JP2021138629A - 薬物デリバリーキャリアおよびこれを用いる医薬組成物 - Google Patents

薬物デリバリーキャリアおよびこれを用いる医薬組成物 Download PDF

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亮介 福田
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Kenji Suda
謙史 須田
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Abstract

【課題】眼部の異常な脈絡膜新生血管に優先的にデリバリーする機能を有する、新たな高密度リポタンパク質(HDL)を提供する。【解決手段】血管内皮細胞標的化ペプチド又はアプタマーおよび細胞親和性ペプチドが結合したアポリポタンパク質並びにリン脂質を含む、修飾高密度リポタンパク質(vcHDL)。血管内皮細胞標的化ペプチド又はアプタマーは、新生血管内皮細胞標的化ペプチド、例えば、NGR含有ペプチドである。vcHDLを含む、後眼部新生血管薬物デリバリーキャリア。【選択図】図2

Description

本発明は、薬物デリバリーキャリアおよびこれを用いる医薬組成物に関する。薬物デリバリーキャリアは、標的化ペプチドおよび細胞親和性ペプチドを結合したアポリポタンパク質を用いる、修飾高密度リポタンパク質である。
近年、加齢黄斑変性や糖尿病網膜症などの後眼部疾患に対して薬物の硝子体内注射が行われるようになってきている。このような侵襲的局所投与法は、直接薬物を眼内に注入するため確実な治療効果が期待できる。その反面、注射による眼内炎の危険性や注射を反復して行わないといけないという煩雑性が問題視されている。しかしながら、眼には外界から眼内への物質移行を制御するバリア機能が存在する。そのため、点眼や経静脈投与などによる非侵襲的投与による、眼球内への薬物到達は容易でない。特に、網膜等の後眼部への薬物送達効率は極めて低い。眼内ドラッグデリバリーの様々な投与経路を図1に示す。
これらの問題を打開すべく、薬物キャリアを用いた点眼用ドラッグデリバリーの開発が試みられている。現在眼科領域に応用されている薬物キャリアとしては、後眼部到達用リポソームが知られている。当該後眼部到達用リポソームの粒子径は約110nmであり、蛍光色素クマリン−6をリポソームに内包させ、その蛍光強度を測定することで、後眼部へのドラッグデリバリーが確認されている。眼部到達用リポソームでは、そのサイズが小さくなるごとに、後眼部へのリポソームの到達性が高まり、その結果、薬剤の集積性も高まることが期待されると報告されている(特許文献1および2、非特許文献1)。
点眼用ドラッグキャリアのサイズは20nm以下が望ましいことを示唆する報告もある(非特許文献2)が、一般に100nm未満のサイズのリポソームの作製は容易ではない。
点眼用ドラッグキャリアとしてではなく、悪性腫瘍細胞への抗癌剤細胞内デリバリーを目的として、親和性ペプチドを融合した高密度リポタンパク質(cHDL)が知られている(非特許文献3)。しかし、HDLを含め粒径100nm以下のリポタンパク質について、点眼剤としての薬物デリバリーを目的とするものは知られてはいなかった。
一方で、高密度リポタンパク質(HDL)中に、細胞親和性ペプチドのような機能性ペプチドを融合することによって、融合された高密度リポタンパク質自体が新たな動態特性を獲得し、また融合する機能性ペプチド自体が有する生体活性を該ペプチドが含む高密度リポタンパク質(HDL)に付与することも期待し得る。
本発明者は、点眼による後眼部への薬物デリバリーのためのキャリアとして有用である、高密度リポタンパク質(HDL)に細胞親和性ペプチド(CP)を結合した、CP結合高密度リポタンパク質(cHDL)を提案した。このcHDLは、細胞毒性を有さず、かつ内包する薬物を後眼部へ到達させることができる(特許文献3)。特許文献3には、このcHDLを用いる後眼部疾患の診断、予防または治療のための医薬組成物などの記載がある。
WO2009/107753 特開2011−246464号公報 WO2016/104690
Hironaka, K. et al., J Controlled Release 2009; 136: 247-253 Kompella, U. B. et al., Molecular Vision 2006; 12: 1185-1198 Murakami, T. et al., Nanomedicine 2010; 5: 867-879
後眼部疾患の中でも加齢黄斑変性は、長寿命化に従っての失明原因疾患に占める割合が増加することが懸念されている。加齢黄斑変性は、萎縮型と滲出型に大別され、滲出型では、網膜色素上皮細胞の下にある、血管が豊富な脈絡膜から異常な脈絡膜新生血管が生じ、この新生血管が網膜色素上皮の下、もしくは網膜と網膜色素上皮の間に侵入して網膜を傷害することで発症すると考えられている。
滲出型加齢黄斑変性の治療では、異常な脈絡膜新生血管にその生成を抑制する薬物をデリバリーすることが求められる。特許文献3に記載のCP結合高密度リポタンパク質(cHDL)は、内包する薬物を後眼部へ到達させることができるが、後眼部の異常な脈絡膜新生血管に優先的にデリバリーする機能はない。
そこで本発明は、上記cHDLがする課題を解決することができる、後眼部の異常な脈絡膜新生血管に優先的にデリバリーする機能を有する、新たな高密度リポタンパク質(HDL)を提供することを目的とする。そのようなHDLを提供することができれば、滲出型加齢黄斑変性の効果的な治療に有用であり、さらには、滲出型加齢黄斑変性に類する後眼部新生血管疾患の効果的な治療に有用である。
本発明者らは、細胞親和性ペプチドに加えて標的化ペプチドが結合したアポリポタンパク質を用いた修飾高密度リポタンパク質が、後眼部の異常な脈絡膜新生血管に優先的にデリバリーされることを見出して、本発明を完成させた。
本発明は以下の通りである。
[1]
血管内皮細胞標的化ペプチド又はアプタマーおよび細胞親和性ペプチドが結合したアポリポタンパク質並びにリン脂質を含む、修飾高密度リポタンパク質。
[2]
血管内皮細胞標的化ペプチド又はアプタマーが、新生血管内皮細胞標的化ペプチド又はアプタマーである、[1]に記載の修飾高密度リポタンパク質。
[3]
新生血管内皮細胞標的化ペプチド又はアプタマーが、αVβ3インテグリン、アミノペプチダーゼA、アミノペプチダーゼN、及び血管内皮増殖因子(VEGF)受容体から選択される分子に特異的に結合する、[2]に記載の修飾高密度リポタンパク質。
[4]
新生血管内皮細胞標的化ペプチドが、NGR含有ペプチド、RGD含有ペプチド、又はCPRECES含有ペプチドである[2]又は[3]に記載の修飾高密度リポタンパク質。
[5]
細胞親和性ペプチドが、TATペプチド、ペネトラチン(PEN)、ポリアルギニン(R8)、LL−37、トランスポータン、Pep−1、およびMTSからなる群から選ばれる少なくとも1 種である、[1]〜[4]のいずれか1項に記載の修飾高密度リポタンパク質。
[6]
アポリポタンパク質が、アポリポタンパク質A−I、アポリポタンパク質A−II、アポリポタンパク質C、アポリポタンパク質E、およびそれらの部分断片あるいは遺伝子改変型アポリポタンパク質からなる群から選ばれる少なくとも1種である[1]〜[5]のいずれか1項に記載の修飾高密度リポタンパク質。
[7]
リン脂質が、ホスファチジルコリンである[1]〜[6]のいずれか1項に記載の修飾高密度リポタンパク質。
[8]
ホスファチジルコリンがジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、パルミトイルオレオイルホスファチジルコリン(POPC)およびジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)からなる群から選ばれる少なくとも1種である[7]に記載の修飾高密度リポタンパク質。
[9]
密度が1.0〜1.21g/mLの範囲であり、粒径が直径10〜20nmである、[1]〜[8]のいずれか1項に記載の修飾高密度リポタンパク質。
[10]
リポタンパク質1分子あたり、1分子以上の蛍光標識物質、生体活性物質または薬物から選ばれる少なくとも1種類の物質をさらに含む、[1]〜[9]のいずれか1項に記載の修飾高密度リポタンパク質。
[11]
[1]〜[10]のいずれか1項に記載の修飾高密度リポタンパク質、該リポタンパク質中に含まれる後眼部新生血管疾患の診断、予防または治療に有効な薬物、および医薬的に許容され得る添加剤を含む、後眼部新生血管疾患の診断、予防または治療のための医薬組成物。
[12]
[1]〜[10]のいずれか1項に記載の修飾高密度リポタンパク質、該リポタンパク質中に含まれる後眼部新生血管疾患の診断、予防または治療に有効な薬物、および医薬的に許容され得る添加剤を含む、後眼部新生血管の阻害用医薬組成物。
[13]
後眼部新生血管疾患が、加齢黄斑変性症、糖尿病性網膜症、ぶどう膜炎、眼腫瘍、および網膜動静脈閉塞症からなる群から選ばれる少なくとも1種の疾患である、[11]又は[12]に記載の医薬組成物。
[14]
薬物が、眼内の脈絡膜新生血管の抑制のための薬剤、あるいは加齢黄斑変性、糖尿病性網膜症、ぶどう膜炎、眼腫瘍、および網膜動静脈閉塞症からなる群から選ばれる疾患の診断、予防又は治療剤の少なくとも1種類の化合物である、加齢黄斑変性症、糖尿病性網膜症、ぶどう膜炎、眼腫瘍、および網膜動静脈閉塞症からなる群から選ばれる少なくとも1種の後眼部新生血管疾患の診断、予防または治療のための[11]又は[12]に記載の医薬組成物。
[15]
点眼用である、[11]〜[14]のいずれか1項に記載の医薬組成物。
[16]
[1]〜[10]のいずれか1項に記載の修飾高密度リポタンパク質を含む、後眼部新生血管ターゲティング用薬物デリバリーキャリア。
[17]
i)アポリポタンパク質に血管内皮細胞標的化ペプチド又はアプタマーおよび細胞親和性ペプチドを結合させて、結合タンパク質を得る;
ii)上記i)で得られた結合タンパク質と、リン脂質、適宜、蛍光標識物質、生体活性物質または薬物から選ばれる少なくとも1種類の化合物とを混合することにより、血管内皮細胞標的化ペプチド又はアプタマーおよび細胞親和性ペプチドを結合した修飾高密度リポタンパク質を調製する;
iii)超遠心法により、未反応のリン脂質、アポリポタンパク質を除去することによって、血管内皮細胞標的化ペプチド又はアプタマーおよび細胞親和性ペプチドを結合した高密度リポタンパク質を回収する、
ことを含む、[1]〜[10]のいずれか1項に記載の修飾高密度リポタンパク質の製造方法。
本発明によれば、後眼部の異常な脈絡膜新生血管に優先的にデリバリーされる新たな高密度リポタンパク質であるvcHDLが提供される。このvcHDLを用いることで、加齢黄斑変性症、糖尿病性網膜症、ぶどう膜炎、眼腫瘍、網膜動静脈閉塞症などの後眼部新生血管疾患の診断、予防または治療のための医薬組成物および後眼部新生血管の阻害用医薬組成物を提供することができる。
眼内ドラッグデリバリーの様々な投与経路を示す。 (a)本発明の高密度リポタンパク質(vcHDL)の構造の一例として、VTPがNGRであり、CPがPENであり、それぞれ1つ結合した例の模式図、(b)特許文献3に記載の従来例の模式図である。 試験例1におけるCNVマウス試験の結果を示す。 試験例2におけるHUVEC細胞試験の結果を示す。 試験例3におけるCNVマウス試験の結果を示す。
以下に、本発明をさらに詳細に説明する。
(定義)
以下に、本明細書および特許請求の範囲中で使用する用語の定義を示す。
本発明の構成成分としての「高密度リポタンパク質(HDL)」とは、アポリポタンパク質A−I(apoA−I)を含むリポタンパク質を意味し、天然物血漿由来の高密度リポタンパク質、またはアポリポタンパク質またはその遺伝子改変型アポリポタンパク質とリン脂質とを化学合成的な手法もしくは遺伝子工学的な手法により製造される再構成(すなわち、人工)高密度リポタンパク質(rHDL)のいずれであってもよい。高密度リポタンパク質(HDL)は、主な構成成分としてアポリポタンパク質およびリン脂質を含む。人工的に高密度リポタンパク質(HDL)を調製する場合には、アポリポタンパク質の1モルに対して、数十倍〜数百倍モルのリン脂質を用いることができる。
HDLの密度は、天然由来のHDLである場合には約1.063〜1.210g/mLの範囲(Antonio M. Gotto, Jr.らMethods Enzymol. 1986; 128: 3-41を参照)であり、一方rHDLの場合には天然由来のHDLの大きさに準じるが、製造時に所望する大きさの密度に調整することができるため、例えば天然の低密度リポタンパク質(LDL)の密度である約1.019〜1.063g/mLの範囲(Antonio M. Gotto, Jr.らの同文献を参照)をも含み得る。
HDLの粒子径は、天然由来のHDLである場合には約5〜12nmの範囲(Antonio M. Gotto, Jr.らの同文献を参照)である。rHDLの場合には天然由来のHDLの大きさに準じるが、製造時に所望する大きさの粒径に調整することができるため、例えば天然のLDLの粒径の大きさである約18〜25nmの範囲(Antonio M. Gotto, Jr.らの同文献を参照)をも含み得て、また約1000nm未満、約200nm未満、または約100nm未満の粒径に調整することもできる。HDLは、そのサイズが小さいほど、後眼部への到達性が高まることが期待され、従って典型的には粒子径は約100nm未満、好ましくは約10〜約50nm、より好ましくは約10〜約20nmである。
構成成分としての「アポリポタンパク質」とは、リポタンパク質を構成する脂質以外のタンパク質部分を意味する。本発明におけるアポリポタンパク質は、天然のリポタンパク質中に含まれることが一般に知られるアポリポタンパク質およびその遺伝子改変型アポリポタンパク質を含むが、これらに限定されない。高密度リポタンパク質(HDL)中に含まれることが知られるアポリポタンパク質およびその遺伝子改変型アポリポタンパク質が好ましい。例えば、アポリポタンパク質A〜Eの群に属するタンパク質を挙げられ、好ましくはアポリポタンパク質A−I(apoA−I)、アポリポタンパク質A−II(apoA−II)、アポリポタンパク質C(apoC)、アポリポタンパク質E(apoE)、およびそれらの遺伝子改変型アポリポタンパク質からなる群から選ばれる、少なくとも1種であるが、これらに限定されるものではない。より好ましくは、アポリポタンパク質A−I(apoA−I)およびその遺伝子改変型apoA−Iを挙げられる。遺伝子改変型アポリポタンパク質とは、アポリポタンパク質の機能(例えば、脂質結合機能)と同等の機能を有する変異体または類似体等(つまり、機能的同等物)を意味する。例えばアポリポタンパク質の部分断片およびそれらを組み合わせたアポリポタンパク質を挙げられる。アポリポタンパク質A−Iの遺伝子改変型アポリポタンパク質の例としては、N末端44アミノ酸欠損apoA−Iを挙げられる。
構成成分としての「リン脂質」とは、1つまたは複数のリン酸エステル部位を有する脂質を意味する。本発明におけるリン脂質とは、天然のリポタンパク質中に含まれることが一般に知られるリン脂質を含む。高密度リポタンパク質(HDL)中に含まれることが知られるリン脂質が好ましいが、これに限定されない。例えば、スフィンゴシンを骨格とするスフィンゴ脂質が挙げられ、アシル基の炭素数が約12〜約18と、好ましくは約14〜約18と、長鎖のリン脂質が好ましい。例えば、フォスファチジルグリセロール、フォスファチジルセリン、フォスファチジルコリン、及びフォスファチジルエタノールアミンを挙げられ、フォスファチジルコリンが好ましい。典型的な例としては、ジミリストイルフォスファチジルコリン(DMPC)、ジパルミトイルフォスファチジルコリン(DPPC)、ジステアロイルフォスファチジルコリン(DSPC)、エッグフォスファチジルコリン(PC)、および1−パルミトイル−2−オレオイルフォスファチジルコリン(POPC)を挙げられるが、これらに限定されるものではない。当該リン脂質は、単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。本発明におけるリン脂質とは、例えば脂質膜の硬さを調整し、また安定化した複合体が形成する、さらには薬物等の化合物を内包するのに寄与する役割を果たしているものと考えられる。また、リン脂質にコレステロールを添加して用いることもできる。コレステロールを含有させることにより、リン脂質により形成される脂質膜の硬さを調整することができる。リン脂質にコレステロールを添加することで薬剤などの有効成分と相互作用して、脂質膜への内封効率を調整することもできる。リン脂質に対するコレステロールの添加量は、例えば、0.01〜30質量%の範囲である。
構成成分としての「血管内皮細胞標的化ペプチド又はアプタマー(以下、VTPと略記する)」は血管内皮細胞に結合して、血管を標的化できるペプチド又はアプタマーを意味し、特に、新生血管内皮細胞に結合して、血管内皮細胞を標的化できるペプチド又はアプタマーである「新生血管内皮細胞標的化ペプチド又はアプタマー」であることが好ましい。たとえば、新生血管にはαvβ3インテグリン、アミノペプチダーゼA、アミノペプチダーゼN(APN;CD13とも呼ばれる)及び血管内皮増殖因子(VEGF)受容体などが発現していることが知られている(J.Lahdenrantaら(2007)The FASEB Journal;21:3272−3278)。よって、新生血管内皮細胞標的化ペプチド及びペプチドには、これらの分子に特異的に結合する抗体やその断片及びアプタマーなどが含まれる。
「新生血管内皮細胞標的化ペプチド」としては、例えば、「アスパルギン−グリシン−アルギニン(NGR)含有ペプチド」、ACDCRGDCFC(配列番号2)などのRGD含有ペプチド、及びCPKVCPRECESNC(配列番号3)などのCPRECES含有ペプチドを挙げることができる。これらのペプチドは、腫瘍血管内皮細胞上のそれぞれ、CD13受容体、αvβ3インテグリン、及びアミノペプチダーゼAに結合する腫瘍新生血管標的化ペプチドとして見出された分子であり、網膜における新生血管に対しても結合性であることが報告されている(J.Lahdenrantaら(2007)上掲)。これらのペプチドは、新生血管への結合能を損なわない限り前後に任意のアミノ酸が付加されていてもよい。例えば、NGR含有ペプチドは、NGRのみであってもNGRの前後の一方又は両方に他のアミノ酸が付随するXmNGRYnであることもできる。Xは任意のアミノ酸であり、mは1〜10の整数であり、mが2以上の場合、Xは同一又は異なるアミノ酸の組合せであることができる。Yは任意のアミノ酸であり、nは1〜10の整数であり、nが2以上の場合、Yは同一又は異なるアミノ酸の組合せであることができる。XmNGRYnは、例えば、CNGRCGG(配列番号4)であることができ、NGRの前後のシステイン(C)は、酸化によりS−S結合が形成され、NGR部分が環状化して、受容体結合活性を増強することができる。
VEGF受容体から選択される分子に特異的に結合する抗体としては、例えば、ベバシズマブ(抗VEGFヒト化モノクローナル抗体)などを挙げることができる。また、抗体としてはVHH(variable domain of heavy chain of heavy chain antibody)抗体を含むことができ、抗体断片としては、例えば、Fab、F(ab')2、Fab'、diabody、一本鎖抗体(例えば、scFv、dsFv)等を挙げることができる。
αVβ3インテグリン、アミノペプチダーゼA、アミノペプチダーゼN及びVEGF受容体から選択される分子に特異的に結合するアプタマーは、例えば、DNAアプタマー、RNAアプタマーであることができ、アプタマーとしては、例えば、VEGF受容体に対するアプタマーとしては、例えば、NUCLEIC ACID THERAPEUTICS, Volume 25, Number 5, page 227-234, 2015に記載のApt80mer、AptM80mer及びAPTDivalentを挙げることができる(表1参照)。Apt80merの塩基配列中の5はベンジル含有塩基(BndU)を示す。AptM80merを配列番号5に示す。
Figure 2021138629
「細胞親和性ペプチド(CP)」とは、細胞膜に結合し、その後細胞内に移行することが可能な細胞親和性を示すペプチドを意味する。本発明における細胞親和性には、細胞膜透過性、細胞接着性、血管内皮細胞集積性、エンドソーム脱出性、細胞核集積性、ミトコンドリア集積性などを含むが、これらに限定されない。
CPは、天然のタンパク質由来の天然ペプチドおよび人工的に製造する合成ペプチド(例えば、キメラペプチド)を含む。CPは、そのアミノ酸配列による化学的特性により、塩基性細胞親和性ペプチド、両親媒性細胞親和性ペプチド、および疎水性細胞親和性ペプチドを含む。塩基性細胞親和性ペプチドが好ましい。例えば、塩基性細胞親和性ペプチド(例えば、HIV−1ウイルスのTATタンパク質(Trans-activator of transcription protein)由来のTATペプチド、ショウジョウバエ由来のペネトラチン(PEN)、ポリアルギニン(R8)、抗菌性ペプチド由来のLL−37)、両親媒性細胞親和性ペプチド(例えば、キメラペプチドであるトランスポータンやPep−1、PEN配列改変あるいはシャッフリング体)、および疎水性細胞親和性ペプチド(例えば、ファージディスプレー法によって得られる合成ペプチドであるPep−1、膜タンパク質のシグナルペプチド由来のペプチドであるMTS)を挙げられるが、これらに限定されるものではない。
VTP及びCPは、HDLと結合することで、本発明の修飾高密度リポタンパク質である、VTP及びCP結合高密度リポタンパク質(vcHDL)を形成する。好ましくは、少なくとも1つのVTP及び少なくとも1つのCPが、アポリポタンパク質上で結合している。VTP及びCPが1つずつ結合する場合は、VTPは、アポリポタンパク質のN末端で結合し、CPは、アポリポタンパク質のC末端で結合することができる。あるいは、VTPは、アポリポタンパク質のC末端で結合し、CPは、アポリポタンパク質のN末端で結合することもできる。あるいはVTPとCPが共に、アポリポタンパク質のN末端あるいはC末端のいずれかで結合することもできる。VTPが2つ以上結合する場合、VTPを連続して2つ以上結合することができ、CPが2つ以上結合する場合、CPを連続して2つ以上結合することができる。あるいは、アポリポタンパク質のN末端及びC末端のそれぞれにVTP及びCPを結合することもできる。2以上のVTP及び/又はCPを1つのアポリポタンパク質に結合させることで、血管標的化能及び/又は細胞親和性を強化することができる場合がある。HDLは2分子以上のアポリポタンパク質を含むため、vcHDLにはそれぞれ2分子以上のVTPとCPを含ませることができる。
ここで、VTP及びCPとHDLとの結合の手法は、化学合成的な手法(例えば、カップリング方法)または生物学的手法(例えば、遺伝子工学的方法)であることができる。VTP及びCPとHDLとが遺伝子工学的方法により、形質転換(融合)遺伝子を作成して人工的に結合させる場合、「融合」と呼ぶ。HDL上の融合する官能基および位置は、融合させるVTP及びCPに応じて適宜改変し得る。本発明のvcHDLの構造の一例として、VTPがNGRであり、CPがPENであり、それぞれ1つ結合した例の模式図を図2(左図)に示す。右図は、特許文献3に記載の従来例の模式図である。
任意の構成成分としての「蛍光標識物質」とは、蛍光標識として作用する物質を意味する。本発明における蛍光標識とは、タンパク質の蛍光標識に使用することができる標識物質であり、本発明のvcHDL中に封入され、内包される。化学合成物質および蛍光タンパク質を含むが、化学合成物質が好ましい。タンパク質へと反応する官能基としては、NHSエステル(アミン反応性)、イソシアナート(アミン反応性)、マレイミド(SH反応性)、ヒドラジド(アルデヒド反応性)などが利用でき、それらの官能基を有する蛍光標識物質を使用することができる。該蛍光標識試薬は市販のものを使用することができ、あるいは化学的合成または生物学的合成により調製してもよい。例えば、フルオレセイン、ローダミン、クマリン−6、Cy色素、Alexa Fluor(登録商標)、HiLyte Fluor(登録商標)等の化学合成物質、およびフィコエリトリン(PE)、アロフィコシアニン(APC)等の蛍光タンパク質を含むが、これらに限定されない。
任意の構成成分としての「生体活性物質」とは、生体内の生理的調節機能に対して作用する性質を有する物質、例えば眼(例えば、後眼部)内の生理的調節機能に作用する物質を意味する。例えば、眼科組成物に通常用いられる充血除去成分(例えば、α−アドレナリン作動薬、具体的には塩酸エピネフリン、塩酸エフェドリン等)、眼筋調節薬成分(例えば、コリンエステラーゼ阻害剤、具体的にはトロピカミド等)、抗炎症薬成分または収斂薬成分(例えば、硫酸亜鉛、インドメタシン、ブロムフェナクナトリウム等)、抗ヒスタミン薬成分又は抗アレルギー薬成分(例えば、塩酸ジフェンヒドラミン、マレイン酸クロルフェニラミン等)、ビタミン類(例えば、パルミチン酸レチノール、アスコルビン酸等)、アミノ酸(例えば、アスパラギン酸ナトリウム、グルタミン酸ナトリウム等)、酸性ムコ多糖類(例えば、コンドロイチン硫酸ナトリウム)、局所麻酔薬成分(例えば、クロロブタノール、塩酸プロカイン等)などが例示できる。
任意の構成成分としての「薬物」とは、例えば眼部疾患の診断、予防または治療に有効な薬物が挙げられ、前眼部疾患、後眼部疾患、外眼部疾患の診断、予防または治療に有効な薬物を含む。具体的には、後述する「後眼部新生血管疾患の診断、予防または治療に有効な薬物」を挙げられる。
本発明のvcHDLは1粒子当たり、1分子以上の蛍光標識物質、生体活性物質または薬物から選ばれる少なくとも1種類の化合物を更に含むことにより、複合体を形成する。
本発明のvcHDL中、構成比率として、アポリポタンパク質を例えば約0.01〜0.5μmoL/L、典型的には約0.05〜0.1μmoL/L、リン脂質を例えば約0.5〜250μmoL/L、典型的には約2.5〜20μmoL/L、および、例えば、アポリポタンパク質と等量のモル比で融合したVTP及びCPを含む。但し、アポリポタンパク質の1分子に対して、2分子以上のVTP及びCPをそれぞれ結合させることもでき、その場合は、アポリポタンパク質と2倍量以上のモル比で融合したVTP及び/又はCPを含む。
また、適宜、蛍光標識物質、生体活性物質または薬物から選ばれる少なくとも1種類の化合物を、例えば、約0.01〜25μmoL/L、典型的には約0.05〜2μmoL/Lの割合で含んでいてもよい。
本発明のvcHDLの一態様として、例えばアポリポタンパク質の1mg/mL当たり、リン脂質を約0.1〜100mg/mL、約1〜50mg/mL、約2〜20mg/mL、典型的には約5mg/mL、および適宜、蛍光標識物質、生体活性物質または薬物から選ばれる少なくとも1種類の化合物を約0.001〜1mg/mL、約0.01〜0.5mg/mL、約0.02〜0.1mg/mL、典型的には約0.05mg/mL、含む。また、好ましい一態様としては、例えばアポリポタンパク質の1mg/mL当たり、リン脂質を約5mg/mL、および適宜、蛍光標識物質、生体活性物質または薬物から選ばれる少なくとも1種類の化合物を約0.05mg(50μg)/mLを含む。
本発明のvcHDLは、CPに加えてVTPを含むことで、後眼部薬物デリバリーキャリアであり、かつ新生血管を標的化することができることから、異常な血管新生が原因とされている加齢黄斑変性症の患部である後眼部の新生血管に対する送達能力に優れる。そのため本発明のvcHDLに加齢黄斑変性症治療用薬剤を載せることで、加齢黄斑変性症の患部に薬剤を優先的に送達することができる。あるいは、本発明のvcHDLに蛍光物質を載せることで、加齢黄斑変性症の患部に蛍光物質を優先的に送達することがで、患部の特定に用いることもできる。
「後眼部新生血管疾患用医薬組成物」とは、後眼部新生血管疾患を診断、予防または治療するための医薬組成物及び後眼部新生血管の阻害用医薬組成物を意味し、構成成分として、上述の本発明の細胞親和性ペプチドを結合(例えば、融合)した高密度リポタンパク質(cHDL)、該高密度リポタンパク質中に含まれる(例えば、封入)後眼部疾患の診断、予防または治療に有効な薬物、および適宜、医薬的に許容され得る添加剤を含む。
「後眼部新生血管疾患の診断、予防または治療に有効な薬物」とは、以下の薬物を挙げられるが、これらに限定されるものではない。例えば、加齢黄斑変性症の診断、予防又は治療剤、糖尿病性網膜症の診断、予防又は治療剤、ぶどう膜炎の診断、予防又は治療剤、眼腫瘍の診断、予防又は治療剤、網膜動静脈閉塞症の診断、予防又は治療剤等が挙げられる。具体的には、血管内皮増殖因子(VEGF)阻害薬(例えば、VEGF抗体、VEGFアプタマー、siRNA)、ステロイド製剤(例えば、デキサメタゾン、ベタメタゾン、フルオロメトロン、プレドニゾロン)、非ステロイド製剤(例えば、インドメタシン、ブロムフェナック、ジクロフェナックナトリウム等)、プロスタグランジン製剤(例えば、ラタノプロスト、タフルプロスト)、ピレノキシン、グルタチオン、メマンチン、エピネフリン、塩酸ピロカルピン、カルバコール、塩酸ドルゾラミド、アセタゾラミド、マレイン酸チモロール、塩酸カルテオロール、塩酸ベタキソロール、塩酸ブナゾシン、イソプロピルウノプロストン、プラノプラフェン、アスピリン、SRPIN803(6-(4-Hydroxy-3-methoxybenzylidene)-5-imino-2-(trifluoromethyl)-5H-[1,3,4]thiadiazolo[3,2-a]pyrimidin-7(6H)-one)、パゾパニブ(Pazopanib)等を含むが、これらに限定されない。
「医薬的に許容され得る添加剤」としては、本発明の効果を妨げない限り、上記の成分に加えて、各種用途に応じて、種々の活性成分または薬効成分(薬理活性成分および生理活性成分を含む)や添加剤(例えば、緩衝化剤、等張化剤、pH調整剤、防腐剤・保存剤、安定化剤、増粘剤、キレート剤、界面活性剤、吸収促進剤、香料等)を組み合わせて含有してもよい。このような成分は、眼刺激等の問題がない濃度範囲内で適宜配合することができ、成分の種類は特に制限されないが、例えば以下のものを例示する。緩衝化剤(例えば、リン酸ナトリウム)、等張化剤(例えば、塩化ナトリウム)、pH調整剤(例えば、ホウ酸)、防腐剤・保存剤(例えば、塩化ベンザルコニウム)、安定化剤(例えば、マンニトール)、増粘剤(例えば、アルギン酸ナトリウム)、キレート剤(例えば、エデト酸ナトリウム)、界面活性剤(例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート)、吸収促進剤(例えば、オレイン酸ナトリウム)、香料(例えば、メントール)。
本発明の医薬組成物は、点眼剤、眼軟膏剤、点鼻剤、点耳剤、注射剤などの剤型で使用することができ、点眼剤が好ましい。
「点眼用」とは、非侵襲的な投与様式で点眼剤として使用するための形態を意味する。点眼剤は、薬物の水に対する溶解性と水溶液中での安定性に応じて、水性点眼剤、用時溶解点眼剤、懸濁性点眼剤、または油性点眼剤/眼軟膏剤とその剤型を決めることができる。該点眼剤は、点眼用として医薬的に許容され得る添加剤、例えば緩衝化剤、等張化剤、pH調整剤、界面活性剤、安定化剤、防腐剤等を含み得るが、これらに限定されるものではない。点眼剤のpHは、眼科製剤に許容される範囲内である限りにおいて、通常4〜8の範囲内が好ましい。緩衝化剤としては、例えばリン酸塩(例えば、リン酸ナトリウム)、酢酸塩(例えば、酢酸ナトリウム)などが挙げられる。等張化剤としては、例えば塩化ナトリウムなどの無機物塩、濃グリセリンなどのグリセリン、スクロースなどの糖類などを挙げられる。pH調整剤としては、例えばホウ酸などの有機酸等を挙げられる。界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤(例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレートなどのポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類)、両性界面活性剤(例えば、アルキルジアミノエチルグリシンなどのグリシン型、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタインなどの酢酸ベタイン型)、陰イオン性界面活性剤(例えば、テトラデセンスルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸塩、ラウリル硫酸ナトリウムなどのアルキル硫酸塩)、および陽イオン性界面活性剤(例えば、塩化ベンザルコニウムなどのアルキル4級アンモニウム塩)が挙げられ、非イオン性界面活性剤が好ましい。安定化剤としては、例えば有機酸塩(例えば、クエン酸ナトリウム、マンニトール)などが挙げられる。防腐剤としては、例えば塩化ベンザルコニウム、パラベンなどが挙げられる。
「後眼部新生血管ターゲティング薬物デリバリーシステム」とは、上述の本発明の後眼部新生血管ターゲティング薬物デリバリーキャリアvcHDLを、後眼部新生血管疾患の診断、予防または治療に有効な薬物と組み合わせることにより、後眼部新生血管ターゲティング薬物デリバリーシステムを構築することができる。
後眼部新生血管疾患を患っているかまたは患う危険を有する患者に、上述の後眼部新生血管ターゲティング薬物デリバリーシステムを適用することによって、または上述の後眼部新生血管疾患用医薬組成物を投与する方法により、後眼部新生血管疾患を診断、予防または治療することが可能となる。
「後眼部疾患」とは、眼内の硝子体、網膜、脈絡膜、強膜または視神経における疾患を意味する。さらに「後眼部新生血管疾患」とは、例えば、加齢黄斑変性症、糖尿病性網膜症、ぶどう膜炎、眼腫瘍、網膜動静脈閉塞症等を挙げられるが、これらに限定されるものではない。好ましくは、加齢黄斑変性が挙げられるが、これに限定されるものではない。
次に、本発明のvcHDLの製造方法について、以下記載するが、これらに限定されるものではない。
本発明の目的のVTP及びCPを結合したvcHDLの製造方法の1例としては、
i)アポリポタンパク質に、VTP及びCPを遺伝子工学的手法により、融合させて、融合タンパク質を得る;そして、
ii)得られた融合タンパク質と、リン脂質、更に必要に応じて蛍光標識物質、生体活性物質または薬物から選ばれる少なくとも1種類の化合物を含むリポソームを混合することにより、粗vcHDLを製造する(Spontaneous interaction法);あるいは、リポソーム形成を経由しない、コール酸ミセルとの混和により、粗cHDLを製造する(cholate-dialysis法);
iii)超遠心法により、未反応のリン脂質、アポリポタンパク質を除去することにより、粗vcHDLを精製する、
ことを含む。
遺伝子工学的手法としては、メチラーゼやDNAポリメラーゼI/DNAリガーゼを用いるDNA編集や、polymerase chain reaction (PCR)法を挙げられる。具体的には、大腸菌発現ベクターpCOLD Iの制限酵素Pst IおよびXba−I認識部位に、5’末端にPst I、3'末端にXba I認識配列を付加したペネトラチン(PEN)ペプチド遺伝子をDNAリガーゼで挿入する。次に、N末端44アミノ酸欠損apoA−I遺伝子の5’末端側に制限酵素Kpn I認識配列を、3’末端側に制限酵素Pst I認識配列を付加した遺伝子をPCR法により作製し、上記のpCOLD IのKpn IとPst I認識部位間にDNAリガーゼを用いて挿入する。以上の操作により、N末端44アミノ酸欠損apoA−IのC末端側にPENペプチドが融合されたポリペプチド遺伝子を作製できたことになる。
本発明のvcHDLを製造する際の典型的な構成成分の配合比率は以下の通りである。
融合前のHDLに対して等モル比のVTP及びCPを仕込むことにより、融合タンパク質を作製する。
次に、仕込み量として、融合タンパク質の1モルに対して、数倍〜数千倍モル、数十倍〜数百倍モル、例えば約5倍〜約2000倍モル、約20倍〜約500倍モル、約30倍〜約200倍モルのリン脂質を仕込むことにより、vcHDLを調製する。
上記で製造したVTP及びCPを結合したvcHDLの粒子径は、上記の融合タンパク質とリン脂質のモル比を調整し、さらに密度勾配超遠心後の所望の密度画分を得ることで調整することができるが、これらの方法に限定されない。得られた融合タンパク質の粒子径は、特定の方法を用いて測定し、決定することができる。粒子径は、市販の動的光散乱測定器を用いて測定し、決定することができる。
以下、本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明する。但し、実施例は本発明の例示であって、本発明は実施例に限定される意図ではない。
実施例1
NGR及びPEN融合apoA−Iの構造
NGR及びペネトラチン(PEN)融合アポリポ蛋白質A−I (apoA−I)の構造を以下に説明する。
N末端44アミノ酸を欠失したヒトapoA−Iを鋳型として使用した。
NGR(CNGRCGG)部分は、N末端44アミノ酸欠損ヒトapoA−IのN末端に融合した。
さらにN末端44アミノ酸欠損ヒトapoA−IのC末端で、PENのC末端にKが付加されたRQIKIWFQNRRMKWKKK(配列番号1)が融合した。
このNGR及びPEN融合apoA−Iの分子量は約29319Daである。
以下、NGR及びPEN融合apoA−Iを含む修飾HDLをNGR/HDL/PENと表記する。
SRPIN803搭載NGR/HDL/PENの調製
SRPIN803搭載NGR/HDL/PENは、改良型コール酸透析法により調製した。
NGR/HDL/PENは、NGR及びPEN融合apoA−Iと1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DSPC)を1:200のモル比で混合することで再構成された。
当初、NGR及びPEN融合apoA−IをPBS中4M尿素に1.5mg/mLの濃度で溶解し、55℃に加温した。
一方、DSPCはPBS中のコール酸ナトリウム30mg/mLに1:4のモル比(DSPC:Naコール酸塩)で溶解し、65℃で強く超音波処理した。
その後、このリン脂質溶液をapoA−I溶液に混合した。
混合物を55℃で30分間インキュベートし、PBSに対して透析し、コール酸ナトリウムを除去し、修飾HDLを生成させた。
この透析中に、PBS温度をDSPCの融点である55℃に初期設定し、室温まで徐々に冷却したまま放置した。
不溶性不純物は遠心分離で除去した。
SRPIN803をDMSOに溶解し、使用前に55℃に予温した。
新たに形成されたHDLを1mg apoA−I当たり106mg(モル比8.3:1)のSRPIN803とインキュベートし、55℃で1時間インキュベートした。
次いで、KBr密度勾配超遠心法により混合物を直ちに精製した。
精製したSRPIN803搭載NGR/HDL/PENを濃縮し、続いてKBrを除去するために2時間透析した。
このSRPIN803搭載NGR/HDL/PENは、使用するまで4℃に保管した。
完成したSRPIN803搭載NGR/HDL/PENの粒子径は16±6nmである。
本製剤中のSRPIN803の最終濃度は65μMであった。
比較に用いたSRPIN803搭載HDL/PENについては、NGR及びPEN融合apoA−IをPEN融合apoA−I(NGRなし)に置換した。
製造工程は、全ての透析工程が室温であらかじめ形成されたことを除いて同じである。
(条件1)
NGR/HDL/PENを作製する段階で薬物(SRPIN803)搭載も同時に行った変形例
(1−1)
SRPIN803:DSPC=0.1:20で脂質膜を作製し、その後HDL作製手順に従って、NGR融合タンパク質と混合し、その後、透析と密度勾配超遠心で精製した。
薬物回収率:11%
(1−2)
SRPIN803:DSPC=0.31:20
薬物回収率:2.1%
(条件2)
(2−1)
透析のみ経た(密度勾配超遠心精製なし)NGR/HDL/PENとSRPIN803を混合した場合
SRPIN803:NGR/HDL/PEN=0.83:1で混合し(1.5mg/mL SRPIN803 DMSO 溶液)、55℃、30分静置した後、密度勾配超遠心精製し、終夜透析した。
薬物回収率:20−30%
(2−2)
2−1における最後の透析工程を2時間に短縮した。
(2−3)
上記で、2.0mg/mL SRPIN803 DMSO溶液を使用し(SRPIN803: NGR/HDL/PEN=0.83:1)、両者を55℃、10分事前に加温してから混合し、55℃、30分静置した後、密度勾配超遠心し、2時間透析した。
薬物回収率:53−63%
以下の試験例1〜3では、条件2−3で調製したvcHDLを用いた。
試験例1:CNVマウス試験(その1)
覚醒雄成体マウス(C57BL6/J)を用いた。
全麻酔後、レーザー光凝固法を用いて4個のCNV (脈絡膜新生血管)を作成した。
CNV誘導直後に、以下のいずれか3μL(65μM SRPIN803)を患眼に1日2回点眼した。
(i)SRPIN803搭載NGR/HDL/PEN、又は
(ii) SRPIN803搭載/HDL/PEN
7日後、マウスを屠殺し、直ちに眼球を摘出し、4%パラホルムアルデヒド中で固定した。
脈絡膜新生血管を免疫染色法にて染色し、フラットマウント法にてコンフォーカル顕微鏡下で脈絡膜新生血管の面積を測定することで治療効果を判定した。
結果を図3に示す。
尚、以下のいずれか3μL(65μM SRPIN803)についても患眼に1日2回点眼し、上記と同様の操作で脈絡膜新生血管の面積を測定した。
(iii)遊離SRPIN803、
(iv)PBS (0.1% DMSO)
以下の結果は平均値±標準誤差(SE)で示す。
何の治療も行わなかった(iv)PBS(0.1% DMSO)の場合の平均CNVサイズは14,000±1,800μm2であったの対して、
(iii)遊離SRPIN803単独の平均CNVサイズは11,000±1,700μm2に減少し、
(ii)SRPIN803搭載/HDL/PENの場合のCNVサイズは約10,000±2,000μm2に減少し、
本発明の(i)SRPIN803搭載NGR/HDL/PENを用いた実験におけるCNVサイズは6,000±750μm2に減少した。
(iii)遊離SRPIN803単独と(ii)SRPIN803搭載/HDL/PENの場合のCNVサイズの減少の程度は大きく変わらないのに対して、本発明の(i)SRPIN803搭載NGR/HDL/PENの場合のCNVサイズは大幅に減少した。
これらの結果は、NGR/HDL/PENがHDL/PENに比べてSRPIN803の治療効果を増強することを示す。
試験例2:HUVEC細胞試験
(i)SRPIN803搭載NGR/HDL/PEN、又は(ii)SRPIN803搭載/HDL/PEN(いずれもSRPIN803濃度は10μM)をHUVEC細胞に4時間作用させた。その後細胞を回収し、0.2 N NaOH,0.5% Triton X−100で溶解した。中和後、この溶解液にアセトニトリルを加えて遠心し、得られる上清に含まれるSRPIN803を逆相クロマトグラフィーで定量した。この結果、SRPIN803搭載NGR/HDL/PENあるいはSRPIN803搭載HDL/PENで処理した場合、HUVEC細胞内SRPIN803量は、それぞれ240±11、180±17 pg/μg proteinとなった。NGR/HDL/PENは、HDL/PENに比べて、より多くのSRPIN803をHUVEC細胞内に送達できることがわかった。
結果を図4に示す。
実施例2
Pazopanib搭載NGR/HDL/PENの調製
実施例1の条件2−3におけるSRPIN803をPazopanibに替えた以外は同様にしてPazopanib搭載NGR/HDL/PENを調製した(いずれもPazopanib濃度は13μM)。
試験例3:CNVマウス試験(その2)
試験例1と同様の方法でPazopanib搭載NGR/HDL/PEN及びPazopanib搭載HDL/PENについてのCNVマウス試験を行い(13μM Pazopanib)、結果を図5に示す。
Pasopanib搭載NGR/HDL/PENあるいはPasopanib搭載HDL/PENを点眼した場合のCNVサイズは、それぞれ9,400±990、11,000±1,300μm2となり、SRPIN803の場合と同様、NGR/HDL/PENはHDL/PENに比べて優れたドラッグキャリアであることを示す。
本発明は、後眼部へのDDS、特に後眼部の異常な脈絡膜新生血管に優先的に薬剤等をデリバリーする機能を有するDDSに関連する分野に有用である。
配列番号1:PEN含有配列のアミノ酸配列
配列番号2:ACDCRGDCFC(RGD含有ペプチド)のアミノ酸配列
配列番号3:CPKVCPRECESNC(CPRECES含有ペプチド)のアミノ酸配列
配列番号4:CNGRCGG(NGD含有ペプチド)のアミノ酸配列
配列番号5:AptM80merの塩基配列

Claims (17)

  1. 血管内皮細胞標的化ペプチド又はアプタマーおよび細胞親和性ペプチドが結合したアポリポタンパク質並びにリン脂質を含む、修飾高密度リポタンパク質。
  2. 血管内皮細胞標的化ペプチド又はアプタマーが、新生血管内皮細胞標的化ペプチド又はアプタマーである、請求項1に記載の修飾高密度リポタンパク質。
  3. 新生血管内皮細胞標的化ペプチド又はアプタマーが、αVβ3インテグリン、アミノペプチダーゼA、アミノペプチダーゼN、及び血管内皮増殖因子(VEGF)受容体から選択される分子に特異的に結合する、請求項2に記載の修飾高密度リポタンパク質。
  4. 新生血管内皮細胞標的化ペプチドが、NGR含有ペプチド、RGD含有ペプチド、又はCPRECES含有ペプチドである請求項2又は3に記載の修飾高密度リポタンパク質。
  5. 細胞親和性ペプチドが、TATペプチド、ペネトラチン(PEN)、ポリアルギニン(R8)、LL−37、トランスポータン、Pep−1、およびMTSからなる群から選ばれる少なくとも1 種である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の修飾高密度リポタンパク質。
  6. アポリポタンパク質が、アポリポタンパク質A−I、アポリポタンパク質A−II、アポリポタンパク質C、アポリポタンパク質E、およびそれらの部分断片あるいは遺伝子改変型アポリポタンパク質からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜5のいずれか1項に記載の修飾高密度リポタンパク質。
  7. リン脂質が、ホスファチジルコリンである請求項1〜6のいずれか1項に記載の修飾高密度リポタンパク質。
  8. ホスファチジルコリンがジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、パルミトイルオレオイルホスファチジルコリン(POPC)およびジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項7に記載の修飾高密度リポタンパク質。
  9. 密度が1.0〜1.21g/mLの範囲であり、粒径が直径10〜20nmである、請求項1〜8のいずれか1項に記載の修飾高密度リポタンパク質。
  10. 修飾高密度リポタンパク質1粒子あたり、1分子以上の蛍光標識物質、生体活性物質または薬物から選ばれる少なくとも1種類の物質をさらに含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の修飾高密度リポタンパク質。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の修飾高密度リポタンパク質、該リポタンパク質中に含まれる後眼部新生血管疾患の診断、予防または治療に有効な薬物、および医薬的に許容され得る添加剤を含む、後眼部新生血管疾患の診断、予防または治療のための医薬組成物。
  12. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の修飾高密度リポタンパク質、該リポタンパク質中に含まれる後眼部新生血管疾患の診断、予防または治療に有効な薬物、および医薬的に許容され得る添加剤を含む、後眼部新生血管の阻害用医薬組成物。
  13. 後眼部新生血管疾患が、加齢黄斑変性症、糖尿病性網膜症、ぶどう膜炎、眼腫瘍、および網膜動静脈閉塞症からなる群から選ばれる少なくとも1種の疾患である、請求項11又は12に記載の医薬組成物。
  14. 薬物が、眼内の脈絡膜新生血管の抑制のための薬剤、あるいは加齢黄斑変性、糖尿病性網膜症、ぶどう膜炎、眼腫瘍、および網膜動静脈閉塞症からなる群から選ばれる疾患の診断、予防又は治療剤の少なくとも1種類の化合物である、加齢黄斑変性症、糖尿病性網膜症、ぶどう膜炎、眼腫瘍、および網膜動静脈閉塞症からなる群から選ばれる少なくとも1種の後眼部新生血管疾患の診断、予防または治療のための請求項11又は12に記載の医薬組成物。
  15. 点眼用である、請求項11〜14のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  16. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の修飾高密度リポタンパク質を含む、後眼部新生血管ターゲティング用薬物デリバリーキャリア。
  17. i)アポリポタンパク質に血管内皮細胞標的化ペプチド又はアプタマーおよび細胞親和性ペプチドを結合させて、結合タンパク質を得る;
    ii)上記i)で得られた結合タンパク質と、リン脂質、適宜、蛍光標識物質、生体活性物質または薬物から選ばれる少なくとも1種類の化合物とを混合することにより、血管内皮細胞標的化ペプチド又はアプタマーおよび細胞親和性ペプチドを結合した修飾高密度リポタンパク質を調製する;
    iii)超遠心法により、未反応のリン脂質、アポリポタンパク質を除去することによって、血管内皮細胞標的化ペプチド又はアプタマーおよび細胞親和性ペプチドを結合した高密度リポタンパク質を回収する、
    ことを含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載の修飾高密度リポタンパク質の製造方法。
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