JP2021133432A - 補正方法、伝達誤差補正値の検証プログラム、及び制御装置、ロボット - Google Patents
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Abstract
【課題】ロボットの減速機における角度伝達誤差補正値の妥当性を確認する方法を提供すること。【解決手段】減速機における伝達誤差補正値の確認方法は、モーターと、前記モーターに接続された減速機と、前記減速機の入力側の動作位置を検出する入力位置検出部と、前記減速機の出力側の動作位置を検出する出力位置検出部と、前記モーターによって前記減速機を介して駆動される可動部とを含む駆動機構において、前記減速機における動作の補正方法であって、前記モーターに第1動作を行わせることで前記減速機の前記動作を補正する補正値を前記入力位置検出部の検出値と前記出力位置検出部の検出値とを用いて算出する工程と、前記算出した前記伝達誤差補正値の絶対値と所定の閾値とを比較する工程と、を含み、前記伝達誤差補正値の絶対値が前記閾値以下である場合は、前記補正値を用いて前記減速機の前記動作を補正する。【選択図】図5
Description
本発明は、補正方法、伝達誤差補正値の検証プログラム、及び当該プログラムを搭載した制御装置、ロボットに関する。
従来、ロボットの技術分野において、減速機として波動歯車減速機が使用されている。例えば、特許文献1に記載があるように、波動歯車減速機は、その原理上、角度伝達誤差を持ち、ロボットの動作精度の悪化の原因となっていた。
しかしながら、特許文献1に記載の補正方法では、角度伝達誤差に対して妥当でない補正を行なう可能性があった。
本願に係る補正方法は、モーターと、前記モーターに接続された減速機と、前記減速機の入力側の動作位置を検出する入力位置検出部と、前記減速機の出力側の動作位置を検出する出力位置検出部と、前記モーターによって前記減速機を介して駆動される可動部とを含む駆動機構において、前記減速機における動作の補正方法であって、前記モーターに第1動作を行わせることで前記減速機の前記動作を補正する補正値を前記入力位置検出部の検出値と前記出力位置検出部の検出値とを用いて算出する工程と、前記算出した前記伝達誤差補正値の絶対値と所定の閾値とを比較する工程と、を含み、前記伝達誤差補正値の絶対値が前記閾値以下である場合は、前記補正値を用いて前記減速機の前記動作を補正する。
本願に係る補正方法は、モーターと、前記モーターに接続された減速機と、前記減速機の入力側の動作位置を検出する入力位置検出部と、前記減速機の出力側の動作位置を検出する出力位置検出部と、前記モーターによって前記減速機を介して駆動される可動部とを含む駆動機構において、前記減速機における動作の補正方法であって、前記モーターに第1動作を行わせることで前記減速機の前記動作を補正する補正値を前記入力位置検出部の検出値と前記出力位置検出部の検出値とを用いて算出する工程と、前記補正値を用いずに前記モーターに第2動作を行わせることで第1誤差量を算出する工程と、前記補正値を用いて前記モーターに前記第2動作を行わせることで第2誤差量を算出する工程と、前記第1誤差量と前記第2誤差量との差が所定の閾値以上であることを判断する工程と、を含み、前記第1誤差量と前記第2誤差量との差が前記閾値以上である場合は、前記補正値を用いて前記減速機の前記動作を補正する。
本願に係る制御装置は、モーターと、前記モーターに接続された減速機と、前記減速機の入力側の動作位置を検出する入力位置検出部と、前記減速機の出力側の動作位置を検出する出力位置検出部と、前記モーターによって前記減速機を介して駆動される可動部とを備えたロボットを制御する制御装置であって、前記モーターに第1動作を行わせるとともに、前記入力位置検出部の検出値と前記出力位置検出部の検出値とにより、前記減速機の角度伝達誤差を低減する伝達誤差補正値を算出し、前記算出した前記伝達誤差補正値の絶対値と所定の閾値とを比較し、前記伝達誤差補正値が前記閾値以下である場合は、前記補正値を用いて前記減速機の前記動作を補正する。
本願に係る伝達誤差補正値の検証プログラムは、モーターと、前記モーターに接続された減速機と、前記減速機の入力側の動作位置を検出する入力位置検出部と、前記減速機の出力側の動作位置を検出する出力位置検出部と、前記モーターによって前記減速機を介して駆動される可動部とを有するロボットを制御する制御装置が実行する、前記減速機における伝達誤差補正値の検証プログラムであって、前記モーターに第1動作を行わせるとともに、前記入力位置検出部と前記出力位置検出部とにより、前記減速機の角度伝達誤差を低減する伝達誤差補正値を算出するステップと、前記算出した前記伝達誤差補正値の絶対値と閾値とを比較するステップと、を含み、前記伝達誤差補正値の絶対値が前記閾値以下である場合は、前記補正値を用いて前記減速機の前記動作を補正する。
実施形態1
***ロボットシステムの構成***
図1は、実施形態1のロボットシステム1を示す説明図である。本実施形態のロボットシステム1は、ロボット100と、ロボット制御装置300と、設定装置600と、を備える。
***ロボットシステムの構成***
図1は、実施形態1のロボットシステム1を示す説明図である。本実施形態のロボットシステム1は、ロボット100と、ロボット制御装置300と、設定装置600と、を備える。
ロボット100は、回転関節X11を備えたアーム110を有する1軸ロボットである。回転関節X11は、ねじり関節である。ロボット100は、回転関節X11を回転させることにより、アーム110を、3次元空間中の指定された位置に配することができる。なお、実施形態1では、技術の理解を容易にするために、回転関節X11を一つだけ備えたロボットを例として示す。
ロボット100は、さらに、モーター410と、減速機510と、モーター角度センサー420と、出力側角度センサー520と、フレームF100と、を備える。アーム110と、モーター410と、減速機510と、モーター角度センサー420と、出力側角度センサー520とは、フレームF100に取りつけられている。
モーター410は、サーボモーターであり、ロボット制御装置300から電流を供給されて駆動力を発生させる。より具体的には、モーター410は、電流を供給されて、その出力軸410oを回転させる。モーター角度センサー420は、出力軸410oの角度位置を検出する。モーター角度センサー420が検出した出力軸410oの角度位置は、ロボット制御装置300に送信される。
減速機510は、入力軸510iと出力軸510oを備える。減速機510は、入力軸510iに対する回転入力を、回転入力より回転速度が低い回転出力に変換して、出力軸510oから出力する。減速機510は、具体的には、波動歯車減速機である。
減速機510の入力軸510iは、モーター410の出力軸410oに接続されている。そして、入力軸510iの角度位置は、モーター410の出力軸410oの角度位置と等しい。このため、モーター410の出力軸410oの角度位置を検出することができるモーター角度センサー420は、減速機510の入力軸510iの角度位置を検出していることとなる。
モーター410の出力軸410oからの継続的な一定の入力に対して、減速機510は、周期的な伝達誤差を発生させる。すなわち、モーター410の出力軸410oからの継続的な一定速度の回転入力に対して、減速機510の出力軸510oの回転速度および角度位置は、周期的なずれを含む。
アーム110は、減速機510の出力軸510oに固定されている。その結果、アーム110は、出力軸510oの回転によって、減速機510を介して、回転関節X11において回転される。なお、モーター410と、減速機510と、アーム110とで駆動機構ともいう。
出力側角度センサー520は、アーム110を挟んで減速機510とは逆の側に配されている。減速機510の出力軸510oは、アーム110を貫通している。出力側角度センサー520は、減速機510の出力軸510oの角度位置を検出する。すなわち、モーター角度センサー420が、減速機510の入力側の動作位置を検出しているのに対して、出力側角度センサー520は、減速機510の出力側の動作位置を検出している。
なお、本実施形態においては、駆動力を伝達する伝達部(本実施形態において減速機510)において、入力される駆動力を受ける部材(本実施形態において入力軸510i)の動作位置を、「入力側の動作位置」と記載する。駆動力を伝達する伝達部において、出力される駆動力を他の構成に伝達する部材(本実施形態において出力軸510o)の動作位置を、「出力側の動作位置」と記載する。
出力側角度センサー520は、具体的には、光学式のロータリーエンコーダーである。出力側角度センサー520は、絶対的な角度位置を検出することができるエンコーダーである。減速機510の出力軸510oの角度位置を検出するロータリーエンコーダーを設けることにより、減速機510の出力によって駆動されるより下流の構成(たとえば、エンドエフェクタ)の動作位置を測定する態様に比べて、減速機510の出力位置を正確に検出することができる。出力側角度センサー520が検出した出力軸510oの角度位置は、ロボット制御装置300に送信される。
ロボット制御装置300は、ロボット100を制御する制御装置である。ロボット制御装置300は、ロボット100に接続されている。ロボット制御装置300は、RAM301,ROM302,CPU303を備えるコンピューターである。CPU303は、ROM302に記憶されたコンピュータープログラムをRAM301にロードして実行することによって、後述する様々な機能を実現する。当該プログラムの中に、本実施形態の検証プログラムも含まれている。
設定装置600は、ロボット制御装置300に対して、ロボット100の動作の際に使用されるパラメーターを設定する。設定装置600は、出力装置として機能するディスプレイ602と、入力装置として機能するキーボード604およびマウス605と、を備えたコンピューターである。設定装置600は、さらに、CPU610とROM630とRAM640とを備えている。CPU610は、ROM630に記憶されたコンピュータープログラムをRAM640にロードして実行することによって、後述する様々な機能を実現する。
設定装置600は、ロボット制御装置300に接続されている。設定装置600は、ロボット制御装置300からの出力、具体的には、モーター角度センサー420と、出力側角度センサー520などからの出力に基づいて、ロボット100の動作の際に使用されるパラメーターを決定する。そして、設定装置600は、ロボット制御装置300のROM302に、そのパラメーターを記憶させる。ロボット制御装置300は、そのパラメーターを使用してロボット100に出力する制御信号を生成する。それらのパラメーターに基づいて制御信号を生成し、ロボット100を制御するCPU303の機能部を、「制御部309」として図2に示す。
図2は、ロボット制御装置300の制御部309の構成要素と、ロボット100が備えるモーター410およびモーター角度センサー420、減速機510、ならびに出力側角度センサー520と、の関係を示すブロック図である。ロボット制御装置300の制御部309は、制御信号生成部310と、位置制御部320と、速度制御部330と、補正部365と、出力速度推定部370と、理想手先速度算出部375、とを備える。
制御信号生成部310は、アーム110が位置すべき目標位置を表す位置制御信号を生成し、位置制御部320に出力する。
位置制御部320は、制御信号生成部310から位置制御信号を受信する。位置制御部320は、位置フィードバックとして、ロボット100のモーター角度センサー420から、モーター410の角度位置を受信する。位置制御部320は、それらの情報に基づいて、ロボット100のモーター410の速度制御信号を生成し、速度制御部330に出力する。
速度制御部330は、位置制御部320から速度制御信号を受信する。また、速度制御部330は、速度フィードバックとして、モーター角度センサー420から出力されたモーター410の角度位置を微分して得られる信号、すなわち回転速度の信号を受信する。図2において、角度位置の微分を表すブロックを「S」を付したブロックで示す。速度制御部330は、位置制御部320からの速度制御信号と、モーター410の回転速度と、に基づいて、トルク制御信号を生成し、出力する。その後、トルク制御信号に基づいて、モーター410に供給する電流量が決定され、決定された電流量の電流がモーター410に供給される。
補正部365は、モーター角度センサー420から、出力軸410oの角度位置(減速機510の入力軸510iの角度位置に等しい)の信号を受信する。補正部365は、出力軸410oの最新の角度位置の信号と、直前の角度位置の信号と、からモーター410の回転の向きを決定し、回転の向きおよび最新の角度位置に応じて、補正信号を生成する。そして、補正部365は、補正信号を位置制御部320に出力する。その結果、位置制御部320は、モーター角度センサー420からのモーター410の角度位置と、補正部365からの補正信号と、が加算された信号を受信する。
さらに、補正部365は、補正信号を微分して得られる信号を速度制御部330に出力する。その結果、速度制御部330は、モーター410の角度位置を微分して得られる速度信号と、補正部365からの補正信号を微分して得られる信号と、が加算された信号を受信する。
出力速度推定部370は、出力側角度センサー520が検出する出力軸510oの出力位置と制御部309の制御周期に基づいて出力軸510oの出力速度Voutを推定する。
理想手先速度算出部375は、制御信号生成部310に基づいて、理想手先速度Vorefを算出する。理想手先速度Vorefは、減速機510に角度伝達誤差がないことを仮定した場合に出力される理想的な手先速度である。
図3Aは、モーター410の出力軸410oが一定の速度で回転した場合の、モーター410の出力軸410o、すなわち、減速機510の入力軸510iの角度位置Di0を示す。図3Bは、モーター410の出力軸410oから継続的な一定の速度の入力があった場合の、減速機510の出力軸510oの角度位置の一例Do0を示す。ただし、図3Bに示す出力軸510oの角度位置Do0のスケールと、図3Aに示す入力軸510iの角度位置Di0のスケールとは異なる。図3Aおよび図3Bは、それぞれ、補正部365が補正値を出力しないと仮定した場合の入力軸510iの角度位置Di0と、出力軸510oの角度位置Do0と、を示す。
前述のように、モーター410の出力軸410oからの継続的な一定の入力に対して、減速機510は、周期的な伝達誤差を発生させる。このため、減速機510の入力軸510iの角度位置Di0が時間に比例して増大するのに対して、減速機510の出力軸510oの角度位置Do0は、時間に対する比例値に対して周期的なずれを含む。当該時間に対する比例値は、図3Bに破線で示す。
図4Aは、本実施形態において、減速機510の出力軸510oから継続的な一定の速度の出力を行おうとする場合の、減速機510の入力軸510iの角度位置の一例Di1を示す。図4Bは、本実施形態において、減速機510の出力軸510oから継続的な一定の速度の出力を行おうとする場合の、減速機510の出力軸510oの角度位置Do1を示す。ただし、図4Bに示す出力軸510oの角度位置Do1のスケールと、図4Aに示す入力軸510iの角度位置Di1のスケールとは異なる。図4Aおよび図4Bは、補正部365を機能させて、減速機510の出力軸510oにおいて継続的な一定の速度の出力を行おうとする場合の、望ましい入力軸510iの角度位置Di1と、出力軸510oの角度位置Do1と、を示す。なお、参考のために、図3Aに示した減速機510の入力軸510iの角度位置Di0を図4Aにおいて破線で示す。
前述のように、位置制御部320は、位置フィードバックとして、モーター角度センサー420からのモーター410の角度位置と、補正部365からの補正信号と、が加算された信号を受信する。速度制御部330は、速度フィードバックとして、モーター410の角度位置を微分して得られる速度信号と、補正部365からの補正信号を微分して得られる信号と、が加算された信号を受信する。位置制御部320がそのような位置フィードバックに基づいて速度制御信号を生成し、速度制御部330がそのような速度フィードバックに基づいてトルク制御信号を生成すると、モーター410の出力軸410oの角度位置、すなわち、減速機510の入力軸510iの角度位置Di1は、図4Aに示すように、時間に対して比例する値に対して周期的なずれを有することとなる。
図4Aに示す角度位置Di1を実現する入力を入力軸510iに対して受けると、出力軸510oの角度位置Do1は、図4Bに示すように、時間に対して比例する直線となる。補正部365は、このような原理に基づいて、出力軸510oの角度位置Do1の精度を高める機能を奏する。
補正部365から位置制御部320に出力されるべき周期的な補正信号が、サイン(sin)に、位置に応じた所定の係数を乗じた値であると仮定すると、補正部365から速度制御部330に出力される補正信号の微分値は、コサイン(cos)に、速度に応じた所定の係数を乗じた値となる。補正信号の微分値としては、1回前に取得したモーター410の角度位置に基づいた補正信号と、最新の角度位置に基づいた補正信号との差分により算出される値よりも、数式的にコサイン(cos)に速度に応じた係数を乗じて算出される値のほうが、時間遅延が少なくなる。このため、本実施形態によれば、精度のよい補正ができる。
***位置精度を向上させるためのパラメーターの設定***
図5は、アーム110の位置精度を向上させるためのパラメーターを導出し、角度伝達誤差補正値の妥当性を確認するフローチャートである。図5の処理は、設定装置600、ロボット制御装置300およびロボット100によって実行される。
図5は、アーム110の位置精度を向上させるためのパラメーターを導出し、角度伝達誤差補正値の妥当性を確認するフローチャートである。図5の処理は、設定装置600、ロボット制御装置300およびロボット100によって実行される。
ステップS100では、ユーザーが、アーム110の位置精度を向上させるためのパラメーターを導出する処理の開始を指示し、設定装置600は、当該指示を受け付ける。具体的には、ユーザーは、キーボード604およびマウス605を介して、設定装置600に処理の開始を指示する。
設定装置600は、指示が入力されると、アーム110の位置精度を向上させるためのパラメーターを導出する処理を指示する信号SSを、ロボット制御装置300に送信する。このような信号を生成する設定装置600のCPU610の機能部を、図1において「命令生成部612」として示す。また、ロボット制御装置300においてこの信号を受け付ける機能を奏する機能部を、図1において「受付部307」として示す。
設定装置600は、指示が入力されると、アーム110の位置精度を向上させるためのパラメーターを導出する処理を指示する信号SSを、ロボット制御装置300に送信する。このような信号を生成する設定装置600のCPU610の機能部を、図1において「命令生成部612」として示す。また、ロボット制御装置300においてこの信号を受け付ける機能を奏する機能部を、図1において「受付部307」として示す。
ステップS200においては、アーム110の位置精度を向上させるためのパラメーターを導出する処理を指示する信号SSを受付部307が受け付けたことに起因して、ロボット制御装置300の制御部309は、ロボット100のモーター410を駆動して、アーム110に第1動作を行わせる。なお、第1動作のことを動作1ともいう。
具体的には、ステップS220において、制御部309は、あらかじめ定められた角度位置である第1位置P1から、同様に、あらかじめ定められた角度位置である第2位置P2に、アーム110を回転運動させる。その際の移動速度は、100°/秒以下である。この動作を、本実施形態において、「第1動作要素Me1」または「往動」と呼ぶ。
第1位置P1と第2位置P2との間の角度範囲は、本実施形態においては、周期的な伝達誤差を発生させる減速機510が1周期分の伝達誤差の変化を生じさせ、4周期分以上の伝達誤差の変化を生じさせない角度範囲である。減速機510は波動歯車減速機であるため、入力軸510iが半回転するたびに、入力軸510iと出力軸510oとの間の角度伝達誤差は、1周期分の変化を起こす。このため、第1位置P1と第2位置P2との間の角度範囲は、入力軸510iの角度範囲において半周期分より大きく2周期分より小さい角度範囲である。
第1動作要素Me1が実行されている間に、制御部309は、モーター角度センサー420を使用して、減速機510の入力側の動作位置、すなわち、入力軸510iの角度位置を検出させる(図1参照)。また、第1動作要素Me1が実行されている間に、ロボット制御装置300の制御部309は、出力側角度センサー520を使用して、減速機510の出力側の動作位置、すなわち、出力軸510oの角度位置を検出させる。検出されたそれぞれの角度位置は、ロボット制御装置300に送信され、ロボット制御装置300を介して、設定装置600に送信される。
ステップS240において、制御部309は、第2位置P2から第1位置P1に、アーム110を回転運動させる。すなわち、この動作において、アーム110は、第1動作要素Me1とは逆向きに動作する。その際の移動速度も、100°/秒以下である。この動作を、本実施形態において、「第2動作要素Me2」または「復動」と呼ぶ。つまり、第1動作は、可動部を第1位置から第2位置へ動作させる第1動作要素と、第1動作要素とは逆向きに可動部を動作させる第2動作要素とを含んでいる。
第1動作要素Me1および第2動作要素Me2の移動速度を上記のような比較的低い値とすることにより、アーム110の慣性に起因する振動が、減速機510の出力側および入力側の動作位置に与える影響を低減することができる。アーム110の完成に起因する振動は、アーム110の移動中の振動および停止指示後のアーム110の残留振動を含む。
第2動作要素Me2が実行されている間に、ロボット制御装置300の制御部309は、出力側角度センサー520を使用して、減速機510の入力側の動作位置、すなわち、入力軸510iの角度位置を検出させる。また、第2動作要素Me2が実行されている間に、ロボット制御装置300の制御部309は、出力側角度センサー520を使用して、減速機510の出力側の動作位置、すなわち、出力軸510oの角度位置を検出させる。検出されたそれぞれの角度位置は、ロボット制御装置300に送信され、ロボット制御装置300を介して、設定装置600にも送信される。
このような処理を行うことにより、第1動作要素Me1の際の減速機510の入力側の動作位置と出力側の動作位置とを検出することができる。そして、第1動作要素Me1とは逆向きの第2動作要素Me2の際の減速機510の入力側の動作位置と出力側の動作位置とを検出することができる。そのため、入力側の動作位置から理論的に計算される出力側の理想的な動作位置と、測定された出力側の動作位置とのズレを、逆向きの二つの移動を行った場合について入手することができる。よって、設定装置600は、それらの測定値に基づいて、ロストモーションやバックラッシが考慮された、アーム110の位置精度を向上させるためのパラメーターを決定することができる。
ステップS200においては、ステップS220,S240の処理が、複数回、繰り返し行われる。すなわち、ステップS200においては、第1動作要素Me1と第2動作要素Me2との組み合わせ動作を複数回行うことを含む特定動作が実行される。
このような処理を行うことにより、アーム110を大きく動作させることなく、高精度な補正用のパラメーターが得られる。よって、ロボット100を工場に設置した後、ロボット100の減速機510が交換された場合にも、ロボット100をその設置場所から移動させることなく、かつ、周囲の構造物に干渉することなく、高精度な補正用のパラメーターが得られる。
ステップS300では、補正パラメーターの値を計算する。詳しくは、設定装置600のCPU610は、ステップS200で得られたそれぞれの動作要素におけるアーム110の角度位置の測定結果に基づいて、補正パラメーターの値を計算する。設定装置600のCPU610は、より具体的には、入力側の動作位置から理論的に計算される出力側の理想的な動作位置と、測定された出力側の動作位置とのずれを、それぞれの動作要素について計算する。そして、それぞれの動作要素についてのずれを打ち消すことができるように、補正値を計算する。このような設定装置600のCPU610の機能部を、パラメーター決定部614として図1に示す。
パラメーター決定部614は、まず、第1動作要素Me1における、入力軸510iの角度位置から得られる理想的な出力軸510oの角度位置に対する、実際の出力軸510oの角度位置のずれ、すなわち角度伝達誤差の入力軸510iの角度位置に沿った変化を得る。そして、その角度伝達誤差を正弦波で近似する。その近似式を式(1)で示す。
α=A×sin(n×θ+φ)・・・(1)
α:角度伝達誤差
θ:減速機510の入力軸510iの角度位置
A:振幅
n:角度伝達誤差の周期に対応する係数
φ:位相補正量
α:角度伝達誤差
θ:減速機510の入力軸510iの角度位置
A:振幅
n:角度伝達誤差の周期に対応する係数
φ:位相補正量
ここで、nは、減速機の入力軸が1回転する間に、入力軸と出力軸との間の角度伝達誤差が起こす変化の周期の数である。nの値は、減速機510の構成によって決まる。本実施形態において減速機510は波動歯車減速機であるため、入力軸510iが半回転するたびに、入力軸510iと出力軸510oとの間の角度伝達誤差は1周期分の変化を起こす。すなわち、本実施形態において、nは、2およびその倍数である。
ステップS220において得られた第1動作要素Me1におけるアーム110の角度位置の複数組の測定結果に基づいて、パラメーター決定部614は、重回帰分析により、式(1)の振幅Aと、位相補正量φを計算する。振幅Aを「第1の補正パラメーター」とも呼ぶ。位相補正量φを「第2の補正パラメーター」とも呼ぶ。第1の補正パラメーターおよび第2の補正パラメーターは、減速機510の伝達誤差を低減する補正値を導出するためのパラメーターである。第1動作要素Me1に対応する振幅Aと、位相補正量φを、それぞれ振幅A1と、位相補正量φ1とする。
同様の処理により、ステップS240において得られた第2動作要素Me2におけるアーム110の角度位置の複数組の測定結果に基づいて、パラメーター決定部614は、式(1)の振幅Aと、位相補正量φを計算する。第2動作要素Me2に対応する振幅Aと、位相補正量φを、それぞれ振幅A2と、位相補正量φ2とする。
ステップS350では、設定装置600のパラメーター決定部614は、振幅A1と位相補正量φ1の組み合わせと、振幅A2と位相補正量φ2の組み合わせとを、それぞれ第1動作要素Me1の向きおよび第2動作要素Me2の向きと対応づけて、ロボット制御装置300のROM302に記憶させる。また、それらのパラメーターは、設定装置600のディスプレイ602に表示される。
ステップS400では、補正値である振幅A1、振幅A2の絶対値がそれぞれあらかじめ指定した第1閾値Th11,Th12以下であるかどうかを判断する。振幅A1の絶対値が第1閾値Th11以下であること及び振幅A2の絶対値が第1閾値Th12以下であることを満たしている場合は処理を終了し、それ以外の場合はステップS410に進む。具体的には、使用している波動歯車減速機の個体が異なるロボット100を複数台使用して、ステップS100からS350の処理を通じて得られた振幅A1の絶対値の平均値+3×標準偏差値の値を第1閾値Th11、振幅A2の絶対値の平均値+3×標準偏差値の値を第1閾値Th12とする。
統計学的に見れば、各減速機において必要となる振幅A1、振幅A2の量の絶対値がそれぞれ正規分布に従うと仮定すると、補正量が第1閾値Th11、第1閾値Th12以下となる確率はそれぞれ全減速機の99.87パーセントである。したがって、振幅A1、振幅A2の絶対値がそれぞれ第1閾値Th11、第1閾値Th12を超えていることは、ステップS200からステップS350の間に発生した何らかの理由により、補正値が正しく計算されていないことを判断するには十分な指標となる。このような処理を行うことにより、角度伝達誤差補正値の妥当性を確認する手段が得られ、補正値の設定後に実際にロボットを動作させることなく設定されている補正値が異常か否かの判断ができる。
ステップS410では、ユーザーに再測定を促す画面を表示させる。具体的には、再測定を実行するか否かのメッセージと実行ボタンとキャンセルボタンを備えるユーザーインターフェイスが設定装置600のディスプレイ602に表示される。ユーザーインターフェイスの実行ボタンは図5のステップS100から再度処理を実行するためのボタンであり、キャンセルボタンは実行している処理を強制終了するためのボタンである。このような画面を表示することにより、ユーザーは再測定するか否かを選択することができる。
ロボット100を運用する際には、制御部309の補正部365は、モーター410が第1動作要素Me1の向きと同じ向きに回転している場合には、補正パラメーターとして、振幅A1と位相補正量φ1とを使用して、式(1)に基づいて、減速機510の入力軸510iの角度位置θに応じた角度伝達誤差αを計算する。そして、得られた角度伝達誤差αを打ち消す補正量「−α」を位置制御部320への位置フィードバックに加算する(図2参照)。また、その補正量「−α」の微分値を、速度制御部330への速度フィードバックに加算する。このような処理を行うことにより、入力側の任意の動作位置に対して、適切な補正値を決定することができる。
モーター410が第2動作要素Me2の向きと同じ向き、すなわち、第1動作要素Me1の向きとは逆の向きに回転している場合には、制御部309の補正部365は、補正パラメーターとして、振幅A2と位相補正量φ2とを使用して、式(1)に基づいて、減速機510の入力軸510iの角度位置θに応じた角度伝達誤差αを計算する。そして、得られた角度伝達誤差αを打ち消す補正量「−α」を位置制御部320への位置フィードバックに加算する。また、その補正量「−α」の微分値を、速度制御部330への速度フィードバックに加算する。このような処理を行うことにより、入力側の任意の動作位置に対して、適切な補正値を決定することができる。
また、上記のように、動作方向に応じて処理を切り換えることにより、減速機のロストモーションやバックラッシを打ち消すような、高精度な角度伝達誤差の補正を行うことができる。補正を行うことにより、アーム110の位置精度が有意に向上したことが分かる。
なお、本実施形態におけるアーム110は、「可動部」とも呼ばれる。ロボット制御装置300は、「制御装置」とも呼ばれる。モーター角度センサー420は、「入力位置検出部」とも呼ばれる。出力側角度センサー520は、「出力位置検出部」とも呼ばれる。回転関節X11についての図5のステップS200〜S400が、「可動部の位置精度を向上させるためのパラメーターを導出する第1処理」として機能する。
以上述べたように、本実施形態の波動歯車式の減速機における伝達誤差補正値の妥当性確認方法によれば、モーター410に第1動作を行わせることで、減速機510の角度伝達誤差を低減する角度伝達誤差補正値をモーター角度センサー420と出力側角度センサー520とを用いて求める工程と、補正値の絶対値が閾値以下であることを判断する工程、とを含んでいる。よって、補正値の設定後に実際にロボットを動作させることなく設定されている補正値が異常か否かの判断ができる。
従って、波動歯車式の減速機における伝達誤差補正値の妥当性を確認する方法を提供することができる。
従って、波動歯車式の減速機における伝達誤差補正値の妥当性を確認する方法を提供することができる。
また、本実施形態に従って閾値の決定方法は、統計学的な裏付けに従っているため、ステップS200からステップS350の間に発生した何らかの理由により、補正値が正しく計算されていないことを判断するには十分な指標となる。
また、本実施形態で述べた手順を複数回実施しても、上記閾値を超える場合は、上記で述べたステップS200からステップS350の間の異常の他に、駆動機構の異常が考えられる。したがって、本実施形態で述べた手順により駆動機構の異常を検知する方法を提供することができる。
また、本実施形態で述べた手順を複数回実施しても、上記閾値を超える場合は、上記で述べたステップS200からステップS350の間の異常の他に、駆動機構の異常が考えられる。したがって、本実施形態で述べた手順により駆動機構の異常を検知する方法を提供することができる。
実施形態2
***減速機における伝達誤差補正値の確認方法の異なる態様−1***
図6は、実施形態2における角度伝達誤差補正値の妥当性確認方法を示すフローチャートである。本実施形態では、実施形態1とは異なる角度伝達誤差補正値の妥当性確認方法について、図6を主体に説明する。なお、実施形態1と同一の構成や、処理については、同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
***減速機における伝達誤差補正値の確認方法の異なる態様−1***
図6は、実施形態2における角度伝達誤差補正値の妥当性確認方法を示すフローチャートである。本実施形態では、実施形態1とは異なる角度伝達誤差補正値の妥当性確認方法について、図6を主体に説明する。なお、実施形態1と同一の構成や、処理については、同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
ステップS10では、角度伝達誤差補正値の検証プログラムを起動させる動作を受付ける。詳しくは、アーム110の位置精度を向上させるためのパラメーターを導出する処理を指示する信号SSを受付部307が受付け、検証プログラムを起動する。
ステップS20では、アーム110に第2動作を行わせる。詳しくは、制御部309は、あらかじめ定められた角度位置である第1位置P1から、同様に、あらかじめ定められた角度位置である第2位置P2に、アーム110を回転運動させる。その際の移動速度は、100°/秒以下である。これらの位置はステップS100で指示する第1動作の第1位置P1、第2位置P2と異なっていてもよい。並行して、出力側角度センサー520が検出する出力軸510oの出力位置と制御部309の制御周期に基づいて出力速度推定部370から推定される出力軸510oの出力速度Voutと制御部309により計算される理想手先速度Vorefを制御部309の制御周期毎に取得する。なお、第2動作のことを動作2ともいう。
ステップS30では、ステップS20実行中に取得した出力速度Voutと理想手先速度Vorefに基づいて、第1誤差量を式(2)に従って算出する。
ここで、Nはアーム110が第2動作を行っている間に取得した全測定データ数である。出力速度Voutと理想手先速度Vorefは離散データであるが、式(2)に従って第1誤差量を導出することで、第2動作中の出力速度Voutと理想手先速度Vorefの差の絶対値積分を疑似的に取得することができる。ステップS30は、ステップS100からステップS350までの処理を通じて、減速機510の角度伝達誤差を低減する補正値が設定される前に実行される。したがって、第1誤差量を補正値が設定される前の誤差量として算出することができる。
ステップS100からステップS350では実施形態1と同一の処理を行う。ステップS100からステップS350までの処理を通じて、減速機510の角度伝達誤差を低減する補正値を設定する。
ステップS500では、ステップS10で指示した第2動作を再度実行し、出力速度Voutと理想手先速度Vorefを取得する。その後、ステップS510において、第2誤差量を式(2)に従って算出する。ステップS510は、ステップS100からステップS350までの処理を通じて、減速機510の角度伝達誤差を低減する補正値が設定された後に実行される。したがって、第2誤差量を補正値が設定された後の誤差量として算出することができる。理想手先速度Vorefは、制御部309の制御信号生成部310に基づいて理想手先速度算出部375から算出される値である。制御信号生成部310から送信される値は位置制御部320が生成している速度制御信号とは異なり、補正部365で生成される補正量の影響を受けない値である。このような方法により、補正値の設定の有無によらず、理想手先速度Vorefの算出を同一の方法で行うことができる。
ステップS520では、補正値設定前に算出した第1誤差量と補正値設定後に算出した第2誤差量の差があらかじめ設定した第2閾値Th2以上であるかどうかを判断する。第1誤差量と第2誤差量の差が第2閾値以上であることを満たしている場合は、処理を終了し、それ以外の場合はステップS540に進む。第2閾値Th2は、第2誤差量が第1誤差量以下であることを判断するため、具体的には正の値である。ただし、実用の面で、本開示の手法による減速機の角度伝達誤差の低減効果の価値を担保するために、第1誤差量の50%以上の値が好ましい。
以上述べたように、モーター410に第2動作を行わせることで角度伝達誤差補正値の設定前における第1誤差量を算出する工程と、モーター410に第1動作を行わせることで、減速機510の角度伝達誤差を低減する伝達誤差補正値をモーター角度センサー420と出力側角度センサー520とを用いて求める工程と、モーター410に第2動作を行わせることで角度伝達誤差補正値の設定後における第2誤差量を算出する工程と、を含み、第1誤差量、および第2誤差量は、第2動作が実行されているときに、出力側角度センサー520が検出する出力軸510oの出力位置に基づいて推定される出力軸510oの出力速度Voutと制御信号生成部310に基づいて算出される理想手先速度Vorefとの差の絶対値積分により算出される。
従来、角度伝達誤差の低減効果を確認するためには、ロボット100に加えて、新たに3次元の位置情報を計測する計測器が必要であった。しかし、本実施形態の手法を用いることにより、ロボット100に搭載されているセンサのみで角度伝達誤差補正値の妥当性を確認する手段が得られ、設定されている補正値で角度伝達誤差が低減しているかどうかの判断ができる。
従って、波動歯車式の減速機における伝達誤差補正値の妥当性を確認する方法を提供することができる。
従来、角度伝達誤差の低減効果を確認するためには、ロボット100に加えて、新たに3次元の位置情報を計測する計測器が必要であった。しかし、本実施形態の手法を用いることにより、ロボット100に搭載されているセンサのみで角度伝達誤差補正値の妥当性を確認する手段が得られ、設定されている補正値で角度伝達誤差が低減しているかどうかの判断ができる。
従って、波動歯車式の減速機における伝達誤差補正値の妥当性を確認する方法を提供することができる。
実施形態3
***減速機における伝達誤差補正値の確認方法の異なる態様−2***
図7は、実施形態2における角度伝達誤差補正値の妥当性確認方法を示すフローチャートである。本実施形態では、実施形態1と実施形態2を組み合わせた角度伝達誤差補正値の妥当性確認方法について、図7を主体に説明する。なお、上記実施形態と同一の構成や、処理については、同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
***減速機における伝達誤差補正値の確認方法の異なる態様−2***
図7は、実施形態2における角度伝達誤差補正値の妥当性確認方法を示すフローチャートである。本実施形態では、実施形態1と実施形態2を組み合わせた角度伝達誤差補正値の妥当性確認方法について、図7を主体に説明する。なお、上記実施形態と同一の構成や、処理については、同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
ステップS10からステップS350では、図6と同一の処理を行う。ステップS10からステップS30までの処理を通じて、第2動作中において、補正値が設定される以前の誤差量(第1誤差量)を式(2)に従って算出する。
ステップS100からステップS350では、図5と同一の処理を行う。詳しくは、減速機510の角度伝達誤差を低減する補正値を設定する。
ステップS100からステップS350では、図5と同一の処理を行う。詳しくは、減速機510の角度伝達誤差を低減する補正値を設定する。
ステップS400では、補正値である振幅A1、振幅A2の絶対値がそれぞれあらかじめ指定した第1閾値Th11,Th12以下であるかどうかを判断する。振幅A1の絶対値が第1閾値Th11以下であること及び振幅A2の絶対値が第1閾値Th12以下であることを満たしている場合はステップS500へ進み、それ以外の場合はステップS410に進む。第1閾値Th11、第1閾値Th12は、実施形態1と同一の手法で導出される値を使用する。
ステップS500からステップS520は、図6と同一の処理を行う。ステップS500からステップS510までの処理を通じて、第2動作中において、補正値が設定された以後の誤差量、すなわち第2誤差量を、式(2)に従って算出する。ステップS520の処理を通じて、補正値設定前に算出した第1誤差量と補正値設定後に算出した第2誤差量の差があらかじめ設定した第2閾値Th2以上であるかどうかを判断する。第1誤差量と第2誤差量の差が第2閾値以上であることを満たしている場合は、処理を終了し、それ以外の場合はステップS410に進む。
以上述べたように、本実施形態の波動歯車式減速機における伝達誤差補正値の妥当性確認方法によれば、実施形態2(図6)の処理工程に加えて、補正値の絶対値が閾値以下であることを判断する工程を含んでいる。よって、ステップS500においてアーム110に第2動作をさせる前に、設定されている補正値が異常か否かの判断ができる。
従って、実施形態2の効果に加えて、第2動作中に、異常な補正値によって、ロボットの故障の誘発を防止する効果を得ることができる。
従って、実施形態2の効果に加えて、第2動作中に、異常な補正値によって、ロボットの故障の誘発を防止する効果を得ることができる。
***その他の実施形態−1***
上記実施形態1、実施形態2、実施形態3においては、出力側角度センサー520は、光学式のロータリーエンコーダーであり、出力側角度センサー520が検出した出力軸510oの角度位置をロボット制御装置300に送信している。しかし、出力側角度センサー520は出力軸510oの回転速度を検出できる角速度センサーとしてもよく、出力側角度センサー520が検出した出力軸510oの角速度をロボット制御装置300に送信してもよい。また、上記実施形態1、実施形態2、実施形態3においては、ステップS220、ステップS240で測定している出力側の動作位置は、出力側角度センサー520が検出した出力軸510oの角度位置である。しかし、出力側の動作位置は、ロボット制御装置300が受信した出力軸510oの角速度と制御部309の制御周期から推定した値としてもよい。
上記実施形態1、実施形態2、実施形態3においては、出力側角度センサー520は、光学式のロータリーエンコーダーであり、出力側角度センサー520が検出した出力軸510oの角度位置をロボット制御装置300に送信している。しかし、出力側角度センサー520は出力軸510oの回転速度を検出できる角速度センサーとしてもよく、出力側角度センサー520が検出した出力軸510oの角速度をロボット制御装置300に送信してもよい。また、上記実施形態1、実施形態2、実施形態3においては、ステップS220、ステップS240で測定している出力側の動作位置は、出力側角度センサー520が検出した出力軸510oの角度位置である。しかし、出力側の動作位置は、ロボット制御装置300が受信した出力軸510oの角速度と制御部309の制御周期から推定した値としてもよい。
角速度センサーは、たとえば、3次元方向の回転を検出できるジャイロセンサーを使用することができる。また、角速度センサーは、常にロボットに内蔵してもよいし、検証プログラム実施時に新たに外部に取り付けてもよい。
上記実施形態2においては、出力軸510oの出力速度Voutは出力側角度センサー520が検出する出力軸510oの出力位置と制御部309の制御周期から出力速度推定部370を通じて推定された値である。しかし、本実施形態においては、出力軸510oの出力速度Voutを出力側角度センサー520が直接検出した出力軸510oの角速度とすることができ、出力速度Voutの測定精度を向上する態様とすることができる。
***その他の実施形態−2***
上記実施形態1、実施形態2、実施形態3においては、ステップS350で設定する補正値は、直前のステップS300で得られた計算結果である。しかし、ステップS350で設定する補正値は、ROM302に記憶されている振幅A1と位相補正量φ1の組み合わせと、振幅A2と位相補正量φ2の組み合わせを設定してもよい。また、本実施形態においては、ステップS100からステップS300までの処理を省略してもよい。このような形態とすることで、角度伝達誤差補正値の検証プログラムの処理時間を短縮することができ、検証プログラムを実行する前に使用していた波動歯車式減速機における伝達誤差補正値の妥当性の確認を補正値の設定とは独立して行う方法を提供することができる。したがって、製品出荷前および製品出荷後のメンテナンスで減速機の交換が発生した場合において、補正値を設定する時に限らず、検証プログラムを実施することができる。たとえば、減速機交換に関わっていない他者が、現在設定されている補正値が正しいか否かを判断するために、本実施形態の検証プログラムを実施することができる。このような実施方法により、減速機交換後において、補正値の再測定が未完了であることを知らない他者がロボットを動作させた場合、誤った補正値による動作精度の悪化やロボットの故障の誘発を防止することができる。
上記実施形態1、実施形態2、実施形態3においては、ステップS350で設定する補正値は、直前のステップS300で得られた計算結果である。しかし、ステップS350で設定する補正値は、ROM302に記憶されている振幅A1と位相補正量φ1の組み合わせと、振幅A2と位相補正量φ2の組み合わせを設定してもよい。また、本実施形態においては、ステップS100からステップS300までの処理を省略してもよい。このような形態とすることで、角度伝達誤差補正値の検証プログラムの処理時間を短縮することができ、検証プログラムを実行する前に使用していた波動歯車式減速機における伝達誤差補正値の妥当性の確認を補正値の設定とは独立して行う方法を提供することができる。したがって、製品出荷前および製品出荷後のメンテナンスで減速機の交換が発生した場合において、補正値を設定する時に限らず、検証プログラムを実施することができる。たとえば、減速機交換に関わっていない他者が、現在設定されている補正値が正しいか否かを判断するために、本実施形態の検証プログラムを実施することができる。このような実施方法により、減速機交換後において、補正値の再測定が未完了であることを知らない他者がロボットを動作させた場合、誤った補正値による動作精度の悪化やロボットの故障の誘発を防止することができる。
***その他の実施形態−3***
実施形態2、実施形態3においては、角度伝達誤差補正値の検証プログラムは、ステップS10からステップS30までの処理、ステップS100からステップS240までの処理、ステップS300からステップS350までの処理の順番で実行される。しかし、角度伝達誤差補正値の検証プログラムは、ステップS100からステップS240までの処理、ステップS10からステップS30までの処理、ステップS300からステップS350までの処理の順番で実行されてもよい。
実施形態2、実施形態3においては、角度伝達誤差補正値の検証プログラムは、ステップS10からステップS30までの処理、ステップS100からステップS240までの処理、ステップS300からステップS350までの処理の順番で実行される。しかし、角度伝達誤差補正値の検証プログラムは、ステップS100からステップS240までの処理、ステップS10からステップS30までの処理、ステップS300からステップS350までの処理の順番で実行されてもよい。
***その他の実施形態−4***
図8は、実施形態4に係るスカラロボットを用いたロボットシステムを示す概略構成図である。上記各実施形態においては、1軸ロボットを例として説明したが、上述の妥当性確認方法は、図8に示す、2つのアーム110a,110b、および3つの回転関節J1,J2,J4を有するスカラ型のロボット200にも適用することができる。なお、技術の理解を容易にするため、図8には、回転関節J1に備えられるモーター410aと、モーター角度センサー420aと、減速機510aとを示す。この構成であっても、減速機510aにおける伝達誤差補正値の妥当性は、上記各実施形態と同じ方法により、確認することができる。また、回転関節J2,J4においても、回転関節J1と同様の構成を備えている。例えば、出力側角度センサー520aは、好適例では角速度センサーであり、アーム110bに搭載されている。回転関節J2,J4に搭載された減速機における伝達誤差補正値の妥当性も、上記各実施形態の検証プログラムにより、確認することができる。
なお、スカラ型のロボット200に限定するものではなく、回転関節を備えるロボットであれば良い。例えば、3つ以上の回転関節を有していても良く、6軸の垂直型多関節ロボットや、双腕ロボットに適用しても良い。これらのロボットであっても、減速機における伝達誤差補正値の妥当性を、上記各実施形態と同じ方法により確認することができる。
図8は、実施形態4に係るスカラロボットを用いたロボットシステムを示す概略構成図である。上記各実施形態においては、1軸ロボットを例として説明したが、上述の妥当性確認方法は、図8に示す、2つのアーム110a,110b、および3つの回転関節J1,J2,J4を有するスカラ型のロボット200にも適用することができる。なお、技術の理解を容易にするため、図8には、回転関節J1に備えられるモーター410aと、モーター角度センサー420aと、減速機510aとを示す。この構成であっても、減速機510aにおける伝達誤差補正値の妥当性は、上記各実施形態と同じ方法により、確認することができる。また、回転関節J2,J4においても、回転関節J1と同様の構成を備えている。例えば、出力側角度センサー520aは、好適例では角速度センサーであり、アーム110bに搭載されている。回転関節J2,J4に搭載された減速機における伝達誤差補正値の妥当性も、上記各実施形態の検証プログラムにより、確認することができる。
なお、スカラ型のロボット200に限定するものではなく、回転関節を備えるロボットであれば良い。例えば、3つ以上の回転関節を有していても良く、6軸の垂直型多関節ロボットや、双腕ロボットに適用しても良い。これらのロボットであっても、減速機における伝達誤差補正値の妥当性を、上記各実施形態と同じ方法により確認することができる。
100,200…ロボット、110,110b…アーム、300…ロボット制御装置、307…受付部、309…制御部、310…制御信号生成部、320…位置指令部、330…速度制御部、365…補正部、370…出力速度推定部、375…理想手先速度算出部、410,410a…モーター、410o…出力軸、420,420a…モーター角度センサー、510,510a…減速機、510i…入力軸、510o…出力軸、520,520a…出力側角度センサー、600…設定装置、612…命令生成部、614…パラメーター決定部、A1,A2…振幅、J1,J2…関節、P1…第1位置、P2…第2位置、X11…回転関節。
Claims (8)
- モーターと、前記モーターに接続された減速機と、前記減速機の入力側の動作位置を検出する入力位置検出部と、前記減速機の出力側の動作位置を検出する出力位置検出部と、前記モーターによって前記減速機を介して駆動される可動部とを含む駆動機構において、前記減速機における動作の補正方法であって、
前記モーターに第1動作を行わせることで前記減速機の前記動作を補正する補正値を前記入力位置検出部の検出値と前記出力位置検出部の検出値とを用いて算出する工程と、
前記算出した前記伝達誤差補正値の絶対値と所定の閾値とを比較する工程と、を含み、
前記伝達誤差補正値の絶対値が前記閾値以下である場合は、前記補正値を用いて前記減速機の前記動作を補正する補正方法。 - 前記第1動作は、前記可動部を第1位置から第2位置へ動作させる第1動作要素と、前記第1動作要素とは逆向きに前記可動部を動作させる第2動作要素と、を含む、請求項1に記載の補正方法。
- モーターと、前記モーターに接続された減速機と、前記減速機の入力側の動作位置を検出する入力位置検出部と、前記減速機の出力側の動作位置を検出する出力位置検出部と、前記モーターによって前記減速機を介して駆動される可動部とを含む駆動機構において、前記減速機における動作の補正方法であって、
前記モーターに第1動作を行わせることで前記減速機の前記動作を補正する補正値を前記入力位置検出部の検出値と前記出力位置検出部の検出値とを用いて算出する工程と、
前記補正値を用いずに前記モーターに第2動作を行わせることで第1誤差量を算出する工程と、
前記補正値を用いて前記モーターに前記第2動作を行わせることで第2誤差量を算出する工程と、
前記第1誤差量と前記第2誤差量との差が所定の閾値以上であることを判断する工程と、を含み、
前記第1誤差量と前記第2誤差量との差が前記閾値以上である場合は、前記補正値を用いて前記減速機の前記動作を補正する、補正方法。 - 前記第1誤差量、および前記第2誤差量は、前記第2動作が実行されているときに、前記出力位置検出部の検出値に基づいて算出される前記減速機の出力速度と、前記モーターに対する制御信号に基づいて算出される理想手先速度との差の絶対値積分により算出される、請求項3に記載の補正方法。
- モーターと、前記モーターに接続された減速機と、前記減速機の入力側の動作位置を検出する入力位置検出部と、前記減速機の出力側の動作位置を検出する出力位置検出部と、前記モーターによって前記減速機を介して駆動される可動部とを備えたロボットを制御する制御装置であって、
前記モーターに第1動作を行わせるとともに、前記入力位置検出部の検出値と前記出力位置検出部の検出値とにより、前記減速機の角度伝達誤差を低減する伝達誤差補正値を算出し、
前記算出した前記伝達誤差補正値の絶対値と所定の閾値とを比較し、前記伝達誤差補正値が前記閾値以下である場合は、前記補正値を用いて前記減速機の前記動作を補正する、制御装置。 - 前記出力位置検出部は、角速度センサーを含む、請求項5に記載の制御装置。
- 請求項5または6に記載の制御装置を備えた、ロボット。
- モーターと、前記モーターに接続された減速機と、前記減速機の入力側の動作位置を検出する入力位置検出部と、前記減速機の出力側の動作位置を検出する出力位置検出部と、前記モーターによって前記減速機を介して駆動される可動部とを有するロボットを制御する制御装置が実行する、前記減速機における伝達誤差補正値の検証プログラムであって、
前記モーターに第1動作を行わせるとともに、前記入力位置検出部と前記出力位置検出部とにより、前記減速機の角度伝達誤差を低減する伝達誤差補正値を算出するステップと、
前記算出した前記伝達誤差補正値の絶対値と閾値とを比較するステップと、を含み、
前記伝達誤差補正値の絶対値が前記閾値以下である場合は、前記補正値を用いて前記減速機の前記動作を補正する、伝達誤差補正値の検証プログラム。
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