JP2021143299A - 繊維強化複合材料製造用硬化性樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】 繊維への含浸性が良好であり、加熱硬化の際に繊維からの流出が抑制され、加熱硬化の際の成形性が良好な繊維強化複合材料製造用の硬化性樹脂組成物を提供すること。【解決手段】 樹脂成分と、硬化反応開始温度が異なる複数の硬化剤と、を含む、繊維強化複合材料製造用硬化性樹脂組成物; 樹脂成分と、硬化反応開始温度が異なる複数の硬化剤と、を含む硬化性樹脂組成物を用いた、繊維強化複合材料。【選択図】なし
Description
本発明は、繊維強化複合材料製造用硬化性樹脂組成物に関する。
例えば自動車産業、航空機産業、及び宇宙産業などの分野で、軽量化を目的とした金属代替材に、比強度又は比剛性に優れた繊維強化プラスチック(FRP)が利用されている。繊維強化プラスチック(FRP)として、一般的に、短繊維強化熱可塑プラスチック、長繊維強化熱可塑プラスチック、連続繊維強化熱可塑プラスチック、連続繊維強化熱硬化プラスチックなどが挙げられる。
繊維強化プラスチックを製造する場合、熱可塑性樹脂組成物を加熱溶融させて繊維束中に含浸させたプリプレグなどが用いられている。一般的に、プリプレグとは、ガラスクロス、炭素繊維などのような繊維状補強材に、熱硬化性樹脂組成物を含浸させ、加熱又は乾燥して半硬化状態にした強化プラスチック成形材料のことをいう。
熱可塑性樹脂プリプレグのシート材を連続して製造する方法として、例えば、ロールを用いる方法、熱板プレス法を用いる方法、ダブルベルト法を用いる方法などが知られている。
熱可塑性樹脂プリプレグのシート材を連続して製造する方法として、例えば、ロールを用いる方法、熱板プレス法を用いる方法、ダブルベルト法を用いる方法などが知られている。
例えば、特許文献1には、植物系バイオマスにより改質した熱硬化性樹脂組成物であって、イオン液体処理リグノセルロース繊維と熱硬化性樹脂とを含む熱硬化性樹脂組成物が提案されている。
例えば、特許文献2では、ダブルベルトプレス装置を用いて強化繊維束と熱可塑性樹脂を加熱加圧して該強化繊維束に該熱可塑性樹脂を含浸する熱可塑性樹脂プリプレグの製造方法が提案されている。
本発明は、繊維への含浸性が良好であり、加熱硬化の際に繊維からの流出が抑制され、加熱硬化の際の成形性が良好な繊維強化複合材料製造用の硬化性樹脂組成物を提供することを主な目的とする。
本発明者らは、繊維強化複合材料をより良好に製造するために、硬化性樹脂組成物の繊維への含浸性、含浸後に行う加熱硬化の際の流出性及び成形性を検討した。
本発明者らは、鋭意検討した結果、硬化性樹脂組成物に硬化反応開始温度が異なる複数の硬化剤を含有させることで、加熱溶融時の繊維への含浸性が良好であり、加熱硬化の際に繊維からの流出が抑制され、加熱硬化の際の成形性が良好な繊維強化複合材料製造用の硬化性樹脂組成物を得ることができることを見出し、本発明を完成させた。
本発明は、樹脂成分と、硬化反応開始温度が異なる複数の硬化剤と、を含む、繊維強化複合材料製造用硬化性樹脂組成物を提供する。
本発明の一つの実施態様に従い、前記複数の硬化剤は、低温硬化剤と、高温硬化剤とを含みうる。
前記複数の硬化剤の含有質量比が、低温硬化剤 0.1〜5:高温硬化剤 5〜45でありうる。
前記複数の硬化剤は、アミド系硬化剤とアミン系硬化剤とを含みうる。
前記樹脂成分が、エポキシ樹脂を含むものでありうる。
前記エポキシ樹脂が、常温で固形状又は半固形状のエポキシ樹脂を少なくとも含むものでありうる。
前記繊維が、炭素繊維でありうる。
本発明は、前記硬化性樹脂組成物を用いた、繊維強化複合材料を提供する。
本発明者らは、鋭意検討した結果、硬化性樹脂組成物に硬化反応開始温度が異なる複数の硬化剤を含有させることで、加熱溶融時の繊維への含浸性が良好であり、加熱硬化の際に繊維からの流出が抑制され、加熱硬化の際の成形性が良好な繊維強化複合材料製造用の硬化性樹脂組成物を得ることができることを見出し、本発明を完成させた。
本発明は、樹脂成分と、硬化反応開始温度が異なる複数の硬化剤と、を含む、繊維強化複合材料製造用硬化性樹脂組成物を提供する。
本発明の一つの実施態様に従い、前記複数の硬化剤は、低温硬化剤と、高温硬化剤とを含みうる。
前記複数の硬化剤の含有質量比が、低温硬化剤 0.1〜5:高温硬化剤 5〜45でありうる。
前記複数の硬化剤は、アミド系硬化剤とアミン系硬化剤とを含みうる。
前記樹脂成分が、エポキシ樹脂を含むものでありうる。
前記エポキシ樹脂が、常温で固形状又は半固形状のエポキシ樹脂を少なくとも含むものでありうる。
前記繊維が、炭素繊維でありうる。
本発明は、前記硬化性樹脂組成物を用いた、繊維強化複合材料を提供する。
本発明は、繊維への含浸性が良好であり、加熱硬化の際に繊維からの流出が抑制され、加熱硬化の際の成形性が良好な繊維強化複合材料製造用の硬化性樹脂組成物を提供することができる。なお、本発明の効果は、ここに記載された効果に必ずしも限定されるものではなく、本明細書中に記載されたいずれかの効果であってもよい。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は本発明の代表的な実施形態の一例を示したものであり、本発明はこれらの実施形態のみに限定されるものでない。
1.繊維強化複合材料用硬化性樹脂組成物
本発明に係る硬化性樹脂組成物は、樹脂成分と硬化反応開始温度が異なる複数の硬化剤とを少なくとも含み、繊維強化複合材料の製造に適している。以下、各成分について説明する。
本発明に係る硬化性樹脂組成物は、樹脂成分と硬化反応開始温度が異なる複数の硬化剤とを少なくとも含み、繊維強化複合材料の製造に適している。以下、各成分について説明する。
1−1.樹脂成分
本発明の硬化性樹脂組成物は、樹脂成分として、好ましくは硬化性樹脂、より好ましくは熱硬化性樹脂を含む。当該硬化性樹脂組成物により、樹脂成分を良好に繊維に含ませた状態で、良好に加熱硬化させることができ、これにより繊維を含んだ硬化物(すなわち、繊維強化複合材料)を得ることができる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、常温(20〜30℃)で固形状又は半固形状の樹脂を少なくとも含むことが好ましい。本発明の硬化性樹脂組成物は、常温で液状の樹脂をさらに含んでもよい。好ましい実施態様において、本発明の硬化性樹脂組成物は、常温で固形状又は半固形状の樹脂と常温で液状の樹脂とを含む。
また、前記硬化性樹脂は、公知の硬化性樹脂の製造方法に従って製造されたものでもよく、また、市販品でもよい。市販品に適宜溶媒や添加剤などを添加してもよい。
本発明の硬化性樹脂組成物は、樹脂成分として、好ましくは硬化性樹脂、より好ましくは熱硬化性樹脂を含む。当該硬化性樹脂組成物により、樹脂成分を良好に繊維に含ませた状態で、良好に加熱硬化させることができ、これにより繊維を含んだ硬化物(すなわち、繊維強化複合材料)を得ることができる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、常温(20〜30℃)で固形状又は半固形状の樹脂を少なくとも含むことが好ましい。本発明の硬化性樹脂組成物は、常温で液状の樹脂をさらに含んでもよい。好ましい実施態様において、本発明の硬化性樹脂組成物は、常温で固形状又は半固形状の樹脂と常温で液状の樹脂とを含む。
また、前記硬化性樹脂は、公知の硬化性樹脂の製造方法に従って製造されたものでもよく、また、市販品でもよい。市販品に適宜溶媒や添加剤などを添加してもよい。
前記硬化性樹脂は、単一のモノマー重合体(ホモポリマー)であってもよく、複数種のモノマーの共重合体(コポリマー)であってもよい。前記硬化性樹脂は、ランダム共重合体、ブロック共重合体、又はグラフト共重合体のいずれであってもよい。
前記硬化性樹脂は、1分子中に硬化性官能基を2個以上有する化合物が好適である。例えば、1分子中に硬化性官能基を2個以上有する化合物として、例えば、1分子中にエポキシ基を2個以上有するエポキシ樹脂(以下、「多官能エポキシ樹脂」ともいう。)などが挙げられるが、これらに限定されない。当該多官能エポキシ樹脂として、例えば、ナフタレン骨格変性多官能エポキシ樹脂、多官能多環型エポキシ樹脂(好適には3官能多環型エポキシ樹脂)などが挙げられるが、これらに限定されない。これらから選択される1種又は2種以上を使用してもよい。
また、熱硬化性樹脂は、必要に応じて、光ラジカル重合性を有する樹脂や光カチオン重合体を有する樹脂を含んでもよい。
また、熱硬化性樹脂は、必要に応じて、光ラジカル重合性を有する樹脂や光カチオン重合体を有する樹脂を含んでもよい。
前記硬化性樹脂として、例えば、エポキシ樹脂、ポリウレア樹脂などが挙げられるが、これらに限定されない。これらからなる1種又は2種以上を使用することができる。
1−1−1.エポキシ樹脂
エポキシ樹脂は、1分子中に1個以上のエポキシ基を有する化合物であってもよい。当該エポキシ樹脂は、モノマー性エポキシ樹脂、オリゴマー性エポキシ樹脂及びポリマー性エポキシ樹脂から選択される1種以上又は2種以上を含んでもよい。当該エポキシ基は、オキシラン環構造を有する構造であってもよく、例えば、グリシジル基、オキシエチレン基、エポキシシクロヘキシル基などであってよく、これらに限定されない。
エポキシ樹脂は、1分子中に1個以上のエポキシ基を有する化合物であってもよい。当該エポキシ樹脂は、モノマー性エポキシ樹脂、オリゴマー性エポキシ樹脂及びポリマー性エポキシ樹脂から選択される1種以上又は2種以上を含んでもよい。当該エポキシ基は、オキシラン環構造を有する構造であってもよく、例えば、グリシジル基、オキシエチレン基、エポキシシクロヘキシル基などであってよく、これらに限定されない。
前記エポキシ樹脂は、エポキシ基を有する芳香環を基本構造として含むものであってもよい。当該芳香環は、置換基を単数又は複数有してもよい。当該置換基として、直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基などが挙げられるが、これらに限定されない。当該アルキル基として、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基などの炭素数1〜3などが挙げられるが、これらに限定されない。
前記エポキシ樹脂として、例えば、下記式(1)に示される化学構造を有する樹脂などが挙げられるが、これらに限定されない。
式(1)のRの数は、単数又は複数(例えば2つ又は3つ)であってもよく、複数の場合に当該Rは同一又は異なってもよい。当該Rとして、例えば、直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基などが挙げられるが、これらに限定されない。当該アルキル基として、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基などの炭素数1〜3のアルキル基などが挙げられるが、これらに限定されない。これらアルキル基のうち、メチル基が好ましい。
式(1)のAは、芳香環を含有する骨格であることが好ましく、当該芳香環は置換基を有してもよい。式(1)の芳香環を含有する骨格として、例えば、ベンゼン環を含有する骨格(例えば、フェニレン、4,4’−ビフェニルなど)、ナフタレン環を含有する骨格、フルオレン環を含有する骨格などが挙げられるが、これらに限定されない。当該フェニレンとして、例えば、O(オルト)−フェニレン、m(メタ)−フェニレン、p(パラ)−フェニレンなどが挙げられるが、これらに限定されない。
前記式(1)に示される化学構造を有する樹脂として、例えば、4,4’−ビフェニルを有する多官能性のエポキシ樹脂などが挙げられるが、これらに限定されない。
式(1)のAは、芳香環を含有する骨格であることが好ましく、当該芳香環は置換基を有してもよい。式(1)の芳香環を含有する骨格として、例えば、ベンゼン環を含有する骨格(例えば、フェニレン、4,4’−ビフェニルなど)、ナフタレン環を含有する骨格、フルオレン環を含有する骨格などが挙げられるが、これらに限定されない。当該フェニレンとして、例えば、O(オルト)−フェニレン、m(メタ)−フェニレン、p(パラ)−フェニレンなどが挙げられるが、これらに限定されない。
前記式(1)に示される化学構造を有する樹脂として、例えば、4,4’−ビフェニルを有する多官能性のエポキシ樹脂などが挙げられるが、これらに限定されない。
前記エポキシ樹脂として、例えば、ナフタレン型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂などの多環芳香族型エポキシ樹脂;ビスフェノール型エポキシ樹脂;ノボラック型エポキシ樹脂;アリールアルキレン型エポキシ樹脂;フェノキシ型エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂;ノルボルネン型エポキシ樹脂;アダマンタン型エポキシ樹脂などが挙げられるが、これらに限定されない。前記エポキシ樹脂として、これらから選択される1種又は2種以上を使用してもよい。
前記多環芳香族型エポキシ樹脂は、分子内に少なくとも1つのエポキシ基を有し、かつ分子内に多環芳香族基を有する化合物であることが好適である。当該多環として、例えば、2〜6環が挙げられ、より具体的には、2環(例えば、ナフタレン)、3環(例えば、フルオレン、アントラセン)などが挙げられるが、これらに限定されない。
本発明の硬化性樹脂組成物は、エポキシ樹脂として、ナフタレン型エポキシ樹脂を少なくとも含有することが、含浸性の観点、流出抑制の観点や成形性の観点から、好適である。
さらに、前記エポキシ樹脂は、ナフタレン型エポキシ樹脂と、ナフタレン型以外のエポキシ樹脂とを組み合わせることが、含浸性の観点、流出抑制の観点や成形性の観点から、好適である。さらに当該「ナフタレン型以外のエポキシ樹脂」は、ナフタレン型以外の多環芳香族型エポキシ樹脂及び/又はビスフェノール型エポキシ樹脂であることが、好適である。
前記「ナフタレン型エポキシ樹脂」と前記「ナフタレン型以外のエポキシ樹脂」との含有質量比(質量部)は、好ましくは30〜90:70〜10、より好ましくは40〜80:60〜20、さらに好ましくは50〜70:50〜30である。
さらに、前記エポキシ樹脂は、ナフタレン型エポキシ樹脂と、ナフタレン型以外のエポキシ樹脂とを組み合わせることが、含浸性の観点、流出抑制の観点や成形性の観点から、好適である。さらに当該「ナフタレン型以外のエポキシ樹脂」は、ナフタレン型以外の多環芳香族型エポキシ樹脂及び/又はビスフェノール型エポキシ樹脂であることが、好適である。
前記「ナフタレン型エポキシ樹脂」と前記「ナフタレン型以外のエポキシ樹脂」との含有質量比(質量部)は、好ましくは30〜90:70〜10、より好ましくは40〜80:60〜20、さらに好ましくは50〜70:50〜30である。
前記ナフタレン型エポキシ樹脂として、例えば、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ナフタレンジオール型エポキシ樹脂、2官能ないし4官能エポキシ型ナフタレン樹脂、ビナフチル型エポキシ樹脂、ナフタレンアラルキル型エポキシ樹脂などが挙げられるが、これらに限定されない。これらから選択される1種又は2種以上を使用してもよい。
前記ナフタレン型エポキシ樹脂の市販品として、例えば、DIC製のEPICLONシリーズ「HP−4700」、「HP−4710」、「HP−4770」、「HP−4032D」、「HP−5000」、「HP−6000」などが挙げられ、また、フルオレン型エポキシ樹脂の市販品として、大阪ガスケミカル製のOGSOLシリーズ「PG−100」、「CG−500」、「EG−200」、「EG−280」などが挙げられるが、これらに限定されない。
前記ナフタレン型エポキシ樹脂の市販品として、例えば、DIC製のEPICLONシリーズ「HP−4700」、「HP−4710」、「HP−4770」、「HP−4032D」、「HP−5000」、「HP−6000」などが挙げられ、また、フルオレン型エポキシ樹脂の市販品として、大阪ガスケミカル製のOGSOLシリーズ「PG−100」、「CG−500」、「EG−200」、「EG−280」などが挙げられるが、これらに限定されない。
前記ビスフェノール型エポキシ樹脂として、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールE型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールM型エポキシ樹脂(4,4'−(1,3−フェニレンジイソプリジエン)ビスフェノール型エポキシ樹脂)、ビスフェノールP型エポキシ樹脂(4,4'−(1,4−フェニレンジイソプリジエン)ビスフェノール型エポキシ樹脂)、ビスフェノールZ型エポキシ樹脂(4,4'−シクロヘキシジエンビスフェノール型エポキシ樹脂)などが挙げられるが、これらに限定されない。これらから1種又は2種以上を組み合わせてもよく、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂及びビスフェノールF型エポキシ樹脂の組み合わせなどでもよい。
前記ノボラック型エポキシ樹脂として、例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂などが挙げられるが、これらに限定されない。これらから1種又は2種以上を組み合わせてもよい。
前記アリールアルキレン型エポキシ樹脂として、例えば、ビフェニル型エポキシ樹脂、キシリレン型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂などが挙げられるが、これらに限定されない。
前記エポキシ樹脂から1種又は2種以上を選択して使用することができ、これらから1種又は2種以上を組み合わせてもよい。
前記ノボラック型エポキシ樹脂として、例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂などが挙げられるが、これらに限定されない。これらから1種又は2種以上を組み合わせてもよい。
前記アリールアルキレン型エポキシ樹脂として、例えば、ビフェニル型エポキシ樹脂、キシリレン型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂などが挙げられるが、これらに限定されない。
前記エポキシ樹脂から1種又は2種以上を選択して使用することができ、これらから1種又は2種以上を組み合わせてもよい。
前記エポキシ樹脂のエポキシ当量(g/eq)は、特に制限されないが、好適な下限値として、好ましくは50以上、より好ましくは100以上、さらに好ましくは200以上であり、また好適な上限値として、好ましくは6000以下であり、より好ましくは2000以下、さらに好ましくは500以下、より好ましくは400以下、さらに好ましくは300以下である。当該好適な数値範囲として、好ましくは100〜500、より好ましくは200〜300である。
本発明の硬化性樹脂組成物は、常温(20〜30℃)で固形状、半固形状、液状のいずれかの形態のエポキシ樹脂を含有させてもよい。本発明の硬化性樹脂組成物は、常温で固形状及び/又は半固形状のエポキシ樹脂を含有させてもよい。本発明の硬化性樹脂組成物は、含浸性の観点、流出抑制の観点や成形性の観点から、常温で固形状のエポキシ樹脂を少なくとも含有させることが好適である。
1−1−2.ポリウレア樹脂
ポリウレア樹脂は、その樹脂中にウレア結合を少なくとも有する樹脂である。当該ポリウレア樹脂の形態は、常温(20〜30℃)で固形状又は半固形状であることが好ましい。前記ポリウレア樹脂は、例えば、多官能イソシアネート化合物を乳化液中で重合させることにより得られうる。前記ポリウレア樹脂は、樹脂中に、イソシアネート基に由来する結合であって、ウレア結合以外の結合、例えば、ウレタン結合などを有していてもよい。
ポリウレア樹脂は、その樹脂中にウレア結合を少なくとも有する樹脂である。当該ポリウレア樹脂の形態は、常温(20〜30℃)で固形状又は半固形状であることが好ましい。前記ポリウレア樹脂は、例えば、多官能イソシアネート化合物を乳化液中で重合させることにより得られうる。前記ポリウレア樹脂は、樹脂中に、イソシアネート基に由来する結合であって、ウレア結合以外の結合、例えば、ウレタン結合などを有していてもよい。
1−2.硬化剤
本発明の硬化性樹脂組成物は硬化剤を含む。当該硬化剤は、含有させる樹脂成分に対応する硬化剤が好ましい。例えば、前記樹脂成分がエポキシ樹脂である場合には、エポキシ樹脂硬化剤が好ましく、前記樹脂成分がポリウレア樹脂である場合には、ポリウレア樹脂硬化剤が好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物は、硬化反応開始温度が異なる複数の硬化剤を、含ませることが好適である。
本発明の硬化性樹脂組成物は硬化剤を含む。当該硬化剤は、含有させる樹脂成分に対応する硬化剤が好ましい。例えば、前記樹脂成分がエポキシ樹脂である場合には、エポキシ樹脂硬化剤が好ましく、前記樹脂成分がポリウレア樹脂である場合には、ポリウレア樹脂硬化剤が好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物は、硬化反応開始温度が異なる複数の硬化剤を、含ませることが好適である。
本明細書における硬化剤の硬化反応開始温度は、後述の〔硬化剤の硬化反応開始温度の測定方法〕に従って求めることができる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、「硬化反応開始温度が異なる複数の硬化剤」として、高温硬化剤と低温硬化剤とを含有させることが好ましい。高温硬化剤と低温硬化剤との硬化反応開始温度の温度差が、好ましくは40℃以上、より好ましくは50℃以上、さらに好ましくは55℃以上であり、当該硬化反応開始温度の温度差の上限値として、特に限定されないが、例えば、150℃以下、120℃以下、100℃以下、又は80℃以下であってよい。
本明細書における「低温硬化剤」は、後述の〔硬化剤の硬化反応開始温度の測定方法〕に従って測定される硬化反応開始温度が130℃程度未満である硬化剤を意味してよい。本明細書における「高温硬化剤」は、当該測定方法に従って測定される硬化反応開始温度が130℃程度以上である硬化剤を意味してよい。語「低温硬化剤」の「低温」は、或る樹脂成分に対する硬化反応開始温度が、当該或る樹脂成分に対する高温硬化剤の硬化反応開始温度よりも低いという相対的な関係を示すことを意図するものである。語「高温硬化剤」の「高温」も、或る樹脂成分に対する硬化反応開始温度が、当該或る樹脂成分に対する低温硬化剤の硬化反応開始温度よりも高いという相対的な関係を示すことを意図するものである。
本明細書における「低温硬化剤」は、後述の〔硬化剤の硬化反応開始温度の測定方法〕に従って測定される硬化反応開始温度が130℃程度未満である硬化剤を意味してよい。本明細書における「高温硬化剤」は、当該測定方法に従って測定される硬化反応開始温度が130℃程度以上である硬化剤を意味してよい。語「低温硬化剤」の「低温」は、或る樹脂成分に対する硬化反応開始温度が、当該或る樹脂成分に対する高温硬化剤の硬化反応開始温度よりも低いという相対的な関係を示すことを意図するものである。語「高温硬化剤」の「高温」も、或る樹脂成分に対する硬化反応開始温度が、当該或る樹脂成分に対する低温硬化剤の硬化反応開始温度よりも高いという相対的な関係を示すことを意図するものである。
低温硬化剤が有する硬化反応開始温度は、130℃程度未満であり、その好適な下限値として、好ましくは40℃以上、より好ましくは50℃以上であり、またその好適な上限値として、好ましくは130℃以下、さらに好ましくは120℃以下、より好ましくは110℃以下である。当該好適な範囲は、より好ましくは50〜120℃である。
前記低温硬化剤のうち、含浸性の観点、流出抑制の観点や成形性の観点から、好適にはイミダゾール系硬化剤であり、このイミダゾール系硬化剤のうち、イミダゾール化合物(例えば、2−フェニルイミダゾール、及び/又は2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール)がより好適である。
高温硬化剤が有する硬化反応開始温度は、130℃程度以上であり、その好適な下限値として、好ましくは140℃以上、より好ましくは150℃以上、さらに好ましくは160℃以上であり、またその好適な上限値として、好ましくは250℃以下、より好ましくは230℃以下、さらに好ましくは220℃以下、より好ましくは210℃以下、さらに好ましくは200℃以下である。当該好適な範囲は、より好ましくは140〜210℃である。
前記高温硬化剤のうち、含浸性の観点、流出抑制の観点や成形性の観点から、好適には、アミド系硬化剤及び/多価フェノール系硬化剤であり、このうちアミド系硬化剤がより好適である。当該アミド系硬化剤のうち、ジシアンジアミド系硬化剤が好ましく、ジシアンジアミド系硬化剤のうち、ジシアンジアミド化合物(例えば、ジシアンジアミド)がより好ましい。
本発明の硬化性樹脂硬化組成物は、前記複数の硬化剤として、アミン系硬化剤(好適にはイミダゾール系硬化剤)とアミド系硬化剤(好適には、ジシアンジアミド系硬化剤)とを含むことが、本発明の効果の観点から、好ましい。さらに、当該硬化性樹脂組成物は、多価フェノール系硬化剤をさらに含むことが、より好ましい。これにより、本発明の硬化性樹脂組成物は、加熱溶融時に繊維への含浸性がより良好になり、さらに加熱硬化した際に繊維からの流出がより抑制され、加熱硬化する際の成形性がより良好になる。
1−2−1.硬化剤の例
前記硬化剤として、例えば、アミド系硬化剤、アミン系硬化剤、多価フェノール系硬化剤などが挙げられるが、これらに限定されない。これらから選択される1種又は2種以上を使用することができる。これらは市販品を用いてもよい。
前記硬化剤として、例えば、アミド系硬化剤、アミン系硬化剤、多価フェノール系硬化剤などが挙げられるが、これらに限定されない。これらから選択される1種又は2種以上を使用することができる。これらは市販品を用いてもよい。
前記アミド系硬化剤として、例えば、ジシアンジアミド系、ポリアミド樹脂系などが挙げられるが、これらに限定されない。このうち、ジシアンジアミド系硬化剤が、含浸性の観点、流出抑制の観点や成形性の観点から、好適である。当該ジシアンジアミド系硬化剤に含まれる化合物として、例えば、ジシアンジアミド化合物(ジシアンジアミド又はその誘導体)などが挙げられ、このうちジシアンジアミドが好適である。これらから選択される1種又は2種以上を使用することができる。
前記アミン系硬化剤として、例えば、脂肪族アミン系、ポリエーテルアミン系、脂環式アミン系、芳香族アミン系などが挙げられるが、これらに限定されない。
当該芳香族アミン系硬化剤として、複素環式芳香族のアミンの一種であるイミダゾール系硬化剤が挙げられるが、これらに限定されない。当該アミン系硬化剤のうち、イミダゾール系硬化剤が、含浸性の観点、流出抑制の観点や成形性の観点から、好適である。これらから選択される1種又は2種以上を使用することができる。
当該芳香族アミン系硬化剤として、複素環式芳香族のアミンの一種であるイミダゾール系硬化剤が挙げられるが、これらに限定されない。当該アミン系硬化剤のうち、イミダゾール系硬化剤が、含浸性の観点、流出抑制の観点や成形性の観点から、好適である。これらから選択される1種又は2種以上を使用することができる。
前記イミダゾール系硬化剤に含まれる化合物として、イミダゾール化合物などが挙げられる。当該イミダゾール化合物として、例えば、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−C11H23−イミダゾールなどが挙げられるが、これらに限定されない。これらから選択される1種又は2種以上を使用することができる。
前記多価フェノール系硬化剤として、分子内に2個以上の水酸基を有する多価フェノール化合物などが挙げられるが、これらに限定されない。当該多価フェノール化合物を含む硬化剤として、例えば、フェノールノボラック樹脂系、クレゾールノボラック樹脂系、ビスフェノールA型ノボラック樹脂系などが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、フェノールノボラック系化合物は、フェノール類とアルデヒド類との縮合反応により得ることができる。これらから選択される1種又は2種以上を使用することができる。
1−2−2.硬化剤の含有質量比
前記樹脂成分に対する硬化剤の含有質量比は、特に限定されないが、樹脂成分100質量部に対して、好ましくは硬化剤 1〜70質量部、より好ましくは2〜60質量部、さらに好ましくは3〜50質量部、より好ましくは4〜43質量部である。
前記樹脂成分に対する高温硬化剤の含有質量比は、特に限定されないが、樹脂成分100質量部に対して、好ましくは硬化剤 1〜70質量部、より好ましくは2〜60質量部、さらに好ましくは3〜50質量部、より好ましくは4〜43質量部である。
前記樹脂成分に対する低温硬化剤の含有質量比は、特に限定されないが、樹脂成分100質量部に対して、好ましくは硬化剤 0.05〜5質量部、より好ましくは0.1〜3質量部、さらに好ましくは0.1〜1質量部である。
前記樹脂成分に対する硬化剤の含有質量比は、特に限定されないが、樹脂成分100質量部に対して、好ましくは硬化剤 1〜70質量部、より好ましくは2〜60質量部、さらに好ましくは3〜50質量部、より好ましくは4〜43質量部である。
前記樹脂成分に対する高温硬化剤の含有質量比は、特に限定されないが、樹脂成分100質量部に対して、好ましくは硬化剤 1〜70質量部、より好ましくは2〜60質量部、さらに好ましくは3〜50質量部、より好ましくは4〜43質量部である。
前記樹脂成分に対する低温硬化剤の含有質量比は、特に限定されないが、樹脂成分100質量部に対して、好ましくは硬化剤 0.05〜5質量部、より好ましくは0.1〜3質量部、さらに好ましくは0.1〜1質量部である。
前記低温硬化剤と高温硬化剤との含有質量比(質量部)は、特に限定されないが、好ましくは、低温硬化剤 0.1〜10:高温硬化剤 1〜60(好適には2〜55)、より好ましくは低温硬化剤 0.1〜5:高温硬化剤 2〜50、より好ましくは低温硬化剤 0.1〜5(好適には0.2〜0.5):高温硬化剤 3〜45(好適には4〜42)である。
前記樹脂成分に対する「アミン系硬化剤及びアミド系硬化剤」の合計含有質量比(質量部)は、特に限定されないが、樹脂成分100質量部に対して、好ましくは1〜10質量部、より好ましくは1〜8質量部、さらに好ましくは2〜8質量部、より好ましくは2〜5質量部である。
前記樹脂成分に対する「アミン系硬化剤」の含有質量比(質量部)は、特に限定されないが、樹脂成分100質量部に対して、好ましくは0.1〜10質量部、より好ましくは0.1〜5質量部、さらに好ましくは0.1〜3質量部、より好ましくは0.1〜1質量部である。
前記樹脂成分に対する「アミド系硬化剤」の含有質量比(質量部)は、特に限定されないが、樹脂成分100質量部に対して、好ましくは1〜10質量部、より好ましくは1〜8質量部、さらに好ましくは2〜8質量部、より好ましくは2〜5質量部である。
前記樹脂成分に対する「アミン系硬化剤」の含有質量比(質量部)は、特に限定されないが、樹脂成分100質量部に対して、好ましくは0.1〜10質量部、より好ましくは0.1〜5質量部、さらに好ましくは0.1〜3質量部、より好ましくは0.1〜1質量部である。
前記樹脂成分に対する「アミド系硬化剤」の含有質量比(質量部)は、特に限定されないが、樹脂成分100質量部に対して、好ましくは1〜10質量部、より好ましくは1〜8質量部、さらに好ましくは2〜8質量部、より好ましくは2〜5質量部である。
前記「アミン系硬化剤」と「アミド系硬化剤」との含有質量比(質量部)は、特に限定されないが、好ましくは、アミン系硬化剤 0.1〜10(好適には0.1〜5):アミド系硬化剤 0.5〜10(好適には1〜8)、より好ましくはアミン系硬化剤 0.1〜3(好適には0.1〜1):アミド系硬化剤 1〜5である。
前記樹脂成分に対する「多価フェノール系硬化剤」の含有質量比は、特に限定されないが、高温温度帯での硬化を促進させる観点から、樹脂成分100質量部に対して、好ましくは1〜50質量部、より好ましくは10〜50質量部、さらに好ましくは10〜40質量部である。
1−3.任意成分
本発明の硬化性樹脂組成物は、添加剤を含有させてもよい。本発明の硬化性樹脂組成物が添加剤を含有させることで、得られる加熱硬化物は剛性や寸法安定性などの特性を向上させることもできる。
添加剤としては、例えば、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等の安定剤、帯電防止剤、導電性付与剤、応力緩和剤、離型剤、結晶化促進剤、加水分解抑制剤、潤滑剤、衝撃付与剤、摺動性改良剤、相溶化剤、核剤、強化剤、補強剤、流動調整剤、染料、増感材、着色用顔料、ゴム質重合体、増粘剤、沈降防止剤、タレ防止剤、消泡剤、カップリング剤、防錆剤、抗菌・防カビ剤、防汚剤、導電性高分子などが挙げられるが、これらに限定されない。これらから選択される1種又は2種以上を使用することができる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、添加剤を含有させてもよい。本発明の硬化性樹脂組成物が添加剤を含有させることで、得られる加熱硬化物は剛性や寸法安定性などの特性を向上させることもできる。
添加剤としては、例えば、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等の安定剤、帯電防止剤、導電性付与剤、応力緩和剤、離型剤、結晶化促進剤、加水分解抑制剤、潤滑剤、衝撃付与剤、摺動性改良剤、相溶化剤、核剤、強化剤、補強剤、流動調整剤、染料、増感材、着色用顔料、ゴム質重合体、増粘剤、沈降防止剤、タレ防止剤、消泡剤、カップリング剤、防錆剤、抗菌・防カビ剤、防汚剤、導電性高分子などが挙げられるが、これらに限定されない。これらから選択される1種又は2種以上を使用することができる。
前記添加剤のうち、シリコン系化合物を含有させることが好ましく、当該シリコン系化合物として、例えば、ポリジメチルシロキサン、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、ポリメチルアルキルシロキサン、シリコン変性ポリオキシエチレンエーテルなどが挙げられるが、これらに限定されない。これらから選択される1種又は2種以上を使用することができる。当該シリコン系化合物は、消泡剤として含有させることが好ましい。当該シリコン系化合物のうち、シリコン変性ポリオキシエチレンエーテルが、含浸性の観点、流出抑制の観点や成形性の観点から、好ましい。
前記シリコン系化合物の含有量は、特に限定されないが、樹脂成分100質量部に対して、好ましくは0.01〜5質量部、より好ましくは0.01〜1質量部、さらに好ましくは0.1〜1質量部である。
前記シリコン系化合物の含有量は、特に限定されないが、樹脂成分100質量部に対して、好ましくは0.01〜5質量部、より好ましくは0.01〜1質量部、さらに好ましくは0.1〜1質量部である。
前記消泡剤として、前記シリコン系化合物の他、例えば、高級アルコール、脂肪酸、脂肪酸エステル、リン酸エステルなどが挙げられるが、これらに限定されない。これらから選択される1種又は2種以上を使用することができる。
前記消泡剤の含有量は、特に限定されないが、樹脂成分100質量部に対して、好ましくは0.01〜5質量部、より好ましくは0.01〜1質量部、さらに好ましくは0.1〜1質量部である。
前記消泡剤の含有量は、特に限定されないが、樹脂成分100質量部に対して、好ましくは0.01〜5質量部、より好ましくは0.01〜1質量部、さらに好ましくは0.1〜1質量部である。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、本発明の効果が発揮される範囲内で、適宜、有機溶媒を含有させてもよい。有機溶媒として、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、カルビトールアセテート等の酢酸エステル類;セロソルブ、ブチルカルビトール等のカルビトール類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等が挙げられる。これらから選択される1種又は2種以上を使用することができる。
1−4.繊維
繊維の形態や配列は、特に限定されない。繊維の形態として、例えば、織布、不織布が挙げられる。
織布として、例えば、一方向に引き揃えられた長繊維、織物、ニット、及び組紐などの繊維構造物を用いることが好ましい。このとき、有撚糸、解撚糸及び無撚糸などを使用することができる。
不織布として、不連続繊維から構成されている構造物を用いることが好ましい。当該不織布は、束形状又は短繊維形状で不連続繊維が分散し、繊維間に熱硬化性樹脂を含浸させる空隙を有する構造物であることが好ましい。
繊維の形態や配列は、特に限定されない。繊維の形態として、例えば、織布、不織布が挙げられる。
織布として、例えば、一方向に引き揃えられた長繊維、織物、ニット、及び組紐などの繊維構造物を用いることが好ましい。このとき、有撚糸、解撚糸及び無撚糸などを使用することができる。
不織布として、不連続繊維から構成されている構造物を用いることが好ましい。当該不織布は、束形状又は短繊維形状で不連続繊維が分散し、繊維間に熱硬化性樹脂を含浸させる空隙を有する構造物であることが好ましい。
前記繊維として、強化繊維が好ましい。当該強化繊維として、例えば、炭素繊維、黒鉛繊維、アラミド繊維、炭化ケイ素繊維、ボロン繊維、アルミナ繊維、ガラス繊維、ポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維、ナイロン繊維などが挙げられる。この繊維のうちから選択される1種又は2種以上を使用してもよい。
このうち、好ましくは、炭素繊維、アラミド繊維、炭化ケイ素繊維、ボロン繊維、アルミナ繊維ガラス繊維であり、このうち炭素繊維がさらに好ましい。
当該炭素繊維として、例えば、アクリル系、ピッチ系及びレーヨン系などが挙げられ、このうちアクリル系の炭素繊維が好ましい。
当該炭素繊維として、例えば、アクリル系、ピッチ系及びレーヨン系などが挙げられ、このうちアクリル系の炭素繊維が好ましい。
前記繊維は、繊維強化複合材料又はこれを使用した製品から回収されたリサイクル繊維が好ましい。繊維強化複合材料からの炭素繊維の回収方法は、公知の回収方法を参照することができる。回収された炭素繊維は、短繊維になりやすいために有撚糸などに加工することが難しく、不織布に加工することが好ましい。当該不織布は、ポーラス(多孔質)構造を有しているものである。
従来、加熱硬化の際に、不織布からの硬化性樹脂組成物の流出を抑制すると、加熱硬化前の不織布への硬化性樹脂組成物の含浸性が悪くなる。一方で、硬化性樹脂組成物の含浸性を高めると、加熱硬化の際に、含浸後の不織布から硬化性樹脂組成物の流出が生じる。さらに、含浸性を有しつつ流出を抑制すると、加熱硬化の際に含浸後の不織布の成形性が難しい。
しかしながら、本発明の硬化性樹脂組成物は、加熱硬化前の不織布への含浸性が良好であり、加熱硬化させる際に不織布からの流出を抑制でき、成形性も良好であるという優れた効果を有する。さらに、本発明の硬化性樹脂組成物及びリサイクル由来の不織布を用いて得られたプリプレグは、半硬化状態で適度な柔軟性もあるため、その後の成形加工(例えばプレス加工など)も容易に行なうことができる。これにより、繊維強化複合材料を種々の形状にすることも可能である。
しかしながら、本発明の硬化性樹脂組成物は、加熱硬化前の不織布への含浸性が良好であり、加熱硬化させる際に不織布からの流出を抑制でき、成形性も良好であるという優れた効果を有する。さらに、本発明の硬化性樹脂組成物及びリサイクル由来の不織布を用いて得られたプリプレグは、半硬化状態で適度な柔軟性もあるため、その後の成形加工(例えばプレス加工など)も容易に行なうことができる。これにより、繊維強化複合材料を種々の形状にすることも可能である。
前記繊維に対する本発明に係る硬化性樹脂組成物の使用量は、特に限定されないが、繊維100質量部に対し、前記硬化性樹脂組成物は、好ましくは100〜500質量部、より好ましくは200〜500質量部、さらに好ましくは300〜400質量部である。
2.繊維強化複合材料の製造方法
本発明に係る繊維強化複合材料用硬化性樹脂組成物は、公知の繊維強化複合材料の製造方法に適用することができ、繊維強化複合材料の製造に使用することができる。
本発明に係る炭素強化複合材料の製造方法は、前記硬化性樹脂組成物と繊維とを含む材料に対し、多段階の加熱を行う加熱工程、を含むことが好適である。
前記硬化性樹脂組成物、硬化剤、繊維、や任意成分などの材料及びこれら使用量は、上述した<1.繊維強化複合材料用硬化性樹脂組成物>を採用することができるので、説明を省略する。
本発明に係る繊維強化複合材料用硬化性樹脂組成物は、公知の繊維強化複合材料の製造方法に適用することができ、繊維強化複合材料の製造に使用することができる。
本発明に係る炭素強化複合材料の製造方法は、前記硬化性樹脂組成物と繊維とを含む材料に対し、多段階の加熱を行う加熱工程、を含むことが好適である。
前記硬化性樹脂組成物、硬化剤、繊維、や任意成分などの材料及びこれら使用量は、上述した<1.繊維強化複合材料用硬化性樹脂組成物>を採用することができるので、説明を省略する。
前記多段階の加熱を行う加熱工程は、(A)硬化性樹脂組成物を含浸させた繊維を得る第一加熱工程、及び(B)硬化性樹脂組成物を含浸させた繊維に対し、第一加熱工程よりも高い温度で加熱し、硬化させて繊維強化複合材料を得る第二加熱工程、を含むことがより好適である。
前記第一加熱工程における加熱温度は、低温温度帯であることが好適であり、その好適な下限値として好ましくは40℃以上、より好ましくは50℃以上、さらに好ましくは60℃以上、より好ましくは70℃以上、さらに好ましくは80℃以上であり、また、その好適な上限値として、好ましくは140℃以下、より好ましくは130℃以下、さらに好ましくは120℃以下、より好ましくは110℃以下、さらに好ましくは100℃以下である。
前記第一加熱工程における加圧は特に限定されないが、好ましくは0.05〜10MPa、より好ましくは1MPa以上、さらに好ましくは1〜5MPaである。
前記第一加熱工程における加熱時間は特に限定されないが、半硬化状態にするように行えばよく、好ましくは60分間以下、より好ましくは30分間以下、さらに好ましくは20分間以下である。
前記第一加熱工程における加圧は特に限定されないが、好ましくは0.05〜10MPa、より好ましくは1MPa以上、さらに好ましくは1〜5MPaである。
前記第一加熱工程における加熱時間は特に限定されないが、半硬化状態にするように行えばよく、好ましくは60分間以下、より好ましくは30分間以下、さらに好ましくは20分間以下である。
前記第一加熱工程での含浸繊維は、完全に硬化されていない状態で、適度な可とう性(フレキシビリティ)を有することが好適である。当該「可とう性」とは、物体が柔軟であり、折り曲げることが可能である性質のことをいう。
前記第一加熱工程を行うことで、本発明に係るプリプレグを得ることができる。また、当該第一加熱工程は、以下のプリプレグの製造方法を採用することもできる。
また、前記(A)工程及び前記(B)工程の間に、予め、プリプレグを所望の形状に成形する成形工程を設けてもよい。
前記第一加熱工程を行うことで、本発明に係るプリプレグを得ることができる。また、当該第一加熱工程は、以下のプリプレグの製造方法を採用することもできる。
また、前記(A)工程及び前記(B)工程の間に、予め、プリプレグを所望の形状に成形する成形工程を設けてもよい。
前記第二加熱工程における加熱温度は、高温温度帯であることが好適であり、その好適な下限値として好ましくは130℃以上、より好ましくは140℃以上、さらに好ましくは150℃以上、よりさらに好ましくは160℃以上、より好ましくは170℃以上、さらに好ましくは180℃以上であり、また、その好適な上限値として、好ましくは260℃以下、より好ましくは250℃以下、さらに好ましくは230℃以下、より好ましくは220℃以下、さらに好ましくは210℃以下である。
前記第二加熱工程における加圧は特に限定されないが、好ましくは0.05〜10MPa、より好ましくは0.1〜5MPa、さらに好ましくは0.5〜1MPaである。
前記第二加熱工程における加熱時間は特に限定されないが、好ましくは30〜240分間、より好ましくは60〜180分間である。
前記第二加熱工程における加圧は特に限定されないが、好ましくは0.05〜10MPa、より好ましくは0.1〜5MPa、さらに好ましくは0.5〜1MPaである。
前記第二加熱工程における加熱時間は特に限定されないが、好ましくは30〜240分間、より好ましくは60〜180分間である。
また、第一加熱工程の加熱温度の上限値と第二加熱工程の加熱温度の下限値との間に加熱温度差があることが好ましい。この加熱温度差は、より好ましくは30℃以上であり、上述した<1−2.硬化剤>における「高温硬化剤単体と低温硬化剤単体との硬化反応開始温度の差」を、加熱温度差として採用することが好ましい。
さらに、前記多段加熱工程において、50〜120℃の加熱で含浸させる第一加熱工程と、130〜210℃の加熱で硬化させる第二加熱工程と、を含む工程がより好適である。
さらに、前記多段加熱工程において、50〜120℃の加熱で含浸させる第一加熱工程と、130〜210℃の加熱で硬化させる第二加熱工程と、を含む工程がより好適である。
前記第一加熱工程後に、第二加熱工程を行うことで、本発明に係る繊維強化複合材料を得ることができる。また、当該第二加熱工程は、以下の繊維強化複合材料の製造方法を採用することもできる。
以下に、プリプレグ及び繊維強化複合材料について説明する。
2−1.プリプレグ
本発明に係るプリプレグは、様々な公知のプリプレグの製造方法を適宜採用して、製造することができる。例えば、有機溶媒を用いず、樹脂組成物を加熱により低粘度化し、強化繊維に含浸させるホットメルト法などの方法により、本発明に係るプリプレグを製造することができる。
2−1.プリプレグ
本発明に係るプリプレグは、様々な公知のプリプレグの製造方法を適宜採用して、製造することができる。例えば、有機溶媒を用いず、樹脂組成物を加熱により低粘度化し、強化繊維に含浸させるホットメルト法などの方法により、本発明に係るプリプレグを製造することができる。
ホットメルト法では、例えば、(1)加熱により低粘度化した樹脂組成物を、直接、強化繊維に含浸させる方法、(2)一旦樹脂組成物を離型紙などの上にコーティングした樹脂フィルム付きの離型紙シート(以降、「樹脂シート」ともいう)を作製する。次いで、強化繊維の両側又は片側から樹脂シートを強化繊維側に重ね、加熱加圧することにより強化繊維に樹脂組成物を含浸させる方法などが挙げられる。当該加熱条件は、上述の第一加熱工程の加熱条件を採用することができ、加熱温度は好ましくは80〜100℃であり、加圧は好ましくは1〜5MPaであり、また、加熱時間は半硬化状態になるように調整すればよく好ましくは20分間以下である。
前記プリプレグ中の繊維の質量含有率は、好ましくは10〜70質量%であり、より好ましくは15〜60質量%であり、更に好ましくは20〜40質量%である。当該数値範囲にすることにより、強度と弾性率に優れる繊維強化複合材料の利点が得られ、樹脂の含浸効率の向上、プリプレグのタック性が良好になる。
2−2.繊維強化複合材料
本発明に係る繊維強化複合材料は、前記硬化性樹脂組成物を用いて得ることができる。より具体的には、本発明に係る繊維強化複合材料は、前記硬化性樹脂組成物と繊維とを用いて得ることができる。本発明に係る硬化性樹脂組成物は、一次加熱硬化において繊維への含浸性が良好で、二次加熱硬化の際に繊維からの流出が抑制され、二次加熱硬化の際の成形性が良好であるので、種々の繊維強化複合材料の製造方法に対して適用可能である。
また、繊維強化複合材料の材料として用いるプリプレグは、単数又は複数であってもよく、同一又は異なる種類であってもよい。
本発明に係る繊維強化複合材料は、前記硬化性樹脂組成物を用いて得ることができる。より具体的には、本発明に係る繊維強化複合材料は、前記硬化性樹脂組成物と繊維とを用いて得ることができる。本発明に係る硬化性樹脂組成物は、一次加熱硬化において繊維への含浸性が良好で、二次加熱硬化の際に繊維からの流出が抑制され、二次加熱硬化の際の成形性が良好であるので、種々の繊維強化複合材料の製造方法に対して適用可能である。
また、繊維強化複合材料の材料として用いるプリプレグは、単数又は複数であってもよく、同一又は異なる種類であってもよい。
本発明に係る繊維強化複合材料の製造方法は、特に限定されず、一般的な製造方法を採用することができる。繊維強化複合材料の製造方法として、例えば、上述したプリプレグを所定の形態(積層構造や形状など)で積層し、加圧・加熱して樹脂を硬化させる方法などが挙げられる。この積層方法として、例えば、ハンドレイアップ法やスプレーアップ法などが挙げられる。また、繊維強化複合材料の製造方法として、例えば、プレス成形法、オートクレーブ成形法、バッギング成形法、テープラッピング成形法、内圧成形法などが挙げられるが、これらに限定されない。
プリプレグの樹脂を硬化させる条件として、例えば、上述の第二加熱工程の加熱条件を採用することができる。第二加熱工程における加熱温度は好ましくは180〜250℃であり、加圧は好ましくは0.5〜1MPaであり、加熱時間は好ましくは60〜180分間である。
このようにして、所定の形態(形状、強度、耐久性など)を有する繊維強化複合材料を得ることができる。
プリプレグの樹脂を硬化させる条件として、例えば、上述の第二加熱工程の加熱条件を採用することができる。第二加熱工程における加熱温度は好ましくは180〜250℃であり、加圧は好ましくは0.5〜1MPaであり、加熱時間は好ましくは60〜180分間である。
このようにして、所定の形態(形状、強度、耐久性など)を有する繊維強化複合材料を得ることができる。
本発明に係る繊維強化複合材料は、一般産業用途及びスポーツ用途などに用いることができる。より具体的には、一般産業用途では、自動車、船舶及び鉄道車両などの構造体やそれを作製するための成形型(モールド加工用やプレス加工用などの成形型)などに好適に用いることができる。また、スポーツ用途では、ゴルフシャフト、釣り竿、テニスやバドミントンのラケット用途に好適に用いることができる。
以下、実施例などに基づいて本発明をより詳細に説明する。なお、以下に説明する実施例などは、本発明の代表的な実施例などの一例を示したものであり、本発明の範囲はこれらの実施例のみに限定されるものでない。
〔実施例1〜2及び比較例1〜3〕
下記の表1に示す配合に従い、エポキシ樹脂と、添加剤(消泡剤)と、硬化剤とを、溶融混合してエポキシ樹脂組成物を得、さらにエポキシ樹脂シート(厚さ2mm)を成形した。
なお、使用する硬化剤単体の硬化反応開始温度は、後述する〔硬化剤の硬化反応開始温度の測定方法〕に従って測定を行った(図3参照)。
下記の表1に示す配合に従い、エポキシ樹脂と、添加剤(消泡剤)と、硬化剤とを、溶融混合してエポキシ樹脂組成物を得、さらにエポキシ樹脂シート(厚さ2mm)を成形した。
なお、使用する硬化剤単体の硬化反応開始温度は、後述する〔硬化剤の硬化反応開始温度の測定方法〕に従って測定を行った(図3参照)。
また、各実施例1〜2及び比較例1〜3のエポキシ樹脂シートを用いて、炭素繊維の不織布への樹脂成分の含浸性、エポキシ樹脂が含浸した不織布の二次加熱硬化時の樹脂成分の流出抑制性、樹脂成分が含浸した不織布(プリプレグ)の二次加熱硬化時の成形性の評価を行った。以下、一次加熱硬化、二次加熱硬化を、それぞれ、一次硬化、二次硬化ともいう。これらの評価は、〔不織布への樹脂組成物の含浸性の評価〕、〔高温における二次硬化時の樹脂組成物の流出性の評価〕、及び〔二次硬化時の成形性の評価〕に従って、行った。その結果を表1に示す。
〔不織布への樹脂組成物の含浸性の評価〕
単数又は複数の繊維シート11の上に樹脂シート10を載せ、樹脂シート10の上にホットプレス12を配置する。ホットプレス12で樹脂シート10を図1の矢印方向に加圧しながら加熱した(図1参照)。このときの一次硬化における加熱条件を、100℃で20分間とし、加圧条件を1MPaとした。繊維シート1gに対し、樹脂シート3.5gの割合にて行った。今回は、炭素繊維の不織布を、繊維シートとして使用した。
加熱加圧後に、樹脂シートが溶融し、炭素繊維の不織布に含浸したかどうかを確認した。樹脂シートの未溶融物が目視にて残らず、不織布の繊維の隙間や繊維表面に含浸できている場合に「◎(優)」とし、樹脂シートの全部又は一部が溶融できずに生じた残りが視認でき、不織布の繊維の隙間や繊維表面への含浸が十分でない場合に「×(不可)」と評価した。
単数又は複数の繊維シート11の上に樹脂シート10を載せ、樹脂シート10の上にホットプレス12を配置する。ホットプレス12で樹脂シート10を図1の矢印方向に加圧しながら加熱した(図1参照)。このときの一次硬化における加熱条件を、100℃で20分間とし、加圧条件を1MPaとした。繊維シート1gに対し、樹脂シート3.5gの割合にて行った。今回は、炭素繊維の不織布を、繊維シートとして使用した。
加熱加圧後に、樹脂シートが溶融し、炭素繊維の不織布に含浸したかどうかを確認した。樹脂シートの未溶融物が目視にて残らず、不織布の繊維の隙間や繊維表面に含浸できている場合に「◎(優)」とし、樹脂シートの全部又は一部が溶融できずに生じた残りが視認でき、不織布の繊維の隙間や繊維表面への含浸が十分でない場合に「×(不可)」と評価した。
樹脂シートを不織布に含浸させて、一次硬化したプリプレグのシート(半硬化状態)が得られた場合に、さらに高温にて二次硬化させたときの樹脂組成物の不織布からの流出の有無の評価、及びプリプレグの二次硬化時の成形性の評価を行った。
〔高温における二次硬化時の樹脂組成物の流出抑制の評価〕
加熱加圧条件(100℃、1時間、1Mpa)にて樹脂シートを炭素繊維の不織布に含浸させて、一次硬化を行った。一次硬化後に、樹脂組成物が含浸した一次硬化の不織布(プリプレグ)の質量を測定した。測定後、加熱条件(180℃、2時間)にて、プリプレグの二次硬化を行い、二次硬化の不織布の最終質量とした。一次硬化の不織布の質量−二次硬化の不織布の最終質量から、減少量を求めた。評価基準として、◎(優):重量変化なし(流出なし:全量の1%未満)、×(不可):質量減少あり(全量1%以上の流出あり)、×(不可):一次硬化のときに含浸不可のため評価不可(全量とは、一次硬化の不織布の質量を100%としたときの量である)。
加熱加圧条件(100℃、1時間、1Mpa)にて樹脂シートを炭素繊維の不織布に含浸させて、一次硬化を行った。一次硬化後に、樹脂組成物が含浸した一次硬化の不織布(プリプレグ)の質量を測定した。測定後、加熱条件(180℃、2時間)にて、プリプレグの二次硬化を行い、二次硬化の不織布の最終質量とした。一次硬化の不織布の質量−二次硬化の不織布の最終質量から、減少量を求めた。評価基準として、◎(優):重量変化なし(流出なし:全量の1%未満)、×(不可):質量減少あり(全量1%以上の流出あり)、×(不可):一次硬化のときに含浸不可のため評価不可(全量とは、一次硬化の不織布の質量を100%としたときの量である)。
〔二次硬化時の成形性の評価〕
〔高温における二次硬化時の樹脂組成物の流出性の評価〕の記載に従って一次硬化したプリプレグを得た。このプリプレグのシートを、上側の金型(凸型)と下側の金型(凹型)との間に挟み、両方の金型から加熱し、上側の金型で下方向に加圧する(図2参照)。図2の左図に示すように、ホットプレス24及び上側の部材21にて上側の金型(凸部)を構成している。ホットプレス25及び下側の部材22,22にて下側の金型(凹部)を構成している。符号20はプリプレグを示す。右図に示すように、上方向よりホットプレス24を押すことで、プリプレグ20が成形されながら二次硬化される。このとき、それぞれのホットプレス24,25から部材21,22を介してプリプレグのシートに熱が伝わるようになっている。プレス時に生じる両者の金型の隙間は、シートの厚みになるように設定することができる。
今回、プリプレグのシートの厚みは1mmと、下側の金型のくぼみ部分は深さ(a)5mmで横幅(b)25mmと、金型同士の隙間は40mmと、設定した。
〔高温における二次硬化時の樹脂組成物の流出性の評価〕の記載に従って一次硬化したプリプレグを得た。このプリプレグのシートを、上側の金型(凸型)と下側の金型(凹型)との間に挟み、両方の金型から加熱し、上側の金型で下方向に加圧する(図2参照)。図2の左図に示すように、ホットプレス24及び上側の部材21にて上側の金型(凸部)を構成している。ホットプレス25及び下側の部材22,22にて下側の金型(凹部)を構成している。符号20はプリプレグを示す。右図に示すように、上方向よりホットプレス24を押すことで、プリプレグ20が成形されながら二次硬化される。このとき、それぞれのホットプレス24,25から部材21,22を介してプリプレグのシートに熱が伝わるようになっている。プレス時に生じる両者の金型の隙間は、シートの厚みになるように設定することができる。
今回、プリプレグのシートの厚みは1mmと、下側の金型のくぼみ部分は深さ(a)5mmで横幅(b)25mmと、金型同士の隙間は40mmと、設定した。
試験条件として、120℃で5分間加熱後、圧力を5分間かける。この加圧加熱時に、プリプレグのシートが割れないかどうか確認した。さらに、放冷後、脱型し、金型の内部の凹形状に沿って成形品が成形できていたかどうかを確認した。より具体的には、加圧によって、プリプレグのシート又は成形品に割れが生じたかどうかを確認し、評価した。割れが生じた場合には「×(不可)」とし、金型に沿って成形できていた場合には「◎(優)」とした。
今回、繊維の不織布として、リサイクル炭素繊維の不織布を使用した。当該リサイクル炭素繊維の不織布は、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)からリサイクル回収して得られたものである。例えば、当該リサイクル炭素繊維の不織布は、非常圧溶解法により繊維と樹脂を分離し、回収された短繊維の炭素繊維をカード機(池上機械株式会社)で作製することができる(非特許文献1:JAXA航空技術部門、”CFRPリサイクル技術”、〔Online〕〔2019年12月14日検索〕インターネット<URL:www.aero.jaxa.jp/research/basic/structure-composite/recycle/>;非特許文献2:[3] 東出、岩堀、青木、星、リサイクル複合材に関する研究、P70-71,第2回航空プログラムシンポジウム、2011年)。
(1)樹脂成分
(1a)ナフタレン骨格変性多官能エポキシ樹脂:HP−5000(DIC、常温固形、EP当量:245〜260)(下記式(1a)に示す)。
(1a)ナフタレン骨格変性多官能エポキシ樹脂:HP−5000(DIC、常温固形、EP当量:245〜260)(下記式(1a)に示す)。
(1b)ナフタレン型エポキシ樹脂:HP−6000(DIC、常温固形、EP当量:235〜255)。
(1c)多官能多環型エポキシ樹脂(3官能多環エポキシ樹脂):HP−7241(旧EXA7241)(DIC、常温固形、EP当量:168)。
(1d)フルオレン型エポキシ樹脂:EG−200(大阪ガスケミカル、常温半固形、EP当量:290)。
(1e)フルオレン型エポキシ樹脂:EG−280(大阪ガスケミカル、常温液体、EP当量:460)。
(1f)BPA・BPF型エポキシ樹脂;ZX−1059(日鉄ケミカル&マテリアル、BPA・BPF型、常温液体、EP当量:160−170)。
(1g)グリシジルエーテル型:ED−505(ADEKA、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、常温液体、EP当量:150)
(1c)多官能多環型エポキシ樹脂(3官能多環エポキシ樹脂):HP−7241(旧EXA7241)(DIC、常温固形、EP当量:168)。
(1d)フルオレン型エポキシ樹脂:EG−200(大阪ガスケミカル、常温半固形、EP当量:290)。
(1e)フルオレン型エポキシ樹脂:EG−280(大阪ガスケミカル、常温液体、EP当量:460)。
(1f)BPA・BPF型エポキシ樹脂;ZX−1059(日鉄ケミカル&マテリアル、BPA・BPF型、常温液体、EP当量:160−170)。
(1g)グリシジルエーテル型:ED−505(ADEKA、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、常温液体、EP当量:150)
(2)消泡剤
添加剤(消泡剤)BYK−307、シリコン系(ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン)
添加剤(消泡剤)BYK−307、シリコン系(ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン)
(3)硬化剤
(3a)高温硬化剤(アミド系):EH−3636AS(ADEKA、ジシアンジアミド型;硬化反応開始温度171℃)
(3b)低温硬化剤(アミン系):2PZ−PW(四国化成、2−フェニルイミダゾール;硬化反応開始温度116℃)
(3c)高温硬化剤(FP系):TD−2131 (DIC、フェノールノボラック樹脂(固形、水酸基当量104g/eq;硬化反応開始温度230℃)
(3a)高温硬化剤(アミド系):EH−3636AS(ADEKA、ジシアンジアミド型;硬化反応開始温度171℃)
(3b)低温硬化剤(アミン系):2PZ−PW(四国化成、2−フェニルイミダゾール;硬化反応開始温度116℃)
(3c)高温硬化剤(FP系):TD−2131 (DIC、フェノールノボラック樹脂(固形、水酸基当量104g/eq;硬化反応開始温度230℃)
〔硬化剤の硬化反応開始温度の測定方法〕
樹脂成分100質量部に、1試料(硬化剤単体)5質量部を添加した組成物(5〜50mg)を、DSC(示差走査熱量計)にて測定し、DSC(mW)及び温度の経過を測定する。温度プログラムは、窒素雰囲気下、昇温25→300℃(10℃/分 昇温速度)、降温300→25℃(20℃/分 降温速度)である。窒素の流量は、窒素200mL/分である。昇温条件により、硬化剤単体の熱挙動の変化を測定し、チャートを得る。昇温条件のチャートから、低温側のベースラインを高温側に延長した直線と、発熱ピークの低温側の曲線にこう配が最大となる点で引いた接線との交点の温度を求め(JIS K 7121 9.2参考)、この交点の温度を硬化剤の硬化反応開始温度とする。なお、複数の硬化剤を含んだ硬化性樹脂組成物の熱挙動の変化についても、上記と同様にして測定することができる。
樹脂成分100質量部に、1試料(硬化剤単体)5質量部を添加した組成物(5〜50mg)を、DSC(示差走査熱量計)にて測定し、DSC(mW)及び温度の経過を測定する。温度プログラムは、窒素雰囲気下、昇温25→300℃(10℃/分 昇温速度)、降温300→25℃(20℃/分 降温速度)である。窒素の流量は、窒素200mL/分である。昇温条件により、硬化剤単体の熱挙動の変化を測定し、チャートを得る。昇温条件のチャートから、低温側のベースラインを高温側に延長した直線と、発熱ピークの低温側の曲線にこう配が最大となる点で引いた接線との交点の温度を求め(JIS K 7121 9.2参考)、この交点の温度を硬化剤の硬化反応開始温度とする。なお、複数の硬化剤を含んだ硬化性樹脂組成物の熱挙動の変化についても、上記と同様にして測定することができる。
例えば、硬化剤単体(3a)EH−3636AS及び硬化剤単体(3b)2PZ−PWのそれぞれの硬化剤単体の硬化反応開始温度を測定する場合、上述のようにしてDSCにて測定する。これら測定した結果を図3A及び図3Bに示す。それぞれ、低温側のベースラインを高温側に延長した直線と、発熱ピークの低温側の曲線にこう配が最大となる点で引いた接線の交点の温度は、図3Aでは171.0Cel及び図3Bでは115.7Celであったので、硬化剤の硬化反応開始温度を、それぞれ、171℃及び116℃とした。その他の硬化剤についても同様にして硬化反応開始温度(℃)を求めることができる。
<結果>
実施例1及び2の各硬化性樹脂組成物から、〔高温における二次硬化時の樹脂組成物の流出性の評価〕の記載に従って、一次硬化後の含浸不織布(プリプレグ)、及び二次硬化後の繊維強化複合材料をそれぞれ得ることができた。実施例1及び2の各硬化性樹脂組成物は、繊維への含浸性が良好であった。さらに、二次硬化の際に繊維からの流出した量は実施例1及び2ともに0%であり、実施例1及び2の各硬化性樹脂組成物は、二次硬化時の繊維からの流出を抑制することができた。また、実施例1及び2の各プリプレグは、加圧成形しながら二次硬化した際に型枠通りの形状に成形でき、割れが発生せず、成形性も良好であった。
実施例1及び2の各硬化性樹脂組成物から、〔高温における二次硬化時の樹脂組成物の流出性の評価〕の記載に従って、一次硬化後の含浸不織布(プリプレグ)、及び二次硬化後の繊維強化複合材料をそれぞれ得ることができた。実施例1及び2の各硬化性樹脂組成物は、繊維への含浸性が良好であった。さらに、二次硬化の際に繊維からの流出した量は実施例1及び2ともに0%であり、実施例1及び2の各硬化性樹脂組成物は、二次硬化時の繊維からの流出を抑制することができた。また、実施例1及び2の各プリプレグは、加圧成形しながら二次硬化した際に型枠通りの形状に成形でき、割れが発生せず、成形性も良好であった。
比較例1及び2の結果からすると、硬化性樹脂組成物に高温硬化剤を配合することで、含浸性評価を合格したプリプレグが製造できた。しかし、硬化性樹脂組成物に低温硬化剤を配合しない比較例2では、二次硬化時の流出抑制ができなかった。さらに、比較例2では、二次硬化の加圧の際に、割れが発生したため、成形性が不可であった。さらに、比較例1の結果からすると、硬化性樹脂組成物に複数のエポキシ樹脂を含有させても低温硬化剤を配合しない場合には、二次硬化時に流出抑制ができず、二次硬化の加圧の際に、割れも発生した。
また、比較例3の結果からすると、硬化性樹脂組成物に低温硬化剤を配合することで、含浸性評価に合格したプリプレグが製造でき、さらに二次硬化時の流出抑制ができた。しかし、比較例3では、二次硬化の加圧の際に、割れが発生したため、成形性は不可であった。
また、比較例3の結果からすると、硬化性樹脂組成物に低温硬化剤を配合することで、含浸性評価に合格したプリプレグが製造でき、さらに二次硬化時の流出抑制ができた。しかし、比較例3では、二次硬化の加圧の際に、割れが発生したため、成形性は不可であった。
実施例1〜2及び比較例1〜3の結果からすると、硬化性樹脂組成物に低温硬化剤及び高温硬化剤を含有させることが重要であること、高温硬化剤としてアミド系と低温硬化剤としてイミダゾール系とを少なくとも含有させることが望ましいことが確認できた。さらにこれら硬化剤の硬化反応開始温度の温度差が55℃であったので、低温硬化剤と高温硬化剤との間に50℃以上の硬化反応開始温度の温度差があることが望ましいと考えた。また、硬化性樹脂組成物に、樹脂成分としてナフタレン型エポキシ樹脂を少なくとも含むことが望ましいと考えた。
Claims (8)
- 樹脂成分と、硬化反応開始温度が異なる複数の硬化剤と、を含む、
繊維強化複合材料製造用硬化性樹脂組成物。 - 前記複数の硬化剤は、低温硬化剤と、高温硬化剤とを含む、請求項1記載の硬化性樹脂組成物。
- 前記複数の硬化剤の含有質量比が、低温硬化剤 0.1〜5:高温硬化剤 5〜45である、請求項1又は2記載の硬化性樹脂組成物。
- 前記複数の硬化剤は、アミド系硬化剤とアミン系硬化剤とを含む、請求項1〜3のいずれか1項記載の硬化性樹脂組成物。
- 前記樹脂成分が、エポキシ樹脂を含むものである、請求項1〜4のいずれか1項記載の硬化性樹脂組成物。
- 前記エポキシ樹脂が、常温で固形状又は半固形状のエポキシ樹脂を少なくとも含むものである、請求項5記載の硬化性樹脂組成物。
- 前記繊維が、炭素繊維である、請求項1〜6のいずれか1項記載の硬化性樹脂組成物。
- 前記請求項1〜7のいずれか1項記載の硬化性樹脂組成物を用いた、繊維強化複合材料。
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JP2020043485A JP2021143299A (ja) | 2020-03-12 | 2020-03-12 | 繊維強化複合材料製造用硬化性樹脂組成物 |
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CN113801437A (zh) * | 2021-10-21 | 2021-12-17 | 航天特种材料及工艺技术研究所 | 一种吸波环氧树脂、吸波环氧树脂复材及其制备方法 |
-
2020
- 2020-03-12 JP JP2020043485A patent/JP2021143299A/ja active Pending
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CN113801437B (zh) * | 2021-10-21 | 2023-04-25 | 航天特种材料及工艺技术研究所 | 一种吸波环氧树脂、吸波环氧树脂复材及其制备方法 |
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