JP2021128770A - 情報処理方法、情報処理プログラム及び情報処理装置 - Google Patents

情報処理方法、情報処理プログラム及び情報処理装置 Download PDF

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Abstract

【課題】トマトの苗のNLPIを精度よく推定する。【解決手段】花房分化推定部は、環境条件とトマトの苗の第1花房の分化レベルとの関係を表す式(第1モデル)と、入力された環境条件とに基づいて、入力された環境条件の下でトマトの苗を生育させたときの第1花房の分化時期を推定する(S14)。また、葉分化推定部32は、環境条件とトマトの苗における葉の分化枚数との関係を表す式(第2モデル)と、入力された環境条件とに基づいて、入力された環境条件の下でトマトの苗を生育させた場合において、推定した第1花房の分化時期までに第1花房の下で分化する葉数(NLPI)を推定する。【選択図】図4

Description

本発明は、情報処理方法、情報処理プログラム及び情報処理装置に関する。
トマトの苗の品質は、生育や収量のみならず、作業効率にも関わる重要な要素である。例えば、トマトの場合、本葉が6〜10枚展開した後に第1花房が着生するが、第1花房下の本葉の枚数(NLPI:Number of leaves preceding the first inflorescence)が多ければ、それだけ生育ステージや日数が進んでいるため、花房の位置が高くなり、作業効率が低下する。
これまで、NLPIについては多くの研究例があり、温度や光強度がNLPIに影響することが知られている(例えば、非特許文献1等参照)。
Sezgin Uzun. The quantitative effects of temperature and light on the number of leaves preceding the first fruiting inflorescence on the stem of tomato (Lycopersicon esculentum, Mill.) and aubergine (Solanum melongena L.).Scientia Horticulturae 109(2006) 142-146.
各苗のNLPIが判明するのは、花房が確認できる程度に苗の生育ステージが進んだ後である。このため、従来においては、過去の経験等に基づいて、苗の生育環境からNLPIがどの程度になるかを推定していた。したがって、NLPIの推定精度は高いとは言えなかった。
本発明は、トマトの苗の第1花房の下で分化する葉数を精度よく推定することが可能な情報処理方法、情報処理プログラム及び情報処理装置を提供することを目的とする。
本発明の情報処理方法は、環境条件とトマトの苗の第1花房の分化レベルとの関係を表す第1モデルと、入力された環境条件とに基づいて、入力された前記環境条件の下でトマトの苗を生育させたときの前記第1花房の分化時期を推定し、環境条件とトマトの苗における葉の分化枚数との関係を表す第2モデルと、入力された前記環境条件とに基づいて、入力された前記環境条件の下でトマトの苗を生育させた場合において、推定した前記第1花房の分化時期までに前記第1花房の下で分化する葉数を推定する、処理をコンピュータが実行する情報処理方法である。
本発明の情報処理方法、情報処理プログラム及び情報処理装置は、トマトの苗の第1花房の下で分化する葉数を精度よく推定することができるという効果を奏する。
一実施形態に係る農業システムの構成を示す図である。 図2(a)は、図1のサーバのハードウェア構成を示す図であり、図2(b)は、図1の利用者端末のハードウェア構成を示す図である。 サーバの機能ブロック図である。 サーバの処理を示すフローチャートである。 利用者端末に表示される画面の一例を示す図である。 図5の画面の入力例を示す図である。 図7(a)は、花房分化推定部による処理により生成される表であり、図7(b)は、葉分化推定部による処理により生成される表である。 気温毎の本葉の展開速度を示す表である。 利用者端末における出力例を示す図である。 弱光下と強光下におけるNLPIの差異について説明するためのグラフである。 異なる苗状態である4つの苗のデータ(苗状態No.1〜No.4)の一例を示す表である。 夏作を想定した場合における、図11の苗状態No.1〜No.4の苗それぞれにおけるトマトの総収量を推定した結果を示す図である。 冬作を想定した場合における、図11の苗状態No.1〜No.4の苗それぞれにおけるトマトの総収量を推定した結果を示す図である。 物質生産が十分な場合と物質生産が極端に少ない場合とにおける分化葉数Nldの差異について説明するためのグラフである。 図15(a)〜図15(c)は、播種後日数ごとに算出した株あたりの総乾物重を示すグラフである。 推定値と実測値との比較結果を示す図である。
以下、農業システムの一実施形態について、図1〜図13に基づいて詳細に説明する。図1には、一実施形態に係る農業システム100の構成が概略的に示されている。本実施形態の農業システム100は、育苗装置等を用いてトマトの苗を栽培する業者(育苗業者)が苗を栽培する際に、設定する環境条件が適切かどうかを判断させるための情報を提供したり、適切な環境条件を提供するシステムである。
農業システム100は、図1に示すように、情報処理装置としてのサーバ10と、利用者端末70と、を備える。利用者端末70は、育苗業者が利用するPC(Personal Computer)等の端末である。サーバ10と利用者端末70は、インターネットなどのネットワーク80に接続されており、各装置間において情報のやり取りが可能となっている。
サーバ10は、育苗業者に対して、サービスを提供する情報処理装置である。サーバ10は、利用者端末70から育苗装置内の環境条件(光量に関する情報や気温)の入力を受け付けると、入力された環境条件の下でトマトの苗を育苗した場合のNLPI(Number of leaves preceding the first inflorescence)を推定し、利用者端末70に対して出力する。NLPIは、第1花房の下において分化する本葉の枚数を意味する。このNLPIが多ければ、それだけ生育ステージや日数が進み、花房の位置が高くなり、トマト農家の作業効率が低下することを意味する。育苗業者は、NLPIの目標範囲を予め定めており、NLPIが目標範囲に収まるように環境条件を設定して育苗を行う。
また、サーバ10は、利用者端末70に対して、出力したNLPIが目標範囲に入っていない旨の入力があった場合には、NLPIが目標範囲に入るように、環境条件を調整する。更に、サーバ10は、NLPIが目標範囲に入った場合に、NLPIが目標範囲に入った苗を用いてトマトの栽培を行った場合の収量を推定し、利用者端末70に出力する。
図2(a)には、サーバ10のハードウェア構成が概略的に示されている。図2(a)に示すように、サーバ10は、CPU90、ROM92、RAM94、記憶部(ここではHDD)96、ネットワークインタフェース97、及び可搬型記憶媒体用ドライブ99等を備えている。これらサーバ10の構成各部は、バス98に接続されている。サーバ10では、ROM92あるいはHDD96に格納されているプログラム(情報処理プログラムを含む)、或いは可搬型記憶媒体用ドライブ99が可搬型記憶媒体91から読み取ったプログラム(情報処理プログラムを含む)をCPU90が実行することにより、図3に示す各部の機能が実現される。なお、図3の各部の機能は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現されてもよい。
図3には、サーバ10の機能ブロック図が示されている。サーバ10においては、CPU90がプログラムを実行することにより、図3に示すように、受信部28、第1推定部としての花房分化推定部30、第2推定部としての葉分化推定部32、NLPI出力部34、環境条件調整部36、収量推定部38、としての機能が実現されている。
受信部28は、利用者端末70に入力された情報をネットワーク80を介して利用者端末70から受信する。育苗業者は、利用者端末70に表示される図5に示す入力画面に、育苗装置内の環境条件等の情報を入力する。
花房分化推定部30は、受信部28が受信した育苗装置内の環境条件等の情報に基づいて、育苗装置内でトマトの苗を育苗したときの第1花房の分化時期を推定する。
葉分化推定部32は、受信部28が受信した育苗装置内の環境条件等の情報に基づいて、育苗装置内でトマトの苗を生育させた場合における、日毎の本葉の分化枚数を推定する。また、葉分化推定部32は、日毎の本葉の分化枚数の推定結果に基づいて、花房分化推定部30が推定した第1花房の分化時期(分化したタイミング)における本葉の分化枚数を特定する。なお、第1花房の分化時期における本葉の分化枚数が、NLPIである。
NLPI出力部34は、葉分化推定部32が推定したNLPIの値を利用者端末70に対して出力する。
環境条件調整部36は、利用者端末70から、葉分化推定部32が推定したNLPIの値が目標範囲に含まれていない旨が入力された場合に、NLPIが目標範囲に含まれるように環境条件を調整する。環境条件調整部36は、調整後の環境条件を花房分化推定部30に受け渡す。なお、花房分化推定部30及び葉分化推定部32は、調整後の環境条件を用いてNLPIの値を再度推定する。
収量推定部38は、利用者端末70から環境条件が適切である旨が入力されると、葉分化推定部32が推定したNLPIの値を初期値として用いて、育苗後の苗を用いてトマトを栽培したときの収量を推定する。収量推定部38は、推定した収量を利用者端末70に対して出力する。
図1に戻り、利用者端末70は、育苗業者が育苗装置内の環境条件等を入力したり、サーバ10の推定結果を閲覧するための端末である。利用者端末70は、図2(b)に示すようなハードウェア構成を有する。利用者端末70は、図2(b)に示すように、CPU190、ROM192、RAM194、記憶部(ここではHDD)196、ネットワークインタフェース197、表示部193、入力部195、及び可搬型記憶媒体191に格納されたデータ等を読み取り可能な可搬型記憶媒体用ドライブ199等を備えている。これら利用者端末70の構成各部は、バス198に接続されている。表示部193は、液晶ディスプレイ等を含み、入力部195は、キーボードやマウス、タッチパネル等を含む。
(サーバ10の処理について)
次に、サーバ10の処理について、図4のフローチャートに沿って、その他図面を適宜参照しつつ詳細に説明する。
図4の処理は、例えば、利用者端末70において、図5に示すような画面が表示された状態で開始される処理である。図5の画面は、左側の入力画面と、右側の出力画面とを含み、育苗業者は、入力画面の各欄に育苗装置内の環境条件等を入力する。なお、育苗業者が図5の画面を立ち上げる際には、育苗装置内で育苗するトマトの品種(例えば桃太郎ヨークなど)を特定しているものとする。
図4の処理では、まず、ステップS10において、受信部28が、入力画面に入力された情報を受信する。本実施形態では、育苗業者は、図6に示すように、入力画面内の光利用効率(LUE)、吸光係数(k)、及び栽植密度の欄に数値を入力するとともに、気温を選択する。受信部28は、これらの入力画面に入力された情報を利用者端末70から受信する。
次いで、ステップS14において、花房分化推定部30が、受信部28が受信した情報を用いて、第1花房が分化するタイミング(分化時期)を推定する。
ここで、トマトの苗の発育指数をDIとし、個体あたりの乾物生産量(g/plant)をDMiとすると、発育指数DIの日毎(t日毎)の増加分(dDI/dt)は次式(1)のように表される。
dDI/dt=f・dDMi/dt …(1)
発育指数DIは、0〜1の範囲の値であり、花芽の分化レベルを表し、DI=1となったときに、第1花房が分化することを意味する。なお、上式(1)は、DIとDMiとが直線関係である場合の式である。
例えば、品種が桃太郎ヨークである場合には、DMi>0.50となった時点でDI=1となる。
ここで、面積当たりの乾物生産量(g/m2)は、DMiに栽植密度(plants/m2)乗じたものであり、面積当たりのdDM/dtは、次式(2)にて表すことができる。
dDM/dt=LUE・(1−e-k・LAI)・Sr …(2)
なお、LUEは光利用効率(g/MJ)であり、kは吸光係数であり、LAI(Leaf Area Index)は葉面積指数(m2/m2)であり、Srは光合成有効放射(MJ/m2/d)である。LAIは、単位土地面積(1m2)に対する作物の全葉面積(m2)を意味する。すなわち、LAIは、個体あたり葉面積と栽植密度の積であるといえる。
例えば、LUE=2.5、k=0.6とし、Srとして、光合成有効光量子束密度(PPFD)(μmol/m2/d)の計算値を利用する。
更に、LAIは、次式(3)にて表すことができる。
dLAI/dt=vl・dDM/dt …(3)
なお、vlは係数(m2/g)であり、DM重量当たりの葉面積増加を意味する。
例えば、品種が桃太郎ヨークである場合、上式(3)は、回帰式より、次式(4)となる。
dLAI/dt=0.0162×dDM/dt+0.05 …(4)
花房分化推定部30は、上式(2)や(4)を用いて、播種後日数ごとに、1日の光合成有効光量子束(day PPF)、葉面積指数(LAI)、面積当たりの総乾物重(ΣDM)、個体あたりの総乾物重(TDM)を求める。図7(a)は、花房分化推定部30が算出した情報をまとめた表である。
図7(a)からは、13日目において、DMi(=TDM)が0.50よりも大きくなるため、花房分化推定部30は、TDMが0.52となった13日目(太線枠参照)に第1花房が分化すると推定する。なお、本実施形態では、上式(1)〜(4)で表されるモデルが、環境条件とトマトの苗の第1花房の分化レベルとの関係を表す第1モデルであると言える。ここで、「分化レベル」とは、花房の分化の進行度合いを示す指標を意味する。
図4に戻り、ステップS16では、葉分化推定部32が、推定された第1花房の分化時期(分化のタイミング)における本葉の分化枚数(NLPI)を推定する。
ここで、本葉の展開速度(leaves/d)をRlとし、温度(℃)をTmとすると、次式(5)が成り立つ。
Rl=g(Tm)=a・ln(Tm)+b …(5)
また、葉の展開速度と分化速度Rld(leaves/d)とは同じであると考えられるため、次式(6)が成り立つ。
Rld=g’(Tm)=a・ln(Tm)+b …(6)
例えば、品種:桃太郎ヨークの場合、a=0.44、b=−1.03となる。この場合、展開速度と温度の関係は、図8の表のようにまとめることができる。
また、本葉の分化枚数(分化葉数)Nld(leaves/plant)は、分化速度に日数を掛けたものとなるため、次式(7)が成立する。
dNld/dt=Rld …(7)
例えば、品種が桃太郎ヨークであり、育苗装置内が28℃である場合には、上式(7)は、経験式より初期値=2を加算して、次式(8)のように表すことができる。
Nld=0.44×日数+2 …(8)
したがって、葉分化推定部32は、上式(8)を用いて、播種後日数ごとに、分化葉数Nldを算出する。図7(b)には、播種後日数ごとの分化葉数Nldをまとめた表が示されている。そして、葉分化推定部32は、図7(b)の表から、図7(a)の表を用いて推定された分化時期(13日目)に対応する分化葉数Nldを取得する。図7(b)の例では、分化葉数Nld=7.67が取得される。葉分化推定部32は、分化葉数Nldを超えない最大の自然数(ここでは7葉)を、NLPIとして推定する。なお、本実施形態では、上式(8)で表されるモデルが、環境条件とトマトの苗における葉の分化枚数との関係を表す第2モデルであると言える。
図4に戻り、次のステップS18においては、NLPI出力部34が、葉分化推定部32が推定したNLPIを利用者端末70に対して出力する。この場合、NLPI出力部34は、図9に示すように、出力画面に図7(a)、図7(b)と同様の表を表示するとともに、NLPIの値を表示する。これにより、育苗業者は、入力した環境条件の下で育苗を行った場合のNLPIを知ることができる。
ここで、弱光下と強光下におけるNLPIの差異について図10に基づいて説明する。
図10には、品種:桃太郎ヨークを栽培した場合における、播種後日数ごとの分化葉数Nldの変化が太破線にて示されている。また、図10には、播種後日数ごとの弱光下における総乾物重TDMの変化と、播種後日数ごとの強光下における総乾物重TDMの変化が、棒グラフにて示されている。なお、気温については28℃に維持した。なお、総乾物重0.50を示す太実線は、第1花房の分化時期を判断するための閾値を示している。
図10に示すように、弱光下においては、17日目に総乾物重が0.50を超えるため、花房分化推定部30は、17日目を第1花房の分化時期と推定する。この場合、葉分化推定部32は、17日目の分化葉数Nld=8.6からNLPIを8葉と推定する。また、強光下においては、13日目に総乾物重が0.50を超えるため、花房分化推定部30は、13日目を第1花房の分化時期と推定する。この場合、葉分化推定部32は、13日目の分化葉数Nld=7.3からNLPIを7葉と推定する。このように、弱光下と強光下では、推定されるNLPIに差異が生じる。
次いで、ステップS20では、育苗業者が、出力されたNLPIでOKである旨を利用者端末70に入力したか否かを判断する。育苗業者は、出力されたNLPIが予め定めている目標範囲に含まれていれば、OKである旨を利用者端末70に入力する。また、育苗業者は、出力されたNLPIが予め定めている目標範囲に含まれていなければ、OKでない旨、及びNLPIの目標範囲を利用者端末70に入力する。ステップS20の判断が否定された場合(出力されたNLPIが目標範囲に含まれていない場合)には、ステップS22に移行する。
ステップS22に移行すると、環境条件調整部36は、葉分化推定部32から推定されたNLPIの値を取得するとともに、利用者端末70に入力されたNLPIの目標範囲を取得する。そして、取得したNLPIの値と目標範囲に基づいて、NLPIが目標範囲に含まれるように、環境条件(例えば気温)を調整する。なお、環境条件調整部36は、取得したNLPIの値が、目標範囲よりも大きいか小さいかに基づいて、予め定められた方法により環境条件を調整するものとする。環境条件調整部36は、調整後の環境条件を、花房分化推定部30に受け渡す。なお、調整する環境条件は気温に限らず、苗が受ける光量を変化させるために、栽植密度を調整することとしてもよいし、光の強度を調整することとしてもよい。
その後は、ステップS14〜S20の処理を繰り返し実行する。この場合、ステップS22で調整された新たな環境条件に基づいてNLPIを推定する処理を実行する。
そして、ステップS20の判断が肯定されると、ステップS24に移行し、収量推定部38は、出力したNLPIを初期値として用いて収量を推定し、利用者端末70に出力する。ここで、収量推定部38の処理の一例について説明する。
まず、収量推定部38は、苗のNLPIや出葉枚数を初期値として用いて、葉面積指数(LAI)を求める。図11には、一例として、異なる苗状態である4つの苗のデータ(苗状態No.1〜No.4)が示されている。図11において、苗状態No.1の苗は、出葉枚数が5枚であり、NLPI(第1花房下葉数)が7枚である。ここで、出葉枚数とは、葉身が7cm以上の葉の枚数を意味し、育苗期間の日数とその期間中の平均気温から求めることができる。収量推定部38は、出葉枚数が5枚の場合は葉1枚の葉面積を80cm2とし、7枚の場合は葉1枚の葉面積を100cm2とし、10枚以上の場合は葉1枚の葉面積を120cm2としてLAIを計算する。栽植密度が3.125株/m2であるとすると、苗状態No.1の苗のLAIは、0.125(m2/m2)と計算される。なお、その他の苗状態No.2〜No.4の出葉枚数、NLPI、LAIについては、図11のとおりであるものとする。
次いで、収量推定部38は、LAI、積算日射量、吸光係数からn日目(ここでは1日目)の積算受光量を計算するとともに、平均CO2濃度から光利用効率を計算する。次いで、収量推定部38は、n日目の積算受光量と光利用効率からn日目の総乾物生産量を計算し、計算したn日目の総乾物生産量と果実分配率からn日目の乾物果実収量を計算する。また、収量推定部38は、NLPIと定植時の葉数から第一花房の開花日を計算し、開花日とその後の平均気温から収穫開始日を計算する。
そして、収量推定部38は、n日目の乾物果実収量と果実乾物率からn日目の生鮮果実収量を計算し、生鮮果実収量の栽培開始からの積算値(総収量)を計算する。
収量推定部38は、上記処理を繰り返して、2日目、3日目…における総収量を順次計算する。なお、2日目、3日目…における出葉枚数については、各日の平均気温から求めることができる。
図12には、収量推定部38により、図11の苗状態No.1〜No.4の苗それぞれにおけるトマトの総収量を推定した結果が示されている。図12は、夏作(2016年8月1日〜2017年2月1日)を想定した推定結果である。日照データとしては、茨城県つくば市のデータを用い、屋内温度データとしては、茨城県つくば市に設置した高軒ハウス内のデータを用いることとした。図12によれば、苗状態No.3の苗の収量が最も多く推定されている。なお、図12において、苗状態No.3の苗のグラフと、苗状態No.4の苗のグラフは、ほぼ重なった状態になっている。
また、図13は、冬作(12月1日〜6月1日)の場合を想定した推定結果である。図13によれば、苗状態No.4の苗の収量が最も多く推定されている。なお、図13において、苗状態No.3の苗のグラフと、苗状態No.4の苗のグラフは、ほぼ重なった状態になっている。図12、図13を比較すると分かるように、夏作と冬作では、初期値が同一であっても、総収量の推定結果も異なる。
本実施形態では、図12や図13からわかるように、初期値として用いるNLPIや出葉枚数の値が変化すると、総収量の推定結果も変化する。したがって、本実施形態のように、各苗の初期値としてNLPIや出葉枚数の推定結果を用いることで精度よく総収量を推定することができる。また、上述したような収量推定を行うことで、夏作と冬作のように環境が異なる場合に、異なる推定結果を出力することができる。
以上、詳細に説明したように、本実施形態によると、花房分化推定部30は、環境条件とトマトの苗の第1花房の分化レベルとの関係を表す式(第1モデル)と、入力された環境条件とに基づいて、入力された環境条件の下でトマトの苗を生育させたときの第1花房の分化時期を推定する(S14)。また、葉分化推定部32は、環境条件とトマトの苗における葉の分化枚数との関係を表す式(第2モデル)と、入力された環境条件とに基づいて、入力された環境条件の下でトマトの苗を生育させた場合において、推定した第1花房の分化時期までに第1花房の下で分化する葉数(NLPI)を推定する。これにより、過去の経験等に基づいてトマトの苗のNLPIを推定する場合と比べて、精度よくNLPIを推定することができる。
また、本実施形態によると、サーバ10は、推定したNLPIや、NLPIを予め定めた目標範囲に近づけるための環境条件の情報を利用者端末70に出力するので、育苗業者は、推定されたNLPIや、適切な環境条件を確認することができる。
また、本実施形態によると、花房分化推定部30が用いる式(第1モデル)や、葉分化推定部32が用いる式(第2モデル)は、トマトの品種により異なるため、品種が異なる場合でも、NLPIを精度よく推定することができる。
また、本実施形態によると、収量推定部38は、葉分化推定部32が推定したNLPIを初期値の1つとして用いて、トマトの収量を推定(予測)する。これにより、トマトの収量を精度よく推定することができる。
なお、上記実施形態では、育苗業者が予めNLPIの目標範囲を入力してもよい。この場合、環境条件調整部36は、葉分化推定部32が推定したNLPIが目標範囲に入っていなければ、目標範囲に入るように環境条件を調整してもよい。これにより、利用者端末70に対して、適切な環境条件を自動的に出力することが可能となる。
なお、上記実施形態では、サーバ10が、環境条件調整部36や収量推定部38を有する場合について説明したが、これに限らず、環境条件調整部36及び収量推定部38の少なくとも一方を省略してもよい。環境条件調整部36を省略する場合には、NLPI出力部34は、入力された環境条件に基づいて葉分化推定部32が推定したNLPIを出力し、収量推定部38は、葉分化推定部32が推定したNLPIを初期値として用いて収量を推定すればよい。また、収量推定部38を省略する場合には、ステップS24の処理を行わないことになる。この場合、他の装置(例えば、利用者端末70や利用者端末70に接続されている他の装置)に収量推定部38の機能を持たせるようにしてもよい。
なお、上記実施形態では、葉の展開速度Rl(leaves/d)と分化速度Rld(leaves/d)とは同じであると仮定したが、トマトの苗を生育させる環境条件が、物質生産が極端に少なくなるような環境条件の場合(例えば、光が少ない場合)、すなわち、葉の分化に必要な物質生産が閾値以下の場合、葉の分化が抑制される。より具体的には、分化した葉が退化し、結果として、見かけの葉の分化が抑制される。したがって、以下のように、トマトの苗を生育させる環境条件に応じて第2モデルを異ならせてもよい。
図14には、品種:CF桃太郎ヨークを栽培した場合における、播種後日数ごとの分化葉数Nldの変化が示されている。破線は、十分な物質生産が期待できる環境条件(PPF:360μmol・m-2・s-1、明期時間:16時間)でトマトの苗を生育した場合の結果、実線は、物質生産が極端に少なくなると考えられる環境条件(PPF:195μmol・m-2・s-1、明期時間:6時間)でトマトの苗を生産した場合の結果を示す。なお、CO濃度は、いずれの場合も400ppmとし、日平均気温は、いずれの場合も27℃とした。
図14から明らかなように、物質生産が極端に少なくなる環境条件の場合、葉の分化が抑制される。上述したように、十分な物質生産が期待できる環境条件の場合、すなわち、気温に応じた物質生産が行われる環境条件の場合、葉の展開速度と分化速度Rld(leaves/d)とは同じであると考えられるため、上述した以下の式(6)が成り立つ。
Rld=g’(Tm)=a・ln(Tm)+b …(6)
一方、物質生産が極端に少なくなると考えられる環境条件の場合、すなわち、気温に応じた物質生産が困難な環境条件の場合、葉の分化速度Rld’(leaves/d)は、次式(9)で表すことができる。
Rld’=h・g’(Tm)
=h・{a・ln(Tm)+b} …(9)
ここで、hは見かけの葉の分化速度の低下係数であり、
h=LUEreal/LUEpotential …(10)
で表される。LUEpotentialは、光が多く物質生産が十分な場合の光利用効率を示し、LUErealは、夜間の高温、弱光、短日長等によって低下した実際の光利用効率を示す。
例えば、CF桃太郎ヨークの場合、育苗装置内が27℃であり、物質生産が十分にある場合には、
Rld=g’(Tm)=a・ln(Tm)+b
=0.44・ln(27)−1.03
=0.42
であり、
Nld=0.42×日数+3 …(11)
となる。一方、育苗装置内が27℃であり、物質生産が極端に少ない場合、LUEpotential=1.51、LUEreal=0.69とすると、h=0.457となり、
Rld’=h・g’(Tm)
=0.457×0.42
=0.192
となる。したがって、物質生産が極端に少ない場合には、
Nld=0.192×日数+3 …(12)
となる。
したがって、葉分化推定部32は、トマトの苗が生育される環境条件が、十分な物質生産が期待できる環境条件である場合には、上式(11)を用いて、播種後日数ごとに分化葉数Nldを算出し、一方、物質生産が極端に少なくなると考えられる環境条件である場合には、上式(12)を用いて、播種後日数ごとに分化葉数Nldを算出してもよい。この場合、上式(11)及び(12)で表されるモデルが、環境条件とトマトの苗における葉の分化枚数との関係を表す第2モデルであると言える。
なお、十分な物質生産が期待できる環境条件であるか否かは、例えば、光合成有効光量子束(PPF)と明期時間とを用いて決定することができる。例えば、PPFと明期時間との積が閾値以上の場合、十分な物質生産が期待できる環境条件とし、PPFと明期時間との積が閾値未満の場合、物質生産が極端に少なくなると考えられる環境条件としてもよい。
(実施例)
2020年8月18日〜2020年12月9日の期間、品種:CF桃太郎ヨークを育苗し、上述した第1モデルおよび第2モデルを用いたNLPIの推定精度について調査した。実施例では、第2モデルとして式(7)及び式(9)に基づく式を用いた。すなわち、苗を生育させる環境条件に応じて、異なる第2モデルを使用した。
(実験方法)
72穴セルトレーに種まき培土(スミリン)を充填し、1粒ずつ播種した。約72時間28℃で催芽後、人工光閉鎖型苗生産装置(三菱ケミカルアグリドーム社製、苗テラスを使用)に静置し、以下の表1に示す条件1〜3の下で育苗し、育苗期間終了後、ロックウールスラブに鉢上げしてNLPIを確認した。なお、光源は、32W昼白色蛍光灯(パナソニック社製、FHF32EX−N−H)を用いた。
Figure 2021128770
(条件1におけるNLPIの推定)
(花芽分化日数の特定)
まず、式(2)を用いて、株あたりの総乾物重が閾値に達する花芽分化日数を特定した。詳細には、以下の式(13)と式(14)とを用いて、条件1における双葉が完全展開した播種後7日目から播種後n日目までの株あたりの総乾物重DMを算出した。
Figure 2021128770
ここで、tは播種後日数であり、LAIおよびSr’は、それぞれ播種t日後のLAIおよびSr’を表している。
LAIは、式(14)のように表すことができる。vおよびwは係数であり、条件1では、それぞれv=0.0209、w=0.2415である。
LAI=v・ew・t …(14)
Sr’は、1日の照射光量(mol/m2/d)であり、本実施例では、以下の式(15)を用いて算出した。
Sr’=PPFD(mol/m2/s)×明期時間(s/d) …(15)
このとき人工光苗生産装置では、植物の生長に伴い、光源と植物との距離は縮まっていく。これにより植物体表面上のPPFDは変化することから、播種t日後のPPFDは式(16)のように表される。
PPFD=p・(Distance …(16)
Distanceは、播種t日後における光源から生長点までの距離であり、pとqは係数である。光源からセルトレーまでの距離が最大で20cmであるため、播種t日後のDistanceは式(17)のように表すことができる。
Distance=20−Length …(17)
Lengthは、植物の草丈の伸長を表す回帰式であり、式(18)のように表すことができる。
Length=x・eyt …(18)
このとき、xおよびyは係数である。
したがって、式(15)〜(18)より播種t日後のSr’は、次の式(15)’で表される。
Sr’=p・(20−x・eyt×明期時間(s/d) …(15)’
また、P.D.は、栽植密度(plants/m2)であり、育苗トレイに播種した株数(plants)と、育苗トレイの面積(m2)とを用いて、以下の式(19)から求めた。
P.D.=株数(plants)/育苗トレイの面積(m2) …(19)
本実施例では、P.D.=72/(0.26×0.53)=522.5であった。
吸光係数kは、品種によって変化するとされるパラメータ値であるが、本実施例では、Higashide,T., K. Yasuba, T. Kuroyanagi, A. Nakano (2015) Decreasing or Non-decreasing Allocation of Dry Matter to Fruits in Japanese Tomato Cultivars in spite of the Increase in Total Dry Matter of Plants by CO2 Elevation and Fogging. The Horticultural Journal, 84(2), 111-121を参照し、k=0.96とした。
LUE、LAI、およびSr’は、表1に示す条件1〜3での育苗期間中に数回の破壊調査を行い、その破壊調査の結果から回帰関数式を作成して求めた。なお、破壊調査と破壊調査との間の期間の生育状況は線形補完で推定算出した。
図15(a)には、式(13)、式(14)および式(15)’を用いて算出した、条件1における株あたりの総乾物重と播種後日数との関係を示すグラフが示されている。図15(a)において、縦軸は株あたりの総乾物重(DM(g/plant))を示し、横軸は播種後日数を示す。閾値を0.07(g/plant)とすると、図15(a)に示すように、播種後日数が13日において、株あたりの総乾物重が閾値以上となるため、13日を花芽分化日数として特定した。なお、双葉が完全展開した播種後7日目から播種後日数13日において、式(13)、式(14)および式(15)’から求められるDMは、下記の通り0.075(g/plant)であった。なお、条件1では、式(14)の係数vおよびwは、それぞれ0.0209および0.2415であり、式(15)’の係数x、y、pおよびqはそれぞれ1.64、0.0666、0.00053456および−0.136であった。
LAI=v・ewt=0.0209・e0.2415t
Sr’=p・(20−x・eyt×明期時間(s/d)…(15)’
=0.00053456・(20-1.64・e0.0666t)-0.136×16×60×60
=30.79・(20-1.64・e 0.0666t)-0.136
Figure 2021128770
(分化葉数の推定)
次に、株あたりの総乾物重が閾値に達したときの分化葉数を式(7)に基づき推定した。ここで、式(7)から、株あたりの総乾物重が閾値に達したときの分化葉数は、以下の式(20)から求められる。
Nld=Rld×t …(20)
ここで、Rldは葉の分化速度(leaves/day)であり、tは株あたりの総乾物重が閾値に達したときの播種後日数(花芽分化日数)である。ここで、条件1では、育苗装置内の日平均気温が20.6℃であるため、式(6)から、Rld=a・ln(Tm)+b=0.44・ln(20.6)−1.03=0.301となる。品種がCF桃太郎ヨークの場合、上記式(20)は、経験式より初期値=3を加算して、次式(21)のように表すことができる。
Nld=0.301×t+3 …(21)
ここで、t=13であるので、
Nld=0.301×13+3=3.96+3=6.96
となり、条件1における分化葉数Nldは6.96と推定された。
(NLPIの推定)
本実施例では、分化葉数Nldを、NLPIとした。したがって、条件1におけるNLPIの推定値は6.96となった。
(条件2におけるNLPIの推定)
(花芽分化日数の特定)
条件1の場合と同様に、式(13)、式(14)および式(15)’を用いて、条件2における播種後日数ごとの株あたりの総乾物重を算出した。図15(b)には、式(13)、式(14)および式(15)’を用いて算出した、条件2における株あたりの総乾物重と播種後日数との関係を示すグラフが示されている。
閾値を0.07(g/plant)とすると、図15(b)に示すように、播種後日数が12日において、株あたりの総乾物重が閾値以上となるため、12日を花芽分化日数として特定した。なお、播種後日数12日において、式(13)、式(14)および式(15)’から求められるDMは、下記の通り0.082(g/plant)であった。なお、条件2では、式(14)の係数vおよびwは、それぞれ0.0157および0.2896であり、式(15)’の係数x、y、pおよびqはそれぞれ1.54、0.087、0.00053456および−0.136であった。
LAI=0.157・e0.2896t
Sr’=0.00053456・(20-1.54・e0.087t)-0.136×16×60×60
=30.79・(20-1.54・e 0.087t)-0.136
Figure 2021128770
(分化葉数の推定)
条件1の場合と同様に、分化葉数を推定した。条件2では、育苗装置内の日平均気温が26.5℃であるため、式(6)から、Rld=a・ln(Tm)+b=0.44・ln(26.5)−1.03=0.412となる。条件1の場合と同様に、経験式より初期値=3を加算して、条件2におけるNldは以下の式(22)で求められる。
Nld=0.412×t+3 …(22)
ここで、t=12であるので、
Nld=0.412×12+3=4.94+3=7.94
となり、条件2における分化葉数Nldは7.94と推定された。
(NLPIの推定)
上述したように、本実施例では、分化葉数NldをNLPIとしたため、条件2におけるNLPIの推定値は7.94となった。
(条件3におけるNLPIの推定)
(花芽分化日数の特定)
条件1の場合と同様に、式(13)、式(14)および式(15)’を用いて、条件3における播種後日数ごとの株あたりの総乾物重を算出した。図15(c)には、式(13)、式(14)および式(15)’を用いて算出した、条件3における株あたりの総乾物重と播種後日数との関係を示すグラフが示されている。
閾値を0.07(g/plant)とすると、図15(c)に示すように、播種後日数が38日において、株あたりの総乾物重が閾値以上となるため、38日を花芽分化日数として特定した。なお、双葉が完全展開した播種後7日目から播種後日数38日において、式(13)、式(14)および式(15)’から求められるDMは、0.074(g/plant)であった。なお、条件3では、式(14)の係数vおよびwは、それぞれ0.0209および0.1218であり、式(15)’の係数x、y、pおよびqはそれぞれ5.73、0.0364、0.00048902および−0.149であった。
LAIt=0.0209・e0.1218t
Sr’=0.00048902・(20-5.73・e0.0364t)-0.149×16×60×60
=7.04・(20-5.73・e0.0364t)-0.149
Figure 2021128770
(分化葉数の推定)
条件1の場合と同様に、分化葉数を推定した。条件3では、育苗装置内の日平均気温が27.7℃であるため、式(6)から、Rld=a・ln(Tm)+b=0.44・ln(27.7)−1.03=0.431となる。このとき、条件3は物質生産が極端に少ない条件であることから、式(9)のRld=h・{a・ln(Tm)+b}を用いる。式(9)のhは、式(10)によりh=LUEreal/LUEpotential=0.61/1.290=0.473となる。したがって、Rld=0.473×{0.44・ln(27.7)−1.03}=0.204となる。条件1の場合と同様に、経験式より初期値=3を加算して、条件3におけるNldは以下の式(23)で求められる。
Nld=0.204×t+3 …(23)
ここで、t=38であるので、
Nld=0.204×38+3=7.75+3=10.75
となり、条件3における分化葉数Nldは10.75と推定された。
(NLPIの推定)
上述したように、本実施例では、分化葉数NldをNLPIとしたので、条件3におけるNLPIの推定値は10.75となった。
(推定値と実測値との比較)
条件1〜3の下で育苗した各株についてNLPIを測定し、実測値の平均と、推定値とを比較した。図16に、NLPIの推定値と実測値平均との比較を示す。
図16に示すように、推定値と実測値平均との差はほとんどなかった。したがって、第1モデルおよび第2モデルを用いると、高い精度でNLPIを推定できることが確認された。
なお、上記の処理機能は、コンピュータによって実現することができる。その場合、処理装置が有すべき機能の処理内容を記述したプログラムが提供される。そのプログラムをコンピュータで実行することにより、上記処理機能がコンピュータ上で実現される。処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記憶媒体(ただし、搬送波は除く)に記録しておくことができる。
プログラムを流通させる場合には、例えば、そのプログラムが記録されたDVD(Digital Versatile Disc)、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)などの可搬型記憶媒体の形態で販売される。また、プログラムをサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することもできる。
プログラムを実行するコンピュータは、例えば、可搬型記憶媒体に記録されたプログラムもしくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、自己の記憶装置に格納する。そして、コンピュータは、自己の記憶装置からプログラムを読み取り、プログラムに従った処理を実行する。なお、コンピュータは、可搬型記憶媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムに従った処理を実行することもできる。また、コンピュータは、サーバコンピュータからプログラムが転送されるごとに、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行することもできる。
上述した実施形態は本発明の好適な実施の例である。但し、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施可能である。
10 サーバ(情報処理装置)
30 花房分化推定部(第1推定部)
32 葉分化推定部(第2推定部)

Claims (7)

  1. 環境条件とトマトの苗の第1花房の分化レベルとの関係を表す第1モデルと、入力された環境条件とに基づいて、入力された前記環境条件の下でトマトの苗を生育させたときの前記第1花房の分化時期を推定し、
    環境条件とトマトの苗における葉の分化枚数との関係を表す第2モデルと、入力された前記環境条件とに基づいて、入力された前記環境条件の下でトマトの苗を生育させた場合において、推定した前記第1花房の分化時期までに前記第1花房の下で分化する葉数を推定する、
    処理をコンピュータが実行することを特徴とする情報処理方法。
  2. 推定した前記第1花房の下で分化した葉数、又は、推定した前記第1花房の下で分化した葉数を予め定めた目標値に近づけるための環境条件の情報を出力する、処理を前記コンピュータが更に実行することを特徴とする請求項1に記載の情報処理方法。
  3. 前記第1モデル及び前記第2モデルは、前記トマトの品種により異なる、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の情報処理方法。
  4. 推定した前記第1花房の下で分化した葉数を初期値の1つとして、前記トマトの収量を予測する、処理を前記コンピュータが更に実行することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の情報処理方法。
  5. 前記推定する処理において、前記環境条件が十分に物質生産が行われる第1条件の場合と、前記環境条件が第1条件とは異なる第2条件の場合とで、前記第2モデルを異ならせる、
    請求項1〜4のいずれか一項に記載の情報処理方法。
  6. 環境条件とトマトの苗の第1花房の分化レベルとの関係を表す第1モデルと、入力された環境条件とに基づいて、入力された前記環境条件の下でトマトの苗を生育させたときの前記第1花房の分化時期を推定し、
    環境条件とトマトの苗における葉の分化枚数との関係を表す第2モデルと、入力された前記環境条件とに基づいて、入力された前記環境条件の下でトマトの苗を生育させた場合において、推定した前記第1花房の分化時期までに前記第1花房の下で分化する葉数を推定する、
    処理をコンピュータに実行させるための情報処理プログラム。
  7. 環境条件とトマトの苗の第1花房の分化レベルとの関係を表す第1モデルと、入力された環境条件とに基づいて、入力された前記環境条件の下でトマトの苗を生育させたときの前記第1花房の分化時期を推定する第1推定部と、
    環境条件とトマトの苗における葉の分化枚数との関係を表す第2モデルと、入力された前記環境条件とに基づいて、入力された前記環境条件の下でトマトの苗を生育させた場合において、推定した前記第1花房の分化時期までに前記第1花房の下で分化する葉数を推定する第2推定部と、
    を備える情報処理装置。
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