JP2021148757A - 地下水位観測装置、地下水位観測装置の設置方法及び地下水位の観測方法 - Google Patents

地下水位観測装置、地下水位観測装置の設置方法及び地下水位の観測方法 Download PDF

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Abstract

【課題】地下水の分布や水位変動を動力や電源を用いることなくサイフォンの原理で観測する地下水位観測装置、地下水位観測装置の設置方法及び地下水位の観測方法を提供すること。【解決手段】地下水位観測孔11内に挿入設置され、地下水出入り孔13を有する地下水位観測管12と、この地下水位観測管12内の下方に設けた貯水管14と、前記地下水位観測管12から離れて設置され、上部に外気孔20を有する水位表示管19と、前記貯水管14の水中に連通管16の一方端開口部16aを浸漬し、前記水位表示管19に注入した水に前記連通管16の他方端開口部16dを浸漬してこれら地下水位観測管12と水位表示管19の間を、水を充填して連通した連通管16とを具備し、前記地下水位観測孔11内の地下水位を前記水位表示管19にてサイフォンの原理で表示する。【選択図】図1

Description

本発明は、地下水の分布や水位変動を動力や電源を用いることなくサイフォンの原理で観測する地下水位観測装置、地下水位観測装置の設置方法及び地下水位の観測方法に関するものである。
地下水観測孔内の地下水位は、斜面の安定計算に利用されることに示される通り、斜面の安定度を示す指標として知られている。この地下水位を直接的に観察・確認する方法がなく、観測者は、各種の電気的、機械的な計測手法で間接的に認識していた。これらの方法では、後述するように、水位を検知し表示する手法に不具合が生じた場合、実際と異なる水位を表示する懸念があった。
斜面内の地下水位情報は、斜面の安定性を示す指標であり、斜面周辺の住民がこれらの実態を日常的に認識することは、地域の防災上有効である。しかし、既往の地下水位の計測値は、観測孔の管理者や業務の受託者が上記の電気的、機械的な手法で測定し、データを取得し、解析することが一般的であり、地下水位観測孔の設置された斜面周辺の住民が直接的にこれらを認識することができなかった。
前述した従来の間接的な土中水分水位検出装置の第1の例を図6に基づき説明する(特許文献1)。
この土中水分水位検出装置は、一端が密封され他端が開口された管状の部材で土中31に埋め込まれる超音波導波管36、及びこの超音波導波管36の密封側に設けられる超音波トランスジューサ38を有する検出器34と、反射波32の最大振幅に基づいて土中水分量を検出する一方、超音波30の送信から反射波32の受信までに要する伝播時間に基づいて地下水位面33の位置を検出する制御部(図示せず)とを備えているものである。
また、従来の第2の例の地中水位検出杭を図7に基づき説明する(特許文献2)。
地盤に一部または全部が埋め込まれる棒状の杭40であって、長手方向Lに延びた柱状空間43、およびこの柱状空間43に外部から液体を侵入させる侵入口47を有し、この侵入口47よりも頭部42側に近接検知装置50が設置された杭本体41と、この杭本体41の頭部42に被せられて柱状空間43を閉塞するキャップ44とを備え、柱状空間43には、侵入口47から侵入した液体の水面に浮く浮部材45が配置され、近接検知装置50は、浮部材45の近接を検知するものである。前記近接検知装置50は、前記杭本体41の長手方向に沿って配置された複数の近接検知器51、…51からなり、前記浮部材45が所定範囲内に位置することを各近接検知器51、…51がそれぞれ検知する。
また、特許文献3には、サイフォン作用により天然ダムの貯水地に貯留されている貯水を、下流側の低地に排水するシステムが記載されている。
下記の非特許文献1には、上述の特許文献2のフロート式水位計の他に、触針式水位計と水圧式水位計が記載されている。
触針式水位計は、おもりを付けた電源ケーブルをボーリング孔内に下ろし、電源ケーブル先端の電極が地下水の水面に着くと、電流が流れ、これを地表の電流計で計ったり、ブザーが鳴るようにしたり、ランプが点灯したりするようにしたもので、ボーリング孔内に下ろした電源ケーブルの挿入延長を記録するものである。
水圧式水位計は、地すべり面付近の地下水帯に水圧計を埋設して、間隙水圧を測定するもので、測定原理により、カサグランデ型、圧気型及び電気型がある。
カサグランデ型は、先端のセンサにポーラスストーンが用いられて、地上部とは径10mm程度のプラスチック管でつながっており、地下水の流入、流出に応じてプラスチック管の水位が変動することで、間隙水位を測定する。
圧気型は、圧力測定を行うためのバルブを有する先端のセンサ部と地上の伝達計器とつながる2本のナイロン製管とからなり、圧力供給パイプから送られた気体流は、間隙水圧と同じ水圧になると排出パイプ側に回り込むことになるので、出力側ゲージが変化するときの圧力でもって間隙水圧を測定するものである。
電気型は、先端に、地下水を取り込むポーラスなフィルタと、この地下水の間隙圧によって変化するダイヤフラム及び電気信号に変換する部分がある。水圧変換器のセンサには、ひずみゲージ式、差動トランス式、半導体式などがある。
特開2011-47676号公報 特開2009-287927号公報 特開2014-163202号公報
「地すべり観測便覧」平成8年10月発行「社団法人地すべり対策技術協会」著
特許文献1では、超音波トランスジューサ38を有する管状の超音波導波管36を土中31に埋め込み、反射波32の最大振幅に基づいて土中水分量を検出する一方、超音波30の送信から反射波32の受信までに要する伝播時間に基づいて地下水位面33の位置を検出するものである。
また、特許文献2では、地盤に埋め込まれる棒状の杭40の柱状空間43に、侵入口47から侵入した水面に浮く浮部材45が配置され、複数の近接検知器51、…51で前記浮部材45の位置を検知するものである。
これらの従来の装置では、地下水観測孔内の地下水位は、地表で直接的に確認できない状態にある。しかも、この種の装置は、山中、崖地など劣悪な環境の下で長期間設置されるものであるから、位置検知信号を電気信号に変換して送信して間接的に標高値や地表面からの距離・深さとして表示される。このような電気信号に変換して送信するものでは、観測機器の故障、性能低下、停電、電池の消耗などによって、実際の孔内水位の位置と異なる結果を示すことがあった。
特許文献3のシステムは、地下水の水位を検知するものではなく、また、貯水池の水面が低下し、配管の先端が水面から離れると、ここから空気が流入してサイフォンの原理が機能しなくなる。
前記カサグランデ型水位計は、地上部のプラスチック管の水位変動を目読するものであって、地下水位観測孔から離れた場所で直接的に水位を観察・確認することはできない。
前記圧気型水位計は、エア抜き機構がないこと、地上部の圧力計装置が別に必要であることと相俟って、前記カサグランデ型水位計と同様、地下水位観測孔から離れた場所で直接的に水位を観察・確認することはできない。また、地下水位を電気的・機械的な計測手法で間接的に認識しているので、水位を検知し表示する手法に不具合が生じた場合、実際と異なる水位を表示する懸念がある。
前記電気型水圧式水位計は、専用の指示計や記録計を必要とすることなどの欠点がある。また、地下水位を電気的な計測手法で間接的に認識しているので、水位を検知し表示する手法に不具合が生じた場合、実際と異なる水位を表示する懸念がある。
本発明は、このような問題点を解決するためになされたもので、地下水の分布や水位変動を動力や電源を用いることなくサイフォンの原理で直接的に観測する地下水位観測装置、地下水位観測装置の設置方法及び地下水位の観測方法を提供することを目的とする。
本発明による請求項1記載の地下水位観測装置は、図1に示すとおり、
地下水位観測地点に穿設した地下水位観測孔11と、
この地下水位観測孔11から離れた観測地点に設置され、前記地下水位観測孔11内の変動する地下水位の標高に対応した水位を直接的に表示し、観測できる水位表示管19と、
前記地下水位観測孔11内の地下水中に浸漬され、上端開口した貯水管14と、
前記貯水管14と前記水位表示管19の間を満水で連通するための一方端開口部16aと上端屈曲部16bと他方端開口部16dを有する連通管16とを具備し、
前記一方端開口部16aは、サイフォンブレーク防止のために前記貯水管14の水中に浸漬し、前記上端屈曲部16bは、前記地下水位観測孔11の上端を通り、前記他方端開口部16dは、前記水位表示管19の孔内水中に浸漬し、
前記貯水管14の上端開口に設けた水導入孔15の標高RWLを、地下水位の通常の変動範囲最上位の標高HWLより下方に設定し、前記HWLから前記RWLまでの区間は、少なくともサイフォン原理が機能する標高の区間とし、
前記水位表示管19は、上端を開口し、下端を密閉し、上端が前記HWLより高い標高に位置し、下端が前記RWLより低い標高に位置することが可能な長さを有し、前記他方端の開口部16dを前記RWLより低い標高となる位置に挿入したことを特徴とする。
なお、地下水位観測孔11内の地下水位変動は、RWLを地下水位の通常の変動範囲LWLよりも下方に設定できる場合はHWLからLWLの範囲で、サイフォン原理の制約等でRWLをLWLよりも上方に設定する場合は、通常の地下水位変動範囲のうちHWLからRWLの範囲で、水位表示管19において目視で観測可能である。
本発明による請求項2記載の地下水位観測装置は、
前記地下水位観測孔11内に、地下水出入り孔13を有する地下水位観測管12を挿入したことを特徴とする。
本発明による請求項3記載の地下水位観測装置は、
前記地下水位観測管12の中に上端から前記貯水管14を吊紐17で吊り下げて設置したことを特徴とする。
本発明による請求項4記載の地下水位観測装置は、
前記貯水管14は、上端を開口して水導入孔15とし、下端を閉鎖した管体からなり、前記水導入孔15より深部に前記連通管16の一方端開口部16aを浸漬したことを特徴とする。
本発明による請求項5記載の地下水位観測装置は、
前記貯水管14は、前記連通管16の一方端部側を上向きU字形に折り曲げた部分で代用することも可能で、その場合には上向きU字形の先端部を開口して水導入孔15として機能せしめたことを特徴とする。
本発明による請求項6記載の地下水位観測装置は、
前記水位表示管19については、その中心軸の設置角度が水平面に垂直か傾斜しているかに拘わらず、前記HWLと下方の前記標高RWLの標高の範囲を包含する長さとしたことを特徴とする。
本発明による請求項7記載の地下水位観測装置は、図3に示すとおり、
前記連通管16の上端屈曲部16bの近傍に、空気抜き及び注水手段を設けたことを特徴とする。
本発明による請求項8記載の地下水位観測装置は、
前記空気抜き及び注水手段は、前記上端屈曲部16bに低圧部25が生じたとき、この上端屈曲部16bの両側の連通管16に設けた2個の止水弁26と27と、これら2個の止水弁26と27の間に挿入され、前記2個の止水弁26と27にそれぞれ前記連通管16を結合する切換口29aと29bと、前記低圧部25が形成された前記上端屈曲部16bに注水管28を結合する切換口29cとを有する切換え弁23とからなることを特徴とする。
本発明による請求項9記載の地下水位観測装置の設置方法は、
地下水位観測地点に穿設した地下水位観測孔11内の変動する地下水位の標高に対応した水位を、直接的に観測する水位表示管19を表示地点に設置する工程と、
前記地下水位観測孔11内の地下水中に上端開口した貯水管14を浸漬して設置する工程と、
前記貯水管14と前記水位表示管19の間を満水で連通するための一方端開口部16aと上端屈曲部16bと他方端開口部16dを有する連通管16を設置する工程とを具備し、
前記連通管16を設置する工程において、前記一方端開口部16aは、サイフォンブレーク防止のために前記貯水管14の水中に浸漬し、前記上端屈曲部16bは、前記地下水位観測孔11の上端を通り、前記他方端開口部16dは、前記水位表示管19の孔内水中に浸漬し、
前記貯水管14の上端開口に設けた水導入孔15の標高RWLを、地下水位の通常の変動範囲最上位の標高HWLより下方に設定し、前記HWLから前記RWLまでの区間は、少なくともサイフォン原理が機能する標高の区間とし、
前記水位表示管19は、上端を開口し、下端を密閉し、上端が前記HWLより高い標高に位置し、下端が前記RWLより低い標高に位置することが可能な長さを有し、前記他方端開口部16dを前記RWLより低い標高となる位置に挿入したことを特徴とする。
本発明による請求項10記載の地下水位観測装置の設置方法は、
前記連通管16を設置する工程に先立ち、前記連通管16の一方端から注水して管内を満水とし、この連通管16が満水の状態で前記一方端開口部16aを前記貯水管14の水中に浸漬し、前記他方端開口部16dを前記水位表示管19の孔内水中に浸漬したことを特徴とする。
本発明による請求項11記載の地下水位観測装置の設置方法は、
前記連通管16を設置する工程に先立ち、この連通管16における前記上端屈曲部16bの両側に止水弁26と27をセットし、かつ、これらの止水弁26と27の間に切換え弁23をセットする工程を付加し、前記止水弁26と27を閉じて前記切換え弁23に結合された注水管28から注水して、前記上端屈曲部16bに形成された低圧部25を水で置換するようにしたことを特徴とする。
本発明による請求項12記載の地下水位の観測方法は、
地下水位観測孔11内の地下水と、この地下水位観測孔11から離れた場所に設置した水位表示管19の孔内水との間を水で充満した連通管16で連通してサイフォンの原理で地下水位の変動を観測する方法であって、
前記連通管16の一方端開口部16aを、サイフォンブレーク防止のために前記地下水位観測孔11の地下水中に浸漬した上端開口の貯水管14内の水中に浸漬し、前記連通管16の上端屈曲部16bを、前記地下水位観測孔11の上端を通し、前記連通管16の他方端開口部16dを、前記水位表示管19の孔内水中に浸漬し、
前記貯水管14の上端開口に設けた水導入孔15の標高RWLを、地下水位の通常の変動範囲最上位の標高HWLより下方に設定し、前記HWLから前記RWLまでの区間は、少なくともサイフォン原理が機能する標高の区間とし、
前記水位表示管19は、上端を開口し、下端を密閉し、上端が前記HWLより高い標高に位置し、下端が前記RWLより低い標高に位置することが可能な長さを有し、前記他方端開口部16dが前記RWLより低い標高となる位置に挿入して地下水位を観測するようにしたことを特徴とする。
本発明による請求項13記載の地下水位の観測方法は、
前記地下水位観測孔11内に、地下水出入り孔13を有する地下水位観測管12を挿入して地下水位を観測するようにしたことを特徴とする。
本発明による請求項14記載の地下水位の観測方法は、
前記地下水位観測管12の中に上端から前記貯水管14を吊紐17で吊り下げて設置して地下水位を観測するようにしたことを特徴とする。
本発明による請求項15記載の地下水位の観測方法は、
前記貯水管14は、上端を開口し、下端を閉鎖した管体からなり、前記上端に開口した水導入孔15より深部に前記連通管16の一方端開口部16aを浸漬して地下水位を観測するようにしたことを特徴とする。
本発明による請求項16記載の地下水位の観測方法は、
前記貯水管14は、前記連通管16の一方端部側を上向きU字形に折り曲げた部分で代用し、この上向きU字形の上端部を開口して水導入孔15として機能せしめて地下水位を観測することも可能にしたことを特徴とする。
本発明による請求項17記載の地下水位の観測方法は、
前記水位表示管19は、その中心軸の設置角度が水平面に垂直か傾斜しているかに拘わらず、前記HWLと下方の前記標高RWLの標高の範囲を包含する長さとして地下水位を観測するようにしたことを特徴とする。
本発明による請求項18記載の地下水位の観測方法は、
前記連通管16の上端屈曲部16bの近傍に、空気抜き及び注水手段を設けて地下水位を観測するようにしたことを特徴とする。
本発明による請求項19記載の地下水位の観測方法は、
前記空気抜き及び注水手段は、前記上端屈曲部16bに低圧部25が生じたとき、この上端屈曲部16bの両側の連通管16に設けた2個の止水弁26と27と、これら2個の止水弁26と27の間に挿入され、前記2個の止水弁26と27にそれぞれ前記連通管16を結合する切換口29aと29bと、前記低圧部25が形成された前記上端屈曲部16bに注水管28を結合する切換口29cとを有する切換え弁23を用いて地下水位を観測するようにしたことを特徴とする。
請求項1記載の発明によれば、次の効果を有する。
(1)地下水位観測孔11内の地下水位を、道路や人家近くに設置した水位表示管19で直接表示することで、斜面周辺の住民が日常的に斜面内の地下水位を直感的に認識することができる。また、一般に、斜面からの湧水は、斜面内の地下水上昇を示し、崖崩れや地滑り等の斜面崩壊の兆候といわれているが、降雨時には地表にも流水がある場合が多く、斜面からの湧水の目視は困難である。しかし本発明では、水位表示管19で地表の流水に影響されることなく目視で確認することができる。
(2)装置が簡便であり、特別な機器やそれを駆動する動力、電力を必要とせず、地下水位観測孔11から連通管16を経て水位表示管19までの間がサイフォン原理の機能する標高の範囲内であれば、水位表示管19を任意の位置に設置して正確に孔内水位を表示することができる。また、住民が通常の降雨時の水位条件を認識し、異常降雨時の斜面状態への注意を喚起する指標とすることができる。
(3)地下水位観測孔11内の水位がHWLを超えてDWL以上になったときは、水位表示管19の上端側部の外気孔20又は上端開口部から地下水がオーバーフローすることで、斜面内の異常な地下水位の上昇や濁りの発生などの異常の状態を目視でさらに容易に観測可能となる。
(4)地下水位観測孔11内の地下水位がRWLとDWLの間を上下している間は、地下水位観測孔11と水位表示管19との間を水が流動して、水位表示管19内の観測水位面22は、地下水位観測管12の地下水水位面21と同一標高に維持され、連動する。
(5)地下水位観測孔11内に貯水管14がないと、連通管16の一方端開口部16aまで地下水水位面21が下がると、一方端開口部16aが大気に通じ、水位表示管19側の端部16dと地下水位観測管12側の端部16aの双方から水が排出されてサイフォン原理が機能しなくなる(サイフォンブレーク)。これを防止するため、地下水位観測孔11内に貯水管14を設けて連通管16の一方端開口部16aをこの貯水管14内の水に挿入している。これにより地下水水位面21が一時的にRWLより低下しても一方端開口部16aが大気に露出せず、連通管16の内部は水に満たされたままであり、サイフォン原理が機能する状態が維持される。このとき水位表示管19内の観測水位面22の水位の標高は、水導入孔15の標高RWLと同じとなり、地下水位観測孔11内の地下水水位面21と同じではなくなるが、地下水位が復元し、地下水位観測孔11内の地下水水位面21がRWLを超えて上昇すると、水位表示管19にて正常に観測水位面22を観測できる。なお、地下水位がRWLより低下したときの水位変動は、水位表示管19で表示することができないが、変動範囲内の下方に地下水位が存在する状態については、通常は防災上問題になる可能性が低く、観測対象としての必要性は相対的に低い。
(6)水位表示管19の上端側部の外気孔20又は上端開口から地下水をオーバーフローさせて排出し、斜面の地下水位の上昇を妨げることで、斜面崩壊や地すべりの誘因を抑制することができる。地下水位観測孔11と水位表示管19を複数組設置したり、連通管16の内径を太くしたり、DWLを低く(場合によってはHWL以下に)設定したりすることでこの効果を高めることもできる。
請求項2記載の発明によれば、
前記地下水位観測孔11内に、地下水出入り孔13を有する地下水位観測管12を挿入したので、既設の地下水位観測孔11の地下水位観測管12に貯水管14と連通管16を孔壁との接触による抵抗を受けることなくスムーズに挿入することができ、簡単かつ確実に水位の変動を観測することができる。また前記地下水位観測管12によって、前記地下水位観測孔11の孔壁が保護されるので、孔壁の崩壊により前記地下水位観測孔11が土砂で閉塞されて地下水位観測装置が機能しなくなることを防ぐことができる。
請求項3記載の発明によれば、
前記貯水管14は、前記地下水位観測管12内に吊紐17で吊り下げて取り付けたので、前記貯水管14の位置を地下水位面21の状況に応じて簡単に調整することができる。
請求項4記載の発明によれば、
前記貯水管14は、上端を開口し、下端を閉鎖した管体からなり、前記上端開口に設けた水導入孔15に前記連通管16の一方端開口部16aを浸漬したので、貯水管14として底の付いた直管を利用できる。また、後述の請求項5の貯水管14に比べて、前記地下水位観測管12の内径が、前記連通管16の外径の2倍より小さい場合も適用可能であり、適用範囲が広い。
請求項5記載の発明によれば、
前記貯水管14は、前記連通管16の一方端部側を上向きU字形に折り曲げた部分で代用することも可能で、その場合には上向きU字形の先端部を開口して水導入孔15として機能せしめ、U字形の連通管16の一端部を貯水管14として利用することもできる。この場合、前述の請求項4の貯水管14に比べて、構造が簡素になり、コスト的にも有利となる。
請求項6記載の発明によれば、
前記水位表示管19は、その中心軸の設置角度が水平面に垂直か傾斜しているかに拘わらず、前記HWLと下方の前記標高RWLの標高の範囲を包含する長さとしたので、地下水位が増水したり、渇水したりしても機能が停止することなく水位の変動を監視できる。
請求項7記載の発明によれば、
前記連通管16の上端屈曲部16bの近傍に、空気抜き及び注水手段を設けたので、連通管16内に空気が入って低圧部25が形成されても、連通管16の一端を前記地下水位観測孔11又は前記水位表示管19から引き上げることなく、その低圧部25を水で置換して、正常にサイフォン原理が機能する状態にすることができる。
請求項8記載の発明によれば、
前記空気抜き及び注水手段は、前記上端屈曲部16bに低圧部25が生じたとき、この上端屈曲部16bの両側の連通管16に設けた2個の止水弁26と27と、これら2個の止水弁26と27の間に挿入され、前記2個の止水弁26と27にそれぞれ前記連通管16を結合する切換口29aと29bと、前記低圧部25が形成された前記上端屈曲部16bに注水管28を結合する切換口29cとを有する切換え弁23とからなるので、空気抜き及び注水手段を動力なしで操作することができる。
請求項9記載の発明によれば、
地下水位観測地点に穿設した地下水位観測孔11内の変動する地下水位の標高に対応した水位を、直接的に観測する水位表示管19を表示地点に設置する工程と、
前記地下水位観測孔11内の地下水中に上端開口した貯水管14を浸漬して設置する工程と、
前記貯水管14と前記水位表示管19の間を満水で連通するための一方端開口部16aと上端屈曲部16bと他方端開口部16dを有する連通管16を設置する工程とを具備し、
前記連通管16を設置する工程において、前記一方端開口部16aは、サイフォンブレーク防止のために前記貯水管14の水中に浸漬し、前記上端屈曲部16bは、前記地下水位観測孔11の上端を通り、前記他方端開口部16dは、前記水位表示管19の孔内水中に浸漬し、
前記貯水管14の上端開口に設けた水導入孔15の標高RWLを、地下水位の通常の変動範囲最上位の標高HWLより下方に設定し、前記HWLから前記RWLまでの区間は、少なくともサイフォン原理が機能する標高の区間とし、
前記水位表示管19は、上端を開口し、下端を密閉し、上端が前記HWLより高い標高に位置し、下端が前記RWLより低い標高に位置することが可能な長さを有し、前記他方端の開口部16dを前記RWLより低い標高となる位置に挿入したので、請求項1記載の発明の地下水位観測装置の設置を簡単かつ確実に実現できる。
請求項10記載の発明によれば、
前記連通管16を設置する工程に先立ち、前記連通管16の一方端から注水して管内を満水とし、この連通管16が満水の状態で前記一方端開口部16aを前記貯水管14の水中に浸漬し、前記他方端開口部16dを前記水位表示管19の水中に浸漬したので、サイフォン原理が機能する連通管16の設置を確実にすることができる。
請求項11記載の発明によれば、
前記連通管16を設置する工程に先立ち、この連通管16における前記上端屈曲部16bの両側に止水弁26と27をセットし、かつ、これらの止水弁26と27の間に切換え弁23をセットする工程を付加し、前記止水弁26と27を閉じて前記切換え弁23に結合された注水管28から注水して、前記上端屈曲部16bに形成された低圧部を水で置換するようにしたので、連通管16の一端を前記地下水位観測孔11又は前記水位表示管19から引き上げることなく、連通管16内の上端屈曲部16bに形成された低圧部25を解消することができる。
請求項12記載の発明によれば、
前述した請求項1記載の発明と同様の効果を有する。
請求項13記載の発明によれば、
前述した請求項2記載の発明と同様の効果を有する。
請求項14記載の発明によれば、
前述した請求項3記載の発明と同様の効果を有する。
請求項15記載の発明によれば、
前述した請求項4記載の発明と同様の効果を有する。
請求項16記載の発明によれば、
前述した請求項5記載の発明と同様の効果を有する。
請求項17記載の発明によれば、
前述した請求項6記載の発明の作用効果と同様の効果を有する。
請求項18記載の発明によれば、
前述した請求項7記載の発明と同様の効果を有する。
請求項19記載の発明によれば、
前述した請求項8記載の発明と同様の効果を有する。
本発明による地下水位の観測方法及びその装置の一実施例を示す説明図で、(a)は、水位表示管19を水平面に垂直に設置した例を示し、(b)は、水位表示管19を地表面10に沿って斜めに設置した例を示している。 (a)は、連通管16の上端屈曲部16bに空気抜き用切換え弁23を連結した側面図、(b)は、水位表示管19に浸漬した連通管16の他方端開口部16dに開閉弁24を設けた断面図である。 (a)は、止水弁26と27を開放して連通管16を連通し、地下水位を観測するために切換え弁23の切換え口29cを閉じる位置に切り換えて、連通管16の上端屈曲部16bに低圧部25が生じている状態の断面図、(b)は、連通管16の上端屈曲部16bに低圧部25ができたときに止水弁26と27を閉鎖して切換え弁23を切り換えて、切換え弁23の位置を上端屈曲部16bの標高よりも高くし低圧部25を切換え口29cの方向に移動させて空気抜き及び注水をしている状態の断面図である。 本発明の地下水位の観測方法及びその装置を実験した地下水位観測管12と水位表示管19の間の水位差の経過時間の特性曲線図で、実験日の平均気温:2.9〜9.9℃、水質:水道水の例である。 本発明の地下水位の観測方法及びその装置を実験した地下水位観測管12と水位表示管19の間の水位差が1cm以内に達するまでの時間の特性図で、実験日の平均気温:連通管16の長さ60mのとき:0.0〜8.9℃(室内のため凍結なし)、連通管16の長さ80mのとき:−1.3〜6.5℃(室内のため凍結なし)、いずれも水質:水道水の例である。 従来の超音波による水位計測の説明図である。 従来の浮部材による水位計測の説明図である。
本発明は、
地下水位観測地点に穿設した地下水位観測孔11と、
この地下水位観測孔11から離れた表示地点に設置され、前記地下水位観測孔11内の変動する地下水位の標高に一致して連動する水位を直接的に表示する水位表示管19と、
前記地下水位観測孔11内の地下水中に浸漬され、上端開口した貯水管14と、
前記貯水管14と前記水位表示管19の間を満水で連通するための一方端の開口部16aと上端屈曲部16bと他方端の開口部16dを有する連通管16とを具備し、
前記一方端の開口部16aは、サイフォンブレーク防止のために前記貯水管14の水中に浸漬し、前記上端屈曲部16bは、前記地下水位観測孔11の上端を通り、前記他方端の開口部16dは、前記水位表示管19の孔内水中に浸漬し、
前記貯水管14の上端開口に設けた水導入孔15の標高RWLを、地下水位の通常の変動範囲最上位の標高HWLより下方に設定し、前記HWLから前記RWLまでの区間は、少なくともサイフォン原理が機能する標高の区間とし、
前記水位表示管19は、上端を開口し、下端を密閉し、上端が前記HWLより高い標高に位置し、下端が前記RWLより低い標高に位置することが可能な長さを有し、前記他方端の開口部16dを前記RWLより低い標高となる位置に挿入したことを特徴とする地下水位観測装置である。
なお、地下水位観測孔11内の地下水位変動は、RWLを地下水位の通常の変動範囲LWLよりも下方に設定できる場合はHWLからLWLの範囲で、サイフォン原理の制約等でRWLをLWLよりも上方に設定する場合は、通常の地下水位変動範囲のうちHWLからRWLの範囲で、水位表示管19において目視で観測可能である。
前記地下水位観測孔11がすでに設けられているものを利用する場合には、その中に地下水出入り孔13を有する地下水位観測管12を挿入し、地下水の出入りを許容しながら孔壁を保護することが望ましい。
前記地下水位観測管12を利用したときは、その中に上端から前記貯水管14を吊紐17で吊り下げて設置する。
前記水位表示管19は、前記地下水位観測管12内の水位が通常変動する最も上位の標高HWLと下方の前記標高RWLの標高の範囲を包含する長さとする。
前記貯水管14は、上端を開口し、下端を閉鎖した管体からなるものであってもよいし、前記連通管16の一方端部側を上向きU字形に折り曲げた部分からなるものであってもよい。
前記水位表示管19は、その中心軸の設置角度を水平面に垂直に設置してもよく、または、その中心軸が傾斜地の地表面とほぼ平行になるよう、傾斜地に寝かせて傾斜して設置してもよい。
前記連通管16の上端屈曲部16bの近傍に、空気抜き及び注水手段を設けることが望ましく、具体的には、前記空気抜き及び注水手段は、前記上端屈曲部16bに低圧部25が生じたとき、この上端屈曲部16bの両側の連通管16に設けた2個の止水弁26と27と、これら2個の止水弁26と27の間に挿入され、前記2個の止水弁26と27にそれぞれ前記連通管16を結合する切換口29aと29bと、前記低圧部25が形成された前記上端屈曲部16bに注水管28を結合する切換口29cとを有する切換え弁23とからなるものとすることができる。
本発明の地下水位観測装置の設置方法は、
地下水位観測地点に穿設した地下水位観測孔11内の変動する地下水位の標高に対応した水位を、直接的に観測する水位表示管19を表示地点に設置する工程と、
前記地下水位観測孔11内に、地下水出入り孔13を有する地下水位観測管12を設置する工程と、
前記地下水位観測孔11内の地下水中に上端開口した貯水管14を浸漬して設置する工程と、
前記貯水管14と前記水位表示管19の間を満水で連通するための一方端の開口部16aと上端屈曲部16bと他方端の開口部16dを有する連通管16を設置する工程とを具備し、
前記連通管16を設置する工程において、前記一方端の開口部16aは、サイフォンブレーク防止のために前記貯水管14の水中に浸漬し、前記上端屈曲部16bは、前記地下水位観測孔11の上端を通り、前記他方端の開口部16dは、前記水位表示管19の孔内水中に浸漬し、
前記貯水管14の上端開口に設けた水導入孔15の標高RWLを、地下水位の通常の変動範囲最上位の標高HWLより下方に設定し、前記HWLから前記RWLまでの区間は、少なくともサイフォン原理が機能する標高の区間とし、
前記貯水管14は、その上端開口に設けた水導入孔15の標高を前記RWLとなるように設置し、
前記水位表示管19は、上端を開口し、下端を密閉し、上端が前記HWLより高い標高に位置し、下端が前記RWLより低い標高に位置することが可能な長さを有し、前記他方端の開口部16dを前記RWLより低い標高となる位置に挿入したことを特徴とする地下水位観測装置の設置方法である。
本発明の地下水位の観測方法は、
地下水位観測孔11内の地下水と、この地下水位観測孔11から離れた場所に設置した水位表示管19の孔内水との間を水で充満した連通管16で連通してサイフォンの原理で地下水位の変動を観測する方法であって、
前記連通管16の一方端開口部16aを、サイフォンブレーク防止のために前記地下水位観測孔11の地下水中に浸漬した上端開口の貯水管14内の水中に浸漬し、前記連通管16の上端屈曲部16bを、前記地下水位観測孔11の上端を通り、前記連通管16の他方端開口部16dを、前記水位表示管19の孔内水中に浸漬し、
前記貯水管14の上端開口に設けた水導入孔15の標高RWLを、地下水位の通常の変動範囲最上位の標高HWLより下方に設定し、前記HWLから前記RWLまでの区間は、少なくともサイフォン原理が機能する標高の区間とし、
前記水位表示管19は、上端を開口し、下端を密閉し、上端が前記HWLより高い標高に位置し、下端が前記RWLより低い標高に位置することが可能な長さを有し、前記他方端開口部16dが前記RWLより低い標高となる位置に挿入して地下水位を観測するようにした方法である。
前述の地下水位の観測方法において、
前記地下水位観測孔11内に、地下水出入り孔13を有する地下水位観測管12を挿入して地下水位を観測する。
前述の地下水位の観測方法において、
前記地下水位観測管12の中に上端から前記貯水管14を吊紐17で吊り下げて設置して地下水位を観測する。
前述の地下水位の観測方法において、
前記貯水管14は、上端を開口し、下端を閉鎖した管体からなり、前記上端開口に設けた水導入孔15より深部に前記連通管16の一方端開口部16aを浸漬して地下水位を観測する。
前述の地下水位の観測方法において、
前記貯水管14は、前記連通管16の一方端部側を上向きU字形に折り曲げた部分で代用し、この上向きU字形の上端部を開口して水導入孔15として機能せしめて地下水位を観測する。
前述の地下水位の観測方法において、
前記水位表示管19は、その中心軸の設置角度が水平面に垂直か傾斜しているかに拘わらず、前記HWLと下方の前記標高RWLの標高の範囲を包含する長さとして地下水位を観測する。
前述の地下水位の観測方法において、
前記連通管16の上端屈曲部16bの近傍に、空気抜き及び注水手段を設けて地下水位を観測する。
前述の地下水位の観測方法において、
前記空気抜き及び注水手段は、前記上端屈曲部16bに低圧部25が生じたとき、この上端屈曲部16bの両側の連通管16に設けた2個の止水弁26と27と、これら2個の止水弁26と27の間に挿入され、前記2個の止水弁26と27にそれぞれ前記連通管16を結合する切換口29aと29bと、前記低圧部25が形成された前記上端屈曲部16bに注水管28を結合する切換口29cを用いて地下水位を観測する。
以下、本発明の実施例1を図面に基づき説明する。
図1において、10は、崖崩れや地すべり等の斜面変動が発生する恐れのある範囲のうち、地下水位の標高を計測しようとする地点である。
この地表面10には、地質調査のために、通常直径66mmの既設の地下水位観測孔11が穿設されており、本発明では、この地下水位観測孔11を利用するもので、その内部には、直径(内径)40mm、長さ10m以上の地下水位観測管12が挿入されている。この地下水位観測管12の外壁部分には、地下水が流入、流出するように所定間隔で地下水出入り孔13が形成されている。
前記地下水位観測孔11と地下水位観測管12は、既設のものを利用する例を示しているが、新たに地下水位観測孔11をボーリングして地下水位観測管12を挿入設置してもよい。
なお、前記地下水位観測孔11の孔壁が自立して、安定している場合には、地下水位観測管12は設置しなくても良い。
また、前記地下水位観測管12の長さは、10m未満のものもあり、本発明では、直径(内径)、長さともに前記例に限られるものではない。
本発明の装置及び方法は、サイフォンの原理を利用して水位を観測するので、予め地下水位観測管12内の水位を長期間計測し、サイフォンの原理が機能する条件として、地下水位観測孔11の上端(正確には、連通管16の上端屈曲部16b)から前記地下水位観測管12内に設置する貯水管14の上端のRWL(後述する)までの高さが10m以内に水位がある地点が観測地として選択される。
本発明におけるサイフォンの原理(またはサイフォン原理と表記する。)とは、具体的には、連通管16によって満水で連通された地下水位観測管12(地下水水位面21がRWLより低下したときは貯水管14)内の水位の標高と水位表示管19の水位の標高が異なるときは、両者の水位の標高が同じになるまで、水面標高の高い方から低い方に連通管16を通って水が流れることをいう。またサイフォン原理が機能するとは、前記のサイフォン原理によって、地下水位観測管12(地下水水位面21がRWLより低下したときは貯水管14)内の水位の標高と水位表示管19の水位の標高が同じになることをいう。
またサイフォンブレークとは、連通管16の内部に空気が侵入して連通管16内の水が排出され、サイフォンの原理が機能しなくなることをいう。
前記貯水管14は、前記地下水位観測孔11(又は前記地下水位観測管12)の中に重り18を取り付けて吊紐17で吊り下げられる。この貯水管14は、上端部付近に水導入孔15を有し、外周部及び底部からは地下水が流出しない構造で、地下水位水位面21がこの貯水管14の上端の水導入孔15よりも低下するようなことがあっても、貯水管14の内部は水で満たされた状態が保たれるようになっている。
この水導入孔15は、その高さが一定位置(後述するRWL)になるように前記吊紐17で調整し固定的に保持する。この貯水管14の中に連通管16の一方端開口部16aが差し込まれ、この一方端開口部16aは、前記貯水管14に水導入孔15から導入されて貯水された地下水の中に常に浸漬している。この連通管16は、例えば、内径8mm、外径12mmで可撓性を有するが、連通管16内部を真空状態まで減圧しても閉塞しない強度を有する軟質管が用いられる。この連通管16の素材は軟質管に限られるものではなく、硬質管を用いてもよく、この場合には、折り曲げ部分をU字管やL字管で連結してもよい。
前記連通管16は、前記一方端開口部16aから上方に立ち上げ、前記地下水位観測管12の上端部で前記連通管16の上端屈曲部16bをU字形とし、この上端屈曲部16bから延長した中間引き回し部16cを地表面21に沿って設置して他方端開口部16dを後述する水位表示管19内に浸漬する。
前記水位表示管19は、上端側部に外気孔20を有し、下端を密閉した細長い管からなり、表示地点に鉛直又は傾斜して設置される。前記外気孔20の標高は、前記地下水位観測管12の上端の標高より低いが、後述のHWLより高い標高に設置され、また、前記水位表示管19下端部は、後述のRWLよりやや低い標高に設置する。
なお、前記外気孔20は、上端の側部に設けなくとも、表示管19が上端を開口した管体であればよい。上端を開口したものは、雨水が入らないように上部を傘等で覆うことが望ましいが、少量の雨水が入り、一時的に観測水位面22が上昇した場合でも、サイフォンの原理により、すぐに地下水位面21に収束する。
ここで、前記地下水位観測管12の長さ、地下水位観測管12内の貯水管14の位置、前記水位表示管19の長さ、設定位置等を決定する標高は、次のように設定される。
HWL:地下水位最上位標高。水位は季節、降雨等に伴って変動するので、前記地下水位観測孔11内の通常変動範囲の最も上位と考えられる地下水位標高を示すものとする。
LWL:地下水位最下位標高。水位は季節、降雨等に伴って変動するので、前記地下水位観測孔11内の通常変動範囲の最も下位と考えられる地下水位標高を示すものとする。
MWL:表示可能水位標高。前記HWLとLWLの間にある通常の水位標高を示し、水位表示管19で表示可能な水位を示すものとする。サイフォン原理の制約等によりRWL>LWLとする場合にはHWLとRWLの間に位置する。
DWL:水位表示管19の上端標高ないし外気孔20の開口している標高。地下水位がこのDWLを超えて上昇した場合には前記上端ないし外気孔20から排水される。
RWL:HWLより下方の、貯水管14の上端標高とする。この標高以下の水位は水位表示管19で表示できないため、既往の水位変動観測結果における変動の範囲や、既往の斜面変動発生時の水位等を勘案し、適切な高さとする。
TL:連通管16の最高標高。地下水位観測孔11の上端、正確には、前記DWLより高く、連通管16の標高が最高となる上端屈曲部16bの標高とする。前記地下水位観測孔11に地下水位観測管12が挿入されている場合には、通常この地下水位観測管12の上端より高い位置が前記連通管16の最高標高TLとなる。
H:サイフォンの原理が機能する標高差。前記貯水管14の上端部RWLから前記連通管16の最高標高TLまでの標高差を示し、本実施例では、サイフォンの原理が機能する限界(約10m)よりやや短い9mとした。
サイフォン原理が機能するように、連通管16の全体に水を充填し、一方端開口部16aと他方端開口部16dに水漏れがないように栓をする。
前記連通管16は、その上端屈曲部16bから中間引き回し部16cを60〜80m引き回す。一方端開口部16aは、水を張った貯水管14の水導入孔15に挿入して栓を外し、貯水管14を地下水位観測管12の中の所定の高さに吊り下げ設置する。他方端開口部16dは、表示地点に設けられ水を張った水位表示管19の底部の前記RWLよりやや低い位置まで挿入して栓を外す。
前記連通管16の中間引き回し部16cは、地表面10に沿わせて配置してもよいし、邪魔にならないように杭や木々に吊り下げてもよいが、内部の水の流動の抵抗とならないように直線的に順次下降して配置することが望ましい。
また、空気が内部に混入した場合、容易に外部から確認できるように、前記連通管16の材質は透明なものとする。
このようにして、サイフォン原理により前記地下水位観測孔11内の地下水水位面21の標高と前記水位表示管19内の水位観測面22が同一となる。もし、渇水期などに前記地下水位観測孔11内の水位標高が前記RWLより低くなるようなことがあっても、前記連通管16の他方端開口部16dが前記RWLよりやや低い位置に固定され、前記貯水管14が水で満たされているので、連通管16の内部には空気が侵入せずサイフォン原理が機能する状態が保持される。このとき前記地下水位表示管19の水位観測面22の標高は、前記貯水管14の内部の水面の標高と同じとなり、前記地下水位観測孔11の地下水位と同じではないが、再び前記RWLより上方まで地下水水位面21が戻ったときには、前記地下水位観測孔11内の地下水位面21の標高と同じとなり、地下水位の観測装置として機能する。
表示地点は、斜面周辺の住民が観測する場合には、道路脇、人家裏などの住民の日常の活動範囲に近接しておりアクセスが良く、いつでも観測できるような場所とすることが望ましい。前記水位表示管19は、透明なプラスチック管などからなり、上端部の側方に外気孔20を有するが、計測地の地表面10に50cm程度差し込み設置される。この水位表示管19は、全体が透明な管で、外側に目盛り19aを付けたものが望ましい。全体が透明でなく、外周に軸方向の観測窓だけ透明に形成したものであってもよい。観測水位面22を目視で確認し易くするために、水位表示管19内に色付きの浮子を挿入してもよい。また、前記水位表示管19が不透明な材質であるときは、内部の浮子に指針を取り付け、前記水位表示管19の上端部から突出させたり、指針を回転させたりして水位を表示するものであってもよい。
前記連通管16の内部に空気が侵入していたり、一方端の開口部16aや他方端の開口部16dから空気が侵入したりして、上端屈曲部16bに空気が溜まり低圧部25が形成されると、連通管16内の水が不連続となって、Hが9m程度でもサイフォン原理が機能しなくなり、地下水位観測孔11内の地下水水位面21と水位表示管19内の水位観測面22が同一でなくなる。この場合、低圧部25を水で置換するために、図3(a)に示すように、上端屈曲部16bの両側の連通管16に位置して止水弁26と27を取り付け、これら止水弁26と27の間に、3方に切換え口29a、29b、29cを有する切換え弁23が配置される。
正常の動作時には、図3(a)に示すように、止水弁26と27が開口して切換え口29aと29bが連通している。
この状態で、連通管16に空気が入り込むと、上端屈曲部16bの付近に低圧部25が形成され、サイフォン原理が機能しなくなるおそれがある。この上端屈曲部16bの付近の低圧部25を水で置換するため、図3(b)に示すように、止水弁26と27を閉じ、切換え弁23の弁体23aにより、切換え口29aと29cを連通させる。この状態で、切換え弁23の切換え口29cの位置を、上端屈曲部16bの低圧部25より上方に持ち上げると、低圧部25は、連通管16内を切換え弁23の方向に移動し、切換え口29cで外気と連通する。そして切換え口29cに結合した注水管28から水を注入すると、切換え口29c内の低圧部25は注入した水で置換され、連通管16内は水で充満する。このようにして、低圧部25が水で置換されたら、切換え弁23を図3(a)のように切換え、かつ、止水弁26と27を開放することで、元の正常な状態に戻る。低圧部25がなくなったら、前記切換え弁23の位置は、図3(a)のように戻してもよいし、図3(b)のままであってもよい。
前記実施例1では、水位表示管19における他方端開口部16dから連通管16の内部に空気が入らないようにするため、連通管16の他方端開口部16dを浸漬してから栓を外すようにしたが、図2(b)に示すように、前記連通管16の他方端開口部16dに設けた開閉弁24を閉じた状態で、前記水位表示管19の内部の観測水位面22の中に浸漬したら操作棒24aで開閉弁24を開くようにしてもよい。
図1(a)に示す実施例1では、貯水管14は、連通管16とは別体に構成して連通管16の一方端の開口部16aを差し込むようにした。しかし、これに限られるものではなく、図2(a)に示すように、連通管16の先端をU字管14aとし、このU字管14aの他方端を立ち上げて、立ち上げた部分を貯水管14として代用することができる。この貯水管14の上端部が水導入口15となり、この水導入口15の位置が前記RWLとなるようにして、重り18で位置決め固定する。
なお、前記連通管16として使用するチューブは、直径(内径)8mmとすると、この連通管16の先端をU字管14aとした場合、このU字管14a部分の最小曲げ半径は50mm必要である。そのため、前記水位観測管12が100mm以上の大径の場合のみ前記U字管14aを利用することが可能となる。また、連通管16の先端にU字管14aを介在して立ち上げた部分を貯水管14として機能させる場合、この貯水管14の断面積が小さすぎると、前記貯水管14内の水が蒸発したようなとき、前記貯水管14内の水位の低下によりサイフォンブレークが起こりやすくなるので、前記貯水管14の断面積は可能な限り大きくすることが望ましい。
前記水位表示管19は、図1(a)に示すように、その中心軸の設置角度を水平面に垂直に設置する場合に限られず、図1(b)に示すように傾斜した地表面10に、その中心軸が傾斜地の地表面とほぼ平行になるよう、寝かせて設置してもよく、この場合でも、前記水位表示管19の上端標高は前記HWLより上方、下端標高はRWLより下方とし、前記連通管16の挿入端部16dは、水位表示管19内で前記RWLよりやや下方に位置するように挿入する。
前記地下水位観測孔11は、1個所だけでなく、複数個所に設置し、それぞれの地下水位観測孔11にそれぞれの連通管16を介してそれぞれの水位表示管19を設けてそれぞれ独立した観測装置とすることにより観測の範囲を広げるようにすることが可能である。
以上のような構成において、貯水管14と連通管16と水位表示管19を水で充満して地下水位観測孔11内の地下水位を観測する。地下水位観測孔11内の地下水水位面21が上昇したり下降したりすると、サイフォンの原理により水位表示管19内の孔内水位が後述する実験結果からも明らかなように概ね30秒以内に追随し、地下水位観測孔11内の地下水水位面21と水位表示管19の観測水位面22が同一高さになった時点で水の移送が停止し、地下水位観測孔11内の地下水位と同じ高さを水位表示管19で表示する。この水位表示管19で地下水位を直接目視で確認することができる。
室内実験によって、模擬的に地下水位観測孔11内の地下水位を急激に変化させてから、水位表示管19内との地下水位との水位差が概ね0になるまでの経過時間を測定したところ、図4に示すように、次の通りであった。
No. 水位差(cm) 経路長L(m) 経過時間(秒)
A 43 60 28
B 40 60 23
C 38 60 18
D 16 60 13
また、同様の室内実験によって、地下水位観測孔11と水位表示管19の水位差の初期状態を40cmとして、連通管16の経路長を変化させて、水位差が1cm以内になるまでの経過時間を測定したところ、図5に示すように、次の通りであった。
E 経路長L=60mのとき、 5〜17秒
F 経路長L=80mのとき、 18〜35秒
経路長が長くなれば、経過時間が長くなるが、これは、連通管16の内径や配置時の屈曲の程度に影響を受ける、水の移送時の抵抗の違いによるものと考えられる。
本発明によれば、次の作用効果を有する。
(1)地下水位観測孔11内の地下水位を、道路や人家近くに設置した水位表示管19で直接表示することで、斜面周辺の住民が日常的に斜面内の地下水位を直感的に認識することができる。また、一般に、斜面からの湧水は、斜面内の地下水上昇を示し、崖崩れや地滑り等の斜面崩壊の兆候といわれているが、降雨時には地表にも流水がある場合が多く、斜面からの湧水の目視は困難である。しかし本発明では、水位表示管19で地表の流水に影響されることなく斜面内の地下水上昇を目視で確認することができる。
(2)装置が簡便であり、特別な機器やそれを駆動する動力、電力を必要とせず、地下水位観測孔11と水位表示管19との間がサイフォン原理の機能する同一標高の範囲内であれば、水位表示管19を任意の位置に設置して正確に孔内水位を表示することができる。また、水位表示管19の側面や周囲に着色やマーキングをすることにより、住民が通常の降雨時の水位条件を認識し、異常降雨時の斜面状態への注意を喚起する指標とすることができる。
(3)地下水位観測孔11内の地下水位がDWL以上になったときは、水位表示管19の上端側部の外気孔20又は上端開口から地下水がオーバーフローするので、斜面内の異常な地下水位の上昇や濁りの発生などの異常の状態を目視で観測可能となる。
(4)地下水位観測孔11内の地下水位がRWLとDWLの間を上下している間は、地下水位観測孔11と水位表示管19との間を水が流動して、水位表示管19内の観測水位面22は、地下水位観測孔11の地下水水位面21と同一標高に維持される。
(5)地下水位観測孔11内に貯水管14がない状態で、連通管16の一方端開口部16aまで水位が下がると、一方端開口部16aが大気に通じ、水位表示管19側の端部16dと地下水位観測孔11側の端部16aの双方から水が排出されてサイフォンの原理は機能しなくなる。これを防止するため、地下水位観測孔11内に貯水管14を設けて連通管16の一方端開口部16aをこの貯水管14内の水に挿入している。これにより地下水位がRWLより低下しても一方端開口部16aが大気に露出せず、サイフォンの原理が機能するので、地下水位観測孔11内の地下水位は、水導入孔15の位置に維持される。地下水位が復元し地下水位観測管孔11内の水位がRWLを超えて上昇すると、水位表示管19にて正常に観測水位面22を観測できる状態に回復する。なお、地下水位がRWLより低下したときの水位は、水位表示管19で正しく表示することができないが、変動範囲内の下方に地下水位が存在する状態については、通常は防災上問題になる可能性が低く、観測対象としての必要性は相対的に低い。
(6)水位表示管19の上端側部の外気孔20又は上端開口から地下水をオーバーフローさせて排出し、斜面の地下水位の上昇を防げることで、斜面崩壊や地すべりの誘因を抑制することができる。地下水位観測孔11と水位表示管19を複数組設置したり、連通管16の内径を太くしたり、DWLを低く(場合によってはHWL以下に)設定したりすることでこの効果を高めることもできる。
10…地表面、11…地下水位観測孔、12…地下水位観測管、13…地下水出入り孔、14…貯水管、15…水導入孔、16…連通管、16a…一方端開口部、16b…上端屈曲部、16c…中間引回し部、16d…他方端開口部、17…吊紐、18…重り、19…水位表示管、20…外気孔、21…地下水水位面、22…観測水位面、23…切換え弁、24…開閉弁、25…低圧部(Hが大きい場合真空度が高くなる)、26…止水弁、27…止水弁、28…注水管、29a、29b、29c…切換口、30…超音波、31…土中、32…反射波、33…地下水位面、34…検出器、36…超音波導波管、38…超音波トランスジューサ、40…杭、41…杭本体、42…頭部、43…柱状空間、44…キャップ、45…浮部材、47…侵入口、50…近接検知装置、51…近接検知器。

Claims (19)

  1. 地下水位観測地点に穿設した地下水位観測孔11と、
    この地下水位観測孔11から離れた観測地点に設置され、前記地下水位観測孔11内の変動する地下水位の標高に対応した水位を直接的に表示し、観測できる水位表示管19と、
    前記地下水位観測孔11内の地下水中に浸漬され、上端開口した貯水管14と、
    前記貯水管14と前記水位表示管19の間を満水で連通するための、一方端開口部16aと上端屈曲部16bと他方端開口部16dを有する連通管16とを具備し、
    前記一方端開口部16aは、サイフォンブレーク防止のために前記貯水管14の水中に浸漬し、前記上端屈曲部16bは、前記地下水位観測孔11の上端を通り、前記他方端開口部16dは、前記水位表示管19の孔内水中に浸漬し、
    前記貯水管14の上端開口に設けた水導入孔15の標高RWLを、地下水位の通常の変動範囲最上位の標高HWLより下方に設定し、前記HWLから前記RWLまでの区間は、少なくともサイフォン原理が機能する標高の区間とし、
    前記水位表示管19は、上端を開口し、下端を密閉し、上端が前記HWLより高い標高に位置し、下端が前記RWLより低い標高に位置することが可能な長さを有し、前記他方端開口部16dを前記RWLより低い標高となる位置に挿入したことを特徴とする地下水位観測装置。
  2. 前記地下水位観測孔11内に、地下水出入り孔13を有する地下水位観測管12を挿入したことを特徴とする請求項1記載の地下水位観測装置。
  3. 前記地下水位観測管12の中に上端から前記貯水管14を吊紐17で吊り下げて設置したことを特徴とする請求項2記載の地下水位観測装置。
  4. 前記貯水管14は、上端を開口して水導入孔15とし、下端を閉鎖した管体からなり、前記水導入孔15より深部に前記連通管16の一方端開口部16aを浸漬したことを特徴とする請求項1、2又は3記載の地下水位観測装置。
  5. 前記貯水管14は、前記連通管16の一方端部側を上向きU字形に折り曲げた部分で代用し、この上向きU字形の先端部を開口して水導入孔15として機能せしめたことを特徴とする請求項1、2又は3記載の地下水位観測装置。
  6. 前記水位表示管19は、その中心軸の設置角度が水平面に垂直か傾斜しているかに拘わらず、前記HWLと下方の前記標高RWLの標高の範囲を包含する長さとしたことを特徴とする請求項1記載の地下水位観測装置。
  7. 前記連通管16の上端屈曲部16bの近傍に、空気抜き及び注水手段を設けたことを特徴とする請求項1、2、3、4、5又は6記載の地下水位観測装置。
  8. 前記空気抜き及び注水手段は、前記上端屈曲部16bに低圧部25が生じたとき、この上端屈曲部16bの両側の連通管16に設けた2個の止水弁26と27と、これら2個の止水弁26と27の間に挿入され、前記2個の止水弁26と27にそれぞれ前記連通管16を結合する切換口29aと29bと、前記低圧部25が形成された前記上端屈曲部16bに注水管28を結合する切換口29cとを有する切換え弁23とからなることを特徴とする請求項7記載の地下水位観測装置。
  9. 地下水位観測地点に穿設した地下水位観測孔11内の変動する地下水位の標高に対応した水位を、直接的に観測する水位表示管19を表示地点に設置する工程と、
    前記地下水位観測孔11内の地下水中に上端開口した貯水管14を浸漬して設置する工程と、
    前記貯水管14と前記水位表示管19の間を満水で連通するための、一方端開口部16aと上端屈曲部16bと他方端開口部16dを有する連通管16を設置する工程とを具備し、
    前記連通管16を設置する工程において、前記一方端開口部16aは、サイフォンブレーク防止のために前記貯水管14の水中に浸漬し、前記上端屈曲部16bは、前記地下水位観測孔11の上端を通り、前記他方端開口部16dは、前記水位表示管19の孔内水中に浸漬し、
    前記貯水管14の上端開口に設けた水導入孔15の標高RWLを、地下水位の通常の変動範囲最上位の標高HWLより下方に設定し、前記HWLから前記RWLまでの区間は、少なくともサイフォン原理が機能する標高の区間とし、
    前記水位表示管19は、上端を開口し、下端を密閉し、上端が前記HWLより高い標高に位置し、下端が前記RWLより低い標高に位置することが可能な長さを有し、前記他方端開口部16dを前記RWLより低い標高となる位置に挿入したことを特徴とする地下水位観測装置の設置方法。
  10. 前記連通管16を設置する工程に先立ち、前記連通管16の一方端から注水して管内を満水とし、この連通管16が満水の状態で前記一方端開口部16aを前記貯水管14の水中に浸漬し、前記他方端開口部16dを前記水位表示管19の孔内水中に浸漬したことを特徴とする請求項9記載の地下水位観測装置の設置方法。
  11. 前記連通管16を設置する工程に先立ち、この連通管16における前記上端屈曲部16bの両側に止水弁26と27をセットし、かつ、これらの止水弁26と27の間に切換え弁23をセットする工程を付加し、前記止水弁26と27を閉じて前記切換え弁23に結合された注水管28から注水して、前記上端屈曲部16bに形成された低圧部25を水で置換するようにしたことを特徴とする請求項9又は10記載の地下水位観測装置の設置方法。
  12. 地下水位観測孔11内の地下水と、この地下水位観測孔11から離れた場所に設置した水位表示管19の孔内水との間を水で充満した連通管16で連通してサイフォンの原理で地下水位の変動を観測する方法であって、
    前記連通管16の一方端開口部16aを、サイフォンブレーク防止のために前記地下水位観測孔11の地下水中に浸漬した上端開口の貯水管14内の水中に浸漬し、前記連通管16の上端屈曲部16bを、前記地下水位観測孔11の上端を通し、前記連通管16の他方端開口部16dを、前記水位表示管19の孔内水中に浸漬し、
    前記貯水管14の上端開口に設けた水導入孔15の標高RWLを、地下水位の通常の変動範囲最上位の標高HWLより下方に設定し、前記HWLから前記RWLまでの区間は、少なくともサイフォン原理が機能する標高の区間とし、
    前記水位表示管19は、上端を開口し、下端を密閉し、上端が前記HWLより高い標高に位置し、下端が前記RWLより低い標高に位置することが可能な長さを有し、前記他方端開口部16dが前記RWLより低い標高となる位置に挿入して地下水位を観測するようにしたことを特徴とする地下水位の観測方法。
  13. 前記地下水位観測孔11内に、地下水出入り孔13を有する地下水位観測管12を挿入して地下水位を観測するようにしたことを特徴とする請求項12記載の地下水位の観測方法。
  14. 前記地下水位観測管12の中に上端から前記貯水管14を吊紐17で吊り下げて設置して地下水位を観測するようにしたことを特徴とする請求項13記載の地下水位の観測方法。
  15. 前記貯水管14は、上端を開口し、下端を閉鎖した管体からなり、前記上端に開口した水導入孔15より深部に前記連通管16の一方端開口部16aを浸漬して地下水位を観測するようにしたことを特徴とする請求項12、13又は14記載の地下水位の観測方法。
  16. 前記貯水管14は、前記連通管16の一方端部側を上向きU字形に折り曲げた部分で代用し、この上向きU字形の先端部を開口して水導入孔15として機能せしめて地下水位を観測することも可能にしたことを特徴とする請求項12、13又は14記載の地下水位の観測方法。
  17. 前記水位表示管19は、その中心軸の設置角度が水平面に垂直か傾斜しているかに拘わらず、前記HWLと下方の前記標高RWLの標高の範囲を包含する長さとして地下水位を観測するようにしたことを特徴とする請求項12記載の地下水位の観測方法。
  18. 前記連通管16の上端屈曲部16bの近傍に、空気抜き及び注水手段を設けて地下水位を観測するようにしたことを特徴とする請求項12、13、14、15、16又は17記載の地下水位の観測方法。
  19. 前記空気抜き及び注水手段は、前記上端屈曲部16bに低圧部25が生じたとき、この上端屈曲部16bの両側の連通管16に設けた2個の止水弁26と27と、これら2個の止水弁26と27の間に挿入され、前記2個の止水弁26と27にそれぞれ前記連通管16を結合する切換口29aと29bと、前記低圧部25が形成された前記上端屈曲部16bに注水管28を結合する切換口29cとを有する切換え弁23を用いて地下水位を観測するようにしたことを特徴とする請求項18記載の地下水位の観測方法。
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JP7450901B1 (ja) 2023-11-10 2024-03-18 浙江大学 地下水水位標高の測定方法、貯水量測定システム及び応用

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