JP2021131213A - 熱伝導部材およびその製造方法 - Google Patents

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悠治 萩原
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Abstract

【課題】薄型で熱輸送効率の高いウィック構造体を有する熱伝導部材と、その製造方法を提供する。【解決手段】本発明は、熱伝導部材1は、作動媒体2と、作動媒体を輸送する多孔質のウィック構造体3と、を収容する筐体1aを備える。ウィック構造体は、0.02mm以上0.1mm以下の厚さを有し、かつ、51%以上80%以下の空隙率を有する。このため、薄型で熱輸送効率の高いウィック構造体を有する熱伝導部材を実現することができる。【選択図】図1

Description

本発明は、熱伝導部材およびその製造方法に関する。
従来から、熱伝導部材としてのヒートパイプが提案されている。ヒートパイプの内部には、水などの作動媒体と、ウィック構造体とが封入される。ヒートパイプが発熱体と接して配置されると、内部の作動媒体が発熱体によって加熱されて気化する。気化した蒸気は、ヒートパイプの内部を放熱側に移動する。放熱側では、放熱によって蒸気が冷却され、液化する。液体となった作動媒体は、毛細管現象によってウィック構造体中を発熱体側に移動する。このような作動媒体の移動により、発熱体側から放熱側に熱が輸送される。
上記のウィック構造体は、例えば金属ペーストを加熱して、金属ペーストに含まれる金属同士を接合することによって形成される(例えば、特許文献1)。
国際公開WO2017/056842号
近年では、電子機器の薄型化に伴い、電子機器に適用される熱伝導部材についても薄型化が要求されている。熱伝導部材を薄型化するためには、熱伝導部材の筐体に収容されるウィック構造体を薄型化することが必要となる。ウィック構造体を薄型化すると、ウィック構造体において熱を輸送する作動媒体の流路を確保することが困難となる。その結果、熱の輸送効率が低下するおそれがある。
本発明は、上記の点に鑑み、薄型で熱輸送効率の高いウィック構造体を有する熱伝導部材と、その製造方法とを提供することを目的とする。
本発明の例示的な熱伝導部材は、作動媒体と、前記作動媒体を輸送する多孔質のウィック構造体と、を収容する筐体を備える熱伝導部材であって、前記ウィック構造体は、0.02mm以上0.1mm以下の厚さを有し、かつ、51%以上80%以下の空隙率を有する。
本発明の例示的な熱伝導部材の製造方法は、金属粒子と、揮発性の樹脂と、を含む金属ペーストを、0.02mm以上0.1mm以下の厚さで第1金属板上に塗布する塗布工程と、前記金属ペーストを前記第1金属板とともに加熱炉に配置して加熱することにより、前記第1金属板上に多孔質のウィック構造体を形成する金属ペースト加熱工程と、前記第1金属板上の前記ウィック構造体を作動媒体とともに封止する封止工程と、を含み、前記金属ペースト加熱工程では、前記加熱炉での加熱によって、前記金属ペーストに含まれる前記樹脂を揮発させるとともに、前記金属粒子の一部を焼結させることにより、51%以上80%以下の空隙率を有する前記ウィック構造体を形成する。
本発明によると、薄型で熱輸送効率の高いウィック構造体を有する熱伝導部材を実現することができる。
図1は、本発明の一実施形態の熱伝導部材としてのベーパーチャンバーの概略の構成を示す断面図である。 図2は、ベーパーチャンバーが備えるウィック構造体の構造を模式的に示す断面図である。 図3は、ウィック構造体の形成に用いられる金属ペーストを模式的に示す断面図である。 図4は、ベーパーチャンバーの製造工程の流れを示すフローチャートである。 図5は、ベーパーチャンバーの各製造工程を示す断面図である。 図6は、ウィック構造体の異なる厚みのそれぞれについて、空隙率と、熱輸送効率を評価する指標となる、加熱部と放熱部との間での温度差との関係を示すグラフである。 図7は、ウィック構造体に含まれるマイクロ銅粒子の粒径と粒子数との関係を示すグラフである。 図8は、熱伝導部材の変形例であるヒートパイプの概略の構成を示す断面図である。
以下、本発明の例示的な実施形態に係る熱伝導部材としてのベーパーチャンバー1について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図面においては、適宜、3次元直交座標系としてXYZ座標系を示す。XYZ座標系において、Z軸方向は、鉛直方向(すなわち上下方向)を示し、+Z方向が上側(重力方向の反対側)であり、−Z方向が下側(重力方向)である。Z軸方向は、後述する第1金属板4と第2金属板5との対向方向でもある。X軸方向は、Z軸方向と直交する方向を指し、その一方向および逆方向を、それぞれ+X方向および−X方向とする。Y軸方向は、Z軸方向およびX軸方向の両方向と直交する方向を指し、その一方向および逆方向を、それぞれ+Y方向および−Y方向とする。
本明細書において、粒子の「粒径」とは、粒子の最大外径を指す。例えば、粒子が球形である場合、粒子の最大外径である粒子の直径が「粒径」となる。一方、粒子が球形以外の形状である場合、粒子の外径は方向によって変化する。この場合、各方向について得られる外径のうちで最大となる外径が、粒子の「粒径」となる。
本明細書において、「焼結」とは、金属の粉末または上記金属を含むペーストを、上記金属の融点よりも低い温度まで加熱して、上記金属の粒子を焼き固める技術を指す。そして、「焼結体」とは、焼結によって得られる物体を指す。
(1.ベーパーチャンバーの構成)
図1は、一実施形態のベーパーチャンバー1の概略の構成を示す断面図である。ベーパーチャンバー1は、発熱体Hの熱を輸送する熱伝導部材である。発熱体Hとしては、例えば、熱を発する電子部品またはその電子部品を搭載する基板が考えられる。発熱体Hは、ベーパーチャンバー1による熱の輸送によって冷却される。このようなベーパーチャンバー1は、例えば、スマートフォン、ノート型パーソナルコンピュータなどの、発熱体Hを有する電子機器に搭載される。
ベーパーチャンバー1は、被加熱部101と、放熱部102と、を備える。被加熱部101は、例えば発熱体Hと接して配置され、発熱体Hが発する熱によって加熱される。放熱部102は、被加熱部101で加熱された後述の作動媒体2が有する熱を外部に放出する。
ベーパーチャンバー1は筐体1aを備える。筐体1aの一部は、被加熱部101に含まれる。筐体1aの他の一部は、放熱部102に含まれる。
筐体1aは内部空間1bを有する。内部空間1bは密閉空間であり、例えば大気圧よりも気圧が低い減圧状態に維持される。内部空間1bが減圧状態であることにより、内部空間1bに収容される作動媒体2が蒸発しやすくなる。筐体1aのZ軸方向の厚みは、例えば100μm以上1000μm以下である。
筐体1aの内部空間1bには、作動媒体2と、ウィック構造体3とが収容される。作動媒体2は例えば水であるが、アルコールなどの他の液体であってもよい。ウィック構造体3は、作動媒体2を輸送する多孔質の銅の焼結体で構成される。
すなわち、熱伝導部材としてのベーパーチャンバー1は、作動媒体2と、作動媒体2を輸送する多孔質のウィック構造体3と、を収容する筐体1aを備える。なお、ウィック構造体3の詳細については後述する。
筐体1aは第1金属板4を有する。第1金属板4は、ウィック構造体3を−Z方向側から支持する。すなわち、筐体1aは、ウィック構造体3を支持する第1金属板4を有する。本実施形態では、第1金属板4は銅である。なお、第1金属板4は、銅以外の金属の表面に銅メッキを施して形成されてもよい。銅以外の金属としては、例えばステンレス鋼が考えられる。第1金属板4は、図1では−Z方向に凹む凹形状で形成されているが、単なる平板であってもよい。
筐体1aは第2金属板5をさらに有する。第2金属板5は、Z軸方向において第1金属板4と対向して位置する。より詳しくは、第2金属板5は、第1金属板4に対して+Z方向側に位置し、第1金属板4上のウィック構造体3を+Z方向側から覆う。すなわち、筐体1aは、第1金属板4と対向して位置し、ウィック構造体3を覆う第2金属板5を有する。
第2金属板5は、第1金属板4と同じ金属材料で構成される。したがって、第1金属板4が銅である場合は、第2金属板5も銅で構成される。また、第1金属板4がステンレス鋼の表面に銅メッキを施した金属板で構成される場合は、第2金属板5もステンレス鋼の表面に銅メッキを施した金属板で構成される。
第2金属板5は複数のリブ5aを有する。リブ5aは、第2金属板5の−Z方向側の面から−Z方向側に延びてウィック構造体3と接触する。このようなリブ5aは、例えば+Z方向から見て円形の円柱で構成される。また、リブ5aは、XY方向において2次元的に、かつ、規則的に並んで位置する。Z軸方向においてリブ5aがウィック構造体3と接触することにより、筐体1aのZ軸方向の厚みが一定に保たれる。なお、第2金属板5とリブ5aとは、一体であってもよいし、別体であってもよい。
筐体1aは接合部6をさらに有する。接合部6は、第1金属板4と第2金属板5とをそれぞれの外縁でつなぎ合わせる接合構造である。接合部6は、+Z方向側から見てウィック構造体3の周囲に位置して、第1金属板4と第2金属板5とを接合する。したがって、接合部6は、Z軸方向に垂直なX軸方向およびY軸方向において、ウィック構造体3を挟んで位置する。すなわち、筐体1aは、第1金属板4と第2金属板5とをつなぎ合わせる接合部6を有する。接合部6は、第1金属板4と第2金属板5との対向方向に垂直な方向において、ウィック構造体3を挟んで位置する。
第1金属板4と第2金属板5との接合方法は、特に限定されない。例えば、ホットプレス、拡散接合、ろう材を用いた接合、などのいずれの接合方法であってもよい。
なお、ホットプレスおよび拡散接合は、いずれも加熱および加圧によって2つの部材を接合する方法であるが、以下の点で互いに区別される。拡散接合では、例えば数時間の加熱および加圧により、2つの部材の接合界面付近の原子または粒子を拡散させて、2つの部材を接合する。
これに対して、ホットプレスでは、拡散接合よりも低温および短時間での加熱および加圧により、2つの部材の接合界面付近の一部の原子または粒子のみを拡散させて、2つの部材を接合する。
原子または粒子の拡散度合いの違いにより、拡散接合では、接合界面自体が消滅する。一方、ホットプレスでは、接合界面の一部が消滅し、残りがそのまま維持される。したがって、拡散接合によって形成された接合部6と、ホットプレスによって形成された接合部6とでは、接合界面付近の接合構造が互いに異なる。また、加熱および加圧の時間の相違により、ホットプレスのほうが拡散接合よりも製造のタクトタイムが短くなる。
なお、接合部6は、封止部を含んでいてもよい。封止部は、例えばベーパーチャンバー1の製造過程において、作動媒体2を筐体1a内に注入するための注入口を溶接によって封止した箇所である。
上記の構成のベーパーチャンバー1では、発熱体Hで発生した熱により、被加熱部101が加熱される。被加熱部101の温度が上昇すると、筐体1aの内部空間1bに収容された作動媒体2が気化する。気化した蒸気は、ベーパーチャンバー1の内部を放熱部102側に移動する。放熱部102では、放熱によって蒸気が冷却されて液化する。液化した作動媒体2は、毛細管現象によってウィック構造体3中を被加熱部101に向かって移動する。なお、図1では、作動媒体2が気化した蒸気の流れを黒矢印で示し、液体の作動媒体2の流れを白抜き矢印で示す。上記のように作動媒体2が状態変化を伴いながら移動することにより、被加熱部101側から放熱部102側への熱の輸送が連続的に行われる。
(2.ウィック構造体の詳細)
次に、上記のウィック構造体3の詳細について説明する。図2は、ウィック構造体3の構造を模式的に示す断面図である。また、図3は、ウィック構造体3の形成に用いられる金属ペースト30を模式的に示す断面図である。なお、図2および図3の断面は、任意の断面、つまり、Y軸方向の任意の位置での断面である。
ウィック構造体3は、複数のマイクロ銅粒子31と、銅体32と、を含む。マイクロ銅粒子31は、複数の銅原子が凝集または結合した粒子である。マイクロ銅粒子31の粒径は、1μm以上1mm未満である。マイクロ銅粒子31は例えば多孔質であり、内部に空隙となる孔部31pを有する。なお、図2では、マイクロ銅粒子31と銅体32とを明確に区別する目的で、便宜的に、マイクロ銅粒子31をハッチングなしで図示する。
銅体32は、図3に示すサブマイクロ銅粒子32aが焼結により溶融して固まった銅溶融体である。上記のサブマイクロ銅粒子32aは、複数の銅原子が凝集または結合した粒子である。溶融前のサブマイクロ銅粒子32aの粒径は、0.1μm以上1μm未満である。銅体32は、複数のマイクロ銅粒子31の周囲に位置する。
銅体32は、第1銅粒子連結部321と、第2銅粒子連結部322と、を含む。第1銅粒子連結部321は、隣り合うマイクロ銅粒子31同士を、1μm未満の距離で連結する。このような第1銅粒子連結部321は、隣り合うマイクロ銅粒子31の間に位置してこれらと接触するサブマイクロ銅粒子32aを焼結させることにより形成される。
つまり、溶融前のサブマイクロ銅粒子32aの粒径は上記のように1μm未満である。したがって、隣り合うマイクロ銅粒子31の間に位置するサブマイクロ銅粒子32aが溶融して焼き固められると、第1銅粒子連結部321による隣り合うマイクロ銅粒子31の連結距離は1μm未満となる。
すなわち、ウィック構造体3は、1μm以上の粒径を有する複数のマイクロ銅粒子31と、複数のマイクロ銅粒子31の周囲に位置する銅体32と、を含む。銅体32は、隣り合うマイクロ銅粒子31同士を、1μm未満の距離で連結する第1銅粒子連結部321を含む。ウィック構造体3において、マイクロ銅粒子31は、第1銅粒子連結部321を介して網目状につながる。
第2銅粒子連結部322は、複数のマイクロ銅粒子31の一部と第1金属板4とを、1μm未満の距離で連結する。なお、複数のマイクロ銅粒子31の一部としては、例えば複数のマイクロ銅粒子31の中で、第1金属板4と1μm未満の距離で対向する位置にあるマイクロ銅粒子31が考えられる。
このような第2銅粒子連結部322は、マイクロ銅粒子31と第1金属板4との間に位置するサブマイクロ銅粒子32aを焼結させることにより形成される。つまり、サブマイクロ銅粒子32aの粒径は上記のように1μm未満である。したがって、マイクロ銅粒子31と第1金属板4との間に位置するサブマイクロ銅粒子32aが溶融して焼き固められると、第2銅粒子連結部322によるマイクロ銅粒子31と第1金属板4との連結距離は1μm未満となる。
すなわち、銅体32は、第1銅粒子連結部321に加えて、第2銅粒子連結部322をさらに含む。第2銅粒子連結部322は、複数のマイクロ銅粒子31の一部と第1金属板4とを、1μm未満の距離で連結する。
ウィック構造体3は空隙部SPをさらに含む。空隙部SPは、上述したマイクロ銅粒子31の孔部31pとともに、作動媒体2の流路を形成する空間である。ウィック構造体3において、上述したマイクロ銅粒子31および銅体32のほかに、孔部31pおよび空隙部SPが存在することにより、多孔質状のウィック構造体3が構成される。ウィック構造体3のZ軸方向の厚みは、0.02mm以上0.1mm以下である。したがって、ウィック構造体3は薄型である。
ここで、ウィック構造体3の全体積に対する空間の体積の割合を、空隙率と呼ぶ。空隙率の単位は%である。上記空間は、孔部31pおよび空隙部SPを含む。空隙率は以下の方法によって求められる。例えば、ウィック構造体3の断面写真から、空間の面積を測定し、空間の面積が全体に占める割合を算出することにより、空隙率を求めることができる。ウィック構造体3の断面の観察においては、被写界深度の深い走査型電子顕微鏡を用いることが好ましい。なお、断面の観察の方法は、金属部分と空間とを容易に判別できる方法であればよく、特に限定されない。また。断面の観察範囲は、少なくともウィック構造体3の厚み方向には全体の断面をカバーし、かつ、金属部分と空間とを判別できる視野範囲であることが好ましい。具体的には、断面の観察範囲は、断面の最大径として200μm以上1000μm以下をカバーする角度範囲である。また、観察写真に基づく空隙率の算出には、グレースケール画像の二値化により金属部分と空間とを分画して、各部の面積計算を行うことができる画像解析ソフトウェアを用いることが好ましい。
また、空隙率は、以下の計算によっても求められる。すなわち、ウィック構造体3の全体積をV0cm3とする。ウィック構造体3に含まれる銅の体積をV1cm3とする。ウィック構造体3に含まれる空間の体積をV2cm3とする。この場合、V0=V1+V2である。また、空隙率をPとすると、P=V2/V0=(V0−V1)/V0=1−(V1/V0)である。ここで、V1=(銅の質量)/(銅の密度)=(ウィック構造体の質量)/(銅の密度)である。銅の密度は既知であり、8.96g/cm3である。なお、質量の単位はgである。ウィック構造体3の質量および全体積V0については、測定または計算によって求めることができる。よって、P=1−(V1/V0)より、ウィック構造体3の空隙率Pを求めることができる。
なお、ウィック構造体3の空隙率Pの詳細については後述する。
(3.金属ペーストの詳細)
次に、ウィック構造体3の形成に用いる金属ペースト30の詳細について説明する。金属ペースト30は、図3に示すように、上記したマイクロ銅粒子31およびサブマイクロ銅粒子32aに加えて、樹脂33をさらに含む。
樹脂33は、マイクロ銅粒子31および銅体32を構成する銅の融点以下の温度で揮発する揮発性の樹脂である。このような揮発性の樹脂としては、例えば、メチルセルロース、エチルセルロースなどのセルロース樹脂、アクリル樹脂、ブチラール樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などを用いることができる。これらの中では、熱分解性の高いアクリル樹脂を用いることが好ましい。
金属ペースト30は、樹脂33を溶解する分散媒をさらに含む。分散媒としては、例えば、炭化水素系溶剤、環状エーテル系溶剤、ケトン系溶剤、アルコール系化合物、多価アルコールのエステル系溶剤、多価アルコールのエーテル系溶剤、テルペン系溶剤、およびこれらの混合物、などを用いることができる。これらの中では、例えば沸点が200℃近傍にあるテキサノール、テルピネオールを好ましく用いることができる。
マイクロ銅粒子31およびサブマイクロ銅粒子32aの粒径、金属ペースト30に含まれる各成分の配合比または重量比、などは、ウィック構造体3の所望の空隙率が得られるように適宜設定されればよい。
(4.ベーパーチャンバーの製造方法)
次に、本実施形態のベーパーチャンバー1の製造方法について説明する。図4は、ベーパーチャンバー1の製造工程の流れを示すフローチャートである。図5は、ベーパーチャンバー1の各製造工程を示す断面図である。なお、図4において、Sはスタートを示し、Eはエンドを示す。ベーパーチャンバー1の製造方法は、塗布工程S1と、金属ペースト加熱工程S2と、封止工程S3と、を含む。
(4−1.塗布工程)
塗布工程S1では、金属ペースト30を、0.02mm以上0.1mm以下の厚さで第1金属板4上に塗布する。金属ペースト30は、金属粒子と、樹脂33と、分散媒と、を含む。ここで、金属粒子は、上述した複数のマイクロ銅粒子31と、複数のサブマイクロ銅粒子32aと、を含む。すなわち、ベーパーチャンバー1の製造方法は、金属粒子と、揮発性の樹脂と、を含む金属ペーストを、0.02mm以上0.1mm以下の厚さで第1金属板上に塗布する塗布工程S1を含む。また、金属ペーストは、上記金属粒子として、1μm以上の粒径を有する複数のマイクロ銅粒子31と、1μm未満の粒径を有する複数のサブマイクロ銅粒子32aと、を含む。
(4−2.金属ペースト加熱工程)
金属ペースト加熱工程S2では、塗布工程S1で第1金属板4上に塗布した金属ペースト30を、第1金属板4とともに加熱炉に入れて加熱する。このときの加熱温度は、例えば400℃であり、加熱時間は例えば1時間である。金属ペースト30の加熱により、金属ペースト30に含まれる樹脂33が揮発するとともに、サブマイクロ銅粒子32aが焼結によって溶融し、焼き固められる。この結果、第1銅粒子連結部321および第2銅粒子連結部322を含む多孔質のウィック構造体3が形成される。なお、マイクロ銅粒子31はサブマイクロ銅粒子32aよりも粒径が大きいため、サブマイクロ銅粒子32aよりも溶融が遅い。そのため、マイクロ銅粒子31は粒子の形状で残る。
すなわち、ベーパーチャンバー1の製造方法は、金属ペースト30を第1金属板4とともに加熱炉に配置して加熱することにより、第1金属板4上に多孔質のウィック構造体3を形成する金属ペースト加熱工程S2を含む。
また、金属ペースト加熱工程S2では、加熱炉での加熱によって、サブマイクロ銅粒子32aを焼結させることにより、隣り合うマイクロ銅粒子31同士を1μm未満の距離で連結する第1銅粒子連結部321を含むウィック構造体3を形成する。
さらに、金属ペースト加熱工程S2では、サブマイクロ銅粒子32aを焼結させることにより、複数のマイクロ銅粒子31の一部と第1金属板4とを1μm未満の距離で連結する第2銅粒子連結部322をさらに含むウィック構造体3を形成する。
ここで、加熱炉での加熱温度は、金属ペースト30に含まれるサブマイクロ銅粒子32aが溶融する温度以上であればよい。サブマイクロ銅粒子32aは400℃以上の温度で溶融することがわかっている。一方、銅の融点は約1085℃である。銅の融点近くまで金属ペースト30を加熱すると、マイクロ銅粒子31も溶融して、図2で示した構造のウィック構造体3を得ることが困難となるおそれがある。このため、金属ペースト加熱工程S2では、金属ペースト30を400℃以上600℃以下の温度で加熱することが望ましい。特に、金属ペースト加熱工程S2では、金属ペースト30を400℃以上のできるだけ低い温度で加熱することが望ましい。
(4−3.封止工程)
封止工程S3では、ウィック構造体3と作動媒体2とを封止する。これにより、ベーパーチャンバー1が完成する。すなわち、ベーパーチャンバー1の製造方法は、第1金属板4上のウィック構造体3を作動媒体2とともに封止する封止工程S3を含む。
ここで、封止工程S3は、配置工程S31と、接合工程S32と、を含む。配置工程S31では、第1金属板4と対向して第2金属板5を配置する。このとき、第2金属板5は、第1金属板4上のウィック構造体3を覆う位置に配置される。接合工程S32では、+Z方向から見てウィック構造体3の周囲の位置で、第1金属板4と第2金属板5とをつなぎ合わせて接合部6を形成する。この結果、接合部6は、Z軸方向に垂直なX軸方向およびY軸方向において、ウィック構造体3を挟んで位置する。
接合工程S32におけるつなぎ合わせは、例えばホットプレスによって行われる。ホットプレスでの加熱時間は、例えば650℃であり、加熱および加圧の処理時間は、例えば30秒程度である。なお、接合工程S32は、拡散接合やろう付けによって行われてもよい。また、接合工程S32では、作動媒体2の注入後、溶接によって注入口を封止する工程も行われる。
すなわち、封止工程S3は、ウィック構造体3を覆う第2金属板5を、第1金属板4と対向して配置する配置工程S31と、第1金属板4と第2金属板5とをつなぎ合わせる接合工程S32と、を有する。接合工程S32では、第1金属板4と第2金属板5との対向方向に垂直な方向において、ウィック構造体3を挟む位置で、第1金属板4と第2金属板5とをつなぎ合わせる。
(5.空隙率の設定について)
次に、ウィック構造体3の空隙率について説明する。ウィック構造体3の空隙率は、上述したように、金属ペースト30に含まれる各金属粒子の粒径、各成分の配合比などを調整することによって設定される。例えば、以下の配合比で各成分を有する金属ペーストA〜Cを用い、上述の方法で各金属ペーストA〜Cを加熱してウィック構造体3をそれぞれ形成した場合、各ウィック構造体3において以下の空隙率Pが得られた。
(金属ペーストA)
マイクロ銅粒子:サブマイクロ銅粒子:樹脂:分散媒=71:17:0:12
空隙率P=40%
(金属ペーストB)
マイクロ銅粒子:サブマイクロ銅粒子:樹脂:分散媒=70:15:13:2
空隙率P=55%
(金属ペーストC)
マイクロ銅粒子:サブマイクロ銅粒子:樹脂:分散媒=62:13:22:3
空隙率P=70%
ここで、金属ペーストA〜Cに含まれるマイクロ銅粒子31の平均粒径は15μmであり、サブマイクロ銅粒子32aの平均粒径は0.3μmであった。また、金属ペーストA〜Cの樹脂33としてアクリル樹脂を用い、分散媒としてテキサノールを用いた。また、配合比は、重量%の比である。
なお、空隙率Pについては、上述した断面観察に基づく方法、つまり、走査型電子顕微鏡によってウィック構造体の断面の画像を取得し、画像解析ソフトウェアを用いて断面画像から空隙率Pを求めた。
上記の例では、樹脂の含有量が22重量%である金属ペーストCにおいて、最も高い空隙率Pが得られている。金属ペーストCにおける樹脂33の含有量を22重量%よりも増大させることにより、ウィック構造体3の空隙率Pを80%に設定することも可能である。
ところで、ベーパーチャンバー1の筐体1aの厚みは、薄型化の観点から、本実施形態では、100μm以上1000μm以下に設定されている。筐体1aの厚みとして、下限の100μmを実現するためには、筐体1a内に収容されるウィック構造体3の厚みは、100μm以下、つまり、0.1mm以下であることが必要とされる。しかし、ウィック構造体3の厚みが薄く、しかも、ウィック構造体3の空隙率Pが低い場合、ウィック構造体3内を作動媒体2がスムーズに流れなくなり、作動媒体2による熱の輸送効率が低下する。そこで、本実施形態では、ウィック構造体3の厚みが0.1mm以下の構成で、ウィック構造体3の高い空隙率Pを実現することにより、熱輸送効率を高めるようにした。
図6は、ウィック構造体3の厚みTを、0.02mm、0.06mm、0.1mmの3種類に設定したときの各厚みTについて、空隙率Pと、温度差ΔTとの関係を示したグラフである。なお、空隙率Pについては、上述のように、金属ペースト30に含まれる各金属粒子の粒径、各成分の配合比などを調整することによって変化させた。
温度差ΔTは、ベーパーチャンバー1での熱輸送効率を評価する指標であり、ΔT=T1−T2で表される。ここで、T1は、図1に示すように、発熱体Hによって加熱される被加熱部101の第1温度測定点M1で測定した温度である。T2は、放熱部102の第2温度測定点M2で測定した温度である。温度差ΔTが小さいほど、熱輸送が効率よく行われていることになり、熱伝導部材としての性能が優れていることを示す。つまり、温度差ΔTが小さいほど、ウィック構造体3の内部において、作動媒体2を放熱部102から被加熱部101に還流させるために必要な流路が十分に確保され、被加熱部101と放熱部102との間で効率のよい熱輸送が実現されることを意味する。具体的には、温度差ΔTが5℃以下であれば、熱輸送効率が高いと評価される。さらに、温度差ΔTが4℃以下であれば、熱輸送効率がより高いと評価される。
ウィック構造体3の厚みTが0.02mm以上0.1mm以下である場合、ΔT≦5℃を実現するためには、図6より、P≧51%を実現すればよいことがわかる。さらに、ΔT≦4℃を実現するためには、図6より、P≧61%を実現すればよいことがわかる。なお、空隙率Pの上限については、理論上では80%を超えて設定されてもよいが、空隙率Pとして80%を達成することができれば、T≦4℃を十分に実現することができる。
そこで、本実施形態では、ウィック構造体3の厚みTが0.02mm以上0.1mm以下である場合において、ウィック構造体3の空隙率Pを51%以上80%以下、より好ましくは、61%以上80%以下に設定している。このようなウィック構造体3は、上述した塗布工程S1において、金属粒子および樹脂33を所定の配合比で含む金属ペースト30を、第1金属板5上に0.02mm以上0.1mm以下の厚さで塗布し、金属ペースト加熱工程S2で金属ペースト30を加熱し、金属粒子の一部であるサブマイクロ銅粒子32aを焼結させることによって形成される。
(6.効果)
以上で説明したように、熱伝導部材としてのベーパーチャンバー1において、ウィック構造体3は、0.02mm以上0.1mm以下の厚さを有し、かつ、51%以上80%以下の空隙率を有する。つまり、ウィック構造体3は、薄型の構成で高い空隙率Pを有する。このため、薄型のウィック構造体3の内部に、作動媒体2を低温側から高温側へ、つまり、放熱部102側から被加熱部101側へ還流させるために必要な流路を確保することができる。したがって、ウィック構造体3が薄型であっても、熱輸送効率の低下を抑えることができる。その結果、薄型で熱輸送効率の高いウィック構造体3を有するベーパーチャンバー1を実現することができる。
特に、ウィック構造体3が、61%以上80%以下の空隙率を有することにより、薄型のウィック構造体3の内部に作動媒体2の必要な流路が確実に確保される。したがって、薄型で熱輸送効率のさらに高いウィック構造体3を有するベーパーチャンバー1を実現することができる。
また、塗布工程S1では、金属ペースト30を、0.02mm以上0.1mm以下の厚さで第1金属板4上に塗布する。そして、金属ペースト加熱工程S2では、加熱炉での加熱によって、金属ペースト30に含まれる樹脂33を揮発させるとともに、上記金属粒子の一部を焼結させることにより、51%以上80%以下の空隙率を有するウィック構造体3を形成する。ウィック構造体3は、厚さが0.02mm以上0.1mm以下の薄型で形成されるが、空隙率が高い。このため、ウィック構造体3の薄型の構成で、ウィック構造体3の内部に作動媒体2の必要な流路を確保することができる。したがって、薄型で熱輸送効率の高いウィック構造体3を有するベーパーチャンバー1を製造することができる。
また、ウィック構造体3において、隣り合うマイクロ銅粒子31同士は、第1銅粒子連結部321によって1μm未満の距離で連結される。第1銅粒子連結部321は、上述のように、粒径が1μm未満であるサブマイクロ銅粒子32aを、銅の融点よりも非常に低い温度で、かつ、短時間で加熱し、溶融することによって得られる。したがって、第1銅粒子連結部321を有する構造は、多孔質のウィック構造体3の短時間での形成、およびベーパーチャンバー1の生産性向上に寄与することができる。
また、ウィック構造体3がマイクロ銅粒子31と銅体32とを有し、銅体32が第1銅粒子連結部321を有する構成は、上述したように、金属粒子として、マイクロ銅粒子31とサブマイクロ銅粒子32aとを含む金属ペースト30を用いた加熱によって実現することができる。このため、例えば、使用する金属粒子の総粒子数およびウィック構造体3の体積が一定のもとでは、粒径が1μm以上の金属粒子のみを用いてウィック構造体3を形成する場合に比べて、金属粒子の総体積が少なくなる分、ウィック構造体3の空隙率を高めることができる。したがって、上記した薄型で高い空隙率を有するウィック構造体3を実現することが容易となる。
複数のマイクロ銅粒子31の一部と第1金属板4とは、第2銅粒子連結部322によって1μm未満の距離で連結される。第2銅粒子連結部322は、第1銅粒子連結部321と同様に、サブマイクロ銅粒子32aを低温、かつ、短時間で加熱し、溶融することによって得られる。したがって、第2銅粒子連結部322を有する構造も、ウィック構造体3の短時間での形成および熱伝導部材の生産性向上に寄与することができる。また、マイクロ銅粒子31と第1金属板4とが第2銅粒子連結部322によって連結されるため、ウィック構造体3が第1金属板4から剥離する事態を低減することもできる。
第1金属板4は銅である。この場合、マイクロ銅粒子31、第2銅粒子連結部322および第1金属板4は、全て同一材料の銅で構成される。このため、第2銅粒子連結部322を介して、マイクロ銅粒子31と第1金属板4とを、異種材料の金属同士を連結する場合よりも容易に連結することができる。よって、第1金属板4からのウィック構造体3の剥離を確実に抑えることができる。
なお、第1金属板4を、表面に銅メッキを配した金属により形成した場合も同様に、第1金属板4からのウィック構造体3の剥離を確実に抑えることができる。
第1金属板4と第2金属板5とは、対向方向に垂直な方向においてウィック構造体3を挟む位置で接合部6によって接合される。このように、ウィック構造体3を介して第1金属板4と第2金属板5とを対向配置した構造のベーパーチャンバー1において、上述の効果を得ることができる。
本実施形態で説明したベーパーチャンバー1の製造方法は、塗布工程S1と、金属ペースト加熱工程S2と、封止工程S3と、を含む。これにより、ウィック構造体3とともに作動媒体2が封止されたベーパーチャンバー1が得られる。ウィック構造体3は、複数のマイクロ銅粒子31と、第1銅粒子連結部321とを含む。第1銅粒子連結部321は、上述のように、粒径が1μm未満であるサブマイクロ銅粒子32aを、低温かつ短時間での加熱、溶融によって得られる。したがって、多孔質のウィック構造体3を短時間で形成して、ベーパーチャンバー1の生産性を向上させることができる。
金属ペースト加熱工程S2では、第2銅粒子連結部322を有するウィック構造体3が形成される。第2銅粒子連結部322によってマイクロ銅粒子31と第1金属板4とが連結されるため、ウィック構造体3が第1金属板4から剥離する事態を低減することができる。
金属ペースト加熱工程S2では、マイクロ銅粒子31およびサブマイクロ銅粒子32aを含む金属ペースト30を、400℃以上600℃以下の温度で加熱する。加熱温度が通常の銅の融点よりも非常に低いため、低温焼結によってウィック構造体3を短時間で形成することができる。これにより、ベーパーチャンバー1の生産性を確実に向上させることができる。
封止工程S3では、第1金属板4と第2金属板5とを対向配置し、対向方向に垂直な方向においてウィック構造体3を挟む位置で両者をつなぎ合わせる。これにより、第1金属板4と第2金属板5とを、ウィック構造体3を介して対向配置して接合した構造のベーパーチャンバー1を得ることができる。
(7.マイクロ銅粒子の粒径分布について)
図7は、ウィック構造体3に含まれるマイクロ銅粒子31の粒径Mdと粒子数Aとの関係を示すグラフである。複数のマイクロ銅粒子31は、第1銅粒子群31Aと、第2銅粒子群31Bとを有することが望ましい。第1銅粒子群31Aは、粒径Md1を平均粒径とするマイクロ銅粒子31の集合である。第2銅粒子群31Bは、粒径Md2を平均粒径とするマイクロ銅粒子31の集合である。ただし、Md1<Md2である。図7に示す粒径分布は、粒径がMd1であるピークP1を有し、粒径がMd2であるピークP2を有する。よって、複数のマイクロ銅粒子31の粒径分布は、異なる粒径のピークを複数有する。なお、粒径Md、Md1およびMd2の単位は、それぞれμmである。また、粒子数Aの単位は「個」である。
上記粒径分布において、例えば、ピークP1を維持したまま、ピークP2のみを平均粒径が増大する方向にシフトさせると、粒径の大きいマイクロ銅粒子31の数が増えるため、ウィック構造体3の空隙率Pは減少する。加えて、ピークP1も平均粒径が増大する方向にシフトさせると、空隙率Pはさらに減少する。逆に、ピークP1を維持したまま、ピークP2のみを平均粒径が減少する方向にシフトさせると、粒径の大きいマイクロ銅粒子31の数が減るため、空隙率Pは増大する。加えて、ピークP1も平均粒径が減少する方向にシフトさせると、空隙率Pはさらに増大する。
したがって、図7のように、マイクロ銅粒子31の粒径分布が複数のピークを有する場合、少なくとも1つの粒径のピークを変化させることにより、ウィック構造体3の空隙率Pを容易に変化させることができる。つまり、ウィック構造体3の空隙率Pを微調整することが容易となる。
(8.熱伝導部材の他の構成例)
図8は、本実施形態の熱伝導部材の他の例であるヒートパイプ10の概略の構成を示す断面図である。本実施形態で説明したウィック構造体3は、ヒートパイプ10にも適用可能である。例えば、第1金属板4および第2金属板5を、半円筒形状で形成する。なお、第1金属板4および第2金属板5は、偏平した形状であってもよい。そして、第1金属板4および第2金属板5の内面上に、本実施形態で説明した金属ペースト30をそれぞれ塗布して加熱炉で加熱する。この加熱により、金属ペースト30に含まれる樹脂33を揮発させるとともに、サブマイクロ銅粒子32aを焼結させる。最後に、第1金属板4および第2金属板5を例えばホットプレスによって接合し、筒の内部に作動媒体2を注入して筒の両端部を封止することにより、ヒートパイプ10を完成させる。
また、ヒートパイプ10は、第1金属板4上にウィック構造体3を形成した後、ウィック構造体3を内側にして第1金属板4を円筒状に曲げて端部を接合することによって形成されてもよい。さらに、ヒートパイプ10は、以下のようにして製造されてもよい。例えば第1の筒の内側に、第1の筒よりも小径の第2の筒を嵌めて、第1の筒の内面と第2の筒の外面との間に金属ペースト30を充填する。その後、加熱炉で金属ペースト30を加熱してウィック構造体3を形成する。最後に、第2の筒を抜き取り、第1の筒の両端部を作動媒体2の注入後に封止することにより、ヒートパイプ10を完成させる。
これらのヒートパイプ10においても、ベーパーチャンバー10と同様のウィック構造体3が形成される。したがって、薄型で熱輸送効率の高いウィック構造体3を有する小型のヒートパイプ10を実現することができる。
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明の範囲はこれに限定されず、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。また、上記実施形態やその変形例は適宜任意に組み合わせることができる。
本発明の熱伝導部材は、例えば電子機器に搭載される基板または電子部品の放熱用の部材として利用可能である。
1 ベーパーチャンバー(熱伝導部材)
1a 筐体
2 作動媒体
3 ウィック構造体
4 第1金属板
5 第2金属板
6 接合部
10 ヒートパイプ(熱伝導部材)
30 金属ペースト
31 マイクロ銅粒子
32 銅体
32a サブマイクロ銅粒子
33 樹脂
321 第1銅粒子連結部
322 第2銅粒子連結部
P 空隙率

Claims (12)

  1. 作動媒体と、前記作動媒体を輸送する多孔質のウィック構造体と、を収容する筐体を備える熱伝導部材であって、
    前記ウィック構造体は、0.02mm以上0.1mm以下の厚さを有し、かつ、51%以上80%以下の空隙率を有する、熱伝導部材。
  2. 前記ウィック構造体は、
    1μm以上の粒径を有する複数のマイクロ銅粒子と、
    前記複数のマイクロ銅粒子の周囲に位置する銅体と、を含み、
    前記銅体は、隣り合う前記マイクロ銅粒子同士を、1μm未満の距離で連結する第1銅粒子連結部を含む、請求項1に記載の熱伝導部材。
  3. 前記筐体は、前記ウィック構造体を支持する第1金属板を有し、
    前記銅体は、第2銅粒子連結部をさらに含み、
    前記第2銅粒子連結部は、前記複数のマイクロ銅粒子の一部と前記第1金属板とを、1μm未満の距離で連結する、請求項2に記載の熱伝導部材。
  4. 前記第1金属板は銅である、請求項3に記載の熱伝導部材。
  5. 前記筐体は、
    前記第1金属板と対向して位置し、前記ウィック構造体を覆う第2金属板と、
    前記第1金属板と前記第2金属板とをつなぎ合わせる接合部と、を有し、
    前記接合部は、前記第1金属板と前記第2金属板との対向方向に垂直な方向において、前記ウィック構造体を挟んで位置する、請求項3または4に記載の熱伝導部材。
  6. 前記ウィック構造体は、61%以上80%以下の空隙率を有する、請求項1から5のいずれかに記載の熱伝導部材。
  7. 前記複数のマイクロ銅粒子の粒径分布は、異なる粒径のピークを複数有する、請求項1から6のいずれかに記載の熱伝導部材。
  8. 金属粒子と、揮発性の樹脂と、を含む金属ペーストを、0.02mm以上0.1mm以下の厚さで第1金属板上に塗布する塗布工程と、
    前記金属ペーストを前記第1金属板とともに加熱炉に配置して加熱することにより、前記第1金属板上に多孔質のウィック構造体を形成する金属ペースト加熱工程と、
    前記第1金属板上の前記ウィック構造体を作動媒体とともに封止する封止工程と、を含み、
    前記金属ペースト加熱工程では、前記加熱炉での加熱によって、前記金属ペーストに含まれる前記樹脂を揮発させるとともに、前記金属粒子の一部を焼結させることにより、51%以上80%以下の空隙率を有する前記ウィック構造体を形成する、熱伝導部材の製造方法。
  9. 前記金属ペーストは、前記金属粒子として、1μm以上の粒径を有する複数のマイクロ銅粒子と、1μm未満の粒径を有する複数のサブマイクロ銅粒子と、を含み、
    前記金属ペースト加熱工程では、前記加熱炉での加熱によって、前記サブマイクロ銅粒子を焼結させることにより、隣り合う前記マイクロ銅粒子同士を1μm未満の距離で連結する第1銅粒子連結部を含む前記ウィック構造体を形成する、請求項8に記載の熱伝導部材の製造方法。
  10. 前記金属ペースト加熱工程では、前記サブマイクロ銅粒子を焼結させることにより、前記複数のマイクロ銅粒子の一部と前記第1金属板とを1μm未満の距離で連結する第2銅粒子連結部をさらに含む前記ウィック構造体を形成する、請求項9に記載の熱伝導部材の製造方法。
  11. 前記金属ペースト加熱工程では、前記金属ペーストを400℃以上600℃以下の温度で加熱する、請求項8から10のいずれかに記載の熱伝導部材の製造方法。
  12. 前記封止工程は、
    前記ウィック構造体を覆う第2金属板を、前記第1金属板と対向して配置する配置工程と、
    前記第1金属板と前記第2金属板とをつなぎ合わせる接合工程と、を有し、
    前記接合工程では、前記第1金属板と前記第2金属板との対向方向に垂直な方向において、前記ウィック構造体を挟む位置で、前記第1金属板と前記第2金属板とをつなぎ合わせる、請求項8から11のいずれかに記載の熱伝導部材の製造方法。
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