲート83(ANDゲート、ORゲート)により関連付けたロジックツリーを構築する。例えば、「O1001」と「O1002」の2つの作業形態82は、ANDの論理ゲート83で関連付けられており、双方の作業が完了しなければ、作業が完了したと判定されない。なお、ORの論理ゲートで関連付けられている場合には、いずれか一方の作業が完了すれば、作業が完了したと判定される。これらのロジックツリーにより最終的な結論84を導き出せるようにする。
図1に示すように、定期検査情報連携システム1は、インターネット5に接続されている。定期検査情報連携システム1は、ユーザーUが居る施設以外に設けられたクラウドサーバに実装されている。なお、定期検査情報連携システム1は、ユーザーUが居る施設内に設けられたサーバに実装されても良い。
それぞれのグループG1〜G3の管理者Mは、インターネット5に接続されている管理用端末6を用いて定期検査情報連携システム1にアクセスし、工程管理のための画面を管理用端末6のディスプレイ7に表示させる。例えば、管理者Mは、定期検査情報連携システム1が実装されたサーバのURLをウェブブラウザに入力することで、初期画面をディスプレイ7に表示させる。そして、管理者Mは、ウェブブラウザを用いて所定の操作を行うことで、スケジュール表(図13)などをディスプレイ7に表示させる。
作業者Wおよび立会者Tは、それぞれが携帯端末8を携帯している。携帯端末8は、移動可能な端末であれば良い。この携帯端末8は、例えば、ディスプレイ9(図21)を備えるスマートフォンで構成されている。このスマートフォンには、現場の状況を撮影するためのカメラが搭載されていても良い。なお、スマートフォンのディスプレイ9は、画面を表示する装置であるとともに、入力装置としてのタッチパネルを兼ねる。本実施形態の入力操作には、タッチパネルを用いたタッチ操作が含まれる。
作業者Wおよび立会者Tは、インターネット5に接続されている携帯端末8を用いて定期検査情報連携システム1にアクセスし、工程管理のための画面を携帯端末8のディスプレイ9に表示させる。例えば、作業者Wは、携帯端末8にインストールされたアプリケーションソフトウェアを用いて所定の操作を行うことで、作業確認画面(図21)などをディスプレイ9に表示させる。
なお、携帯端末8は、インターネット5に常時接続されているものでなくても良い。例えば、タイムログ(時刻)とともに携帯端末8のHDDに各種情報を蓄積させておく。そして、作業者Wおよび立会者Tが事務所などに戻ったときに、携帯端末8をインターネット5に接続する。この環境下で携帯端末8を用いて定期検査情報連携システム1にアクセスし、各種情報のアップロードの処理を行っても良い。
なお、定期検査情報連携システム1は、所定のユーザー認証などを行って許可を得たユーザーUのみのアクセスを許可する。例えば、定期検査情報連携システム1は、ユーザーUを個々に識別可能なユーザー認証用IDに対応付けて、各種情報を記憶しても良い。そして、認証の許可がある情報のみにアクセスを許可する。
ユーザーUが扱う管理用端末6または携帯端末8は、例えば、デスクトップPC、ノートPC、またはタブレット型PCなどの所定のコンピュータで構成される。これらのコンピュータは、ユーザーUの操作に応じて所定の情報を入力するために用いられるマウス、キーボードまたはタッチパネルなどの入力装置を備える。本実施形態の入力操作には、マウスを用いたクリック操作、またはタッチパネルを用いたタッチ操作が含まれる。
また、管理用端末6および携帯端末8などのコンピュータは、画面を表示するディスプレイ7,9を備えている。なお、ディスプレイ7,9は、コンピュータ本体と別体であっても良いし、一体であっても良い。管理用端末6または携帯端末8を介して定期検査情報連携システム1にアクセスし、所定の画面をディスプレイ7,9に表示させる場合には、定期検査情報連携システム1により制御される。
なお、本実施形態では、画面を表示する装置としてディスプレイ7,9を例示するが、その他の態様であっても良い。例えば、ヘッドマウントディスプレイまたはプロジェクタを用いて情報の表示を行っても良い。さらに、紙媒体に情報を印字するプリンタをディスプレイの替りとして用いても良い。つまり、定期検査情報連携システム1が制御する対象として、ヘッドマウントディスプレイ、プロジェクタまたはプリンタが含まれても良い。
次に、定期検査情報連携システム1のシステム構成を図6および図7示すブロック図を参照して説明する。
図6に示すように、定期検査情報連携システム1は、メイン制御部10と通信部11と記憶部12と工程管理データベース13と放射線管理データベース14と図書管理データベース15とを備える。
なお、定期検査情報連携システム1は、その他のデータベースを備えても良い。例えば、人物の経歴、人物が有する資格、人物の名前、その他の情報が記憶されたデータベースを設けても良い。そして、作業進捗に応じたリソースを管理するようにしても良い。
本実施形態の定期検査情報連携システム1は、CPU、ROM、RAM、HDDなどのハードウェア資源を有し、CPUが各種プログラムを実行することで、ソフトウェアによる情報処理がハードウェア資源を用いて実現されるコンピュータで構成される。さらに、本実施形態の定期検査情報連携方法は、各種プログラムをコンピュータに実行させることで実現される。
定期検査情報連携システム1の各構成は、必ずしも1つのコンピュータに設ける必要はない。例えば、ネットワークで互いに接続された複数のコンピュータを用いて1つの定期検査情報連携システム1を実現しても良い。
通信部11は、インターネット5などの通信回線を介して管理用端末6または携帯端末8と通信を行う。なお、本実施形態では、定期検査情報連携システム1と管理用端末6または携帯端末8がインターネット5を介して互いに接続されているが、その他の態様であっても良い。例えば、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)または携帯通信網を介して互いに接続されても良い。
記憶部12は、工程管理データベース13と放射線管理データベース14と図書管理データベース15に記憶された情報を検索するときに必要な各種情報が記憶される。また、ユーザーU間で送受信されたメッセージ(図18)などが記憶される。
工程管理データベース13と放射線管理データベース14と図書管理データベース15は、メモリまたはHDDに記憶され、検索または蓄積ができるよう整理された情報の集まりである。
工程管理データベース13には、プラントの定期検査の工程を管理する情報が登録される。
放射線管理データベース14には、プラントのそれぞれのエリアの放射線情報が登録される。例えば、各エリアの線量率、各エリアの汚染密度と線量率に応じた区分の情報、エリアの境界となる扉の情報、配置されている機器などの放射線に関する情報が登録される。
図書管理データベース15には、プラントに関する図面または設計図などの図書情報が登録される。例えば、機器の図面、建屋の図面、配管の図面、配線の図面などが登録される。なお、図書管理データベース15には、不適合報告書などが登録されても良い。作業の進捗結果と合わせて不適合報告書があれば、後日、作業の当時の状況を推測し易くなる。
図7に示すように、メイン制御部10は、定期検査情報連携システム1を統括的に制御する。このメイン制御部10は、インターネット5を介して接続された管理用端末6または携帯端末8のディスプレイ7,9に表示される画面の制御を行う。
メイン制御部10は、ワークオーダー設定部16とワークオーダー登録部17と計画情報登録部18と実績情報登録部19と差分算出部20と差分要因登録部21と変更履歴記録部22とメッセージ処理部23とメッセージ記録部24とエリア登録部25とグラフ表示制御部26と遅延表示部27と人物情報登録部28と人物情報表示制御部29と不調特定部30と不調表示部31と補充依頼表示部32と補充依頼受付部33と補充依頼通知部34とスケジュールログ出力部81とを備える。これらは、メモリまたはHDDに記憶されたプログラムがCPUによって実行されることで実現される。
ワークオーダー設定部16は、定期検査に関連する少なくとも1つのメインワークオーダーを複数のサブワークオーダーに分割する設定を受け付ける(図8)。
また、ワークオーダー設定部16は、メインワークオーダーである作業件名から分割された作業ステップと、作業ステップから分割された作業段階とを設定する。さらに、ワークオーダー設定部16は、作業段階から分割された作業形態であり、準備、アイソレーションの実施、アイソレーションの解除、機器の分解、機器の復旧、機器の点検、機器の手入れ、試験、試運転、放射線管理、運転管理、燃料管理、品質管理、安全管理、品質管理または安全管理の監理員の立会のうちの少なくともいずれか1つの作業形態を設定する。なお、場合によっては他のケースもあり得るため、作業段階または作業形態として、他にも任意に設定が可能である。
なお、ワークオーダー設定部16は、メインワークオーダーを、定期検査に関わる部門、定期検査の作業形態、定期検査の対象となる機器の少なくともいずれか1つに基づいて、複数に分割する設定を受け付ける。また、ワークオーダー設定部16は、定期検査の機器および作業件名ごとに設定された1つのメインワークオーダーを複数のサブワークオーダーに分割する設定を受け付ける。
ワークオーダー登録部17は、サブワークオーダーを個々に識別可能なサブワークオーダーIDを工程管理データベース13に登録する(図8)。
また、ワークオーダー登録部17は、作業形態をサブワークオーダーIDに対応付けて工程管理データベース13に登録する。さらに、ワークオーダー登録部17は、定期検査に関わるグループ、定期検査に関わる関連部門のうちの少なくともいずれか1つをサブワークオーダーIDに対応付けて工程管理データベース13に登録する。また、ワークオーダー登録部17は、関連する他のサブワークオーダーのサブワークオーダーIDを対応付けて工程管理データベース13に登録する。
なお、ワークオーダー登録部17は、作業段階の作業時間を特定可能な情報を工程管理データベースに登録する。また、ワークオーダー登録部17は、作業段階にかかわる人員の計画段階の計画人員数を特定可能な情報を工程管理データベース13に登録する。さらに、ワークオーダー登録部17は、実際に作業に投入された実績人員数を特定可能な情報を工程管理データベース13に登録する。また、ワークオーダー登録部17は、人員の累積の被ばく量と作業段階で受ける被ばく量とを特定可能な情報を工程管理データベース13に登録する。
また、ワークオーダー登録部17は、各種情報を系統または機器のカテゴリーごとに分類して各種情報を工程管理データベース13に登録する。例えば、ワークオーダー登録部17は、ポンプ、盤、弁、タンク、計器などのカテゴリーごとに分類して各種情報を登録することができる。
計画情報登録部18は、作業計画を示す計画情報を関連するサブワークオーダーIDに対応付けて工程管理データベース13に登録する(図10)。計画情報には、作業にかかる所要時間の計画値が含まれる。なお、計画情報の入力には、管理用端末6を用いても良いし、携帯端末8を用いても良い。なお、前回の定期検査の実績、または他のプラント(同様な構造を有する他のプラントなど)の実績を引用し、計画情報に反映できるようにしても良い。
実績情報登録部19は、作業実績を示す実績情報をサブワークオーダーIDに対応付けて工程管理データベース13に登録する(図10)。実績情報には、作業にかかった所要時間の実績値が含まれる。なお、実績情報の入力には、管理用端末6を用いても良いし、携帯端末8を用いても良い。また、サブワークオーダーごとのタイムログ(開始時刻および終了時刻)を記憶するようにしても良い。
差分算出部20は、サブワークオーダーIDに対応付けて工程管理データベース13に登録された計画値と実績値の差分を算出する(図10)。この差分算出部20は、例えば、計画情報としての作業にかかる所要時間の計画値と、実績情報としての実際に作業にかかった所要時間の実績値との差分を算出する。この差分算出部20は、演算を行う機能を有する。なお、差分算出部20は、所定の警告を発生させる機能を有しても良い。例えば、計画値と実績値の差分が、予めサブワークオーダーごとにセットされた閾値(幅)を超えた場合に警告を発生させるようにしても良い。
差分要因登録部21は、差分が生じた要因を示す差分要因情報(図14)の入力を受け付けて、この受け付けた差分要因情報をサブワークオーダーIDに対応付けて工程管理データベース13に登録する(図10)。
変更履歴記録部22は、計画情報登録部18が登録した計画情報が変更された場合に、計画情報の変更の履歴を関連するサブワークオーダーIDに対応付けて記録する(図8)。また、変更履歴記録部22は、定期検査に関連する工程表の改訂または修正が行われた場合にも、計画情報の変更の履歴を関連するサブワークオーダーIDに対応付けて記録する。
メッセージ処理部23は、ユーザーU間のメッセージ(図18)の送受信の処理または通話内容の記録処理の少なくとも一方を行う。このメッセージ処理部23は、通話機能を実現する処理を行うことできる。
メッセージ記録部24は、送信または受信したメッセージまたはユーザーU間の通話内容の少なくとも一方をサブワークオーダーIDに対応付けて、記憶部12に記録する(図19)。
エリア登録部25は、放射線情報に基づいて作業が可能なエリアを人物識別情報に対応付けて工程管理データベース13に登録する(図11)。
グラフ表示制御部26は、複数のサブワークオーダーを個々に識別可能な態様で並べて表示するとともに、個々のサブワークオーダーの期間を示すグラフを時間軸に沿って表示する(図13)。なお、機器をカテゴリー(ポンプ、盤、弁、タンク、計器などのカテゴリー)ごとに分類し、任意に選定した機器の進捗を時間軸に沿って表示できるようにしても良い。
遅延表示部27は、作業実績に遅延が生じているサブワークオーダーを特定可能に表示する(図13)。この遅延表示部27は、演算を行う機能を有する。なお、遅延表示部27は、所定の警告を発生させる機能を有しても良い。例えば、作業実績の遅延が、予めサブワークオーダーごとにセットされた閾値(幅)を超えた場合に警告を発生させるようにしても良い。
人物情報登録部28は、定期検査に関する作業者Wおよび立会者Tなどの人物を個々に識別可能な人物識別情報をサブワークオーダーIDに対応付けて工程管理データベース13に登録する(図11)。なお、人物識別情報には、人物を個々に識別可能な人物IDと人物の氏名との少なくともいずれかが含まれる。さらに、人物識別情報には、経歴、資格などのその他の情報が含まれても良い。また、人物情報登録部28が登録の対象とする人物には、自然人のみならず、法人、組織、企業などが含まれても良い。
人物情報表示制御部29は、複数のサブワークオーダーを個々に識別可能な態様で並べて表示するとともに、個々のサブワークオーダーに対応する人物識別情報(人物ID)を表示する(図20)。この表示は、個人に限らず、法人、組織、企業などに関するものでも良い。
不調特定部30は、人物識別情報(人物IDまたは人物氏名)の登録が不足しているサブワークオーダーがある場合、同一時刻に2つ以上のサブワークオーダーに対応付けられている人物識別情報がある場合の少なくともいずれかの不調を特定する(図10)。
不調表示部31は、不調が生じているサブワークオーダーを特定可能に表示する(図20)。
補充依頼表示部32は、人員が不足しているサブワークオーダーがある場合、他のサブワークオーダーに対応付けられている人物識別情報(人物IDまたは人物氏名)を人員補充の依頼の候補として表示する(図22)。
補充依頼受付部33は、管理用端末6または携帯端末8の入力操作に基づいて、人員補充の依頼を受け付ける(図22)。
補充依頼通知部34は、人員補充の依頼を受け付けたときに候補とされた人物識別情報(人物の氏名)に対応する人物が携帯する携帯端末8に対して、補充が求められている旨を示す通知を行う。また、補充依頼通知部34は、人員補充の依頼の候補が無い場合に、管理者Mが使用する管理用端末6に対して人員補充を求める通知を行うとともに、この通知を記憶する処理を行う。
スケジュールログ出力部81は、工程管理データベース13に登録された情報に基づいて生成されるスケジュールログを出力する。スケジュールログを出力することで、管理者Mがプラントの定期検査の進捗ステータスを効率よく把握することができる。
次に、工程管理データベース13に登録される各種管理テーブルを図8から図11を参照して説明する。工程管理データベース13には、ワークオーダー管理テーブル(図8)とスケジュール管理テーブル(図9)と作業時間管理テーブル(図10)と人物管理テーブル(図11)とが登録されている。なお、以下に述べる各テーブルに登録される情報は、一部を例示したものであり、これらの情報以外の情報が各テーブルに登録されても良い。例えば、被ばく実績線量・被ばく計画線量・当日の管理区域立入時間など図に示された情報以外の情報が各テーブルに登録されても良い。
図8に示すように、ワークオーダー管理テーブルには、サブワークオーダーIDに対応付けて、メインワークオーダーIDと関連部門と作業形態と対象機器と関連サブワークオーダーIDと変更履歴とが登録される。なお、計画情報には、サブワークオーダーIDとメインワークオーダーIDと関連部門と作業形態と対象機器と関連サブワークオーダーIDとが含まれる。
関連部門の項目には、定期検査に関わる部門であって、対応するサブワークオーダーの作業を行う部門が登録される。例えば、第1グループG1に含まれる複数の部門のうち所定の部門が登録される。この関連部門の項目には、それぞれの部門を個々に識別可能な部門IDが登録されても良い。
作業形態の項目には、定期検査の形態であって、対応するサブワークオーダーの作業形態が登録される。
対象機器の項目には、定期検査の対象となる機器であって、対応するサブワークオーダーの作業の対象となる機器の名称または種類が登録される。この対象機器の項目には、それぞれの機器を個々に識別可能な機器IDが登録されても良い。
関連サブワークオーダーIDの項目には、対応するサブワークオーダーに関連する他のサブワークオーダーのサブワークオーダーIDが登録される。このサブワークオーダーは、他のメインワークオーダーから分割されたものでも良い。
本実施形態では、複数のメインワークオーダーが第1メインワークオーダーとこれと異なる第2メインワークオーダーとを含んでいる。第1メインワークオーダーから分割されたサブワークオーダーが第2メインワークオーダーと関連がある場合に、第1メインワークオーダーのサブワークオーダーIDを第2メインワークオーダーに対応付けてワークオーダー管理テーブルに登録する。
このようにすれば、第1メインワークオーダーと第2メインワークオーダーの互いの作業の連携を図ることができる。例えば、第1メインワークオーダーの所定のサブワークオーダーが遅延する場合には、このサブワークオーダーIDに基づいて、関連する他のサブワークオーダーを特定することができる。そのため、メインワークオーダーが異なっていても互いのサブワークオーダーの連携を図ることができる。
変更履歴の項目には、スケジュール管理テーブル(図9)または作業時間管理テーブル(図10)に登録された計画情報が変更された場合に、その変更履歴を示す情報が登録される。なお、変更履歴の項目には、変更履歴を個々に識別可能な情報が登録されても良いし、変更前の情報がその変更された日付および時刻とともに登録されても良い。このようにすれば、計画情報の変更の履歴を記録しておき、後日、工程を見直す際に活用することができる。
本実施形態では、ワークオーダー設定部16による設定に基づいて、ワークオーダー管理テーブルに、それぞれのサブワークオーダーIDの項目が設けられる。そして、ワークオーダー登録部17によりそれぞれの項目に各種情報が登録される。
図9に示すように、スケジュール管理テーブルには、作業段階(作業ID)に対応付けて、メインワークオーダーIDとサブワークオーダーIDと作業件名と作業ステップと作業期間とが登録される。なお、計画情報には、作業件名と作業ステップと作業期間とが含まれる。
作業段階の項目には、サブワークオーダーに関連するそれぞれの作業段階を個々に識別可能な名称または作業IDが登録される。本実施形態では、ユーザーUが認識し易いように作業ステップに対応する番号が付された名称を作業段階の項目に登録している。
作業件名の項目には、作業の内容を示す作業件名が登録される。1つの作業件名は、1つのメインワークオーダーIDに対応付けられている。つまり、メインワークオーダーIDを特定することで作業件名を特定することができる(図14)。
作業ステップの項目には、サブワークオーダーに関連するそれぞれの作業ステップを個々に識別可能な名称が登録される。なお、1つの作業件名には、複数の作業ステップが含まれる。例えば、1つの作業件名に対応して時系列順に実行される複数の作業のそれぞれを作業ステップとしている(図14)。本実施形態では、ユーザーUが認識し易いように作業ステップに対応してそれぞれを識別可能な番号が付されている。
なお、スケジュール管理テーブルには、作業ステップを個々に識別可能な名称と、これに関連する作業の括りごとに付与されるサブワークオーダーIDとが互いに対応付けられて登録されても良い。このスケジュール管理テーブルに登録された情報に基づいて、スケジュールログを出力可能となっている。
作業期間の項目には、それぞれの作業段階に対応する作業期間(日付および時刻)が登録される。なお、スケジュール管理テーブルには、作業期間を算出可能な情報が登録されても良い。例えば、開始日時と終了日時とがスケジュール管理テーブルに登録されても良い。
図10に示すように、作業時間管理テーブルには、作業段階(作業ID)に対応付けて、状況と計画値と実績値と差分と差分要因と人員数と人物IDと実績投入人数とが登録される。なお、計画情報には、計画値と人員数と人物IDとが含まれる。実績情報には、状況と実績値と差分と差分要因とが含まれる。
状況の項目には、作業段階の現在の状況が登録される。例えば、作業が完了している場合には「完了」と登録され、作業中である場合には「作業中」と登録される(図14)。
計画値の項目には、計画段階において予測される作業にかかる所要時間が登録される。
実績値の項目には、作業実績に基づいて実際に作業にかかった所要時間が登録される。なお、実際に作業にかかった所要時間は、所定の方法で取得される。例えば、作業者Wから所要時間を聞き取っても良いし、携帯端末8のタッチ操作(スタート操作、完了操作)などの日時を記録することにより所要時間を算出しても良い。このようにすれば、作業段階(作業ID)とサブワークオーダーごとの実績値を取得することができる。
差分の項目には、それぞれの作業段階において実績値から計画値を減算した値が登録される。例えば、実際の作業が計画よりも1時間進んでいる場合には「−1h」と登録され、実際の作業が計画よりも2時間遅れている場合には「2h」と登録される(図14)。なお、遅延している作業に対応する項目の文字を赤色で表示しても良い。このようにすれば、サブワークオーダーごとの進捗を把握することができる。
差分要因の項目には、差分が生じた要因を示す差分要因情報が登録される(図14)。この差分要因情報は、ユーザーUが入力したテキストデータである。また、差分が生じた要因を記録したファイルのリンク先を差分要因情報として登録しても良い。このようにすれば、差分が生じた要因を記録しておき、後日、工程を見直す際に活用することができる。なお、本実施形態の定期検査情報連携システム1では、実績値を特定可能な情報と差分要因情報との少なくともいずれかを含むスケジュールログを出力可能となっている。
人員数の項目には、それぞれの作業段階にかかわる人員の計画段階の総数が登録される。
人物IDの項目には、それぞれの作業段階に参加する作業者Wまたは立会者Tの人物IDが登録される。
実績投入人数の項目には、作業完了後に、対応する作業段階で実際に投入された人員の総数が登録される。なお、本実施形態の実績情報には、実際に投入された人員の総数を特定可能な情報が含まれても良い。
図11に示すように、人物管理テーブルには、人物IDに対応付けて、氏名と所属グループと所属部門と保有資格と個人の年度被ばく計画線量と個人の年度被ばく実績線量と対応可能エリアとが登録される。
氏名の項目には、人物IDに対応する人物の氏名が登録される。
所属グループの項目には、人物IDに対応する人物が所属しているグループが登録される。
所属部門の項目には、人物IDに対応する人物が所属している部門が登録される。
保有資格の項目には、人物IDに対応する人物が保有している資格に関する情報が登録される。なお、本実施形態の保有資格は、所定の区域に立ち入るための立入資格を含む。
個人の年度被ばく計画線量の項目には、人物IDに対応する人物の年度被ばく計画線量が登録される。なお、個人の年度被ばく計画線量は、対応する人物が作業段階で受ける被ばく量を特定するために必要な情報である。
個人の年度被ばく実績線量の項目には、人物IDに対応する人物の年度被ばく実績線量が登録される。なお、個人の年度被ばく実績線量は、対応する人物の累積の被ばく量を特定するために必要な情報である。
対応可能エリアの項目には、人物IDに対応する人物が対応可能なエリアが登録される。特に、原子力プラントでは、放射線管理区域が設けられているため、対応する資格を有している者でなければ立ち入れないエリアがある。そのため、保有資格に応じて対応可能エリアが特定される。
さらに、対応可能エリアの項目には、個人の年度被ばく計画線量および個人の年度被ばく実績線量などを含む放射線情報に基づいて、人物IDに対応する人物が対応可能(立入可能)なエリアが登録される。このようにすれば、中央操作室などの区分に応じて立入資格の無い者の立ち入りを制限することができる。また、年度被ばく線量の残線量が少ない者は、放射線管理区域など立ち入れないように制限することができる。
図12は、管理者Mが定期検査情報連携システム1にアクセスしているときに管理用端末6に表示される運用工程表である。
運用工程表は、ワークオーダー管理テーブル(図8)とスケジュール管理テーブル(図9)とに基づいて生成される。
この運用工程表の横軸には、作業の日付および時刻を示す項目35が並んでいる。さらに、運用工程表の縦軸には、プラントに設けれる設備または状況に対応する項目36と、それぞれの作業に対応する期間を示すグラフ37が表示される。
図13は、管理者Mが定期検査情報連携システム1にアクセスしているときに管理用端末6に表示されるスケジュール表である。
スケジュール表は、ワークオーダー管理テーブル(図8)とスケジュール管理テーブル(図9)と作業時間管理テーブル(図10)とに基づいて生成される。
このスケジュール表の横軸には、作業の日付および時刻を示す項目38が並んでいる。さらに、スケジュール表の縦軸には、作業ステップおよび作業段階の項目39が並んでいる。そして、それぞれの作業段階に対応するサブワークオーダーIDの項目40が設けられている。さらに、それぞれの作業段階に対応する期間を示すグラフ41が表示される。
スケジュール表において、計画段階の期間を示すグラフ42は、白抜きの四角枠で表示される。そして、実際の作業にかかった実績期間を示すグラフ43は、青色で表示される。また、実績期間が計画段階の期間を超過している場合には、その超過期間の部分44が赤色で表示される。つまり、作業実績に遅延が生じているサブワークオーダーIDが特定可能に表示される。
このようにすれば、作業実績に遅延が生じているサブワークオーダーを管理者Mが把握することができる。管理者Mは、この特定されたサブワークオーダーIDに基づいて、関連するサブワークオーダーIDをさらに特定し、遅延の影響が及ぼす範囲(他の作業)を把握することができる。
図14は、管理者Mが定期検査情報連携システム1にアクセスしているときに管理用端末6に表示される作業時間管理表である。
作業時間管理表は、ワークオーダー管理テーブル(図8)とスケジュール管理テーブル(図9)と作業時間管理テーブル(図10)とに基づいて生成される。
この作業時間管理表は、作業件名ごとに作成される。作業時間管理表には、メインワークオーダーの項目45と作業ステップの項目46と作業段階の項目47とサブワークオーダーIDの項目48と状況の項目49と作業時間の項目50と工程遅延の項目51と作業員数の項目52とが設けられている。
作業時間の項目50には、計画値と実績値と差分と差分要因とが表示される。差分要因には、作業が計画段階よりも進んでいる要因が表示されても良いし、作業が計画段階よりも遅れている要因が表示されても良い。
工程遅延の項目51には、それぞれの作業段階に対応してスケジュールの累積が表示される。この工程遅延の項目51を参照することで、管理者Mはスケジュールの遅延を把握することができる。
作業員数の項目52には、それぞれの作業段階にかかわる人員の計画段階の計画人員数と、実際に作業に投入された実績人員数と、計画人員数と実績人員数との差分とが表示される。なお、実績人員数は、所定の方法で入力される。例えば、管理者Mが管理用端末6を操作して入力しても良いし、作業者Wが携帯端末8を操作(タッチ操作、手書き入力操作)することで入力しても良い。
本実施形態の定期検査情報連携システム1では、工程管理データベース13に登録された情報に基づいて、日々の作業全体の実績を集計し、様々なグラフを作成することができる。
図15に示すように、全体実績の集計結果を示すグラフを作業日ごとに作成することができる。例えば、メインワークオーダーに対応する機器ごとの計画値と実績値を棒フラフで示し、これらを作業日ごとに並べて表示させることができる。このようにすれば、管理者Mが作業日ごとの作業実績を比較することができる。
図16に示すように、機器ごとの実績指標(PI:Performance Indicator)を示すグラフを作成することができる。このグラフの横軸は時間軸を示し、縦軸は実績指標を示している。例えば、ポンプ点検の実績指標の折線グラフ53と、弁点検の実績指標の折線グラフ54と、電動機点検の実績指標の折線グラフ55と重ねて表示することができる。このようにすれば、管理者Mが機器ごとの実績指標を把握することができる。
図17に示すように、定期検査に関するダッシュボードには、それぞれのグループG1〜G3が担当している作業ごとに進捗状況を表示させることができる。例えば、ダッシュボードには、横軸に日付を示し、それぞれの作業内容の項目56を担当しているグループG1〜G3で区分けして表示させることができる。例えば、「電源アイソレ」と「機器アイソレ」と「配管水抜き」の作業を第3グループG3が担当する場合には、これらの作業をまとめて表示する。
本実施形態のダッシュボードでは、例えば、作業が完了しているものが黒色の三角印57で表示される。また、作業に遅延が生じているものが赤色の三角印58で表示される。また、将来の作業の完了予定が白色の三角印59で表示される。さらに、現在の時点を示す現時点ライン60が表示される。このダッシュボードを参照することで、管理者Mは遅延が生じている作業を把握することができる。
なお、ダッシュボードに表示される三角印57〜59は、サブワークオーダー3ごとにまとめられているタスク4(図2)を、グループG1〜G3ごと示したキーマイルストーンとなっている。
図18に示すように、定期検査情報連携システム1では、管理者M同士が管理用端末6に表示されるメッセージボード(チャット)を用いてメッセージの送受信を行うことができる。なお、このメッセージボードを携帯端末8に表示して作業者Wがメッセージの送受信を行っても良い。
また、管理者M(または作業者W)同士が音声で通話できる機能を定期検査情報連携システム1に設けても良い。音声で通話した場合には、例えば、音声認識技術を用いて通話の内容をテキストログに変換し、このテキストログを記録するようにしても良い。なお、通話の音声ファイルを記録するようにしても良い。ビデオ通話の場合には動画ファイルを記録するようにしても良い。
メッセージボードを起動するときには、対応するサブワークオーダーIDを入力するとともに、メッセージの送り先を指定する。メッセージボードには、相手方を特定する表示61とサブワークオーダーIDの表示62とがなされる。
また、メッセージボードには、送信者と受信者のユーザーアイコン63が表示される。また、メッセージボードには、メッセージ入力窓64が表示される。管理者Mは、このメッセージ入力窓64にメッセージを入力する。なお、通話を行う場合には、メッセージボードと連携されたアプリケーションを起動する。
メッセージ入力窓64に入力されたメッセージ65は、ユーザーアイコン63に対応して表示される。また、相手方から届いたメッセージ65もユーザーアイコン63に対応して表示される。なお、通話を行った際には、通話を行ったことを示す所定の情報がメッセージ65に表記される。また、通話の要求(着信)があったときに、その通話に対応できなかった場合は、不在通知がメッセージ65に表記される。
図19に示すように、メッセージボードで送受信(または通話)を行うと、そのメッセージログ(または通話のテキストログ)が定期検査情報連携システム1の記憶部12に記憶される。メッセージログには、送受信日時に対応付けて、送信者の人物IDと受信者の人物IDとメッセージの内容とサブワークオーダーIDとが記録される。このようにすれば、メッセージのやり取りの経緯を残せるようになり、後日、サブワークオーダーに基づいて、メッセージのやり取りを遡って確認することができる。
次に、定期検査情報連携システム1を用いた人員調整を図20から図22を用いて説明する。
図20は、管理者Mが定期検査情報連携システム1にアクセスしているときに管理用端末6に表示される人員調整画面である。
人員調整画面は、ワークオーダー管理テーブル(図8)とスケジュール管理テーブル(図9)と作業時間管理テーブル(図10)とに基づいて生成される。
この人員調整画面には、作業に関する複数のタブ66が設けられており、所定のタブ66を選択すると、その作業に関する内容が表示される。例えば、作業が行われる日付の項目67に対応して、作業時間の項目68と、件名の項目69と、元請を示す項目70と、作業場所の項目71と、作業に関わる対応者の項目72とが表示される。なお、作業時間の項目68または件名の項目69は、サブワークオーダーに対応しているものとする。また、作業時間の項目68または件名の項目69は、メインワークオーダーに対応しても良い。
人員調整画面において、例えば、既に作業が完了している項目は、緑色の表示73で示される。また、対応者の項目72は、作業時間管理テーブル(図10)に基づいて、作業に対応する人員数と同じ数の欄が設けられる。そして、作業時間管理テーブルに登録された人物ID(人物識別情報)から特定される作業者Wまたは立会者Tの氏名が各欄に表示される。このようにすれば、個々の作業に対応する人物をユーザーが把握することができる。
この人員調整画面において、表示されている氏名が作業に必要な人員よりも少ない場合には、空いている欄が赤色の表示74で示される。また、同一時刻に同一人物が複数の作業に割り当てられている場合には、その人物の欄が黄色の表示75で示される。このようにすれば、スケジュールに不調が生じている作業を管理者Mが把握することができる。
図1および図2に示すように、プラントの定期検査では、アイソレーションなどを行うときに、複数のグループG1〜G3の作業者Wおよび立会者Tが関わることになる。例えば、第1グループG1がアイソレーションの依頼をした場合に、そのアイソレーションを第3グループG3の作業者Wが実施する。ここで、アイソレーションが実施されているか否かを確認するために第2グループG2の立会者Tを作業場所に呼ばなければならない。本実施形態では、作業者Wが携帯端末8を用いて立会の調整を行うことができる。
図21は、作業者Wが定期検査情報連携システム1にアクセスしているときに携帯端末8に表示される作業確認画面である。
作業確認画面には、作業の内容を示す欄76と、作業が行われるエリアマップ77とが表示される。エリアマップ77には、作業場所を示すマーク78が表示される。さらに、人員が不足している場合にその応援依頼、または作業現場で欠員が生じた場合にその代行依頼をするための人員補充候補の選択入力部79が表示される。作業者Wが人員補充候補の選択入力部79をタッチ操作することで補充候補者のリストが表示される。
図22は、作業者Wが人員補充候補を選択入力した後に携帯端末8に表示される補充候補者のリストである。なお、候補者は、他のサブワークオーダーに対応付けられている者から選抜しても良いし、同一のサブワークオーダーであっても依頼する側の作業時間と異なる作業時間に対応付けられている者から選抜しても良い。
補充候補のリストには、優先順位を示す順位と、補充候補者の氏名と、補充依頼を受け付ける選択入力部80が表示される。ここで、複数の候補者を人員補充の依頼の候補としてリストアップするときには、作業が進んでいる他のサブワークオーダーに対応付けられている候補者を優先して表示する。このようにすれば、人員補充の依頼を受けた者が対応できる可能性が高くなる。また、人員補充の依頼を受ける側は、既に作業が順調に進んでいるため、受けた依頼に人員が割り当てられても負担が少なくて済む。
また、依頼する側の作業現場が放射線管理区域などの所定の資格を有していなければ立ち入ることができないエリアである場合には、放射線管理データベース14に登録された放射線情報に基づいて、人物管理テーブル(図11)の対応可能エリアに、補充先のエリアが登録されている人物を候補者として選抜する。このようにすれば、エリアの放射線情報に基づいて、適任者に人員補充の依頼を行うことができる。
なお、放射線管理区域に関わらず、候補者に任意の資格を要求できるようにしても良い。例えば、品質管理を行う立会者に必要な資格を人物管理テーブルの保有資格の項目に登録しておいても良い。
作業者Wが補充依頼の選択入力部80をタッチ操作することで、対応する候補者である作業者Wまたは立会者Tが所持している携帯端末8に対して、補充(応援または代行)が求められている旨を示す通知が行われる。このようにすれば、人員が不足している作業現場から他の作業現場に人員補充の依頼を行うことができる。また、依頼を行う際に、依頼先が予め優先順位を定め、この優先順位が設定される。
なお、通知を受けた候補者が依頼を承諾した場合には、承諾を示す通知が依頼側の携帯端末8に通知される。通知を受けた候補者が依頼を拒否した場合には、拒否を示す通知が依頼側の携帯端末8に通知される。
なお、依頼先が設定した優先順位に基づいて、次の順位に相当する候補者が所持している携帯端末8に対して、補充が求められている旨を示す通知が自動的に行われるようにしても良い。
次に、定期検査情報連携システム1が実行する定期検査情報連携処理について図23のフローチャートを用いて説明する。なお、前述の図面を適宜参照する。以下のステップは、定期検査情報連携処理に含まれる少なくとも一部の処理であり、他のステップが定期検査情報連携処理に含まれても良い。
この処理は、一定時間毎に繰り返される処理である。この処理が繰り返されることで、定期検査情報連携システム1で定期検査情報連携方法が実行される。なお、定期検査情報連携システム1が他のメイン処理を実行中に、この処理を割り込ませて実行しても良い。
まず、ステップS11において、メイン制御部10は、メイン制御処理を実行する。このメイン制御処理では、例えば、管理用端末6または携帯端末8からのアクセス開始時にユーザー認証を行うユーザー認証処理を実行する。このユーザー認証処理により、ユーザーの個々に付与されている権限に基づいたアクセスが可能となる。また、メイン制御処理では、管理用端末6または携帯端末8に対して情報の送受信を行う送受信処理を実行する。また、メイン制御処理では、管理用端末6または携帯端末8からの情報の入力または選択操作などの入力を受け付ける受付処理を実行する。また、メイン制御処理では、管理用端末6または携帯端末8のディスプレイ7,9に表示される画面の態様を制御する表示制御処理を実行する。
次のステップS12において、メイン制御部10は、後述する定検開始前処理(図24)を実行する。この定検開始前処理では、例えば、計画情報を工程管理データベース13に登録する処理を行う。
次のステップS13において、メイン制御部10は、後述する定検工程管理処理(図25)を実行する。この定検工程管理処理では、例えば、実績情報を工程管理データベース13に登録する処理を行う。
次のステップS14において、メイン制御部10は、後述するメッセージ送受信処理(図26)を実行する。このメッセージ送受信処理では、例えば、ユーザーU間のメッセージ(図18)の送受信の処理を行う。
次のステップS15において、メイン制御部10は、後述するスケジュール表示処理(図27)を実行する。このスケジュール表示処理では、例えば、管理用端末6にスケジュール表(図13)を表示させる処理を行う。
次のステップS16において、メイン制御部10は、後述する立会調整処理(図28)を実行する。この立会調整処理では、例えば、管理用端末6に人員調整画面(図20)を表示させたり、携帯端末8に作業確認画面(図21)を表示させたりする処理を行う。
次のステップS17において、メイン制御部10は、定検完了後処理を実行する。この定検完了後処理では、定期検査の完了後に開催される反省会などにおいて必要な情報の出力を行う。例えば、作業時間管理テーブル(図10)に登録された差分要因の出力を行う。また、今回の定期検査で蓄積されたノウハウまたは発生したトラブルに関する情報の入力または出力を行う。そして、これらの情報に基づいて、次回の定期検査にて対策を施すことができる。
この定検完了後処理では、今回の定期検査の反省に対する処置または対策事項を、次回の定期検査の計画を立案するときに再利用可能な形式で保存または出力する処理を行う。例えば、本実施形態の定期検査情報連携システム1の他に定期検査の計画立案を支援するシステムがある場合には、そのシステムで利用可能な形式で保存または出力する処理を行う。そして、定期検査情報連携処理を終了する。
次に、メイン制御部10が実行する定検開始前処理について図24のフローチャートを用いて説明する。なお、前述の図面を適宜参照する。以下のステップは、定検開始前処理に含まれる少なくとも一部の処理であり、他のステップが定検開始前処理に含まれても良い。
まず、ステップS21において、メイン制御部10は、初期登録が完了済みか否かを判定する。つまり、定期点検に必要な計画情報が工程管理データベース13に登録されているか否かを判定する。ここで、初期登録が完了済みである場合(ステップS21にてYESの場合)は、定検開始前処理を終了する。一方、初期登録が完了済みでない場合(ステップS21にてNOの場合)は、ステップS22に進む。
ステップS22において、ワークオーダー登録部17は、メインワークオーダー登録処理を実行する。例えば、第1グループG1の管理者Mは、第2グループG2からメインワークオーダーを取得し、これらメインワークオーダーに関する情報を工程管理データベース13に登録する。ここで、ワークオーダー登録部17は、それぞれのメインワークオーダーに対してメインワークオーダーIDを付与する。
次のステップS23において、ワークオーダー設定部16は、ワークオーダー分割設定処理を実行する。このワークオーダー分割設定処理では、1つのメインワークオーダーを複数のサブワークオーダーに分割する設定を受け付ける。なお、複数のサブワークオーダーに分割する設定は、管理者Mの入力操作に基づいて受け付けた設定に基づいて手動で行っても良いし、ワークオーダー設定部16が自動的に行っても良い。
次のステップS24において、ワークオーダー登録部17は、サブワークオーダー登録処理を実行する。このサブワークオーダー登録処理では、まず、それぞれのサブワークオーダーに対してサブワークオーダーIDを付与する。そして、ワークオーダー管理テーブル(図8)にサブワークオーダーIDを登録するとともに、サブワークオーダーIDに対応付けて、メインワークオーダーIDを登録する。さらに、サブワークオーダーIDに対応付けて、関連部門と作業形態と対象機器と関連サブワークオーダーIDをワークオーダー管理テーブル(図8)に登録する。
次のステップS25において、計画情報登録部18は、計画情報登録処理を実行する。この計画情報登録処理では、スケジュール管理テーブル(図9)に作業段階(作業ID)を登録する。さらに、作業段階(作業ID)に対応付けて、メインワークオーダーIDとサブワークオーダーIDと作業件名と作業ステップと作業期間とをスケジュール管理テーブル(図9)に登録する。さらに、作業時間管理テーブル(図10)に作業段階(作業ID)を登録する。さらに、作業段階(作業ID)に対応付けて、と計画値と人員数と人物IDとを作業時間管理テーブル(図10)に登録する。
次のステップS26において、メイン制御部10は、放射線情報登録処理を実行する。この放射線情報登録処理では、放射線管理データベース14にプラントのそれぞれのエリアの放射線情報を登録する。
次のステップS27において、メイン制御部10は、図書情報登録処理を実行する。この図書情報登録処理では、図書管理データベース15にプラントに関する図面または設計図などの図書情報を登録する。
次のステップS28において、人物情報登録部28は、人物情報登録処理を実行する。この人物情報登録処理では、人物管理テーブル(図11)に人物IDを登録するとともに、人物IDに対応付けて、氏名と所属グループと所属部門と保有資格とを登録する。
次のステップS29において、エリア登録部25は、エリア情報登録処理を実行する。このエリア情報登録処理では、工程管理データベース13に登録された放射線情報に基づいて、作業に参加する人物が対応可能なエリアを特定する。そして、この対応可能エリアを人物IDに対応付けて、人物管理テーブル(図11)に登録する。そして、定検開始前処理を終了する。
次に、メイン制御部10が実行する定検工程管理処理について図25のフローチャートを用いて説明する。なお、前述の図面を適宜参照する。以下のステップは、定検工程管理処理に含まれる少なくとも一部の処理であり、他のステップが定検工程管理処理に含まれても良い。
まず、ステップS31において、メイン制御部10は、実績情報としての実績値の入力の受け付けがあるか否かを判定する。つまり、アクセス中の管理用端末6にて実績情報が入力されたか否かを判定する。ここで、実績情報の入力の受け付けがない場合(ステップS31にてNOの場合)は、ステップS34に進む。一方、実績情報の入力の受け付けがある場合(ステップS31にてYESの場合)は、ステップS32に進む。
ステップS32において、実績情報登録部19は、実績情報登録処理を実行する。この実績情報登録処理では、入力を受け付けた実績値を作業段階(作業ID)に対応付けて、作業時間管理テーブル(図10)に登録する。
次のステップS33において、差分算出部20は、差分算出処理を実行する。この差分算出処理では、作業時間管理テーブル(図10)に登録された計画値と実績値の差分を算出する。そして、差分算出部20は、算出した差分を作業段階(作業ID)に対応付けて、作業時間管理テーブルに登録する。
次のステップS34において、メイン制御部10は、差分要因情報の入力の受け付けがあるか否かを判定する。つまり、アクセス中の管理用端末6にて差分要因情報が入力されたか否かを判定する。ここで、差分要因情報の入力の受け付けがない場合(ステップS34にてNOの場合)は、ステップS36に進む。一方、差分要因情報がある場合(ステップS34にてYESの場合)は、ステップS35に進む。
ステップS35において、差分要因登録部21は、差分要因登録処理を実行する。この差分要因登録処理では、入力を受け付けた差分要因情報を作業段階(作業ID)に対応付けて、作業時間管理テーブル(図10)に登録する。
次のステップS36において、メイン制御部10は、計画情報の変更の受け付けがあるか否かを判定する。つまり、アクセス中の管理用端末6にて変更する計画情報が入力されたか否かを判定する。ここで、計画情報の変更の受け付けがない場合(ステップS36にてNOの場合)は、定検工程管理処理を終了する。一方、計画情報の変更の受け付けがある場合(ステップS36にてYESの場合)は、ステップS37に進む。
ステップS37において、計画情報登録部18は、計画情報変更処理を実行する。この計画情報変更処理では、変更を受け付けた計画情報を作業段階(作業ID)に対応付けて、スケジュール管理テーブル(図9)または作業時間管理テーブル(図10)に登録する。
次のステップS38において、変更履歴記録部22は、変更履歴記録処理を実行する。この変更履歴記録処理では、計画情報の変更の履歴を示す情報をサブワークオーダーIDに対応付けて、ワークオーダー管理テーブル(図8)に登録する。そして、定検工程管理処理を終了する。
次に、メッセージ処理部23が実行するメッセージ送受信処理について図26のフローチャートを用いて説明する。なお、前述の図面を適宜参照する。以下のステップは、メッセージ送受信処理に含まれる少なくとも一部の処理であり、他のステップがメッセージ送受信処理に含まれても良い。
まず、ステップS41において、メッセージ処理部23は、ユーザーU間のメッセージ(図18)の送受信があるか否かを判定する。ここで、ここで、メッセージの送受信がない場合(ステップS41にてNOの場合)は、メッセージ送受信処理を終了する。一方、メッセージの送受信がある場合(ステップS41にてYESの場合)は、ステップS42に進む。
ステップS42において、メッセージ記録部24は、送信または受信したメッセージの内容をサブワークオーダーIDに対応付けて、メッセージログ(図19)に記録する。なお、メッセージログは、記憶部12に記憶される。そして、メッセージ送受信処理を終了する。
次に、メイン制御部10が実行するスケジュール表示処理について図27のフローチャートを用いて説明する。なお、前述の図面を適宜参照する。以下のステップは、スケジュール表示処理に含まれる少なくとも一部の処理であり、他のステップがスケジュール表示処理に含まれても良い。
まず、ステップS51において、メイン制御部10は、アクセス中の管理用端末6のディスプレイ7にスケジュール表(図13)が表示中であるか否かを判定する。なお、スケジュール表は、グラフ表示制御部26の制御に基づいて、複数のサブワークオーダーが個々に識別可能な態様で並べて表示されるとともに、個々のサブワークオーダーの期間を示すグラフが時間軸に沿って表示される。ここで、スケジュール表が表示中でない場合(ステップS51にてNOの場合)は、スケジュール表示処理を終了する。一方、スケジュール表が表示中である場合(ステップS51にてYESの場合)は、ステップS52に進む。
ステップS52において、遅延表示部27は、スケジュール管理テーブル(図9)または作業時間管理テーブル(図10)を参照し、遅延が生じている作用実績の作業段階(作業ID)を特定する。
次のステップS53において、遅延表示部27は、スケジュール表(図13)において、作業実績に遅延が生じているサブワークオーダーを特定可能に表示する。例えば、スケジュール表において、実績期間が計画段階の期間を超過している場合には、その超過期間の部分44が赤色で表示される。そして、スケジュール表示処理を終了する。
次に、メイン制御部10が実行する立会調整処理について図28のフローチャートを用いて説明する。なお、前述の図面を適宜参照する。以下のステップは、立会調整処理に含まれる少なくとも一部の処理であり、他のステップが立会調整処理に含まれても良い。
まず、ステップS61において、メイン制御部10は、アクセス中の管理用端末6のディスプレイ7に人員調整画面(図20)が表示中であるか否かを判定する。ここで、人員調整画面が表示中でない場合(ステップS61にてNOの場合)は、ステップS65に進む。一方、人員調整画面が表示中である場合(ステップS61にてYESの場合)は、ステップS62に進む。
ステップS62において、人物情報表示制御部29は、複数のサブワークオーダーを個々に識別可能な態様で並べて表示するとともに、個々のサブワークオーダーに対応する人物識別情報(人物ID)を表示する。つまり、人員調整画面(図20)において、作業時間の項目68または件名の項目69などに対応する対応者の項目72を表示する。
次のステップS63において、不調特定部30は、所定のサブワークオーダーに不調があるか否かを判定する。例えば、作業時間管理テーブル(図10)に登録されている人員数と人物IDを参照し、人物ID(人物識別情報)の登録が不足しているサブワークオーダーがあるか否かを判定する。または、スケジュール管理テーブル(図9)および作業時間管理テーブル(図10)に登録されている作業期間と人物IDを参照し、同一時刻に2つ以上の作業段階(作業ID)に対応付けられている人物IDがあるか否かを判定する。ここで、不調がない場合(ステップS63にてNOの場合)は、立会調整処理を終了する。一方、不調がある場合(ステップS63にてYESの場合)は、ステップS64に進む。
ステップS64において、不調表示部31は、人員調整画面(図20)において、不調が生じているサブワークオーダーを特定可能に表示する。例えば、人員調整画面において、表示されている氏名が作業に必要な人員よりも少ない場合には、空いている欄が赤色の表示74で示される。または、同一時刻に同一人物が複数の作業に割り当てられている場合には、その人物の欄が黄色の表示75で示される。そして、立会調整処理を終了する。
ステップS61にてNOの場合に進むステップS65において、メイン制御部10は、アクセス中の携帯端末8のディスプレイ9に作業確認画面(図21)が表示中であるか否かを判定する。ここで、作業確認画面が表示中でない場合(ステップS65にてNOの場合)は、立会調整処理を終了する。一方、作業確認画面が表示中である場合(ステップS65にてYESの場合)は、ステップS66に進む。
次のステップS66において、メイン制御部10は、補充候補の表示の受け付けがあるか否かを判定する。つまり、携帯端末8にて人員補充候補の選択入力部79がタッチ操作されたか否かを判定する。ここで、補充候補の表示の受け付けがない場合(ステップS66にてNOの場合)は、立会調整処理を終了する。一方、補充候補の表示の受け付けがある場合(ステップS66にてYESの場合)は、ステップS67に進む。
次のステップS67において、補充依頼表示部32は、候補者選定処理を実行する。この候補者選定処理では、作業が進んでいる他のサブワークオーダーに対応付けられている候補者を優先してリストアップする。また、補充先の作業現場が放射線管理区域などの所定の資格を有していなければ立ち入ることができないエリアである場合には、人物管理テーブル(図11)の対応可能エリアに、補充先のエリアが登録されている人物を候補者として優先してリストアップする。
次のステップS68において、補充依頼表示部32は、リストアップした人物の人物識別情報(人物IDまたは人物氏名)を人員補充の依頼の候補として表示する。つまり、携帯端末8に補充候補者のリスト(図22)を表示する。
次のステップS69において、補充依頼受付部33は、補充依頼の受け付けがあるか否かを判定する。つまり、携帯端末8にて補充依頼の選択入力部80がタッチ操作されたか否かを判定する。ここで、補充依頼の受け付けがない場合(ステップS69にてNOの場合)は、立会調整処理を終了する。一方、補充依頼の受け付けがある場合(ステップS69にてYESの場合)は、補充依頼受付部33が人員補充の依頼を受け付ける処理を行い、ステップS70に進む。
次のステップS70において、補充依頼通知部34は、補充依頼を受け付けた人物識別情報(人物の氏名)に対応する人物が携帯する携帯端末8に対して、補充が求められている旨を示す通知を行う。そして、立会調整処理を終了する。
なお、本実施形態のフローチャートにおいて、各ステップが直列に実行される形態を例示しているが、必ずしも各ステップの前後関係が固定されるものでなく、一部のステップの前後関係が入れ替わっても良い。また、一部のステップが他のステップと並列に実行されても良い。
本実施形態のシステムは、専用のチップ、FPGA(Field Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)、またはCPU(Central Processing Unit)などのプロセッサを高集積化させた制御装置と、ROM(Read Only Memory)またはRAM(Random Access Memory)などの記憶装置と、HDD(Hard Disk Drive)またはSSD(Solid State Drive)などの外部記憶装置と、ディスプレイなどの表示装置と、マウスまたはキーボードなどの入力装置と、通信インターフェースとを備える。このシステムは、通常のコンピュータを利用したハードウェア構成で実現できる。
なお、本実施形態のシステムで実行されるプログラムは、ROMなどに予め組み込んで提供される。もしくは、このプログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD−ROM、CD−R、メモリカード、DVD、フレキシブルディスク(FD)などのコンピュータで読み取り可能な非一過性の記憶媒体に記憶されて提供するようにしても良い。
また、このシステムで実行されるプログラムは、インターネットなどのネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせて提供するようにしても良い。また、このシステムは、構成要素の各機能を独立して発揮する別々のモジュールを、ネットワークまたは専用線で相互に接続し、組み合わせて構成することもできる。
なお、定期検査情報連携システム1には、機械学習を行う人工知能(AI:Artificial Intelligence)を備えるコンピュータが含まれても良い。また、定期検査情報連携システム1には、深層学習に基づいて、複数のパターンから特定のパターンを抽出する深層学習部が含まれても良い。
本実施形態のコンピュータを用いた解析には、人工知能の学習に基づく解析技術を用いることができる。例えば、ニューラルネットワークによる機械学習により生成された学習モデル、その他の機械学習により生成された学習モデル、深層学習アルゴリズム、回帰分析などの数学的アルゴリズムを用いることができる。また、機械学習の形態には、クラスタリング、深層学習などの形態が含まれる。
本実施形態のシステムは、機械学習を行う人工知能を備えるコンピュータを含む。例えば、ニューラルネットワークを備える1台のコンピュータでシステムを構成しても良いし、ニューラルネットワークを備える複数台のコンピュータでシステムを構成しても良い。
ここで、ニューラルネットワークとは、脳機能の特性をコンピュータによるシミュレーションによって表現した数学モデルである。例えば、シナプスの結合によりネットワークを形成した人工ニューロン(ノード)が、学習によってシナプスの結合強度を変化させ、問題解決能力を持つようになるモデルを示す。さらに、ニューラルネットワークは、深層学習(Deep Learning)により問題解決能力を取得する。
例えば、ニューラルネットワークには、6層のレイヤーを有する中間層が設けられる。この中間層の各レイヤーは、300個のユニットで構成されている。また、多層のニューラルネットワークに学習用データを用いて予め学ばせておくことで、回路またはシステムの状態の変化のパターンの中にある特徴量を自動で抽出することができる。なお、多層のニューラルネットワークは、ユーザインターフェース上で、任意の中間層数、任意のユニット数、任意の学習率、任意の学習回数、任意の活性化関数を設定することができる。
なお、学習対象となる各種情報項目に報酬関数が設定されるとともに、報酬関数に基づいて価値が最も高い情報項目が抽出される深層強化学習をニューラルネットワークに用いても良い。
例えば、画像認識で実績のあるCNN(Convolution Neural Network)を用いる。このCNNでは、中間層が畳み込み層とプーリング層で構成される。畳み込み層は、前の層で近くにあるノードにフィルタ処理を施すことで特徴マップを取得する。プーリング層は、畳込み層から出力された特徴マップを、さらに縮小して新たな特徴マップとする。この際に特徴マップにおいて着目する領域に含まれる画素の最大値を得ることで、特徴量の位置の多少のずれも吸収することができる。
畳み込み層は、画像の局所的な特徴を抽出し、プーリング層は、局所的な特徴をまとめる処理を行う。これらの処理では、入力画像の特徴を維持しながら画像を縮小処理する。つまり、CNNでは、画像の持つ情報量を大幅に圧縮(抽象化)することができる。そして、ニューラルネットワークに記憶された抽象化された画像イメージを用いて、入力される画像を認識し、画像の分類を行うことができる。
なお、深層学習には、オートエンコーダ、RNN(Recurrent Neural Network)、LSTM(Long Short-Term Memory)、GAN(Generative Adversarial Network)などの各種手法がある。これらの手法を本実施形態の深層学習に適用しても良い。
例えば、本実施形態の1つのメインワークオーダーを複数のサブワークオーダーに分割する設定を機械学習により自動的に行っても良い。また、ワークオーダー管理テーブルにおける関連サブワークオーダーIDの登録を機械学習により自動的に行っても良い。
本実施形態では、作業形態に合わせてサブワークオーダーを設定することができる。例えば、準備、アイソレの実施、アイソレの解除、機器の分解、機器の復旧、点検手入れ、試験、試運転、品質・安全・監理員の立会、放射線管理、運転管理、燃料管理、品質管理、安全管理などに合せてサブワークオーダーを設定することができる。このようにすれば、作業形態、つまり、作業ステップの大まかな括りごとの進捗管理を行うことができる。そのため、効率的な実績情報の採取が可能である。
また、本実施形態では、部門別にサブワークオーダーを設定することができる。例えば、保全管理部門、運転管理部門、保全計画部門、燃料技術部門、ベンダー、一次下請などに合せてサブワークオーダーを設定することができる。このようにすれば、組織、グループ、チームごとの識別が可能となり、進捗差分の発生時に理由または原因が判明され易くなる。
また、本実施形態では、機器のアイソレ範囲、近接機器の集合体などの機器カテゴリーごとにサブワークオーダーを設定することができる。このようにすれば、機器ごとのカテゴリーを識別して進捗管理を行えるため、設備管理面で効果的な運用を行える。
また、従来技術では、リアルタイムに進捗を把握できなかった。本実施形態では、サブワークオーダーにて設定されたポイントで、作業現場で携帯端末8を用いて実績情報を入力することで、スケジュールログを生成することができる。このようにすれば、進捗結果を迅速に共有することができる。
また、従来技術では、計画と実績の間で差分の発生した件名と、その詳細である作業ステップまたは作業者Wが分かり難かった。本実施形態では、サブワークオーダーを用いて連携を図ることにより、差分要因に関する作業ステップまたは作業者Wを特定することができる。このようにすれば、計画と実績の間で差分について、「何が、どこで、誰の、どのように」という疑問をスピーディに展開することができる。これにより、定期検査の完了後の反省会などで活用することもできる。
また、従来技術では、計画と実績の間で差分の発生した件名の原因が分かり難かった。本実施形態では、サブワークオーダーをキーとして類推検索を実施することにより、原因を自動で判定ことができる。または、手打ち入力により検索の補足を行っても良い。このようにすれば、計画と実績の間で差分が発生した件名の原因が分かる。
また、従来技術では、工程差分の処置、対策などの記録、変更履歴、または立会調整時の依頼履歴などの記録が残ってておらず、次回定検に再利用ができなかった。本実施形態では、事象発生概要が纏められたスケジュールログが残せる他、その際の処置、対策結果も記録される。このようにすれば、次回の定期点検の計画立案時に対策を反映するか否かについて素早く判断ができる。そのため、計画精度向上を効率的に実施することができる。
また、従来技術では、自らの件名にて進捗差分を発生させた後、その影響の範囲または規模が分かり難かった。本実施形態では、サブワークオーダーに基づく連携により、件名内のステップ、他件名、他の部門(運転管理部門、放射線管理部門)などに対して影響を与える範囲または規模を特定できる。このようにすれば、影響の範囲または規模が分かるので、情報共有が効率的に実施できる。さらに、双方で予防対策も検討でき、初動対応も早まる。
また、従来技術では、遅延または前倒しが発生した場合に影響を与えてしまう所定のグループが、その影響を受ける他のグループへ依頼または調整を行いたいが、相手が不明であることが多かった。本実施形態では、影響を与えてしまう他のグループへの依頼または調整を行える。このようにすれば、進捗確認から変更管理までが可能となり、効率的に作業を進められる。例えば、各作業は事業者からの下請け契約により成される実態があり、下請け間のコミュニケーションにおける連携は、常に事業者を介したものとならざるを得ない。つまり、相手に直接確認したくとも、相手に関する情報を入手する術が限られており、また相手に関する情報の入手に労力を費やす必要がある。本実施形態では、作業進捗に必要な網羅的な情報を拾い易く、自ずと下請け間のコミュニケーションも活発となるという利点がある。
また、従来技術では、遅延または前倒しが発生した際に、必要に応じて定検工程の変更を速やかに行いたいという要望があった。本実施形態では、遅延または前倒しが発生した際に、必要に応じて定検工程の変更を速やかに実施することができる。
また、従来技術では、作業進捗の結果、他の作業グループと調整または変更した結果について残したいという要望があった。本実施形態では、変更した履歴がサブワークオーダーに対応付けた状態で記録として残せる。このようにすれば、今回の定検で調整または変更した結果が、将来的な定検の計画に生かせる形で蓄積されるため、反省会で利用できる。
また、従来技術では、複合的な作業を行う場合に、関係部門間の進捗または関連性の詳細を知りたいが、分かり難かった。本実施形態では、UI設計されたダッシュボードへ進捗をリアルタイム表示させることができる。このようにすれば、複合作業においても関係者間の進捗または繋がりを分かり易くすることができる。
また、従来技術では、PHSによる2者間の通話でのコミュニケーションに依存していた。本実施形態では、作業管理チェックシート、作業ステップなどの作業要領書と特定件名を紐付けるようにしている。また、サブワークオーダーをキーとして他件名とも横断したネットワークを形成している。このようにすれば、作業要領書ベースでの件名間の進捗管理が可能となり、互いの進捗が分かり易くなる。
また、従来技術では、部門を跨いだ情報連携は人物同士の系に頼らざるを得なかった。また、同一部門であっても引継ぎにより担当者が変更されると情報が繋がらず、引継ぎが上手くいかない可能性があった。本実施形態では、UI設計されたダッシュボードへ進捗をリアルタイム表示するようにしている。このようにすれば、双方の件名に基づいて連携できるため、電話が減り、作業負荷も低減される。さらに、ダッシュボードを確認することにより、引継ぎでは的を絞った調整のみで済むようになる。
また、従来技術では、PHS通話では、通話内容、その調整結果に関する記録も残らなかった。本実施形態では、メッセージボードなどを利用して調整の促進を行える。また、メッセージログなどで調整結果が残されるため、調整経緯または結果を追い易くなる。また、メッセージボードが、チャット機能の他に、通話機能を有していても良い。また、チャット機能には、メッセージの送受信を行っている相手以外の者に公開する設定、または公開しない設定を行えるようにしても良い。
また、従来技術では、ダッシュボードの進捗表示機能により遅延または前倒しが発生した場合、その影響範囲または規模感が掴み難かった。本実施形態では、ダッシュボードで、遅延または前倒しの有無、関係範囲、部門、理由など表示することができる。このようにすれば、作業実績とその影響範囲が、影響を与える側と受ける側で明確となり、双方で予防処置がとれる。
また、本実施形態では、ある複合的な作業のグループの進捗結果から遅延または前倒しが発生した場合、変更依頼を掛けたいときに、ダッシュボードで変更依頼ができる。このように、ダッシュボードで進捗確認、変更管理、さらに工程表の改訂に至るまでのサポートが可能となり、スケジュール計画、開始後の実績採取、調整記録、および実績に応じた工程表の変更管理と一連の動作を一気通貫して効率的に作業を進められる。
また、従来技術では、ある複合的な作業のグループにおいて遅延または前倒しが発生した場合、定検工程への影響範囲、規模が分かり難かった。本実施形態では、遅延または前倒しが発生した際の定検工程への影響度または規模をダッシュボードで示すことができる。そのため、ダッシュボードでの調整結果と定検工程との兼ね合いが分かり、一元管理に繋がる。また、遅延または前倒しが発生した際に、必要に応じて定検工程の変更が速やかに依頼できる。なお、ダッシュボードを用いて調整結果から定検工程の変更を依頼するようにしても良い。定検クリティカルパスへ特化した影響範囲または規模を示すことができる。例えば、ダッシュボードにより調整結果と定検クリティカルとの兼ね合いが分かるため、一元管理に繋がる。
また、従来技術では、工程変更後のアイソレーションなどの運転管理、放射線管理、他部門への影響の範囲または規模が分かり難かった。本実施形態では、工程変更後の運転管理、放射線管理、他部門への影響の範囲または規模を速やかに示すことができる。例えば、ダッシュボードでの自部門と他部門の兼ね合いが分かる。
また、従来技術では、ある複合的なグループG1〜G3の工程変更後のエリア、リスクへの影響が分かり難かった。本実施形態では、ダッシュボードで工程変更後のエリア、リスクへの影響を示すことができる。また、ダッシュボードで調整結果とエリア、リスクへの影響度が分かる。
また、本実施形態では、ある複合的なグループで調整、変更した結果について残したいときに、その記録が残る。そのため、将来的な定検の計画に生かせるようになり、反省会でも利用できる。
また、従来技術では、立会時間は現場作業の進捗に左右されるため、予定した時刻に開始できず、立会者Tの都合が悪くなることがあった。本実施形態では、立会者Tと進捗を小まめに共有する他、立会時刻などをニーズに合わせ調整を行うことができる。そのため、立会者Tが予定通りジャストインできるだけでなく、立会者T、現場の作業者Wの双方のストレス低減に繋がる。
また、従来技術では、立会予定であった人の都合が悪くなり、立会ができなくなることがあった。本実施形態では、特定の立会項目に対する資格保持者を数名アサインすることができる。そのため、作業進捗に合わせて立会者Tが対応できる可能性が高くなり、立会側の負荷も低減される。また、作業進捗に併せて都合の良い者の内、優先順位の高い者から次の人物へ打診連絡が入る。なお、都合が悪い場合には、拒否することができる。
また、立会時間、対応者において調整、変更された結果について残したいという要望があった。本実施形態では、変更した結果に記録が残る。そのため、将来的な定検の計画に生かせるようになり、反省会でも利用できる。
また、従来技術では、体型的かつ効率良く進捗採取する仕組みがなかった。本実施形態では、サブワークオーダーにて設定されたポイントで、作業現場で携帯端末8を用いて実績情報を入力することで、体型的かつ効率良く進捗採取する仕組みを構築することができる。
また、任意のカテゴリーにて進捗を採取したいという要望があった。本実施形態では、サブワークオーダーをキーとして進捗結果について、数値処置することで任意カテゴリーにて進捗管理が可能になる。
また、作業の進捗をグラフ化して欲しいという要望があった。本実施形態では、サブワークオーダーをキーとして進捗結果について、統計処置する事で任意のグラフを作成することができる。
なお、本実施形態では、第1グループG1から第3グループG3に所定の要求をする場合に、第2グループG2を介して第3グループG3に連絡を行っている(図2)。このような場合であっても、各タスク4がサブワークオーダーIDで連携され、それぞれのグループG1〜G3で行われたタスク4の履歴を記録することが可能となっている。
なお、本実施形態の実績情報登録処理(図25)では、作業者Wが、携帯端末8などを用いて作業段階(作業ID)ごとに、その実績を入力するようにしても良い。例えば、作業開始時と作業終了時の操作を携帯端末8が受け付けることで、実績情報が入力されるようにしても良い。
なお、本実施形態の差分算出処理(図25)では、計画値と実績値との差分に対して、予め所定の閾値を設定しておいても良い。例えば、差分が所定の閾値から逸脱した場合には、管理者Mが確認可能な警告画面にアラートを示す表示をしても良い。また、アラートを表示する際には、影響を受ける範囲の作業IDを特定し、これらの情報を含めて警告画面に表示しても良い。例えば、遅延を示すアラートであれば、その遅延の影響を受ける作業のリストを表示するようにしても良い。
なお、本実施形態の計画情報変更処理(図25)では、工程表の改訂作業の指示を行うようにしても良い。例えば、管理用端末6に工程表の改訂作業を促す表示をしても良いし、携帯端末8に工程表の改訂作業を担う部門または人物を表示し、その表示を依頼または回覧ができるようにしても良い。
なお、本実施形態のスケジュール表示処理(図27)では、スケジュール表(図13)の超過期間の部分44が赤色で表示されるが、その他の表示をしても良い。例えば、スケジュール表において、超過期間したサブワークオーダーに関連するサブワークオーダーが表示されるとともに、関連するサブワークオーダーが属する作業工程を表示させるようにしても良い。
なお、本実施形態のエリア情報登録処理(図29)では、工程管理データベース13に登録された放射線情報に基づいて、作業に参加する人物が対応可能なエリアを特定しているが、その他の態様であっても良い。例えば、対応可能なエリアの特定は、放射線情報のみならず、安全通路の確保要求、重要系統への立入り禁止、感電防止処置などの他の制約に基づいて特定されても良い。また、系統・機器などのカテゴリーの分類に基づいて特定されても良い。さらに、計画時に作業者Wが各種の制約を判断し、エリア設定しても良い。
なお、本実施形態の立会調整処理(図28)において、補充候補の表示の受け付けがない場合に立会調整処理を終了するときに、管理者Mに対して通知を行い、追加の補充候補の調整を促すようにしても良い。追加の補充候補を調整することで、立会作業を促進して迅速に終えることができる。
なお、本実施形態の立会調整処理(図28)において、候補者選定処理にて作業が進んでいる他のサブワークオーダーに対応付けられている候補者を優先してリストアップするときに、長時間の待ち時間を要すると想定される場合には、管理者Mに通知を行い、バックアップ要員の検討、または補充候補の追加調整を促すようにしても良い。さらに、一連の対応を通じて依頼した内容は、計画履歴記録処理(図25)にてサブワークオーダーに対応付けて記憶されるようにしても良い。このようにすれば、記録された情報を定期検査完了後の反省会などで活用することができる。
なお、本実施形態の立会調整処理(図28)において、補充先のエリアが登録されている人物を候補者として優先してリストアップするときに、他の制約事項があるならば、それの情報を付加してリストアップしても良い。
なお、本実施形態では、1つのメインワークオーダーから分割されたサブワークオーダーが複数存在する場合に、サブワークオーダーIDはそれぞれ固有のものとなる。また、それぞれ異なるメインワークオーダーから分割されたサブワークオーダーが複数存在する場合に、元となるメインワークオーダーが互いに異なるサブワークオーダー同士のサブワークオーダーID同士が同じものでも良い。その場合には、サブワークオーダーの元となっているメインワークオーダーIDを参照することで、サブワークオーダーを個々に識別することが可能となる。
なお、本実施形態の工程管理データベース13にその他の情報が登録されても良い。また、定期検査開始後の遅延または前倒しなどにより、工程管理データベース13の各テーブルの項目が、修正されたり、追加されたりしても良い。例えば、それぞれの工程の内容および所要時間は、定期検査開始前のサブワークオーダーの設定前に決定されるが、定期検査開始後またはサブワークオーダーの設定後にこれらの情報が修正されても良い。
以上説明した実施形態によれば、定期検査に関連する少なくとも1つのメインワークオーダーを複数のサブワークオーダーに分割する設定を受け付けるワークオーダー設定部を備えることにより、プラントの定期検査に関する情報共有と連携を強化することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。