JP2021147518A - オレフィン重合用触媒、遷移金属錯体およびオレフィン共重合体の製造方法 - Google Patents

オレフィン重合用触媒、遷移金属錯体およびオレフィン共重合体の製造方法 Download PDF

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周妍 李
春佳 齋藤
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春佳 齋藤
隆一 杉本
Ryuichi Sugimoto
隆一 杉本
健人 小松
Taketo Komatsu
健人 小松
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Abstract

【課題】高圧下のみならず比較的低い圧力の下でも高い活性でオレフィンと極性モノマーとを共重合可能とし、高い割合で極性モノマーを導入できるオレフィン重合用触媒を提供する。【解決手段】下記一般式(A)で表される遷移金属錯体を含む、オレフィン重合用触媒。[式(A)において、Mは、第10族遷移金属原子を表す。R1は、炭素数1〜20の炭化水素基等を表す。Lは、Mに配位した配位子を表す。Eは、ヘテロ原子を表す。Yは単結合、SO2等を表す。Zは、ヘテロ原子等を表す。R2は置換基を有していてもよいフェノキシフェニル基を表す。R3は特定の置換基を表す。R4〜R7は、水素原子、炭化水素基等を表す。]【選択図】なし

Description

本発明は、オレフィン重合用触媒、遷移金属錯体およびオレフィン共重合体の製造方法に関し、より詳細にはオレフィンと極性モノマーとの共重合に有用な、オレフィン重合用触媒、遷移金属錯体およびオレフィン共重合体の製造方法に関する。
ポリエチレン、ポリプロピレンなどのオレフィン重合体は、剛性、耐熱性、透明性などに優れた熱可塑性成形材料として広く利用されている。さらにオレフィン重合体は、比重が小さく、リサイクルしやすいなどの特徴を有するため、環境保護の面においても注目されており、より広範な用途への利用が望まれている。
オレフィン重合体について、用途に応じた物性の改良が研究されており、オレフィンに極性モノマーなどを共重合させることにより改質する方法も知られている。たとえば耐衝撃性、柔軟性、透明性、耐ストレスクラック性などが向上されたオレフィン共重合体として、エチレンと酢酸ビニルとの共重合体などが知られており、各種フィルムまたはシート、ラミネートなどに利用されている。またこのような極性モノマーの共重合量を多くすると、オレフィン・極性モノマー共重合体は、よりゴム性が強くなることも知られており、たとえばエチレンと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合ゴムなどが知られている。
オレフィンと極性モノマーとを共重合する方法としては、オレフィンと極性モノマーとを高温・高圧下にラジカル重合を行う方法が広く知られており、かかる方法で得られる共重合体は、多分岐構造を有している。
一方、線状のオレフィン・極性モノマー共重合体を得る方法として、たとえば特許文献1、2には、ニッケル、パラジウム等の遷移金属を含むホスフィン−フェノラート錯体またはホスフィン−スルホナート錯体を触媒として用いたエチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体の製造方法が開示されている。
国際公開第2015/115378号 特開2012−201657号公報
しかしながら、特許文献1、2に具体的に開示された金属錯体を触媒として用いてオレフィンと極性モノマーとを共重合しようとすると、ある程度高い圧力の下で共重合を行う必要であり、重合圧力が低いと高い活性で共重合を行うこと、高い割合で極性モノマーを導入することが困難であった。
このような従来技術における問題点に鑑み、本発明は、高圧下のみならず比較的低い圧力の下でも高い活性でオレフィンと極性モノマーとを共重合可能とし、高い割合で極性モノマーを導入することができるオレフィン重合用触媒、このようなオレフィン重合用触媒に使用することのできる遷移金属錯体、および高圧下のみならず比較的低い圧力の下でも高い活性でオレフィンと極性モノマーとを共重合することができ、高い割合で極性モノマーを導入することができるオレフィン共重合体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意研究したところ、特許文献1、2などに記載された金属錯体において、リン原子に結合する置換基を適切に選択することによって上記課題を解決できることを見い出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下の[1]〜[25]に関する。
[1]
下記一般式(A)で表される遷移金属錯体を含む、オレフィン重合用触媒。
Figure 2021147518
[式(A)において、Mは周期律表第10族遷移金属原子を表す。
1は水素原子、もしくはハロゲン原子、またはヘテロ原子を含有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基を表す。
LはMに配位した配位子を表す。
Eはヘテロ原子を表す。
Yは単結合、SO2、COまたは
Figure 2021147518
[ただし、2つのR8は、それぞれ独立に、水素原子、またはヘテロ原子を含有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基を表し、*−および−*は、結合手を表す。]
で表される基を表す。
Zはヘテロ原子または
Figure 2021147518
[ただし、Z´はヘテロ原子を表し、R9は水素原子またはヘテロ原子を含有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基を表し、*−および−*は、結合手を表す。]
で表される基を表す。
2は下記式で表される置換基を表す。
Figure 2021147518
[式中、R10〜R14は、それぞれ独立に、水素原子、脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよいフェノキシ基、またはアルコキシ基を表し、R10〜R14のうち少なくとも1つは、置換基を有していてもよいフェノキシ基を表し、*−は結合手を表す。]
3は、下記式(B)で表される置換基を表し、R2と同一ではない。
Figure 2021147518
[式(B)において、pは0〜3の整数、qは0〜3の整数、rは0〜3の整数であり、0≦p+q+r≦5であり、1≦q+r≦3であり、
Qは単結合または炭素数1〜4の2価の炭化水素基を表し、
Rはハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基を表し、Rは複数個存在する場合には互いに同一であっても異なっていてもよく、
*−は結合手を表す。]
4〜R7は、それぞれ独立に、水素原子、もしくはハロゲン原子、またはヘテロ原子を含有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基を表す。
1〜R9から選択される複数の基は互いに連結して環を形成していてもよく、環を形成していなくてもよい。
LとR1とは互いに連結して環を形成していてもよい。]
[2]
前記R11、R12およびR13が水素原子である前記[1]のオレフィン重合用触媒。
[3]
前記R3が下記式(B1)〜(B6)のいずれかで表される置換基である前記[1]または[2]のオレフィン重合用触媒。
Figure 2021147518
[4]
前記R3が2,4,6−トリメトキシフェニル基である前記[3]のオレフィン重合用触媒。
[5]
前記Mがニッケル原子またはパラジウム原子である前記[1]〜[4]のいずれかのオレフィン重合用触媒。
[6]
前記Eがリン原子である前記[1]〜[5]のいずれかのオレフィン重合用触媒。
[7]
前記Zが酸素原子または硫黄原子である前記[1]〜[6]のいずれかのオレフィン重合用触媒。
[8]
さらに、トリアルキルアルミニウムまたはボランもしくはボラン誘導体を含む前記[1]〜[7]のいずれかのオレフィン重合用触媒。
[9]
前記トリアルキルアルミニウムを含有し、前記トリアルキルアルミニウムがトリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムおよびトリn−オクチルアルミニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種である、前記[8]のオレフィン重合用触媒。
[10]
前記ボランもしくはボラン誘導体を含有し、前記ボランもしくはボラン誘導体がボラン、ジボラン、ハロゲン化ボランおよびトリアリールボランからなる群から選ばれる少なくとも1種である、前記[8]のオレフィン重合用触媒。
[11]
前記トリアリールボランを含有し、前記トリアリールボランがトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランである、前記[10]のオレフィン重合用触媒。
[12]
下記一般式(A´)で表される化合物と、前記化合物と反応して錯体を形成可能な周期律表第10族遷移金属原子Mの錯体(D)と、溶媒とを混合し、次いで任意に、前記遷移金属原子Mに配位可能な配位子Lを混合して得られるオレフィン重合用触媒溶液。
Figure 2021147518
[式(A´)において、Eはヘテロ原子を表す。
Yは単結合、SO2、COまたは
Figure 2021147518
[ただし、2つのR8は、それぞれ独立に、水素原子、またはヘテロ原子を含有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基を表し、*−および−*は、結合手を表す。]で表される基を表す。
Zはヘテロ原子または
Figure 2021147518
[ただし、Z´はヘテロ原子を表し、R9は水素原子、またはヘテロ原子を含有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基を表し、*−および−*は、結合手を表す。]
で表される基を表す。
2は下記式で表される置換基を表す。
Figure 2021147518
[式中、R10〜R14は、それぞれ独立に、水素原子、脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよいフェノキシ基、またはアルコキシ基を表し、R10〜R14のうち少なくとも1つは、置換基を有していてもよいフェノキシ基を表し、*−は結合手を表す。]
3は、下記式(B)で表される置換基を表し、R2と同一ではない。
Figure 2021147518
[式(B)において、pは0〜3の整数、qは0〜3の整数、rは0〜3の整数であり、0≦p+q+r≦5であり、1≦q+r≦3であり、
Qは単結合または炭素数1〜4の2価の炭化水素基を表し、
Rはハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基を表し、Rは複数個存在する場合には互いに同一であっても異なっていてもよく、
*−は結合手を表す。]
4〜R7は、それぞれ独立に、水素原子、もしくはハロゲン原子、またはヘテロ原子を含有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基を表す。
2〜R9から選択される複数の基は互いに連結して環を形成していてもよい。
Wは、脱離基を表し、wは、Wの原子価を表す。]
[13]
下記一般式(A)で表される遷移金属錯体。
Figure 2021147518
[式(A)において、Mは周期律表第10族遷移金属原子を表す。
1は水素原子、もしくはハロゲン原子、またはヘテロ原子を含有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基を表す。
LはMに配位した配位子を表す。
Eはヘテロ原子を表す。
Yは単結合、SO2、COまたは
Figure 2021147518
[ただし、2つのR8は、それぞれ独立に、水素原子、またはヘテロ原子を含有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基を表し、*−および−*は、結合手を表す。]
で表される基を表す。
Zはヘテロ原子または
Figure 2021147518
[ただし、Z´はヘテロ原子を表し、R9は水素原子、またはヘテロ原子を含有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基を表し、*−および−*は、結合手を表す。]
で表される基を表す。
2は下記式で表される置換基を表す。
Figure 2021147518
[式中、R10〜R14は、それぞれ独立に、水素原子、脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよいフェノキシ基、またはアルコキシ基を表し、R10〜R14のうち少なくとも1つは、置換基を有していてもよいフェノキシ基を表し、*−は結合手を表す。]
3は、下記式(B)で表される置換基を表し、R2と同一ではない。
Figure 2021147518
[式(B)において、pは0〜3の整数、qは0〜3の整数、rは0〜3の整数であり、0≦p+q+r≦5であり、1≦q+r≦3であり、
Qは単結合または炭素数1〜4の2価の炭化水素基を表し、
Rはハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基を表し、Rは複数個存在する場合には互いに同一であっても異なっていてもよく、*−は結合手を表す。]
4〜R7は、それぞれ独立に、水素原子、もしくはハロゲン原子、またはヘテロ原子を含有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基を表す。
1〜R9から選択される複数の基は互いに連結して環を形成していてもよく、環を形成していなくてもよい。
LとR1とは互いに連結して環を形成していてもよい。]
[14]
前記R11、R12およびR13が水素原子である前記[13]の遷移金属錯体。
[15]
前記R3が下記式(B1)〜(B6)のいずれかで表される置換基である前記[13]または[14]の遷移金属錯体。
Figure 2021147518
[16]
前記R3が2,4,6−トリメトキシフェニル基である前記[15]の遷移金属錯体。
[17]
前記Mがニッケル原子またはパラジウム原子である前記[13]〜[16]のいずれかの遷移金属錯体。
[18]
前記Eがリン原子である前記[13]〜[17]のいずれかの遷移金属錯体。
[19]
前記Zが酸素原子または硫黄原子である前記[13]〜[18]のいずれかの遷移金属錯体。
[20]
前記[1]〜[11]のいずれかのオレフィン重合用触媒または前記[12]のオレフィン重合用触媒溶液の存在下でオレフィンと極性モノマーとを共重合する、オレフィン共重合体の製造方法。
[21]
前記オレフィンが、エチレン、炭素数3〜30のα−オレフィン、および炭素数3〜30の環状オレフィンからなる群から選ばれる少なくとも1種である、前記[20]のオレフィン共重合体の製造方法。
[22]
前記オレフィンが、エチレン、プロピレン、ノルボルネンおよびテトラシクロドデセンからなる群から選ばれる少なくとも1種である、前記[21]のオレフィン共重合体の製造方法。
[23]
前記極性モノマーが、水酸基、カルボキシ基またはエステル基を有するビニルモノマーである、前記[20]〜[22]のいずれかのオレフィン共重合体の製造方法。
[24]
前記極性モノマーが、アクリル酸、メタクリル酸ならびに炭素数1〜20のアルキル基を有するメタクリル酸アルキル、アクリル酸アルキル、メタクリル酸ヒドロキシアルキル、メタクリル酸エポキシアルキル、ウンデセン酸アルキル、ビニルトリアルキルオキシシランおよびメチルノルボルナンカルボン酸アルキルからなる群から選ばれる少なくとも1種である、前記[20]〜[22]のいずれかのオレフィン共重合体の製造方法。
[25]
前記極性モノマーが、メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル、アクリル酸t-ブチル、メタクリル酸ヒドロキシメチル、メタクリル酸グリシジル、ウンデセン酸メチル、ビニルトリメトキシシラン、メチルノルボルナンカルボン酸メチルから選ばれる少なくとも1種である、前記[24]のオレフィン共重合体の製造方法。
本発明によれば、高圧下のみならず比較的低い圧力の下でも高い活性で、高い割合で極性モノマーが導入されたオレフィン・極性モノマー共重合体を製造することができる。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
[遷移金属錯体]
本発明に係る遷移金属錯体は、下記一般式(A)で表されることを特徴としている。
Figure 2021147518
なお、一般式(A)においては、共有結合および配位結合を特に区別することなく実線で表す。
《M、R 1 、L》
上記一般式(A)において、Mは、周期律表第10族遷移金属原子であり、好ましくはニッケル原子またはパラジウム原子である。
上記一般式(A)において、R1は、水素原子、もしくはハロゲン原子、またはヘテロ原子を含有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基である。
前記ハロゲン原子としては、たとえばフッ素原子、塩素原子、臭素原子が挙げられ、前記ヘテロ原子を含有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基としては、たとえばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ベンジル基、フェニル基、p−メチルフェニル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリフェニルシリル基が挙げられる。
上記一般式(A)において、Lは、Mに配位した配位子を表す。
Lとしては、たとえば配位結合可能な原子として、酸素、窒素または硫黄を有する炭素数1〜20の炭化水素化合物、およびMに配位可能な炭素−炭素不飽和結合を有する、ヘテロ原子を含有していてもよい炭化水素化合物が挙げられる。
Lの炭素数は、好ましくは1〜16、より好ましくは1〜10である。
Lとしては、好ましくはピリジン類、ピペリジン類、アルキルエーテル類、アリールエーテル類、アルキルアリールエーテル類、環状エーテル類、アルキルニトリル誘導体、アリールニトリル誘導体、アルコール類、アミド類、脂肪族エステル類、芳香族エステル類、アミン類および環状不飽和炭化水素類が挙げられ、より好ましくはピリジン類、環状エーテル類、脂肪族エステル類、芳香族エステル類および環状オレフィン類が挙げられ、さらに好ましくはピリジン、ルチジン(ジメチルピリジン)、ピコリン(メチルピリジン)が挙げられる。
また、R1とLとが互いに結合して、M、R1およびLから構成される環を形成してもよい。R1およびLの好ましい態様としては、R1とLとが互いに結合した、シクロペンテニル基、シクロへキセニル基、シクロヘキセジエニル基、シクロオクテニル基等のシクロアルケニル基が挙げられ、これらの中でも4−シクロオクテン−1−イル基等のシクロオクテニル基がより好ましい。
《E、Y、Z》
上記一般式(A)において、Eはヘテロ原子であり、通常は周期律表第15族元素の原子であり、好ましくは窒素原子、リン原子、ヒ素原子またはアンチモン原子であり、より好ましくは窒素原子またはリン原子であり、さらに好ましくはリン原子である。
上記一般式(A)において、Yは単結合、SO2、COまたは
Figure 2021147518
[ただし、2つのR8は、それぞれ独立に、水素原子、またはヘテロ原子を含有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基を表し、*−および−*は、結合手を表す。]
で表される基を表す。
ヘテロ原子を含有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基の例としては、R1としてのヘテロ原子を含有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基の例として挙げたものが挙げられる。2つのR8は、互いに結合して環を形成していてもよく、環を形成していなくてもよい。
Yが単結合を表す場合、上記一般式(A)で表される化合物は、下記一般式(A−1)で表される。
Figure 2021147518
Yが単結合以外の態様である場合、上記一般式(A)で表される化合物は、下記一般式(A−2)で表される。
Figure 2021147518
上記一般式(A−2)においてY´は、SO2、COまたは前記
Figure 2021147518
で表される基であり、好ましくはSO2である。
上記一般式(A)において、Zはヘテロ原子または
Figure 2021147518
[ただし、Z´はヘテロ原子を表し、R9は水素原子またはヘテロ原子を含有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基を表し、*−および−*は、結合手を表す。]で表される基を表す。
Zとしてのヘテロ原子は、通常は周期律表第16族元素の原子であり、好ましくは酸素原子または硫黄原子であり、より好ましくは酸素原子である。
ヘテロ原子を含有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基の例としては、R1としてのヘテロ原子を含有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基の例として挙げたものが挙げられる。
Z´としてのヘテロ原子は、通常は周期律表第15族元素の原子であり、好ましくは窒素原子またはリン原子であり、より好ましくは窒素原子である。
《R 2 、R 3
上記一般式(A)において、R2は、下記式で表される置換基を表す。
Figure 2021147518
[式中、R10〜R14は、それぞれ独立に、水素原子、脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよいフェノキシ基、またはアルコキシ基を表し、R10〜R14のうち少なくとも1つは、置換基を有していてもよいフェノキシ基を表し、*−は結合手を表す。]
好ましくは、R11、R12およびR13はすべて水素原子である。
また、好ましくは、R10およびR14の少なくとも一方は置換基を有していてもよいフェノキシ基であり、より好ましくは、R10およびR14の一方のみが置換基を有していてもよいフェノキシ基である。
置換基を有していてもよいフェノキシ基は、(無置換の)フェノキシ基、または置換基を有するフェノキシ基である。
置換基を有するフェノキシ基は、(無置換の)フェノキシ基の水素原子の一部または全部がハロゲン原子または置換基により置換された基である。前記ハロゲン原子の例としてフッ素、塩素、臭素およびヨウ素が挙げられ、前記置換基の例としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ビニル基、アリル基などの炭素数1〜4の炭化水素基が挙げられる。置換基を有するフェノキシ基の具体例としては、フルオロフェノキシ基、クロロフェノキシ基、パーフルオロフェノキシ基、パークロロフェノキシ基、メチルフェノキシ基、ジメチルフェノキシ基、トリメチルフェノキシ基、メトキシフェニル基、ジメトキシフェニル基、が挙げられる。
10〜R14としての脂肪族炭化水素基の炭素数は、例えば1〜20であり、好ましくは1〜15であり、より好ましくは1〜10である。なお、2級以上の脂肪族炭化水素基の炭素数の下限値は3である。
脂肪族炭化水素基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよい。また、脂肪族炭化水素基は、飽和炭化水素基、不飽和炭化水素基のいずれであってもよい。
脂肪族炭化水素基のうち2級以上の脂肪族炭化水素基の具体例としては、イソプロピル基、1,1−ジメチルプロピル基、1,1−ジエチルプロピル基、1−エチル−1−メチルプロピル基、1,1,2,2−テトラメチルプロピル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、1,1−ジメチルブチル基、1,1,3−トリメチルブチル基などのアルキル基;
エテニル基(ビニル基)、プロパ−1−エン−1−イル基、プロパ−2−エン−1−イル基、プロパ−1−エン−2−イル基、ブタ−1−エン−1−イル基、ブタ−2−エン−1−イル基、ブタ−3−エン−1−イル基、ブタ−1−エン−2−イル基、ブタ−3−エン−2−イル基、ペンタ−1−エン−1−イル基、ペンタ−2−エン−1−イル基、ペンタ−3−エン−1−イル基、ペンタ−4−エン−1−イル基、ペンタ−1−エン−2−イル基、ペンタ−4−エン−2−イル基、3−メチルブタ−1−エン−1−イル基、3−メチルブタ−2−エン−1−イル基、3−メチルブタ−3−エン−1−イル基、ヘキサ−1−エン−1−イル基、ヘキサ−5−エン−1−イル基又は4−メチルペンタ−3−エン−1−イル基などのアルケニル基;が挙げられる。これらの中でも、イソプロピル基、エテニル基、プロパ−2−エン−1−イル基、ブタ−2−エン−1−イル基、3−メチルブタ−3−エン−1−イル基が好ましく、イソプロピル基、エテニル基、プロパ−2−エン−1−イル基、ブタ−2−エン−1−イル基がより好ましい。
脂肪族炭化水素基の1級の脂肪族炭化水素基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、2−メチルプロピル基、2,2−ジメチルプロピル基、ネオペンチル基などのアルキル基;
ビニル基、アリル基、などのアルケニル基;
が挙げられる。
2の具体例としては、2−フェノキシフェニル基、2,6−ジフェノキシフェニル基、2,4,6−トリフェノキシフェニル基、2−フェノキシ−6−メトキシフェニル基などを挙げることができる。これらの中でも、2−フェノキシフェニル基、2,6−ジフェノキシフェニル基が好ましく、2−フェノキシフェニル基がより好ましい。
上記一般式(A)において、R3は下記式(B)で表される置換基を表す。ただし、R3はR2と同一ではない。
Figure 2021147518
式(B)において、pは0〜3の整数、qは0〜3の整数、rは0〜3の整数であり、0≦p+q+r≦5であり、1≦q+r≦3であり、Qは単結合または炭素数1〜4の2価の炭化水素基を表し、Rはハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基を表し、Rは複数個存在する場合には互いに同一であっても異なっていてもよく、*−は結合手(Eへの結合)を表す。
Qは単結合または炭素数1〜4の2価の炭化水素基を表し、炭素数1〜4の2価の炭化水素基としては、たとえばメチレン基、エチレン基、エチリデン基、トリメチレン基、プロピリデン基、イソプロピリデン基およびテトラメチレン基が挙げられ、好ましくはメチレン基が挙げられる。Qとしては、単結合が好ましい。
Rはハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜20、好ましくは1〜15、より好ましくは1〜8の炭化水素基を表し、Rは複数個存在する場合には互いに同一であっても異なっていてもよい。
Rの具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、シクロオクチル基などのアルキル基;
ビニル基、アリル基などのアルケニル基;
フェニル基、トリル基、ベンジル基などのアリール基などの炭化水素基、ならびに
これらの炭化水素基の水素原子の一部または全部がハロゲン原子(好ましくはフッ素原子)に置き換えられた基(ただし、水素原子の全部がハロゲン原子に置き換えられた基も炭化水素基と称するものとする。)、たとえばフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、ペンタフルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、フルオロフェニル基、ジフルオロフェニル基、トリフルオロフェニル基、テトラフルオロフェニル基およびペンタフルオロフェニル基が挙げられる。
3は、好ましくは下記式(B1)〜(B6)のいずれかで表される。
Figure 2021147518
3の具体例としては、2,6−ジメトキシフェニル基、2,4,6−トリメトキシフェニル基、4−メチル−2,6−ジメトキシフェニル基、4−t−ブチル−2,6−ジメトキシフェニル基、2,6−ジエトキシフェニル基、2,4,6−トリエトキシフェニル基、4−メチル−2,6−ジエトキシフェニル基、4−t−ブチル−2,6−ジエトキシフェニル基、2,6−ジプロポキシフェニル基、2,4,6−トリプロポキシフェニル基、4−メチル−2,6−ジプロポキシフェニル基、4−t−ブチル−2,6−ジプロポキシフェニル基、2,6−ジイソプロポキシフェニル基、2,4,6−トリイソプロポキシフェニル基、4−メチル−2,6−ジイソプロポキシフェニル基、4−t−ブチル−2,6−ジイソプロポキシフェニル基;
2,6−ビス(ジメチルアミノ)フェニル基、2,4,6−トリス(ジメチルアミノ)フェニル基、4−メチル−2,6−ビス(ジメチルアミノ)フェニル基、4−t−ブチル−2,6−ビス(ジメチルアミノ)フェニル基、2,6−ビス(ジエチルアミノ)フェニル基、2,4,6−トリス(ジエチルアミノ)フェニル基、4−メチル−2,6−ビス(ジエチルアミノ)フェニル基、4−t−ブチル−2,6−ビス(ジエチルアミノ)フェニル基、2,6−ビス(ジプロピルアミノ)フェニル基、2,4,6−トリス(ジプロピルアミノ)フェニル基、4−メチル−2,6−ビス(ジプロピルアミノ)フェニル基、4−t−ブチル−2,6−ビス(ジプロピルアミノ)フェニル基、2,6−ビス(ジイソプロピルアミノ)フェニル基、2,4,6−トリス(ジイソプロピルアミノ)フェニル基、4−メチル−2,6−ビス(ジイソプロピルアミノ)フェニル基、4−t−ブチル−2,6−ビス(ジイソプロピルアミノ)フェニル基などを挙げることができる。これらの中でも2,6−ジメトキシフェニル基および2,4,6−トリメトキシフェニル基が好ましく、2,4,6−トリメトキシフェニル基がより好ましい。
2として上記置換基を有し、かつR3として上記一般式(B)で表される置換基を有する本発明の遷移金属錯体を触媒として用いると、高圧下のみならず比較的低い圧力の下でも、高い活性で、高い割合で極性モノマーが導入されたオレフィン・極性モノマー共重合体を製造することができる。その理由として、電子供与性の向上により原子E上の電子密度が変化することで、極性モノマーに対する耐性が向上すること、また、置換基の立体的効果により極性モノマーが錯体の金属に配位し易くなることが寄与していると推測される。
一方、R2およびR3がいずれも上記一般式(B)で表される置換基(たとえば、2,6ジメトキシフェニル基)である遷移金属錯体を使用すると、重合圧力が低い場合に、重合活性が十分に発現しない。
2およびR3は、互いに結合して環を形成していていもよく、環を形成していなくてもよい。
《R 4 〜R 7
上記一般式(A)において、R4〜R7は、それぞれ独立に、水素原子、もしくはハロゲン原子、またはヘテロ原子を含有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基を表す。
前記ハロゲン原子としては、たとえばフッ素原子、塩素原子、臭素原子が挙げられる。
前記ヘテロ原子を含有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基の炭素数は、好ましくは1〜20、より好ましくは1〜10である。
前記ヘテロ原子を含有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基としては、たとえばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ベンジル基、フェニル基、p−メチルフェニル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリフェニルシリル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ペンタフルオロフェニル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基およびフェノキシ基が挙げられ、好ましくはトリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリフェニルシリル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基およびフェノキシ基が挙げられ、より好ましくはトリメチルシリル基、トリエチルシリル基およびトリフェニルシリル基が挙げられる。
4〜R7は、互いに結合して環を形成していていもよく、環を形成していなくてもよい。
より高い重合活性を得る観点からは、R4〜R7がすべて水素原子であることが好ましい。
より高い割合で極性モノマーを導入する観点からは、R4〜R6がすべて水素原子であり、かつR7がトリメチルシリル基、トリエチルシリル基またはトリフェニルシリル基(好ましくはトリメチルシリル基)であることが好ましい。
(遷移金属錯体の製造方法等)
本発明に係る遷移金属錯体は、たとえば下記一般式(A´)で表される化合物と、周期律表第10族遷移金属の錯体(D)と、任意に前記L(一般式(A)におけるMに配位する配位子)とを接触させる方法により、製造することができる。また、本発明に係るオレフィン重合用触媒溶液は、下記一般式(A´)で表される化合物と、周期律表第10族遷移金属の錯体(D)と、溶媒とを混合し、次いで任意に前記L(一般式(A)におけるMに配位する配位子)とを混合する方法により、製造される。
Figure 2021147518
[式(A´)において、E、Y、ZおよびR2〜R7は、それぞれ式(A)に記載されたE、Y、ZおよびR2〜R7と同義である。
Wは、脱離基を表し、wはWの価数(原子価)を表す。]
前記脱離基としては、たとえば水素原子、アルカリ金属(たとえばリチウム、ナトリウム、カリウム)原子(イオン)が挙げられる。
錯体(D)は、一般式(A´)で表される化合物と反応して錯体を形成可能な化合物であり、たとえばビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0)、一般式:MR1 22で表される錯体(ただし、M、R1およびLは、式(A)および(B)に記載されたM、R1およびLと同義である。)、ジメチル(テトラメチルエチレンジアミン)パラジウム(II)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、トリス(ジベンジリデンアセトン)(クロロホルム)ジパラジウム(0)、(テトラメチルエチレンジアミン)ニッケル(o−トリル)クロライドが挙げられる。
錯体(D)の中に前記配位子Lに対応する構造が含まれない場合には、遷移金属錯体の原料として前記配位子Lがさらに用いられ、好ましくは、まず上記一般式(A´)で表される化合物と、周期律表第10族遷移金属の錯体(D)とを接触させ、次いで得られた接触生成物と前記配位子Lとを接触させる。
本発明に係る遷移金属錯体の製造方法においては、周期律表第10族遷移金属の錯体(D)と接触させる化合物として上記一般式(A´)で表される化合物を使用することを除いて、従来公知のニッケル、パラジウム等の遷移金属を含むホスフィン−フェノラート錯体またはホスフィン−スルホナート錯体の製造方法、製造条件等を適宜採用することができる。本発明に係るオレフィン重合用触媒溶液の製造方法においても、上記一般式(A´)で表される化合物を使用することを除いて、従来公知のニッケル、パラジウム等の遷移金属を含むホスフィン−フェノラート錯体またはホスフィン−スルホナート錯体を含む触媒溶液の製造方法、製造条件等を適宜採用することができる。
[オレフィン重合用触媒等]
本発明に係るオレフィン重合用触媒は、本発明に係る遷移金属錯体を含有してなることを特徴としている。また、本発明に係るオレフィン重合用触媒溶液は、本発明に係るオレフィン重合用触媒溶液の製造方法により製造されることを特徴としている。
本発明に係るオレフィン重合用触媒、および本発明に係るオレフィン重合用触媒溶液は、それぞれ、さらに助触媒を含有していてもよい。前記助触媒としては、好ましくはトリアルキルアルミニウム、およびボランもしくはボラン誘導体が挙げられる。
前記トリアルキルアルミニウムとしては、好ましくは炭素数1〜20のアルキル基を有するトリアルキルアルミニウムが挙げられ、より好ましくはトリエチルアルミニウム、トリ−n−ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−n−ヘキシルアルミニウム、トリ−n−オクチルアルミニウムおよびトリ−n−デシルアルミニウムが挙げられ、さらに好ましくはトリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムおよびトリn−オクチルアルミニウムが挙げられる。
前記トリアルキルアルミニウムは、上述した本発明に係る遷移金属錯体(または本発明に係るオレフィン重合用触媒溶液に含まれる遷移金属錯体)1モルに対して、好ましくは0.1〜1,000モル、より好ましくは0.1〜200モルの割合で用いられる。
〈ボランもしくはボラン誘導体〉
ボランもしくはボラン誘導体としては、ボラン(BH3)、ジボラン、ハロゲン化ボラン、ボラン(BH3)のアルキルまたはアリール誘導体が挙げられる。
ボラン(BH3)のアルキルまたはアリール誘導体としては、好ましくは一般式:BX123で表されるホウ素化合物(C)から選ばれる1種以上のホウ素化合物が挙げられる。
前記一般式において、Bは3価の原子価状態のホウ素原子を表し、X1、X2およびX3は、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、ハロゲン原子で置換されていてもよい、炭素原子数1〜20のヒドロカルビル基、炭素原子数1〜20のヒドロカルビルシリル基、炭素原子数1〜20のアルコキシ基または炭素原子数2〜20のジヒドロカルビルアミノ基を表す。
1、X2およびX3は、好ましくは、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1〜20のヒドロカルビル基である。
一般式BX123で表されるホウ素化合物(C)としては、例えば、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、トリス(2,3,5,6−テトラフルオロフェニル)ボラン、トリス(2,3,4,5−テトラフルオロフェニル)ボラン、トリス(3,4,5−トリフルオロフェニル)ボラン、トリス(2,3,4−トリフルオロフェニル)ボラン、フェニルビス(ペンタフルオロフェニル)ボランなどのトリアリールボランが挙げられる。
前記ボランもしくはボラン誘導体としては、入手容易性等の観点からは、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランが好ましい。
前記ボランもしくはボラン誘導体は、上述した本発明に係る遷移金属錯体(または本発明に係るオレフィン重合用触媒溶液に含まれる遷移金属錯体)1モルに対して、好ましくは0.1〜50モル、より好ましくは0.5〜10モルの割合で用いられる。
本発明のオレフィン重合用触媒は、本発明に係る遷移金属錯体および溶媒を含む溶液として調製してもよい。前記溶媒ないし本発明のオレフィン重合用触媒溶液の製造に用いられる溶液としては、トルエン、ベンゼン、キシレン、プロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の炭化水素溶媒、液化α−オレフィン等の液体、およびジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、酢酸エチル、安息香酸メチル、アセトン、メチルエチルケトンのような極性溶媒が挙げられる。
本発明のオレフィン重合用触媒、および本発明に係るオレフィン重合用触媒溶液は、それぞれ、必要に応じて、さらに担体を含んでいてもよい。
前記担体としては、無機または有機の化合物であって、顆粒状ないしは微粒子状の固体であり、触媒成分として遷移金属錯体および担体を使用したオレフィン重合において従来使用されているもの、たとえば特開2011-122146号公報の[0110]〜[0122]に記載されたものを使用することができる。
[オレフィン共重合体の製造方法]
本発明に係るオレフィン共重合体の製造方法は、本発明に係るオレフィン重合用触媒または本発明に係るオレフィン重合用触媒溶液の存在下でオレフィンと極性モノマーとを共重合することを特徴としている。
〈オレフィン〉
前記オレフィンの例としては、エチレン、炭素原子数が3〜30のα−オレフィンおよび炭素原子数が3〜30の環状オレフィンが挙げられる。
前記α−オレフィンとしては、炭素原子数が3〜30、好ましくは3〜20、より好ましくは3〜10の直鎖状または分岐状のα−オレフィン、たとえば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセンが挙げられる。
前記環状オレフィンとしては、炭素原子数が3〜30、好ましくは3〜20、より好ましくは3〜10の環状オレフィン、たとえば、シクロペンテン、シクロヘプテン、ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、テトラシクロドデセン、2−メチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレンが挙げられる。
これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記オレフィンの中でも、エチレン、プロピレン、ノルボルネンおよびテトラシクロドデセンが好ましい。
〈極性モノマー〉
前記極性モノマーは、分子内に前記オレフィンと共重合し得るビニル基等の不飽和結合と、カルボキシ基、水酸基、エステル基、ハロゲン原子等を有する化合物であり、好ましくはビニル基と、水酸基またはエステル基とを有する化合物である。
前記極性モノマーとしては、たとえばアクリル酸系モノマー、およびノルボルネン系モノマーが挙げられる。
アクリル酸系モノマーの具体例としては、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸ペンチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ノニル、アクリル酸デシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸フェニル、アクリル酸トルイル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸ヒドロキシメチル、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシブチル、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル、3−(トリメトキシシリル)プロピルアクリレート、アクリル酸ポリエチレングリコールエステル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸ジエチルアミノエチル、アクリル酸−2−アミノエチル、アクリル酸−2−メトキシエチル、アクリル酸−3−メトキシプロピル、アクリル酸グリシジル、アクリル酸エチレンオキサイド、アクリル酸トリフルオロメチル、アクリル酸−2−トリフルオロメチルエチル、アクリル酸パーフルオロエチル、アクリルアミド、アクリルジメチルアミド、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸ペンチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ノニル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸トルイル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸ヒドロキシメチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシブチル、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノメタアクリレート、4−ヒドロキシブチルメタアクリレートグリシジルエーテル、3−(トリメトキシシリル)プロピルメタアクリレート、メタクリル酸ポリエチレングリコールエステル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸−2−アミノエチル、メタクリル酸−2−メトキシエチル、メタクリル酸−3−メトキシプロピル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸エチレンオキサイド、メタクリル酸トリフルオロメチル、メタクリル酸−2−トリフルオロメチルエチル、メタアクリルアミド、メタアクリルジメチルアミドが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、および(4−ヒドロキシブチル)アクリレートグリシジルエーテルが好ましく、アクリル酸メチル、およびアクリル酸t−ブチルがより好ましい。
前記ノルボルネン系モノマーの具体例としては、5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−カルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−シアノビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−エトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−5−エトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸無水物、5−ヒドロキシメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジ(ヒドロキシメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、2−(5−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エニル)プロパン−2−オール、5,6−ジカルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸イミド、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン−9−カルボン酸などが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−カルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−シアノビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]−ヘプト−2−エン、5−エトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、およびビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸無水物が好ましく、5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、および5−カルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンがより好ましい。
前記極性モノマーの他の例としては、ウンデセン酸メチルなどのウンデセン酸アルキル、ビニルトリメトキシシランなどのビニルトリアルキルオキシシラン、メチルノルボルナンカルボン酸メチルなどのメチルノルボルナンカルボン酸アルキルが挙げられる。
本発明に係るオレフィン重合体の製造方法において、重合形態は懸濁重合、溶液重合などの液相重合法、および気相重合法のいずれであってもよい。
液相重合法の場合、たとえば、まず反応器系中を不活性ガスで十分に置換し、反応器に触媒と助触媒の任意量を任意の順序で加え、任意の溶媒で溶解させ触媒溶液を調製する。前記遷移金属錯体は、反応容積1リットル当り、通常1×10-10〜1×10-2モル、好ましくは1×10-8〜1×10-3モルとなるような量で用いられる。不活性ガスとしては、一般に、アルゴン、窒素が使用される。各触媒成分の2つ以上が予め混合されていてもよい。
そこに適当量の溶媒を加えたのちに、あらかじめ混合溶解しておいた極性モノマーおよびオレフィンの混合溶液を加え、密閉系にて昇圧、任意の温度まで昇温して任意の時間撹拌する。その後大量の貧溶媒を注ぎ共重合体を析出させ、濾過により回収し、減圧乾燥して共重合体を得ることができる。
反応温度は200℃まで上げることができるが、好ましくは0〜150℃であり、より好ましくは40〜120℃である。重合圧力は常圧〜8MPa、好ましくは常圧〜5MPaの範囲であり、より好ましくは常圧〜1MPaである。反応時間は、触媒濃度および重合温度などの条件によって異なるが、通常0.5分間〜48時間、好ましくは10分間〜25時間である。
オレフィンと極性モノマーの仕込み比(モル比)は、導入したい極性モノマーの量、オレフィン重合用触媒の種類等に応じて、適宜調整される。
オレフィン重合用触媒は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
重合を液相重合法により行う場合には、重合媒体として、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油などの脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;エチレンクロリド、クロルベンゼン、ジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素またはこれらの混合物などの不活性炭化水素溶媒を用いることができる。
共重合はバッチ法または連続法のいずれの方法でも行うことができる。
バッチ法を採用する場合には、本発明に係るオレフィン重合用触媒は、重合系内で極性モノマーに対し、通常0.01〜5モル%、好ましくは0.1〜1モル%となるような量で用いられる。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。
[各種物性の測定]
〔目的物の同定〕
遷移金属化合物等の構造は、400MHz 1H−NMR(Bruker社製、AscendTM 400)を用いて決定した。
〔融点(Tm)〕
重合体の融点(Tm)は、SII社製DSC 6220を用い、以下のようにして測定した。
窒素雰囲気下(窒素流速:30mL/分)、試料(約5mg)を(1)昇温速度10℃/分で200℃まで昇温して200℃で5分間保持し、(2)降温速度10℃/分で−20℃まで冷却して−20℃で5分間保持した後、(3)昇温速度10℃/分で200℃まで昇温させた。前記(1)および(3)の昇温過程における結晶溶融ピークのピーク頂点から融点(Tm)を観測し併記した。なお、複数の結晶溶融ピークが観測される場合には、各ピーク頂点から観測した融点(例えば、低温側ピーク頂点から観測した融点(Tm1)、高温側ピーク頂点から観測した融点(Tm2))のうち、最も高温側のピーク頂点から算出した融点をオレフィン重合体の融点(Tm)と定義する。
〔数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)および分子量分布(Mw/Mn)〕
重合体の数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)および分子量分布(Mw/Mn)は、ミリポア社製GPC−150を用い、以下の条件で測定し、標準ポリスチレンを用いて検量線を作製し、ポリスチレン分子量換算として計算した。
分離カラム:TSK GNH HT
カラムサイズ:直径7.5mm、長さ300mm
カラム温度:140℃
移動相:o−ジクロロベンゼン(0.025重量%BHT(ジブチルヒドロキシトルエン)含有)
流量:1.0mL/分
試料濃度:0.1質量%
試料注入量:500マイクロリットル
検出器:示差屈折計
〔極性モノマー比率〕
13C−NMR測定を行い、極性モノマー(アクリル酸tert-ブチル)由来の炭素数と、オレフィンおよび極性モノマーの全炭素数との比から、重合体中の全構成単位に対する極性モノマー由来の構成単位の比率(mol%)を算出した。
1.配位子の合成
[合成例1]下式で表される配位子a1の合成
Figure 2021147518
(i)下式で表されるホスフィン化合物の合成
Figure 2021147518
アルゴン雰囲気下でジフェニルエーテル(20mmol)をジエチルエーテル(30ml)に溶解させ、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン(20mmol)を加えた。0℃で1.6Mのn-ブチルリチウム(n-BuLi)ヘキサン溶液(13ml)をゆっくり滴下し、23℃に昇温して終夜撹拌して、反応液Aを得た。
別の容器に、アルゴン雰囲気下で1,3,5-トリメトキシベンゼン(30mmol)をテトラヒドロフラン(THF, 30ml)に溶解させ、0℃で2.3Mのn-BuLiシクロヘキサン溶液(13ml)をゆっくり滴下し、23℃に昇温して2時間撹拌した。その後、−78℃に冷却し、ジエチルアミノジクロロホスフィン(3ml)をゆっくり滴下し、23℃に昇温して2時間撹拌して、反応液Bを得た。
−78℃に冷却した反応液Bに反応液Aをゆっくり滴下した。その後、23℃に昇温して終夜撹拌した。水を加え反応をクエンチし、水層と有機層を分離した。水層をジクロロメタンで抽出し、有機層を集めた。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムを加え、固体をろ別し、ロータリーエバポレーターで溶媒を除去した。得られた残渣をヘキサン:酢酸エチル=3:1(v/v)でシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、ヘキサン中で再結晶することで目的物(ジエチルアミノ(2-フェノキシフェニル)(2,4,6-トリメトキシフェニル)ホスフィン)を得た。以下にその測定値等を示す。
収率:40%
(ii)配位子a1の合成
アルゴン雰囲気下でベンゼンスルホン酸エチル(4mmol)をテトラヒドロフラン(THF、15ml)に溶解させた。得られた溶液に−78℃で1.6Mのn−ブチルリチウム(n-BuLi)ヘキサン溶液(2.5ml)をゆっくり滴下し、そのまま2時間撹拌した。クロロトリメチルシラン(5mmol)を加え23℃に昇温し、1時間撹拌した。再び−78℃に冷却し、1.6Mのn-BuLiヘキサン溶液(2.5ml)をゆっくり滴下し、そのまま2時間撹拌して反応溶液Aを調製した。
その間に別の容器に、アルゴン雰囲気下で、上記(i)で合成されたジエチルアミノ(2-フェノキシフェニル)(2,4,6-トリメトキシフェニル)ホスフィン(5mmol)をTHF(20ml)に溶解させ、0℃でHClの1Mジエチルエーテル溶液(11ml)を滴下し、23℃に昇温して2時間撹拌した。ガラスフィルターを用いてアルゴン雰囲気下で副生するジエチルアミン塩酸塩を取り除き、THF(10ml)で洗浄した後、残った溶媒をロータリーエバポレーターで除去した。得られた残渣をTHF(10ml)に再溶解させることで、クロロ(2-フェノキシフェニル)(2,4,6-トリメトキシフェニル)ホスフィンのTHF溶液(以下「反応溶液B」と記載する。)を調製した。
反応溶液Aに−78℃で反応溶液Bをゆっくり滴下し、23℃まで昇温し、終夜撹拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、水層と有機層を分離させた。水層を酢酸エチルで抽出し、有機層を集め、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した。洗浄後の有機層に硫酸マグネシウムを加え、固体をろ別後、溶媒をロータリーエバポレーターで除去した。得られた残渣をヘキサン:酢酸エチル=1:1(v/v)を展開溶媒にシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することでエチルエステルの粗生成物を得た。粗生成物をメタノール 5mlに溶解させ、同量のTHFとNaOHの6M溶液とを加え、3時間、70℃で還流した。反応後放冷し、有機溶媒をロータリーエバポレーターで除去した。残渣に氷水と6M塩酸を加え酸性にした後、ジクロロメタンで抽出した。有機層に硫酸マグネシウムを加え、固体をろ別後、溶媒をロータリーエバポレーターで除去した。得られた残渣を酢酸エチルで洗浄することで、目的物が得られた。目的物(2-[(フェノキシフェニル)(2,4,6-トリメトキシフェニル)ホスフィノ]-6-トリメチルシリルベンゼンスルホン酸(以下「配位子a1」とも記載する。))の同定は1H−NMRスペクトルにて行った。以下にその測定値等を示す。
収率:8%
1H NMR(400MHz, CDCl3):(0.48, 9H)(3.60, 6H)(3.83, 3H)(6.08-6.09, 2H)(6.79-7.54, 11H)(7.97-7.99, 1H)(8.77, 0.5H)(10.32, 0.5H)
[合成例2]下式で表される配位子a2の合成
Figure 2021147518
(i)下式で表されるホスフィン化合物の合成
Figure 2021147518
アルゴン雰囲気下で1,3,5-トリメトキシベンゼン(11mmol)をTHF(20ml)に溶解させ、0℃で2.3Mのn-ブチルリチウム(n-BuLi)シクロヘキサン溶液(5ml)をゆっくり滴下し、23℃に昇温して2時間撹拌した。その後、−78℃に冷却し、ジエチルアミノジクロロホスフィン(1.8ml)をゆっくり滴下し23℃に昇温して2時間撹拌して、反応液Aを得た。
別の容器に、アルゴン雰囲気下で2-(トリメチルシリル)ベンゼンスルホン酸エチル(11mmol)をテトラヒドロフラン(THF, 20ml)に溶解させ、−78℃で2.3Mのn-ブチルリチウム(n-BuLi)ヘキサン溶液(5ml)をゆっくり滴下し、−78℃で2時間撹拌して、反応液Bを得た。
−78℃に保った反応液Bに、反応液Aをゆっくり滴下した。その後、23℃に昇温して終夜撹拌した。水を加え反応をクエンチし、水層と有機層を分離した。水層をジクロロメタンで抽出し、有機層を集めた。有機層に硫酸マグネシウムを加え、固体をろ別し、ロータリーエバポレーターで溶媒を除去した。得られた残渣をヘキサン:酢酸エチル=3:1(v/v)でシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、ヘキサン中で再結晶することで目的物(2-[(ジエチルアミノ)(2,4,6-トリメトキシフェニル)ホスフィノ]-6-トリメチルシリルベンゼンスルホン酸エチル)を得た。以下にその測定値等を示す。
収率:48%
(ii)配位子a2の合成
アルゴン雰囲気下で1,3-ジフェノキシベンゼン(6mmol)をTHF(40ml)に溶解させた。0℃で2.3Mのn-BuLiヘキサン溶液(2.7ml)をゆっくり滴下した後、23℃に昇温し、2時間撹拌して反応溶液Aを調製した。
その間に別の容器に、アルゴン雰囲気下で、上記(i)で合成された2-[(ジエチルアミノ)(2,4,6-トリメトキシフェニル)ホスフィノ]-6-トリメチルシリルベンゼンスルホン酸エチル(6mmol)をTHF(20ml)に溶解させ、0℃でHClの1Mジエチルエーテル溶液(15ml)を滴下し、23℃に昇温して2時間撹拌した。ガラスフィルターを用いてアルゴン雰囲気下で副生するジエチルアミン塩酸塩を取り除き、THF(10ml)で洗浄した後、残った溶媒をロータリーエバポレーターで除去した。得られた残渣をTHF(10ml)に再溶解させることで、2-[(クロロ-(2,4,6-トリメトキシフェニル)ホスフィノ]-6-トリメチルシリルベンゼンスルホン酸エチルのTHF溶液(以下「反応溶液B」と記載する。)を調製した。
反応溶液Aに−78℃で反応溶液Bをゆっくり滴下し、23℃まで昇温し、終夜撹拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、水層と有機層を分離させた。水層をジクロロメタンで抽出し、有機層を集めた。有機層に硫酸マグネシウムを加え、固体をろ別後、溶媒をロータリーエバポレーターで除去した。得られた残渣をヘキサン:酢酸エチル=5:1(v/v)を展開溶媒にシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することでエチルエステルの粗生成物を得た。粗生成物をメタノール(5ml)に溶解させ、同量のTHFとNaOHの6M溶液とを加え、2時間、70℃で還流した。反応後放冷し、有機溶媒をロータリーエバポレーターで除去した。残渣に蒸留水と6M塩酸を加え酸性にした後、ジクロロメタンで抽出した。有機層に硫酸マグネシウムを加え、固体をろ別後、溶媒をロータリーエバポレーターで除去した。得られた残渣に酢酸エチルを加え、そこへ少しずつヘキサンを加えることで固体を析出させた後、固体をろ別することで目的物が得られた。目的物(2-[(2,6-ジフェノキシフェニル)(2,4,6-トリメトキシフェニル)ホスフィノ]-6-トリメチルシリルベンゼンスルホン酸(以下「配位子a2」とも記載する。))の同定は1H−NMRスペクトルにて行った。以下にその測定値等を示す。
収率:19%
1H NMR(400MHz, CDCl3):(0.37, 9H)(3.66, 6H)(3.82, 3H)(6.05-6.06, 2H)(6.48-7.75, 16H)(8.82, 0.5H)(10.36, 0.5H)
[合成例3]下式で表される配位子a3の合成
Figure 2021147518
アルゴン雰囲気下でベンゼンスルホン酸(3mmol)をTHF(30ml)に溶解させた。得られた溶液に0℃で2.3Mのn-BuLiヘキサン溶液(2.6ml)をゆっくり滴下し、23℃に昇温し、2時間撹拌して反応溶液Aを調製した。
その間に別の容器に、アルゴン雰囲気下でジエチルアミノ(2-フェノキシフェニル)(2,4,6-トリメトキシフェニル)ホスフィン(4mmol)をTHF(20ml)に溶解させ、0℃でHClの1Mジエチルエーテル溶液(8ml)を滴下し、23℃に昇温して2時間撹拌した。ガラスフィルターを用いてアルゴン雰囲気下で副生するジエチルアミン塩酸塩を取り除き、THF(10ml)で洗浄した後、残った溶媒をロータリーエバポレーターで除去した。得られた残渣をTHF(10ml)に再溶解させることで、クロロ(2-フェノキシフェニル)(2,4,6-トリメトキシフェニル)ホスフィンのTHF溶液(以下「反応溶液B」と記載する。)を調製した。
反応溶液Aに−78℃で反応溶液Bをゆっくり滴下し、23℃まで昇温し、終夜撹拌した。蒸留水を加え、水層と有機層を分離させた。水層をジエチルエーテルで洗浄し、6M塩酸を加え酸性にした後、ジクロロメタンで抽出した。有機層に硫酸マグネシウムを加え、固体をろ別後、溶媒をロータリーエバポレーターで除去した。得られた残渣にジクロロメタンを加え、そこへ少しずつヘキサンを加えることで固体を析出させた後、固体をろ別することで目的物が得られた。目的物(2-(2-フェノキシフェニル)(2,4,6-トリメトキシフェニル)ホスフィノベンゼンスルホン酸(以下「配位子a3」とも記載する。))の同定は1H−NMRスペクトルにて行った。以下にその測定値等を示す。
収率:8%
1H NMR(400MHz, CDCl3):(3.63, 6H)(3.86, 3H)(6.13-6.14, 2H)(6.83-7.73, 12H)(8.33-8.36, 1H)(8.84, 0.5H) (10.33-10.35, 0.5H)
[合成例4]下式で表される配位子b1の合成
Figure 2021147518
アルゴン雰囲気下、ベンゼンスルホン酸エチル(5mmol)のTHF溶液(15ml)に、−78℃でn-BuLi(5mmol)を滴下し、−78℃で2時間撹拌した。得られた溶液に、クロロ(2-メシチル)(2,4,6-トリメトキシフェニル)ホスフィン(5mmol)のジエチルエーテル溶液をゆっくり滴下し、室温に昇温し、終夜撹拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、水層を酢酸エチルで抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:1(v/v))で精製することで中間体の粗生成物を得た。得られた粗生成物はそれ以上精製することなく次の反応に用いた。
中間体の粗生成物をメタノール(5ml)、6M水酸化ナトリウム水溶液(5ml)およびTHF(5ml)の混合溶液に溶解させ、3時間還流させた。反応後、溶媒を留去し、氷を加えた後、1M塩酸を加え酸性にした。ジクロロメタンで抽出し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を留去した。残渣を酢酸エチルで洗浄することで、目的物の白色固体を得た。目的物(2-(2-メシチル)(2,4,6-トリメトキシフェニル)ホスフィノベンゼンスルホン酸(以下「配位子b1」とも記載する。))の同定は1H-NMRスペクトルにて行った。
収率:25%
1H-NMR(CDCl3) : 2.24(6H), 2.30(3H), 3.62(6H), 3.85(3H), 6.14-6.16(2H), 6.92-6.93(2H), 7.34-7.40(2H), 7.69-7.71(1H), 8.32-8.36(1H), 8.62-10.0(1H)
[合成例5]下式で表される配位子b2の合成
Figure 2021147518
アルゴン雰囲気下、ベンゼンスルホン酸(5mmol)をTHF (15ml)に溶解させた。得られた溶液に0℃でn-BuLi(10mmol)を滴下し、23℃で2時間撹拌した。その後、クロロ(2',6'-ジメトキシ-[1,1'-ビフェニル]-2-イル)(2,4,6-トリメトキシフェニル)ホスフィン(5mmol)のTHF溶液を−78℃でゆっくり滴下し、室温に昇温し、終夜撹拌した。水を加え、水層をジエチルエーテルで洗浄した。水層に1M塩酸を加え酸性にし、ジクロロメタンで抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を留去し、残渣をジエチルエーテルで洗浄することで、目的物の白色固体を得た。目的物(2-(2',6'-ジメトキシ-[1,1'-ビフェニル]-2-イル)(2,4,6-トリメトキシフェニル)ホスフィノベンゼンスルホン酸(以下「配位子b2」とも記載する。))の同定は1H−NMRスペクトルにて行った。
収率:40%
1H-NMR(CDCl3) : 3.51-3.55(6H), 3.63(3H), 3.81(3H), 5.99-6.00(2H), 6.42-6.45(2H), 7.21-7.26(1H), 7.34-7.35(2H), 7.42-7.62(4H), 8.25-8.46(1H)
[合成例6]下式で表される配位子b3の合成
Figure 2021147518
国際公開第2010/050256号の合成例4の方法に従い、上記式で表される化合物(以下「配位子b3」と記載する。)を得た。
[合成例7]下式で表される配位子b4の合成
Figure 2021147518
アルゴン雰囲気下、ベンゼンスルホン酸(5mmol)をTHF 15ml)に溶解させた。得られた溶液に0℃でn-BuLi(10mmol)を滴下し、室温に昇温し、2時間撹拌した。その後、クロロ(9-フルオレニル)(2-メシチル)ホスフィン(5mmol)のTHF溶液を−78℃でゆっくり滴下し、室温に昇温し、終夜撹拌した。水を加え、水層をジエチルエーテルで洗浄した。水層に6M塩酸を加え、ジクロロメタンで抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を留去し、残渣をジエチルエーテルで洗浄することで,目的物の白色固体を得た。目的物(2-[(9-フルオレニル)(2,4,6-トリメチルフェニル)ホスフィノ]ベンゼンスルホン酸(以下「配位子b4」とも記載する。))の同定は1H−NMRスペクトルにて行った。以下にその測定値等を示す。
収率:33%
1H-NMR(CDCl3) : 2.08(6H), 2.28(3H), 6.01-6.06(1H), 6.72-7.16(6H), 7.41-7.43(3H), 7.68-7.82(4H), 8.36-8.40(1H)
2.遷移金属化合物の合成
[実施例1]遷移金属化合物A1の製造
充分に窒素置換した50mlのシュレンク内で配位子a1(33mg)および乾燥トルエン(5.5ml)を混合し、撹拌し、配位子溶液(0.01mol/l)を調製した。次に、トリス(ジベンジリデンアセトン)(クロロホルム)ジパラジウム(0)(以下「Pd2dba3/CHCl3」と称する)を窒素置換された、別の50mlのシュレンクに26mg秤り取り、乾燥トルエン(5.0ml)を加え、撹拌し、パラジウム含有調製液を調製した(0.005 mol/l)。このパラジウム含有調製液に前記配位子溶液(5.0ml)を滴下し、撹拌し、遷移金属化合物A1を含む溶液(以下「調製液A1」とも記載する。)(10ml, 0.005 mol/l)を得た。
[実施例2]遷移金属化合物A2の製造
配位子a1の代わりに合成例2で製造された配位子a2(38mg)を用いた以外は実施例1と同様にして、遷移金属化合物A2を含む溶液(以下「調製液A2」とも記載する。)(10ml, 0.005 mol/l)を得た。
[実施例3]遷移金属化合物A3の製造
配位子a2の代わりに合成例3で製造された配位子a3(29mg)を用いた以外は実施例2と同様にして、遷移金属化合物A3を含む溶液(以下「調製液A3」とも記載する。)(10ml, 0.005 mol/l)を得た。
[比較例1]遷移金属化合物B1の製造
配位子a2の代わりに合成例4で製造された配位子b1(26mg)を用いた以外は実施例2と同様にして、遷移金属化合物B1を含む溶液(以下「調製液B1」とも記載する。)(10ml, 0.005 mol/l)を得た。
[比較例2]遷移金属化合物B2の製造
配位子a1の代わりに合成例5で製造された配位子b2(31mg)を用い、Pd2dba3/CHCl3の代わりにトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)を用いた以外は実施例1と同様にして、遷移金属化合物B2を含む溶液(以下「調製液B2」とも記載する。)(10ml, 0.005 mol/l)を得た。
[比較例3]遷移金属化合物B3の製造
配位子a1の代わりに合成例6で製造された配位子b3(42.6mg)を用い、Pb2dba3/CHCl3の代わりにビス(1,5-シクロオクタジエン)ニッケル(0)を用いた以外は実施例1と同様にして、遷移金属化合物B3を含む溶液(以下「調製液B3」と記載する。)(15ml, 0.005mol/l)を得た。
[比較例4]遷移金属化合物B4の製造
アルゴン雰囲気下、合成例7で製造された配位子b4(260mg)のジクロロメタン溶液(5ml)に、ジメチル(N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミン)パラジウム(II)(以下「(tmeda)PdMe2」とも記載する。)(83mg)のジクロロメタン溶液を室温で加え、30分間攪拌した。次いで、2,6-ルチジン(535mg)を室温で加え、3時間攪拌した。攪拌後、ヘキサンを加え、析出した固体を回収し、ジクロロメタンとヘキサンで再結晶することで、黄色の目的物(下式で表される化合物)を得た。
目的物(以下「遷移金属化合物B4」とも記載する。)の同定は1H−NMRスペクトルにて行った。以下にその測定値等を示す。
収率:71%
1H-NMR(CDCl3) : -0.15(3H), 2.32(6H), 2.68(3H), 3.00(6H), 5.98-6.03(1H), 6.85(1H), 6.90-7.16(5H), 7.33-7.59(8H), 7.76-7.80(2H), 8.27(1H)
Figure 2021147518
[比較例5]遷移金属化合物B5の製造
配位子a1の代わりに合成例7で製造された配位子b4(26mg)を用い、Pd2dba3/CHCl3の代わりにトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)を用いた以外は実施例1と同様にして、遷移金属化合物B5を含む溶液(以下「調製液B5」とも記載する。)(10ml, 0.005 mol/l)を得た。
3.エチレン/アクリル酸tert-ブチル共重合体の製造
[実施例4]
操作は重合装置(Biotage社Endeavor)を使用して行った。トリn−オクチルアルミニウム(TNOA)の乾燥トルエン溶液(0.02mmol/ml, 0.25ml)を反応器中に導入し、次いで反応器中にInhibitor Remover(ALDRICH製)を通して精製したアクリル酸tert-ブチル(TBA)(0.34ml, 2.5mmol)および乾燥トルエン(0.5ml)を挿入した。次いで反応系中にエチレンを追加しながら反応系内の温度および圧力をそれぞれ90℃、0.9MPaまで上昇させた。次に、実施例1で製造した調製液A1(0.5ml)をシリンジにて反応器中に導入し、撹拌しながら60分間反応させた。その後、イソブチルアルコールをシリンジにて反応器中に導入し、反応を停止した。冷却後、重合装置を開放して反応器を取り出し、得られた反応溶液はアセトンに投入し、ポリマーを析出させた。ろ過洗浄してポリマーを回収し、減圧下80℃で乾燥を行い、白色粉体0.27gを得た。重合条件および重合結果を表1に記載した。
[実施例5]
調製液A1の代わりに実施例2で製造した調製液A2(0.5ml)を用いた以外は実施例4と同様にして、白色粉体0.19gを得た。重合条件および重合結果を表1に記載した。
[実施例6]
調製液A1の代わりに実施例3で製造した調製液A3(0.5ml)を用いた以外は実施例4と同様にして、白色粉体0.10gを得た。重合条件および重合結果を表1に記載した。
[比較例6]
調製液A1の代わりに比較例1で製造した調製液B1(0.5ml)を用いた以外は実施例4と同様にしたが、重合体は得られなかった。重合条件および重合結果を表1に記載した。
[比較例7]
調製液A1の代わりに比較例2で製造した調製液B2(0.5ml)を用いた以外は実施例4と同様にして、白色粉体0.1gを得た。重合条件および重合結果を表1に記載した。
[比較例8]
調製液A1の代わりに比較例3で製造した調製液B3(0.5ml)を用いた以外は実施例4と同様にしたが、重合体は得られなかった。重合条件および重合結果を表1に記載した。
[比較例9]
調製液A1の代わりに比較例4で製造した調製液B4(0.5ml)を用いた以外は実施例4と同様にして、白色粉体0.08gを得た。重合条件および重合結果を表1に記載した。
[比較例10]
調製液A1の代わりに比較例5で製造した調製液B5(0.5ml)を用いた以外は実施例4と同様にしたが、重合体は得られなかった。重合条件および重合結果を表1に記載した。
Figure 2021147518

Claims (25)

  1. 下記一般式(A)で表される遷移金属錯体を含む、オレフィン重合用触媒。
    Figure 2021147518
    [式(A)において、Mは周期律表第10族遷移金属原子を表す。
    1は水素原子、もしくはハロゲン原子、またはヘテロ原子を含有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基を表す。
    LはMに配位した配位子を表す。
    Eはヘテロ原子を表す。
    Yは単結合、SO2、COまたは
    Figure 2021147518
    [ただし、2つのR8は、それぞれ独立に、水素原子、またはヘテロ原子を含有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基を表し、*−および−*は、結合手を表す。]
    で表される基を表す。
    Zはヘテロ原子または
    Figure 2021147518
    [ただし、Z´はヘテロ原子を表し、R9は水素原子、またはヘテロ原子を含有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基を表し、*−および−*は、結合手を表す。]
    で表される基を表す。
    2は下記式で表される置換基を表す。
    Figure 2021147518
    [式中、R10〜R14は、それぞれ独立に、水素原子、脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよいフェノキシ基、またはアルコキシ基を表し、R10〜R14のうち少なくとも1つは、置換基を有していてもよいフェノキシ基を表し、*−は結合手を表す。]
    [式中、R10〜R14は、それぞれ独立に、水素原子、脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよいフェノキシ基、またはアルコキシ基を表し、R10〜R14のうち少なくとも1つは、置換基を有していてもよいフェノキシ基を表し、*−は結合手を表す。]
    3は下記式(B)で表される置換基を表す。
    Figure 2021147518
    [式(B)において、pは0〜3の整数、qは0〜3の整数、rは0〜3の整数であり、0≦p+q+r≦5であり、1≦q+r≦3であり、
    Qは単結合または炭素数1〜4の2価の炭化水素基を表し、
    Rはハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基を表し、Rは複数個存在する場合には互いに同一であっても異なっていてもよく、
    *−は結合手を表す。]
    4〜R7は、それぞれ独立に、水素原子、もしくはハロゲン原子、またはヘテロ原子を含有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基を表す。
    1〜R9から選択される複数の基は互いに連結して環を形成していてもよい。
    LとR1とは互いに連結して環を形成していてもよい。]
  2. 前記R11、R12およびR13が水素原子である請求項1に記載のオレフィン重合用触媒。
  3. 前記R3が下記式(B1)〜(B6)のいずれかで表される置換基である請求項1または2に記載のオレフィン重合用触媒。
    Figure 2021147518
  4. 前記R3が2,4,6−トリメトキシフェニル基である請求項3に記載のオレフィン重合用触媒。
  5. 前記Mがニッケル原子またはパラジウム原子である請求項1〜4のいずれか一項に記載のオレフィン重合用触媒。
  6. 前記Eがリン原子である、請求項1〜5のいずれか一項に記載のオレフィン重合用触媒。
  7. 前記Zが酸素原子または硫黄原子である請求項1〜6のいずれか一項に記載のオレフィン重合用触媒。
  8. さらに、トリアルキルアルミニウムまたはボランもしくはボラン誘導体を含む請求項1〜7のいずれか一項に記載のオレフィン重合用触媒。
  9. 前記トリアルキルアルミニウムを含有し、前記トリアルキルアルミニウムがトリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムおよびトリn−オクチルアルミニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項8に記載のオレフィン重合用触媒。
  10. 前記ボランもしくはボラン誘導体を含有し、前記ボランもしくはボラン誘導体がボラン、ジボラン、ハロゲン化ボランおよびトリアリールボランからなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項8に記載のオレフィン重合用触媒。
  11. 前記トリアリールボランを含有し、前記トリアリールボランがトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランである、請求項10に記載のオレフィン重合用触媒。
  12. 下記一般式(A´)で表される化合物と、前記化合物と反応して錯体を形成可能な周期律表第10族遷移金属原子Mの錯体(D)と、溶媒とを混合し、次いで任意に、前記遷移金属原子Mに配位可能な配位子Lを混合して得られるオレフィン重合用触媒溶液。
    Figure 2021147518
    [式(A´)において、Eはヘテロ原子を表す。
    Yは単結合、SO2、COまたは
    Figure 2021147518
    [ただし、2つのR8は、それぞれ独立に、水素原子、またはヘテロ原子を含有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基を表し、*−および−*は、結合手を表す。]
    で表される基を表す。
    Zはヘテロ原子または
    Figure 2021147518
    [ただし、Z´はヘテロ原子を表し、R9は水素原子、またはヘテロ原子を含有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基を表し、*−および−*は、結合手を表す。]
    で表される基を表す。
    2は下記式で表される置換基を表す。
    Figure 2021147518
    [式中、R10〜R14は、それぞれ独立に、水素原子、脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよいフェノキシ基、またはアルコキシ基を表し、R10〜R14のうち少なくとも1つは、置換基を有していてもよいフェノキシ基を表し、*−は結合手を表す。]
    3は、下記式(B)で表される置換基を表し、R2と同一ではない。
    Figure 2021147518
    [式(B)において、pは0〜3の整数、qは0〜3の整数、rは0〜3の整数であり、0≦p+q+r≦5であり、1≦q+r≦3であり、
    Qは単結合または炭素数1〜4の2価の炭化水素基を表し、
    Rはハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基を表し、Rは複数個存在する場合には互いに同一であっても異なっていてもよく、
    *−は結合手を表す。]
    4〜R7は、それぞれ独立に、水素原子、もしくはハロゲン原子、またはヘテロ原子を含有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基を表す。
    2〜R9から選択される複数の基は互いに連結して環を形成していてもよい。
    Wは、脱離基を表し、wは、Wの原子価を表す。]
  13. 下記一般式(A)で表される遷移金属錯体。
    Figure 2021147518
    [式(A)において、Mは周期律表第10族遷移金属原子を表す。
    1は水素原子、もしくはハロゲン原子、またはヘテロ原子を含有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基を表す。
    LはMに配位した配位子を表す。
    Eはヘテロ原子を表す。
    Yは単結合、SO2、COまたは
    Figure 2021147518
    [ただし、2つのR8は、それぞれ独立に、水素原子、またはヘテロ原子を含有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基を表し、*−および−*は、結合手を表す。]
    で表される基を表す。
    Zはヘテロ原子または
    Figure 2021147518
    [ただし、Z´はヘテロ原子を表し、R9は水素原子、またはヘテロ原子を含有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基を表し、*−および−*は、結合手を表す。]
    で表される基を表す。
    2は下記式で表される置換基を表す。
    Figure 2021147518
    [式中、R10〜R14は、それぞれ独立に、水素原子、脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよいフェノキシ基、またはアルコキシ基を表し、R10〜R14のうち少なくとも1つは、置換基を有していてもよいフェノキシ基を表し、*−は結合手を表す。]
    3は、下記式(B)で表される置換基を表し、R2と同一ではない。
    Figure 2021147518
    [式(B)において、pは0〜3の整数、qは0〜3の整数、rは0〜3の整数であり、0≦p+q+r≦5であり、1≦q+r≦3であり、
    Qは単結合または炭素数1〜4の2価の炭化水素基を表し、
    Rはハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基を表し、Rは複数個存在する場合には互いに同一であっても異なっていてもよく、*−は結合手を表す。]
    4〜R7は、それぞれ独立に、水素原子、もしくはハロゲン原子、またはヘテロ原子を含有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基を表す。
    1〜R9から選択される複数の基は互いに連結して環を形成していてもよい。
    LとR1とは互いに連結して環を形成していてもよい。]
  14. 前記R11、R12およびR13が水素原子である請求項13に記載の遷移金属錯体。
  15. 前記R3が下記式(B1)〜(B6)のいずれかで表される置換基である請求項13または14に記載の遷移金属錯体。
    Figure 2021147518
  16. 前記R3が2,4,6−トリメトキシフェニル基である請求項15に記載の遷移金属錯体。
  17. 前記Mがニッケル原子またはパラジウム原子である請求項13〜16のいずれか一項に記載の遷移金属錯体。
  18. 前記Eがリン原子である請求項13〜17のいずれか一項に記載の遷移金属錯体。
  19. 前記Zが酸素原子または硫黄原子である請求項13〜18のいずれか一項に記載の遷移金属錯体。
  20. 請求項1〜11のいずれか一項に記載のオレフィン重合用触媒または請求項12に記載のオレフィン重合用触媒溶液の存在下でオレフィンと極性モノマーとを共重合する、オレフィン共重合体の製造方法。
  21. 前記オレフィンが、エチレン、炭素数3〜30のα−オレフィン、および炭素数3〜30の環状オレフィンからなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項20に記載のオレフィン共重合体の製造方法。
  22. 前記オレフィンが、エチレン、プロピレン、ノルボルネンおよびテトラシクロドデセンからなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項21に記載のオレフィン共重合体の製造方法。
  23. 前記極性モノマーが、水酸基、カルボキシ基またはエステル基を有するビニルモノマーである、請求項20〜22のいずれか一項に記載のオレフィン共重合体の製造方法。
  24. 前記極性モノマーが、アクリル酸、メタクリル酸ならびに炭素数1〜20のアルキル基を有するメタクリル酸アルキル、アクリル酸アルキル、メタクリル酸ヒドロキシアルキル、メタクリル酸エポキシアルキル、ウンデセン酸アルキル、ビニルトリアルキルオキシシランおよびメチルノルボルナンカルボン酸アルキルからなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項20〜22のいずれか一項に記載のオレフィン共重合体の製造方法。
  25. 前記極性モノマーが、メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル、アクリル酸t-ブチル、メタクリル酸ヒドロキシメチル、メタクリル酸グリシジル、ウンデセン酸メチル、ビニルトリメトキシシラン、メチルノルボルナンカルボン酸メチルから選ばれる少なくとも1種である、請求項24に記載のオレフィン共重合体の製造方法。
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