JP2021146226A - 排気ガス浄化用触媒組成物及びbea型ゼオライトの製造方法 - Google Patents

排気ガス浄化用触媒組成物及びbea型ゼオライトの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】厳しい熱環境下においても骨格構造を維持することができ、耐熱性をより向上したBEA型ゼオライトを含む排気ガス浄化用触媒組成物及びBEA型ゼオライトの製造方法の提供。【解決手段】BEA型ゼオライトを含む排気ガス浄化用触媒組成物であって、BEA型ゼオライトは、BJH法による測定される細孔径が2〜50nmの範囲であるメソ細孔容積V1が0.03〜0.10cm3/gの範囲内であり、全体量に対するリンの含有量が0.01質量%以下である、排気ガス浄化用触媒組成物。BEA型ゼオライトが、特定の条件で熱耐久試験を行い、X線回折スペクトルの回折角度2θ=22.4°±1.0°における熱耐久試験前の最大ピーク強度をIb、熱耐久試験後の最大ピーク強度をIaとしたとき、Ibに対するIaの割合で表される結晶度維持率が40%以上である、排気ガス浄化用触媒組成物。【選択図】図1

Description

本発明は、BEA型ゼオライトを含む排気ガス浄化用触媒組成物及びBEA型ゼオライトの製造方法に関する。
自動四輪車や自動二輪車(乗鞍型車両とも称する。)などのガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどの内燃機関から排出される排気ガス中には、未燃燃料による炭化水素(HC)、不完全燃焼による一酸化炭素(CO)、過度の燃焼温度による窒素酸化物(NOx)などの有害成分が含まれている。このような内燃機関からの排気ガスを処理するために、排気ガス浄化用触媒に用いる排気ガス浄化用触媒組成物が用いられている。排気ガス中の例えば炭化水素(HC)は酸化して水と二酸化炭素に転化させて浄化する。一酸化炭素(CO)は酸化して二酸化炭素に転化させて浄化する。また、窒素酸化物(NOx)は還元して窒素に転化させて浄化する。炭化水素(HC)の触媒による浄化は、排気ガス温度の影響が強く、一般に300℃以上の高温が必要とされている。内燃機関の始動直後の排気ガス温度が低いときは、炭化水素(HC)は触媒によって浄化されにくいにもかかわらず、内燃機関始動直後には、炭化水素(HC)が排出されやすい。このため、内燃機関始動直後は炭化水素(HC)を吸着しておき、排気ガス温度が300℃以上となって触媒が活性化された際に、炭化水素(HC)を放出し、且つ浄化する排気ガス浄化用触媒組成物が求められている。
例えば、特許文献1には、重質ガスオイルのような重質炭化水素供給原料の流動床接触分解に使用することができる、結晶サイズが大きく、広い範囲のSiO/Alモル比を有するベータゼオライトの合成方法が開示されている。
しかしながら、ベータゼオライトはBET比表面積が比較的小さく、欠損が大きいため、炭化水素(HC)の吸着性能が不十分であり、厳しい熱環境下におかれると更に欠損が増加して、炭化水素(HC)の吸着性能が低下するという問題がある。
特開平5−201722号公報
排気ガス浄化用触媒に含まれるゼオライトには、厳しい熱環境下においても耐熱性のさらなる向上が求められている。
そこで本発明は、比較的大きなBET比表面積を有し、厳しい熱環境下においても骨格構造を維持することができ、耐熱性をより向上したBEA型ゼオライトを含む排気ガス浄化用触媒組成物及びBEA型ゼオライトの製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、BEA型ゼオライトを含む排気ガス浄化用触媒組成物であって、前記BEA型ゼオライトは、BJH法により測定される細孔径2nm以上50nm以下の範囲であるメソ細孔容積V1が0.03cm/g以上0.10cm/g以下の範囲内であり、全体量に対するリンの含有量が0.01質量%以下である、排気ガス浄化用触媒組成物を提案する。
本発明は、シリカ源、アルミナ源、アルカリ金属源、有機構造規定剤、及び水を含む反応混合物を準備する工程と、前記反応混合物を加熱し結晶化させてBEA型ゼオライトを得る工程を含み、前記有機構造規定剤は、テトラエチルアンモニウムブロミド(TEABr)及びテトラエチルアンモニウムヒドロキシド(TEAOH)を含み、前記反応混合物が、以下のモル比で表される組成を有する、BEA型ゼオライトの製造方法を提案する。
(TEABr+TEAOH)/Si比=0.25以上0.89以下
TEAOH/(TEABr+TEAOH)比=0.75を超えて0.99以下
SiO/Alモル比=10以上50以下
本発明が提案する排気ガス浄化用触媒組成物は、比較的大きな比表面積を有し、厳しい熱環境下においても骨格構造を維持することができるBEA型ゼオライトを含み、耐熱性をより向上した排気ガス浄化用触媒組成物を提供することができる。
熱耐久試験前後の実施例1に係るBEA型ゼオライトを含む排気ガス浄化用触媒組成物のX線回折スペクトルを示す図である。
次に、実施の形態例に基づいて本発明を説明する。但し、本発明は次に説明する実施形態に限定されるものではない。
本発明の実施形態の一例は、BEA型ゼオライトを含む排気ガス浄化用触媒組成物であって、前記BEA型ゼオライトは、BJH法により測定される細孔径2nm以上50nm以下の範囲であるメソ細孔容積V1が0.03cm/g以上0.10m/g以下の範囲内であり、全体量に対するリンの含有量が0.01質量%以下である。
ゼオライトは、四面体構造をもつTO単位(Tは中心原子)が酸素(O)原子を共有して三次元的に連結し、開かれた規則的なミクロ細孔を形成している結晶性物質を示す。具体的には、ゼオライトは、このような結晶性物質に対して、国際ゼオライト学会(International Zeolite Association;以下、「IZA」とも称する。)で定義されたアルファベット3文字の構造コードが付されているものを示す。ゼオライトの骨格構造は、IZAの構造委員会によるデータベース(Databese of Zeolite Structures、Structure Commission of the Intenational Zeolite Association)を参照にすることができる。
排気ガス浄化用触媒組成物は、BEA型ゼオライトを含む。BEA型ゼオライトは、12員環、6員環、5員環、及び4員環が立体的に連続した構造を有する。BEA型ゼオライトの結晶構造は、正方晶系、P422空間群に属する。
排気ガス浄化用触媒組成物に含まれるBEA型ゼオライトは、BJH法により測定される細孔径2nm以上50nm以下の範囲であるメソ細孔容積V1が0.03cm/g以上0.10cm/g以下の範囲内と低減されている。ゼオライト中のメソ細孔は、厳しい熱環境におかれた場合に、骨格構造の欠損の起因になると考えられる。排気ガス浄化用触媒組成物は、メソ細孔の細孔容積V1が0.03cm/g以上0.10cm/g以下の範囲内のBEA型ゼオライトを含むため、また、BEA型ゼオライトの骨格構造の欠損の起因となるメソ細孔容積V1が低減されているため、厳しい熱環境下におかれた場合であっても、BEA型ゼオライトの骨格構造を維持し、耐熱性をより向上することができる。
メソ細孔容積V1は、ISO 15901−2に記載のBJH法(Barrett−Joyner−Halenda法)による窒素吸着等温線から算出される、細孔径2nm以上50nm以下である細孔の合計の容積をいう。
排気ガス浄化用触媒組成物に含まれるBEA型ゼオライトは、リンを実質的に含まないことが好ましい。「リンを実質的に含まない」とは、BEA型ゼオライト又は排気ガス浄化用触媒組成物に意図的にリンが添加されていないことをいい、BEA型ゼオライトの全体量に対するリンの含有量が、0.01質量%以下であることをいう。排気ガス浄化用触媒組成物に含まれるBEA型ゼオライトは、リンを実質的に含んでおらず、リンが意図的に添加されていない場合であっても、メソ細孔容積を低減することができ、厳しい熱環境下におかれた場合であっても、BEA型ゼオライトの骨格構造を維持することができ、耐熱性を向上することができる。リンの含有量は、ゼオライトに含まれるAlに対するPのモル比(P/Al比)で表される場合がある。P/Al比が0の場合は、BEA型ゼオライト又は排気ガス浄化用触媒組成物にリンが含まれていないことを表す。
BEA型ゼオライトには、BJH法により測定される細孔径2nm以上50nm以下の範囲であるメソ細孔と、細孔径が2nm以下であるマイクロ細孔が含まれる。ここで細孔径とは、IZAが定める結晶学的なチャンネル直径(Crystallographic free diameter of the channels)を示す。細孔径とは、細孔(チャンネル)の形状が真円形の場合は、その平均直径を意味する。細孔の形状が楕円形などの一方向に長い形状である場合には、短径を意味する。
BEA型ゼオライトは、BJH法により測定される細孔径2nm以上50nm以下の範囲であるメソ細孔容積V1に対する、SF法により測定されるマイクロ細孔容積V2の細孔容積比(V2/V1)が2.0以上であることが好ましい。排気ガス中の炭化水素(HC)は、BEA型ゼオライトのマイクロ細孔に吸着される。BEA型ゼオライトのメソ細孔容積V1に対するマイクロ細孔容積V2の細孔容積比(V2/V1)が2.0以上であれば、炭化水素(HC)の吸着性能に優れる。BEA型ゼオライトの細孔容積比(V2/V1)は、より好ましくは2.5以上であり、さらに好ましくは3.0以上であり、特に好ましくは3.2以上である。厳しい熱環境下におかれた場合であっても骨格構造を維持するために、BEA型ゼオライトの細孔容積比(V2/V1)は、10以下であってもよく、9.0以下であってもよく、8.0以下であってもよく、7.5以下であってもよい。
マイクロ細孔容積V2は、ISO 15901−3(JIS Z8831−3)に記載の定数を使用して、SF法(Saito−Foley法)による窒素吸着等温線から算出される、細孔径0nm以上2nm以下である細孔の合計の容積である。メソ細孔容積V1及びマイクロ細孔容積V2を測定する際には、測定対象となる試料は、予め付着している水又は有機物などの吸着揮発性物質を除去するために、後述する実施例に記載の条件にて、加熱しながら真空排気をする前処理を行う。
BEA型ゼオライトのBET比表面積は、650m/g以上であることが好ましい。BEA型ゼオライトのBET比表面積が650m/g以上と大きいと、BEA型ゼオライトに含まれるマイクロ細孔容積が大きくなり、炭化水素(HC)の吸着性能に優れる。BEA型ゼオライトのBET比表面積は、655m/g以上であることがより好ましい。厳しい熱環境下におかれた場合であっても、骨格構造を維持するために、BEA型ゼオライトのBET比表面積は750m/g以下であることが好ましく、700m/g以下であってもよい。
BEA型ゼオライトのSiO/Alモル比は50以下であることが好ましい。BEA型ゼオライトのSiO/Alモル比は、10以上50以下の範囲内であることがより好ましく、15以上40以下の範囲内であることがさらに好ましい。BEA型ゼオライトのSiO/Alモル比は、30以下であってもよい。BEA型ゼオライトのSiO/Alモル比が50以下であると、厳しい熱環境におかれた場合でも、BEA型ゼオライトの骨格構造を維持し、高い炭化水素(HC)吸着能を維持して、耐熱性を向上することができる。BEA型ゼオライトのSiO/Alモル比が10以上50以下の範囲内であれば、吸着した炭化水素(HC)を浄化する際の酸化反応の活性点となるブレンステッド酸点を十分に有し、炭化水素の浄化性能を向上することができる。BEA型ゼオライト中のSiO/Alモル比は、後述する実施例の方法、組成分析装置として、蛍光X線分析装置(例えば株式会社リガク製)を用いてBEA型ゼオライト中のアルミニウム(Al)量及びケイ素(Si)量を測定し、得られた測定値からSiO/Alモル比を算出することができる。
以下の条件1でBEA型ゼオライトの熱耐久試験を行い、熱耐久試験前のBEA型ゼオライトのX線回折スペクトルの回折角度2θ=22.4°±1.0°における最大ピーク強度をIb、熱耐久試験後のBEA型ゼオライトのX線回折スペクトルの回折角度2θ=22.4°±1.0°における最大ピーク強度をIaとしたとき、Ibに対するIaの割合で表される結晶度維持率が40%以上であることが好ましい。BEA型ゼオライトの熱耐久試験前後の結晶度維持率が、40%以上であると、BEA型ゼオライトは、厳しい熱環境下におかれた場合であっても骨格構造が維持されており、耐熱性が向上されている。BEA型ゼオライトの熱耐久試験後の結晶度維持率は、より好ましくは42%以上であり、さらに好ましくは44%以上である。BEA型ゼオライトの熱耐久試験後の結晶度維持率は、90%以下であってもよく、85%以下であってもよく、80%以下であってもよく、75%以下であってもよく、70%以下であってもよく、65%以下であってもよい。
条件1:熱耐久試験
水分を10体積%含有する空気雰囲気において、Cを70mL/分、Oを70mL/分及びNを含むモデルガスを流量3L/分で80秒間流通し、空気を流量3L/分で20秒間流通するサイクルを、1000℃で25時間連続して行う。
熱耐久試験において、モデルガス及び空気は、それぞれガス中のHOが10体積%となるように、温度により飽和水蒸気圧を調製し、水入りタンクから気化させた水蒸気をモデルガス及び空気中に混入させることが好ましい。熱耐久試験前後のBEA型ゼオライトのX線回折スペクトルは、X線回折装置(例えばMiniFlex600、株式会社リガク製)を用いて測定することができる。結晶度維持率は、具体的には、下記式(1)により算出することができる。
(1)結晶度維持率=(熱耐久試験後のBEA型ゼオライトの最大ピーク強度Ia/熱耐久試験前のBEA型ゼオライトの最大ピーク強度Ib)×100
BEA型ゼオライトは、前記条件1の熱耐久試験を行ったときの、熱耐久試験前のBET比表面積Sb100%に対する、熱耐久試験後のBET比表面積Saの割合で表される比表面積維持率が20%以上である、ことが好ましい。熱耐久試験前後において、BEA型ゼオライトのBET比表面積維持率が20%以上であると、BEA型ゼオライトが、厳しい熱環境下におかれた場合であっても、マイクロ細孔が維持されており、炭化水素(HC)の高い吸着性能が維持されている。BEA型ゼオライトの熱耐久試験後のBET比表面積維持率は、より好ましくは22%以上であり、さらに好ましくは24%以上であり、特に好ましくは25%以上である。BEA型ゼオライトの熱耐久試験後のBET比表面積維持率は、70%以下であってもよく、60%以下であってもよく、50%以下であってもよく、45%以下であってもよい。
比表面積維持率は、具体的には、下記式(2)により算出することができる。
(2)BET比表面積維持率=(熱耐久試験後のBEA型ゼオライトのBET比表面積Sa/熱耐久試験前のBEA型ゼオライトのBET比表面積Sb)×100
排気ガス浄化用触媒組成物は、BJH法により測定される細孔径2nm以上50nm以下の範囲であるメソ細孔容積V1が0.03cm/g以上0.10cm/g以下の範囲内であり、全体量に対するリンの含有量が0.01質量%以下であるBEA型ゼオライトからなる排気ガス浄化用触媒組成物であってもよく、BEA型ゼオライト以外の他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、例えば本実施形態のBEA型ゼオライト以外の従来公知の触媒材料などが挙げられる。
BEA型ゼオライトを含む排気ガス浄化用触媒組成物は、900℃以上1100℃以下の温度範囲、例えば900℃以上1000℃以下の温度範囲の高温に晒された場合であっても、骨格構造の欠損の起因となるメソ細孔容積が低減されているため、BEA型ゼオライトの骨格構造が維持されて、安定した炭化水素(HC)の吸着能を示す。BEA型ゼオライトを含む排気ガス浄化用触媒組成物は、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどの化石燃料を動力源とする内燃機関の排気ガス浄化用触媒として、安定した高い排気ガス浄化性能を発揮することができる。特に、本実施形態の排気ガス浄化用触媒組成物は、その高い耐熱性から、自動四輪車や自動二輪車などの内燃機関から排出される排気ガスを浄化するために好適に用いることができる。本実施形態の排気ガス浄化用触媒組成物は、排気ガス中の特に炭化水素(HC)の浄化に有効に用いられる。本実施形態の排気ガス浄化用触媒組成物は、内燃機関の排気通路を流通する排気ガスに含有される炭化水素(HC)の浄化に好適に用いることができ、排気ガス浄化方法に好適に利用することもできる。
排気ガス浄化用触媒組成物は、粉末状、ペースト状、顆粒状などのいずれの形態であってもよい。例えば、本実施形態の排気ガス浄化用触媒組成物は、触媒支持体上に形成される触媒層として用いることができる。触媒支持体としては、例えば、セラミックス又は金属材料からなる支持体を用いることができる。触媒支持体として用いられるセラミックスとしては、アルミナ(Al)、ムライト(3Al−2SiO)、コージェライト(2MgO−2Al−5SiO)、チタン酸アルミニウム(AlTiO)、炭化ケイ素(SiC)などが挙げられる。触媒支持体として用いられる金属材料としては、例えばステンレスなどが挙げられる。触媒支持体の形状としては、特に限定されるものではないが、例えば、ハニカム形状、板形状、ペレット形状当が挙げられる。
本実施形態の排気ガス浄化用触媒組成物を触媒層に用いた触媒構造体は、本実施形態の排気ガス浄化用触媒組成物以外の従来公知の触媒材料からなる触媒層を含んでいてもよい。また、本実施形態の排気ガス浄化用触媒組成物を用いて、触媒支持体上に形成した触媒層を有する触媒構造体は、DPF(Diesel Particulate Filter)やGPF(Gasoline Particulate Filter)として用いることができる。
BEA型ゼオライトの製造方法
次に、本実施形態の排気ガス浄化用触媒組成物に含まれるBEA型ゼオライトの製造方法について説明する。
本発明の実施形態の一例である、BEA型ゼオライトの製造方法は、シリカ源、アルミナ源、アルカリ金属源、有機構造規定剤(テンプレート)、及び水を含む反応混合物を準備する工程と、前記反応混合物を加熱し結晶化させてBEA型ゼオライトを得る工程とを含み、有機構造規定剤(Organic Structure−Directing Agent:OSDA、「鋳型分子(template)」とも称する。)がテトラエチルアンモニウムブロミド(TEABr)及びテトラエチルアンモニウムヒドロキシド(TEAOH)であり、反応混合物が以下のモル比で表される組成を有する。反応混合物中の各成分のモル比は、シリカ源、アルミナ源、アルカリ金属源、及び有機構造規定剤の各原料の仕込み量から換算することができる。
(TEABr+TEAOH)/Si比=0.25以上0.89以下
TEAOH/(TEABr+TEAOH)比=0.75を超えて0.99以下
SiO/Alモル比=10以上50以下
反応混合物において、(TEABr+TEAOH)/Si比が0.25以上0.89以下であると、ゼオライトの骨格を形成するSiOに対して、有機構造規定剤となるTEABr及びTEAOHのモル量が比較的少なく、製造されるBEA型ゼオライトに含まれるメソ細孔容積を低減し、マイクロ細孔容積を増加させて、炭化水素(HC)の吸着性能に優れるBEA型ゼオライトを製造することができる。また、比較的高価な有機構造規定剤の使用量を低減し、安価にBEA型ゼオライトを製造することができる。反応混合物において、(TEABr+TEAOH)/Si比は、好ましくは0.50以下であり、より好ましくは0.40以下であり、さらに好ましくは0.36以下である。
反応混合物において、TEAOH/(TEABr+TEAOH)比が0.75を超えて0.99以下であると、有機構造規定剤の対アニオンとして含まれるメソ細孔を生成しやすい水酸化物イオンを有するテトラエチルアンモニウムヒドロキシドの量を低減することができる。メソ細孔が生成すると、厳しい熱環境下におかれた場合に、構造の欠損が増大する場合がある。また、有機構造規定剤中に、水中で水酸化物イオンを生成するテトラエチルアンモニウムヒドロキシドが含まれていると、ゼオライトの骨格構造を形成するSi、Alなどの金属成分を水中に溶解させる鉱化剤として作用するアルカリ金属源のモル比を低減することができ、アルカリ金属源に含まれるメソ細孔生成の主要な要因である水酸化物イオンの量を低減することができる。反応混合物において、TEAOH/(TEABr+TEAOH)比は、好ましくは0.76以上0.98以下であり、より好ましくは0.77以上0.97以下であり、さらに好ましくは0.78以上0.96以下である。
反応混合物において、SiO/Alモル比が、10以上50以下であると、SiO/Alモル比が50以下のBEA型ゼオライトを得ることができる。得られたBEA型ゼオライトは、SiO/Alモル比が50以下であり、厳しい熱環境下におかれた場合であっても骨格構造を維持することができ、高い炭化水素(HC)吸着能を維持して、耐熱性を向上させることができる。反応混合物において、SiO/Alモル比は、15以上40以下であることがより好ましい。反応混合物において、SiO/Alモル比は、30以下であってもよい。
反応混合物は、以下のモル比で表される組成を有することが好ましい。
M(アルカリ金属)/Si比=0.15以上0.20以下
反応混合物において、M/Si比が0.15以上0.20以下であると、ゼオライトの骨格構造を形成するSi、Alなどの金属成分を水中に溶解させる鉱化剤として作用するアルカリ金属源のモル比を低減することができ、アルカリ金属源に含まれるメソ細孔に付着しやすい水酸化物イオンの量を低減することができる。反応混合物において、M/Si比が0.15以上0.18以下であることがより好ましい。M(アルカリ金属)が例えばNaである場合は、M/Si比は、Na/Si比として表すことができる。
反応混合物に含まれるシリカ源は、シリカそのもの及び水中でケイ酸イオンの生成が可能なケイ素含有化合物を用いることができる。具体的には、湿式法シリカ、乾式法シリカ、コロイダルシリカ、ケイ酸ナトリウム、アルミノシリケートゲルなどが挙げられる。これらのシリカ源は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのシリカ源のなかでも、副生物が生成されにくく、目的とするBEA型ゼオライトを製造することができるため、シリカ(二酸化ケイ素)やアルミノシリケートゲル、コロイダルシリカを用いることが好ましい。
反応混合物に含まれるアルミナ源は、例えば水溶性アルミニウム含有化合物を用いることができる。具体的には、アルミン酸ナトリウム、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、アルミノシリケートゲルなどが挙げられる。これらのアルミナ源は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのアルミナ源のなかでも、副生物が生成されにくく、目的するBEA型ゼオライトを製造することができるため、アルミン酸ナトリウム又はアルミノシリケートゲルを用いることが好ましい。
アルカリ金属源としては、例えば水酸化ナトリウムを用いることができる。なお、シリカ源としてケイ酸ナトリウムを用いた場合やアルミナ源としてアルミン酸ナトリウムを用いた場合、そこに含まれるアルカリ金属成分であるナトリウムは、アルカリ金属成分でもある。アルカリ金属源は、反応混合物中の全てのアルカリ金属成分の和として算出される。
有機構造規定剤は、テトラエチルアンモニウムブロミド(TEABr)及びテトラエチルアンモニウムヒドロキシド(TEAOH)が含まれる。有機構造規定剤は、テトラエチルアンモニウムブロミド(TEABr)及びテトラエチルアンモニウムヒドロキシド(TEAOH)からなるものであってもよい。
反応混合物には、意図的にリンが添加されていない。反応混合物に意図的にリンが添加されていないため、反応混合物から得られるBEA型ゼオライトは、リンを実質的に含んでおらず、全体量に対するリンの含有量が、0.01質量%以下である。なお、従来、厳しい熱環境下においても構造を維持できるBEA型ゼオライトとして、リンで修飾したBEA型ゼオライトが知られている(例えば、国際公開2018−131195号。)。これに対し、本実施形態のBEA型ゼオライトの製造方法は、意図的にリンが添加されていないため、リンが添加されることによる製造コストを低減することができ、リンを含む排水処理が不要となる。
反応混合物を準備する工程
反応混合物を準備する際の各原料の添加順序は、均一に混合された反応混合物が得られ易い方法を採用することができる。例えば、室温下、鉱化剤として作用する水酸化ナトリウム水溶液にアルミナ源を添加して溶解させ、次いでシリカ源を添加して撹拌混合することにより、均一に混合した反応混合物を得ることができる。アルミナ源としてアルミノシリケートゲルを用いる場合は、水にアルミノシリケートゲルを入れてゲルスラリーとし、他の原料を添加した後の水酸化ナトリウム水溶液を投入する方法を採用することができる。アルミナ源の添加順序は、この順序に限定されることなく、水にアルミノシリケートゲルを入れたゲルスラリーを他の原料とともに水酸化ナトリウム水溶液に混合してもよい。反応混合物を調製するときの温度は、一般的には室温(20℃から25℃)で反応混合物を準備することができる。
結晶化させる工程
反応混合物は、100℃以上200℃以下の温度で加熱し結晶化させてBEA型ゼオライトを得ることができる。反応混合物に行う加熱を第1加熱又は第1熱処理とも称する。第1加熱は、反応混合物を静置させて行ってもよく、反応混合物を撹拌しながら行ってもよい。加熱温度は、120℃以上180℃以下の温度であってもよい。加熱時間は、5時間以上150時間以内であってもよく、10時間以上100時間以内であってもよく、20時間以上50時間以内であってもよい。加熱は、大気圧下で行っても良く、加圧下で行ってもよい。
反応混合物は、加熱前に、加熱温度よりも低い温度で一定時間静置し、熟成を行ってもよい。熟成は、結晶化させる際の加熱温度よりも低い温度で、一定時間同じ温度で反応混合物を保持することをいう。熟成温度は、室温(20℃から25℃)以上100℃以下の温度でもよく、熟成時間は、5時間24時間以内であってもよい。
加熱後、結晶化した粉末は、ろ過によって母液と分離し、水又は温水で洗浄して乾燥して、BEA型ゼオライトを得ることができる。得られたBEA型ゼオライトは、加熱して、骨格構造中に残存する有機物を除去する。骨格構造中に残存する有機物を除去するための加熱を第2加熱又は第2熱処理とも称する。第2加熱は、有機物が除去できる温度であればよく、500℃以上800℃以下の範囲で行うことが好ましい。また、得られたBEA型ゼオライトの骨格構造を維持するために、加熱温度まで、5時間以上かけて昇温することが好ましく、加熱温度まで昇温した後に加熱温度を維持する加熱時間は0.5時間以上3時間以内であることが好ましい。
第2加熱を行った後のBEA型ゼオライトは、結晶内のアルカリ金属イオンをアンモニウムイオン(NH )にイオン交換し、さらに加熱してH型の固体酸触媒としてもよい。H型の固体酸触媒とする場合の加熱を第3加熱又は第3熱処理とも称する。第3加熱は、300℃以上600℃以下の範囲で行うことが好ましい。また、第3加熱は、1時間以上5時間以内行うことが好ましい。また、第2加熱を行った後のBEA型ゼオライトは吸着剤としても使用することができる。
本実施形態の一例によって得られたBEA型ゼオライトは、BJH法により測定される細孔径2nm以上50nm以下の範囲であるメソ細孔容積V1が0.03cm/g以上0.10cm/g以下の範囲内であり、全体量に対するリンの含有量が0.01質量%以下である。また、BEA型ゼオライトは、細孔容積比(V2/V1)が2.0以上であり、BET比表面積が650m/g以上であり、SiO/Alモル比が50以下である。本実施形態の一例によって得られたBEA型ゼオライトは、排気ガス浄化用触媒組成物に用いることができる。
以下、本発明を実施例及び比較例に基づいてさらに詳述する。本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
実施例1
反応混合物の準備
脱イオン水、シリカ源(シリカゾル(酸性ゾル)スノーテックス(登録商標)ST−O、日産化学株式会社製)及びアルミナ源(アルミン酸ナトリウム)を混合し得られた含水アルミノシリケートゲルに、アルカリ金属源として水酸化ナトリウム、有機構造規定剤として、テトラエチルアンモニウムブロミド(以下、TEABr)及びテトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(以下、TEAOH)を混合した。各原料の仕込み組成が、以下のモル比となるように混合して反応混合物を得た。
SiO/Alモル比=24.5
Na/Si比=0.18
TEAOH/Si比=0.21
TEABr/Si比=0.06
加熱・結晶化
得られた反応混合物を密閉容器内に充填し、20回転/分で回転させながら、160℃で48時間加熱し結晶化させた。結晶化後の結晶粉末を固液分離し、固液分離した結晶化粉末を、ろ液のpHが中性になるまで脱イオン水で洗浄し、乾燥させてBEA型ゼオライトを得た。
固体酸触媒
得られたBEA型ゼオライトを大気雰囲気中、600℃まで10時間かけて昇温後、1時間熱処理したのち、塩化アンモニウム水溶液を用いてイオン交換をし、NH型のBEA型ゼオライトとした。乾燥後、大気雰囲気中、550℃で3時間熱処理し、H型のBEA型ゼオライトとした。このH型のBEA型ゼオライトを排気ガス浄化用触媒組成物とした。
実施例2
TEAOH/Si比=0.22、TEABr/Si比=0.03となるように仕込み組成のモル比を変えた反応混合物を用いたこと以外は実施例1と同様の方法により、H型のBEA型ゼオライトからなる排気ガス浄化用触媒組成物を得た。
実施例3
TEAOH/Si比=0.22、TEABr/Si比=0.06となるように仕込み組成のモル比を変えた反応混合物を用いたこと以外は実施例1と同様の方法により、H型のBEA型ゼオライトからなる排気ガス浄化用触媒組成物を得た。
実施例4
TEAOH/Si比=0.23、TEABr/Si比=0.04となるように仕込み組成のモル比を変えた反応混合物を用いたこと以外は実施例1と同様の方法により、H型のBEA型ゼオライトからなる排気ガス浄化用触媒組成物を得た。
実施例5
TEAOH/Si比=0.25、TEABr/Si比=0.02となるように仕込み組成のモル比を変えた反応混合物を用いたこと以外は実施例1と同様の方法により、H型のBEA型ゼオライトからなる排気ガス浄化用触媒組成物を得た。
実施例6
TEAOH/Si比=0.23、TEABr/Si比=0.06となるように仕込み組成のモル比を変えた反応混合物を用いたこと以外は実施例1と同様の方法により、H型のBEA型ゼオライトからなる排気ガス浄化用触媒組成物を得た。
実施例7
TEAOH/Si比=0.25、TEABr/Si比=0.06となるように仕込み組成のモル比を変えた反応混合物を用いたこと以外は実施例1と同様の方法により、H型のBEA型ゼオライトからなる排気ガス浄化用触媒組成物を得た。
実施例8
TEAOH/Si比=0.27、TEABr/Si比=0.07となるように仕込み組成のモル比を変えた反応混合物を用いたこと以外は実施例1と同様の方法により、H型のBEA型ゼオライトからなる排気ガス浄化用触媒組成物を得た。
実施例9
TEAOH/Si比=0.28、TEABr/Si比=0.08となるように仕込み組成のモル比を変えた反応混合物を用いたこと以外は実施例1と同様の方法により、H型のBEA型ゼオライトからなる排気ガス浄化用触媒組成物を得た。
比較例1
H型のBEA型ゼオライト(品名:CZB30、クラリアント社製)を、排気ガス浄化用触媒組成物として用意した。
比較例2
TEAOH/Si比=0.20、TEABr/Si比=0.04となるように仕込み組成のモル比を変えた反応混合物を用いたこと以外は実施例1と同様の方法により、H型のBEA型ゼオライトからなる排気ガス浄化用触媒組成物を得た。
測定試料の調製方法
BEA型ゼオライトからなる排気ガス浄化用触媒組成物を直径30mmの塩化ビニル管に詰め、圧縮成型して測定試料を調製した。
各成分のモル比
走査型蛍光X線分析装置(型番:ZSX PrimusII、株式会社リガク製)を用いて、実施例及び比較例のBEA型ゼオライトからなる排気ガス浄化用触媒組成物の各測定試料中のSi量及びAl量を測定し、得られたSi量及びAl量からモル比としてSiO/Alモル比を算出した。また、前記装置を用いて、各測定試料中のP量及びAl量を測定し、P/Al比を算出した。
メソ細孔容積V1及びマイクロ細孔容積V2
窒素吸着等温線測定
メソ細孔容積V1、マイクロ細孔容積V2は、窒素吸着等温線から算出した。
BEA型ゼオライトからなる排気ガス浄化用触媒組成物の窒素吸着等温線は、高精度ガス/蒸気吸着量測定装置(型番:BELSORP−maxII、マイクロトラックベル株式会社製)を用いて、高純度窒素ガスを77Kで試料に吸着させ、容量法により測定した。測定試料は、乾燥重量で0.1g〜0.2gを試料管に秤量した。測定前処理は、510℃で真空排気(1×10−5kPa)を8時間以上行った。窒素吸着等温線は、相対圧(P/P)1×10−5以下から測定した。
メソ細孔容積V1の測定方法
メソ細孔容積V1は、ISO 15901−2に記載のBJH法(Barrett−Joyner―Halenda法)に従い、測定して得られた窒素吸着等温線から、メソ細孔分布及びメソ細孔容積算出した。算出には、脱離曲線を使用し、窒素分子の吸着断面積は0.1620nmとして算出した。細孔径が2nm以上50nm以下の範囲の細孔容積をメソ細孔容積V1とした。
マイクロ細孔容積V2の測定方法
マイクロ細孔容積V2は、ISO 15901−3に記載のSF法(Saito−Foley法)に従い、測定して得られた窒素吸着等温線から、マイクロ細孔分布及びマイクロ細孔容積を算出した(A.Saito,H.C.Foley,Microporous Materials,3(1995)531)。マイクロ細孔容積の算出に使用した物理定数、吸着材及び吸着質ガスのパラメータは、Physical Parameters for Microporo Size Calculation(ISO 15901−3、JIS Z8831−3)に記載の定数を使用した。窒素分子の吸着断面積は0.1620nmとして算出した。細孔径が0nm以上2nm以下の範囲の細孔容積をマイクロ細孔容積V2とした。
BET比表面積
ISO 9277(JIS Z8330:2013)に準拠して測定した窒素吸着等温線からBET法により、実施例及び比較例の各排気ガス浄化用触媒組成物の比表面積を算出した。
熱耐久試験
BEA型ゼオライトからなる排気ガス浄化用触媒組成物に対して、下記の条件1の熱耐久試験を行った。
条件1:
水分を10体積%含有する空気雰囲気において、Cを70mL/分、Oを70mL/分及びNを含むモデルガスを流量3L/分で80秒間流通し、空気を流量3L/分で20秒間流通するサイクルを、1000℃で25時間連続して行う。
モデルガス及び空気は、それぞれ10体積%HOとなるように水入りタンクより気化させた水蒸気を混入させた。温度により飽和水蒸気圧を調整し、上記体積%の水蒸気量とした。
結晶度維持率
各BEA型ゼオライトからなる排気ガス浄化用触媒組成物について、前記条件1の熱耐久試験を行った。BEA型ゼオライトからなる排気ガス浄化用触媒組成物の熱耐久試験前後のX線回折スペクトルを、X線回折装置(型番:MiniFlex600、株式会社リガク製)を用いて測定した。図1に熱耐久試験前後の実施例1に係るBEA型ゼオライトからなる排気ガス浄化用触媒組成物のX線回折スペクトルを示した。図1中、縦軸の強度の単位は任意単位(a.u.)である。熱耐久試験前のBEA型ゼオライトのX線回折スペクトルの回折角度2θ=22.4°±1.0°における最大ピーク強度をIb、熱耐久試験後のBEA型ゼオライトのX線回折スペクトルの回折角度2θ=22.4°±1.0°の最大ピーク強度をIaとした。最大ピーク強度Ibに対する最大ピーク強度Iaの割合を、結晶度維持率として算出した。具体的には、下記式(1)により、結晶度維持率を算出した。
(1)結晶度維持率=(熱耐久試験後の最大ピーク強度Ia/熱耐久試験前の最大ピーク強度Ib)×100
比表面積維持率
実施例及び比較例の各BEA型ゼオライトからなる排気ガス浄化用触媒組成物について、前述の条件1の熱耐久試験前後のBET比表面積を前述の方法で測定し、熱耐久試験前のBET比表面積に対する熱耐久試験後のBET比表面積の割合を、BET比表面積維持率として算出した。具体的には、下記式(2)により、BET比表面積維持率を算出した。
(2)比表面積維持率(%)=(熱耐久試験後のBEA型ゼオライトのBET比表面積Sa/熱耐久試験前のBEA型ゼオライトのBET比表面積Sb)×100
Figure 2021146226
表1に示すように、実施例1から9のBEA型ゼオライトからなる排気ガス浄化用触媒組成物は、メソ細孔の細孔容積V1が0.03cm/g以上0.10cm/g以下の範囲内であり、熱耐久試験後の結晶度維持率が40%以上であり、比表面積維持率も20%以上であり、熱耐久試験後も骨格構造が維持されており、耐熱性が向上されていた。実施例1から9のBEA型ゼオライトからなる排気ガス浄化用触媒組成物は、熱耐久試験前のBET比表面積が650m/g以上と大きいため、マイクロ細孔が多く、炭化水素(HC)の吸着性能に優れると推測された。図1に示すように熱耐久試験前後のBEA型ゼオライトからなる排気ガス浄化用触媒組成物のX回折スペクトルには、回折角度2θ=22.4°±1.0°における最大のピーク強度Ib及びIaが現れていた。
実施例及び比較例の各BEA型ゼオライトからなる排気ガス浄化用触媒組成物は、意図的にリンが添加されていないため、P/Al比は0であった。
比較例1の市販のBEA型ゼオライトからなる排気ガス浄化用触媒組成物は、メソ細孔容積V1が0.10cm/gを超えて大きいため、厳しい熱環境に置かれた場合に、骨格構造を維持できなかった。比較例2のBEA型ゼオライトからなる排気ガス浄化用触媒組成物は、(TEABr+TEAOH)/Siが0.24と小さく、ゼオライトの骨格を形成するSiOに対して、有機構造規定剤となるTEABr及びTEAOHのモル量が少なくなり、製造されたBEA型ゼオライトはメソ細孔容積V1が0.10cm/gを超えて多くなり、前記条件1の熱耐久試験を行った場合に、結晶度維持率が40%未満と低くなり、比表面積維持率も20%未満と低くなった。
本開示に係る排気ガス浄化用触媒組成物は、厳しい熱環境下におかれた場合であっても、骨格構造を維持し、優れた炭化水素(HC)の浄化性能を維持して、耐熱性をより向上することができる。よって、本開示に係る排気ガス浄化用触媒組成物は、自動四輪車や自動二輪車などの内燃機関から排出される排気ガスを浄化するために好適に用いることができる。

Claims (8)

  1. BEA型ゼオライトを含む排気ガス浄化用触媒組成物であって、
    前記BEA型ゼオライトは、BJH法により測定される細孔径2nm以上50nm以下の範囲であるメソ細孔容積V1が0.03cm/g以上0.10cm/g以下の範囲内であり、全体量に対するリンの含有量が0.01質量%以下である、排気ガス浄化用触媒組成物。
  2. 前記BEA型ゼオライトが、BJH法により測定される細孔径2nm以上50nm以下の範囲であるメソ細孔容積V1に対する、SF法により測定される細孔径2nm以下であるマイクロ細孔容積V2の細孔容積比(V2/V1)が2.0以上である、請求項1に記載の排気ガス浄化用触媒組成物。
  3. 前記BEA型ゼオライトのBET比表面積が650m/g以上である、請求項1又は2に記載の排気ガス浄化用触媒組成物。
  4. 前記BEA型ゼオライトのSiO/Alモル比が50以下である、請求項1から3のいずれか1項に記載の排気ガス浄化用触媒組成物。
  5. 前記BEA型ゼオライトが、以下の条件1で熱耐久試験を行い、熱耐久試験前のBEA型ゼオライトのX線回折スペクトルの回折角度2θ=22.4°±1.0°における最大ピーク強度をIb、熱耐久試験後のBEA型ゼオライトのX線回折スペクトルの回折角度2θ=22.4°±1.0°における最大ピーク強度をIaとしたとき、Ibに対するIaの割合で表される結晶度維持率が40%以上である、請求項1から4のいずれか1項に記載の排気ガス浄化用触媒組成物。
    条件1:熱耐久試験
    水分を10体積%含有する空気雰囲気において、Cを70mL/分、Oを70mL/分及びNを含むモデルガスを流量3L/分で80秒間流通し、空気を流量3L/分で20秒間流通するサイクルを、1000℃で25時間連続して行う。
  6. 前記BEA型ゼオライトが、以下の条件1の熱耐久試験を行ったときの、熱耐久試験前のBET比表面積Sb100%に対する、熱耐久試験後のBET比表面積Saの割合で表される比表面積維持率が20%以上である、請求項1から5のいずれか1項に記載の排気ガス浄化用触媒組成物。
    条件1:熱耐久試験
    水分を10体積%含有する空気雰囲気において、Cを70mL/分、Oを70mL/分及びNを含むモデルガスを流量3L/分で80秒間流通し、空気を流量3L/分で20秒間流通するサイクルを、1000℃で25時間連続して行う。
  7. シリカ源、アルミナ源、アルカリ金属源、有機構造規定剤、及び水を含む反応混合物を準備する工程と、
    前記反応混合物を加熱し、結晶化させてBEA型ゼオライトを得る工程を含み、
    前記有機構造規定剤は、テトラエチルアンモニウムブロミド(TEABr)及びテトラエチルアンモニウムヒドロキシド(TEAOH)を含み、
    前記反応混合物が、以下のモル比で表される組成を有する、BEA型ゼオライトの製造方法。
    (TEABr+TEAOH)/Si比=0.25以上0.89以下
    TEAOH/(TEABr+TEAOH)比=0.75を超えて0.99以下
    SiO/Alモル比=10以上50以下
  8. 前記反応混合物が、以下のモル比で表される組成を有する、請求項7記載のBEA型ゼオライトの製造方法。
    M/Si比=0.15以上0.20以下
    (式中、Mはアルカリ金属を表す。)
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