JP2021134161A - 正電荷を有するポリイオンコンプレックスを含む組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】毛髪等のケラチン繊維に滑らかさと柔らかさとの両方の点で改善されたテクスチャーを付与できる、ポリイオンコンプレックスを含む組成物を提供すること。【解決手段】(a)カチオン性ポリマー、アニオン性ポリマー、両性ポリマー、及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種のイオン性ポリマー、並びに2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸若しくはその塩、2つ以上のpKb値を有する非ポリマー塩基若しくはその塩、及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の架橋剤を含む少なくとも1種のポリイオンコンプレックスと、(b)水とを含み、(a)ポリイオンコンプレックスの正電荷の量が(a)ポリイオンコンプレックスの負電荷の量よりも多い、組成物、好ましくは化粧用組成物、より好ましくは毛髪等のケラチン繊維のための化粧用組成物を提供する。本発明による組成物は、ケラチン繊維に、滑らかさと柔らかさとの両方の点で改善されたテクスチャーを付与することができる。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリイオンコンプレックスを含む、組成物、好ましくは化粧用組成物、より好ましくは毛髪等のケラチン繊維のための化粧用組成物に関する。
アニオン性ポリマー及びカチオン性ポリマーで形成されているポリイオンコンプレックスは、既に公知である。
例えば、WO2017/104221は、美容処置に有用であり、且つ少なくとも1種のカチオン性ポリマー、少なくとも1種のアニオン性ポリマー、及び少なくとも1種の2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸を含む、少なくとも1種のポリイオンコンプレックス粒子を含む、組成物を開示している。
また、WO2018/230673は、このようなポリイオンコンプレックス粒子及び油を含んで、油ゲル化剤を更に含みうる、組成物を開示している。油ゲル化剤は、組成物の安定性を増強するのに使用される。
WO2017/104221 WO2018/230673 欧州特許出願第0080976号 仏国特許第2077143号 仏国特許第2393573号 仏国特許第1492597号 米国特許第4131576号 米国特許第3589578号 米国特許第4031307号 仏国特許第2162025号 仏国特許第2280361号 仏国特許第2252840号 仏国特許第2368508号 仏国特許第1583363号 米国特許第3227615号 米国特許第2961347号 仏国特許第2080759号 仏国特許第2080759号の追加特許第2190406号 仏国特許第2320330号 仏国特許第2270846号 仏国特許第2316271号 仏国特許第2336434号 仏国特許第2413907号 米国特許第2273780号 米国特許第2375853号 米国特許第2388614号 米国特許第2454547号 米国特許第3206462号 米国特許第2261002号 米国特許第2271378号 米国特許第3874870号 米国特許第4001432号 米国特許第3929990号 米国特許第3966904号 米国特許第4005193号 米国特許第4025617号 米国特許第4025627号 米国特許第4025653号 米国特許第4026945号 米国特許第4027020号 欧州特許出願第0122324号 EP-A-0750899 EP-A-1069172 EP-A-0173109 米国特許第3836537号 仏国特許第1400366号
CTFA辞典 論文「Micelle formation of random copolymers of sodium 2-(acrylamido)-2-methylpropanesulfonate and nonionic surfactant macromonomer in water as studied by fluorescence and dynamic light scattering - Macromolecules、2000年、第33巻、第10号、3694〜3704頁」 CTFA(第4版、1991年) Walter Noll著「Chemistry and Technology of Silicones」(1968年) Academic Press Cosmetics and Toiletries、第91巻、76年1月、27〜32頁、Todd & Byers「Volatile Silicone Fluids for Cosmetics」 ASTM規格445付録C G. Fonnum、J. Bakke及びFk. Hansen、論文、Colloid Polym. Sci 271、380〜389頁(1993年) 「Encyclopedia of Chemical Technology」、Kirk-Othmer、第3版、1982年、第3巻、896〜900頁、及び第15巻、439〜458頁 E. A. MacGregor及びC. T. Greenwood、「Polymers in Nature」、John Wiley & Sons社発行、第6章、240〜328頁、1980年 「Industrial Gums--Polysaccharides and their Derivatives」、Roy L. Whistler編、第2版、Academic Press Inc.社発行 Organic Synthetic Chemistry、第25巻、第2号、167〜179頁(1967年) J. Cosmet.Sci., 58、421〜434頁(2007年)
ポリイオンコンプレックスを含む組成物が毛髪等のケラチン繊維を美容処置するために使用される場合には、処置されたケラチン繊維の滑らかさと柔らかさとの両方のテクスチャーを改善する必要があることが発見された。
そのため、本発明の目的は、毛髪等のケラチン繊維に滑らかさと柔らかさとの両方の点で改善されたテクスチャーを付与できる、ポリイオンコンプレックスを含む組成物を提供することである。
本発明の上記の目的は、
(a)カチオン性ポリマー、アニオン性ポリマー、両性ポリマー、及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種のイオン性ポリマー、
並びに
2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸若しくはその塩、2つ以上のpKb値を有する非ポリマー塩基若しくはその塩、及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の架橋剤
を含む少なくとも1種のポリイオンコンプレックスと、
(b)水と
を含む、組成物、好ましくは化粧用組成物、より好ましくは毛髪等のケラチン繊維のための化粧用組成物であって、
(a)ポリイオンコンプレックスの正電荷の量が(a)ポリイオンコンプレックスの負電荷の量よりも多い、
組成物によって達成することができる。
(a)ポリイオンコンプレックスは、以下を含んでよい:
(i)少なくとも1種のカチオン性ポリマー、及び少なくとも1種の2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸若しくはその塩、
(ii)少なくとも1種のカチオン性ポリマー、少なくとも1種のアニオン性ポリマー、並びに少なくとも1種の2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸若しくはその塩及び/又は少なくとも1種の2つ以上のpKb値を有する非ポリマー塩基若しくはその塩、
(iii)少なくとも1種のカチオン性ポリマー、少なくとも1種の両性ポリマー、並びに少なくとも1種の2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸若しくはその塩及び/又は少なくとも1種の2つ以上のpKb値を有する非ポリマー塩基若しくはその塩、
(iv)少なくとも1種のカチオン性ポリマー、少なくとも1種のアニオン性ポリマー、少なくとも1種の両性ポリマー、並びに少なくとも1種の2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸若しくはその塩及び/又は少なくとも1種の2つ以上のpKb値を有する非ポリマー塩基若しくはその塩、
(v)少なくとも1種のアニオン性ポリマー、及び少なくとも1種の2つ以上のpKb値を有する非ポリマー塩基若しくはその塩、
(vi)少なくとも1種のアニオン性ポリマー、少なくとも1種の両性ポリマー、並びに少なくとも1種の2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸若しくはその塩及び/又は少なくとも1種の2つ以上のpKb値を有する非ポリマー塩基若しくはその塩、又は
(vii)少なくとも1種の両性ポリマー、並びに少なくとも1種の2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸若しくはその塩及び/又は少なくとも1種の2つ以上のpKb値を有する非ポリマー塩基若しくはその塩。
(a)ポリイオンコンプレックスは、少なくとも1種のカチオン性ポリマー、及び少なくとも1種の2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸若しくはその塩を含んでよい。
カチオン性ポリマーは、カチオン性多糖、好ましくはカチオン性セルロースポリマー、より好ましくは少なくとも1つの脂肪鎖を含む少なくとも1つの第四級アンモニウム基を有するカチオン性セルロースポリマーから選択することができる。
カチオン性ポリマーは、ポリクオタニウム-4、ポリクオタニウム-6、ポリクオタニウム-7、ポリクオタニウム-10、ポリクオタニウム-24、ポリクオタニウム-67、及びこれらの混合物からなる群から選択することができる。
本発明による組成物中のイオン性ポリマーの量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%〜10質量%、好ましくは0.05質量%〜5質量%、より好ましくは0.1質量%〜1質量%であってよい。
2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸又はその塩は、テレフタリリデンジカンファースルホン酸及びその塩(Mexoryl SX)、黄色6号(サンセットイエローFCF)、アスコルビン酸、フィチン酸、クエン酸、酒石酸、及びそれらの塩、並びにこれらの混合物からなる群から選択することができる。
本発明による組成物中の架橋剤の量は、組成物の総質量に対して、0.001質量%〜10質量%、好ましくは0.005質量%〜5質量%、より好ましくは0.01質量%〜1質量%であってよい。
本発明による組成物中の(b)水の量は、組成物の総質量に対して、50質量%〜99質量%、好ましくは60質量%〜97質量%、より好ましくは70質量%〜95質量%であってよい。
本発明による組成物のpHは、3〜9、好ましくは3.5〜8.5、より好ましくは4〜8であってよい。
本発明による組成物は、(c)少なくとも1種の脂肪物質、好ましくは少なくとも1種の油及び/又は少なくとも1種のワックスを更に含んでよい。
本発明による組成物は、好ましくは親水性非イオン性ポリマー増粘剤から選択される、より好ましくは親水性非イオン性ポリマー会合性増粘剤及び親水性非イオン性多糖増粘剤から選択される、(d)少なくとも1種のテクスチャー剤を更に含んでよい。
本発明はまた、毛髪等のケラチン繊維のための美容方法であって、
本発明による組成物をケラチン繊維に塗布する工程と、
組成物を乾燥させてケラチン繊維上に化粧皮膜を形成する工程と
を含む、方法にも関する。
本発明はまた、皮膜、好ましくは化粧皮膜を調製する方法であって、
本発明による組成物を毛髪等のケラチン繊維上に塗布する工程と、
組成物を乾燥させる工程と
を含む、方法にも関する。
本発明はまた、
(a)カチオン性ポリマー、アニオン性ポリマー、両性ポリマー、及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種のイオン性ポリマー、
並びに
2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸若しくはその塩、2つ以上のpKb値を有する非ポリマー塩基若しくはその塩、及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の架橋剤
を含む少なくとも1種のポリイオンコンプレックスを含む皮膜、好ましくは化粧皮膜であって、
(a)ポリイオンコンプレックスの正電荷の量が(a)ポリイオンコンプレックスの負電荷の量よりも多い、
皮膜にも関する。
鋭意検討の結果、発明者らは、ポリイオンコンプレックスを含み、毛髪等のケラチン繊維に、滑らかさと柔らかさとの両方の点で改善されたテクスチャーを付与できる組成物を提供することが可能であることを発見した。
そのため、本発明による組成物は、
(a)カチオン性ポリマー、アニオン性ポリマー、両性ポリマー、及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種のイオン性ポリマー、
並びに
2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸若しくはその塩、2つ以上のpKb値を有する非ポリマー塩基若しくはその塩、及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の架橋剤
を含む、
少なくとも1種のポリイオンコンプレックスと、
(b)水と
を含み、
(a)ポリイオンコンプレックスの正電荷の量が、(a)ポリイオンコンプレックスの負電荷の量よりも多い。
(a)ポリイオンコンプレックスが粒子の形態であることが好ましい場合がある。
本発明による組成物は、毛髪等のケラチン繊維に、ケラチン繊維が濡れているか乾いているかにかかわらず、滑らかさと柔らかさとの両方の点で改善されたテクスチャーを付与することができる。
本発明による組成物はまた、毛髪等のケラチン繊維に、コーティングの均一性及び先端の保湿の点で改善されたテクスチャーを付与することができる。
用語「コーティングの均一性」は、毛髪等のケラチン繊維が、本発明による組成物によって形成された皮膜で均一にコーティングされているような触感を指す。
用語「先端の保湿」は、毛髪等のケラチン繊維の先端が保湿されているような触感を指す。
このように、本発明による組成物は、毛髪等のケラチン繊維に、滑らかさ、柔らかさ、コーティングの均一性及び先端の保湿のすべての点で改善されたテクスチャーを付与することができる場合がある。乾いたケラチン繊維の場合であっても、組成物は、それらに、先端の保湿を付与することができるであろう。
本発明による組成物が、毛髪等のケラチン繊維を美容処置することが意図されることが好ましい。本発明による組成物は、好ましくは、毛髪等のケラチン繊維のための、リーブオンタイプ又はリンスオフタイプの化粧用組成物として使用することができる。
本発明による組成物は、特に、毛髪等のケラチン繊維をケアするのに有用である。
これ以降、本発明による組成物等を、より詳細に説明する。
[ポリイオンコンプレックス]
本発明による組成物は、(a)少なくとも1種のポリイオンコンプレックスを含む。2種以上の異なるタイプの(a)ポリイオンコンプレックスを組み合わせて使用してもよい。そのため、単一のタイプの(a)ポリイオンコンプレックス、又は異なるタイプの(a)ポリイオンコンプレックスの組合せを使用することができる。
(a)ポリイオンコンプレックスが粒子の形態であることが好ましい場合がある。ポリイオンコンプレックス粒子の粒径は、5nm〜100μm、好ましくは100nm〜50μm、より好ましくは200nm〜40μm、更により好ましくは500nm〜30μmであってよい。1μm未満の粒径は、動的光散乱法によって測定することができ、1μm超の粒径は、光学顕微鏡によって測定することができる。この粒径は、数平均直径に基づくことができる。
本発明による組成物中の(a)ポリイオンコンプレックスの量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%以上、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上であってよい。
本発明による組成物中の(a)ポリイオンコンプレックスの量は、組成物の総質量に対して、25質量%以下、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下であってよい。
本発明による組成物中の(a)ポリイオンコンプレックスの量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%〜25質量%、好ましくは0.05質量%〜20質量%、より好ましくは0.1質量%〜15質量%であってよい。
本発明によれば、(a)ポリイオンコンプレックスの正電荷の量は、(a)ポリイオンコンプレックスの負電荷の量よりも多い。
そのため、(a)ポリイオンコンプレックスの総電荷又は正味電荷は正である。換言すると、(a)ポリイオンコンプレックスは、全体として正電荷を有する。
(a)ポリイオンコンプレックスは、少なくとも1種のイオン性ポリマー及び少なくとも1種の架橋剤によって形成されうる。イオン性ポリマーは、正電荷及び/又は負電荷を有する。また、架橋剤は、正電荷又は負電荷を有してよい。いずれにしても、本発明によれば、(a)ポリイオンコンプレックスの正電荷の量は、ポリイオンコンプレックスの負電荷の量よりも多く、したがって、イオン性ポリマー及び架橋剤によって付与された正電荷及び負電荷を補正又は均衡させた後に、イオン性ポリマー及び架橋剤によって形成された(a)ポリイオンコンプレックスの総電荷又は正味電荷は正であり、すなわちゼロ超であり、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.3以上、更により好ましくは0.5以上であり、且つ好ましくは10以下、より好ましくは5以下、更により好ましくは3以下である。このように、(a)ポリイオンコンプレックスは、全体として正電荷を有する。
全体として正電荷を有する(a)ポリイオンコンプレックスを含む本発明による組成物は、(a)ポリイオンコンプレックスが全体として負電荷を有する場合に比べて、ケラチン繊維に、滑らかさと柔らかさとの両方の点で改善されたテクスチャーを付与することができる。
理論に拘泥するつもりはないが、正電荷を有する(a)ポリイオンコンプレックスは、負電荷を有しうるケラチン繊維上に堆積されやすく、したがって、(a)ポリイオンコンプレックスは皮膜又はコーティングを形成しやすく、このことがケラチン繊維上に美容効果をもたらすと確信される。
(a)ポリイオンコンプレックスの総電荷又は正味電荷、すなわち(a)ポリイオンコンプレックスの正電荷の量が(a)ポリイオンコンプレックスの負電荷の量よりも多いかどうかは、イオン性ポリマー及び架橋剤のすべての電荷を足し上げて決定することができる。
例えば、イオン性ポリマーの電荷は、イオン性ポリマーの電荷密度をイオン性ポリマーの量と掛けることにより算出することができる。電荷密度は、例えば、イオン性ポリマーの1つの繰り返し単位当たりの電荷を、その繰り返し単位の分子量で割ることによって算出することができる。他方で、架橋剤の電荷は、架橋剤の電荷密度を架橋剤の量と掛けることによって算出することができる。架橋剤の電荷密度は、例えば、架橋剤の電荷を、架橋剤の分子量で割ることによって算出することができる。次いで、イオン性ポリマーの電荷と架橋剤の電荷とを足し上げて、イオン性ポリマー及び架橋剤によって形成された(a)ポリイオンコンプレックスの総電荷又は正味電荷、すなわち(a)ポリイオンコンプレックスの正電荷の量が(a)ポリイオンコンプレックスの負電荷の量よりも多いかどうかを決定することができる。
2種以上のイオン性ポリマーが使用される場合、各イオン性ポリマーの電荷が算出される。2種以上の架橋剤が使用される場合、各架橋剤の電荷が算出される。次いで、すべてのイオン性ポリマーの電荷とすべての架橋剤の電荷とを足し上げて、イオン性ポリマー及び架橋剤によって形成された(a)ポリイオンコンプレックスの総電荷又は正味電荷を決定することができる。
本発明による組成物中の(a)ポリイオンコンプレックスのカチオン/アニオンの比は、アニオン当量/gで割ったカチオン当量/gの比により決定することができ、1.01〜5、好ましくは1.05〜4、より好ましくは1.1〜3、更により好ましくは1.5〜2であってよい。
本発明による組成物が(c)少なくとも1種の脂肪物質を含む場合、粒子の形態の(a)ポリイオンコンプレックスは、(b)水と(c)脂肪物質との間の界面に存在することができる。そのため、(a)ポリイオンコンプレックスは、例としてはエマルションを形成することができる。例えば、(b)水が連続相を構成し、油等の(c)脂肪物質が分散相を構成する場合、(a)ポリイオンコンプレックスは、いわゆるピッカリングエマルションに類似しうるO/Wエマルションを形成することができる。
或いは、(a)ポリイオンコンコンプレックスは、中空を有するカプセルを形成することができる。(c)脂肪物質が中空内に存在してよい。換言すると、(c)脂肪物質は、カプセル中に組み込まれうる。カプセルの壁は、(a)ポリイオンコンプレックスから形成された連続層又は皮膜から構成されうる。理論に拘泥するつもりはないが、(a)ポリイオンコンプレックスが、(c)脂肪物質と(b)水との界面で再組織化されて、(c)脂肪物質を含むための中空を有するカプセルを自然発生的に形成することができると確信される。例えば、カプセル内の、(b)水で構成される連続相と油等の(c)脂肪物質で構成される分散相とが、いわゆるピッカリングエマルションにも類似しうるO/Wエマルションを形成することができる。
上記は、(a)ポリイオンコンプレックス自体が両親媒性であり、油等の脂肪物質、又は水に不溶性であることを意味しうる。
{イオン性ポリマー及び架橋剤}
(a)ポリイオンコンプレックスは、カチオン性ポリマー、アニオン性ポリマー、両性ポリマー、及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種のイオン性ポリマー、
並びに
2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸若しくはその塩、2つ以上のpKb値を有する非ポリマー塩基若しくはその塩、及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の架橋剤
を含む。
好ましい一実施形態では、(a)ポリイオンコンプレックスは、以下を含む:
(i)少なくとも1種のカチオン性ポリマー、及び少なくとも1種の2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸若しくはその塩、
(ii)少なくとも1種のカチオン性ポリマー、少なくとも1種のアニオン性ポリマー、並びに少なくとも1種の2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸若しくはその塩及び/又は少なくとも1種の2つ以上のpKb値を有する非ポリマー塩基若しくはその塩、
(iii)少なくとも1種のカチオン性ポリマー、少なくとも1種の両性ポリマー、並びに少なくとも1種の2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸若しくはその塩及び/又は少なくとも1種の2つ以上のpKb値を有する非ポリマー塩基若しくはその塩、
(iv)少なくとも1種のカチオン性ポリマー、少なくとも1種のアニオン性ポリマー、少なくとも1種の両性ポリマー、並びに少なくとも1種の2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸若しくはその塩及び/又は少なくとも1種の2つ以上のpKb値を有する非ポリマー塩基若しくはその塩、
(v)少なくとも1種のアニオン性ポリマー、及び少なくとも1種の2つ以上のpKb値を有する非ポリマー塩基若しくはその塩、
(vi)少なくとも1種のアニオン性ポリマー、少なくとも1種の両性ポリマー、並びに少なくとも1種の2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸若しくはその塩及び/又は少なくとも1種の2つ以上のpKb値を有する非ポリマー塩基若しくはその塩、又は
(vii)少なくとも1種の両性ポリマー、並びに少なくとも1種の2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸若しくはその塩及び/又は少なくとも1種の2つ以上のpKb値を有する非ポリマー塩基若しくはその塩。
カチオン性、アニオン性及び両性ポリマーのタイプに限定はない。2種以上の異なるタイプのカチオン性ポリマーを組み合わせて使用してもよい。そのため、単一のタイプのカチオン性ポリマー、又は異なるタイプのカチオン性ポリマーの組合せを使用することができる。2種以上の異なるタイプのアニオン性ポリマーを組み合わせて使用してもよい。そのため、単一のタイプのアニオン性ポリマー、又は異なるタイプのアニオン性ポリマーの組合せを使用することができる。2種以上の異なるタイプの両性ポリマーを組み合わせて使用してもよい。そのため、単一のタイプの両性ポリマー、又は異なるタイプの両性ポリマーの組合せを使用することができる。
本発明による組成物中のイオン性ポリマーの量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%以上、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上であってよい。
本発明による組成物中のイオン性ポリマーの量は、組成物の総質量に対して、10質量%以下、好ましくは5質量%以下、より好ましくは1質量%以下であってよい。
本発明による組成物中のイオン性ポリマーの量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%〜10質量%、好ましくは0.05質量%〜5質量%、より好ましくは0.1質量%〜1質量%であってよい。
本発明による組成物中の架橋剤の量は、組成物の総質量に対して、0.001質量%以上、好ましくは0.005質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上であってよい。
本発明による組成物中の架橋剤の量は、組成物の総質量に対して、10質量%以下、好ましくは5質量%以下、より好ましくは1質量%以下であってよい。
本発明による組成物中の架橋剤の量は、組成物の総質量に対して、0.001質量%〜10質量%、好ましくは0.005質量%〜5質量%、より好ましくは0.01質量%〜1質量%であってよい。
(カチオン性ポリマー)
カチオン性ポリマーは、正電荷密度を有する。カチオン性ポリマーの電荷密度は、0.01meq/g〜20meq/g、好ましくは0.05〜15meq/g、より好ましくは0.1〜10meq/gであってよい。
カチオン性ポリマーの分子量は、1000以上、好ましくは50,000以上、より好ましくは100,000以上、更により好ましくは1,000,000以上であってよい。
本明細書に別段の定義がない限り、「分子量」は数平均分子量を意味する。
カチオン性ポリマーは、第一級、第二級又は第三級アミノ基、第四級アンモニウム基、グアニジン基、ビグアニド基、イミダゾール基、イミノ基及びピリジル基からなる群から選択される少なくとも1つの正電荷を有することができる及び/又は正電荷を有する部分を有してもよい。用語(第一級)「アミノ基」は、本明細書では、-NH2基を意味する。
カチオン性ポリマーは、ホモポリマーであってもコポリマーであってもよい。用語「コポリマー」は、2種類のモノマーから得たコポリマーと、2種類超のモノマーから得たコポリマー、例えば3種類のモノマーから得たターポリマーとの両方を意味すると理解される。
カチオン性ポリマーは、天然及び合成のカチオン性ポリマーから選択することができる。カチオン性ポリマーの非限定的な例は、以下の通りである。
(1)アクリル酸又はメタクリル酸のエステル及びアミドに由来し、以下の式の単位から選ばれる少なくとも1つの単位を含むホモポリマー及びコポリマー:
Figure 2021134161
(式中、
R1及びR2は、同一であっても異なっていてもよく、水素、及び1〜6個の炭素原子を含むアルキル基、例としてはメチル基及びエチル基から選ばれ、
R3は、同一であっても異なっていてもよく、水素及びCH3から選ばれ、
記号Aは、同一であっても異なっていてもよく、1〜6個の炭素原子、例えば2〜3個の炭素原子を含む直鎖状又は分枝状のアルキル基、及び1〜4個の炭素原子を含むヒドロキシアルキル基から選ばれ、
R4、R5及びR6は、同一であっても異なっていてもよく、1〜18個の炭素原子を含むアルキル基、及びベンジル基から選ばれ、少なくとも1つの実施形態では、1〜6個の炭素原子を含むアルキル基であり、
X-は、無機又は有機酸に由来するアニオン、例えばメト硫酸アニオン及びハロゲン化物イオン、例としては塩化物イオン及び臭化物イオンである)。
ファミリー(1)のコポリマーはまた、コモノマーに由来する少なくとも1つの単位も含んでよく、これは、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、窒素原子が(C1〜C4)低級アルキル基で置換されているアクリルアミド及びメタクリルアミド、アクリル酸又はメタクリル酸及びそのエステルに由来する基、ビニルラクタム、例えばビニルピロリドン及びビニルカプロラクタム、並びにビニルエステルから選ぶことができる。
ファミリー(1)のコポリマーの例には、以下が含まれるがこれらに限定されない:
アクリルアミドと、硫酸ジメチル又はハロゲン化ジメチルで四級化されたメタクリル酸ジメチルアミノエチルとのコポリマー、
アクリルアミドとメタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリドとのコポリマー、例えば欧州特許出願第0080976号に記載されているもの、
アクリルアミドとメタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムメトスルフェートとのコポリマー、
四級化又は非四級化ビニルピロリドン/アクリル酸又はメタクリル酸ジアルキルアミノアルキルコポリマー、例えば仏国特許第2077143号及び第2393573号に記載されているもの、
メタクリル酸ジメチルアミノエチル/ビニルカプロラクタム/ビニルピロリドンターポリマー、
ビニルピロリドン/メタクリルアミドプロピルジメチルアミンコポリマー、四級化ビニルピロリドン/ジメチルアミノプロピルメタクリルアミドコポリマー、並びに
架橋メタクリロイルオキシ(C1〜C4)アルキルトリ(C1〜C4)アルキルアンモニウム塩ポリマー、例えば塩化メチルで四級化されたメタクリル酸ジメチルアミノエチルの単独重合によって、又はアクリルアミドと、塩化メチルで四級化されたメタクリル酸ジメチルアミノエチルとの共重合によって、その単独重合又は共重合に続いて、オレフィン性不飽和を含有する化合物、例えばメチレンビスアクリルアミドで架橋することによって得られるポリマー。
(2)カチオン性セルロース誘導体、例えば第四級アンモニウム基を含むセルロースエーテル誘導体、例えば仏国特許第1492597号等に記載されているもの、例えばUnion Carbide Corporation社により名称「JR」(JR 400、JR 125、JR 30M)又は「LR」(LR 400、LR 30M)で販売されているポリマー。これらのポリマーはまた、CTFA辞典において、トリメチルアンモニウム基で置換されているエポキシドと反応したヒドロキシエチルセルロースの第四級アンモニウムとして定義されている。
(3)カチオン性セルロース誘導体、例えばセルロースコポリマー、及び第四級アンモニウムの水溶性モノマーでグラフトされたセルロース誘導体、及び例えば米国特許第4131576号に記載されている例えばヒドロキシアルキルセルロース、例としては、例えばメタクリロイルエチルトリメチルアンモニウム塩、メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩及びジメチルジアリルアンモニウム塩から選ばれる塩でグラフトされた、ヒドロキシメチル-、ヒドロキシエチル-及びヒドロキシプロピルセルロース。
これらのポリマーに相当する市販製品には、例えば、National Starch社により名称「Celquat(登録商標)L 200」及び「Celquat(登録商標)H 100」で販売されている製品が挙げられる。
(4)非セルロース系カチオン性多糖、米国特許第3589578号及び第4031307号に記載されているもの、例えばカチオン性トリアルキルアンモニウム基を含むグアーガム、カチオン性ヒアルロン酸及びデキストランヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド。塩で変性されたグアーガム、例えば2,3-エポキシプロピルトリメチルアンモニウムの塩で、例えば塩化物で変性されたグアーガム(グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド)もまた、使用することができる。
このような製品は、例としては、MEYHALL社により商品名JAGUAR(登録商標)C13 S、JAGUAR(登録商標)C15、JAGUAR(登録商標)C17及びJAGUAR(登録商標)C162で販売されている。
(5)ピペラジニル単位と、酸素、硫黄、窒素、芳香族環及び複素環式環から選ばれる少なくとも1つの構成体により任意選択で割り込まれた直鎖又は分枝鎖を含む二価のアルキレン基又はヒドロキシアルキレン基とを含むポリマー、更にはこれらのポリマーの酸化及び/又は四級化生成物。このようなポリマーは、例えば仏国特許第2162025号及び第2280361号に記載されている。
(6)例えば酸性化合物をポリアミンと重縮合させることによって調製される水溶性ポリアミノアミドであり、これらのポリアミノアミドは、エピハロヒドリン;ジエポキシド;二無水物;不飽和二無水物;ビス不飽和誘導体;ビスハロヒドリン;ビスアゼチジニウム;ビスハロアシルジアミン;ビスアルキルハライド;ビスハロヒドリン、ビスアゼチジニウム、ビスハロアシルジアミン、ビスアルキルハライド、エピハロヒドリン、ジエポキシド及びビス不飽和誘導体から選ばれる構成体と反応性である二官能性化合物の反応から得られるオリゴマーから選ばれる構成体で架橋されている場合があり;その架橋剤は、ポリアミノアミドのアミン基1つ当たり0.025〜0.35molの範囲の量で使用され;これらのポリアミノアミドは、任意選択でアルキル化されているか、又はこれらが少なくとも1つの第三級アミン官能基を含む場合、それらは四級化されていてもよい。このようなポリマーは、例えば仏国特許第2252840号及び第2368508号に記載されている。
(7)ポリアルキレンポリアミンをポリカルボン酸と縮合させ、続いて二官能性作用剤でアルキル化することから得られるポリアミノアミド誘導体、例えば、メチル、エチル及びプロピルの各基のようにアルキル基が1〜4個の炭素原子を含み、エチレン基のようにアルキレン基が1〜4個の炭素原子を含む、アジピン酸/ジアルキルアミノヒドロキシアルキルジアルキレントリアミンポリマー。このようなポリマーは、例としては仏国特許第1583363号に記載されている。少なくとも1つの実施形態では、これらの誘導体は、アジピン酸/ジメチルアミノヒドロキシプロピルジエチレントリアミンポリマーから選ぶことができる。
(8)2つの第一級アミン基及び少なくとも1つの第二級アミン基を含むポリアルキレンポリアミンを、ジグリコール酸、及び3〜8個の炭素原子を含む飽和脂肪族ジカルボン酸から選ばれるジカルボン酸と反応させることによって得られるポリマー。ポリアルキレンポリアミンの、ジカルボン酸に対するモル比は、0.8:1〜1.4:1の範囲であってよく、それから得られるポリアミノアミドを、エピクロロヒドリンと、エピクロロヒドリンの、ポリアミノアミドの第二級アミン基に対するモル比0.5:1〜1.8:1の範囲で反応させる。このようなポリマーは、例えば、米国特許第3227615号及び第2961347号に記載されている。
(9)アルキルジアリルアミンのシクロポリマー、及びジアルキルジアリル-アンモニウムのシクロポリマー、例えば鎖の主要構成要素として、以下の式(Ia)及び(Ib)の単位から選ばれる少なくとも1つの単位を含むホモポリマー及びコポリマー:
Figure 2021134161
[式中、
k及びtは、同一であっても異なっていてもよく、0又は1に等しく、和k+tは、1に等しく、
R12は、水素及びメチル基から選ばれ、
R10及びR11は、同一であっても異なっていてもよく、1〜6個の炭素原子を含むアルキル基、アルキル基が例えば1〜5個の炭素原子を含むヒドロキシアルキル基、及び低級(C1〜C4)アミドアルキル基から選ばれ、又はR10及びR11は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、複素環式基、例えばピペリジニル及びモルホリニルを形成してもよく、
Y'は、アニオン、例えば臭化物イオン、塩化物イオン、酢酸イオン、ホウ酸イオン、クエン酸イオン、酒石酸イオン、硫酸水素イオン、亜硫酸水素イオン、硫酸イオン及びリン酸イオンである]。
これらのポリマーは、例えば仏国特許第2080759号及びその追加特許第2190406号に記載されている。
一実施形態では、R10及びR11は、同一であっても異なっていてもよく、1〜4個の炭素原子を含むアルキル基から選ばれる。
このようなポリマーの例には、(コ)ポリジアリルジアルキルアンモニウムクロリド、例えばCALGON社により名称「MERQUAT(登録商標)100」で販売されているジメチルジアリルアンモニウムクロリドホモポリマー(及び低質量の平均分子量のその同族体)、並びに名称「MERQUAT(登録商標)550」で販売されているジアリルジメチルアンモニウムクロリドとアクリルアミドとのコポリマーが挙げられるがこれらに限定されない。
式(II)の少なくとも1つの繰り返し単位を含む第四級ジアンモニウムポリマー:
Figure 2021134161
[式中、
R13、R14、R15及びR16は、同一であっても異なっていてもよく、1〜20個の炭素原子を含む脂肪族、脂環式及びアリール脂肪族の各基、並びに低級ヒドロキシアルキル脂肪族基から選ばれ、或いは、R13、R14、R15及びR16は、それらが結合している窒素原子と一緒になって又は別々に、窒素以外の第2のヘテロ原子を任意選択で含む複素環を形成してもよく、或いは、R13、R14、R15及びR16は、同一であっても異なっていてもよく、ニトリル基、エステル基、アシル基、アミド基、-CO-O-R17-E基及び-CO-NH-R17-E基(式中、R17は、アルキレン基であり、Eは、第四級アンモニウム基である)から選ばれる少なくとも1つの基で置換されている直鎖状又は分枝状C1〜C6アルキル基から選ばれ、
A1及びB1は、同一であっても異なっていてもよく、2〜20個の炭素原子を含むポリメチレン基から選ばれ、これは、直鎖状又は分枝状、飽和又は不飽和であってよく、これは、芳香族環、酸素、硫黄、スルホキシド基、スルホン基、ジスルフィド基、アミノ基、アルキルアミノ基、ヒドロキシル基、第四級アンモニウム基、ウレイド基、アミド基及びエステル基から選ばれる少なくとも1つの構成体を、主鎖中に、連結されて又は挿入されて含んでよく、
X-は、無機又は有機酸に由来するアニオンであり、
A1、R13及びR15は、それらが結合している2個の窒素原子と一緒になってピペラジン環を形成してよく、
A1が、直鎖状又は分枝状の、飽和又は不飽和のアルキレン基又はヒドロキシアルキレン基から選ばれる場合、B1は、以下から選ぶことができる:
-(CH2)n--CO-E'-OC-(CH2)n-
[式中、E'は、
a)式-O-Z-O-{式中、Zは、直鎖状又は分枝状の炭化水素系基、及び以下の式の基から選ばれる}のグリコール残基、
-(CH2-CH2-O)x-CH2-CH2-
-[CH2-CH(CH3)-O]y-CH2-CH(CH3)-
(式中、x及びyは、同一であっても異なっていてもよく、定義された独自の重合度を表す1〜4の範囲の整数、及び平均重合度を表す1〜4の範囲の数から選ばれる)
b)ビス-第二級ジアミン残基、例えばピペラジン誘導体、
c)式-NH-Y-NH-(式中、Yは、直鎖状又は分枝状の炭化水素系基及び二価基-CH2-CH2-S-S-CH2-CH2-から選ばれる)のビス-第一級ジアミン残基、並びに
d)式-NH-CO-NH-のウレイレン基
から選ばれる]。
少なくとも1つの実施形態では、X-は、アニオン、例えば塩化物イオン又は臭化物イオンである。
このタイプのポリマーは、例えば、仏国特許第2320330号、第2270846号、第2316271号、第2336434号及び第2413907号、並びに米国特許第2273780号、第2375853号、第2388614号、第2454547号、第3206462号、第2261002号、第2271378号、第3874870号、第4001432号、第3929990号、第3966904号、第4005193号、第4025617号、第4025627号、第4025653号、第4026945号及び第4027020号に記載されている。
このようなポリマーの非限定的な例には、式(III):
Figure 2021134161
(式中、R13、R14、R15及びR16は、同一であっても異なっていてもよく、1〜4個の炭素原子を含むアルキル基及びヒドロキシアルキル基から選ばれ、n及びpは、同一であっても異なっていてもよく、2〜20の範囲の整数であり、X-は、無機又は有機酸に由来するアニオンである)
の、少なくとも1つの繰り返し単位を含むものが挙げられる。
(11)式(IV)の単位を含むポリ四級アンモニウムポリマー:
Figure 2021134161
[式中、
R18、R19、R20及びR21は、同一であっても異なっていてもよく、水素、メチル基、エチル基、プロピル基、β-ヒドロキシエチル基、β-ヒドロキシプロピル基、-CH2CH2(OCH2CH2)pOH基(式中、pは、0〜6の範囲の整数から選ばれる)から選ばれ、但し、R18、R19、R20及びR21が同時に水素であることはなく、
r及びsは、同一であっても異なっていてもよく、1〜6の範囲の整数から選ばれ、
qは、0〜34の範囲の整数から選ばれ、
X-は、アニオン、例えばハロゲン化物イオンであり、
Aは、ジハライド基及び-CH2-CH2-O-CH2-CH2-基から選ばれる]。
このような化合物は、例としては欧州特許出願第0122324号に記載されている。
(12)ビニルピロリドンとビニルイミダゾールとの第四級ポリマー。
好適なカチオン性ポリマーの他の例には、カチオン性タンパク質及びカチオン性タンパク質加水分解物、ポリアルキレンイミン、例えばポリエチレンイミン、ビニルピリジン単位及びビニルピリジニウム単位から選ばれる単位を含むポリマー、ポリアミンとエピクロロヒドリンとの縮合物、第四級ポリウレイレン、並びにキチン誘導体が挙げられるがこれらに限定されない。
本発明の一実施形態によれば、少なくとも1種のカチオン性ポリマーは、第四級アンモニウム基を含むセルロースエーテル誘導体、例えばUNION CARBIDE CORPORATION社により名称「JR 400」で販売されている製品、カチオン性シクロポリマー、例としてはCALGON社により名称MERQUAT(登録商標)100、MERQUAT(登録商標)550及びMERQUAT(登録商標)Sで販売されているジメチルジアリルアンモニウムクロリドのホモポリマー及びコポリマー、2,3-エポキシプロピルトリメチルアンモニウム塩で変性されたグアーガム、並びにビニルピロリドンとビニルイミダゾールとの第四級ポリマーから選ばれる。
(13)ポリアミン
カチオン性ポリマーとして、複数のアミノ基を有する、ホモポリマー又はコポリマーであってよい(コ)ポリアミンを使用することもまた可能である。アミノ基は、第一級、第二級、第三級又は第四級アミノ基であってよい。アミノ基は、(コ)ポリアミンのポリマー主鎖中に、又は存在する場合は、ペンダント基中に存在してよい。
(コ)ポリアミンの例として、キトサン、(コ)ポリアリルアミン、(コ)ポリビニルアミン、(コ)ポリアニリン、(コ)ポリビニルイミダゾール、(コ)ポリジメチルアミノエチレンメタクリレート、(コ)ポリビニルピリジン、例えば(コ)ポリ-1-メチル-2-ビニルピリジン、(コ)ポリイミン、例えば(コ)ポリエチレンイミン、(コ)ポリピリジン、例えば(コ)ポリ(第四級ピリジン)、(コ)ポリビグアニド、例えば(コ)ポリアミノプロピルビグアニド、(コ)ポリリジン、(コ)ポリオルニチン、(コ)ポリアルギニン、(コ)ポリヒスチジン、アミノデキストラン、アミノセルロース、アミノ(コ)ポリビニルアセタール、及びそれらの塩を挙げることができる。
(コ)ポリアミンとして、(コ)ポリリジンを使用することが好ましい。ポリリジンは周知である。ポリリジンは、細菌発酵によって生成されうるL-リジンの天然ホモポリマーであることができる。例えば、ポリリジンは、食品中の天然保存料として典型的に使用されるε-ポリ-L-リジンであることができる。ポリリジンは、水、プロピレングリコール及びグリセロール等の極性溶媒に可溶である高分子電解質である。ポリリジンは、ポリD-リジン及びポリL-リジン等の様々な形態で市販されている。ポリリジンは、塩及び/又は溶液の形態であることができる。
(14)カチオン性ポリアミノ酸
カチオン性ポリマーとして、複数のアミノ基及びカルボキシル基を有する、カチオン性ホモポリマー又はコポリマーであってよいカチオン性ポリアミノ酸を使用することが可能でありうる。アミノ基は、第一級、第二級、第三級又は第四級アミノ基であってよい。アミノ基は、カチオン性ポリアミノ酸のポリマー主鎖中に、又は存在する場合はペンダント基中に存在してよい。カルボキシル基は、カチオン性ポリアミノ酸の、存在する場合はペンダント基中に存在してよい。
カチオン性ポリアミノ酸の例として、カチオン化コラーゲン、カチオン化ゼラチン、ステアルジモニウムヒドロキシプロピル加水分解コムギタンパク、ココジモニウムヒドロキシプロピル加水分解コムギタンパク、ヒドロキシプロピルトリモニウム加水分解コンキオリンタンパク、ステアルジモニウムヒドロキシプロピル加水分解ダイズタンパク、ヒドロキシプロピルトリモニウム加水分解ダイズタンパク、ココジモニウムヒドロキシプロピル加水分解ダイズタンパク等を挙げることができる。
カチオン性ポリマーが、アルキルジアリルアミンのシクロポリマー、及びジアルキルジアリルアンモニウムのシクロポリマー、例えば(コ)ポリジアリルジアルキルアンモニウムクロリド、(コ)ポリアミン、例えば(コ)ポリリジン、カチオン性(コ)ポリアミノ酸、例えばカチオン化コラーゲン、並びにそれらの塩からなる群から選択されることが好ましい場合がある。
カチオン性ポリマーがカチオン性多糖から選択されることもまた、好ましい場合がある。
カチオン性多糖の電荷密度は、0.01meq/g〜20meq/g、好ましくは0.05〜15meq/g、より好ましくは0.1〜10meq/gであってよい。
カチオン性多糖の分子量は、1,000以上、好ましくは50,000以上、より好ましくは100,000以上、更により好ましくは1,000,000以上であってよい。
本明細書おいて別段の定義がない限り、「分子量」は、数平均分子量を意味する。
カチオン性多糖は、第一級、第二級又は第三級アミノ基、第四級アンモニウム基、グアニジン基、ビグアニド基、イミダゾール基、イミノ基及びピリジル基からなる群から選択される少なくとも1つの正電荷を有することができる及び/又は正電荷を有する部分を有してもよい。用語(第一級)「アミノ基」は、本明細書では、-NH2基を意味する。(a)カチオン性多糖が少なくとも1つの第四級アンモニウム基を有することが好ましい。
カチオン性多糖は、ホモポリマーであってもコポリマーであってもよい。用語「コポリマー」は、2種類のモノマーから得たコポリマーと、2種類超のモノマーから得たコポリマー、例えば3種類のモノマーから得たターポリマーとの両方を意味すると理解される。
カチオン性多糖は、天然及び合成のカチオン性多糖から選択することができる。
カチオン性多糖がカチオン性セルロースポリマーから選択されることが好ましい。カチオン性セルロースポリマーの非限定的な例は、以下の通りである。
(15)少なくとも1つの脂肪鎖、例えば少なくとも8個の炭素原子を含むアルキル、アリールアルキル又はアルキルアリールの各基を含む少なくとも1つの第四級アンモニウム基を有するカチオン性セルロースポリマー。カチオン性セルロースポリマーが、少なくとも1つの脂肪鎖を含む少なくとも1つの第四級アンモニウム基、例えば、少なくとも8個の炭素原子を含むアルキル、アリールアルキル若しくはアルキルアリールの各基、又はこれらの混合物で変性されている四級化ヒドロキシエチルセルロースであることが好ましい場合がある。第四級アンモニウム基によって保持されているアルキル基は、好ましくは8〜30個の炭素原子、特に10〜30個の炭素原子を含有しうる。アリール基は、好ましくは、フェニル、ベンジル、ナフチル又はアントリルの各基を示す。より好ましくは、カチオン性セルロースポリマーは、少なくとも1つのC8〜C30炭化水素基を含む少なくとも1つの第四級アンモニウム基を含んでよい。挙げることができるC8〜C30脂肪鎖を含有する四級化アルキルヒドロキシエチルセルロースの例には、Dow Chemical社により販売されている製品Quatrisoft LM 200、Quatrisoft LM-X 529-18-A、Quatrisoft LM-X 529-18B(C12アルキル)及びQuatrisoft LM-X 529-8(C18アルキル)、又はSoftcat Polymer SL100、Softcat SX-1300X、Softcat SX-1300H、Softcat SL-5、Softcat SL-30、Softcat SL-60、Softcat SK-MH、Softcat SX-400X、Softcat SX-400H、SoftCat SK-L、Softcat SK-M及びSoftcat SK-H、並びにCroda社によって販売されている製品Crodacel QM、Crodacel QL(C12アルキル)及びCrodacel QS(C18アルキル)が挙げられる。
カチオン性ポリマーが、ポリクオタニウム-4、ポリクオタニウム-6、ポリクオタニウム-7、ポリクオタニウム-10、ポリクオタニウム-24、ポリクオタニウム-67、及びこれらの混合物からなる群から選択されることが、より好ましい場合がある。
本発明による組成物中のカチオン性ポリマーの量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%以上、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上であってよい。
本発明による組成物中のカチオン性ポリマーの量は、組成物の総質量に対して、10質量%以下、好ましくは5質量%以下、より好ましくは1質量%以下であってよい。
本発明による組成物中のカチオン性ポリマーの量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%〜10質量%、好ましくは0.05質量%〜5質量%、より好ましくは0.1質量%〜1質量%であってよい。
(アニオン性ポリマー)
アニオン性ポリマーは、負電荷密度を有する。アニオン性ポリマーの電荷密度は、アニオン性ポリマーが合成のアニオン性ポリマーである場合、0.1meq/g〜20meq/g、好ましくは1〜15meq/g、より好ましくは4〜10meq/gであってよく、アニオン性ポリマーの平均置換度は、アニオン性ポリマーが天然のアニオン性ポリマーである場合、0.1〜3.0、好ましくは0.2〜2.7、より好ましくは0.3〜2.5であってよい。
アニオン性ポリマーの分子量は、1,000以上、好ましくは10,000以上、より好ましくは50,000以上、更により好ましくは100,000以上であってよい。
アニオン性ポリマーは、硫酸基、スルフェート基、スルホン酸基、スルホネート基、リン酸基、ホスフェート基、ホスホン酸基、ホスホネート基、カルボン酸基及びカルボキシレート基からなる群から選択される少なくとも1つの負電荷を有することができる及び/又は負電荷を有する部分を有してよい。
アニオン性ポリマーは、ホモポリマーであってもコポリマーであってもよい。用語「コポリマー」は、2種類のモノマーから得たコポリマーと、2種類超のモノマーから得たコポリマー、例えば3種類のモノマーから得たターポリマーとの両方を意味すると理解される。
アニオン性ポリマーは、天然の及び合成のアニオン性ポリマーから選択することができる。
アニオン性ポリマーは、少なくとも1つの疎水性鎖を含んでよい。
少なくとも1つの疎水性鎖を含みうるアニオン性ポリマーは、α,β-エチレン性不飽和を含むカルボン酸(モノマーa')及び2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(モノマーa'')から選ばれるモノマー(a)を、(a)以外のエチレン性不飽和を含む非表面活性モノマー(b)、並びに/又はα,β-モノエチレン性不飽和を含むアクリルモノマー若しくはモノエチレン性不飽和を含むイソシアネートモノマーを、一価の非イオン性両親媒性成分若しくは第一級若しくは第二級脂肪アミンと反応させることにより得られるエチレン性不飽和を含むモノマー(c)と、共重合させることによって得ることができる。
そのため、少なくとも1つの疎水性鎖を有するアニオン性ポリマーは、2つの合成経路のいずれかによって得ることができる:
- モノマー(a')と(c)、若しくは(a')と(b)と(c)、若しくは(a'')と(c)、若しくは(a'')と(b)と(c)との共重合による、
- 又はモノマー(a')、若しくはモノマー(a')と(b)、若しくは(a'')と(b)とから形成されたコポリマーを、一価の非イオン性両親媒性化合物又は第一級若しくは第二級脂肪アミンで修飾(具体的にはエステル化若しくはアミド化)することによる。
2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸コポリマーとしては、具体的には、論文「Micelle formation of random copolymers of sodium 2-(acrylamido)-2-methylpropanesulfonate and nonionic surfactant macromonomer in water as studied by fluorescence and dynamic light scattering - Macromolecules、2000年、第33巻、第10号、3694〜3704頁」、並びに出願EP-A-0750899及びEP-A-1069172に開示されているものを挙げることができる。
モノマー(a')を構成する、α,β-モノエチレン性不飽和を含むカルボン酸は、多数の酸から、詳細には、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸及びマレイン酸から選ぶことができる。これは、好ましくは、アクリル酸又はメタクリル酸である。
コポリマーは、界面活性剤特性を有さないモノエチレン性不飽和を含むモノマー(b)を含むことができる。好ましいモノマーは、単独重合させた場合に水不溶性ポリマーを生じるものである。これらは、例えば、アクリル酸及びメタクリル酸C1〜C4アルキル、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル又は対応するメタクリレートから選ぶことができる。より特に好ましいモノマーは、アクリル酸メチル及びアクリル酸エチルである。使用されうる他のモノマーは、例えば、スチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、アクリロニトリル及び塩化ビニリデンである。非反応性モノマーが好ましく、これらのモノマーは、単一のエチレン性基が、重合条件下で反応性を持つ唯一の基であるものである。しかしながら、熱の作用下で反応する基を含むモノマー、例えばアクリル酸ヒドロキシエチルを、任意選択で使用することができる。
モノマー(c)は、α,β-モノエチレン性不飽和を含むアクリルモノマー、例えば(a)、又はモノエチレン性不飽和を含むイソシアネートモノマーを、一価の非イオン性両親媒性化合物又は第一級若しくは第二級脂肪アミンと反応させることによって得られる。
非イオン性モノマー(c)を生成するのに使用される一価の非イオン性両親媒性化合物又は第一級若しくは第二級脂肪アミンは、周知である。一価の非イオン性両親媒性化合物は、一般に、分子の親水性部分を形成するアルキレンオキシドを含むアルコキシル化疎水性化合物である。疎水性化合物は、一般に、脂肪族アルコール又はアルキルフェノールから構成され、その化合物中、少なくとも6個の炭素原子を含む炭素性鎖が、両親媒性化合物の疎水性部分を構成する。
好ましい一価の非イオン性両親媒性化合物は、式(V):
R-(OCH2CHR')m-(OCH2CH2)n-OH (V)
(式中、Rは、6〜30個の炭素原子を含むアルキル又はアルキレン基、及び8〜30個の炭素原子を含むアルキル基を有するアルキルアリール基から選ばれ、R'は、1〜4個の炭素原子を含むアルキル基から選ばれ、nは、およそ1〜150の範囲の平均数であり、mは、およそ0〜50の範囲の平均数であり、但し、nは、少なくともmと同じ大きさの数である)
を有する化合物である。
好ましくは、式(V)の化合物中、R基は、12〜26個の炭素原子を含むアルキル基、及びアルキル基がC8〜C13であるアルキルフェニル基から選ばれ、R'基は、メチル基であり、m=0であり、n=1〜25である。
好ましい第一級及び第二級脂肪アミンは、6〜30個の炭素原子を含む1つ又は2つのアルキル鎖から構成される。
非イオン性ウレタンモノマー(c)を形成するのに使用されるモノマーは、非常に多様な化合物から選ぶことができる。共重合性不飽和、例えばアクリル性、メタクリル性又はアリル性不飽和を含む任意の化合物を使用することができる。モノマー(c)は、特に、モノエチレン性不飽和を含むイソシアネート、例えば特にα,α-ジメチル-m-イソプロペニルベンジルイソシアネートから得ることができる。
モノマー(c)は、特に、オキシエチレン化(1〜50EO)C6〜C30脂肪アルコールのアクリレート、メタクリレート又はイタコネート、例えばメタクリル酸ステアレス-20、オキシエチレン化(25EO)ベヘニルメタクリレート、オキシエチレン化(20EO)モノセチルイタコネート、オキシエチレン化(20EO)モノステアリルイタコネート、又はポリオキシエチレン化(25EOM)MC12〜C24アルコールで変性されたアクリレートから、及びオキシエチレン化(1〜50EO)C6〜C30脂肪アルコールのジメチル-m-イソプロペニルベンジルイソシアネート、例えば特にオキシエチレン化ベヘニルアルコールのジメチル-m-イソプロペニルベンジルイソシアネートから選ぶことができる。
本発明の特定の実施形態によれば、アニオン性ポリマーは、(a)α,β-エチレン性不飽和を含むカルボン酸、(b)(a)以外のエチレン性不飽和を含む非表面活性モノマー、及び(c)一価の非イオン性両親媒性化合物と、モノエチレン性不飽和を含むイソシアネートとの反応生成物である非イオン性ウレタンモノマーから得られるアクリルターポリマーから選ばれる。
少なくとも1つの疎水性鎖を含むアニオン性ポリマーとして、特に、アクリル酸/アクリル酸エチル/アクリル酸アルキルターポリマー、例えばRohm & Haas社により名称Acusol 823で販売されている30%水性分散体としての製品;アクリレート/メタクリル酸ステアレス-20コポリマー、例えばRohm & Haas社により名称Aculyn 22で販売されている製品; (メタ)アクリル酸/アクリル酸エチル/オキシエチレン化(25EO)メタクリル酸ベヘニルターポリマー、例えばRohm & Haas社により名称Aculyn 28で販売されている水性エマルションとしての製品;アクリル酸/オキシエチレン化(20EO)イタコン酸モノセチルコポリマー、例えばNational Starch社により名称Structure 3001で販売されている30%水性分散体としての製品;アクリル酸/オキシエチレン化(20EO)イタコン酸モノステアリルコポリマー、例えばNational Starch社により名称Structure 2001で販売されている30%水性分散体としての製品;アクリレート/ポリオキシエチレン化(25EO)C12〜C24アルコールで修飾されたアクリレートのコポリマー、例えば3V SA社により名称Synthalen W2000で販売されている30〜32%コポリマーラテックス;又はメタクリル酸/アクリル酸メチル/エトキシル化ベヘニルアルコールのジメチル-メタ-イソプロペニルベンジルイソシアネートのターポリマー、例えば文献EP-A-0173109に開示されている、40個のエチレンオキシド基を含む24%水性分散体としての製品を挙げることができる。
アニオン性ポリマーはまた、ポリエステル-5、例えば、化学式:
Figure 2021134161
A: ジカルボン酸部分
G: グリコール部分
SO3 -Na+: ナトリウムスルホ基
OH: ヒドロキシル基
を有する、EASTMAN CHEMICAL社により名称Eastman AQ(商標)55S Polymerで販売されている製品であってもよい。
アニオン性ポリマーが、多糖、例えばアルギン酸、ヒアルロン酸及びセルロースポリマー(例えばカルボキシメチルセルロース)、アニオン性(コ)ポリアミノ酸、例えば(コ)ポリグルタミン酸、(コ)ポリ(メタ)アクリル酸、(コ)ポリアミン酸、(コ)ポリスチレンスルホネート、(コ)ポリ(ビニルスルフェート)、デキストラン硫酸、コンドロイチン硫酸、(コ)ポリマレイン酸、(コ)ポリフマル酸、マレイン酸(コ)ポリマー、並びにそれらの塩からなる群から選択されることが好ましい場合がある。
マレイン酸コポリマーは、1つ又は複数のマレイン酸コモノマーと、酢酸ビニル、ビニルアルコール、ビニルピロリドン、2〜20個の炭素原子を含むオレフィン、及びスチレンから選ばれる1つ又は複数のコモノマーとを含んでよい。
そのため、「マレイン酸コポリマー」は、1つ又は複数のマレイン酸コモノマーと、酢酸ビニル、ビニルアルコール、ビニルピロリドン、2〜20個の炭素原子を含むオレフィン、例えばオクタデセン、エチレン、イソブチレン、ジイソブチレン又はイソオクチレン、及びスチレンから選ばれる1つ又は複数のコモノマーとの共重合によって得られる任意のポリマーを意味すると理解され、マレイン酸コモノマーは、任意選択で部分的に又は完全に加水分解されている。好ましくは、親水性ポリマー、すなわち水溶解度が2g/l以上であるポリマーが使用される。
本発明の有利な態様では、マレイン酸コポリマーは、マレイン酸単位のモル分率が、0.1から1の間、より好ましくは0.4から0.9の間であってよい。
マレイン酸コポリマーの質量平均モル質量は、1,000から500,000の間、好ましくは1,000から50,000の間であってよい。
マレイン酸コポリマーが、スチレン/マレイン酸コポリマー、より好ましくはスチレン/マレイン酸コポリマーナトリウムであることが好ましい。
好ましくは、50/50の比のスチレンとマレイン酸とのコポリマーを使用することができる。
例えば、Cray Valley社により参照名SMA1000H(登録商標)で販売されている、水中30%でアンモニウム塩の形態のスチレン/マレイン酸(50/50)コポリマー、又はCray Valley社により参照名SMA1000HNa(登録商標)で販売されている、水中40%でナトリウム塩の形態のスチレン/マレイン酸(50/50)コポリマーを使用することができる。
スチレン/マレイン酸コポリマー、例えばスチレン/マレイン酸コポリマーナトリウムの使用は、本発明による組成物によって調製される皮膜の濡れ性を改善することができる。
アニオン性ポリマーが、多糖、例えばアルギン酸、ヒアルロン酸、及びセルロースポリマー、アニオン性(コ)ポリアミノ酸、例えば(コ)ポリグルタミン酸、(コ)ポリ(メタ)アクリル酸、(コ)ポリアミン酸、(コ)ポリスチレンスルホネート、(コ)ポリ(ビニルスルフェート)、デキストラン硫酸、コンドロイチン硫酸、(コ)ポリマレイン酸、ポリフマル酸、マレイン酸(コ)ポリマー、並びにそれらの塩からなる群から選択されることが、好ましい場合がある。
本発明による組成物中のアニオン性ポリマーの量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%以上、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上であってよい。
本発明による組成物中のアニオン性ポリマーの量は、組成物の総質量に対して、10質量%以下、好ましくは5質量%以下、より好ましくは1質量%以下であってよい。
本発明による組成物中のアニオン性ポリマーの量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%〜10質量%、好ましくは0.05質量%〜5質量%、より好ましくは0.1質量%〜1質量%であってよい。
(両性ポリマー)
両性ポリマーは、正電荷密度と負電荷密度との両方を有する。
両性ポリマーの正電荷密度は、0.01meq/g〜20meq/g、好ましくは0.05〜15meq/g、より好ましくは0.1〜10meq/gであってよい。
両性ポリマーの負電荷密度は、0.01meq/g〜20meq/g、好ましくは0.05〜15meq/g、より好ましくは0.1〜10meq/gであってよい。
両性ポリマーの分子量は、1000以上、好ましくは2000以上、より好ましくは3000以上、更により好ましくは10,000以上であってよい。
本明細書に別段の定義がない限り、「分子量」は数平均分子量を意味する。
両性ポリマーは、
第一級、第二級又は第三級アミノ基、第四級アンモニウム基、グアニジン基、ビグアニド基、イミダゾール基、イミノ基及びピリジル基からなる群から選択される少なくとも1つの正電荷を有することができる及び/又は正電荷を有する部分、
並びに
硫酸基、スルフェート基、スルホン酸基、スルホネート基、リン酸基、ホスフェート基、ホスホン酸基、ホスホネート基、カルボン酸基及びカルボキシレート基からなる群から選択される少なくとも1つの負電荷を有することができる及び/又は負電荷を有する部分
を有しうる。
両性ポリマーは、ホモポリマーであってもコポリマーであってもよい。用語「コポリマー」は、2種類のモノマーから得たコポリマーと、2種類超のモノマーから得たコポリマー、例えば3種類のモノマーから得たターポリマーとの両方を意味すると理解される。
本発明に従って使用されうる両性ポリマーは、ポリマー鎖中にランダムに分布したK及びM単位を含有するポリマーから選ぶことができ、ここで、Kは、少なくとも1個の塩基性窒素原子を含有するモノマーに由来する単位を示し、Mは、1つ又は複数のカルボン酸又はスルホン酸基を含有する酸性モノマーに由来する単位を示し、或いは、K及びMは、カルボキシベタイン又はスルホベタインの双性イオン性モノマーに由来する基を示してもよい。K及びMはまた、第一級、第二級、第三級又は第四級アミン基を含有するカチオン性ポリマー鎖も示してよく、そのアミン基の少なくとも1つは、炭化水素基を介して連結されたカルボン酸又はスルホン酸基を保有し、或いは、K及びMは、α,β-ジカルボン酸エチレン単位を有するポリマーの鎖の一部を形成し、そのカルボン酸基の1つは、1つ又は複数の第一級又は第二級アミン基を含有するポリアミンと反応させられている。
より特に好ましい上記に示した定義に相当する両性ポリマーは、以下のポリマーから選ばれる:
(1)カルボン酸基を保有するビニル化合物に由来するモノマー、例えばより特定するとアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、アルファ-クロロアクリル酸と、少なくとも1個の塩基性原子を含有する置換ビニル化合物に由来する塩基性モノマー、例えばより特定するとメタクリル酸及びアクリル酸ジアルキルアミノアルキル、ジアルキルアミノアルキルメタクリルアミド及びアクリルアミドとの共重合により得られるポリマー。このような化合物は、米国特許第3836537号に記載されている。HENKEL社により名称POLYQUART KE 3033で販売されているアクリル酸ナトリウム/アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリドコポリマーもまた挙げることができる。ビニル化合物はまた、ジアルキルジアリルアンモニウム塩、例えばジメチルジアリルアンモニウムクロリドであってもよい。アクリル酸と後者のモノマーとのコポリマーは、Lubrizol社により名称MERQUAT 280、MERQUAT 295、MERQUAT 2003 PR、MERQUAT 3330 PR及びMERQUAT PLUS 3330で提供されている。
(2)以下に由来する単位を含有するポリマー:
a)窒素がアルキル基で置換されているアクリルアミド又はメタクリルアミドから選ばれる少なくとも1種のモノマー、
b)1つ又は複数の反応性カルボン酸基を含有する少なくとも1種の酸性コモノマー、並びに
c)少なくとも1種の塩基性コモノマー、例えばアクリル酸及びメタクリル酸の第一級、第二級、第三級及び第四級アミン置換基を有するエステル、並びにメタクリル酸ジメチルアミノエチルの硫酸ジメチル又はジエチルによる四級化生成物。
本発明による最も特に好ましいN-置換アクリルアミド又はメタクリルアミドは、そのアルキル基が2〜12個の炭素原子を含有する基、より具体的には、N-エチルアクリルアミド、N-tert-ブチルアクリルアミド、N-tert-オクチルアクリルアミド、N-オクチルアクリルアミド、N-デシルアクリルアミド、N-ドデシルアクリルアミド、並びに対応するメタクリルアミドである。
酸性コモノマーは、より具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸及びフマル酸、並びにマレイン酸若しくはフマル酸無水物又は酸の、1〜4個の炭素原子を有するアルキルモノエステルから選ばれる。
好ましい塩基性コモノマーは、アミノエチル、ブチルアミノエチル、N,N'-ジメチルアミノエチル、N-tert-ブチルアミノエチルのメタクリレートである。
そのCTFA(第4版、1991年)名がオクチルアクリルアミド/アクリレート/メタクリル酸ブチルアミノエチルコポリマーであるコポリマー、例えばNATIONAL STARCH社により名称AMPHOMER又はLOVOCRYL 47で販売されている製品が特に使用される。
(3)以下の一般式のポリアミノアミドに由来する、部分的に又は完全にアルキル化され、架橋されたポリアミノアミド:
-[-CO-R4-CO-Z-]-
[式中、R4は、飽和ジカルボン酸、エチレン性二重結合を有する脂肪族モノ若しくはジカルボン酸、これらの酸の1〜6個の炭素原子を有する低級アルカノールのエステル、又は酸のいずれか1種の、ビス-第一級若しくはビス-第二級アミンとの付加により得られる基に由来する二価基を表し、Zは、ビス-第一級、モノ-又はビス-第二級ポリアルキレン-ポリアミンの基を示し、好ましくは、以下を表す:
a)60〜100mol%の割合で、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン又はジプロピレントリアミンに由来する、
-NH-[(CH2)x-NH-]p-基
(式中、x=2、p=2又は3であり、或いは、x=3、p=2である)、
b)0〜40mol%の割合で、エチレンジアミンに由来する、上記の基(IV)(式中、x=2、p=1である)、又はピペラジンに由来する基:
Figure 2021134161
c)0〜20mol%の割合で、ヘキサメチレンジアミンに由来する-NH-(CH2)6-NH-基、これらのポリアミノアミンは、エピハロヒドリン、ジエポキシド、二無水物、ビス不飽和誘導体から選ばれる二官能性架橋剤を添加することによって、ポリアミノアミドのアミン基1つ当たり0.025〜0.35molの架橋剤の手段により架橋され、アクリル酸、クロロ酢酸若しくはアルカンスルトン又はそれらの塩の作用によってアルキル化されている]。
飽和カルボン酸は、好ましくは、6〜10個の炭素原子を有する酸、例えばアジピン酸、2,2,4-トリメチルアジピン酸及び2,4,4-トリメチルアジピン酸、テレフタル酸、エチレン二重結合を有する酸、例えばアクリル酸、メタクリル酸及びイタコン酸から選ばれる。
アルキル化において使用されるアルカンスルトンは、好ましくは、プロパン又はブタンスルトンであり、アルキル化剤の塩は、好ましくは、ナトリウム塩又はカリウム塩である。
(4)以下の式の双性イオン性単位を含有するポリマー:
Figure 2021134161
(式中、R5は、重合性不飽和基、例えばアクリレート、メタクリレート、アクリルアミド又はメタクリルアミドの各基を示し、y及びzは、1〜3の整数を表し、R6及びR7は、水素原子、メチル、エチル又はプロピルを表し、R8及びR9は、R8及びR9中の炭素原子の和が10を超えないように、水素原子又はアルキル基を表す)。
このような単位を含むポリマーはまた、非双性イオン性モノマー、例えばアクリル酸若しくはメタクリル酸ジメチル若しくはジエチルアミノエチル、又はアクリル酸若しくはメタクリル酸アルキル、アクリルアミド若しくはメタクリルアミド又は酢酸ビニルに由来する単位を含んでもよい。
例として、メタクリル酸ブチル/ジメチルカルボキシメチルアンモニオエチルメタクリレートのコポリマー、例えばSANDOZ社により名称DIAFORMER Z301で販売されている製品を挙げることができる。
(5)以下の式(VI)、(VII)及び(VIII)に相当するモノマー単位を含有するキトサンに由来するポリマー:
Figure 2021134161
[(VI)単位は、0〜30%の割合で存在し、(VII)単位は、5〜50%の割合で存在し、(VIII)単位は、30〜90%の割合で存在し、この(VIII)単位中、R10は、以下の式の基、並びにこれらの化合物と塩基又は酸によって形成される塩を表すと理解される]。
Figure 2021134161
(式中、
q=0の場合、R11、R12及びR13は、同一であり又は異なり、それぞれ、水素原子、メチル、ヒドロキシル、アセトキシ若しくはアミノ残基、モノアルキルアミン残基若しくはジアルキルアミン残基(1個若しくは複数の窒素原子によって任意選択で割り込まれ、及び/若しくは1つ若しくは複数のアミン、ヒドロキシル、カルボキシル、アルキルチオ若しくはスルホン酸の各基で任意選択で置換されている)、又はそのアルキル基がアミノ残基を保有するアルキルチオ残基を表し、R11、R12及びR13の各基のうちの少なくとも1つは、水素原子であり、
又は、q=1の場合、R11、R12及びR13は、それぞれ、水素原子を表す)。
(6)キトサンのN-カルボキシアルキル化に由来するポリマー、例えばJAN DEKKER社により名称「EVALSAN」で販売されているN-カルボキシメチルキトサン又はN-カルボキシブチルキトサン。
(7)例えば仏国特許第1400366号に記載されているもの等の一般式(IX)に相当するポリマー:
Figure 2021134161
[式中、R14は、水素原子、CH3O、CH3CH2O、又はフェニルの各基を表し、R15は、水素、又は低級アルキル基、例えばメチル若しくはエチルを示し、R16は、水素、又は低級アルキル基、例えばメチル若しくはエチルを示し、R17は、低級アルキル基、例えばメチル若しくはエチル、又は式-R18-N(R16)2に相当する基を示し、R18は、-CH2-CH2-、-CH2-CH2-CH2-若しくは-CH2-CH(CH3)-の各基を表し、R16は、上述した意味を有し、並びにこれらの基の最大6個の炭素原子を含有する高級同族体を示す]。
(8)以下から選ばれる-D-X-D-X-タイプの両性ポリマー:
a)以下の式の少なくとも1つの単位を含有する化合物に対する、クロロ酢酸又はクロロ酢酸ナトリウムの作用によって得られるポリマー:
-D-X-D-X-D- (X)
(式中、Dは、
Figure 2021134161
基を示し、Xは、記号E又はE'を示し、E又はE'は、同一であり又は異なり、二価基を示し、これは、最大7個の炭素原子を主鎖中に含有する直鎖又は分枝鎖を有するアルキレン基であり、非置換であるか又はヒドロキシル基で置換されており、酸素、窒素又は硫黄原子、1〜3つの芳香族及び/又は複素環式環を更に含有してもよく、その酸素、窒素及び硫黄原子は、エーテル、チオエーテル、スルホキシド、スルホン、スルホニウム、アルキルアミン若しくはアルケニルアミンの各基、又はヒドロキシル、ベンジルアミン、アミンオキシド、第四級アンモニウム、アミド、イミド、アルコール、エステル及び/若しくはウレタンの各基の形態で存在する)。
b)以下の式のポリマー:
-D-X-D-X- (XI)
(式中、Dは、
Figure 2021134161
基を示し、Xは、記号E又はE'、少なくとも1回はE'を示し、Eは、上記に示した意味を有し、E'は、二価基であり、これは、最大7個の炭素原子を主鎖中に有する直鎖又は分枝鎖を有するアルキレン基であり、非置換であるか又は1つ若しくは複数のヒドロキシル基で置換されており、1個又は複数の窒素原子を含有し、その窒素原子は、酸素原子によって任意選択で割り込まれたアルキル鎖で置換されており、1つ若しくは複数のカルボキシル官能基又は1つ若しくは複数のヒドロキシル官能基を必ず含有し、クロロ酢酸又はクロロ酢酸ナトリウムとの反応によってベタイン化されている)。
(9)N,N-ジメチルアミノプロピルアミン等のN,N-ジアルキルアミノアルキルアミンで半アミド化することによって、又はN,N-ジアルカノールアミンで半エステル化することによって、部分的に修飾された(C1〜C5)アルキルビニルエーテル/無水マレイン酸コポリマー。これらのコポリマーはまた、ビニルカプロラクタム等の他のビニルコモノマーを含有してもよい。
本発明による特に好ましい両性ポリマーは、ファミリー(1)のもの、具体的にはカチオン性モノマーとしてジアルキルジアリルアンモニウムの塩を含有するものである。
両性ポリマーは、ポリクオタニウム-22、ポリクオタニウム-39、ポリクオタニウム-53、ポリクオタニウム-64、ポリクオタニウム-51、ポリクオタニウム-61、及びこれらの混合物から選ぶことができる。ポリクオタニウム-39及びポリクオタニウム-53、例えば、Lubrizol社により販売されている製品Merquat 3330 PR及びMerquat 2003 PRが、より好ましい。
本発明による組成物中の両性ポリマーの量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%以上、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上であってよい。
本発明による組成物中の両性ポリマーの量は、組成物の総質量に対して、10質量%以下、好ましくは5質量%以下、より好ましくは1質量%以下であってよい。
本発明による組成物中の両性ポリマーの量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%〜10質量%、好ましくは0.05質量%〜5質量%、より好ましくは0.1質量%〜1質量%であってよい。
(好ましい実施形態)
本発明による組成物が、
(a)少なくとも1種のカチオン性ポリマー、好ましくは少なくとも2種のカチオン性ポリマー、より好ましくはポリクオタニウム-67及びポリクオタニウム-6、
並びに
架橋剤として、少なくとも1種の2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸又はその塩
を含む
少なくとも1種のポリイオンコンプレックスと、
(b)水と
を含み、
(a)ポリイオンコンプレックスの正電荷の量が(a)ポリイオンコンプレックスの負電荷の量よりも多いことが、好ましい。
カチオン性ポリマーが、カチオン性多糖から選択されることが好ましい。カチオン性ポリマーが、カチオン性セルロースポリマーから選択されることが、より好ましい。カチオン性ポリマーが、上記(15)の(カチオン性ポリマー)の項で説明した通り、少なくとも1つの脂肪鎖を含む少なくとも1つの第四級アンモニア基を有するカチオン性セルロースポリマーから選択されることが、更により好ましい。
ポリイオンコンプレックスがアニオン性ポリマーを含まないことが好ましい場合がある。
(2つ以上の酸解離定数を有する非ポリマー酸)
イオン性ポリマーのための架橋剤として、本発明による組成物は、少なくとも1種の2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸又はその塩、すなわち少なくとも1種の2つ以上の酸解離定数を有する非ポリマー酸又はその塩を含んでよい。pKa値(酸解離定数)は、当業者に周知であり、25℃等の一定の温度で決定されるべきである。
2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸又はその塩は、(a)粒子中に組み入れることができる。2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸は、カチオン性ポリマー、アニオン性ポリマー及び両性ポリマーのための架橋剤として機能することができる。
用語「非ポリマー」は、本明細書では、酸が、2つ以上のモノマーを重合させることによって得られるものではないことを意味する。したがって、非ポリマー酸は、ポリカルボン酸等の2つ以上のモノマーを重合させることによって得られる酸には相当しない。
2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸又はその塩の分子量が、1000未満、好ましくは800以下、より好ましくは700以下であることが好ましい。
2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸又はその塩のタイプに限定はない。2種以上の異なるタイプの2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸又はその塩を組み合わせて使用してもよい。そのため、単一のタイプの2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸若しくはその塩、又は異なるタイプの2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸若しくはその塩の組合せを使用することができる。
本明細書における用語「塩」は、2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸に、好適な塩基を添加することによって形成される塩を意味し、これは、当業者に既知の方法に従って、2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸と、塩基との反応から得ることができる。塩として、金属塩、例えば、Na及びK等のアルカリ金属との塩、並びにMg及びCa等のアルカリ土類金属との塩、並びにアンモニウム塩を挙げることができる。
2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸又はその塩は、有機酸又はその塩、好ましくは親水性若しくは水溶性の有機酸又はその塩であってよい。
2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸は、カルボン酸基、硫酸基、スルホン酸基、リン酸基、ホスホン酸基、フェノール性ヒドロキシル基、及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも2つの酸基を有しうる。
2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸は、非ポリマー多価酸であってよい。
2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸は、ジカルボン酸、ジスルホン酸及びジホスホン酸、並びにこれらの混合物からなる群から選択することができる。
2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸又はその塩は、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸、クエン酸、アコニット酸、オキサロ酢酸、酒石酸、及びそれらの塩;アスパラギン酸、グルタミン酸、及びそれらの塩;テレフタリリデンジカンファースルホン酸、又はその塩(Mexoryl SX)、ベンゾフェノン-9;フィチン酸及びその塩;赤色2号(アマランス)、赤色102号(ニューコクシン)、黄色5号(タルトラジン)、黄色6号(サンセットイエローFCF)、緑色3号(ファストグリーンFCF)、青色1号(ブリリアントブルーFCF)、青色2号(インジゴカルミン)、赤色201号(リソールルビンB)、赤色202号(リソールルビンBCA)、赤色204号(レーキレッドCBA)、赤色206号(リソールレッドCA)、赤色207号(リソールレッドBA)、赤色208号(リソールレッドSR)、赤色219号(ブリリアントレーキレッドR)、赤色220号(ディープマルーン)、赤色227号(ファストアシッドマジェンタ)、黄色203号(キノリンイエローWS)、緑色201号(アリザニンシアニングリーンF)、緑色204号(ピラニンコンク)、緑色205号(ライトグリーンSF黄)、青色203号(パテントブルーCA)、青色205号(アルファズリンFG)、赤色401号(ビオラミンR)、赤色405号(パーマネントレッドF5R)、赤色502号(ポンソー3R)、赤色503号(ポンソーR)、赤色504号(ポンソーSX)、緑色401号(ナフトールグリーンB)、緑色402号(ギネアグリーンB)及び黒色401号(ナフトールブルーブラック);葉酸、アスコルビン酸、エリソルビン酸、及びそれらの塩;シスチン及びその塩; EDTA及びその塩;グリチルリチン及びその塩;並びにこれらの混合物からなる群から選択することができる。
2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸又はその塩が、テレフタリリデンジカンファースルホン酸及びその塩(Mexoryl SX)、黄色6号(サンセットイエローFCF)、アスコルビン酸、フィチン酸、クエン酸、酒石酸、及びそれらの塩、並びにこれらの混合物からなる群から選択されることが好ましい場合がある。
本発明による組成物中の2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸又はその塩の量は、組成物の総質量に対して、0.001質量%以上、好ましくは0.005質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上であってよい。
本発明による組成物中の2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸又はその塩の量は、組成物の総質量に対して、10質量%以下、好ましくは5質量%以下、より好ましくは1質量%以下であってよい。
本発明による組成物中の2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸又はその塩の量は、組成物の総質量に対して、0.001質量%〜10質量%、好ましくは0.005質量%〜5質量%、より好ましくは0.01質量%〜1質量%であってよい。
(2つ以上の塩基解離定数を有する非ポリマー塩基)
イオン性ポリマーのための架橋剤として、本発明による組成物は、少なくとも1種の2つ以上のpKb値を有する非ポリマー塩基又はその塩、すなわち、少なくとも1種の2つ以上の塩基解離定数を有する非ポリマー塩基又はその塩を含むことができる。pKb値(塩基解離定数)は、当業者に周知であり、25℃等の一定の温度で決定されるべきである。
2つ以上のpKb値を有する非ポリマー塩基又はその塩は、(a)粒子に組み入れられうる。2つ以上のpKb値を有する非ポリマー塩基は、カチオン性ポリマー、アニオン性ポリマー及び両性ポリマーのための架橋剤として機能することができる。
用語「非ポリマー」は、本明細書では、塩基が、2つ以上のモノマーを重合させることによって得られるものではないことを意味する。したがって、非ポリマー塩基は、ポリアリルアミン等の2つ以上のモノマーを重合させることによって得られる塩基には相当しない。
2つ以上のpKb値を有する非ポリマー塩基又はその塩の分子量が、1000以下、好ましくは800以下、より好ましくは700以下であることが好ましい。
2つ以上のpKb値を有する非ポリマー塩基又はその塩のタイプに、限定はない。2種以上の異なるタイプの2つ以上のpKb値を有する非ポリマー塩基又はその塩を組み合わせて使用してもよい。そのため、単一のタイプの2つ以上のpKb値を有する非ポリマー塩基若しくはその塩、又は異なるタイプの2つ以上のpKb値を有する非ポリマー塩基若しくはその塩の組合せを使用することができる。
本明細書における用語「塩」は、2つ以上のpKb値を有する非ポリマー塩基に、好適な酸を添加することによって形成される塩を意味し、これは、当業者に既知の方法に従って、2つ以上のpKb値を有する非ポリマー塩基と、酸との反応から得ることができる。塩として、アンモニウム塩、例えば、HCl及びHNO3等の無機酸との塩、並びにカルボン酸及びスルホン酸等の有機酸との塩を挙げることができる。
2つ以上のpKb値を有する非ポリマー塩基又はその塩は、有機塩基又はその塩、好ましくは親水性又は水溶性の有機塩基又はその塩であってよい。
2つ以上のpKb値を有する非ポリマー塩基は、アミノ基、グアニジン基、ビグアニド基、イミダゾール基、イミノ基、ピリジル基、及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも2つの塩基性基を有しうる。
2つ以上のpKb値を有する非ポリマー塩基は、非ポリマージアミン、例えばエチレンジアミン、プロピレンジアミン、ペンタンジアミン、ヘキサンジアミン、尿素及びその誘導体、並びにグアニジン及びその誘導体、非ポリマーポリアミン、例えばスペルミン及びスペルミジン、塩基性アミノ酸、並びにこれらの混合物からなる群から選択することができる。
2つ以上のpKb値を有する非ポリマー塩基又はその塩は、アルギニン、リジン、ヒスチジン、システイン、シスチン、チロシン、トリプトファン、オルニチン、及びこれらの混合物からなる群から選択することができる。
2つ以上のpKb値を有する非ポリマー塩基又はその塩が、アルギニン、リジン、ヒスチジン、及びこれらの混合物からなる群から選択されることが好ましい場合がある。
本発明による組成物中の2つ以上のpKb値を有する非ポリマー塩基又はその塩の量は、組成物の総質量に対して、0.001質量%以上、好ましくは0.005質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上であってよい。
本発明による組成物中の2つ以上のpKb値を有する非ポリマー塩基又はその塩の量は、組成物の総質量に対して、10質量%以下、好ましくは5質量%以下、より好ましくは1質量%以下であってよい。
本発明による組成物中の2つ以上のpKb値を有する非ポリマー塩基又はその塩の量は、組成物の総質量に対して、0.001質量%〜10質量%、好ましくは0.005質量%〜5質量%、より好ましくは0.01質量%〜1質量%であってよい。
[水]
本発明による組成物は、(b)水を含む。
(b)水は、本発明による組成物の水性相を形成することができる。
(b)水の量は、組成物の総質量に対して、50質量%以上、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上であってよい。
(b)水の量は、組成物の総質量に対して、99質量%以下、好ましくは97質量%以下、より好ましく95質量%以下であってよい。
(b)水の量は、組成物の総質量に対して、50質量%〜99質量%、好ましくは60質量%〜97質量%、より好ましくは70質量%〜95質量%であってよい。
[脂肪物質]
本発明による組成物は、少なくとも1種の(c)脂肪物質を含んでよい。2種以上の異なるタイプの(c)脂肪物質を組み合わせて使用してもよい。したがって、単一のタイプの(c)脂肪物質、又は異なるタイプの(c)脂肪物質の組合せを使用することができる。
用語「脂肪物質」は、本明細書では、常温(25℃)及び大気圧(760mmHg)で水に不溶性(溶解性が5質量%未満、好ましくは1質量%未満、更により好ましくは0.1質量%未満)である有機化合物を意味する。脂肪物質は、その構造中に、連続した少なくとも2つのシロキサン基、又は少なくとも6個の炭素原子を含む少なくとも1つの炭化水素系鎖を含有することができる。加えて、脂肪性物質は、同じ温度及び圧力条件下で、有機溶媒、例としてはクロロホルム、エタノール、ベンゼン又はデカメチルシクロペンタシロキサンに可溶性でありうる。
(c)脂肪物質は、液体又は固体の形態であってよい。本明細書では、「液体」及び「固体」は、脂肪物質が、大気圧(760mmHg又は105Pa)下、室温(25℃)で、それぞれ液体若しくはペースト(非固体)又は固体の形態であることを意味する。
(c)脂肪物質は、室温及び大気圧下でペースト又は固体の形態であってよい。固体の形態の(c)脂肪物質の例として、脂肪アルコール及びワックスを挙げることができる。
用語「脂肪アルコール」は、本明細書では、任意の、飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状のC8〜C30脂肪アルコールを意味し、これは、特に1つ又は複数の(具体的には1〜4つの)ヒドロキシル基で任意選択で置換されている。脂肪アルコールが不飽和である場合、これらの化合物は、1〜3個の共役又は非共役の炭素-炭素二重結合を含みうる。
C8〜C30脂肪アルコールの中で、例えばC12〜C22脂肪アルコールを、それらが固体である限り使用することができる。これらの中で、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、リノレイルアルコール、パルミトレイルアルコール、リノレニルアルコール、ミリスチルアルコール、アラキドニルアルコール及びエルシルアルコール、並びにこれらの混合物を挙げることができる。一実施形態では、セチルアルコール、ステアリルアルコール、又はこれらの混合物(例えばセテアリルアルコール)、並びにミリスチルアルコールを、固体の脂肪物質として使用することができる。
用語「ワックス」は、本明細書では、脂肪物質が、大気圧(760mmHg)下、室温(25℃)で、実質的に固体の形態であり、一般に35℃以上の融点を有することを意味する。ワックス状脂肪物質として、一般に化粧料中に使用されるワックスを、単独で又はこれらの組合せで使用することができる。
例えば、ワックスは、カルナウバワックス、ビーズワックス、マイクロクリスタリンワックス、オゾケライト、水添ホホバ油、ポリエチレンワックス、例えばNew Phase Technologies社により名称「Performalene 400 Polyethylene」で販売されているワックス、シリコーンワックス、例としてはポリ(C24〜C28)アルキルメチルジメチルシロキサン、例えばGoldschmidt社により名称「Abil Wax 9810」で販売されている製品、シア脂、パーム脂、Kester Keunen社により名称「Kester Wax K82H」で販売されているC20〜C40ステアリン酸アルキル、安息香酸ステアリル、セラックワックス、及びこれらの混合物から選択することができる。例えば、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、オゾケライト、水添ホホバ油及びポリエチレンワックスから選択されるワックスを使用することができる。少なくとも1つの実施形態では、ワックスは、好ましくは、キャンデリラワックス、ビーズワックス及びオゾケライト、並びにこれらの混合物から選択される。
他方で、(c)脂肪物質は、室温及び大気圧下で液体又はペーストの形態であってよい。液体又はペーストの形態の脂肪物質の例として、油を挙げることができる。
(c)脂肪物質が油から選択されることが好ましい。
本明細書では、「油」は、大気圧(760mmHg)下、室温(25℃)で液体又はペースト(非固体)の形態である脂肪化合物又は脂肪物質を意味する。油として、化粧料中で一般に使用されるものを、単独で、又はそれらの組合せで使用することができる。これらの油は、揮発性であっても不揮発性であってもよい。
油は、植物又は動物起源の油、合成油、シリコーン油、炭化水素油及び液体脂肪アルコールからなる群から選択することができる。
植物油の例として、アマニ油、カメリア油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、アボカド油、サザンカ油、ヒマシ油、アプリコット油、ココナツ油、サフラワー油、ホホバ油、ヒマワリ油、アーモンド油、アブラナ種子油、ゴマ油、ダイズ油、ピーナツ油、及びこれらの混合物を挙げることができる。
動物油の例として、スクアレン及びスクアランを挙げることができる。
合成油の例として、イソドデカン及びイソヘキサデカン等のアルカン油、エステル油、エーテル油、及び人工トリグリセリドを挙げることができる。
エステル油は、好ましくは、飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状のC1〜C26脂肪族一酸又は多酸と、飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状のC1〜C26脂肪族一価アルコール又は多価アルコールとの液状エステルであり、これらのエステルの合計炭素原子数は10以上である。
好ましくは、モノアルコールのエステルの場合、本発明のエステルが由来するアルコール及び酸の中からの少なくとも1種は、分枝状である。
一酸及びモノアルコールのモノエステルの中で、パルミチン酸エチル、パルミチン酸エチルヘキシル、パルミチン酸イソプロピル、炭酸ジカプリリル、ミリスチン酸アルキル、例えばミリスチン酸イソプロピル又はミリスチン酸エチル、ステアリン酸イソセチル、イソノナン酸2-エチルヘキシル、イソノナン酸イソノニル、ネオペンタン酸イソデシル及びネオペンタン酸イソステアリルを挙げることができる。
C4〜C22ジカルボン酸又はトリカルボン酸とC1〜C22アルコールとのエステル、並びにモノカルボン酸、ジカルボン酸又はトリカルボン酸と、非糖C4〜C26ジヒドロキシ、トリヒドロキシ、テトラヒドロキシ又はペンタヒドロキシアルコールとのエステルもまた、使用することができる。
特に挙げることができるのは以下である:セバシン酸ジエチル、ラウロイルサルコシン酸イソプロピル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ビス(2-エチルヘキシル)、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジ-n-プロピル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ビス(2-エチルヘキシル)、アジピン酸ジイソステアリル、マレイン酸ビス(2-エチルヘキシル)、クエン酸トリイソプロピル、クエン酸トリイソセチル、クエン酸トリイソステアリル、トリ乳酸グリセリル、トリオクタン酸グリセリル、クエン酸トリオクチルドデシル、クエン酸トリオレイル、ジヘプタン酸ネオペンチルグリコール、ジイソノナン酸ジエチレングリコール。
エステル油として、C6〜C30、好ましくはC12〜C22脂肪酸の糖エステル及びジエステルを使用することができる。用語「糖」が、アルデヒド又はケトン官能基を含む又は含まない、且つ少なくとも4個の炭素原子を含む、いくつかのアルコール官能基を含有する、酸素を保持する炭化水素系化合物を意味することが想起される。これらの糖は、単糖、オリゴ糖又は多糖でありうる。
挙げることができる好適な糖の例には、スクロース(又はショ糖)、グルコース、ガラクトース、リボース、フコース、マルトース、フルクトース、マンノース、アラビノース、キシロース及びラクトース、並びにそれらの誘導体、特にアルキル誘導体、例えばメチル誘導体、例としてはメチルグルコースがある。
脂肪酸の糖エステルは、前述の糖と、直鎖状若しくは分枝状の、飽和若しくは不飽和のC6〜C30、好ましくはC12〜C22脂肪酸とのエステル又はエステル混合物を含む群から特に選ぶことができる。それらが不飽和である場合、これらの化合物は、1〜3個の共役又は非共役の炭素-炭素二重結合を有しうる。
この変形によるエステルはまた、モノエステル、ジエステル、トリエステル、テトラエステル及びポリエステル、並びにこれらの混合物からも選ぶことができる。
これらのエステルは、例えば、オレイン酸エステル、ラウリン酸エステル、パルミチン酸エステル、ミリスチン酸エステル、ベヘン酸エステル、ヤシ脂肪酸エステル、ステアリン酸エステル、リノール酸エステル、リノレン酸エステル、カプリン酸エステル及びアラキドン酸エステル、又はこれらの混合物、例えば、特にオレオパルミチン酸、オレオステアリン酸及びパルミトステアリン酸の混合エステル、並びにテトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル及びヘキサカプリル酸/ヘキサカプリン酸ジペンタエリスリチルであってよい。
より特定すると、モノエステル及びジエステル、特にスクロース、グルコース又はメチルグルコースのモノオレイン酸エステル又はジオレイン酸エステル、ステアリン酸エステル、ベヘン酸エステル、オレオパルミチン酸エステル、リノール酸エステル、リノレン酸エステル及びオレオステアリン酸エステルが使用される。
挙げることができる例は、ジオレイン酸メチルグルコースである、Amerchol社により名称Glucate(登録商標)DOで販売されている製品である。
好ましいエステル油の例として、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジオクチル、ヘキサン酸2-エチルヘキシル、ラウリン酸エチル、オクタン酸セチル、オクタン酸オクチルドデシル、ネオペンタン酸イソデシル、プロピオン酸ミリスチル、2-エチルヘキサン酸2-エチルヘキシル、オクタン酸2-エチルヘキシル、(カプリル酸/カプリン酸)2-エチルヘキシル、パルミチン酸メチル、パルミチン酸エチル、パルミチン酸イソプロピル、炭酸ジカプリリル、ラウロイルサルコシン酸イソプロピル、イソノナン酸イソノニル、パルミチン酸エチルヘキシル、ラウリン酸イソヘキシル、ラウリン酸ヘキシル、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、オレイン酸イソデシル、トリ(2-エチルヘキサン酸)グリセリル、テトラ(2-エチルヘキサン酸)ペンタエリスリチル、コハク酸2-エチルヘキシル、セバシン酸ジエチル、ポリリシノール酸ポリグリセリル-6、トリイソステアリン酸ポリグリセリル-2、ステアリン酸グリセリル、及びこれらの混合物を挙げることができる。
人工トリグリセリドの例として、カプリルカプリリルグリセリド、トリミリスチン酸グリセリル、トリパルミチン酸グリセリル、トリリノレン酸グリセリル、トリラウリン酸グリセリル、トリカプリン酸グリセリル、トリカプリル酸グリセリル、トリ(カプリン酸/カプリル酸)グリセリル及びトリ(カプリン酸/カプリル酸/リノレン酸)グリセリルを挙げることができる。
シリコーン油の例として、直鎖状オルガノポリシロキサン、例えばジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン等;環状オルガノポリシロキサン、例えばシクロヘキサシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等;並びにこれらの混合物を挙げることができる。
好ましくは、シリコーン油は、液体ポリジアルキルシロキサン、特に液体ポリジメチルシロキサン(PDMS)、及び少なくとも1つのアリール基を含む液体ポリオルガノシロキサンから選ばれる。
これらのシリコーン油はまた、有機変性されていてよい。本発明に従って使用されうる有機変性シリコーンは、上に定義した、且つそれらの構造中に、炭化水素系基を介して結合されている1つ又は複数の有機官能基を含む、シリコーン油である。
オルガノポリシロキサンは、Walter Noll著「Chemistry and Technology of Silicones」(1968年) Academic Pressにおいて詳細に定義されている。それらは、揮発性であっても不揮発性であってもよい。
それらが揮発性である場合、シリコーンは、より詳細には、沸点が60℃から260℃の間であるものから選ばれ、更により詳細には、以下から選ばれる:
(i)3〜7個、好ましくは4〜5個のケイ素原子を含む環状ポリジアルキルシロキサン。これらは、例えば、特にUnion Carbide社により名称Volatile Silicone(登録商標)7207で販売されている、又はRhodia社により名称Silbione(登録商標)70045 V2で販売されているオクタメチルシクロテトラシロキサン、Union Carbide社により名称Volatile Silicone(登録商標)7158で販売されている、Rhodia社によりSilbione(登録商標)70045 V5で販売されているデカメチルシクロペンタシロキサン、及びMomentive Performance Materials社により名称Silsoft 1217で販売されているドデカメチルシクロペンタシロキサン、並びにこれらの混合物である。式:
Figure 2021134161
の、ジメチルシロキサン/メチルアルキルシロキサン等のタイプのシクロコポリマー、例えば、Union Carbide社により販売されているSilicone Volatile(登録商標)FZ 3109もまた挙げることができる。
環状ポリジアルキルシロキサンの、有機ケイ素化合物との混合物もまた挙げることができ、例えばオクタメチルシクロテトラシロキサンとテトラトリメチルシリルペンタエリスリトールとの混合物(50/50)、及びオクタメチルシクロテトラシロキサンとオキシ-1,1'-ビス(2,2,2',2',3,3'-ヘキサトリメチルシリルオキシ)ネオペンタンとの混合物である、
(ii)2〜9個のケイ素原子を含有し、25℃で5×10-6m2/s以下の粘度を有する直鎖状揮発性ポリジアルキルシロキサン。例は、特にToray Silicone社により名称SH 200で販売されているデカメチルテトラシロキサンである。この部類に属するシリコーン類は、Cosmetics and Toiletries、第91巻、76年1月、27〜32頁、Todd & Byers「Volatile Silicone Fluids for Cosmetics」で公表されている論文にも記載されている。シリコーンの粘度は、ASTM規格445付録Cに従って25℃で測定されている。
不揮発性ポリジアルキルシロキサンもまた使用することができる。これらの不揮発性シリコーンは、より詳細には、ポリジアルキルシロキサンから選ばれ、その中では、主としてトリメチルシリル末端基を含有するポリジメチルシロキサンを挙げることができる。
これらのポリジアルキルシロキサンの中で、以下の市販製品を非限定的に挙げることができる:
- Rhodia社により販売されているSilbione(登録商標)油の47及び70 047シリーズ又はMirasil(登録商標)油、例としては70 047 V 500 000油;
- Rhodia社により販売されているMirasil(登録商標)シリーズの油、
- Dow Corning社製の200シリーズの油、例えば粘度が60,000mm2/sのDC200;並びに
- General Electric社製のViscasil(登録商標)油、及びGeneral Electric社製のSFシリーズの特定の油(SF 96、SF 18)。
名称ジメチコノール(CTFA)で知られる、ジメチルシラノール末端基を含有するポリジメチルシロキサン、例えばRhodia社製の48シリーズの油もまた挙げることができる。
アリール基を含有するシリコーンの中で、ポリジアリールシロキサン、特にポリジフェニルシロキサン及びポリアルキルアリールシロキサン、例えばフェニルシリコーン油を挙げることができる。
フェニルシリコーン油は、式:
Figure 2021134161
(式中、
R1〜R10は、互いに独立に、飽和又は不飽和の、直鎖状、環状又は分枝状のC1〜C30炭化水素系基、好ましくはC1〜C12炭化水素系基、より好ましくはC1〜C6炭化水素系基、具体的にはメチル、エチル、プロピル又はブチルの各基であり、
m、n、p及びqは、互いに独立に、端点を含む0〜900、好ましくは端点を含む0〜500、より好ましくは端点を含む0〜100の整数であり、
但し、n+m+qの和は0以外である)
のフェニルシリコーンから選ぶことができる。
挙げることができる例には、以下の名称で販売されている製品がある:
- Rhodia社製のSilbione(登録商標)油の70 641シリーズ、
- Rhodia社製のRhodorsil(登録商標)70 633及び763シリーズの油、
- Dow Corning社製の油Dow Corning 556 Cosmetic Grade Fluid、
- Bayer社製のPKシリーズのシリコーン、例えば製品PK20、
- General Electric社製のSFシリーズの特定の油、例えばSF 1023、SF 1154、SF 1250及びSF 1265。
フェニルシリコーン油として、フェニルトリメチコン(上の式中、R1〜R10はメチルであり、p、q及びn=0、m=1である)が好ましい。
有機変性液体シリコーンは、特にポリエチレンオキシ及び/又はポリプロピレンオキシ基を含有してよい。そのため、信越化学工業株式会社により提案されているシリコーンKF-6017、及びUnion Carbide社製の油Silwet(登録商標)L722及びL77を挙げることができる。
炭化水素油は、以下から選ぶことができる:
- 直鎖状又は分枝状の、任意選択で環状のC6〜C16低級アルカン。挙げることができる例には、ヘキサン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、及びイソパラフィン、例としてはイソヘキサデカン、イソドデカン及びイソデカンがある、並びに
- 16個超の炭素原子を含有する直鎖状又は分枝状の炭化水素、例えば流動パラフィン、液状ワセリン、ポリデセン及び水添ポリイソブテン、例えばParleam(登録商標)、並びにスクアラン。
炭化水素油の好ましい例として、例えば、直鎖状又は分枝状の炭化水素、例えばイソヘキサデカン、イソドデカン、スクアラン、鉱物油(例えば流動パラフィン)、パラフィン、ワセリン又はペトロラタム、ナフタレン等;水添ポリイソブテン、イソエイコサン、及びデセン/ブテンコポリマー;並びにこれらの混合物を挙げることができる。
液体の脂肪アルコールの例として、ラウリルアルコール、イソステアリルアルコール、ウンデシレニルアルコール、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール、オレイルアルコール、及びこれらの混合物を挙げることができる。
(c)脂肪物質が非極性であることが好ましい場合がある。
本発明による組成物中の(c)脂肪物質の量は、組成物の総質量に対して、0.1質量%以上、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上であってよい。
本発明による組成物中の(c)脂肪物質の量は、組成物の総質量に対して、35質量%以下、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下であってよい。
本発明による組成物中の(c)脂肪物質の量は、組成物の総質量に対して、0.1質量%〜35質量%、好ましくは0.5質量%〜30質量%、より好ましくは1質量%〜25質量%であってよい。
(脂肪相)
(c)脂肪物質は、脂肪相を形成することができる。
本発明による組成物中の(c)脂肪物質の量は、組成物の総質量に対して、0.1質量%以上、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上であってよい。
本発明による組成物中の(c)脂肪物質の量は、組成物の総質量に対して、40質量%以下、好ましくは35質量%以下、より好ましくは30質量%以下であってよい。
本発明による組成物中の(c)脂肪物質の量は、組成物の総質量に対して、0.1質量%〜40質量%、好ましくは0.5質量%〜35質量%、より好ましくは1質量%〜30質量%であってよい。
[テクスチャー剤]
本発明による組成物は、(d)少なくとも1種のテクスチャー剤を含んでよい。2種以上の異なるタイプの(d)テクスチャー剤を組み合わせて使用してもよい。そのため、単一のタイプの(d)テクスチャー剤、又は異なるタイプの(d)テクスチャー剤の組合せを使用することができる。
用語「テクスチャー剤」は、本明細書では、毛髪等のケラチン繊維に、テクスチャー剤が使用されない場合と比較して、より多くの滑らかさ、より多くの柔らかさ、及びより少ないべとつき等の改善されたテクスチャーを付与できる任意の作用剤を意味する。
(d)テクスチャー剤は、親水性増粘剤から選択することができる。
(d)テクスチャー剤が親水性非イオン性ポリマー増粘剤から選択されることが好ましい。親水性非イオン性ポリマー増粘剤は、本明細書では、少なくとも1種のポリマーをベースとする親水性非イオン性増粘剤を意味する。
(d)テクスチャー剤が、親水性非イオン性ポリマー会合性増粘剤及び親水性非イオン性多糖増粘剤から選択されることが、より好ましい。
増粘剤として機能しうる(b)テクスチャー剤が、毛髪等のケラチン繊維に、より多くの滑らかさ、及びより少ないべとつき等の、より良好なテクスチャーを付与できるのは驚くべきことであり、その理由は、増粘剤が、一般に、より多くのべとつきを付与すると考えられているからである。
{親水性非イオン性ポリマー会合性増粘剤}
親水性非イオン性ポリマー会合性増粘剤は、本明細書では、少なくとも1つの親水性単位と、少なくとも1つの疎水性単位、例えば少なくとも1つのC8〜C30脂肪鎖との両方を有する少なくとも1種のポリマーを含み、且つそれが水性相を増粘化できるように全体として親水性である、非イオン性増粘剤を意味する。
親水性非イオン性ポリマー会合性増粘剤は、例えば以下から選ぶことができる:
(i)少なくとも1つの脂肪鎖を含む基で変性されたセルロース、挙げることができる例には以下がある:
- アルキル、アリールアルキル及びアルキルアリールの各基から選ばれる少なくとも1つの脂肪鎖を含む基(ここで、アルキル基は、例えばC8〜C22である)で変性されたヒドロキシエチルセルロース、例えば、Aqualon社により販売されている製品Natrosol Plus Grade 330 CS(C1〜C6アルキル)、及びBerol Nobel社により販売されている製品Bermocoll EHM 100、並びに
- ポリアルキレングリコールアルキルフェニルエーテル基で変性されたセルロース、例えばAmerchol社により販売されている製品Amercell Polymer HM-1500[ポリエチレングリコール(15)ノニルフェニルエーテル]、
(ii)少なくとも1つの脂肪鎖を含む基で変性されたヒドロキシプロピルグアー、例えばLamberti社により販売されている製品Esaflor HM 22(C22アルキル鎖)、並びにRhodia Chimie社により販売されている製品Miracare XC95-3(C14アルキル鎖)及びRE205-1(C20アルキル鎖)、
(iii)少なくとも1つの脂肪鎖、例えばC10〜C30アルキル又はアルケニル基を含むポリエーテル-ウレタン、例としてはAkzo社により販売されている製品Elfacos T 210及びElfacos T 212、又はRohm & Haas社により販売されている製品Aculyn 44及びAculyn 46、
(iv)ビニルピロリドンと疎水性脂肪鎖モノマーとのコポリマー;
挙げることができる例には、以下がある:
- I.S.P.社により販売されている製品Antaron V216及びGanex V216(ビニルピロリドン/ヘキサデセンコポリマー)、並びに
- I.S.P.社により販売されている製品Antaron V220及びGanex V220(ビニルピロリドン/エイコセンコポリマー)
(v)C1〜C6アクリル酸アルキル又はC1〜C6メタクリル酸アルキルと、少なくとも1つの脂肪鎖を含む両親媒性モノマーとのコポリマー、例えばGoldschmidt社により名称Antil 208で販売されているオキシエチレン化メタクリル酸メチル/アクリル酸ステアリルコポリマー、
(vi)親水性アクリレート又はメタクリレートと、少なくとも1つの脂肪鎖を含む疎水性モノマーとのコポリマー、例えばメタクリル酸ポリエチレングリコール/メタクリル酸ラウリルコポリマー。
親水性非イオン性ポリマー会合性増粘剤が、ポリエーテル-ポリウレタンから選択されることが好ましい場合がある。ポリエーテル-ポリウレタンは、少なくとも1つの親水性部分と少なくとも1つの疎水性部分との両方を有してよい。より具体的には、それらは、それらのポリマー鎖中に、最も多くの場合、ポリオキシエチレン性の親水性配列と、脂肪族連結単独及び/又は脂環式及び/又は芳香族連結でありうる疎水性配列との両方を含有してよい。
好ましくは、これらのポリエーテル-ポリウレタンは、親水性配列により分離された、6〜30個、好ましくは6〜20個の炭素原子を有する少なくとも2つの親油性炭化水素鎖を含み、この炭化水素鎖が、ペンダント鎖、又は親水性配列の末端にある鎖であることが可能である。具体的には、1つ又は複数のペンダント鎖が想定されることが可能である。加えて、ポリエーテル-ポリウレタンは、親水性配列の一方の末端に又は両末端に、炭化水素鎖を含むことができる。
ポリエーテル-ポリウレタンは、具体的にはトリブロックの形態のポリブロックを含んでよい。疎水性配列は、ポリマー鎖の各末端にあってもよく(例えば親水性の中央配列を有するトリブロックコポリマー)、又は両末端とポリマー鎖中との両方に分布されていてもよい(例えばポリブロックコポリマー)。同じポリマーがまた、グラフト単位の形態であってもよく又は星型であってもよい。
親水性非イオン性ポリマー会合性増粘剤は、水中のネットワークを形成することができ、ここで、疎水性部分は結合して擬似ミセルを形成する。
したがって、親水性非イオン性ポリマー会合性増粘剤は、本発明による組成物の粘度又は稠度を増大させることができる。そのため、本発明による組成物の塗布後、それは、組成物の元の弾力を急速に回復することができる。
脂肪鎖を含有する非イオン性ポリエーテル-ポリウレタンは、その親水性配列が50〜1000個のオキシエチレン化基を含むポリオキシエチレン化鎖であるトリブロックコポリマーであってよい。
非イオン性ポリエーテル-ポリウレタンは、親水性配列同士の間にウレタン結合を含み、これが名称の起源である。
拡大することにより、その親水性配列が、他の化学結合によって疎水性配列に連結されているものもまた、疎水性鎖を含有する非イオン性ポリエーテル-ポリウレタンの中に含まれる。
本発明において使用されうる疎水性鎖を含有する非イオン性ポリエーテル-ポリウレタンの例として、RHEOX社により販売されている、ウレア官能基を含有するRheolate(登録商標)205、又は他にRheolate(登録商標)208、204若しくは212、及びAcrysol RM 184(登録商標)を使用することもまた可能である。
AKZO社製の、C12〜C14アルキル鎖を含有する製品ELFACOS T210(登録商標)、及びC18アルキル鎖を含有する製品ELFACOS T212(登録商標)もまた挙げることができる。
C20アルキル鎖を含有し、ウレタン結合を有し、水中20%乾燥物含有量で販売されている、ROHM & HAAS社製の製品DW 1206B(登録商標)もまた使用することができる。
これらのポリマーの、特に水中又は水性-アルコール性媒体中の溶液又は分散体を使用することもまた可能である。このようなポリマーの例として、RHEOX社により販売されているRheolate(登録商標)255、Rheolate(登録商標)278及びRheolate(登録商標)244を挙げることができる。ROHM & HAAS社により提供されている製品DW 1206F及びDW 1206Jを使用することもまた可能である。
使用されうる上記のポリエーテル-ポリウレタンはまた、G. Fonnum、J. Bakke及びFk. Hansenによる論文、Colloid Polym. Sci 271、380〜389頁(1993年)に記載されているものからも選ぶこともできる。
上記のポリエーテル-ポリウレタンとして、それらの鎖中に、少なくとも1つのポリオキシエチレン化親水性ブロックと、脂肪族配列、脂環式配列及び芳香族配列から選ばれる少なくとも1つの配列を含有する少なくとも1つの疎水性ブロックとを含むポリエーテル-ポリウレタンを挙げることができる。
ポリエーテル-ポリウレタンが、親水性ブロックによって分離された、8〜30個の炭素原子を有する少なくとも2つの炭素水素系親油性鎖を含み、この炭素水素系鎖が、ペンダント鎖、及び親水性ブロックの末端にある鎖から選ばれることが好ましい場合がある。
本発明の特定の形態によれば、(i)150〜180molのエチレンオキシドを含む少なくとも1種のポリエチレングリコールと、(ii)100molのエチレンオキシドを含むポリオキシエチレン化ステアリルアルコールと、(iii)ジイソシアネートとを含む少なくとも3種の化合物の重縮合によって得られうるポリウレタン/ポリエーテルが使用される。
このようなポリウレタン/ポリエーテルは、特にElementis社により名称Rheolate FX 1100(登録商標)及びRheoluxe 811(登録商標)で販売されており、これは、136molのエチレンオキシドを含有するポリエチレングリコールと、100molのエチレンオキシドでポリオキシエチレン化されたステアリルアルコールと、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)との、質量平均分子量が40000の重縮合物である(INCI名: PEG-136/ステアレス-100/HDIコポリマー)。
本発明の別の特定の形態によれば、(i)150〜180molのエチレンオキシドを含む少なくとも1種のポリエチレングリコールと、(ii)ステアリルアルコール又はデシルアルコールと、(iii)少なくとも1種のジイソシアネートとを含む少なくとも3種の化合物の重縮合によって得られうるポリウレタン/ポリエーテルが使用される。
このようなポリウレタン/ポリエーテルは、特にRohm & Haas社により名称Aculyn 46(登録商標)及びAculyn 44(登録商標)で販売されている。
INCI名: PEG-150/ステアリルアルコール/SMDIコポリマーを有するAculyn 46(登録商標)は、マルトデキストリン(4%)と水(81%)とのマトリクス中15質量%での、150mol又は180molのエチレンオキシドを含むポリエチレングリコールと、ステアリルアルコールと、メチレンビス(4-シクロへキシルイソシアネート)(SMDI)との重縮合物である(INCI名:PEG-150/ステアリルアルコール/SMDIコポリマー)。
Aculyn 44(登録商標)(PEG-150/デシルアルコール/SMDIコポリマー)は、プロピレングリコール(39%)と水(26%)との混合物中35質量%での、150mol又は180molのエチレンオキシドを含むポリエチレングリコールと、デシルアルコールと、メチレンビス(4-シクロへキシルイソシアネート)(SMDI)との重縮合物である(INCI名: PEG-150/デシルアルコール/SMDIコポリマー)。
ポリエーテル-ポリウレタンとして、式(1):
R1-{(O-R2)k-OCONH-R3[-NHCOO-(R4-O)n-R5]h}m (1)
(式中、R1は、炭化水素基を表し、R2及びR4は、独立に、2〜4個の炭素原子を有する、互いに同一であっても異なっていてもよいアルキレン基、又はフェニルエチレン基を表し、R3は、任意選択でウレタン結合を有しうる炭化水素基を表し、R5は、分枝鎖又は第二級炭化水素基を表し、mは、少なくとも2の数を表し、hは、少なくとも1の数を表し、kは、1〜500の範囲内の数を表し、nは、1〜200の範囲内の数を表す)
により表される化合物を使用することが好ましい場合がある。
上に示される一般式(1)により表される疎水性変性ポリウレタンは、例えば、式R1-[(O-R2)k-OH]mにより表される少なくとも1種のポリエーテルポリオールと、式R3-(NCO)h+1により表される少なくとも1種のポリイソシアネートと、式HO-(R4-O)n-R5により表される少なくとも1種のポリモノアルコールとを反応させることによって得られる。
このような場合には、一般式(1)のR1〜R5は、化合物R1-[(O-R2)k-OH]m、R3-(NCO)h+1及びHO-(R4-O)n-R5によって決定される。3種の化合物の間の投入比率は特に限定されず、好ましくは、ポリイソシアネートに由来するイソシアネート基の、ポリエーテルポリオール及びポリエーテルモノアルコールに由来するヒドロキシル基に対する比が、NCO/OHで0.8:1から1.4:1の間の範囲内で選択されるようにするべきである。
式R1-[(O-R2)k-OH]mにより表され、且つ一般式(1)により表されるポリエーテル-ポリウレタンを得るために好ましくは使用されうる、ポリエーテルポリオール化合物は、m価ポリオールの、アルキレンオキシド、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド若しくはエピクロロヒドリン又はスチレンオキシド等との付加重合から得ることができる。
ポリオールは、好ましくは、2〜8価ポリオールであるべきである。2〜8価ポリオールの例には、2価アルコール、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサメチレングリコール及びネオペンチルグリコール; 3価アルコール、例えばグリセロール、トリオキシイソブタン、1,2,3-ブタントリオール、1,2,3-ペンタントリオール、2-メチル-1,2,3-プロパントリオール、2-メチル-2,3,4-ブタントリオール、2-エチル-1,2,3-ブタントリオール、2,3,4-ペンタントリオール、2,3,4-ヘキサントリオール、4-プロピル-3,4,5-ヘプタントリオール、2,4-ジメチル-2,3,4-ペンタントリオール、ペンタメチルグリセロール、ペンタグリセロール、1,2,4-ブタントリオール、1,2,4-ペンタントリオール、トリメチロールエタン及びトリメチロールプロパン; 4価アルコール、例えばペンタエリスリトール、1,2,3,4-ペンタンテトロール、2,3,4,5-ヘキサンテトロール、1,2,4,5-ペンタンテトロール及び1,3,4,5-ヘキサンテトロール; 5価アルコール、例えばアドニトール、アラビトール及びキシリトール; 6価アルコール、例えばジペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール及びイジトール;並びに8価アルコール、例えばスクロースが挙げられる。
また、R2は、付加に供されるアルキレンオキシド、スチレンオキシド等によって決定される。詳細には、入手可能性及び優れた効果のために、2〜4個の炭素原子を有するアルキレンオキシド、又はスチレンオキシドが好ましい。
付加に供されるアルキレンオキシド、スチレンオキシド等は、単独重合に供されてもよく、又は少なくとも2つのメンバーでランダム重合若しくはブロック重合に供されてもよい。付加のための手順は、従来の手順であってよい。また、重合度kは、0〜1,000の範囲内、好ましくは1〜500の範囲内、より好ましくは10〜200の範囲内で選択することができる。更に、R2を占めるエチレン基の比は、好ましくは、R2の総量に対して、50〜100質量%の範囲内にあるべきである。このような場合、本発明の目的に適当である親水性非イオン性ポリマー会合性増粘剤が得られる。
更に、式R1-[(O-R2)k-OH]mにより表されるポリエーテルポリオール化合物の分子量は、好ましくは500〜100,000の範囲内で選択されるべきであり、より好ましくは1,000〜50,000の範囲内で選択されるべきである。
式R3-(NCO)h+1により表され、且つ本発明により用いられる一般式(1)により表される疎水性修飾されたポリエーテルウレタンを得るために好ましくは使用されうるポリイソシアネートは、そのポリイソシアネートが分子内に少なくとも2つのイソシアネート基を有する限り、特に限定されない。ポリイソシアネートの例には、脂肪族ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート、脂環状ジイソシアネート、ビフェニルジイソシアネート、フェニルメタンジイソシアネート、フェニルメタントリイソシアネート及びフェニルメタンテトライソシアネートが挙げられる。
また、上記で列挙されたポリイソシアネートの二量体及び三量体(イソシアヌレート結合)を用いることも可能である。更に、アミンとの反応によって得られるビウレットを用いることが可能である。
更に、前述のポリイソシアネート化合物とポリオールとの反応によって得られるウレタン結合を有するポリイソシアネートを用いることが可能である。ポリオールとして、2〜8価ポリオールが好ましく、上記で列挙されたポリオールが好ましい。3価以上のポリイソシアネートが、式R3-(NCO)n+1により表されるポリイソシアネートとして使用される場合は、ウレタン結合を有する前述のポリイソシアネートを用いることが好ましい。
式HO-(R4-O)n-R5により表され、且つ本発明により用いられる一般式(1)により表される疎水性修飾されたポリエーテルウレタンを得るために好ましくは使用されうるポリエーテルモノアルコールは、そのポリエーテルモノアルコールが、直鎖、分枝鎖、又は第二級一価アルコールのポリエーテルである限り、特に限定されない。ポリエーテルモノアルコールは、直鎖、分枝鎖、又は第二級一価アルコールの、アルキレンオキシド、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド若しくはエピクロロヒドリンとの、又はスチレンオキシド等との付加重合によって得ることができる。
一般式(1)により表される化合物は、例えば、80〜90℃の温度で1〜3時間加熱し、それによってポリエーテル及びイソシアネートの通常の反応と同じ方法で反応を引き起こすことによって生成することができる。
一般式(1)により表される化合物として、ポリエチレングリコール-240/デシルテトラデセス-20/ヘキサメチレンジイソシアネートコポリマーが好ましい。ポリエチレングリコール-240/デシルテトラデセス-20/ヘキサメチレンジイソシアネートコポリマーは、PEG-240/HDIコポリマービス-デシルテトラデセス-20エーテルとも称される。
本発明によれば、親水性非イオン性ポリマー会合性増粘剤が、Rheox社により名称Rheolate FX 1100で販売されているステアレス-100/PEG-136/HDIコポリマー、旭電化工業株式会社により名称Adekanol GT-700で販売されているPEG-240/HDIコポリマービス-デシルテトラデセス-20エーテル、及びこれらの混合物から選択されることが好ましい。
{親水性非イオン性多糖増粘剤}
親水性非イオン性多糖増粘剤は、本明細書では、好ましくは増粘剤の主鎖として少なくとも1種の多糖をベースとする親水性非イオン性増粘剤を意味する。
親水性非イオン性多糖増粘剤は、例えば、「Encyclopedia of Chemical Technology」、Kirk-Othmer、第3版、1982年、第3巻、896〜900頁、及び第15巻、439〜458頁において、E. A. MacGregor及びC. T. Greenwoodによる「Polymers in Nature」、John Wiley & Sons社発行、第6章、240〜328頁、1980年において、並びに「Industrial Gums--Polysaccharides and their Derivatives」、Roy L. Whistler編、第2版、Academic Press Inc.社発行に記載されているものから選ぶことができ、これら3つの刊行物の内容は、参照により全体が組み込まれる。
詳細には、親水性非イオン性多糖増粘剤は、例えば、グルカン、変性及び非変性デンプン(例えば、例えば穀類に由来するもの、例としてはコムギ、トウモロコシ又はコメ、野菜に由来するもの、例としてはイエローピー、及び塊茎、例としてはジャガイモ又はキャッサバ)、アミロース、アミロペクチン、グリコーゲン、デキストラン、セルロース、及びそれらの誘導体(メチルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース及びカルボキシメチルセルロース)、マンナン、キシラン、リグニン、アラバン、ガラクタン、ガラクツロナン、キチン、キトサン、グルクロノキシラン、アラビノキシラン、キシログルカン、グルコマンナン、ペクチン酸及びペクチン、アルギン酸及びアルギネート、アラビノガラクタン、カラゲナン、寒天、グリコサミノグルカン、アラビアガム、トラガカントガム、ガッティガム、カラヤガム、カロブガム、ガラクトマンナン、例えばグアーガム、及びそれらの非イオン性誘導体(例えばヒドロキシプロピルグアー)、及びキサンタンガム、並びにこれらの混合物から選ぶことができる。
親水性非イオン性多糖増粘剤として、例えばデンプン、グアーガム、イヌリン及びセルロース、並びにそれらの誘導体を、好ましくは使用することができる。
使用されうるデンプンの中で、例えば、無水グルコース単位である元素部分を含むポリマーの形態の高分子を挙げることができる。これらの部分の数、及びこれらのアセンブリは、アミロース(直鎖状ポリマー)とアミロペクチン(分枝状ポリマー)とを区別することを可能にする。アミロースとアミロペクチンの相対割合及びまた、それらの重合度は、デンプンの植物起源に応じて変動しうる。
使用されるデンプン分子の植物起源は、穀類又は塊茎であってよい。そのため、デンプンは、例えば、トウモロコシデンプン、コメデンプン、キャッサバデンプン、タピオカデンプン、オオムギデンプン、ジャガイモデンプン、コムギデンプン、ソルガムデンプン及びエンドウマメデンプンから選ぶことができる。
デンプンは、一般に、冷水に不溶性であり且つ3〜100ミクロンの範囲の基本粒径を有する白色粉末の形態である。
デンプンは、任意選択でC1〜C6ヒドロキシアルキル化又はC1〜C6アシル化(例えばアセチル化)されていてよい。デンプンはまた、熱処理を受けていてよい。
リン酸二デンプン、又はリン酸二デンプンに富む化合物、例としてはAvebe社により参照名Prejel VA-70-T AGGL(ゼラチン化されたヒドロキシプロピル化キャッサバリン酸二デンプン)、又はPrejel TK1(ゼラチン化されたキャッサバリン酸二デンプン)、又はPrejel 200(ゼラチン化されたアセチル化キャッサバリン酸二デンプン)、又はNational Starch社製のStructure Zea(ヒドロキシプロピル化されたトウモロコシリン酸二デンプン)で販売されている製品もまた使用することができる。
グアーガムは、変性されていても非変性であってもよい。
非変性グアーガムは、例えば、Unipectine社により名称Vidogum GH 175で、並びにMeyhall社により名称Meypro-Guar 50及びJaguar Cで販売されている製品である。
変性非イオン性グアーガムは、例えば、C1〜C6ヒドロキシアルキル基で変性されている。
ヒドロキシアルキル基の中で、例えば、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル及びヒドロキシブチルの各基を挙げることができる。
これらのグアーガムは、先行技術において周知であり、且つ、例えば、ヒドロキシプロピル基で変性されたグアーガムを得るために、プロピレンオキシド等の対応するアルケンオキシドをグアーガムと反応させることによって調製することができる。
ヒドロキシアルキル化度は、グアーガムに存在する遊離ヒドロキシ官能基の数によって消費されるアルキレンオキシド分子の数に相当し、例えば0.4〜1.2の範囲でありうる。
ヒドロキシアルキル基で任意選択で変性されたこのような非イオン性グアーガムは、例えばSolvay社により商品名Jaguar HP-8 COS、Jaguar HP-60及びJaguar HP-120で販売されている。
使用されるセルロースの中で、例えばヒドロキシエチルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロースがある。Ashland社により名称Klucel EF、Klucel H、Klucel MF及びKlucel Gで販売されている製品を挙げることができる。
或いは、親水性非イオン性多糖増粘剤として、微生物に由来する多糖もまた、好ましくは使用することができる。
微生物に由来する多糖は、細菌等の微生物によって生成される多糖を意味する。
微生物に由来する多糖は、植物に由来する多糖ではない。そのため、微生物に由来する多糖が、セルロースにベースとしないことが好ましい場合がある。
微生物に由来する多糖の例として、カルドラン、キサンタンガム、ジェランガム、デキストラン、プルラン、スクレロチウムガム、及びこれらの混合物を挙げることができる。
微生物に由来する多糖が、スクレロチウムガム、キサンタンガム、及びこれらの混合物からなる群から選択されることが好ましい場合がある。
(d)テクスチャー剤が、寒天、グアーガム、ヒドロキシプロピルグアーガム、スクレロチウムガム及びPEG-240/HDIコポリマービス-デシルテトラデセス-20エーテルからなる群から選択されることが、更により好ましい場合がある。
本発明による組成物中の(d)テクスチャー剤の量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%以上、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上であってよい。
本発明による組成物中の(d)テクスチャー剤の量は、組成物の総質量に対して、15質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下であってよい。
本発明による組成物中の(d)テクスチャー剤の量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%〜15質量%、好ましくは0.05質量%〜10質量%、より好ましくは0.1質量%〜5質量%であってよい。
[美容有効成分]
本発明による組成物は、少なくとも1種の(付加的な)美容有効成分を含んでよい。それが、(a)ポリイオンコンプレックス、並びに存在する場合は(c)脂肪物質及び(d)テクスチャー剤と異なっている限り、付加的な美容有効成分に限定はない。2種以上の付加的な美容有効成分を組み合わせて使用してもよい。そのため、単一のタイプの付加的な美容有効成分、又は異なるタイプの付加的な美容有効成分の組合せを使用することができる。
使用される付加的な美容有効成分の中で、疎水性又は水不溶性UV遮蔽剤、抗酸化剤、クレンジング剤、フリーラジカル捕捉剤、保湿剤、美白剤、脂質調節剤、抗ニキビ剤、抗フケ剤、抗老化剤、柔軟剤、抗しわ剤、角質溶解剤、フレッシュナー、抗菌剤、抗真菌剤、発汗抑制剤、デオドラント、皮膚コンディショナー、麻酔剤、栄養剤、及び皮脂吸収剤又は水分吸収剤を挙げることができる。
本発明による組成物は、付加的な美容有効成分を、組成物の総質量に対して、0.01質量%〜30質量%、好ましくは0.1質量%〜20質量%、より好ましくは1質量%〜10質量%の量で含んでよい。
[pH]
本発明による組成物のpHは、3〜9、好ましくは3.5〜8.5、より好ましくは4〜8であってよい。
3〜9のpHにおいて、(a)ポリイオンコンプレックスは非常に安定であることができる。
本発明による組成物のpHは、(a)ポリイオンコンプレックス中に組み込まれる架橋剤以外に、少なくとも1種のアルカリ剤及び/又は少なくとも1種の酸を添加することによって調整することができる。本発明による組成物のpHはまた、少なくとも1種の緩衝剤を添加することによって調整することができる。
(アルカリ剤)
本発明による組成物は、少なくとも1種のアルカリ剤を含んでよい。2種以上のアルカリ剤を組み合わせて使用してもよい。そのため、単一のタイプのアルカリ剤、又は異なるタイプのアルカリ剤の組合せを使用することができる。
アルカリ剤は、無機アルカリ剤であってもよい。無機アルカリ剤が、アンモニア、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属リン酸塩及びリン酸一水素塩、例えばリン酸ナトリウム又はリン酸一水素ナトリウムからなる群から選択されることが好ましい。
無機アルカリ金属水酸化物の例として、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムを挙げることができる。アルカリ土類金属水酸化物の例として、水酸化カルシウム及び水酸化マグネシウムを挙げることができる。無機アルカリ剤として、水酸化ナトリウムが好ましい。
アルカリ剤は、有機アルカリ剤であってもよい。有機アルカリ剤が、モノアミン及びその誘導体、ジアミン及びその誘導体、ポリアミン及びその誘導体、塩基性アミノ酸及びその誘導体、塩基性アミノ酸のオリゴマー及びその誘導体、塩基性アミノ酸のポリマー及びその誘導体、尿素及びその誘導体、並びにグアニジン及びその誘導体からなる群から選択されることが好ましい。
有機アルカリ剤の例として、アルカノールアミン、例えばモノ-、ジ-及びトリ-エタノールアミン、並びにイソプロパノールアミン;尿素、グアニジン及びそれらの誘導体;塩基性アミノ酸、例えばリジン、オルニチン又はアルギニン;並びにジアミン、例えば構造:
Figure 2021134161
(式中、Rは、ヒドロキシル又はC1〜C4アルキル基で任意選択で置換されているプロピレン等のアルキレンを示し、R1、R2、R3及びR4は、独立に、水素原子、アルキル基又はC1〜C4ヒドロキシアルキル基を示す)
で説明されているものを挙げることができ、これは、1,3-プロパンジアミン及びその誘導体によって例示することができる。アルギニン、尿素及びモノエタノールアミンが好ましい。
アルカリ剤は、その溶解度に応じて、組成物の総質量に対して、0.01質量%〜10質量%、好ましくは0.05質量%〜5質量%、より好ましくは0.1質量%〜1質量%の総量で使用することができる。
(酸)
本発明による組成物は、(a)粒子に組み込まれる(d)酸以外の少なくとも1種の酸を含んでよい。2種以上の酸を組み合わせて使用してもよい。そのため、単一のタイプの酸、又は異なるタイプの酸の組合せを使用することができる。
酸として、化粧料中で一般に使用される任意の無機又は有機酸、好ましくは無機酸を挙げることができる。一価の酸及び/又は多価の酸を使用することができる。クエン酸、乳酸、硫酸、リン酸及び塩酸(HCl)等の一価の酸を使用することができる。乳酸が好ましい場合がある。
酸は、その溶解度に応じて、組成物の総質量に対して、0.01質量%〜10質量%、好ましくは0.05質量%〜5質量%、より好ましくは0.1質量%〜1質量%の総量で使用することができる。
(緩衝剤)
本発明による組成物は、少なくとも1種の緩衝剤を含んでよい。2種以上の緩衝剤を組み合わせて使用してもよい。そのため、単一のタイプの緩衝剤、又は異なるタイプの緩衝剤の組合せを使用することができる。
緩衝剤として、酢酸緩衝剤(例えば、酢酸+酢酸ナトリウム)、リン酸緩衝剤(例えば、リン酸二水素ナトリウム+リン酸水素二ナトリウム)、クエン酸緩衝剤(例えば、クエン酸+クエン酸ナトリウム)、ホウ酸緩衝剤(例えば、ホウ酸+ホウ酸ナトリウム)、酒石酸緩衝剤(例えば、酒石酸+酒石酸ナトリウム二水和物)、トリス緩衝剤[例えば、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン]、Hepes緩衝剤[4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸]を挙げることができる。
[任意選択の添加剤]
本発明による組成物は、前述の成分に加え、化粧料中で典型的に使用される成分、例えば、界面活性剤又は乳化剤、保存剤、例えばフェノキシエタノール及びカプリリルグリコール、有機不揮発性溶媒、植物由来の天然の抽出物等を、本発明の効果を損なわない範囲内で含んでよい。
本発明による組成物が顔料又は染料を含まないことが好ましい。
本発明による組成物は、上記の任意選択の添加剤を、組成物の総質量に対して、0.01質量%〜50質量%、好ましくは0.05質量%〜30質量%、より好ましくは0.1質量%〜10質量%の量で含んでよい。
但し、本発明による組成物は、非常に限られた量の界面活性剤又は乳化剤を含むことがある。本発明による組成物中の界面活性剤又は乳化剤の量は、組成物の総質量に対して、1質量%以下、好ましくは0.1質量%以下、より好ましくは0.01質量%以下でありうる。本発明による組成物が界面活性剤又は乳化剤を含まないことが特に好ましい。
[組成物]
本発明による組成物が(b)水を含むので、本発明による組成物は、少なくとも1つの水性相を含むことができる。
水性相は、少なくとも1種のC2〜C6一価アルコールを含んでよい。2種以上のC2〜C6一価アルコールを組み合わせて使用することができる。
本発明に好適なC2〜C6一価アルコールは、2〜5個の炭素原子、好ましくは2〜4個の炭素原子を含んでよく、例えばエタノール、イソプロパノール、プロパノール又はブタノールである。
エタノール及びイソプロパノール、好ましくはエタノールが、本発明にきわめて特に好適である。
本発明による組成物中のC2〜C6一価アルコールの量は、組成物の総質量に対して、20質量%以下、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下であってよい。他方で、本発明による組成物中のC2〜C6一価アルコールの量は、組成物の総質量に対して、5質量%以上、好ましくは6質量%以上、より好ましくは7質量%以上である。例えば、C2〜C6一価アルコールの量は、組成物の総質量に対して、5質量%〜20質量%、好ましくは6質量%〜15質量%、より好ましくは7質量%〜10質量%であってよい。
水性相は、2〜8個の炭素原子を含有する多価アルコール、例えばプロピレングリコール、エチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、及びこれらの混合物を含んでよい。
存在する場合、本発明による水性相中のグリコール等の多価アルコールの量は、組成物の総質量に対して、0.1質量%〜15質量%、好ましくは0.5質量%〜12質量%、より好ましくは1質量%〜8質量%の範囲であってよい。
本発明による組成物が、(c)少なくとも1種の脂肪物質を含む場合、本発明による組成物は、少なくとも1つの脂肪相を含むことができる。
(c)脂肪物質が油を含む場合、本発明による組成物は、容易に、エマルション、O/Wエマルション又はW/Oエマルションの形態であることができる。本発明による組成物が、O/Wエマルションの形態であることが好ましく、その理由は、それが、その外相を形成する(b)水に起因して、清涼感を付与できるからである。
エマルション、特定するとO/Wエマルション中の界面活性剤又は乳化剤の量が、組成物の総質量に対して、1質量%以下、好ましくは0.1質量%以下、より好ましくは0.01質量%以下であることがより好ましい場合があり、その理由は、界面活性剤が、耐水性に悪影響を与えるおそれがあるからである。エマルション、特定するとO/Wエマルションが、界面活性剤又は乳化剤を含まないことが特に好ましい。
本発明による組成物は、化粧用組成物として使用されることが意図されてよい。そのため、本発明による化粧用組成物は、ケラチン繊維上への塗布が意図されてよい。ケラチン繊維は、本明細書では、ケラチンを主要構成要素として含有する繊維を意味し、その例には、毛髪、睫毛、眉毛等が挙げられる。本発明による化粧用組成物が、ケラチン繊維、より好ましくは毛髪のための、美容方法のために使用されることが好ましい。
本発明による組成物は、好ましくは、毛髪等のケラチン繊維のためのリーブオン又はリンスオフ化粧用組成物として使用することができる。「リーブオン」は、本明細書では、本発明による組成物が、ケラチン繊維上に塗布された後で、ケラチン繊維から除去されないことを意味する。「リンスオフ」は、本明細書では、本発明による組成物が、ケラチン繊維上に塗布された後で、濯ぐことによって、ケラチン繊維から除去されることを意味する。水を、濯ぐために使用することができる。リンスオフした後であっても、本発明による組成物は、残存して、毛髪等のケラチン繊維上で、皮膜又はコーティングを形成することができる。
本発明による組成物は、当業者に周知の方法のいずれかに従って、上記の必須成分と任意選択の成分とを混合することによって調製することができる。
[方法及び使用]
本発明はまた、
毛髪等のケラチン繊維のための美容方法であって、
本発明による組成物をケラチン繊維に塗布する工程と、
組成物を乾燥させてケラチン繊維上に化粧皮膜を形成する工程と
を含む、方法
並びに
皮膜、好ましくは化粧皮膜を調製する方法であって、
本発明による組成物を毛髪等のケラチン繊維上に塗布する工程と、
組成物を乾燥させる工程と
を含む、方法
にも関する。
更に、本発明はまた、
(a)カチオン性ポリマー、アニオン性ポリマー、両性ポリマー、及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種のイオン性ポリマー、
並びに
2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸若しくはその塩、2つ以上のpKb値を有する非ポリマー塩基若しくはその塩、及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の架橋剤
を含む少なくとも1種のポリイオンコンプレックスを含む皮膜、好ましくは化粧皮膜であって、
(a)ポリイオンコンプレックスの正電荷の量が(a)ポリイオンコンプレックスの負電荷の量よりも多い、
皮膜にも関する。
本発明はまた、毛髪等のケラチン繊維上での化粧皮膜の調製のための、本発明による組成物の使用にも関しうる。
美容方法は、本明細書では、毛髪等のケラチン繊維をケアする及び/又はスタイリングする非治療的美容方法を意味する。
上記の皮膜、好ましくは化粧皮膜は、pH7以下の水に耐性があり、pH7超、好ましくは8以上、より好ましくは9以上の水で除去可能である。
換言すると、上記の皮膜、好ましくは化粧皮膜は、pH7以下、好ましくは6以上で7以下の範囲、より好ましくは5以上で7以下の範囲等の中性又は酸性条件下で耐水性でありうるが、上記の皮膜、好ましくは化粧皮膜は、pH7超、好ましくは8以上、より好ましくは9以上等のアルカリ性条件下で除去されうる。pHの上限は、好ましくは13、より好ましくは12、更により好ましくは11である。
したがって、上記の皮膜、好ましくは化粧皮膜は、耐水性であることができ、したがって、それは、ケラチン繊維の表面が例えば汗及び雨により濡れている場合であっても、毛髪等のケラチン繊維上に残存することができる。他方で、上記の皮膜、好ましくは化粧皮膜は、アルカリ性条件下で、毛髪等のケラチン繊維から容易に除去されうる。したがって、上記の皮膜、好ましくは化粧皮膜は、水で除去することは困難であるが、例えば、アルカリ性条件をもたらすことができる石けんで容易に除去されうる。
更に、上記の皮膜は、皮膜が美容有効成分を一切含まない場合であっても、皮膜中のポリイオンコンプレックス粒子の特性に起因して、悪臭を吸収する若しくは吸着すること、毛髪等のケラチン繊維の外観を変更すること、ケラチン繊維の触感を変更すること、及び/又は例えば汚れ若しくは汚染物質からケラチン繊維を保護すること等の美容効果を有しうる。
上記の皮膜が(c)脂肪物質以外の少なくとも1種の付加的な美容有効成分を含む場合、皮膜は、その付加的な美容有効成分によってもたらされる美容効果を有することができる。
本発明はまた、
(a)カチオン性ポリマー、アニオン性ポリマー、両性ポリマー、及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種のイオン性ポリマー、
並びに
2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸若しくはその塩、2つ以上のpKb値を有する非ポリマー塩基若しくはその塩、及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の架橋剤
を含む少なくとも1種のポリイオンコンプレックスであって、(a)ポリイオンコンプレックスの正電荷の量が(a)ポリイオンコンプレックスの負電荷の量よりも多い、ポリイオンコンプレックスの、(b)水を含む、毛髪等のケラチン繊維のための化粧用組成物における使用であって、組成物が毛髪等のケラチン繊維に滑らかさと柔らかさとの両方の点で改善されたテクスチャーを付与するための、使用にも関する。組成物は、(c)少なくとも1種の脂肪物質を、更に含んでよい。
本発明による組成物中の成分(a)〜(c)に関する説明は、本発明による使用における説明にも当てはめることができる。
本発明を、実施例によって、より詳細に説明する。しかしながら、それらは、本発明の範囲を限定するものと解釈すべきではない。
(実施例1及び2並びに比較例1〜3)
[調製]
実施例1及び2並びに比較例1〜3による組成物を、表1に示す成分を混合して調製した。
具体的には、第1に、ヒドロキシルプロピルグアーを水に溶解して、ヒドロキシルプロピルグアーと水との混合物を得た。混合物を水浴で70℃に加熱した。次いで、ポリクオタニウム-67を混合物に添加して完全に分散させた。次いで、ヒドロキシルプロピルグアーとポリクオタニウ-67と水との混合物の、水浴での加熱を止め、水溶を外した。次いで、実施例1、比較例1及び比較例3のために、40質量%ポリクオタニウム-6水性溶液を混合物に添加した。更に実施例1及び比較例3のために、水酸化ナトリウムを混合物に添加した。更に、実施例1及び2並びに比較例2及び3のために、50質量%フィチン酸水性溶液を混合物に添加した。次いで、混合物をホモジナイザを用いて均質化して、ポリイオンコンプレックスを含む組成物を得た。
次に、ジメチコンとイソドデカンとのプレミックスを、上記工程により得た混合物に添加し、ホモジナイザを用いて高速混合で均質化した。また、次いでフェノキシエタノールを混合物に添加し、ホモジナイザを用いて高速混合で均質化した。
次に、そのようにして得た混合物のpHを、NaOH又は乳酸を添加して約6に調整し、続いてホモジナイザを用いて均質化した。
乳状液の形態である均一な組成物を得た。
上記の調製において使用した各成分の量を表1に示す。表1に示す成分の量についての数値はすべて、活性原料の「質量%」に基づく。
Figure 2021134161
[評価]
{カチオンとアニオンとの和}
実施例1及び2並びに比較例1〜3による組成物のそれぞれにおけるポリイオンコンプレックスを形成しているカチオン性成分とアニオン性成分とのカチオンとアニオンとの和を、以下の通り算出した。
第1に、各カチオン性成分及びアニオン性成分の電荷密度を、式:
電荷密度=(分子の荷電した部位の数)/(存在する場合、対イオンを有する分子のモル質量)[eq/g]
(式中、分子がポリマーの形態である場合、分子は、ポリマーの繰り返し単位を意味する)
に従って算出した。
例えば、分子がフィチン酸である場合、pH6でのフィチン酸の荷電した部位の数は-6であると決定することができ、その理由は、フィチン酸中の6つの酸基がおよそ1.84のpKa値を有することが既知であるためである[Organic Synthetic Chemistry、第25巻、第2号、167〜179頁(1967年)を参照されたい]。フィチン酸のモル質量が660であるため、フィチン酸の電荷密度は、-6/660=-0.0091=-9.1[meq/g]として算出することができる。
他方で、分子がポリクオタニウム-6である場合、ポリクオタニウム-6の荷電した部位の数は1であると決定することができ、その理由は、ポリクオタニウム-6の繰り返し単位を以下の通り表すことができるためである。
Figure 2021134161
上記繰り返し単位のモル質量が126+35.5であるので、ポリクオタニウム-6の電荷密度は、1/(126+35.5)=0.00619=+6.2[meq/g]として算出することができる。
電荷密度は、公開情報から入手することができる。例えば、ポリクオタニウム-67の電荷密度は、J. Cosmet.Sci., 58、421〜434頁(2007年)に記載されている情報に基づいて+1.45/2=+0.73[meq/g]として決定することができる。J. Cosmet.Sci., 58、421〜434頁(2007年)は、2質量%の窒素(カチオン性部分でありうる)を含むポリクオタニウム-67のカチオン性密度が1.45meq/gであると記載している。実施例1及び2中並びに比較例1〜3において使用されるポリクオタニウム-67(Softcat Polymer SL-100)が1質量%の窒素を含むので、ポリクオタニウム-67の電荷密度は、+1.45/2=+0.73[meq/g]として算出することができる。
第2に、カチオン性成分の電荷密度をカチオン性成分の量と掛けて、カチオンの和を決定した。
例えば、実施例1におけるポリクオタニウム-6に関して、カチオンの和は、+6.2を0.88*0.4=+2.2[meq/g]と掛けて決定した。
また、実施例1中のポリクオタニウム-67に関して、カチオンの和は、+0.73を0.37=+0.27[meq/g]と掛けて決定した。
第3に、アニオン性成分の電荷密度をアニオン性成分の量と掛けて、アニオンの和を決定した。
例えば、実施例1のおけるフィチン酸に関して、アニオンの和は、-9.1を0.3*0.5=-1.4[meq/g]と掛けて決定した。
最後に、アニオンの和とカチオンの和とを総計して、カチオンとアニオンとの和を算出した。例えば、実施例1に関して、カチオンとアニオンとの和は、+2.2+0.27-1.4=+1.07[meq/g]として算出した。
実施例2及び比較例1〜3のそれぞれについて、カチオンとアニオンとの和を同様に算出した。
結果を表1に示す。
カチオンとアニオンとの和の正の数は、ポリイオンコンプレックスが、全体として正電荷を有すること、すなわち、ポリイオンコンプレックスの総電荷又は正味電荷が正であることを意味する。
カチオンとアニオンとの和の負の数は、ポリイオンコンプレックスが、全体として負電荷を有すること、すなわち、ポリイオンコンプレックスの総電荷又は正味電荷が負であることを意味する。
{リーブオン}
毛髪見本を使用して、実施例1及び2並びに比較例1〜3による組成物のそれぞれを毛髪見本上に塗布して続いて乾燥させた後の、乾いた毛髪の滑らかさと柔らかさとのテクスチャーを、6人のパネリストが以下の評価基準に従って評価した。ベンチマークは、組成物を塗布しなかった毛髪見本を意味する。
非常に良好: 4〜6人のパネリストがベンチマークよりも良好であると考えた
良好: 2人又は3人のパネリストがベンチマークよりも良好であると考えた
不良: 0又は1人のパネリストがベンチマークよりも良好であると考えた
結果を表1に示す。
実施例1及び2による組成物は、毛髪に、比較例1〜3による組成物よりも、滑らかさと柔らかさとの両方の、良好なテクスチャーを付与することができた。
{リンスオフ}
毛髪見本を使用して、実施例1及び2並びに比較例1〜3による組成物のそれぞれを毛髪見本上に塗布して続いて濯いで乾燥させた後の、濯いでいる間の滑らかさと柔らかさとのテクスチャー、及び乾いた毛髪の滑らかさと柔らかさとのテクスチャーを、6人のパネリストが以下の評価基準に従って評価した。ベンチマークは、組成物を塗布しなかった毛髪見本を意味する。
非常に良好: 4〜6人のパネリストがベンチマークよりも良好であると考えた
良好: 2人又は3人のパネリストがベンチマークよりも良好であると考えた
不良: 0又は1人のパネリストがベンチマークよりも良好であると考えた
結果を表1に示す。
実施例1及び2による組成物は、毛髪を濯いでいる間と毛髪を乾かした後の両方の場合において、比較例1〜3による組成物よりも、毛髪に、滑らかさと柔らかさとの両方の良好なテクスチャーを付与することができた。

Claims (15)

  1. (a)カチオン性ポリマー、アニオン性ポリマー、両性ポリマー、及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種のイオン性ポリマー、
    並びに
    2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸若しくはその塩、2つ以上のpKb値を有する非ポリマー塩基若しくはその塩、及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の架橋剤
    を含む少なくとも1種のポリイオンコンプレックスと、
    (b)水と
    を含む、組成物、好ましくは化粧用組成物、より好ましくはケラチン繊維のための化粧用組成物であって、
    (a)ポリイオンコンプレックスの正電荷の量が(a)ポリイオンコンプレックスの負電荷の量よりも多い、
    組成物。
  2. (a)ポリイオンコンプレックスが、
    (i)少なくとも1種のカチオン性ポリマー、及び少なくとも1種の2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸若しくはその塩、
    (ii)少なくとも1種のカチオン性ポリマー、少なくとも1種のアニオン性ポリマー、並びに少なくとも1種の2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸若しくはその塩及び/又は少なくとも1種の2つ以上のpKb値を有する非ポリマー塩基若しくはその塩、
    (iii)少なくとも1種のカチオン性ポリマー、少なくとも1種の両性ポリマー、並びに少なくとも1種の2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸若しくはその塩及び/又は少なくとも1種の2つ以上のpKb値を有する非ポリマー塩基若しくはその塩、
    (iv)少なくとも1種のカチオン性ポリマー、少なくとも1種のアニオン性ポリマー、少なくとも1種の両性ポリマー、並びに少なくとも1種の2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸若しくはその塩及び/又は少なくとも1種の2つ以上のpKb値を有する非ポリマー塩基若しくはその塩、
    (v)少なくとも1種のアニオン性ポリマー、及び少なくとも1種の2つ以上のpKb値を有する非ポリマー塩基若しくはその塩、
    (vi)少なくとも1種のアニオン性ポリマー、少なくとも1種の両性ポリマー、並びに少なくとも1種の2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸若しくはその塩及び/又は少なくとも1種の2つ以上のpKb値を有する非ポリマー塩基若しくはその塩、又は
    (vii)少なくとも1種の両性ポリマー、並びに少なくとも1種の2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸若しくはその塩及び/又は少なくとも1種の2つ以上のpKb値を有する非ポリマー塩基若しくはその塩
    を含む、請求項1に記載の組成物。
  3. (a)ポリイオンコンプレックスが、少なくとも1種のカチオン性ポリマー、及び少なくとも1種の2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸若しくはその塩を含む、請求項1又は2に記載の組成物。
  4. カチオン性ポリマーが、カチオン性多糖、好ましくはカチオン性セルロースポリマー、より好ましくは少なくとも1つの脂肪鎖を含む少なくとも1つの第四級アンモニウム基を有するカチオン性セルロースポリマーから選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
  5. カチオン性ポリマーが、ポリクオタニウム-4、ポリクオタニウム-6、ポリクオタニウム-7、ポリクオタニウム-10、ポリクオタニウム-24、ポリクオタニウム-67、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
  6. 組成物中のイオン性ポリマーの量が、組成物の総質量に対して、0.01質量%〜10質量%、好ましくは0.05質量%〜5質量%、より好ましくは0.1質量%〜1質量%である、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
  7. 2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸又はその塩が、テレフタリリデンジカンファースルホン酸及びその塩(Mexoryl SX)、黄色6号(サンセットイエローFCF)、アスコルビン酸、フィチン酸、クエン酸、酒石酸、及びそれらの塩、並びにこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
  8. 組成物中の架橋剤の量が、組成物の総質量に対して、0.001質量%〜10質量%、好ましくは0.005質量%〜5質量%、より好ましくは0.01質量%〜1質量%である、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
  9. 組成物中の(b)水の量が、組成物の総質量に対して、50質量%〜99質量%、好ましくは60質量%〜97質量%、より好ましくは70質量%〜95質量%である、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
  10. pHが、3〜9、好ましくは3.5〜8.5、より好ましくは4〜8である、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
  11. (c)少なくとも1種の脂肪物質、好ましくは少なくとも1種の油及び/又は少なくとも1種のワックスを更に含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。
  12. 好ましくは親水性非イオン性ポリマー増粘剤から選択される、より好ましくは親水性非イオン性ポリマー会合性増粘剤及び親水性非イオン性多糖増粘剤から選択される、(d)少なくとも1種のテクスチャー剤を更に含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物。
  13. 毛髪等のケラチン繊維のための美容方法であって、
    請求項1から12のいずれか一項に記載の組成物をケラチン繊維に塗布する工程と、
    組成物を乾燥させてケラチン繊維上に化粧皮膜を形成する工程と
    を含む、美容方法。
  14. 皮膜、好ましくは化粧皮膜を調製する方法であって、
    請求項1から12のいずれか一項に記載の組成物を毛髪等のケラチン繊維に塗布する工程と、
    組成物を乾燥させる工程と
    を含む、方法。
  15. (a)カチオン性ポリマー、アニオン性ポリマー、両性ポリマー、及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種のイオン性ポリマー、
    並びに
    2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸若しくはその塩、2つ以上のpKb値を有する非ポリマー塩基若しくはその塩、及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の架橋剤
    を含む少なくとも1種のポリイオンコンプレックスを含む皮膜、好ましくは化粧皮膜であって、
    (a)ポリイオンコンプレックスの正電荷の量が(a)ポリイオンコンプレックスの負電荷の量よりも多い、
    皮膜。
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