以下、図面を参照して本発明の消耗品判定装置の一実施形態を用いた印刷システム1について詳細に説明する。本実施形態の印刷システム1は、後述するインクカートリッジが適合品であるか不適合品であるかの判定方法に特徴を有するものであるが、まずは、その全体構成について説明する。
本実施形態の印刷システム1は、図1に示すように、インクジェット印刷装置10と、消耗品管理サーバ20とを備えている。インクジェット印刷装置10と消耗品管理サーバ20とは、インターネット回線もしくは有線または無線LAN(Local Area Network)などの通信回線を介して接続されており、互いに通信可能に構成されている。なお、本実施形態においては、1台のインクジェット印刷装置10しか示していないが、実際には、消耗品管理サーバ20には、複数のインクジェット印刷装置10が接続可能であり、各インクジェット印刷装置10に装填されるインクカートリッジ30の管理を行うものである。
インクジェット印刷装置10は、図1に示すように、装填部11と、カートリッジ検出部12と、印刷処理部13と、タグ通信部14と、通信I/F15と、操作パネル16と、制御部17とを備えている。
装填部11は、インクカートリッジ30が装填されるものであり、たとえばC(シアン)、M(マゼンダ)、Y(イエロー)、K(ブラック)の4色のインクカートリッジ30が装填される。また、たとえば上記4色の他に特殊な色のインクカートリッジ30や磁気インクのインクカートリッジ30を装填可能に構成するようにしてもよい。
カートリッジ検出部12は、装填部11にインクカートリッジ30が装填されたことを検出するものである。カートリッジ検出部12は、たとえば接触式または非接触式のセンサによってインクカートリッジ30を検出し、その検出信号を制御部17に出力するものである。
印刷処理部13は、各色のインクを吐出する複数のインクジェットヘッドを備え、各インクジェットから印刷媒体に対してインクを吐出することによって、印刷媒体に印刷処理を施すものである。
タグ通信部14は、インクカートリッジ30に設けられたタグ31と通信を行う。本実施形態のインクカートリッジ30に設けられたタグ31はRFIDタグである。タグ通信部14は、インクカートリッジ30毎に設けられている。
各インクカートリッジ30のタグ31は、半導体メモリを備えており、各インクカートリッジ30に固有の識別情報(UID)、インクカートリッジに充填されたインクの粘度やインクの表面張力などを示すインク物性情報、およびインクの残量情報などの各種の情報が記憶されている。
また、タグ31は、制御部17から出力されてタグ通信部14を介して受信した各種のコマンドに従って、半導体メモリから固有の識別情報を含む種々の情報を読み出し、タグ通信部14に出力する。
また、本実施形態においては、インクカートリッジ30が適合品であるか否かを判定する際に用いるタグ31の応答特性を取得するため、タグ31から所定の返答信号を出力させる返答信号出力コマンドが、タグ31に記憶される。タグ31から出力される返答信号は、予め設定された出力タイミングやパターンを有する信号である。タグ31に記憶された返答信号出力コマンドは、制御部17から出力された応答特性確認コマンドに応じて、上述した返答信号を出力する。なお、この返答信号を用いた、インクカートリッジ30の適合品か否かの判定方法については、後で詳述する。
通信I/F15は、通信回線を介して、消耗品管理サーバ20と通信するものである。通信I/F15は、タグ通信部14によって各インクカートリッジ30のタグ31から読み出された情報を消耗品管理サーバ20に出力するものであり、特に、本実施形態では、タグ31から読み出された固有の識別情報およびタグ31から出力された返答信号を消耗品管理サーバ20に出力する。
操作パネル16は、たとえば液晶パネルを有するタッチパネルから構成されるものであり、ユーザによる種々の設定入力を受け付けるものである。本実施形態においては、特に、インクカートリッジ30が不適合品である場合に、そのインクカートリッジ30に充填されたインクに応じた各部の制御条件の設定入力を受け付ける。各部の制御条件としては、たとえばインク吐出動作に用いられるインクの特性の情報や、インクの残量表示に用いられるインク残量の情報などがある。
制御部17は、インクジェット印刷装置10全体を制御するものであり、CPU(Central Processing Unit)、半導体メモリおよびハードディスクなどを備えている。制御部17は、半導体メモリまたはハードディスクなどの記憶媒体に予め記憶されたプログラムを実行し、かつ電気回路を動作させることによって、インクジェット印刷装置10の各部の動作を制御するものである。
次に、消耗品管理サーバ20について説明する。消耗品管理サーバ20は、通信I/F21と、判別部22と、判定部23と、識別情報記憶部24とを備えている。
消耗品管理サーバ20は、CPU、半導体メモリおよびハードディスクなどを備えたコンピュータから構成されるものであり、半導体メモリまたはハードディスクなどの記憶媒体に予め記憶されたプログラムがCPUによって実行され、かつ電気回路が動作することによって、消耗品管理サーバ20の各部が機能する。
通信I/F21は、通信回線を介してインクジェット印刷装置10と通信するものである。本実施形態の通信I/F21は、特に、インクジェット印刷装置10のタグ通信部14によってタグ31から読み出された固有の識別情報およびタグ31から出力された返答信号を受信する。
判別部22は、通信I/F21を介して、タグ31から読み出された固有の識別情報を取得し、その固有の識別情報が過去に取得した識別情報と同一か否かを判別する。判別部22は、この判別を行うことによって、インクジェット印刷装置10に今回装填されたインクカートリッジ30が、同じインクジェット印刷装置10において過去に使用されたことがあるか否かを判別するものである。
判定部23は、判別部22において、タグ31から読み出された固有の識別情報が過去に取得した識別情報と同一であると判別された場合、すなわちインクジェット印刷装置10に今回装填されたインクカートリッジ30が過去に使用されたことがあるインクカートリッジ30であると判別された場合には、通信I/F21を介して、インクジェット印刷装置10の制御部17に対して、タグ31の応答特性を取得するための応答特性確認指示信号を出力する。
インクジェット印刷装置10の制御部17は、応答特性確認指示信号を受信した場合には、タグ通信部14を介してタグ31に対して上述した応答特性確認コマンドを出力する。タグ31は、上述した返答信号出力コマンドが記憶されている場合には、応答特性確認コマンドの入力に応じて上述した返答信号を出力し、その返答信号が、タグ通信部14および通信I/F15を介して消耗品管理サーバ20に出力され、通信I/F21を介して判定部23に入力される。
判定部23は、応答特性確認指示信号に応じてタグ31から出力された返答信号から得られた応答特性が、予め設定された応答特性の条件を満たす場合には、今回装填されたインクカートリッジ30を適合品と判定し、返答信号から得られた応答特性が、応答特性の条件を満たさない場合には、今回装填されたインクカートリッジ30を不適合品と判定する。
ここで、応答特性とは、各タグ31が固有に有する応答特性であって、タグ31の配線抵抗や素子特性などによって決定するタグ性能によるものである。本実施形態の判定部23は、応答特性として、たとえば応答特性確認指示信号を出力した時点から返答信号を受信するまでの返答時間および返答信号のパターンを取得する。
そして、判定部23は、今回装填されたインクカートリッジ30のタグ31の返答信号から取得した応答特性と、予め設定された応答特性の条件と比較する。本実施形態では、予め設定された応答特性の条件として、適合品のインクカートリッジ30のタグ31の返答信号の応答特性に基づいて、予め設定された返答時間の許容範囲と予め設定された返答信号のパターンの許容範囲を用いる。返答信号のパターンの許容範囲としては、たとえば返答信号の大きさ(平均値や最大値)の許容範囲や、返答信号が周期的な信号である場合には、その周期の許容範囲などがある。
そして、判定部23は、返答時間が予め設定された許容範囲内であり、かつ返答信号のパターンが予め設定された許容範囲内である場合に、今回取得した応答特性が、予め設定された応答特性の条件を満たすと判定する。一方、返答時間および返答信号のパターンの少なくとも一方の条件が満たされない場合には、今回取得した応答特性は、予め設定された応答特性の条件を満たしていないと判定する。
判定部23においてインクカートリッジ30が適合品であると判定された場合には、そのままインクジェット印刷装置10において印刷処理が開始される。判定部23においてインクカートリッジ30が不適合品であると判定された場合には、その不適合品情報が、通信I/F21を介してインクジェット印刷装置10の制御部17に出力される。
インクジェット印刷装置10の制御部17は、不適合品情報が入力された場合には、操作パネル16においてその旨を表示させる。そして、操作パネル16は、不適合品であるインクカートリッジ30のインクに応じた各部の制御条件のユーザによる設定入力を受け付ける。制御部17は、ユーザによって設定入力された制御条件に基づいて各部を制御する。
一方、判定部23は、判別部22において、タグ31から読み出された固有の識別情報が、過去に取得した識別情報に含まれないと判定した場合には、すなわちインクジェット印刷装置10に今回装填されたインクカートリッジ30が過去に使用されたことがないインクカートリッジ30であると判別された場合には、通信I/F21を介して、インクジェット印刷装置10の制御部17に対して返答信号情報保存指示信号を出力する。
制御部17は、返答信号情報保存指示信号を受信した場合には、タグ通信部14を介してタグ31に対して返答信号出力コマンドを記憶させる。
次に、本実施形態の印刷システム1の処理の流れについて、図2および図3に示すフローチャートを参照しながら説明する。なお、図2および図3は、1つのフローチャートを二つに分けて示したものである。
まず、インクジェット印刷装置10の装填部11にインクカートリッジ30が装填されると、カートリッジ検出部12によってインクカートリッジ30の装填が検出される(S10)。
インクカートリッジ30の装填が検出されると、制御部17は、今回装填されたインクカートリッジ30に対応するタグ通信部14によって、インクカートリッジ30のタグ31から固有の識別情報を読み出し(S12)、通信I/F15を介して消耗品管理サーバ20に出力する(S14)。
インクジェット印刷装置10から出力された固有の識別情報は、通信I/F21を介して消耗品管理サーバ20によって受信される(S16)。消耗品管理サーバ20によって受信された固有の識別情報は判別部22に入力される。
判別部22は、入力された固有の識別情報が、過去に取得した識別情報と同一か否かを判別することによって、今回装填されたインクカートリッジ30が、同じインクジェット印刷装置10において過去に使用されたことがあるインクカートリッジ30であるか否かを判別する(S18)。
判別部22において、今回装填されたインクカートリッジ30が過去に使用されたことがあるインクカートリッジ30であると判別された場合には(S18,YES)、判定部23は、インクジェット印刷装置10の制御部17に対して、タグ31の応答特性を取得するための応答特性確認指示信号を出力する(S20)。
制御部17は、応答特性確認指示信号を受信した場合には、タグ通信部14を介して、タグ31に対して上述した応答特性確認コマンドを出力する(S22)。
タグ31は、返答信号出力コマンドが記憶されている場合には(S24,YES)、応答特性確認コマンドの入力に応じて返答信号を出力する(S26)。なお、この応答特性確認コマンドに応じた返答信号の出力については、返答信号出力コマンドにおいて、返答信号を出力するタイミングを指定するようにしてもよい。返答信号を出力するタイミングとしては、たとえば応答特性確認コマンドを受信した時点からn秒経過後の時点などが設定される。そして、この返答信号の出力タイミングについても、後述する応答特性の判定に用いるようにしてもよい。
タグ31から出力された返答信号は、消耗品管理サーバ20に出力され、判定部23によって取得される(S28)。
そして、判定部23は、応答特性確認指示信号に応じてタグ31から出力された返答信号から得られた応答特性が、予め設定された応答特性の条件を満たすか否かを判定する(S30)。判定部23は、今回得られた応答特性が、予め設定された応答特性の条件を満たす場合には(S30,YES)、今回装填されたインクカートリッジ30を適合品と判定し(S32)、その判定結果をインクジェット印刷装置10の制御部17に出力する。制御部17は、適合品に応じた制御条件で各部を制御する(S34)。
一方、判定部23は、今回得られた応答特性が、予め設定された応答特性の条件を満たさない場合には(S30,NO)、今回装填されたインクカートリッジ30を不適合品と判定し(S36)、その判定結果をインクジェット印刷装置10の制御部17に出力する。
制御部17は、今回装填されたインクカートリッジ30が不適合品である旨を操作パネル16に表示させ、ユーザによる制御条件の設定入力を受け付ける(S38)。制御部17は、操作パネル16において設定入力された制御条件に応じて、各部を制御する(S40)。なお、本実施形態においては、インクカートリッジ30が不適合品であると判定された場合、ユーザによる制御条件の設定入力を促すようにしたが、これに限らず、設定入力がなされない場合には、インクジェット印刷装置10の故障を防止するため、不適合品の使用を禁止するようにしてもよい。
また、S18において、判別部22により固有の識別情報が一致すると判別されたにも関わらず、S30において、タグ31の返答信号の応答特性が、予め設定された応答特性の条件を満たさない場合とは、たとえば適合品のインクカートリッジ30のタグ31に記憶された固有の識別情報と返答信号出力コマンドの両方が、不適合品のインクカートリッジ30のタグ31にコピーされている場合である。
一方、S18において、判別部22によって、インクジェット印刷装置10に今回装填されたインクカートリッジ30が、過去に使用されたことがないインクカートリッジ30であると判別された場合には(S18,NO)、判定部23は、通信I/F21を介してインクジェット印刷装置10の制御部17に対して、返答信号情報保存指示信号を出力する(S42)。
制御部17は、返答信号情報保存指示信号を受信した場合には、タグ通信部14を介してタグ31に対して返答信号出力コマンドを記憶させる(S44)。
また、S24において、タグ31に返答信号出力コマンドが記憶されていない場合には(S24,NO)、タグ31から返答信号は出力されない。そして、判定部23は、インクジェット印刷装置10の制御部17に対して応答特性確認指示信号を出力してから予め設定された時間以上経過した時点で返答信号を受け付けていない場合には、今回装填されたインクカートリッジ30を不適合品と判定し(S36)、その判定結果をインクジェット印刷装置10の制御部17に出力する。制御部17は、今回装填されたインクカートリッジ30が不適合品である旨を操作パネル16に表示させ、ユーザによる制御条件の設定入力を受け付ける(S38)。制御部17は、操作パネル16において設定入力された制御条件に応じて、各部を制御する(S40)。
なお、S18において、判別部22により固有の識別情報が一致すると判別されたにも関わらず、S24において、タグ31に返答信号出力コマンドが記憶されていない場合とは、すなわちタグ31から返答信号が出力されない場合とは、たとえば適合品のインクカートリッジ30のタグ31に記憶された固有の識別情報と返答信号出力コマンドのうち、固有の識別情報のみが不適合品のインクカートリッジ30のタグ31にコピーされている場合である。
上記実施形態の印刷システム1によれば、タグ31から読み出された固有の識別情報が過去に取得した識別情報と同一であると判別された場合には、タグ31に対して応答特性確認コマンドを出力し、その応答特性確認コマンドに応じたタグ31の返答信号の応答特性が、予め設定された応答特性の条件を満たす場合には、インクカートリッジ30を適合品と判定し、返答信号の応答特性が、応答特性の条件を満たさない場合には、インクカートリッジ30を不適合品と判定する。なお、返答信号の応答特性が、応答特性の条件を満たさない場合とは、タグ31から返答信号が得られない場合も含む。
すなわち、タグ31自体の性能による応答特性に基づいて、インクカートリッジ30が適合品か不適合品かを判定するので、たとえば不適合品のタグ31に記憶された情報が適合品の情報に書き換えられたとしても、これに影響されることなく不適合品と判定することができる。また、適合品のインクが再充填されたインクカートリッジ30や、必要に応じて複数回着脱される特殊なインクが充填されたインクカートリッジ30などを適合品を判定することができる。
また、上記実施形態においては、タグ31から読み出された固有の識別情報が過去に取得した識別情報に含まれないと判別された場合には、すなわちインクカートリッジ30のインクジェット印刷装置10への装填が1回目である場合には、そのタグ31に対して返答信号出力コマンド(本発明の返答信号の出力情報に相当する)を記憶するようにしたので、その返答信号出力コマンドに応じてタグ31から特有の返答信号を出力させることができ、その応答特性に基づく判定の精度を向上させることができる。
ただし、上記実施形態のように、必ずしも返答信号出力コマンドをタグ31に記憶しなくてもよく、たとえばタグ31から固有の識別情報を読み出した際のその識別情報を含む出力信号を、タグ31の返答信号として用いるようにしてもよい。もしくは、タグ31に記憶されたその他の既知のコマンドに応じて出力された出力信号を、タグ31の返答信号として用いるようにしてもよい。
なお、上記実施形態においては、判定部23において適合品か不適合品かを判定する際、予め設定された応答特性の条件として、適合品のインクカートリッジ30のタグ31から予め取得された応答特性に基づいて決定された条件としたが、これに限らず、たとえばインクジェット印刷装置10へのインクカートリッジ30の装填が1回目のときに、そのインクカートリッジ30のタグ31から実際に出力された返答信号の応答特性を、予め設定された応答特性の条件として用いるようにしてもよい。
具体的には、所定の適合品のインクカートリッジ30が初めてインクジェット印刷装置10に装填されたとき、上述したようにそのインクカートリッジ30のタグ31には、返答信号出力コマンドが記憶されるが、この記憶の際、タグ31から返答信号を出力させる。そして、タグ31から出力された返答信号を判定部23が取得し、その返答信号から上述した応答特性を取得し、取得した応答特性と今回装填されたインクカートリッジ30のタグ31の固有の識別情報とを対応付けて識別情報記憶部24に記憶させる。
そして、判定部23は、上記インクカートリッジ30が再び装填された際には、そのタグ31の返答信号の応答特性と、上記インクカートリッジ30の固有の識別情報に対応づけて記憶された過去の応答特性(1回目の装填の際に取得された応答特性)と比較する。そして、今回取得した応答特性と過去の応答特性との差が、予め設定された許容範囲内である場合には、今回装填されたインクカートリッジ30を適合品と判定し、予め設定された許容範囲内でない場合には、今回装填されたインクカートリッジ30を不適合品と判定する。たとえば今回の返答信号の返答時間と過去の返答時間との差が予め設定された許容範囲内であるか否かを判定するとともに、今回の返答信号のパターンと過去の返答信号のパターンとの差が予め設定された許容範囲内であるか否かを判定する。そして、判定部23は、両方とも許容範囲である場合には、今回装填されたインクカートリッジ30を適合品と判定し、いずれか一方が許容範囲内でない場合には、今回装填されたインクカートリッジ30を不適合品と判定する。
また、上記説明では、インクカートリッジ30のタグ31に記憶された固有の識別情報とそのタグ31の返答信号の応答特性とを対応付けて、消耗品管理サーバ20の識別情報記憶部24に記憶させるようにしたが、これに限らず、タグ31の返答信号の応答特性をそのタグ31自体に記憶させるようにしてもよい。そして、判定部23による判定の際には、タグ31から返答信号とともに、そのタグ31の応答特性を出力させ、これらを判定部23が取得して、適合品か不適合品かを判定するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、インクジェット印刷装置10に一度装填された適合品のインクカートリッジ30については、全てそのタグ31に返答信号出力コマンドが記憶されるため、次に装填された際には、基本的には全て適合品として判定される。ただし、これに限らず、たとえばユーザが繰り返し使用を許可した場合やインクカートリッジ供給元から繰り返し使用を許可された場合の適合品のインクカートリッジ30のタグ31のみに返答信号出力コマンドを記憶するようにしてもよい。図4は、その具体的な処理の流れを説明するためのフローチャートである。
図4に示すように、判別部22において、タグ31から読み出された固有の識別情報が、過去に取得した識別情報に含まれないと判定された場合(図2に示すS18,NOの場合)、判別部22からその判別結果が、インクジェット印刷装置10の制御部17に出力される(S60)。
制御部17は、判別結果の入力に応じて、操作パネル16に対して、今回装填されたインクカートリッジ30について繰り返し使用を許可するか否かを設定する画面を表示させ(S62)、ユーザによる設定入力を受け付ける(S64)。
制御部17は、ユーザによって繰り返し使用を許可する設定入力が行われた場合には(S66,YES)、返答信号出力コマンドをタグ31に記憶させる(S68)。
一方、制御部17は、ユーザによって繰り返し使用を許可する設定入力が行われなかった場合には(S66,NO)、タグ31に対して返答信号出力コマンドを記憶しない(S70)。
これにより、適合品のインクカートリッジ30であっても、ユーザやインクカートリッジ供給元によって繰り返し使用が許可されたインクカートリッジ30のみを適合品として判定することができる。これにより、無駄に返答信号の応答特性の判定を行うことなく、所望のインクカートリッジ30のみ繰り返し使用することができる。なお、ユーザやインクカートリッジ供給元が、繰り返し使用を許可する回数を設定可能としてもよい。
また、上記実施形態では、タグ31に返答信号出力コマンドが記憶されたインクカートリッジ30については、インクジェット印刷装置10に装填される度に、タグ31から返答信号が出力され、その応答特性が予め設定された条件を満たすか否かの判定を行うようにしたが、一度適合品として判定されたインクカートリッジ30について、装填される度に判定を行ったのでは無駄である。
そこで、たとえばユーザが繰り返し使用を許可したインクカートリッジ30については、上述したタグ31の応答特性の判定は行わず、適合品であるとして取り扱うようにしてもよい。図5は、その具体的な処理の流れを説明するためのフローチャートである。
図5に示すように、所定の適合品のインクカートリッジ30のインクジェット印刷装置10への装填が2回目である場合に、判定部23において、そのインクカートリッジ30が適合品と判定された場合(図3に示すS30,YESの場合)、判定部23からその判定結果が、インクジェット印刷装置10の制御部17に出力される(S80)。
制御部17は、判定結果の入力に応じて、操作パネル16に対して、今回装填されたインクカートリッジ30について繰り返し使用を許可するか否かを設定する画面を表示させ(S82)、ユーザによる設定入力を受け付ける(S84)。
制御部17は、ユーザによって繰り返し使用を許可する設定入力が行われた場合には(S86,YES)、その旨が判定部23に出力され、判定部23は、今回装填されたインクカートリッジ30の固有の識別情報に対して繰り返し使用を許可する情報を紐付して識別情報記憶部24に記憶させる(S88)。
一方、制御部17は、ユーザによって繰り返し使用を許可する設定入力が行われなかった場合には(S86,NO)、繰り返し使用を許可する情報を記憶しない(S90)。
そして、上記インクカートリッジ30がインクジェット印刷装置10へ再び装填された場合(3回目以降の装填の場合)には、判定部23は、上記インクカートリッジ30のタグ31の固有の識別情報に対して、繰り返し使用を許可する情報が紐付されているか否かを確認し、上記情報が紐付されている場合には、タグ31の応答特性の判定を行わない。すなわち、判定部23は、応答特性確認指示信号を出力することなく、上記インクカートリッジ30を適合品と判定する。
一方、判定部23は、上記インクカートリッジ30のタグ31の固有の識別情報に対して、繰り返し使用を許可する情報が紐付されていない場合には、上記実施形態と同様に、タグ31の応答特性の判定を行う。これにより、無駄な返答信号の応答特性の判定を抑制することができる。
また、たとえばインクカートリッジ30にC、M、Y、K以外の特定の印刷ジョブにしか使用しないような色のインクや磁気インクなどの特殊なインクが充填されている場合には、使用する度にインクジェット印刷装置10に対して着脱されるため、その度にタグ31の返答信号の応答特性の判定を行ったのでは無駄である。
そこで、上記説明では、インクカートリッジ30のタグ31の固有の識別情報に紐付けて、タグ31の応答特性の判定の回数を制限する情報を記憶するようにしてもよい。
そして、判定部23が、タグ31の固有の識別情報に紐付けて、タグ31の応答特性の判定の回数を制限する情報が記憶されており、かつ今回のタグ31の応答特性の判定が上記情報の制限回数を超えている場合には、タグ31の応答特性の判定を行わず、インクカートリッジ30を適合品と判定するようにしてもよい。なお、タグ31の応答特性の判定の回数を制限する情報を記憶する方法としては、上述した繰り返し使用を許可する情報と同様に、制御部17によって制限回数を設定入力する画面を操作パネル16に表示させ、ユーザによる設定入力を受け付けるようにすればよい。
これにより、上述したような特殊なインクを充填したインクカートリッジ30について、無駄なタグ31の返答信号の応答特性の判定を抑制することができる。
また、上記実施形態においては、タグ31の返答信号の応答特性が予め設定された応答特性の条件を満たす場合に、適合品であると判定するようにしたが、たとえばインクカートリッジ30が繰り返し使用されることによって、タグ31やインクカートリッジ30本体が劣化し、繰り返し使用することが好ましくない場合がある。
そこで、たとえば同一の識別情報のタグ31の応答特性の判定が、予め設定された回数以上行われる場合には、判定部23は、その判定の回数の増加に応じて、予め設定された応答特性の条件を段階的に狭くするようにしてもよい。
たとえば上記実施形態のように、予め設定された応答特性の条件として、返答時間の許容範囲と返答信号の大きさまたは周期の許容範囲を用いる場合には、その許容範囲を段階的に狭くするようにすればよい。
これにより、タグ31またはインクカートリッジ30本体が劣化したインクカートリッジ30を不適合品として判定することができ、新しいインクカートリッジ30への交換を促すことができる。
また、上記実施形態において、不適合品と判定されたインクカートリッジ30についても、ユーザが、そのインクカートリッジ30について繰り返し使用を許可した場合には、以後、そのインクカートリッジ30が装填された場合には、タグ31の返答信号の応答特性の判定に関わらず、適合品として判定するようにしてもよい。
また、上記実施形態は、本発明の消耗品判定装置の構成を消耗品管理サーバ20に設けた例であるが、これに限らず、本発明の消耗品判定装置の全部または一部の構成をインクジェット印刷装置10に設けるようにしてもよい。また、この場合、インクジェット印刷装置10の機能によって、その他の印刷装置における消耗品の適合または不適合の判定管理を行うようにしてもよい。
また、上記実施形態では、本発明の消耗品としてインクカートリッジの例について説明したが、消耗品としはこれに限らず、たとえばレーザ方式の印刷装置に対してトナーカートリッジが装填される場合についても、本発明の消耗品判定装置を適用するようにしてもよい。また、孔版印刷装置に対して消耗品として孔版原紙ロールが装填される場合にも、本発明の消耗品判定装置が適用可能である。
本発明の消耗品判定装置および消耗品に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記)
上記本発明の消耗品判定装置において、判定部は、判別部において、タグから読み出された固有の識別情報が過去に取得した識別情報に含まれないと判別された場合には、タグに対して返答信号の出力情報を記憶させることができる。
また、上記本発明の消耗品判定装置において、判定部は、判別部において、タグから読み出された固有の識別情報が過去に取得した識別情報に含まれないと判別された場合、繰り返し使用の許可信号を受け付けた場合のみタグに対して返答信号の出力情報を記憶させることができる。
また、上記本発明の消耗品判定装置において、判定部は、タグから読み出された固有の識別情報が、繰り返し使用を許可する情報が紐付された識別情報である場合には、タグの応答特性の判定を行わず、消耗品を適合品と判定することができる。
また、上記本発明の消耗品判定装置において、判定部は、タグから読み出された固有の識別情報が、タグの応答特性の判定回数が制限された情報が紐付された識別情報である場合、今回のタグの応答特性の判定が予め設定された制限回数を超えている場合には、タグの応答特性の判定を行わず、消耗品を適合品と判定することができる。
また、上記本発明の消耗品判定装置において、判定部は、同一の識別情報のタグの応答特性の判定が、予め設定された回数以上行われる場合には、判定の回数の増加に応じて、予め設定された応答特性の条件を狭くすることができる。
本発明の消耗品は、固有の識別情報が記憶されるとともに、外部装置と通信可能に構成されたタグを有する消耗品であって、タグが、そのタグの応答特性を取得するための信号の受信に応じて返答信号を出力する。