JP2021143687A - 密封構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】騒音を低減する。【解決手段】密封構造1は、軸3の外周面に対して摺動可能に接触して、軸3とハウジング2との間を密封する密封装置10と、軸線x方向において密封装置10の外側に設けられていて、軸3に固定されている環状のスリンガ20と、を備える。密封装置10は、軸3とハウジング2との間に取り付けられていて、軸線x周りに環状の補強環6を備える。また、密封装置10は、第1補強環11に取り付けられていて、軸線x周りに環状の弾性体からなり少なくとも一部が軸xに対して接触可能に形成されている弾性体部4と、第1補強環11及び第2補強環15とスリンガ20との間の間隙Sに設けられている遮音部材5と、を備える。遮音部材5は、間隙Sにおいて、第1補強環11及び第2補強環15またはスリンガ20のいずれか一方に固定されていて他方に対して摺動可能な摺動面51を有している。【選択図】図2
Description
本発明は、密封構造に関する。
車両のデファレンシャルギヤなど、機外からの泥水等に曝されやすい軸の周囲を密封するために、軸と外周側部材との間を密封する密封装置と、軸線方向において密封装置の外側に設けられ軸に固定されている環状のスリンガと、を備える密封構造が知られている。
密封構造において、例えば、ダストカバーに摺動可能に密接される対泥水シールリップを備え、ダストカバーに形成された外周筒部がオイルシールの第一の金属環に形成された外周筒部の外周側を包囲する技術が開示されている(例えば、特許文献1を参照)。
しかしながら、特許文献1のような密封構造においては、対泥水シールリップがダストカバーに摺動する際、潤滑状態によっては摩擦音(いわゆる鳴き)が発生する場合がある。この摩擦音は、ダストカバーから密封構造の外部に伝わり、騒音の一因となっていた。
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、騒音を低減することができる密封構造を提供することである。
上記目的を達成するために、本発明に係る密封構造は、軸と、前記軸よりも外周側において軸線周りに配置された外周側部材との間に取り付けられ、前記軸の外周面に対して摺動可能に接触して、前記軸と前記外周側部材との間を密封する密封装置と、軸線方向において前記密封装置の外側に設けられていて、前記軸に固定されている環状のスリンガと、を備える密封構造であって、前記密封装置は、前記軸と前記外周側部材との間に取り付けられていて、前記軸線周りに環状の補強環と、前記補強環に取り付けられていて、前記軸線周りに環状の弾性体からなり少なくとも一部が前記軸に対して接触可能に形成されている弾性体部と、前記補強環と前記スリンガとの間の間隙に設けられている遮音部材と、を備え、前記遮音部材は、前記間隙において、前記補強環または前記スリンガのいずれか一方に固定されていて他方に対して摺動可能な摺動面を有している。
本発明の一態様に係る密封構造において、前記補強環は、前記軸線周りに円盤状の補強環円盤部と、前記補強環円盤部と連続的に形成されていて前記軸線周りに円筒状の補強環円筒部と、を有し、前記スリンガは、前記軸線周りに円盤状のスリンガ円盤部と、前記スリンガ円盤部と連続的に形成されていて前記軸線周りに円筒状のスリンガ円筒部と、を有し、前記補強環円筒部は、外周側面が前記スリンガ円筒部の内周側面と向かい合うように設けられていて、前記遮音部材は、前記間隙において前記補強環円筒部の外周側面と前記スリンガ円筒部の内周側面との間に設けられている。
本発明の一態様に係る密封構造において、前記遮音部材は、前記間隙において環状に形成されている遮音性を有する繊維材料である。
本発明の一態様に係る密封構造において、前記遮音部材は、前記摺動面と前記補強環または前記スリンガのいずれか一方との間に潤滑剤が塗布されている。
本発明の一態様に係る密封構造において、前記密封装置は、前記弾性体部が、前記補強環から前記軸線方向に延び先端が前記軸の外周面に接触可能に形成されているリップ部と、前記補強環から前記軸線方向において前記密封装置の外側に延び先端が前記スリンガの内側の面に接触可能に形成されているサイドリップ部と、を有している。
本発明に係る密封構造によれば、騒音を低減することができる。
<第1の実施の形態>
以下、本発明の第1の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
以下、本発明の第1の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る密封構造1の概略構成を示す断面図である。図2は、本発明の第1の実施の形態に係る密封構造1の使用状態における概略構成を示す断面図である。
以下、説明の便宜上、図面において密封構造1よりも符号a側を軸線方向において外側、密封構造1よりも符号b側を軸線方向において内側とする。ここで、外側とはハウジング2及びスリンガ20の外部であって泥水等が存在する側であり、内側とはハウジング2の内側である。また、軸線xに垂直な方向(以下、径方向ともいう。)において、軸線xから遠ざかる方向を外周側とし(矢印c方向)、軸線xに向かう方向を内周側とする(矢印d方向)。
図2に示すように、第1の実施の形態に係る密封構造1は、例えば、車両のデファレンシャルギヤなど、機外からの泥水等に曝されやすい軸の周囲を密封するために適用される。密封構造1は、軸3と外周側部材としてのハウジング2との間を密封する密封装置10と、軸線x方向において密封装置10の外側に設けられ軸3に固定されている環状のスリンガとしてのスリンガ20と、を備える。
図2に示すように、密封構造1は、ハウジング2の開口部2aと軸3の外周面部3gとの間の環状の隙間に嵌着されるものである。密封構造1は、軸3の外周面部3gに摺動可能に接触して、軸3とハウジング2との間を密封する。密封構造1は、軸3の軸線x周りに環状の第1補強環11及び第2補強環15と、第1補強環11及び第2補強環15と一体に取り付けられて軸線x周りに環状の弾性体からなる弾性体部4とを備えている。ここで、軸3の軸線xは、密封構造1の軸線xともに一致していることを前提とする。
図1及び図2に示すように、密封構造1は、軸3と、軸3よりも外周側において軸線x周りに配置された外周側部材としてのハウジング2との間に取り付けられる。密封構造1は、軸3の外周面部3gに対して摺動可能に接触して、軸3とハウジング2との間を密封する密封装置10と、軸線x方向において密封装置10の外側に設けられていて、軸3に固定されている環状のスリンガ20と、を備える。密封装置10は、軸3とハウジング2との間に取り付けられていて、軸線x周りに環状の補強環6(第1補強環11及び第2補強環15)を備える。また、密封装置10は、第1補強環11に取り付けられていて、軸線x周りに環状の弾性体からなり少なくとも一部が軸xに対して接触可能に形成されている弾性体部4と、第1補強環11及び第2補強環15とスリンガ20との間の間隙Sに設けられている遮音部材5と、を備える。遮音部材5は、間隙Sにおいて、第1補強環11及び第2補強環15またはスリンガ20のいずれか一方に固定されていて他方に対して摺動可能な摺動面51を有している。以下、密封構造1の構成を具体的に説明する。
補強環6を構成する第1補強環11及び第2補強環15は、図1及び図2に示すように、軸線xを中心又は略中心とする環状の金属製の部材である。第1補強環11及び第2補強環15に用いられる金属製の部材として、例えば、ステンレス鋼やSPCC(冷間圧延鋼)が挙げられる。第1補強環11及び第2補強環15は、このような金属製の部材を例えばプレス加工や鍛造することによって製造される。
第1補強環11は、例えば、圧入円筒部11aと、外周シール保持部11bと、内周円筒部11cと、内径フランジ部11dと、第1補強環円盤部11eと、第1補強環外周円筒部11fとを有している。
圧入円筒部11aは、軸線x方向に延びる円筒状又は略円筒状の部分である。圧入円筒部11aは、使用状態において、ハウジング2の開口部2aの内周面に圧入嵌着される。すなわち、圧入円筒部11aは、図2に示すように、ハウジング2に形成された貫通孔である開口部2aの内周面に嵌合可能となるように形成されている。圧入円筒部11aは、密封装置10がハウジング2の開口部2aの内周面に嵌着された際に、密封装置10の軸線xと軸3の軸線xとの一致が図られるように開口部2aに嵌め込まれる。
外周シール保持部11bは、圧入円筒部11aの内側bの端部から内側bへ向けて漸次小径になるように延びる。外周シール保持部11bは、外周側c及び内側bに弾性体部4が設けられている。外周シール保持部11bには、内側(矢印b方向)かつ内周側(矢印d方向)から包み込むように弾性体部4が取り付けられている。すなわち、外周シール保持部11bは、弾性体部4を補強している。内周円筒部11cは、外周シール保持部11bから外側aに向けて折り返されている、軸線x方向に延びる円筒状又は略円筒状の部分である。内径フランジ部11dは、内周円筒部11cの端部から内周側dへ屈曲した円盤状又は略円盤状の部分である。
第1補強環円盤部11eは、圧入円筒部11aの外側aの端部から外周側cに向かって延びる中空円盤状の部分である。第1補強環円盤部11eは、図2に示すように、使用状態において、ハウジング2の開口部2aの外側aの外面に接してもよい。
第1補強環外周円筒部11fは、第1補強環円盤部11eと連続的に形成されている。第1補強環外周円筒部11fは、第1補強環円盤部11eの外周側cの端部からハウジング2と反対側、すなわち外側aへ屈曲して延びる円筒状又は略円筒状の部分である。第1補強環外周円筒部11fは、図2に示すように、外周側面11gがスリンガ外周円筒部20cの内周側cの面と向かい合うように設けられている。第1補強環外周円筒部11fは、補強環円筒部に対応する。
第1補強環外周円筒部11fは、第1補強環円盤部11eと連続的に形成されている。第1補強環外周円筒部11fは、第1補強環円盤部11eの外周側cの端部からハウジング2と反対側、すなわち外側aへ屈曲して延びる円筒状又は略円筒状の部分である。第1補強環外周円筒部11fは、図2に示すように、外周側面11gがスリンガ外周円筒部20cの内周側cの面と向かい合うように設けられている。第1補強環外周円筒部11fは、補強環円筒部に対応する。
第2補強環15は、第2外周円筒部15aと、第2円盤部15bとを有している。第2外周円筒部15aは、第1補強環11の第1補強環外周円筒部11fの内周側面に圧入嵌着される。第1補強環11の第1補強環外周円筒部11fの先端が、内周側dに向かってカシメられていることによって、第2補強環15の第2外周円筒部15aは、先端部が第1補強環11に対して確実に固定されている。
第2円盤部15bは、第2外周円筒部15aの内側bの端部から内周側dに向かって延びる中空円盤状の部分である。第2円盤部15bは、内側bの部分が第1補強環11の第1補強環円盤部11eと密接されている。第2円盤部15bの内周側dの端部には、外側(矢印a方向)かつ内周側(矢印d方向)から包み込むように弾性体部4が取り付けられている。すなわち、第2円盤部15bは、弾性体部4を補強している。
弾性体部4は、図1及び図2に示すように、補強環6に取り付けられている。弾性体部4は、第1補強環11に取り付けられている第1弾性体部41と、第2補強環15に取り付けられている第2弾性体部42により構成されている。弾性体部4の弾性体としては、例えば、耐油性及び耐熱性に優れた各種ゴム材がある。各種ゴム材としては、例えば、ニトリルゴム(NBR)、水素添加ニトリルゴム(H−NBR)、アクリルゴム(ACM)、フッ素ゴム(FKM)等の合成ゴムである。
第1弾性体部41は、第1補強環11を覆うように第1補強環11と一体的に形成されている。第2弾性体部42は、第2補強環15を覆うように第2補強環15と一体的に形成されている。具体的には、第1弾性体部41及び第2弾性体部42は、成形型を用いて架橋(加硫)成形によって成形される。この架橋成形の際に、第1補強環11及び第2補強環15は、成形型の中に配置されている。第1弾性体部41は、架橋接着により第1補強環11に接着され、第1弾性体部41と第1補強環11とが一体的に成形される。また、第2弾性体部42は、架橋接着により第2弾性体部42に接着され、第2弾性体部42と第1補強環11とが一体的に成形される。
第1弾性体部41は、外周シール部12と、シールリップ13と、ダストリップ14とを有している。
外周シール部12は、第1補強環11において、外周シール保持部11bの内側b及び内周側dの面、及び、内周円筒部11cの内周側dの面に加硫接着されている。外周シール部12は、図2に示すように、使用状態において、ハウジング2の開口部2aの内周面に圧入嵌着される。外周シール部12は、ハウジング2の開口部2aを形成している内周面の内径と同じか、それよりも僅かに大きくなっている。このため、密封装置10がハウジング2の開口部2aに嵌着された場合、外周シール部12は、第1補強環11の外周シール保持部11bとハウジング2との間で径方向に圧縮され、開口部2aを形成しているハウジング2の開口部2aの内周面と第1補強環11の外周シール保持部11bとの間を密封する。なお、外周シール部12は、第1弾性体部41の基部として機能する。
なお、外周シール部12は、図1及び図2に示すように外周シール保持部11b及び内周円筒部11cの全体を覆っているものには限定されない。例えば、外周シール部12は、外周シール保持部11b及び内周円筒部11cの一部を覆うものであってもよい。
シールリップ13は、その根元が第1弾性体部41において第1補強環11の内径フランジ部11dに加硫接着されている。シールリップ13は、先端が軸線x方向において内側b、径方向において内周側dにそれぞれ延び、先端近傍の内周側端部13aが軸3の外周面部3gに摺動可能に接するリップ部として機能する。シールリップ13には、その緊迫力及び径方向追随性を補償するガータスプリング17が装着されている。なお、ガータスプリング17は、金属製に限らず、樹脂製等のその他種々の材料によるものであってもよい。
ダストリップ14は、その根元が第1弾性体部41においてシールリップ13の根元から分岐していて、軸線x方向においてシールリップ13と反対側である外側aに、径方向において内周側dにそれぞれ延び、先端が軸3の外周面部3gに摺動可能に接する。
第2弾性体部42は、基部43と、サイドリップ部16とを有している。基部43は、第2補強環15において、第2円盤部15bの内周側dの端部に、外側(矢印a方向)かつ内周側(矢印d方向)から包み込むように加硫接着されている。第2弾性体部42は、第2円盤部15bにより補強されている。
サイドリップ部16は、密封装置10において外側aから泥水などが軸3の周りに浸入することを防ぐ対泥水シールリップとして機能する。サイドリップ部16は、耐泥水性に優れたゴム材料、例えばNBR又はH−NBRにより形成されている。サイドリップ部16は、その根元が基部43により第2補強環15の第2円盤部15bの内周側dの端部に加硫接着されている。サイドリップ部16は、図1に示す未装着状態では、シールリップ13と反対側である軸線x方向において外側aに、径方向において外周側cに向けて漸次大径となる円錐筒状に延びている。サイドリップ部16は、図2に示すように、使用状態において、第2補強環15から軸線x方向において密封装置10の外側aに延び、先端がスリンガ20の内側bの面に接触可能であるように形成されている。
スリンガ20は、例えば金属板を打ち抜きプレス成形することにより製作されるものである。スリンガ20は、スリンガ内周円筒部20aと、スリンガ円盤部20bと、スリンガ外周円筒部20cと、を有している。
スリンガ内周円筒部20aは、軸線x方向に延びる円筒状又は略円筒状の部分である。スリンガ内周円筒部20aは、軸3の外周面部31gに圧入嵌着される。スリンガ円盤部20bは、スリンガ内周円筒部20aから外周側c方向へ円盤状に展開し、図2に示す装着状態において密封装置10におけるサイドリップ部16が適宜に湾曲変形された状態で摺動可能に接する。スリンガ外周円筒部20cは、スリンガ円盤部20bと連続的に形成されている。スリンガ外周円筒部20cは、スリンガ円盤部20bの外周側cの端部から図2の装着状態において内側bに延びていて、密封装置10における第1補強環11の第1補強環外周円筒部11fの外周c側を包囲する軸線x方向に延びる円筒状又は略円筒状の部分である。スリンガ外周円筒部20cは、スリンガ円筒部に対応する。なお、スリンガ外周円筒部20cの形状は、図1,2などに示すように軸線xに平行な円筒面であるものに限定されず、断面視テーパ形状の円錐台形状であってもよい。
遮音部材5は、図2に示すように、第1補強環11の第1補強環外周円筒部11fの外周側面11gに取り付けられている。遮音部材5は、図2に示すように、使用状態において、第1補強環11とスリンガ20との間の間隙Sに設けられている。遮音部材5は、間隙Sにおいて第1補強環外周円筒部11fの外周側面11gとスリンガ外周円筒部20cの内周面部20dとの間に設けられている。遮音部材5は、例えば、遮音性を有する繊維材料(ファブリック)である。遮音部材5は、軸線x方向において内側bに、径方向において外周側cに向けて漸次大径となる環状の円錐筒状に形成されている。遮音部材5は、間隙Sにおいて、スリンガ20側、例えば、スリンガ20のスリンガ外周円筒部20cの内側bの端部に固定されていて第1補強環11の外周側面11gに対して摺動可能な摺動面51を有している。遮音部材5は、摺動面51と第1補強環11の外周側面11gとの間に潤滑用グリスGなどの潤滑剤が塗布されていてもよい。
次いで、上述の構成を有する本発明の第1の実施の形態に係る密封構造1の作用について説明する。
図2に示すように、密封構造1の使用状態において、密封装置10は、第1補強環11の圧入円筒部11aと外周シール部12とがともにハウジング2の開口部2aの内周面に圧入されている。密封装置10は、第1補強環11の第1補強環外周円筒部11fを開口部2aの外側aの端部に当接させることによって、ハウジング2に位置決め固定することができる。また、スリンガ20は、スリンガ内周円筒部20aを軸3の外周面部3gに圧入嵌着するとともに、スリンガ円盤部20bを軸3のフランジ部に当接させることによって位置決め固定することができる。
密封構造1の使用状態において、密封装置10のシールリップ13は、軸3の外周面部3gに摺動可能に密接されることによって、機内の油が外側aへ漏洩するのを防止する。
密封構造1の使用状態において、スリンガ20のスリンガ外周円筒部20cがサイドリップ部16の外周側cを覆うように延びているので、外側aから飛来する泥水等がサイドリップ部16の近傍へ入りにくい構造となっている。また、密封構造1の使用状態において、密封装置10のサイドリップ部16は、軸3と一体となって回転するスリンガ20のスリンガ円盤部20bに摺動されることによって、密封装置10の内側bへの泥水等の浸入を阻止する。また、密封構造1において、遠心力によるスリンガ円盤部20bの振り切り作用も、内側bへの泥水等の浸入防止に有効に作用する。密封装置10のダストリップ14は、サイドリップ部16の内周側で、軸3の外周面部3gに摺動可能に密接されることによって、シールリップ13側への泥水等の浸入を阻止するものである。
遮音性を有する繊維材料(ファブリック)により形成されている遮音部材5は、図2に示すように、使用状態において、第1補強環11とスリンガ20との間の間隙Sに設けられている。このように構成されていることで、密封構造1は、サイドリップ部16がスリンガ円盤部20bの内側bの面に摺動する際に発生する摩擦音が間隙Sを通過して密封構造1の外側aに伝わることを防ぐことができる。つまり、密封構造1によれば、遮音部材5を備えることにより、密封構造1から発生する騒音が外部に伝わることを抑制し、騒音を低減することができる。
遮音部材5は、間隙Sにおいて、スリンガ20のスリンガ外周円筒部20cの内側bの端部に固定されていて第1補強環11の外周側面11gに対して摺動可能な摺動面51を有しているため、密封構造1が取り付けられている装置における軸3を回転可能にしている。また、遮音部材5は、摺動面51と第1補強環11の外周側面11gとの間に潤滑用グリスGなどの潤滑剤が塗布されていることで、摺動面51とスリンガ外周円筒部20cとの間の摩擦を低減することができる。
<第2の実施の形態>
以下、本発明の第2の実施の形態について図面を参照しながら説明する。以下、上述の第1の実施の形態に係る密封構造1と同一の又は類似する機能を有する構成に対しては同一の符号を付してその説明を省略し、異なる構成についてのみ説明する。
以下、本発明の第2の実施の形態について図面を参照しながら説明する。以下、上述の第1の実施の形態に係る密封構造1と同一の又は類似する機能を有する構成に対しては同一の符号を付してその説明を省略し、異なる構成についてのみ説明する。
図3は、本発明の第2の実施の形態に係る密封構造1Bの概略構成を示す断面図である。また、図4は、本発明の第2の実施の形態に係る密封構造1Bの使用状態における概略構成を示す断面図である。
図3及び図4に示すように、密封構造1Bは、遮音部材5Bが遮音性を有する多孔質体、すなわち、発泡体である点が、先に説明した密封構造1における遮音部材5と相違する。遮音部材5Bは、図3に示すように、第1補強環11の第1補強環外周円筒部11fの外周側面11gに取り付けられている。遮音部材5Bは、図4に示すように、使用状態において、第1補強環11とスリンガ20との間の間隙Sに設けられている。遮音部材5は、間隙Sにおいて第1補強環外周円筒部11fの外周側面11gとスリンガ外周円筒部20cの内周面部20dとの間に設けられている。遮音部材5は、間隙Sの内部で第1補強環外周円筒部11fの外周側面11gとスリンガ外周円筒部20cの内周面部20dとの間を埋めることができるように環状に形成されている。遮音部材5Bは、間隙Sにおいて、第1補強環11に固定されていて第1補強環11の外周側面11gに対して摺動可能な摺動面5151Bを有している。遮音部材5Bは、摺動面51Bと第1補強環11の外周側面11gとの間に潤滑剤が塗布されていてもよい。
密封構造1Bは、遮音性を有する多孔質体により形成されている遮音部材5Bが、使用状態において、第1補強環11とスリンガ20との間の間隙Sに設けられている。このように構成されていることで、密封構造1Bは、先に説明した密封構造1と同様に、サイドリップ部16がスリンガ円盤部20bの内側bの面に摺動する際に発生する摩擦音が間隙Sを通過して密封構造1の外側aに伝わることを防ぐことができる。密封構造1Bによれば、遮音部材5Bを備えることにより、密封構造1Bから発生する騒音が外部に伝わることを抑制し、騒音を低減することができる。
<他の実施の形態>
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に係る密封構造1,1Bに限定されるものではなく、本発明の概念及び特許請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含む。また、上述した課題及び効果の少なくとも一部を奏するように、各構成を適宜選択的に組み合わせてもよい。例えば、上記実施の形態における、各構成要素の形状、材料、配置、サイズ等は、本考案の具体的使用態様によって適宜変更され得る。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に係る密封構造1,1Bに限定されるものではなく、本発明の概念及び特許請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含む。また、上述した課題及び効果の少なくとも一部を奏するように、各構成を適宜選択的に組み合わせてもよい。例えば、上記実施の形態における、各構成要素の形状、材料、配置、サイズ等は、本考案の具体的使用態様によって適宜変更され得る。
図5は、本発明の第1の実施の形態に係る密封構造1の使用状態における変形例1の概略構成を示す断面図である。
密封構造1において、遮音部材5は、第1補強環11とスリンガ20との間の間隙Sに設けられていて、第1補強環11またはスリンガ20の少なくともいずれか一方に固定されていて他方に対して摺動可能に構成されていればよい。具体的に、図5に示すように、密封構造1は、図2に示した密封構造1と異なり、遮音部材5が、第1補強環11に固定されていてもよい。図5に示す変形例1において、遮音部材5は、間隙Sにおいて、スリンガ20のスリンガ外周円筒部20cの内側bの端部に固定されていてスリンガ20のスリンガ外周円筒部20cの内側bの端部に対して摺動可能な摺動面51スリンガ20のスリンガ外周円筒部20cの内側bの端部に固定されていて第1補強環11に対して摺動可能な摺動面51を有している。遮音部材5は、摺動面51とスリンガ外周円筒部20cの内側bの端部との間に潤滑用グリスGなどの潤滑剤が塗布されていてもよい。
図6は、本発明の第1の実施の形態に係る密封構造1の使用状態における変形例2の概略構成を示す断面図である。
補強環6は、以上説明した密封構造1のように第1補強環11及び第2補強環15により構成されているものに限定されない。例えば、図6に示す変形例2のように、1つの軸線x周りに環状の補強環6Cを備えていてもよい。密封構造1Cにおいて、補強環6Cは、例えば、圧入円筒部6aと、外周シール保持部6bと、内周円筒部6cと、内径フランジ部6dと、補強環円盤部6eと、補強環外周円筒部6fとを有している。また、密封構造1Cにおいて、弾性体部4は、第1弾性体部41と第2弾性体部42Cとが、ともに補強環6Cに取り付けられている。第2弾性体部42Cにおいて、基部43Cは、補強環6Cの内周円筒部6cの内周側dの端部に加硫接着されている。
また、例えば、上述の本発明の実施の形態に係る密封構造1において、弾性体部4は、1つのダストリップ、すなわちダストリップ14を有するとしたが、本発明においてこれには限定されない。また、密封構造1は、緊迫力付与部材としての環状の弾性部材であるガータスプリング17が装着されていないものであってもよい。
1,1B,1C…密封構造、2…ハウジング、2a…開口部、3…軸、3g…外周面部、4…弾性体部、5,5B…遮音部材、6,6C…補強環、11e…補強環円盤部、6f…補強環外周円筒部、10…密封装置、11…第1補強環、6a,11a…圧入円筒部、6b,11b…外周シール保持部、6c,11c…内周円筒部、6d,11d…内径フランジ部、11e…第1補強環円盤部、11f…第1補強環外周円筒部、11g…外周側面、12…外周シール部、13…シールリップ、13a…内周側端部、14…ダストリップ、15…第2補強環、15a…第2外周円筒部、15b…第2円盤部、16…サイドリップ部、17…ガータスプリング、20…スリンガ、20a…スリンガ内周円筒部、20b…スリンガ円盤部、20c…スリンガ外周円筒部、20d…内周面部、31g…外周面部、41,41C…第1弾性体部、42,42C…第2弾性体部、43,43C…基部、51,51B…摺動面、G…潤滑用グリス、S…間隙、x…軸線。
Claims (5)
- 軸と、前記軸よりも外周側において軸線周りに配置された外周側部材との間に取り付けられ、前記軸の外周面に対して摺動可能に接触して、前記軸と前記外周側部材との間を密封する密封装置と、軸線方向において前記密封装置の外側に設けられていて、前記軸に固定されている環状のスリンガと、を備える密封構造であって、
前記密封装置は、
前記軸と前記外周側部材との間に取り付けられていて、前記軸線周りに環状の補強環と、
前記補強環に取り付けられていて、前記軸線周りに環状の弾性体からなり少なくとも一部が前記軸に対して接触可能に形成されている弾性体部と、
前記補強環と前記スリンガとの間の間隙に設けられている遮音部材と、
を備え、
前記遮音部材は、
前記間隙において、前記補強環または前記スリンガのいずれか一方に固定されていて他方に対して摺動可能な摺動面を有している、
密封構造。 - 前記補強環は、前記軸線周りに円盤状の補強環円盤部と、前記補強環円盤部と連続的に形成されていて前記軸線周りに円筒状の補強環円筒部と、を有し、
前記スリンガは、前記軸線周りに円盤状のスリンガ円盤部と、前記スリンガ円盤部と連続的に形成されていて前記軸線周りに円筒状のスリンガ円筒部と、を有し、
前記補強環円筒部は、外周側面が前記スリンガ円筒部の内周側面と向かい合うように設けられていて、
前記遮音部材は、前記間隙において前記補強環円筒部の外周側面と前記スリンガ円筒部の内周側面との間に設けられている、
請求項1に記載の密封構造。 - 前記遮音部材は、前記間隙において環状に形成されている遮音性を有する繊維材料である、
請求項1または2に記載の密封構造。 - 前記遮音部材は、前記摺動面と前記補強環または前記スリンガのいずれか一方との間に潤滑剤が塗布されている、
請求項1乃至3のいずれかに記載の密封構造。 - 前記密封装置は、
前記弾性体部が、前記補強環から軸線方向に延び先端が前記軸の外周面に接触可能に形成されているリップ部と、前記補強環から前記軸線方向において前記密封装置の外側に延び先端が前記スリンガの内側の面に接触可能に形成されているサイドリップ部と、を有している、
請求項1乃至4のいずれかに記載の密封構造。
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2020
- 2020-03-10 JP JP2020040930A patent/JP2021143687A/ja active Pending
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