JP2021138697A - 眼圧下降用組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】患者における眼圧を下降させる方法において使用するための組成物を提供すること。【解決手段】本開示の組成物は、ブリモニジン又はその薬学的に受容可能な塩とブリンゾラミド又はその薬学的に受容可能な塩とを含む。上記方法は、a)該患者について、該他の緑内障治療薬による効果が十分であるか不十分であるかを確認する工程と、b)該患者の投与前眼圧を測定する工程と、c)該他の緑内障治療薬による効果が不十分であり、該投与前眼圧が20mmHg未満である患者を選択する工程と、d)該組成物が、該選択された患者に投与される工程とを含む。患者は、緑内障又は高眼圧症に罹患しており、かつ他の緑内障治療薬が投与されている患者である。【選択図】なし

Description

本開示は、ブリモニジンおよびブリンゾラミドを含む、患者における眼圧を下降させるための組成物および関連発明に関する。
ブリモニジンを含むアイファガン(登録商標)点眼液は、眼圧下降薬としては唯一のα受容体作動薬であり、既存薬と併用することにより更なる眼圧下降効果が得られ、全身の副作用が少ないこと、眼圧下降効果に相応しない視野維持効果があることから、既存の治療薬に多く併用されている。緑内障患者は年々増えており、併用治療される患者が多い。ブリモニジンを併用している患者も多く、ブリモニジンの配合剤が期待されている。
ブリンゾラミドは、全身の副作用が少ない炭酸脱水酵素阻害薬である。併用療法においてβ遮断薬を使用できない患者や、プロスタグランジン(PG)関連薬の局所副作用を示す患者、さらにはPG関連薬で効果が不十分な患者に、ブリンゾラミドが処方され得る。
また、既存の配合剤ではすべてにβ遮断薬が含まれており、β遮断薬を含有しない配合剤が期待される。
本発明者らは、ブリモニジンおよびブリンゾラミドを含む点眼液を投与する前の投与前眼圧値について層別解析を行ったところ、当該点眼液が、投与前眼圧値が特定の範囲の眼圧である患者において高い眼圧下降作用を示すことを新たに見出した。したがって、本開示は、ブリモニジンおよびブリンゾラミドを含む眼圧を下降させるための組成物に関し、特に、特定の群の緑内障および/または高眼圧症の患者に対して優れた治療効果を示すものである。また、本開示は、既に投与されている他の緑内障治療薬の効果が不十分である患者において、当該他の緑内障治療薬の一部又は全部に代えて、若しくは当該他の緑内障治療薬に組み合わせて投与するための、他の緑内障治療薬とは異なる選択薬として有効な薬剤を提供することが可能である。
本開示は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
ブリモニジン又はその薬学的に受容可能な塩とブリンゾラミド又はその薬学的に受容可能な塩とを含む、患者における眼圧を下降させる方法において使用するための組成物であって、
該患者が緑内障又は高眼圧症に罹患しており、かつ他の緑内障治療薬が投与されている患者であり、
該方法が、以下の工程:
a)該患者について、該他の緑内障治療薬による効果が十分であるか不十分であるかを確認する工程と、
b)該患者の投与前眼圧を測定する工程と、
c)該他の緑内障治療薬による効果が不十分であり、該投与前眼圧が20mmHg未満である患者を選択する工程と、
d)該組成物が、該選択された患者に投与される工程と
を含む、組成物。
(項目2)
前記投与前眼圧が、18mmHg以上20mmHg未満である、項目1に記載の組成物。
(項目3)
前記ブリモニジンまたはその薬学的に受容可能な塩は、ブリモニジン酒石酸塩である、項目1または2に記載の組成物。
(項目4)
前記組成物中のブリモニジン又はその薬学的に受容可能な塩の濃度が約0.1%w/vであり、前記ブリンゾラミド又はその薬学的に受容可能な塩の濃度が約1%w/vである、項目1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
(項目5)
前記組成物が、前記患者に1回1滴、1日2回点眼投与されることを特徴とする、項目1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
(項目6)
前記工程c)において、65歳未満の患者を選択することをさらに含む、項目1〜5のいずれか一項に記載の組成物。
(項目7)
前記組成物が、前記患者の眼圧を前記投与前眼圧から10%以上下降させることを特徴とする、項目1〜6のいずれか一項に記載の組成物。
(項目8)
前記組成物が、投与後少なくとも12時間持続して前記投与前眼圧から10%以上下降させることを特徴とする、項目7に記載の組成物。
(項目9)
前記組成物が、少なくとも7:00〜18:00の間持続して前記投与前眼圧から10%以上下降させることを特徴とする、項目7に記載の組成物。
(項目10)
前記患者は、前記他の緑内障治療薬が4週間以上投与されている、項目1〜9のいずれか一項に記載の組成物。
(項目11)
ブリモニジン又はその薬学的に受容可能な塩とブリンゾラミド又はその薬学的に受容可能な塩とを含む、患者における緑内障又は高眼圧症の悪化を防止する方法において使用するための組成物であって、
該患者が緑内障又は高眼圧症に罹患していると診断され、かつ他の緑内障治療薬が投与されている患者であり、
該方法が、以下の工程:
a)該患者について、該他の緑内障治療薬による効果が十分であるか不十分であるかを確認する工程と、
b)該患者の投与前眼圧を測定する工程と、
c)該他の緑内障治療薬による効果が不十分であり、該投与前眼圧が20mmHg未満である患者を選択する工程と、
d)該組成物が、該選択された患者に投与される工程と
を含む、組成物。
(項目12)
前記投与前眼圧が、18mmHg以上20mmHg未満である、項目11に記載の組成物。
(項目13)
前記工程c)において、65歳未満の患者を選択することをさらに含む、項目11または12に記載の組成物。
(項目14)
前記緑内障の悪化の防止が、前記緑内障患者における視野障害の進行の防止または遅延を含み、前記高眼圧症の悪化の防止が、高眼圧症患者における眼圧の下降、眼圧上昇の防止または遅延、あるいは視野障害の発生の防止または遅延を含む、項目11〜13のいずれか一項に記載の組成物。
(項目15)
患者における投与前眼圧を、ブリモニジン又はその薬学的に受容可能な塩とブリンゾラミド又はその薬学的に受容可能な塩とを含む組成物による治療が有効であるかどうかの指標とする方法であって、該患者において、他の緑内障治療薬の効果が不十分であり、かつ該患者の該投与前眼圧が20mmHg未満である場合、該組成物が該患者に有効であることを示す、方法。
(項目16)
前記患者の前記投与前眼圧が、18mmHg以上20mmHg未満である場合、前記組成物が該患者に有効であることを示す、項目15に記載の方法。
(項目17)
前記患者の前記投与前眼圧が、18mmHg以上20mmHg未満であり、前記患者が、65歳未満である場合、前記組成物が該患者に有効であることを示す、項目16に記載の方法。
(項目18)
患者における投与前眼圧を、緑内障又は高眼圧症に罹患している患者における眼圧を下降させるための第2選択薬を選択するための指標とする方法であって、該患者において、該患者の該投与前眼圧が20mmHg未満である場合、該第2選択薬として、ブリモニジン又はその薬学的に受容可能な塩とブリンゾラミド又はその薬学的に受容可能な塩とを含む組成物が有効であることを示す、方法。
(項目19)
前記患者の前記投与前眼圧が、18mmHg以上20mmHg未満である場合、前記第2選択薬として、ブリモニジン又はその薬学的に受容可能な塩とブリンゾラミド又はその薬学的に受容可能な塩とを含む組成物が有効であることを示す、項目18に記載の方法。
(項目20)
前記患者の前記投与前眼圧が、18mmHg以上20mmHg未満であり、前記患者が、65歳未満である場合、前記第2選択薬として、ブリモニジン又はその薬学的に受容可能な塩とブリンゾラミド又はその薬学的に受容可能な塩とを含む組成物が有効であることを示す、項目19に記載の方法。
(項目21)
患者における投与前眼圧と年齢を、緑内障又は高眼圧症に罹患しており、かつ他の緑内障治療薬が投与されているが、効果が不十分である患者における眼圧を投与後少なくとも12時間持続して該投与前眼圧から10%以上下降させる第2選択薬を選択するための指標とする方法であって、該患者において、該患者の該投与前眼圧が18mmHg以上20mmHg未満であり、かつ年齢が65歳未満である場合、該第2選択薬として、ブリモニジン又はその薬学的に受容可能な塩とブリンゾラミド又はその薬学的に受容可能な塩とを含む組成物が有効であることを示す、方法。
(項目1A)
ブリモニジン又はその薬学的に受容可能な塩とブリンゾラミド又はその薬学的に受容可能な塩とを含む、20mmHg未満の投与前眼圧を有する患者を選択的に治療するための組成物であって、該患者が緑内障又は高眼圧症に罹患しており、他の緑内障治療薬が投与されており、他の緑内障治療薬による効果が不十分である患者である、組成物。
(項目2A)
前記投与前眼圧が、18mmHg以上20mmHg未満である、項目1Aに記載の組成物。
(項目3A)
前記ブリモニジンまたはその薬学的に受容可能な塩は、ブリモニジン酒石酸塩である、項目1Aまたは2Aに記載の組成物。
(項目4A)
前記組成物中のブリモニジン又はその薬学的に受容可能な塩の濃度が約0.1%w/vであり、前記ブリンゾラミド又はその薬学的に受容可能な塩の濃度が約1%w/vである、項目1A〜3Aのいずれか一項に記載の組成物。
(項目5A)
前記組成物が、前記患者に1回1滴、1日2回点眼投与されることを特徴とする、項目1A〜3Aのいずれか一項に記載の組成物。
(項目6A)
前記患者が、65歳未満である、項目1A〜5Aのいずれか一項に記載の組成物。
(項目7A)
前記組成物が、前記患者の眼圧を前記投与前眼圧から10%以上下降させることを特徴とする、項目1A〜6Aのいずれか一項に記載の組成物。
(項目8A)
前記組成物が、投与後少なくとも12時間持続して前記投与前眼圧から10%以上下降させることを特徴とする、項目7Aに記載の組成物。
(項目9A)
前記組成物が、少なくとも7:00〜18:00の間持続して前記投与前眼圧から10%以上下降させることを特徴とする、項目7Aに記載の組成物。
(項目1B)
ブリモニジン又はその薬学的に受容可能な塩とブリンゾラミド又はその薬学的に受容可能な塩とを含む、患者における眼圧を下降させる方法において使用するための組成物であって、
該患者が緑内障又は高眼圧症に罹患しており、かつ該組成物以外の他の緑内障治療薬が投与されている患者であり、
該方法が、以下の工程:
a)該患者について、該他の緑内障治療薬による効果が十分であるか不十分であるかを確認する工程と、
b)該患者の眼圧を測定する工程と、
c)該他の緑内障治療薬による効果が不十分であり、投与開始日の投与前眼圧値が20mmHg未満である患者を選択する工程と、
d)該組成物が、該選択された患者に投与される工程と
を含む、組成物。
(項目2B)
前記投与前眼圧値が、18mmHg以上20mmHg未満である、項目1Bに記載の組成物。
(項目3B)
前記ブリモニジンまたはその薬学的に受容可能な塩は、ブリモニジン酒石酸塩である、項目1または2に記載の組成物。
(項目4B)
前記組成物中のブリモニジン又はその薬学的に受容可能な塩の濃度が約0.1%w/vであり、前記ブリンゾラミド又はその薬学的に受容可能な塩の濃度が約1%w/vである、項目1B〜3Bのいずれか一項に記載の組成物。
(項目5B)
前記組成物が、前記患者に1回1滴、1日2回点眼投与されることを特徴とする、項目1B〜4Bのいずれか一項に記載の組成物。
(項目6B)
前記工程c)において、65歳未満の患者を選択することをさらに含む、項目1B〜5Bのいずれか一項に記載の組成物。
(項目7B)
前記組成物が、眼圧下降率で評価する場合に前記患者の眼圧を10%以上下降させることを特徴とする、項目1B〜6Bのいずれか一項に記載の組成物。
(項目8B)
前記組成物が、眼圧下降率で評価する場合に投与後少なくとも12時間持続して10%以上下降させることを特徴とする、項目7Bに記載の組成物。
(項目9B)
前記組成物が、眼圧下降率で評価する場合に少なくとも7:00〜18:00の間持続して10%以上下降させることを特徴とする、項目7Bに記載の組成物。
(項目10B)
ブリモニジン又はその薬学的に受容可能な塩とブリンゾラミド又はその薬学的に受容可能な塩とを含む、患者における緑内障又は高眼圧症の悪化を防止する方法において使用するための組成物であって、
該患者が緑内障又は高眼圧症に罹患していると診断され、かつ該組成物以外の他の緑内障治療薬が投与されている患者であり、
該方法が、以下の工程:
a)該患者について、該他の緑内障治療薬による効果が十分であるか不十分であるかを確認する工程と、
b)該患者の眼圧を測定する工程と、
c)該他の緑内障治療薬による効果が不十分であり、投与開始日の投与前眼圧値が20mmHg未満である患者を選択する工程と、
d)該組成物が、該選択された患者に投与される工程と
を含む、組成物。
(項目11B)
前記投与前眼圧が、18mmHg以上20mmHg未満である、項目10Bに記載の組成物。
(項目12B)
前記工程c)において、65歳未満の患者を選択することをさらに含む、項目10Bまたは11Bに記載の組成物。
(項目13B)
前記緑内障の悪化の防止が、前記緑内障患者における視野障害の進行の防止または遅延を含み、前記高眼圧症の悪化の防止が、高眼圧症患者における眼圧の下降、眼圧上昇の防止または遅延、あるいは視野障害の発生の防止または遅延を含む、項目10B〜12Bのいずれか一項に記載の組成物。
(項目14B)
患者における投与前眼圧を、ブリモニジン又はその薬学的に受容可能な塩とブリンゾラミド又はその薬学的に受容可能な塩とを含む組成物による治療が有効であるかどうかの指標とする方法であって、該患者において、他の緑内障治療薬の効果が不十分であり、かつ該患者の該投与前眼圧が20mmHg未満である場合、該組成物が該患者に有効であることを示す、方法。
(項目15B)
前記患者の前記投与前眼圧が、18mmHg以上20mmHg未満である場合、前記組成物が該患者に有効であることを示す、項目14Bに記載の方法。
(項目16B)
前記患者の前記投与前眼圧が、18mmHg以上20mmHg未満であり、前記患者が、65歳未満である場合、前記組成物が該患者に有効であることを示す、項目15Bに記載の方法。
(項目17B)
患者における投与前眼圧を、緑内障又は高眼圧症に罹患している患者における眼圧を下降させるための他の緑内障治療薬とは異なる選択薬を選択するための指標とする方法であって、該患者において、該患者の該投与前眼圧が20mmHg未満である場合、該他の緑内障治療薬とは異なる選択薬として、ブリモニジン又はその薬学的に受容可能な塩とブリンゾラミド又はその薬学的に受容可能な塩とを含む組成物が有効であることを示す、方法。
(項目18B)
前記患者の前記投与前眼圧が、18mmHg以上20mmHg未満である場合、前記他の緑内障治療薬とは異なる選択薬として、ブリモニジン又はその薬学的に受容可能な塩とブリンゾラミド又はその薬学的に受容可能な塩とを含む組成物が有効であることを示す、項目17Bに記載の方法。
(項目19B)
前記患者の前記投与前眼圧が、18mmHg以上20mmHg未満であり、前記患者が、65歳未満である場合、前記他の緑内障治療薬とは異なる選択薬として、ブリモニジン又はその薬学的に受容可能な塩とブリンゾラミド又はその薬学的に受容可能な塩とを含む組成物が有効であることを示す、項目18Bに記載の方法。
(項目20B)
患者における投与前眼圧と年齢を、緑内障又は高眼圧症に罹患しており、かつ他の緑内障治療薬が投与されているが、効果が不十分である患者における眼圧を、眼圧下降率で評価する場合に投与後少なくとも12時間持続して10%以上下降させる他の緑内障治療薬とは異なる選択薬を選択するための指標とする方法であって、該患者において、該患者の該投与前眼圧が18mmHg以上20mmHg未満であり、かつ年齢が65歳未満である場合、該他の緑内障治療薬とは異なる選択薬として、ブリモニジン又はその薬学的に受容可能な塩とブリンゾラミド又はその薬学的に受容可能な塩とを含む組成物が有効であることを示す、方法。
(項目21B)
ブリモニジンまたはその薬学的に受容可能な塩と、ブリンゾラミドまたはその薬学的に受容可能な塩との複数成分用剤であって、該複数成分用剤以外の他の緑内障治療薬による効果が不十分である患者において、眼圧下降率で評価する場合に眼圧を約10%以上下降させて、該患者の視野障害の発生または進行を抑制する方法において使用するための複数成分用剤であって、該方法は、
a)該患者が緑内障であるかどうか診断する工程と、
b)他の緑内障治療薬を投与する工程と、
c)該患者が他の緑内障治療薬による効果が不十分であるかどうかを診断する工程と、
d)該患者の眼圧を測定する工程と、
e)他の緑内障治療薬による効果が不十分であり、かつ該患者が緑内障である場合に、他の緑内障治療薬に代えて、あるいは他の緑内障治療薬と組み合わせて、ブリモニジンまたはその薬学的に受容可能な塩とブリンゾラミドまたはその薬学的に受容可能な塩を含む組成物を、他の緑内障治療薬とは異なる選択薬として選択して、該患者に該複数成分用剤を投与する工程と
を含む、
複数成分用剤。
(項目22B)
配合剤である、項目21Bに記載の複数成分用剤。
(項目23B)
ブリモニジン又はその薬学的に受容可能な塩とブリンゾラミド又はその薬学的に受容可能な塩とを含む、患者における眼圧を下降させる方法において使用するための組成物であって、該患者が緑内障又は高眼圧症に罹患している患者であり、
該方法が、以下の工程:
a)該患者の眼圧を測定する工程と、
b)投与開始日の投与前眼圧値が20mmHg未満である患者を選択する工程と、
c)該組成物が、該選択された患者に投与される工程と
を含む、組成物。
(項目24B)
前記投与前眼圧値が、18mmHg以上20mmHg未満である、項目23Bに記載の組成物。
(項目25B)
前記ブリモニジンまたはその薬学的に受容可能な塩は、ブリモニジン酒石酸塩である、項目23Bまたは24Bに記載の組成物。
(項目26B)
前記組成物中のブリモニジン又はその薬学的に受容可能な塩の濃度が約0.1%w/vでり、前記ブリンゾラミド又はその薬学的に受容可能な塩の濃度が約1%w/vである、項目23B〜25Bのいずれか一項に記載の組成物。
(項目27B)
前記組成物が、前記患者に1回1滴、1日2回点眼投与されることを特徴とする、項目23B〜26Bのいずれか一項に記載の組成物。
(項目28B)
前記工程b)において、65歳未満の患者を選択することをさらに含む、項目23B〜27Bのいずれか一項に記載の組成物。
(項目29B)
前記組成物が、眼圧下降率で評価する場合に前記患者の眼圧を10%以上下降させることを特徴とする、項目23B〜28Bのいずれか一項に記載の組成物。
(項目30B)
前記組成物が、眼圧下降率で評価する場合に投与後少なくとも12時間持続して10%以上下降させることを特徴とする、項目29Bに記載の組成物。
(項目31B)
前記組成物が、眼圧下降率で評価する場合に少なくとも7:00〜18:00の間持続して10%以上下降させることを特徴とする、項目29に記載の組成物。
(項目32B)
該他の緑内障治療薬とは異なる選択薬の投与開始日の投与前眼圧値は、他の緑内障治療薬とは異なる選択薬の投与開始日の2時間値である、前記項目に記載の組成物。
(項目33B)
前記投与前眼圧は、季節変動補正および/または日内変動補正を行った後の値である、前記項目に記載の組成物。
本開示において、上記1または複数の特徴は、明示された組み合わせに加え、さらに組み合わせて提供されうることが意図される。本開示のさらなる実施形態および利点は、必要に応じて以下の詳細な説明を読んで理解すれば、当業者に認識される。
本開示によれば、他の緑内障治療薬による効果が不十分である患者の特定の群に対して、優れた眼圧下降作用を示す、ブリモニジンおよびブリンゾラミドを含む組成物が提供される。
以下、本開示を説明する。本明細書の全体にわたり、単数形の表現は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。従って、単数形の冠詞(例えば、英語の場合は「a」、「an」、「the」など)は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。また、本明細書において使用される用語は、特に言及しない限り、当該分野で通常用いられる意味で用いられることが理解されるべきである。したがって、他に定義されない限り、本明細書中で使用されるすべての専門用語および科学技術用語は、本開示の属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合、本明細書(定義を含めて)が優先する。本明細書において、「約」とは、後に続く値の±10%を意味する。本明細書では、時刻の表示は特に断らない限り24時間制で表示する。
(定義)
本明細書において「ブリモニジン」とは、以下の式
Figure 2021138697
として示される、化学名5−ブロモ−N−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)キノキサリン−6−アミンで示される化合物である。ブリモニジンまたはその薬学的に受容可能な塩は医薬の成分として使用されており、代表的にブリモニジン酒石酸塩(化学名5−ブロモ−N−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)キノキサリン−6−アミン−一−(2R,3R)−酒石酸塩)として提供される。ブリモニジンまたはその薬学的に受容可能な塩は、選択的アドレナリンα受容体作動薬であり、一般的な水性液剤、特に点眼剤において有効成分として配合され、その酒石酸塩がアイファガン(AIPHAGAN)という販売名で市販される。ブリモニジン及びその薬学的に受容可能な塩は商業的に入手可能である。ブリモニジンの薬学的に受容可能な塩としては、限定するものではないが、酒石酸塩、塩酸塩又は酢酸塩が挙げられる。点眼薬として緑内障、高眼圧症の治療薬として使用される。ブリモニジンは(開放隅角)緑内障または高眼圧症の患者の眼圧の下降のために使用される。
本明細書において、「ブリンゾラミド」とは、以下の式
Figure 2021138697
として示される、化学名(R)−4−(エチルアミノ)−3,4−ジヒドロ−2−(3−メトキシプロピル)−2H−チエノ[3,2,e]−1,2−チアジン−6−スルホンアミド1,1−ジオキシドで示される化合物である。ブリンゾラミドは、炭酸脱水酵素阻害薬であり、一般的な水性液剤、特に点眼剤において有効成分として配合され得る。ブリンゾラミド及びその薬学的に受容可能な塩は商業的に入手可能である。ブリンゾラミドの薬学的に受容可能な塩としては、限定するものではないが、塩酸塩、酢酸塩等が挙げられる。ブリンゾラミドは、点眼薬として緑内障、高眼圧症の治療薬として使用される。ブリンゾラミドは(開放隅角)緑内障または高眼圧症の患者の眼圧の下降のために使用される。
本明細書において「薬学的に受容可能な塩」とは患者に安全に投与され得る塩を包含する。ブリモニジンおよびブリンゾラミドの好ましい薬学的に受容可能な塩としては、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、マレイン酸塩、サリチル酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、メタンスルホン酸塩、蟻酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、ナフタレン−2−スルホン酸塩、およびベンゼンスルホン酸塩から調製されたものが挙げられるがこれらに限定されない。薬学的に受容可能な塩はまた、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属(例えば、ナトリウム、カリウムおよびカルシウム、マグネシウムおよび亜鉛)のような金属からも調製され得る。
本明細書において「緑内障」とは、視神経と視野に特徴的変化を有し、通常、眼圧を十分に下降させることにより視神経障害を改善もしくは抑制しうる眼の機能的構造的異常を特徴とする疾患を意味し(日本緑内障学会緑内障診療ガイドライン作成委員会. 緑内障診療ガイドライン(第4版). 日本眼科学会雑誌. 122巻1号. p.5-53(2018.01)(以下「緑内障診療ガイドライン(第4版)」と称する)、原発緑内障、続発緑内障、および小児緑内障に分類できる。原発緑内障には、原発開放隅角緑内障(広義)および原発閉塞隅角緑内障が含まれ、原発開放隅角緑内障(広義)には原発開放隅角緑内障、正常眼圧緑内障、および前視野緑内障が含まれる。続発緑内障には、続発開放隅角緑内障および続発閉塞隅角緑内障が含まれ、小児緑内障には、原発先天緑内障、若年開放隅角緑内障、および先天眼形成異常に関連した緑内障、先天全身疾患に関連した緑内障などが挙げられる。
本明細書において「高眼圧症」とは、視野や視神経には明確な異常は認められないが、眼圧が正常値より高値であることを特徴とする疾患である。高眼圧症は将来的に緑内障へ進行(移行)する可能性が高く、眼圧を正常に保つための点眼治療が行われ得る。
本明細書において「緑内障治療薬」とは、緑内障の視神経障害および/または視野障害の進行を抑制する薬剤を指す。視神経障害は、眼圧を下降させることにより改善もしくは抑制することができるため、緑内障治療薬は、典型的には眼圧下降薬である。眼圧下降薬は、高眼圧症の治療にも使用され得る。
本明細書において「効果が不十分」とは、眼圧の測定、視神経乳頭所見、視野所見などを総合的に考慮して、無治療時からの緑内障または高眼圧症の進行が抑制されていない状態を指す。「効果が不十分」である指標として、無治療時眼圧からの眼圧下降率を用いてもよく、眼圧が18mmHg以上であることを用いてもよい。「効果が不十分」である指標として、視野神経乳頭所見及び視野所見のいずれか一つまたは両方を用いてもよく、経時的にこれらの所見を確認した結果、悪化している場合、効果不十分と判断され得る。効果が十分であるか不十分であるかは、他の緑内障治療薬を一定期間投与された患者で確認される。
眼圧、視神経乳頭所見、視野所見は、緑内障診療ガイドライン(第4版)を参考にして検査することができる。例えば、眼圧はGoldmann圧平眼圧計により測定することができ、視神経乳頭所見は、眼底検査(例えば、検眼鏡、補助レンズを用いた細隙灯顕微鏡、眼底写真撮影、無赤色眼底観察、眼底三次元画像解析等を使用)により、緑内障性異常の有無又は進行の有無、陥凹/乳頭径比[Cup/Disc ratio(C/D比)(垂直径)]等を検出することにより確認することができ、視野所見は、自動静的視野計(Humphrey視野計又はOctopus視野計等)により、緑内障性視野異常の有無又は進行の有無を検出することにより確認することができる。
本明細書において、「投与前眼圧」とは、本開示の組成物による治療開始前の眼圧であり、本開示の組成物の投与を開始する当日(投与開始日)であって、当該医薬を投与する前(通常、12時間以内前)に測定された眼圧をいい、その値を「投与前眼圧値」という。1つの好ましい実施形態では、本開示の組成物の投与を開始する日の昼間眼圧を指す。例えば、後述する実施例の2時間値が挙げられるが、これに限定されず、当該医薬を投与する0〜11時間前以内、0〜10時間前以内、0〜9時間前以内、0〜8時間前以内、0〜7時間前以内、0〜6時間前以内、0〜5時間前以内、0〜4時間前以内、0〜3時間前以内、0〜2時間前以内などの任意の数値が想定される。
本明細書において、投与開始日、評価日等の「0時間値」は、対象となる日(例えば投与開始日、評価日)の8:00〜10:00に測定された眼圧値をいい、投与開始日、評価日等の「2時間値」は、対象となる日(例えば投与開始日、評価日)の朝の点眼(または0時間値測定)後の2時間±30分以内かつ12:30までに測定された眼圧値をいい、投与開始日、評価日等の「7時間値」は、対象となる日(例えば投与開始日、評価日)の朝の点眼(または0時間値測定)後の7時間±1時間以内かつ18:00までに測定された眼圧値をいう。なお投与開始日の朝には、他の緑内障治療薬が点眼され、評価日の朝には他の緑内障治療薬ではなく、目的とする医薬(本開示の組成物)が点眼される。評価日において、「0時間値」は、当該医薬投与の直前に測定された眼圧である。「0時間値」、「2時間値」および「7時間値」は、当該分野では、患者の眼圧について一定の値を示すものとして使用されており、患者を特定するのに十分な値として使用されている。
本明細書において「投与開始日」は、ある医薬の投与を開始する日(予定を含む)をいう。したがって、コンパニオン医薬などでは、投与開始日は、投与を開始するかどうかの判断を行う日を意味し、投与開始しないと判断した場合は実際の投与はなされないが、本明細書では、投与開始日として扱う。
本明細書において「評価日」は、眼圧を評価する日を指す。任意の日が該当し得るが、例えば、投与開始日から約4週間後、約12週間後、約3か月後、約6か月後、約28週間後、約52週間後、約1年後、約3年後等の期間が対象となり得る。
本開示の対象となる被験者または患者は、季節変動の値が1.0mmHg以下、好ましくは0.5mmHg以下、より好ましくは0.3mmHg以下、さらに好ましくは0.2mmHg以下の者であり得る。あるいは、本開示の対象となる治療は、季節変動を考慮し、調節した後の「投与前眼圧値」を用いて設計してもよい。
本開示の対象となる被験者または患者は、2〜3時間の日内変動の値が1.0mmHg以下、好ましくは0.5mmHg以下、より好ましくは0.3mmHg以下、さらに好ましくは0.2mmHg以下の患者であり得る。特に、10時〜12時30分の日内変動の値が1.0mmHg以下、好ましくは0.5mmHg以下、より好ましくは0.3mmHg以下、さらに好ましくは0.2mmHg以下の患者であり得る。あるいは、本開示の対象となる治療または予防は、日内変動を考慮し、調節した後の「投与前眼圧値」を用いて設計してもよい。
本明細書において「眼圧下降率」とは、同一の患者において、評価対象である評価日の眼圧を、評価基準である投与開始日の眼圧と比較した変動率をいう。
本明細書において「単一成分用剤」とは、緑内障における眼圧下降等の薬効発揮の用途に関して単一の有効成分(API)を含むまたは用い、その他の有効成分を含まないまたは用いない製剤をいう。したがって、炭酸脱水酵素阻害薬の単一成分用剤は、有効成分として炭酸脱水酵素阻害薬のみを含み、炭酸脱水酵素阻害薬のみの投与を想定して提供される製剤をいう。他方、本明細書において「複数成分用剤」は、薬効発揮の用途に関して、主となる有効成分に加えて、追加の有効成分と組み合わせて投与される製剤をいう。複数成分用剤は、個々の有効成分が同一の製剤に存在する形で提供されてもよく(本明細書において「配合剤」ともいう)、個別の製剤に存在する形で提供されてもよく、その組み合わせであってもよい。したがって、複数成分用剤は、単一成分用剤として製剤されたが、用途として、他の有効成分と組み合わせて投与されるように用途が特定されて提供される剤形も含む。したがって、複数成分用剤は、有効成分として炭酸脱水酵素阻害薬等の第一の有効成分を含み、さらにプロスタグランジン関連薬などの追加の有効成分を含む製剤または追加の有効成分を含む別個の製剤と組み合わせて投与される製剤も含まれる。本明細書でいえば、例えば、本開示は、炭酸脱水酵素阻害薬点眼薬を含む医薬であって、α2受容体刺激薬を含む医薬と組み合わせて投与することを想定して提供される実施形態や、α2受容体刺激薬を含む医薬であって、炭酸脱水酵素阻害薬点眼薬を含む医薬と組み合わせて投与されることを想定して提供される実施形態を含む。
本明細書において「配合剤」とは、薬効発揮の用途に関して、主となる有効成分と、追加の有効成分とを同一の製剤中に含む剤を言い、例えば、緑内障における眼圧下降のための、作用機序の異なるまたは同じ複数の有効成分を同一製剤中に含む製剤をいう。本明細書では、配合剤は、追加で、他の緑内障治療薬(単剤、配合剤を問わない)と同時または異時に併用して使用されてもよい。
本明細書において「指示書」は、本開示を使用する方法を使用者に対する説明を記載したものであり、日本では「添付文書」、米国などではラベル(label)と称される。この指示書は、本開示の使用方法を指示する文言が記載されている。この指示書は、必要な場合は、本開示が実施される国の監督官庁(例えば、日本であれば厚生労働省または農林水産省等、米国であれば食品医薬品局(FDA)、農務省(USDA)など)が規定した様式に従って作成され、その監督官庁により承認を受けた旨が明記される。指示書は、紙媒体で提供され得るが、それに限定されず、例えば、電子媒体(例えば、インターネットで提供されるホームページ、電子メール)のような形態でも提供され得る。
本明細書において「第一選択薬」(ファーストライン、ファーストチョイスなどとも呼ばれる)とは、ある疾患に対して最初に投与すべき治療薬をいう。通常第一選択薬には、副作用が少なく、有効性がある程度高いとされる薬が選ばれるとされている。第一選択薬を投与した後も効果が不十分な場合や改善が見られない場合は、他の作用機序などを考慮し効果を重視した第二選択薬が投与される。緑内障では、例えば、プロスタグランジン関連薬やβ遮断薬が第一選択薬として投与されている。プロスタグランジン関連薬は、点眼回数が少ないという利点もある。
本明細書において「第二選択薬」(セカンドライン、セカンドチョイスなどとも呼ばれる)とは、第一選択薬を投与しても効果が不十分な場合や改善がみられない場合、または副作用のため治療の継続が困難な場合などに、使用される治療薬をいう。第二選択薬は、第一選択薬の代わりに、または第一選択薬に追加して使用される。緑内障の第二選択薬は多数あり、炭酸脱水酵素阻害薬点眼薬や,α2受容体刺激薬,ROCK阻害薬、α受容体遮断薬、交感神経非選択性刺激薬、副交感神経刺激薬などの種類があり、それぞれ作用効果や適切な患者が異なることから、第二選択薬の適切な選択は緑内障の適切な治療において重要である。
本明細書において「他の緑内障治療薬とは異なる選択薬」とは、第一選択薬や第二選択薬を投与しても改善がみられない場合や、副作用のため治療の継続が困難な場合などに、次に使用される治療薬をいう。「他の緑内障治療薬とは異なる選択薬」には、緑内障の第一選択薬や第二選択薬を含む種々の配合剤などが含まれる。第一選択薬および第二選択薬は上述の通りであり、配合剤は、例えば、プロスタグランジン関連薬とβ遮断薬との配合剤、炭酸脱水酵素阻害薬とβ遮断薬の配合剤などがある。それぞれ作用効果や適切な患者が異なることから、「他の緑内障治療薬とは異なる選択薬」の適切な選択は緑内障の適切な治療において重要である。
(好ましい実施形態)
以下に本開示の好ましい実施形態を説明する。以下に提供される実施形態は、本開示のよりよい理解のために提供されるものであり、本開示の範囲は以下の記載に限定されるべきでないことが理解される。従って、当業者は、本明細書中の記載を参酌して、本開示の範囲内で適宜改変を行うことができることは明らかである。また、以下の実施形態は単独でも使用されあるいはそれらを組み合わせて使用することができることが理解される。
(組成物)
一つの局面において、本開示は、ブリモニジン又はその薬学的に受容可能な塩(例えば、ブリモニジン酒石酸塩)とブリンゾラミド又はその薬学的に受容可能な塩とを含む、患者における眼圧を下降させる方法において使用するための組成物(すなわち、配合剤)、例えば、点眼薬を提供する。患者は、緑内障又は高眼圧症に罹患しており、かつ他の緑内障治療薬(例えば、眼圧下降薬、神経保護薬)が投与されている患者であり得る。上記眼圧を下降させる方法は、a)患者について、他の緑内障治療薬による効果が十分であるか不十分であるかを確認する工程と、b)患者の眼圧を測定する工程と、c)他の緑内障治療薬による効果が不十分であり、投与開始日の投与前眼圧値が20mmHg未満である患者を選択する工程と、d)組成物が、選択された患者に投与される工程とを含み得る。本明細書において「点眼薬」とは「点眼液」と同義である。本発明者らは、特定の患者群において、本開示の組成物を投与することによって、その他の群と比べてより優れた治療効果を示すことを新たに見出した。このような組成物は、他の緑内障治療薬が投与された患者のうち、(i)他の緑内障治療薬による効果が不十分な患者を選択して、(ii)その患者の中から、さらに他の緑内障治療薬とは異なる選択薬の投与開始日の投与前眼圧値が20mmHg未満である患者を選択して、(iii)他の緑内障治療薬とは異なる選択薬として、ブリモニジンとブリンゾラミドの配合剤を選択する、という「3つの選択」によって、眼圧を持続して約10%以上下降させるという優れた治療効果を提供するものである。
理論に束縛されることを望まないが、別個の製剤として投与される場合、先に投与された製剤は、後に投与される製剤により洗い流されてしまうため、数分の時間間隔をおいて投与する必要があり、患者にとって負担がある。また、投与する順番により有効成分の眼内への移行量に変化が生じことがあり、有効性が低下する可能性がある。本開示のブリモニジンまたはその薬学的に受容可能な塩と、ブリンゾラミドまたはその薬学的に受容可能な塩とを含む組成物(すなわち、配合剤)は、洗い流されることが無く、複数回時間間隔をおいて投与する必要が無く、予期しない移行量の変化を防ぐことができ、有利である。また、投与する点眼剤の数を減少させることもでき、患者の負担を軽減できる。
この組成物は、例えば、眼科用の組成物(特に水性点眼剤、より具体的には懸濁性点眼剤)に一般的に使用され得る懸濁剤、等張化剤、緩衝剤、粘稠剤、安定剤、保存剤、pH調節剤、又は溶剤等を含んでいてもよい。より具体的には、チロキサポール、グリセリン、ホウ酸、カルボキシビニルポリマー、エデト酸ナトリウム水和物、ベンザルコニウム塩化物、等張化剤、pH調節剤などの添加成分を一種または複数種含んでいてもよい。本開示の組成物において、ブリモニジンまたはその薬学的に受容可能な塩は、特に制限されず、適用対象となる患者の症状の程度、1回当たりの適用量等に応じて適宜設定すればよいが、例えば約0.05〜約0.2w/v%、好ましくは約0.1〜約0.2w/v%、特に好ましくは約0.1w/v%が挙げられる。本明細書において、ブリモニジン及び/又はその薬学的に受容可能な塩の含有量又は濃度に関する言及は、そうではないと明記しない限り、ブリモニジン酒石酸塩に換算された含有量又は濃度を意味する。本開示の組成物において、ブリンゾラミド及び/又はその薬学的に受容可能な塩は、特に制限されず、適用対象となる患者の症状の程度、1回当たりの適用量等に応じて適宜設定すればよいが、例えば約0.1〜3w/v%、好ましくは0.5〜2w/v%、更に好ましくは1w/v%が挙げられる。また明細書において、ブリンゾラミド、またはその薬学的に受容可能な塩の含有量又は濃度に関する言及は、そうではないと明記しない限り、ブリンゾラミド(塩を含まない)に換算された含有量又は濃度を意味する。
1つの実施形態では、本開示の組成物には、以下の添加物が添加されうる:
本開示の組成物では、2価又は3価のアルコールを含むことが好ましい。2価又は3価のアルコールとしては、点眼剤への配合が許容されるものである限り、特に制限されないが、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ポリエチレングリコール等が挙げられる。これらの2価又は3価のアルコールは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの2価又は3価のアルコールの中でも、好ましくはグリセリンが挙げられる。
本開示の組成物に2価又は3価のアルコールを配合する場合、その含有量については、所望の浸透圧となるように適宜設定すればよいが、例えば約0.1〜約5w/v%、好ましくは約0.5〜約3w/v%、更に好ましくは約1〜約2w/v%が挙げられる。
また、本開示の組成物には、必要に応じて界面活性剤が含まれていてもよい。界面活性剤としては、点眼剤への配合が許容されるものである限り、特に制限されないが、例えば、チロキサポール、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、オクトキシノール等の非イオン性界面活性剤;アルキルジアミノエチルグリシン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン等の両性界面活性剤;アルキル硫酸塩、N−アシルタウリン塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩等の陰イオン界面活性剤;アルキルピリジニウム塩、アルキルアミン塩等の陽イオン界面活性剤等が挙げられる。これらの界面活性剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの界面活性剤の中でも、好ましくは非イオン性界面活性剤、更に好ましくはチロキサポールが挙げられる。
本開示の組成物に界面活性剤を配合する場合、その含有量については、特に制限されないが、例えば約0.005〜約0.1w/v%、好ましくは約0.01〜約0.05w/v%、更に好ましくは約0.02〜約0.03w/v%が挙げられる。
また、本開示の組成物には、必要に応じて粘稠剤が含まれていてもよい。粘稠剤としては、点眼剤への配合が許容されるものである限り、特に制限されないが、例えば、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、カルボキシビニルポリマー(架橋ポリアクリル酸ポリマー等)、キサンタンガム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム等の水溶性高分子;ヒプロメロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム等のセルロース類等が挙げられる。これらの粘稠剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの粘稠剤の中でも、好ましくはカルボキシビニルポリマーが挙げられる。
本開示の組成物に粘稠剤を配合する場合、その含有量については、付与すべき粘性等に応じて適宜設定すればよいが、例えば約0.1〜約1w/v%、好ましくは約0.1〜約0.5w/v%、更に好ましくは約0.3〜約0.5w/v%が挙げられる。
また、本開示の組成物には、必要に応じて、塩化ナトリウム、塩化カリウム等のアルカリ金属の塩化物が含まれていてもよい。これらのアルカリ金属の塩化物は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらのアルカリ金属の塩化物の中でも、好ましくは塩化ナトリウムが挙げられる。
本開示の組成物にアルカリ金属の塩化物を配合する場合、その含有量については、他の成分の含有量を勘案した上で、付与すべき浸透圧等に応じて適宜設定すればよいが、例えば約0.01〜1w/v%、好ましくは約0.05〜約0.5w/v%、更に好ましくは約0.1〜約0.3w/v%が挙げられる。
更に、本開示の組成物には、必要に応じて、緩衝剤が含まれていてもよい。緩衝剤としては、点眼剤への配合が許容されるものである限り、特に制限されないが、例えば、リン酸緩衝剤、ホウ酸緩衝剤、クエン酸緩衝剤、酒石酸緩衝剤、酢酸緩衝剤、Tris緩衝剤、アミノ酸等が挙げられる。これらの緩衝剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの緩衝剤の中でも、好ましくはホウ酸緩衝剤が挙げられる。
本開示の組成物に緩衝剤を配合する場合、その含有量については、使用する緩衝剤の種類等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、ホウ酸を使用する場合であれば、ホウ酸の含有量として、例えば約0.01〜約5w/v%、好ましくは約0.05〜約1w/v%、更に好ましくは約0.1〜約0.5w/v%が挙げられる。
また、本開示の組成物には、前記成分の他に、必要に応じて、キレート剤、清涼化剤、防腐剤等の添加剤を含有してもよい。キレート剤としては、例えば、エデト酸塩、クエン酸又はその塩等が挙げられる。これらのキレート剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
清涼化剤としては、例えば、l−メントール、ボルネオール、カンフル、ユーカリ油等が挙げられる。これらの清涼化剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
防腐剤としては、例えば、ソルビン酸又はその塩、安息香酸又はその塩、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、クロロブタノール、クロルヘキシジングルコン酸塩、クロルヘキシジン塩酸塩、クロルヘキシジン酢酸塩、ホウ酸又はその塩、デヒドロ酢酸又はその塩、塩化ベンザルコニウム、臭化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ベンジルアルコール、塩化亜鉛、パラクロルメタキシレノール、クロルクレゾール、フェネチルアルコール、塩化ポリドロニウム、チメロサール、ジブチルヒドロキシトルエン等が挙げられる。これらの防腐剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
安定化剤としては、例えば、ポリビニルピロリドン、亜硫酸塩、モノエタノールアミン、グリセリン、プロピレングリコール、シクロデキストリン、デキストラン、アスコルビン酸、エデト酸塩、タウリン、トコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエン等が挙げられる。これらの安定化剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
pH調節剤としては、薬学的に許容されることを限度として特に制限されないが、例えば、塩酸、酢酸、ホウ酸、アミノエチルスルホン酸、イプシロン−アミノカプロン酸等の酸;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ホウ砂、トリエタノールアミン、モノエタノールアミン、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム等のアルカリが挙げられる。これらのpH調節剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
これらの添加剤の濃度は、使用する添加剤の種類や眼科用組成物に付与すべき特性等に応じて適宜設定すればよい。
本開示の組成物は、代表的には、水性点眼剤(好ましくは懸濁性点眼剤)として提供される。本開示の組成物は、白色〜微黄白色の懸濁液でありうる。本開示の組成物は、pH6.2〜6.8で提供されうる。本開示の組成物の浸透圧比は、生理食塩液に対する比が0.9〜1.2(例えば約1)でありうる。本開示の組成物は、緑内障、高眼圧症で、他の緑内障治療薬が効果不十分又は使用できない場合に適応されうる。本開示の組成物は、点眼剤として提供され得、例えば、通常、1回1滴、1日2回点眼されうるが、それに限定されない。
いくつかの実施形態において、投与前眼圧値が20mmHg未満、好ましくは18mmHg以上20mmHg未満である患者に対して、本開示の組成物を投与することで、より高い治療効果(すなわち、眼圧下降作用)が期待される。前記投与前眼圧値は、日内変動および季節変動に関わらず、前記投与前眼圧値を満たす限り、本開示の組成物による高い治療効果が達成される。日内変動および季節変動の影響を最小化するために、特定の時間に測定された投与前眼圧値(例えば、2時間値)を用いることが好ましい。あるいは、日内変動および季節変動の影響を考慮して補正した値を用いてもよい。本開示の組成物は、他の緑内障治療薬の治療効果が不十分である患者に対して投与され得る。他の緑内障治療薬の治療効果が不十分であることの指標として、眼圧が18mmHg以上であることが用いられる。このほか、治療効果としては、視神経乳頭所見、視野所見などを挙げることができるがこれらに限定されない。その他、効果不十分は無治療時眼圧からの眼圧下降率が低い場合、他の緑内障治療薬の治療効果が不十分であると判断してもよい。
いくつかの実施形態において、投与前眼圧は昼間眼圧(例えば9時半〜13時の間、より具体的には10時〜12時半に測定された眼圧)であり得る。
いくつかの実施形態において、他の緑内障治療薬は、本開示の組成物以外の眼圧下降薬であり、例えば、プロスタグランジン関連薬、β受容体遮断薬、ROCK阻害薬、炭酸脱水酵素阻害薬、α受容体作動薬、およびα受容体遮断薬、選択的EP2受容体作動薬またはこれらの組み合わせなどが挙げられるが、これらに限定されない。プロスタグランジン関連薬としては、ラタノプロスト、トラボプロスト、タフルプロストなどのプロスタグランジンF2α誘導体、プロスタマイド誘導体などを有効成分とする製剤が挙げられるが、これらに限定されない。β受容体遮断薬としては、チモロール、レボブノロール、ベタキソロール、ニプラジロール、またはカルテオロールを有効成分とする製剤が挙げられるが、これらに限定されない。ROCK阻害薬としては、リパスジルまたはネタルスジル(netarsudil)を有効成分とする製剤が挙げられるが、これに限定されない。炭酸脱水酵素阻害薬としては、ドルゾラミドまたはブリンゾラミドを有効成分とする製剤が挙げられるが、これらに限定されない。α受容体作動薬としては、ブリモニジンを有効成分とする製剤が挙げられるが、これに限定されない。α受容体遮断薬としては、ブナゾシンを有効成分とする製剤が挙げられるが、これに限定されない。選択的EP2受容体作動薬としては、オミデネパグ イソプロピルを有効成分とする製剤が挙げられるが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態において、他の緑内障治療薬は、第一選択薬として投与されたものであり得る。さらなる実施形態において、他の緑内障治療薬を第一選択薬として投与された場合に、本開示の組成物は、他の緑内障治療薬とは異なる選択薬として投与されるものであり得る。いくつかの実施形態において、第一選択薬は単一成分用剤であり得、本開示の組成物は、他の緑内障治療薬とは異なる選択薬として投与され、配合剤であり得る。
いくつかの実施形態において、他の緑内障治療薬は、プロスタグランジン関連薬単一成分用剤、β遮断薬単一成分用剤、または炭酸脱水酵素阻害薬単一成分用剤であり得る。いくつかの実施形態において、他の緑内障治療薬は、炭酸脱水酵素阻害薬単一成分用剤であり得る。特定の実施形態において、他の緑内障治療薬は、ブリンゾラミドまたはその薬学的に受容可能な塩であり得る。
他の緑内障治療薬の効果が不十分であることの指標として、他の緑内障治療薬による治療後であって、本開示の組成物の投与前の眼圧が18mmHg以上であることが用いられ得る。このほか、他の緑内障治療薬の効果が不十分であることの指標としては、視神経乳頭所見、視野所見などを挙げることができるがこれらに限定されない。その他、無治療時眼圧からの眼圧下降率が低い場合(例えば、眼圧の低下率が10%未満、または20%未満等)、他の緑内障治療薬の効果が不十分であると判断してもよい。また、治療され得る患者は、他の緑内障治療薬を1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、または8週間以上投与されている患者であり得る。例えば、ブリンゾラミド単剤の治療効果は、典型的には約4週間で判断され得る。
いくつかの実施形態において、効果不十分であることの指標として、眼圧を用いる場合は、他の緑内障治療薬の投与終了日に測定された眼圧であり得、好ましくは、朝(9:00±1時間)および昼(朝の点眼後2時間±30分以内かつ12:30まで)の少なくとも一方又は両方で測定された眼圧であり得る。投与終了日においては朝の眼圧は他の緑内障治療薬の投与前に測定されることが好ましい。
いくつかの実施形態において、本開示の組成物により治療され得る患者は、約20mmHg未満の投与前眼圧を有し得る。前記投与前眼圧は、本開示の組成物の投与開始日に測定された眼圧であり得、好ましくは、朝(9:00±1時間)および昼(朝の点眼後2時間±30分以内かつ12:30まで)のいずれか、好ましくは昼(朝の点眼後2時間±30分以内かつ12:30まで)に測定された眼圧である。投与前眼圧は、好ましくは約18mmHg以上約20mmHg未満の眼圧である。前記投与前眼圧は、投与開始日において、本開示の組成物の投与前に測定されたものである。本開示の組成物の投与開始日は、他の緑内障治療薬の投与終了日と異なっていてもよいし、同日であってもよい。また、投与前眼圧としては、効果不十分であることの指標として用いるために測定した眼圧を使用することも可能である。
いくつかの実施形態において、本開示の組成物は、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも5週間、少なくとも6週間、少なくとも7週間、または少なくとも8週間患者に投与され得る。特定の実施形態において、本開示の組成物は、少なくとも4週間患者に投与され得る。
いくつかの実施形態において、本開示の組成物は、眼圧下降率で評価する場合に患者の眼圧を約5%以上、約10%以上、約15%以上、または約20%以上下降させ得る。別の実施形態において、本開示の組成物は、眼圧下降率で評価する場合に患者の眼圧を、0%より大きく10%未満、10%以上20%未満、または20%以上下降させ得る。緑内障治療において、眼圧を下降させることは視野障害進行リスクの軽減につながることが知られている。眼圧が1mmHg下降すると、視野障害進行リスクが軽減するとの報告もされている。本開示の組成物は、投与前眼圧が20mmHg未満の患者を対象にしており、例えば、眼圧下降率で評価する場合に眼圧を10%以上下降させることにより、眼圧を18mmHg未満にすることができる。緑内障の治療において、眼圧を18mmHg未満に下げることは1つの目的であり、6年間の観察期間において平均眼圧が18mmHg未満を維持した患者は、視野障害進行がほとんど観察されなかった(坂本士郎、鈴木康之、眼科 Vol.60, No.1, 2018, 27-34;Am J Ophthalmol 130:429-40, 2000)。したがって、本点眼剤が、投与前眼圧が20mmHg未満の患者において、10%以上の眼圧を下降させることは極めて重要である。また、本点眼剤は、18mmHg未満に眼圧を下げることによって、視野障害進行を遅らせるのに非常に有効といえる。したがって、好ましい実施形態において、本開示の組成物は、眼圧下降率で評価する場合に患者の眼圧を約10%以上下降させ得る。
眼圧下降率は、以下の式:
眼圧下降率={(本開示の組成物を投与する前の眼圧値−本開示の組成物を所定期間投与した後の眼圧値)/本開示の組成物を投与する前の眼圧値}×100によって算出され得る。式中の眼圧値は、複数の時点で測定された眼圧の平均値であってもよい。いくつかの実施形態において、眼圧値は0時間値、2時間値または7時間値であり得る。例えば、以下:
・0時間値における眼圧下降率={(本開示の組成物を投与開始日の0時間値(8:00−10:00に測定した眼圧値)−本開示の組成物を所定期間投与した後の眼圧の評価日の0時間値(8:00−10:00に測定した眼圧値)/本開示の組成物を投与開始日の0時間値(8:00−10:00に測定した眼圧値)}×100
・2時間値における眼圧下降率={(本開示の組成物を投与開始日の2時間値(該0時間値の測定後2時間±30分以内かつ12:30までに測定した眼圧値)−本開示の組成物を所定期間投与した後の眼圧の評価日の2時間値(該0時間値の測定後2時間±30分以内かつ12:30までに測定した眼圧値)/本開示の組成物を投与開始日の2時間値(該0時間値の測定後2時間±30分以内かつ12:30までに測定した眼圧値)}×100
・7時間値における眼圧下降率={(本開示の組成物を投与開始日の7時間値(該0時間値の測定後7時間±1時間以内かつ18:00までに測定した眼圧値)−本開示の組成物を所定期間投与した後の眼圧の評価日の7時間値(該0時間値の測定後7時間±1時間以内かつ18:00までに測定した眼圧値)/本開示の組成物を投与開始日の7時間値(該0時間値の測定後7時間±1時間以内かつ18:00までに測定した眼圧値)}×100
によって算出され得る。
眼圧の評価日は、投与開始日から少なくとも2週間後(例えば、2週間後、4週間後、2ヶ月後、3ヶ月後、6ヶ月後、1年後、またはそれ以降)であり得る。
いくつかの実施形態において、本開示の組成物は、患者の眼圧を投与後(投与開始日から一定期間後、例えば、治療開始から4週間後)、眼圧下降率で評価する場合に、1日における少なくとも4時間、少なくとも5時間、少なくとも6時間、少なくとも7時間、少なくとも8時間、少なくとも9時間、少なくとも10時間、少なくとも11時間、少なくとも12時間、またはそれより長く持続して10%以上下降させ得る。特定の実施形態において、本開示の組成物は、眼圧下降率で評価する場合に少なくとも7:00〜18:00の間持続して10%以上下降させ得る。眼圧は日内変動があるが、1日の平均眼圧、最高眼圧、眼圧変動幅が大きいほど視野障害が進行しやすいことが知られている(高野靖子ら、眼科 60(1), 9-13, 2018-01;野呂隆彦ら、日本眼科学会雑誌 118(10): 831-837, 2014)。従って、終日眼圧を低く維持することが、視野障害進行の抑制の観点から重要である。
本開示の組成物により治療され得る患者は、特定の年齢の患者に限定されるものではないが、本開示の組成物は、65歳未満の患者に対してより治療効果が高かった。したがって、いくつかの実施形態において、本開示の組成物により治療され得る患者は、65歳未満であり得る。特定の実施形態において、本開示の組成物により治療され得る患者は、投与前眼圧が18mmHg以上20mmHg未満であり、かつ65歳未満であり得る。好ましくは、特定の実施形態において、本開示の組成物により治療され得る患者は、投与前眼圧が18mmHg以上20mmHg未満であり、かつ20歳以上65歳未満であり得る。
別の局面において、本開示は、ブリモニジン又はその薬学的に受容可能な塩とブリンゾラミド又はその薬学的に受容可能な塩とを含む、患者における眼圧を下降させるための組成物であって、該患者は、他の緑内障治療薬が投与されており、該患者の投与前眼圧が18mmHg以上20mmHg未満であり、該組成物が、1回1滴、1日2回患者に点眼投与され、該組成物のブリモニジンの濃度が約0.1%w/vであり、該ブリンゾラミドの濃度が約1%w/vであり、該組成物が、眼圧下降率で評価する場合に該患者の眼圧を約10%以上下降させる、組成物を提供する。
さらなる局面において、本開示は、ブリモニジン又はその薬学的に受容可能な塩とブリンゾラミド又はその薬学的に受容可能な塩とを含む、患者における緑内障又は高眼圧症の悪化を防止する方法において使用するための組成物であって、該患者が緑内障又は高眼圧症に罹患していると診断され、かつ他の緑内障治療薬が投与されている患者であり、該方法が、a)該患者について、該他の緑内障治療薬による効果が十分であるか不十分であるかを確認する工程と、b)該患者の眼圧を測定する工程と、c)該他の緑内障治療薬による効果が不十分であり、投与開始日の投与前眼圧値が20mmHg未満(例えば、18mmHg以上20mmHg未満)である患者を選択する工程と、d)該組成物が、該選択された患者に投与される工程とを含む、組成物を提供する。上記工程c)において、65歳未満の患者を選択することをさらに含んでもよい。「緑内障の悪化の防止」は、緑内障患者における視野障害進行の防止または遅延を含み得る。「高眼圧症の悪化の防止」は、高眼圧症患者における眼圧の下降、眼圧上昇の防止または遅延、あるいは視野障害の発生の防止または遅延を含み得る。
本発明の有効成分であるブリモニジンまたはその薬学的に受容可能な塩と、ブリンゾラミドまたはその薬学的に受容可能な塩は、別個の製剤(すなわち、併用剤)として提供され、これらを組み合わせて投与されてもよい。
したがって、さらなる局面において、本開示は、緑内障又は高眼圧症罹患患者において眼圧を下降させるための組み合わせ物であって、ブリモニジンまたはその薬学的に受容可能な塩と、ブリンゾラミドまたはその薬学的に受容可能な塩とを含む、組み合わせ物を提供する。
さらなる局面において、本開示は、緑内障又は高眼圧症罹患患者において眼圧を下降させるための組成物であって、ブリモニジンまたはその薬学的に受容可能な塩を含み、組成物が、ブリンゾラミドまたはその薬学的に受容可能な塩と組み合わせて投与されることを特徴とする、組成物を提供する。
さらなる局面において、本開示は、緑内障又は高眼圧症罹患患者において眼圧を下降させるための組成物であって、ブリンゾラミドまたはその薬学的に受容可能な塩を含み、組成物が、ブリモニジンまたはその薬学的に受容可能な塩と組み合わせて投与されることを特徴とする、組成物を提供する。
さらなる局面において、本開示は、ブリモニジンまたはその薬学的に受容可能な塩と、ブリンゾラミドまたはその薬学的に受容可能な塩との複数成分用剤(例えば、配合剤)であって、該複数成分用剤以外の他の緑内障治療薬による効果が不十分である患者において、眼圧下降率で評価する場合に眼圧を約10%以上下降させて、該患者の視野障害の発生または進行を抑制する方法において使用するための複数成分用剤であって、該方法は、
a)該患者が緑内障であるかどうか診断する工程と、
b)他の緑内障治療薬を投与する工程と、
c)該患者が他の緑内障治療薬による効果が不十分であるかどうかを診断する工程と、
d)該患者の眼圧を測定する工程と、
e)他の緑内障治療薬による効果が不十分であり、かつ該患者が緑内障である場合に、他の緑内障治療薬に代えて、あるいは他の緑内障治療薬と組み合わせて、ブリモニジンまたはその薬学的に受容可能な塩とブリンゾラミドまたはその薬学的に受容可能な塩を含む組成物を、他の緑内障治療薬とは異なる選択薬として選択して、該患者に該複数成分用剤を投与する工程と
を含む、
複数成分用剤を提供する。
さらなる局面において、本開示は、ブリモニジン又はその薬学的に受容可能な塩とブリンゾラミド又はその薬学的に受容可能な塩とを含む、患者における眼圧を下降させる方法において使用するための組成物であって、該患者が緑内障又は高眼圧症に罹患している患者であり、
該方法が、以下の工程:
a)該患者の眼圧を測定する工程と、
b)投与開始日の投与前眼圧値が20mmHg未満である患者を選択する工程と、
c)該組成物が、該選択された患者に投与される工程と
を含む、組成物を提供する。
(有効性評価方法)
さらなる局面において、患者における投与前眼圧を、例えば、ブリモニジン又はその薬学的に受容可能な塩とブリンゾラミド又はその薬学的に受容可能な塩とを含む組成物による治療が有効であるかどうかの指標とする方法であって、該患者において、他の緑内障治療薬の効果が不十分であり、かつ該患者の該投与前眼圧が20mmHg未満である場合、該組成物が該患者に有効であることを示す、方法を提供する。
いくつかの実施形態において、患者の投与前眼圧が、18mmHg以上20mmHg未満である場合、上記組成物が患者に有効であることを示し得る。特定の実施形態において、患者の投与前眼圧が、18mmHg以上20mmHg未満であり、患者が、65歳未満である場合、上記組成物が患者に有効であることを示し得る。
(他の緑内障治療薬とは異なる選択薬選択方法)
さらなる局面において、患者における投与前眼圧を、緑内障又は高眼圧症に罹患している患者における眼圧を下降させるための他の緑内障治療薬とは異なる選択薬を選択するための指標とする方法であって、該患者において、該患者の該投与前眼圧が20mmHg未満である場合、該他の緑内障治療薬とは異なる選択薬として、ブリモニジン又はその薬学的に受容可能な塩とブリンゾラミド又はその薬学的に受容可能な塩とを含む組成物が有効であることを示す、方法を提供する。
いくつかの実施形態において、患者の投与前眼圧が、18mmHg以上20mmHg未満である場合、他の緑内障治療薬とは異なる選択薬として、ブリモニジン又はその薬学的に受容可能な塩とブリンゾラミド又はその薬学的に受容可能な塩とを含む組成物が有効であることを示し得る。患者の投与前眼圧が、18mmHg以上20mmHg未満であり、患者が、65歳未満である場合、他の緑内障治療薬とは異なる選択薬として、ブリモニジン又はその薬学的に受容可能な塩とブリンゾラミド又はその薬学的に受容可能な塩とを含む組成物が有効であることを示し得る。
以上、本開示を、理解の容易のために好ましい実施形態を示して説明してきた。以下に、実施例に基づいて本開示を説明するが、上述の説明および以下の実施例は、例示の目的のみに提供され、本開示を限定する目的で提供したのではない。従って、本開示の範囲は、本明細書に具体的に記載された実施形態にも実施例にも限定されず、特許請求の範囲によってのみ限定される。
以下、実施例に基づいて本開示をより具体的に説明する。
(実施例1:層別解析)
本実施例では、投与前眼圧によって患者を層別化し、本開示の点眼剤(ブリモニジンおよびブリンゾラミド含有点眼液)がどの層で最も治療効果が高いかを検討した。
原発開放隅角緑内障(広義)又は高眼圧症の患者(163名)を対象として、0.1w/v%ブリモニジン酒石酸塩/1w/v%ブリンゾラミド配合懸濁性点眼剤(1mL中、ブリモニジン酒石酸塩1mg、ブリンゾラミド10mg、チロキサポール、濃グリセリン、ホウ酸、カルボキシビニルポリマー、エデト酸ナトリウム水和物、ベンザルコニウム塩化物、等張化剤、pH調節剤を含む、点眼液)(以下、本点眼剤)を、1日2回4週間点眼したときの有効性(眼圧下降効果)について、多施設共同無作為化単遮蔽(評価者遮蔽)並行群間比較試験により、1%ブリンゾラミド懸濁性点眼剤を対照に比較検討した。
本実施例における原発開放隅角緑内障(広義)には、原発開放隅角緑内障(POAG:Primary open angle glaucoma)、前視野緑内障(PPG:Preperimetric glaucoma)を含めた。原発開放隅角緑内障(広義)の基準のうち、POAG群は、以下の(1)及び(2)を満たす者、PPG群は、以下の(2)のみを満たし治療が必要と判断された者とした。
(1)緑内障性視神経障害(視神経乳頭又は網膜神経線維層の障害所見)が存在する。
Humphrey視野計で視野測定している場合は、Anderson−Patellaの基準(Anderson DR, Patella VM. Automated Static Perimetry. 2nd edition. St. Louis: Mosby; 1999: 152-3.)に従う。
(2)緑内障性視神経乳頭が存在する。
眼底検査にて、判断する(緑内障診療ガイドライン(第3版)等)
1%ブリンゾラミド懸濁性点眼剤(観察期用治験薬)を、両眼にそれぞれ1回1滴、1日2回[朝及び夜(9:00±1時間及び21:00±1時間)]、4週間点眼[観察期開始日の夜から観察期終了日(治療期開始日)の朝まで]した。観察期終了日(治療期開始日)に、有効性評価対象眼の0時間値及び2時間値の眼圧値が18.0mmHg以上31.0mmHg以下であり、かつ、観察期終了日(治療期開始日)の有効性評価対象眼の0時間値及び2時間値の眼圧値の差が3.0mmHg以内の場合に、治療期に移行することとした。
治療期として、両眼にそれぞれ1回1滴、1日2回[朝及び夜(9:00±1時間両眼にそれぞれ1回1滴、1日2回[朝及び夜(9:00±1時間及び21:00±1時間)]、観察期終了日(治療期開始日)の夜から、本点眼剤の点眼を開始し、4週間点眼した(治療期終了日の点眼は朝のみ)。治療期2週及び4週の朝の点眼について、0時間値の眼圧測定後かつ9:00±1時間の間に行った。
なお朝の点眼前、かつ9:00±1時間に眼圧を測定した眼圧値を0時間値、朝の点眼後2時間±30分以内かつ12:30までに測定した眼圧値を2時間値、朝の点眼後7時間±1時間以内かつ18:00までに測定した眼圧値を7時間値と称する。
測定した眼圧値を用いて、以下の式から眼圧下降率を算出した。
・0時間時点での眼圧下降率(%)=[{治療期開始日の眼圧値(0時間値)−各観察日の眼圧値(0時間値)}/治療期開始日の眼圧値(0時間値)]*100
・2時間時点での眼圧下降率(%)=[{治療期開始日の眼圧値(2時間値)−各観察日の眼圧値(2時間値)}/治療期開始日の眼圧値(2時間値)]*100
・7時間時点での眼圧下降率(%)=[{治療期開始日の眼圧値(7時間値)−各観察日の眼圧値(7時間値)}/治療期開始日の眼圧値(7時間値)]*100
算出した眼圧下降率について、0,2,7時間のいずれの時点においても、10%≦下降率であった患者(+)と、そうでない患者(±)とを区別した。投与前眼圧と年齢で分けた各群において、全患者数(合計患者数)に対する(+)、(±)の患者数の割合を算出し、結果を以下の表に示した。投与前眼圧とは、治療期開始日の2時間値である。
表1は、投与前眼圧により層別化した結果を示す。
Figure 2021138697
表1に示されるように、投与前眼圧が20mmHg以上の患者のうち約30%の患者のみが、投与前眼圧から10%以上の眼圧下降を達成したところ、投与前眼圧が18mmHg以上20mmHg未満の患者において、50%以上の患者が、投与前眼圧から10%以上の眼圧下降を達成した。このように、投与前眼圧が18mmHg以上20mmHg未満の患者において、本点眼剤がより効果的であると考えられる。緑内障治療において、眼圧を下降させることは視野障害進行リスクの軽減につながることが知られている。眼圧が1mmHg下降すると、視野障害進行リスクが軽減するとの報告もされている(緑内障診療ガイドライン(第4版)、川瀬和秀.眼科. 48巻6号. p.871〜881(2006))。
投与前眼圧が18mmHg以上20mmHg未満の患者において、10%以上の眼圧を下降させることは、眼圧を18mmHg未満にすることを意味する。緑内障の治療において、眼圧を18mmHg未満に下げることは1つの目的であり、6年間の観察期間において平均眼圧が18mmHg未満を維持した患者は、視野障害進行がほとんど観察されなかった(坂本士郎、鈴木康之、眼科 Vol.60, No.1, 2018, 27-34;Am J Ophthalmol 130:429-40, 2000)。したがって、本点眼剤が、18mmHg以上20mmHg未満の患者において、10%以上の眼圧を下降させることは極めて重要である。また、本点眼剤は、18mmHg未満に眼圧を下げることによって、視野障害進行を遅らせるのに非常に有効といえる。
一般的に、眼圧が高い群において、より高い眼圧下降効果が観察されることが知られている(相原一、あたらしい眼科32(6):767〜773;中内正志ら、あたらしい眼科28(8):1161〜1165)。例えば、眼圧下降薬であるリパスジル点眼液投与群においては、眼圧が高い群において、より高い眼圧下降効果が観察された(鈴木加奈子ら、あたらしい眼科35(8):1114〜1116)。このことからも、18mmHg以上20mmHg未満という比較的低い投与前眼圧を有する患者において、より高い眼圧下降効果を示したことは極めて予想外であった。
さらに年齢による層別化を行った結果を表2に示す。
Figure 2021138697
投与前眼圧が20mmHg未満かつ年齢が65歳未満の群において、0,2,7時間のいずれの時点においても、10%≦下降率であった患者(+)の割合が60%以上であり、他の群に比べて割合が高いことが確認された。投与前眼圧が20mmHg未満かつ年齢が65歳未満の群では、より効果的に本点眼剤が日中に継続して眼圧を下降させることができることがわかった。1日の平均眼圧、最高眼圧、眼圧変動幅が大きいほど視野障害が進行しやすいことが知られている(高野靖子ら、眼科 60(1), 9-13, 2018-01;野呂隆彦ら、日本眼科学会雑誌 118(10): 831-837, 2014)。従って、終日眼圧を低く維持することが、視野障害進行の抑制の観点から重要である。
(参考例:治療例)
症例1:
原発開放隅角緑内障と診断され、PG関連薬により治療が行われているが、効果不十分の患者について、当該PG関連薬に加えて、0.1w/v%ブリモニジン酒石酸塩/1w/v%ブリンゾラミド配合懸濁性点眼剤(1mL中、ブリモニジン酒石酸塩1mg、ブリンゾラミド10mg、チロキサポール、濃グリセリン、ホウ酸、カルボキシビニルポリマー、エデト酸ナトリウム水和物、ベンザルコニウム塩化物、等張化剤、pH 調節剤を含む、点眼液)の投与(1日2回)を開始する。患者の眼圧は、Goldmann圧平眼圧計にて測定し、投与開始日の午前10時〜12時30分までに眼圧(投与前眼圧)を測定し、投与前眼圧が18mmHg以上20mmHgの場合に、本点眼剤の投与を開始する。1カ月おきに、0時間値、2時間値、7時間値を測定し、眼圧下降効果を確認する。併せて、眼底、視野異常等について測定を行い、経過観察を行う。
症例2:
原発開放隅角緑内障と診断され、チモロール点眼液もしくはPG関連薬及びチモロールの配合剤により治療が行われているが、効果不十分の患者について、当該チモロール点眼液もしくはPG関連薬及びチモロールの配合剤の代わりに、0.1w/v%ブリモニジン酒石酸塩/1w/v%ブリンゾラミド配合懸濁性点眼剤(1mL中、ブリモニジン酒石酸塩1mg、ブリンゾラミド10mg、チロキサポール、濃グリセリン、ホウ酸、カルボキシビニルポリマー、エデト酸ナトリウム水和物、ベンザルコニウム塩化物、等張化剤、pH 調節剤を含む、点眼液)に切り替えて、投与(1日2回)を開始する。患者の眼圧は、Goldmann圧平眼圧計にて測定し、投与開始日の午前10時〜12時30分までに眼圧(投与前眼圧)を測定し、投与前眼圧が18mmHg以上20mmHgの場合に、本点眼剤の投与を開始する。1カ月おきに、0時間値、2時間値、7時間値を測定し、眼圧下降効果を確認する。併せて、眼底、視野異常等について測定を行い、経過観察を行う。
以上のように、本開示の好ましい実施形態を用いて本開示を例示してきたが、本開示は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。本明細書において引用した特許、特許出願および文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
緑内障および/または高眼圧症を治療するための組成物が提供される。この技術は、製薬等の分野において利用可能である。

Claims (31)

  1. ブリモニジン又はその薬学的に受容可能な塩とブリンゾラミド又はその薬学的に受容可能な塩とを含む、患者における眼圧を下降させる方法において使用するための組成物であって、
    該患者が緑内障又は高眼圧症に罹患しており、かつ該組成物以外の他の緑内障治療薬が投与されている患者であり、
    該方法が、以下の工程:
    a)該患者について、該他の緑内障治療薬による効果が十分であるか不十分であるかを確認する工程と、
    b)該患者の眼圧を測定する工程と、
    c)該他の緑内障治療薬による効果が不十分であり、投与開始日の投与前眼圧値が20mmHg未満である患者を選択する工程と、
    d)該組成物が、該選択された患者に投与される工程と
    を含む、組成物。
  2. 前記投与前眼圧値が、18mmHg以上20mmHg未満である、請求項1に記載の組成物。
  3. 前記ブリモニジンまたはその薬学的に受容可能な塩は、ブリモニジン酒石酸塩である、請求項1または2に記載の組成物。
  4. 前記組成物中のブリモニジン又はその薬学的に受容可能な塩の濃度が約0.1%w/vであり、前記ブリンゾラミド又はその薬学的に受容可能な塩の濃度が約1%w/vである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
  5. 前記組成物が、前記患者に1回1滴、1日2回点眼投与されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
  6. 前記工程c)において、65歳未満の患者を選択することをさらに含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の組成物。
  7. 前記組成物が、眼圧下降率で評価する場合に前記患者の眼圧を10%以上下降させることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の組成物。
  8. 前記組成物が、眼圧下降率で評価する場合に投与後少なくとも12時間持続して10%以上下降させることを特徴とする、請求項7に記載の組成物。
  9. 前記組成物が、眼圧下降率で評価する場合に少なくとも7:00〜18:00の間持続して10%以上下降させることを特徴とする、請求項7に記載の組成物。
  10. ブリモニジン又はその薬学的に受容可能な塩とブリンゾラミド又はその薬学的に受容可能な塩とを含む、患者における緑内障又は高眼圧症の悪化を防止する方法において使用するための組成物であって、
    該患者が緑内障又は高眼圧症に罹患していると診断され、かつ該組成物以外の他の緑内障治療薬が投与されている患者であり、
    該方法が、以下の工程:
    a)該患者について、該他の緑内障治療薬による効果が十分であるか不十分であるかを確認する工程と、
    b)該患者の眼圧を測定する工程と、
    c)該他の緑内障治療薬による効果が不十分であり、投与開始日の投与前眼圧値が20mmHg未満である患者を選択する工程と、
    d)該組成物が、該選択された患者に投与される工程と
    を含む、組成物。
  11. 前記投与前眼圧が、18mmHg以上20mmHg未満である、請求項10に記載の組成物。
  12. 前記工程c)において、65歳未満の患者を選択することをさらに含む、請求項10または11に記載の組成物。
  13. 前記緑内障の悪化の防止が、前記緑内障患者における視野障害の進行の防止または遅延を含み、前記高眼圧症の悪化の防止が、高眼圧症患者における眼圧の下降、眼圧上昇の防止または遅延、あるいは視野障害の発生の防止または遅延を含む、請求項10〜12のいずれか一項に記載の組成物。
  14. 患者における投与前眼圧を、ブリモニジン又はその薬学的に受容可能な塩とブリンゾラミド又はその薬学的に受容可能な塩とを含む組成物による治療が有効であるかどうかの指標とする方法であって、該患者において、他の緑内障治療薬の効果が不十分であり、かつ該患者の該投与前眼圧が20mmHg未満である場合、該組成物が該患者に有効であることを示す、方法。
  15. 前記患者の前記投与前眼圧が、18mmHg以上20mmHg未満である場合、前記組成物が該患者に有効であることを示す、請求項14に記載の方法。
  16. 前記患者の前記投与前眼圧が、18mmHg以上20mmHg未満であり、前記患者が、65歳未満である場合、前記組成物が該患者に有効であることを示す、請求項15に記載の方法。
  17. 患者における投与前眼圧を、緑内障又は高眼圧症に罹患している患者における眼圧を下降させるための他の緑内障治療薬とは異なる選択薬を選択するための指標とする方法であって、該患者において、該患者の該投与前眼圧が20mmHg未満である場合、該他の緑内障治療薬とは異なる選択薬として、ブリモニジン又はその薬学的に受容可能な塩とブリンゾラミド又はその薬学的に受容可能な塩とを含む組成物が有効であることを示す、方法。
  18. 前記患者の前記投与前眼圧が、18mmHg以上20mmHg未満である場合、前記他の緑内障治療薬とは異なる選択薬として、ブリモニジン又はその薬学的に受容可能な塩とブリンゾラミド又はその薬学的に受容可能な塩とを含む組成物が有効であることを示す、請求項17に記載の方法。
  19. 前記患者の前記投与前眼圧が、18mmHg以上20mmHg未満であり、前記患者が、65歳未満である場合、前記他の緑内障治療薬とは異なる選択薬として、ブリモニジン又はその薬学的に受容可能な塩とブリンゾラミド又はその薬学的に受容可能な塩とを含む組成物が有効であることを示す、請求項18に記載の方法。
  20. 患者における投与前眼圧と年齢を、緑内障又は高眼圧症に罹患しており、かつ他の緑内障治療薬が投与されているが、効果が不十分である患者における眼圧を、眼圧下降率で評価する場合に投与後少なくとも12時間持続して10%以上下降させる他の緑内障治療薬とは異なる選択薬を選択するための指標とする方法であって、該患者において、該患者の該投与前眼圧が18mmHg以上20mmHg未満であり、かつ年齢が65歳未満である場合、該他の緑内障治療薬とは異なる選択薬として、ブリモニジン又はその薬学的に受容可能な塩とブリンゾラミド又はその薬学的に受容可能な塩とを含む組成物が有効であることを示す、方法。
  21. ブリモニジンまたはその薬学的に受容可能な塩と、ブリンゾラミドまたはその薬学的に受容可能な塩との複数成分用剤であって、該複数成分用剤以外の他の緑内障治療薬による効果が不十分である患者において、眼圧下降率で評価する場合に眼圧を約10%以上下降させて、該患者の視野障害の発生または進行を抑制する方法において使用するための複数成分用剤であって、該方法は、
    a)該患者が緑内障であるかどうか診断する工程と、
    b)他の緑内障治療薬を投与する工程と、
    c)該患者が他の緑内障治療薬による効果が不十分であるかどうかを診断する工程と、
    d)該患者の眼圧を測定する工程と、
    e)他の緑内障治療薬による効果が不十分であり、かつ該患者が緑内障である場合に、他の緑内障治療薬に代えて、あるいは他の緑内障治療薬と組み合わせて、ブリモニジンまたはその薬学的に受容可能な塩とブリンゾラミドまたはその薬学的に受容可能な塩を含む組成物を、他の緑内障治療薬とは異なる選択薬として選択して、該患者に該複数成分用剤を投与する工程と
    を含む、
    複数成分用剤。
  22. 配合剤である、請求項21に記載の複数成分用剤。
  23. ブリモニジン又はその薬学的に受容可能な塩とブリンゾラミド又はその薬学的に受容可能な塩とを含む、患者における眼圧を下降させる方法において使用するための組成物であって、該患者が緑内障又は高眼圧症に罹患している患者であり、
    該方法が、以下の工程:
    a)該患者の眼圧を測定する工程と、
    b)投与開始日の投与前眼圧値が20mmHg未満である患者を選択する工程と、
    c)該組成物が、該選択された患者に投与される工程と
    を含む、組成物。
  24. 前記投与前眼圧値が、18mmHg以上20mmHg未満である、請求項23に記載の組成物。
  25. 前記ブリモニジンまたはその薬学的に受容可能な塩は、ブリモニジン酒石酸塩である、請求項23または24に記載の組成物。
  26. 前記組成物中のブリモニジン又はその薬学的に受容可能な塩の濃度が約0.1%w/vでり、前記ブリンゾラミド又はその薬学的に受容可能な塩の濃度が約1%w/vである、請求項23〜25のいずれか一項に記載の組成物。
  27. 前記組成物が、前記患者に1回1滴、1日2回点眼投与されることを特徴とする、請求項23〜26のいずれか一項に記載の組成物。
  28. 前記工程b)において、65歳未満の患者を選択することをさらに含む、請求項23〜27のいずれか一項に記載の組成物。
  29. 前記組成物が、眼圧下降率で評価する場合に前記患者の眼圧を10%以上下降させることを特徴とする、請求項23〜28のいずれか一項に記載の組成物。
  30. 前記組成物が、眼圧下降率で評価する場合に投与後少なくとも12時間持続して10%以上下降させることを特徴とする、請求項29に記載の組成物。
  31. 前記組成物が、眼圧下降率で評価する場合に少なくとも7:00〜18:00の間持続して10%以上下降させることを特徴とする、請求項29に記載の組成物。
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