JP2021133093A - 生体軟組織への接着材の接着方法、生体軟組織の変形補助方法、生体へのセンサの固定方法、生体軟組織用接着材、生体軟組織変形補助材、生体内埋入型センサ - Google Patents

生体軟組織への接着材の接着方法、生体軟組織の変形補助方法、生体へのセンサの固定方法、生体軟組織用接着材、生体軟組織変形補助材、生体内埋入型センサ Download PDF

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卓也 松本
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Abstract

【課題】 短時間で容易に生体軟組織への固形の部材の接着を行えるようにする。
【解決手段】 チタン材料の表面に対し該チタン材料よりも硬度の高い砥粒を投射することにより上記表面を粗造とした後で上記表面に対して酸処理を行って形成した接着材の表面を、生体軟組織とを接触させることにより、上記接着材と上記生体軟組織とを接着する。上記チタン材料が、多数の透孔を有するメッシュ状であるとよい。また、上記接着材の上記表面に、ナノからマイクロメートルサイズの凹凸構造が形成されているとよい。あるいは、上記接着材の上記表面に水素化チタンが析出しているとよい。
【選択図】 図7

Description

この発明は、生体軟組織への接着材の接着方法、生体軟組織の変形補助方法、生体へのセンサの固定方法、生体軟組織用接着材、生体軟組織変形補助材、生体内埋入型センサに関する。
生体組織は外傷や手術など外的な侵襲により破壊された場合に形態の復元や開放創の閉鎖が必要となる。現在のところこの組織復元、閉鎖には、絹や生体吸収性高分子で作られた縫合糸を用いるのが一般的である。一方で、応急的な処置として生体組織接着剤を用いることもある。この生体組織接着剤としては現在、フィブリン糊、シアノアクリレート系接着剤などが用いられている。
一方、近年体内に埋め込むチップの開発などが盛んに進められている。埋入したチップは例えば、体内の物理・化学・生物学的環境変化をモニタリングするために用いられる。このためには、埋入したチップは体内のある一定の場所に長期にわたり保持される必要があるが、このようなチップの体内保持を長期にわたり達成する接着剤は一般には存在しないのが現況である。
特表2018−521720号公報
Rupp F、他4名、「Surface characteristics of dental implants: A review」、Dental Materials、2018年、第34巻、p.40-57 Luigi Canullo、他5名、「Soft tissue cell adhesion to titanium abutments after differentcleaning procedures: Preliminary results of a randomized clinical trial」, Med Oral Pathol Oral Cir Bucal.、2014年3月1日、第19巻、第2号、e177-e183
先にあげたフィブリン糊、シアノアクリレート系接着剤は現在、生体組織接着剤として本邦でも広く使用されている。しかし、フィブリン糊は生体親和性に優れるものの接着力が低く、シアノアクリレート系接着剤は接着力に優れるものの生体親和性が低いといった利点と欠点がある。
ここで、これらの生体組織接着剤は液状物が固化することで接着力を発揮するが、固化には数十分から数時間かかるといった問題もある。
また、上記生体組織接着剤は、液体として使用することから、接着を必要としない部位への移動や要求していない部位の接着などをおこしやすいという問題があった。さらに、液体が重合し実質的に固化し始めるまでの時間(完全に固化するまでの上記数十分から数時間よりもはるかに短い時間)しか操作できず、操作時間が限られているため操作性に劣るという問題があった。
一方、生体親和性の高いチタン材料の生体内埋入に関しても多くの研究がされている。しかし、その多くは硬組織との接合や結合をみたもので、軟組織との結合を目指したものではない(非特許文献1参照)。軟組織との接合に関する論文のほとんどはタンパク質の吸着とその後に続く細胞の接着の後、軟組織との接合が起こることを示しているのが現状であり(非特許文献2参照)、数秒以内で生体組織同士を接着させる、あるいは生体組織に接着させるといった事象についての報告はない。つまり、「組織の接着」と「細胞の基材への接着」は、同じ「接着」という言葉を使っているだけで意味合いが異なる。非特許文献2に記載のデータは、歯科インプラントアバットメントを軟組織に1週間接触した状態を評価したものである。また一般的に、細胞接着には6時間以上を要すことから、非特許文献2記載の軟組織接着には少なくとも12時間以上は必要である。
特許文献1には、チタン又はチタン合金製のボディの表面を、鉱酸を含む第1エッチング液でエッチングした後、フッ化水素酸を含むエッチング液でエッチングして得られる組織分布を、歯科インプラント又は歯科インプラントアバットメントのうち使用中に骨組織又は軟組織とそれぞれ接触させられることを意図する表面に提供することが記載されている。しかし、特許文献1に記載の技術も、4週間といった長期間をかけてのインプラントと骨との結合を目指したものである(特許文献1の段落0142参照)。
この現状に対し、本件出願人は過去に、チタンおよびチタン関連合金等の酸処理により水素化チタンを表面に析出させた、生体軟組織に対し短時間で強力に接着可能な生体軟組織用接着材を開発し、特許出願を行っている(特願2019−53863、未公開)。なお、このような生体軟組織への接着能力を持つ固形の部材を、不定形の接着剤と区別して、「接着材」と呼ぶことにする。
本発明は、この接着材をさらに改良したものであり、短時間で容易に生体軟組織への固形の部材の接着を行えるようにすることを目的とする。合わせて、この接着の様々な有用な用途を提案する。
以上の目的を達成するための本発明の一の態様は、チタン材料の表面に対し該チタン材料よりも硬度の高い砥粒を投射することにより上記表面を粗造とした後で上記表面に対して酸処理を行って形成した接着材の表面と、生体軟組織とを接触させることにより、上記接着材と上記生体軟組織とを接着することを特徴とする、生体軟組織への接着材の接着方法である。
この方法では、チタン材料の表面に対し、砥粒の投射による物理的修飾方法と酸処理による化学的修飾方法を組み合わせ、マルチスケール、つまり超微細なサイズのものから目に見えるマクロサイズのものまでの凹凸をつけることで接着面積を高めるとともに被着物との物理的な嵌合力を高めることができる。このことにより、チタン材料の当該表面に、生体軟組織との接着性を付与することができる。
ここで、薄膜状あるいは箔状のチタン材料(以下、チタン薄膜)を用いることで、柔軟な軟組織の変形に合わせて当該チタン薄膜も変形することが可能となる。このような変形性を与えるために、チタン薄膜の厚さは薄い方が好ましく、具体的には数百ナノメートルから100マイクロメートルの厚さが好ましい。ただし、チタン材料の形状はこれに限定されることはなく、固形状、粉末状、メッシュ状、ワイヤ状、繊維状等、任意でよい。
砥粒として、チタン材料よりも硬度が高いアルミナ、炭化ケイ素、ジルコニア、ガラスビーズ、ダイヤモンド等を用いることにより、チタン材料の表面に、比較的大きいサイズの孔構造(マクロポーラス)を形成し、表面を粗造にすることができる。砥粒の径は、累積高さ分率50%の粒子径(ds50)が10〜100μm程度のものが好適であり、20〜50μmであると特に好適である。また、砥粒の形状は、球状(ビーズ)ではなく、表面に鋭角の頂点を有する砥粒(グリット)が望ましい。
砥粒の投射は、例えばサンドブラスト用の砥粒吹付装置を用いて行うことができる。例えば、チタン材料の表面から約10cmの距離から、0.1〜0.4MPa(メガパスカル)程度の噴射圧力で投射すればよい。もちろん、距離によって、適切な噴射圧力は異なる。また、他の手段で砥粒を投射しても構わない。
また、上記の酸処理により、チタン材料の表面が溶解すること、ならびに、溶解したチタンイオンが溶質と反応して析出することにより、マクロポーラスの内部も含めたチタン材料の表面に、ナノからマイクロメートルサイズ、より具体的には、十ナノメートルから数マイクロメートルサイズの微細な凹凸構造(ミクロポーラス)が形成されると考えられる。
また上記酸処理は、塩酸溶液、硝酸溶液、硫酸溶液、過酸化水素溶液、フッ化水素酸、臭化水素酸又はそれらの混合物を用いて行うとよい。特に、塩酸溶液、硫酸溶液又はそれらの混合物である酸溶液に上記チタン材料を浸漬するか、上記酸溶液を上記チタン材料に塗布あるいはスプレーすることによる酸処理が好適である。
これらの酸処理により、チタン材料の表面に、上記凹凸構造を効果的に形成することができる。もちろん、上記酸処理に用いる酸は、これらに限られない。純チタンの脱不動化pHは約1であり、同pHを下回る酸を用いればチタン表面の溶解ならびに析出反応によって上記凹凸構造を効果的に形成することができる。
以上のように生体軟組織との接着性を付与されたチタン材料は、わずかな力を加えつつ生体軟組織に接触させることにより、生体軟組織と接着することができる。好ましい実施形態では、1〜30秒程度のわずかな時間の接触で、この接着を実現でき、短時間で容易に生体軟組織へ接着可能な、生体軟組織用接着材として機能する。
なお、化学処理前のチタン材料は、純チタンだけでなく、化学処理後の生体軟組織への接着性が失われない程度に、純チタンに多少の不純物や添加物が含まれるものであったり、チタン以外の元素を含む合金であったりしてもよい。チタン以外の元素を含む合金として、例えば、チタン-アルミニウム-バナジウム合金、チタン-アルミニウム-モリブデン-バナジウム合金、チタン-アルミニウム-スズ-ジルコニウム-モリブデン合金、ニッケルチタン合金、チタン-ニオブ合金、チタン-ニオブ-タンタル-モリブデン合金、チタン-金-クロム-タンタル合金があげられる。
また、接着材としてのチタン材料を挟むように、その両側でチタン材料と生体軟組織とを接着すれば、複数の生体軟組織あるいは複数の部分に分かれた生体軟組織を、チタン材料を介して相互に接着することができる。従って、上記の生体軟組織への接着材の接着方法は、チタン材料を用いた生体軟組織同士の接着方法としても利用できる。
また、上記接着方法において、接着材が、多数の透孔を有するメッシュ状であるとよい。このような接着材は、例えば、メッシュ状のチタン材料に対して上記砥粒の投射と上記酸処理を行って形成できる。この場合、砥粒の投射及び酸処理を経た接着材においても、メッシュ形状が概ねそのまま維持される。また、透孔のないチタン材料に上記砥粒の投射を行った後で透孔を形成し、その後上記酸処理をしたり、上記酸処理の後で透孔を形成したりしてもよい。いずれの場合でも、同程度の大きな接着力を得ることができる。
シート状の接着材を接着させる場合、接着材下の軟組織は酸素、二酸化炭素等のガス交換や、栄養分、水分の交換が十分でなく組織障害が生じる可能性がある。しかし、上記のようなメッシュ状のチタン材料を用いることにより、ガス、液体等の透過性を向上させ、組織障害を防止できる。
なお、接着材に透孔があると、接着材の面積当たりの軟組織への接着面積は、透孔の分だけ減少する。しかしながら、メッシュ状のチタン材料を用いて接着材を形成しても、透孔のないチタン材料を用いた場合と比べ、接着材の面積当たりの軟組織は、概ね維持できる。すなわち、接着材の面積当たり接着力を維持しつつ、ガス、液体等の透過性を向上させることができる。
また、上記接着方法において、上記砥粒を、上記チタン材料の表面に対し30°〜90°の角度で投射して上記表面を粗造とするとよい。この角度範囲での投射が、チタン材料の表面へのマクロポーラスの形成に効果的であるためである。
また、上記砥粒を、上記チタン材料の表面に対して斜めの、45°付近の角度、例えば30°〜60°の角度で投射すると、特に効果的である。この角度で投射を行うことにより、砥粒がチタン材料の表面に対し斜めに衝突することから、その際、砥粒が表面の下部に若干潜り込んで表面を抉り取るように窪みが形成され、マクロポーラスの形成に効果的である。
なお、一般に、砥粒の投射により粗面を形成しようとする場合に砥粒の投射角を正確に制御することは難しく、中心軸を所望の角度に設定したとしても、ある程度放射状に投射されてしまう。上記の投射角度も、サンドブラスト等の一般的な砥粒投射装置により制御可能な精度で制御すれば足りる。
また、上記接着方法において、上記接着材の前記表面に、水素化チタンが析出しているとよい。
酸処理の処理時間に応じて上記チタン材料と生体軟組織との接着力が変化するが、処理時間が異なる複数のサンプルのうち、表面に水素化チタンの析出が確認されたチタン材料が、未処理の状態よりも有意に高い接着力を有することを、発明者らが見出した。従って、上記接着材を形成するための酸処理は、上記チタン材料の上記表面に水素化チタンが析出する程度にまで行うとよい。
なお、酸処理により水素化チタンを形成するためには、酸処理前に、チタン材料の表面に酸化チタンが形成されている必要がある。酸化チタンは、チタン材料を常温の空気中に放置すれば比較的短時間のうちに形成されるが、チタン材料の内部にまでは形成されない。このため、砥粒の投射により表面が深く抉られすぎると、酸化チタンが形成されていない内部が露出してしまい、その状態で酸処理を行っても、水素化チタンが効率よく形成できない部分が生じてしまう。この観点では、砥粒を上記チタン材料の表面に対し90°で投射するよりも、45°付近の角度、例えば30°〜60°の角度で投射した方が、比較的浅いマクロポーラス構造により粗面を形成でき、酸処理により水素化チタンを効率よく形成できる。すなわち、高い接着力を得ることができる。
また、上記接着方法において、上記接着材を形成する際に、上記チタン材料の上記表面のうち一部をマスキングした状態で上記砥粒を投射するとよい。
チタン材料に対し、砥粒を投射せずに酸処理を行っても、その表面にミクロポーラスを形成し、生体軟組織との接着性を一定程度付与することができる。しかし、砥粒を投射して表面を粗造とした後で酸処理を行った方が、より強い接着性を付与することができる。従って、砥粒を投射する際に、チタン材料の表面のうち一部を、砥粒により削られないように適当な被覆材によりマスキングしておけば、その部分の接着性を低下させ、接着材全体としての生体軟組織との接着性を、マスキングがない場合と比べて若干低下させることができる。
そして、チタン材料の表面のうち砥粒を投射する面積の割合を調整することにより、形成される接着材と生体軟組織との間の接着力を調整することができる。
また、上記接着方法において、上記生体軟組織が、消化管粘膜、血管内皮など上皮系組織、筋肉、骨、軟骨、臓器周囲線維性組織を含む結合組織、血管又は神経であるとよい。
上記チタン材料と、上皮系組織、結合組織、血管又は神経との接着が実現できれば、生体へのセンサの固定、組織の変形補助、組織の穿孔閉鎖、組織の補強といった用途に上記接着方法を活用しやすくなる。ただし、生体へのセンサの固定、組織の変形補助、組織の穿孔閉鎖、あるいは組織の補強の対象は、上皮系組織、結合組織、血管及び神経には限られない。
また、この発明は、上記のいずれかの接着方法を用いてセンサを生体内に固定する、生体へのセンサの固定方法であって、上記接着材に、上記表面の少なくとも一部が露出するように上記センサを固定し、上記接着材の上記表面のうち露出している部分と、生体軟組織とを接触させて上記接着材と上記生体の生体軟組織とを接着することにより、上記センサを上記生体内に固定する、生体へのセンサの固定方法も提供する。
この方法において、センサと上記接着材に対して予め固定しておくことは、任意の接着剤や固定器具、嵌め込み等の任意の方法により容易に行うことができる。センサが接着材に固定された状態で、わずかな力を加えつつ接着材の表面を生体軟組織に接触させれば、接着材が短時間でかつ容易に生体軟組織に接着され、センサも、上記接着材を介して生体軟組織に固定される。このように固定されたセンサは、生体が運動しても容易にその位置がずれることはない。この方法を適用するセンサとしては、例えば生体の位置、動き、物理状態など、あるいは、体内における化学、生物情報を計測し、外部の集計装置に無線送信する装置が考えられる。IoT(Internet Of Things)技術の進展に伴い、生体の情報を効率よく収集することの有用性は増していくと考えられる。
また、この発明は、上記のいずれかの接着方法を用いて生体軟組織の変形を補助する生体軟組織の変形補助方法であって、上記生体軟組織を所望の形状に変形し、上記変形後の形状に沿って上記生体軟組織に上記接着材を接着する、生体軟組織の変形補助方法も提供する。
上記接着材が生体軟組織に接着された箇所は、接着材によって生体軟組織の変形が制約される。例えば、チタン材料を用いて形成された接着材は、伸縮性には乏しい。このため、血管や腸管がヘルニアを起こした場合に、断裂部からヘルニア部を管内に押し込んだ上で断裂部を閉じて、断裂部の外側から接着材を接着すれば、断裂部の伸縮を阻止し、このことにより断裂部が開いてヘルニア部が突出してくることを防止できる。また、断裂部が閉じた状態を維持できるため、断裂部が自然治癒により閉じる効果も期待できる。これは、生体軟組織の、断裂部が閉じるような変形を補助したことに該当する。
また、接着材が一定の剛性を有する場合、接着材を接着した箇所の生体軟組織の形状を、接着材の形状に合わせて変形させることも可能である。初めは形状の相違により生体軟組織が接着材に接着されない個所が残ったとしても、組織の動きに応じて一度又は何度か接着材に接触するうちに、接着材に接着され、柔軟な生体軟組織側が変形して接着材の形状に沿うためである。この性質を利用して、例えば、眼球の裏側に、好ましい矯正後の形状を持つ接着材を接着することにより、近視の治療のために眼球の形状を矯正することが考えられる。
また、上記の接着方法は、上記生体軟組織の上記穿孔が形成された箇所を覆うように、上記生体軟組織に上記接着材を接着する、生体軟組織の穿孔閉鎖方法や、上記生体軟組織のうち補強すべき部分に上記チタン材料を接着する、生体軟組織の補強方法にも利用可能である。
また、この発明は、チタン材料の表面に対し該チタン材料よりも硬度の高い砥粒を投射することにより上記表面を粗造とした後で上記表面に対して酸処理を行って形成した接着材であり、生体軟組織へ接着される、生体軟組織用接着材も提供する。
この生体軟組織用接着材は、今回、チタン材料の表面に対し、砥粒の投射による物理的修飾方法と酸処理による化学的修飾方法を組み合わせ、マルチスケール、つまり超微細なサイズのものから目に見えるマクロサイズのものまでの凹凸をつけることにより、チタン材料の当該表面に、生体軟組織との接着性を付与することができ、また、わずかな力を加えつつ生体軟組織に接触させることにより、短時間で生体軟組織と強力に接着することができるという新規な特性を見出したことに基づき、生体軟組織へ接着される生体軟組織用接着材という、新規な用途を提案するものである。
生体軟組織への接着材の接着方法について上述した、上記砥粒の投射に関する説明、上記酸処理に関する説明、上記チタン材料及び接着材の特性に関する説明、および生体軟組織に関する説明は、この生体軟組織用接着材についても同様に当てはまる。
この発明は、上記の生体軟組織用接着材に、上記表面の少なくとも一部が露出するようにセンサを固定した生体内埋入型センサも提供する。
このような生体内埋入型センサは、生体へのセンサの固定方法に関して上述したものと同様な原理により、容易に生体内に固定することができる。
また、この発明は、上記の生体軟組織用接着材を、生体軟組織と接着すべき部分に備える、生体軟組織変形補助材も提供する。
この生体軟組織変形補助材は、生体軟組織の変形補助方法の実施に利用可能である。すなわち、生体軟組織用接着材について上述したようにチタン材料に新規な特性を見出したことに基づき、生体軟組織変形補助という新規な用途を提案するものである。
上述した生体軟組織の穿孔閉鎖方法に利用可能な穿孔閉鎖材や、上述した生体軟組織の補強方法に利用可能な補強材も、同様に実現可能である。
以上に述べた構成及び以下の実施形態及び実施例において説明する構成は、相互に矛盾しない限り、任意に組み合わせて実施可能であるし、一部のみを取り出して実施することも可能である。また、以上に述べた構成は、この発明の一例であり、この発明が以上に述べた構成に限定されることはない。
以上のような本発明の構成によれば、短時間で容易に生体軟組織への固形の部材の接着を行うことができる。また、この接着を様々な有用な用途に利用できる。
第1実施例のチタン薄膜の、酸処理前後の写真である。 第1実施例のチタン薄膜のマウス真皮に対する接着強さを示すグラフである。 第1実施例の別のチタン薄膜の、マウス真皮に対する接着強さを示すグラフである。 第1実施例のさらに別のチタン薄膜の、マウス真皮に対する接着強さを示すグラフである。 第1実施例の、砥粒の投射角度が異なるチタン薄膜の、マウス真皮に対する接着強さを示すグラフである。 第1実施例のチタン薄膜の、酸処理前の状態の電子顕微鏡写真である。 第1実施例のチタン薄膜の、酸処理後の状態の電子顕微鏡写真である。 第1実施例のチタン薄膜の断面の写真である。 第1実施例の別のチタン薄膜の断面の写真である。 第1実施例のチタン薄膜のX線回折パターンである。 第1実施例の別のチタン薄膜のX線回折パターンである。 図11に示したチタン薄膜のマウス真皮に対する接着強さを示すグラフである。 第1実施例のチタン薄膜のマウス真皮に対する接着強さを、圧着の圧力を変化させて測定した結果を示すグラフである。 第1実施例のチタン薄膜のマウス真皮に対する接着強さを、圧着時間を変化させて測定した結果を示すグラフである。 第2実施例のチタン薄膜に形成する透孔について説明するための図である。 第2実施例のチタン薄膜のマウス真皮に対する接着強さを示すグラフである。 図16の接着強さを、接着材が生体軟組織に接触する面積当たりの接着強さに換算した値を示すグラフである。 第2実施例のチタン薄膜の電子顕微鏡写真である。 第2実施例のチタン薄膜の水の透過性を示すグラフである。 第2実施例の別のチタン薄膜のマウス真皮に対する接着強さを示すグラフである。 生体内埋入型センサの実施形態の構成を示す図である。 接着材の生体軟組織変形補助用途について説明するための図である。 接着材の生体軟組織穿孔閉鎖用途について説明するための図である。
以下、本発明を実施するための形態及び実施例について説明する。
本発明は、チタン材料に生体軟組織接着性を付与するための物理的及び化学的表面修飾に関する方法、生体軟組織接着性を付与されたチタン材料と生体軟組織との接着方法、生体軟組織接着性を付与されたチタン材料により構成される生体軟組織用接着材、及びいくつかの用途におけるそれらの応用等に関する。
〔第1実施例:図1乃至図14〕
まず、本発明の第1実施例について説明する。
本実施例では、チタン材料として純チタン(JIS(日本工業規格)1種TR270C)の薄膜(厚さ15μm×幅5mm×長さ30mm)を準備し、この純チタン薄膜に、様々な条件で砥粒を投射した上で(又はコントロールとして砥粒の投射を行わずに)、酸処理を行ったサンプルを用意した。
砥粒の投射は、サンドブラスト用の砥粒吹付装置(株式会社モリタ製作所製、ジェットブラストII)を用いて、約10cmの距離から、0.2MPaの噴射圧力にて行った(一部のサンプルは0.3MPaであり、別途注記する)。使用した砥粒は、アルミナ及び炭化ケイ素の2種類のグリットである。アルミナは、粒径が50μmのもの、炭化ケイ素は、累積高さ分率50%の粒子径(ds50)が20μmのものを用いた。使用した砥粒の材質、投射時間及び投射角度は、サンプルによって異なるので、サンプル毎に説明する。距離については、以後の実施例のものも含め、データを示す全てのサンプルで約10cmであるので、以後は説明を省略する。なお、以降の説明において、砥粒の投射処理を、「サンドブラスト」と呼ぶ。また、投射角度は、チタン薄膜の表面に対して何度の角度を中心として砥粒を投射したかを示し、表面に対して垂直に投射する場合を90°とする。
酸処理は、70℃に保った45wt%HSO/15wt%HClに15分間浸漬することにより行った(以下の実施例では重量%を「wt%」と表記する)。酸処理後に純水で洗浄し、60℃にて1時間乾燥した。酸処理は、図2以降で用いるサンプルでも、特に断らない限り、同条件で行っている。
まず、(1)サンドブラストなし、(2)アルミナの砥粒を用いて投射角度90°、投射時間60秒のサンドブラスト、(3)アルミナの砥粒を用いて投射角度45°、投射時間60秒のサンドブラスト、の3条件のサンプルにつき、酸処理前と酸処理後の写真を撮影した。
図1にその写真を示す。図1からわかるように、チタン薄膜はサンドブラストにより少し暗色を示し、また、変形を示した。その後、酸処理を施すことで暗黒色へと色調変化が見られるとともに、薄膜の変形は改善された。すなわち、サンドブラストのみを施すと、薄膜の平面形状が崩れてしまい、平面状の生体軟組織への接着操作が困難になるが、酸処理を施すことにより平面形状を回復し、接着操作を容易に行えるようになる。この傾向は、他の多くのサンドブラストの条件でも同様であった。
次に、種々の条件のサンドブラスト及び酸処理を行ったチタン薄膜と、生体軟組織との接着強さの測定を行った。ここでは、生体軟組織の被着体として、マウス真皮組織を用いた。接着強さは、チタン薄膜と被着体を5mm×2mmの面積で重ね合わせ、重ね合わせ部分に100gの分銅を10秒間静置することで圧着した後、万能試験機(Ez−test; Shimadzu Corp.,Kyoto,Japan)にて150mm/minの引張速度でせん断力を加えた際の最大力から算出した。使用したマウス真皮組織は、Slc:ICRマウス(6週齢;♀;体重25〜27g)の背部から採取した真皮組織である。上記の接着強さの測定は、特に断らない限り常温で行っている。なお、ここでは10秒間の接触によりチタン薄膜と被着体とを接着しているが、接着自体は、より短い時間、例えば1〜3秒程度の接触でも可能である。
図2及び図3に、サンドブラストの条件ごとにチタン薄膜の5つのサンプルについて測定を行った結果の平均値と標準偏差を示す(N=5)。横軸の各条件と対応するバーが平均値を、その上端を中心とするラインが標準偏差を示す。図の表記法及びサンプル数は、以後の各図においても特に断らない限り同様である。
図2及び図3に示すのは、コントロールとしてのサンドブラストなしのサンプルと、投射角度を90°として、投射時間を30秒、60秒、90秒の三段階に変化させてサンドブラストを行ったサンプルである。図2には砥粒としてアルミナを用いた場合の結果を、図3には砥粒として炭化ケイ素を用いた場合の結果を示している。酸処理は、全てのサンプルに対して上述の同じ条件で行っている。「サンドブラストなし」については、図2と図3で同じサンプルのデータを示している。また、表1及び表2に、それぞれ図2及び図3の各サンプルについて求めた接着強さの平均値と標準偏差の数値データを示す。
Figure 2021133093
Figure 2021133093
図2及び図3からわかるように、アルミナと炭化ケイ素のいずれの砥粒を用いた場合も、サンドブラストの後で酸処理を行うと、サンドブラストなしの場合と比較して接着力の増加が見られ、生体軟組織への接着力が大きい接着材が得られることがわかる。特に、アルミナで投射時間60秒の場合では、接着力が大きいとされるシアノアクリレート系接着剤(接着力約120kPa(キロパスカル))に匹敵する接着力が得られた。
なお、現在用いられているフィブリン糊との比較で考えると、最低限、10kPa程度の接着力が得られれば生体軟組織への接着材として有用であると考えられる。今回測定した全てのサンプルでは、これを大きく上回る接着力が得られており、生体軟組織への接着材として十分に有用であると考えられる。
また、60秒までの投射時間では、投射時間が長くなるにつれて接着力が上昇する傾向が認められた。ただし、60秒を過ぎると、投射時間が長くなるにつれて接着力が逆に低下する傾向が見られた。しかし、処理時間が90秒の場合であっても、サンドブラストなしの場合よりも接着力が低下することはなく、サンドブラストによる接着力の向上効果は見られた。
また、図4に、サンドブラストの投射角度を変化させたサンプルについて同様に接着強さを測定した結果を示す。図4に示すのは、投射時間は60秒で共通であり、砥粒の材質をアルミナと炭化ケイ素の2通り、投射角度を90°と45°の2通りとした、計4条件のサンプルのデータである。なお、これらのうち炭化ケイ素の砥粒を用いたサンプルでは、0.3MPaの噴出圧力にてサンドブラストを行っている。また、表3に、図4の各サンプルについて求めた接着強さの平均値と標準偏差の数値データを示す。
Figure 2021133093
図4及び表3からわかるように、砥粒の材質によって程度に差はあるものの、総じて、投射角度が90°の場合よりも、投射角度が45°の場合の方が接着力が大きい傾向が見られた。
また、図5に、サンドブラストの投射角度をさらに細かく変化させたサンプルについて同様に接着強さを測定した結果を示す。図5に示すのは、砥粒の材質をアルミナ、噴出圧力を0.2MPa、投射時間を60秒で共通とし、投射角度を30°、45°、60°、90°の4通りとしたサンプルのデータである。コントロールとして、サンドブラストを行わない酸処理のみのサンプルのデータを示している。また、表4に、図5の各サンプルについて求めた接着強さの平均値と標準偏差の数値データを示す。
Figure 2021133093
図5及び表4からわかるように、実験を行った投射角度30°から90°の全ての範囲で、サンドブラストなしの場合と比べて接着力が大きく増加した。また、30°から60°の、チタン薄膜に対して斜めの角度から投射を行った場合に、90°の角度から投射を行った場合よりも接着力が大きくなる傾向が見られ、実験を行った角度範囲では、投射角度が小さくなるほど接着力が高くなる傾向が見られた。なお、30°よりも小さな角度では、サンドブラスト処理自体が困難であった。
次に、図6に、種々の条件のサンドブラストを行ったチタン薄膜の酸処理前の電子顕微鏡写真を示す。また、図7に、サンドブラスト後に酸処理を行ったチタン薄膜の電子顕微鏡写真を示す。
図6及び図7は、SEM(走査型電子顕微鏡)による表面観察を行った結果であり、Neoc−Pro(Meiwafosis Co.Ltd.,Tokyo,Japan)を用いてオスミウムコーティングを行ったのち、JSM−6701F microscope(JEOL Ltd.,Tokyo,Japan)を用いて観察した。この際、加速電圧は5kV、ワーキングディスタンスは8mmとして観察した。
図6及び図7に示すのは、(a)コントロールとしてのサンドブラストなしのサンプルと、砥粒をアルミナ、投射角度を90°として、投射時間を(b)30秒、(c)60秒、(d)90秒の三段階に変化させてサンドブラストを行ったサンプルである。図7(e)は、(d)と同じサンプルを、倍率を10倍上げて撮影した写真である。図中には、10μm(図7(e)のみ1μm)に対応するスケールを示している。
まず、図6の写真から、サンドブラストの時間に応じて表面の凹凸が増加し、処理時間が長いほど多くのマクロポーラス(大きめのサイズの孔構造)が形成されていることがわかる。
また、図6と図7の写真を比較すると、サンドブラストにより形成されたマクロポーラスは、酸処理後も維持される一方、酸処理により、マクロポーラスの表面にミクロポーラス構造が形成されることがわかった。
ただし、処理時間が90秒のサンプルでは、マクロポーラスの奥の方には、ミクロポーラスの形成が少ない傾向が見られた。処理時間90秒では、チタン薄膜の表面が深く抉られすぎて、酸化チタンが形成されていない内部が露出してしまい、その状態で酸処理を行っても、水素化チタンが効率よく形成できない部分が生じてしまうことが考えられるが、ミクロポーラスの形成が少ない点は、このことと対応していると考えられる。
図10及び図11を用いて後述するように、発明者らは、チタン薄膜に生体軟組織への接着力が生じることと、表面に水素化チタンが形成されることとの間に関連があることを見出しているが、図6及び図7の写真を図2及び図3のデータと対比すると、水素化チタンが形成されにくい領域では、ミクロポーラスも形成されにくく、その結果、接着力が多少弱くなることが考えられる。
次に、図8に、種々の時間の酸処理を行ったチタン薄膜をレジン包埋し切断して撮影した断面の写真を示す。また、図9に、サンドブラスト後に酸処理を行ったチタン薄膜の同様な断面写真を示す。
図8は、70℃に保った45wt%HSO/15wt%HClに浸漬することによる酸処理を、(a)0分(処理なし)、(b)5分、(c)10分、(d)15分、(e)20分、と異なる時間だけ行ったサンプルの写真である。これらを比較すると、酸処理の時間が長くなるにつれて、表面の粗さが粗くなることがわかる。
図9は、砥粒として炭化ケイ素を用い、60秒間のサンドブラストを、(a)噴射圧力0.2MPa、投射角度90°、(b)噴射圧力0.3MPa、投射角度90°、(c)噴射圧力0.3MPa、投射角度45°、で行った後、70℃に保った45wt%HSO/15wt%HClに浸漬することによる酸処理を15分行ったサンプルの写真である。いずれのサンドブラストの条件であっても、サンドブラストを行うことにより、20分間酸処理のみをした図8(e)の場合よりも、より粗造な表面が形成されていることがわかった。
次に、図10に、(a)未処理、(b)酸処理、(c)サンドブラスト+酸処理、の各サンプルについてのX線回折(XRD)パターンの測定結果を示す。酸処理は、70℃に保った45wt%H2SO4/15wt%HClに15分浸漬であり、サンドブラストは、アルミナの砥粒を用い、噴射圧力0.2MPa、投射角度90°、投射時間60秒である。未処理は、酸処理とサンドブラストのいずれも行わないサンプルである。
XRDパターンは、RINT2500HF(Rigaku Corp.,Tokyo,Japan)を用いて測定した。この際、管電圧40kV、管電流200mAの条件で発生したCuKα線をX線源として用い、走査速度は2°/minとして室温で測定を行った。
各サンプルのXRDパターンは、上記各処理を行ったチタン薄膜の表面結晶構造を反映するものである。図10のデータから、未処理のサンプルでは表面にほとんど水素化チタンが存在しないが、酸処理のみで表面に水素化チタンが形成され、サンドブラストの後で酸処理を行った場合も、酸処理のみの場合と同様に、表面に水素化チタンが形成されることがわかる。
また、図11に、酸処理の時間が異なるサンプルについてのXRDパターンの測定結果を示す。図11に示すのは、図8の場合と同様に、酸処理を、(a)0分(処理なし)、(b)5分、(c)10分、(d)15分、(e)20分、と異なる時間だけ行い、サンドブラストは行わないサンプルについての測定結果である。
これらのパターンからわかるように、処理時間が10分以上で水素化チタン相の析出が明確に確認された。また、処理時間が長くなるにつれ、母材であるTi相のピーク強度が減少した。
図12に、図11と同様な各サンプルについて求めた接着強さの平均値と標準偏差を示す。測定方法及びグラフの表記方法は、図2及び図3の場合と同様である。また、表5に、各サンプルについて求めた接着強さの平均値と標準偏差の数値データを示す。
Figure 2021133093
図12及び表5からわかるように、処理時間が10分以上のサンプルでは未処理のサンプルと比較して有意な接着強さの向上が認められ、処理時間が長いほど高い接着強さを示した。また、処理時間が10分以上のサンプルは、生体軟組織用接着材として使用可能な接着強さを有する。
このデータを、図11のXRDパターンと比較すると、水素化チタン相の析出が起こる程度まで酸処理を行うことにより、チタン材料と生体軟組織との接着強度を、未処理の場合と比べて大幅に強化できることがわかる。
また、チタン薄膜に付与できる生体軟組織への接着力は、表面への水素化チタンの形成と関連が深いことがわかる。
次に、図13及び図14に、サンドブラスト及び酸処理を行ったチタン薄膜とマウス真皮組織との接着条件を変化させて接着強さを測定した結果を示す。ここで、サンドブラスト処理は、砥粒の材質をアルミナ、噴出圧力を0.2MPa、投射時間を60秒、投射角度を45°で共通とした。
図13に示すのは、圧着の圧力を変化させた例であり、チタン薄膜をマウス真皮組織へ接着する際に重ね合わせ部分に載せる分銅の重さを、0g(分銅なし)、5g、50g、100g(図2等と同じ)、の4段階として測定した結果である。横軸の各条件と対応する点が平均値を、その点を中心とするラインが標準偏差を示す。なお横軸には、分銅及びチタン薄膜の自重により加えられる、マウス真皮組織に対してチタン薄膜を押し付ける圧力を示している。
その他の測定方法や表記法は、図2の場合と同様である。また、表6に、図13の各サンプルについて求めた接着強さの平均値と標準偏差の数値データを示す。
Figure 2021133093
図13及び表6からわかるように、サンドブラスト及び酸処理をしたチタン薄膜は、圧着時の圧力が49.0kPaであっても、98.1kPaの場合とほぼ遜色ない接着力を示した。すなわち、49.0kPaの圧力で、本実施例のチタン薄膜による接着材に十分に接着性能を発揮させることができるといえる。
また、圧力が4.9kPaであると、98.1kPaの場合と比べて接着力は低下するが、図2及び表1に示したサンドブラストなしのサンプルと比べると大きな接着力を示しており、サンドブラストにより、小さな圧力でも強い接着力が得られるようになったといえる。
さらに、分銅なし、自重のみでの接着であると、分銅を用いた場合に比べて接着力は大きく低下する結果となったが、それでも平均値で22.6kPaの接着力が得られ、10kPa程度の接着力である従来のフィブリン糊と比較すれば、十分強力であるといえる。
一方、図14に示すのは、圧着時間を変化させた例であり、チタン薄膜をマウス真皮組織へ接着する際に重ね合わせ部分に分銅を載せる時間を、1秒、5秒、10秒(図2等と同じ)、の3段階として測定した結果である。分銅の重さは、図2等の場合と同じ100gである。横軸の各条件と対応する点が平均値を、その点を中心とするラインが標準偏差を示す。
その他の測定方法や表記法は、図2の場合と同様である。また、表7に、図14の各サンプルについて求めた接着強さの平均値と標準偏差の数値データを示す。
Figure 2021133093
図14及び表7からわかるように、サンドブラスト及び酸処理をしたチタン薄膜は、圧着時時間が5秒であっても、10秒の場合とほぼ遜色ない接着力を示した。すなわち、98.1kPaの圧力をかければ、5秒間の圧着で、本実施例のチタン薄膜による接着材に十分に接着性能を発揮させることができるといえる。
また、圧着時間が1秒であると、10秒の場合と比べて接着力は低下するが、図2及び表1に示したサンドブラストなしのサンプルと比べると大きな接着力を示している。従って、サンドブラストにより、極めて短時間の、人の手による操作であればほぼ無視できる程度の短時間の圧着でも、強い接着力が得られるようになったといえる。
なお、発明者らの別の実験では、砥粒の材質がアルミナ、噴出圧力が0.2MPa、投射時間が60秒、投射角度が45°のサンドブラストの後でここまでの例と同様な酸処理をしたチタン薄膜を指でつかみ、生体軟組織に対して1秒間程度指で軽く押し当てるといった簡単な操作で、チタン薄膜を、容易に脱落しない程度の接着力で生体軟組織に接着することができた。このとき、実験者が装着していた手術用手袋にチタン薄膜が接着してしまうことはなく、この点でも操作性が良好であった。
〔第2実施例:図15乃至図20〕
次に、本発明の第2実施例について説明する。
本実施例は、多数の透孔を有するメッシュ状のチタン薄膜を用いた例である。
チタン材料として、第1実施例の場合と同様な純チタン(JIS(日本工業規格)1種TR270C)の薄膜(厚さ15μm×幅5mm×長さ30mm)を準備し、この純チタン薄膜に、レーザー加工又はエッチング加工により、表8に示す孔径及びピッチで円形(楕円形)の孔を開け、メッシュ状としたチタンメッシュシートを作製した。
Figure 2021133093
表8には、各チタンメッシュシートの開孔率を示しているが、これは、図15に沿って算出した値である。
すなわち、チタンメッシュシートには、図15に示すように、水平方向の第1軸と、第1軸に対して60°傾いた第2軸に沿って配列した孔を形成している。孔径がd、ピッチがPである。そして、d及びPの値に基づき、図15の中央付近のひし形を1単位として、その中に含まれる孔の面積の割合を、開孔率として算出している。
以上のチタンメッシュシートに対し、70℃に保った45wt%HSO/15wt%HClに15分間浸漬することにより酸処理を行って作成したサンプルに対し、図2及び図3の場合と同じ測定方法により、生体軟組織との接着強さの測定を行った。
図16に、表8のサンプルNo.1,2,4,5,6及び、コントロールとして孔なしのサンプルについての測定結果を示す。図17は、図16の測定結果を、各サンプルの(1−開孔率)で除して、開孔以外の、接着材が生体軟組織に接触する面積当たりの接着強さに換算した値を示すグラフである。
また、表9に、図16の各サンプルについて求めた接着強さの平均値と標準偏差の数値データを、表10に、図17の換算値の数値データを、それぞれ示す。
Figure 2021133093
Figure 2021133093
図16及び図17からわかるように、孔を開けることにより、接着面積が減少するにもかかわらず、No.1,2,6のサンプルでは、無孔の場合と同程度の接着強さが得られた。すなわち、接触面積当たりの接着強さに換算すれば、孔を開けたことにより、無孔の場合より強くなっている。No.4,5では、無孔の場合と比べて孔を含む接着材の面積当たりの接着強さは無孔の場合よりも弱かったが、接触面積当たりの接着強さに換算すれば、無孔の場合と同程度の接着強さであった。
これらは、孔の形成により生じた孔の壁面への接着や孔の存在そのものによる機械的嵌合力の増加によるものと考えられた。
次に、図18に、No.2のサンプルについての、酸処理前後の電子顕微鏡写真を示す。(a)は酸処理前、(b)は酸処理後の写真であり、各3枚の写真はそれぞれ倍率が異なる。写真中の、100μm、10μm、1μmのスケールを参照されたい。撮影条件は、図6及び図7の場合と同様である。
No.2のサンプルは、レーザー照射により孔を開けることから、短時間での孔開けが可能であり、図18(a)の写真に見られるように、バリの発生も比較的少ないが一部認められる。このバリは、接触面積当たりの接着強さの向上に幾らかの関係があると考えられる。また、図18(b)の写真に見られるように、バリは、酸処理後も残っている。
次に、未処理のNo.1〜8のサンプルについて、水の透過性を測定した。測定は、2mlの水を入れたガラスのサンプルチューブの口の部分に試料薄膜を隙間のないようにワセリンを使用して設置し、初期の重量を計測した後、時間経過にともなう重量変化を計測して行い、その重量変化をもとに透過性を算出した。各サンプルについてN=5とした。
図19に、No.1〜8のサンプル及び、コントロールとしてシートがない場合及び無孔のシートについての測定結果を示す。表11に、図19の各サンプルについて求めた蒸発量の平均値と標準偏差の数値データを示す。
Figure 2021133093
図19中、*印を付した箇所(No.6〜8及び無孔)は、水透過性に相互に有意差が見られたサンプルである。この有意差は、統計解析に一元配置分散分析を行い、その後Tukey法による多重比較検定(有意水準5%未満)を行って分析したものである。
図19及び表8からわかるように、開孔率が20%以上のチタンメッシュシートでは、互いに同等な水透過性が認められる一方で、それ以下の開孔率では水透過性の有意な減少が認められた。
すなわち、接着材の水透過性を向上させるためには、開孔率を概ね20%以上とすることが好ましい。しかし、それ以下であっても、開孔率に応じた透過性は得られると考えられる。他のガスや液体の透過性についても、同様な傾向があると考えられる。
以上から、チタンメッシュシートを用いることにより、接着材の接着力を維持しつつ、または、大きく低下させることなく、気体や液体の透過性を向上させることができ、接着先の組織への負担が少ない接着材を実現できる。なお、サンドブラストや酸処理は、水の透過性に影響を与えない。
次に、チタンメッシュシートに対してサンドブラスト及び酸処理を行った例について説明する。
図20は、(1)無孔のチタン薄膜に対して酸処理のみ行ったサンプル、(2)表8のNo.6のチタンメッシュシートに対して酸処理のみ行ったサンプル、(3)表8のNo.6のチタンメッシュシートに対してサンドブラストの後酸処理を行ったサンプル、について、図2及び図3の場合と同じ測定方法により、生体軟組織との接着強さの測定を行った結果を示す。また、表12に、各サンプルについて求めた接着強さの平均値と標準偏差の数値データを示す。図20と表12のデータは、図17の場合と同様、接着材が生体軟組織に接触する面積当たりの接着強さに換算している。
Figure 2021133093
酸処理は、70℃に保った45wt%HSO/15wt%HClに15分間浸漬、サンドブラストは、砥粒として炭化ケイ素を用い、投射角度45°、投射時間60秒である。
これらのサンプルの接着強さには、図19の場合と同様な多重比較検定により、相互に有意差が見られた。また、サンドブラストの後で酸処理を行うことにより、100kPaを超える高い接着強さが得られた。No.6以外のチタンメッシュシートを用いた場合も、同様な傾向が見られた。
すなわち、チタンメッシュシートを用いる場合も、第1実施例の場合と同様、サンドブラストの後で酸処理を行うことにより、酸処理のみの場合と比較して、生体軟組織に対する非常に高い接着力を得られるといえる。また、チタンメッシュシートを用いることにより、これと同時に、上述のように、ガスや液体について高い透過性を得ることができる。
〔生体内埋入型センサの実施形態:図21〕
次に、生体内埋入型センサの実施形態について説明する。
図21に示すように、センサユニット220を、第1及び第2実施例で説明したような、生体軟組織への接着力が強化されたチタン材料による接着材210上に固定することにより、生体内埋入型のセンサ200を構成することができる。この固定は、接着剤などの化学的手段を用いてもよいし、嵌め込みなどの機械的手段を用いて行ってもよい。いずれにせよ、この工程は生体の外部で行うことができるので、容易に実行可能である。
このセンサ200は、センサユニット220と反対側の接着面212を、固定先の生体軟組織に接触させることにより、接着材210と生体軟組織との接着が生じ、生体軟組織に固定することができる。また、センサユニット220側に生体軟組織が位置する場合でも、センサユニット220に覆われずに露出している接着面211を生体軟組織に接触させることにより、接着材210と生体軟組織との接着が生じ、生体軟組織に固定することができる。もちろん、接着面211,212の双方を生体軟組織に接着してもよい。
このような構成によれば、センサユニット220を、簡単な操作で確実に生体内に埋め込み固定することができる。
〔生体軟組織変形補助材の実施形態:図22〕
次に、生体軟組織変形補助材の実施形態について説明する。
この実施形態は、図22に示すように、生体軟組織である腸管310にできたヘルニア311を、第1及び第2実施例で説明したような、生体軟組織への接着力が強化されたチタン材料による接着材320によって解消するものである。
腸管310の断裂部から外部に突出しているヘルニア311を腸管310内に押し込んだ上で断裂部を閉じて、断裂部の外側から十分な接着強度を持つ接着材320を接着すれば、断裂部を塞ぎ、断裂部が開いてヘルニア部が突出してくることを阻止できる。また、断裂部が閉じた状態を維持できるため、断裂部が自然治癒により閉じる効果も期待できる。
これは、生体軟組織の、断裂部が閉じるような変形を補助したことに該当する。すなわち、接着材320は、生体軟組織変形補助材として機能する。
〔生体軟組織穿孔閉鎖材の実施形態:図23〕
次に、生体軟組織穿孔閉鎖材の実施形態について説明する。
この実施形態は、図23に示すように、生体軟組織である腸管310にできた穿孔312を、第1及び第2実施例で説明したような、生体軟組織への接着力が強化されたチタン材料による接着材330によって解消するものである。
穿孔312を覆うように腸管310の外側から十分な接着強度を持つ接着材330を接着すれば、穿孔312を閉鎖し、腸管310を修復できる。また、穿孔312断裂部が閉じた状態を維持できるため、穿孔312が自然治癒により閉じる効果も期待できる。
これは、生体軟組織の穿孔を閉鎖したことに該当する。すなわち、接着材330は、生体軟組織穿孔閉鎖材として機能する。このような穿孔閉鎖効果は、例えば内視鏡手術の際に誤って腸管に開けてしまった穿孔を閉鎖するために活用することができる。接着材330の接着を、腸管310の内側から行っても同様な効果を発揮できる。
また、穿孔312が生じる前に、組織が弱っている部分に接着材330を接着すれば、接着材330は、腸管310を補強して腸管310の破損を未然に防止する、生体軟組織補強材として機能する。
〔接着材のその他の用途〕
第1実施例及び第2実施例で説明したものをはじめとする、生体軟組織への接着力が強化されたチタン材料による接着材は、以上説明した用途以外でも、様々な用途に用いることが考えられ、例えば以下のような用途に用いることが考えられる。
生体組織同士の応急的な接着、生体組織同士の恒久的な接着、生体組織の形態修正、生体組織の変形誘導、生体組織の位置異常修正、生体組織の固定、装置・機械の生体組織への一時的な接着・固定、装置・機械の生体組織への恒久的な接着・固定、等である。
200…センサ、210…接着材、211,212…接着面、220…センサユニット、310…腸管、311…ヘルニア、312…穿孔、320,330…接着材

Claims (17)

  1. チタン材料の表面に対し該チタン材料よりも硬度の高い砥粒を投射することにより前記表面を粗造とした後で前記表面に対して酸処理を行って形成した接着材の表面と、生体軟組織とを接触させることにより、前記接着材と前記生体軟組織とを接着することを特徴とする、生体軟組織への接着材の接着方法。
  2. 前記接着材が、多数の透孔を有するメッシュ状であることを特徴とする、請求項1に記載の生体軟組織への接着材の接着方法。
  3. 前記接着材の前記表面に、ナノからマイクロメートルサイズの凹凸構造が形成されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の生体軟組織への接着材の接着方法。
  4. 前記接着材を形成する際に、前記砥粒を、前記チタン材料の表面に対し30°〜90°の角度で投射して前記表面を粗造とすることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の生体軟組織への接着材の接着方法。
  5. 前記接着材の前記表面に水素化チタンが析出していることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の生体軟組織への接着材の接着方法。
  6. 前記接着材を形成する際に、前記チタン材料の前記表面のうち一部をマスキングした状態で前記砥粒を投射することを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の生体軟組織への接着材の接着方法。
  7. 前記チタン材料の前記表面のうち前記砥粒を投射する面積の割合を調整することにより、前記接着材と前記生体軟組織との間の接着力を調整することを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の生体軟組織への接着材の接着方法。
  8. 請求項1乃至7のいずれか一項に記載の生体軟組織への接着材の接着方法を用いて生体軟組織の変形を補助する生体軟組織の変形補助方法であって、
    前記生体軟組織を所望の形状に変形し、
    前記変形後の形状に沿って前記生体軟組織に前記接着材を接着することを特徴とする、生体軟組織の変形補助方法。
  9. 請求項1乃至7のいずれか一項に記載の生体軟組織への接着材の接着方法を用いてセンサを生体内に固定する、生体へのセンサの固定方法であって、
    前記接着材に、前記表面の少なくとも一部が露出するように前記センサを固定し、
    前記接着材の前記表面のうち露出している部分と、生体軟組織とを接触させて前記接着材と前記生体の生体軟組織とを接着することにより、前記センサを前記生体内に固定することを特徴とする、生体へのセンサの固定方法。
  10. チタン材料の表面に対し該チタン材料よりも硬度の高い砥粒を投射することにより前記表面を粗造とした後で前記表面に対して酸処理を行って形成した接着材であり、生体軟組織へ接着される、生体軟組織用接着材。
  11. 多数の透孔を有するメッシュ状であることを特徴とする、請求項10に記載の生体軟組織用接着材。
  12. 前記接着材の前記表面に、ナノからマイクロメートルサイズの凹凸構造が形成されていることを特徴とする、請求項10又は11に記載の生体軟組織用接着材。
  13. 前記砥粒を、前記チタン材料の表面に対し30°〜90°の角度で投射して前記表面を粗造としたことを特徴とする、請求項10乃至12のいずれか一項に記載の生体軟組織用接着材。
  14. 表面に水素化チタンが析出していることを特徴とする、請求項10乃至13のいずれか一項に記載の生体軟組織用接着材。
  15. 前記チタン材料の前記表面のうち一部のみを前記粗造としたことを特徴とする、請求項10乃至14のいずれか一項に記載の生体軟組織用接着材。
  16. 請求項10乃至15のいずれか一項に記載の生体軟組織用接着材を、生体軟組織と接着すべき部分に備えることを特徴とする生体軟組織変形補助材。
  17. 請求項10乃至15のいずれか一項に記載の生体軟組織用接着材に、前記表面の少なくとも一部が露出するようにセンサを固定したことを特徴とする、生体内埋入型センサ。
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