後述する明細書及び図面の記載から、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
複数の光ファイバを整列部に載置した状態で保持するホルダに係合する係合部と、一対のガイド部と、一対の前記ガイド部を離間させて連結する連結部と、を備え、前記ホルダに前記係合部を係合させたとき、一対の前記ガイド部の間の離間部が、前記整列部上に配置されることを特徴とするホルダ用治具。このようなホルダ用治具によれば、複数の光ファイバの位置関係を維持することができる。
ガイド部は、内側に向かうほど高さが低くなるスロープ部を有することが望ましい。これにより、接着材料を内側に向かって案内し易くなり、ホルダに保持されている複数の光ファイバを接着し易くなる。
前記スロープ部は、前記連結部とは反対側に向かうほど高さが低くなるサブスロープ部を有することが望ましい。これにより、離間部に指を更に入れ易くなる。
前記連結部は、前記ガイド部が設けられた側に向かうほど高さが低くなる勾配部を有することが望ましい。これにより、接着材料を離間部に向かって案内し易くなる。
一対の前記ガイド部は、前記ホルダの側の面に、前記ホルダに保持された複数の前記光ファイバの幅を規制する規制部を有することが望ましい。これにより、複数の光ファイバを所定幅で整列させた状態で複数の光ファイバを接着し易くなる。
複数の光ファイバを整列部に載置した状態で保持するホルダに係合する係合部と、一対のガイド部と、一対の前記ガイド部を離間させて連結する連結部と、を備え、前記ホルダに前記係合部を係合させたとき、一対の前記ガイド部の間の離間部が、前記整列部上に配置されるホルダ用治具と、前記離間部よりも幅が狭く、前記整列部に載置された複数の前記光ファイバを接着可能な接着テープとを備えることを特徴とする治具セット。このような治具セットによれば、複数の光ファイバの位置関係を維持することができる。
複数の光ファイバを整列部に載置した状態でホルダに保持する工程と、離間した一対のガイド部を有する治具を前記ホルダに係合させる工程と、一対の前記ガイド部の間の離間部に接着材料を供給して、前記整列部に載置された複数の前記光ファイバを前記接着材料で固定する工程と、前記治具を前記ホルダから外す工程と、複数の前記光ファイバを保持した前記ホルダを融着接続機にセットする工程とを備える光ファイバ融着方法。このような光ファイバ融着方法によれば、複数の光ファイバの位置関係を維持した状態で、複数の光ファイバを融着接続できる。
前記接着材料は、前記離間部よりも幅が狭く、前記ホルダに保持された複数の前記光ファイバを接着可能な接着テープであることが望ましい。これにより、離間部に接着テープを供給することによって、複数の光ファイバを固定できる。
前記接着テープは、複数の前記光ファイバを接着可能な接着部と、非接着部とを有しており、前記治具は、一対の前記ガイド部を連結する連結部を有しており、前記連結部は、前記ガイド部が設けられた側に向かうほど高さが低くなる勾配部を有しており、前記離間部に前記接着テープを供給して、前記整列部に載置された複数の前記光ファイバを前記接着テープで固定する際に、勾配部に前記非接着部を配置させることが望ましい。これにより、複数の光ファイバに接着テープを貼付した状態で、ホルダから治具を外し易くなる。
===第1実施形態===
図1Aは、第1実施形態の治具10を用いて複数の光ファイバを接着した様子の説明図である。図1Bは、図1Aの構成要素の分解説明図である。
以下の説明では、図1Aに示すように各方向を定義する。ホルダ30が光ファイバを保持したときの光ファイバの長手方向を「前後方向」とし、光ファイバの端部の側を「前」とし、逆側(光ファイバの基端側)を「後」とする。また、ホルダ30が複数の光ファイバを保持したときに複数の光ファイバが並ぶ方向を「左右方向」とし、後側から前側を見たときの右側を「右」とし、逆側を「左」とする。左右方向のことを「幅方向」と呼ぶこともある。前後方向及び左右方向に垂直な方向を「上下方向」とし、ホルダ30が光ファイバを載置する面から見て光ファイバの側を「上」とし、逆側を「下」とする。
図1Aに示すように、本実施形態の治具10は、ホルダ30に取り付けて用いられることになる。そこで、まずホルダ30の構成について説明した後に、本実施形態の治具10について説明する。
<参考:ホルダ30>
図2A及び図2Bは、ホルダ30の説明図である。図2Aは、蓋部37を開いた状態のホルダ30の説明図である。図2Bは、蓋部37を閉じた状態のホルダ30の説明図である。
ホルダ30は、複数の光ファイバを保持する部材である。ホルダ30が保持する複数の光ファイバは、1本ずつに分離された複数の光ファイバでも良いし、光ファイバ同士が間欠的に連結され光ファイバ間に分離部がある間欠固定テープ心線でも良い。ホルダ30は、複数の光ファイバを保持した状態で融着接続機にセットされることになる。つまり、ホルダ30は、多心融着接続機用のファイバホルダである。但し、ホルダ30は、融着接続機にセットされるだけでなく、被覆除去装置やファイバカッタにもセット可能である(後述)。ホルダ30は、ベース部31と、蓋部37とを有する。
ベース部31は、複数の光ファイバを載置する部材である。ベース部31は、挟持部31Aと、載置部31Bとを有する。挟持部31Aは、蓋部37との間で光ファイバを挟持する部位である。言い換えると、挟持部31Aは、閉じた状態の蓋部37と対向する部位である。載置部31Bは、光ファイバの融着点側を基点にすると挟持部31Aよりも遠い側に位置する部位である。つまり、載置部31Bは、挟持部31Aよりも後側の部位である。載置部31Bは、閉じた状態の蓋部37とは対向しない部位である。つまり、載置部31Bは、複数の光ファイバに対して全方向がクローズされておらず、一方向(図面上では上方)が開いている面を有する部位である。載置部31Bは、一対の傾斜部31Cを有する。傾斜部31Cは、内側(光ファイバが載置される中央部)ほど高さが低くなる傾斜面によって構成されている。一対の傾斜部31Cは、載置すべき複数の光ファイバをベース部31の幅方向中央(整列部33)に誘導できる。
ベース部31は、凹部32と、整列部33と、位置決め穴35とを有する。凹部32は、ベース部31の上面の凹状の部位であり、凹部32は、ベース部31の上面に前後方向(光ファイバの長手方向)にわたって設けられている。言い換えると、凹部32は、挟持部31A及び載置部31Bの上面の前後方向にわたって設けられている。凹部32の底面には、整列部33と縁部34とが設けられている。整列部33は、複数の光ファイバを整列させる部位である。ここでは、整列部33は複数のV溝によって構成されている。V溝上に光ファイバが配置されることによって、光ファイバが所定位置に固定されることになる。整列部33(V溝)は、凹部32の底面において前後方向にわたって設けられている。整列部33は、挟持部31A及び載置部31Bの上面の前後方向にわたって設けられている。縁部34は、凹部32の底面において整列部33の幅方向外側(幅方向の両脇)に設けられた平面状の部位である。ホルダ30が複数の光ファイバを保持するとき、光ファイバは、整列部33(V溝)上に配置され、縁部34上には配置されない。位置決め穴35は、融着接続機に対するホルダ30の位置合わせを行う部位(穴)である。ホルダ30を融着接続機にセットするときに、ホルダ30の位置決め穴35を融着接続機の位置決めピンに嵌合させる。これにより、ホルダ30が融着接続機に対して所定の位置にセットされる。
蓋部37は、ベース部31に対して開閉可能な部材である。蓋部37は、ヒンジ部38を軸にして開閉可能である。不図示の磁石によって、蓋部37が閉じられた状態でベース部31に蓋部37を固定可能である(蓋部37が閉じられた状態を維持可能である)。蓋部37が閉じられると、ベース部31の挟持部31Aと蓋部37との間で光ファイバが挟持され、これにより、ホルダ30に光ファイバが保持される。
<治具10>
図3A及び図3Bは、治具10の説明図である。図3Aは、治具10を斜め上から見た斜視図である。図3Bは、治具10を斜め下から見た斜視図である。
治具10は、ホルダ30に取り付ける部材(ホルダ用治具)である。後述するように、複数の光ファイバを保持したホルダ30に治具10が取り付けられた後、治具10を利用して複数の光ファイバが接着されることによって、複数の光ファイバの整列状態が維持されることになる(複数の光ファイバの位置関係が維持されることになる)。治具10は、係合部11と、一対のガイド部12と、連結部14とを有する。
係合部11は、ホルダ30に係合する部位である。係合部11がホルダ30に係合することによって、治具10がホルダ30に取り付けられることになる。なお、係合部11は、ホルダ30に対して治具10を所定の位置に配置させる位置合わせ部としての機能を有する。係合部11は、ガイド部12から、光ファイバの長手方向である前後方向に対して垂直方向に突出した部位である。但し、係合部11は、この形状に限られるものではない。係合部11は、ホルダ30に治具10を取り付け可能であれば、他の形状でも良い。
ガイド部12は、ホルダ30に保持されている複数の光ファイバに接着材料(ここでは接着テープ20)を案内する部位である。ガイド部12は、前後方向に沿った板状の部位である。一対のガイド部12は、光ファイバリボンの幅方向に離間した状態で、それぞれ光ファイバの長手方向と同じ方向(前後方向)に沿って配置されている。ここでは、一対のガイド部12の間の離間した部分(空間)を離間部13と呼ぶ。ガイド部12は、スロープ部12Aと、サブスロープ部12Bと、第1ガイド部121と、第2ガイド部122とを有する。
スロープ部12Aは、ガイド部12の上面のスロープ状の部位(傾斜部)である。スロープ部12Aは、内側(光ファイバが載置される中央部側)に向かうほど高さが低くなるように構成されている。言い換えると、スロープ部12Aは、離間部13の側に向かうほど連続的に高さが低くなるように構成されている。一対のガイド部12がそれぞれスロープ部12Aを有することにより、一対のガイド部12の間隔(複数の光ファイバが並ぶ方向の距離)は、内側(光ファイバが載置される中央部側)に向かうほど狭まるように構成されている。ガイド部12がスロープ部12Aを有することにより、接着材料(ここでは接着テープ20)を内側に向かって案内し易くなり、ホルダ30に保持されている複数の光ファイバを接着し易くなる。また、本実施形態のように接着材料が接着テープ20の場合には、ガイド部12がスロープ部12Aを有することによって、作業者が一対のガイド部12の間(離間部13)に指を入れ易くなるため、接着テープ20を複数の光ファイバに貼付し易くなる。
スロープ部12Aは、更にサブスロープ部12Bを有する。サブスロープ部12Bは、後側(連結部14からガイド部12が延びる方向の側;ガイド部12の端部の側)に向かうほど高さが低くなるスロープ状の部位である。つまり、サブスロープ部12Bは、内側に向かうほど高さが低くなるように構成されているとともに、後側(連結部14からガイド部12が延びる方向の側)に向かうほど高さが低くなるように構成されている。サブスロープ部12Bは、スロープ部12Aの延長面と比べて、後側(ガイド部12の端部の側)に向かうほど高さが低くなる。サブスロープ部12Bが設けられることによって、接着テープ20を貼付する際に一対のガイド部12の間(離間部13)に指を更に入れ易くなる。なお、一対のガイド部12の両方にサブスロープ部12Bが設けられても良い。また、サブスロープ部12Bが設けられなくても良い。
第1ガイド部121は、連結部14から延出する、ガイド部12の前側(連結部14の側)の部位である。また、第2ガイド部122は、第1ガイド部121から延出する、ガイド部12の後側の部位である。第1ガイド部121は、治具10をホルダ30に取り付けたとき(係合部11をホルダ30に係合させたとき)、ホルダ30(詳しくは載置部31B)の上に配置される部位である。第1ガイド部121の上面には、スロープ部12Aが設けられている。また、第1ガイド部121は、規制部121Aを有する。
規制部121Aは、ガイド部12の下面の前後方向に沿った凸条の部位である(図3B参照)。一対の規制部121Aは、幅方向に離間した状態で、それぞれ前後方向に沿って配置されている。言い換えると、一対の規制部121Aの間に離間部13が設けられている。治具10をホルダ30に取り付けたとき(係合部11をホルダ30に係合させたとき)、規制部121Aは縁部34の上に配置される。また、治具10をホルダ30に取り付けたとき(係合部11をホルダ30に係合させたとき)、一対の規制部121Aは、整列部33よりも幅方向外側に配置される。このため、治具10をホルダ30に取り付けたとき(係合部11をホルダ30に係合させたとき)、一対の規制部121Aの間に、ホルダ30の整列部33が配置される。つまり、ホルダ30が複数の光ファイバを保持した状態で治具10をホルダ30に取り付けたとき、複数の光ファイバが一対の規制部121Aの間に配置されることによって、複数の光ファイバが規制部121Aの幅(離間部13の幅)よりも広がることが規制される。これにより、複数の光ファイバを所定幅で整列させた状態で複数の光ファイバを接着できる。
第2ガイド部122は、第1ガイド部121よりも後側の部位であり、治具10をホルダ30に取り付けたとき(係合部11をホルダ30に係合させたとき)、ホルダ30(載置部31B)よりも後側に突出する部位である。第2ガイド部122が設けられることによって、前後方向の長い領域にわたって接着材料(ここでは接着テープ20)を案内することが可能になる。なお、ガイド部12がホルダ30から突出する部位(ここでは第2ガイド部122)を有さず、ガイド部12が第1ガイド部121だけで構成されていても良い。本実施形態では、一対のガイド部12は、それぞれ第2ガイド部122を有しているが、一方のガイド部12だけに第2ガイド部122が設けられても良い。第2ガイド部122の上面には、スロープ部12Aが設けられている。また、一方の第2ガイド部122の上面にはサブスロープ部12Bが設けられている。但し、第2ガイド部122の上面にサブスロープ部12Bが無くても良い。
第2ガイド部122は、整列用工具50(後述)の第2載置部612の上面に配置されることになる。このため、第2ガイド部122の下面は、整列用工具50(後述)の第2載置部612(詳しくは山部612A)の表面に適合した形状になっている。
離間部13は、一対のガイド部12の間の離間した部分(空間)である。一対のガイド部12が前後方向に沿った部位であるため、離間部13は、前後方向に沿った形状となる。このため、離間部13は、ホルダ30に保持された光ファイバの方向に沿った形状となる。治具10をホルダ30に取り付けたとき(係合部11をホルダ30に係合させたとき)、離間部13は、ホルダ30の整列部33上に配置される。これにより、ホルダ30が複数の光ファイバを保持した状態で治具10をホルダ30に取り付けたとき、離間部13によって、載置部31Bの整列部33上の複数の光ファイバの上側が開放された状態になる。
離間部13の幅方向の寸法は、ホルダ30の整列部33の幅方向の寸法よりも若干広い。ここで、若干とは、3mm以下程度であり、この隙間を設けることによって、接着テープ供給時のガイドと、供給作業の簡易化といった効果を奏する。これにより、整列部33に載置された複数の光ファイバ(整列させた状態の複数の光ファイバ)を離間部13内に配置可能である。また、離間部13の幅方向の寸法は、接着テープ20(図1B参照)の幅方向の寸法よりも若干広い。これにより、離間部13に接着テープ20を供給可能になり、整列部33上の複数の光ファイバを接着テープ20で固定できる。なお、既に説明したように、規制部121A(図3B参照)を縁部34の上に配置させるため、離間部13の幅方向の寸法は、ホルダ30の凹部32の幅方向の寸法よりも狭くなる。
連結部14は、一対のガイド部12を連結する部位である。連結部14は、一対のガイド部12を離間させて連結する。これにより、一対のガイド部12の間に離間部13が設けられる。つまり、連結部14は、一対のガイド部12の位置関係を規定することによって離間部13の寸法を規定するための部位である。本実施形態では、連結部14は、治具10の前側に配置されており、ガイド部12の前縁同士を連結する。但し、連結部14は、ガイド部12の後縁を連結しても良い。また、一対の連結部14によって、ガイド部12の前後の両縁同士を連結しても良い。
ところで、本実施形態では、連結部14が治具10の前側に配置されることによって、接着テープ20の非接着部22を、接着部21よりも光ファイバの端部の側に配置させ易くなる。なお、接着テープ20の非接着部22を接着部21よりも光ファイバの端部の側に配置させることによって、後述するように、補強スリーブ(図13に示す熱収縮スリーブ73)を融着接続点に被せるときに、補強スリーブを接着テープ20の接着部21の側から非接着部22の側に向かって移動させることができ、非接着部22が捲れ上がることを抑制できる。このため、連結部14は、治具10の前側(光ファイバの端部の側)に配置させることが望ましい。つまり、治具10をホルダ30に取り付けたとき(係合部11をホルダ30に係合させたとき)、連結部14が前側(光ファイバの端部の側)に配置されることが望ましい。
連結部14は、勾配部14Aと、抑え部14Bとを有する。
勾配部14Aは、連結部14の上面のスロープ状の部位(傾斜部)である。勾配部14Aは、後側(連結部14からガイド部12が延びる方向の側;ガイド部12の端部の側;離間部13の側)に向かうほど高さが低くなるように構成されている。連結部14に勾配部14Aが形成されることにより、接着材料(ここでは接着テープ20)を離間部13に向かって案内し易くなり、ホルダ30に保持されている複数の光ファイバを接着し易くなる。また、離間部13に接着テープ20を供給して複数の光ファイバを接着テープ20で固定する際に、接着テープ20の一端を勾配部14Aに配置させることが可能になる(図1A参照)。これにより、接着テープ20を剥がす作業(貼り直す作業も含む)が容易になる。また、接着テープ20の端部に非接着部22が設けられる場合には、非接着部22の側の端部を勾配部14Aに配置させることによって、複数の光ファイバに接着テープ20を貼付した状態で、ホルダ30から治具10を外し易くなる。但し、連結部14に勾配部14Aを設けなくても良い。
抑え部14Bは、連結部14の下面の平面状の部位である(図3B参照)。抑え部14Bは、ホルダ30との間に複数の光ファイバを挟み込む部位である。治具10をホルダ30に取り付けたとき(係合部11をホルダ30に係合させたとき)、抑え部14Bは、ホルダ30の整列部33と対向する。
図1A及び図1Bに示すように、接着テープ20は、複数の光ファイバを接着するための部材(接着材料)である。接着テープ20は、細長いテープ状の部材である。図1Aに示すように、接着テープ20の長手方向を光ファイバの長手方向に沿わせて、接着テープ20が複数の光ファイバに貼着されることになる。接着テープ20が複数の光ファイバに接着されることによって、複数の光ファイバを接着テープ20で固定することができる。本実施形態では、離間部13に接着テープ20が供給されることによって、整列部33に載置された複数の光ファイバを接着テープ20で固定することができる。これにより、複数の光ファイバの整列状態が維持されることになる(複数の光ファイバの位置関係が維持されることになる)。
本実施形態では、接着テープ20は、離間部13よりも幅が狭く構成されている。これにより、接着テープ20を離間部13に供給し易くなる。また、接着テープ20は、整列部33に載置された複数の光ファイバを接着可能な幅を有する。具体的には、接着テープ20は、整列部33の幅方向の寸法よりも広い幅を有する。また、接着テープ20は、整列部33に載置された複数の光ファイバの幅方向の寸法よりも広い幅を有する。
後述するように、接着テープ20は、補強スリーブ(融着接続点を保護する筒状のスリーブ;図13に示す熱収縮スリーブ73)に挿通可能な幅を有する。言い換えると、接着テープ20の幅は、補強スリーブの内径(最大内径)よりも狭い。これにより、接着テープ20で複数の光ファイバを固定した状態で、補強スリーブ(例えば図13に示す熱収縮スリーブ73)を融着接続点まで移動させることが可能になる。一方、接着テープ20が補強スリーブに挿通可能な幅であるため、接着テープ20は幅の狭い部材となる。通常、幅の狭い接着テープ20を用いて複数の光ファイバを接着する作業は困難となる。但し、本実施形態では、複数の光ファイバを整列部33に載置させた状態で、治具10の離間部13に接着テープ20を供給することによって接着テープ20で複数の光ファイバを接着するため、幅の狭い接着テープ20を用いて複数の光ファイバを接着する作業が容易になる。
なお、複数の光ファイバを接着する接着材料は、接着テープ20に限られるものではない。例えば、液状の接着剤を離間部13に供給することによって、整列部33に載置された複数の光ファイバを接着固定することも可能である。一方、仮に接着剤によって複数の光ファイバを固定する場合には、接着剤の塗布量の管理が必要になったり、接着剤の塗布後から固化までの待機時間が必要になったりする。これに対し、本実施形態のように、接着材料が接着テープ20であれば、接着材料の供給量の管理が不要になり、待機時間も不要になるため、作業効率が向上する。また、本実施形態のように、接着材料が接着テープ20であることによって、複数の光ファイバの接着後に接着テープ20を剥がすことが可能になる(つまり、接着材料が接着テープ20であることによって、複数の光ファイバを仮固定できる)。加えて、本実施形態のように、接着テープ20が非接着部22を有することにより、接着テープ20を外す作業が容易になる。
ホルダ用治具の一例である上記の治具10は、係合部11と、一対のガイド部12と、連結部14とを備える。連結部14は、一対のガイド部12を離間させて連結する。これにより、一対のガイド部12の間に離間部13が設けられる。本実施形態では、治具10をホルダ30に取り付けたとき(係合部11をホルダ30に係合させたとき)、離間部13は、ホルダ30の整列部33上に配置される。これにより、ホルダ30が複数の光ファイバを保持した状態で治具10をホルダ30に取り付けたとき、離間部13によって、載置部31Bの整列部33上の複数の光ファイバの上側が開放された状態になる。このため、離間部13に接着材料(例えば接着テープ20)が供給されると、載置部31Bの整列部33上の複数の光ファイバの上側に接着材料が付着し、整列部33に載置された複数の光ファイバ(整列させた状態の複数の光ファイバ)を接着材料で固定できる。本実施形態の治具10によれば、複数の光ファイバの整列状態を維持することが可能になる(複数の光ファイバの位置関係を維持することが可能になる)。また、ホルダ30から複数の光ファイバを外した後においても、接着材料が複数の光ファイバを整列させた状態で固定しているため、複数の光ファイバの整列状態を維持することが可能になる。
<治具10の使用方法1>
図4A〜図4Dは、ホルダ30及び治具10を用いた光ファイバの固定方法の説明図である。
ホルダ30及び治具10を用いて光ファイバを固定するとき、まず、作業者は、ホルダ30と、治具セットを準備する。治具セットは、前述の治具10と、接着テープ20とを含んでいる。
図4Aに示すように、作業者は、ホルダ30の整列部33(図2A参照)に光ファイバを整列させつつ載置する。このとき、作業者は、整列部33のそれぞれのV溝上に光ファイバを配置することによって、それぞれの光ファイバを所定位置に整列させる。
次に、図4Bに示すように、作業者は、ホルダ30の蓋部37を閉じて、ホルダ30に光ファイバを保持させる。なお、作業者がホルダ30の蓋部37を閉じると、光ファイバが挟持部31Aと蓋部37との間に挟持され、これにより、複数の光ファイバが所定位置に整列された状態でホルダ30に保持される。
ホルダ30に光ファイバを保持させた後、図4Cに示すように、作業者は、ホルダ30に治具10を取り付ける。このとき、作業者は、治具10の係合部11をホルダ30に係合させて、ホルダ30に治具10を取り付ける。係合部11をホルダ30に係合させると、治具10の離間部13が、ホルダ30の整列部33上に配置され、この結果、載置部31Bの整列部33上の複数の光ファイバの上に配置される。つまり、図4Cに示すように、離間部13によって、載置部31Bの整列部33上の複数の光ファイバの上側が開放された状態になる。なお、本実施形態では、ホルダ30が複数の光ファイバを保持した状態で治具10をホルダ30に取り付けたとき、複数の光ファイバが一対の規制部121A(図3B参照)の間に配置される。これにより、複数の光ファイバが規制部121Aの幅(離間部13の幅)よりも広がることが規制される。
ホルダ30に治具10を取り付けた後、図4Cに示すように、作業者は、接着テープ20の剥離シートを外し、接着テープ20を貼付する準備を行う。また、図4Cに示すように、作業者は、接着テープ20の接着面を下側(光ファイバの側)に向けるとともに、非接着部22を接着部21よりも前側に向ける。
次に、図4Dに示すように、作業者は、一対のガイド部12の間(離間部13)に接着材料を供給して、整列部33に載置されている複数の光ファイバを固定する。本実施形態では、接着材料は接着テープ20であり、作業者は、接着テープ20の長手方向を離間部13や光ファイバの長手方向に沿わせながら、一対のガイド部12の間に接着テープ20を供給する。本実施形態では、複数の光ファイバを整列部33に載置させた状態で、治具10の離間部13に接着テープ20を供給することによって接着テープ20で複数の光ファイバを接着するため、幅の狭い接着テープ20を用いて複数の光ファイバを接着する作業が容易である。なお、複数の光ファイバを整列した状態で固定することを「リボン化」と呼ぶことがある。
上記の通り、本実施形態の光ファイバの固定方法では、複数の光ファイバを整列部33に載置した状態でホルダ30に保持する工程と(図4B参照)、離間した一対のガイド部12を有する治具10をホルダ30に係合させる工程と(図4C参照)、一対のガイド部12の間の離間部13に接着材料(ここでは接着テープ)を供給して、整列部33に載置された複数の光ファイバを接着材料で固定する工程と(図4D参照)を有する。本実施形態によれば、複数の光ファイバが接着材料で固定されるため、複数の光ファイバを整列した状態で維持することができる(複数の光ファイバの位置関係を維持することができる)。また、ホルダ30から複数の光ファイバを外した後においても、接着材料が複数の光ファイバを整列させた状態で固定しているため、複数の光ファイバの整列状態を維持することが可能になる。
本実施形態では、一対のガイド部12の内側にスロープ部12Aが設けられているため、作業者が一対のガイド部12の間(離間部13)に指を入れ易くなる。このため、接着テープ20を用いて複数の光ファイバを接着する作業が容易である。加えて、本実施形態では、スロープ部12Aがサブスロープ部12Bを有しているため、接着テープ20を用いて複数の光ファイバを接着する作業が更に容易である。
また、本実施形態では、連結部14に勾配部14Aが設けられており、作業者は、離間部13に接着テープ20を供給して複数の光ファイバを接着テープ20で固定する際に、接着テープ20の一端を勾配部14Aに配置させる(図1A参照)。これにより、接着テープ20を剥がす作業が容易になる。加えて、本実施形態では、接着テープ20は、複数の光ファイバを接着可能な接着部21と、非接着部22とを有しており、作業者は、離間部13に接着テープ20を供給して複数の光ファイバを接着テープ20で固定する際に、勾配部14Aに非接着部22を配置させる(図1A、図4D参照)。本実施形態では、接着テープ20が非接着部22を有するため、作業者が接着テープ20を外す作業が容易になる。また、本実施形態では、勾配部14Aに非接着部22を配置させることにより(図1A、図4C参照)、複数の光ファイバに接着テープ20を貼付した状態で、ホルダ30から治具10を外し易くなる。
<治具10の使用方法2>
ここでは、ホルダ30及び治具10を整列用工具50とともに用いる場合について説明する。まず、整列用工具50の構成について説明した後、整列用工具50を用いた光ファイバのリボン化方法について説明する。なお、光ファイバのリボン化方法には、ホルダ30及び治具10を用いた光ファイバの固定方法や、光ファイバの整列方法も含まれている。
・整列用工具50
図5A及び図5Bは、整列用工具50の説明図である。図5Aは、整列用工具50の斜視図である。図5Bは、治具10を取り付けたホルダ30を整列用工具50にセットした状態の斜視図である。
整列用工具50は、複数の光ファイバを整列させた状態でホルダ30に保持させる器具である。整列用工具50は、本体部51と、ホルダ保持部52と、ファイバ整列部60とを有する。
本体部51は、整列用工具50の本体を構成する部材である。本体部51は、溝部51Aや蓋部51Bなどを有する。溝部51Aは、光ファイバ(光ケーブルを含む)を前後方向に沿って案内するための凹状の部位である。蓋部51Bは、本体部51との間で光ファイバ(光ケーブルを含む)を挟むための部材であり、本体部51に対して開閉可能な部材である。
ホルダ保持部52は、ホルダ30を保持する部位である。後述するように、ホルダ保持部52にホルダ30を保持させた状態で、ホルダ30に光ファイバを保持させることが可能であるとともに、ホルダ30に治具10を取り付けることが可能である。
図6A及び図6Bは、ファイバ整列部60の斜視図である。図7A及び図7Bは、ファイバ整列部60が複数の光ファイバを整列させる様子の説明図である。図8A及び図8Bは、ファイバ整列部60が複数の光ファイバを整列させる様子の概略図である。なお、図8Aは、図7Aの状態の説明図である。図8Bは、図7Bの状態の説明図である。
ファイバ整列部60は、複数の光ファイバを整列させる部材である。ファイバ整列部60は、載置部61と、蓋部62と、分離部64と、スライド部65とを有する。
載置部61は、光ファイバを載置する部位である。本実施形態では、載置部61は、複数の光ファイバを幅方向に並べて載置可能である。載置部61は、第1載置部611と、第2載置部612と、段差部613とを有する。第1載置部611は、載置部61の後側の部位である。第2載置部612は、載置部61の前側の部位である。第2載置部612には、山部612Aが形成されている。山部612Aは、本体部51の幅方向中央に対して右側に配置された凸状の部位であり、本体部51の幅方向中央に向かうほど高さが低くなる傾斜面を有する。山部612Aは、載置部61に載置された複数の光ファイバを左側に寄せ易くする機能を有する(図7B参照)。段差部613は、載置部61の載置面の縁(本実施形態では左縁)に配置された段差状の部位である。段差部613は、複数の光ファイバを整列させるときに端部(本実施形態では左端)の光ファイバの位置を規定する部位である。
蓋部62は、載置部61に対して開閉可能な部材である。蓋部62は、載置部61との間に光ファイバを挟むための部材である。蓋部62は、載置部61との間に光ファイバを上下方向から挟み込む。蓋部62を閉じたとき、載置部61と蓋部62との間には、光ファイバを挿通可能な隙間が形成される。この隙間の高さ方向の寸法は、光ファイバの直径の2倍未満である。このため、載置部61と蓋部62との間に所定の順番で複数の光ファイバを整列させたとき、光ファイバの順番が入れ違うことが防止される。
なお、載置部61及び蓋部62には、それぞれ標識部63が設けられている。標識部63は、所定幅に色分けされた複数の標識が幅方向に並ぶ部位である。作業者は、標識部63の色と光ファイバの色(光ファイバの着色層の色)とを参照しながら、所定の順序で光ファイバを載置部61に載置したり、載置部61と蓋部62との隙間に挿通することになる。
分離部64は、光ファイバ同士を幅方向に分離する部位である。分離部64は、複数の隔壁64Aを有する。隔壁64Aは、光ファイバを隔てるための部位である。複数の隔壁64Aは幅方向に所定間隔で並んでおり、隔壁64Aと隔壁64Aとの間に光ファイバを挿通させることができる。分離部64は、上下方向に移動可能に構成されている。分離部64が上側に位置するとき、隔壁64Aは、載置部61(載置面)から上側に突出した状態になる。このため、分離部64が上側に位置するとき、隔壁64Aによって光ファイバの幅方向の移動が禁止される。分離部64が下側に位置するとき、隔壁64Aは、載置部61から突出しない状態になる。このため、分離部64が下側に位置するとき、光ファイバの幅方向の移動が許容される。分離部64は、スライド部65の幅方向の移動に連動して、上下方向に移動するように構成されている。
スライド部65は、本体部51に対して幅方向に移動可能な部材である。スライド部65は、分離部64を上下方向に移動させる機能を有する。本実施形態では、スライド部65が右側に位置するとき、分離部64は上側に位置する(隔壁64Aが載置部61から上側に突出した状態になる)。また、本実施形態では、スライド部65が左側に位置するとき、分離部64は下側に位置する(隔壁64Aが載置部61から突出しない状態になる)。
スライド部65は、突出部65Aを有する。突出部65Aは、載置部61(載置面)よりも上側に突出した部位である。突出部65Aは、スライド部65の移動に伴って、載置部61(載置面)よりも上側に突出した状態で幅方向に移動する。突出部65Aは、複数の光ファイバを幅方向に寄せる機能を有する。本実施形態では、スライド部65が右側に位置するとき、突出部65Aは、待避位置(載置部61の光ファイバを載置させる部位よりも右側)に位置し、段差部613と突出部65Aとの間の載置部61の全幅にわたって光ファイバを載置可能である。また、本実施形態では、スライド部65が左側に位置するとき、段差部613と突出部65Aとの間が狭まり、段差部613と突出部65Aとの間に複数の光ファイバが整列される。つまり、スライド部65を移動させることによって、複数の光ファイバの間隔を狭めた状態で整列させることができる。
スライド部65は、ラッチ部65Bを有する。ラッチ部65Bは、スライド部65を固定する部位である。仮に段差部613と突出部65Aとの間を狭めて段差部613と突出部65Aとの間に複数の光ファイバを整列させた状態でスライド部65が移動すると、隔壁64Aが上側に移動して光ファイバを損傷させるおそれがある。これに対し、本実施形態では、スライダ部が左側に位置する状態(段差部613と突出部65Aとの間を狭めて段差部613と突出部65Aとの間に複数の光ファイバを整列させた状態)でラッチ部65Bがスライド部65を固定するため、光ファイバの損傷を抑制できる。
・整列用工具50を用いた光ファイバのリボン化方法
図9は、整列用工具50を用いて複数の光ファイバをリボン化する処理のフロー図である。なお、リボン化処理とは、複数の光ファイバを整列した状態で固定する処理である。
まず、作業者は、ホルダ30、治具セット(治具10及び接着テープ20)及び整列用工具50を準備する(S101)。次に、作業者は、ホルダ30を整列用工具50にセットする(S102)。具体的には、作業者は、整列用工具50のホルダ保持部52にホルダ30を保持させる。このとき、ホルダ30の蓋部37は開いた状態にする。
次に、作業者は、整列用工具50のファイバ整列部60を用いて複数の光ファイバを整列させる(S103)。このとき、作業者は、図7A及び図8Aに示すように、ファイバ整列部60の載置部61と蓋部62との間の隙間に複数の光ファイバを挿通させる。また、作業者は、標識部63の色と光ファイバの色とを参照しながら、複数の光ファイバを所定の順序で載置部61と蓋部62との隙間に挿通させる。また、図7A及び図8Aに示すように、作業者は、分離部64の隔壁64Aによって光ファイバの間隔をあけながら、載置部61と蓋部62との隙間に挿通させる。このとき、光ファイバの間隔は、比較的広がっているため、光ファイバを所定の順序で整列させる作業は容易である。
次に、作業者は、スライド部65をスライドさせて、複数の光ファイバを所定間隔に整列させる(S104)。スライド部65をスライドさせると、図7B及び図8Bに示すように、複数の光ファイバは、比較的狭い間隔で整列され、ホルダ30の整列部33におけるV溝の間隔とほぼ同じ間隔で整列される。
次に、作業者は、ホルダ30の整列部33に光ファイバを整列させつつ載置する(S105)。なお、この作業は、図4Aに示す作業とほぼ同じである。但し、ここではS104の処理によって、複数の光ファイバがホルダ30のV溝とほぼ同じ間隔で既に整列しているので、それぞれのV溝上に光ファイバを配置する作業は容易である。
次に、作業者は、ホルダ30の蓋部37を閉じて、ホルダ30に光ファイバを保持させる(S106)。なお、この作業は、図4Bに示す作業とほぼ同じである。
ホルダ30に光ファイバを保持させた後、作業者は、ホルダ30に治具10を取り付ける(S107)。この作業は、図4Cに示す作業とほぼ同じである。本実施形態では、ホルダ30に治具10を取り付けると、ホルダ30の第2ガイド部122が整列用工具50の第2載置部612の上面に配置される。これにより、ホルダ30の第2ガイド部122を整列用工具50の第2載置部612の上面で支持できる。
ところで、既に説明したように、本実施形態では、ホルダ30の第2ガイド部122が整列用工具50の第2載置部612の上面に配置されるため、第2ガイド部122の下面は、整列用工具50の第2載置部612の表面に適合した形状になっている。一方、本実施形態では、整列用工具50の第2載置部612には、幅方向中央に対して右側に山部612Aが設けられている。右側の第2ガイド部122の下面が山部612Aに適合した形状になっているため、本実施形態では、右側の第2ガイド部122の上面にはサブスロープ部12Bが設けられていない。一方、左側の第2ガイド部122の下側には山部612Aのような凸状の部位がないので、本実施形態では、左側の第2ガイド部122の上面にサブスロープ部12Bを設けることが可能である。
次に、作業者は、一対のガイド部12の間に接着材料(ここでは接着テープ20)を供給して、整列部33に載置されている複数の光ファイバを固定する(S108)。なお、この作業は、図4Dに示す作業とほぼ同じである。複数の光ファイバが整列された状態で固定されることによって、複数の光ファイバがリボン化される。
次に、作業者は、治具10をホルダ30から外す(S109)。本実施形態では、離間部13に接着テープ20を供給して複数の光ファイバを接着テープ20で固定する際に、勾配部14Aに非接着部22を配置させているため(図1A、図4D参照)、複数の光ファイバに接着テープ20を貼付した状態でホルダ30から治具10を外し易くなる。
次に、作業者は、光ファイバを保持中のホルダ30を整列用工具50から外す(S110)。なお、作業者は、治具10が取り付けられた状態でホルダ30を整列用工具50から外した後、治具10をホルダ30から外しても良い。
<治具10の使用方法3>
ここでは、光コネクタ70の組立方法(製造方法)について説明する。なお、以下の説明には、光ファイバの固定方法、光ファイバの被覆除去方法、光ファイバの切断方法、及び光ファイバの融着方法の説明も含まれている。
図10は、光コネクタの組立処理のフロー図である。ここでは、光ケーブルの端部に融着接続型の光コネクタ70(図14参照)を組み立てることを想定している。
まず、作業者は、コネクタ組立キットを準備する(S201)。コネクタ組立キットには、コネクタキットや、前述の治具セット(治具10及び接着テープ20)が含まれる。コネクタキットは、光コネクタ70を構成する部品の集合である。本実施形態のコネクタキットは、光ファイバ付きフェルール71と、ハウジング72と、熱収縮スリーブ73と、スプリング74と、スプリングプッシュ75と、ブーツ76とを含む(図14参照)。但し、コネクタキットの構成は、これに限られるものではない。
次に、作業者は、光ケーブルの前処理を行う(S202)。具体的には、作業者は、光ケーブルに、ブーツ76を予め挿通する。また、作業者は、光ケーブルから複数の光ファイバを口出しする。また、作業者は、口出しされた複数の光ファイバにスプリングプッシュ75(図14参照)、スプリング74及び熱収縮スリーブ73を予め挿通する。なお、光ケーブルや光ファイバに予め挿通させる部品は、光コネクタ70の構造によって異なるものであり、これに限られるものではない。
次に、作業者は、ファイバ整列部60を用いて複数の光ファイバ(光ケーブルから口出しされた複数の光ファイバ)をリボン化する(S203)。なお、この作業は、図9のフロー図に示す処理と同様である。但し、ファイバ整列部60を用いずに、図4A〜図4Dに示すように複数の光ファイバをリボン化しても良い。S203の処理により、図1Aや図4Dに示すように、複数の光ファイバが整列された状態で固定される(複数の光ファイバがリボン化される)。
次に、作業者は、ホルダ30を被覆除去装置80にセットして、光ファイバの被覆を除去する(S204)。図11A〜図11Cは、被覆除去装置80によって光ファイバの被覆を除去する様子の説明図である。
被覆除去装置80は、複数の光ファイバの被覆を除去する装置である。本実施形態の被覆除去装置80は、ホットジャケットストリッパと呼ばれることもある。被覆除去装置80は、一対の刃81A(図11C参照)を有する本体部81と、ホルダ30を把持する把持部82とを有する。
図11Aに示すように、作業者は、ホルダ30を把持部82にセットする。ホルダ30をセットした後、図11Bに示すように、作業者は、本体部81及び把持部82の蓋を閉じる。このとき、本体部81の一対の刃81Aが光ファイバを挟み込み、光ファイバの被覆に切り込みを入れる。蓋を閉じた後、図11Cに示すように、作業者は、本体部81と把持部82とを離間させる。このとき、一対の刃81Aが光ファイバの被覆を引き抜き、これにより、光ファイバの被覆が除去される。ところで、本体部81と把持部82とを離間させる際に、一対の刃81Aが、光ファイバの長手方向に沿って被覆を引き抜くため、光ファイバが長手方向にずれるおそれがある。但し、本実施形態では、複数の光ファイバがリボン化された状態でホルダ30に保持されているため、光ファイバの被覆除去の際に、光ファイバが長手方向にずれることを抑制できる。なお、作業者は、必要に応じてクリーニング処理(例えば無水エタノールを用いたワイピングなど)を行い、裸光ファイバに付着した被覆屑を除去することが望ましい。
次に、作業者は、ホルダ30をファイバカッタにセットして、光ファイバ(裸光ファイバ)の端部をカットする(S205)。本実施形態では、複数の光ファイバがリボン化された状態でホルダ30に保持されているため、光ファイバのカットの際にも、光ファイバが長手方向にずれることを抑制できる。
次に、作業者は、ホルダ30を融着接続機90にセットして、複数の光ファイバ同士を一括して融着接続する(S206)。
図12Aは、フェルール用ホルダ30’の説明図である。作業者は、図12Aに示すように、光ファイバ付きフェルール71をフェルール用ホルダ30’にセットする。フェルール用ホルダ30’の蓋部37’を閉じると、光ファイバ付きフェルール71がフェルール用ホルダ30’に保持される。なお、作業者は、光ファイバ付きフェルール71がフェルール用ホルダ30’に保持された状態で、フェルール71から延び出た光ファイバの被覆除去や光ファイバの端部のカットを行う。
図12Bは、ホルダ30及びフェルール用ホルダ30’を融着接続機90にセットした様子の説明図である。融着接続機90は、電極部91と、一対のホルダ載置部92とを有する。電極部91は、一対の電極を有する。ホルダ載置部92は、ホルダ30をセットする部位である。ホルダ載置部92は位置決めピン(不図示)を有し、この位置決めピンにホルダ30及びフェルール用ホルダ30’のそれぞれの位置決め穴を嵌合させることによって、ホルダ30及びフェルール用ホルダ30’が融着接続機に対して所定の位置にセットされる。ホルダ30及びフェルール用ホルダ30’をホルダ載置部92にセットすると、ホルダ30に保持された複数の光ファイバ(光ケーブルから口出しされた光ファイバ)の端面と、フェルール用ホルダ30’から延び出た複数の光ファイバ(図12Aに示すフェルール71から延び出た複数の光ファイバ)の端面とが、電極部91の近傍で対向して配置される。電極部91がアーク放電を生じさせることによって、光ファイバの先端部が加熱され、光ファイバの先端部が溶融し、これにより、光ファイバ同士が融着接続することになる。本実施形態では、複数の光ファイバ同士が一括で融着接続される。本実施形態では、複数の光ファイバがリボン化された状態でホルダ30に保持されており、光ファイバが長手方向にずれることが抑制されているため、融着接続後に特定の光ファイバに張力が集中することを抑制可能である(若しくは、特定の光ファイバに張力がかからないことを抑制可能である)。
次に、作業者は、光ファイバに張力を付与しながらホルダ30から光ファイバを取り出し、融着接続点に熱収縮スリーブ73を被せる(S207)。このとき、作業者は、予め光ファイバ(光ケーブルから口出しした光ファイバ)に挿通させた熱収縮スリーブ73を融着接続点に向かって移動させることになる。
図13は、熱収縮スリーブ73を移動させる様子の説明図である。
本実施形態では、図1Aや図4Dに示すように、複数の光ファイバが接着テープ20によって固定されている。接着テープ20の幅は、熱収縮スリーブ73の内径(最大内径)よりも狭いため、接着テープ20で複数の光ファイバを固定した状態で、熱収縮スリーブ73を融着接続点まで移動させることが可能になる。
また、本実施形態では、図1Aや図4Dに示すように、接着テープ20が複数の光ファイバを固定するとき、接着テープ20の非接着部22は、接着部21よりも光ファイバの端部の側に配置される。このため、融着接続後には、接着テープ20の非接着部22は、接着部21よりも融着接続点の側に配置される。融着接続後、光ファイバに予め挿通させた熱収縮スリーブ73を融着接続点に向かって移動させるとき、図13に示すように、作業者は、熱収縮スリーブ73を、接着テープ20の接着部21の側から非接着部22の側に向かって移動させる。仮に、熱収縮スリーブ73が非接着部22の側から接着部21の側に向かって移動すると、接着テープ20が熱収縮スリーブ73の内部を通過するときに、非接着部22が捲れ上がってしまい、この結果、接着テープ20が外れるおそれがある。これに対し、本実施形態では、熱収縮スリーブ73が接着テープ20の接着部21の側から非接着部22の側に向かって移動するので、接着テープ20が外れることを抑制できる。
融着接続点に熱収縮スリーブ73を被せた後、作業者は、光ファイバに張力を付与しながら、熱収縮スリーブ73を融着接続機90の加熱部(不図示)に移動させ、加熱部によって熱収縮スリーブ73を加熱する(S208)。これにより、融着接続点が熱収縮スリーブ73によって保護される。本実施形態では、熱収縮スリーブ73の加熱の際に、複数の光ファイバがリボン化された状態であるため(接着テープ20によって複数の光ファイバが整列された状態で維持されているため)、光ファイバが長手方向にずれることが抑制されている。このため、熱収縮スリーブ73の際に特定の光ファイバに張力が集中することを抑制できる。
熱収縮スリーブ73の加熱後、作業者は、接着テープ20を外す(S209)。熱収縮スリーブ73の熱収縮後には、接着テープ20が光ファイバから外されても、熱収縮スリーブ73によって複数の光ファイバが整列された状態で維持される。このため、この段階では接着テープ20を外すことは許容される。本実施形態では、接着テープ20が非接着部22を有するため、接着テープ20を外す作業が容易である。なお、仮に接着テープ20の代わりに接着材料として接着剤を使用した場合、接着材料を外せないため、固化した接着材料を光コネクタ70の内部に収容することになる。これに対し、本実施形態のように接着材料として接着テープ20を用いた場合には、光コネクタ70の組み立て前に、接着テープ20を外すことが可能になる。これにより、光コネクタ70に収容される部材を低減できるため、光コネクタ70の小型化を図ることができる。
最後に、作業者は、光コネクタ70を組み立てる(S210)。図14は、光コネクタ70の断面図である。作業者は、ハウジング72にフェルール71、熱収縮スリーブ73及びスプリング74を収容しつつスプリングプッシュ75を取り付ける。ハウジング72にスプリングプッシュ75を取り付けると、スプリング74が圧縮状態になり、フェルール71が押圧された状態で後退可能にハウジング72に収容される。また、作業者は、ハウジング72にブーツ76を取り付けて、光ファイバ(光ケーブル)を保護する。これにより、光コネクタ70の組立処理が完了する。
===別の実施形態===
図15Aは、第2実施形態の治具10の説明図である。第2実施形態では、ガイド部12にスロープ部12Aが設けられていない。図15Bは、第3実施形態の治具10の説明図である。第3実施形態では、連結部14に勾配部14Aが設けられていない。第2実施形態及び第3実施形態においても、治具10をホルダ30に取り付けたとき(係合部11をホルダ30に係合させたとき)、離間部13がホルダ30の整列部33上に配置される。このため、第2実施形態及び第3実施形態においても、離間部13に接着材料(例えば接着テープ20)が供給されると、載置部31Bの整列部33上の複数の光ファイバの上側に接着材料が付着し、整列部33に載置された複数の光ファイバ(整列させた状態の複数の光ファイバ)を接着材料で固定できる。なお、ガイド部12と連結部14の両方にスロープ部や勾配部を設けなくても良い。
図16Aは、第4実施形態の治具10の説明図である。第4実施形態では、ガイド部12が第1ガイド部121から構成されており、第2ガイド部122を備えていない。また、第4実施形態では、ガイド部12のスロープ部12Aは、サブスロープ部12Bを有していない。図16Bは、第5実施形態の治具10の説明図である。第5実施形態では、連結部14が治具10の後側に配置されている。図16Cは、第6実施形態の治具10の説明図である。第6実施形態では、連結部14が治具10の前後両側に設けられている。第4〜第6実施形態においても、治具10をホルダ30に取り付けたとき(係合部11をホルダ30に係合させたとき)、離間部13がホルダ30の整列部33上に配置される。このため、第4実施形態及び第5実施形態においても、離間部13に接着材料(例えば接着テープ20)が供給されると、載置部31Bの整列部33上の複数の光ファイバの上側に接着材料が付着し、整列部33に載置された複数の光ファイバ(整列させた状態の複数の光ファイバ)を接着材料で固定できる。
なお、第2〜第6実施形態の治具10を用いて、図9に示すリボン化処理(光ファイバの固定方法)を行うことが可能である。また、第2〜第6実施形態の治具10を用いて、図10に示すコネクタ組立処理(若しくは、光ファイバの固定方法、光ファイバの被覆除去方法、光ファイバの切断方法又は光ファイバの融着方法)を行うことも可能である。
===その他の実施形態===
上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更・改良され得ると共に、本発明には、その等価物が含まれることは言うまでもない。