JP2021143094A - 酸化銅ナノワイヤおよびその製造方法 - Google Patents
酸化銅ナノワイヤおよびその製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2021143094A JP2021143094A JP2020043036A JP2020043036A JP2021143094A JP 2021143094 A JP2021143094 A JP 2021143094A JP 2020043036 A JP2020043036 A JP 2020043036A JP 2020043036 A JP2020043036 A JP 2020043036A JP 2021143094 A JP2021143094 A JP 2021143094A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- copper oxide
- cuo
- hours
- heating
- oxide nanowires
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Classifications
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02E—REDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
- Y02E60/00—Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
- Y02E60/13—Energy storage using capacitors
Landscapes
- Electric Double-Layer Capacitors Or The Like (AREA)
Abstract
【課題】熱酸化法による酸化銅ナノワイヤ1の生成において、親水性または撥水性の制御を可能にする酸化銅ナノワイヤ1の製造方法を提供し、さらに、当該製造方法で製造された酸化銅ナノワイヤ1を電極として適用し、静電容量等の電気化学特性が向上したスーパーキャパシタを提供する。【解決手段】銅基板2を加熱して銅基板2上に酸化銅ナノワイヤ1を生成する工程において、加熱温度および加熱時間を制御することにより、酸化銅ナノワイヤ1の親水性または撥水性を制御する。加熱温度を300℃以上500℃以下とし、加熱時間を5時間以上8時間以下とすることにより、親水性の酸化銅ナノワイヤ1を製造する。加熱温度を350℃以上550℃以下とし、加熱時間を1時間以上5時間未満とすることにより、撥水性の酸化銅ナノワイヤ1を製造する。【選択図】図9
Description
本発明は酸化銅ナノワイヤおよびその製造方法に関する。
ナノワイヤ(NW)は、直径がナノメートルオーダーの金属繊維物質であり、多種多様な材料での生成が可能である。また、NWは1次元材料であるため、他のナノマテリアルと比較して比表面積が高いことから主に電池などの蓄電デバイスやセンサー、透明導電膜、MEMSへ適用されている。
これらのデバイスに応用されるNWの材料は主に遷移金属酸化物であり、従来では酸化ルテニウム(RuO2)や酸化マンガン(MnO2)等で生成されていた。これら遷移金属酸化物は蓄電デバイス内の電解液と酸化還元反応を行い、その反応で得られた電荷でデバイスの充放電がなされる。この遷移金属酸化物で得られるエネルギーは非常に大きく、また充放電を繰り返しても安定したエネルギーを供給することが可能である。その材料を用いてNWのような1次元材料を作製することで比表面積が増加し、さらに大きなエネルギーを獲得することができる。
しかしながら、RuO2やMnO2のような遷移金属酸化物にも課題がある。RuO2は貴金属であるため価格が不安定であり、毒性がある。またMnO2はナノ構造への調整の難しさや、導電性が他の遷移金属酸化物と比較して低い。したがって、これらに代わる代替材料が検討されている。その代替材料の一つとして、毒性が弱く従来の材料よりも安価であり、静電容量等の電気化学特性が良く、様々なナノ構造に容易に調整が可能である酸化銅(CuO)を用いた酸化銅ナノワイヤ (CuO nanowire: CuO NW)の生成が注目されており、様々な方法での生成がなされている。
CuO NWは直径がナノメートルオーダーの金属酸化物であり、他の金属酸化物よりも安価で比表面積および電気化学特性に優れているため、上記の応用が期待されている。CuO NWは水熱合成法やテンプレート法等様々な方法で生成が可能であり、その中でも加熱のみで容易に生成が可能な熱酸化法の研究が多く行われている。
熱酸化法とはCu層を加熱させた際のCuの原子拡散、および加熱で得られる酸化皮膜とCu層間の線膨張係数の相違から生じる熱応力によってCuO NW を生成させる方法である。この方法は、銅基板やSiウェハなどに成膜されたCu層を加熱するのみで表面にNW を生成することが可能である。
CuOは元々親水性であるが、撥水性のCuO NWを製造する方法が種々報告されている(例えば、非特許文献1および2)。
非特許文献1では、有機溶媒をコーティングすることでCuO NWの濡れ性を親水性から撥水性に変化させている。
非特許文献2では、熱酸化法で生成されたCuO NWに対し、空気中に曝される時間を制御し、さらに低温下での熱処理を行うことによって、CuO NWの濡れ性を親水性から撥水性に変化させている。
一方、スーパーキャパシタは大きく電気二重層キャパシタ、擬似キャパシタ(レドックスキャパシタ)、ハイブリッドキャパシタに分類される。この中で電気二重層キャパシタは、化学反応を伴わない蓄電デバイスであり、電解質イオンを含む溶液と固体電極表面間でのイオン吸脱着(電気二重層)によって充放電を行う。したがって、化学反応を伴う二次電池と異なり、高速な充放電が可能であり、充放電サイクルを繰り返しても化学反応による電極表面の物質変化がなく、単純な物理的変化であるため、性能劣化が極めて少ない。またこの物理的反応により瞬間的に多くのエネルギーを放出することが可能でるため、現在では大きなエネルギーが必要となる建設機械などの重機等に用いられている。
しかしながら、そのような利点の反面、エネルギー密度が低いという特性がある。現在のスーパーキャパシタは他の蓄電デバイスよりもこのエネルギー密度が低いため、この特性の改善が急務とされている。その解決策として、スーパーキャパシタに電解液との酸化還元反応で得られるエネルギーが大きい遷移金属酸化物を導入することが検討されている。その反応から得られる容量によりエネルギー密度の改善が期待できる。また、スーパーキャパシタにナノマテリアルを適用することでイオンの吸脱着が可能となる表面積が大きくなり、その結果イオンの貯蔵量が大きくなり、エネルギー密度が改善される。
従来、スーパーキャパシタの正電極にもRuO2やMnO2のような遷移金属酸化物が用いられていたが、上記のような問題のため、このようなスーパーキャパシタの用途は限られていいた。そこで、RuO2やMnO2の代替材料として、毒性が弱く安価であり、静電容量等の電気化学特性が良く、様々なナノ構造に容易に調整が可能であるCuOが期待されている(例えば、非特許文献3)。CuO NWをスーパーキャパシタの電極に適用することで、電極表面積が増加し、保有できる電荷量の増加が見込まれるため、エネルギー密度の改善が期待される。
非特許文献3では、熱酸化法により作製したCuO NW箔を柔軟性に富むフレキシブルスーパーキャパシタとして適用しその性能評価を行った。さらに電解質として、ヨウ化ナトリウムと導電性ポリマーであるポリビニルポロリドン (Polyvinylpyrrolidone: PVP)とを複合させたものを採用することで、電気化学特性の安定性を実現し、また電極に柔軟性を付与させた。
Facile synthesis, growth mechanism and reversible superhydrophobic and superhydrophilic properties of non-flaking CuO nanowires grown from porous copper substrates, Nanotechnology, Volume 24, Issue 6, 2013, Article number 065602
Chang, F.-M., Cheng, S.-L., Hong, S.-J., Sheng, Y.-J., Tsao, H.-K., Superhydrophilicity to superhydrophobicity transition of CuO nanowire films, Applied Physics Letters, Volume 96, Issue 11, 2010, Article number 114101
Lamberti, A., Fontana, M., Bianco, S., Tresso, E., Flexible solid-state CuxO-based pseudo-supercapacitor by thermal oxidation of copper foils, International Journal of Hydrogen Energy, Volume 41, Issue 27, 2016, Pages 11700-11708
非特許文献1および2では、CuO NWの濡れ性を親水性から撥水性に変化させるために、CuO NWの生成後にさらに処理を行う必要があり、より簡便な方法でのCuO NWの親水性または撥水性の制御方法が望まれる。
非特許文献3では、静電容量として61.2 F/gという値が得られているが、CuO NWを電極として用いたスーパーキャパシタとしての実用化のためには、より大きい静電容量の実現が望まれる。非特許文献3での加熱条件は、加熱温度が430℃、加熱時間が5〜30分である。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、熱酸化法による酸化銅ナノワイヤの生成において、加熱条件をコントロールして親水性または撥水性の制御を可能にする酸化銅ナノワイヤの製造方法を提供し、さらに、当該製造方法で製造された酸化銅ナノワイヤを電極として適用し、静電容量等の電気化学特性が向上したスーパーキャパシタを提供する。
本発明の酸化銅ナノワイヤの製造方法は、銅基板を加熱して前記銅基板上に酸化銅ナノワイヤを生成する工程において、加熱温度および加熱時間を制御することにより、前記酸化銅ナノワイヤの親水性または撥水性を制御することができる。
本発明の酸化銅ナノワイヤの製造方法は、前記加熱温度を300℃以上500℃以下とし、前記加熱時間を5時間以上8時間以下とすることにより、親水性の前記酸化銅ナノワイヤを製造することができる。
本発明の酸化銅ナノワイヤの製造方法は、前記加熱温度を350℃以上450℃以下とし、前記加熱時間を5時間以上7時間以下とすることにより、サイクリックボルタンメトリー測定(CV測定)において電流-電位曲線(CV曲線)がヒステリシスを示す前記酸化銅ナノワイヤを製造することができる。
本発明の酸化銅ナノワイヤの製造方法は、前記酸化銅ナノワイヤの表面に液滴を着滴させて測定した接触角が0°以上10°以下とすることができる。
本発明の酸化銅ナノワイヤの製造方法は、前記加熱温度を350℃以上550℃以下とし、前記加熱時間を1時間以上5時間未満とすることにより、撥水性の前記酸化銅ナノワイヤを製造することができる。
本発明の酸化銅ナノワイヤの製造方法は、前記酸化銅ナノワイヤの表面に液滴を着滴させて測定した接触角が80°以上とすることができる。
本発明の酸化銅ナノワイヤの製造方法は、前記液滴を硫酸ナトリウム水溶液とすることができる。
本発明の酸化銅ナノワイヤは、親水性であり、表面に液滴を着滴させて測定した接触角が0°以上10°以下とすることができる。
本発明の酸化銅ナノワイヤは、サイクリックボルタンメトリー測定(CV測定)において電流-電位曲線(CV曲線)がヒステリシスを示すことができる。
本発明の酸化銅ナノワイヤは、撥水性であり、表面に液滴を着滴させて測定した接触角が80°以上とすることができる。
本発明の酸化銅ナノワイヤは、前記液滴を硫酸ナトリウム水溶液とすることができる。
本発明のスーパーキャパシタは、前期酸化銅ナノワイヤを電極として用いることができる。
本発明によれば、CuO NWの親水性および撥水性を制御することができ、特に超親水性とすることで、例えばCuO NWをスーパーキャパシタの電極に適用した場合に、電極表面積が増加し、保有できる電荷量の増加が見込まれるため、エネルギー密度を改善することができる。
以下、本発明の酸化銅ナノワイヤ(CuO NW)およびその製造方法の好ましい実施形態について、図面および実施例に基づいて説明する。
本実施形態では、図1に示す銅基板2を加熱して当該銅基板2上にCuO NW1を生成する工程において、加熱温度および加熱時間を制御することにより、CuO NW1の親水性または撥水性を制御する。銅基板2上には酸化層が形成され、図1中、符号3はCuO層であり、符号4はCu2O層である。
(親水性のCuO NW)
本実施形態では、加熱温度を300℃以上500℃以下とし、加熱時間を5時間以上8時間以下とすることにより、親水性のCuO NW1を製造する。
本実施形態では、加熱温度を300℃以上500℃以下とし、加熱時間を5時間以上8時間以下とすることにより、親水性のCuO NW1を製造する。
CuO NW1をエネルギーデバイスに適用する際、その電極表面と電解液の間に存在する濡れ性が非常に重要な要素となる。一般的に、電極表面の濡れ性が良好であると電解液が表面に浸透しやすくなるため良好な電気化学特性を示す。CuO NW1の表面と電解液の濡れ性の評価については接触角の測定が有効である。
本実施形態の親水性のCuO NW1は、図2および図3に示すようにCuO NW1の表面に液滴11を着滴させて測定した接触角θが0°以上10°以下であることが好ましく、0°以上5°以下であることがより好ましい。通常、接触角θが0°以上5°以下である場合を超親水性と呼ぶ。
液滴11は、例えば、硫酸ナトリウム、純水、水酸化カリウムおよびヨウ化ナトリウム等を使用することができる。
CuOは理論静電容量が他の遷移金属酸化物と比較して高い容量を示し、安価であるため、蓄電池としての応用が期待されている。その応用例の一例として、次世代電池として期待されているスーパーキャパシタがある。そこで、Cu NWをスーパーキャパシタ電極に採用したときの電気化学特性を測定し、CuO NW1の性能を電池という側面から評価することができる。本実施形態では、サイクリックボルタンメトリー(Cyclic Voltammetry: CV)測定(CV測定)により、CuO NW1の評価を行う。
サイクリックボルタンメトリーとは、電極電位をある範囲で自動的に往復させ、その範
囲に電荷をもつ酸化還元対の反応電流を測定する方法である。測定から得られる電流-電位曲線(CV曲線)の形は電解反応の特性で変化する。特に、1分子が授受する電子の数や、電極と電子をやり取りする速度、分子の拡散係数等がCV曲線の形を大きく左右する。CV曲線がヒステリシスを示す場合、得られたCV曲線に囲まれた面積からCuO NW1の静電容量を算出することができる。静電容量の算出式を以下に示す。
ここで、C:静電容量(F/g)、m:CuO NW の重量(g)、v:電圧の測定速度(V/s)、ΔV:測定範囲(V)、A:CV 曲線の面積、である。
囲に電荷をもつ酸化還元対の反応電流を測定する方法である。測定から得られる電流-電位曲線(CV曲線)の形は電解反応の特性で変化する。特に、1分子が授受する電子の数や、電極と電子をやり取りする速度、分子の拡散係数等がCV曲線の形を大きく左右する。CV曲線がヒステリシスを示す場合、得られたCV曲線に囲まれた面積からCuO NW1の静電容量を算出することができる。静電容量の算出式を以下に示す。
CV測定の際には、作用電極、対電極および参照電極を用いる。電解液中の参照電極内で起きる反応を基準とし、作用電極と対電極間の反応を測定することで、電気化学特性を評価する。作用電極は、対象物質と電子の授受を行い、本実施形態ではCu NW試験片を使用することができる。対電極は、作用電極で発生するのと同じ電流値をフィードバックすることを目的とする。対電極は、性能確保のために作用電極より十分に大きな電極面積とするのが一般的である。参照電極には、例えば安定な電極電位を呈する銀/塩化銀(Ag/AgCl)電極を使用することができる。
本実施形態では、加熱温度を350℃以上450℃以下とし、加熱時間を5時間以上7時間以下とすることにより、CV測定においてCV曲線がヒステリシスを示すCuO NW1を製造することができる。CV曲線がヒステリシスを示すことは、電気の貯蔵が行われていることを示すので、このようなCuO NWを1スーパーキャパシタの電極として用いることができる。
(撥水性のCuO NW)
CuOは一般的に親水性を示す材料として知られている。そのため、基板表面の表面粗さを向上させると親水性から超親水性に変化する。しかしながら、本実施形態では、加熱温度および加熱時間を制御することにより、CuO NW1の表面を撥水性とすることができる。
CuOは一般的に親水性を示す材料として知られている。そのため、基板表面の表面粗さを向上させると親水性から超親水性に変化する。しかしながら、本実施形態では、加熱温度および加熱時間を制御することにより、CuO NW1の表面を撥水性とすることができる。
CuO NW1の表面を撥水性に変化させることで、例えば金属薄膜コーティング等にCuO NW1を適用した場合に、ロータス効果により表面のゴミが清浄される表面状態を形成することができる。
本実施形態では、加熱温度を350℃以上550℃以下とし、加熱時間を1時間以上5時間未満とすることにより、撥水性のCuO NW1を製造する。この場合、CuO NW1の表面に液滴11を着滴させて測定した接触角θが80°以上であることが好ましく、80°以上130°以下であることがより好ましく、80°以上100°以下であることがさらに好ましい。
液滴11は、例えば、硫酸ナトリウム水溶液、純水、水酸化カリウム水溶液およびヨウ化ナトリウム水溶液等を使用することができる。
本明細書において言及される全ての文献はその全体が引用により本明細書に取り込まれる。ここに記述される実施例は本発明の実施形態を例示するものであり、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
以下に本発明の実施例として作製したCu NW1と、その評価結果について説明する。
本実施例では、純度99.9%の銅基板2を用いてCuO NW試験片9の作製を行った。まず、銅板(厚さ500 μm,純度99.9%)を10×10mmに切り、アセトン、エタノール純水の順で超音波洗浄を5分間ずつ行った。洗浄を行った銅基板2を電気炉(HPM-1G、アズワン株式会社)にて大気環境下で加熱し、銅基板2上にCuO NW1を生成し、CuO NW試験片9を作製した。加熱条件として、加熱温度および加熱時間を変化させた。
<評価方法>
[形態観察]
電界放出型走査電子顕微鏡 (Field Emission Electron Microscope: FE-SEM)(S-4800、株式会社 日立ハイテク)を用いて、CuO NW1の形態観察を行った。
[形態観察]
電界放出型走査電子顕微鏡 (Field Emission Electron Microscope: FE-SEM)(S-4800、株式会社 日立ハイテク)を用いて、CuO NW1の形態観察を行った。
光電子分光置(X-ray Photoelectron Spectroscopy: XPS)(JPS-9010、日本電子株式会社)を用いてCu NW1の表面の成分分析を行った。
[濡れ性評価]
図2に示すようにCuO NW1の表面に液滴11を着滴させ、接触角測定器(AD-21、協和界面科学株式会社)を用いて、図3に示すCuO NW1の表面の接触角θを測定した。液滴11は、1 mol/Lの硫酸ナトリウム(Na2SO4)を用いた。
図2に示すようにCuO NW1の表面に液滴11を着滴させ、接触角測定器(AD-21、協和界面科学株式会社)を用いて、図3に示すCuO NW1の表面の接触角θを測定した。液滴11は、1 mol/Lの硫酸ナトリウム(Na2SO4)を用いた。
[電気化学特性]
本実施例では、CuO NW1をスーパーキャパシタの正電極に適用することを検討するため、様々な加熱条件で生成したCuO NW1の電気化学特性を評価した。電気化学特性の評価は、サイクリックボルタンメトリー(Cyclic Voltammetry: CV)測定により、静電容量の算出を行った。
本実施例では、CuO NW1をスーパーキャパシタの正電極に適用することを検討するため、様々な加熱条件で生成したCuO NW1の電気化学特性を評価した。電気化学特性の評価は、サイクリックボルタンメトリー(Cyclic Voltammetry: CV)測定により、静電容量の算出を行った。
まず、作製したCuO NW試験片9の測定面に導線をテープで固定し、測定面以外を電解液に触れさせないためにテープで覆った。また、CuO NW試験片9の測定面のテープで覆われていない部分の面積を測った。
CuOおよびCuO2とは反応するがCuとは反応しない濃度10%のHClを用いて、CuO層3およびCuO2層4の酸化層の重量の測定を行った。初めに熱酸化法によりCuO NW1を生成したCuO NW試験片9の重量を、重量測定装置(AUX320、株式会社 島津製作所)を用いて測定した。次にCuO NW試験片9の裏面の酸化層が溶解されないように試験片の裏面をテープで覆い、濃度10%のHClにCuO NW試験片9を浸漬させた。その後、表面の酸化層の重量を測定するため、酸化層を溶解させたCuO NW試験片9の重量を測定した。
電気化学特性評価を行うための電解液の作製では、まず、500 mlのビーカー31に42.2 gの1M Na2SO4と300 mlの純水を入れ撹拌した。その後、電解液中の残存酸素を減らすため30分間N2を注入した。
次に、ビーカー31にCuO NW試験片9、対電極(負極)および参照電極を、CuO NW試験片9と対電極が平行になるように設置した。参照電極を基準として、CuO NW試験片9と対電極間で発生する電流を、CV測定装置(HZ-5000、北斗電工株式会社)を用いて測定し、電気化学特性を評価した。対電極にはPtを使用し、参照電極にはAg/AgClを使用した。
<評価結果>
[形態観察]
昇温速度5℃/minで加熱温度400℃まで昇温し、加熱温度400℃で2時間、4時間、6時間および8時間加熱して作製したCuO NW1のSEM写真図を、図4〜図7に示す。すべての加熱条件において、銅基板2表面にCu NW1が生成されていることが確認できる。各加熱条件により製造されたCu NW1の長さ、直径および密度を、それぞれ図8〜図10に示す。これらより、加熱時間が8時間の場合に、CuO NW1の長さおよび直径が最大となったことが分かる。一方、CuO NW1の密度は、加熱時間が2時間から4時間にかけて増加し、その後は大きな変化がなく、CuO NW1が安定的に生成されたことが分かる。
[形態観察]
昇温速度5℃/minで加熱温度400℃まで昇温し、加熱温度400℃で2時間、4時間、6時間および8時間加熱して作製したCuO NW1のSEM写真図を、図4〜図7に示す。すべての加熱条件において、銅基板2表面にCu NW1が生成されていることが確認できる。各加熱条件により製造されたCu NW1の長さ、直径および密度を、それぞれ図8〜図10に示す。これらより、加熱時間が8時間の場合に、CuO NW1の長さおよび直径が最大となったことが分かる。一方、CuO NW1の密度は、加熱時間が2時間から4時間にかけて増加し、その後は大きな変化がなく、CuO NW1が安定的に生成されたことが分かる。
上記の各加熱条件で作製したCuO NW1の表面の成分分析を行い、加熱時間の変化によるCuO NW1表面への影響を確認した。図11〜図14に示すように、全ての加熱条件におけるCuO NW1表面でCuOとみられるスペクトルが確認された。
昇温速度5℃/minで加熱温度300℃、400℃、500℃、600℃まで昇温し、各加熱温度で4時間加熱した銅基板2の表面のSEM写真図を、図15〜図18に示す。加熱温度300℃、600℃ではCu NW1の生成が確認されず、加熱温度400℃〜500℃ではCuO NW1の生成が確認された。
[濡れ性評価]
昇温速度5℃/minで加熱温度400℃まで昇温し、加熱温度400℃で2時間、4時間、6時間および8時間加熱して作製された各CuO NW1の表面に液滴を着滴させた様子を図19〜図22に示す。測定した接触角θおよび標準偏差を表1に示す。加熱時間が2時間および4時間のCuO NW1は、接触角θが大きいことから撥水性であることが分かる。加熱時間が6時間および8時間のCuO NW1は、接触角θが小さいことから親水性であることが分かる。特に、加熱時間が6時間のCuO NW1は、接触角θが1.5°であり、超親水性であることが分かる。
昇温速度5℃/minで加熱温度400℃まで昇温し、加熱温度400℃で2時間、4時間、6時間および8時間加熱して作製された各CuO NW1の表面に液滴を着滴させた様子を図19〜図22に示す。測定した接触角θおよび標準偏差を表1に示す。加熱時間が2時間および4時間のCuO NW1は、接触角θが大きいことから撥水性であることが分かる。加熱時間が6時間および8時間のCuO NW1は、接触角θが小さいことから親水性であることが分かる。特に、加熱時間が6時間のCuO NW1は、接触角θが1.5°であり、超親水性であることが分かる。
[電気化学特性]
昇温速度5℃/minで加熱温度400℃まで昇温し、加熱温度400℃で2時間、4時間、6時間および8時間加熱して作製された各CuO NW試験片9に対して測定した図23〜図26のCV曲線より、加熱時間2時間、4時間および8 時間のCuO NW試験片9では電流値の変化は見られず、加熱時間6時間のCuO NW試験片9については電流値の変化が確認されたことから電気の貯蔵が行われ、良好な電気化学特性が得られたことが分かる。
加熱温度400℃、加熱時間6時間で作製したCuO NW試験片9のCV曲線はヒステリシスを示したことから、CV曲線が囲む面積から比静電容量を算出した。その結果、掃引速度を20 mV/sとした際に751 F/gの比静電容量が得られたことが確認できた。これは非特許文献3で報告された61.2 F/gの約12.3倍の大きさである。
昇温速度5℃/minで加熱温度400℃まで昇温し、加熱温度400℃で2時間、4時間、6時間および8時間加熱して作製された各CuO NW試験片9に対して測定した図23〜図26のCV曲線より、加熱時間2時間、4時間および8 時間のCuO NW試験片9では電流値の変化は見られず、加熱時間6時間のCuO NW試験片9については電流値の変化が確認されたことから電気の貯蔵が行われ、良好な電気化学特性が得られたことが分かる。
加熱温度400℃、加熱時間6時間で作製したCuO NW試験片9のCV曲線はヒステリシスを示したことから、CV曲線が囲む面積から比静電容量を算出した。その結果、掃引速度を20 mV/sとした際に751 F/gの比静電容量が得られたことが確認できた。これは非特許文献3で報告された61.2 F/gの約12.3倍の大きさである。
CuO NW1が生成された加熱温度500℃、加熱時間4時間および6時間のCuO NW試験片9に対し、それぞれCV測定を行った際のCV曲線を、図27および図28に示す。これらの加熱条件では、CuO NW1が生成されるが、良好な電気化学特性は示さないことが確認された。
以上、本発明を実施形態および実施例に基づいて説明したが、本発明は種々の変形実施をすることができる。例えば、本実施例では大気環境下で銅基板2の加熱を行ったが、大気環境下に限らず、酸素雰囲気下であれば熱酸化法によるCuO NW1の生成は可能である。
1 酸化銅ナノワイヤ(CuO NW)
2 銅基板
3 CuO層
4 Cu2O層
9 CuO NW試験片
11 液滴
θ 接触角
2 銅基板
3 CuO層
4 Cu2O層
9 CuO NW試験片
11 液滴
θ 接触角
Claims (12)
- 銅基板を加熱して前記銅基板上に酸化銅ナノワイヤを生成する工程において、加熱温度および加熱時間を制御することにより、前記酸化銅ナノワイヤの親水性または撥水性を制御する、酸化銅ナノワイヤの製造方法。
- 前記加熱温度を300℃以上500℃以下とし、前記加熱時間を5時間以上8時間以下とすることにより、親水性の前記酸化銅ナノワイヤを製造する、請求項1に記載の酸化銅ナノワイヤの製造方法。
- 前記加熱温度を350℃以上450℃以下とし、前記加熱時間を5時間以上7時間以下とすることにより、サイクリックボルタンメトリー測定(CV測定)において電流-電位曲線(CV曲線)がヒステリシスを示す前記酸化銅ナノワイヤを製造する、請求項1または2に記載の酸化銅ナノワイヤの製造方法。
- 前記酸化銅ナノワイヤの表面に液滴を着滴させて測定した接触角が0°以上10°以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の酸化銅ナノワイヤの製造方法。
- 前記加熱温度を350℃以上550℃以下とし、前記加熱時間を1時間以上5時間未満とすることにより、撥水性の前記酸化銅ナノワイヤを製造する、請求項1に記載の酸化銅ナノワイヤの製造方法。
- 前記酸化銅ナノワイヤの表面に液滴を着滴させて測定した接触角が80°以上である、請求項1または5に記載の酸化銅ナノワイヤの製造方法。
- 前記液滴が硫酸ナトリウム水溶液である、請求項4または6に記載の酸化銅ナノワイヤの製造方法。
- 親水性であり、表面に液滴を着滴させて測定した接触角が0°以上10°以下である酸化銅ナノワイヤ。
- サイクリックボルタンメトリー測定(CV測定)において電流-電位曲線(CV曲線)がヒステリシスを示す請求項8に記載の酸化銅ナノワイヤ。
- 撥水性であり、表面に液滴を着滴させて測定した接触角が80°以上である酸化銅ナノワイヤ。
- 前記液滴が硫酸ナトリウム水溶液である、請求項8〜10のいずれか1項に記載の酸化銅ナノワイヤ。
- 請求項8〜11のいずれか1項に記載の酸化銅ナノワイヤを電極として用いたスーパーキャパシタ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2020043036A JP2021143094A (ja) | 2020-03-12 | 2020-03-12 | 酸化銅ナノワイヤおよびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2020043036A JP2021143094A (ja) | 2020-03-12 | 2020-03-12 | 酸化銅ナノワイヤおよびその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2021143094A true JP2021143094A (ja) | 2021-09-24 |
Family
ID=77766984
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2020043036A Pending JP2021143094A (ja) | 2020-03-12 | 2020-03-12 | 酸化銅ナノワイヤおよびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2021143094A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN114369941A (zh) * | 2021-12-14 | 2022-04-19 | 上海应用技术大学 | 一种米粒状纳米氧化铜包覆的碳纤维及其制备方法与应用 |
-
2020
- 2020-03-12 JP JP2020043036A patent/JP2021143094A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN114369941A (zh) * | 2021-12-14 | 2022-04-19 | 上海应用技术大学 | 一种米粒状纳米氧化铜包覆的碳纤维及其制备方法与应用 |
CN114369941B (zh) * | 2021-12-14 | 2024-04-26 | 上海应用技术大学 | 一种米粒状纳米氧化铜包覆的碳纤维及其制备方法与应用 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
Yedluri et al. | Enhanced electrochemical performance of nanoplate nickel cobaltite (NiCo 2 O 4) supercapacitor applications | |
Cai et al. | Laser direct writing of heteroatom-doped porous carbon for high-performance micro-supercapacitors | |
Aghazadeh et al. | Electrosynthesis of highly porous NiO nanostructure through pulse cathodic electrochemical deposition: heat-treatment (PCED-HT) method with excellent supercapacitive performance | |
Zhou et al. | Vertical MoS2 nanosheets arrays on carbon cloth as binder-free and flexible electrode for high-performance all-solid-state symmetric supercapacitor | |
Peng et al. | In situ growth of binder-free CNTs@ Ni–Co–S nanosheets core/shell hybrids on Ni mesh for high energy density asymmetric supercapacitors | |
Nagaraju et al. | Hierarchical Ni–Co layered double hydroxide nanosheets entrapped on conductive textile fibers: a cost-effective and flexible electrode for high-performance pseudocapacitors | |
Chen et al. | Construction of unique cupric oxide–manganese dioxide core–shell arrays on a copper grid for high-performance supercapacitors | |
Nagaraju et al. | A facile one-step approach to hierarchically assembled core–shell-like MnO 2@ MnO 2 nanoarchitectures on carbon fibers: An efficient and flexible electrode material to enhance energy storage | |
Mi et al. | A nest-like Ni@ Ni 1.4 Co 1.6 S 2 electrode for flexible high-performance rolling supercapacitor device design | |
CN102292288B (zh) | 碳纳米管形成用基板、碳纳米管复合体、能量设备、其制造方法及搭载该能量设备的装置 | |
Youssry et al. | Synthesis of mesoporous Co (OH) 2 nanostructure film via electrochemical deposition using lyotropic liquid crystal template as improved electrode materials for supercapacitors application | |
Gu et al. | Silicon carbide nanowires@ Ni (OH) 2 core–shell structures on carbon fabric for supercapacitor electrodes with excellent rate capability | |
Salunkhe et al. | Binary metal hydroxide nanorods and multi-walled carbon nanotube composites for electrochemical energy storage applications | |
Xia et al. | 1.8 V symmetric supercapacitors developed using nanocrystalline Ru films as electrodes | |
Meng et al. | Synthesis of SnO2 nanoflowers and electrochemical properties of Ni/SnO2 nanoflowers in supercapacitor | |
Lamberti et al. | Flexible solid-state CuxO-based pseudo-supercapacitor by thermal oxidation of copper foils | |
KR102278643B1 (ko) | 전기화학적 물분해 촉매 및 이의 제조방법 | |
Lv et al. | Ultrafast charge/discharge solid-state thin-film supercapacitors via regulating the microstructure of transition-metal-oxide | |
Wang et al. | Freestanding 3D graphene/cobalt sulfide composites for supercapacitors and hydrogen evolution reaction | |
Shinde et al. | Chemical synthesis of flower-like hybrid Cu (OH) 2/CuO electrode: application of polyvinyl alcohol and triton X-100 to enhance supercapacitor performance | |
Wang et al. | Hierarchical porous NiCo 2 O 4 nanograss arrays grown on Ni foam as electrode material for high-performance supercapacitors | |
Jiang et al. | In situ growth of NiO nanostructures directly on nickel foam and its electrochemical property | |
KR102070972B1 (ko) | 수퍼커패시터용 전극, 이를 포함하는 수퍼커패시터 및 이의 제조방법 | |
Kang et al. | Simple fabrication of nickel sulfide nanostructured electrode using alternate dip-coating method and its supercapacitive properties | |
Saravanakumar et al. | Enhanced pseudocapacitive performance of SnO 2, Zn-SnO 2, and Ag-SnO 2 nanoparticles |